(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】連続式遠心脱水機
(51)【国際特許分類】
B04B 3/02 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B04B3/02
(21)【出願番号】P 2022525435
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 KR2021011078
(87)【国際公開番号】W WO2022075582
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128011
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キ・スン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヨン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジュン・ジョ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-503327(JP,A)
【文献】特表2001-509068(JP,A)
【文献】特開2019-122923(JP,A)
【文献】実開昭54-043670(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
C02F 11/00-11/20
B01D 24/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が存在する外部ケースと、
固体と液体が混合されたスラリーが供給されるフィード供給管と、
前記外部ケースの内部に備えられ、第1気体および前記スラリーが供給され、回転しながら前記スラリーに遠心力を印加するバスケットと、
前記バスケットに形成され、前記スラリーから濾過された液体を前記バスケットの外部に排出させる複数のホールと、
前記バスケットの内部に備えられ、前記バスケットの内周面に付着されるスラリーケーキ(Cake)を前記外部ケースの外部に排出させるプッシャープレートと、
前記外部ケースとバスケットとの離隔空間に前記第1気体が流動するのを防止する非接触シールと、
前記外部ケースとバスケットとの離隔空間に流動する前記第1気体の流動方向に対して逆方向に流動する第2気体が供給される気体投入口と
を含む、連続式遠心脱水機
であって、
前記非接触シールは、前記バスケットの内部に供給された前記第1気体が、バスケットに含まれた複数のホールから以外に前記外部ケースとバスケットとの離隔空間を通過することを防止する、連続式遠心脱水機。
【請求項2】
前記第1気体は、前記スラリーと混合された混合フィードを形成して前記フィード供給管に供給される、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項3】
前記バスケットの内部に前記第1気体を供給する気体供給管をさらに含む、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項4】
前記第1気体および第2気体は、それぞれ同一または異なり、独立に不活性気体を含む、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項5】
前記第1気体は、前記バスケットに形成された複数のホールを通して前記バスケットの外部に排出される、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項6】
前記非接触シールは、前記外部ケースに付着され、前記バスケットと離隔される、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項7】
前記非接触シールは、前記バスケットに付着され、前記外部ケースと離隔される、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項8】
前記バスケットの内部に備えられ、前記フィード供給管から供給されるスラリーを前記バスケットの内部に分散させる分散プレートをさらに含む、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項9】
前記分散プレートは、前記フィード供給管と連結され、前記分散プレートを支持する支持台をさらに含む、請求項8に記載の連続式遠心脱水機。
【請求項10】
前記スラリーは、重合反応により生成された重合体スラリーである、請求項1に記載の連続式遠心脱水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月05日付けの韓国特許出願第10-2020-0128011号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、連続式遠心脱水機に関し、より詳しくは、重合体スラリーの脱水効率を向上させた連続式遠心脱水機に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、重合体を生産する過程は、大きく、重合、凝集、脱水、および乾燥工程で構成され、重合および凝集工程を経て生成された重合体スラリーには、多量の水分が含まれている。
【0004】
前記乾燥工程は、一般的に熱風乾燥方式が用いられるが、これに必要なエネルギー費用が高いため、乾燥工程への投入に先立ち、脱水工程で重合体スラリーの水分を最大限除去して含水率を下げることが、工程経済性の向上の上で核心事項となる。
【0005】
このように、脱水工程で重合体スラリーから水分の一部を除去して含水率を下げた状態のスラリーケーキ(Cake)は、乾燥工程を経ることで、含水率が1%未満である粉末状の重合体固形分として得ることができる。
【0006】
前記脱水工程で一次的な水分除去のために遠心脱水機を経るのが一般的であり、前記遠心脱水機の中でも、生産性を増大させるために、連続工程が可能なプッシャー(pusher)タイプの連続式遠心脱水機が用いられている。
【0007】
しかしながら、従来の連続式遠心脱水機は、単に遠心力だけを利用して脱水するため、脱水効率に優れておらず、乾燥工程で高いエネルギー費用が費やされるという問題があった。また、重合体スラリー中の重合体粒子の内部に気孔が発達した場合には、前記気孔に内包される水分が増加して脱水効率が低下するという問題があった。
このため、上記の問題を解決することができる連続式遠心脱水機の開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記の発明の背景技術において言及した問題を解決するために、スラリーとともに気体が供給され、遠心力だけでなく、気体の圧力および送風効果により前記スラリーの脱水効率を向上させた連続式遠心脱水機を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、内部空間が存在する外部ケースと、固体と液体が混合されたスラリーが供給されるフィード供給管と、前記外部ケースの内部に備えられ、第1気体および前記スラリーが供給され、回転しながら前記スラリーに遠心力を印加するバスケットと、前記バスケットに形成され、前記スラリーから濾過された液体を前記バスケットの外部に排出させる複数のホールと、前記バスケットの内部に備えられ、前記バスケットの内周面に付着されるスラリーケーキ(Cake)を前記外部ケースの外部に排出させるプッシャープレートと、前記外部ケースとバスケットとの離隔空間に前記第1気体が流動するのを防止する非接触シールと、前記外部ケースとバスケットとの離隔空間に流動する前記第1気体の流動方向に対して逆方向に流動する第2気体が供給される気体投入口とを含む、連続式遠心脱水機を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る連続式遠心脱水機は、スラリーとともに気体が供給され、遠心力だけでなく、気体の圧力および送風効果により前記スラリーの脱水効率を向上させることができる。
【0011】
すなわち、脱水工程で本発明に係る連続式遠心脱水機を用いることで、含水率を最大限下げたスラリーを得ることができるため、後続する乾燥工程で費やされるエネルギーを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連続式遠心脱水機の縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る、気体供給管をさらに含む連続式遠心脱水機の縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る連続式遠心脱水機の横断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、非接触シールおよび外部ケースの結合関係を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の説明および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0014】
本発明において、用語「スラリー(slurry)」は、固体と液体の混合物または微細な固体粒子が液体中に懸濁された懸濁液を意味し、「重合体スラリー」は、重合反応に用いられた溶媒と重合反応により生成された重合体などの固形分の混合物、または前記固形分が前記溶媒に懸濁された懸濁液を意味し得る。
本発明において、用語「スラリーケーキ(Cake)」は、スラリーを脱水および濾過した後の固形分を意味し得る。
【0015】
以下、本発明が容易に理解されるように、下記図面を参照して本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明によると、連続式遠心脱水機が提供される。前記連続式遠心脱水機は、内部空間が存在する外部ケース100と、固体と液体が混合されたスラリーが供給されるフィード供給管200と、前記外部ケース100の内部に備えられ、第1気体および前記スラリーが供給され、回転しながら前記スラリーに遠心力を印加するバスケット300と、前記バスケット300に形成され、前記スラリーから濾過された液体を前記バスケット300の外部に排出させる複数のホール(hole)310と、前記バスケット300の内部に備えられ、遠心力により前記バスケット300の内周面に付着されるスラリーケーキ(Cake)10を前記外部ケース100の外部に排出させるプッシャープレート400と、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に前記第1気体が流動するのを防止する非接触シール500と、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に流動する前記第1気体の流動方向に対して逆方向に流動する第2気体が供給される気体投入口600とを含むことができる。
【0016】
一般的に、重合体を生産する過程は、大きく、重合、凝集、脱水、および乾燥工程で構成され、重合および凝集工程を経て生成された重合体スラリーには、多量の水分が含まれている。
【0017】
前記乾燥工程は、一般的に熱風乾燥方式が用いられるが、これに必要なエネルギー費用が高いため、乾燥工程への投入に先立ち、脱水工程で重合体スラリーの水分を最大限除去して含水率を下げることが、工程経済性の向上の上で核心事項となる。
【0018】
このように、脱水工程で重合体スラリーから水分の一部を除去して含水率を下げた状態のスラリーケーキは、乾燥工程を経ることで、含水率が1%未満である粉末状の重合体固形分として得ることができる。
【0019】
前記脱水工程で一次的な水分除去のために遠心脱水機を経るのが一般的であり、前記遠心脱水機の中でも、生産性を増大させるために、連続工程が可能なプッシャー(pusher)タイプの連続式遠心脱水機が用いられている。
【0020】
しかしながら、従来の連続式遠心脱水機は、単に遠心力だけを利用して脱水するため、脱水効率に優れておらず、乾燥工程で高いエネルギー費用が費やされるという問題があった。また、重合体スラリー中の重合体粒子の内部に気孔が発達した場合には、前記気孔に内包される水分が増加して脱水効率が低下するという問題があった。
【0021】
そこで、本発明においては、前記スラリーとともに気体が供給され、スラリーの脱水性能を向上させることができる連続式遠心脱水機を提供しようとする。すなわち、前記脱水工程で本発明に係る連続式遠心脱水機を用いることで、含水率を最大限下げたスラリーを得ることができるため、後続する乾燥工程で費やされるエネルギーを減少させることができる。
【0022】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、固体と液体を含むスラリー、および第1気体がともに供給されることで、遠心力だけでなく、第1気体の圧力および送風効果を利用して前記スラリーの脱水効率を向上させることができる連続式遠心脱水機であってもよい。
【0023】
具体的な例として、前記連続式遠心脱水機は、前記スラリーに遠心力を印加し、比重差により前記スラリーに含まれた液体を分離し、液体が分離した状態のスラリーケーキ10を生成および排出させる装置であってもよい。より具体的な例として、前記スラリー以外に第1気体がさらに供給され、気体の圧力および送風効果により前記スラリーに追加の脱水効果を付与してもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、内部空間が存在する外部ケース100を含むことができる。
前記外部ケース100は、前記スラリーから濾過された液体が排出される液体排出口110と、スラリーケーキ10が排出されるスラリーケーキ排出口120と、前記第1気体が排出される気体排出口130とを含むことができる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、固体と水が混合されたスラリーが供給されるフィード供給管200を含むことができる。
前記フィード供給管200は、後述のバスケット300の内部に延び、バスケット300の内部に前記スラリーを供給することができる。前記スラリーは、前述したように、固体と液体が混合されて形成されたものであってもよく、具体的な例として、前記スラリーは、重合反応により生成された重合体スラリーであってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、前記外部ケース100の内部に備えられ、前記第1気体およびスラリーが供給され、回転しながら前記スラリーに遠心力を印加するバスケット300を含むことができる。
【0027】
例えば、前記バスケット300は、シリンダー形状を有してもよい。より具体的な例として、前記バスケット300は、回転しながら前記スラリーに遠心力を印加することができ、前記スラリーは、遠心力によりバスケット300の内周面に付着され、後述の複数のホール310を通して、前記スラリーから液体を濾過するとともに、前記濾過された液体をバスケット300の外部に排出させることができる。
【0028】
前記バスケット300は、バスケット300の回転運動を行うための回転駆動部320を含むことができる。例えば、前記回転駆動部320は、動力器(図示せず)および動力伝達部(図示せず)を含むことができ、これに限定されず、前記バスケット300の回転運動を行うことができる手段であれば、如何なる手段を含んでもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、前記バスケット300に形成され、前記スラリーから濾過される液体を前記バスケット300の外部に排出させる複数のホール310を含むことができる。
【0030】
例えば、前記バスケット300がシリンダー形状を有する場合、前記バスケット300の周縁に沿って複数のホール310が形成されることができる。この際、前記複数とは、1以上を意味し得る。すなわち、複数のホール310は、1以上のホールを意味し得る。
【0031】
前記複数のホール310は、前記スラリーから濾過された液体は通過し、バスケット300の内周面に付着されるスラリーケーキ10は通過しない直径のホールを含むことができる。これにより、複数のホール310を通して、スラリーケーキ10は排出されず、液体だけが排出されることができる。
【0032】
前述したように、前記バスケット300に含まれた複数のホール310を通して、前記スラリーから液体が濾過されることができ、また、前記濾過された液体がバスケット300の外部、すなわち、バスケット300と外部ケース100との離隔空間に排出されることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、前記バスケット300の内部に備えられ、前記バスケット300の内周面に付着されるスラリーケーキ10を前記外部ケース100の外部に排出させるプッシャープレート400を含むことができる。
【0034】
前記連続式遠心脱水機は、遠心力により前記スラリーから液体を濾過し、液体が濾過された形態のスラリーケーキ10を形成することができる。具体的な例として、前記バスケット300の回転運動によりスラリーに遠心力が印加されることができ、これにより、バスケット300の内周面方向に分散される力により、前記スラリーがバスケット300の内周面に付着されるとともに、前記スラリー中に含まれた液体がバスケット300に含まれた複数のホール310を通して排出されることができる。この際、液体が除去された形態のスラリーケーキ10は、バスケット300の外部に排出されず、バスケット300の内周面に付着されることができる。
【0035】
このように、前記バスケット300の内周面に付着されたスラリーケーキ10を前記外部ケース100の外部、すなわち、前記連続式遠心脱水機の外部に排出させるために、前記プッシャープレート400の往復運動を行うことができる。
【0036】
例えば、前記フィード供給管200を介して供給されたスラリーは、バスケット300の回転運動による遠心力により、前記スラリー中に含まれた液体が濾過、すなわち、分離することができ、これにより、バスケット300の内周面に付着および形成されるスラリーケーキ10は、前記プッシャープレート400の往復運動により、前記連続式遠心脱水機の外部に排出されることができる。
【0037】
この際、前記液体は、バスケット300と外部ケース100との離隔空間に排出された後、外部ケース100に含まれた液体排出口110を通して、外部ケース100の外部、すなわち、前記連続式遠心脱水機の外部に排出されることができる。
【0038】
また、前記スラリーケーキ10は、前記プッシャープレート400の往復運動により、外部ケース100に含まれたスラリーケーキ排出口120を通して、外部ケース100の外部、すなわち、前記連続式遠心脱水機の外部に排出されることができる。前記プッシャープレート400は、連続的な往復運動を行うことができ、これにより、スラリーケーキ10を連続的に排出させることができる。
【0039】
前記プッシャープレート400は、プッシャープレート400の往復運動を行うためのプッシャーシステム410を含むことができる。例えば、前記プッシャーシステム410は、動力器(図示せず)および動力伝達部(図示せず)を含むことができ、これに限定されず、前記プッシャープレート400の往復運動を行うことができる手段であれば、如何なる手段を含んでもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、前記バスケット300の内部に備えられ、前記フィード供給管200から供給されるスラリーを前記バスケット300の内部に分散させる分散プレート210をさらに含むことができる。
【0041】
前記分散プレート210は、フィード供給管200から供給されるスラリーが分散プレート210により反射されてバスケット300の内部で均一に分散されるようにする役割をすることができる。このように、前記スラリーがバスケット300の内部で均一に分散されることで、遠心力が印加された前記スラリーは、バスケット300の内周面に均一な厚さで付着されることができるため、脱水性能を最大に向上させることができる。
【0042】
前記分散プレート210は、前記フィード供給管200と連結され、前記分散プレート210を支持する支持台220をさらに含むことができる。すなわち、前記分散プレート210は、前記フィード供給管200に連結された支持台220によりバスケット300の内部に固定されることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心分離機は、前記バスケット300の内部に第1気体をさらに供給することができる。
また、本発明に係る連続式遠心分離機は、前記バスケット300の内部に前記第1気体を供給する気体供給管700をさらに含むことができる。
【0044】
これにより、前記第1気体は、前記スラリーと混合された混合フィードを形成して前記フィード供給管200に供給されるか、または前記気体供給管700を介して独立に供給されることができる。この際、前記気体供給管700を介して第1気体を独立に供給しても、バスケット300の回転運動により、フィード供給管200に供給されたスラリーと混合されることができる。
【0045】
前記気体供給管700は、前記バスケット300の内部に延び、バスケット300の内部に前記第1気体を供給することができ、また、バスケット300の内部に供給された第1気体は、バスケット300に含まれた複数のホール310、または前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間を通過した後、外部ケース100に含まれた気体排出口130を通して外部に排出されることができる。
【0046】
具体的な例として、前記気体供給管700は、長さ方向に沿って複数の気孔が形成されたものであってもよい。この場合、前記複数の気孔を通して第1気体がバスケット300の内部に均一に供給されることができ、これにより、前記スラリーと均一に混合されるという効果がある。
【0047】
このように、バスケット300の内部に供給される前記スラリー以外に、前記第1気体がさらに供給される場合、遠心力だけでなく、第1気体の圧力および送風効果を利用して前記スラリーの脱水効率を向上できるという効果がある。
【0048】
具体的に、前記第1気体がバスケット300の内部に供給される場合、遠心力によりバスケット300の内周面方向に分散されるスラリーに前記第1気体による圧力が作用し、前記スラリーからの液体の濾過作用がさらに向上するという効果がある。さらに、遠心力によりバスケット300の内周面に付着されたスラリーケーキ10に前記第1気体が通過してバスケット300の複数のホール310を通して排出される過程で、前記スラリーケーキ10に送風による脱水効果を付加することができる。
【0049】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心分離機は、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に前記第1気体が流動するのを防止する非接触シール500を含むことができる。
【0050】
前述したように、前記バスケット300の内部に供給された第1気体は、バスケット300に含まれた複数のホール310以外に前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間を通過した後、外部ケース100に含まれた気体排出口130を通して外部に排出されることができる。この場合、バスケット300の内周面に付着されたスラリーケーキ10に前記第1気体が通過してバスケット300の複数のホール310を通して排出する過程で発生する送風による脱水効果が低減されるという問題がある。
【0051】
このような問題を解決するために、本発明においては、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に非接触シール500を備えており、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に第1気体が流動するのを防止することで、スラリーケーキ10を通過する前記第1気体の流量を増加させることができる。これにより、スラリーケーキ10に作用する脱水効果を向上させるという効果がある。
【0052】
前記非接触シール500は、前記外部ケース100に付着され、前記バスケット300と離隔されるか、または前記バスケット300に付着され、前記外部ケース100と離隔されるものであってもよい。このように、非接触シール500とバスケット300との離隔空間1が存在する場合、バスケット300の回転運動による非接触シール500とバスケット300との間の摩擦発生を減少させて耐久度の低下を防止することで、連続式遠心脱水機の長期運転特性を向上させることができる。また、非接触シール500と外部ケース100との離隔空間が存在する場合、バスケット300の回転運動による非接触シール500と外部ケース100との間の摩擦発生を減少させて耐久度の低下を防止することで、連続式遠心脱水機の長期運転特性を向上させることができる。
【0053】
例えば、
図1に示された本発明に係る連続式遠心脱水機のA-B方向の断面図を示した
図3に参照すると、前記非接触シール500とバスケット300との離隔空間1が存在することで、バスケット300の回転運動による非接触シール500とバスケット300との摩擦を防止することができる。
【0054】
また、
図4には、非接触シール500が外部ケース100に付着された一態様を示した。
図4を参照すると、前記非接触シール500は、外部ケース100またはバスケット300にボルト510などを用いた結合により付着されてもよく、具体的な例として、外部ケース100の一部分を分割した後、分割された外部ケース100の一部分に非接触シール500を嵌めた後、分割された外部ケース100をボルト510などを用いて結合させることで、前記非接触シール500を固定させることができ、非接触シール500の付着方法は、これに限定されない。
【0055】
前記非接触シール500は、例えば、ラビリンス(labyrinth)形態で備えられてもよく、その材質がホワイトメタル、黄銅ピン、ニッケルピンなどであってもよい。
図4に示されたように、接触部位と隣接した方向に尖った形状を有することで、前記非接触シール500が前記連続式遠心脱水機の一構成と接触しても、前記非接触シール500の接触部分だけが溶け、前記非接触シール500と接触し得る外部ケース100またはバスケット300は、摩擦による損傷を防止することができる。
【0056】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心脱水機は、前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間に流動する前記第1気体の流動方向に対して逆方向に流動する第2気体が供給される気体投入口600を含むことができる。
【0057】
前記非接触シール500が前記外部ケース100とバスケット300との離隔空間内に備えられるにしても、前述したように、バスケット300と離隔されるか、または外部ケース100と離隔される離隔空間が存在することになる。このため、かかる離隔空間に第1気体が流動するのを防止するために、前記第1気体の流動方向に対して逆方向に流動する第2気体を供給することで、第1気体の流動経路をバスケット300の内部に変えることができる。
【0058】
例えば、前記バスケット300がシリンダー形状を有する場合、前記気体投入口600は、前記バスケット300の周縁に沿って1以上形成された気孔の形態で備えられてもよく、これに限定されない。
【0059】
このように、気体投入口600を通して第2気体を供給する場合には、第2気体を供給しない場合に比べて、第1気体が外部ケース100とバスケット300との離隔空間に流動する流量を80%以上、90%以上、または95%以上減少させることができる。
【0060】
前記気体投入口600を介して供給された第2気体は、バスケット300の内周面に付着されたスラリーケーキ10を通過し、バスケット300に含まれた複数のホール310を通して排出されることができる。この過程で、前記スラリーケーキ10に送風による脱水効果を付加することができる。すなわち、前述の第1気体だけでなく、第2気体によってもスラリーケーキ10に送風による脱水効果をさらに付加することで、スラリーケーキ10の含水率をさらに下げるという効果がある。
【0061】
前記バスケット300に含まれた複数のホール310を通して排出された第2気体は、外部ケース100に含まれた気体排出口130を通して外部に排出されることができる。
【0062】
本発明の一実施形態によると、前記第1気体および第2気体は、それぞれ同一または異なり、独立に大気中の空気または不活性気体であってもよい。
具体的な例として、前記第1気体および第2気体は、それぞれ同一または異なり、独立に窒素、ネオン、ヘリウム、およびアルゴンからなる群から選択された1種以上の不活性気体を含むことができる。このように、前記第1気体および第2気体がそれぞれ不活性気体を含む場合、酸素との接触による爆発または火災の発生を防止することができる。
【0063】
より具体的な例として、前記スラリーが重合体スラリーである場合には、前記第1気体および第2気体はそれぞれ不活性気体を含むことができ、これにより、重合体の追加の副反応を防止することができる。
【0064】
また、前記気体は、スラリーの脱水のために用いられるものであって、気体中の水分含量が20%以下、10%以下、または5%以下のものを用いることができる。
【0065】
本発明の一実施形態によると、前記外部ケース100の外部に排出された第1気体および第2気体は、前記バスケット300の内部に再流入されることができる。すなわち、前記バスケット300の外部に排出された第1気体および第2気体は、前記気体排出口130を通して外部ケース100の外部に排出された後、前記バスケット300の内部に再流入されることができる。
【0066】
この際、前記第1気体および第2気体は、前記フィード供給管200または前記気体供給管700を通して再流入されることができる。前記第1気体および第2気体がフィード供給管200を通して再流入されるために、前記気体排出口130と前記フィード供給管200を連結する配管などをさらに備えることができ、または、前記第1気体および第2気体が前記気体供給管700を通して再流入される場合には、前記気体排出口130と前記気体供給管700を連結する配管などをさらに備えることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、前記液体排出口110を通して排出される液体、およびスラリーケーキ排出口120を通して排出されるスラリーケーキ10は、前記第1気体との密度差により、前記バスケット300の内部で下方流れを有することができ、また、前記気体排出口130を通して排出される第1気体または第2気体は、前記液体およびスラリーケーキ10との密度差により、前記バスケット300の内部で上方流れを有することができる。
【0068】
これにより、前記液体排出口110およびスラリーケーキ排出口120は、外部ケース100の下部に含まれることができ、前記気体排出口130は、外部ケース100の上部に含まれることができる。この際、「上部」は、外部ケース100の全体高さから50%以上、70%以上、または80%以上の高さに該当する部分を意味し、「下部」は、外部ケース100の全体高さから50%未満、30%未満、または10%未満の高さに該当する部分を意味し得る。
【0069】
本発明の一実施形態によると、本発明に係る連続式遠心分離機は、第1気体が供給されるにつれ、外部ケース100とバスケット300との離隔空間に第1気体が流動するのを防止するための非接触シール500および気体投入口600を含むことで、従来用いられていた連続式遠心分離機に比べてスラリーの脱水性能をさらに向上させることができる。
【0070】
特に、前記スラリーが重合体スラリーである場合には、気孔が発達した重合体粒子の気孔に内包される水分の脱水率を高め、重合体スラリーから含水率10%未満、6%未満、または3%未満のスラリーケーキ10を得ることができるという効果がある。これにより、後続する乾燥工程で費やされるエネルギーを減少させることができる。
【0071】
以上、本発明に係る連続式遠心脱水機を記載および図面に図示したが、上記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成だけを記載および図示したものであって、上記の記載および図面に図示した工程および装置以外に、別の記載および図示していない工程および装置は、本発明に係る連続式遠心脱水機を実施するために適宜応用して利用されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1
10 スラリーケーキ
100 外部ケース
110 液体排出口
120 スラリーケーキ排出口
130 気体排出口
200 フィード供給管
210 分散プレート
220 支持台
300 バスケット
310 ホール
320 回転駆動部
400 プッシャープレート
410 プッシャーシステム
500 非接触シール
510 ボルト
600 気体投入口
700 気体供給管