(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】シールドワイヤーハーネスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/012 20060101AFI20231130BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231130BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20231130BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20231130BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20231130BHJP
H01B 13/34 20060101ALI20231130BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
H02G3/04 081
H05K9/00 K
H01B7/18 D
H01B13/00 521
H01B13/34 Z
H01B7/00 301
(21)【出願番号】P 2020057239
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】水野 博貴
(72)【発明者】
【氏名】川村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】堀池 和徳
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 正則
(72)【発明者】
【氏名】鳥本 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 健
(72)【発明者】
【氏名】安本 豪斗
(72)【発明者】
【氏名】生田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】中関 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】今村 文仁
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-262428(JP,A)
【文献】特開2017-120917(JP,A)
【文献】特開2018-67404(JP,A)
【文献】特開平9-328212(JP,A)
【文献】特開平2-32709(JP,A)
【文献】特開2017-99205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
H02G 3/04
H05K 9/00
H01B 7/18
H01B 13/00
H01B 13/34
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線ケーブルにおける長手方向の少なくとも一部が、電磁シールド複層管に挿通され、他の部分は編組線で被覆されるとともに、コルゲートに挿通され、前記編組線と前記電磁シールド複層管が電気的に接続されたシールドワイヤーハーネスの製造方法であって、
前記電線ケーブルを前記編組線に挿通し、前記電線ケーブルにおける所定箇所を前記編組線で被覆するとともに、前記コルゲートに挿通させるケーブル準備工程と、
前記電線ケーブルを前記電磁シールド複層管に挿通する通線工程と、
前記電磁シールド複層管における前記長手方向に離間する少なくとも2点を保持する保持部を有するハンドルを、前記長手方向の所定位置に装着するハンドル装着工程と、
前記電線ケーブルが前記電磁シールド複層管に挿通された通管ケーブルを加工してシールドワイヤーハーネスを形成する加工工程とを行い、
前記加工工程は、前記電磁シールド複層管に装着した前記ハンドルの位置を規制して加工する
シールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項2】
角度調整に可能に構成されたハンドル固定部で、セットされた前記通管ケーブルの向きを調整し、前記編組線と前記電磁シールド複層管との電気的接続を行う
請求項1に記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項3】
前記加工工程において、前記通管ケーブルの離間する2点の把持箇所をパイプベンダの把持部で把持しながら曲げ加工を行う曲げ加工工程を行い、
前記曲げ加工工程において、
前記通管ケーブルを、前記ハンドルによって位置決めした搬送装置で前記パイプベンダに対して搬送する
請求項1または請求項2に記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項4】
前記加工工程において前記通管ケーブルの前記編組線と前記電磁シールド複層管とを電気的に接続する編組加締め工程から前記曲げ加工工程の間に、
前記通管ケーブルにおける前記電線ケーブルの一端に端子を圧着する圧着工程、
前記通管ケーブルの所定箇所にグロメットを取り付けるグロメット取付け工程、及び
前記通管ケーブルの所定箇所に標識を取り付ける標識取付け工程のうち少なくともいずれかひとつの工程を行い、
前記通管ケーブルを前記ハンドルによって各作業箇所間を移動させる
請求項3に記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項5】
前記各作業箇所の配置に沿って設けられたローラ搬送路上を、前記通管ケーブルに固定された前記ハンドルによって移動する
請求項4に記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項6】
前記通線工程において、
前記電線ケーブルの先端に接続したリードワイヤを介して先導カプセルを装着するとともに、前記先導カプセルを前記電磁シールド複層管の内部を圧送し、圧送された前記先導カプセルに接続された前記リードワイヤをたぐり寄せて、前記電磁シールド複層管に前記電線ケーブルを挿通させる
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項7】
前記シールドワイヤーハーネスは、前記電線ケーブル、第2電線ケーブル及び第3電線ケーブルとを組み付けて構成され、
前記編組線を所定長さで切断する編組線準備工程、
前記第3電線ケーブルを準備する第3電線準備工程、
前記ケーブル準備工程、
前記通線工程を行うとともに、前記電線ケーブル、前記第2電線ケーブル及び前記第3電線ケーブルとを組み付けて合体するハーネス組付け工程、
前記加工工程、及び
仕上げ加工を施す仕上げ工程をこの順で行う
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項8】
前記加工工程における曲げ加工工程の前に、すべての端末処理加工が完了している
請求項7に記載のシールドワイヤーハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電線ケーブルにおける長手方向の少なくとも一部が、筒状の電磁シールド複層管に挿通されるとともに、他の部分は編組線で被覆され、前記編組線と前記電磁シールド複層管が電気的に接続されたシールドワイヤーハーネスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車や電気自動車におけるインバータ装置やモータなどの電気機器間を接続する電線は、車体の形状に合わせて車体の床下等に配索されることがあり、飛び石等による損傷を防止する必要がある。また、電線から発生するノイズの放射や外部からのノイズの侵入を遮断することにより、搭載された電子機器類がノイズによって誤作動を起こすことを防止する必要もある。
【0003】
そのため、例えば特許文献1では、筒状シールド部材に、複数本の電線を挿通することで一括してシールドするワイヤーハーネスが開示されている。
このようなワイヤーハーネスは、電線の端部に端子を圧着したり、電線を被覆する編組線を筒状シールド部材に接続したり、電線保護部材の組み付けを行うなどの複数の手作業による加工工程が必要となる。しかしながら、長物であるワイヤーハーネスを、向きや位置を変えながら上述のような作業を行うため、作業効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、電線ケーブルの少なくとも一部が電磁シールド複層管に挿通されるとともに、その他の部分が編組線で被覆され、編組線と電磁シールド複層管が電気的に接続されたシールドワイヤーハーネスを効率よく製造できるシールドワイヤーハーネスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電線ケーブルにおける長手方向の少なくとも一部が、電磁シールド複層管に挿通され、他の部分は編組線で被覆されるとともに、コルゲートに挿通され、前記編組線と前記電磁シールド複層管が電気的に接続されたシールドワイヤーハーネスの製造方法であって、前記電線ケーブルを前記編組線に挿通し、前記電線ケーブルにおける所定箇所を前記編組線で被覆するとともに、前記コルゲートに挿通させるケーブル準備工程と、前記電線ケーブルを前記電磁シールド複層管に挿通する通線工程と、前記電磁シールド複層管における前記長手方向に離間する少なくとも2点を保持する保持部を有するハンドルを、前記長手方向の所定位置に装着するハンドル装着工程と、前記電線ケーブルが前記電磁シールド複層管に挿通された通管ケーブルを加工してシールドワイヤーハーネスを形成する加工工程とを行い、前記加工工程は、前記電磁シールド複層管に装着した前記ハンドルの位置を規制して加工することを特徴とする。
【0007】
上述の電線ケーブルにおける長手方向の少なくとも一部が、電磁シールド複層管に挿通され、他の部分は編組線で被覆されるとともに、コルゲートに挿通されたシールドワイヤーハーネスは、所定長さ分の電線ケーブルが電磁シールド複層管に挿通され、複数のその他の部分が編組線で被覆される態様、あるいは電線ケーブルの複数箇所が電磁シールド複層管に挿通され、その他の部分が編組線に被覆される態様であってもよい。
上述のハンドル装着工程は、ケーブル準備工程と加工工程との間であれば、通線工程より前工程で行ってもよいし、後工程で行ってもよい。
【0008】
この発明により、シールドワイヤーハーネスを効率よく製造することができる。
詳述すると、電磁シールド複層管の長手方向の所定位置にハンドルが装着された状態で加工工程を行うことができる。そのため、電磁シールド複層管を直接持って移動する場合に比べて、長物である通管ケーブルを容易に取り回しでき、作業性を向上することができる。
【0009】
また、ハンドルを電磁シールド複層管の長手方向の所定位置に装着しているため、ハンドルを位置規制して加工することで、前記電磁シールド複層管を容易に所定位置に規制できる。そのため、前記電磁シールド複層管の位置を調整しながらセットする場合や、電磁シールド複層管の位置を調整することなくセットする場合に比べて、作業性をより向上することができる。
【0010】
また、前記ハンドルの保持部で電磁シールド複層管の所定位置における前記長手方向に離間する少なくとも2点を保持するため、人手で電磁シールド複層管の任意箇所を直接持って移動する場合のように、電磁シールド複層管が撓んで変形するなどの不具合の発生を防止し、高精度なシールドワイヤーハーネスを効率よく製造することができる。
【0011】
この発明の態様として、角度調整に可能に構成されたハンドル固定部で、セットされた前記通管ケーブルの向きを調整し、前記編組線と前記電磁シールド複層管との電気的接続を行ってもよい。
この発明により、前記編組線と前記電磁シールド複層管との電気的接続作業に応じた向きに調整できるため、電気的接続作業を効率よく行うことができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記加工工程において、前記通管ケーブルの離間する2点の把持箇所をパイプベンダの把持部で把持しながら曲げ加工を行う曲げ加工工程を行い、前記曲げ加工工程において、前記通管ケーブルを、前記ハンドルによって位置決めした搬送装置で前記パイプベンダに対して搬送してもよい。
【0013】
この発明により、前記ハンドルが電磁シールド複層管の所定位置に固定されているため、ハンドルを搬送装置にセットするだけで、パイプベンダに対して所定位置に通管ケーブルを搬送することができ、通管ケーブルの位置調整を行うことなく、パイプベンダで正確に曲げ加工することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記加工工程において前記通管ケーブルの前記編組線と前記電磁シールド複層管とを電気的に接続する編組加締め工程から前記曲げ加工工程の間に、前記通管ケーブルにおける前記電線ケーブルの一端に端子を圧着する圧着工程、前記通管ケーブルの所定箇所にグロメットを取り付けるグロメット取付け工程、及び前記通管ケーブルの所定箇所に標識を取り付ける標識取付け工程のうち少なくともいずれかひとつの工程を行い、前記通管ケーブルを前記ハンドルによって各作業箇所間を移動させてもよい。
【0015】
上述の圧着工程、グロメット取付け工程、及び標識取付け工程は、すべての工程を行ってもよいし、これらの工程のうちいずれかひとつや複数を行ってもよいし、さらには、別の工程を行ってもよい。また、複数の工程を行う場合は、その施工順序はいずれの順序であってもよい。
【0016】
この発明により、ハンドルを電磁シールド複層管の長手方向の所定位置に装着しているため、電磁シールド複層管が撓んで変形するなどの不具合の発生を防止しながら、各作業において通管ケーブルを所定の位置に配置でき、さらに作業性を向上することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記各作業箇所の配置に沿って設けられたローラ搬送路上を、前記通管ケーブルに固定された前記ハンドルによって移動してもよい。
この発明により、人手によって運搬することなく、各作業箇所に対して所定位置となるように通管ケーブルを、ローラ搬送路上を容易に移動させ、作業性をさらに向上することができる。また、ローラ搬送路によってハンドルの位置が規制されるため、ローラ搬送路上をハンドルによって移動する通管ケーブルの搬送される向きやおおよそ位置が規制されることとなる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記通線工程において、前記電線ケーブルの先端に接続したリードワイヤを介して先導カプセルを装着するとともに、前記先導カプセルを前記電磁シールド複層管の内部を圧送し、圧送された前記先導カプセルに接続された前記リードワイヤをたぐり寄せて、前記電磁シールド複層管に前記電線ケーブルを挿通させてもよい。
【0019】
この発明により、可撓性を有する電線ケーブルを、電磁シールド複層管内部を容易に挿通させることができる。
なお、上記圧送は、圧縮空気による先導カプセルの空気輸送であってもよい。
【0020】
またこの発明の態様として、前記シールドワイヤーハーネスは、前記電線ケーブル、第2電線ケーブル及び第3電線ケーブルとを組み付けて構成され、前記編組線を所定長さで切断する編組線準備工程、前記第3電線ケーブルを準備する第3電線準備工程、前記ケーブル準備工程、前記通線工程を行うとともに、前記電線ケーブル、前記第2電線ケーブル及び前記第3電線ケーブルとを組み付けて合体するハーネス組付け工程、前記加工工程、及び仕上げ加工を施す仕上げ工程をこの順で行ってもよい。
この発明により、各ケーブルの端末処理を行ってから曲げ加工を施すことができる。
【0021】
上記仕上げ加工は、所定箇所にプロテクタやパイプクランプを装着したり、耐電圧検査、寸法検査などの検査、出荷できるような梱包などの加工が含まれる。
なお、第2電線及び第3電線は、例えばエアコンケーブルやダウンバータケーブルなど電線ケーブルと種類の異なるケーブルである。
【0022】
またこの発明の態様として、前記加工工程における曲げ加工工程の前に、すべての端末処理加工が完了していてもよい。
上記端末処理加工は、電線のストリップ、端子の圧着、コネクタへの端子の装着、熱収縮チューブの装着、コルゲートチューブへの通線などが含まれる。
【0023】
この発明により、すべての端末処理加工が終わった状態で曲げ加工工程を行うため、長物のシールドワイヤーハーネスであっても、製造工程と検査工程における人員配置の最適化などの効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明により、電線ケーブルの少なくとも一部が電磁シールド複層管に挿通されるとともに、その他の部分が編組線で被覆され、編組線と電磁シールド複層管が電気的に接続されたシールドワイヤーハーネスを効率よく製造できるシールドワイヤーハーネスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】シールドワイヤーハーネスの製造方法の概略フロー図。
【
図3】編組線準備工程・第3電線準備工程・第1電線準備工程の概略フロー図。
【
図4】編組線準備工程・第3電線準備工程・第1電線準備工程における各ステップの製造内容を説明する説明図。
【
図6】ハーネス組付け工程の編組線準備工程・第3電線準備工程・第1電線準備工程における各ステップの製造内容を説明する説明図。
【
図7】ハーネス組付け工程における各ステップの製造内容を説明する説明図。
【
図10】ハーネス加工工程における各ステップの製造内容を説明する説明図。
【
図11】編組加締め作業台への通管ケーブルの装着について説明する説明図。
【
図12】通管ケーブルの向きを調整した状態の編組加締め作業台の斜視図。
【
図14】電磁シールド複層管曲げ工程における曲げ加工を説明する説明図。
【
図15】パイプベンダに通管ケーブルを搬送する搬送装置についての説明図。
【
図17】仕上げ工程における各ステップの製造内容を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
なお、以下で各図について説明するが、
図1、
図4、
図6(a),(b),(e),(f)、
図7、
図10、
図14、
図17(a),(b),(d)における左側をフロント側Fとし、右側をリヤ側Rとしている。
【0027】
図1(a)はシールドワイヤーハーネス1の概略図を示している。
図1(b)は編組線6、コルゲートチューブ7、コネクタ8及びグロメット9を透過状態で図示したシールドワイヤーハーネス1の概略図を示している。なお、
図1(b)においてコルゲートチューブ7、コネクタ8及びグロメット9を概略的に破線で示している。
図2はシールドワイヤーハーネス1の製造方法の全体の概略フロー図を示している。
【0028】
図3はシールドワイヤーハーネス1の製造方法における編組線準備工程(ステップs1)・第3電線準備工程(ステップs2)・第1電線準備工程(ステップs3)の概略フロー図を示している。
【0029】
図4(a)は編組線準備工程(ステップs1)における第1編組線61の概略図を示している。
図4(b)は第3電線準備工程(ステップs2)の第3電線切断工程(ステップs21)における第3電線4の概略図を示している。
図4(c)は第3電線・編組片側圧着工程(ステップs22)における接続端子41が接続された第3電線4の概略図を示している。
図4(d)は第3電線・編組片側圧着工程(ステップs22)における第4編組線64を被覆した第3電線4の概略図を示している。
図4(e)は第3電線通線工程(ステップs23)における第3電線4の組み付けを説明する説明図を示している。
図4(f)は第1電線準備工程(ステップs3)における第1電線2の概略図を示している。
【0030】
図5はシールドワイヤーハーネス1の製造方法におけるハーネス組付け工程(ステップs4)の概略フロー図を示している。
図6(a)はハーネス組付け工程(ステップs4)の第1電線通線・合体工程(ステップs41)における第1編組線61の概略図を示している。
図6(b)は第1電線通線・合体工程(ステップs41)において第1編組線61に第1電線2を通線した状態の概略図を示している。
図6(c)は第1電線通線・合体工程(ステップs41)における第2電線3の概略図を示している。
図6(d)は第1電線通線・合体工程(ステップs41)において第3グロメット93に第2電線3を挿通した状態の概略図を示している。
図6(e)は第1電線通線・合体工程(ステップs41)において第3グロメット93に第1電線2を挿通した状態の概略図を示している。
図6(f)は第1電線通線・合体工程(ステップs41)及び第1電線片側圧着工程(ステップs42)において第3電線4を第1電線2と合体するとともに、第1電線2のフロント側Fの端部に接続端子22を接続した状態の概略図を示している。
【0031】
図7(a)は第1電線組立工程(ステップs43)において第1電線2のフロント側Fの端部に第1コネクタ81を装着した状態の概略図を示している。
図7(b)は編組加締め工程(ステップs44)において第1編組線61のフロント側Fの端部を第1コネクタ81に加締めた状態の概略図を示している。
図7(c)は電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において第1電線2及び第2電線3を電磁シールド複層管5に通線する状態の概略図を示している。
図7(d)は電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において通管ケーブル1aの第2電線3を所定長さに切断した状態の概略図を示している。
図7(e)は電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において電磁シールド複層管5に第4グロメット94及び第3コルゲートチューブ73を装着した状態の概略図を示している。
【0032】
図8はシールドワイヤーハーネス1の製造方法におけるハーネス加工工程(ステップs5)の概略フロー図を示している。
図9(a)はハンドル10に通管ケーブル1aを装着する状態の斜視図を示している。
図9(b)はハンドル付ハーネス10aの斜視図を示している。
【0033】
図10(a)は電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)、第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)、及び端子矯正工程(ステップs54)において第1編組線61と電磁シールド複層管5とを加締めるとともに、第1電線2のリヤ側Rに接続端子21を装着した状態の概略図を示している。
図10(b)は第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)において通管ケーブル1aの第2電線3のリヤ側Rの端部に接続端子31等を装着した状態の概略図を示している。
図10(c)は熱収縮工程(ステップs56)において通管ケーブル1aのリヤ側Rの端部の接続端子21や接続端子31に熱収縮チューブ23,33を装着した状態の概略図を示している。
図10(d)はグロメット取付工程(ステップs57)において第3グロメット93と電磁シールド複層管5とを取付けた状態の概略図を示している。
図10(e)はアッセンブリ工程(ASSY工程:ステップs58)において第2電線3のリヤ側Rにフェライト32を装着した状態の概略図を示している。
【0034】
図11(a)は電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)において編組加締め作業台100にハンドル付ハーネス10aを取付ける状態の斜視図を示している。
図11(b)は編組加締め作業台100にハンドル付ハーネス10aを取付けられた状態の斜視図を示している。
図12は編組加締め作業台100の固定部110によって取付けられたハンドル付ハーネス10aの角度を調整した状態の斜視図を示している。
【0035】
図13(a)はハンドル付ハーネス10aを搬送するローラ搬送路200の側面図を示している。
図13(b)はローラ搬送路200の平面図を示している。
図13(c)は
図13(b)のA-A線矢視図を示している。
図14(a)は電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)において曲げ加工する前の通管ケーブル1aの概略図を示している。
図14(b)は電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)において曲げ加工後の通管ケーブル1aの概略図を示している。
【0036】
図15(a)は図示省略するパイプベンダに通管ケーブル1aを搬送する搬送装置300の一部平面図を示している。
図15(b)は搬送装置300にハンドル付ハーネス10aをセットした状態の搬送装置300の一部平面図を示している。
図15(c)はセットしたハンドル付ハーネス10aの通管ケーブル1aを第1搬送部310で受け直して、ハンドル10を取外した状態の搬送装置300の一部平面図を示している。
図15(d)第1搬送部310から通管ケーブル1aを第2搬送部320で受け直した状態の搬送装置300の一部平面図を示している。なお、
図15において、搬送装置300の上側に図示省略するパイプベンダが配置されている。
【0037】
図16はシールドワイヤーハーネス1の製造方法における仕上げ工程(ステップs6)の概略フロー図を示している。
図17(a)は仕上げ加工・耐電圧検査工程(ステップs61)において仕上げ加工を施す前の通管ケーブル1aの概略図を示している。
図17(b)は仕上げ加工・耐電圧検査工程(ステップs61)において通管ケーブル1aに仕上げ加工を施した形成したシールドワイヤーハーネス1の概略図を示している。
図17(c)は寸法・導通・外観検査工程(ステップs62)においてシールドワイヤーハーネス1の外観検査を行う3D検具400の概略斜視図を示している。
図17(d)は梱包工程(ステップs64)における梱包状態のシールドワイヤーハーネス1の概略図を示している。
【0038】
なお、
図9,
図11,
図12,
図13,
図15において、ハンドル10に装着する通管ケーブル1aについては電磁シールド複層管5のみを図示し、電磁シールド複層管5の端部に装着されるグロメット9、コルゲートチューブ7やコネクタ8の図示は省略している。
【0039】
シールドワイヤーハーネス1は、高圧ケーブルなどの第1電線2と、エアコンケーブルなどの第2電線3と、ダウンバータケーブルなどの第3電線4とを組み付けて構成している。なお、シールドワイヤーハーネス1は種類の異なる第1電線2、第2電線3、及び第3電線4を組み付けて構成しているが、第1電線2、第2電線3、及び第3電線4のうちいずれかが同種の電線であってもよいし、すべてが同種の電線であってもよい。
【0040】
第1電線2及び第2電線3における長手方向Lの一部は、電磁シールド複層管5の内部に挿通され、その他の部分は編組線6で被覆されるとともに、コルゲートチューブ7に挿通されている。
【0041】
第3電線4は、編組線6で被覆されるとともに、コルゲートチューブ7に挿通されている。
また、電磁シールド複層管5とコルゲートチューブ7との間、コルゲートチューブ7同士の間における分岐部分、コルゲートチューブ7とコネクタ8との間にはグロメット9が配置されている。
【0042】
電磁シールド複層管5は、径内側から内層体、接着層、金属層及び外層体から径外側に向かってこの順の層構成されている。
内層体は、所望の耐摩耗性など第1電線2及び第2電線3を保護するために求められる所要性能を有する熱可塑性樹脂であり、内部に第1電線2及び第2電線3が挿通可能な内部空間を形成している。なお、内層体は、結晶性の熱可塑性樹脂であり、ポリエチレンであることが好ましい。
【0043】
接着層は、内層体の外周面に形成され、内層体と金属層とを接着して一体化する。このように構成された接着層は、内層体と同系素材である接着剤であると好ましい。
金属層は、内部に挿通した第1電線2及び第2電線3から発生するノイズの放射、及び内部へのノイズの侵入を防止するアルミニウム製の円筒状であり、外層体は、コーション色であるオレンジ色の架橋ポリエチレン(架橋PE)製であり、金属層の外表面を被覆している。なお、本実施形態において、電磁シールド複層管5は2~3m程度の所定長さで形成されている。また、外層体を備えず電磁シールド複層管5を構成してもよい。
【0044】
編組線6は、導電性の繊維を編み込み、内部に挿通するケーブルのサイズに応じた筒状に構成されている。なお、電磁シールド複層管5の金属層や後述するコネクタ8の導通部と加締められて、物理的且つ電気的に接続される。
【0045】
コルゲートチューブ7は、蛇腹形状による可撓性を有し、内部を挿通するケーブルを保護するチューブである。
コネクタ8は、電気機器に接続された相手方電線(図示省略)と接続するための電気部品であり、第1電線2や第2電線3のフロント側Fの端部が接続された端子を有している。
【0046】
グロメット9は、内部にケーブルを挿通できる挿通空間を有する略筒状であり、可撓性を有するゴムで構成している。また、シールドワイヤーハーネス1における分岐部に配置される場合、挿通空間に連通する開口部を三方向に設けている。
【0047】
シールドワイヤーハーネス1の構成について
図1に基づいて詳述すると、
図1に示すように、シールドワイヤーハーネス1は2本の第1電線2、第1電線2本の第2電線3及び1本の第3電線4を合体させて形成している。
シールドワイヤーハーネス1におけるフロント側Fからリヤ側Rに向かって、第1コネクタ81、第1グロメット91、第1コルゲートチューブ71、第2グロメット92、第2コルゲートチューブ72、第3グロメット93、電磁シールド複層管5、第4グロメット94、及び第3コルゲートチューブ73がこの順で配置されている。
【0048】
また、第1グロメット91及び第2グロメット92は、分岐グロメットであり、それぞれからシールドワイヤーハーネス1の長手方向Lに交差する方向に第4コルゲートチューブ74及び第5コルゲートチューブ75が分岐して設けられている。
【0049】
また、第3グロメット93は、分岐グロメットであり、シールドワイヤーハーネス1の長手方向Lに交差する方向に第6コルゲートチューブ76が設けられ、第6コルゲートチューブ76の先端に第2コネクタ82が配置されている。
【0050】
そして、2本の第1電線2のフロント側Fの端部は第1コネクタ81に接続されるとともに、第1グロメット91、第1コルゲートチューブ71、第2グロメット92、第2コルゲートチューブ72、第3グロメット93、電磁シールド複層管5、第4グロメット94、及び第3コルゲートチューブ73の内部に挿通され、第1電線2のリヤ側Rの端部は第3コルゲートチューブ73のリヤ側Rの端部からリヤ側Rに伸びて接続端子21が装着されている。
【0051】
また、2本の第2電線3のフロント側Fの端部は第2コネクタ82に接続され、第6コルゲートチューブ76、第3グロメット93、電磁シールド複層管5、第4グロメット94、第3コルゲートチューブ73の内部に挿通され、第2電線3のリヤ側Rの端部は第3コルゲートチューブ73のリヤ側Rの端部からリヤ側Rに伸びて接続端子31が装着されている。また、第2電線3における第3コルゲートチューブ73のリヤ側Rの端部から露出する部分において、接続端子31までの間に、ノイズフィルタであるフェライト32が装着されている。
【0052】
第3電線4は、第4コルゲートチューブ74及び第1グロメット91、第1コルゲートチューブ71、第2グロメット92及び第5コルゲートチューブ75の内部に挿通され、それぞれの端部に接続端子41が装着されている。
上述のように構成されたシールドワイヤーハーネス1は、第1電線2及び第3電線4がともに第1コルゲートチューブ71の内部を挿通し、第1電線2及び第2電線3がともに電磁シールド複層管5、第4グロメット94及び第3コルゲートチューブ73の内部を挿通している。
【0053】
なお、
図1(a)に示すように、第1コネクタ81から第3グロメット93までの内部を挿通する第1電線2は第1編組線61で被覆され、第3コルゲートチューブ73の内部を挿通する第1電線2は、第2電線3とともに第2編組線62で被覆されている。
【0054】
第1編組線61のフロント側Fの端部は第1コネクタ81と電気的に接続され、リヤ側Rの端部は電磁シールド複層管5の金属層のフロント側Fの端部と電気的に接続されている。また、第2編組線62のフロント側Fの端部は電磁シールド複層管5の金属層のリヤ側Rの端部と電気的に接続されている。
【0055】
また、第6コルゲートチューブ76の内部を挿通する第2電線3は、第3編組線63で被覆されている。
第3編組線63のフロント側Fの端部は第2コネクタ82と電気的に接続され、リヤ側Rの端部は電磁シールド複層管5の金属層のフロント側Fの端部と電気的に接続されている。さらに、第3電線4は第4編組線64で被覆されている。
【0056】
このように構成されたシールドワイヤーハーネス1の製造方法について、
図2乃至
図17とともに説明する。
図2に示すようにシールドワイヤーハーネス1は、編組線準備工程(ステップs1)、第3電線準備工程(ステップs2)、第1電線準備工程(ステップs3)、ハーネス組付け工程(ステップs4)、ハーネス加工工程(ステップs5)、及び仕上げ工程(ステップs6)によって製造される。
【0057】
概略的には、編組線準備工程(ステップs1)は第1電線2を被覆する第1編組線61を準備する工程であり、第3電線準備工程(ステップs2)は所定長さの第3電線4を準備する工程であり、第1電線準備工程(ステップs3)は所定長さの第1電線2を準備する工程である。
【0058】
ハーネス組付け工程(ステップs4)は、第1電線2,第2電線3及び第3電線4を合体し、電磁シールド複層管5に挿通して、通管ケーブル1aを形成する工程であり、ハーネス加工工程(ステップs5)は通管ケーブル1aに各種加工を施す工程である。
仕上げ工程(ステップs6)は各種加工を施した通管ケーブル1aに対して仕上げ加工を施してシールドワイヤーハーネス1を形成するとともに、出荷できるように検査や梱包を行う工程である。
【0059】
以下で各工程について詳細に説明する。
編組線準備工程(ステップs1)では、
図4(a)に示すように、図示省略する編組線切断装置で第1編組線61を所定長さで切断する。
【0060】
第3電線準備工程(ステップs2)は、
図3に示すように、第3電線切断工程(ステップs21)、第3電線・編組片側圧着工程(ステップs22)、及び第3電線通線工程(ステップs23)を行う。
第3電線切断工程(ステップs21)では、
図4(b)に示すように、第3電線4を図示省略するキャスティング装置で所定長さに切断する。
【0061】
第3電線・編組片側圧着工程(ステップs22)では、図示省略するストリップ装置で第3電線4のフロント側Fの絶縁被覆を所定長さ分ストリップし、
図4(c)に示すように、接続端子41を装着する。また、
図4(d)に示すように、図示省略する編組線切断装置により所定長さに切断した第4編組線64に第3電線4を通線して、第3電線4を第4編組線64で被覆する。
【0062】
第3電線通線工程(ステップs23)では、図示省略する第3電線通線台で、
図4(e)の左図に示すように、接続端子41が接続された第3電線4のフロント側Fから第5コルゲートチューブ75に挿通する。また、
図4(e)の右図に示すように、第2グロメット92、第1コルゲートチューブ71及び第1グロメット91に通線するとともに、第4コルゲートチューブ74に挿通する。そして、第3電線4のフロント側Fの端部に接続端子41を装着する。
【0063】
このように、コルゲートチューブ7及びグロメット9が組み付けられた第3電線4は、図示省略するハンガーに1本ずつ装着される。なお、ハンガーでは、治具によってすべて同じ向きで装着される。
【0064】
第1電線準備工程(ステップs3)は、
図3に示すように第1電線切断・ストリップ工程を行う。
第1電線準備工程(ステップs3)では、
図4(f)に示すように、第1電線2を図示省略するキャスティング装置で所定長さに切断する。また、図示省略するストリップ装置で第1電線2のフロント側Fの絶縁被覆を所定長さ分ストリップする。また、第1電線2のフロント側Fに「+」か「-」を示すマーキング24を付し、リヤ側Rに「+」か「-」を示すテーピング25を付する。なお、テーピング25は、図示省略する治具によって、第1電線2のリヤ側Rの端部から所定の位置に付される。
【0065】
ハーネス組付け工程(ステップs4)は、
図5に示すように、第1電線通線・合体工程(ステップs41)、第1電線片側圧着工程(ステップs42)、第1電線組立工程(ステップs43)、編組加締め工程(ステップs44)、及び電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)を行う。
【0066】
第1電線通線・合体工程(ステップs41)では、
図6(a),(b)に示すように、第1編組線61のフロント側Fの端部と第1編組線61におけるリヤ側Rの端部近傍の貫通孔61aとを通るように第1編組線61に第1電線2を通線する。
【0067】
なお、第1編組線61への第1電線2の通線は、先端側尖った円筒状の通線治具(図示省略)の先端部を第1編組線61の所定箇所に挿入して貫通孔61aを形成し、通線治具を第1編組線61の内部に挿入して、第1編組線61のフロント側Fから抜き出すことで、通線治具の内部に配置した第1電線2を第1編組線61の内部に通線することができる。また、第1編組線61は、内部を通線する第1電線2に対してテーピングによって位置固定される。また、貫通孔61aよりリヤ側Rの部分は、電磁シールド複層管5の金属層に加締めて接続する加締め部61bとなる。
【0068】
また、
図6(c)に示すように、第2電線3は、第3編組線63で被覆されるとともに、第6コルゲートチューブ76を挿通され、先端部に第2コネクタ82が装着されている。なお、本実施形態では、上述のように予め組み付けられた第2電線3を用いているが、本製造方法において組み付けてもよい。
【0069】
このように予め組み付けられた第2電線3に、
図6(d)に示すように、第3グロメット93を装着する。具体的には、T字状の第3グロメット93における交差方向から挿入し、長手方向Lのリヤ側Rから引き出すように装着される。
【0070】
そして、第2電線3が装着された第3グロメット93に対して、
図6(e)に示すように、長手方向Lに貫通させるように、第1編組線61で被覆された第1電線2を挿通する。
さらに、
図6(f)に示すように、第3グロメット93よりフロント側Fに第2コルゲートチューブ72を装着するとともに、第3電線通線工程(ステップs23)で第3電線4を組み付けた第2グロメット92、第1コルゲートチューブ71及び第1グロメット91に第1電線2を通線して、第1電線2、第2電線3及び第3電線4を合体する。
【0071】
第1電線片側圧着工程(ステップs42)では、第1グロメット91を貫通する第1電線2のフロント側Fの端部に接続端子22を図示省略するプレス機で圧着接続する。このとき、第1電線準備工程(ステップs3)で第1電線2の一方の端部付近に設けたマーキング24に応じて、2本の第1電線2の他方に+型の接続端子22を装着し、リヤ側Rの第1電線2に-型の接続端子22を装着する。
【0072】
第1電線組立工程(ステップs43)では、
図7(a)に示すように、第1電線片側圧着工程(ステップs42)で第1電線2のフロント側Fの端部に装着した接続端子22を第1コネクタ81の内部に装着する。このとき、第1コネクタ81に対する接続端子22の組み付け方向や組付け位置等を検査治具で検査し、検査結果を記録する。なお、ここでの検査は、第2電線3に予め付されていた第1識別標記で個体識別して記録している。
【0073】
編組加締め工程(ステップs44)では、
図7(b)に示すように、第1編組線61のフロント側Fの端部をばらけさせて第1コネクタ81の外周囲に配置するとともに、図示省略する加締め機で加締めて、第1コネクタ81と第1編組線61とを電気的に接続する。さらに、第1コネクタ81に加締めた第1編組線61の端部をテープ固定するため、第1グロメット91を保護することができ、グロメットによる止水性が低下するリスクを低減できる。
【0074】
電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)では、
図7(c)に示すように、第1電線2及び第2電線3のリヤ側Rの端部に先端キャップ51を装着する。先端キャップ51にはリードワイヤ52を介して先導カプセル53が装着されている。先導カプセル53は、電磁シールド複層管5の内部空間より小径に形成されている。
【0075】
なお、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において、第1電線2及び第2電線3を通線させる電磁シールド複層管5は、ストッカから一本ずつ供給され、供給された電磁シールド複層管5の内部をエアーブローによって清掃される。
【0076】
また、リードワイヤ52は、電磁シールド複層管5の長さより長く形成されている。このように構成した先導カプセル53を電磁シールド複層管5のフロント側Fの開口から内部に挿入し、フロント側Fからリヤ側Rに向かって空気圧送する。つまり、圧縮空気により先導カプセル53を電磁シールド複層管5内部のフロント側Fからリヤ側Rへ空気輸送する。空気圧送によって電磁シールド複層管5のリヤ側Rから抜け出た先導カプセル53につながるリードワイヤ52をたぐり寄せることで、先端キャップ51が装着された第1電線2及び第2電線3を電磁シールド複層管5に通線することができる。このように、電磁シールド複層管5に通線した第1電線2及び第2電線3と、第3電線4とを通管ケーブル1aとする。
【0077】
そして、通管ケーブル1aにおける電磁シールド複層管5を通線した第2電線3を所定長さで切断するとともに(
図7(d)参照)、電磁シールド複層管5を通線した第1電線2及び第2電線3のリヤ側Rから第4グロメット94及び第3コルゲートチューブ73を挿通する(
図7(e)参照)。なお、
図6(f)に示す通管ケーブル1aにおいて、図示省略するが、今後の工程において、電磁シールド複層管5の両側に伸びるケーブル等を、電磁シールド複層管5の側に曲げ返して、電磁シールド複層管5に面ファスナで仮留めする。
なお、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)における電磁シールド複層管5を通線した後の第2電線3の再切断は必要に応じて行えばよく、行わなくてもよい。
【0078】
ハーネス加工工程(ステップs5)は、
図8に示すように、ハンドル取付け工程(ステップs51)、電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)、第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)、端子矯正工程(ステップs54)、第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)、熱収縮工程(ステップs56)、グロメット取付工程(ステップs57)、ASSY工程(ステップs58)、及び電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)を行う。
【0079】
ハンドル取付け工程(ステップs51)では、
図9に示すように通管ケーブル1aの電磁シールド複層管5における所定位置にハンドル10を取付ける工程である。
ハンドル10は、ハンドルパイプ11と、ハンドルパイプ11の両端に設けた取付部12とで構成されている。
【0080】
ハンドルパイプ11は、両端に設けた取付部12で電磁シールド複層管5を保持した状態で、電磁シールド複層管5が撓み変形しない長さで形成され、本実施形態では、ハンドルパイプ11は、電磁シールド複層管5の少なくとも1/2以上の長さ、ここでは3/4程度の長さで形成されている。
【0081】
取付部12は、ヒンジによって開閉可能に構成されており、
図9(a)に示すように、開状態の取付部12の上方から通管ケーブル1aの電磁シールド複層管5を装着し、取付部12を閉止固定することで通管ケーブル1aにハンドル10を取付けることができる。
【0082】
なお、ハンドル10は、これより後の工程において、通管ケーブル1aを所定位置に配置するため、電磁シールド複層管5の長手方向Lにおける所定位置に取付けられる。
また、電磁シールド複層管5の所定位置にハンドル10が取付けられた通管ケーブル1aをハンドル付ハーネス10aとする。
【0083】
電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)では、
図10(a)に示すように、通管ケーブル1aにおける第3グロメット93のリヤ側Rに露出する第1編組線61を電磁シールド複層管5の金属層のフロント側Fの端部に加締めて電気的に接続する工程である。
【0084】
詳述すると、
図11に示すように、編組加締め作業台100にハンドル付ハーネス10aを取付け、編組加締め作業台100で通管ケーブル1aにおける第3グロメット93のリヤ側Rに露出する第1編組線61を、図示省略する加締め機で電磁シールド複層管5の金属層のフロント側Fの端部に加締める。
【0085】
編組加締め作業台100は、
図11(a)に示すように、直方体状の本体フレームの上面に、ハンドル10の取付部12を固定する、一対構成された固定部110と、ストッパ120とが設けられてる。
【0086】
固定部110は、ストッパ120側のヒンジを中心として枢動可能に構成している。
このように構成された編組加締め作業台100は、固定部110がハンドル10の取付部12に対応する間隔で配置されている。
【0087】
このように構成された編組加締め作業台100に対してハンドル付ハーネス10aを取付けるためには、編組加締め作業台100の固定部110に対して、ハンドル付ハーネス10aにおけるハンドル10の取付部12を取付ける(
図11(b)参照)。
【0088】
そして、このように編組加締め作業台100に取付けられた通管ケーブル1aにおいて、電磁シールド複層管5の金属層に第1編組線61を加締め機で加締めるためには、電磁シールド複層管5の長手方向Lに交差する方向で加締め機で加締める。そのため、
図12に示すように、固定部110の角度を調整する。固定部110の角度を調整することで、固定部110に固定されたハンドル付ハーネス10aの角度も調整されるため、加締め機で容易に加締めることができる。
【0089】
第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)では、電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)で第1編組線61を電磁シールド複層管5に加締めて電気的に接続された通管ケーブル1aにおける第1電線2のリヤ側Rを、ストリップ機A(
図13参照)でストリップするとともに、図示省略するプレス機B(
図13参照)で接続端子21を圧着する。
【0090】
なお、端子矯正工程(ステップs54)では、ハーネス加工工程(ステップs5)3においてプレス機Bの圧着によって変形した接続端子21の座面を平面度矯正プレスC(
図13参照)で矯正する。
第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)では、第2電線3のリヤ側Rの絶縁被覆をストリップ機A(
図13参照)で所定長さ分ストリップするとともに、図示省略するプレス機B(
図13参照)で接続端子31を圧着する(
図10(b)参照)。
【0091】
熱収縮工程(ステップs56)では、
図10(c)に示すように、接続端子21,31が装着された第1電線2及び第2電線3のリヤ側Rの端部に熱収縮チューブ23,33を装着し、熱収縮機D(
図13参照)で加熱して、熱収縮チューブ23,33を収縮させる。
【0092】
上述したように、第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)乃至熱収縮工程(ステップs56)で用いるストリップ機A、プレス機B、平面度矯正プレスC及び熱収縮機Dは、
図13に示すように一列に並設されている。また、第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)乃至熱収縮工程(ステップs56)では、通管ケーブル1aにおけるリヤ側Rに処理を行う。
【0093】
そのため、第1電線相手側ストリップ・圧着工程(ステップs53)乃至熱収縮工程(ステップs56)では、ローラ搬送路200で通管ケーブル1aを搬送し、各処理装置A,B,C,Dで処理を施す。
【0094】
ローラ搬送路200は、ストリップ機A、プレス機B、平面度矯正プレスC及び熱収縮機Dの配置方向に沿って延びるとともに、一対構成されたローラレール210と、ローラレール210を所定高さに支持する支持フレーム220とで構成されている。
ローラレール210は、上方が開放された角型U字状の枠体211の内部に転動可能なローラ212が配置方向に沿って複数設けられたローラレール210がハンドル10の取付部12の間隔に応じて配置されている。
【0095】
このように構成されたローラ搬送路200のローラレール210にハンドル付ハーネス10aの取付部12を配置する。これにより、ハンドル付ハーネス10aは、転動するローラ212の上を移動することができる。
【0096】
なお、ローラ搬送路200に、ハンドル付ハーネス10aの幅方向の位置を規制する規制部を有してもよい。例えば、2つの取付部12の側面と規制部の側面とがそれぞれ接するように構成することで、ハンドル付ハーネス10aを搬送する際に、傾くことがなく、安定して製造できる。
【0097】
グロメット取付工程(ステップs57)では、上述したローラ搬送路200によって各処理装置A,B,C,Dの間を、ハンドル付ハーネス10aを移動させて各処理を施した通管ケーブル1aにおいて、第3グロメット93と電磁シールド複層管5とを取付ける(
図10(d)参照)。このとき、第3グロメット93を裏返しておき、電磁シールド複層管5のフロント側Fの端部を所定位置に配置し、第3グロメット93を戻すことで、第3グロメット93のリヤ側Rにおいて所定の嵌合量で第3グロメット93と電磁シールド複層管5とを取付けることができる。
【0098】
ASSY工程(ステップs58)では、
図10(e)に示すように、各グロメット9に対してグロメットバンド95をバンドガン(図示省略)で装着するとともに、第2電線3のリヤ側Rの端部にフェライト32を取付ける。また、通管ケーブル1aにおける適宜の位置にバンドクランプ96を取付ける。さらに、通管ケーブル1aに対して、通管ケーブル1aを識別するための第2識別標識を付するとともに、第2電線3に予め付与されていた第1識別標識と今回付した第2識別標識とを関連付けて記録する。これにより、シールドワイヤーハーネス1における所定位置に識別標識を正確に配置することができる。
【0099】
電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)では、図示省略するベンダー装置で、第1電線2、第2電線3及び第3電線4を合体するとともに、コルゲートチューブ7、コネクタ8、グロメット9が組み付けられ、電磁シールド複層管5に挿通された通管ケーブル1aに、
図14(b)に示す所定の三次元形状となる曲げ加工を施す。
ベンダー装置は、通管ケーブル1aにおける電磁シールド複層管5の離間する一対の把持箇所の2点をチャックで把持しながら曲げ加工を行う装置である。
【0100】
このようなベンダー装置に対して、搬送装置300で通管ケーブル1aを正確な位置に搬送する。
搬送装置300は、搬送装置300の一部平面図である
図15に示すように、仮受け部301、第1搬送部310及び第2搬送部320を備えている。
【0101】
なお、仮受け部301、第1搬送部310及び第2搬送部320のそれぞれは一対構成され、通管ケーブル1aの長手方向Lに所定間隔を隔てて配置されている。
また、上述したように、搬送装置300に対して、
図15における上側にベンダー装置(図示省略)が配置され、第1搬送部310及び第2搬送部320において、
図15における上側に向かって(以下において搬送方向Hという)、通管ケーブル1aを搬送する。
【0102】
仮受け部301は、ハンドル付ハーネス10aにおける通管ケーブル1aを仮受けするものであり、ハンドル付ハーネス10aにおける取付部12の外側同士の間隔に合わせた間隔で配置されている。
第1搬送部310は、仮受け部301より通管ケーブル1aの長手方向Lの外側に配置され、搬送方向Hに延びる搬送レール311と、搬送レール311に沿って移動可能な移動グリップ312とで構成している。
【0103】
第2搬送部320は、仮受け部301より通管ケーブル1aの長手方向Lの内側に配置され、搬送方向Hに延びる搬送レール321と、搬送レール321に沿って移動可能な移動グリップ322とで構成している。なお、第2搬送部320は、仮受け部301より搬送方向Hの下流側に配置されている。
【0104】
このように構成された搬送装置300における仮受け部301にハンドル付ハーネス10aの電磁シールド複層管5を配置する。このとき、ハンドル付ハーネス10aの取付部12は、仮受け部301同士によって長手方向Lの位置が規制されることとなる。そして、一対の仮受け部301で電磁シールド複層管5を支持した状態で、ハンドル10を取り外すとともに、第1搬送部310の移動グリップ312で電磁シールド複層管5を把持し、搬送レール311に沿って電磁シールド複層管5を把持する移動グリップ312を搬送方向Hに移動させる(
図15(c)参照)。
【0105】
図15(d)に示すように、移動グリップ312が第2搬送部320の移動グリップ322の位置まで移動すると、第2搬送部320の移動グリップ322が通管ケーブル1aの電磁シールド複層管5を把持し、移動グリップ312は電磁シールド複層管5の把持を解放する。そして、移動グリップ322を搬送レール321に沿って搬送方向Hに移動させることで、通管ケーブル1aをベンダー装置に向かって正確且つ効率よく搬送することができる。
なお、このとき、
図15(d)に示すように、仮受け部301に次のハンドル付ハーネス10aをセットしておくことで、ロスなくベンダー装置で曲げ加工することができる。
【0106】
仕上げ工程(ステップs6)は、
図16に示すように、仕上げ加工・耐電圧検査工程(ステップs61)、寸法・導通・外観検査工程(ステップs62)、保証検査工程(ステップs63)、及び梱包工程(ステップs64)を行う。
【0107】
仕上げ加工・耐電圧検査工程(ステップs61)では、
図17(b)に示すように、通管ケーブル1aにおける第6コルゲートチューブ76にプロテクタ97を装着して所望の形状に規制するとともに、曲げ加工を施した電磁シールド複層管5にパイプクランプ98を装着してシールドワイヤーハーネス1を形成する。また、画像検査によって第2識別標識を検査するとともに、シールドワイヤーハーネス1に対して耐電圧検査を施す。なお、画像検査で検査した第2識別標識で耐電圧検査結果を記録する。
【0108】
寸法・導通・外観検査工程(ステップs62)では、
図17(c)に示す3D検具400でシールドワイヤーハーネス1の外観検査を行う。
3D検具400はシールドワイヤーハーネス1の形状に応じた装着溝401が設けられており、装着溝401にシールドワイヤーハーネス1を嵌着することで、形成されたシールドワイヤーハーネス1の経路誤差を検査することができる。
【0109】
寸法・導通・外観検査工程(ステップs62)では、その他、シールドワイヤーハーネス1の導通検査、目視による外観検査等を行う。なお、外観検査は画像検査であってもよい。
保証検査工程(ステップs63)では、200%検査ともいわれ、寸法・導通・外観検査工程(ステップs62)での検査漏れの検査を行う保証検査であり、IRCSを用いて、検査結果を記録しながら検査する工程である。
【0110】
梱包工程(ステップs64)では、
図17(d)に示すように、シールドワイヤーハーネス1のフロント側Fの第1コネクタ81と、第2コネクタ82とを包装袋99で覆い、リヤ側Rにおいて第3コルゲートチューブ73から露出する第1電線2及び第2電線3を包装袋99で覆う。その上で、図示省略する梱包箱にシールドワイヤーハーネス1を収容する。なお、仕向けによっては、梱包箱に収容せずとも、台車に向きをそろえて搭載して台車に搭載した状態を出荷状態としてもよい。
【0111】
上述のようにシールドワイヤーハーネス1の製造方法は、第1電線2を編組線6に挿通し、第1電線2における所定箇所を編組線6で被覆するとともに、コルゲートチューブ7に挿通させる第1電線通線・合体工程(ステップs41)と、第1電線2を電磁シールド複層管5に挿通する電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)と、電磁シールド複層管5における長手方向Lに離間する2点を把持する取付部12を有するハンドル10を、長手方向Lの所定位置に装着するハンドル取付け工程(ステップs51)と、第1電線2が電磁シールド複層管5に挿通された通管ケーブル1aを加工してシールドワイヤーハーネス1を形成するハーネス加工工程(ステップs5)とを行い、ハーネス加工工程(ステップs5)において、通管ケーブル1aの電磁シールド複層管5における所定位置に装着したハンドル10の位置を規制して加工を行うため、シールドワイヤーハーネス1を効率よく製造することができる。
【0112】
詳述すると、電磁シールド複層管5の長手方向Lの所定位置にハンドル10が装着された状態でハーネス加工工程(ステップs5)を行うことができる。そのため、電磁シールド複層管5を直接持って移動する場合に比べて、長物である通管ケーブル1aを容易に取り回しでき、作業性を向上することができる。
【0113】
また、ハンドル10を電磁シールド複層管5の長手方向Lの所定位置に装着しているため、ハンドル10の位置を規制して加工することで、電磁シールド複層管5を容易に所定位置に規制できる。そのため、電磁シールド複層管5の位置を調整しながらセットする場合や、電磁シールド複層管5の位置を調整することなく加工する場合に比べて、作業性をより向上することができる。
【0114】
また、ハンドル10の取付部12で電磁シールド複層管5の所定位置における長手方向Lに離間する2点を把持するため、人手で電磁シールド複層管5の任意箇所を直接持って移動する場合のように、電磁シールド複層管5が撓んで変形するなどの不具合の発生を防止し、高精度なシールドワイヤーハーネス1を効率よく製造することができる。
【0115】
また、角度調整に可能に構成された固定部110で、セットされた通管ケーブル1aの向きを調整し、編組線6と金属層との電気的接続を行うため、編組線6と金属層との電気的接続作業に応じた向きに調整でき、電気的接続作業を効率よく行うことができる。
【0116】
また、ハーネス加工工程(ステップs5)において、通管ケーブル1aの離間する2点の把持箇所をパイプベンダのチャックで把持しながら曲げ加工を行う電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)を行い、電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)において、通管ケーブル1aを、ハンドル10によって位置決めした搬送装置300でパイプベンダに対して搬送する。そのため、ハンドル10が電磁シールド複層管5の所定位置に固定されているため、ハンドル10を搬送装置300にセットするだけで、パイプベンダに対して所定位置に通管ケーブル1aを搬送することができ、通管ケーブル1aの位置調整を行うことなく、パイプベンダで正確に曲げ加工することができる。
【0117】
また、ハーネス加工工程(ステップs5)において、通管ケーブル1aの編組線6と金属層とを電気的に接続する電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)から電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)の間に、通管ケーブル1aにおける第1電線2のフロント側Fの端部に接続端子21を圧着する第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)、通管ケーブル1aの所定箇所にグロメットを取り付けるグロメット取付工程(ステップs57)、及び通管ケーブル1aの所定箇所に第2識別標識を付するASSY工程(ステップs58)を行う。また、通管ケーブル1aをハンドル10によって処理装置A,B,C,D間を移動させる。なお、ハンドル10を電磁シールド複層管5の長手方向Lの所定位置に装着しており、電磁シールド複層管5が撓んで変形するなどの不具合の発生を防止しながら、各作業において通管ケーブル1aの電磁シールド複層管5や第1電線2を所定の位置に配置でき、さらに作業性を向上することができる。
【0118】
また、処理装置A,B,C,Dの配置に沿って設けられたローラ搬送路200上を、通管ケーブル1aに固定されたハンドル10によって移動するため、人手によって運搬することなく、処理装置A,B,C,Dに対して所定位置となるように通管ケーブル1aを、ローラ搬送路200上を容易に移動させ、作業性をさらに向上することができる。
【0119】
また、ローラ搬送路200によってハンドル10の位置が規制されるため、ローラ搬送路200上をハンドル10によって移動する通管ケーブル1aの搬送される向きやおおよそ位置を規制することができる。
【0120】
また、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において、第1電線2の先端に接続したリードワイヤ52を介して先導カプセル53を装着するとともに、先導カプセル53を電磁シールド複層管5の内部を空気圧送する。空気圧送された先導カプセル53に接続されたリードワイヤ52をたぐり寄せて、電磁シールド複層管5に第1電線2を挿通させることで、可撓性を有する第1電線2を、電磁シールド複層管5の内部を容易に挿通させることができる。
【0121】
また、シールドワイヤーハーネス1は、第1電線2、第2電線3及び第3電線4とを組み付けて構成され、編組線6を所定長さで切断する編組線準備工程(ステップs1)、第3電線4を準備する第3電線準備工程(ステップs2)、第1電線準備工程(ステップs3)、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)を行うとともに、第1電線2、第2電線3及び第2電線3とを組み付けて合体するハーネス組付け工程(ステップs4)、ハーネス加工工程(ステップs5)、及び仕上げ加工を施す仕上げ工程(ステップs6)をこの順で行うため、各ケーブルの端末処理を行ってから電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)を施すことができる。
【0122】
また、ハーネス加工工程(ステップs5)における電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)の前に、すべての端末処理加工が完了しているため、すべての端末処理加工が終わった状態で電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)を行うため、長物のシールドワイヤーハーネス1であっても、製造工程と検査工程における人員配置の最適化などの効率化を図ることができる。
【0123】
ここで、電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)の前に、すべての端末処理加工が完了していると、端末部の長さが所定長より短くなる事象が懸念されるとの知見がある(例えば、特開2006-310067参照)。本実施形態では、電磁シールド複層管5の内面に樹脂製の内層体があること、また、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)において、通線前に電磁シールド複層管5の内部が清掃されていることにより、電線と電磁シールド複層管5の内面との間の摩擦力が小さい状態となる。すなわち、電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)において、電線が電磁シールド複層管5の内面に引っ張られることがなく、電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)の前に、すべての端末処理加工が完了していても、前述の懸念は生じない。なお、電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)の前に完了させるすべての端末処理加工において通管ケーブル1aにハンドル10を装着せずに処理加工を行ってもよい。
【0124】
また、ASSY工程(ステップs58)で第2識別標識を付与するとともに、それまでに使用していた第2電線3に予め付与されていた第1識別標識と第2識別標識とを関連付けて記憶し、これ以降は第2識別標識で検査することで、シールドワイヤーハーネス1において第2識別標識を所定位置に配置できるとともに、別途第1識別標識を設ける場合に比べて工程短縮することができる。
【0125】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本実施形態の電線ケーブルは第1電線2に対応し、
以下同様に、
電磁シールド複層管は電磁シールド複層管5に対応し、
編組線は編組線6に対応し、
コルゲートはコルゲートチューブ7に対応し、
シールドワイヤーハーネスはシールドワイヤーハーネス1に対応し、
ケーブル準備工程は第1電線通線・合体工程(ステップs41)に対応し、
保持部は取付部12に対応し、
ハンドルはハンドル10に対応し、
通線工程は電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)に対応し、
ハンドル装着工程はハンドル取付け工程(ステップs51)に対応し、
通管ケーブルは通管ケーブル1aに対応し、
加工工程はハーネス加工工程(ステップs5)に対応し、
編組加締め工程は電磁シールド複層管編組加締め工程(ステップs52)に対応し、
編組加締め作業台は編組加締め作業台100に対応し、
ハンドル固定部は固定部110に対応し、
曲げ加工工程は電磁シールド複層管曲げ工程(ステップs59)に対応し、
搬送装置は搬送装置300に対応し、
端子は接続端子21に対応し、
圧着工程は第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)に対応し、
グロメット取付け工程はグロメット取付工程(ステップs57)に対応し、
標識は第2識別標識に対応し、
標識取付け工程はASSY工程(ステップs58)に対応し、
各作業箇所は処理装置A,B,C,Dに対応し、
ローラ搬送路はローラ搬送路200に対応し、
リードワイヤはリードワイヤ52に対応し、
先導カプセルは先導カプセル53に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0126】
例えば、上述の説明では、シールドワイヤーハーネス1は、第1電線2、第2電線3及び第3電線4を合体させて構成したが、第2電線3及び第3電線4の一方を第1電線2と合体させてシールドワイヤーハーネス1を構成してもよいし、第2電線3及び第3電線4とは異なるケーブルを第1電線2と合体させてシールドワイヤーハーネス1を構成してもよい。また、電磁シールド複層管5の金属層としてアルミニウムを用いたが銅であってもよいし、金属メッシュ板で形成された金属層を用いてもよい。
【0127】
また、電磁シールド複層管5は、アルミ管や銅管などであってもよい。この場合、アルミ管や銅管の外周には、絶縁被膜があることが好ましい。さらに、目的に応じて、絶縁被膜にはオレンジ色などの着色が施されていてもよい。
【0128】
上述の第1電線2における長手方向Lの一部が、筒状の金属層を有する電磁シールド複層管5に挿通されたが、複数箇所が電磁シールド複層管5に挿通されてもよい。
上述のハンドル取付け工程(ステップs51)では、第1電線通線・合体工程(ステップs41)とハーネス加工工程(ステップs5)との間であれば、電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程(ステップs45)より後の工程で行ってもよい。
【0129】
上述の説明では、第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程(ステップs55)、グロメット取付工程(ステップs57)、及びASSY工程(ステップs58)のすべての工程を行ったが、これらの工程のうちいずれかひとつや複数を行ってもよいし、さらには、別の工程を行ってもよい。また、複数の工程を行う場合は、その施工順序はいずれの順序であってもよい。
【0130】
また、電磁シールド複層管5の内部を先導カプセル53で空気圧送したが、粉状あるいは粒状体などの流体を媒体として、先導カプセル53を圧送してもよい。
また、上述の説明では、通管ケーブル1aにおける電磁シールド複層管5の所定間隔を隔てた2箇所をハンドル10の取付部12で保持したが、通管ケーブル1aや電磁シールド複層管5の長さによっては、取付部12により3か所以上で保持するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0131】
1…シールドワイヤーハーネス
1a…通管ケーブル
2…第1電線
5…電磁シールド複層管
6…編組線
7…コルゲートチューブ
10…ハンドル
12…取付部
21…接続端子
52…リードワイヤ
53…先導カプセル
100…編組加締め作業台
110…固定部
200…ローラ搬送路
300…搬送装置
A,B,C,D…処理装置
ステップs5…ハーネス加工工程
ステップs41…第1電線通線・合体工程
ステップs45…電磁シールド複層管通線・第2電線再切断工程
ステップs51…ハンドル取付け工程
ステップs52…電磁シールド複層管編組加締め工程
ステップs55…第2電線ストリップ・端子圧着・端子挿入工程
ステップs57…グロメット取付工程
ステップs58…ASSY工程
ステップs59…電磁シールド複層管曲げ工程