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特許7394110充電可能電池状態検出装置および充電可能電池状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】充電可能電池状態検出装置および充電可能電池状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/367 20190101AFI20231130BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20231130BHJP
   G01R 31/388 20190101ALI20231130BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231130BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01R31/367
G01R31/3842
G01R31/388
H01M10/48 P
H02J7/00 X
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021502394
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008287
(87)【国際公開番号】W WO2020175667
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019037067
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岩根 典靖
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悦蔵
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勇一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和義
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224919(JP,A)
【文献】特開2018-179710(JP,A)
【文献】特開2002-071769(JP,A)
【文献】特開2005-043339(JP,A)
【文献】特開2018-169183(JP,A)
【文献】特開2017-181326(JP,A)
【文献】特開2010-286445(JP,A)
【文献】米国特許第05670861(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/36-31/44、
H02J 7/00-7/12、
7/34-7/36、
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能電池の状態を検出する充電可能電池状態検出装置において、
1または複数のプロセッサと、
1または複数の前記プロセッサと通信可能に接続された1または複数のメモリと、を有し、
1または複数のプロセッサは、1または複数の前記メモリに格納された命令群を読み取り、
電圧検出部および電流検出部から出力される信号に基づいて前記充電可能電池の電圧および電流を検出する検出処理、
前記充電可能電池の充放電の停止後に、前記検出処理によって異なる時間に検出される複数の電圧値を記憶する記憶処理、
前記記憶処理によって記憶された複数の電圧値に対して、所定の関数の係数を調整することでフィッティングするフィッティング処理、
前記フィッティングによって係数が調整された関数に基づいて開回路電圧を算出する算出処理、
前記検出処理によって検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記所定の閾値以上の変動が検出されるまでに前記検出処理によって検出された電圧値であり、かつ前記記憶処理によって記憶されている複数の電圧値の少なくとも一部を棄却する棄却処理、を実行することを特徴とする充電可能電池状態検出装置。
【請求項2】
前記関数は、1または複数の項を有する指数減衰関数または反比例関数であることを特徴とする請求項1に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項3】
前記棄却処理は、前記検出処理によって検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記記憶処理によって記憶されている複数の電圧値の全てを棄却することを特徴とする請求項1または2に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項4】
前記関数は、1または複数の項を有する指数減衰関数であり、前記棄却処理によって電圧値の全てが棄却された後に電圧値の記憶を再開する場合には、その時点の経過時間に応じて、指数減衰関数の項数を減少させることを特徴とする請求項3に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項5】
前記棄却処理による棄却が実行されたことで、所定の期間以上前記開回路電圧の算出ができない場合には、前記棄却処理の前記閾値が大きくなるように調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項6】
前記開回路電圧に基づいて前記充電可能電池の充電率を計算し、得られた充電率に基づいて前記充電可能電池の充電制御を自身が実行するか、または、外部のECUに実行させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項7】
前記記憶処理は、前記充電可能電池の充放電の停止後に前記検出処理によって検出される電圧値の検出回数を記録し、
前記棄却処理による棄却が実行される場合には、前記検出回数がゼロリセットされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項8】
前記フィッティング処理は、所定の個数以上の電圧値に対して行われ、
前記棄却処理によって棄却される電圧値は前記所定の個数に含まれないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項9】
前記記憶処理によって記憶されている電圧値が前記所定の個数以上になる前に、電圧値の所定の閾値以上の変動が所定の回数以上繰り返された場合には、前記充電可能電池の状態の検出を停止することを特徴とする請求項8に記載の充電可能電池状態検出装置。
【請求項10】
充電可能電池の状態を検出する充電可能電池状態検出方法において、
電圧検出部および電流検出部から出力される信号に基づいて前記充電可能電池の電圧および電流を検出する検出ステップと、
前記充電可能電池の充放電の停止後に、前記検出ステップにおいて異なる時間に検出される複数の電圧値をメモリに記憶させる記憶ステップと、
前記メモリに記憶された複数の電圧値に対して、所定の関数の係数を調整することでフィッティングするフィッティングステップと、
前記フィッティングによって係数が調整された関数に基づいて開回路電圧を算出する算出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記所定の閾値以上の変動が検出されるまでに前記検出ステップにおいて検出された電圧値であり、かつ前記メモリに記憶されている複数の電圧値の少なくとも一部を棄却する棄却ステップと、
を有することを特徴とする充電可能電池状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能電池状態検出装置および充電可能電池状態検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、充電可能電池に対する充放電が停止された後に、充電可能電池の電圧を複数回測定し、所定の関数を用いてフィッティングすることで、比較的短時間の間に開回路電圧(SOV:Open Circuit Voltage)を推定し、推定した開回路電圧に基づいて、充電率(SOC:State of Charge)を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-43339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器を多数搭載した昨今の車両等の場合、これら複数の電子機器がそれぞれ独自に動作するため、車両が停止した状態であっても暗電流の値が時間に応じて変動する。このような場合、本来の分極の時間に応じた電圧変化挙動以外に、電流による電圧変動が重畳されてしまい、開回路電圧を正しく推定することが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、暗電流の影響によらず、開回路電圧を正確に推定することが可能な充電可能電池状態検出装置および充電可能電池状態検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、充電可能電池の状態を検出する充電可能電池状態検出装置において、1または複数のプロセッサと、1または複数の前記プロセッサと通信可能に接続された1または複数のメモリと、を有し、1または複数のプロセッサは、1または複数の前記メモリに格納された命令群を読み取り、電圧検出部および電流検出部から出力される信号に基づいて前記充電可能電池の電圧および電流を検出する検出処理、前記充電可能電池の充放電の停止後に、前記検出処理によって異なる時間に検出される複数の電圧値を記憶する記憶処理と、前記記憶処理に記憶された複数の電圧値に対して、所定の関数の係数を調整することでフィッティングするフィッティング処理、前記フィッティング処理によって係数が調整された関数に基づいて開回路電圧を算出する算出処理、前記検出処理によって検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記記憶処理によって記憶されている複数の電圧値の少なくとも一部を棄却する棄却処理、を実行することを特徴とする。
暗電流の影響によらず、開回路電圧を正確に推定することが可能となる。
【0007】
また、本発明は、前記関数は、1または複数の項を有する指数減衰関数または反比例関数であることを特徴とする。
このような構成によれば、簡単な計算で精度よく開回路電圧を求めることができる。
【0008】
また、本発明は、前記棄却処理は、前記検出処理によって検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記記憶処理によって記憶されている複数の電圧値の全てを棄却することを特徴とする。
このような構成によれば、全ての電圧値を棄却することで、補間処理等を必要としないため、処理を簡易化することができる。
【0009】
また、本発明は、前記関数は、1または複数の項を有する指数減衰関数であり、前記棄却処理によって電圧値の全てが棄却された後に電圧値の記憶を再開する場合には、その時点の経過時間に応じて、指数減衰関数の項数を減少させることを特徴とする。
このような構成によれば、再開されたタイミングに応じて、適切な項数を設定することができる。
【0010】
また、本発明は、前記棄却処理による棄却が実行されたことで、所定の期間以上前記開回路電圧の算出ができない場合には、前記棄却処理の前記閾値が大きくなるように調整することを特徴とする。
このような構成によれば、適切な閾値を選択することができる。
【0011】
また、前記開回路電圧に基づいて前記充電可能電池の充電率を計算し、得られた充電率に基づいて前記充電可能電池の充電制御を自身が実行するか、または、外部のECUに実行させることを特徴とする。
このような構成によれば、開回路電圧に基づいて計算された充電率に基づいて正確な充放電制御を実行することができる。
【0012】
また、前記記憶処理は、前記充電可能電池の充放電の停止後に前記検出処理によって検出される電圧値の検出回数を記録し、前記棄却処理による棄却が実行される場合には、前記検出回数がゼロリセットされることを特徴とする。
このような構成によれば、棄却処理を実施した場合にも適正に開回路電圧を計算可能となる。
【0013】
また、前記フィッティング処理は、所定の個数以上の電圧値に対して行われ、前記棄却処理によって棄却される電圧値は前記所定の個数に含まれないことを特徴とする。
このような構成によれば、棄却処理を実施した場合にも電圧のデータ数が減少することなく開回路電圧計算の精度を維持することが可能となる。
【0014】
また、前記記憶処理によって記憶されている電圧値が所定の個数以上になる前に、電圧値の所定の閾値以上の変動が所定の回数以上繰り返された場合には、前記充電可能電池の状態の検出を停止することを特徴とする。
このような構成によれば、棄却処理の繰り返しによる無駄な処理の発生を最小限とすることができる。
【0015】
また、本発明は、充電可能電池の状態を検出する充電可能電池状態検出方法において、電圧検出部および電流検出部から出力される信号に基づいて前記充電可能電池の電圧および電流を検出する検出ステップと、前記充電可能電池の充放電の停止後に、前記検出ステップにおいて異なる時間に検出される複数の電圧値をメモリに記憶させる記憶ステップと、前記メモリに記憶された複数の電圧値に対して、所定の関数の係数を調整することでフィッティングするフィッティングステップと、前記フィッティングによって係数が調整された関数に基づいて開回路電圧を算出する算出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された電流値または電圧値が所定の閾値以上変動した場合には、前記メモリに記憶されている複数の電圧値の少なくとも一部を棄却する棄却ステップと、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、暗電流の影響によらず、開回路電圧を正確に推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、暗電流の影響によらず、開回路電圧を正確に推定することが可能な充電可能電池状態検出装置および充電可能電池状態検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る充電可能電池状態検出装置の構成例を示す図である。
図2図1の制御部の詳細な構成例を示すブロック図である。
図3】充放電停止後における充電可能電池の電圧および電流の変化を示す図である。
図4】本発明の実施形態において、エンジンが停止された場合に実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5図4に示す端子電圧V(n)の測定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】電圧測定タイミングと指数減衰関数の項数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る充電可能電池状態検出装置を有する車両の電源系統を示す図である。この図において、充電可能電池状態検出装置1は、制御部10を主要な構成要素とし、電圧検出部である電圧測定部11、電流検出部である電流測定部12、温度検出部である温度測定部13、および、放電回路15が外部に接続され、充電可能電池14の状態を検出する。なお、制御部10、電圧測定部11、電流測定部12、温度測定部13、および、放電回路15を別々の構成とするのではなく、これらの一部または全てをまとめた構成としてもよい。
【0020】
ここで、制御部10は、電圧測定部11、電流測定部12、および、温度測定部13からの出力を参照し、充電可能電池14の状態を検出して検出結果の情報を外部に出力するとともに、オルタネータ16の発電電圧を制御することで充電可能電池14の充電状態を制御する。なお、制御部10がオルタネータ16の発電電圧を制御することで充電可能電池14の充電状態を制御するのではなく、例えば、図示しないECU(Electric Control
Unit)(外部の制御部)が制御部10からの情報に基づいて充電状態を制御するようにしてもよい。
【0021】
電圧測定部11は、充電可能電池14の端子電圧を検出し、制御部10に電圧信号として供給する。電流測定部12は、充電可能電池14に流れる電流を検出し、制御部10に電流信号として供給する。
【0022】
温度測定部13は、充電可能電池14の電解液または充電可能電池14の周囲の温度(例えば、絶対温度)を検出し、制御部10に温度信号として供給する。温度測定部13としては、例えば、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対、IC(Integrated Circuit)温度測定部を使用することができる。なお、赤外線を感知する赤外線測定部を用いるようにしてもよい。
【0023】
放電回路15は、例えば、直列接続された半導体スイッチおよび抵抗素子等によって構成され、制御部10の制御に応じて半導体スイッチをオン/オフすることで、充電可能電池14を所望の波形にて放電させることができる。
【0024】
オルタネータ16は、エンジン17によって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、充電可能電池14を充電する。オルタネータ16は、制御部10によって制御され、発電電圧を調整することが可能とされている。
【0025】
エンジン17は、例えば、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等のレシプロエンジンまたはロータリーエンジン等によって構成され、スタータモータ18によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し、車両に推進力を与えるとともに、オルタネータ16を駆動して電力を発生させる。スタータモータ18は、例えば、直流電動機によって構成され、充電可能電池14から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン17を始動する。なお、エンジン17の代わりに、電気モータを使用するようにしてもよい。
【0026】
負荷19は、例えば、電動ステアリングモータ、デフォッガ、シートヒータ、イグニッションコイル、カーオーディオ、および、カーナビゲーション等によって構成され、充電可能電池14から供給される電力によって動作する。なお、図1の例では、エンジン17のみが駆動力を出力する構成としたが、例えば、エンジン17をアシストする電動モータを具備したハイブリッド車であってもよい。ハイブリッド車の場合、充電可能電池14は、リチウム電池等によって構成される高圧システム(電動モータを駆動するシステム)を起動し、高圧システムがエンジン17を始動する。
【0027】
図2は、図1に示す制御部10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、制御部10は、例えば、1チップのマイコンであり、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c、通信部10d、I/F(Interface)10e、および、バス10fを有している。ここで、CPU10aは、ROM10bに格納されているプログラム10baに基づいて各部を制御する。ROM10bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム10ba等を格納している。RAM10cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム10baを実行する際に生成されるデータや、テーブル等のデータ10caを格納する。通信部10dは、上位の装置であるECU等との間で通信を行い、検出した情報または制御情報を上位装置に通知する。I/F10eは、電圧測定部11、電流測定部12、および、温度測定部13から供給される電圧信号、電流信号、および、温度信号をデジタル信号に変換して取り込むとともに、放電回路15、オルタネータ16、および、スタータモータ18等に駆動電流を供給してこれらを制御する。バス10fは、CPU10a、ROM10b、RAM10c、通信部10d、および、I/F10eを相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。なお、オルタネータ16、および、スタータモータ18等の制御は、ECUが実行するようにしてもよい。図1の構成には限定されない。
【0028】
なお、図2の例では、CPU10a、ROM10b、および、RAM10cをそれぞれ1つずつ有するようにしたが、これらを複数有するようにしてもよい。また、1または複数のCPU10aが、1または複数のROM10b、及び、RAM10cに格納された命令群を読み取るようにしてもよい。また、複数のCPUによって分散処理を実行するようにしてもよい。また、CPU10aの代わりに、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成するようにしてもよい。あるいは、ソフトウエアプログラムを読み込むことで機能を実行する汎用プロセッサまたはクラウドコンピューティングによりサーバー上のコンピュータで処理が行われるようにしてもよい。また、図2では、ROM10bおよびRAM10cを有するようにしているが、例えば、これら以外の記憶装置(例えば、磁気記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive))を用いるようにしてもよい。
【0029】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態の動作について説明した後、このような動作を実現するためのフローチャートの処理について説明する。
【0030】
まず、本発明の実施形態の動作の概略について説明する。充電可能電池14の充電状態を制御する場合、充電率であるSOCに基づいてオルタネータ16を制御する必要がある。このため、充電可能電池14が過充電になったり、過放電になったりしないように適切な状態に保つためには、正確なSOCを知る必要がある。
【0031】
SOCは、開回路電圧であるOCVとの相関があることから、OCVを正確に求めることで、正確なSOCを得ることができる。ところで、車両が動作している場合には、充電および放電が繰り返されることから分極が生じ、この分極の影響で正確なOCVを求めることが困難となる。分極が解消するには、エンジン17が停止されてから、例えば、十数時間から数日という極めて長い期間を要することから、車両が毎日使用されるような使用態様においては、正確なOCVを測定することが困難である。
【0032】
そこで、本実施形態では、車両のエンジン17が停止されて、充電可能電池14が安定状態になった場合に、充電可能電池14の電圧を複数回測定し、測定した電圧を所定の関数でフィッティング(係数を調整)することで、OCVを推定する。そして、推定したOCVとSOCとの相関関係から、正確なSOCを求め、求めた正確なSOCに基づいて充電可能電池14の充放電制御を実行する。
【0033】
ところで、車両に搭載される充電可能電池14では、エンジン17の停止後も、負荷19に、いわゆる、暗電流が流れる場合がある。すなわち、負荷19は、エンジン17が停止されると同時に電力の供給が遮断されるのではなく、例えば、負荷19の終了動作を待って電力の供給が停止される。このため、図3に示すように、時刻T0でエンジン17が停止された後、一点鎖線で示すように、充電可能電池14に流れる電流は、徐々に減少(図3では段階的に減少)する。なお、図3において、横軸は時間(秒)を示し、左側の縦軸は電流(A)を示し(マイナスは充電可能電池14からの放電を示し)、右側の縦軸は電圧(V)を示す。
【0034】
このため、図3に実線で示すように、充電可能電池14の電圧が、電流の変化に応じて不連続に変化することになる。このように、電圧が不連続に変化すると、関数を用いたフィッティングを精度良く行うことができなくなる。
【0035】
そこで、本実施形態では、電圧を複数回測定する際に、電流も併せて測定し、所定の閾値以上の電流(暗電流)が流れた場合には、電圧の連続性が担保できなくなるので、そこまでに得られた測定データ(電圧値)は廃棄し、電圧の測定を最初から実行する。そして、一定量の測定データに基づいてフィッティングを実行し、OCVを計算する。これにより、より正確なOCVを推定することができる。
【0036】
つぎに、より具体的な動作について説明する。本実施形態においては、フィッティング関数として、4次以上の指数減衰関数を使用する。もちろん、これ以外の関数を用いることも可能である。以下の式(1)は、n次の指数減衰関数を示している。但し、a1,a2,・・・an,b1,b2,・・・bn,cは係数を示す。
【0037】
【数1】
・・・(1)
【0038】
前述した式(1)において、入力Xを経過時間とし、出力Yを開回路電圧とした場合に、充電可能電池14の電圧の実測値と、式(1)の値が一致するように各係数の値を定める(フィッティングする)ことで、任意の時点における開回路電圧を求めることができる。
【0039】
なお、実験により、式(1)において、n=4以上に設定すれば、十分な精度が得られることが判明した。そこで、以下では、n=4の場合を例に挙げて説明する。
【0040】
図4は、本実施形態において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0041】
ステップS10では、制御部10のCPU10aは、演算処理に必要なパラメータの初期設定を行う。初期設定の対象となるパラメータとしては、充電可能電池14の電圧サンプル値を取得する際のサンプリング間隔ΔTs、サンプル取得数Ns、および、充電可能電池14の開回路電圧が安定するまでに要する安定時間Txがある。一例として、ΔTs=10(秒)、Ns=60(個)、Tx=100000(秒)等の値を設定することができる。充電可能電池14の特性に応じた固定的な初期設定値を予め定めておくことができるが、動作状況などに応じて初期設定値を適宜に変更できるようにしてもよい。
【0042】
ステップS11では、CPU10aは、充電可能電池14の端子電圧を測定する処理を実行する。より詳細には、前述した初期設定値に基づき、サンプリング間隔ΔTsで測定されるNs個の電圧サンプル値が順次測定されることになる。CPU10aは、測定された各電圧サンプル値及び測定回数をRAM10cにデータ10caとして格納し、必要に応じて読み出す。以下では、ステップS11で取得されたn番目(n=1,2,3・・・Ns)の電圧サンプル値をV(n)と表すものとする。なお、ステップS11の処理の詳細については、図5を参照して後述する。
【0043】
ステップS12では、CPU10aは、充電可能電池14の開放電圧特性を近似するための4次の指数減衰関数に対応する係数の初期設定を行う。ここで、図4の演算処理における上述した4次の指数減衰関数としては、以下の式(2)に示すように、時間Tに対するF(T)を用いるものとする。より詳細には、式(2)に含まれる係数A1~A9について、RAM10cに予め記憶されている初期値を読み出して設定する。これらの係数A1~A9は、フィッティングにより、最小二乗法に基づく最適解を導き出すために用いられ、後述するように計算の過程で値が順次更新されていく。なお、各係数A1~A9の初期値としては、予め実験的に得られた値を用いることができる。
【0044】
【数2】
・・・(2)
【0045】
ステップS13では、CPU10aは、式(2)に示す、指数減衰関数F(T)を、n番目のサンプルタイミングのそれぞれに対し適用することにより、以下に示す式(3)で表されるF(n)を計算する。この結果、F(n)について全部でNs個の計算値が得られることになる。
【0046】
【数3】
・・・(3)
【0047】
ステップS14では、CPU10aは、ステップS13で求めたF(n)と、ステップS11で測定した電圧サンプル値V(n)との差であるR(n)を、各サンプルタイミングについて計算する。すなわち、以下の式(4)で表されるNs個のR(n)を求める。
【0048】
【数4】
・・・(4)
【0049】
ステップS15では、CPU10aは、最小二乗法の適用に際しての各係数A1~A9に対応する偏微分項を計算する。より詳細には、以下の式(5)で表される各係数A1~A9に対応する偏微分項を各サンプルタイミングについて求める。
【0050】
【数5】
・・・(5)
【0051】
ステップS16では、CPU10aは、ステップS15で計算した各偏微分項を用いて最小二乗法の連立方程式に適合する行列Bを計算する。具体的には、以下の式(6)で表される行列Bを求める。
【0052】
【数6】
・・・(6)
【0053】
なお、式(6)に示す行列Bは、9×9の正方行列であり、また、B(x,y)=B(y,x)の対称行列である。
【0054】
ステップS17では、CPU10aは、ステップS14で得られたR(n)と、ステップS15で得られた偏微分項とを用いて、以下の式(7)で表されるdRを計算する。
【0055】
【数7】
・・・(7)
【0056】
ステップS18では、CPU10aは、ステップS17で得られた行列Bと、ステップS18で得られたdRとを用いて、次の(8)式で表される差分ddを計算する。この結果、係数A1~A9のそれぞれに対応する9個の差分dd1~dd9が得られ、これらに基づき最小二乗法の最適解を評価することができる。
【0057】
【数8】
・・・(8)
【0058】
ステップS19では、CPU10aは、ステップS18で求めた9個の差分dd1~dd9について、つぎの式(9)を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合(ステップS19:Y)には各差分dd1~dd9が十分ゼロに近いため、その時点で最小二乗法の最適解が得られたものとしてステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS19:N)には各差分dd1~dd9が大きく最小二乗法の最適解が得られていないものとしてステップS20に進む。なお、式(9)の右辺は、10-12には限定されず、ゼロに近いと判断し得る所定の値を用いることができる。
【0059】
【数9】
・・・(9)
【0060】
ステップS20では、CPU10aは、各差分dd1~dd9が大きく、最小二乗法の最適解が得られていないものとして、以下の式(10)に基づき、各々の係数A1~A9を更新する。なお、ステップS20において、係数A1~A9が更新されると、再びステップS13に移行して、新しい係数A1~A9を用いて最小二乗法を適用したステップS13~S19の処理を繰り返し実行する。
【数10】
・・・(10)
【0061】
ステップS21では、CPU10aは、開回路電圧OCVが長期的に十分安定するときの収束値V0を、以下の式(11)により計算する。
【0062】
【数11】
・・・(11)
【0063】
ステップS22では、CPU10aは、ステップS22で求めた開回路電圧OCVの収束値V0と、その時点の係数A1~A9をRAM10cにデータ10caとして格納する。これにより、安定状態の開回路電圧OCVが推定されたことになり、必要に応じてRAM10cから読み出して利用することができる。
【0064】
ステップS23では、CPU10aは、ステップS22で求めた開回路電圧OCVの収束値V0に基づき、充電可能電池14の充電率を計算する。一般に、充電可能電池14の充電率は、開回路電圧の収束値V0および周囲温度から所定の関数に基づき一律に決定できる。よって、充電可能電池14に適合する関数を予め求めておき、ステップS23で計算を行うことにより、充電可能電池14の充電率SOCを推定することができる。
【0065】
つぎに、図5を参照して、図4に示す端子電圧V(n)の測定処理の詳細について説明する。図5に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0066】
ステップS30では、CPU10aは、処理回数をカウントする変数nに対して、初期値1を代入する。
【0067】
ステップS31では、CPU10aは、所定の時間が経過するまで待機する。より詳細には、サンプリング間隔ΔTsが経過するまで待機する。なお、サンプリング間隔ΔTsは、例えば、前述のように10秒とすることができる。もちろん、これ以外の値を設定してもよい。
【0068】
ステップS32では、CPU10aは、電流測定部12からの出力信号を参照して、充電可能電池14に流れる電流を検出する。
【0069】
ステップS33では、CPU10aは、電流の変動値を計算する。例えば、今回の測定値と前回の測定値の差分値から変動値を求める。なお、2回分の測定値から変動値を求めるのではなく、複数回分の測定値の平均値と、同じく複数回分の測定値の平均値の差分値から求めるようにしてもよい。なお、このように平均値を用いるのは、突発的なノイズ(フィッティング処理に影響を与えない短い時間に生じる電圧変動)の影響を排除するためである。また、これ以外にも、例えば、複数回の測定値の標準偏差を求め、当該標準偏差を電流の測定値の平均値で除することで、変動値を求めるようにしてもよい。このステップS33の目的は、図3に実線で示す電圧波形の不連続に変化する部分を、電圧変化の原因となる電流波形の不連続変化から検出することである。
【0070】
ステップS34では、CPU10aは、ステップS33で求めた電流の変動値と、所定の閾値Thとを比較し、変動値が所定の閾値Th以上である場合(ステップS34:Y)の場合にはステップS35に進み、それ以外の場合(ステップS34:N)にはステップS37に進む。一例として、電流の変動値が0.05~0.5A以上である場合には、Yと判定してステップS35に進む。もちろん、閾値は、車両の種類、負荷19の種類、外部温度等によって変化するので、前述した以外の値であってもよい。具体例として、図3の例では、時刻T1からフィッティングを開始した場合に、時刻T2において一点鎖線で示す電流が0.1A程度変動している。また、時刻T3でも0.1A程度変動している。このため、時刻T1および時刻T2ではYと判定されてステップS35に進む。
【0071】
ステップS35では、CPU10aは、電圧サンプル値V(n)のデータを棄却する。すなわち、電圧サンプル値V(n)としてRAM10cのデータ10caに格納されている全データを棄却する。
【0072】
ステップS36では、CPU10aは、処理回数をカウントする変数nに、1を代入する。これにより、電圧サンプリング値が、V(1)から再度格納されることになる。即ち、電圧サンプル値V(n)のデータの棄却が判定されると、電圧サンプル値V(n)の処理回数はゼロリセットされる。なお、処理回数の情報はCPU10aに格納される。
【0073】
ステップS37では、CPU10aは、電圧サンプル値V(n)のサンプリングを実行する。より詳細には、CPU10aは、電圧測定部11から出力される信号を参照し、充電可能電池14の端子電圧を測定し、V(n)に格納する。
【0074】
ステップS38では、CPU10aは、処理回数をカウントする変数nの値を1インクリメントする。
【0075】
ステップS39では、CPU10aは、処理回数をカウントする変数nの値が定数Nsよりも小さいか否かを判定し、n<Nsが成立すると判定した場合(ステップS39:Y)にはステップS30に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS39:N)には元の処理に復帰(リターン)する。即ち、本実施形態では、所定の個数以上の電圧サンプル値V(n)に対してフィッティング処理が行われ、OCVが計算される。なお、電圧サンプル値V(n)の棄却が実行された場合には、棄却した電圧サンプル値V(n)は所定の個数に含まれない。
【0076】
以上に説明したように、本発明の実施形態では、電圧サンプル値V(n)のサンプリングを実行する際に、電流値も併せてサンプリングし、電圧の変動値が所定の閾値以上である場合には、それまでの電圧サンプル値V(n)を棄却するようにした。これにより、例えば、図3に示すように、電流値が変動する場合には、電圧値もそれに応じて変動する。このため、例えば、時刻T2,T3において、電流値が変動すると、電圧値も変動し、図3に実線で示すように、電圧値が不連続に変化する状態となる。このような場合に、関数を用いてフィッティングを実行しても、正確なフィッティングを行うことができない。そこで、本実施形態では、電流の変動値が所定の閾値以上である場合には、それまでに測定した電圧サンプル値V(n)を棄却することで、このような不具合を回避できる。
【0077】
図3の例では、時刻T1からサンプリングが開始されるが、時刻T2において電流の変動値が閾値よりも大きいことから電圧サンプル値が棄却され、n=1に再設定されて、電圧サンプル値V(n)が最初から測定される。図3の例では、時刻T3でも電流の変動値が閾値よりも大きいことから電圧サンプル値が棄却され、n=1に再設定されて、電圧サンプル値V(n)が最初から測定される。この結果、図3の例では、時刻T3の直後からT4までサンプリングが実行されて、開回路電圧OCVを求めることができる。
【0078】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、指数減衰関数として4次の関数を用いるようにしたが、3次以下または5次以上の指数減衰関数を用いるようにしてもよい。
【0079】
また、測定を開始するタイミングに応じて、指数減衰関数の次数を変更するようにしてもよい。具体的には、図6に示すように、測定開始のタイミングが0~10秒の場合には、第1~4項の全てを含む形の指数減衰関数を適用する。このような初期段階では、指数減衰関数の各項の影響は比較的大きいため、演算精度を十分に確保するには、4項全てを用いて本来の4次の指数減衰関数を適用して演算を行う必要があるためである。
【0080】
これに対し、演算処理の開始時点から10秒経過したタイミングでは、指数減衰関数の第1項が無視できる程度に減衰するので、第1項を除き第2~4項を含む形の指数減衰関数を適用する。また、演算処理の開始時点から60秒経過したタイミングでは、指数減衰関数の第1項に加えて第2項も無視できる程度に減衰するので、第1、2項を除き第3、4項を含む形の指数減衰関数を適用する。さらに、演算処理の開始時点から600秒経過したタイミングでは、指数減衰関数の第1、2項に加えて第3項も無視できる程度に減衰するので、第1~3項を除き第4項のみを含む形の指数減衰関数を適用する。
【0081】
このため、例えば、図5に示す処理により、電流の変動値>Thと判定されてV(n)データが棄却された場合、最初から測定を行うことになるため、図6に示す表に応じて、指数減衰関数の項数を減少させるようにしてもよい。例えば、図3に示すように、時刻T2において、V(n)データが棄却され、演算開始から800秒後に、測定が再開された場合には、第4項だけを用いるようにしてもよい。
【0082】
また、以上の実施形態では、指数減衰関数を用いるようにしたが、これ以外にも、例えば、反比例曲線等を用いるようにしてもよい。
【0083】
また、以上の実施形態では、図5のステップS34において、電流の変動値が閾値よりも大きくなった場合には、電圧サンプルV(n)を全て棄却するようにしたが、全て棄却するのではなく、変動が大きい付近のデータのみを棄却するようにしてもよい。
【0084】
また、棄却することで、フィッティングに必要な十分なデータが測定できなくなる場合には、ステップS34の閾値Thを変更するようにしてもよい。例えば、棄却が繰り返されて、開回路電圧OCVの測定が所望の頻度(例えば、1日または2日に1回)で実行できない場合には、所望の頻度で実行できるようになるまで閾値Thの値を大きくするようにしてもよい。また、所望の頻度で実行されている場合には、閾値Thの値を小さくし、精度を高めるようにしてもよい。
【0085】
また、以上の実施形態では、図5のフローチャートでは、電流の変動値と閾値を比較して棄却の要否を判断するようにしたが、電圧の変動値に基づいて棄却の要否を判定するようにしてもよい。例えば、電圧の変動値が所定の閾値よりも大きい場合にはそれまでの測定データを棄却するようにしたり、電圧の変動値と電流の変動値がともに所定の閾値よりも大きい場合には棄却したりするようにしてもよい。
【0086】
また、CPU10aに格納されている電圧値が所定の個数以上になる前に、電圧値の所定の閾値以上の変動が所定の回数以上繰り返された場合には、充電可能電池の状態の検出を停止してもよい。
【0087】
また、以上の実施形態では、開回路電圧OCVからSOCを求めるまでについて説明したが、このようにして求めたSOCに基づいて、オルタネータ16の発電電圧を制御し、充電可能電池14が過放電または過充電にならないように、所定のSOCになるように制御するようにしてもよい。このような制御によれば、エンジン17の再始動が不能になることを防止できるので、例えば、車両のアイドリング時にエンジン17を停止させるいわゆるアイドリングストップにより、燃費効率を改善することができる。また、過充電を防ぐことで、エンジン17の負荷を低減させ、同様に燃費効率を改善することができる。なお、図1の例では、制御部10が充放電の制御を行うようにしたが、図示しないECUが制御部10からSOCまたはOCV等のデータを受信し、これらの値に基づいてECUが制御するようにしてもよい。
【0088】
また、以上の実施形態では、温度による影響については説明していないが、温度測定部13によって検出される温度も考慮して、OCVを測定するようにしてもよい。例えば、測定された電圧を標準温度における電圧に補正し、補正の結果得られた電圧に基づいて、OCVを計算するようにしてもよい。
【0089】
また、以上の実施形態では、充電可能電池状態検出装置1が放電回路15を有する形態を示したが、放電回路15を備えない構成としてもよい。充電可能電池状態検出装置1が放電回路15を備えない場合であっても、上述のようにOCVを計算することができる。
【0090】
また、図4および図5に示すフローチャートは一例であって、本発明がこれらのフローチャートの処理のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 充電可能電池状態検出装置
10 制御部
10a CPU
10b ROM
10c RAM
10d 通信部
10e I/F
11 電圧検出部(電圧測定部)
12 電流検出部(電流測定部)
13 温度検出部(温度測定部)
14 充電可能電池
15 放電回路
16 オルタネータ
17 エンジン
18 スタータモータ
19 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6