(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタを形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20231201BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231201BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231201BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231201BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L29/78 618B
H01L29/78 618Z
H01L29/78 617V
H01L29/78 619A
H01L29/78 619B
H01L29/78 617N
H01L21/31 C
H01L21/318 B
(21)【出願番号】P 2021574256
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 US2020038202
(87)【国際公開番号】W WO2020257324
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, テギョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム, トンキル
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ツォンカイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ヨンドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダヴ, サンジェイ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジャングベー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チーユアン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224789(JP,A)
【文献】特開2005-268798(JP,A)
【文献】特開2007-073559(JP,A)
【文献】国際公開第2007/080672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 21/31
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを形成する方法であって、
チャンバ内の基板の第1の部分の上に金属酸化物層を形成することと、
前記金属酸化物層の上にゲート絶縁体(GI)層を堆積させることであって、誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスでシリコン含有層を堆積させることを含み、前記HDP-CVDプロセスは、
2.3W/cm
2か
ら5.3W/cm
2のICP電力密度と、
2MHzか
ら13.56MHzのICP周波数と
、
75mTorrから150mTorrのチャンバ圧力と
を有する、前記金属酸化物層の上にゲート絶縁体(GI)層を堆積させることと、
前記GI層の上にゲート電極を形成することと、
前記GI層の1又は複数の残留部分をエッチングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記GI層を堆積させる前に、前記金属酸化物層を前処理することであって、前記金属酸化物層を前処理ICPに曝露することを含む、前記GI層を堆積させる前に、前記金属酸化物層を前処理すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理ICPが、亜酸化窒素(N
2O)、アルゴン(Ar)、又はそれらの組み合わせから形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記GI層の上にバルクGI層を堆積させることであって、容量結合プラズマ(CCP)を用いた化学気相堆積(CVD)プロセスを含む、前記GI層の上にバルクGI層を堆積させること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記GI層を堆積させる前に、前記金属酸化物層の上にシード層を堆積させることであって、CCPを用いたCVDプロセスを含み、前記シード層
は100nm未満の厚さを有する、前記GI層を堆積させる前に、前記金属酸化物層の上にシード層を堆積させること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記GI層を堆積させることは、前記基板
を70℃か
ら350℃の温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲート電極の上に層間誘電体(ILD)層を形成することと、
前記ILD層に、ソース電極、ソース電極ビア、ドレイン電極、及びドレイン電極ビアを形成することと、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、及び前記ILD層の上にパッシベーション層を形成することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板の第2の部分の上に、ポリシリコン層又は追加の金属酸化物層を形成すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
薄膜トランジスタデバイスを形成する方法であって、
基板の第1の部分の上に第1の金属酸化物層を形成することであって、前記基板の前記第1の部分は第1の薄膜トランジスタ(TFT)に対応する、基板の第1の部分の上に第1の金属酸化物層を形成することと、
前記基板の前記第1の部分の上の前記第1の金属酸化物層と接触させて前記第1のTFTの界面ゲート絶縁体(GI)層を堆積することと、
前記基板の第2の部分の上に下側層を形成することであって、前記基板の前記第2の部分は第2のTFTに対応し、前記下側層は前記第2のTFTの第2の金属酸化物層の底面に接触し、前記界面GI層及び前記下側層を形成することは、
前記第1の部分及び前記第2の部分の上に第1のシリコン含有層を堆積させることであって、前記第1のシリコン含有層は、誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスで堆積され、前記HDP-CVDプロセスは、
2.3W/cm
2
から5.3W/cm
2のICP電力密度と、
2MHzか
ら13.56MHzのICP周波数と
を有する、前記第1の部分及び前記第2の部分の上に第1のシリコン含有層を堆積させること
を含む、前記基板の前記第1の部分の上の前記第1の金属酸化物層と接触させて前記第1のTFTの界面ゲート絶縁体(GI)層を堆積させ、前記基板の第2の部分の上に下側層を形成することと、
前記底面を前記下側層と接触させて前記第2のTFTの前記第2の金属酸化物層を形成することと、
前記界面GI層に接触させて前記第1のTFTのバルクGI層を堆積させ、前記第2の金属酸化物層の上面に接触させて前記第2のTFTのGI層を形成することであって、前記バルクGI層及び前記GI層を形成することは、容量結合プラズマ(CCP)を用いた化学堆積プロセス(CVD)で前記第1の部分及び前記第2の部分の上に第2のシリコン含有層を堆積させることを含む、前記界面GI層に接触させて前記第1のTFTのバルクGI層を堆積させ、前記第2の金属酸化物層の上面に接触させて前記第2のTFTのGI層を形成することと、
前記第1の部分の上に前記第1のTFTの第1のゲート電極を形成し、前記第2の部分の上に前記第2のTFTの第2のゲート電極を形成することと、
前記第1のTFTの前記界面GI層、前記第1のTFTの前記バルクGI層、前記第2のTFTの前記GI層、及び前記第2のTFTの前記下側層を形成するために、前記第1の部分及び前記第2の部分から前記第2のシリコン含有層の1又は複数の残留部分を除去することと、
前記基板の上に層間誘電体(ILD)層を形成することと
を含む方法。
【請求項10】
前記界面GI層を堆積させることと、前記下側層を形成することとは、同じ工程に含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又はそれらの合金を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記バルクGI層は酸化ケイ素(Si
xO
y)を含み、前記第1の金属酸化物層はIn-Ga-Zn-Oを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記バルクGI層は、前記界面GI層よりも高い原子濃度のインジウム(In)原子を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
薄膜トランジスタデバイスを形成する方法であって、
基板の第1の部分の上にポリシリコン層を形成することであって、前記基板の前記第1の部分はポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)に対応する、基板の第1の部分の上にポリシリコン層を形成することと、
前記基板の前記第1の部分の前記ポリシリコン層の上及び第2の部分の上に第1のゲート絶縁体(GI)層を堆積させることであって、前記基板の前記第2の部分は金属酸化物(MOx)
TFTに対応する、前記基板の前記第1の部分の前記ポリシリコン層の上及び第2の部分の上に第1のゲート絶縁体(GI)層を堆積させることと、
前記ポリシリコン
薄膜TFTの前記第1のGI層の上に第1のゲート電極を形成し、前記MOx TFTのシールド金属を形成することと、
前記第1のGI層、前記第1のゲート電極、及び前記シールド金属の上に第1の層間誘電体(ILD)層を形成することと、
前記基板の前記第2の部分の前記第1のILD層の上に前記MOx TFTの金属酸化物層を形成することと、
前記金属酸化物層に第2のGI層を形成することであって、誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスでシリコン含有層を堆積させることを含み、前記HDP-CVDプロセスは、
2.3W/cm
2か
ら5.3W/cm
2のICP電力密度と、
2MHzか
ら13.56MHzのICP周波数と
を有する、前記金属酸化物層に第2のGI層を形成することと、
前記第2のGI層の上に第2のゲート電極を形成することと、
前記第1のILD層、前記金属酸化物層、及び前記第2のゲート電極の上に第2のILD層を形成することと
を含む方法。
【請求項15】
前記シールド金属は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又はそれらの合金を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のILD層を形成することは、HDP-CVDプロセスを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のILD層の上にパッシベーション層を形成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のILD層の上に緩衝層を形成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記MOx TFTは、30cm
2/Vsを上回る移動度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のGI層を堆積させることは、前記HDP-CVDプロセスを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は概して、方法に関し、より具体的には、薄膜トランジスタを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]薄膜トランジスタ(TFT)は、支持基板の上に活性半導体層、及び誘電体層、金属コンタクトの薄膜を堆積させることによって作られた金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の一種である。TFTの用途の1つに液晶ディスプレイ(LCD)があるため、ガラス基板が一般的である。
【0003】
[0003]TFTは、LCD及び有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの高解像度、低消費電力、高速動作により、ディスプレイ用途において大きな注目を集めている。TFTは、ディスプレイのパネル内に組み込まれる。ディスプレイシステム内のディスプレイモジュールからのデータ線とゲート線電圧信号は、ディスプレイパネル周辺部のピクセル回路及び/又はゲートドライバ回路のTFTに送られ、TFTのオン/オフによりディスプレイ画像を制御する。TFTのより高い移動度による応答性の向上、及び/又はピクセル間のクロストークの低減により、画像の歪みが減少する。LCDテレビ(TV)及びモニタを含むディスプレイ製品の多くは、パネルにTFTを含む。近代の高解像度・高品質の電子視覚ディスプレイデバイスの多くは、TFTを大量に用いたアクティブマトリクス方式のディスプレイを採用している。TFT技術の有益な態様の1つは、ディスプレイの各ピクセルに別々のTFTを使用していることである。各TFTはピクセル回路又はゲートドライバ回路でスイッチ又は電流源として働き、データ信号線及びゲート信号線を通して電圧及び電流を制御することで、ディスプレイ画像の制御を高めている。高移動度TFTの高い電流により、ディスプレイ画像の高速更新が可能となり、データ及びゲート信号電圧の歪みを最小限に抑えることで画質が向上する。
【0004】
[0004]当技術分野のTFTの欠点の1つは、導電性チャネルの移動度が許容できないほど低くなり得ることである。更に、TFTを形成する方法では、チャネルの移動度を良好に制御できない場合がある。最後に、チャネルが既に堆積された後にチャネルの移動度を変化させることは困難であり得る。
【0005】
[0005]このため、当技術分野において、チャネルの移動度を高めることができるTFTを形成する方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書で開示される実施形態は概して、TFTを形成する方法に関する。本方法は、下位のチャネルの移動度を変化させる層を堆積させることを含む。
【0007】
[0007]薄膜トランジスタデバイスを形成する1つの例示的な方法は、基板の第1の部分の上に金属酸化物層を形成することと、基板の第1の部分の上にゲート絶縁体(GI)層を形成することと、GI層の上にゲート電極を形成することと、GI層の1又は複数の残留部分をエッチングすることとを含む。GI層を形成することは、誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスでシリコン含有層を堆積させることを含む。HDP-CVDプロセスは、約2.3W/cm2から約5.3W/cm2のICP電力密度と約2MHzから約13.56MHzのICP周波数とを有する。
【0008】
[0008]薄膜トランジスタデバイスを形成する別の例示的な方法は、基板の第1の部分の上に第1の金属酸化物層を形成することであって、基板の第1の部分は第1の薄膜トランジスタ(TFT)に対応する、基板の第1の部分の上に第1の金属酸化物層を形成することと、基板の第1の部分の上の第1の金属酸化物層と接触させて第1のTFTの界面ゲート絶縁体(GI)層を形成し、基板の第2の部分の上に下側層を形成することであって、基板の第2の部分は第2のTFTに対応し、下側層は、第2のTFTの第2の金属酸化物層の底面と接触し、界面GI層及び下側層を形成することは、第1の部分及び第2の部分の上に第1のシリコン含有層を堆積させることであって、第1のシリコン含有層は誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスで堆積され、HDP-CVDプロセスは、約2.3W/cm2から約5.3W/cm2のICP電力密度と、約2MHzから約13.56MHzのICP周波数を有する、第1の部分及び第2の部分の上に第1のシリコン含有層を堆積させることを含む、基板の第1の部分の上の第1の金属酸化物層と接触させて第1のTFTの界面ゲート絶縁体(GI)層を形成し、基板の第2の部分の上に下側層を形成することと、底面を下側層と接触させて第2のTFTの第2の金属酸化物層を形成することと、界面層と接触させて第1のTFTのバルクGI層を形成し、第2の金属酸化物層の上面と接触させて第2のTFTのGI層を形成することであって、バルクGI層及びGI層を形成することは、容量結合プラズマ(CCP)を用いた化学気相堆積(CVD)プロセスで第1の部分及び第2の部分の上に第2のシリコン含有層を堆積させることを含む、界面層と接触させて第1のTFTのバルクGI層を形成し、第2の金属酸化物層の上面と接触させて第2のTFTのGI層を形成することと、第1の部分の上の第2のシリコン含有層の上に第1のTFTの第1のゲート電極を形成し、第2の部分の上の第2のシリコン含有層の上に第2のTFTの第2のゲート電極を形成することと、第1のTFTの界面GI層、第1のTFTのバルクGI層、第2のTFTのGI層、及び第2のTFTの下側層を形成するために、第1の部分及び第2の部分から第2のシリコン含有層の1又は複数の残留部分を除去することと、基板の上に層間誘電体(ILD)層を堆積させることとを含む。
【0009】
[0009]薄膜トランジスタデバイスを形成する更に別の例示的な方法は、基板の第1の部分の上にポリシリコン層を形成することであって、基板の第1の部分はポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)に対応する、基板の第1の部分の上にポリシリコン層を形成することと、基板の第1の部分のポリシリコン層の上、及び第2の部分の上に第1のゲート絶縁体(GI)層を堆積させることであって、基板の第2の部分は金属酸化物(MOx)TFTに対応する、基板の第1の部分のポリシリコン層の上及び第2の部分の上に第1のゲート絶縁体(GI)層を堆積させることと、第1のGI層の上にポリシリコンTFTの第1のゲート電極を形成し、MOx TFTのシールド金属を形成することと、第1のGI層、第1のゲート電極、及びシールド金属の上に第1の層間絶縁体(ILD)層を形成することと、基板の第2の部分の第1のILD層の上にMOx TFTの金属酸化物層を形成することと、金属酸化物層の上に第2のGI層を形成することであって、誘導結合プラズマ(ICP)を用いた高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)プロセスでシリコン含有層を堆積させることを含み、HDP-CVDプロセスは、約2.3W/cm2から約5.3W/cm2のICP電力密度と、約2MHzから約13.56MHzのICP周波数を有する、金属酸化物層の上に第2のGI層を形成することと、第2のGI層の上に第2のゲート電極を形成することと、第1のILD層、金属酸化物層、及び第2のゲート電極の上に第2のILD層を形成することとを含む。
【0010】
[0010]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を単に示すものであり、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るチャンバを示す概略断面図である。
【
図2A-D】一実施形態に係るTFTを示す概略断面図である。
【
図2E-G】一実施形態に係るTFTを示す概略断面図である。
【
図2H】一実施形態に係るTFTを示す概略断面図である。
【
図3】一実施形態に係るTFTを形成する方法のフロー図である。
【
図4A-D】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図4E-G】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図4H-I】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図4J】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図5】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を形成する方法のフロー図である。
【
図6】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図7】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図8】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である
【
図9A-D】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9E-F】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9G-H】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9I-J】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9K-L】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9M】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図9N】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【
図10】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を形成する方法のフロー図である。
【
図11】一実施形態に係る2つのトランジスタ構造を示す概略断面図である。
【0012】
[0022]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023]本明細書で開示される実施形態は概して、TFTを形成する方法に関する。本方法は、1又は複数の金属酸化物層及び/又はポリシリコン層を堆積させることを含む。1又は複数の金属酸化物層及び/又はポリシリコン層の上に、GI層が堆積される。HDP-CVDを用いてGI層を堆積させることにより、その下に堆積された金属酸化物層及び/又はポリシリコン層の移動度が予想以上に高くなる。GI層を選択的に配置することにより、GI層がHDP-CVDで堆積されるか、あるいはCCPを用いたCVDプロセスで堆積されるかによって、下層の移動度が制御される。GI層を堆積させることにより、層堆積後に下層の移動度を制御することが可能になる、すなわち、堆積中に加えて、堆積後に移動度が向上し得る。本明細書に開示される実施形態は、移動度が向上したチャネルを含むTFTを形成するのに有用であり得るが、これに限定されない。
【0014】
[0024]本書で使用する用語「約」は、公称値からの±10%程度のばらつきを指している。このようなばらつきは、本明細書で提供されるいかなる値にも含まれ得ることを理解されたい。
【0015】
[0025]本開示の様々な実施形態において、層又は他の材料は、エッチングされるものとして言及される。これらの材料のエッチングは、非限定的に、反応性イオンエッチング(RIE)、ドライエッチング、ウェットエッチング、プラズマエッチング、マイクロローディング、上記のいずれかの選択的エッチング、上記の組み合わせ、及び他の任意の適切な方法等、半導体製造に使用される任意の従来の方法を用いて行うことができることを理解されたい。本明細書において、方法工程が2種類以上の材料、又は同じ材料の2つ以上の部分をエッチングすると記載されている場合、エッチングは同じエッチングプロセスで同時に起こり得る、又はエッチングは異なるエッチングプロセスを用いて別々の副工程で行われ得ることを理解されたい。例えば、金属と誘電体のエッチングを説明する工程は、金属をエッチングする第1のエッチングプロセスを用いた第1のエッチング副工程を含み、工程は、誘電体をエッチングする第2のエッチングプロセスを用いた第2のエッチング副工程を更に含む。
【0016】
[0026]
図1は、一実施形態に係るチャンバ100を示す概略断面図である。適切なチャンバは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手することができる。以下に説明するシステムは例示的なチャンバであり、他の製造業者からのチャンバを含む他のチャンバが、本開示の態様を達成するために共に使用可能である、又は変更され得ることを理解されたい。チャンバ100は、HDPを生成するように構成される。
【0017】
[0027]図示したように、チャンバ100は、チャンバ本体104と、リッドアセンブリ106と、基板支持アセンブリ108とを含む。リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104の上端部に配置される。基板支持アセンブリ108は、チャンバ本体104の内部領域内に少なくとも部分的に配置される。基板支持アセンブリ108は、基板支持体110及びシャフト112を含む。基板支持体110は、少なくとも1つの基板102を支持するための支持面114を有する。
【0018】
[0028]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、基板102は、典型的には約1m2以上の表面積を有する基板等、大面積基板である。しかしながら、基板102は、任意の特定のサイズ又は形状に限定されない。例えば、用語「基板」は、フラットパネルディスプレイの製造に使用されるガラス基板又はポリマー基板等の任意の多角形、正方形、長方形、曲線、又は他の非円形のワークピースを指す。基板102は、シリコン系基板、半導体基板、絶縁基板、ゲルマニウム系基板、及び一般的には相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス構造中に存在するであろう1又は複数の汎用層等の任意の適切な材料を含み得る。基板102は、剛性ガラス又は柔軟なポリイミド(PI)等の透明材料を含んでいてよく、これは、基板がテレビ、タブレット、ラップトップ、携帯電話又は他のディスプレイ等のLCD又はOLEDディスプレイ用途に用いられる場合に有用であり得る。基板102は、その上に任意の数の金属層、半導体層、又は絶縁層を有し得る。
【0019】
[0029]リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104の上端部に拡散器116を含む。拡散器116は、少なくとも1つのガス源120に結合可能な1又は複数の拡散器入口118を含む。拡散器116は、ガス源120から、拡散器116と基板支持体110との間の処理領域124に1又は複数のガスを供給する。1又は複数のガスは、拡散器116の複数の孔(図示せず)を通して処理領域124に供給される。質量流量制御(MFC)デバイス等の流量コントローラ122が、ガス源120から拡散器116へのガスの流量を制御するために、拡散器入口118のそれぞれとガス源120との間に配置される。ポンプ126は、処理領域124と流体連結している。ポンプ126は、処理領域124内の圧力を制御し、処理領域124からガス及び副生成物を排出するように動作可能である。
【0020】
[0030]リッドアセンブリ106は、その中に形成された1又は複数の誘導結合プラズマ生成部品(代替的にコイルと呼ばれる)130を有する少なくとも1つの空洞128を含む。コイル130は、少なくとも1つの誘電体プレート132によって支持される。各誘電体プレート132は、空洞128内の大気圧の存在及びチャンバ本体104の内部領域の真空圧の存在によって生じる構造的負荷に耐える構造的強度を有する物理的バリアを提供する。各コイル130は、電源134と、グラウンド138とに接続される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各コイル130は、コイル130のインピーダンス等の電気特性を調整するための整合回路を有する整合ボックス136を通して電源134に接続される。幾つかの実施形態では、第1のキャパシタ137がコイル130と整合ボックス136との間に電気的に接続される。幾つかの実施形態では、末端キャパシタ139が、コイル130とグラウンド138との間に電気的に接続される。各コイル130は、処理領域124のガスに通電して高密度プラズマ(HDP)を発生させる電磁場を生成するように構成される。
【0021】
[0031]一実施形態では、チャンバに生じる電子密度は、約1E11/cm3を上回る。一実施形態では、チャンバに生じるイオンプラズマ密度は、約1E11/cm3を上回る。一実施形態では、HDPを生成するために使用されるICP電力密度は、約5.3W/cm2である。一実施形態では、HDPを生成するために使用されるICP周波数は、約2MHzから約13.56MHzである。
【0022】
[0032]コントローラ190は、チャンバ100に結合され、処理中にチャンバ100の態様を制御するように構成される。図示したように、コントローラ190は、中央処理装置(CPU)191、メモリ192、及び支援回路(代替的にI/Oと呼ばれる)193を含む。CPU191は、様々なプロセス及びハードウェア(例えば、パターンジェネレータ、モータ、及び他のハードウェア)を制御し、プロセス(例えば、処理時間及び基板の位置又は場所)を監視するために産業環境で使用される任意の形態のコンピュータプロセッサの1つである。メモリ192は、CPU191に接続され、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカルもしくはリモートの他のいずれかの形態のデジタルストレージ等の容易に入手できるメモリのうちの1又は複数である。CPU191に指示するためのソフトウェア命令及びデータをコード化し、メモリ192に記憶させることができる。また、CPU191には、従来の※方式でCPUを支援するための支援回路193が接続される。支援回路193は、従来のキャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステム等を含む。コントローラ190によって読み取り可能なプログラム(又はコンピュータ命令)は、基板102上でどのタスクが実行可能かを決定する。プログラムは、コントローラ190によって読み取り可能なソフトウェアであってよく、例えば、チャンバ100の処理パラメータ(例えば、圧力、温度、ガス流量)を監視及び制御するためのコードを含み得る。
【0023】
[0033]
図2A~2Hは、一実施形態に係るTFT200を形成する方法を示す概略断面図である。
図3は、同実施形態に係るTFT200を形成する方法300のフロー図である。説明を容易にするために、
図1のチャンバ100を参照しながら、
図2A~2H、3、8、及び11を説明する。しかし、チャンバ100以外のICP-CVDチャンバが方法300と共に利用され得ることに留意されたい。方法300は、CPU191によって実行されると、チャンバ100に方法300を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体として、コントローラ190に記憶され得る又はアクセス可能であり得る。
【0024】
[0034]図示したように、基板102の上にTFT200が形成される(
図2A)。
【0025】
[0035]方法300は、
図2Bに示すように、金属酸化物層204が形成される工程310で始まる。金属酸化物層204は、当技術分野で用いられる任意の従来の方法によって形成される。幾つかの実施形態では、金属酸化物層204は、基板102の上に堆積される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、金属酸化物層204は、酸素(O)と、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、酸素(O)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、及びハフニウム(Hf)のうちの少なくとも1つとを含む。金属酸化物層204の例としては、In-Ga-Zn-O、In-Zn-O、In-Ga-Sn-O、In-Zn-Sn-O、In-Ga-Zn-Sn-O、In-Sn-O、Hf-In-Zn-O、Ga-Zn-O、In-O、Al-Sn-Zn-O、Zn-O、Zn-Sn-O、Al-Zn-O、Al-Zn-Sn-O、Hf-Zn-O、Sn-O、及びAl-Sn-Zn-In-O等を含むが、これらに限定されない。工程310は、金属酸化物層204を、ホウ素(B)又は窒素(N)等のn型又はp型ドーパントでドープすることを含み得る。金属酸化物層204は、約30nmから約50nmの厚さを有し得る。金属酸化物層膜が第1の副工程で形成され、第2の副工程でエッチングされて、金属酸化物層204が形成され得る。他の実施形態では、金属酸化物層204は、所望の形状を有する金属酸化物層204を作製するために、選択的な堆積を使用して堆積される。
【0026】
[0036]工程340において、
図2Cに示すように、GI層206が堆積される。GI層206は、金属酸化物層204の少なくとも一部の上に堆積される。GI層206は、金属酸化物層204と直接接触している。GI層206は、シリコン、酸化ケイ素(Si
xO
y)、窒化ケイ素(SiN
x)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。GI層206は、約200Åから約8000Åの厚さを有し得る。工程340は、高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)を使用して実行される。
【0027】
[0037]工程340は、亜酸化窒素(N2O)を約0.40sccm/cm2から約0.60sccm/cm2の流量で、シラン(SiH4)を約0.01sccm/cm2から約0.01sccm/cm2の流量で含むガスを、約5から約40のN2OとSiH4の比、約75mTorrから約150mTorrのチャンバ圧力、約70℃から約350℃のチャンバ温度、約80℃から約160℃の基板温度で、約20秒から約900秒の間流すことを含む。工程340は、HDP-CVDを用いて、約2W/cm2から約6W/cm2、例えば約2.3W/cm2から約5.3W/cm2のICP電力密度で、約1MHzから約15MHz、例えば約2MHzから約13.56MHzのICP周波数で、約0Wから約200Wの印加バイアス電力で、約4000Wから約10000WのICP電力で実行される。幾つかの実施形態では、四フッ化ケイ素(SiF4)、ジシラン(Si2H6)、酸素ガス(O2)、オゾン(O3)、Ar、窒素ガス(N2)、アンモニア(NH3)、He又は上記の混合物が並行して流される。基板とガス源との間の間隔は、約7000mmから約8000mmであり得る。
【0028】
[0038]GI層206は、約700Å/分から約1500Å/分の速度で堆積され得る。GI層の屈折率は、約1.8から約2.0であり得る。シリコン-水素(Si-H)結合の割合は、約0.1%から約12%であり得る。シリコン-窒素(Si-N)結合の割合は、約10%から約25%であり得る。分光法で測定されるシリコン-酸素結合(Si-O)のピーク位置は、約1050 1/cmから約1100 1/cmであり得る。GI層206の応力は、約-450MPaから約700MPaである。GI層206がSi
xN
yを含む工程340の例示的なプロセス変数を表1に示す。GI層206がSi
xO
yを含む工程340の例示的なプロセス変数を表2に示す。
【0029】
[0039]表1:Si
xN
yを含むGI層に対する工程340の例示的なプロセス変数。空白のセルは、その変数が適用されないことを示す。
【0030】
[0040]表2:SixOyを含むGI層に対する工程340の例示的なプロセス変数。空白のセルは、その変数が適用されないことを示す。
【0031】
[0041]容量結合プラズマ化学気相堆積(CCP-CVD)プロセスでは、平行平板電極等の対向電極が設けられ、一方の電極はグラウンドに結合され、他方は電源に結合され、その間にガスが導入されて、実質的にキャパシタコンデンサが形成される。電源付き電極に電力を供給することにより、電気エネルギーがガスに容量結合され、そのプラズマが形成される。プラズマのイオン密度は、ガスに伝達される電力の関数である。一方、ICPでは、プラズマが形成されるガス領域をコイルが取り囲み、又はその上にあり、コイルを通って流れる電気エネルギーがガスに電磁的に結合し、ガス原子又は分子をイオン化又はその他の方法で通電する。この場合も、プラズマのイオン密度は、ガスに結合されるエネルギーの関数である。CCPシステムでは、電極の1つは通常、基板支持体でもあるため、ガスに結合できる電力は、その電力が基板に及ぼす潜在的な悪影響によって制限される。これに対し、ICP方式を利用すると、ガスの原子及び分子をイオン化するための電力が、基板を保持する回路部品から切り離され、より高い電力を用いてプラズマに高いエネルギーを与えることができるため、基板に悪影響を与えずにプラズマ中のイオン密度を高くすることができる。このようにして、ICP源(すなわち、HDP-CVDプロセス)からHDPが生成され得る。
【0032】
[0042]HDP-CVDを用いたSiOxを含むGI層206の堆積は、予想以上に、下層の金属酸化物層204の移動度の増加をもたらすことが分かっている。金属酸化物層204(例えば、InGaZnO4)の移動度は、15cm2/Vs未満から約150cm2/Vsを上回り、例えば最大約450cm2/Vs、又はそれ以上に高くなり得る。更に、金属酸化物層204の飽和時の移動度は約3000cm2/Vsを上回り得る。同じ金属酸化物層204にSiOxを堆積させるためにCCPを用いたCVDプロセスを用いる場合、移動度又は飽和時の移動度のそのような増加はない。HDP-CVDを用いたGI層206の堆積が、下層の金属酸化物層204の化学的変換を引き起こし、その結果、移動度が高くなると考えられる。金属酸化物層204とGI層206との接合面は、キャリア密度が増加し、金属酸化物層の移動度が高くなり得る。インジウム(In)を含む金属酸化物層204では、金属酸化物層からGI層206へのIn原子の拡散により、キャリア生成が増加し、したがって移動度が高くなり得る。更に、金属酸化物層204に構造変化が生じて、原子の拡散により原子欠陥が治癒する等、移動度が更に高くなり得る。
【0033】
[0043]工程350において、
図2Dに示すように、ゲート電極208が形成される。幾つかの実施形態では、ゲート電極208は、GI層206の上に形成される。ゲート電極208は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、MoWを含む合金金属、MoW、TiCu、MoCu、MoCuMo、TiCuTi、MoWCu、MoWCuMoWを含む導電性材料の組合せ、導電性金属酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(InSnO)(ITO)及びインジウム亜鉛酸化物(InZnO)(IZO)、又はそれらの任意の組み合わせ等を含む任意の導電性材料であってよい。幾つかの実施形態では、ゲート電極208は、単一の工程で堆積される。他の実施形態では、金属層を形成するために、ゲート電極208の材料が第1の副工程で堆積され、ゲート電極208を作製するために、金属層の1又は複数の残留部分がエッチングされる。ゲート電極208は、TFT200の層全体に電圧を供給するために、電源(図示せず)としてのゲート線信号に接続されるように構成される。
【0034】
[0044]工程360において、
図2Eに示すように、GI層206(
図2D)の1又は複数の残留部分206
*がエッチングされる。幾つかの実施形態では、ゲート電極208は、GI層206を所望のサイズ及び形状にエッチングするためのマスクとして機能する。幾つかの実施形態では、GI層206のウェットエッチング速度(WER)は、約200Å/分から約7000Å/分である。工程360は、ドライエッチングを含み得る。
【0035】
[0045]工程370において、
図2Fに示すように、層間絶縁体(ILD)層210が形成される。幾つかの実施形態では、ILD層210は、ゲート電極208及び金属酸化物層204の上に形成される。ILD層210は、単一二酸化ケイ素(SiO
x)、窒化ケイ素(SiN
x)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiN
x/SiO
y)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。幾つかの実施形態では、ILD層210は、工程330と同じプロセスパラメータを用いて堆積される。ILD層210は、化学機械研磨(CMP)等により平坦化され得る。ILD層210は、HDP-CVD又はCCPを用いたCVDプロセスを用いて堆積され得る。
【0036】
[0046]シーケンス380の結果、
図2Gに示すように、ILD層210にソース電極212、ドレイン電極214、ソース電極ビア216、及びドレイン電極ビア218が形成される。シーケンス380は、当技術分野で用いられるゲート及びドレイン電極構造を形成する任意の従来の方法を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の工程において、金属酸化物層204の一部が露出するように、ILD層210の一部がエッチングされる。第2の工程において、ソース電極212、ドレイン電極214、ソース電極ビア216、及びドレイン電極ビア218を形成するために、金属酸化物層204の一部分を露出させるILDの部分が導電性材料で充填される。導電性材料は、Mo、Cr、Cu、Ti、Ta、W、MoWを含む合金金属、MoW、TiCu、MoCu、MoCuMo、TiCuTi、MoWCu、MoWCuMoWを含む導電性材料の組み合わせ、ITO又はIZO等の導電性金属酸化物等を含む任意の導電性材料の組み合わせ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0037】
[0047]工程390において、
図2Hに示すように、パッシベーション層220が形成される。幾つかの実施形態では、パッシベーション層220は、ILD層210、ソース電極212、及びドレイン電極214の上に形成される。パッシベーション層220は、ILD層210又は緩衝層202に使用される任意の材料を含み得る。パッシベーション層220は、HDP-CVD又はCCPを用いたCVDプロセスを用いて堆積され得る。幾つかの実施形態では、パッシベーション層220は、工程330と同じプロセスパラメータを使用して堆積される。パッシベーション層220は、化学機械研磨(CMP)等により平坦化され得る。
【0038】
[0048]幾つかの実施形態では、緩衝層(図示せず)が、基板102の上及び金属酸化物層204の下に配置される。緩衝層は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。
【0039】
[0049]幾つかの実施形態では、TFT200は、緩衝層の上及び金属酸化物層204の下に配置された二次緩衝層(図示せず)を更に含む。シールド金属(図示せず)は、緩衝層の上、二次緩衝層内、及び金属酸化物層204の下に配置される。二次緩衝層は、上述した緩衝層の材料のいずれかを含み得る。シールド金属は、上述したゲート電極208の材料のいずれかを含み得る。シールド金属により、TFT200の望ましくない電磁波への暴露が低減する。
【0040】
[0050]
図4A~4Jは、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造400を示す断面図である。
図5は、同じ実施形態に係る2つのトランジスタ構造400を形成する方法500のフロー図である。説明を容易にするために、
図4A~4J、5、6、及び7を、
図1のチャンバ100を参照しながら説明する。しかし、チャンバ100以外のICP-CVDチャンバが方法500と共に利用され得ることに留意されたい。方法500は、CPU191によって実行されると、チャンバ100に方法500を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体として、コントローラ190に記憶され得る又はアクセス可能であり得る。
【0041】
[0051]図示のように、2つのトランジスタ構造400は、基板102を含む(
図4A)。
【0042】
[0052]方法500は、
図4Bに示すように、第1の金属酸化物層204Aが形成される工程510で始まる。幾つかの実施形態では、基板102の第1の部分491の上に(又は、存在する場合は緩衝層202の上に)、第1の金属酸化物層204Aが形成される。工程510は、工程310と同様に実施され得る。
【0043】
[0053]工程540において、
図4Cに示すように、GI層206(代替的に界面GI層と呼ばれる)が堆積される。GI層は、第1の金属酸化物層204Aの少なくとも一部の上に堆積される。GI層206は、金属酸化物層204Aと直接接触する。工程540は、工程340と同様に実施され得る。
【0044】
[0054]工程550において、
図4Dに示すように、第2の金属酸化物層204Bが形成される。幾つかの実施形態では、第2の金属酸化物層204Bは、GI層206の上の、基板102の第2の部分492の上に形成される。工程550は、工程510と同様に実施され得る。
【0045】
[0055]工程555において、
図4Eに示すように、二次GI層(代替的にバルク層と呼ばれる)406が堆積される。二次GI層406は、GI層206及び第2の金属酸化物層204Bの上に堆積される。二次GI層406は、第2の金属酸化物層204Bと直接接触する。二次GI層406は、GI層206に含まれる任意の材料を含み得る。二次GI層の堆積は、CCPを用いたCVDプロセスを含む。工程555は、工程340と同様に実施され得る。
【0046】
[0056]工程560において、
図4Fに示すように、第1のゲート電極208A及び第2のゲート電極208Bが形成される。幾つかの実施形態では、第1及び第2のゲート電極208A、208Bは、二次GI層406の上に形成される。第1のゲート電極208Aは、第1金属酸化物層204Aの上に形成され、第2のゲート電極208Bは、第2の金属酸化物層204Bの上に形成される。工程560は、工程350と同様に実施され得る。
【0047】
[0057]工程570において、
図4Gに示すように、GI層206の1又は複数の残留部分206
*及び二次GI層406(
図4F)の1又は複数の残留部分406
*がエッチングされる。幾つかの実施形態では、第1のゲート電極208A及び第2のゲート電極208Bは、GI層206を所望のサイズ及び形状にエッチングするためのマスクとして機能し、第1のGI層部分(代替的に界面GI層と呼ばれる)206A、第1の二次GI部分(代替的にバルクGI層と呼ばれる)406A、下側層206B、及びGI層406Bが形成される。同様に、幾つかの実施形態では、第1のゲート電極208A及び第2のゲート電極208Bは、二次GI層406を所望のサイズ及び形状にエッチングするためのマスクとして機能し、第1のGI層部分206A、第1の二次GI部分406A、下側層206B、及びGI層406Bが形成される。下側層206Bと第1のGI層部分206Aを単一の工程570で形成することで、マスキングとエッチング工程の合計回数が減る。更に、マスキング及びエッチング工程が減るため、スループットが向上し、操作員の所有経費(CoO)が低減する。また、工程570は、2つのトランジスタ構造400のサイズを減少させ、したがって、2つのトランジスタ構造400を含むディスプレイのスペースが減少する。工程570は、工程360と同様に実施され得る。
【0048】
[0058]工程580において、
図4Hに示すように、ILD層210が形成される。幾つかの実施形態では、ILD層は、第1及び第2のゲート電極208A、208Bの上に形成される。工程580は、工程370と同様に実施され得る。
【0049】
[0059]シーケンス590の結果、
図4Iに示すように、ILD層210に第1のソース電極212A、第2のソース電極212B、第1のドレイン電極214A、第2のドレイン電極214B、第1のソース電極ビア216A、第2のソース電極ビア216B、第1のドレイン電極ビア218A、及び第2のドレイン電極ビア218Bが形成される。シーケンス590は、当技術分野で用いられるゲート及びドレイン電極構造を形成する任意の従来の方法を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の金属酸化物層204Aの一部が露出し、第2の金属酸化物層204Bの一部が露出するように、ILD層210の一部が第1の工程でエッチングされる。第2の工程において、ソース電極212A、212B、ドレイン電極214A、214B、ソース電極ビア216A、216B、及びドレイン電極ビア218A、218Bを形成するために、ILDの第1金属酸化物層204Aを露出させる部分が導電性材料で充填される。シーケンス590は、シーケンス380と同様に実施され得る。
【0050】
[0060]工程595において、
図4Jに示すように、パッシベーション層220が形成される。幾つかの実施形態では、パッシベーション層220は、ILD層210、ソース電極212A、212B、及びドレイン電極214A、214Bの上に形成される。工程595は、工程390と同様に実施され得る。このように、2つのトランジスタ構造400に、2つのTFT401A、401Bが形成される。2つのTFT401A、401Bは、直列又は並列に接続され得る。2つのTFT401A、401Bは、同じ入力電圧信号を受信し得る、又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0051】
[0061]幾つかの実施形態では、緩衝層(図示せず)が、基板102の上及び金属酸化物層204Aの下に配置される。緩衝層は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。
【0052】
[0062]幾つかの実施形態では、2つのトランジスタ構造400は、緩衝層の上に、金属酸化物層204A及び下側層206Bの下に配置された二次緩衝層(図示せず)を更に含む。緩衝層の上、二次緩衝層内、及び金属酸化物層204A、204Bの一方、又は両方の下に、1又は複数のシールド金属(図示せず)が配置される。
【0053】
[0063]
図6は、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造600を示す図である。方法500は、以下により詳細に説明するように、2つのトランジスタ構造600を形成するために使用することも可能である。
【0054】
[0064]図示したように、2つのトランジスタ構造600は、第1のTFT601A及び第2のTFT601Bを含む。第1のTFT601Aは、第1のTFT401A(
図4J)と同様であり得る。しかし、第1のTFT601Aは、二次GI層を含まないため、工程555は省略可能である。
【0055】
[0065]第2のTFT601Bは、第2のTFT401B(
図4J)と同様であり得る。ただし、第2の金属酸化物層204Bは、ILD層210の上に配置されるため、工程560の後に工程550が実行される。また、第2のソース電極212B及び第2のドレイン電極214Bは、第2の金属酸化物層204Bに直接接触し、ソース電極ビア又はドレイン電極ビアは含まれない。
【0056】
[0066]幾つかの実施形態では、2つのトランジスタ構造600は、緩衝層の上に配置された二次緩衝層(図示せず)を更に含む。緩衝層の上、二次緩衝層内、及び金属酸化物層204A、204Bの一方、又は両方の下に、1又は複数のシールド金属(図示せず)が配置される。
【0057】
[0067]2つのTFT601A、601Bは、直列又は並列に接続され得る。2つのTFT601A、601Bは、同じ入力電圧信号又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0058】
[0068]幾つかの実施形態では、緩衝層(図示せず)が、基板102の上及び金属酸化物層204Aの下に配置される。緩衝層は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。
【0059】
[0069]
図7は、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造700を示す図である。方法500は、以下により詳細に説明するように、2つのトランジスタ構造700を形成するために使用することも可能である。
【0060】
[0070]図示したように、2つのトランジスタ構造700は、第1のTFT701A及び第2のTFT701Bを含む。第1のTFT701Aは、第1のTFT401A(
図4J)と同様である。ただし、第1のTFT701Aは、二次GI層を含まないため、工程555は省略可能である。また、2つのトランジスタ構造700は、ILD層210の上及びパッシベーション層220の下に配置されたエッチング停止層(ESL)710を含む。ESL710は、工程550の次の工程で形成され得る。ESL710の形成は、工程370と同様に実施され得る。ESL710は、ILD層210に含まれる任意の材料を含み得る。ESL710の上に、第1のソース電極212A及び第1のドレイン電極214Aが配置される。ESL710及びILD層210内に、第1のソース電極ビア216A及び第1のドレイン電極ビア218Aが配置される。
【0061】
[0071]第2のTFT701Bは、第2のTFT401B(
図4J)と同様である。ただし、第2の金属酸化物層204BはESL710の上に配置されるため、工程550は工程560の後に実行される。ESL710の上に、第2のソース電極212B及び第2のドレイン電極214Bが配置される。ESL710内に、第2のソース電極ビア216B及び第2のドレイン電極ビア218Bが配置される。
【0062】
[0072]幾つかの実施形態では、緩衝層(図示せず)が、基板102の上及び金属酸化物層204Aの下に配置される。緩衝層は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。
【0063】
[0073]幾つかの実施形態では、2つのトランジスタ構造700は、緩衝層の上に配置された二次緩衝層(図示せず)を更に含む。緩衝層の上、二次緩衝層内、及び第2の金属酸化物層204A、204Bの一方、又は両方の下に、1又は複数のシールド金属(図示せず)が配置される。
【0064】
[0074]2つのTFT701A、701Bは、直列又は並列に接続され得る。2つのTFT701A、701Bは、同じ入力電圧信号又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0065】
[0075]
図8は、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造800を示す図である。方法300は、以下により詳細に説明するように、2つのトランジスタ構造800を形成するために使用することも可能である。
【0066】
[0076]図示したように、2つのトランジスタ構造800は、第1のTFT801A及び第2のTFT801Bを含む。第1のTFT801Aは、TFT200(
図2H)と同様であり得る。第2のTFT801Bは、TFT200(
図2H)と同様であり得る。ただし、GI層及びゲート電極は含まれない。2つのトランジスタ構造800は、工程310が第2の金属酸化物層204Bを堆積させることを更に含む方法300を用いて形成され得る。
【0067】
[0077]幾つかの実施形態では、緩衝層(図示せず)が、基板102の上及び金属酸化物層204Aの下に配置される。緩衝層は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。
【0068】
[0078]2つのトランジスタ構造800は、基板102の上に配置された緩衝層202を更に含む。緩衝層202は、二酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、多層窒化ケイ素/酸化ケイ素(SiNx/SiOy)、酸窒化ケイ素(SiON)、他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせ等の絶縁材料を含む。緩衝層202の上に、二次緩衝層203が配置される。二次緩衝層203は、緩衝層202に含まれる材料のいずれかを含む。シールド金属808Bが、緩衝層202の上、二次緩衝層203内、及び金属酸化物層204Bの下に配置される。シールド金属908Bは、TFT801Bの層全体に電圧を供給するための電源(図示せず)としてのゲート線信号に接続されるように構成される。
【0069】
[0079]幾つかの実施形態では、2つのトランジスタ構造800は、緩衝層202の上、二次緩衝層203内、及び第1の金属酸化物層204Aの下に配置された追加のシールド金属を更に含む。
【0070】
[0080]2つのTFT801A、801Bは、直列又は並列に接続され得る。また、2つのTFT801A、801Bは、同じ入力電圧信号又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0071】
[0081]
図9A~9Nは、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造900を示す概略断面図である。
図10は、同じ実施形態に係る2つのトランジスタ構造900を形成する方法1000のフロー図である。方法工程を、
図1、9A~9N、及び10と関連して説明するが、当業者であれば、方法1000の工程を任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが、本明細書に記載の実施形態の範囲に入ることを理解するであろう。説明を容易にするために、
図9A~9N及び10を、
図1のチャンバ100を参照しながら説明する。しかしながら、チャンバ100以外のICP-CVDチャンバを方法1000と組み合わせて利用することができることに留意されたい。方法1000は、CPU191によって実行されると、チャンバ100に方法1000を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体として、コントローラ190に記憶され得る又はアクセス可能であり得る。
【0072】
[0082]図示のように、2つのトランジスタ構造900は、基板102を含む(
図9A)。
【0073】
[0083]方法1000は、
図9Bに示すように、ポリシリコン層904Aが堆積される工程1005で始まる。幾つかの実施形態では、ポリシリコン層904Aは、基板102の上(又は、存在する場合は緩衝層202の上)に堆積される。ポリシリコン層904Aは、任意の所望の方法を用いて堆積させることができる。工程1005は、イオン注入等によって、ポリシリコン層904Aをn型又はp型ドーパント(例えば、B又はN)でドープすることを含む。
【0074】
[0084]工程1010において、
図9Cに示すように、第1のGI層206が堆積される。幾つかの実施形態では、第1のGI層は、ポリシリコン層904Aの少なくとも一部の上に堆積される。工程1010は、工程340と同様に実施され得る。
【0075】
[0085]工程1020において、
図9Dに示すように、第1のゲート電極208A及びシールド金属908Bが形成される。幾つかの実施形態では、第1のゲート電極208A及びシールド金属908Bは、第1のGI層206の上に形成される。第1のゲート電極208Aは、ポリシリコン層904Aの上に形成される。幾つかの実施形態では、第1の副工程において金属層が堆積され、第2の副工程において第1のゲート電極208A及びシールド金属908Bを形成するために、金属層の1又は複数の残留部分が除去される。工程1020は、工程350と同様に実施され得る。
【0076】
[0086]工程1025において、
図9Eに示すように、二次ILD層910が形成される。幾つかの実施形態では、二次ILD層910は、第1のゲート電極208A及びシールド金属908Bの上に形成される。二次ILD層910は、ILD層210の材料のうちのいずれかを含む。工程1025は、工程370と同様に実施され得る。
【0077】
[0087]シーケンス1030の結果、
図9Fに示すように、二次ILD層910に、二次ソース電極912A、二次ドレイン電極914A、二次ソース電極ビア916A、及び二次ドレイン電極ビア918Aが形成される。シーケンス1030は、当技術分野で用いられるゲート及びドレイン電極構造を形成する任意の従来の方法を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の工程でポリシリコン層904Aの一部が露出するように、二次ILD層910の一部がエッチングされる。二次ILD層910の一部は、二次ソース電極912A、二次ドレイン電極914A、二次ソース電極ビア916A、及び二次ドレイン電極ビア918Aを形成するために、第2の工程において導電性材料で充填される。二次ソース電極912A、二次ドレイン電極914A、二次ソース電極ビア916A、及び二次ドレイン電極ビア918Aは、第1のソース電極212A、第1のドレイン電極214A、第1のソース電極ビア216A、及び第1のドレイン電極ビア218Aに含まれる材料のいずれかを含む。シーケンス1030は、シーケンス380と同様に実施され得る。
【0078】
[0088]工程1035において、
図9Gに示すように、二次緩衝層203が形成される。幾つかの実施形態では、二次緩衝層203は、二次ソース電極912A、二次ドレイン電極914A、二次ソース電極ビア916A、及び二次ドレイン電極ビア918Aの上に堆積される。二次緩衝層203は、HDP-CVD又はCCPを用いたCVDプロセスを用いて堆積させることができる。
【0079】
[0089]工程1040において、
図9Hに示すように、第2の金属酸化物層204Bが形成される。幾つかの実施形態では、第2の金属酸化物層204Bは、二次緩衝層203の上に形成される。工程1040は、工程510と同様に実施され得る。
【0080】
[0090]工程1050において、
図9Iに示すように、二次GI層406が堆積される。二次GI層406は、第2の金属酸化物層204Bの上に堆積される。二次GI層406は、第2の金属酸化物層204Bと直接接触する。工程1050は、工程555と同様に実施され得る。
【0081】
[0091]工程1060において、
図9Jに示すように、第2のゲート電極208Bが形成される。幾つかの実施形態では、第2のゲート電極208Bは、二次GI層406の上に形成される。第2のゲート電極208Bは、第2の金属酸化物層204Bの上に形成される。工程1060は、工程350と同様に実施され得る。
【0082】
[0092]工程1065において、
図9Kに示すように、二次GI層406(
図9J)の1又は複数の残留部分406
*がエッチングされる。幾つかの実施形態では、第2のゲート電極208Bは、二次GI層406を所望のサイズ及び形状にエッチングするためのマスクとして機能する。工程1065は、工程360と同様に実施され得る。
【0083】
[0093]工程1070において、
図9Lに示すように、ILD層210が形成される。幾つかの実施形態では、ILD層210は、第2のゲート電極208B及び金属酸化物層206Bの上に形成される。工程1070は、工程370と同様に実施され得る。
【0084】
[0094]シーケンス1075の結果、
図9Mに示すように、ILD層210にソース電極212A、212B、ドレイン電極214A、214B、ソース電極ビア216A、216B、及びドレイン電極ビア218A、218Bが形成される。シーケンス1075は、当技術分野で用いられるゲート及びドレイン電極構造を形成する任意の従来の方法を含み得る。第1のソース電極ビア216A及び第1のドレイン電極ビア218Aは、それぞれ二次ソース電極912A及び二次ドレイン電極914Aに電気的に接触する。シーケンス1075は、シーケンス380と同様に実施され得る。
【0085】
[0095]工程1080において、
図9Nに示すように、パッシベーション層220が形成される。幾つかの実施形態では、パッシベーション層220は、ILD層210、ソース電極212A、212B、及びドレイン電極214A、214Bの上に堆積される。工程1080は、工程390と同様に実施され得る。このように、2つのトランジスタ構造400に第1のTFT(代替的にポリシリコンTFTと呼ばれる)901A及び第2のTFT(代替的に金属酸化物(MOx)TFTと呼ばれる)901Bが形成される。
【0086】
[0096]幾つかの実施形態では、シールド金属908Bは、二次ILD層910の上に形成される。これらの実施形態では、工程1020は2つの副工程に分離され、シールド金属908Bが形成される副工程は、工程1025の後に実行される。
【0087】
[0097]幾つかの実施形態では、シーケンス1030は実行されず、従って、二次ソース電極、二次ソース電極ビア、二次ドレイン電極、及び二次ドレイン電極ビアは形成されない。これらの実施形態では、第1のソース電極ビア216A及び第1のドレイン電極ビア216Aは更に、二次ILD層910及び二次緩衝層203に配置される。したがって、第1のソース電極ビア216A及び第1のドレイン電極ビア218Aは、ポリシリコン層904Aと直接電気的に接触する。
【0088】
[0098]幾つかの実施形態では、ポリシリコン層904はP型ドープ(例えば、Bで)され、金属酸化物層204BはN型ドープ(例えば、Nで)される。
【0089】
[0099]2つのTFT901A、901Bは、直列又は並列に接続され得る。また、2つのTFT901A、901Bは、同じ入力電圧信号又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0090】
[0100]
図11は、一実施形態に係る2つのトランジスタ構造1100を示す図である。方法300は、以下により詳細に説明するように、2つのトランジスタ構造1100を形成するために使用することも可能である。
【0091】
[0101]図示したように、2つのトランジスタ構造1100は、第1のTFT1101A及び第2のTFT1101Bを含む。第1のTFT1101Aは、TFT200(
図2I)と同様であり得る。しかし、第1の金属層の代わりに、ポリシリコン層904Aが含まれる。したがって、工程310は、第2の金属酸化物層904Bのみを形成する。また、工程1005が含まれる。第2のTFT1101Bは、TFT200(
図2I)と同様である。2つのトランジスタ構造1100は、基板102の上及びILD層210の下に配置された緩衝層202を更に含む。2つのトランジスタ構造1100は、シールド金属908Bを更に含む。シールド金属908Bは、基板102の上、緩衝層202内、及び金属酸化物層904Bの下に配置される。GI層206Aは、GI層206Aの下にあるポリシリコン層904Aの移動度を増加させない。
【0092】
[0102]幾つかの実施形態では、GI層206は、工程360において、ポリシリコン層904Aの表面904S全体の上と金属酸化物層204Bの上の両方にGI層が存在するように、エッチングされる。
【0093】
[0103]幾つかの実施形態では、GI層206はエッチングされず、したがって、GI層206は、ポリシリコン層904A及び金属酸化物層204Bの両方の上に1つの層として配置される。
【0094】
[0104]2つのTFT1101A、1101Bは、直列又は並列に接続され得る。また、2つのTFT1101A、1101Bは、同じ入力電圧信号又は異なる電圧信号を受信し得る。
【0095】
[0105]上述した2つのトランジスタ構造(例えば、2つのトランジスタ構造400、600、700、800、900、1100)のそれぞれにおける2つのTFTは、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイピクセル回路、又はパネル(GIP)回路におけるゲートドライバとして使用される。例えば、2つのトランジスタ構造における各TFTは、OLEDピクセル回路におけるスイッチングTFT又は駆動TFTとして使用され得る。2つのトランジスタ構造は各々、第2のTFT(例えば、TFT401B、601B、701B、801B、901A、1101A)よりも高い移動度を有する第1のTFT(例えば、TFT401A、601A、701A、801A、901B、1101B)を有するTFTを含む。第1のTFTは、第1のTFTにおいて金属酸化物層の上にGI層が堆積されているため、第2のTFTよりも高い移動度を有し、GI層はHDP-CVDにより堆積される。金属酸化物層と直接接触するGI層、HDP-CVDによって堆積されたGI層は、下位の金属酸化物層の移動度を増加させ、これは、方法300の説明において上に詳細に記載している。一実施形態によれば、第1のTFTは約30cm2/Vsを上回る移動度を有し、第2のTFTは約30cm2/Vsを下回る移動度を有する。
【0096】
[0106]上述した方法300、500、1000のいずれかにおいて、1又は複数のオプション工程が含まれ得る。オプションとして、開示された金属酸化物層のいずれかが前処理され得る。前処理は、亜酸化窒素(N2O)を含むガスを約0.40sccm/cm2から約0.60sccm/cm2の流量で、アルゴンガス(Ar)含むガスを約0sccm/cm2(すなわち、Arの並行流なし)から約0.60sccm/cm2の流量で、約1mTorrから約300mTorrのチャンバ圧力、約25℃から約400℃の温度で、約1秒から約600秒の間流すことを含む。一例では、前処理は、亜酸化窒素(N2O)を含むガスを約0.40sccm/cm2から約0.60sccm/cm2の流量で、アルゴンガス(Ar)を含むガスを約0sccm/cm2(すなわち、Arの並行流なし)から約0.60sccm/cm2の流量で、約10mTorrから約150mTorrのチャンバ圧力、約50℃から約300℃の温度で、約1秒から約45秒の間流すことを含む。幾つかの実施形態では、二酸化窒素(NO2)、ネオンガス(Ne)、ヘリウムガス(He)、又は上記の混合物も並行に流され得る。前処理により、前処理された金属酸化物層の移動度が高くなり得る。前処理は、静的なチャンバで実行され得る、又は上述したチャンバ100等の動的なチャンバで線源により実行され得る。
【0097】
[0107]オプションとして、本明細書に開示される金属酸化物層のいずれかの上にシード層が堆積され得る。シード層は、金属酸化物層の少なくとも一部の上に堆積される。シード層は、その上に堆積された層(例えば、GI層)の接着を改善する。シード層は、約1nmから約100nmの厚さを有し得る。シード層の堆積は、CCPを用いたCVDプロセスを含み得る。例えば、シード層の堆積は、CCPを用いたCVDプロセスを含んでいてよく、次いで、界面シード層の上にGI層が堆積され、GI層は、HDP-CVDプロセスによって堆積される。シード層が薄いために、シード層の下の金属酸化物層は依然としてHDP-CVDプロセスの影響を受け、金属酸化物層の移動度が有利に高くなる。上記実施形態のいずれかにおいて、シードGI層の1又は複数の残留部分の除去も行われ得る。
【0098】
[0108]金属酸化物層の形成、オプションの金属酸化物層の前処理、オプションのシード層の堆積、及びGI層の堆積(以下、MO/GI工程と総称する)は、真空ブレークなしで単一のチャンバ(例えば、チャンバ100)内で実行され得る。別の実施形態では、MO/GI工程は、複数のチャンバを有する統合システムで真空ブレークなしで実行可能であり、各MO/GI工程は、いずれかのチャンバで実行され得る。あるいは、MO/GI工程のいずれかは、任意の数のチャンバで実行可能であり、真空ブレークは、MO/GI工程の間に含まれ得る。
【0099】
[0109]一例では、金属酸化物層の形成は第1のチャンバで行われ、基板は真空下で第2のチャンバに移送され、第2のチャンバでGI層が堆積される。別の例では、金属酸化物層の形成は第1のチャンバで行われ、基板は第2のチャンバに真空ブレークで移送され、第2のチャンバでGI層が堆積される。
【0100】
[0110]上述したように、TFTを形成する方法及び2つのトランジスタ構造を形成する方法が提供される。本方法は、1又は複数の金属酸化物層及び/又はポリシリコン層を堆積させることを含む。GI層は、1又は複数の金属酸化物層の上にHDP-CVDプロセスを用いて堆積される。
【0101】
[0111]HDP-CVDを用いてGI層を堆積させると、その上に堆積される金属酸化物層及び/又はポリシリコン層の移動度が予想以上に高くなる。GI層を選択的に配置することにより、GI層がHDP-CVDで堆積されるか、あるいはCCPを用いたCVDプロセスで堆積されるかによって、下層の移動度が制御される。GI層を堆積させることにより、層堆積後に下層の移動度を制御することが可能になる、すなわち、堆積中に加えて、堆積後に移動度が向上し得る。
【0102】
[0112]前述の内容は本開示の実施例を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施例を考案することが可能である。