(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】環状構造を有するジアンモニウム塩及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07D 471/22 20060101AFI20231201BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20231201BHJP
C07D 487/22 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C07D471/22 CSP
C01B39/48
C07D487/22
(21)【出願番号】P 2020003392
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 真人
(72)【発明者】
【氏名】楢木 祐介
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169139(JP,A)
【文献】特開2017-197398(JP,A)
【文献】特許第7370195(JP,B2)
【文献】特開2021-031459(JP,A)
【文献】米国特許第06365705(US,B1)
【文献】MARTIN,N. et al.,Cage-based small-pore catalysts for NH3-SCR prepared by combining bulky organic structure directing agents with modified zeolites as reagents,Applied Catalysis, B: Environmental,2017年,Vol.217,p.1-36
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/22
C01B 39/04
C07D 487/22
C01B 39/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるジアンモニウム塩。
【化1】
[式中、
2つのAは、同一又は相異なって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から5の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子
又は水酸
基を有していてもよい。)を表す。
Y
-は、同一又は相異なって、ハロゲン化物イオ
ン又はOH
-(水酸化物イオン)を表す。]
【請求項2】
Y
-が、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオ
ン又はOH
-(水酸化物イオン)である請求項
1に記載のジアンモニウム塩。
【請求項3】
2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から5の含窒素複素
環である請求項1
又は2に記載のジアンモニウム塩。
【請求項4】
2つのAが、同一であって、炭素数4から5の含窒素複素
環であり、尚且つ、Y
-が、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン又はOH
-(水酸化物イオン)である請求項1乃至
3のいずれかに記載のジアンモニウム塩。
【請求項5】
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のジアンモニウム塩、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含む組成物を結晶化させる結晶化工程を有することを特徴とするゼオライトの製造方法。
【請求項6】
ゼオライトがAFX型ゼオライトである、請求項
5に記載のゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジアンモニウム塩、その製造方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、各種の有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)を含む組成物の結晶化により製造されている。T(Tはケイ素、アルミニウム、リン、ガリウム、チタンなど)原子及び酸素原子で形成される8員環を最大細孔として有するゼオライト(以下、「小細孔ゼオライト」ともいう。)を製造するための公知の有機構造指向剤として、アダマンチルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウムカチオン、及びキヌクリジン誘導体などが知られているが(特許文献1~3)、ジアンモニウム塩であるトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカン-5,11-ジアザニウム塩をゼオライト製造用有機構造指向剤として利用した例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許4544538号
【文献】米国特許4495303号
【文献】米国特許4508837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規なジアンモニウム塩を提供することを目的とする。さらに、本発明はジアンモニウム塩を用いたゼオライト、好ましくは小細孔ゼオライト、より好ましくはAFX型ゼオライトの製造方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で表されるジアンモニウム塩を見出し、本発明を完成するに至った。さらに、このジアンモニウム塩がゼオライトの構造指向剤として好適に機能することを見出した。
【0006】
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 一般式(1)で表されるジアンモニウム塩。
【0007】
【0008】
[式中、
2つのAは、同一又は相異なって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)を表す。
Y-は、同一又は相異なって、ハロゲン化物イオン、R1SO2O-で表されるスルホン酸イオン、R2COO-で表されるカルボン酸イオン又はOH-(水酸化物イオン)を表す。
R1は、炭素数1から9のアルキル基、炭素数1から9のフルオロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。)を表す。
R2は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)を表す。]
[2] 2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)である[1]に記載のジアンモニウム塩。
[3] Y-が、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、C6H5SO2O-(ベンゼンスルホン酸イオン)、p-CH3C6H4SO2O-(パラトルエンスルホン酸イオン)、CH3SO2O-(メタンルスルホン酸イオン)、CF3SO2O-(トリフルオロメタンスルホン酸イオン)又はOH-(水酸化物イオン)である[1]又は[2]に記載のジアンモニウム塩。
[4] 2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)である[1]乃至[3]のいずれかに記載のジアンモニウム塩。
[5] 2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から6の含窒素複素環(該含窒素複素環は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基又は炭素数2から8のジアルキルアミノ基を有していてもよい。)である[1]乃至[4]のいずれかに記載のジアンモニウム塩。
[6] 2つのAが、同一であって、炭素数4から6の含窒素複素環(該含窒素複素環は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基又は炭素数2から8のジアルキルアミノ基を有していてもよい。)であり、尚且つ、Y-が、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン又はOH-(水酸化物イオン)である[1]乃至[5]のいずれかに記載のジアンモニウム塩。
[7] [1]乃至[6]のいずれか一項に記載のジアンモニウム塩、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含む組成物を結晶化させる結晶化工程を有することを特徴とするゼオライトの製造方法。
[8] ゼオライトが小細孔ゼオライトである、[7]に記載のゼオライトの製造方法。
[9] ゼオライトがAFX型ゼオライトである、[7]又は[8]に記載のゼオライトの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、新規なジアンモニウム塩を提供できる。さらに、本発明により、該ジアンモニウム塩を使用するゼオライト、好ましくは小細孔ゼオライト、より好ましくはAFX型ゼオライトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例2-1のAFX型ゼオライトのXRDパターン
【
図2】実施例2-1のAFX型ゼオライトのSEM観察図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、実施形態の一例を示して説明する。
【0012】
まず一般式(1)で表されるジアンモニウム塩中のA及びY-の定義について詳細に説明する。
【0013】
2つのAは、同一又は相異なって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)を表す。
【0014】
なお、架橋環を有する炭素数3から20の含窒素複素環について、その架橋構造の炭素数に限定は無く、例えば、炭素数1、2、又は3の架橋構造を例示することができる。当該架橋環を有する炭素数3から20の含窒素複素環における架橋部分の炭素数については、含窒素複素環における炭素数の一部であるものとする。
【0015】
また、縮環を有する炭素数3から20の含窒素複素環について、縮環の数に限定は無く、含窒素複素環として2環状、3環状、又は4環状のものを例示することができる。これらの縮環構造の全ての炭素を合計したものが前記の炭素数3から20に該当する。
【0016】
また、炭素数3から20の含窒素複素環は、架橋環と縮環の両方を有していてもよい。
【0017】
架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環としては、特に限定するものではないが、例えば、ピロリジン環、イミダゾリジン環、インドリン環、イソインドリン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロトリアジン環、アゼパン環、モルファン環、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン環又はデカヒドロキノリン環等が例示できる。
【0018】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
【0019】
炭素数1から6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、3-シクロプロピルプロポキシ基、シクロプロポキシ基、2-メチルブトキシ基、3-メチルブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基、ペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1-メチルブブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、1-エチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基又はシクロヘキシルオキシ基が例示できる。
【0020】
炭素数1から6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロペンチルメチル基、2-シクロブチルエチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、シクロプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、2-エチルプロピル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、2-エチルブチル基又はシクロヘキシル基が例示できる。
【0021】
炭素数1から6のハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基等が例示できる。
【0022】
炭素数6から12のアリール基としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2,3,4,5-テトラメチルフェニル基、2,3,4,6-テトラメチルフェニル基、2,3,5,6-テトラメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジエチルフェニル基、2,4-ジエチルフェニル基、2,5-ジエチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、3,4-ジエチルフェニル基、3,5-ジエチルフェニル基、2-プロピルフェニル基、3-プロピルフェニル基、4-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、2-シクロプロピルフェニル基、3-シクロプロピルフェニル基、4-シクロプロピルフェニル基、2-ブチルフェニル基、3-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、2-(1-メチルプロピル)フェニル基、3-(1-メチルプロピル)フェニル基、4-(1-メチルプロピル)フェニル基、2-(2-メチルプロピル)フェニル基、3-(2-メチルプロピル)フェニル基、4-(2-メチルプロピル)フェニル基、2-シクロブチルフェニル基、3-シクロブチルフェニル基、4-シクロブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基等が例示できる。
【0023】
炭素数7から13のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が例示できる。
【0024】
炭素数6から10のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、2-メチルフェニルオキシ基、3-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,4-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、2,6-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,5-ジメチルフェニルオキシ基、2,3,4-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,6-トリメチルフェニルオキシ基、2,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,4,6-トリメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,4,5-テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,4,6-テトラメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルフェニルオキシ基、2-エチルフェニルオキシ基、3-エチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、2,3-ジエチルフェニルオキシ基、2,4-ジエチルフェニルオキシ基、2,5-ジエチルフェニルオキシ基、2,6-ジエチルフェニルオキシ基、3,4-ジエチルフェニルオキシ基、3,5-ジエチルフェニルオキシ基、2-プロピルフェニルオキシ基、3-プロピルフェニルオキシ基、4-プロピルフェニルオキシ基、2-イソプロピルフェニルオキシ基、3-イソプロピルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、2-シクロプロピルフェニルオキシ基、3-シクロプロピルフェニルオキシ基、4-シクロプロピルフェニルオキシ基、2-ブチルフェニルオキシ基、3-ブチルフェニルオキシ基、4-ブチルフェニルオキシ基、2-(1-メチルプロピル)フェニルオキシ基、3-(1-メチルプロピル)フェニルオキシ基、4-(1-メチルプロピル)フェニルオキシ基、2-(2-メチルプロピル)フェニルオキシ基、3-(2-メチルプロピル)フェニルオキシ基、4-(2-メチルプロピル)フェニルオキシ基、2-シクロブチルフェニルオキシ基、3-シクロブチルフェニルオキシ基、4-シクロブチルフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基又は2-ナフチルオキシ基が例示できる。
【0025】
炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロペンチルメチル基、2-シクロブチルエチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、シクロプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示できる。
【0026】
窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、又はシクロブチル基が例示でき、そのアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基又はプロパノイルアミノ基が例示できる。
【0027】
窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示できる。
【0028】
炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基における炭素数1から5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、2-シクロペンチルエチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示できる。
【0029】
窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基における炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示でき、その炭素数1から5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロブチルメチル基、2-シクロプロピルエチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示できる。
【0030】
窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基としては、モノアルキルアミノカルボニルアミノ基、ジアルキルアミノカルボニルアミノ基、又はトリアルキルアミノカルボニルアミノ基を例示することができ、その炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基が例示できる。
【0031】
炭素数2から12のジアルキルアミノ基(2つのアルキル基が結合等して、前記の炭素数の範囲で環構造を形成していてもよい)としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ビス(2-メチルプロピル)アミノ基、ビス(2,2-ジメチルプロピル)アミノ基、ビス(3-シクロプロピル)アミノ基、ジシクロプロピルアミノ基、ビス(2-メチルブチル)アミノ基、ビス(3-メチルブチル)アミノ基、ジ(tert-ブチル)アミノ基、ジシクロブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ビス(2-メチルペンチル)アミノ基、ジ(1-メチルブチル)アミノ基、ビス(1,2-ジメチルブチル)アミノ基、ジ(1-エチルプロピル)アミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-プロピル基、N-シクロプロピル-N-メチルアミノ基、N-ブチル-N-メチルアミノ基、N-シクロブチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-ペンチル基、N-シクロペンチル-N-メチルアミノ基、N-ヘキシル-N-メチルアミノ基、N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ基、N-シクロヘプチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-オクチルアミノ基、N-メチル-N-ノニルアミノ基、N-デシル-N-メチルアミノ基、又は、N-メチル-N-ウンデシルアミノ基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、アゼパニル基、モルホリノ基又は2-モルホリニル基が例示できる。
【0032】
炭素数6から10のモノアリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、2-メチルフェニルアミノ基、3-メチルフェニルアミノ基、4-メチルフェニルアミノ基、2,3-ジメチルフェニルアミノ基、2,4-ジメチルフェニルアミノ基、2,5-ジメチルフェニルアミノ基、2,6-ジメチルフェニルアミノ基、3,4-ジメチルフェニルアミノ基、3,5-ジメチルフェニルアミノ基、2,3,4-トリメチルフェニルアミノ基、2,3,5-トリメチルフェニルアミノ基、2,3,6-トリメチルフェニルアミノ基、2,4,5-トリメチルフェニルアミノ基、2,4,6-トリメチルフェニルアミノ基、3,4,5-トリメチルフェニルアミノ基、2,3,4,5-テトラメチルフェニルアミノ基、2,3,4,6-テトラメチルフェニルアミノ基、2,3,5,6-テトラメチルフェニルアミノ基、2-エチルフェニルアミノ基、3-エチルフェニルアミノ基、4-エチルフェニルアミノ基、2,3-ジエチルフェニルアミノ基、2,4-ジエチルフェニルアミノ基、2,5-ジエチルフェニルアミノ基、2,6-ジエチルフェニルアミノ基、3,4-ジエチルフェニルアミノ基、3,5-ジエチルフェニルアミノ基、2-プロピルフェニルアミノ基、3-プロピルフェニルアミノ基、4-プロピルフェニルアミノ基、2-イソプロピルフェニルアミノ基、3-イソプロピルフェニルアミノ基、4-イソプロピルフェニルアミノ基、2-シクロプロピルフェニルアミノ基、3-シクロプロピルフェニルアミノ基、4-シクロプロピルフェニルアミノ基、2-ブチルフェニルアミノ基、3-ブチルフェニルアミノ基、4-ブチルフェニルアミノ基、2-(1-メチルプロピル)フェニルアミノ基、3-(1-メチルプロピル)フェニルアミノ基、4-(1-メチルプロピル)フェニルアミノ基、2-(2-メチルプロピル)フェニルアミノ基、3-(2-メチルプロピル)フェニルアミノ基、4-(2-メチルプロピル)フェニルアミノ基、2-シクロブチルフェニルアミノ基、3-シクロブチルフェニルアミノ基、4-シクロブチルフェニルアミノ基、1-ナフチルアミノ基又は2-ナフチルアミノ基が例示できる。
【0033】
炭素数12から20のジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ビス(2-メチルフェニル)アミノ基、ビス(3-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,5-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,6-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(3,4-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,4-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,5-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,6-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,4,5-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(3,4,5-トリメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,4,5-テトラメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,4,6-テトラメチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3,5,6-テトラメチルフェニル)アミノ基、ビス(2-エチルフェニル)アミノ基、ビス(3-エチルフェニル)アミノ基、ビス(4-エチルフェニル)アミノ基、ビス(2,3-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(2,4-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(2,5-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(2,6-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(3,4-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジエチルフェニル)アミノ基、ビス(2-プロピルフェニル)アミノ基、ビス(3-プロピルフェニル)アミノ基、ビス(4-プロピルフェニル)アミノ基、ビス(2-イソプロピルフェニル)アミノ基、ビス(3-イソプロピルフェニル)アミノ基、ビス(4-イソプロピルフェニル)アミノ基、ビス(2-シクロプロピルフェニル)アミノ基、ビス(3-シクロプロピルフェニル)アミノ基、ビス(4-シクロプロピルフェニル)アミノ基、ビス(2-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(4-ブチルフェニル)アミノ基、ビス[2-(1-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス[3-(1-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス[4-(1-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス[2-(2-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス[3-(2-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス[4-(2-メチルプロピル)フェニル]アミノ基、ビス(2-シクロブチルフェニル)アミノ基、ビス(3-シクロブチルフェニル)アミノ基、ビス(4-シクロブチルフェニル)アミノ基、ジ(1-ナフチル)アミノ基、ジ(2-ナフチル)アミノ基、N-(2-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(4-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,3-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,4-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,5-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(3,4-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(3,5-ジメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,3,4-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,3,5-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,3,6-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,4,5-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(2,4,6-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(3,4,5-トリメチルフェニル)-N-フェニルアミノ基、N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ基又はN-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ基が例示できる。
【0034】
Aについては、合成が容易な点で、2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)であることが好ましく、2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)であることがより好ましく、2つのAが、同一であって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から6の含窒素複素環(該含窒素複素環は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基又は炭素数2から8のジアルキルアミノ基を有していてもよい。)であることがより好ましく、2つのAが、同一であって、炭素数4から6の含窒素複素環(該含窒素複素環は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基又は炭素数2から8のジアルキルアミノ基を有していてもよい。)であることがより好ましい。
【0035】
前記の架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から20の含窒素複素環としては、ピロリジン環、インドリン環、イソインドリン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、アゼパン環、モルファン環、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン環又はデカヒドロキノリン環等が例示できる。
【0036】
炭素数1から6のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基等が例示できる。
【0037】
架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数4から6の含窒素複素環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環又はアゼパン環等が例示できる。
【0038】
炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、又はシクロブチル基が例示できる。
【0039】
炭素数2から8のジアルキルアミノ基(2つのアルキル基が結合等して、前記の炭素数の範囲で環構造を形成していてもよい)としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ビス(2-メチルプロピル)アミノ基、ビス(3-シクロプロピル)アミノ基、ジシクロプロピルアミノ基、ジ(tert-ブチル)アミノ基、ジシクロブチルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-プロピル基、N-シクロプロピル-N-メチルアミノ基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、アゼパニル基、モルホリノ基又は2-モルホリニル基が例示できる。
【0040】
炭素数4から6の含窒素複素環としては、ピロリジン環、ピペリジン環又はアゼパン環等が例示できる。
【0041】
Y-は、同一又は相異なって、ハロゲン化物イオン、R1SO2O-で表されるスルホン酸イオン、R2COO-で表されるカルボン酸イオン又はOH-(水酸化物イオン)を表す。
【0042】
Y-がハロゲン化物イオンである場合、該ハロゲン化物イオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンであり、合成が容易な点で塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンであることが好ましく、塩化物イオン又は臭化物イオンであることがより好ましい。
【0043】
Y-がR1SO2O-で表されるスルホン酸イオンである場合、R1は、炭素数1から9のアルキル基、炭素数1から9のフルオロアルキル基及びフェニル基の群から選択されるいずれか1種であり、該フェニル基は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0044】
R1における炭素数1から9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、1-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、オクチル基又はノニル基等が例示できる。
【0045】
R1における炭素数1から9のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基又は1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチル基等が例示できる。
【0046】
R1における炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基又はシクロブチル基等が例示できる。
【0047】
R1における炭素数1から4のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基又は2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基等が例示できる。
【0048】
R1における炭素数1から4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、シクロプロポキシ基、tert-ブトキシ基又はシクロブトキシ基等が例示できる。
【0049】
R1における炭素数1から4のフルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメチルオキシ基、ジフルオロメチルオキシ基、ペルフルオロエチルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ基、1,1-ジフルオロエチルオキシ基、2,2-ジフルオロエチルオキシ基、ペルフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、3,3,3-トリフルオロプロピルオキシ基、1,1-ジフルオロプロピルオキシ基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)オキシ基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルオキシ基、ペルフルオロシクロプロピルオキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピルオキシ基、ペルフルオロブチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルオキシ基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチルオキシ基、4,4,4-トリフルオロブチルオキシ基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピルオキシ基、1-(トリフルオロメチル)プロピルオキシ基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルオキシ基、ペルフルオロシクロブチルオキシ基又は2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチルオキシ基等が例示できる。
【0050】
R1におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
【0051】
R1において、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基(以下、「置換フェニル基」ともいう。)としては、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-プロピルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、4-メトキシフェニル基、4-(イソプロポキシ)フェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、4-シアノフェニル基、2-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基又は4-ニトロフェニル基等が例示できる。
【0052】
R1は、原料が容易に入手可能な点で、フェニル基、4-メチルフェニル基、メチル基又はトリフルオロメチル基であること、すなわち、R1SO2O-が、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンであることが好ましい。
【0053】
Y-がR2COO-である場合、R2は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基及びフェニル基の群から選択されるいずれか1種であり、該フェニル基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0054】
R2における炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であればよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、シクロプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基又はシクロヘキシル基等が例示できる。
【0055】
R2における炭素数1から4のフルオロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であればよく、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロ(1-メチルプロピル)基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基又は2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基等が例示できる。
【0056】
R2におけるフェニル基は、上記の通り、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。該炭素数1から4のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であればよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-メチルプロピル基、3-メチルプロピル基又はシクロブチル基等が例示できる。
【0057】
R2は、原料が容易に入手可能な点で、フェニル基、4-メチルフェニル基又はメチル基のいずれかであることが好ましい。
【0058】
Y-は、合成が容易な点で、同一又は相異なって、ハロゲン化物イオン、R2SO2O-で表されるスルホン酸イオン又はOH-(水酸化物イオン)あることが好ましく、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、C6H5SO2O-(ベンゼンスルホン酸イオン)、p-CH3C6H4SO2O-(パラトルエンスルホン酸イオン)、CH3SO2O-(メタンスルホン酸イオン)、CF3SO2O-(トリフルオロメタンスルホン酸イオン)又はOH-(水酸化物イオン)であることがより好ましく、同一又は相異なって、塩化物イオン、臭化物イオン、p-CH3C6H4SO2O-(パラトルエンスルホン酸イオン)又はOH-(水酸化物イオン)であることがより好ましく、同一又は相異なって、臭化物イオン、塩化物イオン又はOH-(水酸化物イオン)であることがより好ましい。
【0059】
本発明のジアンモニウム塩(1)の具体例としては、以下の(1-1)から(1-330)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中のMeはメチル基、Etはエチル基、tBuはtert-ブチル基、Phはフェニル基、TsO-はp-トルエンスルホン酸イオンを表す。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
(1-1)から(1-330)で示される化合物のうち、本発明のジアンモニウム塩としては1-2、1-4、1-50、1-51、1-60、1-64、1-65、1-66、1-91、1-92、1-103、1-104、1-276、1-278及び1-279で示される化合物が、反応収率が良い点で好ましい。
【0077】
本発明は、上記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩を用いたゼオライトの製造方法に係る。
【0078】
次に、本実施形態のジアンモニウム塩の製造方法について説明する。
【0079】
<製造方法の実施形態1>
本実施形態のジアンモニウム塩の製造方法として、下記一般式(2)で表される脂肪族化合物と、下記一般式(3a)で表される第二級アミンと、下記一般式(3b)で表される第二級アミンとを反応させる工程、を有する、下記一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩の製造方法(以下、「製法1」ともいう。)を挙げることができる。
【0080】
【0081】
[式中、Yaは、同一又は相異なって、ハロゲン原子又はR1SO2Oで表されるスルホニルオキシ基を表す。前記のR1は、炭素数1から9のアルキル基、炭素数1から9のフルオロアルキル基、及びフェニル基の群から選択されるいずれか1種であり、該フェニル基は、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。]
【0082】
【0083】
(式中、Aa、Abは、各々独立して、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環を表し、当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基及び炭素数12から20のジアリールアミノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。)
【0084】
【0085】
(式中、Aa、及びAbは前述と同じである。Ya-は、同一又は相異なって、ハロゲン化物イオン又はR1SO2O-で表されるスルホン酸イオンを表し、R1は前記と同義である。)
一般式(2)におけるYaのハロゲン原子は、特に限定するものではないが、例えば、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
【0086】
一般式(2)におけるR1に示した各置換基の定義及び具体例については、一般式(1)におけるR1で示したものと同じである。
【0087】
一般式(3a)におけるAa及び一般式(3b)におけるAbに示した各置換基の定義及び具体例については、一般式(1)におけるAで示したものと同じである。
【0088】
製法1では以下に示す反応によって、一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩が得られる。
【0089】
【0090】
(式中、Aa、Ab、Ya及びYa-は前述と同じである。)
製法1の反応に供する、第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)は、同一の第二級アミンを用いても良いし、異なる2種類の第二級アミンを用いても良く、異なる2種類の第二級アミンを用いた場合、AaとAbが異なる非対称の本発明のジアンモニウム塩(1a)を得ることができる。
【0091】
製法1において、第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)は、脂肪族化合物(2)と段階的に反応させてもよい。
【0092】
製法1の反応に供する、脂肪族化合物(2)は、本明細書中の参考例1-4及び参考例1-5に記載の製造方法によって得られるもの、公知の製造方法で得られるもの又は市販のものを用いることができ、公知の製造方法として、例えば、Tetrahedron,71巻,6944-6955頁,2005年やJournal of the American Chemical Society,129巻,13362-13363頁,2007年などで開示された製造方法が例示できる。
【0093】
製法1の反応に供する、第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)は、公知のもの又は市販のものを用いることができる。
【0094】
製法1の反応において、脂肪族化合物(2)に対する、第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)の量は、それぞれ1~100モル当量であることが好ましく、それぞれ1~10モル当量であることがより好ましい。
【0095】
製法1の反応において、脂肪族化合物(2)と第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)は塩基存在下で反応させることが好ましい。該塩基として有機塩基又は無機塩基が挙げられる。有機塩基としてトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセンの群から選択される1つ以上が、一方、無機塩基として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸セシウムの群から選択される1つ以上が、それぞれ、例示できる。
【0096】
該塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピロリジン、ジエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムであることが好ましく、ピロリジン、ジエチルアミン又は水酸化ナトリウムであることがより好ましい。
【0097】
また、該第二級アミンを過剰量とすること、例えば脂肪族化合物(2)に対して、2当量以上、更には5当量以上とすること、で製法1の反応を塩基存在下の反応としてもよい。
【0098】
製法1の反応に供する、第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)は化学的に許容される塩を用いてもよく、塩基存在下で反応を実施することが好ましい。
【0099】
製法1の反応において、脂肪族化合物(2)と第二級アミン(3a)及び第二級アミン(3b)を溶媒中で反応させることができる。該溶媒は反応を阻害しないものが好ましく、例えば芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ウレア系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール系溶媒及び水の群から選択される1つ以上が挙げられる。
【0100】
これらの溶媒の具体的なものとして、芳香族炭化水素系溶媒としてトルエン、キシレン及びクロロベンゼンの群から選択される1つ以上が、エーテル系溶媒としてテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサンの群から選択される1つ以上が、エステル系溶媒として酢酸エチル又は酢酸ブチルの少なくともいずれかが、ハロゲン系溶媒としてクロロホルム、四塩化炭素、及びクロロベンゼンの群から選択される1つ以上が、アミド系溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド又はN,N-ジメチルアセトアミドの少なくともいずれかが、ウレア系溶媒として1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン又は1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンの少なくともいずれかが、ケトン系溶媒としてアセトン又はメチルエチルケトンの少なくともいずれかが、ニトリル系溶媒としてアセトニトリル、プロピオニトリル及びベンゾニトリルの群から選択される1つ以上が、スルホキシド系溶媒としてジメチルスルホキシドが、アルコール系溶媒としてメタノール、エタノール及びプロパノールの群から選択される1つ以上が、それぞれ、例示できる。
【0101】
製法1の反応において、好ましい溶媒としてエーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びニトリル系溶媒の群から選択される1つ以上が、より好ましい溶媒としてテトラヒドロフラン、エタノール及びアセトニトリルの群から選択される1つ以上が、例示できる。
【0102】
製法1の反応において、好ましい反応温度として0℃以上200℃以下の任意の温度が、より好ましい反応温度として20℃以上80℃以下が、好ましい反応時間として1時間以上100時間以下が、それぞれ、例示できる。
【0103】
製法1は、一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩を単離する工程(以下、「単離工程」ともいう。)、若しくは、これ(又は単離後のジアンモニウム塩)をイオン交換する工程(以下、「イオン交換工程」ともいう。)の少なくとも一方を有していてもよい。
【0104】
単離工程において、一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩が反応混合物から単離できればその方法は任意であり、単離方法として、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー及び再結晶の群から選択される1つ以上が例示できる。
【0105】
イオン交換工程では、一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩をイオン交換する。これにより、上記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩を得ることができる。
【0106】
イオン交換は、一般式(1a)で表されるジアンモニウム塩と、イオン交換樹脂とを接触させればよい。イオン交換樹脂として、交換基Yb-を有するイオン交換樹脂であればよく、アンバーライトIRN-78、アンバーライトIRA-400、アンバーライトIRA-402、アンバーライトIRA-404、アンバーライトIRA-900、アンバーライトIRA-904、アンバーライトIRA-458、アンバーライトIRA-958、アンバーライトIRA-420、アンバーライトIRA-411及びアンバーライトIRA-910の群から選択される1つ以上が、好ましくはアンバーライトIRN-78又はアンバーライトIRA-400が例示できる。
【0107】
イオン交換は、イオン交換を阻害しない溶媒中で実施すればよい。該溶媒の例として、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アルコール系溶媒及び水の群から選択される1つ以上が挙げられる。具体的な溶媒は、それぞれ、前述の製法1の反応における具体的な溶媒と同じものが例示できる。
【0108】
<製造方法の実施形態2>
本実施形態のジアンモニウム塩の製造方法の別の実施形態として、下記一般式(4)で表されるジアミンと、一般式R1SO2Clで表されるスルホン酸塩化物(式中、R1は、炭素数1から9のアルキル基、炭素数1から9のフルオロアルキル基、及びフェニル基の群から選択されるいずれか1種であり、該フェニル基は炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。)とを反応させる工程、を有することを特徴とする、下記一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩の製造方法(以下、「製法2」ともいう。)が挙げられる。
【0109】
【0110】
(式中、Zは、同一又は相異なって、炭素数2から11のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアルルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基及び炭素数12から20のジアリールアミノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。)
【0111】
【0112】
[式中、Aは、同一又は相異なって、架橋環又は縮環を有していてもよい炭素数3から20の含窒素複素環(当該含窒素複素環は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアラルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基又は炭素数12から20のジアリールアミノ基を有していてもよい。)を表す。
【0113】
Yb-は、同一又は相異なって、塩化物イオン又はR1SO2O-で表されるスルホン酸イオンを表し、R1は前記と同じである。]
上記のZは、同一又は相異なって、炭素数2から11のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアルルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基及び炭素数12から20のジアリールアミノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、を表す。
【0114】
前記の炭素数2から11のアルキレン基については、特に限定するものではないが、例えば、エチレン基、1,3-プロピレン基、1,4-ブテン基、1,5-ペンテン基、又は1,6-ヘキセン基等を表すことができる。
【0115】
Zにおけるその他の各置換基(水酸基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から13のアルルキル基、炭素数6から10のアリールオキシ基、炭素数1から6のアルキルオキシカルボニル基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から8のアシルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数1から9のアミノカルボニル基、炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルオキシ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルオキシカルボニルアミノ基、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で一つ以上置換されていてもよいウレイド基、炭素数2から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から10のモノアリールアミノ基、炭素数12から20のジアリールアミノ基)の定義については、上記の環Aにおける各置換基の定義と同義である。
【0116】
製法2では以下に示す反応によって、一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩が得られる。
【0117】
【0118】
(式中、Z、R1、A及びYb-は前述と同じである。)
製法2の反応に供する、ジアミン(4)は、本明細書中の参考例1-2及び参考例1-3に記載に示す製造方法により得られるもの、公知の製造方法で得られるもの又は市販のものを用いることができ、公知の製造方法として、例えば、Tetrahedron,74巻,1144-1150頁,2018年やSynthesis,1巻,79-86頁,2008年などで開示された製造方法が例示できる。
【0119】
製法2の反応に供する、スルホン酸塩化物は、公知又は市販のものであればよい。
【0120】
製法2の反応において、ジアミン(4)に対する、該スルホン酸塩化物の量は、2~10モル当量であることが好ましく、2~5モル当量であることがより好ましい。
【0121】
製法2の反応において、ジアミン(4)と一般式R1SO2Clで表されるスルホン酸塩化物は塩基存在下で反応させることが好ましい。該塩基として有機塩基、無機塩基及びアルカリ金属アルコキシドの群から選択される1以上が挙げられる。具体的な又は好ましい無機塩基、無機塩基として、製法1の反応における塩基と同じものが、アルカリ金属アルコキシドとして、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムtert-ブトキシドの群から選択される1以上が、それぞれ、挙げられる。
【0122】
製法2の反応において、ジアミン(4)と、該スルホン酸塩化物を溶媒中で反応させることができる。該溶媒は、反応を阻害しないものであることが好ましく、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ウレア系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒及びスルホキシド系溶媒の群から選択される1つ以上が例示できる。
【0123】
製法2の反応における、具体的な溶媒、好ましい溶媒、反応温度及び反応時間その他条件は、製法1の反応における条件と同じ条件が例示できる。
【0124】
製法2は、一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩を単離する工程、若しくは、これ(又は単離後の一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩)をイオン交換する工程の少なくともいずれか、を含んでいてもよい。
【0125】
単離方法その他の条件は、製法1の単離工程と同じ条件が例示できる。
【0126】
一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩のイオン交換により、上記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩を得ることができる。
【0127】
イオン交換は、一般式(1b)で表されるジアンモニウム塩と、イオン交換樹脂とを接触させればよい。該イオン交換における、イオン交換樹脂、及び、溶媒その他の条件は、製法1のイオン交換工程と同じ条件が例示できる。
【0128】
本実施形態のジアンモニウム塩は、公知のアンモニウム塩の用途に適用できるが、ゼオライトの製造における有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)として適しており、特に小細孔ゼオライトの製造におけるSDAとして適している。
【0129】
以下、本発明のジアンモニウム塩(1)をSDAとして適用したゼオライトの製造方法について説明する。
【0130】
本実施形態のゼオライトの製造方法は、前記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含む組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を結晶化させる結晶化工程、を有することを特徴とするゼオライトの製造方法である。
【0131】
以下、前記の結晶化工程について説明する。
【0132】
本実施形態のゼオライトの製造方法において、得られるゼオライトは、小細孔ゼオライトであることが好ましく、AFX型ゼオライトであることがより好ましい。本実施形態において、前記のAFX型ゼオライトとは、AFX構造を有するゼオライトであり、AFX構造を有する結晶性アルミノシリケートである。
【0133】
AFX構造とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association;以下、「IZA」とする。)のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コードで、AFX型となる構造である。
【0134】
本実施形態において、製造されるゼオライト(好ましくは、AFX構造を有する結晶性アルミノシリケート)は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)を骨格金属(以下、「T原子」ともいう。)とし、T原子が酸素(O)を介して結合した三次元のネットワーク構造からなる骨格構造を有する。本実施形態においては、T原子にリン(P)を含むネットワークからなる骨格構造を有するアルミノフォスフェートやシリコアルミノホスフェートなどのゼオライト類縁物質と、ゼオライトである結晶性アルミノシリケートは異なる。
【0135】
前記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩は、小細孔ゼオライト、特にAFX型ゼオライト、を指向するSDAとして用いることができる。
【0136】
前記のシリカ源としては、特に限定するものではないが、例えば、シリカ(SiO2)又はその前駆体となるケイ素化合物を例示することができ、例えば、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、沈殿法シリカ、ヒュームドシリカ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0137】
前記のアルミナ源としては、特に限定するものではないが、例えば、アルミナ(Al2O3)又はその前駆体となるアルミニウム化合物を例示することができ、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、結晶性アルミノシリケート及び金属アルミニウムの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらのうち、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0138】
前記のアルカリ源としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物又はハロゲン化物が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウムの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水酸化ナトリウムであることがさらに好ましい。
【0139】
本実施形態において、原料組成物は以下に示すモル組成比のいずれかの組合せを有することが好ましい。
【0140】
SiO2/Al2O3 : 5以上、100以下、
好ましくは10以上、50以下、
より好ましくは15以上、40以下
OH/SiO2 : 0.06以上、1.0以下、
好ましくは0.08以上、0.60以下、
より好ましくは0.10以上、0.40以下
M/SiO2 : 0.06以上、1.0以下、
好ましくは0.08以上、0.60以下、
より好ましくは0.10以上、0.40以下
SDA/SiO2 : 0.01以上、2.0以下
好ましくは0.02以上、0.50以下
より好ましくは0.03以上、0.30以下
H2O/SiO2 : 5以上、60以下、
好ましくは10以上、50以下、
より好ましくは15以上、40以下
上記組成において、SiO2/Al2O3は原料組成物中のアルミナ源に対するシリカ源のモル比であり、OH/SiO2、M/SiO2、SDA/SiO2及びH2O/SiO2は、それぞれ、原料組成物中のシリカ源に対する水酸化物イオン(主にアルカリ源由来)、アルカリ金属(主にアルカリ源由来)、SDA(前記の一般式(1)で表されるジアンモニウム塩)又は水のモル比である。
【0141】
なお、Mはアルカリ金属であり、例えば、アルカリ金属がナトリウムである場合、又は、アルカリ金属がナトリウムとカリウムである場合、M/SiO2は、それぞれ、Na/SiO2、又は(Na+K)/SiO2となる。
【0142】
本実施形態において、原料組成物は種晶を含んでいてもよい。種晶を含む場合、原料組成物の種晶の含有量は、原料組成物中のケイ素をシリカ(SiO2)換算した重量に対する種晶中のケイ素をシリカ(SiO2)換算した重量の重量割合として、0重量%以上10.0重量%以下、更には0.5重量%以上5.0重量%以下、また更には0.5重量%以上3.5重量%以下であることが挙げられる。
【0143】
種晶は、結晶構造中に奇数員環を含まないゼオライトであることが好ましく、例えば、FAU、CHA、AEI、LEV、AFX、ERI、OFF、LTL及びGMEの群から選ばれるいずれか構造を有するゼオライトであることがより好ましく、CHA、AEI、LEV、AFX及びERIの群から選ばれるいずれかの構造を有するゼオライトであることがより好ましく、AFX型ゼオライトであることが更に好ましい。
【0144】
本実施形態において、結晶化工程では原料組成物を結晶化するが、具体的には、原料組成物を水熱処理することによって、これを結晶化すればよい。水熱処理は、原料組成物を密閉耐圧容器に入れ、これを加熱すればよい。水熱処理条件として以下のものを挙げることができる。
【0145】
処理温度 :80℃以上190℃以下、好ましくは150℃以上190℃以下
処理時間 :2時間以上500時間以下
処理圧力 :自生圧
結晶化における原料組成物の状態は任意であり、静置下又は撹拌下のいずれでもよいが、撹拌下であることが好ましい。
【0146】
本実施形態のゼオライト製造方法は、前記の結晶化工程の他に、洗浄工程、乾燥工程、SDA除去工程、又は、アンモニウム処理工程などの後処理工程を含んでもよい。
【0147】
前記の洗浄工程は、前記の結晶化工程後に液相と分離した後のゼオライトを洗浄する工程を意味する。当該洗浄工程における洗浄方法については任意であるが、例えば、ゼオライトと液相とを固液分離・回収したゼオライトを十分量の純水と接触させることを例示できる。
【0148】
前記の乾燥工程は、前記の洗浄工程後にゼオライトから水分を除去する工程を意味する。当該乾燥工程における乾燥方法は任意であるが、例えば、ゼオライトを、大気中、100℃以上、150℃以下で2時間以上処理することを例示できる。
【0149】
SDA除去工程は、ゼオライトに残存するSDAを除去する工程を意味する。
【0150】
SDA除去方法としては、例えば、大気中、400℃以上700℃以下で、1~2時間処理することが挙げられる。
【0151】
アンモニウム処理工程は、ゼオライトからのアルカリ金属の除去、及び、カチオンタイプをアンモニウム型(以下、「NH4
+型」とする。)にする工程を意味する。アンモニウム処理方法は、アンモニウムイオンを含有する水溶液とゼオライトとを接触させることが挙げられる。なお、NH4
+型のゼオライトについては、熱処理することによって、カチオンタイプがプロトン型(以下、「H+型」とする。)のゼオライトとすることもできる。前記の熱処理の具体的な条件としては、例えば、大気中、500℃、1~2時間が例示できる。
【0152】
また、本実施形態のゼオライト製造方法は、SDAを含むゼオライトを用いて、ゼオライトの修飾等を行う修飾工程を含んでいても良い。
【0153】
前記の修飾工程は、ゼオライトの表面や内部を金属塩や有機物で修飾する工程であり、方法は任意であるが、例えばゼオライトと金属塩を含む溶液とを接触させることが例示できる。
【0154】
本実施形態のゼオライトの製造方法により得られるゼオライトは、例えば、吸着剤、触媒、吸着剤の担体又は触媒担体など、公知のゼオライトの用途に使用することができる。
【0155】
本発明のAFX型ゼオライトに遷移金属を含有させる場合、本発明の製造方法は、AFX型ゼオライトに遷移金属を含有させる遷移金属含有工程を有していてもよい。
【0156】
遷移金属含有工程で使用する遷移金属としては、周期表の7族、8族、9族、10族、11族及び13族からなる群の1種以上の遷移金属を含む化合物であることが好ましく、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)からなる群の1種以上を含む化合物であることがより好ましく、鉄又は銅の少なくともいずれかを含む化合物であることが更により好ましく、銅を含む化合物であることが好ましい。遷移金属を含む化合物として、これらの遷移金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、錯塩、酸化物及び複合酸化物からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
【0157】
AFX型ゼオライトに遷移金属を含有させる方法としては、例えば、イオン交換法、含浸担持法、蒸発乾固法、沈殿担持法、及び物理混合法からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
【0158】
本発明のゼオライト製造方法により得られたAFX型ゼオライトは触媒又は吸着剤、並びに、これらの基材の少なくともいずれか、更には高温高湿下に晒される触媒又は吸着剤の少なくともいずれか、並びに、触媒基材又は吸着剤基材の少なくともいずれとして使用することができ、特に触媒又は触媒基材として使用することが好ましい。さらに、本発明のAFX型ゼオライトは、遷移金属を含有させることにより、これを窒素酸化物還元触媒として、特にSCR触媒として使用することができる。さらには、排気ガス温度が高いディーゼル車用のSCR触媒として使用することができる。
【0159】
本発明のAFX型ゼオライトを含む窒素酸化物還元触媒は、窒素酸化物還元方法に使用することができる。
【実施例】
【0160】
次に、本発明の実施例を示す。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
(H1-NMR)
AscendTM AVANCE III HD(400MHz、Bruker製)又はUltraShieldTM Plus AVANCE III(400MHz、Bruker製)を使用して、試料のH1-NMR測定を行った。測定溶媒として、重クロロホルム(CDCl3)又は重ジメチルスルホキシド-d6(DMSO-d6)を、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて試料のH1-NMRを測定した。また、測定溶媒として重水(D2O)を用いた場合は、溶媒シグナルを4.70ppmに設定した。測定データは、化学シフト、多重度、カップリング定数(Hz)及び積分値の順に記載した。
(イオンクロマトグラフ)
イオンクロマトグラフ装置IC-2001(東ソー製)を使用し、陰イオンクロマトグラフを測定した。測定条件は以下のとおりである。
【0161】
カラム: TSKgel SuperIC-AZ
溶離液: 7.5mmol/L炭酸水素ナトリウム水溶液
+1.1mmol/L炭酸ナトリウム水溶基
流速 : 0.8mL/min
温度 : 40℃
検出 : 電気伝導度
(粉末X線回折)
一般的なX線回折装置(装置名:Ultima IV、RIGAKU製)を使用し、試料のXRD測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
【0162】
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン幅 : 0.02°
発散スリット: 1.00deg
散乱スリット: 開放
受光スリット: 開放
計測時間 : 1.0分
測定範囲 : 2θ=3.0°~43.0°
得られたXRDのパターンとIZAのStructure Commissionのホーム-ページに掲載されたXRDパターンとを比較することによって、試料の結晶相及びXRDピーク強度比を確認した。
(ケイ素、アルミニウムの定量)
一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(装置名:OPTIMA3300DV、PERKIN ELMER製)を用いて、試料の組成分析を行った。試料をフッ酸と硝酸の混合溶液に溶解させ、測定溶液を調製した。得られた測定溶液を装置に投入して試料の組成を分析した。得られたケイ素(Si)、アルミニウム(Al)のモル濃度から、SiO2/Al2O3を算出した。
【0163】
式中、Me基はメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Msはメタンスルホニル基を表す。
【0164】
参考例1-1
(1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラエチルの合成)
【0165】
【0166】
1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(2.23g,9.95mmol)のエタノール/トルエン(1:1)混合溶液(20mL)に、p-トルエンスルホン酸位置一水和物(99.0mg,0.52mmol)を加え、加熱還流下で16時間撹拌した。反応後、反応液を室温に放冷し、溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、無色油状物の1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラエチル(3.51g,収率95%)を得た。
【0167】
1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラエチルのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):4.08~3.89(m,8H),2.93~2.77(m,4H),2.40~2.27(m,2H),2.17~2.06(m,2H),1.14(t,J=7.0Hz,12H)。
(1,2,4,5-テトラキシ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンの合成)
【0168】
【0169】
水素化アルミニウムリチウム(5.05g,133mmol)とテトラヒドロフラン(120mL)の懸濁液に、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラエチル(8.24g,22.1mmol)のテトラヒドロフラン(115mL)溶液を氷浴下で加え、65℃で3時間、室温で15時間撹拌した。反応後、反応液を氷浴で冷却し、水(5.8mL)、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(22mL)、水(17mL)を順次加えて撹拌した。反応液から析出した固体をろ別し、固体をテトラヒドロフラン及び酢酸エチルで洗浄した。ろ液から溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (溶離液:クロロホルム/メタノール)により精製することで、白色固体の1,2,4,5-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(2.98g,収率66%)を得た。
【0170】
1,2,4,5-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):4.43(t,J=4.9Hz,4H),3.47~3.36(m,4H),3.28~3.18(m,4H),1.52~1.40(m,2H),1.40~1.30(m,2H)。
(1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンの合成)
【0171】
【0172】
1,2,4,5-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(401mg,1.96mmol)及びトリエチルアミン(1.4mL,10.1mmol)のジクロロメタン(5.8mL)溶液に、塩化メタンスルホニル(0.69mL,8.92mmol)を氷浴下で加え、0℃で21.5時間撹拌した。反応混合物に水(5mL)を入れ、分液後、水層をクロロホルム(5mLx3)で抽出した。併せた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水様液(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することで、黄色油状物の1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン(974mg,収率96%)を得た。
【0173】
1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):4.31~4.20(m,4H),4.14~4.03(m,4H),3.21(s,12H),2.30~2.09(m,4H),1.75~1.58(m,4H)。
【0174】
実施例1-1
【0175】
【0176】
参考例1-1で得た1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン(974mg,1.9mmol)、アセトニトリル(7.0mL)及びピロリジン(0.65mL,7.9mmol)を入れ、封管中85℃にて15時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、濃縮し、得られた粗生成物にアセトンを入れ、析出した固体をろ取した。得られた固体を酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランで洗浄した。得られた固体を陰イオンン交換樹脂(アンバーライトIRA-400 Cl-型(16cm3,溶離液:メタノール)に通液し、イオン交換を行なった。通液した液体を濃縮し、得られた固体をジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトンで洗浄することでジスピロ[ピロリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(196mg,収率30%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0177】
ジスピロ[ピロリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):3.74(dd,J=11.8,7.7Hz,4H),3.51(dd,J=7.3,7.1Hz,4H),3.40(ddd,J=7.3,7.1Hz,4H),3.14(brdd,J=11.8,10.4Hz,4H),2.64~2.45(m,4H),2.19~2.02(m,8H),1.89~1.80(m,2H),1.30~1.18(m,2H)。
【0178】
参考例1-2
(N,N’-ビス(4-アセトキシブチル)-1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミドの合成)
【0179】
【0180】
1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(6.99g,31.2mmol)酢酸(63mL)の懸濁液に、5-アミノ-1-ブタノール(6.5mL,70mmol)を加え、加熱還流下で19時間撹拌した。反応後、反応液を室温に放冷し、水(180mL)を入れ、水層を酢酸エチル(340mL)で抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮することで、淡黄色固体のN,N’-ビス(4-アセトキシブチル)-1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド(8.94g,収率64%)を得た。
【0181】
N,N’-ビス(4-アセトキシブチル)-1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):4.05(t,J=5.7Hz,4H),3.51(t,J=6.7Hz,4H),2.98~2.86(m,4H),2.71~2.57(m,2H),2.03(s,6H),1.69~1.39(m,4H)。
(5,11-ビス(4-アセトキシブチル)-5,11-ジアザトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカンの合成)
【0182】
【0183】
水素化リチウム(4.53g,119mmol)とテトラヒドロフラン(150mL)の懸濁液に、N,N’-ビス(4-アセトキシブチル)-1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド(8.94g,19.8mmol)のテトラヒドロフラン(70mL)溶液を氷浴下で加え、60℃で14時間撹拌した。反応後、反応液を氷浴で冷却し、水(4.6mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(4.6mL)、水(13.3mL)を順次加えて撹拌した。反応液から析出した固体をろ別し、固体をテトラヒドロフラン及び酢酸エチルで洗浄した後、ろ液から溶媒を減圧下で留去して、黄色油状の5,11-ビス(4-アセトキシブチル)-5,11-ジアザトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカン(6.84g,収率>99%)を得た。
5,11-ビス(4-アセトキシブチル)-5,11-ジアザトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカンのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):3.60~3.52(m,4H),2.92~2.79(m,4H),2.46~2.36(m,4H),2.20~2.05(m,8H),1.72~1.51(m,12H),1.30~1.13(m,2H)。
【0184】
実施例1-2
【0185】
【0186】
参考例1-2で得た5,11-ビス(4-アセトキシブチル)-5,11-ジアザトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカン(6.84g,22.0mmol)、トリエチルアミン(8.0mL,57.4mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.27g,2.37mmol)のジクロロメタン(220mL)溶液に、塩化p-トルエンスルホニル(9.27g,48.6mmol)を氷冷下で加えた。室温で14.5時間撹拌した後、析出した固体をろ取し、クロロホルムで洗浄し、白色固体を得た。得られた固体をメタノール(100mL)に溶かして、陰イオン交換樹脂(アンバーライト IRA-400 Cl-型,250cm3)を入れ、室温にて115時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、得られた固体をアセトンで洗浄することで、白色固体のジスピロ[ピロリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(4.18g,収率55%)を得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0187】
ジスピロ[ピロリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):3.74(dd,J=11.8,7.7Hz,4H),3.51(dd,J=7.3,7.1Hz,4H),3.40(ddd,J=7.3,7.1Hz,4H),3.14(brdd,J=11.8,10.4Hz,4H),2.64~2.45(m,4H),2.19~2.02(m,8H),1.89~1.80(m,2H),1.30~1.18(m,2H)。
【0188】
参考例1-3
(1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサンの合成)
【0189】
【0190】
参考例1-1で得た1,2,4,5-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(0.21g,1.0mmol)、トルエン(0.36mL)を加え、氷浴下で撹拌した。ピリジン(0.40mL,5.0mmol)、塩化チオニル(0.36mL,4.99mmol)を加え、70℃で6時間加熱後、氷浴で冷却した。反応液中に析出した固体をろ別し、ろ液を濃縮後にヘキサンを加えて懸濁した。固体を再びろ別し、ろ液を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン-酢酸エチル)で精製することで、1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサン(55.8mg,20%)を白色固体として得た。
【0191】
1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサンのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):3.63(dd,J=11.2,6.7Hz,4H),3.45(dd,J=11.3,7.8Hz,4H),2.30~2.18(m,4H),1.86~1.71(m,4H)。
【0192】
実施例1-3
【0193】
【0194】
参考例1-3で得た1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサン(210mg,0.76mmol)、エタノール:テトラヒドロフラン(1:1)の混合液(1.0mL)、ヨウ化ナトリウム(114mg,0.76mmol)および3-(ジエチルアミノ)ピロリジン(0.50mL,3.17mmol)を入れ、封管中70℃にて16時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、濃縮した。残渣にクロロホルムを入れ、析出した固体をろ別し、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物に氷冷したアセトンを加え、析出した固体をろ取し、アセトニトリルで洗浄した。得られた固体をメタノールに溶かし、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA-400 Cl-型,3.2cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。ろ過により陰イオン交換樹脂を除去し、ろ液を減圧濃縮することで、3,3’’-ビス(ジエチルアミノ)ジスピロ[ピロリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8’-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(18.2mg,収率5%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0195】
3,3’’-ビス(ジエチルアミノ)ジスピロ[ピロリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8’-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):4.00~3.87(m,4H),3.87~3.52(m,10H),3.44~3.13(m,4H),2.74~2.54(m,12H),2.53~2.35(m,2H),2.23~2.09(m,2H),2.03~1.90(m,2H),1.41~1.26(m,2H),0.94(t,J=7.2Hz,12H)。
【0196】
実施例1-4
【0197】
【0198】
1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサン(168mg,0.60mmol)、エタノール:テトラヒドロフラン(1:1)混合液(1.0mL)、ヨウ化ナトリウム(90.3mg,0.60mmol)およびピペリジン(0.25mL,2.52mmol)を入れ、封管中70℃にて16時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、濃縮した。残渣にクロロホルムを入れ、析出した固体をろ取し、アセトニトリルで洗浄した。得られた粗生成物をメタノールに溶かし、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA-400 Cl-型,3.7cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮することで、することで、ジスピロ[ピペリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(48.2mg,収率21%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0199】
ジスピロ[ピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-ピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):4.04(dd,J=12,2,7.2Hz,4H),3.41(dd,J=5.7,5.7Hz,4H),3.36(dd,J=5.7,5.7Hz,4H),3.05(dd,J=12.2,11.8Hz,4H),2.69~2.54(m,4H),1.99~1.81(m,10H),1.73~1.63(m,4H),1.36~1.24(m,2H)。
【0200】
実施例1-5
【0201】
【0202】
1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン(337mg,0.66mmol)、アセトニトリル(1.0mL)、および4-メチルピペリジン(0.34 mL,2.77mmol)を入れ、封管中90℃にて16時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、氷冷し、氷冷したアセトンを加えることで析出した固体をろ取することで、ジスピロ[4-メチルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-メチルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネート(105mg,収率30%)を白色固体として得た。
【0203】
ジスピロ[4-メチルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-メチルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネートのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):4.17~4.09(m,2H),3.75~3.65(m,2H),3.50~3.35(m,4H),3.28~3.20(m,2H),3.15~3.03(m,4H),2.79(dd,J=10.4,10.4Hz,2H),2.70(s,6H),2.60~2.40(m,4H),1.88~1.73(m,6H),1.72~1.58(m,2H),1.56~1.37(m,4H),1.26~1.10(m,2H),0.90(d,J=6.5Hz,6H)。
【0204】
実施例1-6
【0205】
【0206】
ジスピロ[4-メチルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-メチルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネート(105mg,0.20mmol)をメタノールに溶かし、アンバーライトIRA-400 Cl-型(1.8cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮することで、ジスピロ[4-メチルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-メチルピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(80.2mg,収率86%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0207】
ジスピロ[4-メチルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-メチルピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):4.17~4.09(m,2H),3.75~3.65(m,2H),3.50~3.35(m,4H),3.28~3.20(m,2H),3.15~3.03(m,4H),2.79(dd,J=11.1,11.1Hz,2H),2.60~2.40(m,4H),1.88~1.73(m,6H),1.72~1.58(m,2H),1.56~1.37(m,4H),1.26~1.10(m,2H),0.90(d,J=6.5Hz,6H)。
【0208】
実施例1-7
【0209】
【0210】
1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン(318mg,0.62mmol)、アセトニトリル(1.0mL)、および4-フェニルピペリジン(451mg,2.80mmol)を入れ、封管中90℃にて16時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、冷し、氷冷したアセトンを加えることで析出した固体をろ取した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄することによって、ジスピロ[4-フェニルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-フェニルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネート(85.2mg,収率21%)を白色固体として得た。
【0211】
ジスピロ[4-フェニルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-フェニルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネートのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):7.37~7.20(m,10H), 4.40~4.28(m,2H),3.86~3.75(m,2H),3.71~3.57(m,4H),3.48~3.37(m,2H),3.35~3.16(m,4H),2.97~2.80(m,4H),2.71(s,6H),2.67~2.48(m,4H),2.11~1.95(m,8H),1.94~1.88(m,2H),1.35~1.18(m,2H)。
【0212】
実施例1-8
【0213】
【0214】
ジスピロ[4-フェニルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-フェニルピペリジン]-5,11-ジイウム=ビスメタンスルホネート(85.2mg,0.13mmol)をメタノールに溶かし、アンバーライトIRA-400 Cl-型(2.2cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた固体をクロロホルムで洗浄することで、ジスピロ[4-フェニルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-フェニルピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(40.0mg,収率12%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0215】
ジスピロ[4-フェニルピペリジン-1,2’-(1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール)-6’,1’’-4-フェニルピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):7.37-7.20(m,10H),4.40-4.28(m,2H),3.86-3.75(m,2H),3.71-3.57(m,4H),3.48-3.37(m,2H),3.35-3.16(m,4H),2.97-2.80(m,4H),2.67-2.48(m,4H),2.11-1.95(m,8H),1.94-1.88(m,2H),1.35-1.18(m,2H)。
【0216】
実施例1-9
【0217】
【0218】
ジスピロ[ピロリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(54.8mg,0.156mmol)の水溶液を陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRN78 OH-型,7.9cm3)を充填したカラムに通し、ジスピロ[ピロリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジヒドロキシドの水溶液(10mL)を得た。これをイオン交換水で希釈し、0.010M塩酸で滴定し、イオン交換率を測定したところ67%のイオン交換率であった。
【0219】
ジスピロ[ピロリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-ピロリジン]-5,11-ジイウム=ジヒドロキシドの水溶液のNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):3.74(dd,J=11.8,7.7Hz,4H),3.51(dd,J=7.2,7.2Hz,4H),3.40(dd,J=7.2,7.2Hz,4H),3.14(dd,J=11.8,10.4Hz,4H),2.62~2.45(m,4H),2.18-2.02(m,8H),1.88~1.79(m,2H),1.29~1.18(m,2H)。
【0220】
実施例1-10
【0221】
【0222】
1,2,4,5-テトラキス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン(336mg)、アセトニトリル(1.0mL)および4-ピペリジンカルボン酸メチル(0.36mL,2.6mmol)を入れ、封管中90℃にて17時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、濃縮し、得られた粗生成物をメタノールに溶かし、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA400 Cl-型,16cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。ろ過にて陰イオン交換樹脂を除き、ろ液を減圧濃縮後、残渣にアセトンを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄後、メタノールに溶かし、活性炭で洗浄することで、4,4’’-ビス(メトキシカルボニル)ジスピロ[ピペリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’ピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(174mg,収率56%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0223】
4,4’’-ビス(メトキシカルボニル)ジスピロ[ピペリジン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’ピペリジン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):4.18(m,1H),3.91(m,1H),3.78~3.69(m,8H),3.66~3.37(m,6H),3.35~3.16(m,2H),3.13~2.94(m,4H),2.89~2.74(m,2H),2.70~2.54(m,2H),2.27~1.80(m,13H),1.30(m,1H)。
【0224】
実施例1-11
【0225】
【0226】
1,2,4,5-テトラキス(クロロメチル)シクロヘキサン(83.0mg,0.30mmol)、エタノール:テトラヒドロフラン混合溶液(0.50mL,1:1)、ヨウ化ナトリウム(45.0mg,0.30mmol)およびヘキサメチレンイミン(0.14mL,1.24mmol)を入れ、封管中70℃にて18時間撹拌した。反応液を室温に放冷後、濃縮した。残渣にクロロホルムを入れ、析出した固体をろ取した。得られた固体をメタノールに溶かし、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA-400 Cl-型,1.5cm3)を入れ、室温で3時間撹拌した。ろ過により陰イオン交換樹脂を除去し、ろ液を減圧濃縮することで、ジスピロ[アゼパン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-アゼパン]-5,11-ジイウム=ジクロリド(5.3mg,収率4%)を白色固体として得た。得られた化合物をイオンクロマトグラフにて分析した結果、塩化物イオンの存在を確認した。
【0227】
ジスピロ[アゼパン-1,2’-{1’,2’,3’,4’,5’,6’,7’,8-デカヒドロベンゾ[1,2-c:4,-c’]ジピロール}-6’,1’’-アゼパン]-5,11-ジイウム=ジクロリドのNMRスペクトル:1H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):3.98(dd,J=12.2,7.1Hz,4H),3.58~3.48(m,4H),3.48~3.43(m,4H),3.07(dd,J=11.4,10.4Hz,4H),2.69~2.52(m,4H),1.98~1.79(m,10H),1.78~1.63(m,8H),1.36~1.23(m,2H)。
【0228】
(AFX型ゼオライトの合成)
実施例2-1
実施例1-2で得られたジスピロ[ピロリジン-1,2’-(1’,2’,3’,5’,6’,7’-ヘキサヒドロベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジピロリウム)-6’,1’’-ピロリジン]=ジクロリドを構造指向剤(SDA)とし、48%NaOH及びY型ゼオライト(商品名:HSZ-350HUA、東ソー製、シリカ及びアルカリ源)を混合し組成物を得た。得られた組成物の組成を示す。
【0229】
SiO2/Al2O3 = 11.1
OH/SiO2 = 0.35
Na/SiO2 = 0.35
SDA/SiO2 = 0.10
H2O/SiO2 = 25
組成物の種晶含有量が3.0重量%となるように、組成物に種晶AFX型ゼオライトを添加した後、十分に撹拌した。
攪拌後の組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、当該オートクレーブを回転させながら、180℃で168時間加熱して生成物を得た。
【0230】
生成物を濾過、洗浄し、大気中110℃で一晩乾燥させた。生成物はAFX型ゼオライトの単一相であり、SiO2/Al2O3は10.9であった。
【0231】
本実施例のAFX型ゼオライトのXRDパターンを
図1、SEMイメージを
図2に示す。