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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H01L21/68 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020039925
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021141278
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充明
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218607(JP,A)
【文献】特開2019-062175(JP,A)
【文献】特開2003-338492(JP,A)
【文献】特開2009-224526(JP,A)
【文献】特開2018-101773(JP,A)
【文献】特開2019-165195(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051248(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を有する底部を含むチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、第2流路を有する基板支持部と、
前記チャンバの底部と前記基板支持部との間に配置され、前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続部材と、を備え、
前記接続部材は、
前記第1流路と前記第2流路とを連通する外筒体と、
前記外筒体内に配置され、第1の棒状体部分及び第1の弾性多孔体部分を含む心材と、を有し、
前記外筒体の内面と前記第1の棒状体部分の外面との間に空隙が規定されている、
基板処理装置。
【請求項2】
前記第1の弾性多孔体部分は、連続気泡を有する弾性発泡体で構成される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1の弾性多孔体部分は、1MPaから3MPaのヤング率を有する、
請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記空隙は、前記第1の棒状体部分の側面に設けられた螺旋溝によって規定される、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記空隙は、前記外筒体の内周面のうち前記第1の棒状体部分の側面に対向する領域に設けられた螺旋溝によって規定される、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の弾性多孔体部分は、前記第1の棒状体部分と前記基板支持部との間に配置される、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の弾性多孔体部分は、前記第1の棒状体部分と前記チャンバの底部との間に配置される、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記心材は、更に連続気泡を有する第2の弾性多孔体部分を含み、
前記第1の弾性多孔体部分は、前記第1の棒状体部分と前記チャンバの底部との間に配置され、
前記第2の弾性多孔体部分は、前記第1の棒状体部分と前記基板支持部との間に配置される、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記心材は、更に第2の棒状体部分を含み、
前記第1の弾性多孔体部分は、前記第1の棒状体部分と前記第2の棒状体部分の間に配置される、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板支持部に高周波電力を供給する高周波電源をさらに備える、
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と基板を支持する支持台との熱伝導性を高くするため、支持台の上面と基板の裏面との間にHeガス等の伝熱ガスを供給する基板処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、静電チャックにヘリウムガスを供給するヘリウム供給ラインにおいて、絶縁体の円筒空洞内にらせん溝を有する絶縁部材を配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8503151号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、放電の発生を抑制する基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、第1流路を有する底部を含むチャンバと、前記チャンバ内に配置され、第2流路を有する基板支持部と、前記チャンバの底部と前記基板支持部との間に配置され、前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続部材と、を備え、前記接続部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する外筒体と、前記外筒体内に配置され、第1の棒状体部分及び第1の弾性多孔体部分を含む心材と、を有し、前記外筒体の内面と前記第1の棒状体部分の外面との間に空隙が規定されている、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、放電の発生を抑制する基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す断面模式図。
図2】一実施形態に係る基板処理装置の部分拡大断面模式図。
図3】電極間距離と電圧による放電が発生する領域の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<基板処理装置>
一実施形態に係る基板処理装置1について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る基板処理装置1の一例を示す断面模式図である。
【0011】
基板処理装置1は、チャンバ10を備える。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供する。チャンバ10はチャンバ本体12を含む。チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成される。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。当該膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどのセラミックであってよい。
【0012】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、通路12pを通して内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送される。通路12pは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられるゲートバルブ12gにより開閉される。
【0013】
チャンバ本体12の底板であるベースプレート12b上には、支持部13が設けられている。支持部13は、絶縁材料から形成される。支持部13は、略円筒形状を有する。支持部13は、内部空間10sの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、上部に支持台14を有する。支持台14は、内部空間10sの中において、基板Wを支持するように構成されている。
【0014】
支持台14は、下部電極18及び静電チャック20を有する。支持台14は、電極プレート16を更に有し得る。電極プレート16は、アルミニウムなどの導体から形成され、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムなどの導体から形成されて、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0015】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。静電チャック20の上面に基板Wが載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有し、誘電体から形成される。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間に静電引力が発生する。その静電引力により、基板Wが静電チャック20に保持される。
【0016】
下部電極18の周縁部上には、基板Wのエッジを囲むように、エッジリング25が配置される。エッジリング25は、基板Wに対するプラズマ処理の面内均一性を向上させる。エッジリング25は、シリコン、炭化シリコン、又は石英などから形成され得る。
【0017】
下部電極18の内部には、流路(図示しない)が設けられている。流路には、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニット(図示しない)から配管(図示しない)を介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路に供給された熱交換媒体は、配管(図示しない)を介してチラーユニットに戻される。基板処理装置1では、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、調整される。
【0018】
基板処理装置1には、ガス供給ライン22が設けられている。ガス供給ライン22は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間に供給する。ガス供給ライン24は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、下部電極18の上面とエッジリング25の裏面との間に供給する。
【0019】
基板処理装置1は、上部電極30を更に備える。上部電極30は、支持台14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する材料から形成される。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0020】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成する。天板34は、発生するジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34は、天板34をその板厚方向に貫通する複数のガス吐出孔34aを有する。
【0021】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36は、ガス拡散室36aから下方に延びる複数のガス孔36bを有する。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0022】
ガス供給管38には、バルブ群42、流量制御器群44、及びガスソース群40が接続されている。ガスソース群40、バルブ群42、及び流量制御器群44、は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含む。バルブ群42は、複数の開閉バルブを含む。流量制御器群44は、複数の流量制御器を含む。流量制御器群44の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群42の対応の開閉バルブ、及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0023】
基板処理装置1では、チャンバ本体12の内壁面及び支持部13の外周に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、チャンバ本体12に反応副生物が付着することを防止する。シールド46は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0024】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜(酸化イットリウムなどの膜)を形成することにより構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含む。
【0025】
基板処理装置1は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を備えている。第1の高周波電源62は、第1の高周波電力を発生する電源である。第1の高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。第1の高周波電力の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。第1の高周波電源62は、整合器66及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して、上部電極30に接続されていてもよい。第1の高周波電源62は、一例のプラズマ生成部を構成している。
【0026】
第2の高周波電源64は、第2の高周波電力を発生する電源である。第2の高周波電力は、第1の高周波電力の周波数よりも低い周波数を有する。第1の高周波電力と共に第2の高周波電力が用いられる場合には、第2の高周波電力は基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波電力として用いられる。第2の高周波電力の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。第2の高周波電源64は、整合器68及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。
【0027】
なお、第1の高周波電力を用いずに、第2の高周波電力を用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、第2の高周波電力の周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。基板処理装置1は、第1の高周波電源62及び整合器66を備えなくてもよい。第2の高周波電源64は一例のプラズマ生成部を構成する。
【0028】
基板処理装置1においてガスが、ガス供給部から内部空間10sに供給されて、プラズマを生成する。また、第1の高周波電力及び/又は第2の高周波電力が供給されることにより、上部電極30と下部電極18との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界がプラズマを生成する。
【0029】
基板処理装置1は、電源70を備えている。電源70は、上部電極30に接続されている。電源70は内部空間10s内に存在する正イオンを天板34に引き込むための電圧を、上部電極30に印加する。
【0030】
基板処理装置1は、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部80は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部80では、入力装置を用いて、オペレータが基板処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部80では、表示装置により、基板処理装置1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、基板処理装置1で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサが、制御プログラムを実行し、レシピデータに従って基板処理装置1の各部を制御する。
【0031】
ここで、ガス供給ライン22,24について、更に説明する。
【0032】
ベースプレート12bには、ガス導入路26a,26bが設けられている。支持台14の電極プレート16には、ガス導入路28a,28bが設けられている。ガス導入路28aは、電極プレート16、下部電極18及び静電チャック20を貫通し、基板Wが載置される位置で開口する。ガス導入路28bは、電極プレート16及び下部電極18を貫通し、エッジリング25が載置される位置で開口する。
【0033】
高周波電力が印加される電極プレート16と、接地されるベースプレート12bとの間には、ガス導入部材100a,100bが設けられている。ガス導入部材100aは、ガス導入路26aとガス導入路28aとを接続する。ガス供給ライン22は、ガス導入路26a、ガス導入部材100a、ガス導入路28aを有している。ガス導入部材100bは、ガス導入路26bとガス導入路28bとを接続する。ガス供給ライン24は、ガス導入路26b、ガス導入部材100b、ガス導入路28bを有している。
【0034】
ガス導入部材100aとガス導入部材100bとは、同様の構造を有している。このため、ガス供給ライン24のガス導入部材100bについて説明し、ガス供給ライン22のガス導入部材100aについては、重複する説明を省略する。
【0035】
ガス導入部材100bについて、図1を参照しつつ、図2を用いて更に説明する。図2は、ガス導入部材100bの上方付近を拡大した一実施形態に係る基板処理装置1の部分拡大断面模式図である。
【0036】
図2に示すように、電極プレート16の下面には、ガス導入路28bと連通する凹部16aが形成されている。凹部16aには、キャンセラ16bが配置される。キャンセラ16bは、電極プレート16と同様に、アルミニウムなどの導体から形成される。キャンセラ16bは、固定部材16cによって電極プレート16に固定され、電極プレート16と電気的に導通する。キャンセラ16bの下面の高さは、電極プレート16の下面の高さと略等しくなっている。
【0037】
ガス導入部材100bは、外筒体110と、外筒体110内に配置される心材120と、を有する。
【0038】
外筒体110は、円筒形状を有する。外筒体110は、例えば樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン等)、石英等の絶縁材料で形成される。外筒体110の上端は、シール部材16dを挟んで電極プレート16の下面に取り付けられている。外筒体110の下端は、シール部材(図示せず)を挟んでベースプレート12bの上面に取り付けられている。これにより、外筒体110は、ベースプレート12bのガス導入路26bと電極プレート16のガス導入路28bとを連通させる。
【0039】
心材120は、軸体130と、弾性多孔体140と、を有する。
【0040】
軸体130は、外筒体110と同様に、例えば樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン等)、石英等の絶縁材料で形成される。軸体130の外周面と、外筒体110の内周面のうち軸体130の外周面と対応する部分との間には、螺旋溝が形成され、伝熱ガスが通流可能となっている。図2に示す例において、軸体130の外周面に螺旋溝131が形成されている。換言すれば、軸体130は、コア軸135と、らせん状のフランジ136と、を有している。
【0041】
ここで、電極プレート16とベースプレート12bとの間には、電位差が生じている。このため、ガス導入部材100bにおいて、軸方向の隙間(例えば、電極プレート16と心材120との隙間、軸方向にみて離接するフランジ136間の螺旋溝131、ベースプレート12bと心材120との隙間等)をそれぞれコンデンサとみなすことができる。即ち、電極プレート16とベースプレート12bとの間に配置されるガス導入部材100bは、直列に配列されたコンデンサとみなすことができる。
【0042】
コンデンサの電荷Qは、静電容量C、電圧Vを用いて式(1)で表される。また、平行平板のコンデンサとみなして、静電容量Cは、誘電率ε、面積S、間隔dを用いて式(2)で表される。
【0043】
【数1】
【0044】
そして、式(1)及び式(2)より、式(3)が導出される。
【0045】
【数2】
【0046】
図3は、電極間の間隔dと電圧Vによる放電が発生する領域の一例を示すグラフの一例である。ここでは、電極間には、伝熱ガス(Heガス)が充填され、伝熱ガスの圧力が一定であるものとして説明する。図3のグラフにおいて、横軸は電極間の間隔dを示し、縦軸は電極間の電圧Vを示す。また、図3の曲線301は、放電開始電圧(パッシェングラフ)を示す。放電開始電圧よりも上側の領域(放電領域)では、電極間に放電が生じる。
【0047】
ここで、式(3)に示すように、間隔dを狭くすることで、電圧Vを小さくすることができる。即ち、図3の点302と点303を対比して示すように、間隔dを狭くすることで、電圧Vを放電開始電圧(曲線301)よりも下げ、放電を防止することができる。
【0048】
即ち、外周面に螺旋溝131が形成された軸体130は、伝熱ガスを通流可能とするとともに、軸方向の隙間dを狭くして放電を防止する。
【0049】
なお、ガス導入部材100bに形成される螺旋溝は、これに限られるものではない。軸体130の外周面、および/または、外筒体110の内周面のうち軸体130の外周面と対応する部分に、螺旋溝が形成される構成であってもよい。
【0050】
電極プレート16と軸体130との間には、弾性多孔体140が配置されている。
【0051】
弾性多孔体140は、フッ素ゴム、加硫ゴム等の弾性変形可能な絶縁材料で形成される。具体的には、弾性多孔体140のヤング率は、1MPa以上3MPa以下の範囲が好ましい。また、弾性多孔体140の硬度は、JIS K6253で定めるタイプAデュロメータで硬さ20以上90以下の範囲が好ましい。また、弾性多孔体140の厚さは、5mm以上が好ましい。
【0052】
また、弾性多孔体140は、伝熱ガスが通流可能に形成される。具体的には、弾性多孔体140は、発泡体であってもよい。発泡体である弾性多孔体140は、不規則な連通気泡を有しており、伝熱ガスが通流可能に形成される。また、弾性多孔体140は、伝熱ガスが通流する隙間が迷路状に形成されたラビリンス構造体であってもよい。
【0053】
弾性多孔体140は、軸体130の上端と電極プレート16の下面との間に配置される。弾性多孔体140が弾性変形することにより、弾性多孔体140の下方は軸体130の上端と接し、弾性多孔体140の上方は電極プレート16の下面と接する。これにより、軸体130の上端から電極プレート16の下面までの領域において、伝熱ガスを通流可能とするとともに、軸方向の隙間を狭くして放電を防止する。また、弾性変形した弾性多孔体140が軸体130をベースプレート12bに向けて押すことにより、軸体130の下端とベースプレート12bとの隙間を狭めて、放電を防止する。
【0054】
また、チャンバ10の内部空間10sに生成されたプラズマの熱が支持部13等に入熱することにより、支持部13等が熱膨張する。これにより、ベースプレート12bから電極プレート16までの距離が変動する。また、静電チャック20や電極プレート16にプラズマの熱が入熱し、その熱が軸体130に伝熱することにより、軸体130が熱膨張する。これに対し、ガス導入部材100bは、弾性多孔体140が弾性変形することで、ベースプレート12bから電極プレート16までの距離の変動や軸体130の熱膨張による伸びを吸収して、軸体130の破損や変形を防止する。なお、外筒体110は、外筒体110の上端と電極プレート16の下面との間のシール部材16d及び外筒体110の下端とベースプレート12bの上面のとの間のシール部材(図示せず)によって、ベースプレート12bから電極プレート16までの距離の変動や外筒体110の熱膨張による伸びを吸収することができる。
【0055】
なお、図1において、ベースプレート12bの側に軸体130が配置され、電極プレート16の側に弾性多孔体140が配置されるものとして図示しているが、これに限られるものではない。ベースプレート12bの側に弾性多孔体140が配置され、電極プレート16の側に軸体130が配置される構成であってもよい。また、ベースプレート12bの側に一の弾性多孔体140が配置され、電極プレート16の側に他の弾性多孔体140が配置され、一の弾性多孔体140と他の弾性多孔体140との間に、軸体130が配置される構成であってもよい。また、ベースプレート12bの側に一の軸体130が配置され、電極プレート16の側に他の軸体130が配置され、一の軸体130と他の軸体130との間に、弾性多孔体140が配置される構成であってもよい。即ち、心材120は、少なくとも1つの軸体130と、少なくとも1つの弾性多孔体140と、を有し、外筒体110の軸方向に配置されていればよい。
【0056】
以上、基板処理装置1の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 基板処理装置
14 支持台
12b ベースプレート(第1プレート)
16 電極プレート(第2プレート)
16a 凹部
16b キャンセラ
16c 固定部材
18 下部電極
20 静電チャック
22,24 ガス供給ライン
26a,26b ガス導入路(第1ガス導入路)
28a,28b ガス導入路(第2ガス導入路)
100a,100b ガス導入部材
110 外筒体
120 心材
130 軸体
140 弾性多孔体
131 螺旋溝
135 コア軸
136 フランジ
図1
図2
図3