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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】プライマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/04 20060101AFI20231204BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20231204BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231204BHJP
【FI】
C09D133/04
C09D5/00 D
C09D7/63
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020047875
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147468
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 圭
(72)【発明者】
【氏名】幸 則孝
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074888(JP,A)
【文献】特開2018-178082(JP,A)
【文献】特開2015-212347(JP,A)
【文献】特開2015-074685(JP,A)
【文献】特開2012-061850(JP,A)
【文献】特開2018-177844(JP,A)
【文献】特表2015-505875(JP,A)
【文献】特開2013-087146(JP,A)
【文献】特開2009-249491(JP,A)
【文献】特開2016-104853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/04
C09D 5/00
C09D 7/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下であり、ヒドロキシル基を実質的に有しない(メタ)アクリル樹脂と、
(B)ポリイソシアネート化合物と、
(C)シランカップリング剤と、
(D)溶剤とを含有する、1成分型プライマー組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート化合物(B)が、イソシアヌレート環を有する、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを含み、
前記シランカップリング剤(C)が、メルカプト基、アミノ基およびケチミン基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有し、
さらに、(E)シリケート化合物と(F)硬化触媒を含有する、請求項1に記載のプライマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基材に建築用シーリング材を接着させるためにプライマー組成物が使用されている。上記建築用シーリング材が、建物を構成するガラスの例えば屋内側においてガラス回りに使用された場合、日光等がガラス越しにプライマー層、シーリング層に照射される。
このため、上記のように使用されるプライマー組成物には、ガラス越しでの耐候性(ガラス越し耐候性)等が要求される。
【0003】
これまでに、ガラス基材との接着性およびガラス耐候接着性に優れ、種々のシーリング材に適用されうるプライマー組成物として、例えば特許文献1が提案された。
特許文献1には、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(A)と、シランカップリング剤(B)と、溶剤(C)とを含有するプライマー組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-281519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようななか、本発明者は特許文献1を参考にして、(メタ)アクリル系樹脂を含有するプライマー組成物を調製しこれを評価したところ、上記(メタ)アクリル系樹脂が有する重量平均分子量またはガラス転移温度によって、得られるプライマー層のガラス越し耐候性が、昨今要求されているレベルを満足しない場合があることが明らかとなった。
プライマー層のガラス越し耐候性の向上は、シーリング層の高寿命化につながると考えられる。
そこで、本発明は、ガラス越し耐候性に優れるプライマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、プライマー組成物が、
(A)重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下である(メタ)アクリル樹脂と、
(B)ポリイソシアネート化合物と、
(C)シランカップリング剤と、
(D)溶剤とを含有することによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0007】
[1] (A)重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下である(メタ)アクリル樹脂と、
(B)ポリイソシアネート化合物と、
(C)シランカップリング剤と、
(D)溶剤とを含有する、プライマー組成物。
[2] 上記ポリイソシアネート化合物(B)が、イソシアヌレート環を有する、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを含む、[1]に記載のプライマー組成物。
[3] 上記シランカップリング剤(C)が、メルカプト基、アミノ基およびケチミン基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、[1]または[2]に記載のプライマー組成物。
[4] さらに、(E)シリケート化合物を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のプライマー組成物。
[5] さらに、(F)硬化触媒を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載のプライマー組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプライマー組成物は、ガラス越し耐候性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルはアクリロイルまたはメタクリロイルを表し、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを表す。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製法方法について特に制限されない。例えば従来公知の方法が挙げられる。また、各成分としてその市販品を使用することができる。
本明細書において、(A)重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下である(メタ)アクリル樹脂を、単に「(A)成分」と称する場合がある。(B)ポリイソシアネート化合物、(C)シランカップリング剤、(D)溶剤、(E)シリケート化合物、(F)硬化触媒についても同様である。
本明細書において、ガラス越し耐候性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ということがある。
【0010】
[プライマー組成物]
本発明のプライマー組成物(本発明の組成物)は、
(A)重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下である(メタ)アクリル樹脂と、
(B)ポリイソシアネート化合物と、
(C)シランカップリング剤と、
(D)溶剤とを含有する、プライマー組成物である。
【0011】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明の組成物に含有される(A)成分は、造膜成分(バインダー)として機能する。本発明の組成物中の(A)成分の重量平均分子量が上記の特定範囲のように、従来よりも大きいことによって、得られるプライマー層のガラス越し耐候性が向上すると考えられる。
一方、従来のプライマー組成物に含有されていた、加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル系樹脂は、製造の観点から、重量平均分子量が比較的低いものしか得られなかった。
また、本発明者は、加水分解性ケイ素含有基を有さず、重量平均分子量が小さい(メタ)アクリル系樹脂を含有するプライマー組成物のガラス越し耐候性が低いことを見出した。
以上から、本発明者は、(メタ)アクリル系樹脂が有する加水分解性ケイ素含有基による造膜よりも、プライマー組成物中の(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量が大きいことのほうが、バインダー自体の日光等に対する耐候性を向上させ、その結果、本発明の組成物はガラス越し耐候性に優れると考える。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
【0012】
<(A)(メタ)アクリル樹脂>
本発明の組成物に含有される(A)(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量が40,000以上150,000以下であり、かつガラス転移温度が40℃以上100℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーである。
【0013】
上記(A)成分を構成する繰り返し単位は、本発明の効果により優れるという観点から、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含むことがより好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を含むことが更に好ましい。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-プロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-tert-ブチル、アクリル酸-n-ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニルのようなアルキルアクリレート;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-tert-ブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニルのようなアルキルメタクリレートが挙げられる。
【0015】
上記(A)(メタ)アクリル樹脂は、本発明の効果により優れるという観点から、ポリアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、
エチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂、またはブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂がより好ましく、
ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂が更に好ましい。
【0016】
上記(A)(メタ)アクリル樹脂は、加水分解性シリル基、シラノール基、ヒドロキシ基のような官能基を有さないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
上記(A)(メタ)アクリル樹脂は、本発明の効果により優れるという観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位のみから構成されることが好ましい。
【0017】
<重量平均分子量>
本発明において、上記(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、40,000以上150,000以下である。
上記(A)成分の重量平均分子量が40,000以上150,000以下であることによって、本発明はガラス越し耐候性に優れる。
また、上記(A)成分の重量平均分子量が150,000以下であることによって、本発明は基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れる。
【0018】
上記(A)成分の重量平均分子量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、50,000~120,000が好ましく、60,000~120,000がより好ましく、70,000~110,000が更に好ましい。
【0019】
本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による(A)成分の分析を行い、下記条件でポリスチレン換算により(A)成分の重量平均分子量を算出した。
・装置:GPC-8220(東ソー社製)
・カラム:G7000HXL/7.8mmIDを1本と、GMHXL/7.8mmIDを2本とG2500HXL/7.8mmIDを1本使用した。
・媒体:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・濃度:1.5mg/ml
・注入量:300μL
・カラム温度:40℃
【0020】
<ガラス転移温度>
本発明において、上記(A)成分のガラス転移温度(Tg)は40℃以上100℃以下である。
上記(A)成分のガラス転移温度が40℃以上100℃以下であることによって、本発明はガラス越し耐候性に優れる。
また、上記(A)成分のガラス転移温度が上記範囲であることによって、本発明の組成物から得られるプライマー層の機械的強度、シーリング層への追従性に優れる。
【0021】
上記(A)成分のガラス転移温度は、本発明の効果により優れ、プライマー層の機械的強度、シーリング層への追従性に優れるという観点から、45~95℃が好ましく、50~70℃がより好ましい。
【0022】
本発明において、示差走査熱量計(DSC)を使用して(A)成分のガラス転移温度を測定できる。
【0023】
((A)成分の含有量)
上記(A)成分の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性、作業性に優れるという観点から、後述する(D)成分100質量部に対して、0.5~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
【0024】
<(B)ポリイソシアネート化合物>
本発明の組成物に含有される(B)ポリイソシアネート化合物((B)成分)は、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
本発明の組成物は(B)ポリイソシアネート化合物を含有することによって、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れる。
(B)成分は(B)成分同士で反応することができる。また、(B)成分は後述する(C)シランカップリング剤と反応してもよい。
【0025】
(イソシアネート基)
上記(B)ポリイソシアネート化合物は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、1分子当たりイソシアネート基を3個以上有することがより好ましい。
イソシアネート基は炭化水素基に結合することができる。上記炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状もしくは分岐状を含む概念である)、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらの組合せが挙げられる。上記炭化水素基は、例えば、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい。
【0026】
(B)ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI。下記構造)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような、脂肪族ポリイソシアネート(上記脂肪族は、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基を含む概念である)、脂環式ポリイソシアネート(上記脂環式は、環状の脂肪族炭化水素基を含む概念である)又は炭化水素基として脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組合せて有するポリイソシアネート(なお上記組合せの場合、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基の他、メチレン基又はメチル基であってもよい);
これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート)が挙げられる。
【化1】

(イソホロンジイソシアネート)
イソホロンジイソシアネートは、シクロヘキサン環のような脂環式炭化水素基と、メチレン基又はメチル基のような脂肪族炭化水素基とが組合わさった炭化水素基に、2個のイソシアネート基が結合したジイソシアネートである。
【0027】
(イソシアヌレート環)
イソシアヌレート環は、下記式(B1)で表される構造である。
上記(B)ポリイソシアネート化合物は1分子当たり、上記イソシアヌレート環を少なくとも1個有することができ、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、上記イソシアヌレート環を1個有することが好ましい。
【化2】
【0028】
上記(B)ポリイソシアネート化合物が上記イソシアヌレート環を1個有する場合、上記イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を例えば1~3個有することができ、本発明の効果により優れるという観点から、3個有することが好ましい。
イソシアヌレート環とイソシアネート基とは、炭化水素基を介して結合することができる。イソシアヌレート環とイソシアネート基とを結合することができる炭化水素基は、本発明の効果により優れるという観点から、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、またはこれらの組合せ(なお上記組合せの場合、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基の他、メチレン基又はメチル基であってもよい。)であることが好ましい。
イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物は、例えば、イソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物の3量体として形成されうる。イソシアヌレート環を形成するために使用される上記ジイソシアネート化合物は、同じで合っても異なってもよい。
【0029】
上記(B)成分は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート、または脂肪族のポリイソシアネート若しくは脂環式ポリイソシアネートを含むことが好ましく、イソシアヌレート環を有する、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを含むことがより好ましく、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含むことが更に好ましい。
【0030】
なお、上記のイソシアヌレート環を有する、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートにおける「脂肪族および/または脂環式」は、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートにおいて、イソシアヌレート環とイソシアネート基とを介する炭化水素基が、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基(上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状または分岐状を含む概念である。)、脂環式炭化水素基、またはこれらの組合せ(なお上記組合せの場合、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基の他、メチレン基又はメチル基であってもよい。)であることを意味する。
【0031】
((B)ポリイソシアネート化合物の含有量)
上記(B)ポリイソシアネート化合物の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、上記(A)成分100質量部に対して、200~400質量部であることが好ましく、250~350質量部であることがより好ましい。
【0032】
また、上記(B)ポリイソシアネート化合物の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性、作業性に優れるという観点から、後述する(D)成分100質量部に対して、5~40質量部であることが好ましく、10~30質量部であることがより好ましく、13~17質量部が更に好ましい。
【0033】
<(C)シランカップリング剤>
本発明の組成物に含有される(C)シランカップリング剤((C)成分)は、加水分解性シリル基と官能基(加水分解性シリル基を除く)とを有する化合物であれば特に制限されない。
本発明の組成物は(C)シランカップリング剤を含有することによって、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れる。
(C)成分は、上記(B)成分と反応してもよい。
【0034】
・官能基
上記(C)シランカップリング剤が有する官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ケチミン基、(ポリ)スルフィド基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
上記(C)シランカップリング剤は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、メルカプト基(-SH)、アミノ基(-NH2または-NH-)およびケチミン基(>C=N-)からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。
【0035】
官能基は、長期的に基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、ケチミン基が好ましい。
ケチミン基は、例えば、ケトンまたはアルデヒドが有するカルボニル基と-NH2を有する化合物とから形成することができる。また、ケチミン基は、例えば水の存在下又は加熱によって、ケトンまたはアルデヒドと-NH2を有する化合物とに分解しうる。
ケチミン基を構成しうる-NH2を有する化合物が、更に加水分解性シリル基を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。上記-NH2と加水分解性シリル基とは有機基を介して結合することができる。上記有機基は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
ケチミン基を構成しうるケトンまたはアルデヒドは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0036】
・加水分解性シリル基
(C)成分が有する加水分解性シリル基は特に制限されない。例えば、1個のケイ素原子に1~3個の加水分解性基が結合したシリル基が挙げられる。
上記加水分解性基は特に制限されないが、なかでもアルコキシ基が好ましい。
上記加水分解性シリル基は、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリアルコキシシリル基がより好ましい。
加水分解性シリル基の一部が加水分解してシラノール基を形成してもよい。
【0037】
上記官能基と加水分解性シリル基とは有機基を介して結合することができる。上記有機基は特に制限されない。
【0038】
上記(C)成分としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;
γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;
N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(メチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン等のケチミン基含有シランカップリング剤が挙げられる。
【0039】
((C)シランカップリング剤の含有量)
上記(C)シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性に優れるという観点から、上記(A)成分100質量部に対して、100~300質量部であることが好ましく、120~220質量部であることがより好ましい。
【0040】
また、上記(C)シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング材との接着性、作業性に優れるという観点から、後述する(D)成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、3~15質量部であることがより好ましく、6~15質量部が更に好ましい。
【0041】
<(D)溶剤>
本発明の組成物に含有される(D)溶剤は、他の成分に対して不活性であり、これらを溶解または分散させ得る化合物であれば特に制限されない。
具体的には、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。なお、(D)溶剤は、充分に乾燥または脱水してから用いることが好ましい。
(D)溶剤は、沸点が低く、乾燥性が優れる等の観点から、酢酸エチルまたはトルエンが好ましい。
【0042】
((D)溶剤の含有量)
上記(D)溶剤の含有量は特に制限されないが、プライマー組成物の塗布性および接着性が良好である点から、プライマー組成物全量中の50~90質量%であることが好ましい。
【0043】
((E)シリケート化合物)
本発明の組成物は、基材(ガラス)との接着性に優れるという観点から、さらに、(E)シリケート化合物((E)成分)を含有することが好ましい。
【0044】
(E)シリケート化合物は、ケイ酸エステルまたはその縮合物であれば特に制限されない。
上記ケイ酸エステルとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシランのようなテトラアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシランのようなトリアルコキシシランが挙げられる。
【0045】
(E)シリケート化合物は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)との接着性に優れるという観点から、ケイ酸エステルの縮合物を含むことが好ましく、テトラアルコキシシランの縮合物を含むことがより好ましい。
【0046】
((E)シリケート化合物の含有量)
上記(E)シリケート化合物の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)との接着性に優れるという観点から、上記(A)成分100質量部に対して、20~100質量部であることが好ましく、30~80質量部であることがより好ましい。
【0047】
また、上記(E)シリケート化合物の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)との接着性、作業性に優れるという観点から、上記(D)成分100質量部に対して、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
【0048】
((F)硬化触媒)
本発明の組成物は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング層との接着性に優れるという観点から、さらに、(F)硬化触媒((F)成分)を含有することが好ましい。
(F)硬化触媒は、(B)ポリイソシアネート化合物の硬化を促進する触媒であれば特に限定されない。
(F)硬化触媒としては、例えば、第3級アミン化合物、カルボン酸金属塩、金属アルコキシド、金属キレート挙げられる。
なかでも、(F)硬化触媒は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング層との接着性に優れるという観点から、カルボン酸金属塩を含むことが好ましい。
【0049】
上記第3級アミン化合物としては、具体的には、例えば、N,N,N′,N′-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、ペンタメチレンジエチレントリアミン、モルフォリン系アミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0050】
上記カルボン酸金属塩を構成しうるカルボン酸は、カルボキシ基を有する炭化水素化合物であれば特に制限されない。
上記カルボン酸金属塩としては、具体的には、例えば、錫、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、コバルト、カルシウム、またはセリウム等のカルボン酸塩が挙げられる。
これらのうち、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング層との接着性に優れるという観点から、錫のカルボン酸塩を含むことが好ましく、オクチル酸第一錫を含むことがより好ましい。
【0051】
上記金属アルコキシドとしては、例えば、チタンまたはジルコニウムのアルコキシド、具体的には例えば、テトラプロポキシチタンまたはテトラブトキシチタン等、およびこれらの縮合物が挙げられる。
上記金属キレートとしては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、コバルト等のキレートが挙げられ、より具体的には例えば、アルミニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0052】
((F)硬化触媒の含有量)
上記(F)硬化触媒の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング層との接着性に優れるという観点から、上記(A)成分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましく、15~30質量部であることがより好ましい。
【0053】
また、上記(F)硬化触媒の含有量は、本発明の効果により優れ、基材(ガラス)および/またはシーリング層との接着性、作業性に優れるという観点から、上記(D)成分100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0054】
本発明のプライマー組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で、例えば、充填剤、可塑剤、揺変剤、脱水剤、軟化剤、安定剤、着色剤、タレ防止剤、物性調整剤、難燃剤、補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、染料、顔料等のような添加剤を更に含有することができる。
【0055】
(本発明のプライマー組成物の製造方法)
本発明のプライマー組成物は、上記各成分を混合することによって製造することができる。混合する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ボールミルを用いる方法が挙げられる。
【0056】
(使用方法)
本発明のプライマー組成物の使用方法は、通常のプライマー組成物と同様である。即ち、本発明のプライマー組成物を基材に塗布し、乾燥させた後、シーリング材を塗布して、通常の方法で接着させればよい。
本発明のプライマー組成物を基材に塗布する方法、乾燥条件等は特に制限されない。本発明のプライマー組成物を乾燥させる場合、例えば、室温条件下に置いてまたは加温することによって本発明のプライマー組成物を乾燥させることができる。
【0057】
(基材)
本発明の組成物を適用する基材は、特に制限されないが、ガラスであることが好ましい。本発明の組成物を適用しうるガラスは特に制限されない。
(シーリング材)
本発明の組成物に適用するシーリング材は特に制限されない。例えば、建築用シーリング材が挙げられる。上記シーリング材は、本発明のプライマー組成物との接着性の観点から、(メタ)アクリル系シーリング材が好ましい。(メタ)アクリル系シーリング材は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えば、反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂等を含有するシーリング材組成物が挙げられる。
【実施例
【0058】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0059】
<プライマー組成物の製造>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、各プライマー組成物を製造した。
【0060】
<評価>
上記のとおり製造された各プライマー組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
(初期試験体の作製)
被着体として陽極酸化アルミニウムおよびフロートガラスを用い、JIS A1439:2016に準じて、初期試験体を作製した。
・プライマー層の形成
フロートガラスの表面に上記のとおり製造された各プライマー組成物を塗布し、23℃の条件下で1時間乾燥し、プライマー層を形成した。
【0061】
・シーリング材
上記のとおり形成されたプライマー層の上に適用するシーリング材として、以下の2成分形シリル化(メタ)アクリレート系シーリング材を用いた。2成分形シリル化(メタ)アクリレート系シーリング材の配合は下記のとおりである。
(2成分形シリル化(メタ)アクリレート系シーリング材の配合)
・重合体(A):末端反応型液状アクリル樹脂。XMAP SA-410S カネカ社製。50質量部
・重合体(B):両末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン。MSP-S203H カネカ社製。50質量部
・可塑剤:DINP(ジイソノニルフタレート) ジェイ・プラス社製。70質量部
・老化防止剤:チヌビン326 BASFジャパン社製。4質量部
・重質炭酸カルシウム:スーパーSS 丸尾カルシウム社製。40質量部
・コロイダル炭酸カルシウム:白艶華CCR 白石工業社製。125質量部
・硬化触媒:ニッカオクチックス錫(28%) 日本化学産業社製。5質量部
・ラウリルアミン:ファーミン20D 花王社製。0.5質量部
【0062】
・シーリング材の養生
JIS A 1439:2016に準じて作製された2形試験体を、23℃、50%RH(相対湿度)で7日間養生し、更に50℃で7日間養生し、初期試験体を作製した。
【0063】
(促進耐候性試験)
上記のとおり作製した各初期試験体を用いて、各初期試験体が有するフロートガラス面に対し、促進耐候性試験(メタルウェザー試験)を行った。
【0064】
メタルウェザー試験条件は以下のとおりである。メタルウェザー試験の所要時間(単位:時間)を「250h」等の表記で第1表に示す。
照度:75mW/cm2
光源:メタルハライドランプ
温度、湿度:63℃、50%RH(相対湿度)
シャワー:120sec/2h
【0065】
(引張試験)
上記のとおり得られた初期試験体および促進耐候性試験後の試験体を用いて、JIS A 1439:2016に準じて引張試験を行い、引張試験後の破壊状況を目視で評価した。
第1表中、「CF」はシーリング層の凝集破壊を、「TCF」はシーリング層の薄層破壊を、「AF」はシーリング層とフロートガラスとの間の界面剥離を表す。
「CF」の後の数値は、接着面積全体に対し「CF」が占める割合(%)である。「TCF」、「AF」の後の数値についても同様である。
【0066】
(ガラス越し耐候性の評価基準)
本発明において、ガラス越し耐候性を、促進耐候性試験後の試験体の引張試験後の破壊状況で評価した。
本発明において、メタルウェザー試験500h後(500時間後)の試験体の破壊状況が初期接着性と同じ(CF100)であった場合、ガラス越し耐候性が優れると評価した。
また、メタルウェザー試験の所要時間を500時間よりも長くしても(例えば750時間後または1000時間後)、破壊状況が初期接着性と同じ結果(CF100)を保った場合、ガラス越し耐候性がより優れると評価した。
一方、メタルウェザー試験500時間後の試験体の破壊状況が、CFとTCFまたはAFとを有した場合、ガラス越し耐候性が悪いと評価した。
【0067】
【表1】
【0068】
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。なお、Mwは重量平均分子量、Tgはガラス転移温度を指す。
<(A)(メタ)アクリル樹脂>
以下の(メタ)アクリル樹脂A-1~A-4は、本発明における(A)成分に該当する。(メタ)アクリル樹脂A-1~A-4は、加水分解性シリル基、シラノール基、ヒドロキシ基のような官能基を有さない。また、(メタ)アクリル樹脂A-1~A-4は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位のみから構成される。
・(メタ)アクリル樹脂A-1:商品名B-813、DSM社製。Mw=40,000、Tg=64℃。エチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂。
・(メタ)アクリル樹脂A-2:商品名MB-2660、三菱ケミカル社製。Mw=60,000、Tg=63℃
・(メタ)アクリル樹脂A-3:商品名B-734、DSM社製。Mw=105,000、Tg=60℃。ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂。
・(メタ)アクリル樹脂A-4:商品名BR-82、三菱ケミカル社製。Mw=140,000、Tg=100℃
【0069】
以下のアクリル樹脂A-5~A-9は、MwまたはTgが所定の範囲を外れるので、本発明における(A)成分に該当しない。
・アクリル樹脂A-5:商品名B-864、DSM社製。Mw=160,000、Tg=65℃。イソブチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂。
・アクリル樹脂A-6:商品名B-891、DSM社製。Mw=35,000、Tg=77℃。ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂。
・アクリル樹脂A-7:商品名B-811、DSM社製。Mw=40,000、Tg=110℃。メチルメタクリレートを含むモノマーから形成される(メタ)アクリル樹脂。
・アクリル樹脂A-8:商品名BR-117、三菱ケミカル社製。Mw=140,000、Tg=34℃
【0070】
・ウレタン樹脂:ディスモコール406、住化コベストロウレタン社製。
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂。商品名エポトートYD-013、日鉄ケミカル&マテリアル社製
・アクリル樹脂A-9:加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル樹脂。商品名XMAP SA-100S、カネカ社製。Mw=25,000
【0071】
(D)溶剤:酢酸エチル
(B)ポリイソシアネート化合物:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体。商品名デュラネートTPA-100、旭化成社製。
(E)シリケート化合物:テトラアルコキシシランの縮合物。商品名MKCシリケートMS51、三菱化学社製。
(C)シランカップリング剤:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン。商品名KBM-803、信越化学工業社製
(F)硬化触媒:オクチル酸第一錫。商品名スタノクト、三菱ケミカル社製
【0072】
第1表に示す結果から明らかなように、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量またはガラス転移温度が所定の範囲を外れる比較例1~4、7は、ガラス越し耐候性が悪かった。
(A)成分を含有せず、代わりにウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を含有する比較例5、6は、ガラス越し耐候性が悪かった。
【0073】
これに対して、本発明のプライマー組成物はガラス越し耐候性が優れた。