(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】基板処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231201BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20231201BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
H01L21/302 106
H01L21/302 102
H01L21/302 101C
(21)【出願番号】P 2019145718
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂木 卓
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】小田島 章
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110325(JP,A)
【文献】特開2003-013215(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078988(WO,A1)
【文献】特開2008-294146(JP,A)
【文献】特開2004-221197(JP,A)
【文献】特開2006-303013(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120294(WO,A1)
【文献】特開平09-246347(JP,A)
【文献】特表2018-514089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空雰囲気に維持される第1搬送室から搬送される基板を処理する空間を提供する第1チャンバと、
前記第1搬送室および大気雰囲気に維持される第2搬送室と内部が連通可能に構成され、前記第1チャンバと略同一のフットプリントを有し、前記第1チャンバの下に前記第1チャンバと上下方向に並べて配置される第2チャンバと、
前記第1チャンバの底面と、前記第1チャンバの底面とは別体の前記第2チャンバの上面との間に形成され、内部を冷却媒体が流れるよう構成される冷却通路と、
を備え
、
前記第1チャンバは、基板を加熱する加熱機構と、基板処理により温度が上昇した処理空間および周囲の部材を冷却する、前記冷却通路とは別個独立の冷却機構と、を備える基板処理システム。
【請求項2】
前記冷却通路に冷媒を供給する供給装置をさらに備え、
前記冷却通路および前記供給装置は前記第1搬送室、前記第2搬送室、前記第1チャンバおよび前記第2チャンバの外側に配置される、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記第1チャンバは、アッシング、エッチングまたは成膜のいずれかを実行する基板処理装置を収容する、請求項1または2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記第2チャンバは、基板を冷却する冷却機構を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記第1
チャンバおよび前記第2
チャンバのそれぞれに載置台が設けられる、請求項1から
4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1以上の分離され周囲から隔離される環境を有するロードロックチャンバが提案されている(特許文献1)。特許文献1のロードロックチャンバは、垂直に積み重ねられ、周囲から隔離される複数のチャンバを含むチャンバ本体を有し、チャンバは、耐真空性の水平な内壁によって分離されている。また、基板を処理することが可能なデュアルロードロックチャンバが提案されている(特許文献2)。特許文献2のデュアルロードロックチャンバは、互いに分離した第1チャンバ容積および第2チャンバ容積を画定するチャンバ本体を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2012-501549号公報
【文献】特表2014-511575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理システムのフットプリントを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理システムは、第1チャンバと、第2チャンバと、冷却通路と、を備える。第1チャンバは、真空雰囲気に維持される第1搬送室から搬送される基板を処理する空間を提供する。第2チャンバは、第1搬送室および大気雰囲気に維持される第2搬送室と内部が連通可能に構成される。第2チャンバは、第1チャンバと略同一のフットプリントを有する。第2チャンバは、第1チャンバの下に第1チャンバと上下方向に並べて配置される。冷却通路は、第1チャンバと第2チャンバとの間に配置される。冷却通路は、内部を冷却媒体が流れるよう構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理システムのフットプリントを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基板処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る基板処理システムが備えるロードロックモジュールの構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る基板処理システムによる基板処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態は限定的なものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、本明細書および図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0009】
以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。X軸方向、およびY軸方向は、水平方向である。以下では、Z軸正方向を上方とし、Z軸負方向を下方として説明する場合がある。
【0010】
ところで、特許文献2の第1チャンバ容積および第2チャンバ容積を備えるデュアルロードロックモジュールでは、第2チャンバ容積において基板を加熱する処理等が実行される。そこで、加熱された基板を支持するアセンブリはチャンバ本体から実質的に断熱されて設置される。また、基板を支持するアセンブリを冷却する機構が設けられている。しかし、第2チャンバ容積において実行される処理によっては、十分な温度制御が難しい。また、ロードロックモジュールにおいては、処理後の基板を冷却した後に大気雰囲気中に搬出することが望ましい。
【0011】
そこで、以下に説明する実施形態に係る基板処理システムは、フットプリントが略同一であり、別体として構成される少なくとも2つのチャンバでロードロックモジュールを構成する。また、少なくとも2つのチャンバの間に冷却通路を配置する。このため、実施形態に係る基板処理システムによれば、基板処理システムのフットプリントを増加させることなく、ロードロックモジュールにおいて基板処理と処理後の基板搬送とを実現できる。
【0012】
なお、以下の説明中、「大気雰囲気」とは通常の大気すなわち空気環境を意味し、「真空雰囲気」とは、大気雰囲気と比較して減圧された環境を意味する。
【0013】
(実施形態に係る基板処理システムの一例)
図1は、実施形態に係る基板処理システムの構成の一例を示す図である。基板処理システム1は、ロードポート10と、大気搬送室20と、ロードロックモジュール30と、真空搬送室40と、プロセスモジュール50と、制御装置60と、を備える。
【0014】
ロードポート10は、基板を収容したキャリアたとえばFOUP(Front Opening Unified Pod)が設置される載置部である。FOUPがロードポート10に設置固定されると、FOUPの蓋とロードポート10のゲートが連動して移動することにより、FOUP内の基板を大気搬送室20側へ搬出可能となる。基板処理システム1において処理される基板は、ロードポート10に配置されたFOUPから大気搬送室20、ロードロックモジュール30、真空搬送室40を通ってプロセスモジュール50内へ搬送される。プロセスモジュール50における処理が終了すると基板はFOUPへ戻される。
図1の例では、ロードポート10A,10B,10Cを示す。特に区別する必要がないときは、ロードポート10A~10Cをロードポート10と総称する。なお、基板処理システム1が備えるロードポート10の数は図示されるものに限定されず、4以上のロードポートを配置してもよい。
【0015】
大気搬送室20は、大気雰囲気に維持される。大気搬送室20は、基板が搬送される空間を提供する。
図1に示す大気搬送室20は上面視で略矩形である。略矩形の一方側の長辺にそって複数のロードポート10が配置される。ロードポート10が配置される長辺と対向する長辺側にロードロックモジュール30が配置される。
【0016】
大気搬送室20内には、基板を搬送するための第1搬送機構21が配置される。第1搬送機構21はたとえば、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に可動なアームを備える搬送ロボットである。第1搬送機構21は、FOUPから基板を取り出し、ロードロックモジュール30内の載置台(載置台121、
図2参照)に基板を載置する。
【0017】
ロードロックモジュール30は、大気搬送室20と真空搬送室40との間で基板を搬送する空間を提供する。また、ロードロックモジュール30は、基板を処理するための空間を提供する。
図2は一実施形態に係る基板処理システム1が備えるロードロックモジュール30の構成を示す概略断面図である。
図2は、ロードロックモジュール30の
図1のA-Aに沿った概略断面を示している。なお、
図1には2つのロードロックモジュール30A、30Bを示し、特に区別する必要がないときはロードロックモジュール30と総称する。基板処理システム1が備えるロードロックモジュール30の数は図示する数に限定されず、3以上のロードロックモジュール30を配置してもよい。
【0018】
図2に示すロードロックモジュール30は、第1チャンバ110と、第2チャンバ120と、冷却通路130と、を備える。第1チャンバ110は、後述するプロセスモジュール50が備えるチャンバと同様であり、基板処理が実行される空間を提供する。第1チャンバ110の中央には、処理の対象である基板が載置される載置台111が配置される。載置台111内部には、載置台111を加熱するための加熱機構としてヒータHが設置される。載置台111の上方には、上部電極112が隔壁部材113を介して配置されている。上部電極112はたとえば、電圧印加により誘導電磁界を生成するコイルである。上部電極112は第1チャンバ110の天井部に配置される。上部電極112は、高周波電源114と接続されている。高周波電源114は、高周波電力を上部電極112に供給する。隔壁部材113には、複数の貫通穴が形成されている。貫通穴は、隔壁部材113より上方の上部電極112側で生成されるプラズマのうちラジカルを、隔壁部材113より下方の載置台111側へ通過させる。つまり、隔壁部材113は、生成されるプラズマのうちイオンと紫外光とを遮蔽してラジカルのみを処理対象である基板が配置される側へ通過させる。第1チャンバ110には、このほか、第1チャンバ110内へ処理ガスを供給するガス供給機構115、第1チャンバ110の排気を行う排気機構116等が接続される。第1チャンバ110には、このほか、基板処理により加熱された部材を冷却するための冷却機構を設けてもよい。
【0019】
第1チャンバ110内では、制御装置60の制御下で基板の処理が実行される。基板の処理はたとえば、エッチング、アッシング、成膜等である。第1チャンバ110内で実行する基板の処理は特に限定されない。ただし、本実施形態においては、第1チャンバ110は大気搬送室20の近傍に設けられている。このため、プロセスモジュール50内でエッチングや成膜を実行した後に基板を大気搬送室20へ搬出する前に実行する異物除去等を第1チャンバ110で実行するのが便宜である。
【0020】
第1チャンバ110の内部空間はゲート117を介して真空搬送室40と連通する。ゲート117は、ゲートバルブ118により密閉可能に開閉される。なお、第1チャンバ110の内部空間は大気搬送室20とは連通していない。ゲート117は、基板を把持した第2搬送機構41(後述)の先端が侵入可能な大きさに形成される。
【0021】
載置台111は、載置台111の表面から突出する位置まで上昇し、載置台111内に埋没する位置まで下降可能な複数の昇降ピンを有する。昇降ピンは上昇位置において、真空搬送室40から搬送される基板を受け取る。基板を受け取った後、昇降ピンが下降することで、載置台111上に基板が載置される。基板を第1チャンバ110から搬出するときは、昇降ピンが上昇することで基板を載置台111表面から離脱させる。第2搬送機構(後述)のアーム先端が、載置台111表面と基板下面との間に進入した後、昇降ピンが下降することで基板がアーム上に載置され真空搬送室40へと搬送される。なお、昇降ピンによる基板の搬送は一例であって、他の機構によって基板を第1チャンバ110と真空搬送室40との間で搬送してもよい。
【0022】
第2チャンバ120は、第1チャンバ110の下方に配置される。第2チャンバ120は、第1チャンバ110と同様、基板が載置される載置台121を備える。載置台121は上に載置される基板を冷却するための冷却機構122を有する。冷却機構122は、載置台121を常温程度、たとえば、摂氏約25度から約30度に冷却可能に構成される。基板は冷却後に大気搬送室20へ搬送される。なお、載置台121は、第1チャンバ110の載置台111と同様、このほかに加熱機構等を有してもよい。また、第2チャンバ120は、内部の雰囲気を調整するための排気機構123を有する。
【0023】
また、載置台121は、載置台121の表面から突出する位置まで上昇し、載置台121内に埋没する位置まで下降可能な複数の昇降ピンを有する。昇降ピンは上昇位置において、大気搬送室20および真空搬送室40の各々から搬送される基板を受け取る。基板を受け取った後、昇降ピンが下降することで、載置台121上に基板が載置される。基板を第2チャンバ120から搬出するときは、昇降ピンが上昇することで基板を載置台121表面から離脱させる。第1または第2搬送機構(後述)のアーム先端が、載置台121表面と基板下面との間に進入した後、昇降ピンが下降することで基板がアーム上に載置されて搬送される。第1チャンバ110と同様、第2チャンバ120と大気搬送室20および真空搬送室40との間での昇降ピンを用いた基板搬送は一例であって、他の機構によって基板を搬送してもよい。
【0024】
第2チャンバ120の内部空間は、ゲート125を介して大気搬送室20内と連通する。ゲート125は、ゲートバルブ126により密閉可能に開閉される。第2チャンバ120の内部空間はまた、ゲート127を介して真空搬送室40内と連通する。ゲート127は、ゲートバルブ128により密閉可能に開閉される。ゲート125、127は各々、基板を把持した第1搬送機構21および第2搬送機構41の先端が侵入可能な大きさに形成される。
【0025】
このように、ロードロックモジュール30(30A,30B)は各々、少なくとも2つのチャンバ(第1チャンバ110、第2チャンバ120)を備える。なお、第1チャンバ110と第2チャンバ120とは独立別個の構成体として形成されている。
【0026】
冷却通路130は、第1チャンバ110と第2チャンバ120との間に設けられている。冷却通路130は上面が第1チャンバ110の底面、下面が第2チャンバ120の上面で構成されていてもよい。
図1の例では、点線で冷却通路130の輪郭を示している。
図1中、冷却通路130は大気搬送室20の長辺に沿った方向すなわちX軸方向にそって配置される。冷却通路130は、冷媒を供給する供給装置131(
図1参照)に接続される。供給装置131は、あらかじめ定められた温度の冷媒を冷却通路130に供給する。冷却通路130を流れた冷媒は、第1チャンバ110内の基板処理によって発生する熱を吸収して供給装置131に戻る。供給装置131は、冷却通路130を循環する冷媒をあらかじめ定められた温度に調整して冷却通路130に送り返す。冷却通路130は、第1チャンバ110と第2チャンバ120との間に複数並行して配置してもよい。また、1本の冷却通路130が第1チャンバ110と第2チャンバ120との間を複数回往復するように配置してもよい。また、冷却通路130を流れる冷媒は、あらかじめ定められた温度に冷却された気体または液体であってよい。また、供給装置131は、冷却した液体を循環させるポンプ、バルブ等を含む装置であってもよく、ファン等の風流を発生させる装置であってもよい。
【0027】
【0028】
真空搬送室40は、真空雰囲気に維持される。真空搬送室40は、基板が搬送される空間を提供する。
図1に示す真空搬送室40は上面視で略5角形である。5角形の2辺のそれぞれに沿ってロードロックモジュール30A,30Bが配置される。5角形の他の2辺に沿ってプロセスモジュール50が配置される。ただし、ロードロックモジュール30およびプロセスモジュール50の配置位置は図示するものに限定されない。
【0029】
真空搬送室40内には、基板を搬送するための第2搬送機構41が配置される。第2搬送機構41は、第1搬送機構21と同様、たとえば3軸方向に可動なアームを備える搬送ロボットである。第2搬送機構41は、ロードロックモジュール30とプロセスモジュール50との間で基板を搬送する。
【0030】
プロセスモジュール50は、基板処理を実行する基板処理室である。プロセスモジュール50の構成はたとえば、日本特許第6141855号に記載の構成を採用することができる。
【0031】
制御装置60は、例えば、コンピュータであり、記憶部60aと制御部60bとを備える。
【0032】
記憶部60aは、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムを記憶する。
【0033】
制御部60bは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部60bは、記憶部60aに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0034】
なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置60の記憶部60aにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0035】
(基板処理の流れの一例)
次に
図3を参照し、実施形態に係る基板処理システム1による基板処理の流れの一例を説明する。
図3は、一実施形態に係る基板処理システムによる基板処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0036】
まず、ロードポート10にFOUPを設置固定する(ステップS1)。第1搬送機構21は、FOUP内の基板を把持し、ゲートバルブ126により開放されたゲート125から第2チャンバ120内へ基板を搬送する(ステップS2)。第1搬送機構21は、第2チャンバ120内の載置台121上に基板を載置する。基板載置後、ゲートバルブ126が閉じ、第2チャンバ120内の排気が実行されて第2チャンバ120内は真空雰囲気となる。次に、ゲートバルブ128によりゲート127が開放される。真空搬送室40内の第2搬送機構41が第2チャンバ120内に侵入して載置台121上の基板を把持し、真空搬送室40内へ搬送する(ステップS3)。第2搬送機構41は、制御装置60の制御により指示されるプロセスモジュール50内へ基板を搬送する(ステップS4)。一つの基板について実行される処理の数および処理の実行のために基板が搬送されるプロセスモジュール50の数は特に限定されない。制御装置60にあらかじめ設定されたレシピに基づき、第2搬送機構41によるプロセスモジュール50への基板の搬送およびプロセスモジュール50からの基板の搬出が繰り返され、基板の処理が実行される(ステップS5)。
【0037】
プロセスモジュール50における基板の処理が終了すると、第2搬送機構41は、基板を第1チャンバ110に搬送する(ステップS6)。まず、ゲートバルブ118によりゲート117が開放される。第2搬送機構41は、ゲート117を介して基板を第1チャンバ110内に搬送し、載置台111上に載置する。基板が第1チャンバ110に搬入されると、ゲートバルブ118が閉じる。第1チャンバ110内では、制御装置60の制御により、基板の処理が実行される(ステップS7)。第1チャンバ110において実行される基板処理はたとえば後処理である。後処理はたとえばアッシングである。第1チャンバ110内での処理が終了すると、再びゲートバルブ118によりゲート117が開放される。第2搬送機構41は、載置台111上の基板を把持して真空搬送室40へ搬出する(ステップS8)。次に、第2搬送機構41は、基板を第2チャンバ120内へ搬送する(ステップS9)。まず、ゲートバルブ128によりゲート127が開放される。このとき、ゲートバルブ126は閉じたままである。そして、第2搬送機構41は、基板を第2チャンバ120内の載置台121上に配置し、真空搬送室40側へ退避する。第2搬送機構41が退避した後、ゲートバルブ128が閉じる。第2チャンバ120内では、制御装置60の制御下で冷却機構122が載置台121を冷却することにより基板の温度をあらかじめ定められた温度範囲に低下させる(ステップS9)。次に、ゲートバルブ126によりゲート125が開放される。そして、第1搬送機構21がゲート125を介して第2チャンバ120内に侵入する。第1搬送機構21は、載置台121上の基板を把持して大気搬送室20側へ搬出する。第1搬送機構21は、制御装置60の制御下で指定されたFOUPに基板を搬送する(ステップS10)。これで基板処理システム1における基板の処理が終了する。
【0038】
基板処理システム1による処理中、第1チャンバ110において基板処理が実行されている間、冷却通路130には冷媒が供給される。また、第1チャンバ110において基板処理が実行された後のあらかじめ定められた時間期間の間継続して冷却通路130に冷媒を供給するものとしてもよい。冷媒を供給する時間期間の長さは、第1チャンバ110の基板処理による温度の上昇幅、冷媒の温度等を考慮して設定する。
【0039】
また、第1チャンバ110および第2チャンバ120のフットプリントは略同一とすることが好ましい。このように構成することで、従来のロードロックモジュールと比較して大きな設計変更を要することなく、2つのチャンバを垂直方向に重ねて配置することができ、基板処理システム1のフットプリントを抑制することができる。なお、本実施形態ではロードロックモジュール内に2つのチャンバを垂直方向に重ねて配置するものとしたが、3以上のチャンバを垂直方向に重ねて配置してもよい。この場合は、各チャンバ間に冷却通路を配置する。冷媒を供給する供給装置は複数の冷却通路に共通して1つ設けてもよく、各々に対応付けて複数設けてもよい。
【0040】
第1チャンバ110の載置台111の載置面と、第2チャンバ120の載置台121の載置面との間の距離は特に限定されないが、ロードロックモジュール30の高さの増加を抑制するため、250mm程度が好ましい。
【0041】
なお、上記実施形態においては、第1チャンバ110は誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を発生させるプラズマ処理装置として説明した。開示の技術はこれに限られず、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、マイクロ波プラズマなど、任意のプラズマ源を第1チャンバ110のプラズマ源として採用することができる。
【0042】
なお、
図3の処理例では、プロセスモジュール50における基板処理の最後に第1チャンバ110における処理を実行するものとした。これに限らず、第1チャンバ110における基板処理の後、プロセスモジュール50における基板処理を実行してもよい。また、プロセスモジュール50における基板処理後に直接、第2チャンバ120へ基板を搬送して大気搬送室20側へ搬出するものとしてもよい。
【0043】
(実施形態の効果)
上記のように、一実施形態に係る基板処理システムは、第1チャンバと、第2チャンバと、冷却通路と、を備える。第1チャンバは、真空雰囲気に維持される第1搬送室から搬送される基板を処理する空間を提供する。第2チャンバは、第1搬送室および大気雰囲気に維持される第2搬送室と内部が連通可能に構成される。第2チャンバは、第1チャンバと略同一のフットプリントを有する。第2チャンバは、第1チャンバの下に第1チャンバと上下方向に並べて配置される。たとえば、上面視で、すなわち
図1のZ軸正方向から負方向に向けてみたとき、第2チャンバの上面と第1チャンバの底面とが実質的に重なりあうように第2チャンバが配置される。冷却通路は、第1チャンバと第2チャンバの間に配置され、内部を冷却媒体が流れるよう構成される。このように、実施形態の基板処理システムにおいては、第1チャンバと第2チャンバのフットプリントを略同一として上下方向に重ねて配置する。このため、実施形態によれば、基板処理システムのフットプリントを抑制することができる。また、ロードロックモジュールの位置に基板処理を実行する空間を提供する第1チャンバを配置することで、プロセスモジュールの数を抑制することができる。また、基板処理システム内の空間を有効に活用することができる。
【0044】
また、上記実施形態に係る基板処理システムが備える冷却通路は、第1チャンバの底面および第2チャンバの上面の少なくとも一部によって内壁の一部が形成される。このため、部品点数の増加を抑制して基板処理システムを構成することができる。
【0045】
また、上記実施形態に係る基板処理システムは、冷却通路に冷媒を供給する供給装置をさらに備える。また、冷却通路および供給装置は第1搬送室、第2搬送室、第1チャンバおよび第2チャンバの外側に配置される。このため、ロードロックモジュールに配置する第1チャンバと第2チャンバとの熱交換を抑制するための機構を配置するために基板の搬送経路を調整する必要がなく、基板搬送を円滑に実現できる。
【0046】
また、上記実施形態に係る基板処理システムが備える第1チャンバは、アッシング、エッチングまたは成膜のいずれかを実行する基板処理装置を収容する。このため、実施形態に係る基板処理システムは、基板処理の順序に応じてプロセスモジュールおよび第1チャンバで実行する処理を柔軟に組み合わせて基板処理を実現できる。
【0047】
また、上記実施形態に係る基板処理システムが備える第2チャンバは、基板を冷却する冷却機構を備える。このため、実施形態に係る基板処理システムは、処理後の基板の温度を調整した後、大気搬送室に搬出することができる。
【0048】
また、上記実施形態に係る基板処理システムが備える第1チャンバは、基板を加熱する加熱機構と、基板処理により加熱される部材を冷却する、冷却通路とは別個独立の冷却機構とを備えてもよい。このため、第1チャンバにおいて実行される基板処理によって処理空間の温度および周囲の部材の温度が上昇した場合でも、第2チャンバとの間での熱交換を抑制することができる。
【0049】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 基板処理システム
10 ロードポート
20 大気搬送室
21 第1搬送機構
30 ロードロックモジュール
40 真空搬送室
41 第2搬送機構
50 プロセスモジュール
60 制御装置
110 第1チャンバ
111 載置台
112 上部電極
113 隔壁部材
114 高周波電源
115 ガス供給機構
117 ゲート
118 ゲートバルブ
120 第2チャンバ
121 載置台
122 冷却機構
123 排気機構
125 ゲート
126 ゲートバルブ
127 ゲート
128 ゲートバルブ
130 冷却通路
131 供給装置
H ヒータ