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特許7395121搬送装置、液体吐出装置、画像形成装置及び後処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】搬送装置、液体吐出装置、画像形成装置及び後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/22 20060101AFI20231204BHJP
   B41J 13/076 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B65H29/22 Z
B41J13/076
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019236164
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104872
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 泰宏
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254186(JP,A)
【文献】特開2018-115043(JP,A)
【文献】特開2002-220147(JP,A)
【文献】特開2005-047227(JP,A)
【文献】特開2013-049238(JP,A)
【文献】特開2018-162146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/22
B41J 13/076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付着したシートの液体付着面とは反対の面側に配置される回転体と、前記液体付着面側に配置され外径方向に突出する複数の突起を有する突起回転体とを、シート搬送方向に間隔をあけて複数備える搬送装置であって、
前記回転体と前記突起回転体は、互いに接触するように配置され、
前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、
前記回転体同士又は前記突起回転体同士のシート搬送方向の間隔は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、
前記回転体及び前記突起回転体は、前記シート上の液体付着領域が通過する付着領域通過範囲と、前記付着領域通過範囲以外のシート通過範囲である非付着領域通過範囲の、両方に配置され、
前記非付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、前記付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧よりも大きい搬送装置。
【請求項2】
液体が付着したシートの液体付着面とは反対の面側に配置される回転体と、前記液体付着面側に配置され外径方向に突出する複数の突起を有する突起回転体とを、シート搬送方向に間隔をあけて複数備える搬送装置であって、
前記回転体と前記突起回転体は、互いに接触するように配置され、
前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、
シート幅方向に並ぶ前記突起回転体の数は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で多く、
前記回転体及び前記突起回転体は、前記シート上の液体付着領域が通過する付着領域通過範囲と、前記付着領域通過範囲以外のシート通過範囲である非付着領域通過範囲の、両方に配置され、
前記非付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、前記付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧よりも大きい搬送装置。
【請求項3】
液体が付着したシートの液体付着面とは反対の面側に配置される回転体と、前記液体付着面側に配置され外径方向に突出する複数の突起を有する突起回転体とを、シート搬送方向に間隔をあけて複数備える搬送装置であって、
前記回転体と前記突起回転体は、互いに接触しないように軸方向にずれて配置され、
前記突起回転体が前記回転体の外周面よりも内径方向へ進入する進入量は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、
前記回転体同士又は前記突起回転体同士のシート搬送方向の間隔は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さい搬送装置。
【請求項4】
液体が付着したシートの液体付着面とは反対の面側に配置される回転体と、前記液体付着面側に配置され外径方向に突出する複数の突起を有する突起回転体とを、シート搬送方向に間隔をあけて複数備える搬送装置であって、
前記回転体と前記突起回転体は、互いに接触しないように軸方向にずれて配置され、
前記突起回転体が前記回転体の外周面よりも内径方向へ進入する進入量は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、
シート幅方向に並ぶ前記突起回転体の数は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で多い搬送装置。
【請求項5】
互いに接触する前記回転体及び前記突起回転体と、軸方向にずれて互いに接触しない前記回転体及び前記突起回転体と、を備える請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記回転体同士又は前記突起回転体同士のシート搬送方向の間隔は、シート搬送方向上流側に向かうにつれて小さくなる請求項1又は3に記載の搬送装置。
【請求項7】
シート幅方向に並ぶ前記突起回転体の数は、シート搬送方向上流側に向かうにつれて多くなる請求項2又は4に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記突起回転体の位置が、シート搬送方向上流側とシート搬送方向下流側とでシート幅方向に異なる請求項1から7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
前記回転体及び前記突起回転体は、前記シート上の液体付着領域が通過する付着領域通過範囲と、前記付着領域通過範囲以外のシート通過範囲である非付着領域通過範囲の、両方に配置される請求項3又は4に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記付着領域通過範囲内及び前記非付着領域通過範囲内に配置される前記回転体及び前記突起回転体は、軸方向にずれて互いに接触しない前記回転体及び前記突起回転体であって、
前記非付着領域通過範囲内に配置される前記突起回転体が前記回転体の外周面よりも内径方向へ進入する進入量は、前記付着領域通過範囲内に配置される前記突起回転体が前記回転体の外周面よりも内径方向へ進入する進入量よりも大きい請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
シートに液体を吐出する液体吐出手段と、
請求項1から10のいずれかに記載の搬送装置と、
を備える液体吐出装置
【請求項12】
シートに液体を吐出して画像を形成する画像形成部と、
請求項1から10のいずれかに記載の搬送装置と、
を備える画像形成装置
【請求項13】
請求項1から10のいずれかに記載の搬送装置と、
シートに処理を施す後処理部と、
を備える後処理装置
【請求項14】
シートに処理を施す後処理部へ前記シートを搬送する搬送路を備える請求項1から10のいずれかに記載の搬送装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、液体吐出装置、画像形成装置及び後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、インクなどの液体が付着したシートを搬送する搬送装置が設けられている。
【0003】
特許文献1(特開2002-220147号公報)には、インクが付着した記録シートをローラと拍車によって挟んで搬送する構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ローラと拍車によってシートを搬送する際、拍車がシートの液体付着面に強く接触すると、拍車の接触により未乾燥のインクが乱れて画質が低下したり、シートに拍車の接触痕がつきやすくなったりする。そのため、シートに対する拍車の接触圧が大きくなり過ぎないように調整することが望ましい。しかしながら、シートに対する拍車の接触圧が低下すると、シートの挙動が不安定になって、搬送性が低下するといった新たな問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体が付着したシートの液体付着面とは反対の面側に配置される回転体と、前記液体付着面側に配置され外径方向に突出する複数の突起を有する突起回転体とを、シート搬送方向に間隔をあけて複数備える搬送装置であって、前記回転体と前記突起回転体は、互いに接触するように配置され、前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、前記回転体同士又は前記突起回転体同士のシート搬送方向の間隔は、シート搬送方向下流側よりもシート搬送方向上流側で小さく、前記回転体及び前記突起回転体は、前記シート上の液体付着領域が通過する付着領域通過範囲と、前記付着領域通過範囲以外のシート通過範囲である非付着領域通過範囲の、両方に配置され、前記非付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧は、前記付着領域通過範囲内に配置される前記回転体と前記突起回転体との接触圧よりも大きい搬送装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートの搬送性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】画像形成部からシート排出部へ至る搬送路の構成を示す図である。
図3】ローラの構成を示す図である。
図4】ローラの他の構成を示す図である。
図5】拍車の構成を示す図である。
図6】拍車の他の構成を示す図である。
図7】拍車の数を用紙搬送方向上流側で多くした例を示す図である。
図8】一部の拍車の位置を用紙搬送方向上流側と用紙搬送方向下流側とで同じ位置にした例を示す図である。
図9】一部の搬送手段の拍車群を単体の拍車に代えた例を示す図である。
図10】拍車の数を用紙搬送方向上流側で多くし、さらに、搬送手段同士の間隔を上流側で小さくした例を示す図である。
図11】拍車の位置に対応してローラが軸方向に断続的に配置された例を示す図である。
図12】ローラが拍車に対応する部分のほか、拍車に対応しない部分も含めて連続して配置された例を示す図である。
図13】ローラと拍車が軸方向にずれて互いに接触しないように配置された例を示す図である。
図14】拍車がローラの外周面よりも内径方向に進入した例を示す図である。
図15】拍車の先端が曲線状に並んだ例を示す図である。
図16】拍車の進入量を示す図である。
図17】互いに接触するローラ及び拍車と、互いに接触しないローラ及び拍車の、両方が配置された搬送路の例を示す図である。
図18】互いに接触する拍車を用いた例を示す図である。
図19】拍車同士が軸方向にずれて互いに接触しない例を示す図である。
図20】本発明に係る搬送装置を、他の画像形成装置に搭載した例を示す図である。
図21】本発明に係る搬送装置を、さらに別の画像形成装置に搭載した例を示す図である。
図22】本発明に係る構成を、反転搬送路に適用した例を示す図である。
図23】本発明に係る構成を、着脱可能なユニットに適用した例を示す図である。
図24】本発明に係る構成を、後処理装置に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、乾燥装置(加熱装置)6と、シート排出部7と、を備えている。また、画像形成装置100の横には、シート揃え装置200が配置されている。
【0011】
原稿搬送装置1は、原稿トレイ11から原稿を1枚ずつ分離して画像読取装置2のコンタクトガラス13に向けて搬送する装置である。原稿搬送装置1は、原稿を搬送する原稿搬送手段として複数の搬送ローラなどを備えている。
【0012】
画像読取装置2は、コンタクトガラス13上に載置された原稿の画像や、コンタクトガラス13上を通過する原稿の画像を読み取る装置である。画像読取装置2は、画像読取部としての光学走査ユニット12を備えている。光学走査ユニット12は、コンタクトガラス13上の原稿に光を照射する光源や、原稿の反射光から画像を読み取る画像読取手段としてのCCD(電荷結合素子)などを有している。また、画像読取手段として、密着型イメージセンサ(CIS)などを用いてもよい。
【0013】
画像形成部3は、画像形成用の液体であるインクを吐出する液体吐出手段としての液体吐出ヘッド14を有している。液体吐出ヘッド14は、主走査方向(シート幅方向)に移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアル型でもよいし、主走査方向に並ぶ複数の液体吐出ヘッドを移動させずにインクを吐出する、いわゆるライン型であってもよい。
【0014】
カートリッジ装着部5には、複数のインクカートリッジ15Y,15M,15C,15Bkが着脱可能に装着されている。各インクカートリッジ15Y,15M,15C,15Bkには、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの異なる色のインクが充填されている。各インクカートリッジ内のインクは、供給ポンプによって液体吐出ヘッド14へ供給される。
【0015】
シート供給装置4は、シート収容部としての複数の給紙カセット16を備えている。各給紙カセット16には、画像が形成されるシートとして、A4サイズやB4サイズなどのあらかじめ用紙搬送方向(シート搬送方向)に所定のサイズに裁断された用紙P、いわゆるカット紙が収容されている。また、各給紙カセット16には、シート給送手段としての給紙ローラ17と、シート分離手段としての分離パッド18と、が設けられている。
【0016】
乾燥装置6は、用紙を挟んで搬送しながら加熱する一対の加熱回転体を備える。乾燥装置6が備える加熱源としては、ハロゲンヒータやカーボンヒータなどの赤外線を放出する輻射熱式ヒータのほか、電磁誘導式の加熱源であってもよい。また、乾燥装置6は、用紙に温風を吹き付けて加熱する温風発生装置などであってもよい。
【0017】
シート揃え装置200は、画像形成装置100から送られてきた用紙を揃える後処理装置である。また、シート揃え装置200のほか、用紙を綴じ処理するステープル処理装置や、用紙に穴をあけるパンチ処理装置などの他の後処理装置が配置されていてもよい。
【0018】
図1を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置の動作について説明する。
【0019】
印刷動作開始の指示があると、複数の給紙カセット16のうちのいずれかの給紙カセット16から用紙Pが給送される。詳しくは、給紙ローラ17が回転することにより、給紙カセット16に収容されている最上位の用紙Pが給紙ローラ17と分離パッド18とによって他の用紙(用紙束)と分離されて送り出される。
【0020】
用紙Pが画像形成部3と対向する水平方向の搬送路20に搬送されると、画像形成部3によって用紙Pに画像が形成される。詳しくは、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に応じて液体吐出ヘッド14の吐出動作が制御されることにより、用紙Pの画像形成面(上面)にインクが吐出されて画像が形成される。なお、用紙Pに形成される画像は、文字、図形等の有意な画像のほか、それ自体意味を持たないパターンなどであってもよい。
【0021】
両面印刷を行う場合は、画像形成部3の用紙搬送方向下流側で、用紙Pを反対方向へ搬送することにより、用紙Pを反転搬送路21へ案内する。詳しくは、用紙Pの後端が、画像形成部3の用紙搬送方向下流側に配置されている第1経路切換手段31を通過した後、用紙Pを反対方向に搬送する。また、用紙Pの後端が第1経路切換手段31を通過した後、第1経路切換手段31によって搬送路が反転搬送路21に切り換えられる。これにより、用紙Pが反転搬送路21へ案内される。そして、用紙Pが反転搬送路21を通過することにより、用紙Pは表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、上記と同様の画像形成部3の動作により用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0022】
画像が形成された用紙Pは、第1経路切換手段31よりも用紙搬送方向下流側にある第2経路切換手段32によって、乾燥装置6を通過する搬送路22か、乾燥装置6を通過しない搬送路23かへ、選択的に案内される。用紙Pが乾燥装置6を通過する搬送路22へ案内されると、乾燥装置6によって用紙P上のインクが乾燥される。一方、用紙Pが乾燥装置6を通過しない搬送路23へ案内された場合は、用紙Pが、第3経路切換手段33によって、シート排出部7へ向かう搬送路24か、シート揃え装置200へ向かう搬送路25かへ、選択的に案内される。また、乾燥装置6を通過した用紙Pも、別の第4経路切換手段34によって、シート排出部7へ向かう搬送路26か、シート揃え装置200へ向かう搬送路27かへ、選択的に案内される。
【0023】
そして、用紙Pがシート排出部7へ向かう搬送路24,26へ案内された場合は、用紙Pがその液体付着面を下向きにしてシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pがシート揃え装置200へ向かう搬送路25,27へ案内された場合は、用紙Pがシート揃え装置200へ搬送され、用紙Pが揃えて載置される。これにより一連の印刷動作が完了する。
【0024】
図2は、図1に示す画像形成部3からシート排出部7へ至る搬送路90の構成を示す図である。図2において、一点鎖線上の矢印の方向は、用紙が搬送される用紙搬送方向を示す。
【0025】
図2に示すように、画像形成部3からシート排出部7に至る搬送路90には、複数のローラ41と複数の拍車42とを備える搬送装置39が設けられている。各ローラ41と各拍車42はバネなどの付勢手段によって加圧され、互いに圧接している。本実施形態では、拍車42がローラ41に対して接近するように付勢されている。また、反対にローラ41が拍車42に対して接近するように付勢されてもよい。
【0026】
図3に示すように、ローラ41は、支軸43の外周面に設けられた円筒状の回転体である。ローラ41は、ゴムなどの弾性体44で構成されている。弾性体44は、インクに対する剥離性の良い材質又は撥水性の材質で構成されることが好ましい。また、弾性体44の外周面に、インクに対する剥離性の良い材質又は撥水性の材質で構成された被覆層を設けてもよい。図3に示す例では、ローラ41が、支軸43の軸方向に連続して設けられている。また、図4に示す例のように、ローラ41は、支軸43の軸方向に断続的に設けられていてもよい。
【0027】
一方、拍車42は、外径方向に突出する複数の突起が設けられた円盤状の突起回転体である。図5に示すように、拍車42は、支軸45の外周面に軸方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の拍車42は、図5に示す例のように、支軸45の軸方向に渡って等間隔に配置されてもよいし、間隔を異ならせて配置されてもよい。また、図6に示す例のように、複数の拍車42が互いに接近するように配置されて成る拍車群420が、支軸45の軸方向に渡って等間隔あるいは異なる間隔で配置されてもよい。また、支軸45は、全ての拍車42を貫通する軸であってもよいし、各拍車42もしくは複数の拍車毎に設けられてもよい。
【0028】
ここで、互いに接触するように配置されるローラ41及び拍車42から成る搬送ユニットを1つの搬送手段とすると、図2に示すように、画像形成部3からシート排出部7に至る搬送路90においては、5つの搬送手段40A~40Eが用紙搬送方向(シート搬送方向)に間隔をあけて配置されている。
【0029】
また、本実施形態に係る搬送路90は、画像形成部3に対向するように配置された第1水平搬送部91と、第1水平搬送部91の用紙搬送方向下流側に配置された垂直搬送部93と、垂直搬送部93の用紙搬送方向下流側に配置された第2水平搬送部95と、第1水平搬送部91と垂直搬送部93とを繋ぐ第1湾曲搬送部92と、垂直搬送部93と第2水平搬送部95とを繋ぐ第2湾曲搬送部94と、を有している。第1湾曲搬送部92に対応する位置には、用紙後端の跳ねを抑制するため、ガイド部材47が設けられている。
【0030】
以下、5つの搬送手段40A~40Eを、画像形成部3に近い側から順に、第1搬送手段40A、第2搬送手段40B、第3搬送手段40C、第4搬送手段40D、第5搬送手段40Eと称し、各搬送手段40A~40Eの配置について説明する。また、以下の説明では、用紙搬送方向上流側を単に「上流側」といい、用紙搬送方向下流側を単に「下流側」という。
【0031】
図2に示すように、第1搬送手段40Aは、第1水平搬送部91に配置されている。より具体的には、第1搬送手段40Aは、画像形成部3よりも下流側であって、反転搬送路21が第1水平搬送部91から分岐する分岐箇所Xよりも上流側に配置されている。
【0032】
第2搬送手段40Bは、第1搬送手段40Aよりも下流側で、第3搬送手段40Cよりも上流側に配置されている。より具体的には、第2搬送手段40Bは、反転搬送路21の分岐箇所Xよりも下流側であって、第1湾曲搬送部92の用紙搬送方向中間位置M1よりも上流側に配置されている。
【0033】
第3搬送手段40Cは、第2搬送手段40Bよりも下流側で、第4搬送手段40Dよりも上流側に配置されている。より具体的には、第3搬送手段40Cは、第1湾曲搬送部92の用紙搬送方向中間位置M1よりも下流側であって、垂直搬送部93の用紙搬送方向中間位置M2よりも上流側に配置されている。
【0034】
第4搬送手段40Dは、第3搬送手段40Cよりも下流側で、第5搬送手段40Eよりも上流側に配置されている。より具体的には、第4搬送手段40Dは、垂直搬送部93の用紙搬送方向中間位置M2よりも下流側であって、第2湾曲搬送部94の用紙搬送方向中間位置M3よりも上流側に配置されている。
【0035】
第5搬送手段40Eは、第4搬送手段40Dよりも下流側に配置されている。より具体的には、第5搬送手段40Eは、第2湾曲搬送部94の用紙搬送方向中間位置M3よりも下流側又は第2水平搬送部95に配置されている。
【0036】
本実施形態に係る画像形成装置において、画像形成部3によって画像が形成された用紙Pは、回転するローラ41及び拍車42によって挟持されながら下流側へと搬送される。ローラ41及び拍車42は、少なくとも一方が回転駆動すればよい。これにより、用紙Pは、画像形成部3から、第1水平搬送部91、第1湾曲搬送部92、垂直搬送部93、第2湾曲搬送部94、第2水平搬送部95を順次通過してシート排出部7へ排出される。また、用紙Pが乾燥装置6やシート揃え装置200に搬送される場合も同様に、ローラ41と拍車42によって用紙Pが挟持されながら搬送される。
【0037】
本実施形態に係る画像形成装置においては、用紙Pが給紙カセット16から画像形成部3に到達するまでは、一対のローラ(ゴムローラ対)によって用紙Pが搬送される。しかしながら、画像形成部3によって用紙Pに画像が形成された後、用紙Pを一対のローラによって挟みながら搬送すると、特に、用紙に画像が形成された直後は、インクが液体状である可能性が高いため、ローラが用紙上のインクに接触することによりインクが乱れて画質が低下する虞がある。また、ローラに付着したインクが、別の用紙に付着することによって用紙が汚れる虞もある。
【0038】
そのため、図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置においては、用紙Pの液体付着面Pa(インクIが付着する面)側に、拍車42が配置されている。これにより、用紙Pが搬送される際、用紙Pの液体付着面Paに拍車42が接触しても、液体付着面Paに対する拍車42の接触面積が小さいため、用紙P上のインク(画像)の乱れを軽減できる。また、拍車42へのインクの付着も抑制できるため、その後、拍車42から別の用紙にインクが付着することによる用紙の汚れも軽減できる。
【0039】
一方、用紙Pの液体付着面Paとは反対の面Pbには、ローラ41が接触する。しかしながら、用紙Pの片面(表面)のみに画像が形成された状態では、液体付着面Paとは反対の面Pbにインクが付着していないので、反対の面Pbにローラ41が接触しても問題は無い。
【0040】
ただし、両面印刷時は、用紙Pの表裏両面にインクが付着するので、用紙Pの表面に画像を形成した後、一旦、用紙Pを乾燥装置6(図1参照)に搬送して、表面の画像(インク)を乾燥させてから、裏面に画像を形成することが好ましい。具体的には、乾燥装置6によって表面の画像の乾燥処理が行われた後、用紙Pをスイッチバックして図1に示す搬送路25及び搬送路23を経由し、反転搬送路21を介して用紙Pを画像形成部3へ案内する。また、搬送路25及び搬送路23を経由せず、乾燥装置6を迂回する別の搬送路を経由して用紙Pを搬送路22の用紙搬送方向上流側(乾燥装置6よりも上流側)に搬送し、反転搬送路21を介して用紙Pを画像形成部3へ案内してもよい。このように、裏面に画像を形成する前に表面の画像の乾燥処理を行うことで、裏面の画像形成後、ローラ41が表面の画像に接触しても、ローラ41にインクが付着しにくいため、ローラ41の接触による画質の低下を抑制できる。なお、この場合も、(乾燥処理前の)液体付着面Paである裏面には拍車42が接触するため、上記片面印刷時と同様、用紙P上のインク(画像)が乱れは軽減される。
【0041】
なお、両面印刷時は、用紙の両面にインクが付着するため、両面とも「液体付着面」であるということもできる。しかしながら、本発明において、両面に画像が形成された場合に拍車42が接触する「液体付着面」とは、2回目に画像が形成された裏面を意味する。従って、本明細書中でいう「液体付着面」とは、シートの片面のみに液体が付着した状態の場合はその液体が付着した面(表面)をいい、シートの両面に液体が付着した状態の場合は2回目に液体が付着した面(裏面)をいう。
【0042】
上述のように、本実施形態に係る画像形成装置においては、用紙Pの液体付着面Pa側に拍車42が配置されているため、片面印刷時、両面印刷時のいずれの場合も用紙P上のインクの乱れを軽減できる。しかしながら、このような拍車42を用いた構成においても、搬送路90の上流側においては、用紙Pがインクの水分によって濡れた状態となっている可能性が高い。従って、このような用紙Pの液体付着面Paに拍車42が強く接触すると、用紙P上のインクが乱れたり、用紙Pに対して拍車42の接触痕がついたりする虞がある。
【0043】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置においては、特に上流側での用紙Pに対する拍車42の接触圧を低減すべく、互いに接触するローラ41及び拍車42の接触圧を、搬送路90の下流側よりも上流側で小さくしている。具体的に、本実施形態では、第5搬送手段40Eの接触圧Feよりも第4搬送手段40Dの接触圧Fdが小さく、第4搬送手段40Dの接触圧Fdよりも第3搬送手段40Cの接触圧Fcが小さく、第3搬送手段40Cの接触圧Fcよりも第2搬送手段40Bの接触圧Fbが小さくなるようにしている(Fe>Fd>Fc>Fb)。すなわち、本実施形態では、ローラ41と拍車42との接触圧が、上流側へ向かうにつれて小さくなるようにしている。
【0044】
このように、本実施形態に係る画像形成装置においては、ローラ41と拍車42との接触圧を、搬送路90の下流側よりも上流側で小さくしていることにより、用紙Pに対する拍車42の接触圧が、下流側よりも上流側で小さくなる。これにより、上流側では用紙Pに対して拍車42が強く押し当てられないようにすることができ、用紙Pに拍車42が接触しても、用紙P上のインクが乱れたり、用紙Pに接触痕がついたりするのを抑制できるようになる。
【0045】
なお、第1搬送手段40Aの接触圧Faは、第2搬送手段40Bの接触圧Fbより小さくしてもよいし(Fa<Fb)、第2搬送手段40Bの接触圧Fbと同じ大きさであってもよい(Fa=Fb)。このように、搬送手段の接触圧が下流側よりも上流側で小さくなる関係は、搬送路90に配置される全ての搬送手段40A~40Eにおいて成立していなくてもよい。すなわち、接触圧が下流側よりも上流側で小さくなる関係は、液体が付着した用紙を搬送する複数の搬送手段において、任意に選択された少なくとも2つの搬送手段のうち、上流側の一方と下流側の他方との間で成立していればよい。また、接触圧の大小関係は、用紙搬送方向に必ずしも隣り合う搬送手段同士の間で成立していなくてもよい。例えば、上流側の第2搬送手段40Bの接触圧が、下流側の第4搬送手段40Dの接触圧よりも小さければ、これらの間に配置される第3搬送手段40Cの接触圧は、第2搬送手段40B又は第4搬送手段40Dの接触圧と同じであってもよい。
【0046】
ところで、本実施形態に係る画像形成装置においては、用紙Pが図2に示す垂直搬送部93を通過する際、用紙Pが上方へ搬送される。用紙Pが上方へ搬送される場合、用紙Pが水平方向へ搬送される場合に比べて大きな搬送力を要する。このため、特に用紙Pを上方へ搬送する第2搬送手段40Bや第3搬送手段40Cにおいては、用紙Pを搬送する搬送力が必要になる。
【0047】
しかしながら、上記のように上流側でのローラ41と拍車42との接触圧を小さくすると、ローラ41と拍車42によって用紙Pを挟む力が弱くなるので、用紙Pを搬送するための搬送力が上流側で低下する。その結果、上流側での用紙Pの挙動が不安定になり、搬送不良が発生する虞がある。
【0048】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置においては、上流側での搬送力を確保し搬送性を向上させるため、用紙搬送方向に並ぶ搬送手段同士の間隔が、下流側よりも上流側で小さくなるようにしている。具体的に、本実施形態では、図2に示す第4搬送手段40Dと第5搬送手段40Eとの間隔Gd-eよりも第3搬送手段40Cと第4搬送手段40Dとの間隔Gc-dが小さく、第3搬送手段40Cと第4搬送手段40Dとの間隔Gc-dよりも第2搬送手段40Bと第3搬送手段40Cとの間隔Gb-cが小さくなるようにしている(Gd-e>Gc-d>Gb-c)。すなわち、本実施形態では、搬送手段同士の間隔が、上流側へ向かうにつれて小さくなるようにしている。なお、ここでいう「搬送手段同士の間隔」とは、用紙搬送方向に隣り合うローラ41同士又は拍車42同士の用紙搬送方向の間隔を意味する。または、「搬送手段同士の間隔」とは、用紙搬送方向上流側のローラ41と用紙Pとの接触位置から、隣り合う下流側のローラ41と用紙Pとの接触位置までとしてもよい。あるいは「搬送手段同士の間隔」とは、用紙搬送方向上流側の拍車42と用紙Pとの接触位置から、隣り合う下流側の拍車42と用紙Pとの接触位置までとしてもよい。
【0049】
このように、本実施形態に係る画像形成装置においては、搬送手段同士の間隔を、下流側よりも上流側で小さくすることにより、上流側での搬送力及び搬送性を向上させることができる。すなわち、上流側では、下流側に比べて搬送手段同士の間隔が小さいことにより、用紙Pを挟持するローラ41と拍車42の数が多くなると共に、用紙Pが狭い間隔で挟持されるため、十分な搬送力が得られると共に、用紙Pがバタつきにくくなり、用紙Pの挙動を安定させることができる。これにより、上流側における搬送性が向上し、搬送不良を抑制できるようになる。
【0050】
一方、搬送路90の下流側では、搬送手段同士の間隔が大きくなることにより、上流側に比べて拍車42が用紙Pに接触する回数を減らすことができる。これにより、用紙Pに拍車42の接触痕がつくのを抑制できる。また、用紙Pが下流側へ搬送されるほど用紙P上のインクの乾燥が進み、これに伴って用紙Pの挙動も安定するので、下流側では搬送手段同士の間隔を大きくしても用紙Pを安定して搬送することが可能である。
【0051】
なお、本実施形態では、第1搬送手段40Aと第2搬送手段40Bとの間隔Ga-bが、第2搬送手段40Bと第3搬送手段40Cとの間隔Gb-cよりも大きく設定されている(Gb-c<Ga-b)。すなわち、他の搬送手段同士の間隔の大小関係とは反対に、上流側の間隔Ga-bが下流側の間隔Bb-cよりも大きく設定されている。しかしながら、第1搬送手段40Aは、第2搬送手段40Bや第3搬送手段40Cとは異なり、用紙Pを水平方向に搬送するので、搬送力を向上させなくても用紙Pを安定して搬送することが可能である。このため、本実施形態のように、第1搬送手段40Aと第2搬送手段40Bとの間隔Ga-bが、第2搬送手段40Bと第3搬送手段40Cとの間隔Gb-cよりも大きく設定されていても搬送性に問題は無い。また、他の搬送手段同士の間隔の大小関係と同様に、第1搬送手段40Aと第2搬送手段40Bとの間隔Ga-bが、第2搬送手段40Bと第3搬送手段40Cとの間隔Gb-cより小さく設定されてもよい(Gb-c>Ga-b)。
【0052】
このように、搬送手段同士の間隔は、搬送路の形状や搬送方向などに応じて設定すればよい。従って、下流側よりも上流側で搬送手段同士の間隔が小さくなる関係は、搬送路90に配置される全ての搬送手段40A~40E同士の間隔において成立していなくてもよい。すなわち、搬送手段同士の間隔が下流側よりも上流側で小さくなる関係は、任意に選択された少なくとも2つの間隔のうち、上流側の一方と下流側の他方との間で成立していればよい。また、搬送手段同士の間隔の大小関係は、用紙搬送方向に必ずしも隣り合う間隔の間で成立していなくてもよい。例えば、上流側の第2搬送手段40Bと第3搬送手段40Cとの間隔Gb-cが、下流側の第4搬送手段40Dと第5搬送手段40Eとの間隔Gd-eよりも小さければ、これらの間にある第3搬送手段40Cと第4搬送手段40Dとの間隔Gc-dは、上流側の間隔Gb-c又は下流側の間隔Gd-eと同じであってもよい。
【0053】
続いて、搬送性を向上させる別の構成について説明する。
【0054】
図7は、上記搬送路90上に配置された、第2搬送手段40B、第3搬送手段40C及び第4搬送手段40Dを軸方向と直交する方向から見た図である。図7において、矢印A方向は用紙搬送方向を示し、矢印B方向は搬送路に沿って用紙搬送方向Aとは交差する用紙幅方向(シート幅方向)を示す。また、本実施形態においては、図2に示す実施形態と同様、用紙P上のインクの乱れや拍車42の接触痕を抑制するため、互いに接触するローラ41及び拍車42の接触圧を、搬送路90の下流側よりも上流側で小さくしている。
【0055】
本実施形態では、搬送手段の接触圧を上流側で小さくしたことに伴う搬送力及び搬送性の低下を改善するため、図7に示すように、用紙幅方向Bに並ぶ拍車42(拍車群420)の数を、下流側よりも上流側で多くしている。具体的に、本実施形態では、第4搬送手段40Dが有する拍車42の数Hdよりも第3搬送手段40Cが有する拍車42の数Hcが多く、第3搬送手段40Cが有する拍車42の数Hcよりも第2搬送手段40Bが有する拍車42の数Hbが多くなるようにしている(Hd<Hc<Hb)。すなわち、本実施形態では、拍車42の数が、上流側へ向かうにつれて多くなるようにしている。
【0056】
このように、図7に示す実施形態においては、用紙幅方向Bに並ぶ拍車42の数を、下流側よりも上流側で多くしていることにより、上流側での搬送力及び搬送性を向上させることができる。すなわち、上流側では、ローラ41と協同して用紙Pを挟持する拍車42の数が多いため、下流側に比べて十分な搬送力が得られると共に、用紙Pがバタつきにくくなり、用紙Pの挙動を安定させることができる。これにより、上流側における搬送性が向上し、搬送不良を効果的に抑制できるようになる。
【0057】
なお、図7に示されていない第1搬送手段40Aと第5搬送手段40Eが有する拍車42の数については、上述の関係に倣って設定してもよい。すなわち、上流側の第1搬送手段40Aが有する拍車42の数Haは、下流側の第2搬送手段40Bが有する拍車42の数Hbより多く(Hb<Ha)、下流側の第5搬送手段40Eが有する拍車42の数Heは、上流側の第4搬送手段40Dが有する拍車42の数Hdより少なくしてもよい(He<Hd)。また、第1搬送手段40Aは、第2搬送手段40Bや第3搬送手段40Cとは異なり、用紙Pを水平方向に搬送するだけの搬送力があればよいので、第1搬送手段40Aが有する拍車42の数Haは、下流側の搬送手段が有する拍車42の数より多くなくてもよい。このため、第1搬送手段40Aが有する拍車42の数Haは、第2搬送手段40Bが有する拍車42の数Hbと同じであってもよい(Hb=Ha)。
【0058】
このように、搬送手段が有する拍車42の数は、搬送路の形状や搬送方向などに応じて設定すればよい。従って、下流側よりも上流側で搬送手段が有する拍車42の数が多くなる関係は、搬送路90に配置される全ての搬送手段40A~40Eにおいて成立していなくてもよい。すなわち、搬送手段が有する拍車42の数が下流側よりも上流側で多くなる関係は、任意に選択された少なくとも2つの搬送手段のうち、上流側の一方と下流側の他方との間で成立していればよい。また、拍車42の数の大小関係は、用紙搬送方向に必ずしも隣り合う搬送手段同士の間で成立していなくてもよい。例えば、上流側の第2搬送手段40Bが有する拍車42の数が、下流側の第4搬送手段40Dが有する拍車42の数よりも多ければ、これらの間に配置される第3搬送手段40Cが有する拍車42の数は、第2搬送手段40B又は第4搬送手段40Dの拍車42の数と同じであってもよい。
【0059】
以上のように、図7に示す実施形態では、搬送手段が有する拍車42の数を下流側よりも上流側で多くすることにより、上流側での搬送力及び搬送性を向上させ、搬送不良を効果的に抑制することができる。一方、下流側では、上流側に比べて、搬送手段が有する拍車42の数が少なくなることにより、用紙Pに対する拍車42の接触箇所が減り、接触痕の発生を抑制することが可能である。
【0060】
さらに、本実施形態では、接触痕の発生をより効果的に抑制するため、図7に示すように、拍車42の位置を上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異ならせている。具体的に、本実施形態では、第2搬送手段40B、第3搬送手段40C及び第4搬送手段40Dのそれぞれが有する拍車42のうち、軸方向の両端の拍車群420aを除く全ての拍車42が、用紙幅方向Bの異なる位置に配置されている。
【0061】
このように、拍車42の位置が上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異なるようにすることにより、拍車42が用紙上の同じ位置(用紙搬送方向Aに渡って重なる位置)に接触するのを回避することができる。これにより、用紙上の同じ個所に拍車42が繰り返し接触するのを回避し、画質の低下を抑制できるようになる。
【0062】
また、用紙の液体付着面に、実際にインクが付着する液体付着領域と、インクが付着しない非液体付着領域とが存在する場合は、図7に示すように、少なくとも、液体付着領域が通過する付着領域通過範囲J1内において、拍車42の位置が上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異なっていることが好ましい。すなわち、拍車42の接触痕は、インク(液体)が付着して用紙の剛性が低下する液体付着領域において発生しやすいので、接触痕の生じやすい付着領域通過範囲J1内の拍車42の位置を、少なくとも上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異ならせることにより、接触痕の発生を効果的に抑制できる。
【0063】
さらに、図7に示す実施形態では、用紙に液体が付着し得る最大の液体付着領域が通過する最大の付着領域通過範囲J1内において、全ての拍車42の位置を上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異ならせている。これにより、接触痕の生じやすい領域全体に渡って拍車42が用紙の同じ箇所に繰り返し接触するのを回避でき、接触痕の発生をより効果的に抑制できる。
【0064】
一方、図7に示す付着領域通過範囲J1以外の用紙通過範囲である非付着領域通過範囲J2内に配置される各拍車42(拍車群420a)は、液体が付着しない用紙の部分に接触するので、非付着領域通過範囲J2内においては拍車42の接触痕は生じにくい。このため、非付着領域通過範囲J2内に配置される各拍車42の位置は、上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異ならせなくてもよい。従って、図7に示すように、非付着領域通過範囲J2内に配置される各拍車42(拍車群420a)の位置は、上流側と下流側とで用紙幅方向Bに同じ位置であってもよい。
【0065】
また、非付着領域通過範囲J2内においては拍車42の接触痕が生じにくいので、非付着領域通過範囲J2内に配置されるローラ41及び拍車42の接触圧を、付着領域通過範囲J1内に配置されるローラ41及び拍車42の接触圧よりも大きくすることが可能である。このようにすることで、付着領域通過範囲J1内での画質の低下や接触痕の発生を抑制しつつ、搬送力を確保できるようになる。
【0066】
拍車42の位置を上流側と下流側とで用紙幅方向Bに異ならせる範囲は、最大の付着領域通過範囲J1のうちの一部の範囲であってもよい。そのような場合であっても、一部の範囲において拍車42の接触痕が顕著になるのを抑制できる。従って、図8に示す例のように、第2搬送手段40Bが有する一部の拍車42(拍車群420b)と、第4搬送手段40Dが有する一部の拍車42(拍車群420c)とが、用紙幅方向Bの同じ位置に配置されてもよい。
【0067】
また、図9は、図8に示す例における第4搬送手段40Dの拍車群420を単体の拍車42に代えたものである。この場合も、搬送手段が有する拍車42の数が、下流側よりも上流側で多くなっているため、上流側の搬送性の向上を図ることが可能である。また、第4搬送手段40Dだけに限らず、第2搬送手段40Bや第3搬送手段40Cにおいても、拍車群420を単体の拍車42に代えてもよい。すなわち、各搬送手段が有する単体の拍車42の数が、下流側よりも上流側で多くなっていれば、上流側の搬送性を向上させることが可能である。
【0068】
以上、上流側の搬送性を向上させる対策として、搬送手段同士の間隔を調整する方法(図2に示す例)と、搬送手段が有する拍車42の数を調整する方法(図7図8図9に示す例)について説明した。上述の図2図7図8図9に示す各例では、これらの方法のうちいずれか一方の方法のみを採用しているが、両方の方法を併用してもよい。
【0069】
従って、図10に示す例のように、拍車42の数を下流側よりも上流側で多くすると共に、搬送手段同士の間隔を下流側よりも上流側で小さくしてもよい(Gc-d>Gb-c)。これにより、上流側の搬送性をより一層向上させることができ、搬送不良をより効果的に抑制できるようになる。
【0070】
また、本発明に係る搬送装置が備える搬送手段として、次のような構成のものを採用することが可能である。
【0071】
搬送手段は、図11図12に示す例のように、ローラ41と拍車42が互いに接触するように配置されたものであってもよいし、図13に示す例のように、ローラ41と拍車42が互いに接触しないように軸方向にずれて配置されたものであってもよい。また、ローラ41は、図11に示す例のように、拍車42が設けられた位置に対応して断続的に配置されていてもよいし、図12に示す例のように、拍車42に対応する部分のほか、拍車42に対応しない部分も含めて連続して配置されていてもよい。特に、図12に示す例の場合は、ローラ41と用紙Pとの接触範囲が多くなるため、ローラ41と拍車42との接触圧が小さくても用紙Pを安定して搬送することができる。このため、図12に示す例は、搬送力を必要とする上流側の第2搬送手段40Bや第3搬送手段40Cの構成として好適である。一方、搬送力をあまり必要としない下流側の第5搬送手段40Eなどに対しては、図11図13に示す例を適用することができる。
【0072】
図14に示す例は、図13に示す例において、さらに拍車42の外径方向の先端Qが、ローラ41の外周面の位置Kよりもローラ41の内径側(支軸43側)へ進入した例である。この場合、用紙Pを湾曲させて搬送することができるので、用紙Pにコックリング(波打ち)が生じていても、用紙Pをコックリングの曲げ方向とは反対方向に曲げて搬送することにより、コックリングを矯正することができる。
【0073】
さらに、図15に示す例では、各拍車42の外径方向の先端Qの位置が、径方向に異なっている。この場合、各拍車42の外径方向の先端Qが、拍車群420の軸方向両端側から軸方向中央側に向かってローラ41の内径側へ突出するように曲線状に並んでいる。これにより、拍車42によって曲げられる用紙Pの曲率を緩やかに(小さく)することができるので、用紙Pへの負荷を低減でき、用紙Pの損傷や画質の低下を抑制できる。
【0074】
また、図13図14図15に示す例のように、ローラ41と拍車42が互いに接触しない構成においては、拍車42がローラ41の外周面よりも内径方向へ進入する進入量を変更することにより、用紙Pに対する拍車42の接触圧や搬送力を調整することが可能である。すなわち、図16の点線で示すように、拍車42の外径方向の先端Qがローラ41の外周面の位置Kからローラ41の内径方向へ進入する進入量Rが大きい場合(進入量がR1の場合)は、同図の実線で示す進入量Rが小さい場合(進入量がR2の場合)に比べて、用紙Pが拍車42に沿って湾曲する湾曲量が大きくなるので、ローラ41と拍車42との間での用紙保持力が大きくなる。このため、用紙Pを搬送する搬送力が大きくなり、搬送性が向上する。
【0075】
このように、ローラ41及び拍車42が互いに接触しない構成の場合は、拍車42の進入量Rを、下流側よりも上流側で小さくすることにより、用紙Pに対する拍車42の接触圧を上流側で小さくすることができる。また、拍車42の進入量Rを、上流側へ向かうにつれて次第に小さくしてもよい。
【0076】
また、図7に示すような、付着領域通過範囲J1と非付着領域通過範囲J2の両方にローラ41及び拍車42が配置された構成においては、非付着領域通過範囲J2に配置される拍車42の進入量Rを、付着領域通過範囲J1に配置される拍車42の進入量Rよりも大きくすることにより、非付着領域通過範囲J2における搬送力を確保できる。
【0077】
また、搬送路90に配置されるローラ41及び拍車42として、互いに接触するものと、軸方向にずれて互いに接触しないものの両方を用いてもよい。例えば、図17に示す例のように、最上流の第1搬送手段40Aを互いに接触しないローラ41及び拍車42で構成し、その他の搬送手段40B,40C,40D,40Eを互いに接触するローラ41及び拍車42で構成してもよい。
【0078】
また、本発明に係る搬送装置が備える搬送手段は、図18に示すような拍車42同士が接触するものや、図19に示すような拍車42同士が軸方向にずれて配置されたものであってもよい。
【0079】
また、本発明に係る搬送装置は、図1に示すような構成の画像形成装置に限らず、例えば、図20図21に示すような構成の画像形成装置にも適用可能である。
【0080】
以下、図20及び図21に示す各画像形成装置の構成について説明する。なお、以下の説明では、主に上述の実施形態とは異なる部分について説明し、その他の部分については上述の実施形態と同様であるので説明を省略することがある。
【0081】
図20に示す画像形成装置100は、上述の実施形態と同様の、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、搬送装置39と、シート排出部7に加え、さらに手差しシート供給装置8を備えている。画像形成部3は、図1に示す実施形態とは異なり、用紙Pが水平方向に対して斜めに搬送される搬送路80に対向するように配置されている。
【0082】
手差しシート供給装置8は、用紙を載置する載置部としての手差しトレイ51と、手差しトレイ51から用紙を給送する給送手段としての給紙ローラ52と、を有する。手差しトレイ51は、画像形成装置本体に対して開閉可能(揺動可能)に取り付けられている。手差しトレイ51が開いた状態(図20に示す状態)となることで、手差しトレイ51上に用紙を載置し、給送することができる。
【0083】
図20に示す画像形成装置100において、印刷動作開始の指示があると、シート供給装置4又は手差しシート供給装置8から用紙Pが供給され、搬送装置39によって用紙Pが画像形成部3へ搬送される。そして、用紙Pが画像形成部3へ搬送されると、液体吐出ヘッド14から用紙Pにインクが吐出されて画像が形成される。
【0084】
両面印刷を行う場合は、用紙Pが画像形成部3を通過した後、用紙Pが反対方向に搬送され、第1経路切換手段71により用紙Pが反転搬送路81へ案内される。用紙Pは、反転搬送路81を通過することにより、表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0085】
片面あるいは両面に画像が形成された用紙Pは、搬送装置39によって第1経路切換手段71を通過してさらに下流側へ搬送される。そして、用紙Pは、第2経路切換手段72によって、上段のシート排出部7へ向かう搬送路82か、下段のシート排出部7へ向かう搬送路83か、選択的に案内される。用紙Pが上段のシート排出部7へ向かう搬送路82へ案内された場合は、用紙Pは上段のシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pが下段のシート排出部7へ向かう搬送路83へ案内された場合は、用紙Pが、第3経路切換手段73によって、下段のシート排出部7へ向かう搬送路84か、シート揃え装置200へ向かう搬送路85かへ、選択的に案内される。
【0086】
そして、用紙Pが下段のシート排出部7へ向かう搬送路84へ案内された場合は、用紙Pが下段のシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pがシート揃え装置200へ向かう搬送路85へ案内された場合は、用紙Pがシート揃え装置200へ搬送され、用紙Pが揃えて載置される。
【0087】
続いて、図21に示す画像形成装置100は、図20に示す画像形成装置100と同様に、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、搬送装置39と、シート排出部7にと、手差しシート供給装置8と、を備えている。なお、この場合、画像形成部3は、図1に示す実施形態と同様に、用紙Pが水平方向に搬送される搬送路80に対向するように配置されている。
【0088】
図21に示す画像形成装置100において、印刷動作開始の指示があると、シート供給装置4又は手差しシート供給装置8から用紙Pが供給され、搬送装置39によって用紙Pが画像形成部3へ搬送される。そして、用紙Pが画像形成部3へ搬送されると、液体吐出ヘッド14から用紙Pにインクが吐出されて画像が形成される。
【0089】
両面印刷を行う場合は、用紙Pが画像形成部3を通過した後、用紙Pが反対方向に搬送され、第1経路切換手段74により用紙Pが反転搬送路87へ案内される。用紙Pは、反転搬送路87を通過することにより、表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0090】
片面あるいは両面に画像が形成された用紙Pは、搬送装置39によって第1経路切換手段74を通過してさらに下流側へ搬送される。そして、用紙Pは、第2経路切換手段75によって、シート排出部7へ向かう搬送路88か、シート揃え装置200へ向かう搬送路89か、選択的に案内される。用紙Pがシート排出部7へ向かう搬送路88へ案内された場合は、用紙Pがシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pがシート揃え装置200へ向かう搬送路89へ案内された場合は、用紙Pがシート揃え装置200へ搬送され、用紙Pが揃えて載置される。
【0091】
上記のように構成された図20及び図21に示すような画像形成装置においても、図1に示す画像形成装置と同様、用紙Pが画像形成部3からシート排出部7へ搬送される搬送路に、本発明に係る構成を適用することが望ましい。すなわち、このような搬送路においても、用紙Pの液体付着面に拍車42が接触することによって、インクが乱れたり、拍車42の接触痕がついたりする虞があるので、用紙Pに対する拍車42の接触圧を下流側よりも上流側で小さくすることが望ましい。しかしながら、用紙Pに対する拍車42の接触圧を下流側よりも上流側で小さくすると、上述のように上流側で搬送性が低下する。そのため、搬送路において、搬送手段同士の間隔を下流側よりも上流側で小さくする、又は、拍車の数を下流側よりも上流側で多くする、あるいは、これらの両方を行うことで、上流側の搬送性を向上させることが可能である。
【0092】
また、本発明に係る構成は、用紙Pをシート排出部7へ搬送する搬送路に限らず、用紙Pを表裏反転して画像形成部3へ搬送する反転搬送路に適用してもよい。図22に、本発明に係る構成を反転搬送路81に適用した例を示す。
【0093】
図22に示す反転搬送路81においては、画像が形成されて間もない用紙Pの後端側が、用紙Pのスイッチバック動作(反対方向への搬送)により前端となって進入するため、用紙Pの前端側に拍車42が強く接触すると、インクが乱れたり、拍車42の接触痕がついたりする虞がある。そのため、このような反転搬送路81においては、最下流の搬送手段40Hから上流側の搬送手段40G,40Fへと順に、ローラ41及び拍車42の接触圧が小さくなるようにすることが望ましい。また、ローラ41と拍車42が軸方向にずれて互いに接触しない構成である場合は、拍車42の進入量R(図16参照)を、最下流の搬送手段40Hから上流側の搬送手段40G,40Fへと順に小さくなるようにすればよい。これにより、拍車42が用紙Pに接触することによるインクの乱れや接触痕の発生を抑制できる。
【0094】
しかしながら、このように接触圧や進入量を設定すると、上流側での搬送性が低下する。そのため、反転搬送路81に配置された搬送手段同士の間隔Gf-g,Gg-hを、下流側よりも上流側で小さくすることにより(Gg-h>Gf-g)、上述の実施形態と同様に、上流側の搬送性を向上させることが可能である。また、最下流の搬送手段40Hから上流側の搬送手段40G,40Fへと順に、拍車42の数が多くなるようにしてもよい。あるいは、これらの両方を行ってもよい。
【0095】
また、本発明に係る構成は、用紙を水平方向から垂直上方へ搬送するなど、搬送方向が変化する搬送路に適用される場合に限らない。例えば、用紙を水平方向にのみ搬送する搬送路においても本発明に係る構成を適用可能である。
【0096】
また、本発明に係る構成は、画像形成装置のほか、画像を形成しない液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。すなわち、本発明に係る構成が適用される液体吐出装置は、インクを吐出させて用紙に画像を形成するインクジェット式の画像形成装置のほか、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を吐出する処理液吐出装置なども含まれる。
【0097】
また、本発明に係る構成は、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニットにも適用可能である。図23に示す搬送装置39は、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニット300に搭載され、画像が形成された用紙を後処理部(例えば、シート揃え装置200)へ搬送するための搬送路88,98を備えている。このような搬送装置39が備える搬送路88,98においても、搬送手段としてのローラや拍車の接触圧、配置、数などを、上述の搬送路90(図2参照)と同様にすることにより、搬送性を向上させることが可能である。
【0098】
また、本発明に係る構成は、図24に示すような後処理装置400にも適用可能である。この後処理装置400は、用紙を搬送する搬送装置39と、用紙にステープル処理やパンチ処理などの後処理を施す後処理部401とを備えている。
【0099】
画像形成装置100から図24に示す後処理装置400へ用紙が搬送されると、用紙は、搬送装置39によって搬送された後、後処理部401の載置トレイ403に載置される。このとき、用紙がフェイスアップ(画像形成面が上向き)で載置される場合は、作像順が逆順となるように(後のページから形成するように)すればよい。また、載置トレイ403に載置された用紙Pは、後処理部401に設けられた搬送ローラ402によって前後逆向きに搬送される。これにより、用紙Pの後端が載置トレイ403の後端規制部403aに突き当たって用紙Pの後端位置が揃えられる。また、搬送ローラ402は、載置トレイ403への用紙排出の妨げにならないように、用紙Pに対して接触可能な位置から用紙Pと接触しない退避位置に移動可能に構成されている。そして、用紙Pの後端位置が揃えられた状態で、用紙Pにステープル処理やパンチ処理などが施される。その後、搬送ローラ402が逆回転することにより、載置トレイ403上の用紙Pが後処理装置400の外部へ排出される。このような後処理装置400に搭載される搬送装置39の搬送路99においても、搬送手段としてのローラ41や拍車42の接触圧、配置、数などを、上述の搬送路90(図2参照)と同様にすることにより、搬送性を向上させることが可能である。
【0100】
また、本発明に係る搬送装置が搬送するシートは、あらかじめ用紙搬送方向に所定のサイズに裁断されたいわゆるカット紙のほか、ロール状に巻かれた長尺のいわゆるロール紙であってもよい。さらに、シートは、可撓性を有し湾曲して搬送可能なものであれば、紙のほか、樹脂、金属、布、皮革などであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
3 画像形成部
14 液体吐出ヘッド(液体吐出手段)
39 搬送装置
41 ローラ(回転体)
42 拍車(突起回転体)
100 画像形成装置
400 後処理装置
A 用紙搬送方向(シート搬送方向)
B 用紙幅方向(シート幅方向)
J1 付着領域通過範囲
J2 非付着領域通過範囲
P 用紙(シート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【文献】特開2002-220147号公報
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