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  • 特許-半電導性ナノ粒子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】半電導性ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20231204BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231204BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231204BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20231204BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20231204BHJP
【FI】
C09K11/08 G
H05B33/14 Z ZNM
H05B33/14 A
C09K11/08 A
B82Y20/00
B82Y40/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020544541
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019054021
(87)【国際公開番号】W WO2019162242
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】18158206.5
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100201972
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ハリール,サーナ
(72)【発明者】
【氏名】セミョノフ,アルチョーム
(72)【発明者】
【氏名】オーディド,コビ ヤーコヴ ネタネル
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-501407(JP,A)
【文献】特開2016-000803(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086362(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0073349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0135141(US,A1)
【文献】Redouane Krini et al.,Photosensitive Functionalized Surface-Modified Quantum Dots for Polymeric Structures via Two-Photon-Initiated Polymerization Technique,Macromolecular Rapid Communications,2015年,36,1108-1114,DOI: 10.1002/marc.201500045
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
B82Y
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化1】
式中、nは0または1であり、
Rは
【化2】
であり、
YはSまたはOであり、
は、H、D、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
は、H、D、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
Lは、以下の化学式(II)または(III)
【化3】
【化4】
式中、記号「」は結合点を表し、
ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
0≦m≦50;1≦l≦25
で表され、
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))ホスホナート基、二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORおよび(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+および1/2Cd2+から選択される金属カチオンを示す、
で表される化合物を含み、
以下の化学式(IV)、
(Z (IV)
は、Mg2+、Cu2+、Zn2+およびCd2+から選択される金属カチオンであり、
lは、mが2-である場合において1であり、lは、mが1-である場合において2であり、
Zは、以下の化学式(V)によって表され、
【化5】
式中、Aは、N、OまたはSであり、
bは、AがNである場合において1であり、bは、AがO、Sである場合において0であり、
は、OまたはSであり、
は、OまたはSであり、
は、H、D、1~40個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、 3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
は、H、D、1~40個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、
で表される第2の化合物をさらに含む、半電導性発光ナノ粒子。
【請求項2】
Rが
【化6】
である場合、YがOであり、Rが
【化7】
である場合、YがSである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
ナノ粒子が、コア、任意に1以上のシェル層、および請求項1または2に記載の化学式(I)で表される化合物をこの順で含む、請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
YがOであり、およびRが
【化8】
である、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
YがSであり、およびRが
【化9】
である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
化学式(I)で表される化合物と化学式(IV)で表される化合物との重量比が、1:100(化学式で表される化合物:化学式(IV)で表される化合物)の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項7】
プロセスが、以下の少なくともステップ(a)、ステップ(b)、およびステップ(c);
(a)少なくともコア、および任意に1以上のシェル層を有するナノ粒子、化合物、および別の材料を混合し、混合物を得る、
(b)第2の化合物を前記混合物へ添加する、
(c)混合物を、半電導性発光ナノ粒子に対し、300から650nmまでの範囲にピーク光波長を有する光照射に供する、
ここで、ステップ(a)における前記化合物は、化学式(I)
【化10】
式中、nは0または1であり、
Rは
【化11】
であり、
YはSまたはOであり、
は、H、D、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
は、H、D、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
Lは、以下の化学式(II)または(III)
【化12】
【化13】
式中、記号「」は結合点を表し、
0≦m≦50;1≦l≦25
で表され、
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))ホスホナート基、二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORおよび(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+および1/2Cd2+から選択される金属カチオンを示す、
で表され、
およびステップ(b)における前記第2の化合物は、化学式(IV)
(Z (IV)
は、Mg2+、Cu2+、Zn2+およびCd2+から選択される金属カチオンであり、
lは、mが2である場合において1であり、lは、mが1である場合において2であり、Zは、以下の化学式(V)
【化14】
式中、Aは、N、OまたはSであり、
bは、AがNである場合において1であり、bは、AがO、Sである場合において0であり、
は、OまたはSであり、
は、OまたはSであり、
は、H、D、1~40個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよく、
は、H、D、1~40個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、または、3~40個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、ここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、
で表される
で表される、をこの順で含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子を調製するためのプロセス。
【請求項8】
ステップ(c)における光照射のための光源が、1以上の人工の光源から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(c)における光照射の強度が、0,025から1watt/cmまでの範囲である、請求項7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(c)が、70℃未満の温度にて行われる、請求項7~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(b)がステップ(a)の後で行われ、および、ステップ(b)において、化学式(I)で表される化合物と化学式(IV)で表される化合物との重量比が、1:100(化学式で表される化合物:化学式(IV)で表される化合物)の範囲である、請求項7~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載のプロセスから得られるまたは得られた半電導性発光ナノ粒子。
【請求項13】
少なくとも請求項1~6、12のいずれか一項に記載のナノ粒子、および1つの追加材料を含む組成物。
【請求項14】
少なくとも請求項1~6、12のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項13に記載の組成物、および1つの溶媒を含む配合物。
【請求項15】
請求項1~6、12のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項13に記載の組成物、または請求項14に記載の配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、または、生物医学デバイスにおける使用。
【請求項16】
請求項1~6、12のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項13に記載の組成物、または請求項14に記載の配合物を含む光学媒体。
【請求項17】
請求項16に記載の前記光学媒体を含む光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、半電導性発光ナノ粒子
、その調製をするためのプロセス、半電導性発光ナノ粒子、組成物または配合物の使用、またはデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
US 8,124,230 B2において、ジアルキルホスファートにより官能化されたハフニウムオキシドナノ粒子が開示される。
J.Am.Chem.Soc.2016、138、8134-8142、およびJ.Phys.Chem.B、2005、109、7012-7021において、亜鉛ホルマートのクロロホルム中Cd-ベースの量子ドットへの添加による、量子収率の増大が開示される。
Polym.Chem.2014、5、435において、チオアセチル化ポリマーにより官能化されたCdSe量子ドットが言及される。
US 2017/0022412 A1において、硫黄原子を含有するアクリラートオリゴマーにより官能化されたInP/ZnSe/ZnS量子ドットが言及される。
Journal of the SID 25/2、2017において、シロオキサメ(メタクリラート)マトリックス(siloxame (methacrylate)matrix)に化学的に連結したオレイン酸により官能化されたCdSe/ZnSが開示される。
ACS Applied Materials in Interfaces、Vol.2、No.9、2560-2569、2010において、2-カルボキシエチルアクリラートにより官能化されたアルミニウム ナノ粒子が言及される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US 8,124,230 B2
【文献】US 2017/0022412 A1
【非特許文献】
【0004】
【文献】Polym.Chem.2014、5、435
【文献】Journal of the SID 25/2、2017
【文献】ACS Applied Materials in Interfaces、Vol.2、No.9、2010、2560-2569
【文献】J.Am.Chem.Soc.2016、138、8134-8142
【文献】J.Phys.Chem.B、2005、109、7012-7021
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、以下に列挙されるとおりの、改善が所望される1以上の相当な課題がなおあることを、新しく見出した。
1.好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された量子収率を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子が所望される。
2.溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、なおより好ましくは
より高濃度の該ナノ粒子もつ極性溶媒中、安定した分散体を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子が要求される。
3.好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された長期安定性を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子が所望される。
4.改善された安定した表面を有する新規な半電導性発光ナノ粒子が要求される。
5.好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された量子収率を表し得る半電導性発光ナノ粒子を作製するための単純なプロセスが所望される。
6.好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された長期安定性を表し得る半電導性発光ナノ粒子を作製するための単純なプロセスが要求される。
【0006】
本発明者らは、上の1~6に示された1以上の問題を解決することを目的とした。
次いで、少なくともコア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化1】
式中、nは0または1であり、好ましくはnは1であり、
Rは
【化2】

であり、
YはSまたはOであり、
【0007】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0008】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0009】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のRにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0010】
Lは二価の基であり、好ましくはそれは、以下の化学式(II)または(III)
【化3】

【化4】
【0011】
式中、記号「」は結合点を表し、
ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0012】
0≦m≦50、好ましくは1≦m≦25、より好ましくは2≦m≦20、さらにより好ましくは4≦m≦12;0≦l≦50、好ましくは1≦l≦25、より好ましくは2≦l≦20、さらにより好ましくは4≦l≦12
で表され、
【0013】
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))または二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORまたは(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
【0014】
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+または1/2Cd2+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2Mg2+、1/2Cu2+、または1/2Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表される化合物を含む、本質的にからなる、またはからなる新規な半電導性発光ナノ粒子が見出された。
【0015】
別の側面において、本発明は、プロセスが、以下の少なくともステップ(a)、任意にステップ(b)、およびステップ(c);
(a)少なくともコア、および任意に1以上のシェル層を有するナノ粒子、化合物、および別の材料、好ましくは前記別の材料は溶媒である、を混合し、混合物を得る、
(b)任意に、第2の化合物を前記混合物へ添加する、
(c)混合物を、半電導性発光ナノ粒子に対し、ピーク光波長を300から650nmまでの範囲、好ましくは320nmから520nmまでの範囲、より好ましくは350nmから500nmまで、なおより好ましくは360nmから470nmまでにピーク光波長を有する光照射に供する、
【0016】
ここで、ステップ(a)における前記化合物は、化学式(I)
【化5】

式中、nは0または1であり、好ましくはnは1であり、
【0017】
Rは
【化6】

であり、
YはSまたはOであり、
【0018】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0019】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0020】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0021】
Lは二価の基であり、好ましくはそれは、以下の化学式(II)または(III)
【化7】

【化8】
【0022】
式中、記号「」は結合点を表し、
ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0023】
0≦m≦50、好ましくは1≦m≦25、より好ましくは2≦m≦20、さらにより好ましくは4≦m≦12;0≦l≦50、好ましくは1≦l≦25、より好ましくは2≦l≦20、さらにより好ましくは4≦l≦12
で表され、
【0024】
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))または二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORまたは(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
【0025】
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+または1/2Cd2+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2Mg2+、1/2Cu2+、または1/2Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表される、をこの順で含む、本質的にからなる、またはからなるナノ粒子を調製するためのプロセスに関する。
【0026】
化合物の、負に帯電したポリマーおよび正に帯電した金属イオン(例としてZn2+)は、互いに以下の式(I´)
[ポリマー]u-pMm+ (I´)
式中、
【0027】
記号p、m、u、は、各々独立して整数であり、p*m=uである、
に記載されるとおり相殺される。
および、ステップ(b)における前記第2の化合物は、化学式(IV)
(Z (IV)
は、Mg2+、Cu2+、Zn2+またはCd2+、好ましくはMg2+、Cu2+またはZn2+、より好ましくはZn2+から選択される金属カチオンであり、
【0028】
lは、mが2-である場合において1であり、lは、mが1-である場合において2であり、
Zは、カウンターアニオンである、で表され、好ましくは以下の化学式(V)
【化9】
【0029】
式中、Aは、N、OまたはSであり、
bは、AがNである場合において1であり、bは、AがO、Sである場合において0であり、
は、OまたはSであり、
は、OまたはSであり、
【0030】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0031】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0032】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0033】
または化学式(VI)
(OCR (VI)
は、1~15個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子、なおより好ましくは1~4個の炭素原子、さらにより好ましくは1~2個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系により置き換えられていてもよく、1以上のR基により置換されていてもよく、好ましくはRは、不飽和直鎖状のアルキル基である、で表される。
【0034】
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるまたは得られた半電導性発光ナノ粒子に関する。
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも半電導性発光ナノ粒子、および1つの追加材料、好ましくは追加材料は有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、光学的に透明なポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤および界面活性剤からなる群の1以上の要素から選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる組成物に関する。
【0035】
別の側面において、本発明はさらにまた、少なくとも半電導性発光ナノ粒子、または組成物、および1つの溶媒、好ましくはそれは、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、または、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、または、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘイレン(heylene)グリコールなどのエチレングリコール、または、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、または、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、からなる群の1以上の要素から選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物に関する。
【0036】
別の側面において、本発明はさらに、半電導性発光ナノ粒子、または組成物、または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、または、生物医学デバイスにおける使用に関する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明の、少なくとも1のナノ粒子、または組成物、または配合物を含む光学媒体にもまた関する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明の少なくとも1の前記光学媒体を含む光学デバイスに関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、実施例1において使用される照明セットアップの概略の断面図を表す。
【符号の説明】
【0038】
図1における引用符号のリスト
100.照明セットアップ
110.カバー
120.プラスチックシリンダー
130.密封試料バイアル
140.Perspex(登録商標)
150.LED
160.ヒートシンク
本発明の詳細な説明
【0039】
本発明のある側面において、少なくともコア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化10】

式中、nは0または1であり、好ましくはnは1であり、
Rは
【化11】

であり、
YはSまたはOであり、
【0040】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0041】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0042】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0043】
Lは二価の基であり、好ましくはそれは、以下の化学式(II)または(III)
【化12】

【化13】
【0044】
式中、記号「」は結合点を表し、
ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系により置き換えられていてもよく、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0045】
0≦m≦50、好ましくは1≦m≦25、より好ましくは2≦m≦20、さらにより好ましくは4≦m≦12;0≦l≦50、好ましくは1≦l≦25、より好ましくは2≦l≦20、さらにより好ましくは4≦l≦12
で表され、
【0046】
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))または二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORまたは(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
【0047】
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+または1/2Cd2+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2Mg2+、1/2Cu2+、または1/2Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表される化合物を含む、本質的にからなる、またはからなる該半電導性発光ナノ粒子。
【0048】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは、Yは、Rが
【化14】

である場合において、Oであり、Yは、Rが
【化15】

である場合において、Sである。
【0049】
本発明のいくつかの態様において、より好ましくは、YはOでありおよびRは
【化16】

である。
【0050】
本発明のいくつかの態様において、より好ましくは、YはSでありおよびRは
【化17】

である。
【0051】
いくつかの態様において、ナノ粒子は、コア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)で表される化合物をこの順で含む。
本発明のいくつかの態様において、該化合物は、コアまたはシェル層の最も外の表面に物理的に付着されてもよい。
本発明のいくつかの態様において、ナノ粒子は、以下の化学式(IV)、
(Z (IV)
【0052】
は、Mg2+、Cu2+、Zn2+またはCd2+、好ましくはMg2+、Cu2+またはZn2+、より好ましくはZn2+から選択される金属カチオンであり、
lは、mが2である場合において1であり、lは、mが1である場合において2であり、
Zは、カウンターアニオンであり、好ましくは以下の化学式(V)
【化18】
【0053】
式中、Aは、N、OまたはSであり、
bは、AがNである場合において1であり、bは、AがO、Sである場合において0であり、
は、OまたはSであり、
は、OまたはSであり、
【0054】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0055】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0056】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0057】
または化学式(VI)
(OCR (VI)
【0058】
は、1~15個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子、なおより好ましくは1~4個の炭素原子、さらにより好ましくは1~2個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、好ましくはRは、非置換の直鎖状のアルキルである、で表される、
で表される第2の化合物をさらに含む。
【0059】
本発明のいくつかの態様において、化学式(I)で表される化合物と化学式(IV)で表される化合物との重量比は、1:100(化学式で表される化合物:化学式(IV)で表される化合物)の範囲である、好ましくはそれは3:50、より好ましくは1:4である。
【0060】
かかる化学化合物は、公共から、例えばSigma Aldrichから得られてもよい。
【0061】
半電導性発光ナノ粒子
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子の無機の部分として、多種多様の公知の半電導性発光ナノ粒子が所望されるとおり使用され得る。
本発明の半電導性発光ナノ粒子の形状のタイプは、具体的に限定されない。
半電導性発光ナノ粒子の任意のタイプ、例えば、球状の形の、細長い形の、星の形の、多面体の形の半電導性発光ナノ粒子が使用され得る。
【0062】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の該1以上のシェル層は、シングルシェル層、ダブルシェル層、または2を超えるシェル層を有するマルチシェル層であり、好ましくはそれは、ダブルシェル層である。
本発明に従って、用語「シェル層」は、該コアを完全にまたは部分的に覆う構造体を意味する。好ましくは、該1以上のシェル層は、該コアを完全に覆う。用語「コア」および「シェル」は、当該技術分野において周知であり、およびUS 8221651 B2などの量子材料の分野において典型的に使用される。
本発明に従って、用語「ナノ」は、0.1nmと999nmとの間におけるサイズを意味する。好ましくはそれは、1nmから150nmまでである。
【0063】
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズ材料である。
本発明に従って、用語「量子サイズ」は、化合物も別の表面改変もなしの、半導体材料それ自体のサイズを意味し、例えばISBN:978-3-662-44822-9などに記載の量子閉じ込め効果を表し得る。
【0064】
発明のいくつかの態様において、量子サイズ材料の全体構造のサイズは、1nmから100nmまで、より好ましくはそれは、1nmから30nmまで、なおより好ましくはそれは、5nmから15nmまでである。
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子の該コアは、変化し得る。
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuS、CuSe、CuInS2、CuInSe、Cu(ZnSn)S、Cu(InGa)S、TiO合金およびこれらの任意の組み合わせが使用され得る。
【0065】
本発明の好ましい態様において、半電導性発光ナノ粒子の該コアは、周期表の13族の1以上の元素および周期表の15族の1以上の元素を含む。例えば、GaAs、GaP、GaSb、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuInS2、CuInSe、Cu(InGa)S、およびこれらの任意の組み合わせ。
【0066】
なおより好ましくは、コアは、InおよびP原子を含む。例えば、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa。
本発明のいくつかの態様において、該少なくとも1のシェル層は、周期表の12、13、または14族の第1の元素、および、周期表の15または16族の第2の元素を含み、好ましくはすべてのシェル層は、周期表の12、13、または14族の第1の元素、および、周期表の15または16族の第2の元素を含む。
【0067】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1のシェル層は、周期表の12族の第1の元素、および、周期表の16族の第2の元素を含む。例えば、CdS、CdZnS、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ZnSSeTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSeシェル層が使用され得る。好ましくはすべてのシェル層は、周期表の12族の第1の元素、および、周期表の16族の第2の元素を含む。
【0068】
より好ましくは、少なくとも1のシェル層は、以下の式(III)
ZnSSeTez、-(III)
式(I)中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、なおより好ましくは0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1である、で表される。
【0069】
例えば、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnSeSTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSeシェル層は、好ましくは使用され得る。
好ましくはすべてのシェル層は、式(III)で表される。
【0070】
例えば、緑および/または赤放射の使用のための半電導性発光ナノ粒子として、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnS、InPZn/ZnSe/ZnS、InPZn/ZnS/ZnSe、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS半電導性発光ナノ粒子またはこれらの任意の組み合わせが使用され得る。
【0071】
より好ましくはそれは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnS、InPZn/ZnSe/ZnS、InPZn/ZnS/ZnSeが使用され得る。
本発明の好ましい態様において、半電導性発光ナノ粒子の該シェル層は、ダブルシェル層である。
【0072】
該半電導性発光ナノ粒子は、例えば、Sigma-Aldrichから公的に入手可能である、および/または例えば、ACS Nano、2016、10(6)、pp5769-5781、Chem.Moter.2015、27、4893-4898、および国際特許出願公開公報No.WO2010/095140Aに記載される。
【0073】
-追加の化合物
本発明のいくつかの態様において、任意に、半電導性発光ナノ粒子は、種々のタイプの化合物を含み得る。
かくして、本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外の表面は、化学式(I)で表される化合物、および/または、所望の場合化学式(IV)で表される化学化合物で表される第2の化合物とともに、種々のタイプの化合物でコーティングされてもよい。
【0074】
1または2の該別の化合物が、コアの最も外の表面、または、半電導性発光ナノ粒子のシェル層に付着される場合、式(I)、および/または(II)で表される化合物の量は、コアの最も外の表面、または、シェル層に付着される全化合物の、30wt.%から99.9wt%まで、好ましくは50wt%から95wt%までの範囲であり、より好ましくはそれは、60wt%から90wt%までの範囲である。
【0075】
理論によって拘束されることは望まないが、かかる化合物は、溶媒中、より容易に半電導性発光ナノ粒子の分散をもたらし得る。
【0076】
一般的な使用における別の化合物は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸;デデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)などのアミン;ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などのカルボン酸;酢酸、およびこれらの任意の組み合わせを包含する。
【0077】
化合物の例は、例えば、国際特許出願公開公報No.WO 2012/059931Aにリガンドとして記載される。
【0078】
別の側面において、本発明はまた、プロセスが、以下の少なくともステップ(a)、任意にステップ(b)、およびステップ(c);
(a)少なくともコア、および任意に1以上のシェル層を有するナノ粒子、化合物、および別の材料、好ましくは前記別の材料は溶媒である、を混合し、混合物を得る、
(b)任意に、第2の化合物を前記混合物へ添加する、
(c)混合物を、半電導性発光ナノ粒子に対し、ピーク光波長を300から650nmまでの範囲、好ましくは320nmから520nmまでの範囲、より好ましくは350nmから500nmまで、なおより好ましくは360nmから470nmまでにピーク光波長を有する光照射に供する、
ここで、ステップ(a)における前記化合物は、化学式(I)
【化19】

式中、nは0または1であり、好ましくはnは1であり、
【0079】
Rは
【化20】

であり、
YはSまたはOであり、
【0080】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0081】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0082】
は、H、D、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく;好ましくはRは、1~8個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルであり、
【0083】
Lは二価の基であり、好ましくはそれは、以下の化学式(II)または(III)
【化21】

【化22】
【0084】
式中、記号「」は結合点を表し、
ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく
【0085】
0≦m≦50、好ましくは1≦m≦25、より好ましくは2≦m≦20、さらにより好ましくは4≦m≦12;0≦l≦50、好ましくは1≦l≦25、より好ましくは2≦l≦20、さらにより好ましくは4≦l≦12
で表され、
【0086】
は、カルボキシラート基(-COOM)、一級(-PO(OH)(OM))または二級(-PO(OM)ホスホナート基、キサンタート基(-OCS)、-N(M、SO、SM、SiORまたは(-N(CS)からなる群から選択されるアンカー基であり、
【0087】
は、水素原子または1/2Mg2+、1/2Cu2+、1/2Zn2+または1/2Cd2+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2Mg2+、1/2Cu2+、または1/2Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表され、
【0088】
およびステップ(b)における前記第2の化合物は、化学式(IV)
(Z (IV)
は、Mg2+、Cu2+、Zn2+またはCd2+、好ましくはMg2+、Cu2+またはZn2+、より好ましくはZn2+から選択される金属カチオンであり、
lは、mが2-である場合において1であり、lは、mが1-である場合において2であり、
【0089】
Zは、カウンターアニオンであり、好ましくは以下の化学式(V)
【化23】

式中、Aは、N、OまたはSであり、
bは、AがNである場合において1であり、bは、AがO、Sである場合において0であり、
は、OまたはSであり、
は、OまたはSであり、
【0090】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0091】
は、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Rは、ここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系をまた形成してもよく、
【0092】
は、H、D、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、3~40個の炭素原子、好ましくは5~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系であり、各場合において1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、
【0093】
または化学式(VI)
(OCR (VI)
は、1~15個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子、なおより好ましくは1~4個の炭素原子、さらにより好ましくは1~2個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、各場合において1以上のR基により置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO2、NR、OS、またはCONRにより置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられていてもよい、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系であり、1以上のR基により置換されていてもよく、好ましくはRは、非置換の直鎖状のアルキル基である、で表される、
をこの順で含む、ナノ粒子を調製するためのプロセスにも関する。
【0094】
本発明のいくつかの態様において、化学式(I)で表される化合物は、
【化24】

【化25】

【化26】

でもよい。
【0095】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは、ステップ(b)における光照射のための光源が、1以上の人工の光源から選択される、好ましくは発光ダイオード、有機発光ダイオード、冷却カソード蛍光ランプ、またはレーザーデバイスから選択される。
【0096】
本発明の好ましい態様において、溶媒は、トルエン、キシレン、エーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンからなる群の1以上の要素から選択される。
好ましくは、ステップ(a)および/またはステップ(b)において得られた混合物は、バイアルなどの、透明な容器に密封される。
本発明の好ましい態様において、ステップ(a)、(b)および/または(c)は、N雰囲気などの不活性条件において行われる。
【0097】
より好ましくは、すべてのステップ(a)、(b)および任意にステップ(c)は、該不活性条件において行われる。
本発明のいくつかの態様において、ステップ(b)における照射は、0,025から1watt/cmまでの範囲である、好ましくはそれは0.05から0.5watt/cmまでの範囲である。
【0098】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは、半電導性発光ナノ粒子により吸収される光子の総量は、1021から1023photons/cmまで、より好ましくは7x1021から7x1022photons/cmまでの範囲である。
【0099】
定義された波長にて吸収された光子の総数(per cm)は、以下の方程式
【数1】
I=照射強度[Watt/cm
h=プランク定数(国際単位系に従って)
c=光のスピード(国際単位系に従って)
λ=波長[m]
t=時間[sec]
OD=吸収(分光計において測定された吸収スペクトルに基づく)
に従い、計算される。
【0100】
本発明のいくつかの態様において、ステップ(c)は、70℃未満、好ましくは60℃から0℃までの範囲で、より好ましくは50℃から20℃までの範囲での温度にて行われる。
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるまたは得られた半電導性発光ナノ粒子に関する。
【0101】
-組成物
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1の本発明のナノ粒子、および1つの追加材料、好ましくは追加材料は有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、光学的に透明なポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤および界面活性剤からなる群の1以上の要素から選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる組成物に関する。
本発明の好ましい態様において、追加材料は、光学的に透明なポリマーである。
【0102】
-光学的に透明なポリマー
本発明に従って、光学デバイスのために好適な多種多様な公知の透明なマトリックス材料が好ましくは使用され得る。
本発明に従って、用語「透明な」は、光学媒体において使用される厚さにて、および、光学媒体の操作の間に使用される波長または波長範囲にて、入射光の少なくともほぼ60%を意味する。好ましくはそれは、70%より大きく、より好ましくは75%より大きく、最も好ましくはそれは80%より大きい。
【0103】
本発明のいくつかの態様において、透明なマトリックス材料は、透明なポリマーでもよい。
本発明に従って、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有する、および重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
分子量Mは、ポリスチレン内部標準に対し、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0104】
本発明のいくつかの態様において、透明なポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上および250℃以下である。
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm;Rickey J Seyler、Assignment of the Glass Transition、ASTM 刊行物コードナンバー (PCN) 04-012490-50において記載されるなどの、示差走査比色分析において観測される熱容量における変化に基づき測定される。
【0105】
例えば、透明なマトリックス材料のための透明なポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが好ましくは使用され得る。
本発明の好ましい態様において、透明なマトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまでの範囲、より好ましくはそれは10,000から250,000g/molまでの範囲である。
【0106】
-配合物
別の側面において、本発明はさらにまた、プロセスに従って得られた半電導性発光ナノ粒子または組成物、および、少なくとも1つの溶媒、好ましくは溶媒は、芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素溶媒からなる群の1以上の要素から、より好ましくはトルエン、キシレン、エーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンからなる群の1以上の要素からから選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物に関する。
【0107】
配合物における溶媒の量は、組成物をコーティングする方法に従って自由にコントロールされてもよい。例えば、組成物がスプレーコートされる場合、それは90wt.%以上の量において溶媒を含有してもよい。さらに、大きい基体をコーティングする際においてよく採用されるスリットコーティング方法が行われる場合、溶媒の含量は、通常60wt.%以上、好ましくは70wt.%以上である。
【0108】
別の側面において、本発明はまた、半電導性発光ナノ粒子、混合物、または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける使用に関する。
-使用
別の側面において、本発明はさらに、プロセスに従って得られた半電導性発光ナノ粒子、または組成物、または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける使用に関する。
【0109】
-光学媒体
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1の半電導性発光ナノ粒子を含む、またはプロセスに従って得られた光学媒体、または、本発明の組成物に関する。
本発明のいくつかの態様において、光学媒体は、光学フィルム、例えばカラーフィルタ、色変換フィルム、リモート蛍光体テープ、または別のフィルムまたはフィルタであり得る。
【0110】
-光学デバイス
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1の本発明の光学媒体を含む光学デバイスに関する。
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレー、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレーのためのバックライトユニット、発光ダイオード(LED)、微小電気機械システム(以後「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレー、エレクトロルミネセント量子ドット発光ダイオード(EL-Q-LED、US 2016/248029 A2、EP 2221355 A1などに記載)、または電気泳動ディスプレー、点灯デバイス、および/または太陽電池であり得る。
【0111】
本発明の効果
本発明は、以下の1以上の効果を提供する;
好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された量子収率を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子;
溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、なおより好ましくはより高濃度の該ナノ粒子をもつ極性溶媒中、安定した分散体を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子;
好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された長期安定性を表し得る新規な半電導性発光ナノ粒子;
改善された安定した表面を有する新規な半電導性発光ナノ粒子;
好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された量子収率を表し得る半電導性発光ナノ粒子を作製するための単純なプロセス;
好ましくは溶媒中、より好ましくは極性溶媒中、改善された長期安定性を表し得る半電導性発光ナノ粒子を作製するための単純なプロセス。
【0112】
以下の実施例1-16は、本発明の記載ならびにその製作の詳細な記載を提供する。
実施例
【0113】
実施例1:(WO2014162208および/またはUS9,343,301 BBに記載されるとおりに製造された)量子材料の精製
1mLの粗製のQD(WO2014162208および/またはUS9,343,301 BBに記載されるとおりに製造された赤発光QD)を、過剰なリガンドから、トルエンおよびエタノールをそれぞれ溶媒および貧溶媒として使用し精製、これに続き遠心分離をする。洗浄を2度繰り返す。有機リガンドの量を、熱重量分析(TGA)(モデルTGA2、Metler Toledo)を使用して計算する。TG分析は、有機含量の37%wt.を示す。20mgの量子材料を1mlのトルエンに溶解させる。QYをHamamatsu絶対量子収率分光計(モデル:Quantaurus C11347)を使用して測定する。
【0114】
実施例2:InP/ZnSeの合成
112mgのInI3および150mgのZnClを、2.5mlオレイルアミンに溶解させる。180℃にて0.22mLのヘキサエチルリントリアミド(DEA)3P)を溶液へ添加し、およびこの温度にて20min保つ。20min後、0.55mLのアニオンシェル前駆体(2M TOP:Se)を溶液へゆっくり添加する。次いで、溶液を段階的に加熱し、これに続き、Chem.Mater.、2015、27(13)、pp4893-4898において開示されるなど、カチオン(オレイルアミン中2.4mLの0.4M Zn(アセタート))およびアニオン(0.38mLの2M TOP:Se)シェル前駆体の連続的注入を200℃と320℃との間の温度にてする。
【0115】
実施例3:例2からの量子材料の精製
例2からの試料の1mLを、過剰なリガンドから、トルエンおよびエタノールをそれぞれ溶媒および貧溶媒として使用し精製し、これに続き遠心分離および乾燥をする。洗浄を2度繰り返す。有機リガンドの量を、熱重量分析(TGA)(モデルTGA2、Metler Toledo)を使用して計算する。TG分析は、有機含量の15%wt.を表す。
20mgの量子材料を1mlのトルエンに溶解させる。QYをHamamatsu絶対量子収率分光計(モデル:Quantaurus C11347)を使用して測定する。
【0116】
実施例4:2-カルボキシエチルアクリラート(CEA)での表面処理
【化27】

0.139mmol(20mg)の2-カルボキシエチルアクリラート(Sigma-Aldrichから552348、インヒビターとして900-1100ppmのMEHQ)を、0.5mlトルエンに溶解させる。溶液を1mlの精製されたQD溶液(例1から)と組み合わせる。混合物を、暗闇で室温にて少なくとも16時間撹拌し、リガンド交換の後1mlのPGMEAを添加し、およびトルエンを真空下、蒸発させる。最終的な分散体(1mlのPGMEA中、20mgのQD)は透明である。QYを即時におよび2週間後に測定する(表1参照)。
【0117】
実施例5:11-ホスホノウンデシルアクリラートでの表面処理
【化28】

0.228mmolの11-ホスホノウンデシルアクリラート(Sigma Aldrichから795739)を2時間脱気し、および2mlのトルエンに溶解させる。溶液は濁っている。溶液を、1.5mlの粗製のQD(WO2014162208および/またはUS9,343,301 BBに記載されるとおりに製造された赤発光QD)と、さらなる精製せずに組み合わせる。混合物を48時間暗闇で室温にて撹拌する。その後、真空下、トルエンを完全に蒸発させる。1.5mlのPGMEAを乾燥させた固体へ添加する。40分ソニケーションを使用し、PGMEA中のQDの分散性を改善する。最終的な溶液(1mlのPGMEA中170mgのQD)は、極めて粘性であるが、十分に分散する。
【0118】
実施例6:亜鉛-2カルボキシルエチルアクリラート(ZnCEA)の場合の合成
【化29】

磁気撹拌器を備えた500ml丸底フラスコへ、以下の試薬を添加する:
(a)200mlの超脱水(extra dry)THF、(b)12mlの超脱水(extra dry)THF中、2-カルボキシエチルアクリラート(1部)、(c)24mlの超脱水(extra dry)THFに溶解させた亜鉛塩化物(1部)、(d)二炭酸カリウム(1.1部)、(e)テトラブチルアンモニウムヨウ化物(0.06部)。混合物の追加の撹拌は、室温にて48時間行う。撹拌の間、白色固体が形成される。ブフナーろ過を適用し、不溶の粒子を除去する。これに続き、真空下、加熱なしに溶媒を蒸発させる。最終生成物は、高度に粘性の透明な液体である。
【0119】
実施例7:亜鉛-2-カルボキシエチルアクリラート(ZnCEA)での表面処理
0.057mmol(20mg)Zn-CEA(例6に記載されるとおりに調製)を、0.5mlのTHFに溶解させる。溶液は濁っている。溶液を、1mlの精製されたQD溶液(例3参照)と組み合わせる。混合物を暗闇で室温にて少なくとも16時間撹拌させる。リガンド交換の後、遠心分離を適用し、濁度を取り除く。1mlのPGMEAを添加し、およびトルエンを真空下、蒸発させる。最終的な分散体(1mlのPGMEA中、20mgのQD)は、遠心分離の後、透明である。
【0120】
実験結果:
表1:アクリラート-アルキル-カルボキシル/ホスホン酸で官能化されたQDの量子収率
【0121】
【表1】
【0122】
実施例8:照明セットアップ
Philips Fortimo 3000 lm 34W 4000K LEDダウンライトモジュールで構築された点灯セットアップ(蛍光体ディスクは除去される)。1.9nmの厚さのPerspex pane(登録商標)をこの上に配置する。
LEDとPerspex pane(登録商標)との間の距離は、31.2mmである。20mlの密封試料バイアルを、直径68mm高さ100mmのプラスチックシリンダーの中に、Perspex pane(登録商標)の上に配置する。次いでシリンダーを、図1に記載されるとおりに、段ボールを上にして閉じる。
光増大系:QDの溶液をもつバイアルを、上に記載のセットアップのPerspexプレートの上に配置し、および下から照明させる。溶液を、溶媒の広大な加熱および蒸発から防ぐため、バイアルを水浴(水をもつガラスビーカー)に配置する。
照明のピーク波長は455nmである。450nmにての放射照度を、Ophir Nova II(登録商標)およびPD300-UV光検出器により測定し、および300mW/cmとして測定される。
【0123】
実施例9:11-アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸での表面処理
0.096mmol(30mg)の11-アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸(Sigma-Aldrichから760145)を0.5mlのTHFに溶解させる。溶液を、1mlの精製されたQD溶液(例1から)と組み合わせる。混合物を、少なくとも16時間暗闇で室温にて撹拌する。その後、QDを真空下乾燥させ、これに続き1mlのPGMEAを添加する。分散体は極めて透明である。QYを測定する(表2参照)。PGMEA中のQDのより高い充填(Higher loading)(150mg/mL)は、リガンドおよびQD量に因数5を掛けることにより達成される。
【0124】
実施例10:InP/ZnSeSの合成
0.085gのZnCl2および0.35μmolのコア処理されたInPドス(dos)を200μLのトルエンおよび4.8mlのオレイルアミン中に溶解させる。混合物を250℃まで30分加熱する。180℃にて、オレイルアミン中2.6mlのZnCl2を添加する。その後、0.36mlのTOP:Se(2M)を滴下にて添加する。混合物を200℃まで60min、および320℃まで30min加熱する。次いで、オレイルアミン中3.1mlステアリン酸亜鉛(0.4M)を滴下にて添加する。および、10min後、0.3mlのTOP:S(2.2M)を注入する。180min後、320℃にて、混合物を室温まで冷却する。
【0125】
実施例11:例10からの量子材料の精製
例10からの試料の1mLを、過剰なリガンドから、トルエンおよびエタノールをそれぞれ溶媒および貧溶媒として使用し精製、これに続き遠心分離する。このステップを2度繰り返す。沈殿物をヘキサン中に溶解させ、これに続き遠心分離および乾燥させる。有機リガンドの量を、熱重量分析(TGA)(モデルTGA2、Metler Toledo)を使用して計算する。TG分析は、有機含量の20%wt.を表す。30mgの量子材料を1mlのトルエンに溶解させる。QYをHamamatsu絶対量子収率分光計(モデル:Quantaurus C11347)を使用して測定する。
【0126】
例12:11-アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸での表面処理
0.096mmol(30mg)の11-アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸(Sigma-Aldrichから760145)を、0.5mlのTHFに溶解させる。溶液を、1mlの精製されたQD溶液(例11から)と組み合わせる。混合物を暗闇で室温にて少なくとも16時間撹拌させる。その後、4mlのエタノールの添加によりQDを洗いおよび精製し、これに続き遠心分離(5000rpm、5min)および真空下乾燥させる。最終的に、1mlのPGMEAを添加し、および分散体をファンにより数分加熱する。最終的な分散体(1mlのPGMEA中、30mgのQD)は透明である。QYを測定する(表2参照)。
PGMEA中のQDのより高い充填(Higher loading)(120mg/mL)は、リガンドおよびQD量に因数4を掛けることにより達成される。
【0127】
例13:11-アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸で処理されたQDの照明
例12に記載される溶液を、照明下に24時間配置する。24時間後、試料の量子収率を、Hamamatsu絶対量子収率分光計(モデル:Quantaurus C11347)を使用して測定する。照明された試料の量子収率を、照明の直後および照明を止めた後8日後に測定し、その間試料を冷蔵庫において4℃にて保つ。
【0128】
表2:アクリラート-アルキル-カルボキシル/ホスホン酸で官能化されたQDの量子収率
【表2】
【0129】
例14:トルエン中亜鉛ジエチルジチオカルバマート(ZnC2DTC)での表面処理および照明
0.041mmol(15mg)のZnC2DTC(329703 Sigma-Aldrich)を10min、アルゴンを使用して脱気し、および0.5mlのトルエンに溶解させる。溶液を、0.6mlの精製されたQD溶液(例11から)と組み合わせる。混合物を、少なくとも16時間、照明の下で(例8に記載されるとおり)撹拌する。QYを測定する(表3参照)。この混合物は、PGMEAに可溶性ではない。したがって、第2の表面処理を遂行する(例15参照)。
【0130】
例15:トルエン中2-カルボキシエチルアクリラート(2CEA)での、例14からのQDの添加表面処理
0.104mmolの2CEA(15mg)(Sigma Aldrich 552348)を15minアルゴンを使用して脱気する。その後、例14からのQD溶液を2CEAに添加し、および混合する。トルエン溶液を最少量(約0.3ml)まで濃縮し、0.7mlのPGMEAを添加する。トルエンの残渣を蒸発させる。PGMEA中の分散体のQYを測定する(表3参照)。
【0131】
例16:トルエン中2CEAでの、例11からのQDの表面処理
0.104mmolの2CEA(15mg)(552348 Sigma Aldrich)を、15minアルゴンを使用して脱気する。その後、0.5mlの例11からのQD溶液を2CEAへ添加する。その後、分散体は沈殿する。遠心分離の後、固体部分をTHFに溶解させる。次いで、最少量のトルエン(0.2mL)およびPGMEAを添加し、およびトルエンの残渣を除去する。PGMEA中の分散体は透明である。分散体のQYを24時間混合の後測定する。分散体を冷蔵庫にて7日貯蔵し、およびQYを再度測定する。QYは安定であり、降下は認められない。
【0132】
表3:ZnC2DTCおよび2CEAで官能化されたQDの量子収率:
【表3】
【0133】
例11における分散体は、PGMEAに可溶性ではない。したがって、例15に記載されるとおりの、第2のリガンドの添加がPGMEAにおける可溶性を与えるために必要である。

図1