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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】吸収性物品の収容体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20231204BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20231204BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B65D85/07
A61F13/15 210
A61F13/551 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020065059
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160796
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花尻 武
(72)【発明者】
【氏名】柏木 加代子
(72)【発明者】
【氏名】仁野 由美子
(72)【発明者】
【氏名】原 桂子
(72)【発明者】
【氏名】森川 良樹
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0045144(US,A1)
【文献】特開2004-115118(JP,A)
【文献】特開2005-096779(JP,A)
【文献】特開2002-002731(JP,A)
【文献】特開2016-216127(JP,A)
【文献】特表2000-513306(JP,A)
【文献】特表2004-537474(JP,A)
【文献】特開2007-276194(JP,A)
【文献】特開2019-156465(JP,A)
【文献】米国特許第06708823(US,B2)
【文献】特開2005-008164(JP,A)
【文献】特表2018-507034(JP,A)
【文献】特開2017-074959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/07
A61F 13/15
A61F 13/551
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性コアを有し且つ排泄物を検知するインジケータを有する吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備えた、吸収性物品の収容体であって、
前記収容部材は、
少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、
少なくとも一部分が、前記紙よりも透湿性の低い材料で構成された最内層と
を有し、
前記収容部材の質量のうち、前記最外層を構成する前記紙の質量が占める割合が50%を超えており、
前記吸収性コアは、二つ折りされた状態で前記収容部材に収容されており、
前記収容部材は、前記透湿性の低い材料のみからなる窓領域と、前記紙と前記透湿性の低い材料とが重複する非窓領域とを有しており、
前記インジケータは、pH指示薬を含むインジケータであり、
前記収容体の下端が接地して前記収容体が直立した状態において、前後方向に見たときに、前記窓領域の上端及び下端が、前記吸収性物品と重複し、且つ前記インジケータの少なくとも一部が前記非窓領域と重複する
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品の収容体であって、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記収容部材は、
前記左右方向の両端部において、前記上下方向に沿って接合された一対のサイドシール部と、
前記上下方向の下端部において、前記左右方向に沿って接合されたボトムシール部と を有し、
前記一対のサイドシール部及び前記ボトムシール部では、前記収容部材を構成する1つの面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料と、前記1つの面とは異なる面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料とが、前記前後方向に隣接し、溶着されている
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記吸収性物品を取り出すための開口部を有し、
前記開口部は、開閉可能な封止部を有する
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品の収容体であって、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記最外層、及び、前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料が、前記上下方向において、前記封止部よりも上側及び下側に設けられている
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記透湿性の低い材料は、樹脂シートである
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記窓領域の表面積が、前記非窓領域の表面積よりも小さい
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品の収容体であって、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記窓領域は、前記左右方向に沿って前記左右方向の一端から他端まで連続して設けられている
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項8】
請求項1から請求項7何れか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記最外層には、図柄が設けられており、
前記図柄は、水性インクによって構成されている
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記吸収性物品の最外面の少なくとも一部には、図柄が設けられており、
前記収容部材の前記最外層に設けられた前記図柄の最大濃度は、前記吸収性物品の前記最外面に設けられた前記図柄の最大濃度よりも濃い
ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児用及び成人用のおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の使い捨て吸収性物品は、通常、箱や袋などの吸収性物品を保護する収容体内に収容されて販売されている。そのような吸収性物品の収容体として、例えば、フィルム層と紙層とを含む積層体を有するパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-59552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の吸収性物品を収容する収容部材として紙を用いる場合、紙は湿気を通し易く、収容した吸収性物品の吸収体が湿気を吸収する虞がある等、吸収性物品に影響を与えてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸収性物品を収容する収容部材として紙を主材料としつつ、該収容部材の内部に湿気が入ることを抑制する収容体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
吸収性コアを有し且つ排泄物を検知するインジケータを有する吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備えた、吸収性物品の収容体であって、
前記収容部材は、
少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、
少なくとも一部分が、前記紙よりも透湿性の低い材料で構成された最内層と
を有し、
前記収容部材の質量のうち、前記最外層を構成する前記紙の質量が占める割合が50%を超えており、
前記吸収性コアは、二つ折りされた状態で前記収容部材に収容されており、
前記収容部材は、前記透湿性の低い材料のみからなる窓領域と、前記紙と前記透湿性の低い材料とが重複する非窓領域とを有しており、
前記インジケータは、pH指示薬を含むインジケータであり、
前記収容体の下端が接地して前記収容体が直立した状態において、前後方向に見たときに、前記窓領域の上端及び下端が、前記吸収性物品と重複し、且つ前記インジケータの少なくとも一部が前記非窓領域と重複する
ことを特徴とする吸収性物品の収容体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性物品を収容する収容部材として紙を主材料としつつ、該収容部材の内部に湿気が入ることを抑制する収容体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】収容体1の正面図及び断面図である。
図2図2Aは、収容部材10を前側から見たときの平面図であり、図2Bは、収容部材10を後ろ側から見たときの平面図である。
図3図3Aは、図2AのB-B断面について表す断面模式図であり、図3Bは、図2AのC-C断面について表す断面模式図である。
図4】収容部材10に対して吸収性物品20を出し入れする際の様子を表す図である。
図5】収容部材10に収容された状態における吸収性物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。
図6図6は、吸収性物品20を展開かつ伸長させた状態の吸収性物品20の平面図及び断面図である。
図7図7Aは、その他の実施形態に係る、収容部材10に設けられる図柄15の配置について説明する図であり、図7Bは、図7AのX-X断面について表す断面模式図である。
図8】その他の実施形態に係る、摩擦係数を説明するための図である。
図9】その他の実施形態に係る、摩擦係数の測定結果を示した図である。
図10】その他の実施形態に係る、表面粗さSMDを説明するための図である。
図11】その他の実施形態に係る、表面粗さSMDの測定結果を示した図である。
図12】その他の実施形態に係る、収容部材10の隙間に手を入れて吸収性物品20を取り出している状態を示した図である。
図13】その他の実施形態に係る、収容体1を上下逆様にした状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、少なくとも一部分が、前記紙よりも透湿性の低い材料で構成された最内層とを有し、前記収容部材の質量のうち、前記最外層を構成する前記紙の質量が占める割合が50%を超えることを特徴とする吸収性物品の収容体である。
【0010】
このような吸収性物品の収容体によれば、紙だけでなく、内側に紙よりも透湿性の低い材料で構成された層を有することで収容部材の内部に湿気が入ること抑制し、良好な防湿性を担保することができる。さらに、紙の質量が占める割合が50%を超えることで紙が主たる素材となり、紙ごみとして廃棄できる基準となるマークの扱いとなりうるため、環境に配慮した収容体を提供できる。
【0011】
かかる吸収性物品の収容体であって、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記収容部材は、前記左右方向の両端部において、前記上下方向に沿って接合された一対のサイドシール部と、前記上下方向の下端部において、前記左右方向に沿って接合されたボトムシール部とを有し、前記一対のサイドシール部及び前記ボトムシール部では、前記収容部材を構成する1つの面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料と、前記1つの面とは異なる面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料とが、前記前後方向に隣接し、溶着されていることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の全てのシール部において、最内層に設けられた透湿性の低い材料同士が溶着されていることで、収容体に湿気が入りにくくなる。
【0013】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品を取り出すための開口部を有し、前記開口部は、開閉可能な封止部を有することが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品の収容体によれば、一度開封しても、使用の度に封止部によって収容部材を再封止でき、湿気が入ることを防ぐことができる。
【0015】
かかる吸収性物品の収容体であって、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記最外層、及び、前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料が、前記上下方向において、前記封止部よりも上側及び下側に設けられていることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品の収容体によれば、封止部の上側は、収容部材を開けるときに掴む部分であり、当該上側には最外層のみならず透湿性の低い材料が設けられているため、該掴む部分が破れ難くなる。
【0017】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記透湿性の低い材料は、樹脂シートであることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品の収容体によれば、樹脂シートを透湿性の低い材料として最内層の少なくとも一部に備えることで、湿気を吸い難い収容体を提供できる。
【0019】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容部材は、少なくとも一部分が、樹脂シートのみからなる窓領域と、前記紙と前記樹脂シートとが重複する非窓領域とを有しており、前記窓領域の表面積が、前記非窓領域の表面積よりも小さいことが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域により収容体内の吸収性物品を確認でき、また、窓領域を最小限にすることで、収容部材の内部に湿気が入りうる可能性を低減できる。
【0021】
かかる吸収性物品の収容体であって、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記窓領域は、前記左右方向に沿って前記左右方向の一端から他端まで連続して設けられていることが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域を幅方向(左右方向)端部まで設けていることで、消費者は開封せずとも内部の吸収性物品を視認しやすくなり、確認等のための開封頻度を低減できる。それにより、収容体の内部に湿気が入る可能性を低減できる。
【0023】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記最外層には、図柄が設けられており、前記図柄は、水性インクによって構成されていることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品の収容体によれば、水性インクを用いることにより、油性インクを用いて画像を形成する場合と比較して、石油由来の有機溶剤の使用量を削減することができる。これにより、より環境に優しい収容体を実現することができる。
【0025】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品の最外面の少なくとも一部には、図柄が設けられており、前記収容部材の前記最外層に設けられた前記図柄の最大濃度は、前記吸収性物品の前記最外面に設けられた前記図柄の最大濃度よりも濃いことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品の収容体によれば、吸収性物品の最外面に設けられた図柄が、収容部材の最外層に設けられた図柄よりも目立ちにくくなる。つまり、吸収性物品の図柄が収容部材の外側からより視認されにくくなる。これにより、収容部材側に設けられた図柄の視認性をより向上させ、収容部材が環境に配慮した紙製であることを使用者に認識させやすくすることができる。
===実施形態===
【0027】
<吸収性物品収容体1の基本構成>
本発明に係る吸収性物品の収容体として、使い捨ておむつを収容する使い捨ておむつ収容体1(以下、単に「収容体1」とも呼ぶ)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、収容体1に収容される吸収性物品は使い捨ておむつには限られず、生理用ナプキンやパンティーライナー、軽失禁用パッド等、収容部材に収容可能なものであれば良い。
【0028】
図1は、収容体1の正面図及び断面図である。収容体1は、袋状の部材である収容部材10と、該収容部材10の内部に収容される複数の吸収性物品20(使い捨ておむつ)とを有している。また、収容体1(収容部材10)は、互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向と、を有している。図1の正面図は、収容体1を前後方向の前側から見た状態について表し、図1の断面図は、正面図のA-A断面について表している。また、図1は、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態を示している。
【0029】
図1に示されるように、収容部材10は、上下方向における一方側(図1では上側)から他方側(図1では下側)に行くにしたがって、前後方向における幅が広がる、断面略三角形状の収容空間(図1のA-A断面において斜線で示される領域)を有し、当該収容空間内に1以上の吸収性物品20を収容することが可能である。吸収性物品20は、前後方向に重ねて複数(図1では4つ)収容され、収容部材10の上下方向における一方側(上側)に形成される開口部10pn(後述)から自在に出し入れすることが可能である。
【0030】
(収容部材10)
図2Aは、収容部材10を前側から見たときの平面図であり、図2Bは、収容部材10を後ろ側から見たときの平面図である。図3Aは、図2AのB-B断面について表す断面模式図であり、図3Bは、図2AのC-C断面について表す断面模式図である。
【0031】
本実施形態において、収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有している。また、図3A及び図3Bに示すように、収容部材10は、収容部材10の外側面を構成する最外層10aと、内側面を構成する最内層10bとを有している。より具体的には、収容部材10の前面11、後面12及び底面13は、それぞれ最外層10aと最内層10bとが接合された2層構造を有している。但し、各前面11、後面12及び底面13が3層以上の層を有していても、一部が1層の構造でも良い。
【0032】
収容部材10の最外層10aは、少なくとも一部分が、紙で構成されている。ここで「紙」とは、植物繊維その他を膠着させて製造したものである。本実施形態では、最外層10aを構成する紙は、パルプ繊維等の植物繊維からなる「紙」であることが望ましい。収容部材10は、紙以外の材料も用いた複合素材であるが、収容部材10の質量のうち、最外層10aを構成する紙の質量が占める割合が50%を超えることが望ましい。そうすることにより、収容部材10が複合素材から構成されていても、紙の質量が占める割合が50%を超えることで紙が主たる素材となり、紙ごみとして廃棄できる基準となるマーク(不図示、所謂「紙」マーク)の扱いとなりうる。収容部材10(収容体1)が「紙」マークを備える場合、各家庭から廃棄する際にリサイクル可能な対象物となり、収容体1が環境に配慮して製造されたものであることを使用者に認識させることができる。尚、「紙」マーク対象の「紙」の定義は、「植物繊維」を絡み合わせ膠着させて製造したものであるが、植物繊維以外の材料を配合した「紙」マーク対象外の紙であっても、最外層10aが紙素材であることにより、当該収容体1が、石油来の材料を削減した所謂「脱プラ」製品であることを使用者に認識させやすく、環境に優しいイメージを使用者に与えることができる。したがって、本実施形態において、最外層10aの全体が紙製であることが望ましい。
【0033】
また、収容部材10の前面11の最外層10aの表面側(前後方向における前側)の表面には、所定の図柄15が設けられていても良い。図柄15は、収容体1(吸収性物品20)に関する各種情報を使用者に視認させるために設けられる。本実施形態では、図2Aに示されるように、吸収性物品20の名称(商品名)や特徴(使用されている材料)、吸収性物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)、着用対象者のサイズ等に関する情報が図柄15として設けられている。また、図柄15として各種認証マークの表示(不図示)が設けられていても良い。
【0034】
図柄15は、所定の水性インクを用いてグラビア印刷やフレキソ印刷によって最外層10aの表面側に印刷されている。一般に、水性インクは溶剤として水が用いられている場合が多く、有機溶剤等を用いた油性インクと比較して安全であり、且つ臭いも少ないことから、環境に優しいインクである。一方、水性インクは、油性インクと比較して被印刷媒体への固着性が弱いため、市場に流通させる商品には使用し難い場合があった。これに対して、本実施形態では非印刷媒体である最外層10aが紙製であるため、水性インクが固着しやすく、図柄15を安定して形成することが可能である。したがって、環境配慮の観点からも、本実施形態の収容部材10に図柄15を印刷するインクとして、水性インクを用いることが好適である。
【0035】
最内層10bは、少なくとも一部分が、紙よりも透湿性の低い材料で構成されている。一般に、吸収性物品を収容する収容部材として紙を用いた場合、紙が湿気を吸収し易い性質であることから、収容されている吸収性物品の吸収体が湿気を吸収してしまう虞があった。この点、本実施形態のように、紙で構成された最外層10aよりも厚さ方向の内側(収容体1の内部空間側)に紙よりも透湿性の低い材料で構成された層(ここでは最内層10b)を有することで、収容部材10の内部に湿気が入ることを抑制し、良好な防湿性を担保できる。
【0036】
また、「紙よりも透湿性の低い材料」は、透湿性の指標である透湿度によって表すことができ、該透湿度は、例えば、JIS Z 0208:1976の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準拠して測定できる。最外層10aを構成する紙、及び、最内層10bを構成する材料からそれぞれ試験片を採取し、吸湿剤(塩化カルシウム)を入れた透湿カップに試験片を取り付けて、規定の温湿度条件下で、24時間自然放置させた後の、単位面積(m2)あたりの水分の透過量(排出量)を測定する。透湿度の数値が高いほど透湿性が高いことを意味し、最外層10aを構成する紙の透湿度と比較して、透湿度が低い(小さい)材料を「紙よりも透湿性が低い材料」とする。
【0037】
また、そのような紙よりも透湿性の低い材料は、樹脂シートであることが好ましい。ここで、当該樹脂シートを構成する「樹脂」とは、高分子化合物からなる合成樹脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂を使用できる。また、最内層10bは透明な樹脂によって構成されており、少なくとも厚さ方向において一方側(表側)から他方側(裏側)を透かして視認することが可能となっている。本実施形態では、後述する窓領域16を通して収容体1の外側から、収容部材10の内部に収容された吸収性物品20を視認しやすくするために、最内層10bを構成する樹脂は無色透明であることが望ましい。
【0038】
また、紙よりも透湿性の低い材料として用いられる樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン(PE)とポリエチレンテレフタレート(PET)とを貼り合わせて積層されたラミネートフィルムを使用することができる。収容部材10の前面11及び後面12に配されるラミネートフィルムの厚みは、ポリエチレンテレフタレート(PET)が12μm、ポリエチレン(PE)が30μm程度であることが好ましく、底面13に配されるラミネートフィルムの厚みは、ポリエチレンテレフタレート(PET)が12μm、ポリエチレン(PE)が60μm程度であることが好ましい。そのようなラミネートフィルムを最内層10bとし、紙で構成される最外層10aとラミネート加工を行うことによって互いに接合される接合部(図3Aでは破線で表示されている)を形成することもできる。このようにして、表面側(外側)が紙製で裏面側(内側)が樹脂製である面(前面11、後面12、或いは底面13)が形成される。尚、上述のラミネートフィルムと紙とを用いて形成した場合、収容部材10のうちの各材料の質量は、紙が9.3g、ポリエチレン(PE)が5.3g、ポリエチレンテレフタレート(PET)が2.1gである。また、紙の厚さは坪量が目安となるが、ここで使用する紙の坪量は、100g/m2である。
【0039】
収容部材10を形成する際には、前面11及び後面12の最内層10b、10b同士が互いに対向するように前後に重ねられる(図3A及び図3B参照)。また、収容部材10の上下方向下端部において、最外層10a同士が対向するように上下方向に2つ折りされた底面13が、前面11と後面12との前後方向の間に配置される。そして、前後方向(厚さ方向)に隣接する面同士が所定の領域にて互いに接合される。
【0040】
具体的に、図3Aに示されるように、上下方向の下端部において、収容部材10を構成する前面11の最内層10bと、底面13の最内層10bとが、前後方向に隣接し、互いに接合される。最内層10b同士の接合は、例えば熱溶着等の公知の溶着手段を用いて行われる。最内層10bは、いずれも樹脂製のシート部材であり熱可塑性を有していることから、溶着手段を用いることにより、対向するシート部材同士を十分な強度で接合することができる。同様に、後面12の最内層10bと底面13の最内層10bとが、上下方向の下端部にて互いに接合(溶着)される。これにより、図3Aにおいて波線で示されるボトムシール部19が形成される。このボトムシール部19により、図2の斜線部で表示されるように、収容部材10の上下方向の下端部にて、各面11,12,13が左右方向に沿って連続的にシールされた状態となる。
【0041】
また、左右方向の端部では、図3Bに示されるように、互いに対向する前面11の最内層10bと後面12の最内層10bとが接合される。当該最内層10b同士の接合も、溶着手段を用いて行われる。同様に、上下方向の下端部において、前面11の最内層10bと底面13の最内層10bとが左右方向の端部にて溶着され、後面12の最内層10bと底面13の最内層10bとが左右方向の端部にて溶着される。これにより、図3Bにおいて波線で示される一対のサイドシール部18が形成される。このサイドシール部18により、図2の斜線部で表示されるように、収容部材10の左右方向の両端部にて、各面11,12,13が上下方向に沿って連続的にシールされた状態となる。
【0042】
このように、一対のサイドシール部18及びボトムシール部19では、収容部材10を構成する1つの面(例えば、前面11)の最内層10bに設けられた樹脂製のシート部材(透湿性の低い材料)と、1つの面とは異なる面(例えば、底面13)の最内層10bに設けられた樹脂製のシート部材(透湿性の低い材料)とが、前後方向に隣接した状態で溶着されていることで、収容体1の内部(収容空間)に湿気が入り込み難くなり、防湿性をより向上させることができる。
【0043】
なお、収容部材10の左右方向の両端部且つ上下方向の下端部では、上下方向に2つ折りされた底面13のうち、前後方向に対向する最外層10a同士も接合されている。最外層10aは紙製であるため、最外層10a同士の接合は接着剤を用いた接着により行われる(図3Bでは破線で表示されている)。
【0044】
このように、収容部材10の端縁部のうち、左右方向の両端部及び上下方向の下端部は、一対のサイドシール部18、18及びボトムシール部19によって連続的に係止されている、一方、収容部材10の端縁部のうち、上下方向の上端部は係止されていない。これにより、収容部材10は、上下方向の上側に開口部10pn(後述する図4参照)を有し、底面13を有する袋状となる。
【0045】
収容部材10の開口部10pnは、開閉可能な封止部14を有している。封止部14は、左右方向に沿って配置された一対の樹脂製ジッパー等によって構成され、図3Aに示されるように、前面11の最内層10bと後面12の最内層10bとにそれぞれ設けられている。一対の封止部14,14を前後方向に対向させた状態で押圧して噛み合わせることで、開口部10pnが閉じて、収容部材10の収容空間が密封される(図1参照)。また、噛み合った状態の封止部14,14を前後方向の反対側に引き剥がすことで、再び開口部10pnが形成される。このように、収容部材10の開口部10pnは、封止部14によって自在に開閉することが可能となっている。
【0046】
図4は、収容部材10に対して吸収性物品20を出し入れする際の様子を表す図である。同図4のように収容部材10の封止部14を引き剥がして上下方向上側に開口部10pnを形成し、当該開口部10pnから吸収性物品20を取り出したり、収容したりすることができる。そして、吸収性物品20の取り出し動作を行った後に封止部14を再封止して開口部10pnを閉じることにより、収容空間内の防湿性を維持することができる
【0047】
また、図3Aに示すように、本実施形態の収容部材10においては、紙で構成される最外層10aと、紙よりも透湿性の低い材料で構成される最内層10bとが、上下方向において封止部14よりも上側及び下側に設けられている。封止部14の上側は、収容部材10を開閉する際に使用者が掴む部分であり、そのような上側部分においても最外層10aのみならず、最内層10bが設けられていることで、該掴む部分が破れ難くなる。
【0048】
また、図1図3に示すように、収容部材10の前面11は、少なくとも一部分が、最内層10bである樹脂シートのみからなる窓領域16と、最外層10aである紙と最内層10bである樹脂シートとが重複する非窓領域17とを有している。使用者は、収容体1の前側から、当該窓領域16を透かして収容部材10の内側を視認することが可能となっている。また、当該窓領域16の表面積は、非窓領域17の表面積よりも小さいことが望ましい。窓領域16を必要最小限にすることで、収容部材10の内部に湿気が入りうる可能性を低減できる。
【0049】
また、本実施形態では、図1図2に示されるように、窓領域16が左右方向に沿って左右方向の一端側から他端側に亘って連続して設けられている。窓領域16を幅方向(左右方向)端部まで設けていることで、使用者は開封せずとも内部の吸収性物品20を視認しやすくなり、確認等のための開閉頻度を低減できる。それにより、収容体1の内部に湿気が入る可能性を低減できる。
【0050】
(吸収性物品20)
図5は、収容部材10に収容された状態における吸収性物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。図6は、吸収性物品20を展開かつ伸長させた状態の吸収性物品20の平面図及び断面図である。図5及び図6において、吸収性物品20は、互いに交差する縦方向と、横方向とを有している。縦方向は、伸長状態の吸収性物品の長手方向に相当し、図1の上下方向に沿った方向である。横方向は、伸長状態の吸収性物品の短手方向に相当し、図1の左右方向に沿った方向である。
【0051】
図5及び図6では、収容部材10に収容される吸収性物品20の一例として、テープ型の使い捨ておむつについて示されている。吸収性物品20は、外装体21と、内装体22と、インジケータ23と、ファスニングテープ24と、を有している。
【0052】
外装体21は、吸収性物品20の最も非肌側に設けられ、内装体22を支持する外装部材である。外装体21としては、例えばSMS(スパンボンドーメルトブローン-スパンボンド)不織布等の適宜な不織布を使用することができる。また、外装体21の非肌側の面(すなわち、吸収性物品20の最外面)には、所定の図柄25が設けられていても良い。図柄25は、収容部材10に設けられた図柄15と同様に、吸収性物品20に関する情報を使用者に視認させるために設けられている。本実施形態では、図5に示されるように、吸収性物品20の名称(商品名)や特徴(使用されている材料)、吸収性物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)等に関する情報が図柄25として設けられている。また、着用対象者のサイズやその他の情報が表示されていても良い。
【0053】
内装体22は、排泄物を吸収する吸収性本体に相当する部材であり、吸収体22aと、吸収体22aよりも厚さ方向の肌側に配置された肌側シート22bと、吸収体22aよりも厚さ方向の非肌側に配置された非肌側シート22cとを有する。
【0054】
吸収体22aは、尿等の排泄物を吸収して保持する部材であり、液体吸収性素材を含む吸収性コアが、液透過性のコアラップシートに覆われることによって形成されている。吸収性コアを構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。またコアラップシートとしては、例えばティッシュペーパーを使用することができる。
【0055】
肌側シート22bは、吸収性物品20の着用時において、着用者の肌と当接する部材であり、排泄物を厚さ方向の肌側から非肌側に透過させて吸収体22aへ移動させる、液透過性のシート部材である。肌側シート22bとしては、例えばエアスルー不織布などの柔軟なシート部材を使用することができる。非肌側シート22cは、吸収体22aによって吸収された尿等の液体が非肌側(着用者の着衣の側)に染み出すことを抑制する、液不透過性のシート部材である。非肌側シート22cとしては、例えば、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルムなど柔軟なシート部材を使用することができる。
【0056】
インジケータ23は、尿及び便の少なくとも一方を検出するための検出部であり、厚さ方向において、吸収体22aと非肌側シート22cとの間に設けられている。本実施形態のインジケータ23は、従来のおむつに採用されているpH指示薬を含むインジケータとして構成されている。例えば、排泄物のpHを反応因子として、尿または便と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、尿または便が排出されたことを検出する。図5では、横方向の中央部に、縦方向に沿った帯状のインジケータ23が1本設けられているが、インジケータ23の配置や数量は、検出対象とする排泄物の種類(尿または便)や排泄量等に応じて適宜変更可能である。
【0057】
ファスニングテープ24は、外装体21の縦方向の背側端部において、横方向の両外側に延出するように一対設けられた係合部材である。ファスニングテープ24には不織布等の繊維と係合するフックを備えた面ファスナーが設けられており、吸収性物品20の着用時には、当該面ファスナーの係合力により、一対のファスニングテープ24,24が外装体21(不織布)の腹側領域にそれぞれ係合される。これにより、吸収性物品20の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対して吸収性物品20の位置を固定することができる。
【0058】
吸収性物品20を収容部材10に収容する際には、一対のファスニングテープ24,24を横方向の内側に折り畳み、吸収性物品20の非肌側面が外側になるようにして縦方向の中央部で二つ折りにする。このように、吸収性物品20を図5のようなコンパクトな形状に折り畳み、収容部材10の上下方向と吸収性物品20の縦方向が揃うようにして、開口部10pnから吸収性物品20を出し入れする(図4参照)。
【0059】
また、吸収性物品20の最外面(外装体21)の少なくとも一部には、図柄25が設けられているが、収容部材10の最外層10aに設けられた図柄15の最大濃度は、吸収性物品20の最外面に設けられた図柄25の最大濃度よりも濃いことが望ましい。このような構成であれば、吸収性物品20の最外面に設けられた図柄25が、収容部材10の最外層10aに設けられた図柄15よりも目立ちにくくなる。つまり、吸収性物品20の図柄25が、収容部材10の外側からより視認されにくくなる。その結果、収容部材10側に設けられた図柄15の視認性をより向上させることができるので、収容部材10が紙製であることを使用者に認識させやすくすることができる。
【0060】
なお、図柄の濃度は、以下のようにして測定することができる。まず、収容部材10に設けられた図柄15と、吸収性物品20に設けられた図柄25をそれぞれ同じ撮影条件においてデジタルカメラで複数回撮影し、複数の画像データを得る。次いで、これらの画像データをパソコンに取り込み、モノクロ変換後に、256階調のグレースケールに変換して、図柄15と図柄25でそれぞれ最も高い階調値を検出し、複数の画像データについての最高階調値を平均して、それぞれの図柄の最大濃度とする。
【0061】
<収容体1のその他の態様について>
収容体1については、上述の態様以外にも、以下のような態様が可能である。図7Aは、その他の実施形態に係る、収容部材10に設けられる図柄15の配置について説明する図であり、図7Bは、図7AのX-X断面について表す断面模式図である。図8は、その他の実施形態に係る、摩擦係数を説明するための図である。図9は、その他の実施形態に係る、摩擦係数の測定結果を示した図である。図10は、その他の実施形態に係る、表面粗さSMDを説明するための図である。図11は、その他の実施形態に係る、表面粗さSMDの測定結果を示した図である。図12は、その他の実施形態に係る、収容部材10の隙間に手を入れて吸収性物品20を取り出している状態を示した図である。図13は、その他の実施形態に係る、収容体1を上下逆様にした状態の正面図である。
【0062】
(態様1)
吸収性物品20と、吸収性物品20を収容する収容部材10とを備え、収容部材10は、少なくとも一部分が紙で構成された紙層10aを有し、紙層10aの少なくとも一部分に、未晒パルプからなる未晒パルプ領域を有することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0063】
そうすると、未晒しパルプ領域は光を通しにくく、そのような未晒パルプ領域を有する収容部材10に収容することで、吸収性物品20に含まれることの多いゴムやウレタン等といった弾性部材、液不透過性のフィルムなどの黄変し易い部材への紫外線の影響を低減し、吸収性物品20の黄変を抑制することができる。
【0064】
(態様2)
収容部材10の未晒パルプ領域の外表面の少なくとも一部には、図柄15が設けられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0065】
漂白された晒パルプからなる紙層10aの外表面に図柄15を設けた場合、収容されている吸収性物品20が透けて図柄15が見えにくくなってしまうことがあるが、未晒パルプ領域は厚みが厚く、また、茶褐色又は暗褐色等であるため、中身が透けず、図柄15が視認し易い。
【0066】
(態様3)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性物品20の最外面の少なくとも一部には、図柄25が設けられており、未晒パルプ領域に設けられている図柄15を収容部材側図柄15とし、吸収性物品20に設けられている図柄25を吸収性物品側図柄25としたとき、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、収容部材側図柄15と吸収性物品側図柄25とが、前後方向に見たときに、重複している部分を有することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0067】
そうすると、未晒パルプ領域は厚みが厚く、且つ、茶褐色又は暗褐色等であるため、該未晒パルプ領域の図柄15と吸収性物品20の図柄25とが重複しても、吸収性物品20の図柄15が透けて見えることはなく、未晒パルプ領域に設けられている図柄15の視認性を維持できる。
【0068】
(態様4)
吸収性物品20と、吸収性物品20を収容する収容部材10とを備え、収容部材10は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層10aを有し、最外層10aにおいて、ベック平滑度が20秒未満である領域に、図柄15の少なくとも一部が印刷されていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0069】
そうすると、最外層10aにおいてベック平滑度が20秒未満である領域の少なくとも一部と重複するように図柄15を印刷することにより、領域に形成された図柄15が擦れたように見えるようになる。これにより、収容部材10や、その内部に収容されている吸収性物品20についての素材感や柔らかなイメージを、ユーザーに想起させやすくすることができる。
【0070】
(態様5)
互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向とを有し、図柄15(151)は、第1部分151Aと、第1部分151Aとは異なる第2部分151Bとを有しており、前後方向において、第1部分151Aと第2部分151Bとの位置が異なっていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0071】
そうすると、第1部分151Aと第2部分151Bとの前後方向における位置が異なっていることにより、図柄151(15)が立体的に見えるようになる。したがって、図柄151(15)が平面的に見える場合と比較して、収容部材10が3次元的に膨らんだ形状が強調され、ユーザーに対して、収容体1の柔らかなイメージを想起させやすくすることができる。
【0072】
(態様6)
左右方向の両端部において、収容部材10を構成する1つの面と、1つの面とは異なる面とが、前後方向に隣接し、溶着されたサイドシール部18を有し、第1部分151Aはサイドシール部18と重複しない位置に配置され、第2部分151Bはサイドシール部18と重複する位置に配置されていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0073】
そうすると、サイドシール部18と重複する平面的な領域と、サイドシール部18と重複しない(前面11及び後面12が湾曲した領域である湾曲領域10crと重複する)曲面的な領域とに跨って図柄151が配置されていることにより、図柄151がより複雑で3次元的な形状に見え、ユーザーに対して収容体1の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。
【0074】
(態様7)
吸収性物品20と、吸収性物品20を収容する収容部材10とを備え、収容部材10は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層10aと、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層10bとを有し、最内層10bを構成する樹脂にはバイオマスプラスチックが含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0075】
そうすると、収容部材10の表面(最外層10a)を紙製とすることで、収容体1が環境に配慮した製品であることをユーザーに想起させやすくすることができる。一方、収容部材10の裏面(最内層10b)を樹脂製とすることにより防湿性を高め、内部に収容された吸収性物品20が湿ってしまうことを抑制することができる。さらに、最内層10bを構成する樹脂がバイオマスプラスチックを含んでいることにより、従来品と比較して石油由来の物質の含有割合を低くすることができる。これらにより、防湿性に優れ、且つ環境に優しい吸収性物品20の収容体1を提供することができる。
【0076】
(態様8)
最内層10bを構成する樹脂に含まれているバイオマスプラスチックの重量は、収容部材10の重量の10%以上であることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0077】
そうすると、一般社団法人日本有機資源協会が定める「バイオマスマーク制度」に規定されるバイオマスプラスチックの含有割合の基準(バイオマス度が10%以上)を満たすことができる。これにより、当該制度の認証マーク(バイオマスマーク10%)を表示することが可能となり、収容体が環境に配慮した製品であることを、ユーザーにより認識させやすくすることができる。
【0078】
(態様9)
吸収性物品20を構成する部材の少なくとも一部に、バイオマスプラスチックが含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0079】
そうすると、吸収性物品20にもバイオマスプラスチックが含まれることにより、環境に配慮した製品であることをよりユーザーにより認識させやすくすると共に、ユーザーが安心して吸収性物品20を使用することができるようになる。
【0080】
(態様10)
吸収性物品20の重量に対する、吸収性物品20に含まれるバイオマスプラスチックの重量の割合よりも、収容部材10の重量に対する、収容部材10に含まれるバイオマスプラスチックの重量の割合の方が大きいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0081】
そうすると、収容部材10におけるバイオマスプラスチックの含有率を、吸収性物品20におけるバイオマスプラスチックの含有率よりも高めることで、その分、収容部材10における石油由来原料の含有率を低くすることができる。したがって、石油由来原料の使用量を削減し、より環境に優しい吸収性物品20の収容体1を実現することができる。
【0082】
(態様11)
最外層10aの少なくとも一部が紙で構成された収容部材10と、収容部材10により収容され、最外面の少なくとも一部が不織布で構成された吸収性物品20と、を備える吸収性物品20の収容体1であって、収容部材10の最内層10bにおける動摩擦係数MIUの最小値が、紙で構成された収容部材10の最外層10aの動摩擦係数MIUよりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0083】
そうすると、収容体1の外観を紙として維持しつつ、最内層10bの動摩擦係数MIUが最外層10aの動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20の取出し時における不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0084】
(態様12)
吸収性物品20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、前記収容部材10の最内層における動摩擦係数MIUの最小値が、前記対向面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0085】
そうすると、最内層の動摩擦係数MIUが吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20の取出し時における不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0086】
(態様13)
紙の最外層10aの動摩擦係数MIUが、吸収性物品20の最外面における動摩擦係数MIUの最大値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0087】
そうすると、最外層10aの動摩擦係数MIUが吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20を取り出した後の収容部材10と吸収性物品20の接触による不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0088】
(態様14)
吸収性物品20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、吸収性物品20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0089】
そうすると、吸収性物品20の最も肌側の動摩擦係数MIUが対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、着用時に吸収性物品20が擦れた際に、着用者が違和感を覚えにくい。また、最内層10bと対向面が擦れた際に、最も肌側の面同士が滑りやすいので、対向面が最内層10bにつられて動きやすく、毛羽立ちを抑制することができる。
【0090】
(態様15)
吸収性物品20の最外層面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、対向面における動摩擦係数MIUの最小値が、吸収性物品20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0091】
そうすると、吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUが最も肌側の面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20を収容部材10から取出しやすい。
【0092】
(態様16)
前記収容部材10の最内層における表面粗さSMDの最小値が、前記紙で構成された前記収容部材10の最外層10aにおける表面粗さSMDよりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0093】
そうすると、収容部材10の最内層10bにおいては、表面粗さSMDが小さいので擦れによる吸収性物品20の損傷が抑制され、最外層10aにおいては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすく収容体1が持ちやすくなる。
【0094】
(態様17)
吸収性物品20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、収容部材10の最内層における表面粗さSMDの最小値が、対向面における表面粗さSMDの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0095】
そうすると、収容部材10の最内層においては、表面粗さSMDが小さいので擦れによる吸収性物品20の損傷が抑制され、吸収性物品20の対向面においては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすく吸収性物品20を収容部材10から取出しやすくなる。
【0096】
(態様18)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、吸収性物品20を取り出す際に開封する開口部10pnが設けられており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、吸収性物品20と開口部10pnの間に隙間が設けられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0097】
そうすると、隙間に手を入れることができるので、手指によって収容部材10を広げやすくなり、取り出す際に吸収性物品20が擦れにくくなる。
【0098】
なお、図1に示す収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態における吸収性物品20は、吸収性物品20の自重により収容部材10の底面13に当接し、左右方向においては中央に位置している。かかる状態とするには、例えば、収容部材10の上端部を掴んで持ち上げ、軽く上下に振った後に、ゆっくりと収容体1を直立させることで実現することができる。また、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態においてインジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する場合、吸収性物品20は内部空間において移動させることができる。つまり、吸収性物品20を収容部材10の底面13と当接させ、左右方向においては内部空間において任意の位置に位置することができる。
【0099】
(態様19)
開口部10pnは、収容部材10の上端よりも下側に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0100】
そうすると、収容部材10の上端に開口部10pnがある場合に比べて、さらに隙間が形成されるので(隙間+開口部10pnから上端まで部分)、手指によって収容部材10がより一層広げやすくなり、取り出す際に吸収性物品20がより一層擦れにくくなる。
【0101】
(態様20)
前記収容体には、複数の前記吸収性物品20が収容されており、前記吸収性物品20が、前記前後方向において並んでいる一方で、前記上下方向と前記左右方向においては並んでいないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0102】
そうすると、列の数が2列以上の場合に比べて、列と列が接触することがないので、列の形状が崩れることを抑制することができる。
【0103】
(態様21)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓領域16の上端及び下端が、吸収性物品20と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0104】
そうすると、窓領域16と非窓領域17の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、上端と下端が吸収性物品20と重複することにより、かかる部分で折り曲がりにくくなる。
【0105】
(態様22)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、窓領域16の上端が、収容状態における吸収性物品20の上下方向における中心よりも上側に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0106】
そうすると、窓領域16と非窓領域17の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、例えば、使用済み品の吸収性物品20を上下方向に2つ折りにして収容体1に入れて廃棄する際に、収容体1をコンパクトにしやすくなる。
【0107】
(態様23)
かかる吸収性物品20の収容体であって、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられていないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0108】
そうすると、下端部は広げることができないので、予め襠を設けて収容部材10の下側を広くすることにより、吸収性物品20を取り出す際に収容部材10と吸収性物品20が擦れることを抑制することができる。
【0109】
(態様24)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20の股下側が収容体1の上側に位置するように、吸収性物品20が収容部材10に入れられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0110】
そうすると、吸収性物品20の股下側は剛性が高いので、収容時において下側を上側にすることにより、取出し時に吸収性物品20を引っ張りやすくなる。
【0111】
(態様25)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10と、収容部材10により収容され、排泄物を検知するインジケータ23を有する吸収性物品20と、を備えた吸収性物品20の収容体であって、収容部材10には、外部から吸収性物品20を視認することができる窓領域16と、視認することができない非窓領域17と、が設けられており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0112】
そうすると、外部から内部の吸収性物品20を視認することができ、かつ、陳列時等に非窓領域17と重複するインジケータ23は、紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0113】
なお、「収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する」とは、吸収性物品20が収容部材10の内部で左右方向に動いたときに、そのどの位置でも「前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。
【0114】
(態様26)
吸収性物品20には、製品図柄25が印刷されており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、収容部材10の外部から窓領域16を通して製品図柄25の少なくとも一部が視認できることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0115】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の製品図柄25を確認することができる。
【0116】
(態様27)
製品図柄25には、吸収性物品20が製造された国名、吸収性物品20を製造又は販売する会社名のロゴ、吸収性物品20の商品名のロゴ、及び吸収性物品20に使用されている材料の少なくともいずれか1つの標記が含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0117】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の製造国、製造会社名のロゴ、商品名のロゴ、及び使用されている材料の少なくともいずれか1つを確認することができる。
【0118】
(態様28)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、腹部26又は背部27が窓領域と対向することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0119】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20(おむつ)の側面に比べて面積の大きい正面又は背面を確認することができる。
【0120】
(態様29)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20は、吸収性物品20の股下側が収容体1の下側に位置するように収容され、収容状態における吸収性物品20を上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域を有し、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、股下領域の少なくとも一部が非窓領域17と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0121】
そうすると、インジケータ23は股下領域に特に必要とされるので、股下領域と非窓領域17が重複することにより、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0122】
(態様30)
前記吸収性物品20は、インジケータ23として、腹部26に位置する部分と背部27に位置する部分とを有しており、腹部26及び背部27の一方が窓領域16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分よりも、インジケータ23のうちの他方に位置する部分の方が、上下方向の上側に長く延びていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0123】
そうすると、長さの長いインジケータ23の部分を窓領域16と対向させた場合に比べて、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制される(窓領域16と重複するインジケータ23が少なくなる)ので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0124】
(態様31)
吸収性物品20は、インジケータ23として、腹部26に位置する部分と背部27に位置する部分とを有しており、腹部26及び背部27の一方が窓領域16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分は、インジケータ23のうちの他方に位置する部分よりも、上下方向の上側に長く延びていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0125】
そうすると、長さの短いインジケータ23の部分を窓領域16と対向させた場合に比べて、非窓領域17において股下領域の劣化を抑制しつつ、陳列時等に消費者が外部からインジケータ23を視認しやすい。
【0126】
(態様32)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、一方に位置する部分と非窓領域17とが重複する重複部分の上下方向における長さが、一方に位置する部分と窓領域16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも、長いことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0127】
そうすると、長さが長い一方のインジケータ23において、窓領域16からインジケータ23を視認可能としつつ、非窓領域17の方が重複領域の長さが長いので、短い場合に比べてインジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0128】
(態様33)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、インジケータ23と非窓領域17とが重複する重複部分の上下方向における長さが、インジケータ23と窓領域16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも、長いことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0129】
そうすると、窓領域16のほうが長い場合に比べて、陳列時にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0130】
(態様34)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓領域16の上端が、吸収性物品20と重複しないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0131】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の一端まで確認することができる。
【0132】
(態様35)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態とは上下関係が逆様となる状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0133】
そうすると、収容体1を逆様にした状態において(紙の収容部材10なので内部に隙間がある。つまり、吸収性物品20が内部で収容体1の上側へ移動した状態において)、インジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0134】
(態様36)
収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、収容部材10の下端部において、底面13は、前面11及び後面12の少なくとも一方と、接合されていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0135】
そうすると、収容部材10の下端部における部材同士の接合層の数が収容部材10の上端部における部材同士の接合層の数よりも多いので、収容部材10の下端部が補強され、下端部の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0136】
(態様37)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20の股下側が収容体1の下側に位置するように、吸収性物品20が収容部材10に入れられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0137】
そうすると、吸収性物品20は股下側が厚いので、股下側が位置する収容部材10の部分は裂けやすくなるが、股下側を収容部材10の上側とした場合に比べて、収容部材10の下端部の接合層の数が上端部の接合数の数より多いので(下端部の方がしっかりと接合されているので)、収容部材10の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる
【0138】
(態様38)
収容部材10と、収容部材10に収容され、吸収性コア22aを備える吸収性物品20と、を備えた吸収性物品20の収容体1であって、収容部材10には、図柄15が印刷されており、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しないことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0139】
そうすると、収容体1が複数並べられる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0140】
なお、吸収性物品20は、収容部材10の内部空間において移動させることができるので、収容部材10の内部空間における位置によっては、吸収性物品20(吸収性コア22a)と図柄15の位置関係が成立しない場合があり得る。そのため、吸収性物品20が内部空間において取り得る任意の位置のうちのある位置(内部空間のいずれかの位置)に位置し、記載の位置関係が成立している状態について説明する。なお、吸収性物品20と図柄15の位置関係が常に成立する場合もあり、かかる場合は、内部空間における吸収性物品20の位置はいずれであってもよい。なお、「吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」とは、吸収性物品20が収容部材10の内部で動いたときに、そのどの位置でも「吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。「吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において」も同様の意味とする。
【0141】
(態様39)
吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性物品20と重複しないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0142】
そうすると、収容体1が複数並べられる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0143】
(態様40)
吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15と吸収性物品20とが重複しない領域が、図柄15と吸収性物品20とが重複する領域よりも、大きいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0144】
そうすると、重複しない領域が小さい場合に比べて、図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0145】
(態様41)
収容部材10の最外層10aの少なくとも一部は、紙で構成され、収容部材10は、内部に内部空間を有し、内部空間は、吸収性物品20が存在する空間と、吸収性物品20が存在しない隙間空間とを有し、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、隙間空間と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0146】
そうすると、隙間空間には吸収性物品20が存在しないので、かかる部分と重複する図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0147】
(態様42)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、図柄15の少なくとも一部が、収容部材10の上部に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0148】
そうすると、左右方向の中心における前面11と後面12の間の距離は、上部が下部より短いので、上部に図柄15を印刷することにより、隣り合う収容体1の図柄15同士の間隔を広げることができ、収容部材10の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0149】
(態様43)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、吸収性物品20を取り出す際に開封する開口部10pnが設けられており、開封部10pnには、図柄15が印刷されていないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0150】
そうすると、吸収性物品20の開封時に触る開口部10pnに図柄15が印刷されていないので、手へのインク移り及び図柄15の擦れを抑制することができる。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0151】
上述の実施形態では、収容部材10が、前面11、後面12、及び底面13によって構成されていたが、収容部材10の構成はこれに限られない。例えば、前面11、後面12、及び底面13が単一のシート部材によって形成されており、当該単一のシート部材を所定位置で折り曲げることによって収容部材10が形成されるのであっても良い。すなわち、図3の上下方向下端部において、前面11と底面13と後面12とが連続する一部材であり、これらをシールするボトムシール部19が設けられていない構成であっても良い。また、収容部材10は、底面13がない構成でもよく、その場合は、前面11の下端部と後面12の下端部とを接合する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0152】
1 吸収性物品の収容体(収容体)、
10 収容部材、10a 最外層、10b 最内層、
10pn 開口部、
11 前面、12 後面、13 底面、
14 封止部、
15 図柄、
16 窓領域、
17 非窓領域、
18 サイドシール部、
19 ボトムシール部、
20 吸収性物品、
21 外装体、
22 内装体、22a 吸収体、22b 肌側シート、22c 非肌側シート、
23 インジケータ、
24 ファスニングテープ、
25 図柄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13