(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20231130BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20231130BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20231130BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G16H20/00
A61F13/42 F
A61B5/00 102A
A61F5/44 S
(21)【出願番号】P 2020082780
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2022-07-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 温樹
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-143199(JP,A)
【文献】特開2017-027512(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055987(WO,A1)
【文献】特開2015-128478(JP,A)
【文献】特開2019-115764(JP,A)
【文献】特開2011-130924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A61F 13/42
A61B 5/00
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサから得られる利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する取得部と、
前記排便情報と前記排尿情報との組合せの候補ごとに提供すべきサービスが定められた条件情報と、前記取得部により取得された排便情報
が示す排便の有無と排尿情報
が示す排尿の有無との組合せとに基づいて、前記サービスの中から当該組合せに応じたサービスを判定し、判定結果が示すサービスを提供するサービス提供部と
を有
し、
前記条件情報は、前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排尿の有無に拘わらず排便されたことを示す場合、及び前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排便されていない一方で排尿されたことを示し今回の排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達していることを示す場合である
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、
今回の排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達したか否かの推定結果として、前記排尿情報が示す排尿量
が、前記利用者が着用する吸収性物品の吸収可能量を超えたか否かに基づき推定された推定結果を取得する
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記条件情報は、前記排便情報と前記排尿情報との組合せが、排便された次に排尿されたことを
示す場合である
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴を取得し、
前記排便情報が排便されていないことを示す場合には、前記排泄履歴に基づいて、前記利用者の排泄状況として、前記利用者が所定期間以上排便していない状況であるか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記サービス提供部は、前記利用者が所定期間以上排便していないと判定された場合には、前記利用者が所定期間以上排便していない状況に応じたアラートを出力させる
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記利用者の食事履歴を取得し、
前記判定部は、前記排泄履歴と、前記食事履歴が示す飲食物の摂取量とに基づいて、前記利用者の排尿状態として過剰な排尿状態、あるいは、前記利用者の排尿状態として過少な排尿状態を判定し、
前記サービス提供部は、前記排尿状態と判定された場合には、前記利用者が前記排尿状態であることを示すアラートを出力させる
ことを特徴とする請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴を取得し、
前記排泄履歴に基づき前記利用者が排泄する排泄タイミングを予測する処理、前記排泄履歴に基づき前記利用者が着用する吸収性物品を交換する交換タイミングを決定する処理、前記排泄履歴に基づき前記利用者に下剤を投与する投薬タイミングを決定する処理、または、前記排泄履歴に基づき前記利用者に適した食事内容、下剤もしくは吸収性物品を決定する処理を行う情報制御部をさらに有し、
前記サービス提供部は、前記情報制御部により
前記処理が行われた結果として得られた情報を提供する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記利用者の摂取履歴として、前記利用者の食事履歴または前記利用者の投薬履歴を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴が示す排泄状況と、前記摂取履歴が示す摂取状況との間で学習された関係性と、前記利用者の摂取状況を示す入力情報とに基づいて、前記利用者が排泄する排泄タイミングを予測し、
前記サービス提供部は、予測された前記排泄タイミングの情報を提供する
ことを特徴とする請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報制御部は、前記排泄履歴に基づいて、前記利用者の平均尿量を算出し、算出した平均尿量に応じたスペックの吸収性物品を選択し、
前記サービス提供部は、選択された前記吸収性物品を、前記利用者に使用することが推奨される推奨製品として提供する
ことを特徴とする請求項
6または
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記利用者の身体履歴として、前記利用者の姿勢状況を示す姿勢情報の履歴である姿勢履歴、または、前記利用者の体動状況を示す体動情報の履歴である体動履歴を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴が示す排泄状況と、前記身体履歴が示す身体状況との関係性に基づいて、前記利用者が排泄する際の身体状況の傾向を算出し、前記利用者について検出された姿勢状況または体動状況が、前記傾向が示す状況となったタイミングを、前記利用者が着用する吸収性物品を交換する交換タイミングとして決定し、
前記サービス提供部は、決定された前記交換タイミングの情報を提供する
ことを特徴とする請求項
6~
8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記利用者の肌状態の変化を示す肌情報を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴が示す排泄状況と、前記肌情報が示す肌状況との関係性に基づいて、前記利用者が肌荒れを起こしやすい排泄量を特定し、特定した排泄量で前記利用者が排泄したタイミングを、前記利用者が着用する吸収性物品を交換する交換タイミングとして決定し、
前記サービス提供部は、決定された前記交換タイミングを提供する
ことを特徴とする請求項
6~
9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、
前記利用者が着用する吸収性物品の吸収可能量を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴に基づき算出された前記利用者の平均尿量と、前記
吸収可能量とに基づいて、前記吸収性物品が残り何回分の排泄に対応可能か推定し、推定結果に基づいて、前記吸収性物品を交換する交換タイミングを決定し、
前記サービス提供部は、前記吸収性物品が対応可能な残りの排泄回数と、前記排泄回数に達する時期であって前記排泄履歴に基づき推定された時期を、前記吸収性物品を交換する交換タイミングとして提供する
ことを特徴とする請求項
6~
10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記利用者の食事履歴を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴と食事履歴との関係性に基づいて、前記利用者の自力排泄を促す効果のある食事内容を推定し、
前記サービス提供部は、推定された前記食事内容を、前記利用者の排泄に適切な食事内容として提供する
ことを特徴とする請求項
6~
11のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記取得部は、前記利用者に対する下剤の投薬履歴を取得し、
前記情報制御部は、前記排泄履歴が示す排泄状況と、前記投薬履歴が示す投薬状況との関係性に基づいて、前記利用者が軟便になりやすいタイミングを特定し、特定したタイミングに基づいて、前記利用者に下剤を投与するタイミングを決定し、
前記サービス提供部は、決定された前記下剤を投与するタイミングを提供する
ことを特徴とする請求項
6~
12のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記取得部は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴を取得し、
前記排泄履歴と、前記利用者に対応する所定のセンサにより前記利用者が睡眠中に検出されたセンサ情報とに基づいて、睡眠中の排泄行為が睡眠に与える影響に応じた指標値であって、前記利用者の睡眠の深さを指し示す指標値を算出し、算出した指標値に基づいて、前記利用者をトイレへと誘導する誘導タイミングを決定する決定部をさらに有し、
前記サービス提供部は、決定された前記誘導タイミングを提供する
ことを特徴とする請求項1~
13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記取得部は、前記センサ情報として、前記利用者の姿勢を示す姿勢情報、または、前記利用者の体動を示す体動情報を取得し、
前記決定部は、前記姿勢情報が示す姿勢状況、または、前記体動情報が示す体動状況と、前記排泄履歴によって示される睡眠中の排泄状況との関係性に基づいて、前記指標値を算出する
ことを特徴とする請求項
14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記取得部は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴と、前記利用者の運動量履歴とを取得し、
前記排泄履歴が示す排泄状況の変化と、前記運動量履歴が示す運動量の変化との関係性に基づいて、前記利用者の健康状態を評価する評価部をさらに有し、
前記サービス提供部は、前記利用者の健康状態が評価された評価結果を提供する
ことを特徴とする請求項
15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記評価部は、前記関係性に基づいて、前記利用者の排泄状況の改善度合いを指し示すスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、前記利用者の健康状態を評価する
ことを特徴とする請求項
16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記サービス提供部は、前記利用者の健康状態が評価された評価結果を、前記利用者へのケアを依頼している依頼者に提供する
ことを特徴とする請求項
16または
17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
センサから得られる利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する取得工程と、
前記排便情報と前記排尿情報との組合せの候補ごとに提供すべきサービスが定められた条件情報と、前記取得工程により取得された排便情報
が示す排便の有無と排尿情報
が示す排尿の有無との組合せとに基づいて、前記サービスの中から当該組合せに応じたサービスを判定し、判定結果が示すサービスを提供するサービス提供工程と
を含
み、
前記条件情報は、前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排尿の有無に拘わらず排便されたことを示す場合、及び前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排便されていない一方で排尿されたことを示し今回の排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達していることを示す場合である
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
センサから得られる利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する取得手順と、
前記排便情報と前記排尿情報との組合せの候補ごとに提供すべきサービスが定められた条件情報と、前記取得手順により取得された排便情報
が示す排便の有無と排尿情報
が示す排尿の有無との組合せとに基づいて、前記サービスの中から当該組合せに応じたサービスを判定し、判定結果が示すサービスを提供するサービス提供手順と
をコンピュータに実行させ
、
前記条件情報は、前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排尿の有無に拘わらず排便されたことを示す場合、及び前記排便情報と前記排尿情報との組合せが排便されていない一方で排尿されたことを示し今回の排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達していることを示す場合である
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品に関する各種の情報を利用者に提供する技術が知られている。このような技術の一例として、吸収性物品に取付けられたセンサの測定結果に基づいて、尿漏れが発生した際の姿勢から、吸収性物品の当て方を提案する技術が知られている。また、吸収性物品の尿吸収量に基づいて、適切な吸収性物品や交換タイミングを提案する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-202154号公報
【文献】特開2018-206381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、介助者の負担を削減できるよう効果的に支援することができるとは限らない。
【0005】
例えば、吸収性物品は、複数回の排尿に耐えるだけの吸収能を有しているにも拘わらず、上述した従来技術では、排尿される度に介護者に向けてアラートが出力されてしまう可能性があるため、このことは介護者にとって煩わしい場合がある。
【0006】
また、上述した従来技術では、排尿に比べて迅速な交換が求められる排便には対応しきれていないため、排便されても介護者に向けてアラートが出力されない。このような場合、排便されたことに介護者が気付かないことが多く、結果的に、吸収性物品からの便漏れや便漏れに伴う後始末の作業が発生してしまい介護者の負担が増えてしまうことが考えられる。
【0007】
このようなことから、上述した従来技術では、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができるとは限らない。
【0008】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る情報処理装置は、利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する取得部と、前記排便情報と前記排尿情報との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを提供するサービス提供部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る吸収性パッドの構造、および、吸収性パッドを利用した推定メカニズムの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る利用者情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るセンシング情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る施設情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る条件テーブル記憶部124の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、排泄行為が行われたか否かを推定する推定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する取得部と、前記排便情報と前記排尿情報との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを提供するサービス提供部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【0014】
このような情報処理装置によれば、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができると考えられる。また、介護者の負担が削減されることは、より働きやすい環境づくりにつながり、これにより過酷な労働環境が改善されれば、介護者の業務へのモチベーションが高まることになる。したがって、このような情報処理装置によれば、介護者の業務へのモチベーションが高まることで、要介護者が質の高い介護を受けられるようになる。すなわち、このような情報処理装置によれば、介護者および要介護者の双方にとってメリットを生み出せることができる。
【0015】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報に基づき、前記利用者による排尿の有無に拘わらず、前記利用者が排便したと推定される場合には、前記利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0016】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報に基づき、利用者による排尿の有無に拘わらず、利用者が排便したと推定される場合には、利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させるため、排便されたことを即座に介護者に通知することができ、この結果、排便漏れや排便漏れに伴う後始末作業を未然に防止することができるようになる。
【0017】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報に基づき、前記利用者が排便していない状態で排尿したと推定される場合には、排尿により前記利用者が着用する吸収性物品の状態が所定の状態になったか否かに基づいて、前記吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0018】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報に基づき、利用者が排便していない状態で排尿したと推定される場合には、排尿により利用者が着用する吸収性物品の状態が所定の状態になったか否かに基づいて、吸収性物品の交換を促すアラートを出力させるため、介護者が不要な介護業務を行わなければならない状況を削減することができる。
【0019】
また、情報処理装置は、排尿により前記吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達したと推定される場合には、前記利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0020】
このような情報処理装置によれば、排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達したと推定される場合には、利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させるため、本当に交換が必要な場合にのみ介護者に吸収性物品の交換を通知することができ、この結果、介護者が不要な介護業務を行わなければならない状況を効果的に削減することができるようになる。
【0021】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報に基づき、便の次に尿が排出されたと推定される場合には、前記利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0022】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報に基づき、便の次に尿が排出されたと推定される場合には、利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。例えば、このような情報処理装置によれば、便が排泄された後に尿が排泄されることによる漏れリスクの高い状況を伝達できるため、排便漏れや排便漏れに伴う後始末作業を未然に防止することができるようになる。
【0023】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴に基づく所定のサービスをさらに提供する。
【0024】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づく所定のサービスをさらに提供するため、介護者が適切なケアを行えるようサポートすることができる。
【0025】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴に基づき、前記利用者の排泄状況が所定の状況であると判定された場合には、当該利用者の排泄状況が当該所定の状況にあることを示すアラートを出力させる。
【0026】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴に基づき、利用者の排泄状況が所定の状況であると判定された場合には、当該利用者の排泄状況が当該所定の状況にあることを示すアラートを出力させるため、介護者に対して利用者の健康状態への気付きを与えることができるため、利用者のQOLを向上させることができるようになる。
【0027】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴に基づき予測されたタイミングであって、前記利用者が排泄する排泄タイミングに関する情報を出力させる。
【0028】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴に基づき予測されたタイミングであって、利用者が排泄する排泄タイミングに関する情報を出力させるため、介護者は利用者が排泄しそうな時間帯を考慮したスケジュールで介護業務を行うことができるようになるため、利用者が排泄した場合に迅速かつ効率的に吸収性物品の交換を行えるようになる。
【0029】
また、情報処理装置は、吸収性物品のうち、前記排泄履歴によって示される排泄量の状況に応じたスペックの吸収性物品を、前記利用者に使用することが推奨される推奨製品として提案する。
【0030】
このような情報処理装置によれば、吸収性物品のうち、排泄履歴によって示される排泄量の状況に応じたスペックの吸収性物品を、利用者に使用することが推奨される推奨製品として提案するため、介護者は利用者に使用すべき最適な吸収性物品を容易に把握出来るようになる。
【0031】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴によって示される排泄量の状況に基づき決定された交換時期であって、どれだけの回数排泄された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排泄回数に応じた交換時期を提案する。
【0032】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴によって示される排泄量の状況に基づき決定された交換時期であって、どれだけの回数排泄された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排泄回数に応じた交換時期を提案するため、吸収性物品の吸収可能量がおよそ吸収限界に達した時点での交換を実現することができ、この結果、介護者の不要な作業を削減したり吸収性物品が無駄遣いされることを防止することができるようになる。
【0033】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴と、前記利用者に関する利用者情報とに基づく所定のサービスをさらに提供する。
【0034】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に関する利用者情報とに基づく所定のサービスをさらに提供するため、介護者が適切なケアを行えるようサポートすることができる。
【0035】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴と、前記利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報とに基づく所定のサービスを提供する。
【0036】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴と、利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報とに基づく所定のサービスを提供するため、排泄と食事の観点から利用者個々により適した情報提供を実現することができる。
【0037】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴によって示される排泄状況と、前記飲食情報によって示される飲食状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行う。
【0038】
このような情報処理装置によれば、前記排泄履歴によって示される排泄状況と、前記飲食情報によって示される飲食状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行うため、利用者ごとに、当該利用者の排泄に関する高精度なタイミング制御や食事に関する制御を行うことができるようになり、この結果、質の高い介護業務を実現することができるようになる。
【0039】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴と、前記利用者への投薬に関する投薬情報とに基づく所定のサービスを提供する。
【0040】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴と、利用者への投薬に関する投薬情報とに基づく所定のサービスを提供するため、排泄と投薬の観点から利用者個々により適した情報提供を実現することができる。
【0041】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴によって示される排泄状況と、前記投薬情報によって示される投薬状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行う。
【0042】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴によって示される排泄状況と、投薬情報によって示される投薬状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行うため、利用者ごとに、当該利用者の排泄に関する高精度なタイミングの制御やや下剤に関する制御を行うことができるようになり、この結果、質の高い介護業務を実現することができるようになる。
【0043】
また、情報処理装置は、前記排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴と、前記利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報とに基づく所定のサービスをさらに提供する。
【0044】
このような情報処理装置によれば、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報とに基づく所定のサービスをさらに提供するため、介護者が適切なケアを行えるようサポートすることができる。
【0045】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴と、前記センサ情報として前記利用者の運動量を示す運動情報とに基づいて、前記利用者の状態を評価する評価部をさらに有する。
【0046】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴と、利用者の運動量を示す運動情報とに基づいて、利用者の状態を評価するため、利用者に必要な運動量や、利用者の現在の健康状態を介護者に対して容易に認識させることができる。
【0047】
また、情報処理装置は、前記運動情報が示す運動量の変化に応じて前記利用者の排泄状況がどれだけ改善したかを指標するスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、前記利用者への運動の必要性または前記利用者の健康状態を評価する。
【0048】
このような情報処理装置によれば、運動情報が示す運動量の変化に応じて利用者の排泄状況がどれだけ改善したかを指標するスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、利用者への運動の必要性または利用者の健康状態を評価するため、利用者の健康状態を改善するにはどのような対策が必要であるかを、介護者に対して的確に検討させることができる。
【0049】
また、情報処理装置は、前記評価部による評価結果を、前記利用者へのケアを依頼している依頼者に提供する。
【0050】
このような情報処理装置によれば、評価結果を、利用者へのケアを依頼している依頼者に提供するため、施設でのケアにより利用者の健康状態がどのように変化してきているのか(例えば、悪化してきているのか、改善してきているのか)を依頼者に把握させることができ、この結果、依頼者に対して施設への預け方について効果的に検討させることができる。
【0051】
また、情報処理装置は、前記排泄履歴と、前記センサ情報として前記利用者の姿勢を示す姿勢情報から推定された前記利用者の睡眠状況とに基づき決定されたタイミングであって、前記利用者をトイレへと誘導するタイミングを出力させる。
【0052】
このような情報処理装置によれば、排泄履歴と、利用者の姿勢を示す姿勢情報から推定された利用者の睡眠状況とに基づき決定されたタイミングであって、利用者をトイレへと誘導するタイミングを出力させるため、利用者の排泄サイクルをより良い眠りにつながるような排泄サイクルへと改善させることができるようになる。
【0053】
以下に、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
〔1.実施形態に係る情報処理の概要〕
介護施設を例に挙げると、入所している要介護者(被介護者)は、高齢であり、身体に何らかの不自由を抱えているため、大人用おむつ(吸収性物品の一例)を着用していることが多い。このため、大人用おむつに排泄された場合に効率的に交換できるよう、大人用おむつへの排尿を検知すると、排尿検知した旨をアラートなどにより介護者に通知するといった技術が存在する。このような従来技術によれば、大人用おむつは複数回の排尿に耐えるだけの吸収能を有しているにも拘わらず、排尿される度に介護者に向けてアラートが出力されてしまう可能性があるため、業務に追われる介護者にとって煩わしい場合がある。また、アラートに応じて吸収性物品を外して確認した結果、残り複数回の排尿には耐えうると判断できた場合、この一連の作業は効率的な作業の妨げとなってしまい介護者への負担となる。
【0055】
一方で、大人用おむつ内に便が長時間放置された場合、排便漏れ、排便漏れによる他の物品(衣類や寝具)への汚染、肌かぶれ、後始末による介護者への負担、とった様々な問題が引き起こされるため、排便された場合には、大人用おむつの迅速な交換が求められる。しかしながら、上述した従来技術では、このように排尿に比べて迅速な交換が求められる排便には対応しきれていないため、排便されても介護者に向けてアラートが出力されない。そうすると、排便が見逃されてしまい、結果的に、上記のような様々な問題が発生してしまい介護者への負担につながる恐れがある。
【0056】
上記の前提(問題点)を踏まえて、排便と排尿との双方の状況から判断される最適なサービスを提供することで介護者の負担を削減できると考えられる。よって、本実施形態では、デジタル技術を活用することでこのようなサービス提供を実現することで、介護現場(例えば、介護施設や、在宅介護が行われている居住空間)で働く介護者(例えば、介護士、ナース、要介護者の身内など)を支援するという着想の元になされるものである。
【0057】
具体的には、本実施形態に係る情報処理は、利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得し、排便と排尿との組合せに基づく最適なサービスを介護者に提供するというものである。より詳細には、実施形態に係る情報処理は、要介護者である利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報をそれぞれ個別に取得することで、この排便情報と排尿情報との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを提供するものである。
【0058】
そして、このような実施形態に係る情報処理によれば、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができると考えられる。また、介護者の負担が削減されることは、より働きやすい環境づくりにつながり、これにより過酷な労働環境が改善されれば、介護者の業務へのモチベーションが高まる。さらに、介護者の業務へのモチベーションが高まれば、要介護者が質の高い介護を受けられることになる。このようなことから、実施形態に係る情報処理によれば、介護者および要介護者の双方にとってメリットを生み出せることができる。
【0059】
〔2.実施形態に係る情報処理システムについて〕
次に、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の全体像を示す図である。実施形態に係る情報処理システム1は、
図1に示すように、個人装置10と、施設装置30と、情報処理装置100とを含む。個人装置10、施設装置30、情報処理装置100は、ネットワークN(不図示)を介して有線または無線により通信可能に接続される。なお、
図1に示す情報処理システム1には、複数台の個人装置10や、複数台の施設装置30や、複数台の情報処理装置100が含まれてよい。
【0060】
〔3.各装置について〕
次に、実施形態に係る情報処理システム1に含まれる各装置について説明する。個人装置10は、利用者(要介護者)の介護を行う介護者によって利用される情報処理端末である。個人装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。また、ここでいう介護者とは、例えば、介護施設における介護士、ナース、在宅介護を行う介護士、要介護者に対する身内(家族)などである。
【0061】
また、施設装置30は、利用者(要介護者)が入所している介護施設で利用される情報処理端末である。施設装置30は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等である。また、施設装置30は、所謂、ナースコールの機能を有する情報処理端末であってもよい。
【0062】
なお、個人装置10および施設装置30には、情報処理装置100による制御に応じて、情報処理装置100によって提供されるサービスを出力できるよう、所定のアプリケーションが予め導入されているものとする。
【0063】
情報処理装置100は、上記のような実施形態に係る情報処理を実行する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。本実施形態では、情報処理装置100は、サーバ装置であるものとする。
【0064】
〔4.実施形態に係る情報処理の一例〕
ここからは、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1では、介護現場として介護施設を一例に挙げるとともに、係る介護施設において介護業務に従事している介護者に対して、実施形態に係る情報処理に伴うサービスが提供される場面を例示する。具体的には、
図1では、介護施設として介護施設FA1が例示されている。また、
図1では、介護施設FA1の居室R01には要介護者である利用者U11が入居し、介護施設FA1の居室R02には要介護者である利用者U12およびU13が入居している例が示される。また、
図1では、介護施設FA1のナースセンターST1には介護者であるナースNA11が待機し、居室R02には他の介護者であるナースNA12が待機している例が示される。
【0065】
また、利用者U11、U12およびU13は、それぞれ介護施設FA1にて定期的に購入されている大人用おむつであって、吸収性パッドを併用して使用されるタイプの大人用おむつを着用している。本実施形態では、このようなアウターとしての大人用おむつ、および、アウターに対して併用される吸収性パッドともに吸収性物品と解せるものとする。なお、以下の実施形態では、特に吸収パッドの方に焦点を当てて説明することにする。また、係る大人用おむつ、吸収性パッドともに、実施形態に係る情報処理装置100を管理する事業者(以下「事業者T」と表記する場合がある)を製造元とする製品であるものとする。したがって、介護施設FA1は、定期的に、この事業者T製の大人用おむつ、吸収性パッドを購入している。
【0066】
そして、
図1の例によると、利用者U11、U12およびU13は、事業者T製の吸収性パッドとして、吸収性パッドPD1を着用している。また、
図1の例によると、吸収性パッドPD1には、内部の電気的特性値を検出し、検出結果を情報処理装置100に送信するという、検出機能および通信機能の双方を兼ね備えたデバイスDVxが取付けられている。より詳細には、
図1では、利用者U11の吸収性パッドPD1にはデバイスDV11が取付けられ、利用者U12の吸収性パッドPD1にはデバイスDV12が取付けられ、利用者U13の吸収性パッドPD1にはデバイスDV13が取付けられている例が示されている。以下、デバイスDV11、DV12およびDV13を区別する必要がない場合には、これらを総称してデバイスDVxと表記する。
【0067】
また、吸収性パッドPD1は、デバイスDVxが、自製品内部の電気的特性値を検出することができるよう特徴的な構造で構成されている。具体的には、吸収性パッドPD1は、自製品内部での排便に応じて変化する電気的特性値、自製品内部での排尿に応じて変化する電気的特性値それぞれを個別に検出できるような構造となっている。換言すると、吸収性パッドPD1は、排便検知、排尿検知を個別で行えるような構造となっている。
【0068】
したがって、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例を説明するにあたって、ここで、
図2を用いて、吸収性パッドPD1の構造、および、係る構造を利用した推定メカニズムについて説明する。
図2は、実施形態に係る吸収性パッドPD1の構造、および、吸収性パッドPD1を利用した推定メカニズムの一例を示す図である。
【0069】
まず、
図2に示すように、吸収性パッドは、2つの面を有する。1つの面は、着用された際に利用者の肌に直接接触する側の面でありこれを「肌面」と呼ぶことにする。もう一方の面は、肌面に対する裏側の面でありこれを「裏面」と呼ぶことにする。裏面は、着用された際に利用者の肌に直接接触することはない。また、肌面を上に、裏面を下にした状態で着用されることから、吸収性パッドPD1の断面構造のうち肌面に近い層(肌面側の層)を「上層」、裏面に近い層(裏面側の層)を「下層」と定める。この点については後ほど断面図を用いて説明する。
【0070】
また、吸収性パッドPD1には、1対のカーボン電極が所定組含まれる。具体的には、吸収性パッドPD1には、断面した場合、肌面に近い層となる「上層」において1対のカーボン電極が含まれ、裏面に近い層となる「下層」において別の1対のカーボン電極が含まれる。このように吸収性パッドPD1には、1対のカーボン電極が2組含まれる。ここで、
図2(a)には、対状の2組のカーボン電極のうち、上層に含まれる1対のカーボン電極が拡大して示されている。
【0071】
図2(a)では、「上層」に存在する1対のカーボン電極として、カーボン電極ER11およびER12が示されている。そして、カーボン電極ER11、カーボン電極ER12それぞれは、周囲を所定の膜で囲まれているが、
図2(a)に示すように、その一部は膜から露出されている。なお、
図2(a)では不図示であるが、「下層」には、カーボン電極ER21およびER22が対となって存在し、
図2(a)の例と同様にその一部が膜から露出されている。このように、カーボン電極が露出している面積の広さを膜によって調整することで、検出される静電容量や電気抵抗の大きさを調整することができるようになる。また、カーボン電極が露出している露出面が肌面側である(カーボン電極ER21およびER22も同様)こと、すなわち全てのカーボン電極のデバイスDVxに対する接触部が同一面に配置されていることにより、利用者はデバイスDVxの取り付けを行い行い易くなる。
【0072】
また、
図2(a)に示すように、吸収性パッドPD1内において、カーボン電極が対状で配置されることにより、これらがコンデンサの役割を果たすようになる。したがって、カーボン電極ER11とER12との間には電荷が蓄えられるため、係るコンデンサは静電容量を持つこととなる。また、カーボン電極ER11とER12との間では電気抵抗も発生する。カーボン電極ER21およびER22についても同様である。
【0073】
そして、吸収性パッドPD1内において一切の排泄が行われていない場合であって、その他の外的要因を無視すると、基本的には、静電容量や電気抵抗は一定の値に保たれている。しかしながら、ここに排泄されると、排泄物(便および尿)の影響により電荷が蓄積され易くなったり、電気が流れやすくなったりするために、静電容量や電気抵抗に変化が生じ、また、この変化に特徴的な挙動が現れたりする。したがって、本実施形態では、静電容量や電気抵抗に変化を捉えたり、また、静電容量や電気抵抗がどのような挙動で変化してゆくのか変化の挙動を捉えることで、排泄を検知する。
【0074】
次に、
図2(b)を用いて吸収性パッドPD1の断面図について説明する。
図2(b)に示すように、吸収性パッドPD1は、肌面と裏面との間の内部において、複数の層状となっている。肌面から裏面にかけて順に説明すると、肌面に対応するトップシートTSの下には、
図2(a)で説明したカーボン電極ER11およびER12が対状で存在する。カーボン電極ER11、カーボン電極ER12それぞれは、PET基板(液不透過性のシート)の上に保持されている。このように、PET基板を用いることで、カーボン電極ER11およびカーボン電極ER12が尿の後戻り(リウェット)の影響を受けてしまうことを防止することができる。また、このように、PET基板の上にカーボン電極が保持されることで、片面(具体的には、肌面)側だけの静電容量または電気抵抗を読むことに限定することができる。
【0075】
また、カーボン電極ER11およびER12の下には、水分を吸収するための吸収体が存在する。係る吸収体は、肌面を上にした場合、この肌面に近い吸収体となるため上吸収体UABと呼ぶことにする。また、上吸収体UABの下には別の吸収体が存在する。肌面を上にした場合、この吸収体は肌面からは遠く裏面に近い吸収体となるため下吸収体LABと呼ぶことにする。
【0076】
また、下吸収体LABの下には、
図2(a)で説明したカーボン電極ER21およびER22が対状で存在する。カーボン電極ER21、カーボン電極ER22それぞれは、PET基板(液不透過性のシート)の上に保持されている。また、
図2(b)に示すように、カーボン電極ER21とカーボン電極ER22との間隔は、カーボン電極ER11とカーボン電極ER12との間隔より狭くなっている。また、このように、このように、PET基板の上にカーボン電極が保持されることで、片面(具体的には、肌面)側だけの静電容量または電気抵抗を読むことに限定することができる。
【0077】
また、カーボン電極ER21およびER22の下には、裏面に対応するバックフィルムBFが重ねられた状態で存在する。また、肌面に近い層のうちカーボン電極ER11およびER12を含む層がこれまで説明してきた「上層」に対応し、裏面に近い層のうちカーボン電極ER21およびER22を含む層がこれまで説明してきた「下層」に対応する。
【0078】
また、
図2(b)に示すように、吸収性パッドPD1では、カーボン電極ER11およびER12で構成される1対の電極(上層電極ER1112)と、カーボン電極ER21およびER22で構成されるもう1対の電極(下層電極ER2122)とは、それぞれ異なる層に存在するため、カーボン電極ER11およびER12間での電気的特性値(静電容量、電気抵抗)、カーボン電極ER21およびER22間での電気的特性値(静電容量、電気抵抗)をそれぞれを個別に検出することができるようになる。また、この結果、排便に対応する電気的特性値の変化および変化の挙動、排尿に対応する電気的特性値の変化および変化の挙動をそれぞれ個別に検出することができるようになる。
【0079】
次に、吸収性パッドPD1に対してデバイスDVxを組合せて成るセンサについて説明する。
図2に示すように、デバイスDVxは、上層電極ER1112での電気的特性値と、下層電極ER2122での電気的特性値とをそれぞれ個別に検出できるよう、吸収性パッドPD1の一端を挟み込むように取付けられる。この際、デバイスDVxは、吸収性パッドPD1表面の膜を介して、上層電極ER1112および下層電極ER2122それぞれに接触するよう取付けられる。
【0080】
ここで、デバイスDVxが取付けられることによりデバイスDVxと上層電極ER1112とで構成されるようになるセンサを「上層センサSNx」とし、デバイスDVxが取付けられることによりデバイスDVxと下層電極ER2122とで構成されるようになるセンサを「下層センサSNy」とする。また、上層センサSNxによる検出結果と、下層センサSNyによる検出結果とを組み合わせることにより、排便されたか否か、また、排尿されたか否かを効果的に推定することができるようになる。この点を踏まえて、
図2(c)を用いて、実施形態に係る推定ロジックについて説明する。
【0081】
図2(c)では、排泄行為が行われたか否かを推定する推定ロジックについて説明する。本実施形態では、電気的特性値(静電容量、電気抵抗)の変化の有無と、電気的特性値(静電容量、電気抵抗)に変化があった場合におけるこの変化の挙動とに基づき、排泄行為が行われたか否かを推定する。具体的には、本実施形態では、排便または排尿のうち少なくともいずれかの排泄行為が行われたか否かを推定することで、排泄行為が行われたか否かを推定する。
【0082】
例えば、排泄物が便である場合、便は尿と比較して粘性が高いため、吸収性パッドPD1の内部に浸透し難く、上層付近で留まり下層まで浸透しない可能性が高い。したがって、排便された場合には、上層に達した便の影響により、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量、電気抵抗がそれぞれ変化する一方で、この便は下層までは到達しないため、カーボン電極ER21およびER22間での静電容量、電気抵抗はともに変化しないと考えられる。このようなことから、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗に変化が生じる一方で、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗には変化が生じていない場合には、排便されたと推定することができる。
【0083】
一方、排泄物が尿である場合、尿は便と比較して粘性が低いため、吸収性パッドPD1の内部に浸透しやすく、上層付近で留まることなく下層まで浸透してゆく可能性が高い。したがって、排尿された場合には、上層を通過する際での尿の影響により、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量、電気抵抗がそれぞれ一時的に変化し、この後下層まで到達した尿の影響により、カーボン電極ER21およびER22間での静電容量、電気抵抗がそれぞれ変化すると考えられる。このようなことから、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗に変化が生じた後、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗にも変化が生じた場合には、排尿されたと推定することができる。
【0084】
このように、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗は、主に排便されたか否かの推定に利用されるため、上層センサSNxにより検出された電気的特性値は、利用者の排便に関する情報である排便情報の一例といえる。また、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗は、主に排尿されたか否かの推定に利用されるため、下層センサSNyにより検出された電気的特性値は、利用者の排尿に関する情報である排尿情報の一例といえる。
【0085】
また、これらの電気的特性値は、デバイスDVxにより情報処理装置100に送信されるが、
図2で説明してきた態様でカーボン電極が配置されることにより、排便検知に主に利用される電気的特性値と、排尿検知に主に利用される電気的特性値とはそれぞれ個別に検出され、また、情報処理装置100に向けて個別に送信される。このため、情報処理装置100は、利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報をそれぞれ個別に取得するものであるといえる。
【0086】
推定ロジックの説明に戻ると、本実施形態では、単に電気的特性値の変化を捉えるだけでなく、電気的特性値が時間経過に応じてどのような挙動で変化してきているのかこの変化の挙動さらに組み合わせることで推定精度を高めている。この点について、上層センサSNxにより検出された電気的特性値の変化の挙動を例に説明する。
【0087】
例えば、排泄物が尿である場合、上記の通り尿は便と比較して粘性が低いため、吸収性パッドPD1の内部に浸透しやすく、上層付近で留まることなく下層まで浸透してゆく可能性が高い。このようなことから、排泄物が尿である場合には、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量の時間経過に伴う変化は、これまで一定の低い値であった状態から、尿が通過してゆくことに応じて一時的に値が急上昇しその後元の低い値へと戻りその値を維持するという挙動を示すことになる。したがって、上層センサSNxにより検出された静電容量の時間経過に伴う変化が、このような挙動を示していた場合には、排尿されたと推定することができる。
【0088】
また、排泄物が尿である場合には、カーボン電極ER11およびER12間での電気抵抗の時間経過に伴う変化は、これまで一定の高い値であった状態から、尿が通過してゆくことに応じて一時的に値が急低下しその後一定の値まで回復しその値を維持するという挙動を示すことになる。したがって、上層センサSNxにより検出された電気抵抗の時間経過に伴う変化が、このような挙動を示していた場合には、排尿されたと推定することができる。例えば、電気抵抗は、わずかな水分量であっても低下しやすい。このため、カーボン電極ER11およびER12に対して、わずかでも尿が接触しまうと、そこから検出される電気抵抗は元の値へは完全には回復しにくく、一定の値まで回復するにとどまる。
【0089】
一方、排泄物が便である場合、上記の通り便は尿と比較して粘性が高いため、吸収性パッドPD1の内部に浸透し難く、上層付近で留まり下層まで浸透しない可能性が高い。このようなことから、排泄物が便である場合には、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量の時間経過に伴う変化は、これまで一定の低い値であった状態から、便が出現したことに応じて一時的に値が急上昇し、さらに便が留まることに応じて上昇した後の値がそのまま維持されるという挙動を示すことになる。したがって、上層センサSNxにより検出された静電容量の時間経過に伴う変化が、このような挙動を示していた場合には、排便されたと推定することができる。
【0090】
また、排泄物が便である場合には、カーボン電極ER11およびER12間での電気抵抗の時間経過に伴う変化は、これまで一定の低い値であった状態から、便が出現したことに応じて値が低下し、さらに便が留まることに応じて、低下した後の値がそのまま維持されるという挙動を示すことになる。したがって、上層センサSNxにより検出された電気抵抗の時間経過に伴う変化が、このような挙動を示していた場合には、排便されたと推定することができる。
【0091】
ここまで、
図1の説明に先立って、
図2を用いて、吸収性パッドPD1の構成、および、係る構成に応じた推定ロジックについて説明した。この点を踏まえて、
図1に戻り、引き続き実施形態に係る情報処理の一例を説明する。
【0092】
例えば、デバイスDV11の上層センサは、連続的に、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量および電気抵抗を検出している。したがって、デバイスDV11は、上層センサによる検出が行われる度に、上層センサを識別する「センサID(Identifier)」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。
【0093】
また、デバイスDV11の下層センサは、連続的に、カーボン電極ER21およびER22間での静電容量および電気抵抗を検出している。したがって、デバイスDV11は、下層センサによる検出が行われる度に、下層センサを識別する「センサID(Identifier)」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。
【0094】
デバイスDV11と同様であるため詳細な説明を省略するが、デバイスDV12は、自装置の上層センサによる検出が行われる度に、上層センサを識別する「センサID」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。また、デバイスDV12は、自装置の下層センサによる検出が行われる度に、上層センサを識別する「センサID」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。
【0095】
また、デバイスDV13も同様に、自装置の上層センサによる検出が行われる度に、上層センサを識別する「センサID」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。また、デバイスDV13は、自装置の下層センサによる検出が行われる度に、上層センサを識別する「センサID」と、「検出日時」と、検出された「静電容量、電気抵抗」とを対応付けて情報処理装置100に送信する。
【0096】
このようにして、情報処理装置100は、吸収性パッド内での電気的特性値(センシング結果)をデバイスDVxから随時受信(取得)する(ステップS11)。具体的には、各デバイスDVxにより上記のように送信が行われることで、情報処理装置100は、利用者U11、U12およびU13それぞれについて、上層センサSNxにより検出された電気的特性値(排便情報の一例)と、下層センサSNyにより検出された電気的特性値(排尿情報の一例)とをそれぞれ個別に取得する。また、情報処理装置100は、このように電気的特性値を取得してゆくことで、利用者ごとに、電気的特性値の履歴を蓄積してゆくことができる。例えば、情報処理装置100は、利用者ごとに、静電容量の履歴および電気抵抗の履歴をセンシング情報記憶部122に蓄積する。
【0097】
そして、情報処理装置100は、電気的特性値の履歴に基づき、利用者ごとに、吸収性パッドPD1での排泄行為が行われたか否かを推定する(ステップS12)。例えば、情報処理装置100は、電気的特性値の履歴に基づき、利用者ごとに、排便または排尿のうち少なくともいずれかの排泄行為が行われたか否かを推定することで、排泄行為が行われたか否かを推定する。具体的には、情報処理装置100は、電気的特性値の履歴に対して、
図2で説明した推定ロジックを適用することで推定処理を行う。
【0098】
すなわち、情報処理装置100は、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、そして変化があった電気的特性値について、時間経過に応じてどのような変化の挙動が示されたか、といった3要素の検出を行う。そして、情報処理装置100は、検出結果に基づいて、排泄行為が行われたか否かを総合的に推定する。
【0099】
また、情報処理装置100は、排泄行為が行われたと推定した場合(すなわち、排泄検知した場合)には、排泄行為の詳細(いつ、便または尿のどちらが、どれだけの量排泄されたか、また、排便の場合は便質はどうであったか)を排泄履歴として利用者情報記憶部121に格納する。また、情報処理装置100は、このような排泄履歴を個人装置10や施設装置30に送信することで、排泄履歴を自動記録させることができる。なお、情報処理装置100は、実施形態に係る推定ロジック(
図2)を適用した推定処理による排泄検知に対する介護者のフィードバック(実際に排泄されていたかどうか)の内容を排泄履歴として格納してもよい。
【0100】
次に、情報処理装置100は、ステップS12での推定処理により排泄行為が行われたと推定した場合、排便または排尿のうちどちらが行われたかといった実際の推定結果を取得する(ステップS13)。具体的には、情報処理装置100は、ステップS12での推定結果として、排便されたか否かを示す情報と、排尿されたか否かを示す情報とを個別に取得する。排便されたか否かを示す情報も排便情報の一例と解することができ、排尿されたか否かを示す情報も排尿情報の一例と解することができる。
【0101】
次に、情報処理装置100は、ステップS13で取得した排便情報(排便検知結果)と、排尿情報(排尿検知結果)との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを提供対象のサービスとして特定する(ステップS14)。例えば、情報処理装置100は、条件テーブル記憶部124を参照し、取得した排便情報と、排尿情報との組合せによって満たされる条件が存在すると判定した場合には、係る条件に対応付けられるサービスを提供対象のサービスとして特定する。
【0102】
例えば、情報処理装置100は、ステップS12での推定処理により、利用者U11を対象に、排便されたが(排便あり)、排尿はされていない(排尿なし)と推定したとする(推定結果パターン1)。係る場合、情報処理装置100は、ステップS13では排便されたことを示す情報(排便情報の一例)と、排尿されていないことを示す情報(排尿情報の一例)とを個別に取得する。また、情報処理装置100は、ステップS14において、条件テーブル記憶部124(
図7)を参照し、「排便あり」と「排尿なし」という組合せによって満たされる条件として条件1(条件番号1)を特定する。そして、情報処理装置100は、条件1に対応付けられるサービス「交換アラート」を提供対象サービスとして特定する。
【0103】
また、情報処理装置100は、サービス「交換アラート」を提供対象サービスとして特定したことにより、介護施設FA1で待機している介護者に対して、利用者U11の吸収性物品(吸収性パッドPD1)の交換を促すアラートを通知するというサービスを提供する(ステップS15)。例えば、情報処理装置100は、施設装置30あるいは個人装置10に対して、利用者U11の吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力するよう制御する。
【0104】
推定結果パターン1の例では、情報処理装置100は、利用者U11に対応する排便情報および排尿情報に基づき、利用者U11による排尿の有無に拘わらず、利用者U11が排便したと推定している。そして、係る推定結果に応じて、情報処理装置100は、利用者U11が着用する吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力させている。このような情報処理装置100によれば、排便された場合そのことを即座に介護者に通知することができるため、排便漏れや排便漏れに伴う後始末作業を未然に防止することができる。そして、この結果、情報処理装置100は、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができる。
【0105】
他の推定結果パターンについても説明する。例えば、情報処理装置100は、ステップS12での推定処理により、利用者U11を対象に、排便はされていないが(排便なし)、排尿された(排尿あり)と推定したとする(推定結果パターン2)。係る場合、情報処理装置100は、ステップS13では排便されていないことを示す情報(排便情報の一例)と、排尿されたことを示す情報(排尿情報の一例)とを個別に取得することになる。また、情報処理装置100は、排便なしだが排尿ありと推定した今回の場合、この排尿により吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したか否かを推定する。ここでは、情報処理装置100は、吸収限界に達したと推定したとする。
【0106】
また、情報処理装置100は、ステップS14において、条件テーブル記憶部124(
図7)を参照し、「排便なし」、「排尿あり」、「排尿により吸収限界に到達」という組合せによって満たされる条件として条件2(条件番号2)を特定する。そして、情報処理装置100は、条件2に対応付けられるサービス「交換アラート」を提供対象のサービスとして特定する。
【0107】
推定結果パターン2の例では、情報処理装置100は、利用者U11に対応する排便情報および排尿情報に基づき、利用者U11が排便していない状態で排尿したと推定している。また、情報処理装置100は、係る推定結果に応じて、今回の排尿により吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したとさらに推定したことで、利用者U11が着用する吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力させている。このような情報処理装置100によれば、排便されていない状態で、複数回排尿されることにより吸収限界に達した時点で初めて吸収性物品を交換するよう通知されるため、本当に交換が必要な場合にのみ介護者に吸収性物品の交換を通知することができる。この結果、介護者は、不要な介護業務を行う必要がなくなるため、情報処理装置100は、介護者の負担を削減できるよう効果的に支援することができる。
【0108】
なお、吸収可能量が吸収限界に達したか否かを推定には、排尿された尿の量(尿量)の検出が必要となるが、情報処理装置100は、下層センサSNyにより検出された電気的特性値(特に、静電容量)に基づいて、尿量を検出することができる。また、情報処理装置100は、検出した今回の尿量が、吸収性パッドPD1の現在の吸収可能量(吸収可能残量)を超えると判定した場合には、吸収可能量が吸収限界に達したと推定する。
【0109】
例えば、吸収性パッドPD1の現在の吸収可能量(吸収可能残量)が「150ml」であり、今回排尿された尿量が「200ml」であったとする。係る例では、今回の尿量が現在の吸収可能量を超えているため、情報処理装置100は、吸収可能量が吸収限界に達したと推定する。
【0110】
なお、情報処理装置100は、検出した今回の尿量が、吸収性パッドPD1の現在の吸収可能量(吸収可能残量)に対する所定割合(例えば、8割)に達したと判定した場合には、吸収可能量が吸収限界に達したと判定してもよい。これにより、情報処理装置100は、吸収性パッドPD1から尿が漏れ出す一歩手前のタイミングで交換アラートを出力させることができる。
【0111】
次に、ステップS15での出力制御により、個人装置10および施設装置30によって出力される交換アラートの一例について説明する。ここでは、施設装置30によって交換アラートの行われる場合を例に挙げるが、同様の出力は個人装置10によっても行われてもよいものである。
【0112】
例えば、介護施設FA1の施設装置30は、利用者の居室ごとに、当該居室にいる利用者の利用者情報(例えば、現在のステータス)が一覧表示されるステータス画面上にて、交換対象の利用者がどの利用者であるかを示す情報を出力する。例えば、推定結果パターン1の例では、施設装置30は、交換対象の利用者が利用者U11であり排便のため急ぎの交換が必要であることを介護者であるナースNA11が容易に認識できるような態様で、交換アラートをステータス画面に表示させる。
【0113】
また、例えば、推定結果パターン2の例では、施設装置30は、交換対象の利用者が利用者U11であり複数回の排尿によりそろそろ交換が必要であることを介護者であるナースNA11が容易に認識できるような態様で、交換アラートをステータス画面に表示させる。また、このような出力により、ナースNA11は、吸収性パッドPD1の交換を実施するために、利用者U11の要る居室R01へと向かう。
【0114】
また、施設装置30は、
図1の例では、利用者U11がどのような排泄を行ったか示された排泄履歴を情報処理装置100から取得する。そして、施設装置30は、取得した排泄記録を自装置内の所定の記憶部に自動記録する。これにより、介護施設FA1の介護者は、任意のタイミングで、介護施設FA1に入所している各利用者の排泄履歴を確認することができるようになるうえ、排泄履歴を例えば介護記録として手入力する必要がなくなるため便利である。
【0115】
なお、情報処理装置100は、交換対象の利用者に対してより近くにいる介護者に交換アラートを通知してもよい。例えば、情報処理装置100は、交換対象の利用者の位置情報と、介護者それぞれの位置情報とに基づいて、交換対象の利用者に対してより近くにいる介護者を特定する。そして、情報処理装置100は、特定した介護者に交換アラートを通知する。この点について、
図1の例を用いて説明する。
【0116】
図1の例では、情報処理装置100は、利用者U11が排泄行為を行ったと推定したことにより、利用者U11の位置情報と、利用者U11が入所している介護施設FA1に居る各介護者の位置情報とに基づいて、交換対象の利用者U11に対してより近くにいる介護者を特定する。例えば、情報処理装置100は、交換対象の利用者U11に対してより近くにいる介護者としてナースNA12を特定したとする。係る場合、情報処理装置100は、ナースNA12の個人装置10に対して、利用者U11の吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力するよう制御する。
【0117】
このような情報処理装置100によれば、排泄行為を行った利用者に対してより近くにいる介護者に向けて交換アラートを通知するため、より迅速かつ効率的な吸収性物品の交換を実現することができる。
【0118】
〔5.情報処理装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0119】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、デバイスDVx、個人装置10、施設装置30との間で情報の送受信を行う。
【0120】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、利用者情報記憶部121と、センシング情報記憶部122と、施設情報記憶部123と、条件テーブル記憶部124とを有する。
【0121】
(利用者情報記憶部121について)
利用者情報記憶部121は、要介護者としての立場にあり、また、吸収性物品を着用している利用者に関する各種情報を記憶する。ここで、
図4に実施形態に係る利用者情報記憶部121の一例を示す。
図4の例では、利用者情報記憶部121は、「施設ID(Identifier)」、「物品情報」、「利用者ID(Identifier)」、「排泄履歴」、「食事履歴」、「投薬履歴」、「運動量履歴」、「姿勢履歴」、「交換タイミング」、「排泄タイミング」といった項目を有する。
【0122】
「施設ID」は、「利用者ID」によって識別される利用者が入所している施設(例えば、介護施設)を識別する識別情報である。「利用者ID」は、「施設ID」によって識別される施設(例えば、介護施設)に入所している、要介護者としての立場にある利用者を識別する識別情報である。
【0123】
「排泄履歴」は、「いつ、便または尿のどちらが、どれだけの量排泄されたか、また、排便の場合は便質はどうであったか」といった、利用者による排泄行為の履歴を示す情報である。また、「排泄履歴」は、
図1および
図2で説明した排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴であってもよいし、排泄を確認した介護者からフィードバックされたものであってもよい。
【0124】
なお、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴とは、実施形態に係る推定ロジックを適用した推定処理による推定結果である。例えば、情報処理装置100は、排便されたことを推定した場合には、電気的特性値の変化に基づいて、排便量や便質も推定することができる。また、例えば、情報処理装置100は、排尿されたことを推定した場合には、電気的特性値の変化に基づいて、排尿量を推定することができる。
【0125】
また、
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、排泄履歴「排泄履歴♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)は、「排泄履歴♯11」が示すような内容でこれまで排泄してきている例を示す。
【0126】
「食事履歴」は、利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報であり、利用者に関する「利用者情報」の一例である。
【0127】
また、「食事履歴」は、「利用者ID」によって識別される利用者が、「いつ、何を、どれだけの量食べたか(あるいは飲んだか)」といった、利用者による飲食の履歴を示す情報である。「食事履歴」は、介護者によって登録されてもよいし、利用者に与えられた飲食物が撮像された撮像画像であってもよい。また、係る飲食物が入れられた容器等に例えば所定のセンサ(カメラ等)が取付けられている場合には、情報処理装置100は、係るセンサによって検出された情報(例えば、撮像画像)を食事履歴として取得し利用者情報記憶部121に格納してもよい。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、食事履歴「食事履歴♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される着用者(利用者U11)は、「食事履歴♯11」が示すような内容でこれまで飲食してきている例を示す。
【0128】
「投薬履歴」は、利用者への投薬に関する投薬情報であり、利用者に関する「利用者情報」の一例である。
【0129】
「投薬履歴」は、「利用者ID」によって識別される利用者が、「いつ、どのような下剤を、どれだけの量投与されたか」といった、利用者による下剤投与の履歴を示す情報である。「投薬履歴」は、介護者によって登録されてもよいし、所定のセンサ(カメラ等)により利用者への投与の様子が検出されている場合には、情報処理装置100は、係るセンサによって検出された情報(例えば、撮像画像)を投薬履歴として取得し利用者情報記憶部121に格納してもよい。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、投薬履歴「投薬履歴♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)は、「投薬履歴♯11」が示すような内容で下剤投与されてきている例を示す。
【0130】
「運動量履歴」は、利用者の運動量を示す運動情報であり、利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報の一例である。
【0131】
また、「運動量履歴」は、「利用者ID」によって識別される利用者が、「いつ、どれだけの運動量で行動したか」といった、利用者による運動量の履歴を示す情報である。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、運動量履歴「運動量履歴♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)は、「運動量履歴♯11」が示すような運動量でこれまで行動してきている例を示す。
【0132】
「姿勢履歴」は、利用者の姿勢を示す姿勢情報であり、利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報の一例である。
【0133】
また、「姿勢履歴」は、「利用者ID」によって識別される利用者が、「いつ、どのような姿勢であるか」といった、利用者による姿勢の履歴を示す情報である。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、姿勢履歴「姿勢履歴♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)は、時間経過に応じて「姿勢履歴♯11」が示すような姿勢を示してしてきている例を示す。
【0134】
「排泄タイミング」は、「着用者ID」によって識別される着用者に対して予測された排泄タイミングであって、例えば「排泄履歴」に基づき予測された排泄タイミングに関する情報である。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、排泄タイミング「排泄タイミング♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)は、「排泄タイミング♯11」が示すタイミング(例えば、時間帯)に排泄すると予測された例を示す。
【0135】
「交換タイミング」は、「利用者ID」によって識別される利用者に対して決定された交換時期であって、どれだけの回数排尿された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排泄回数に応じた交換時期を示す情報である。
図4の例では、利用者ID「U11」に対して、交換タイミング「交換タイミング♯11」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される利用者(利用者U11)に対しては、「交換タイミング♯11」が示すような回数排尿された際には吸収性物品を交換すべきと決定された例を示す。
【0136】
なお、
図4の例では、排泄履歴♯11などのように概念的な記号を用いているが、実際には、これらを示す適切な数値、テキスト、画像(動画)等が登録される。
【0137】
(センシング情報記憶部122について)
センシング情報記憶部122は、デバイスDVxによる検出結果(電気的特性値)に関する情報を記録する。ここで、
図5に実施形態に係るセンシング情報記憶部122の一例を示す。
図5の例では、センシング情報記憶部122は、「施設ID(Identifier)」、「利用者ID(Identifier)」、「デバイスID(Identifier)」、「センサID(Identifier)」、「静電容量履歴」、「電気抵抗履歴」といった項目を有する。
【0138】
「施設ID」は、「利用者ID」によって識別される利用者が入所している施設(例えば、介護施設)を識別する識別情報である。「利用者ID」は、「施設ID」によって識別される施設(例えば、介護施設)に入所している、要介護者としての立場にある利用者を識別する識別情報である。
【0139】
「デバイスID」は、吸収性パッドPD1に取付けられるデバイスDVxを識別する識別情報である。「センサID」は、
図2で説明したように、デバイスDVxが取付けられることにより、デバイスDVxと上層電極ER1112とで構成されるようになるセンサ(上層センサSNx)を識別する識別情報である。また、「センサID」は、デバイスDVxが取付けられることによりデバイスDVxと下層電極ER2122とで構成されるようになるセンサ(下層センサSNy)を識別する識別情報である。
【0140】
図5の例では、利用者ID「U11」に対して、デバイスID「DV11」、センサID「上層;SN111」、センサID「下層;SN112」が対応付けられている。係る例は、利用者ID「U11」によって識別される着用者(利用者U11)が着用している吸収性パッドPD1には、デバイスID「DV11」によって識別されるデバイス(デバイスDV11)が取付けられている例を示す。また、係る例は、デバイスDV11と上層電極ER1112とで構成されるようになる上層センサSNxは、「SN111」で識別され(上層センサSN111)、デバイスDV11と下層電極ER2122とで構成されるようになる下層センサSNyは、「SN112」で識別される(下層センサSN112)例を示す。
【0141】
「静電容量履歴」は、対応する「センサID」によって識別されるセンサによって検出された静電容量の履歴に関する情報である。
図5の例では、センサID「上層;SN111」に対して、静電容量履歴「静電容量履歴♯111」が対応付けられている。係る例は、センサID「上層;SN111」によって識別される上層センサSNx(上層センサSN111)は、「静電容量履歴♯111」が示すように静電容量を検出してきている例を示す。
【0142】
「電気抵抗履歴」は、対応する「センサID」によって識別されるセンサによって検出された電気抵抗の履歴に関する情報である。
図5の例では、センサID「上層;SN111」に対して、電気抵抗履歴「電気抵抗履歴♯111」が対応付けられている。係る例は、センサID「上層;SN111」によって識別される上層センサSNx(上層センサSN111)は、「電気抵抗履歴♯111」が示すように電気抵抗を検出してきている例を示す。
【0143】
なお、
図5の例では、静電容量履歴♯111などのように概念的な記号を用いているが、実際には、これらを示す適切な数値、テキスト等が登録される。
【0144】
(施設情報記憶部123について)
施設情報記憶部123は、施設に関する情報を記憶する。ここで、
図6に実施形態に係る施設情報記憶部123の一例を示す。
図6の例では、施設情報記憶部123は、「施設ID(Identifier)」、「施設装置ID(Identifier)」、「介護者ID(Identifier)」、「個人装置ID(Identifier)」、「介護者情報」といった項目を有する。
【0145】
「施設ID」は、利用者が入所している施設(例えば、介護施設)を識別する識別情報である。「施設装置ID」は、「施設ID」によって識別される施設で利用されている施設装置30を識別する識別情報である。「介護者ID」は、「施設ID」によって識別される施設に所属している介護者を識別する識別情報である。「個人装置ID」は、「介護者ID」によって識別される介護者によって利用されている個人装置10を識別する識別情報である。「介護者情報」は、「介護者ID」によって識別される介護者に関する情報を示す。「介護者情報」は、例えば、「介護者ID」によって識別される介護者の属性情報(氏名、年齢、職位など)、勤務歴、勤務スケジュールなどである。
【0146】
図6の例では、施設ID「FA1」に対して、施設装置ID「30-11」などが対応付けられている。係る例は、施設ID「FA1」によって識別される施設(介護施設FA1)では、施設装置ID「30-11」によって識別される施設装置30(施設装置30-11)が利用されている例を示す。また、
図6の例では、介護者ID「NA11」に対して、個人装置ID「10-11」、介護者情報「介護者情報♯11」が対応付けられている。係る例は、介護者ID「NA11」によって識別される介護者(ナースNA11)は、個人装置ID「10-11」によって識別される個人装置10(個人装置10-11)を利用しており、また、「介護者情報♯11」が示すような属性や勤務状況である例を示す。
【0147】
なお、
図6の例では、介護者情報♯11などのように概念的な記号を用いているが、実際には、これらを示す適切な数値、テキスト等が登録される。
【0148】
(条件テーブル記憶部124について)
条件テーブル記憶部124は、排便情報と排尿情報との組合せが、どのような組合せになった場合にどのようなサービスを提供するのか、組合せの条件を規定するテーブルを記憶する。
図7は、実施形態に係る条件テーブル記憶部124の一例を示す図である。
【0149】
図7の例では、条件番号「1」によって識別される「条件」であって、「排便情報」と「排尿情報」とが組合された条件として、排便情報「排便あり」、排尿情報「排尿なし、または、排尿あり」が規定され、さらに、サービス内容「交換アラート」が対応付けられている。係る例は、排便情報「排便あり」、排尿情報「排尿なし、または、排尿あり」という組合せが成立した場合(利用者による排尿の有無に拘わらず、利用者が排便したと推定される場合)には、「利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる」よう規定されている例を示す。
【0150】
また、
図7の例では、条件番号「2」によって識別される「条件」であって、「排便情報」と「排尿情報」とが組合された条件として、排便情報「排便なし」、排尿情報「排尿排尿あり」が規定され、さらに吸収性物品の状態「排尿により吸収限界に到達」との条件が追加されている。そして、サービス内容「交換アラート」が対応付けられている。係る例は、排便情報「排便なし」、排尿情報「排尿あり」という組合せが成立し、さらに、吸収性物品の状態「排尿により吸収限界に到達」が満たされた場合(利用者が排便していない状態で排尿したと推定される場合、かつ、排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達したと推定される場合)には、「利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる」よう規定されている例を示す。
【0151】
また、
図7の例では、条件番号「3」によって識別される「条件」であって、「排便情報」と「排尿情報」とが組合された条件として、排便情報「排便あり」、排尿情報「排尿排尿あり」が規定され、さらに排便と排尿との関係性「排便の次に排尿された」との条件が追加されている。そして、サービス内容「交換アラート」が対応付けられている。係る例は、排便情報「排便あり」、排尿情報「排尿あり」という組合せが成立し、さらに、排便と排尿との関係性「排便の次に排尿された」が満たされた場合には、「利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる」よう規定されている例を示す。
【0152】
例えば、情報処理装置100は、
図1のステップS12での推定処理により、利用者U11を対象に、排便され(排便あり)、かつ、排尿された(排尿あり)と推定したとする(推定結果パターン3)。係る場合、情報処理装置100は、ステップS13では排便されたことを示す情報(排便情報の一例)と、排尿されたことを示す情報(排尿情報の一例)とを個別に取得することになる。また、情報処理装置100は、排便も排尿もありと推定した今回の場合、便の次に尿が排泄されたか否かを推定する。ここでは、情報処理装置100は、便の次に尿が排泄されたと推定したとする。
【0153】
また、情報処理装置100は、ステップS14において、条件テーブル記憶部124(
図7)を参照し、「排便あり」、「排尿あり」、「排便の次に排尿された」という組合せによって満たされる条件として条件3(条件番号3)を特定する。そして、情報処理装置100は、条件3に対応付けられるサービス「交換アラート」を提供対象のサービスとして特定する。
【0154】
このように、推定結果パターン3の例では、情報処理装置100は、利用者U11に対応する排便情報および排尿情報に基づき、利用者が排便と排尿の両方を行ったと推定している。また、情報処理装置100は、係る推定結果に応じて、便の次に尿が排泄されたと推定したことで、利用者U11が着用する吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力させている。
【0155】
例えば、排便された後、吸収性パッドPD1を交換しない(できない)といった状況が想定される。このような状況に対応できるよう、情報処理装置100は、例えば、排便された後に排尿された場合には、吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力させる。そして、このような情報処理装置100によれば、便が排泄された後に尿が排泄されることによる漏れリスクの高い状況を伝達できるため、排便漏れや排便漏れに伴う後始末作業を未然に防止することができるようになる。
【0156】
(制御部130について)
図3に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0157】
図3に示すように、制御部130は、受信部131と、推定部132と、取得部133と、サービス提供部134と、判定部135と、学習部136と、情報制御部137と、評価部138と、決定部139とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0158】
(受信部131について)
受信部131は、利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する。
【0159】
図1で説明したように、デバイスDVxの上層センサSNxは、連続的に、カーボン電極ER11およびER12間での静電容量および電気抵抗を検出し、検出結果を情報処理装置100に送信する。また、デバイスDVxの下層センサSNyは、連続的に、カーボン電極ER21およびER22間での静電容量および電気抵抗を検出し、検出結果を情報処理装置100に送信する。
【0160】
このように、センサごとに個別に検出結果が送信が行われることで、受信部131は、上層センサSNxにより検出された電気的特性値(排便情報の一例)と、下層センサSNyにより検出された電気的特性値(排尿情報の一例)とをそれぞれ個別に取得(受信)する。また、受信部131は、「利用者ID」と、「デバイスID」と、「センサID」と、今回取得した「静電容量」と、今回取得した「電気抵抗」とを対応付けたものを一つの履歴として、センシング情報記憶部122に格納する。
【0161】
(推定部132について)
推定部132は、電気的特性値の履歴(静電容量履歴、電気抵抗履歴)に基づいて、利用者ごとに、吸収性パッドPD1での排泄行為が行われたか否かを推定する。例えば、推定部132は、電気的特性値の履歴に基づいて、利用者ごとに、排便または排尿のうち少なくともいずれかの排泄行為が行われたか否かを推定することで、排泄行為が行われたか否かを推定する。具体的には、推定部132は、電気的特性値の履歴に対して、
図2で説明した推定ロジックを適用することで推定処理を行う。
【0162】
より詳細には、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、そして変化があった場合には、時間経過に応じてどのような変化の挙動が示されたか、といった3要素の検出を行う。そして、推定部132は、検出結果に基づいて、排泄行為が行われたか否かを総合的に推定する。なお、推定部132による推定処理の詳細については、
図9で説明する。
【0163】
また、推定部132は、排泄行為が行われたと推定した場合(すなわち、排泄検知した場合)には、排泄行為の詳細(いつ、便または尿のどちらが、どれだけの量排泄されたか、また、排便の場合は便質はどうであったか)を排泄履歴として利用者情報記憶部121に格納する。また、推定部132は、このような排泄履歴を個人装置10や施設装置30に送信することで、排泄履歴を自動記録させることができる。また、推定部132は、推定処理による推定結果に対する介護者のフィードバック(実際に排泄されていたかどうか)の内容を排泄履歴として格納してもよい。
【0164】
(取得部133について)
取得部133は、利用者の排便に関する情報である排便情報と、当該利用者の排尿に関する情報である排尿情報とをそれぞれ個別に取得する。例えば、取得部133は、推定部132による推定処理により排泄行為が行われたと推定された場合、排便または排尿のうちどちらが行われたかといった実際の推定結果を取得する。具体的には、取得部133は、排便されたか否かを示す情報(利用者の排便に関する情報である排便情報)と、排尿されたか否かを示す情報(利用者の排尿に関する情報である排尿情報)とを個別に取得する。
【0165】
(サービス提供部134について(1))
サービス提供部134は、取得部133により取得された排便情報と排尿情報との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを提供する。
【0166】
例えば、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報に基づき、利用者による排尿の有無に拘わらず、利用者が排便したと推定される場合(
図7の条件1が満たされる場合)には、推定対象の利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0167】
また、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報に基づき、利用者が排便していない状態で排尿したと推定される場合には、排尿により吸収性物品の状態が所定の状態になったか否かに基づいて、吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。具体的には、サービス提供部134は、利用者が排便していない状態で排尿したと推定される場合、かつ、今回の排尿により吸収性物品の吸収可能量が吸収限界に達したと推定される場合(
図7の条件2が満たされる場合)には、推定対象の利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0168】
また、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報に基づき、尿と便とが所定の順序で排出されたと推定される場合には、吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。具体的には、サービス提供部134は、便の次に尿が排泄されたと推定される場合には、推定対象の利用者が着用する吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる。
【0169】
また、サービス提供部134は、吸収性物品の交換を促すアラートを出力させる制御として、推定対象の利用者に対応する施設装置30あるいは個人装置10に対して、推定対象の利用者の吸収性物品の交換を促すアラートを出力するよう制御する。
【0170】
また、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づく所定のサービスをさらに提供する。また、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に関する利用者情報とに基づく所定のサービスをさらに提供する。また、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報とに基づく所定のサービスをさらに提供する。ここで、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴とは、実施形態に係る推定ロジックを適用した推定処理(推定部132による推定処理)による推定結果、または、係る推定結果の通知を受けた介護者からのフィードバック(実際に排泄されていたかどうか)である。
【0171】
ここで、利用者に関する利用者情報としては、利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報(食事履歴)や、利用者への投薬に関する投薬情報(投薬履歴)が挙げられる。また、
図4では、不図示であるが、利用者情報としては、利用者の肌状態の変化を示す肌情報も挙げられる。肌情報には、例えば、どのような肌トラブルがあったかといった肌トラブル履歴も含まれる。
【0172】
また、利用者に対応する所定のセンサとしては、ジャイロセンサ、GPSセンサ、温湿度センサなどが挙げられる。例えば、デバイスDVxは、これらセンサの少なくともいずれかを有することができる。また、一方で、利用者に対してこれらセンサを有する端末装置(例えば、ウェアラブル端末)が装着されていてもよい。
【0173】
ジャイロセンサにより検出された情報からは、利用者の運動量、姿勢、体動を推定することができる。したがって、利用者情報記憶部121に記憶される「運動量履歴」や「姿勢履歴」は、ジャイロセンサにより検出された情報に基づき推定されたものである。また、GPSセンサにより検出された情報からは、利用者の位置情報を推定することができる。
【0174】
また、吸収性物品内で排泄された場合、吸収性物品内の温度や湿度が変化する。したがって、温湿度センサにより検出された情報を、推定部132による推定処理に組み合わせることで、より高精度な排泄検知を実現することができる。
【0175】
また、サービス提供部134は、上記の所定のサービスを提供できるよう、以下に説明する各処理部と連携する。以下では、サービス提供部134と連携することで、サービス提供部134に対して所定のサービスの提供を行わせる各処理部について説明する。
【0176】
(判定部135について)
判定部135は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、利用者の排泄状況が所定の状況であるか否かを判定する。例えば、判定部135は、利用者ごとの排泄履歴に基づいて、当該利用者が「所定期間以上排泄していない」という状況であるか否かを判定する。利用者U11を例に挙げると、判定部135は、利用者情報記憶部121から、利用者ID「U11」に対応付けられる「排泄履歴」を抽出する。そして、判定部135は、抽出した「排泄履歴」に基づいて、利用者U11が「所定期間以上排便(または排尿)していない」という状況であるか否かを判定する。
【0177】
例えば、判定部135は、利用者U11について、「所定期間以上排便していない」という状況であると判定したとする。係る場合、サービス提供部134は、利用者U11が「所定期間以上排便していない」という状況であることを示すアラートを出力させる。例えば、サービス提供部134は、施設装置30に対して、利用者U11が「所定期間以上排便していない」という状況であることを示すアラート出力させるとともに、下剤投与を提案する提案情報を通知する。
【0178】
このような情報処理装置100によれば、介護者に対して利用者の健康状態への気付きを与えることができるため、利用者のQOLを向上させることができる。
【0179】
なお、例えば、判定部135は、利用者U11について、「所定期間以上排尿していない」という状況であると判定したとする。係る場合、サービス提供部134は、施設装置30に対して、利用者U11が「所定期間以上排尿していない」という状況であることを示すアラート出力させるとともに、「尿管閉塞の可能性あり」を通知してもよい。
【0180】
また、判定部135は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、食事履歴とに基づいて、利用者の排泄状況が所定の状況であるか否かを判定してもよい。利用者U11を例に説明すると、例えば、判定部135は、利用者U11が摂取した水分の水分量と、水分を摂取した後での利用者U11の排泄履歴とに基づいて、利用者U11の排泄状況が所定の状況であるか否かを判定する。例えば、判定部135は、利用者U11が摂取した水分の水分量と、水分を摂取した後での利用者U11の排尿履歴とに基づいて、利用者U11が過剰な排尿状態、あるいは、過少な排尿であるか否かを判定する。
【0181】
例えば、判定部135は、利用者U11について、「過剰な排尿状態」と判定したとする。係る場合、サービス提供部134は、利用者U11が「過剰な排尿状態」という状況であることを示すアラートを出力させる。
【0182】
(学習部136について)
学習部136は、各利用者について、当該利用者の排泄状況の傾向を学習する。例えば、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、当該利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報(食事履歴)とに基づいて、当該利用者の排泄状況と、当該利用者の飲食状況との関係性を学習する。このような学習によれば、排泄履歴によって示される排泄状況と、飲食情報によって示される飲食状況との間で所定の関係性が得られる場合がある。一例を示すと、「何を、どれだけの量食べると(あるいは飲むと)、どれだけの量の排泄物が、摂取後どれだけの間隔で排泄される傾向にあるか」といった飲食状況と排泄状況との関係性が得られる場合がある。
【0183】
また、例えば、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、当該利用者への投薬に関する投薬情報(投薬履歴)とに基づいて、当該利用者の排泄状況と、当該利用者の下剤状況との関係性を学習する。このような学習によれば、排泄履歴によって示される排泄状況と、投薬情報によって示される投薬状況との間で所定の関係性が得られる場合がある。一例を示すと、「どのようなタイミングで、どのような下剤をどれだけの量投与すると、投与後どれだけの間隔でどのような便質の便がどれだけの量排泄される傾向にあるか」といった下剤状況と排泄状況との関係性が得られる場合がある。
【0184】
また、例えば、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、当該利用者の姿勢を示す姿勢情報(姿勢履歴)とに基づいて、利用者の排泄状況と、当該利用者の姿勢状況との関係性を学習する。このような学習によれば、「どのような姿勢にあるとき、どれだけの量の排泄物が排泄される傾向にあるか(あるいは、どれだけの排泄頻度の傾向にあるか)」といった姿勢状況と排泄状況との関係性が得られる場合がある。一例を示すと、「特定の姿勢の状態にあるときは、排泄回数が多い、あるいは、排泄量が多い」といった傾向が得られる場合がある。
【0185】
また、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、時間帯とに基づいて、利用者の排泄状況と時間帯との関係性を学習することもできる。このような学習によれば、「どのような時間帯に、どれだけの量の排泄物が排泄される傾向にあるか(あるいは、どれだけの排泄頻度の傾向にあるか)」といった時間帯と排泄状況との関係性を得られる場合がある。一例を示すと、「特定の時間帯(例えば、夜間)では、排泄回数が多い、あるいは、排泄量が多い」といった傾向が得られる場合がある。
【0186】
また、例えば、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、当該利用者の体動を示す体動情報(体動履歴)とに基づいて、当該利用者の排泄状況と、当該利用者の体動状況との関係性を学習する。このような学習によれば、「どのような体動にあるとき、排泄行為が行われる傾向にあるか」いった体動状況と排泄状況との関係性が得られる場合がある。一例を示すと、「小刻みに動いた後に排泄されやすい」といった傾向が得られる場合がある。
【0187】
また、例えば、学習部136は、利用者の排泄履歴(排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)と、当該利用者の肌状態の変化を示す肌情報とに基づいて、利用者の排泄状況と、当該利用者の肌状況との関係性を学習する。例えば、学習部136は、排泄量と肌トラブルとの関係性を学習する。また、例えば、学習部136は、排泄頻度と肌トラブルとの関係性を学習する。
【0188】
(情報制御部137について)
情報制御部137は、吸収性物品に関する各種制御を行う。例えば、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、利用者が排泄する排泄タイミングに関する制御を行う。例えば、情報制御部137は、排泄履歴と、利用者情報(食事履歴、投薬履歴、肌情報)に基づいて、排泄タイミングに関する制御を行う。また、例えば、情報制御部137は、排泄履歴と、センサ情報(運動量履歴、姿勢履歴、体動履歴)に基づいて、排泄タイミングに関する制御を行う。係る場合、情報制御部137は、例えば、学習部136による学習結果に基づいて、排泄タイミングに関する制御を行う。
【0189】
また、例えば、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、食事、下剤、吸収性物品などに関する各種提案やアドバイスの制御を行う。例えば、情報制御部137は、排泄履歴と、学習部136による学習結果とを組み合わせることで、食事、下剤、吸収性物品などに関する各種提案やアドバイスの制御を行う。
【0190】
(排泄タイミングに関する制御)
まず、情報制御部137による排泄タイミングに関する制御について説明する。例えば、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄履歴によって示される排泄状況と、当該利用者の飲食情報によって示される飲食状況との関係性に基づいて、当該利用者が排泄する排泄タイミングを予測する。
【0191】
また、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄履歴によって示される排泄状況と、当該利用者の投薬情報によって示される投薬状況との関係性に基づいて、当該利用者が排泄する排泄タイミングを予測してもよい。
【0192】
また、情報制御部137は、排泄履歴によって示される排泄状況と、飲食情報によって示される飲食状況との関係性、および、排泄履歴によって示される排泄状況と、投薬情報によって示される投薬状況との関係性を組み合わせることで、さらに精緻な排泄タイミング予測を実現することができる。例えば、情報制御部137は、「飲食が行われたタイミングに対して、どのようなタイミングで、どのような下剤をどれだけの量投与すると、投与後どれだけの間隔でどのような便質の便がどれだけの量排泄される傾向にあるか」といった排泄状況、飲食状況、下剤状況の関係性に基づいて、排泄タイミング予測することができる。
【0193】
また、情報制御部137は、処理対象の利用者について予測した排泄タイミングが、この利用者に対応する介護者に通知されるよう、排泄タイミングを示す情報をサービス提供部134に出力する。
【0194】
また、情報制御部137は、排泄履歴によって示される排泄状況に基づいて、処理対象の利用者の吸収性物品を交換すべき交換タイミングを決定してもよい。例えば、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄状況と、当該利用者の姿勢状況との関係性に基づいて、当該利用者の吸収性物品を交換すべき交換タイミングを決定する。
【0195】
例えば、処理対象の利用者について「小刻みに動いた後に排泄されやすい」といった傾向が得られている場合には、情報制御部137は、係る利用者の交換タイミングとして、小刻みに動くという体動を示したタイミングを決定する。また、例えば、処理対象の利用者について「特定の時間帯(例えば、夜間)では、排泄回数が多い、あるいは、排泄量が多い」といった傾向が得られている場合には、情報制御部137は、係る利用者の交換タイミングとして、この特定の時間帯を決定する。
【0196】
また、例えば、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄状況と、当該利用者の肌状況との関係性に基づいて、当該利用者の吸収性物品を交換すべき交換タイミングを決定してもよい。例えば、処理対象の利用者について「特定の排泄量で排泄された場合肌トラブルを起こしやすい」といった傾向が得られている場合には、情報制御部137は、係る利用者の交換タイミングとして、特定の排泄量で排泄されたタイミングを決定する。
【0197】
また、情報制御部137は、処理対象の利用者について決定した交換タイミングとなった場合には、吸収性物品の交換を促すアラートをこの利用者に対応する介護者に通知するるようサービス提供部134を制御する。
【0198】
また、情報制御部137は、排泄履歴に基づいて、どれだけの回数排尿された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排尿回数に応じた交換タイミングを決定してもよい。例えば、情報制御部137は、排泄履歴によって示される排尿量の状況に基づいて、どれだけの回数排尿された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排尿回数に応じた交換タイミングを決定する。この点について、利用者U11を例に説明する。
【0199】
例えば、情報制御部137は、利用者U11の排泄履歴に基づいて、利用者U11による1回の排尿行為あたりの平均尿量を算出する。そして、情報制御部137は、算出した平均尿量と、利用者U11が着用する吸収性物品(例えば、吸収性パッドPD1)の吸収可能量とを比較することで、利用者U11がどれだけの回数排尿した際に吸収性物品を交換すべきか、排尿回数に応じた交換タイミングを決定する。
【0200】
例えば、利用者U11による1回の排尿行為あたりの平均尿量は「100ml」であり、吸収性パッドPD1の初期状態での吸収可能量は「300ml」であるとする。係る場合、情報制御部137は、「3回」排尿されると、吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達すると判定することにより、「3回」排尿された時点を吸収性パッドPD1を交換する交換タイミングとして決定する。
【0201】
また、例えば、情報制御部137は、推定部132により利用者U11が「3回」排尿したと推定されたことにより、利用者U11が「3回」排尿したことを認識すると、交換を促すアラートを利用者U11に対応する介護者に通知するようサービス提供部134を制御する。
【0202】
なお、情報制御部137は、これまで説明してきたように、尿量と吸収性物品の吸収可能量とに基づく吸収限界に達したか否かの判断により、吸収性物品の交換に関する制御を行うのではなく、吸収性物品の濡れ具合に基づいて、交換タイミングを決定してもよい。例えば、情報制御部137は、吸収性物品が現在吸収している水分、あるいは、吸収性物品の表面(例えば、トップシート)に含まれる水分に基づいて、吸収性物品がどれだけ濡れているかを指標する濡れスコアを算出する。そして、情報制御部137は、算出した濡れスコアが所定値以上であることにより吸収性物品が十分濡れていると判断された場合には、現時点で交換タイミングになったと判定する。また、情報制御部137は、サービス提供部134に対して交換アラートを出力するよう制御する。
【0203】
また、情報制御部137は、排泄履歴と、下剤が投与されたタイミングとに基づいて、吸収性物品を交換すべき交換タイミングを決定してもよい。例えば、学習部136による学習では、「どのようなタイミングで、どのような下剤をどれだけの量投与すると、投与後どれだけの間隔でどのような便質の便がどれだけの量排泄される傾向にあるか」といった下剤状況と排泄状況との関係性が得られる場合がある。したがって、情報制御部137は、下剤が投与された利用者について、このような関係性が得られている場合には、この関係性に基づいて交換タイミングを決定する。
【0204】
また、これまで情報制御部137が排泄タイミングや交換タイミングに関する制御を行う例を示したが、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、利用者に下剤を投与する投薬タイミングを決定してもよい。例えば、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄履歴によって示される排泄状況と、当該利用者の投薬情報によって示される投薬状況との関係性に基づいて、当該利用者に下剤を投与する投薬タイミングを決定する。
【0205】
例えば、処理対象の利用者について「食事後間もない下剤投与では軟便になりやすいい」といった傾向が得られている場合には、情報制御部137は、処理対象の利用者に下剤を投与する投薬タイミングとして、食事後2時間以上の間隔を空けたタイミングを決定する。また、情報制御部137は、決定した投薬タイミングとなった場合には、投薬を促すアラートをこの利用者に対応する介護者に通知するようサービス提供部134を制御する。
【0206】
また、情報制御部137は、排泄タイミングや交換タイミングに基づいて、利用者をトイレへと誘導する誘導タイミングをさらに決定してもよい。また、情報制御部137は、利用者の不穏行動に基づいて、誘導タイミングをさらに決定することもできる。
【0207】
例えば、情報制御部137は、処理対象の利用者の姿勢情報に基づき不穏行動を検出できた場合、検出した不穏行動と当該利用者の排泄履歴とに基づいて、当該利用者に適した誘導タイミングを決定する。例えば、処理対象の利用者について「特定の時間帯に不穏行動をとる」といった傾向が得られているとする。係る場合、情報制御部137は、処理対象の利用者が排泄行為をする傾向にある時間帯のうち、不穏行動をとりやすい時間帯以外の時間帯を、当該利用者に適した誘導タイミングとして決定する。また、情報制御部137は、決定した誘導タイミングがこの利用者に対応する介護者に通知されるよう、誘導タイミングを示す情報をサービス提供部134に出力する。
【0208】
(提案、アドバイスに関する制御)
次に、情報制御部137による各種提案やアドバイスの制御について説明する。例えば、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、処理対象の利用者に適した食事内容を決定する。
【0209】
例えば、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄履歴によって示される排泄状況と、当該利用者の飲食情報によって示される飲食状況との関係性に基づいて、当該利用者に適した食事内容を決定する。例えば、処理対象の利用者について「特定の食事内容の場合には、下剤を必要としない自然排便が起こりやすい」といった傾向が得られている場合には、情報制御部137は、係る利用者に適した食事内容として、この特定の食事内容を決定する。また、情報制御部137は、決定した食事内容を、処理対象の利用者に適した食事内容として提案する提案情報を生成する。そして、情報制御部137は、これをサービス提供部134に出力することで食事提案を行うよう制御する。
【0210】
また、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、処理対象の利用者に適した吸収性物品を選択してもよい。例えば、情報制御部137は、推奨候補の吸収性物品のうち、処理対象の利用者の排泄履歴によって示される排泄量の状況に応じたスペックの吸収性物品を、処理対象の利用者に適した吸収性物品として選択する。また、情報制御部137は、選択した吸収性物品を、処理対象の利用者に適した吸収性物品として推奨する推奨情報を生成する。そして、情報制御部137は、これをサービス提供部134に出力することで最適な製品提案を行うよう制御する。この点について、利用者U11を例に説明する。
【0211】
例えば、情報制御部137は、利用者U11の排泄履歴に基づいて、所定期間(例えば、3時間)あたりの平均尿量を算出する。そして、情報制御部137は、推奨候補の吸収性物品のうち、算出した平均尿量に応じたスペックの吸収性物品を、利用者U11に適した吸収性物品として選択する。例えば、情報制御部137は、推奨候補の吸収性物品のうち、算出した平均尿量を吸収するに十分な吸収能を有する吸収性物品を、利用者U11に適した吸収性物品として選択する。また、情報制御部137は、選択した吸収性物品を利用者U11に適した吸収性物品として推奨する推奨情報を生成する。そして、情報制御部137は、生成した推奨情報をサービス提供部134に出力することで、係る推奨情報を処理対象の利用者に対応する介護士に通知するよう制御する。
【0212】
また、例えば、情報制御部137は、利用者U11の排泄履歴に基づいて、利用者U11による1回の排尿行為あたりの平均尿量を算出してもよい。係る場合、情報制御部137は、推奨候補の吸収性物品のうち、算出した平均尿量に応じたスペックの吸収性物品を、利用者U11に適した吸収性物品として選択する。例えば、情報制御部137は、平均尿量が所定値より多い場合には、推奨候補の吸収性物品のうち、一度の排尿量が多い人向けの吸収性物品を、利用者U11に適した吸収性物品として選択する。また、例えば、情報制御部137は、平均尿量が所定値より多い場合には、推奨候補の吸収性物品のうち、排尿力(尿圧)が高い人向けの吸収性物品を、利用者U11に適した吸収性物品として選択してもよい。
【0213】
また、情報制御部137は、所定の時間帯ごとに、当該時間帯において利用者に着用させるに最適な吸収性物品を選択してもよい。例えば、学習部136により、利用者U11は、昼間の時間帯では、排泄回数が少ない(あるいは、排泄量が少ない)といった傾向が得られた一方で、夜間の時間帯では、排泄回数が多い(あるいは、排泄量が多い)といった傾向が得られたとする。そうすると、情報制御部137は、利用者U11について、昼間の時間帯で着用させるに最適な吸収性物品として、薄型の吸収性物品を選択する。また、情報制御部137は、係る傾向の利用者について、夜間の時間帯で着用させるに最適な吸収性物品として、吸収能の高いの吸収性物品を選択する。
【0214】
また、情報制御部137は、昼間の時間帯では薄型の吸収性物品を利用者U11に使用してみるようアドバイスするアドバイス情報と、夜間の時間帯では吸収能の高い吸収性物品を利用者U11に使用してみるようアドバイスするアドバイス情報とを生成する。そして、情報制御部137は、生成したアドバイス情報をサービス提供部134に出力することで、係るアドバイス情報を処理対象の利用者に対応する介護士に通知するよう制御する。
【0215】
また、情報制御部137は、学習部136により学習された関係性(学習結果)であって、処理対象の利用者の排泄状況と、当該利用者の姿勢状況と、当該利用者の肌情報の関係性に基づいて、当該利用者に適した体位変換回数を決定してもよい。例えば、「体位変換回数が所定回数以下である利用者は、排泄物による肌トラブルを起こしやすい」といった傾向が得られており、処理対象の利用者には「体位変換回数が所定回数以下」という条件が当てはまるものとする。係る場合、情報制御部137は、処理対象の利用者に適した体位変換回数として、この所定回数より多い特定の回数を決定する。また、情報制御部137は、決定した回数より多くの体位変換を試みるようアドバイスするアドバイス情報を生成する。そして、情報制御部137は、生成したアドバイス情報をサービス提供部134に出力することで、係るアドバイス情報を処理対象の利用者に対応する介護士に通知するよう制御する。
【0216】
また、情報制御部137は、利用者の離床時間と、当該利用者の排泄履歴とに基づいて、当該利用者に適した離床時間を決定してもよい。例えば、情報制御部137は、利用者が普段離床している可能性が高い時間帯のうち、当該利用者が排泄しやすい時間帯を、当該利用者を離床させておく時間帯として決定する。また、情報制御部137は、決定した時間帯では利用者を離床させておくようアドバイスするアドバイス情報を生成する。そして、情報制御部137は、生成したアドバイス情報をサービス提供部134に出力することで、係るアドバイス情報をこの利用者に対応する介護士に通知するよう制御する。
【0217】
(サービス提供部134について(2))
判定部135、学習部136、情報制御部137について説明したが、サービス提供部134は、これら処理部と連携することにより、実質、以下のような処理を行う。
【0218】
サービス提供部134は、排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴に基づく所定のサービスを提供する。
【0219】
例えば、サービス提供部134は、排泄履歴に基づき、利用者の排泄状況が所定の状況であると判定された場合には、当該利用者の排泄状況が当該所定の状況にあることを示すアラートを出力させる。また、サービス提供部134は、排泄履歴に基づき予測されたタイミングであって、前利用者が排泄する排泄タイミングに関する情報を出力させる。
【0220】
また、サービス提供部134は、排泄履歴に基づき予測されたタイミングであって、利用者が排泄する排泄タイミングに関する情報を出力させる。また、サービス提供部134は、吸収性物品のうち、排泄履歴によって示される排泄量の状況に応じたスペックの吸収性物品を、利用者に使用することが推奨される推奨製品として提案する。また、サービス提供部134は、排泄履歴によって示される排尿量の状況に基づき決定された交換時期であって、どれだけの回数排尿された際に吸収性物品を交換すべきであるか、排尿回数に応じた交換時期を提案する。
【0221】
また、サービス提供部134は、排便情報および前記排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に関する利用者情報とに基づく所定のサービスを提供する。
【0222】
例えば、サービス提供部134は、排泄履歴と、利用者が摂取した飲食物に関する飲食情報とに基づく所定のサービスを提供する。例えば、サービス提供部134は、排泄履歴によって示される排泄状況と、飲食情報によって示される飲食状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行う。
【0223】
また、サービス提供部134は、排泄履歴と、利用者への投薬に関する投薬情報とに基づく所定のサービスを提供する。例えば、サービス提供部134は、排泄履歴によって示される排泄状況と、投薬情報によって示される投薬状況との間で所定の関係性が得られた場合には、当該関係性に応じた提案を行う。
【0224】
また、利用者に対応する所定のセンサ(例えば、ジャイロセンサ、GPSセンサ、温湿度センサなど)により検出されたセンサ情報(例えば、運動量履歴、姿勢履歴、体動履歴)を活用した情報提案についても説明した。一方で、実施形態に係る情報処理装置100は、センサ情報(例えば、運動量履歴、姿勢履歴、体動履歴)を活用することにより、以下に説明するようなサービス提供を行うこともできる。この詳細について、評価部138や決定部139を用いて説明する。
【0225】
(評価部138について)
例えば、サービス提供部134は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、利用者に対応する所定のセンサにより検出された情報であるセンサ情報とに基づく所定のサービスをさらに提供する。ここで、評価部138は、排泄履歴と、センサ情報として利用者の運動量を示す運動情報とに基づいて、利用者の状態を評価する。例えば、評価部138は、運動情報が示す運動量の変化に応じて利用者の排泄状況がどれだけ改善したかを指標するスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、利用者への運動の必要性または利用者の健康状態を評価する。そして、サービス提供部134は、評価部138による評価結果を提供する。この点について、利用者U11を例に説明する。
【0226】
例えば、評価部138は、利用者情報記憶部121から、利用者ID「U11」に対応付けられる「排泄履歴」(排泄履歴♯11)と、利用者ID「U11」に対応付けられる「運動量履歴」(運動量履歴♯11)を抽出する。そして、評価部138は、排泄履歴♯11によって示される運動量の変化に応じて、排泄履歴♯11によって示される利用者U11の排泄状況がどれだけ改善したかを指標する体調スコアを算出する。
【0227】
ここで、体が不自由な要介護者であっても、適度な運動がなされた場合には、適度な空腹状態となることで十分な食事が摂られ、そして、健康的な固さ状態、かつ、適度な量の便が下剤なしに自然排便される、という良好なサイクルに向かう可能性が高い。このようなサイクル指標に基づき、例えば、評価部138は、運動量履歴♯11によって示される運動量の変化と、排泄履歴♯11によって示される便の状態(便質)との関係性に基づいて、体調スコアを算出する。
【0228】
例えば、評価部138は、運動量履歴♯11によって示される運動量の変化がより上昇傾向を示すことに応じて、排泄履歴♯11によって示される便の状態が柔らかい状態から通常の固さの状態へと戻ってきている程、高い体調スコアを算出する。また、例えば、評価部138は、運動量履歴♯11によって示される運動量の変化がより上昇傾向を示すことに応じて、排泄履歴♯11によって示される便の量が増加している程、高い体調スコアを算出する。また、評価部138は、これら2つの体調スコアを掛け合わせることで、最終的な体調スコアを算出する。また、係るスコア算出例は一例であり、評価部138は、摂取した食事の内容、摂取量、排便間隔などをさらに要素に加えて体調スコアを算出してもよい。
【0229】
そして、評価部138は、算出した体調スコアに基づいて、利用者U11への運動の必要性または利用者U11の健康状態を評価する。例えば、評価部138は、体調スコアに基づいて、利用者U11がどれだけ運動をする必要があるか必要度を算出し、算出した必要度に基づいて、利用者U11への運動の必要性を評価する。また、評価部138は、体調スコアに基づいて、利用者U11がどれだけ健康であるかを指標する健康度を算出し、算出した健康度に基づいて、利用者U11の健康状態を評価する。
【0230】
そして、サービス提供部134は、評価部138による評価結果を、利用者U11に対応する介護者に通知する。例えば、サービス提供部134は、評価部138による評価結果を、介護施設FA1の施設装置30に送信する。
【0231】
このような情報処理装置100によれば、利用者に必要な運動量や、利用者の現在の健康状態を介護者に対して容易に認識させることができるため、介護者にどのようなケアが必要であるかを効果的に検討させることができる。また、このような情報処理装置100によれば、運動量を増やすことで利用者が食事や排便を自然に行える状態に向かう可能性があるか否かの指標を与えることができるため、介護者が適切なケアを行えるようサポートすることができる。
【0232】
また、サービス提供部134は、評価部138による評価結果を、利用者へのケアを依頼している依頼者に提供してもよい。上記例の場合、サービス提供部134は、評価部138による評価結果を、介護施設FA1に対して利用者U11へのケアを依頼している依頼者(例えば、利用者U11の保護者的な立場の人物で、利用者U11の身内などが該当する)に提供する。例えば、係る依頼者の有する端末装置(携帯電話端末)が判明している場合には、サービス提供部134は、評価部138による評価結果をこの端末装置に送信する。
【0233】
このような情報処理装置100によれば、施設でのケアにより利用者の健康状態がどのように変化してきているのか(例えば、悪化してきているのか、改善してきているのか)を依頼者に把握させることができるため、施設への預け方について効果的に検討させることができる。
【0234】
(決定部139について)
決定部139は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴と、センサ情報として利用者の姿勢を示す姿勢情報から推定された当該利用者の睡眠状況とに基づいて、当該利用者をトイレへと誘導するタイミングを決定する。この点について、利用者U11を例に説明する。
【0235】
例えば、決定部139は、利用者情報記憶部121から、利用者ID「U11」に対応付けられる「排泄履歴」(排泄履歴♯11)と、利用者ID「U11」に対応付けられる「姿勢履歴」(姿勢履歴♯11)を抽出する。そして、決定部139は、睡眠中の排泄がどれだけ睡眠の深さに悪影響を与えているかといった視点から、この睡眠の深さを指標する睡眠度を算出する。例えば、決定部139は、姿勢履歴♯11によって示される睡眠中の姿勢や体動の状況と、排泄履歴♯11によって示される睡眠中の排泄状況との関係性に基づいて、排泄行為や排泄物が睡眠の深さに悪影響を与えている程、低い睡眠度を算出する。
【0236】
そして、決定部139は、算出した睡眠度が所定の基準値より低い場合には、排泄行為や排泄物が睡眠の深さに悪影響を与えていると判断し、利用者U11は睡眠の前に確実に排泄しておく必要があるといったように、睡眠前での排泄行為の必要性が高いことを判断する。また、決定部139は、睡眠前での排泄行為の必要性が高いと判断した場合には、利用者U11をトイレへと誘導するタイミングとして、例えば、「睡眠に入る前の1時間以内のタイミング」を決定する。
【0237】
また、サービス提供部134は、決定部139により決定された誘導タイミングを、利用者U11に対応する介護者に通知する。例えば、サービス提供部134は、決定部139により決定された誘導タイミングを、介護施設FA1の施設装置30に送信する。
【0238】
このような情報処理装置100によれば、利用者の排泄サイクルをより良い眠りにつながるような排泄サイクルへと改善させることができるようになる。
【0239】
〔6.処理手順〕
次に、
図8および
図9を用いて、実施形態に係る情報処理の手順について説明する。
図8では、実施形態に係る情報処理の全体的な処理の手順について説明する。
図9では、実施形態に係る情報処理のうち、排泄行為が行われたか否かを推定する推定処理の詳細な手順について説明する。
【0240】
なお、
図8および
図9では、吸収性物品は、
図1および
図2で説明した吸収性パッドPD1であるものとして説明する。また、吸収性パッドPD1には、上層においてカーボン電極ER11およびER12が対(上層電極ER1112)で存在し、下層においてカーボン電極ER21およびER22(下層電極ER2122)が対で存在する。
【0241】
また、吸収性パッドPD1には、
図2に示すようにデバイスDVxが取付けられている。したがって、デバイスDVxが取付けられることによりデバイスDVxと上層電極ER1112とで「上層センサSNx」構成されている。そして、上層センサSNxは、カーボン電極ER11およびER12間での電気的特性値(静電容量、電気抵抗)を検出(センシング)する。
【0242】
また、デバイスDVxが取付けられることによりデバイスDVxと下層電極ER2122とで「下層センサSNy」構成されている。そして、下層センサSNyは、カーボン電極ER21およびER22間での電気的特性値(静電容量、電気抵抗)を検出(センシング)する。
【0243】
〔6-1.処理手順(1)〕
まず、
図8を用いて、実施形態に係る情報処理の全体的な手順について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
【0244】
受信部131は、吸収性パッドPD1内での電気的特性値(センシング結果)をデバイスDVxから随時受信(取得)し、受信した電気的特性値を履歴としてセンシング情報記憶部122に格納する(ステップS101)。具体的には、受信部131は、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗と、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗とをそれぞれ個別に取得する。そして、受信部131は、上層センサSNx、下層センサSNyそれぞれから受信した各利用者の静電容量を静電容量の履歴としてセンシング情報記憶部122に格納する。また、受信部131は、上層センサSNx、下層センサSNyそれぞれから受信した各利用者の電気抵抗を電気抵抗の履歴としてセンシング情報記憶部122に格納する。
【0245】
そして、推定部132は、受信部131により電気的特性値が取得される度に、これまでに蓄積されている利用者ごとの電気的特性値の履歴に基づき、利用者ごとに、排便または排尿のうち少なくともいずれかの排泄行為が行われたか否かを推定する(ステップS102)。具体的には、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、下層センサSNyにより検出された静電容量および電気抵抗に変化があったか否か、そして変化があった電気的特性値について、時間経過に応じてどのような変化の挙動が示されたか、といった3要素の検出を行う。そして、推定部132は、検出結果に基づいて、排便または排尿のうち少なくともいずれかの排泄行為が行われたか否かを総合的に推定する。係る推定処理の詳細については
図9で説明する。
【0246】
このような状態において、取得部133は、推定部132による推定処理の推定結果に基づいて、排泄行為が行われたか否かを判定する(ステップS103)。取得部133により排泄行為が行われていないと判定されている間は(ステップS103;No)、情報処理層と100は、ステップS101からステップS102の処理を繰り返す。
【0247】
一方、取得部133は、排泄行為が行われたと判定した場合には(ステップS103;Yes)、推定結果に応じた排便情報と、排尿情報とを個別に取得する(ステップS104)。具体的には、取得部133は、排便または排尿のうち少なくともいずれの排泄行為が行われたかといった実際の推定結果を個別に取得する。例えば、取得部133は、排便されたか否かを示す排便情報と、排尿されたか否かを示す排尿情報とを個別に取得する。
【0248】
次に、サービス提供部134は、取得部133により取得された排便情報(排便検知結果)と、排尿情報(排尿検知結果)との組合せによって満たされる条件に応じたサービスを特定する(ステップS105)。例えば、サービス提供部134は、条件テーブル記憶部124を参照し、取得された排便情報と排尿情報との組合せによって満たされる条件が存在すると判定した場合には、係る条件に対応付けられるサービスを提供対象のサービスとして特定する。
【0249】
そして、サービス提供部134は、排泄行為を行ったと推定された利用者に対応する介護者に対して、特定したサービスを提供する(ステップS106)。例えば、サービス提供部134は、サービス「交換アラート」を特定した場合には、排泄行為を行ったと推定された利用者に対応する介護者に対して、係る利用者の吸収性物品(吸収性パッドPD1)の交換を促すアラートを通知するというサービスを提供する。例えば、サービス提供部134は、排泄行為を行ったと推定された利用者に対応する施設装置30あるいは個人装置10に対して、係る利用者の吸収性パッドPD1の交換を促すアラートを出力するよう制御する。
【0250】
〔6-2.処理手順(2)〕
次に、
図9を用いて、実施形態に係る推定処理の詳細な手順について説明する。
図9は、排泄行為が行われたか否かを推定する推定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。なお、
図9に示す推定処理は、
図2(c)で説明した推定ロジックに基づくものである。また、
図9では、利用者U11について、排泄行為が行われたか否かが推定される場合を例に挙げる。
【0251】
また、
図9の例では、吸収性パッドPD1内での電気的特性値であって、上層センサSNxおよび下層センサSNyそれぞれによって検出された電気的特性値が、受信部131により随時取得されている。また、受信部131は、取得した電気的特性値を履歴としてセンシング情報記憶部122に格納している。
【0252】
このような状態において、推定部132は、下層センサSNyにより検出された静電容量の履歴に基づいて、下層センサSNyにより検出された静電容量に変化が生じたか否かを判定する(ステップS201)。推定部132は、下層センサSNyにより検出された静電容量に変化が生じていないと判定した場合には(ステップS201;No)、上層センサSNxにより検出された静電容量の履歴に基づいて、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇(例えば、急上昇)するという挙動を示しているか否かを判定する(ステップS202)。
【0253】
推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇するという挙動を示していないと判定した場合には(ステップS202;No)、利用者U11が排泄行為を行っていないと推定し(ステップS301)、ステップS201に戻る。
【0254】
一方、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇(例えば、急上昇)するという挙動を示したと判定した場合には(ステップS202;Yes)、上昇した後にさらに時間経過に応じて初期の低い値へと戻りこの値を維持するという挙動を示しているか否かを判定する(ステップS302)。
【0255】
推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、上昇した後にさらに時間経過に応じて初期の低い値へと戻りこの値を維持するという挙動を示していないと判定した場合には(ステップS302;No)、利用者U11が排便したと推定する(ステップS303)。換言すると、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、上昇した後上昇後の値を維持するという挙動を示した判定した場合には、利用者U11が排便したと推定する。
【0256】
また、このように推定部132により利用者U11が排便したと推定された場合には、取得部133は、利用者U11が排便したことを示す排便情報と、利用者U11が排尿していないことを示す排尿情報とを個別に取得する(ステップS304)。また、係る場合、サービス提供部134は、条件テーブル記憶部124を参照し、「排便あり」および「排尿なし」の組合せで満たされる条件が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合にはこの組合せに応じたサービスを提供対象のサービスとして特定する(ステップS305)。
【0257】
そして、サービス提供部134は、利用者U11に対応する介護者に対して、特定したサービスを提供する(ステップS501)。
【0258】
一方、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、上昇した後にさらに時間経過に応じて初期の低い値へと戻りこの値を維持するという挙動を示したと判定した場合には(ステップS302;Yes)、利用者U11が排尿したと推定する(ステップS306)。一方で、以下に示すように、推定部132は、下層センサSNyにより検出された電気抵抗の変化や変化の挙動を組み合わせることで、排尿されたか否かをさらに高精度に推定することができる。
【0259】
具体的には、ステップS201に戻り、推定部132は、下層センサSNyにより検出された静電容量に変化が生じたと判定した場合には(ステップS201;Yes)、上層センサSNxにより検出された静電容量の履歴に基づいて、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇(例えば、急上昇)するという挙動を示しているか否かを判定する(ステップS203)。
【0260】
推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇するという挙動を示していないと判定した場合には(ステップS203;No)、利用者U11が排尿したと推定する(ステップS306)。係る例では、上層センサSNxにより検出された静電容量には変化が生じていないものの、下層センサSNyにより検出された静電容量には変化が生じていることになる。
【0261】
例えば、排尿されたが尿量が非常にわずかといった場合には、上層センサSNxにより検出された静電容量と、下層センサSNyにより検出された静電容量との間においてこのような変化の関係性が生じる場合がある。したがって、推定部132は、ステップS306では、ステップS203からS306へと処理を進めた場合には、超低量の尿が排尿されたと推定することができる。
【0262】
また、一方、推定部132は、上層センサSNxにより検出された静電容量が、時間経過に応じて初期の低い値から高い値へと上昇するという挙動を示したと判定した場合には(ステップS203;Yes)、下層センサSNyにより検出された電気抵抗が、初期の高い値を示していた状態から時間経過に応じて低下(例えば、急低下)し、低下した後さらに時間経過に応じて一定の値まで上昇(回復)しこの値を維持するという挙動を示しているか否かを判定する(ステップS204)。
【0263】
推定部132は、下層センサSNyにより検出された電気抵抗が、初期の高い値を示していた状態から時間経過に応じて低下(例えば、急低下)し、低下した後さらに時間経過に応じて一定の値まで上昇(回復)しこの値を維持するという挙動を示していないと判定した場合には(ステップS204;No)、利用者U11の体動に関する情報をさらに組み合わせて、排泄行為が行われたか否かを推定することができる(ステップS401)。
【0264】
一方、推定部132は、下層センサSNyにより検出された電気抵抗が、初期の高い値を示していた状態から時間経過に応じて低下(例えば、急低下)し、低下した後さらに時間経過に応じて一定の値まで上昇(回復)しこの値を維持するという挙動を示したと判定した場合には(ステップS204;Yes)、利用者U11が排尿したと推定する(ステップS205)。
【0265】
次に、推定部132は、利用者U11が排尿したと推定したことにより、排尿された尿の量(尿量)を推定し、推定した尿量に基づいて、今回の排尿により吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したか否かを推定する(ステップS206)。例えば、推定部132は、電気抵抗が時間経過に応じて一定の値まで上昇する際の上昇度合い(回復度合い)、または、下層センサSNyにより検出された現時点での静電容量に基づいて、尿量を推定することができる。
【0266】
推定部132は、吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達していないと推定した場合には(ステップS206;No)、吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したと推定できるまでステップS204からの処理を繰り返す。
【0267】
一方、取得部133は、推定部132により吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したと推定された場合には(ステップS206;Yes)、利用者U11が排便していないことを示す排便情報と、利用者U11が排尿したことを示す排尿情報とを個別に取得する(ステップS207)。また、取得部133は、吸収性パッドPD1の吸収可能量が吸収限界に達したことを示す情報もさらに取得する。
【0268】
また、係る場合、サービス提供部134は、条件テーブル記憶部124を参照し、「排便なし」、「排尿あり」、「排尿により吸収限界に到達」という組合せによって満たされる条件が存在するか否かを判定し、存在する場合にはこの組合せに応じたサービスを提供対象のサービスとして特定する(ステップS208)。
【0269】
そして、サービス提供部134は、利用者U11に対応する介護者に対して、特定したサービスを提供する(ステップS501)。
【0270】
〔7.その他の実施形態〕
上記実施形態に係る情報処理装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。例えば、上記実施形態では、上層センサSNxおよび下層センサSNyから得られた検出結果に基づき、推定部132により推定された排泄検知の履歴(すなわち排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴)に基づいて、情報制御部137が、排泄タイミングや交換タイミングを決定する例を示した。また、情報制御部137が、排泄タイミングや交換タイミングに基づいて、利用者をトイレへと誘導する誘導タイミングを決定する例を示した。
【0271】
しかし、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、利用者のうち、実際にトイレへと誘導する誘導対象者を選定(決定)してもよい。例えば、情報制御部137は、排便情報および排尿情報から得られた排泄履歴に基づいて、利用者ごとに、当該利用者の排泄制御に関する能力を推定する。そして、情報制御部137は、推定結果に基づいて、利用者ごとに、一定以上の排泄制御能力を有するか否かを判定する。そして、情報制御部137は、一定以上の排泄能力を有する利用者について、トイレへと誘導すればトイレにて自立排泄できる可能性のあるトイレ排泄可能者として判定する。また、情報制御部137は、利用者のうちトイレ排泄可能者として判定された利用者を、トイレへと誘導する誘導対象者として選定する。
【0272】
例えば、情報制御部137は、排泄履歴に基づいて、利用者の蓄尿能力(排泄制御に関する能力の一例)を推定する。一例として、情報制御部137は、排泄履歴に基づいて、利用者の膀胱機能をスコアで評価し、所定値以上のスコアを示した利用者を対象に、排泄制御能力を有すると判定することで、係る利用者をトイレ排泄可能者として判定する。
【0273】
例えば、情報制御部137は、1日あたりの排尿回数(排尿頻度)が所定回数より少ないか否かに基づいて、排泄制御能力を有するか否かを判定する。例えば、情報制御部137は、1日あたりの排尿回数(排尿頻度)が所定回数(例えば、7回)より少ない利用者については、膀胱機能が正常に機能している(利用者の意思に応じて排尿を制御する能力を有する)との観点から、排泄制御能力を有する(膀胱が正常に機能しているため蓄尿能力を有する)と判定することで、係る利用者をトイレ排泄可能者として判定する。
【0274】
そして、情報制御部137は、トイレ排泄可能者として判定した利用者を、トイレへと誘導する誘導対象者として選定する。
【0275】
また、先の例によると、情報制御部137は、利用者をトイレへと誘導する誘導タイミングを決定するため、例えば、誘導対象者として選定した利用者について決定した誘導タイミングのみを、介護者に提示してもよい。
【0276】
このように、情報制御部137は、排泄履歴に基づき誘導タイミングを決定するだけでなく、自立排泄を目指してトイレへと誘導する意味のある利用者であるか否か、この自立排泄できる可能性を膀胱による蓄尿能力の点から判定する。このような情報処理装置100によれば、介護者は、自立排泄できる可能性のある利用者に絞ってトイレへと誘導することができるため、自立排泄よりも吸収性物品内での排泄の方が適切であると考えられる利用者までトイレ誘導しなければならないことによる負担を削減することができる。
【0277】
〔8.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0278】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0279】
〔9.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図10は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、キャッシュ1040、メモリ1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
【0280】
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
【0281】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0282】
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
【0283】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
【0284】
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現することとなる。
【符号の説明】
【0285】
1 情報処理システム
10 個人装置
30 施設装置
100 情報処理装置
120 記憶部
121 利用者情報記憶部
122 センシング情報記憶部
123 施設情報記憶部
124 条件テーブル記憶部
130 制御部
131 受信部
132 推定部
133 取得部
134 サービス提供部
135 判定部
136 学習部
137 情報制御部
138 評価部
139 決定部
DVx デバイス