(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】直接電気加熱による吸熱反応を実行するための固体充填装置
(51)【国際特許分類】
B01J 8/12 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
B01J8/12 311
(21)【出願番号】P 2020540735
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2019051466
(87)【国際公開番号】W WO2019145279
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-20
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】アッペル,ハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ベルンナット,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】グレンク,フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】コリオス,グリゴリオス
(72)【発明者】
【氏名】オルベルト,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シャイフ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ツェルス,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ケルン,マッティアス
(72)【発明者】
【氏名】フリック,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】アンデルロール,クリストファー アレク
(72)【発明者】
【氏名】クリングラー,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヒズンク,アヒム
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530984(JP,A)
【文献】米国特許第05903591(US,A)
【文献】スイス国特許出願公開第00278580(CH,A3)
【文献】米国特許第02799640(US,A)
【文献】ベルギー国特許発明第498231(BE,A)
【文献】独国特許発明第00882124(DE,C1)
【文献】米国特許第04192962(US,A)
【文献】特表昭56-500691(JP,A)
【文献】実開昭62-194435(JP,U)
【文献】特開昭58-192282(JP,A)
【文献】特開昭52-014249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-8/46
C01B 3/00-6/34
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段(3)、中段(1)、下段(2)の装置部を有し、垂直配置の少なくとも一対の電極(4,5)が前記中段装置部に設置され、全ての前記電極が導電性の固体状充填物(26)に設置され、前記上段および下段の装置部は10
5S/mから10
8S/mの比導電率を有し、前記中段装置部は前記固体状充填物に対して電気的に絶縁されている、吸熱反応を行うための電気加熱可能な充填耐圧装置であって、
前記上段および下段の装置部は前記中段装置部から電気的に絶縁され、上段の前記電極が前記上段装置部を介して接続され、下段の前記電極が前記下段装置部を介して接続され、あるいは前記電極はそれぞれこれら装置部に電気的に接触している1つ以上の接続要素(10,16)を介して接続され、
接続要素を使用する場合の、前記上段および下段の電極の断面積の、それぞれの導電性接続要素の断面積に対する比、または接続要素を使用しない場合の、前記上段および下段の電極の断面積の、それぞれの導電性装置部の断面積に対する比が、0.1から10である、装置。
【請求項2】
接続要素を使用する場合の、前記上段および下段の電極の断面積の、それぞれの導電性接続要素の断面積に対する比、または接続要素を使用しない場合、前記上段および下段の電極の断面積の、それぞれの前記導電性装置部の断面積に対する比が、0.3から3である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接続要素の断面積の、前記固体状充填物の断面積に対する比が0.001から0.2であり、および/または、前記導電性の上段または下段の装置部の断面積の、前記固体状充填物の断面積に対する比が0.001から0.2である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記電極が星形に配置された2から30本のバーを有するスポーク形態の電極グリッドとして構成される、請求項1~3のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
電極バーが、それらの外側端部で、少なくとも1つの接続要素に接続され、あるいは上段又は下段装置部を介して接続され、この接続が、個々の前記電極バーの位置決めのための唯一の固定支持である、請求項1~4のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記上段電極の温度が少なくとも350℃である、請求項1~5のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記上段及び下段の装置部がフードとして構成され、前記中段装置部から取り外し可能である、請求項1~6のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記電極と前記接続要素の間の導電接触面が0.1cm
2と10000cm
2の間である、請求項1~7のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記固体状充填物の上端と前記上段電極の電極下端の間の垂直距離が10mmから5000mmであり、前記下段電極の電極上端とガス状反応物のフィードの間の垂直距離が10mmから5000mmである、請求項1~8のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記電極の断面ブロッキングが1%と20%の間である、請求項1~9のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記電極バーは、それぞれそれへ固定された1から100の電極プレートを有し、前記装置の断面をグリッドセルに分割し、前記グリッドセルの等価直径は10mmと2000mmの間である、請求項
5~10のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記上段および/または下段の装置部がツインシェル設計であり、内側シェルが導電性接続要素であり、外側シェルが前記内側シェルから電気的に絶縁されている、請求項1~11のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1から12の少なくとも1項に記載の装置において、吸熱気相又は気体-固体プロセスを実施する方法。
【請求項14】
前記導電性固体状充填物が向流移動床として実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記固体状充填物の上端において、ガス状生成物流と固体粒子のフィード流の出口温度の差が0Kから500Kであり、前記固体状充填物の下端において、固体生成物流とガス状フィード流の出口温度の差が0Kから500Kである、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上段、中段及び下段の装置部に分割可能な吸熱反応を行うための加熱可能な充填された装置に関し、そこでは、上段及び下段の装置部は、中段の装置部から電気的に絶縁されており、上段及び下段の装置部において耐圧装置シェルを介して接続された少なくとも一対の垂直配列の電極を有し、中段の装置部の側壁から電気的に絶縁された導電性固体状充填物を有している。
【背景技術】
【0002】
高度な吸熱反応は、しばしば、化学工業における価値創造連鎖の始まり、例えば、鉱油留分の分解において、天然ガス又はナフサの改質、プロパンの脱水素、メタンのベンゼンへの脱水素芳香族化、又は炭化水素の熱分解である。500°Cから1700°Cの間の温度が、工業的生産及び経済的利益の達成のために必要である。この主な理由は平衡変換の熱力学的限界にある。
【0003】
吸熱高温反応は、工業的実施に対して2つの主要な課題を提示する:第1に、必要な反応温度での高出力密度の熱の導入と、第2に、生成物流と反応物流の間の熱の統合されたリサイクルである。熱の統合リサイクルは、反応物/生成物の保存温度と必要反応温度との間の、温度差を最小のエネルギー消費で架けわたすことができる。
【0004】
従来技術によれば、流動床反応器は、吸熱処理の熱統合伝導に使用される(Levenspiel,O.(1988),Chemical Engineering’s grand adventure.Chemical Engineering Science,43(7),1427~1435頁)。吸熱反応への熱供給については、種々の概念が採用されている。
【0005】
US2002/0007594は、水素及び炭素質生成物の並行調製のための方法を開示しており、該方法では、天然ガスが反応空間に導入され、炭素リッチな固体の存在下で熱分解される。US2002/0007594は、炭素質固体が、熱分解のために反応空間とは別の反応器内で加熱されることを開示している。加熱は、炭化水素又は水素の燃焼で形成される燃焼ガスによって行われる。続いて、加熱された固体が反応空間に導入される。
【0006】
熱担体として固体を使用することの欠点は、固体が分離された燃焼室で反応の温度レベルを超えて加熱され、そして燃焼室と反応室の間で循環されなければならないことである。高温の固体の取り扱いは、反応器及び制御装置に非常な熱的及び機械的ストレスをもたらす。さらに、固体状粒子の流量は、反応の熱要求に結びついており、断面を横切る質量流の均一な分布は、最適な熱統合を達成するための必要条件である。その結果、ガス流と固体流の間の比率は狭い範囲内でのみ調整されることができる。
【0007】
WO2013/004398は、反応空間の外で熱担体のための熱エネルギーを生成し、分解反応、および/またはこの反応の生成物に対して不活性なガス状熱担体を使用することを開示している。1つの欠点は、固体状粒子の流量が熱統合の要求に結びついていることである。さらに、分解反応の生成物流が、逆反応が起こり得る温度低下領域を通過する。
【0008】
先行技術(例えば、US6,331,283)はまた、吸熱反応に必要な熱が、同じ反応空間内の発熱性の付随する反応を介して生成される自己熱の方法を開示している。これらの自己熱の方法の欠点は、煙ガスによるガス状生成物による汚染、例えば炭化水素熱分解の場合、C含有成分による水素リッチ生成物流への巻き込みである。さらに不利な点は、生成物の収率の損失である:炭化水素熱分解の場合、熱分解炭素の実質的な損失である。
【0009】
さらに、熱は、例えば、復熱手段(例えば、EP 15 16 8206)によって、又はヒートパイプ(例えば、US4,372,377)を介して、発熱反応チャンバから吸熱反応チャンバに間接的に伝達され得る。この概念の欠点は、ガスケット及び熱応力の回避に高い材料関連及び構造上の要求を課す反応チャンバの高温部の複雑な内部構造である。さらに、これらの内部構造は固体の流れを妨害する。この概念のさらなる問題は、伝熱面の汚れである:例えば、炭化水素熱分解の場合には、高温表面に優先的に起こる熱分解炭素の堆積である。
【0010】
US2,982,622は、不活性材料で構成された移動床での炭化水素の熱分解を記載している。熱分解に必要な1200℃の温度は、電気加熱によって達成される。US2,982,622の2つの図では、電極は水平に配置されている。垂直配置の可能性は明細書に開示されている。US2,982,622の図から、電極ブッシュが反応器の高温領域にあることが推論され得る。これは複数の欠点を結果として生じる:第1に、電極ブッシングは、実質的な熱損失を引き起こす可能性のある熱ブリッジを形成すること、第2に、ブッシングは、異なる熱膨張を有する層、すなわち鋼製の反応器壁及び鉱物材料製の断熱層を通って案内される必要があるため、それ自体が機械的に要求が厳しいことである。その結果、ブッシングは高い曲げモーメントを受ける可能性がある。さらに、電極ブッシングは高い熱安定性を有していなければならず、したがって、材料の一定の電気抵抗を受け入れることが必要である;典型的には、グラファイトが使用される。
【0011】
US2,799,640は、必要なエネルギーが電気的に供給される流動床反応器でのアセチレン調製を記載している。電極は、水平又は垂直配置であってもよい。垂直配置の場合、リング状のクモの巣のような電極グリッドが開示されている。垂直配置が反応器空間全体にわたって電流の良好な分布を確かにすることが記載されている。US2,799,640の図から、電極ブッシュが、電極の水平配置の場合と垂直配置の場合の両方において、反応器の高温領域にあることが推論される。
【0012】
AT175243は、オーブンシャフト内に存在するバルク材料に電流を伝達するための垂直配置の2つの電極を有する電気炉を記載しており、そこでは、上段電極は、内部冷却される水平ビーム状の中空体として設計され、バルク材料充填物内に配置されている。この開示においても、電極ブッシングは、反応器の高温領域にあり、レンガで裏打ちされた反応器蓋を通っている。
【0013】
CH278580は、シャフト炉内に存在するバルク材料に電流を伝達するために垂直に配置された2つの環状電極を有するシャフト炉を開示しており、そこでは、上段電極はバルク材料充填物内に配置され、下段電極はガス入口スタブの真上に配置されている。この開示においても、電極ブッシングは、反応器の高温領域にあり、レンガで裏打ちされた反応器の側壁を通っている。
【0014】
US3,259,565は、炭化水素の熱分解のための電気加熱の流動床反応器を開示している。この文献は、電極の幾何学的配置及び構造についての詳細を開示していない。US3,259,565の
図2は、反応器の側壁を通る電気供給線のブッシングを示している。したがって、このソリューションは、さらに上述した欠点に悩まされている。
【0015】
電極の水平配置の実質的な利点は、電極が反応器の断面を塞がないことである。さらに、水平配置の場合には、垂直に分割された電極は、電流、したがって、加熱出力を、流れ方向に制御されたやり方で分配することができる。
【0016】
垂直配置の利点は、反応器の大きな断面積を横切る流れの分布、及び流れ方向の電位線の平行配列、及び反応器の高さ全体にわたる一定の流量の選択が含まれる。
【0017】
US5,903,591、US5,406,582及びUS5,974,076は、環境圧力で運転され、上下に配置される2つ以上のゾーンで構成される管状反応器内の炭素の活性化又は再生のための装置及び方法を記載している。炭素は、反応器に接続された充填漏斗を介して上端で最上段ゾーンに導入され、その後、漏斗状の分配器を介してそれぞれ次のゾーンに導かれる。反応器は、電流が充填漏斗を介して最上段ゾーンに導かれ、漏斗状の分配器を介して中間のゾーンに導かれることにより、電気的に加熱される。充填漏斗、接続要素、及び電極については、詳細は記載されていない。US5,903,591は、したがって、反応器の高温領域における電極ブッシングと、低温領域における外側充填漏斗を介する二次元端部の両方を開示している。本発明の欠点は、電流が電極だけでなく、充填漏斗の壁を介しても炭素床に分配されることである。さらなる欠点は、電流誘導ハウジングへの電極の接続が、電気エネルギーの熱エネルギーへの不要な散逸をもたらす追加の通路抵抗を生じることである。さらに、接続要素における材料の遷移は、電極の機械的安定性の弱点を構成する。最後に、ブロック状のグラファイト電極の断面ブロッキングは、反応器断面を横切る固体流れの不均等な分割をもたらす。
【0018】
US5,946,342は、電気に加熱された移動床における活性炭の調製及び活性化について記載している。US5,946,342の
図3は、50%を超える高い断面ブロッキングを有する環状構成の電極を示している。電極は、炭素で構成され、活性炭の流れ方向に平行な点まで延びる端部を有する。電極の接触接続の具体的な方法は記載されていない;US5,946,342の
図3から、接触接続が反応器フードを介していないことは明らかである。
【0019】
US7,288,503は同様に、電気的に加熱された固定床での活性炭の調製及び活性化を記載している。ロッド電極が使用され;電極のブッシングは蓋を通っており、電極は蓋から絶縁されている(US7,288,503の
図3を参照)。
【0020】
DE 102 36 019 A1は、反応器の断面を完全に満たし、反応器の内壁及び任意で互いから電気的に絶縁された1つ以上の加熱ブロックを備えた、吸熱反応を実行するための反応器を記載しており、加熱ブロックは、連続気泡発泡体から形成されている。電極の接触接続の方法は記載されていない。
【0021】
電気加熱の多くの利点:
(i) 加熱出力は、全温度範囲全体にわたって実質的に一定であり、熱担体の温度によって制限されない、
(ii) 燃料及び熱担体を不要にすることは、反応器の構造を簡素化し、反応ゾーン周辺の対応する物質流れを計量するための制御回路が不要となる。また、異物によるプロセス流の汚染/希釈が除外される。これは、反応器の運転信頼性を向上させる、
(iii) 加熱出力は、内部構造がない、すなわち非構造断面を有する単純な反応器に導入することができる。これは、信頼性の高いスケーリングを確実にする、
(iv) 加熱は局所的にエミッションフリーである。CO2フリーの再生可能なソースを使用する場合、加熱は完全にエミッションフリーになる、
にもかかわらず、加熱の問題における決定的かつ重大な欠点は、これまでのところ、電気エネルギーが化石エネルギー担体に比べてコストが高いということである。しかし、エネルギー革命により、この欠点は今後数年で解消されるはずである。
【0022】
さらに、高温での吸熱気相反応又は気固系反応の実行のための充填された反応器における電気エネルギーの効率的な導入及び均一な分配のための反応器の概念がこれまでかけていた。引用された先行技術に示されている反応器シェルを介した電極接触接続のアプローチは、実施上非実用的であることが見出されている。第一に、反応器の高温領域における電気的接続のブッシングは非常に複雑であり、故障しやすい。第二に、電源への電極の接触接続は、実質的に点接続である。この特徴は複数の欠点を有しており:電流は充填物の断面にわたって不均一に分配される。さらに、電極の電気的接触接続を達成する接続要素は、小さい断面積を有し、したがって、高い電気抵抗を有する。結果として、導入された電力のかなりの部分が、特にグラファイトで構成されている場合、接続要素と電極自体で散逸してしまう。その結果、電気エネルギーが反応器充填物内で適切に利用されない。加えて、接続要素及び/又は電極を特別に冷却する必要があり、それは高価で複雑な装置構成を必要とする。第三に、電極とそれに付随する接続要素の構造は規模拡張可能ではない:このため、断面積が小さい試験反応器での作動条件は、断面積が大きい産業用装置を表象するものではない。
【0023】
産業界では、現在、電気加熱は、いくつかの大規模なプロセス:例えば、導電性炭素粒子で構成された流動床反応器で1300℃から1600℃の温度でアンモニアと炭化水素からシアン化水素を生成する化学気相反応や、2000℃から2300℃の間の温度で溶融還元炉での炭化カルシウムの調製、でのみ使用されている。US3,157,468の
図2は、電極ごとに1つの電極ブッシングを有する、垂直配置のロッド状の電極を備えたシアン化水素反応器を示している。Ullmannの“Calcium Carbide”の章では、予焼成された炭素電極又は自己焼成されたゼーダーベルク(Soederberg)電極について言及されている。先行技術で慣用されているタイプは、ゼーダーベルク型中空電極である。電極は、三相交流電流で作動し、その周辺の冷却クランプによって接触接続されている。炭素は、炭化カルシウム調製における反応物であるため、電極は消費され、交換する必要がある。これらの設計の欠点は、反応器ハウジングを通して個々の電極の複雑なブッシングであり、これは、各ブッシングが個別に密封され、電気的に接触接続され、電極の制御された軸方向移動を可能にしなければならないからである。さらに、必要とされるブッシングの数は、反応器の断面積に比例して増加する。
【0024】
産業用反応器では、中心軸と反応器シェルとの間に500Kを超える温度差が生じる可能性がある。所与の運転条件の下では、ワンピース設計を有し、円周に堅く取り付けられる電極グリッドの開示された構成は、破損する可能性がある。
【0025】
現在のところ、気相中の吸熱反応又は気固反応を実行するための、商業運転の電気的に加熱された充填反応器は存在しない。
【0026】
ほとんどの従来行われている高温プロセスは、加熱炉により加熱される。これらのプロセスは経済的に機能するためにエネルギーエクスポートに依存しており:プロセスで発生する熱の約50%のみが実際に吸熱反応に利用される。このように、完全な熱統合はまだ遠い目標である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】US2002/0007594
【文献】WO2013/004398
【文献】US6,331,283
【文献】EP 15 16 8206
【文献】US4,372,377
【文献】US2,982,622
【文献】US2,799,640
【文献】AT175243
【文献】CH278580
【文献】US3,259,565
【文献】US5,903,591
【文献】US5,406,582
【文献】US5,974,076
【文献】US5,946,342
【文献】US7,288,503
【文献】DE 102 36 019 A1
【文献】US3,157,468
【非特許文献】
【0028】
【文献】Levenspiel,O.(1988),Chemical Engineering’s grand adventure.Chemical Engineering Science,43(7),1427~1435頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
したがって、本発明の一つの目的は、充填された吸熱高温プロセスのクラスのための、適応性があり、規模拡張性があり、電気的に加熱された装置の概念、特に耐圧反応器の概念を示すことであった。さらなる目的は、装置の加熱ゾーン、特に反応器の加熱ゾーンに低損失で電気エネルギーを導入することであった。これは、装置に導入された電力の有利にも99%以上が加熱ゾーンで放出されることを意味する。さらなる目的は、加熱ゾーンの全長にわたって最大の均一性で電流を流すことであった:これにより、充填物をほぼ均一に加熱し、その結果、線形の変換プロファイルを達成することができる。さらなる目的は、最大の熱統合を有する充填装置、特に充填反応器を示すことであった。さらなる目的は、断面積が小さい試験反応器での試みが、産業用装置、特に産業用反応器を表象することであった。さらに、電気的に加熱される装置、特に電気的に加熱可能な反応器は、一般的な装置の観点で単純な構成である必要があった。
【発明を実施するための形態】
【0030】
驚くべきことに、上段(3)、中段(1)及び下段(2)の装置部を有し、少なくとも一対の電極(4,5)が垂直配置で中段装置部(1)に設置/配設され、全電極が導電性固体状充填物(26)内に配設/埋設され、上段及び下段の装置部が105S/m~108S/mの比導電率を有し、中段装置部が固体状充填物に対して電気的に絶縁されている、電気加熱可能な充填耐圧装置、特に反応器を実証することが可能であり、そこでは、上段及び下段の装置部が中段装置部から電気的に絶縁され、上段電極が上段装置部を介して接続され、下段電極が下段装置部を介して接続され、あるいは、電極はそれぞれこれら装置部と電気接触された1つ以上の接続要素(10,16)を介して、上段電極及び/又は、好ましくは及び、下段電極の断面積と、それぞれの導電接続要素の断面積の比、接続要素を使用しない場合は、上段電極及び/又は、好ましくは及び、下段電極の断面積と、それぞれの導電性装置部の断面積の比が0.1から10である。
【0031】
本発明の装置は、以下で「反応器」としても参照される。
【0032】
本出願における「耐圧装置」は、その内部と環境との間の圧力差が0.5バールを超える圧力差に耐える装置を意味するものと理解される。
【0033】
本出願における「フード」は、耐圧反応器シェルの端部を意味するものと理解される。
【0034】
本出願における「接続要素」は、フードへの導電接続であって、フードの接続点から電極に電流を伝導させる装置の構成要素を意味するものと理解される。接続要素の一例は、反応器フードに固定されたスカートである(
図1a参照)。
【0035】
接続要素は、有利には、固体状充填物の外周に配置される。接続要素の明確な断面積、すなわち接続要素によって囲まれた面積は、有利には固体状充填物の断面積の90%よりも大きく、好ましくは95%よりも大きく、特に好ましくは98%よりも大きい。より好ましくは、円周方向の接続要素は、固体状充填物の境界と同一平面である。有利には、接続要素は、円筒形又はプリズム形である。有利には、接続要素は、水平方向において、固体状充填物の断面積の10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満をカバーする;より好ましくは、接続要素は、固体状充填物に水平方向に突出しない。有利には、接続要素は、電極と同じ材料からなる。
【0036】
本出願における「接続要素の断面」は、接続要素と、接続要素と交差する最小面積成分を有する任意の水平面の間の交差領域を意味するものと理解される(
図1b参照)。
【0037】
本出願における「電極の断面」は、電極と、電極に接触接続された導電接続要素との間の交差領域を意味すると理解される(
図1c参照)。
【0038】
本出願における「上段又は下段の装置部の断面」は、上段又は下段の装置部と、これらの装置部と交差する最小の面積成分を有する任意の水平面の間の交差領域を意味すると理解される(
図1bの接続要素と同様)。本出願における「電気的に絶縁された」とは、固体状充填物と反応器の中段部の側壁との間、及び例えばフードなどの上段及び下段装置部と反応器の中段部の側壁との間の、規格DIN VDE 0100-600:2017-06(公開日2017-06)に従って測定された、1kΩより大きい、好ましくは100kΩより大きい、特に1MΩより大きいオーム抵抗を意味すると理解される。本出願における「反応器の側壁」は、反応器シェル(1)の本質的に垂直に整列した部分を意味すると理解される。側壁に沿って、反応器を通る水平断面は、本質的に同じ面積成分(固体状充填物の断面積)を有する。
【0039】
上段電極及び/又は下段電極の断面積、好ましくは上段電極及び下段電極の断面積の、それぞれの導電接続要素の断面積に対する比率は、有利には0.1から10、好ましくは0.3から3、特に好ましくは0.5から2である。有利には、電極の断面積(例えば、グリッド状の電極の全電極バーの断面積)は、0.1cm
2から10000cm
2、好ましくは1cm
2から5000cm
2、特に10cm
2から1000cm
2の範囲である。有利には、導電接続要素の断面積は、0.1cm
2から10000cm
2、好ましくは1cm
2から5000cm
2、特に10cm
2から1000cm
2の範囲である。比率(断面積
電極(上段)/断面積
接続要素(上段))及び(断面積
電極(下段)/断面積
接続要素(下段))の計算は、それぞれ
図22及び
図23に示されている。
【0040】
接続要素を使用しない場合(電極と上段又は下段の接続部の間で)、上段電極及び/又は下段電極の断面積、好ましくは上段電極及び下段電極の断面積の、それぞれの導電性装置部の断面積に対する比は、有利には0.1から10、好ましくは0.3から3、特に0.5から2である。有利には、電極の断面積は、0.1cm2から10000cm2、好ましくは1cm2から5000cm2、特に10cm21000cm2の範囲である。有利には、上段及び/又は下段装置部の断面積は、0.1cm2から10000cm2、好ましくは1cm2から5000cm2、特に10cm2から1000cm2の範囲にある。
【0041】
有利には、上段装置部と下段装置部との間、例えば2つの反応器フードの間に、1ボルトから10000ボルト、好ましくは10ボルトから5000ボルト、より好ましくは50ボルトから1000ボルトの電位差(電圧)が印加される。フード間の電界強度は、有利には1V/mから100000V/m、好ましくは10V/mから10000V/m、さらに好ましくは50V/mから5,000V/m、特に好ましくは100V/mから1000V/mである。
【0042】
固体状充填物の比電気伝導率は、有利には0.001S/cmから100S/cm、好ましくは0.01S/cmから10S/cm、特に0.05S/cmから5S/cmである。
【0043】
これにより、有利には、0.01A/cm2から100A/cm2、好ましくは0.05A/cm2から50A/cm2、特に0.1A/cm2から10A/cm2の固体状充填物における電流密度をもたらす。
【0044】
反応器は、有利には、複数のゾーンに分割されている。有利には、下から上に向かって以下のように配置されている:粒子のための出口、ガス入口(12)、下段伝熱ゾーン、下段電極(5)、加熱ゾーン、任意にサイドドロー(19)を有する上段電極(4)、上段伝熱ゾーン、ガス状生成物流(7)のための出口、及び粒子流(6)のためのフィード。下段伝熱ゾーンは、ガス入口の上端と下段電極の上端の間の垂直ゾーンである。上段伝熱ゾーンは、上段電極の下端と固体状充填物の上端との間の垂直ゾーンである。反応器断面の任意の点における加熱ゾーンは、上段電極の下端と下段電極の上端との間の垂直距離として定義される。
【0045】
有利には、上段電極の底部側と下段電極の頂部側は、反応器断面全体にわたって水平である。従って、加熱ゾーンの長さ、特に電極間のゾーンの長さは、有利には、反応器断面全体にわたって均一である。加熱反応器断面積は、有利には0.005m2から200m2、好ましくは0.05m2から100m2、より好ましくは0.2m2から50m2、特に好ましくは1m2から20m2である。加熱ゾーンの長さは、有利には0.1mから100mの間、好ましくは0.2mから50mの間、より好ましくは0.5mから20mの間、特に好ましくは1mから10mの間である。加熱ゾーンの等価直径に対する長さの比は、有利には0.01から100、好ましくは0.05から20、より好ましくは0.1から10、最も好ましくは0.2から5である。
【0046】
電極は、有利には固体状充填物内に配置される(
図1及び
図2参照)。固体状充填物の上端(バンクの場合には最低点)と電極プレートの下端、又は電極プレートを使用しない場合には、上段電極の電極バーの下端との間の垂直距離は、有利には10mmから5000mm、好ましくは100mmから3000mm、さらに好ましくは200mmから2000mmである。この部分は、有利には、固体状充填物の全高の1%から50%、好ましくは2%から20%、より好ましくは5%から30%である。
【0047】
下段電極の電極プレートの上端とガス状反応物のためのフィードとの間の垂直距離は、有利には10mmから5000mm、好ましくは100mmから3000mm、さらに好ましくは200mmから2000mmである。この部分は、有利には、固体状充填物の全高さの1%から50%、好ましくは2%から20%、より好ましくは5%から30%である。
【0048】
粒子流のフィード(6)と固体状充填物の上端との間の垂直距離は、有利には50mmから5000mm、好ましくは100mmから3000mm、より好ましくは20mmから2000mmである。
【0049】
電極は、当業者に知られているあらゆる形態をとることができる。例として、電極は、グリッド(
図12、
図13、
図14)又はロッド(
図16)の形態をとる。
【0050】
ロッドが使用される場合、所定の点まで伸長する電極ロッドが特に有利である。好ましくは、上段電極ロッド及び下段電極ロッドは、加熱ゾーンに向かってそばの点まで延びている。先端は、円錐形(
図16a)又は楔形(
図16b)であってもよい。これに対応して、ロッドの先端は、点又は線の形をしていてもよい。
図17は、ロッド電極を備えた本発明の反応器の図を示している。
図18は、上段反応器フードの詳細図を示している。例えば、US3,157,468又はUS7,288,503とは対照的に、ロッド電極は、フードに導電性接続され、フードを介してフードと共に電力が供給される。
【0051】
好ましくは、電極はグリッドの形態をとる。グリッドの形態については、様々な構成のバリエーションが考えられ、例えば、有利には規則的な多角形で構成されるハニカム形態のグリッド(
図12a)、平行バーから形成された長方形のグリッド(
図12b)、スポークの形態のグリッド(
図13)、又は同心円状のリングで構成されるグリッド(
図14)などが考えられる。特に好ましいのは、スポークの形態をしたグリッドと同心円状のリングで構成されるグリッドである。
【0052】
特に好ましいのは、上段又は下段の装置部、例えばフード、又は接続要素、例えば装置部に固定されたスカートの内側に固定されて支持されるグリッド状の電極である。
【0053】
固定支持は、剛体とその環境の接続を意味し、それによって剛体とその環境との間の相対的な動きがどの方向にも防止されることを意味する。
【0054】
例えば、スポークの形態のグリッドは、有利には、フード又はそこに固定された接続要素上に吊り下げられる星形に配置されたバーから形成されている(
図13a)。「バー」という用語と同様に、従来技術では、「スポーク」、「キャリア」又は「レール」という用語も使用している。
【0055】
さらなる構成では、スポークの形態のグリッドは、有利には、フード上に懸架され、そこから直交して進む電極プレートを支持する星形に配置されたバーから形成される(
図13b)。「電極プレート」という用語と同様に、従来技術では、「翼」、「フィン」、「サイドレール」又は「サイドバー」という用語も使用されている。
【0056】
さらなる構成では、グリッドは、有利には、放射状バーを介して接続された同心円状のリングから形成される(
図14a、14b)。DE69917761 T2[0004]の定義によれば、グリッドの形状は「フラクタルスケール」である。
【0057】
電極、すなわち電極バー及び電極プレートは、反応ゾーンの断面をグリッドセルに分割する。反応ゾーンは、固体状充填物で満たされた反応器内のボリュームである。グリッドセルは、電極グリッドによって境界付けられた反応器断面の閉じられた又は凸状の領域セグメントである。例として、
図12aは、閉領域要素を示しており;これらは、フード(10)又は(16)内のハニカム形状のグリッド(46)の結果として生じる。例えば、
図12bでは、セルは、2つの隣接するバー(46)とフードの対応する円弧部との間の細長片である。
図12~
図14において、これらの領域は、連続線又は点線で囲まれた個々のグリッドセルである。例として、
図13aでは、セルは、グリッドの隣接するスポーク(4,5)と、任意に点線の円弧部分又はフード(10,16)とによって境界付けられている。例として、
図13bでは、セルは、バーの隣接する電極プレート、すなわち対応するバーセグメントと、2つの隣接するグリッド間の点線中心線によって境界付けられている。例として、
図14a及び
図14bのセルは、隣接するバーと、リング又は反応器フードによって境界付けられている閉領域要素である。
【0058】
グリッドセルは、以下のパラメータによって特徴付けられている:開放断面積、等価直径、真円度、断面ブロッキング。
【0059】
本発明において「開放断面積」という用語は、流れが通過することができるセルの断面の面積を意味すると理解される。本発明において用語「等価直径」は、グリッドセルと等しい面積の円の直径を意味すると理解される。本発明において「真円度」という用語は、グリッドセルの端線を完全に取り囲む共通の中心を有する2つのサイクル間のリングの最小幅を意味すると理解される。真円度は、長さ寸法を有する。円の真円度はゼロである。本発明において「断面ブロッキング」という用語は、固体状充填物(反応ゾーン)の合計断面積に基づいて、電極によって覆われている固体状充填物の断面積の割合を意味すると理解される。
【0060】
グリッドセルの開放断面積は、有利には4cm2から10000cm2、好ましくは20cm2から3000cm2、より好ましくは100cm2から1000cm2である。開放断面積は、したがって、反応器の直径に依存せず、グリッドセルの数は反応器の断面積に実質的に比例する。
【0061】
グリッドセルの等価直径は、有利には10mmと2000mmの間、好ましくは20mmと1000mmの間、より好ましくは50mmと500mmの間である。
【0062】
グリッドセルの真円度は、有利には1cmと10mの間、好ましくは1cmと2mの間、より好ましくは1cmと1mの間、特に好ましくは1cmと50cmの間である。標準化された真円度は、真円度とグリッドセルの等価直径の商として定義される。好ましくは、標準化された真円度は、0以上100未満、好ましくは0以上10未満、特に0以上5未満である。例として、
図12a、
図12b及び
図13aの図は、個々のグリッドセルの真円度を示している。
【0063】
電極の断面ブロッキングは、有利には1%から50%、好ましくは1%から40%、より好ましくは1%から30%、特に好ましくは1%から20%である。
【0064】
グリッド状の電極の比表面積、すなわち電極の円周(すなわち反応器の垂直投影における電極とベッドの間の接触線の長さ)とベッドの断面積との間の商は、有利には0.01から500m2/m3、好ましくは0.1から100m2/m3、さらに好ましくは1から50m2/m3、特に2から20m2/m3である。
【0065】
電極、すなわちバー及び電極プレートの材料は、有利には鉄、鋳鉄又は鋼合金、銅又は銅基合金、ニッケル又はニッケル基合金、高融点金属又は高融点金属をベースとした合金、及び/又は導電性セラミックである。より具体的には、バーは、例えばDIN EN10027-2(公開日2015-07)に準拠した材料番号1.0401、1.4541、1.4571、1.4841、1.4852、1.4876の鋼合金、例えば材料番号2.4816、2.4642のニッケル基合金、Ti特に材料番号3.7025、3.7035、3.70164、3.7165、3.7194、3.7235の合金で構成されている。高融点金属の中でも、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W又はそれらの合金が特に有利であり;好ましくはMo、W及び/又はNb又はそれらの合金、特にモリブデン及びタングステン又はそれらの合金である。さらに、バーは、炭化ケイ素及び/又は炭素などのセラミックス、例えばグラファイトで構成されてもよく、セラミックスは、担体又は繊維強化複合材料であってもよい(例えば、セラミックマトリックス化合物、CMC、例えば、炭素繊維複合材料、CFC)。
【0066】
有利には、電極の材料は、使用温度に応じて選択される。鋼は、有利には、-50から1250℃、好ましくは-50から1000℃、さらに好ましくは-50から750℃、特に-50から500℃の温度範囲内で選択される。モリブデンは、有利には-50から1800℃、好ましくは-50から1400℃、特に-50から1300℃の温度範囲内で選択される。炭素繊維強化炭素は、有利には-50から2000℃、好ましくは-50から1600℃、特に-50から1300℃の温度範囲内で選択される。
【0067】
特定の用途では、電極は複数の材料から構成されていてもよい。複数の材料が使用される場合、電極は、有利には、その高さにわたって異なる材料部分に分割される。異なるゾーンでの材料の選択は、有利には、以下の基準:熱安定性、導電性、コスト、によって導かれる。有利には、異なる材料で作られたセグメントは、互いに圧着又は溶着接合されている。有利には、セグメント間の接続は滑らかである。
【0068】
電極は、有利には、中実電極又は中空電極として実行されてもよい。有利に設計によって中実電極の場合、電極ロッド、電極バー及び/又は電極プレートは中実体である。有利に設計によって中空電極の場合、電極ロッド、電極バー及び/又は電極プレートは中空体である。電極内の空洞は、有利には、ガス状流を反応ゾーンへ導入するため又はガス状流を反応ゾーンから除去するために利用できるチャネルを形成してもよい。中空電極の壁は、有利には、スロット付きシート、穴あきシート、伸張メタルグリッド又はメッシュ織りから形成される。
【0069】
図13a及び
図13bによるスポーク形態のグリッド電極:スポーク形態のグリッドは、有利には電極バー、有利には2から30個の電極バー、好ましくは3から24個の電極バー、特に4から18個の電極バーを有する。これらの電極バーのそれぞれには、有利には1から100個の電極プレート、好ましくは2から50個、特に4から20個の電極プレートが固定されている。
【0070】
バーの長さは、有利には1cmから1000cmの間、好ましくは10cmから500cmの間、特に30cmから300cmの間である。バーの高さは、有利には1cmから200cmの間、好ましくは5cmから100cmの間、特に10cmから50cmの間である。バーの厚さ(最も厚いところでの厚さ)は、有利には0.1mmから200mmの間、好ましくは1mmから100mmの間である。
【0071】
バー及び電極プレートの側面形状は、有利には長方形、台形又は三角形(
図9、
図10)であるが、他の幾何学的形状、例えば丸みを帯びた形状も考えられる。有利には、上段電極のバー及びプレートの下端部及び下段電極のバー及びプレートの上端部は水平である(
図9、
図10)。
【0072】
バー及び電極プレートの断面は、有利には、レンズ形、菱形、又は六角形である(
図11)。この場合、バーの上端と下端は有利にはある点まで延びている。バー又は電極プレートの上端及び下端(先端部)の厚さは、有利には0.001mmと10mmの間、好ましくは0.001mmと5mmの間、特に0.001mmと1mmの間である。
【0073】
上面図におけるバー及び電極プレートの形状は、有利には真っ直ぐであるか、鋸歯状又は波状である。波状の形状は、有利には正弦波状又は長方形形状である(
図7)。鋸歯状又は波状の形状の場合、歯又は波の幅は、有利には1cmから200cm、好ましくは1cmから100cm、さらに好ましくは1cmから50cmである:歯又は波の高さは有利には1mmから200mm、好ましくは1mmから100mm、さらに好ましくは1mmから50mmである。
【0074】
任意の電極プレートは、バーに接合され、反応器の上面図において、有利にはバーに対して直角に配向されている。有利には、電極プレートは、電極プレートの中間又は一端部のいずれかでバーに接合される。有利には、電極プレートとバーの間の接触面は、電極プレートの位置決めのための唯一の固定支持を構成している。これに対応して、2つの端部が自由であるか、又は1つの端部が自由であり、つまり他の電極プレート又は他のバーとの固定接続を有しない。その結果、電極プレートは熱膨張によって応力のない方式で変形することができる。
【0075】
バー上の隣接する電極プレートの間の距離は、有利には1から2000mm、好ましくは5から1000mm、特に10から500mmである。
【0076】
湾曲/非平面の電極プレートの場合、長さは、円周方向の長さを意味すると理解される。電極プレートの長さは、有利には、外側電極リングから反応器の中心に向かって半径にわたって直線的に減少する。有利には、バー上の各プレートの長さは、反応器断面の中心点からの距離に比例する;この場合、電極プレートの長さは、最も外側の電極プレートの長さを意味すると理解される。電極プレートの長さは、有利には1cmから1000cm、好ましくは2cmから500cm、さらに好ましくは5cmから200cm、特に10cmから100cmである。電極プレートの高さは、有利には1cmから200cm、好ましくは2cmから100cm、さらに好ましくは5cmから50cm、特に10cmから50cmである。バー上の個々の電極プレートの厚さは一定である。電極プレートの厚さ(最も厚い点での厚さ)、グリッドの厚さは、有利には0.1mmから100mm、好ましくは1mmから50mmである。電極プレートの厚さに対する高さの比は、有利には1から500、好ましくは2から250、さらに好ましくは5から100、特に好ましくは10から50である。
【0077】
スポークの形態のグリッドの場合、反応器内の電極バーは、有利には星形状に延びている。有利には、個々の電極バーは互いに接続されていない。電極バーは、有利には、その外側端部で反応器フードに、又は、反応器フード上の接続要素、例えばスカートに接続されている。有利には、電極バーの他端部は自由であり、つまり、他の電極バーへの固定接続を有しないことを意味する。有利には、電極バーと上段又は下段装置部、例えばフード、又は接続要素、例えばスカートとの間の接触領域は、電極バーの位置決めのための単一固定支持と呼ばれる唯一の固定支持である。これに対応して、電極バーの他方の端部は自由であり、その結果、電極バーは熱膨張によって応力のない方式で変形することができる。
【0078】
バーと電極プレートの上端と下端は、有利には互いにオフセットされている。バー及びプレートのオフセットされた端部によって、ベッドのよどみにつながり得る節点を回避している。
図15は、例として、下部電極の好ましい変形を示す。それぞれの場合に示されているのは、単一のバーに割り当てられたグリッドセグメントである。
図15aによる変形例では、電極プレートの上端は、バーの上端よりも高く配置されている。
図15bによる変形例では、電極プレートの上端は、バーの上端よりも低く配置されている。電極プレートの上端とバーの上端との間のオフセットは、有利には-500mmから500mm、好ましくは-200mmから200mm、より好ましくは-100mmから100mmである。負の値は、電極プレートの上端がバーの上端よりも低く配置されていることを意味している。電極プレートの下端とバーの下端との間のオフセットは、有利には-500mmから500mm、好ましくは-200mmから200mm、より好ましくは-100mmから100mmである。負の値は、電極プレートの上端がバーの上端よりも低く配置されていることを意味している。
【0079】
図14a及び
図14bによるフラクタル的にスケール拡張されたグリッド電極:同心リングのグリッド(フラクタル的にスケール拡張された電極)は、有利には、実質的に星形に延びる電極バーと、円弧状セグメントの形態の電極プレートとを有している。バー及び電極プレートの上端及び下端は、有利には、高さに関して互いにオフセットされている。バーは両側で電極プレートに接続されており、電極プレートは一つの円セグメント内で連続しており、例えば
図14aでは1/4円、及び、
図14bでは1/6円である。バーの数は、内側から外側に向かって増加する。外リングのバーは、反応器フードに固定されている。バーの数と配置は次の規則に従う:グリッドのコアは直径2
*sを有し、バーを有しておらず、リング1としてカウントされる。さらなるリングの構築のための漸化式は次のとおりである:「リングiは外径2
*i
*sを有し、角度座標全体に均一に分布されたn
*i個のバーを有する。すべての偶数のリングでは、バーは時計回りにπ/(n
*i)radで回転する。sは、リング幅を示す。nは自然数であり、漸化の基礎として使用される。リング幅sは、有利には1から2000mm、好ましくは5から1000mm、特に10から500mmである。nは、有利には2から30の間の数、好ましくは2から20の間の数、特に2から10の間の数である。
図14aは、基部4を有するグリッドを示し、
図14bは、基部6を有するグリッドを示す。一般に、漸化式によってその範囲が拡張可能なグリッド構造は、フラクタル的にスケール拡張された構造と呼ばれる。
【0080】
フラクタル的にスケール拡張されたグリッドでは、反応器内の電極バーは、有利には、星形に延びる。有利には、円弧状の隣接する電極プレートは、部分的に又はセグメントで互いに接続されていない。グリッドは、したがって、有利には、セグメントに分割され、有利には2から30個のセグメント、好ましくは2から20個のセグメントに分割される。外側電極バーは、有利には、その外端部で反応器フード、又は反応器フード上の接続要素、例えばスカートに接続されている。有利には、電極バーと上段又は下段装置部、例えばフード又は接続要素、例えばスカートとの間の接触面は、グリッドセグメントの位置決めのための単一固定支持と呼ばれる唯一の固定支持を構成する。したがって、グリッドセグメントは、熱膨張によって応力のない方式で、すなわち、隣接するグリッドセグメントと接触することなく変形することができる。
【0081】
反応器ハウジングの上段及び下段部は、有利には、それぞれ、上段電極及び下段電極のための接点を形成する。電極は、有利には、反応器フードとも呼ばれる反応器ハウジングの端部を介して接触接続される(
図4及び
図5参照)。反応器フードは、有利には、外側に1つ以上の電気接続部(8)及び(17)、好ましくは1から3個の接続部を有する。
【0082】
任意に、反応器フードは、したがって、接続要素、例えば、中段反応器部に突出するスカート(10)、(16)を有している;「スカート」という用語は、側壁へのシール面(11),(18)の内側へのフードの連続部を意味するものと理解される。有利には、電極は、フードのスカートで接続される。反応器フードと電極との間の接触接続は、例えば溶接又ははんだ付けなどの溶着結合、例えばねじ接続又はクランプによる圧着接合、又は例えば相互嵌合、舌部と溝部、又はピンとボルトを介する形態嵌合接合によって実行することができる。好ましい接続のタイプは、電極バーの材料によって決定される。金属電極バーは、好ましくは、フードに溶接又ははんだ付けされる。非金属電極バーは、例えばねじ接続、リベット接続又は接着接合と組み合わされた舌部と溝部接続などの、形態嵌合および圧着または接着の組み合わせによってフードに接続されるのが好ましい。星形及びフラクタル的にスケール拡張されたグリッドの場合、電極バーは、有利には、その外側端部で反応器フード、又は反応器フードのスカートに接合される。
【0083】
電極と上段又は下段装置部、反応器フード、又はフードに接触接続された接続要素、例えばスカートとの間の接触面積は、有利には0.1cm2から10000cm2の間、好ましくは1cm2から5000cm2の間、特に10cm2から1000cm2の間である。接続要素、例えばスカートを使用する場合、反応器フードと、フードに接触接続される接続要素との間の接触面積は、有利には0.05cm2から200000cm2の間、好ましくは0.5cm2から50000cm2の間、特に50cm2から10000cm2の間である。
【0084】
有利には、上段装置部と接続要素との間の接触面の温度は、有利に600℃以下、好ましくは450℃以下、より好ましくは150℃以下であり、有利には0から600℃の範囲、好ましくは10から450℃の範囲である。
【0085】
接続要素の断面積、例えばスカートの断面積の固体状充填物の断面積に対する比は、有利には0.001から0.2(0.1%から20%)、好ましくは0.002から0.1(0.2%から10%)、より好ましくは0.5%から5%の範囲である。導電フードの断面積の固体状充填物の断面積に対する比は、有利には0.001から0.2(0.1%から20%)、好ましくは0.002から0.1(0.2%から10%)、より好ましくは0.005から0.05(0.5%から5%)である。
【0086】
フード-電極ユニットでは、有利には、導入された全電気エネルギーの5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、特に0.1%未満が散逸される。好ましくは、散逸エネルギーの範囲は、0%から5%、好ましくは0%から2%、特に好ましくは0%から1%である。その結果、電気エネルギーは、電極間の充填物の加熱に実質的に完全に利用されることができる。「散逸エネルギー」は、ゾーン内のオーム抵抗によって熱エネルギーに変換された電気エネルギーを意味すると理解される。低エネルギー散逸が、フード-電極ユニットの低いオーム抵抗の結果として達成される。フード-電極ユニットの任意の2点間のオーム抵抗は、有利には10-12Ωから10-3Ω、好ましくは、10-12Ωから10-5Ω、特に10-12Ωから10-7Ωである。フード-電極ユニットのオーム抵抗は、フード-電極ユニットの材料と寸法の選択によって達成される。メタン熱分解反応系について、具体的な寸法が実施例に記載されている。
【0087】
耐圧反応器シェルは、有利には、上段反応器部(3)、中段反応器部(1)、及び下段反応器部(2)から構成される。反応器シェルの好ましい材料は、例えば材料番号1.4541、1.4571の鋼合金である。上段及び/又は下段装置部の好ましい比導電率は、有利には105S/mと108S/mの間、好ましくは0.5×106S/mと0.5×108S/mの間である。外側耐圧反応器シェルの比オーム抵抗率は、有利には10-8Ωmと10-5Ωmの間、好ましくは2・10-7Ωmと2・10-6Ωmの間である。
【0088】
例えば、反応器の上段部及び下段部は、反応器ハウジングの終端を構成する。上段反応器部は、有利には、フードとして構成される。下段反応器部は、同様に、有利には、フード、特に円錐形のフード(固体顆粒のための流出コーンを備えたフード)として構成される。
【0089】
上段反応器部、有利には反応器フードは、有利には以下の接続部(
図4参照)を有する:電気供給部(8)、固形物入口(6)及び任意に分配器(9)(例えばコーン分配器の形態で)、生成物流(7)のための、有利にはガス状生成物流のための1つ以上の出口、センサのための、例えば温度測定、充填レベル測定、濃度測定、圧力測定のためのフィード。
【0090】
下段反応器部、有利には円錐状反応器フードは、有利には以下の接続部(
図5参照)を有する:生成物流(14)のための、有利には固体生成物流のための出口コーン、下段電極(17)のための電気供給部、反応物流(12)のための、好ましくはガス状反応物流のための少なくとも1つの入口、センサのための、例えば温度測定、濃度測定、圧力測定のためのフィード。
【0091】
反応物流は、又は任意に複数の反応物流は、有利には、一つのリング分配器(13)、または下段反応器フードの周囲に分配された複数のフィードを介して導入される。そこに接続されたプレート分配器(12)により、反応物流は、フィード面の断面にわたって均一に分配され得る。上面図の任意のプレート分配器は、有利には、電極と同じ形状を有し、したがって、電極と同じ垂直配置である。あるいは、分配器は複数の単一要素からなり、各単一要素は有利には電極要素の下に設置される。
【0092】
中段反応器部は、有利には円筒形状又はプリズム形状である(
図3参照)。この領域は、有利には、約2000℃まで、好ましくは約1700℃まで、好ましくは約1400℃まで、好ましくは約1200℃まで熱的に安定である電気絶縁ライニング(21)で裏打ちされている。この部分は、加熱ゾーンの長さを規定する。中段反応器部の長さは、有利には0.25mと100mの間、好ましくは0.5mと50mの間、より好ましくは0.75mと20mの間、特に1mと10mの間である。
【0093】
中段反応器部の上端と固体状充填物の上端との間の垂直距離は、有利には-2000mmから2000mm、好ましくは-1000mmから1000mm、より好ましくは-500mmから500mmである。負の値は、中段反応器部の上端部が固体状充填物の上端部よりも低く配置されていることを意味する。中段反応器部の上端部と上段電極の電極プレートの下端部との間の垂直距離は、有利には10mmから5000mm、好ましくは100mmから3000mm、さらに好ましくは200mmから2000mmである。下段電極上の電極プレートの上端部とガス状反応物のフィードとの間の垂直距離は、有利には10mmから5000mm、好ましくは100mmから3000mm、さらに好ましくは200mmから2000mmである。
【0094】
電気絶縁は、以下の機能:(i)フードを、反応器の側壁、すなわち反応器シェルの中間部から絶縁すること、及び(ii)反応器の側壁から床を絶縁すること、を想定している。
【0095】
典型的には、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及びアルミニウム、マグネシウム、クロム、シリコンの混合酸化物を有利に含む耐火ロックが、電気絶縁ライニングに使用される(例えば、Patrick Gehreによる論文:Korrosions-und thermoschockbestaendige Feuerfestmaterialien fuer Flugstromvergasungsanlagen auf Al2O3-Basis-Werkstoffentwicklung und Korrosionsuntersuchungen[Al2O3による気流ガス化システム用の耐腐食性および耐熱衝撃性耐火材料-材料開発および腐食の研究](TU Freiberg,2013)を参照のこと)。
【0096】
中段反応器部は、有利には、2つのフードに対して電気的に絶縁されている。例えば、電気絶縁性材料(23)及び(25)の中間リングが、それぞれの場合にこの目的のために使用され、それは、有利には、中段反応器部と上段反応器フード(11)又は下段反応器フード(18)との間で気密に固定される。中間リングは、有利には、エナメル又はプラスチックで覆われた金属、プラスチック、例えばPTFE又はPEEK、又は気密性セラミックで構成される。あるいは、例えば雲母などの電気絶縁性材料のシールリングが、中段反応器部のフランジと反応器フードとの間に直接固定されてもよい。中間リングの厚さは、有利には2mmから500mm、好ましくは3mmから200mm、より好ましくは5mmから100mmである。
【0097】
有利には、上段及び/又は下段装置部、例えば上段フードは、ツインシェル設計である(
図6参照)。フード(41)の外側シェルは、有利には、内側シェルを構成する上述のフード(3又は31)を取り囲む。内側シェルは、有利には、導電接続要素である。外側シェルは、有利には、内側シェルから電気的に絶縁されている。外側シェルは、有利には、フランジ(22又は42)を介して中段反応器部(1)に接続されている。ガスケットが、有利には、フランジ(42)と(22)の間に挿入されている。有利には、ガスケットは、フラットガスケット、レンズガスケット、Oリングガスケット、又は溶接リップガスケットである。さらに、外側シェル(41)は、有利には、フードの内側シェルにつながる接続部(6)、(7)、(8)のためのブッシング(43)を含んでいる。ブッシングは、有利には、外側シェルを反応器に個別にフランジで取り付けたり、取り外したりすることができるように、取り外し可能である(
図19及び
図20を参照)。
【0098】
2つのシェルフードを通るブッシングの有利な構成は、当業者に知られており、例えば、US7,842,846 B2に記載されている。本発明では、ブッシングは、有利には、さらに、内側シェルと外側シェルとの間の電気絶縁設計にある。
図19は、例として、反応器への粒子流れ(6)の進入のためのブッシングを示している。粒子の固体流は、有利には、フランジ(52)を有する入口管(58)を通って案内される。入口管は、有利には、金属材料、好ましくは、電気的絶縁層、例えばエナメルで覆われた金属管で構成されている。ブッシングは、有利には、2つの同心円筒状のスタブを含み、外側スタブ(51)はフードの外側シェルに固定され、内側スタブ(54)はフードの内側シェルに固定されている。有利には、内側スタブは、長手方向に内側スタブの可撓性を許容するコンペンセータを有している。有利には、内側スタブは、外側スタブの円周よりも小さい外周を有するねじ付きプレートで終わる。外側のスタブは、有利には、装置フランジで終わる。内側フランジと外側フランジは、有利には、中間リング(53)に対して気密的な方法で固定されている。内側スタブと外側スタブは、有利には互いに電気的に絶縁されている。この目的のために、有利には、金属の中間リングが、一方では入口管のフランジと、他方では外側スタブのフランジ及び内側スタブのねじ付きプレートとの間で、電気絶縁性材料、例えばマイカ又はプラスチックの平形ガスケット(55)によって固定される。電気絶縁性材料、例えばプラスチック又は酸化セラミックのスリーブ(57)が、有利には、固定ねじと中間リングとの間に挿入される。
【0099】
代替的に、中間リングは、電気絶縁性材料、例えばプラスチック、PEEK又は高密度焼結酸化物セラミックから構成されてもよい。あるいは、金属の中間リングは電気絶縁性材料、例えばエナメル又はプラスチックで被覆されていてもよい。有利には、外側スタブに対する中間リングのガスケットは、フラットガスケット、レンズガスケット、Oリングガスケット、又は溶接リップガスケットである。
【0100】
図20は、例として、フードの内側シェルにつながる給電ワイヤのブッシングを示している。ブッシングは、内側シェル(2)の外側に半田付け又は圧縮されたピン(63)を備えている。ピンは、ねじ接続又はクランプ接続を介して、電気供給に取り付けられたブッシュ(64)に接続されている。ブッシュは下端にカラーを支持している。ピンは、電気絶縁性材料のセラミックスリーブ(65)に緩く挿入されている。スリーブは、有利には酸化セラミックで構成されている。スリーブは好ましくは金属で構成され、エナメルの層で覆われている。セラミックスリーブがかわってパイプスタブ(61)に挿入されいる。このパイプスタブは、フード(27)の外側シェルに溶接されている。パイプスタブは、有利には、コンペンセータと溶接フランジを備えている。パイプスタブ(61)、絶縁スリーブ(65)及びブッシュ(64)は、遊離フランジ(62)によって固定されている。平形ガスケット(66)は、パイプスタブ(61)とスリーブ(65)の間、及びスリーブ(65)とブッシュ(64)の間に挿入されている。有利には、平形ガスケットは雲母からなる。あるいは、ガスケットは、Oリングガスケットとして設計されてもよい。電気絶縁性材料(67)、例えばプラスチック又は酸化物セラミックのスリーブ(67)は、有利には、固定ねじと外側パイプスタブのフランジとの間に挿入される。
【0101】
有利には、
図6及び
図7によるフードの外側シェルは、例えば窒素、アルゴン、二酸化炭素及び/又は水蒸気を含む不活性ガス流の入口(44)及び出口(45)のための接続部を含む。不活性ガスは、フードの内側シェルと外側シェルの間のシェル空間をパージする。有利には、シェル空間内の圧力は、反応ゾーンの直ちに隣接する部分の圧力よりもわずかに高いレベルに設定される。シェル空間と反応ゾーンの直に隣接する部分との間の圧力差は、有利には1mbarから500mbar、好ましくは1mbarから100mbar、より好ましくは1mbarから50mbarである。この差の調整は当業者には公知であり、例えばWO2013017609 A1に記載されている。
【0102】
反応器の寸法は、反応系及び所望の容量に依存する。メタン熱分解反応系については、具体的な寸法が実施例に記載されている。
【0103】
本発明の充填反応器は、有利には、導電性材料の固体粒子のランダム床を含む。床は、その高さにわたって均質または構造化されていてもよい。均質な床は、有利には、固定床、移動床又は流動床、特に移動床であってよい。その高さにわたって構造化された床は、有利には、下段部では固定床であり、上段部では流動床である。あるいは、構造化された床は、有利には、下段部では移動床であり、上段部では流動床である。あるいは、固体状充填物は、有利には、例えばハニカムモノリスなどの導電性材料の構造化された内部構造、Sulzer Mellapakパッキングなどの交差プレート、Sulzer SMXミキサーなどの静的ミキサー、又は遊離粒子などを含む。構造化された内部構造は、好ましくは金属、炭化ケイ素又は炭素を含み、電極間に連続的に導電性の経路を形成する。任意に、構造化された内部構造の中空容積は、全体的に又は部分的に固体粒子で満たされている。固体粒子は、有利には、固定床、移動床、流動床又はトリクル床を形成する。粒子は、有利には、導電性及び/又は電気絶縁性材料で構成されていてもよい。
【0104】
有用な熱的に安定な、導電性構造化充填物は、金属及び/又は導電性セラミックス、例えば炭化ケイ素、炭素、及びこれらの物質を含む複合材料で作られた内部構造を含む。
【0105】
本出願における「熱統合」は、プロセスにおける物質の高温流と物質の低温流の間の向流熱交換を意味し、その効果は、物質の高温流からの有形熱が物質の低温流を加熱するために利用されることを意味すると理解される。これは、プロセス限界を超える熱流を生じることなく、関係する物質の流れの温度変化を実現する。
【0106】
本発明の反応器は、吸熱高温プロセスの熱統合運転モードの実施のための有利な特徴を提供する。これらの特徴は特に、(i)固体粒子流とガス流との間の向流レジーム、及び(ii)上端部で高温生成ガスと固体粒子の低温流の間の逆熱交換のための伝熱ゾーン、下端部で固体生成物流と低温ガスフィードの間の逆熱交換のための伝熱ゾーンを生じる、反応ゾーン内の加熱ゾーンの位置の調整である。
【0107】
熱統合の効率は、伝熱ゾーンにおけるガス状反応媒体と固体反応媒体の熱容量流量の好ましい比率によって、気体と固体状充填物の間の伝熱抵抗が最小化されることによって達成される。熱統合の効率の尺度は、熱統合の効率:η=(反応ゾーン温度-主流のガス出口温度)/(反応ゾーン温度-固体の入口温度)である。熱統合効率は、有利には60%以上、好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。熱統合の効率は、有利には60%から99.5%の範囲である。
【0108】
伝熱ユニットの長さは、(i)粒子径、熱伝導率、放出係数などのバルク粒子の特性、(ii)伝導率などの気相の特性、及び(iii)圧力、温度、スループットなどの運転条件、のパラメータによって主として決定される。
【0109】
伝熱ゾーンにおける気体と固体状充填物との間の熱交換における伝熱抵抗は、有利には、0.01から5m、好ましくは0.02から3m、より好ましくは0.05から2m、特に0.1から1mの熱伝達ユニットの長さ又は伝達ユニットの高さ(HTU)を有する。HTUの定義は、http://elib.uni stuttgart.de/bitstream/11682/2350/1/docu_FU.pdfの74ページから採用されている。
【0110】
熱容量流量は、生産物の質量流量と物質流れの比熱容量の積である。有利には、ガス状プロセス流と固体プロセス流との間の熱容量流量の比は、0.5から2、好ましくは0.75から1.5、より好ましくは0.85から1.2、特に0.9から1.1である。熱容量流量の比率は、フィード流と、任意に、副流のサイドフィード又は除去のサイドドローを介して調整される。
【0111】
反応ゾーンの上端、特に固体状充填物の上端において、ガス状生成物流の出口温度と固体状粒子のフィード流の温度との間の差は、有利には0Kから500K、好ましくは0Kから300K、さらに好ましくは0Kから200K、特に好ましくは0Kから100Kである。
【0112】
反応ゾーンの下端、特に固体生成物流が反応器から引き出される点では、固体生成物流の出口温度とガス状フィード流の温度との間の差は、有利には0Kから500K、好ましくは0Kから300K、さらに好ましくは0Kから200K、特に0Kから100Kである。
【0113】
中段反応器部は、有利には、横方向の気体サイドドローのための接続部を有している。サイドドローは、有利には、流動床と、流動床から分離され、反応器ハウジング内の別個のオリフィスに接続された反応器内のガス透過領域との間のオリフィスである。反応ゾーンのサイドドローのオリフィスは、有利には、連続的であってもよいし、固定チャネル(19)によってセグメントに分割されていてもよい。固定チャネル(19)は、好ましくは、電極バーに組み込まれる。チャネルを組み合わせて、リングコレクタ(20)を形成することができる。このサイドドローは、有利には、反応ガスの一部を反応ゾーンから引き出すために使用することができる。
【0114】
サイドドローは、有利には、加熱ゾーンの上端部の限られた高さの領域である。より好ましくは、上段電極の位置に対するサイドドローの位置は、以下の通りである:上段電極の下端に対するサイドドローの下端の位置は、有利には-2000から2000mm、好ましくは-1000から1000mm、さらに好ましくは-500から500mm、特に好ましくは-500から0mmである。負の値は、サイドドローの下端が上段電極の下端よりも低いことを意味する。上段電極の下端に対するサイドドローの上端の位置は、有利には-2000から3000mm、好ましくは-1000から2000mm、さらに好ましくは-500から1000mm、特に0から1000mmである。負の値は、サイドドローの上端が上段電極の下端よりも低いことを意味する。中段反応ゾーンの上端に対するサイドドローの上端の位置は、有利には-3000から-100mm、好ましくは-2000から-100mm、さらに好ましくは-1000から-100mm、特に-500から-100mmである。負の値は、サイドドローの上端が中段反応ゾーンの上端よりも低いことを意味する。
【0115】
サイドドローを介して案内される全体積流量の割合は、有利には0%から100%、好ましくは0%から80%、さらに好ましくは0%から60%、特に0%から40%である。
【0116】
サイドドローは、上段伝熱ゾーン内のガス状流の熱容量流量を減少させ、それを向流で流れる移動床内で加熱される固体流の熱容量流量に合わせる。サイドドローは、上段伝熱ゾーンの位置、すなわち、移動床の中で最も大きな負の温度勾配を有する点の位置に影響を与える。有利には、上段伝熱ゾーンの位置は、移動床の上端より、有利には、10から3000mm、好ましくは100から2500mm、さらに好ましくは200から2000mm、特に300から2000mmの距離だけ下方にある。
【0117】
サイドドローの更なる利点は、引き出される流れの温度が最高温度に近いことである。高温であることにより、この流れを様々な方法で効率的に利用することができる。サイドドローからの気体流は、例えば、下流の反応段階での反応ガスとして利用することができる(熱分解/逆水性ガスシフト反応のカップリングを参照)。
【0118】
サイドドローのさらなる利点は、電極がより低温の領域で加熱ゾーンの上方にあることである。したがって、加熱ゾーンが非常に高い温度にもかかわらず、より低温の領域でのみ使用可能な電極材料を選択することが可能である。
【0119】
生産床の担体材料は、有利には、500から2000℃、好ましくは1000から1800℃、さらに好ましくは1300から1800℃、より好ましくは1500から1800℃、特に1600から1800℃の範囲内で熱的に安定である。
【0120】
生産床の担体材料は、有利には、10S/cmから105S/cmの範囲内で導電性である。
【0121】
有用な熱的に安定な担体材料、特にメタン熱分解の場合、有利には炭素質材料、例えばコークス、炭化ケイ素及び炭化ホウ素を含む。任意に、担体は、触媒材料で被覆されている。これらの熱担体材料は、その上に堆積された炭素に対して異なる膨張容量を有していてよい。
【0122】
顆粒粒子は、規則的及び/又は不規則な幾何学的形状を有している。規則的形状の粒子は、有利には球形又は円筒形である。
【0123】
顆粒は、有利には、0.05から100mm、好ましくは0.1から50mm、さらに好ましくは0.2から10mm、特に好ましくは0.5から5mmの粒径、すなわち特定のメッシュサイズでふるいにかけることによって決定可能な等価直径を有する。
【0124】
また、例えば顆粒状の炭素質材料の使用も有利である。本発明における炭素質粒状材料は、有利には、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%、さらに好ましくは少なくとも90質量%の炭素、特に少なくとも90質量%の炭素を有する固体粒子からなる材料を意味すると理解される。
【0125】
本発明のプロセスでは、多数の異なる炭素質顆粒状材料を使用することが可能である。この種の顆粒状材料は、例えば、主に、木炭、コークス、コークス粉及び/又はそれらの混合物で構成されてよい。さらに、炭素質顆粒状材料は、顆粒状材料の総質量に基づいて0から15質量%、好ましくは0から5質量%の金属、金属酸化物及び/又はセラミックを含んでもよい。
【0126】
本発明の反応器設計の有利な変形例は、直接電気加熱を有する触媒固定床反応器である。
図21は、本発明の反応器の図を示す。反応器は、有利には、複数のゾーンに分割されている。有利には、上から下に向かって配置は以下のようになっている:ガス入口(73)、上段電極(4)、加熱ゾーン、下段電極(5)、ガス状生成物流の出口(74)。反応器は、導電性材料のランダム又は構造化された充填物で部分的に満たされている。充填物は触媒ベース(72)上にあり、この触媒ベースは、接続要素、例えばスカートによって下段反応器フードに固定されている。有利には、上段電極(4)及び下段電極(5)は、それぞれ、固体状充填物の上端及び下端に配置されている。
【0127】
「高温プロセス」という用語は、熱分解反応、脱水素反応、特に改質反応を包含する。
【0128】
本発明によれば、好ましくは、吸熱高温プロセスは、加熱ゾーンにおける比体積エネルギー消費量が0.5MW/m3よりも大きく、より好ましくは1MW/m3よりも大きく、特に2MW/m3よりも大きいプロセスである。例えば、加熱ゾーンにおけるエネルギー消費量は0.5から10MW/m3であってよい。本発明の移動床反応器で、以下の高温反応を行うことが好ましい:
炭化水素を水蒸気及び/又は二酸化炭素で改質することによる合成ガスの調製、炭化水素の熱分解による水素及び熱分解炭素の同時生産。適切な担体材料は、特に、炭素質顆粒、炭化ケイ素含有顆粒、ニッケル含有金属顆粒である。
【0129】
メタンとアンモニア、又はプロパンとアンモニアからシアン化水素の調製。適切な担体材料は、特に炭素質顆粒である。
【0130】
炭化水素の水蒸気分解によるオレフィンの調製。適切な担体材料は、特に炭素質顆粒、炭化ケイ素含有顆粒である。
【0131】
メタンのエチレン、アセチレン及びベンゼンへのカップリング。
【0132】
アルカンの触媒脱水素によるオレフィンの調製、例えばプロパンからのプロピレンやブタンからのブテンなど。適切な担体は、特に、脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒又は鉄含有成形体である。
【0133】
エチルベンゼンの触媒脱水素によるスチレンの調製。適切な担体は、特に、脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒又は鉄含有成形体である。
【0134】
アルカン又はオレフィンの触媒脱水素によるジオレフィンの調製、例えばブテン又はブタンからのブタジエン。適切な担体は、特に、脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒又は鉄含有成形体である。
【0135】
アルコールの触媒脱水素によるアルデヒド類、例えばメタノールからの無水ホルムアルデヒド。適切な担体は、特に、銀含有顆粒、又は脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒、又は鉄含有成形体である。
【0136】
CO2と炭素からのBoudouard反応によるCOの調製。適切な担体材料は、特に炭素質顆粒である。
【0137】
触媒上での触媒水熱分解による水素と酸素の調製。適切な担体材料は、特に、開裂触媒、例えばフェライトで被覆された炭化ケイ素含有又は鉄含有顆粒である。
【0138】
本発明のプロセスの好ましい変形については、最高温度の目標値の範囲が表形式で要約されている:
【表1】
【0139】
有利には、上段電極の温度は少なくとも350℃、有利には350℃から1900℃の範囲である。
【0140】
反応器ハウジングの平らな端部又はそれに固定された接続要素を介して電極を接触接続し、さらに、任意に、電極材料としての高融点金属を使用することで、反応ゾーンへの電流の低損失導入を可能にする。反応器フード及び任意に接続要素の高い断面積と高い比電気伝導率により、そこで消費される電力は無視できるほど小さい。その結果、接続部、この領域のブッシング及び接続部は、複雑な能動的冷却なしに、適度な温度レベルに保たれる。電極の断面積と接続要素の断面積の相互一致する寸法により、固体状充填物の断面にわたる電流の均一な分布が達成される。
【0141】
フードの周囲にわたる電極の接触接続、及び任意にグリッド状の電極の形状との組み合わせにより、反応ゾーンへの均一な電流の導入が可能となる。さらに、グリッド状の電極の形状により、小さく均一な領域における反応器の断面の構造化を可能にする。これは、反応器を合理的にスケールアップし、必要な生産能力に適応させるための有益な前提条件を生じる。
【0142】
電極の垂直配置は、熱の均一な放出と、反応ゾーンの加熱領域全体の均一な変換プロファイルを可能にする。バー状の電極バー及び関連する電極プレートを有する電極の好ましい実施は、高い機械的安定性を有する。電極のセグメント化及び片側固定は、電極の妨げられない熱膨張を可能にする。
【0143】
鋭利な端部を有する電極バーと電極プレートの高度なスリムさとプロファイリングは、移動床内の妨げられない固体状粒子の流れを可能にする。これにより、反応ゾーンの断面全体にわたる均一な運転条件が保証される。
【0144】
充填物内の電極の配置は、充填物の電気加熱領域の上と下に、熱の内部リサイクルが達成される2つの規定された熱伝達ゾーンを生じる。
【0145】
その結果、反応器は完全な熱統合の前提条件を有する。
【0146】
固体状充填物の上端部を中段反応器部に配置した結果、高温ゾーンは、反応器の機械的及び熱的に堅牢な領域内で確実に限られる。
【0147】
ハウジングを3つの部分に分割することで、反応器の組立及び解体が容易になる。これにより、摩耗した部品を簡単な方法で交換することが可能になり、反応器の構築に予め製造された反応器の部分を利用することが可能になる。その結果、反応器の経済的実行可能性および製造品質が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図1a】直接電気加熱を有する本発明の移動床反応器の図を示す。a.反応器を通る縦断面図。
【
図1b】b.上段電極の高さにおける反応器の断面図。この図では、接続要素10の断面が見える。
【
図1c】c.上段電極のスカートの展開側面図である。この図では、電極4の断面が見える。
【
図2】直接電気加熱を有する本発明の移動床反応器の図を示す。
【
図4】上段反応器のフードの側面視(上)及び上面視(下)の詳細図を示す。
【
図5】下段反応器のフードの側面視(下)及び下面視(上)の詳細図を示す。
【
図6】ツインシェル上段反応器フードを有する本発明の反応器の一変形例を示す。
【
図7】上段反応器フードの側面視(上)及び上面視(下)の詳細図を示す。
【
図8】本発明の上段電極における電極バーの有利な長手方向形態を示す。各場合において同一のプロファイルが下段電極で使用される。
【
図9】本発明の上段電極における電極バーの有利な側面形態を示す。バーの底側は水平である。
【
図10】本発明の下段電極におけるバーの有利な側面形態を示す。バーの上側は水平である。
【
図11】グリッド形態の本発明の電極の電極バー及びプレートの有利な断面形態を示す。
【
図12】グリッド形態の電極の有利な上面図を示す。a.ハニカム形態のグリッド。セルは、規則的又は不規則的な多角形であってよい。側面の数:3から20。b.長方形グリッド
【
図13】グリッド形態の電極の好ましい上面図である。a.スポーク形態で分割されたグリッド。b.横バーを有するスポーク形態で分割されたグリッド。
【
図14】グリッド形態の電極の特に好ましい上面図を示す。点線はセグメントの境界を示す。a.4つのセグメントに分割されたリング形状の「フラクタルスケール」グリッド。b.6つのセグメントに分割されたリング形状の「フラクタルスケール」グリッド。
【
図15】本発明に従って分割されたグリッド形態の電極のセグメントを示しており、反応器フードのスカートに固定された電極バーと、これに直交するように配置されたプレートからなる。a)電極バーが底側に突出し、プレートが上側に突出している。b)電極バーが上下方向に突出している。
【
図16】本発明のロッド電極を示す。a)端部が円錐形のロッド電極:正面図(左)、側面図(右)、上面図(下)。b)端部が楔形状のロッド電極:正面図(左)、側面図(右)、上面図(下)。
【
図17】ロッド電極による直接電気加熱を有する本発明の移動床反応器の図を示す。
【
図18】ロッド電極を備えた上段反応器フードの側面視(上)及び上面視(下)の詳細図を示す。
【
図19】固体粒子流の入口のための上段フードの外側シェルを通る本発明のブッシングの図を示す。
【
図20】電流用接続レールのための上段フードの外側シェルを通る本発明のブッシングの図を示す。
【
図21】直接電気加熱を有する本発明の固定床反応器の図を示す。
【
図22】上段又は下段電極の断面積(A
EI)と、それぞれの導電接続要素の断面積(A
VE)の比の計算を説明するための、本発明の上段又は下段の装置部の手描きスケッチを示す。
【
図23】それぞれの導電接続要素の断面積(A
VE)に対する電極の断面積(A
EI)の比の計算を説明するためのUS5,903,591の図面に類似した電極接続のプロトタイプの手描きスケッチを示す。
【符号の説明】
【0149】
1 反応器の中段部
2 反応器下端部/下段反応器フード/下段装置部
3 反応器上端部/上段反応器フード/上段装置部
4 分割された上段電極の電極バー
5 分割された下段電極の電極バー
6 固体粒子流の入口
7 ガス状生成物流の出口
8 上段反応器フード内の電流用接続レール
9 円錐形分配器
10 電極の接触接続のための上段反応器フード内の接続要素/スカート
11 上段反応器フードのフランジ
12 ガス状反応物流のためのプレート分配器
13 ガス状反応物流のためのリング分配器
14 円錐状の下段反応器フード
15 固体生成物流の出口
16 電極の接触接続のための下段反応器フード内の接続要素/スカート
17 下段反応器フード内の電流用接続レール
18 下段反応器フードのフランジ
19 反応ゾーンからガス状副流を取り出しサイドドローするためのチャネル
20 サイドドローのためのリングコレクタ
21 耐火性、電気的・熱的に絶縁性のあるレンガライニングを有する反応器シェルのライニング
22 反応器シェル上端のフランジ
23 上段フードのフランジと反応器シェルの間の電気絶縁中間リング
24 反応器シェル下端のフランジ
25 上段フードのフランジと反応器シェルの間の電気絶縁中間リング
26 粒子床/流動床の加熱ゾーン
27 粒子床/流動床の下段伝熱ゾーン
28 粒子床/流動床の上段伝熱ゾーン
29 中段反応器部のハウジング壁
30 下段反応器フードのハウジング壁
31 上段反応器フードのハウジング壁
41 上段反応器フード/上段装置部の外側シェル
42 上段反応器フード/下段装置部のフランジ
43 上段反応器フードの外側シェルの電気絶縁された気密性ブッシング
44 上段フードの内側シェルと外側シェルの間の隙間のためのパージ流の入口
45 上段フードの内側シェルと外側シェルの間の隙間からのパージ流の出口
46 反応器フードのスカートに堅固に連続的に取り付けられているグリッド形態の電極グリッドのバー
47 分割電極の電極バーの一端で固定されたプレート又は横バー
51 溶接フランジを有する外側シェルのスタブ
52 溶接フランジを有する接続導管
53 中間リング
54 コンペンセータと溶接されたねじ付きプレートを備えた内側シェルのスタブ
55 フランジ(51)及び(52)を中間リング(53)に接続するためのガスケット
56 ねじ付きプレート(54)及び中間リング(53)の間を接続するためのガスケット
57 電気絶縁性材料のスリーブ
58 固体粒子流のための入口管
61 コンペンセータ及び溶接フランジを備えた外側シェルのスタブ
62 遊離フランジ
63 フードの内側シェルからの電流のための接続ピン
64 (63)に対応する電流用接続ブッシュ
65 電気絶縁性材料のスリーブ
66 フランジ(61)及び(62)をスリーブ(65)に接続するためのガスケット
67 電気絶縁性材料のスリーブ
71 反応器ハウジングの上端部/上段反応器フード/皿状端部形態の上段装置部
72 触媒固定床を担持するための触媒ベース
73 ガス状反応物流の入口
74 ガス状生成物流の出口
AEI 電極の断面積
AVE 接続要素の断面積
VE 接続要素
H フード
D シールリング及び絶縁リング
SW 側壁
WD 断熱/ライニング
F1 フードのフランジ
F2 側壁のフランジ
EI 電極
T ファンネル
ZS 円筒形シャフト
【実施例】
【0150】
比較例(US5,946,342に類似)
メタン熱分解は、直接電気加熱により移動床反応器で行われる。ガス状反応物の体積流量は11000m3(STP)/hである。流れは、65体積%のメタン、15体積l%の水素及び約20体積%の窒素を含む。上段から反応器に導入される固体反応物流は、11.45t/hである。粒子流は、99.5%を超える炭素含有率を有するコークスからなる。反応ゾーンの直径は3400mm;電気加熱ゾーンの高さは2000mmである。加熱ゾーンの上端と下端には、グリッド形状のグラファイト電極が配置されており、この電極を介して移動床の固体状充填物に電流が導入される。上段電極の上には、長さ1000mmの伝熱ゾーンがある。同様に、下段電極の下には、長さ1000mmの伝熱ゾーンがある。70000Aの電流が反応器に導入される。電流の導入は、グラファイト製の12本の円筒状の電極フィードを介して行われ、電極フィードは、対応する電極の高さに反応器シェルの周囲に渡って均一に星形に配置される。電極フィードは、直径100mm、長さ1000mmである。電極フィードでは、1000kWが熱に変換される。この電力は必要な処理電力の12.5%に相当する。失われた電力として、それは処理のエネルギーバランスに悪影響を及ぼす。さらに、熱として散逸した電気エネルギーを除去しなければならない。ここで問題となるのは、電極フィードの比体積変化が6.2MW/m3であることである。これに対応して、電極フィードの表面での熱流密度は154kW/m2である。この熱流密度は、電極フィードの表面で制御された集中冷却なしでは、1000Kを超える過剰な温度を引き起こす可能性がある。この設定では、94.2%のメタン変換が達成される。反応器内の最高温度は1230℃である。反応器の下端における固体生成物流とガス状反応物流との間の温度差は実質的にゼロであり、反応器の上端におけるガス状生成物流と固体反応物流との間の温度差は315Kである。余剰熱が適度な温度レベルで得られるので、低い効率でのみ機械的エネルギーに変換され得る。
【0151】
発明の実施例:
メタン熱分解は、直接電気加熱により移動床反応器で行われる。ガス状反応物の体積流量は11000m
3(STP)/hである。流れは、65体積%のメタン、15体積l%の水素及び約20体積%の窒素を含む。上段から反応器に導入される固体反応物流は、13.5t/hである。粒子流は、99.5%を超える炭素含有率を有するコークスからなる。反応ゾーンの直径は3400mm;電気加熱ゾーンの高さは2000mmである。加熱ゾーンの上端と下端には、グリッド形態のモリブデン電極が配置されており、これにより、移動床の固体状充填物に電流が導入される。電極は、サイドバーを備えたスポーク形態の分割グリッドとして設計されている。それは12本の電極バー(スポーク)と、電極バーあたり8枚の電極プレート(サイドバー)を有している。電極バーの側面形状は、長さ1600mm、高さ300mmの長方形である。電極バーの断面は、
図11に示すように六角形である。電極バーは中空形態として設計されている。電極バーのシェルは、多層メッシュ織(HAVER&BOECKER POROSTAR STANDARD 6ply)で構成されている。電極バーに沿って、電極プレートが200mmの等間隔で取り付けられている。電極プレートはモリブデンで構成されている。電極プレートは、
図13bに示すように、電極バーにまっすぐに、そして中央で固定されている。電極プレートの長さは、内側から外側に向かって増大する。具体的には、電極プレートの長さは、(175mm、260mm、350mm、440mm、525mm、610mm、700mm、790mm)である。電極プレートの側面形状は、長方形である。電極プレートの高さは均一な200mmである。電極は、中実の形態として設計されている。電極プレートの断面は
図11に示すように六角形である;電極プレートの厚さは均一に20mmである。電流は反応器フードを介して導入される。上段のフードは、皿形鏡板形状で、肉厚20mmの1.4541鋼で構成されている。フードには、長さ1000mmのモリブデン製の円筒形スカートがねじ止めされている。下段フードは円錐形を有し、肉厚20mmの1.4541鋼で構成されている。フードには、長さ1000mmのモリブデンの円筒形スカートがねじ止めされている。67500Aの電流が反応器に流される。フードと12本の電極バーを介した接触接続:熱損失は19.5kWで、伝達された電力の0.2%に相当する。この電力は、フードを周囲温度より約100K高く加熱する結果となり、特別な措置なしで環境に排出することができる。電極バーは、反応ゾーンからの副流のサイドドロー引出しのためのチャネルとしても同時に機能する。この目的のために、電極バーはスカートを通して押され、外側の端部で開放される。すべての電極バーは、サイドドロー引出しのための収集チャネルとして機能するリングチャネルで終わる。その結果、ガス流の15%が反応ゾーンの加熱ゾーンの上端で引き出される。これらの設定により、96.5%のメタン転換率が達成される。反応器内の最高温度は1320℃である。反応器の下端における固体生成物流とガス状反応物流の温度差は26Kであり、反応器の上端におけるガス状生成物流と固体反応物流の温度差は75Kである。その結果、反応器内で優れた熱統合が達成される。余剰熱は、主に1270℃の温度レベルで副流とともに排出される。
【0152】