(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】嫌気性硬化性組成物用のパック
(51)【国際特許分類】
B05C 17/025 20060101AFI20231201BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B05C17/025
B65D83/00 K
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2020523452
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2018079336
(87)【国際公開番号】W WO2019081669
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ピーター オサリバン
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189341(JP,A)
【文献】特公昭48-013717(JP,B1)
【文献】特開平04-371350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
B65D83/00
83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嫌気性硬化性組成物用のディスペンサと、前記ディスペンサ内に保持された嫌気性硬化性組成物と、を有し、
前記ディスペンサは、
(a) 嫌気性硬化性組成物が保持されるリザーバであって、前記嫌気性硬化性組成物を分配することができる出口を有するリザーバと、
(b) 前記リザーバから前記出口を通じて前記嫌気性硬化性組成物を送り出す、往復ノズルを含む分配ポンプと、を有し、
前記リザーバおよび前記分配ポンプは、共にエアレスポンプアセンブリを形成し、
(c) アプリケータ表面を備えた前記出口と連絡しているアプリケータであって、前記分配ポンプによって前記リザーバから前記出口を通じて分配された前記嫌気性硬化性組成物を基板に塗布するアプリケータと、
(d) 嫌気性硬化性組成物の分配に伴って前記リザーバの容量を減少させる、前記リザーバ内のピストンと、
を有する、
パック。
【請求項2】
前記アプリケータは、ロー
ラである、請求項1に記載のパック。
【請求項3】
前記嫌気性硬化性組成物が前記アプリケータの表面全体に広がるように、前記アプリケータ上への嫌気性硬化性組成物の分配を調整するスプレッダを有する、請求項1または2に記載のパック。
【請求項4】
前記アプリケータ上への嫌気性硬化性組成物の分配を調整する前記スプレッダは、ローラである、請求項
3に記載のパック。
【請求項5】
前記スプレッダは、ローラの形態であり、前記ローラは、使用時に、嫌気性硬化性組成物に浸漬される浸漬チャンバ内に取り付けられている、請求項4に記載のパック。
【請求項6】
前記リザーバは、対向する端を有し、前記分配ポンプは前記出口と同じ端に設けられている、請求項1~5のいずれかに記載のパック。
【請求項7】
閉鎖位置に向かって付勢される出口用の弁をさらに有し、前記分配ポンプによるポンピングは、前記出口を通じて嫌気性硬化性組成物を排出するように、前記弁を通じて嫌気性硬化性組成物を引き込む、請求項1~6のいずれかに記載のパック。
【請求項8】
前記ディスペンサは、ハウジングをさらに有し、
前記リザーバおよびポンプは、前記ハウジング内に挿入可能なカートリッジの形態で一緒に組み立てられる、請求項1~7のいずれかに記載のパック。
【請求項9】
前記アプリケータは前記ハウジング上にある、請求項8に記載のパック。
【請求項10】
嫌気性硬化性組成物が前記アプリケータの表面の全体に広げられるように前記アプリケータ上への嫌気性硬化性組成物の分配を調整するスプレッダを有し、前記スプレッダは、前記ハウジングのチャンバ内に配置される、請求項9に記載のパック。
【請求項11】
前記リザーバおよびポンプは、前記ポンプが前記リザーバ用のクロージャに提供されて一緒に組み立てられる、請求項1~10に記載のパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嫌気性硬化性組成物、特に嫌気性シーラントおよび接着剤、特に液体製品用のパックに関する。接着剤やシーラントなどの嫌気性硬化性組成物は、酸素(空気)の非存在下で硬化または重合する。
【背景技術】
【0002】
嫌気性接着剤およびシーラント製品などの嫌気性硬化性組成物を保存するための容器が知られている。通常、そのような容器は、実質的に剛性の壁を有するプラスチックから構成され得る。
【0003】
このような容器は、壁などから空気を透過させる空気透過性の素材でできている。この空気は、ヘッドスペース内の空気と置き換わるか容器内の製品に浸透する可能性がある。しかし、嫌気性製品の安定性を確保するためには、ヘッドスペースへの浸透だけでは十分な保存期間を確保するには不十分である。製品の硬化または重合が起こらないようにするためにも、空気は製品に浸透しなければならない。十分な保存期間を与えるために、容器の空気透過性に応じて、通常は容器の内容積の30%~60%が嫌気性製品で満たされないままにされる。これにより、十分な量の空気(酸素)が容器内に留まり、嫌気性製品の安定化に役立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生じる問題は、嫌気性硬化性組成物をどのように分配するかである。それらは液体であり、多くの場合、材料のビーズの形態で分配される。例えば、材料のビーズが第1の基板に塗布され、次に、第1の基板と接合される第2の基板が第1の基板と接合される。十分な密接により、嫌気性硬化性組成物の硬化をもたらす十分な嫌気性環境を提供するのに十分な空気が排除される。例えば、嫌気性硬化性組成物は、多くの場合、ギアボックスなどの基板の開口部の周りのフランジにビーズとして塗布される。第2の基板がフランジと接合する、例えばギアボックスの蓋がギアボックスと接合すると、嫌気性硬化性組成物が硬化して、2つの部品の間にガスケットシールが形成される。
【0005】
繰り返し塗布する場合、例えば生産ライン計画では、分配装置を利用して嫌気性硬化性組成物を分配することができる。例えば、ノズルを通じて嫌気性硬化性組成物を分配するディスペンサが利用されてもよい。しかしながら、そのような装置は、分配されていない嫌気性硬化性組成物の早期硬化を引き起こしてはならない。
【0006】
さらに、ディスペンサの機能が信頼でき、分配動作の間に時間の遅れがある場合でも繰り返し分配できることが望ましい。例えば、ディスペンサは、分配される製品の塗布を阻害する、または流動を妨げる硬化製品で汚染されないことが望ましい。
【0007】
分配装置が利用可能であっても、嫌気性硬化性組成物を貯蔵および/または分配する代替の方法を提供することが望ましい。特に、材料の連続的なビーズを分配することができるディスペンサを有することが望ましい。ビーズが破損すると、シールが不完全になる可能性がある。さらに、過剰な材料の塗布を防止できるディスペンサを有することが望ましい。過剰な材料は潜在的な汚染を引き起こす。例えば、2つの基板を接合するとき、過剰な材料が流れ出ることがある。これは無駄であり、汚染を引き起こす可能性があり、見た目の良くない仕上がりになる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、嫌気性硬化性組成物用のディスペンサと、前記ディスペンサ内に保持された嫌気性硬化性組成物と、を有し、
前記ディスペンサは、
(i) 嫌気性硬化性組成物が保持されるリザーバであって、前記嫌気性硬化性組成物を分配することができる出口を有するリザーバと、
(ii) 前記リザーバから前記出口を通じて前記嫌気性硬化性組成物を送り出す分配ポンプと、を有し、
前記リザーバおよび前記ポンプは、共にエアレスポンプアセンブリを形成し、
アプリケータ表面を備えた前記出口と連絡しているアプリケータであって、前記ポンプによって前記リザーバから前記出口を通じて分配された前記嫌気性硬化性組成物を基板に塗布するアプリケータを有する、
パックを提供する。
【0009】
このことは、嫌気性硬化性組成物を塗布するためのシンプルでありながら効果的なパックを提供する。特に、嫌気性硬化性組成物を材料のビーズの形態で塗布する代わりに、平坦で薄い均一な層として塗布することができる。嫌気性硬化性組成物は、塗布されると広がる。これは、ビーズを塗布し、その後ビーズを広げなければならない従来技術のディスペンサと対照的である。
【0010】
アプリケータは、ローラ、例えば発泡ローラであってよい。ローラを前後に回転させることにより、嫌気性硬化性組成物の層の塗布さえも可能にすることが理解されよう。
【0011】
本発明のディスペンサは、あらゆる向き、例えば、上下逆、すなわち、例えば上向きのローラを用いても、製品を分配および塗布できることが理解されるであろう。そのような向きで材料のビーズを塗布することは、塗布される表面から落ちる可能性が高いので、一般に不可能であることが理解されよう。
【0012】
望ましくは、本発明のパックは、嫌気硬化性組成物がアプリケータの表面全体に広がるように、アプリケータ上への嫌気性硬化性組成物の分配を調整するスプレッダをさらに含む。スプレッダにより、嫌気性硬化性組成物をビーズの形態ではなく平坦で薄い均一な層として塗布できることが再度理解されよう。例えば、アプリケータがローラの形態である場合、スプレッダは、嫌気性硬化性組成物のローラ表面積全体への均一な分布での塗布を確実にする。
【0013】
嫌気性硬化性組成物のアプリケータへの分配を調整するスプレッダは、ローラであってもよい。例えば、スプレッダがローラの形態であり、アプリケータがローラの形態である場合、スプレッダーローラは、望ましくは、嫌気性硬化性組成物をアプリケーターローラの表面全体に広げる。このことは、アプリケーターローラの表面全体にわたって、そして次に嫌気性硬化性組成物が塗布される基板の表面領域にわたって、嫌気性硬化性組成物の所望の量および均一な分布での塗布を可能にする。
【0014】
スプレッダがローラの形態である場合、スプレッダーローラは、使用時に嫌気性硬化性組成物に浸漬される浸漬チャンバ内に取り付けられることが望ましい。スプレッダーローラは、望ましくは、そのローラの周囲に等間隔で配置され、ローラの回転軸と並列する細長い平行なリブを有する縦溝付きのものである。
【0015】
本発明によるパックは、嫌気性硬化性組成物の分配に伴ってリザーバ容量を徐々に減少させるピストンをリザーバ内に有することができる。したがって、嫌気性硬化性組成物が分配されると、嫌気性硬化性組成物の容量およびリザーバの容量は両方とも減少する。したがって、ピストンおよびシールは、(ポンプ動作に応じて)エアレスポンプアセンブリと同様に動く。
【0016】
これに関して、「ピストン」は、スライドシール構造を指すために使用される。ピストンロッドは必要ではない。本発明のエアレスポンプアセンブリでは、リザーバの底部まで延びるサイフォン管は必要ない。
【0017】
本発明のパックでは、リザーバは対向する端を有し、分配ポンプはリザーバの出口と同じ端に設けられる。
【0018】
本発明のパックは、閉鎖位置に向かって付勢される出口用の弁を有してもよく、分配ポンプによるポンピングは、出口を通じて嫌気性硬化性組成物を排出するように、弁を通じて嫌気性硬化性組成物を引き込む。
【0019】
本発明のパックは、カートリッジが挿入される外側ハウジングの形態であってもよい。したがって、本発明のディスペンサは、ハウジングをさらに含むことができ、リザーバおよびポンプは、ハウジングに挿入可能なカートリッジの形態で一緒に組み立てられる。このことは、必要に応じてハウジングを複数回使用できることを意味する。また、カートリッジは最充填充可能であってよい。そのような構成では、アプリケータがハウジング上にあることが望ましい。そのような構成において、本発明のパックは、嫌気硬化性組成物がアプリケータ表面全体に広げられるように、アプリケータ上への嫌気硬化性組成物の分配を調整するスプレッダを含む。スプレッダはハウジングのチャンバ内に配置されることが望ましい。
【0020】
カートリッジおよび/または外側ハウジングは、ポリプロピレン(PP)で構成されてもよい。カートリッジおよび/または外側ハウジングは、透明な材料で構成されてもよい。透明な材料はPPでもよい。
【0021】
カートリッジ、すなわちカートリッジの壁を形成する材料は、約1.8~約2.5mmの厚さであってよい。例えば、約2.1mmの厚さなど、約1.9~約2.3mmの厚さであってよい。
【0022】
外側ハウジング、すなわち外側ハウジング壁を形成する材料は、約2.8~約3.6mmの厚さであってよい。例えば、約3.2mmの厚さなど、約3~約3.4mmの厚さであってよい。
【0023】
ディスペンサは、例えばペン状のディスペンサ/アプリケータの形態をとる細長い本体を有することが望ましい。これは、ユーザの手で保持するのに適しており、したがって嫌気性硬化性組成物を手作業で動塗布するのに適している。
【0024】
望ましくは、カートリッジは、その直径よりも長さが少なくとも4倍、例えば少なくとも5倍大きい。
【0025】
嫌気硬化性材料が本発明のパック中で安定であることは驚くべきことである。
【0026】
本発明のパックにおいて、リザーバよびポンプは、リザーバ用のクロージャにポンプが提供されて組み立てることが可能である。そのような構成では、ポンプ/クロージャは、リザーバへの製品の充填のために取り外され、次に交換されることができる。
【0027】
嫌気性硬化性組成物は、一般に周知である。例えば、「Handbook of Adhesive Technology」、29、467~79頁、A.PizziおよびK.L.Mittal編、Marcel Dekker、Inc.、New York(1994年)のR.D.Rich、「Anaerobic Adhesives」、およびそれに引用されている参考文献を参照のこと。それらの使用は多岐にわたっており、新しい用途の開発が継続されている。
【0028】
嫌気性接着剤系は、酸素の存在下で安定であるが、酸素の非存在下で重合する。重合は、しばしばペルオキシ化合物から生成されるフリーラジカルの存在によって開始される。
【0029】
多くの場合、嫌気性接着剤系は、既知のウレタン化学に従って誘導された、メタクリレート、エチルアクリレートおよびクロロアクリレートエステル[例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよびウレタンアクリレート(例えば、米国特許第3,425,988号(Gorman)])などの重合性アクリレートエステルを末端に有する樹脂モノマーを含む。嫌気性硬化性接着剤組成物中に典型的に存在する他の成分は、開始剤、例えばクメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシド、組成物が硬化する速度を高める促進剤、ペルオキシ化合物の分解による接着剤の早期重合を防止するのに役立つために含まれるキノンまたはヒドロキノンなどの安定剤を含む。
【0030】
硬化を誘発し促進する、望ましい嫌気性硬化誘発性組成物は、サッカリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン(「DE-p-T」)およびN,N-ジメチル-o-トルイジン(「DM-o-T」)などのトルイジン、アセチルフェニルヒドラジン(「APH」)ならびにマレイン酸を含むことができる。例えば、米国特許第3,218,305号(Krieble)、同第4,180,640号(Melody)、同第4,287,330号(Rich)および同第4,321,349号(Rich)を参照のこと。
【0031】
サッカリンおよびAPHは、嫌気性接着剤硬化系において標準的な硬化促進剤成分として使用される。実際、Henkel Corporationから現在入手可能なLOCTITE(登録商標)ブランドの嫌気性接着剤製品の多くは、サッカリン単独またはサッカリンおよびAPHの両方のいずれかを使用する。
【0032】
(メタ)アクリレート成分は、式:H2C=CGCO2R8を有する(メタ)アクリルモノマーであってもよく、
式中、Gは、水素、ハロゲンまたは1~約4個の炭素原子を有するアルキル基であってもよく、R8は、1~約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択することができ、そのいずれかが任意にシラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、ポリウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、およびスルホンによって置換または遮断されていてもよい。
【0033】
本明細書で使用に適している、さらなる(メタ)アクリレートモノマーとして、多官能性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ-(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートのような二官能性または三官能性(メタ)アクリレート、またエトキシ化ビスフェノール-A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)などのビスフェノール-Aモノおよびジ(メタ)アクリレート、ならびにエトキシ化ビスフェノール-F(メタ)アクリレートなどのビスフェノール-Fモノおよびジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用することができるさらに他の(メタ)アクリレートモノマーには、米国特許第5,605,999号(Chu)によって教示され、特許請求されているようなシリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)が含まれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
他の好適なモノマーには、以下の式で表されるポリアクリレートエステルが挙げられる。
【0036】
【0037】
式中、R4は、水素、ハロゲンまたは1~約4個の炭素原子のアルキルから選択される基であり、qは、少なくとも1、好ましくは、1~約4に等しい整数であり、Xは、少なくとも2個の炭素原子を含み、総結合容量がq+1である有機基である。X中の炭素原子の数の上限に関しては、実施可能なモノマーは、本質的に任意の値で存在する。しかしながら、実際上の問題として、一般的な上限は、約50個の炭素原子、望ましくは約30個、望ましくは約20個である。
【0038】
例えば、Xは、以下の式の有機基であってもよい。
【0039】
【0040】
式中、Y1およびY2の各々は、少なくとも2個の炭素原子、望ましくは、2~約10個の炭素原子を含む炭化水素基などの有機基であり、Zは、有機基であり、好ましくは、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは、2~約10個の炭素原子を含む炭化水素基である。他の種類の有用なモノマーは、たとえば、フランス特許第1,581,361号に開示される、ジ-またはトリ-アルキロールアミン(例えば、エタノールアミンまたはプロパノールアミン)とアクリル酸との反応生成物である。
【0041】
(メタ)アクリレート官能性を有するオリゴマーを使用することもできる。有用な(メタ)アクリレート官能化オリゴマーの例には、以下の一般式を有するものが含まれる。
【0042】
【0043】
式中、R5は、水素、1~約4個の炭素原子のアルキル、1個~約4個の炭素原子のヒドロキシアルキル、または
【0044】
【0045】
から選択される基を表し、
R4は、水素、ハロゲン、または1~約4個の炭素原子のアルキルから選択される基であり、R6は、水素、ヒドロキシル、または
【0046】
【0047】
から選択される基であり、mは、少なくとも1、例えば1~約15またはそれ以上、および望ましくは、1~約8に等しい整数であり、nは、少なくとも1に等しい整数、例えば1~約40以上、望ましくは、約2~約10であり、pは、0または1である。
【0048】
上記一般式に対応するアクリルエステルオリゴマーの代表例としては、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート)、ジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。
【0049】
ジ-および他のポリアクリレートエステル、特に前の段落に記載されたポリアクリレートエステルが望ましいが、一官能性アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含むエステル)も使用できる。一官能性アクリレートエステルを扱う場合、比較的極性のアルコール部分を有するエステルを使用することが非常に好ましい。このような材料は、低分子量アルキルエステルよりも揮発性が低く、より重要なことに、極性基は、硬化中および硬化後に分子間引力を提供する傾向があり、したがってより望ましい硬化特性ならびにより望ましいシーリング剤または接着剤を提供する。最も好ましくは、極性基は、不安定水素、複素環式環、ヒドロキシ、アミノ、シアノおよびハロ極性基から選択される。
【0050】
このカテゴリーの化合物の典型例は、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、およびクロロエチルメタクリレートである。
【0051】
別の有用な種類の材料は、イソシアネート基のすべてをウレタンまたはウレイド基にそれぞれ変換するために、(メタ)アクリレート官能化、ヒドロキシルまたはアミノ含有材料とポリイソシアネートとの適する比率での反応生成物である。
【0052】
このように形成された(メタ)アクリレートウレタンまたは尿素エステルは、その非アクリレート部分にヒドロキシまたはアミノ官能基を含むことができる。使用に適する(メタ)アクリレートエステルは、下式を有する。
【0053】
【0054】
式中、Xは、-O-および
【0055】
【0056】
式中、R9は、水素または1~7個の炭素原子の低級アルキルから選択され、;R7は、水素、ハロゲン(例えば塩素)またはアルキル(例えばメチルおよびエチル基)から選択され、;R8は、1~8個の炭素原子のアルキレン、フェニレンおよびナフチレンから選択される二価の有機基である。
【0057】
これらの基は、ポリイソシアネートとの適切な反応の際に、以下の一般式のモノマーを生成する。
【0058】
【0059】
式中、nは、2~約6の整数であり、Bは、置換および非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルカリールおよび複素環基およびそれらの組み合わせから選択される多価有機基であり;R7、R8およびXは、上記の意味を有する。
【0060】
Bの性質に依存して、尿素またはウレタン結合を有するこれらの(メタ)アクリレートエステルは、それらをオリゴマークラス(約1,000~約5,000など)またはポリマークラス(例えば、約5,000を超える)とする分子量を有してもよい。
【0061】
もちろん、これらの(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせも使用することができる。
【0062】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の総重量に基づき、約10~約98重量%、例えば約60~約95重量%含むべきである。
【0063】
嫌気性硬化性組成物はまた、フリーラジカル開始剤、フリーラジカル促進剤、およびフリーラジカル発生の阻害剤などの他の従来の成分、ならびに鉄および銅のような金属触媒を含むことができる。
【0064】
フリーラジカル重合の多くの周知の開始剤を本発明の組成物に組み込むことができるが、限定されないが、CHP、パラメタンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)およびt-ブチルペルベンゾエートなどのヒドロペルオキシドが挙げられる。その他のペルオキシドとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジアセチルペルオキシド、ブチル4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)吉草酸、p-クロロベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘクス-3-イン、4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルペルオキシペンタン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
このようなペルオキシド化合物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて約0.1~約10重量%の範囲で本発明で使用され、約1~約5重量%が望ましい。
【0066】
嫌気性硬化性組成物は、当業者に周知の従来の方法を用いて調製することができる。例えば、本発明の組成物の成分は、成分が組成物中で果たすべき役割および機能と一致する任意の好都合の順序で一緒に混合することができる。公知の装置を用いた従来の混合技術を用いることができる。
【0067】
嫌気性硬化性組成物は、本明細書に記載された所望の利益および利点と共に実施するために様々な基材に適用することができる。例えば、適切な基材は、鋼、黄銅、銅、アルミニウム、亜鉛、および他の金属および合金、セラミックおよび熱硬化性樹脂から構成してもよい。それらは金属と金属との結合に適する。
【0068】
有利には、組成物は、例えばナットおよびボルトを固定するための金属-金属結合、例えばねじ山固定用組成物としての用途を有する。密着した金属表面の間に空気が入らないようにすると、製品が硬化する。錆および腐食からねじ山を保護し、衝撃や振動からの緩みを防ぐ。
【0069】
有利なことに、組成物は、例えば、ギアボックスアセンブリ、クラッチアセンブリ、モーターマウントなどにおけるガスケットシールを提供することによりガスケットでの用途を有する。
【0070】
組成物は、空気が実質的に存在しない状態で硬化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】嫌気性硬化性組成物が保持されているディスペンサである本発明のパックの斜視図である。
【
図2】
図1と同じ図であるが、キャップが取り外されている。
【
図3】エアレスポンプアセンブリの一部を形成する押しボタンを示す、先の図のディスペンサの端面側からの部分斜視図である。
【
図4】嫌気性硬化性組成物を基板のフランジ上に分配するのに使用される本発明のパックの部分斜視図である。
【
図5a】嫌気性硬化性組成物が保持されるディスペンサである本発明のパックの外側容器の側面図であり、また、
図5bの断面図の方向を示す。
【
図5b】
図5aの矢印で示す平面に沿って切断した本発明のパックの外側容器の断面図である。
【
図6a】
図5aおよび
図5bの外側容器に挿入されると本発明のパックを形成するカートリッジの側面図であり、また、
図6bのC-C断面の方向を示す。
【
図6b】
図5aおよび
図5bの外側容器に挿入されると本発明のパックを形成し、
図6aの矢印で示す平面に沿って切断したカートリッジの断面図である。
【
図7a】本発明のパックの分配機構の一部であるポンプの側面図であり、
図7bの断面図の方向も示している。
【
図7b】
図7aの矢印で示す平面に沿って切断したポンプの断面図である。
【
図8a】本発明のパックの断面図であり、
図5aおよび
図5bの外側容器、
図6aおよび
図6bのカートリッジ、ならびに
図7aおよび
図7bのポンプがすべて一緒に組み立てられて示され、また、ディスペンサの分配動作を示し、
図8aでは押しボタンが押されて分配動作が起きている。
【
図8b】押しボタンが解放されていることを除いて
図8aと同じ断面図である。
【
図9a】先の図面に示すパックによって基板に塗布された、ヘンケルコーポレーションより製品名ロックタイト(登録商標)518で販売されている嫌気性硬化性組成物の画像である。
【
図9b】従来のカートリッジによってビーズとして塗布された、ヘンケルコーポレーションより製品名ロックタイト(登録商標)518で販売されている嫌気性硬化性組成物の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明について図面を参照して説明する。
【0073】
本発明は、パック1を有する。パック1は、ディスペンサ2内にある嫌気性硬化性組成物を分配するディスペンサ2を有する。
【0074】
ディスペンサ2は、ペン状のディスペンサ/アプリケータ4の形態をとる細長い本体3を有する。これは、ユーザの手で保持するのに適しており、したがって、嫌気性に硬化性組成物を手作業で塗布するのに適している。
【0075】
パック1は、外側容器40、カートリッジ50(
図6a、6b、8a、8b参照)およびポンプ60(
図7a、7b、8a、8b参照)を有し、これらはすべて組み立てられて(
図8a、8b参照)、ディスペンサ2を形成する。
【0076】
図1では、パック1は、ディスペンサ2の分配端部6に設けられた蓋5を有する。
図2では、蓋5は取り外されている。蓋5は、スナップ式の蓋を含む、複数回の着脱が可能な任意の適切なタイプとすることができる。
【0077】
分配端部6には、ドーム形状である分配ヘッド7があるが、もちろん、任意の適切な形状のヘッドが利用されてもよい。分配ヘッド7には出口8が形成されている。以下により詳細に説明するように、嫌気性硬化性組成物は出口8を通じて分配される。
【0078】
発泡ローラ10のような発泡アプリケータであってよいアプリケータ9が分配ヘッド7に取り付けられている。アプリケータ9は、ディスペンサ2によって分配された嫌気性硬化性組成物を塗布するために出口8と連絡している。発泡ローラ10は、嫌気性硬化性組成物が塗布される基板に沿って回転させることができることが理解されよう。
【0079】
ローラ10は、2つの取り付けブラケット12の間の軸11に、回転するように取り付けられている。
【0080】
発泡ローラ10などの発泡アプリケータにおいて、少なくとも外側スリーブまたはカバーは嫌気硬化性組成物と適合性のある材料を含む。アプリケータとして利用できる適切な発泡材料としては、ニトリルブタジエンゴム、ポリウレタンおよびポリオレフィンをベースとした発泡体が挙げられる。他の材料(非発泡材料を含む)が用いられてもよく、例えば、ローラはシリコーン材料で構成されてもよい。エラストマー材料を用いるができ、例えば、シリコーンゴム材料を用いることができる。
【0081】
(分配端部6とは)反対側の端部には、エアレスポンプ機構の一部を形成するバネ式押しボタン15がある(エアレスポンプ機構の動作については、以下でより詳細に説明する)。
【0082】
図3に示すように、矢印Aの方向に(ディスペンサ本体3内へ)ボタン15を押すと、嫌気性硬化性組成物を分配するための分配圧力が生じる。押し力が解放されると、ボタン15は、(
図1および2に示されるように)その元の位置に戻る。したがって、ユーザは、ボタン15を必要な回数押すことにより、使用したい嫌気硬化性材料の量を分配するのに十分な分配圧力を生成することができる。最初の例では、材料はローラ10上に分配され、次にローラ10は材料を塗布するために使用される。
【0083】
図4は、嫌気性硬化性組成物20を基板25のフランジ26上に分配するのに使用される本発明のパック1を示す。塗布された嫌気性硬化性組成物20は、点21で始まり、フランジ26の周りで発泡ローラ10に続くドットで塗りつぶされた領域として図に描かれている。発泡ローラ10は、嫌気性硬化性組成物が分配され、次に、嫌気性硬化性組成物20を塗布するために使用されているので、ローラ10は、ローラ10上の嫌気性硬化性組成物20を表すドットで塗りつぶされて描かれている。
【0084】
ローラ10をフランジ26上で前後に移動させて、嫌気性硬化性組成物20の連続した均一な層を塗布することができることが理解されるであろう。ローラの例示的な前後の動きは、
図4の矢印Bで示されている。本発明のパック1は、分配中に、例えば、ローラ10などのアプリケータが垂直または上下逆向きのような任意の向きにすることができることが理解されるであろう。
【0085】
嫌気性硬化性組成物がより必要とされる場合、押しボタン15が、嫌気性硬化性組成物22をより多くローラ10に提供するために必要とされる回数だけ作動されてもよい。次いで、ローラ10は硬化性組成物を塗布するのに使用される。
【0086】
本発明のパックは、均一で薄い連続層を分配する。これは、ビーズの形態で比較的厚い層を塗布する、これまで使用されてきているディスペンサとは対照的である。したがって、本発明のパックを用いて嫌気性硬化性組成物が効率的に塗布される。また、嫌気性硬化性組成物が正確に塗布される。さらに、嫌気性硬化性組成物は、ビーズを用いた従来の塗布と比較して、はみ出る可能性が低い。嫌気性硬化性組成物がビーズとして塗布された場合、ビーズはフランジの中心に置かれ、本発明のパックの場合のように広げられないことが理解されるであろう。
【0087】
図5aは、本発明のパック1の外側容器40の側面図である。
図5aは、
図5bの断面図の平面も示している。
図5bは、
図5aの矢印Cによって示される平面に沿って切断された外側容器40の断面図である。
【0088】
外側容器40は、嫌気性硬化性組成物を含むカートリッジ50が挿入され保持されるハウジング14を形成するディスペンサ本体3の内壁13を有する。
【0089】
外側容器40の下端41に、カートリッジ50を定位置に保持する環状リップ42を有する。一対の凹部43、44(および内壁13の対向する側の対応する対)が、外側容器40に形成される。これらは、以下でより詳細に説明するように、カートリッジ50の対応する側面突起と係合する。
【0090】
外側容器40の分配端部6には、オリフィス18を備えた分配ノズル17を含む分配構造16がある。ノズル17は、ドーム形状の下側も補強する内部支持リブ19によって支持されている。
【0091】
ノズル17は、浸漬ローラ23が配置されている浸漬トラフまたはチャンバ22と流体連通している。浸漬ローラ23は、ローラ10の表面積全体に嫌気性硬化性組成物を均一に広げるスプレッダとして機能する。嫌気性硬化性組成物が(ノズル17から)チャンバ22に浸入することにより、ローラ23は嫌気性硬化性組成物に浸漬される。ローラ23は、そのローラの周囲に等間隔で配置され、ローラ23の回転軸と並列する細長い平行なリブ24を有する溝付きのものである。
【0092】
発泡ローラ10の軸11は、浸漬ローラ23と同様の構造である。軸11は、それ自身が、その周囲に等間隔で配置され、その回転軸と並列する細長い平行なリブ21を有する溝付きのローラであると考えることができる。ローラの形態のアプリケータは、次に、軸11と、軸11にストレッチフィットの発泡材料のスリーブ10aとによって形成される。
【0093】
図5a、8a、8bから最もよく分かるように、浸漬ローラ23および発泡ローラ10は、発泡ローラ10からのトルクが浸漬ローラ23に伝達されるように配置される。このことは、一方を回転させるともう一方も駆動するように、それらを接触させて配置することによって達成される。したがって、発泡ローラ10がフランジ26などの基板に沿って前後に移動すると、発生したトルクが浸漬ローラ23に伝達され、浸漬ローラ23も回転する。浸漬ローラ23は発泡ローラ10よりも小さいので、回転速度に変化があることが理解されるであろう。
【0094】
浸漬ローラ23は、回転すると、ノズル17からチャンバ22に浸入した嫌気性硬化性組成物を受け取り、次に、それを発泡ローラ10に塗布する。浸漬ローラ23は、
図4示しかつ
図4に関連して上述したように、嫌気性硬化性組成物を発泡ローラ10の表面に均一に塗布する。
【0095】
図6aおよび
図6bは、カートリッジ50を示す。カートリッジ50は側壁51を有する。カートリッジの下端53は押しボタン15を規定する。カートリッジの上端54は、以下でより詳細に説明するポンプ60を受け入れて保持するねじ山55を有する。
【0096】
カートリッジ側壁51の外側には、位置決め側面突起56が設けられている。これらは、外側容器40に形成された凹部43(および内壁13の対向する側の対応する凹部)または凹部44(および内壁13の対向する側の対応する凹部)に係合する。凹部43または凹部44内へのこの係合は、外側容器40内のカートリッジ50の移動の程度を制限し、また、外側容器40内のカートリッジ50の回転を防止する。
【0097】
押しボタン15は、側壁51の隣接部分であり、したがって、組み立てられた装置(
図1、2、3、4、8a、8bに示す)では、押しボタン15が押されると、突起56が凹部43または凹部44内を移動して、カートリッジ50全体が外側容器40内を移動する。
【0098】
ボタン15には、空気の進入を可能にする開口部57が設けられている。さらに、カートリッジ50の下端53内には、シール58を含むピストン59がある。嫌気性硬化性組成物がカートリッジ50から送り出されると、開口部57を通じて空気が引き込まれ、シール58の下の空間を占める。したがって、ポンプ作用により、ピストン59は側壁51に沿ってカートリッジ50の下端53から上端54に向かって離れる方向に徐々に引き寄せられる。側壁51およびシール58(および所定位置にあるポンプ60)は、嫌気性硬化性組成物を保持することができる密閉リザーバ52を形成する。したがって、嫌気性硬化性組成物の容量およびリザーバ52の容量は、嫌気性硬化性組成物が分配されると、両方とも減少する。したがって、ピストン59およびシール58は、エアレスポンプアセンブリのように動く。
【0099】
本発明のパックと共に使用するポンプ60が、
図7aおよび
図7bに示される。ポンプは、内側環状壁6
2および外側環状壁6
1を有する保持カラーに対して移動する往復ノズル65を有する。環状壁は、リブ69によって接続されている。往復ノズル65は、環状導管63内に取り付けられている。往復ノズルは、両方向矢印Dで示されるように、導管63内で往復運動することができる。往復動作は、ばね72(
図8aおよび
図8bに断面図で示す)によって付勢された復元力である。
【0100】
外側環状壁61は、その下側に、カートリッジ50の上端54のねじ山55と噛み合うねじ山62aを有し、ポンプ60がカートリッジ50の上端54に取り付けられることを可能にする。
【0101】
往復ノズル65の下端70は、弁付きの入口71を有し、下端70は(透明な)チャンバ64内に突出する。チャンバ64は、次に、弁付きの下端66を有する。ノズル65が往復運動すると、嫌気性硬化性組成物を下端66からノズル65に引き込み、ノズル65の分配端67を通じて排出するポンプ作用が生じる。
【0102】
ノズル65の外部の周りに延びるカラー68は、ポンプ60がカートリッジ50に組み立てられ、次いでカートリッジ50が外部容器に挿入されると、外部容器40の内部リブ19に当接する。
【0103】
図8aは、すべて一緒に組み立てられてディスペンサ2および嫌気性硬化性組成物を含むパックを形成する、
図5aおよび
図5bの外側容器、
図6aおよび
図6bのカートリッジ、ならびに
図7aおよび
図7bのポンプを有する本発明のパックの断面図である。
【0104】
図8aでは、ポンプ60と一緒に組み立てられたカートリッジ50は、外側容器40に完全に挿入される。
図8aから最もよく分かるように、ポンプ60の分配ノズル65は、外側容器40のノズル17に挿入される。
【0105】
この組み立てられて動作可能な構成では、カートリッジ50の下端53が外側容器40の端41から突出し、したがって押しボタン15を提供することが理解されるであろう。矢印Aで示されるように押しボタン15が押されると、多くのことが起こる。カートリッジ50全体が、外側容器40に対して内側に押される。ポンプ60のノズル65が、外側容器のノズル17内に係合する。押し続けると、次に、ノズル65は、ばね72の付勢力の方向(矢印Eで示す)と反対の方向に移動する。このことはポンプ作用を引き起こし、嫌気性硬化性組成物がカートリッジ50のリザーバ52からノズル65の下端66に引き込まれ、ポンプ60のノズル65の分配端67を通じて排出される。これにより、嫌気性硬化性組成物が外側容器40のノズル17に送り出され、それを通って浸漬チャンバ22に排出される。浸漬チャンバ22では、嫌気性硬化性組成物が浸漬ローラ23に塗布され、次に、上述のように発泡ローラ10に塗布される。
【0106】
一方、嫌気性硬化性組成物に対する引き込み作用によってより低い圧力が生じ、これによりピストン59/シール58がリザーバを上方に前進する。さらに、開口部57を通じて空気が引き込まれ、ピストン/シール58の移動を可能にする。
【0107】
ボタン15が押されなくなると、カートリッジ全体は、ばね72の付勢作用により元の位置に戻される。
【0108】
この作用は、所望の量の嫌気性硬化性組成物を塗布するために、所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0109】
リザーバ52が空になるにつれて、シール58/ピストン59がリザーバ内のカートリッジ50を上方に前進することが理解されるであろう。それは、分配される嫌気性硬化性組成物の体積にほぼ等しい体積での量で変位する。したがって、シール58/ピストン59は、嫌気性硬化性組成物の分配によりリザーバの容積を徐々に減少させる。
【0110】
これにより、押しボタン15を繰り返し押す(および解放する)ことにより、リザーバ52の内容物全体を分配することが可能になる。
【0111】
本発明のディスペンサは不透明として示されているが、望ましくは、上述のように透明ポリプロピレン(PP)などの透明材料で作られる。これにより、ユーザはリザーバ内の嫌気性硬化性組成物を見ることができ、したがって、どれだけ使用され、どれだけ残っているかが分かる。
【0112】
図9aは、上述した本発明のパックによって塗布された、ヘンケルコーポレーションより製品名ロックタイト(登録商標)518で販売されている嫌気性硬化性組成物の画像である。図から分かるように、製品は薄い均一な層で基板に塗布されている。この結果を達成するには、約0.15gの嫌気性硬化性組成物が必要であった。基板の左上隅において基板にガラススライドが当てられており、これは基板から排除される過剰な材料がないことを示していることに留意されたい。これは、示されている基板に第2の基板が接合された場合に何が発生するかを視覚的に示している。
【0113】
図9bは、カートリッジによって塗布された、ヘンケルコーポレーションより製品名ロックタイト(登録商標)518で販売されている嫌気性硬化性組成物の画像である。嫌気性硬化性組成物は、ビーズの形態で塗布されていることに留意されたい。
図9aとは対照的に、基板の左上隅で基板にガラススライドが当てられた場合、変位される大量の過剰な材料が存在することに留意されたい。この場合もやはり、示されている基板に第2の基板が接合された場合に何が発生するかを視覚的に示している。約0.78gの嫌気性硬化性組成物が使用された。
【0114】
したがって、本発明のパックを用いると、嫌気性硬化性組成物の連続した途切れのない層を塗布できることが明らかである。さらに、分配される材料の量ははるかに少なくなる。したがって、適切な連続した切れ目のないシールが、実質的に少ない材料を使用する本発明のパックで容易に達成することができる。
【0115】
用語「有する」および用語「持つ/含む」は、本発明に関して本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップまたは要素の存在を規定するために使用されるが、1つ以上の他の機能、整数、ステップ、要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0116】
明確にするため別個の実施形態の観点で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることはが理解されるであろう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の観点で説明されている本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供することもできる。