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特許7395581ヒータアレイにおける故障の特定および補償
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】ヒータアレイにおける故障の特定および補償
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20231204BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231204BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/46
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021522505
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019058195
(87)【国際公開番号】W WO2020092175
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/753,700
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン・チャンヨウ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-6875(JP,A)
【文献】特表2014-502037(JP,A)
【文献】特開2016-122038(JP,A)
【文献】国際公開第2007/086625(WO,A1)
【文献】特開2002-278352(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109098893(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 1/00-3/00
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障ヒータを有するヒータアレイに供給される電力を調整するための方法であって、
前記故障ヒータの位置を特定する緩和データにアクセスする工程であって、前記故障ヒータは、XバスかつYバス上に配置されている、工程と、
前記故障ヒータに印加される電力のデューティサイクルを調整して、調整済みデューティサイクルを出力する工程と、
前記調整済みデューティサイクルを前記故障ヒータに適用する工程であって、前記調整済みデューティサイクルは、前記故障ヒータへの電力を低減させる、工程と、
前記Xバス上および前記Yバス上の一連のヒータへ、前記ヒータアレイの残りのヒータへ適用される残りのデューティサイクルを調整することなしに、さらなる調整済みデューティサイクルを適用する工程であって、前記さらなる調整済みデューティサイクルは、前記一連のヒータへの電力を低減させる、工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記Xバスは、前記ヒータアレイの複数のXバスの内の1つであり、前記Yバスは、前記ヒータアレイの複数のYバスの内の1つであり、前記方法は、さらに、
前記ヒータアレイの前記複数のXバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記ヒータアレイの前記複数のYバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記複数のXバスから受信された前記複数の測定値の内の2つの間の第1差が所定の範囲の外にある2つのXバスを、前記複数のXバスから特定する工程であって、前記2つのXバスは、前記ヒータアレイの中心X軸に関して対称に配置されている、工程と、
前記複数のYバスから受信された前記複数の測定値の内の2つの間の第2差が所定の範囲の外にある2つのYバスを、前記複数のYバスから特定する工程であって、前記2つのYバスは、前記ヒータアレイの中心Y軸に関して対称に配置されている、工程と、
を備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、さらに、前記ヒータアレイ内に別の故障ヒータの故障がないことを確認する工程を備える、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、さらに、
前記2つのXバスおよび前記2つのYバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記2つのXバスおよび前記2つのYバスから出力された電流の前記複数の測定値から前記故障ヒータの前記位置を特定する工程と、
を備える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記緩和データは、前記故障ヒータの前記位置を含み、前記故障ヒータの前記位置は、前記Xバスおよび前記Yバスによって特定されている、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記デューティサイクルを調整する工程は、前記故障ヒータの動作の前記デューティサイクルを低減する工程を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記Xバス上および前記Yバス上の前記一連のヒータへ前記さらなる調整済みデューティサイクルを適用する工程は、前記Xバス上および前記Yバス上の前記一連のヒータの複数のデューティサイクルを低減する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記ヒータアレイの前記残りのヒータへ適用される前記残りのデューティサイクルは、前記故障ヒータの前記位置が特定される前後で同じである、方法。
【請求項9】
システムであって、
複数のXバスと、複数のYバスと、プラズマチャンバ内に分配された複数のヒータとを有するヒータアレイと、
前記複数のヒータの各々への電力のデューティサイクルを設定するための電力供給回路と、
を備え、
前記電力供給回路は、前記複数のヒータの内の故障ヒータの前記デューティサイクルを調整し、前記複数のヒータの内の第1および第2グループのヒータへ供給される電力の前記デューティサイクルを調整するよう構成されており、前記複数のXバスは、前記故障ヒータに関連するXバスを含み、前記複数のYバスは、前記故障ヒータに関連するYバスを含み、前記第1グループのヒータは、前記故障ヒータに関連する前記Xバス上に位置し、前記第2グループのヒータは、前記故障ヒータに関連する前記Yバス上に位置する、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記電力供給回路は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記ヒータアレイの前記複数のXバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記ヒータアレイの前記複数のYバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記複数のXバスから受信された前記複数の測定値の内の2つの間の第1差が所定の範囲の外にある2つのXバスを、前記複数のXバスから特定する工程であって、前記2つのXバスは、前記ヒータアレイの中心X軸に関して対称に配置されている、工程と、
前記複数のYバスから受信された前記複数の測定値の内の2つの間の第2差が所定の範囲の外にある2つのYバスを、前記複数のYバスから特定する工程であって、前記2つのYバスは、前記ヒータアレイの中心Y軸に関して対称に配置されている、工程と、
を実行するよう構成されている、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記ヒータアレイ内に別の故障ヒータの故障がないことを確認する工程を実行するよう構成されている、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記プロセッサは、
前記2つのXバスおよび前記2つのYバスから出力された電流の複数の測定値を受信する工程と、
前記2つのXバスおよび前記2つのYバスから出力された電流の前記複数の測定値から前記故障ヒータの位置を特定する工程と、
を実行するよう構成されている、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記電力供給回路は、前記ヒータアレイの残りのヒータへ適用される残りのデューティサイクルを、前記故障ヒータの前記位置が特定される前後で同じに維持するよう構成されている、システム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムであって、前記電力供給回路は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記故障ヒータの位置を特定するよう構成されており、前記故障ヒータの前記位置は、前記故障ヒータに関連する前記Xバスおよび前記故障ヒータに関連する前記Yバスによって特定される、システム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムであって、前記電力供給回路は、前記故障ヒータの前記デューティサイクルを調整するために、前記故障ヒータの動作の前記デューティサイクルを低減するよう構成されている、システム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムであって、前記電力供給回路は、前記第1および第2グループのヒータへ供給される電力の前記デューティサイクルを調整するために、前記第1および第2グループのヒータへ供給される電力の前記デューティサイクルを低減するよう構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒータアレイにおける故障の特定および故障の補償のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマツールは、高周波(RF)発生器およびプラズマチャンバを備える。RF発生器は、整合器を介してプラズマチャンバに結合される。RF発生器は、RF信号を生成し、整合器を介してプラズマチャンバにRF信号を供給する。
【0003】
RF信号が1または複数のガスに加えてプラズマチャンバに供給された時に生成されるプラズマを用いて、基板がプラズマチャンバ内で処理される。基板の処理中、プラズマチャンバ内の温度が制御される。温度を制御するために、プラズマチャンバ内の1または複数のヒータが制御される。
【0004】
本開示に記載の実施形態は、このような文脈で生まれたものである。
【0005】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、ヒータアレイにおける故障の特定および故障の補償のシステム、装置、方法、および、コンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、処理、装置、システム、デバイス、または、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録された方法など、種々の形態で実施できることを理解されたい。以下に、いくつかの実施形態を記載する。
【0007】
プラズマチャンバの構成要素(静電チャックまたはシャワーヘッドなど)が、ヒータマトリクスを有しており、ヒータマトリクス上で、各ノード(すなわち、ヒータ)が、ダイオードおよび抵抗加熱素子を有する。ヒータマトリクスは、ヒータアレイと呼ばれることもある。ダイオードが故障すると、ヒータマトリクスの複数のアドレスされていないヒータが、処理されているウエハ上に制御不能の加熱プロファイルを引き起こす望ましくないボーナス電流を受けることになる。ダイオードの故障は、検出されないままになる。そのため、ダイオードの故障が発生した時に、実行される回復方法がない。ダイオードの故障が検出された後に、構成要素は廃棄され、プラズマチャンバを有するプラズマツールの動作が停止され、交換用の構成要素が注文される。また、故障ダイオードを用いて処理されたすべてのウエハが廃棄される。ウエハの損失は非常にコストが掛かる。交換用の構成要素にコストが掛かる。また、交換用の構成要素が届いて、プラズマツール内に取り付けられるまで、プラズマツールが稼働できないため、システム稼働停止時間が生じる。本明細書に開示のシステムおよび方法は、ダイオードの故障の検出を提供し、それにより、ウエハの廃棄を防止できる。また、本明細書に開示のシステムおよび方法は、プラズマツールの稼働を停止せず、ウエハ処理の質を損なうことなく、交換用部品を注文するための追加の時間を提供する。
【0008】
本明細書に開示のシステムおよび方法は、単一ダイオード故障確認、位置特定、および、回復を提供する。単一ダイオード故障を有する構成要素は、単一ダイオード故障の後でも透過的に利用可能であるため、構成要素の寿命を延ばすことができ、また、プラズマツールの稼働停止時間は、単一ダイオード故障を有する構成要素を利用しながら交換用の構成要素を注文することによって短縮される。構成要素がさらなるダイオード故障を起こした時に、交換用の構成要素をすぐに利用できる。
【0009】
一実施形態において、ヒータアレイにおける故障の特定および故障の補償のための方法が開示されている。方法は、故障がヒータアレイ内の単一のヒータに限られる(ダイオードのショートなど)ことを確認する第1工程を備える。ヒータアレイ内で2以上のヒータが故障している場合、ヒータアレイが組み込まれたプラズマツールの構成要素または部品は交換される。方法は、さらに、ヒータアレイ内での故障の位置を特定する第2工程を備える。方法は、その位置の故障を補償するための故障回復処理を実行する第3工程を備える。
【0010】
一実施形態において、第1、第2、および、第3工程は、順序通りに実行される。例えば、第2工程は、第1工程の後に実行される。
【0011】
一実施形態において、本明細書に記載のヒータアレイは、プラズマチャンバ内で温度の微調整に用いられる。温度の粗調整のためのより大きいヒータがあり、より大きいヒータは、ゾーンヒータと呼ばれる。
【0012】
一実施形態において、故障ヒータを有するヒータアレイに供給される電力を調整するための方法が開示されている。方法は、故障ヒータの位置を特定する緩和データにアクセスする工程を備える。故障ヒータは、XバスかつYバス上に配置されている。方法は、さらに、故障ヒータに印加される電力のデューティサイクルを調整して、調整済みデューティサイクルを出力する工程と、調整済みデューティサイクルを故障ヒータに適用する工程と、を備える。調整済みデューティサイクルは、故障ヒータへの電力を低減させる。方法は、Xバス上およびYバス上の一連のヒータへ、ヒータアレイの残りのヒータへ適用される残りのデューティサイクルを調整することなしに、さらなる調整済みデューティサイクルを適用する工程を備える。さらなる調整済みデューティサイクルは、一連のヒータへの電力を低減させる。
【0013】
一実施形態において、システムが開示されている。システムは、複数のXバスと、複数のYバスと、プラズマチャンバ内に分配された複数のヒータとを有するヒータアレイを備える。システムは、さらに、複数のヒータの各々への電力のデューティサイクルを設定するための電力供給回路を備える。電力供給回路は、複数のヒータの内の故障ヒータのデューティサイクルを調整し、複数のヒータの内の第1および第2グループのヒータへ供給される電力のデューティサイクルを調整するよう構成されている。複数のXバスは、故障ヒータに関連するXバスを含み、複数のYバスは、故障ヒータに関連するYバスを含む。第1グループのヒータは、故障ヒータに関連するXバス上に位置し、第2グループのヒータは、故障ヒータに関連するYバス上に位置する。
【0014】
一実施形態において、プラズマシステムが開示されている。プラズマシステムは、高周波信号を生成するよう構成された高周波発生器と、高周波信号を受信するように高周波発生器に接続されたインピーダンス整合回路と、を備える。インピーダンス整合回路は、高周波信号を変調して、変調高周波信号を出力する。プラズマシステムは、さらに、変調高周波信号を受信するようにインピーダンス整合回路に接続されたプラズマチャンバを備える。プラズマチャンバは、複数のXバスと、複数のYバスと、複数のヒータとを備えたヒータアレイを備える。プラズマシステムは、さらに、複数のヒータの各々への電力のデューティサイクルを設定するために複数のヒータに接続された上述の電力供給回路を備える。
【0015】
ヒータアレイ内の故障を特定し、その故障を補償するための本明細書に開示のシステムおよび方法のいくつかの利点は、単一ヒータ故障を有する構成要素をすぐに廃棄する必要がないことである。ヒータアレイ内の2以上のヒータが故障するまで、構成要素の寿命を延ばすことができる。また、新しい交換用のチャックのコストをすぐに負担する必要がない。本明細書に開示のシステムおよび方法のさらなる利点は、ヒータアレイ内の単一ヒータの故障の確認と、単一ヒータの位置の特定とを、ツール上のその場で実行できることである。単一ヒータ故障が確認された場合、回復モードによって、故障に起因する基板の処理へのあらゆる影響を補償することができ、プラズマツールがウエハ処理のために稼働し続けるように構成要素を動作させることができる。ウエハを処理する際の生産性への影響が最小限になる。本明細書に開示のシステムおよび方法の追加の利点は、故障を有する構成要素が2以上のヒータの故障によって回復不能になる前に交換用の構成要素(交換用のチャックなど)を予め注文できることである。これにより、構成要素を交換用の構成要素に交換する際のツールの稼働停止時間が最小限になる。
【0016】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、別の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
実施形態は、添付の図面に関連して行う以下の説明を参照することによって最も良好に理解できる。
【0018】
図1】複数のヒータを制御することによるプラズマチャンバ内の温度のリアルタイム制御を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0019】
図2A-1】X1バスの複数の位置すなわちX1バスに沿った複数の位置のヒータと、X6バスの位置のヒータとから測定された電流の間の対称性を説明するために、位置X2Y3に故障ヒータダイオードを備えたヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0020】
図2A-2】ヒータアレイの位置X1Y3およびX6Y3において電流が対称であることを説明するために、位置X2Y3に故障ヒータダイオードを備えたヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0021】
図2B-1】X2バスに沿った1つの位置を除くX2バスのすべての位置、および、X5バスに沿った1つの位置を除くX5バスのすべての位置で、ヒータから測定された電流の間の非対称性を説明するために、位置X2Y3に故障ヒータダイオードを備えたヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0022】
図2B-2】ヒータアレイ内の位置X2Y3およびX5Y3において電流が対称であることを説明するために、位置X2Y3に故障ヒータダイオードを備えたヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0023】
図3A-1】ヒータアレイのY1バスの複数の位置およびY6バスの複数の位置においてヒータから測定された電流の間の対称性を説明するために、ヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0024】
図3A-2】ヒータアレイの位置Y1X2およびY6X2で電流が対称であることを説明するために一実施形態を示す図。
【0025】
図3B-1】ヒータアレイのY3バスに沿った1つの位置を除くY3バスのすべての位置、および、Y4バスに沿った1つの位置を除くY4バスのすべての位置で、ヒータから測定された電流の間の非対称性を説明するために、ヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0026】
図3B-2】ヒータアレイの位置X2Y3およびX2Y4で電流が対称であることを説明するために一実施形態を示す図。
【0027】
図4A】ヒータアレイ内の単一故障を確認するためのグラフの一実施形態を示す図。
【0028】
図4B】ヒータアレイ内の単一故障を確認するためのグラフの一実施形態。
【0029】
図4C】ヒータアレイ内の単一故障を超える数の故障を説明するためのグラフの一実施形態を示す図。
【0030】
図4D】ヒータアレイ内の単一故障より多い数の故障を説明するためのグラフの一実施形態を示す図。
【0031】
図4E】ヒータアレイ内の単一故障より多い数の故障を説明するためのグラフの一実施形態を示す図。
【0032】
図4F】ヒータアレイ内の単一故障より多い数の故障を説明するためのグラフの一実施形態を示す図。
【0033】
図5】ヒータアレイ内の単一の故障位置の決定を説明するためにヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0034】
図6】ヒータアレイ内の故障ヒータの位置X2Y3における単一故障を補償するために行うヒータアレイ内の複数のヒータの動作のデューティサイクルの調整を説明するために、ヒータアレイの一実施形態を示す図。
【0035】
図7】容量結合プラズマ(CCP)システム内でのヒータアレイの利用を説明するためにCCPシステムの一実施形態を示す図。
【0036】
図8】プラズマ強化原子層蒸着(PEALD)システムまたはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)システム内でのヒータアレイの利用を説明するために、PEALDツールまたはPECVDツールの一実施形態を示す図。
【0037】
図9】誘導結合プラズマ(ICP)システム内でのヒータアレイの利用を説明するためにICPシステムの一実施形態を示す図。
【0038】
図10A】ヒータアレイにおける単一故障が確認された時、または、ヒータアレイにおけるヒータの故障位置がプロセッサによって特定された時に、ディスプレイデバイス上に表示される通知を説明するためにシステムの一実施形態を示す図。
【0039】
図10B】ヒータアレイにおける単一故障が確認された時、または、ヒータアレイにおけるヒータの故障位置が特定された時に、ディスプレイデバイス上に表示される別の通知を説明するためにディスプレイデバイスの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の実施形態は、プラズマチャンバにおける温度のリアルタイム制御のためのシステムおよび方法について記載する。本実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能であることが明らかである。また、本実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。
【0041】
図1は、複数のヒータを制御することによるプラズマチャンバ内の温度のリアルタイム制御を説明するためにシステム100の一実施形態を示す図である。システム100は、電圧源Vsと、ヒータアレイ102と、マルチプレクサ108と、不揮発性メモリ110と、ユーザインターフェースシステム(UIS)112と、を備える。本明細書で用いられるマルチプレクサは、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)として製造される。例えば、マルチプレクサおよびPCBAという用語は、本明細書では交換可能に用いられている。本明細書で用いられる不揮発性メモリの例は、フラッシュメモリおよび強誘電体ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。電圧源Vsの例は、電源を含む。例えば、電圧源Vsは、或る量の電圧を供給する。ヒータアレイ102は、基板支持体、チャック、シャワーヘッド、または、上側電極アセンブリの中に配置される。上側電極アセンブリは、上側電極と、その他の構成要素(上側電極を取り囲む誘電体、および、誘電体を取り囲む上側電極延長部など)と、を備える。ユーザインターフェース112の例は、ホストコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、および、サーバを含む。ユーザインターフェース112、マルチプレクサ108、および、不揮発性メモリ110は、電力供給回路104の部品または構成要素である。
【0042】
ヒータアレイ102は、複数のスイッチSX1、SX2、SX3、SX4、SX5、SX6、SY1、SY2、SY3、SY4、SY5、およびSY6を備える。さらに、ヒータアレイ102は、複数のXバスX1、X2、X3、X4、X5、X6と、複数のYバスY1、Y2、Y3、Y4、Y5、および、Y6と、を備える。ヒータアレイ102は、複数の位置を備え、各位置がヒータを備える。ヒータアレイ102のヒータは、ヒータマトリクスを形成するように分配されている。ヒータアレイ102の位置XjYiは、ダイオードDXjYiおよび抵抗器RXjYiをさらに含むヒータを備え、ここで、jは、1~6の範囲、iは、1~6の範囲である。例えば、ヒータアレイ102の位置X1Y1は、ダイオードDX1Y1および抵抗器RX1Y1を備えたヒータを備え、ヒータアレイ102の別の位置X2Y2は、ダイオードDX2Y2および抵抗器RX2Y2を備える。位置におけるヒータのダイオードは、そのヒータの抵抗器と直列に接続されている。本明細書で用いるバスの一例は、ワイヤなどの導体である。本明細書で用いるスイッチの一例は、リレーである。別の例として、本明細書で用いるスイッチは、互いに接続された1または複数のトランジスタを備える。
【0043】
マルチプレクサ108は、ラインLY1を介してスイッチSY1に、ラインLY2を介してスイッチSY2に、ラインLY3を介してスイッチSY3に、ラインLY4を介してスイッチSY4に、ラインLY5を介してスイッチSY5に、ラインLY6を介してスイッチSY6に、ラインLX1を介してスイッチSX1に、ラインLX2を介してスイッチSX2に、ラインLX3を介してスイッチSX3に、ラインLX4を介してスイッチSX4に、ラインLX5を介してスイッチSX5に、ラインLX6を介してスイッチSX6に、接続されている。本明細書で用いるラインの一例は、ワイヤなどの導体である。
【0044】
ユーザインターフェースシステム112は、プロセッサ106、メモリデバイス114、および、ディスプレイデバイス116を備える。本明細書で用いるプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPFA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、または、マイクロコントローラである。本明細書で用いるメモリデバイスの例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリーメモリ(ROM)を含む。例を挙げると、メモリデバイスは、フラッシュメモリ、ハードディスク、または、ストレージデバイスなどである。メモリデバイスは、コンピュータ読み取り可能な媒体の一例である。ディスプレイデバイス116の例は、液晶ディスプレイデバイス、発光ダイオードディスプレイデバイス、および、プラズマディスプレイデバイスを含む。
【0045】
不揮発性メモリ110は、プラズマチャンバ内で達成されるべき温度値、ヒータアレイ102のヒータの動作のデューティサイクル、および、電圧源Vsによって生成されるべき電圧の公称値の間の1または複数のマッピング(一対一の関係性、対応関係、関連性、または、一意的な関係性など)を含む。例えば、ヒータアレイ102を備えたプラズマチャンバ内の温度値Temp1を達成するために、電圧源Vsは、公称電圧量Vnominal1を生成するように動作され、位置X1Y1のヒータは、デューティサイクルDCX1Y1で動作され、位置X1Y2のヒータは、デューティサイクルDCX1Y2で動作され、以下同様に続いて、位置X6Y6のヒータは、デューティサイクルDCX6Y6で動作される。ヒータアレイ102のヒータの動作のデューティサイクルは、電力が電圧源Vsからヒータへ提供されるデューティサイクルすなわちクロックサイクル中の時間である。
【0046】
さらに、不揮発性メモリ110は、ユーザへのヒータアレイ102の納入時に、ヒータアレイ102に固有のマッピングを予めロードされることに注意されたい。別の例として、ヒータアレイ102のヒータのデューティサイクルは、電圧源Vsが一定値(公称値Vnorminal1など)の電圧を生成および供給すると仮定して、ヒータアレイ102が製造される工場で予め較正される。ユーザへの納入前に工場で、ヒータアレイ102のヒータのデューティサイクルのオフ期間およびオン期間に関する情報が計算され、不揮発性メモリ110に格納される。
【0047】
プロセッサ106は、不揮発性メモリ110から1または複数のマッピングを受信するかまたはマッピングにアクセスし、プラズマチャンバ内のヒータアレイ102のヒータ素子がプラズマチャンバ内で温度値Temp1を達成するために動作されるデューティサイクルを1または複数のマッピングから特定する。電圧源Vsは、その温度値を達成するための公称電圧値を生成することができる。温度値Temp1は、ヒータアレイ102を有するプラズマチャンバ内で基板を処理するためのレシピの一部として達成される。本明細書で用いられる基板の一例は、半導体ウエハを含み、半導体ウエハは、テストウエハまたは処理対象のウエハであってよい。例えば、基板は、シリコンなどの基板層の上に重ねられた複数のスタック層を含む。レシピは、その他の値、例えば、高周波(RF)発生器の動作周波数、RF発生器の動作電力レベル、プラズマチャンバ内の上側電極と下側電極との間のギャップ、プラズマチャンバ内の圧力、および、プラズマチャンバ内に供給される処理ガスの化学など、を含む。プロセッサ106は、メモリデバイス114に格納されたレシピにアクセスし、それに従って、RF発生器と、ヒータアレイ102を有するプラズマチャンバとを制御することで、レシピを実行する。
【0048】
ヒータアレイ102を有するプラズマチャンバ内での基板の処理中、電圧源Vsは、ヒータアレイ102のヒータの内の1以上に供給するために公称電圧値を生成する。さらに、基板の処理中、プロセッサ106は、ヒータアレイ102が配置されたプラズマチャンバ内で温度値Temp1が達成されることをレシピから特定する。基板が処理されている時、プロセッサ106は、ヒータアレイ102のヒータを制御してヒータそれぞれのデューティサイクルを設定または達成するために、ヒータアレイの1以上のXバスおよび1以上のYバスをアドレス指定するためのマルチプレクサ108にデューティサイクル制御信号を送信する。デューティサイクル制御信号は、ヒータアレイ102のヒータ素子のデューティサイクルを達成するために、スイッチSX1~SX6およびSY1~SY6を開閉するための周波数を含む。
【0049】
デューティサイクル制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、それに従ってスイッチSX1~SX6およびSY1~SY6の開閉を管理することにより、ヒータアレイ102のヒータの動作のデューティサイクルを達成する。例えば、スイッチSY1およびSX1を閉じて、残りのスイッチSY2~SY6およびSX2~SX6を開くためのデューティサイクル制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1を閉じるためにLY1を介してスイッチSY1へ信号を送信し、スイッチSX1を閉じるためにラインLX1を介してスイッチSX1に別の信号を送信し、スイッチSX2~SX6を開くためにラインLX2~LX6を介したスイッチSX2~SX6への信号の送信を停止し、スイッチSY2~SY6を開くためにラインLY2~LY6を介したスイッチSY2~SY6への信号の送信を停止する。スイッチSY1およびSX1が閉じ、残りのスイッチSX2~SX6およびSY2~SY6が開いている期間中、電圧源Vsから出力された公称電圧によって生成された電流は、スイッチSY1、バスY1、ダイオードDX1Y1、抵抗器RX1Y1、バスX1、および、スイッチSX1を介して、接地電位へ伝達される。位置X1Y1のヒータを通して流れる電流は、スイッチSX1の端子に接続されている電流計202X1にも流れる。したがって、位置X1Y1のヒータを通して流れる電流が測定および監視される一方で、位置X1Y1のヒータのデューティサイクルがマルチプレクサ108によって制御される。測定電流は、電流計202X1からプロセッサ106へ送信される。さらなる電流計202X2、202X3、202X4、202X5、および、202X6の内の1以上について、後に記載する。
【0050】
引き続き、この例において、スイッチSY1およびSX1を開き、残りのスイッチSY2~SY6およびSX2~SX6を開状態に維持するための別のデューティサイクル制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1を開くためにLY1を介したスイッチSY1への信号の送信を停止し、スイッチSX1を開くためにラインLX1を介したスイッチSX1への信号の送信を停止する。スイッチSY1およびSX1が開いている時、電圧源Vsから出力された公称電圧によって生成された電流は、スイッチSY1、バスY1、ダイオードDX1Y1、抵抗器RX1Y1、バスX1、および、スイッチSX1を介して、接地電位へ伝達されない。位置X1Y1のヒータのデューティサイクルは、スイッチSX1およびSY1が閉じて残りのスイッチSX2~SX6およびSY2~SY6が開いているクロック信号のサイクルの期間に対して達成または設定される。同様に、ヒータアレイ102内の残りの位置の残りのヒータのデューティサイクルおよび測定電流は、マルチプレクサ108を介してプロセッサ106によって制御される。
【0051】
ヒータアレイ102の応用ならびに構造または製造により、中心線すなわち中心x軸CLX、または、中心y軸すなわち中心線CLY、を軸として反転された位置のヒータは、同様の抵抗を有するため、おおよそ同じ電流量を有する。例えば、位置X1Y1およびX6Y1のヒータは、中心x軸CLXを軸として反転されており、おおよそ同じ電流量を有し、位置X2Y2およびX5Y2のヒータは、中心x軸CLXを軸として反転されており、おおよそ同じ電流量を有し、位置X1Y1およびX1Y6のヒータは、中心y軸CLYを軸として反転されており、おおよそ同じ電流量を有し、位置X2Y2およびX2Y5のヒータは、中心y軸CLYを軸として反転されており、おおよそ同じ電流量を有している。
【0052】
いくつかの実施形態において、ヒータアレイ102は、任意の数のヒータ、任意の数のスイッチ、および、任意の数のバスを備える。例えば、ヒータアレイ102は、144個のヒータを備える。別の例として、ヒータアレイ102は、100個のヒータを備える。
【0053】
様々な実施形態において、接地電位の代わりに、正の電位量または負の電位量などの基準電位が用いられる。正の電位量および負の電位量は、電圧源Vsの電位未満である。
【0054】
一実施形態において、電力供給回路104は、ユーザインターフェースシステム112と、マルチプレクサ108と、メモリ110と、スイッチSX1~SX6と、スイッチSY1~SY6と、バスX1~X6と、バスY1~Y6と、を備える。
【0055】
図2A-1は、X1バスの位置(すなわち、X1バスにおける位置、または、X1バスに沿った位置)のヒータと、X6バスの位置のヒータとから測定された電流の間の対称性を説明するために、位置X2Y3に故障ヒータダイオードを備えたヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。バスX2は、位置X2Y3の故障ヒータに関連することに注意されたい。例えば、位置X2Y3の故障ヒータは、バスX2上に配置されている。同様に、バスY3は、位置X2Y3の故障ヒータに関連している。例えば、位置X2Y3の故障ヒータは、バスY3上に配置されている。バスの位置またはバスにおける位置またはバスに沿った位置の一例は、バスに接続された端子を有するヒータの位置を含む。例えば、位置X1Y1、X1Y2、X1Y3、X1Y4、X1Y5、および、X1Y6は、バスX1に沿っており、位置X1Y1、X2Y1、X3Y1、X4Y1、X5Y1、および、X6Y1は、バスY1に沿っている。位置X1Y1のヒータの端子が、X1バスに接続され、位置X1Y2のヒータの端子が、X1バスに接続され、位置X1Y3のヒータの端子が、X1バスに接続され、位置X1Y4のヒータの端子が、X1バスに接続され、位置X1Y5のヒータの端子が、X1バスに接続され、位置X1Y6のヒータの端子が、X1バスに接続されている。
【0056】
図1のプロセッサ106は、スイッチSY1およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6およびSX2~SX6を開くために、制御信号(デューティサイクル制御信号など)をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1およびSX1を閉じるためにスイッチSY1およびSX1へ信号を送信し、スイッチSY2~SY6およびSX2~SX6を開くために、スイッチSY2~SY6およびSX2~SX6へは信号を送信しない。
【0057】
スイッチSY1およびSX1が閉じている時、正常電流INが電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。一例として、本明細書で用いる正常電流は、故障していないヒータを通して流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X1Y1のヒータ、バスX1、および、スイッチSX1を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY1およびSX1が閉じている時、外来電流IUW1が、電圧源Vsから経路UW1を介して接地電位へ流れる。外来電流、ボーナス電流、望ましくない(UW)電流、および、漏れ電流という用語は、本明細書では交換可能に用いられていることに注意されたい。さらに、ヒータの或る位置での故障は、その位置でのダイオードのショートの結果である。
【0058】
経路UW1は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X2Y1のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X1Y3のヒータ、バスX1、および、スイッチSX1を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X1は、スイッチSX1の端子において正常電流INおよび外来電流IUW1の和I(N+UW1)を測定する。電流計202X1は、スイッチSX1の端子に接続され、端子は、接地電位に接続されている。本明細書で用いる電流計の例は、バスを流れる電流量を測定する電流センサまたは電流測定装置を含む。
【0059】
同様に、スイッチSY1およびSX6が閉じている時、正常電流INが電圧源Vsから経路N2を通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X6Y1のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY1およびSX6が閉じている時、外来電流IUW2が、電圧源Vsから経路UW2を介して接地電位へ流れる。経路UW2は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X2Y1のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSX6の端子において正常電流INおよび外来電流IUW2の和(N+UW2)を測定する。電流計202X6は、スイッチSX6の端子に接続され、端子は、接地電位に接続されている。図2A-1に示すように、位置X2Y3の故障ヒータを有する同じバス上にない任意のヒータ(位置X1Y1およびX6Y1のヒータなど)が、故障ヒータを介して電圧源Vsから受信した外来電流を有することになる。位置X2Y3の故障ヒータを有するバスは、バスX2またはバスY3である。
【0060】
本明細書に記載する各電流計は、プロセッサ106に接続されている。プロセッサ106は、電流和I(N+UW1)およびI(N+UW2)の測定値を受信し、電流和I(N+UW1)が電流和I(N+UW2)に対して対称であるか否かを判定する。例えば、プロセッサ106は、電流和I(N+UW1)が電流和I(N+UW2)から所定の範囲内にあるか否かを判定する。所定の範囲内の電流の測定値の例は、0.2アンペア未満または0.3アンペア未満の差を有する測定値を含む。電流和I(N+UW1)の測定値が電流和I(N+UW2)の測定値から所定の範囲内にあると判定すると、プロセッサ106は、測定値が互いに対して対称であり、すなわち、位置X1Y1およびX6Y1のヒータが互いに対して対称であると判定する。一方、電流和I(N+UW1)の測定値が電流和I(N+UW2)の測定値から所定の範囲内にない、すなわち、範囲外にあると判定したことに応じて、プロセッサ106は、測定値が非対称であり、すなわち、位置X1Y1およびX6Y1のヒータが互いに対して非対称であると判定する。所定の範囲外にあり、すなわち、範囲内にない電流の測定値の例は、1アンペアより大きいまたは0.5アンペアより大きい差など、所定の限界値よりも大きい差を有する測定値である。
【0061】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX1を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX2~SX6、SY1、および、SY3~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX1が閉じられ、残りのスイッチSX2~SX6、SY1、および、SY3~SY6が開いている時に、電流計202X1から電流の測定値を受信する。また、プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX6を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1~SX5、SY1、および、SY3~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX6が閉じられ、残りのスイッチSX1~SX5、SY1、および、SY3~SY6が開いている時に、電流計202X6から電流の測定値を受信する。プロセッサ106は、電流計202X1および202X6から受信した測定値を比較するために、測定値すなわち位置X1Y2およびX6Y2のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0062】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、さらに、スイッチSY4およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、および、SX1~SX5を開くように制御して、電流計202X6から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X1および202X6から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X1Y4およびX6Y4のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0063】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY5およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1~SY4、SY6、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY5およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY1~SY4、SY6、および、SX1~SX5を開くように制御して、電流計202X6から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X1および202X6から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X1Y5およびX6Y5のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0064】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、および、SX1~SX5を開くように制御して、電流計202X6から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X1および202X6から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X1Y6およびX6Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。電流が、位置X1Y1およびX6Y1、位置X1Y2およびX6Y2、位置X1Y4およびX6Y4、位置X1Y5およびX6Y5、ならびに、位置X1Y6およびX6Y6を通るように、ヒータアレイ102のスイッチが制御された時に、プロセッサ106は、電流が、位置X1Y1およびX6Y1の間、位置X1Y2およびX6Y2の間、位置X1Y4およびX6Y4の間、位置X1Y5およびX6Y5の間、ならびに、位置X1Y6およびX6Y6の間、で対称であると判定する。図2A-1に示すように、位置X2Y3の故障ヒータと同じY3バス上にはないヒータアレイ102の任意のヒータ(位置X1Y1およびX6Y1のヒータなど)は、電圧源Vsから位置X2Y3のヒータを介して流れる外来電流からの外来電流測定値を有するが、対称のままである。
【0065】
バスX1およびX6は、中心x軸CLXに関して対称である(対称に配置されている、など)ことに注意されたい。例えば、バスX1は、2つのバスX2およびX3によって中心x軸CLXから隔てられ、バスX6は、同じ数のバス(X4およびX5)によって中心x軸CLXから隔てられている。XバスX1~X6の各々は、中心x軸と平行である様子が図示されている。
【0066】
図2A-2は、電流がX1バスの位置およびX6バスの位置で対称であることを説明するために一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY3およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY3およびSX1を閉じるためにスイッチSY3およびSX1へ信号を送信し、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6を開くために、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6へは信号を送信しない。
【0067】
スイッチSY3およびSX1が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X1Y3のヒータ、バスX1、および、スイッチSX1を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X1は、スイッチSX1の端子において正常電流IN’を測定する。スイッチSY3およびSX1が閉じられ、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6が開いている時、位置X2Y3のヒータの故障により、外来電流はバスX1を通らない。
【0068】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5を開くために、制御信号をマルチプレクサ108に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY3およびSX6を閉じるためにスイッチSY3およびSX6へ信号を送信し、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5を開くために、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5へは信号を送信しない。
【0069】
スイッチSY3およびSX6が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSX6の端子において正常電流IN’を測定する。スイッチSY3およびSX6が閉じられ、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5が開いている時、位置X2Y3のヒータの故障により、外来電流はバスX6を通らない。
【0070】
プロセッサ106は、電流IN’およびIN’の測定値を受信および比較して、測定値が互いに対して対称であり、すなわち、位置X1Y3およびX6Y3のヒータが互いに対して対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流IN’の測定値が電流IN’の測定値から所定の範囲内にあると判定する。図2A-2に示すように、位置X2Y3の故障ヒータと同じY3バス上にある任意のヒータ(位置X1Y3のヒータおよび位置X6Y3のヒータなど)は、電圧源Vsから位置X2Y3のヒータを介して流れる外来電流を有していないが、対称のままである。図2A-1および図2A-2を参照すると、プロセッサ106は、X1およびX6バスに沿ったヒータのすべての位置の間で電流が対称であると判定する。
【0071】
さらに、X1およびX6バスのすべての位置すなわちバスに沿ったすべての位置がプロセッサ106によって対称であると判定されたのと同じように、X3およびX4バスのすべての位置すなわちバスに沿ったすべての位置が、プロセッサ106によって対称であると判定される。例えば、プロセッサ106は、位置X3Y1およびX4Y1の間の電流が対称であり、位置X3Y2およびX4Y2の間の電流が対称であり、位置X3Y3およびX4Y3の間の電流が対称であり、位置X3Y4およびX4Y4の間の電流が対称であり、位置X3Y5およびX4Y5の間の電流が対称であり、位置X3Y6およびX4Y6の間の電流が対称であると判定する。
【0072】
図2B-1は、X2バスに沿った1つの位置を除くX2バスに沿ったすべての位置、および、X5バスに沿った1つの位置を除くX5バスのすべての位置で、ヒータから測定された電流の間の非対称性を説明するために、ヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY1およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1およびSX2を閉じるためにスイッチSY1およびSX2へ信号を送信し、スイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、スイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6へは信号を送信しない。
【0073】
スイッチSY1およびSX2が閉じられ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6が開いている時、正常電流INが、電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X2Y1のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X2は、スイッチSX2の端子において電流INを測定する。電流計202X2は、接地電位に接続されたスイッチSX2の端子に接続されている。
【0074】
同様に、スイッチSY1およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1~SX4、および、SX6が開いている時、正常電流INが、電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X5Y1のヒータ、バスX5、および、スイッチSX5を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY1およびSX5が閉じている時、外来電流IUW4が、電圧源Vsから経路UW4を介して接地電位へ流れる。経路UW4は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X2Y1のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X5Y3のヒータ、バスX5、および、スイッチSX5を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X5は、スイッチSX5の端子において正常電流INおよび外来電流IUW4の和I(N+UW4)を測定する。電流計202X5は、スイッチSX5の端子に接続され、端子は、接地電位に接続されている。
【0075】
ヒータアレイ102の製造または設計により、電流INおよびINはほぼ同一であることに注意されたい。プロセッサ106は、電流INおよびI(N+UW4)の測定値を受信し、測定値が非対称であり、すなわち、位置X2Y1およびX5Y1のヒータが互いに対して非対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流INの測定値が電流I(N+UW4)の測定値から所定の範囲の外にあると判定する。
【0076】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX2を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1、SX3~SX6、SY1、および、SY3~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX2が閉じられ、残りのスイッチSX1、SX3~SX6、SY1、および、SY3~SY6が開いている時に、電流計202X2から電流の測定値を受信する。また、プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX5を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、SY1、および、SY3~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY2およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、SY1、および、SY3~SY6が開いている時に、電流計202X5から電流の測定値を受信する。プロセッサ106は、電流計202X2および202X5から受信した測定値を比較して、電流の測定値すなわち位置X2Y2およびX5Y2のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0077】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように制御して、電流計202X2から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、さらに、スイッチSY4およびSX5を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くように制御して、電流計202X5から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X2および202Xから受信した測定値を比較して、電流の測定値すなわち位置X2Y4およびX5Y4のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0078】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY5およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1~SY4、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように制御して、電流計202X2から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY5およびSX5を閉じ、残りのスイッチSY1~SY4、SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くように制御して、電流計202X5から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X2および202X5から受信した測定値を比較して、電流の測定値すなわち位置X2Y5およびX5Y5のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0079】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、SX1、および、SX3~SX6を開くように制御して、電流計202X2から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX5を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、SX1~SX4、および、SX6を開くように制御して、電流計202X5から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X2および202X5から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X2Y6およびX5Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。このように、電流が、位置X2Y1およびX5Y1、位置X2Y2およびX5Y2、位置X2Y4およびX5Y4、位置X2Y5およびX5Y5、ならびに、位置X2Y6およびX5Y6を連続的に通るように、ヒータアレイ102のスイッチが制御された時に、プロセッサ106は、電流が、位置X2Y1およびX5Y1の間、位置X2Y2およびX5Y2の間、位置X2Y4およびX5Y4の間、位置X2Y5およびX5Y5の間、ならびに、位置X2Y6およびX5Y6の間、で非対称であると判定する。
【0080】
バスX2およびX5は、中心x軸CLXに関して対称である(対称に配置され、対称に製造されている、など)ことに注意されたい。例えば、バスX2は、1つのバスX3によって中心x軸CLXから隔てられ、バスX5は、1つのバスX4によって中心x軸CLXから隔てられている。
【0081】
図2B-2は、位置X2Y3およびX5Y3で電流が対称であることを説明するために一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY3およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY3およびSX2を閉じるためにスイッチSY3およびSX2へ信号を送信し、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX~SX6を開くために、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX~SX6へは信号を送信しない。
【0082】
スイッチSY3およびSX2が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X2Y3のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X2は、スイッチSX2の端子において正常電流IN’を測定する。
【0083】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX5を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY3およびSX5を閉じるためにスイッチSY3およびSX5へ信号を送信し、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くために、スイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX4、および、SX6へは信号を送信しない。
【0084】
スイッチSY3およびSX5が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X5Y3のヒータ、バスX5、および、スイッチSX5を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X5は、スイッチSX5の端子において正常電流IN’を測定する。
【0085】
プロセッサ106は、電流IN’およびIN’の測定値を受信して、電流IN’の測定値が電流のIN’の測定値に対して対称であり、すなわち、位置X2Y3およびX5Y3のヒータが互いに対して非対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流IN’の測定値が電流IN’の測定値から所定の範囲内にあると判定する。
【0086】
図2B-2に示すように、プロセッサ106は、電流が位置X2Y3とX5Y3との間で対称であると判定する。また、図2B-1に示したように、プロセッサ106は、X2およびX5バスに沿ったヒータの位置のそれぞれ少なくとも1つの間で電流が非対称であると判定して、ヒータアレイ102のすべてのバスX1~X6からX2およびX5バスを特定する。電流がX2およびX5バスに沿って非対称である位置は、位置X2Y1およびX5Y1、X2Y2およびX5Y2、X2Y4およびX5Y4、X2Y5およびX5Y5、ならびに、X2Y6およびX5Y6を含む。位置X2Y3およびX5Y3から受信される電流は対称である。
【0087】
図3A-1は、Y1バスの位置のヒータと、Y6バスの位置のヒータとから測定された電流の間の対称性を説明するために、ヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY1およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6およびSX1~SX5を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1およびSX6を閉じるためにスイッチSY1およびSX6へ信号を送信し、スイッチSY2~SY6およびSX1~SX5を開くために、スイッチSY2~SY6およびSX1~SX5へは信号を送信しない。
【0088】
スイッチSY1およびSX6が閉じている時、正常電流INが電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X6Y1のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY1およびSX6が閉じている時、外来電流IUW5が、電圧源Vsから経路UW5を介して接地電位へ流れる。経路UW5は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X1Y1のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSXの端子において正常電流INおよび外来電流IUW5の和(N+UW5)を測定する。電流計202X6は、スイッチSX6の端子に接続され、端子は、接地電位に接続されている。
【0089】
同様に、スイッチSY6およびSX6が閉じている時、正常電流INが電圧源Vsから経路N6を通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY6、バスY6、位置X6Y6のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY6およびSX6が閉じている時、外来電流IUW6が、電圧源Vsから経路UW6を介して接地電位へ流れる。経路UW6は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY6、バスY6、位置X1Y6のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSX6の端子において正常電流INおよび外来電流IUW6の和(N+UW6)を測定する。
【0090】
電流I(N)およびI(N)は、ヒータアレイ102の製造によりおおよそ同じであり、電流I(UW)およびI(UW)もそうであることに注意されたい。プロセッサ106は、電流和I(N+UW)およびI(N+UW)の測定値を受信して、電流和(N+UW)の測定値が、電流和I(N+UW)の測定値に対して対称であると判定し、さらに位置X6Y1およびX6Y6のヒータが互いに対して対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流和I(N+UW5)の測定値が、電流和I(N+UW6)の測定値から所定の範囲内にあると判定する。
【0091】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY1およびSX5を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、および、SY2~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY1およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、および、SY2~SY6が開いている時に、電流計202X5から電流の測定値を受信する。また、プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX5を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、および、SY1~SY5を開く。プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、および、SY1~SY5が開いている時に、電流計202X5から電流の測定値を受信する。プロセッサ106は、電流計202X5から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X5Y1およびX5Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0092】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY1およびSX4を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1~SX3、SX5、および、SX6を開くように制御して、電流計202X4から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、さらに、スイッチSY6およびSX4を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、SX1~SX3、SX5、および、SX6を開くように制御して、電流計202X4から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X4から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X4Y1およびX4Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0093】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY1およびSX3を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1、SX2、および、SX4~SX6を開くように制御して、電流計202X3から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX3を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、SX1、SX2、および、SX4~SX6を開くように制御して、電流計202X3から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X3から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X3Y1およびX3Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。
【0094】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY1およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X1から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X1Y1およびX1Y6のヒータが上述したのと同じように互いに対して対称であると判定する。電流が、位置X1Y1およびX1Y6、位置X3Y1およびX3Y6、位置X4Y1およびX4Y6、位置X5Y1およびX5Y6、ならびに、位置X6Y1およびX6Y6を通るように、ヒータアレイ102のスイッチが制御された時に、プロセッサ106は、電流が、位置X1Y1およびX1Y6の間、位置X3Y1およびX3Y6の間、位置X4Y1およびX4Y6の間、位置X5Y1およびX5Y6の間、ならびに、位置X6Y1およびX6Y6の間、で対称であると判定する。
【0095】
バスY1およびY6は、中心y軸CLYに関して対称である(対称に配置され、対称に製造されている、など)ことに注意されたい。例えば、バスY1は、2つのバスY2およびY3によって中心y軸CLYから隔てられ、バスY6は、同数の2つのバス(Y4およびY5)によって中心y軸CLYから隔てられている。YバスY1~Y6は、中心y軸に平行である様子が図示されている。
【0096】
図3A-2は、位置X2Y1およびX2Y6で電流が対称であることを説明するために一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY1およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY1およびSX2を閉じるためにスイッチSY1およびSX2へ信号を送信し、スイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、スイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6へは信号を送信しない。
【0097】
スイッチSY1およびSX2が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY1、バスY1、位置X2Y1のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X2は、スイッチSX2の端子において正常電流IN’を測定する。スイッチSY1およびSX2が閉じられ、スイッチSY2~SY6、SX1、および、SX3~SX6が開いている時、位置X2Y3のヒータの故障により、外来電流はバスX2を通らない。
【0098】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY6およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1~SY5、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY6およびSX2を閉じるためにスイッチSY6およびSX2へ信号を送信し、スイッチSY1~SY5、SX1、および、SX3~SX6を開くために、スイッチSY1~SY5、SX1、および、SX3~SX6へは信号を送信しない。
【0099】
スイッチSY6およびSX2が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY6、バスY6、位置X2Y6のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X2は、スイッチSX2の端子において正常電流IN’を測定する。スイッチSY6およびSX2が閉じられ、スイッチSY1~SY5、SX1、および、SX3~SX6が開いている時、位置X2Y3のヒータの故障により、外来電流はバスX2を通らない。
【0100】
IN’およびIN6’は、ヒータアレイ102の製造により、およそ等しいまたはおよそ同じであることに注意されたい。プロセッサ106は、電流IN’およびIN’の測定値を受信し、位置X2Y1とX2Y6との間で電流が対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流IN’の測定値が電流IN’の測定値から所定の範囲内にあると判定する。図3A-1および図3A-2を参照すると、プロセッサ106は、Y1およびY6の軸に沿ったヒータのすべての位置の間で電流が対称であると判定する。
【0101】
さらに、Y1およびY6バスに沿ったすべての位置がプロセッサ106によって対称であると判定されたのと同じように、Y2およびY5バスに沿ったすべての位置が、プロセッサ106によって対称であると判定される。例えば、プロセッサ106は、位置X1Y2およびX1Y5の間の電流が対称であり、位置X2Y2およびX2Y5の間の電流が対称であり、位置X3Y2およびX3Y5の間の電流が対称であり、位置X4Y2およびX4Y5の間の電流が対称であり、位置X5Y2およびX5Y5の間の電流が対称であり、位置X6Y2およびX6Y5の間の電流が対称であると判定する。
【0102】
図3B-1は、Y3バスに沿った1つの位置を除くY3バスのすべての位置、および、Y4バスに沿った1つの位置を除くY4バスのすべての位置で、ヒータから測定された電流の間の非対称性を説明するために、ヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY3およびSX6を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY3およびSX6を閉じるためにスイッチSY3およびSX6へ信号を送信し、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5を開くために、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5へは信号を送信しない。
【0103】
スイッチSY3およびSX6が閉じられ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX1~SX5が開いている時、正常電流INが、電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSX6の端子において正常電流INを測定する。電流計202X6によって測定されたように、望ましくない電流がスイッチSX6を流れていないことに注意されたい。
【0104】
同様に、スイッチSY4およびSX6が閉じられ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、および、SX1~SX5が開いている時、正常電流INが、電圧源Vsから経路Nを通して接地電位へ流れる。経路Nは、電圧源Vsに始まり、スイッチSY4、バスY4、位置X6Y4のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。さらに、位置X2Y3のヒータに故障があるので、スイッチSY4およびSX6が閉じている時、外来電流IUW8が、電圧源Vsから経路UW8を介して接地電位へ流れる。経路UW8は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY4、バスY4、位置X2Y4のヒータ、バスX2、位置X2Y3のヒータ、Y3バス、位置X6Y3のヒータ、バスX6、および、スイッチSX6を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X6は、スイッチSX6の端子において正常電流INおよび外来電流IUW8の和(N+UW8)を測定する。
【0105】
電流INおよびINは、ヒータアレイ102の製造により、おおよそ等しいことに注意されたい。プロセッサ106は、電流INおよびI(N+UW8)の測定値を受信し、測定値が非対称であり、すなわち、位置X6Y3およびX6Y4のヒータが互いに対して非対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流INの測定値が、電流I(N+UW8)の測定値から所定の範囲内にない、すなわち、範囲外にあると判定する。
【0106】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX5を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、SY1、SY2、および、SY4~SY6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSX1~SX4、SX6、SY1、SY2、および、SY4~SY6が開いている時に、電流計202X5から電流の測定値を受信する。また、プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX5を閉じるためにさらに制御するようマルチプレクサ108を制御する一方で、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX4、および、SX6を開く。プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX4、および、SX6が開いている時に、電流計202X5から電流の測定値を受信する。プロセッサ106は、電流計202X5から受信した測定値を比較して、電流の測定値すなわち位置X5Y3およびX5Y4のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0107】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX4を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX3、SX5、および、SX6を開くように制御して、電流計202X4から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、さらに、スイッチSY4およびSX4を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX3、SX5、および、SX6を開くように制御して、電流計202X4から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X4から受信した測定値を比較して、電流の測定値すなわち位置X4Y3およびX4Y4のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0108】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX3を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、SX2、および、SX4~SX6を開くように制御して、電流計202X3から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX3を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、SX2、および、SX4~SX6を開くように制御して、電流計202X3から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X3から受信した測定値を比較して、位置X3Y3およびX3Y4のヒータからの電流の測定値が上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。
【0109】
さらに、プロセッサ106は、スイッチSY3およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX1を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、および、SX2~SX6を開くように制御して、電流計202X1から電流の測定値を取得する。プロセッサ106は、電流計202X1から受信した測定値を比較して、測定値すなわち位置X1Y3およびX1Y4のヒータが上述したのと同じように互いに対して非対称であると判定する。電流が、位置X6Y3およびX6Y4、位置X5Y3およびX5Y4、位置X4Y3およびX4Y4、位置X3Y3およびX3Y4、ならびに、位置X1Y3およびX1Y4を通るように、ヒータアレイ102のスイッチが制御された時に、プロセッサ106は、位置X6Y3およびX6Y4の間、位置X5Y3およびX5Y4の間、位置X4Y3およびX4Y4の間、位置X3Y3およびX3Y4の間、ならびに、位置X1Y3およびX1Y4の間で電流が非対称であると判定する。
【0110】
バスY3およびY4は、中心y軸CLYに関して対称である(対称に配置されている、など)ことに注意されたい。例えば、バスY3は、中心y軸CLYから一つ目のバスであり、バスY4は、中心y軸CLYから一つ目のバスである。バスY3を中心y軸CLYから隔てるバスはなく、バスY4を中心y軸CLYから隔てるバスはない。
【0111】
図3B-2は、位置X2Y3およびX2Y4で電流が対称であることを説明するために一実施形態を示す図である。図1のプロセッサ106は、スイッチSY3およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108(図1)に送信する。スイッチSY3およびSX2が閉じられ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX~SX6が開いている時、正常電流IN’が、電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY3、バスY3、位置X2Y3のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202X2は、スイッチSX2の端子において正常電流IN’を測定する。
【0112】
同様に、プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX2を閉じ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、制御信号をマルチプレクサ108に送信する。制御信号を受信すると、マルチプレクサ108は、スイッチSY4およびSX2を閉じるためにスイッチSY4およびSX2へ信号を送信し、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くために、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6へは信号を送信しない。
【0113】
スイッチSY4およびSX2が閉じている時、正常電流IN’が電圧源Vsから経路N’を通して接地電位へ流れる。経路N’は、電圧源Vsに始まり、スイッチSY4、バスY4、位置X2Y4のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位まで伸びている。電流計202Xは、スイッチSXの端子において正常電流IN’を測定する。
【0114】
電流IN’およびIN’は、ヒータアレイ102の製造により、おおよそ同じまたは等しいことに注意されたい。プロセッサ106は、電流IN’およびIN’の測定値を受信し、測定値が対称であり、すなわち、位置X2Y3およびX2Y4のヒータが互いに対して対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、電流IN’の測定値が電流IN’の測定値から所定の範囲内にあると判定する。プロセッサ106は、Y3およびY4バスに沿ったヒータの位置のそれぞれ少なくとも1つの間で電流が非対称であると判定して、ヒータアレイ102のすべてのバスY1~Y6からY3およびY4バスを特定する。電流がY3およびY4バスに沿って非対称である位置は、位置X1Y3およびX1Y4、X3Y3およびX3Y4、X4Y3およびX4Y4、X5Y3およびX5Y4、ならびに、X6Y3およびX6Y4を含む。位置X2Y3およびX2Y4から受信される電流は対称である。
【0115】
X2およびX5バスに沿ったすべての位置が対称なわけではなく、Y3およびY4バスに沿ったすべての位置が対称なわけではないと判定すると、プロセッサ106は、X2、X5、Y3、および、Y4が、故障した1または複数のヒータの配置されたバスであると判定する。例えば、プロセッサ106は、位置X2Y1およびX5Y1(図2B-1)の間の電流の測定値が非対称であり、位置X6Y3およびX6Y4(図3B-1)の間の電流の測定値が非対称であると判定し、したがって、X2およびX5バスに沿ったすべての位置が対称なわけではなく、Y3およびY4バスに沿ったすべての位置が対称なわけではないと判定する。
【0116】
1または複数のヒータが故障した4つのバスX2、X5、Y3、および、Y4を特定した後、プロセッサ106は、ヒータアレイ106内に単一故障があることを確認するための処理を実行する。例えば、プロセッサ106は、ヒータアレイ102内の1つのヒータのみが故障したまたは故障していることを確認するための処理を実行する。
【0117】
図4Aは、ヒータアレイ102内の単一故障を確認するためのグラフ402の一実施形態である。単一故障の確認は、ヒータアレイ102内に別の故障ヒータがないことを確認するものであり、4つのバスX2、X5、Y3、および、Y4を特定した後に実行される。グラフ402は、ヒータアレイ102の2つのXバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔすなわち差をプロットしている。グラフは、X3およびX4バスに沿って配置された、位置X3Y1およびX4Y1の間、X3Y2およびX4Y2の間、X3Y3 およびX4Y3の間、X3Y4およびX4Y4の間、X3Y5および X4Y5の間、ならびに、X3Y6およびX4Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット404を含む。例えば、プロット404は、位置X3Y1とX4Y1との間の電流の測定値の差を示す点404Aを有し、位置X3Y2とX4Y2との間の電流の測定値の差を示す別の点404Bを有する。
【0118】
さらに、グラフ402は、X1およびX6バスに沿って配置された、位置X1Y1およびX6Y1の間、X1Y2およびX6Y2の間、X1Y3およびX6Y3の間、X1Y4およびX6Y4の間、X1Y5およびX6Y5の間、ならびに、X1Y6およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット406を含む。また、グラフ402は、X2およびX5バスに沿って配置された、位置X2Y1およびX5Y1の間、X2Y2およびX5Y2の間、X2Y3およびX5Y3の間、X2Y4およびX5Y4の間、X2Y5およびX5Y5の間、ならびに、X2Y6およびX5Y6間、の電流の測定値の差を示すプロット408を含む。
【0119】
図1のプロセッサ106は、X3およびX4バスに沿ったすべての位置、ならびに、XおよびXバスに沿ったすべての位置、の間の電流の測定値が対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、位置X3Y1およびX4Y1の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあり、位置X3Y2およびX4Y2の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあると判定する。さらに、図2A-1および図2A-2を参照して示したように、プロセッサ106は、X1およびX6バスに沿ったすべての位置の間で電流の測定値が対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、位置X1Y1およびX6Y1の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあり、位置X1Y2およびX6Y2の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあると判定する。また、図2B-1および図2B-2を参照して示したように、プロセッサ106は、X2およびX5バスに沿ったすべての位置の間の電流の測定値が、位置X2Y3およびX5Y3の間の電流の測定値を除いて非対称であると判定する。プロセッサ106は、位置X2Y3およびX5Y3の間の電流の測定値が対称であると判定する。位置X2Y3およびX5Y3の間の対称性は、プロット408の点408Cによって示されている。
【0120】
図4Bは、ヒータアレイ102内の単一故障を確認するためのグラフ410の一実施形態である。グラフ410は、ヒータアレイ102の2つのYバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔをプロットしている。グラフは、Y2およびY5バスに沿って配置された、位置X1Y2およびX1Y5の間、X2Y2およびX2Y5の間、X3Y2およびX3Y5の間、X4Y2およびX4Y5の間、X5Y2およびX5Y5の間、ならびに、X6Y2およびX6Y5の間、の電流の測定値の差を示すプロット412を含む。例えば、プロット412は、位置X1Y2とX1Y5との間の電流の測定値の差を示す点412Aを有し、位置X2Y2とX2Y5との間の電流の測定値の差を示す別の点412Bを有する。
【0121】
さらに、グラフ410は、Y1およびY6バスに沿って配置された、位置 X1Y1およびX1Y6の間、X2Y1およびX2Y6の間、X3Y1およびX3Y6の間、X4Y1およびX4Y6の間、X5Y1およびX5Y6の間、ならびに、X6Y1およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット414を含む。また、グラフ410は、Y3およびY4バスに沿って配置された、位置 X1Y3およびX1Y4の間、X2Y3およびX2Y4の間、X3Y3およびX3Y4の間、X4Y3およびX4Y4の間、X5Y3およびX5Y4の間、ならびに、X6Y3およびX6Y4の間、の電流の測定値の差を示すプロット416を含む。
【0122】
図1のプロセッサ106は、Y2およびY5バスに沿ったすべての位置、ならびに、Y1およびY6バスに沿ったすべての位置、の間の電流の測定値が対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、位置X1Y2およびX1Y5の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあり、位置X2Y2およびX2Y5の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあると判定する。さらに、図3A-1および図3A-2を参照して示したように、プロセッサ106は、Y1およびY6バスに沿ったすべての位置の間で電流の測定値が対称であると判定する。例えば、プロセッサ106は、位置X1Y1およびX1Y6の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあり、位置X2Y1およびX2Y6の間の電流の測定値が互いから所定の範囲内にあると判定する。また、図3B-1および図3B-2を参照して示したように、プロセッサ106は、Y3およびY4バスに沿ったすべての位置の間の電流の測定値が、位置X2Y3およびX2Y4の間の電流の測定値を除いて非対称であると判定する。プロセッサ106は、位置X2Y3およびX2Y4の間の電流の測定値が対称であると判定する。位置X2Y3およびX2Y4の間の対称性は、プロット416の点416Cによって示されている。
【0123】
X3バスに沿ったすべての位置およびX4バスに沿った対応する位置が対称であり、X1バスに沿ったすべての位置およびX6バスに沿った対応する位置が対称であり、X2バスに沿った1つの位置およびX5バスに沿った対応する位置を除いてX2バスに沿ったすべての位置およびX5バスに沿った対応する位置が非対称であり、Y2バスに沿ったすべての位置およびY5バスに沿った対応する位置が対称であり、Y1バスに沿ったすべての位置およびY6バスに沿った対応する位置が対称であり、Y3バスに沿った1つの位置およびY4バスに沿った対応する位置を除いてY3バスに沿ったすべての位置およびY4バスに沿った対応する位置が非対称であると判定したことに応じて、プロセッサ106は、単一故障がヒータアレイ102内に存在すると判定および確認する。X2バスに沿った位置およびX5バスに沿った対応する位置の例は、同じYバス上にある位置を含む。例えば、X2バスに沿った位置およびX5バスに沿った対応する位置は、位置X2Y1およびX5Y1、X2Y2およびX5Y2、X2Y3およびX5Y3、X2Y4およびX5Y4、X2Y5およびX5Y5、もしくは、X2Y6およびX5Y6を含む。Y3バスに沿った位置およびY4バスに沿った対応する位置の例は、同じXバスに沿った位置を含む。例えば、Y3バスに沿った位置およびY4バスに沿った対応する位置は、位置X1Y3およびX1Y4、X2Y3およびX2Y4、X3Y3およびX3Y4、X4Y3およびX4Y4、X5Y3およびX5Y4、もしくは、X6Y3およびX6Y4を含む。プロセッサ106は、単一故障が、X2およびX5およびY3およびY4バスに沿った単一の位置に存在することを確認する。したがって、単一故障確認のために、図4Aに示したように、プロセッサ106は、プロット408に示したxバス上の1つだけの位置および別の対称に配置されたxバスの対応する単一の位置が対称であることを除いて、非対称性がグラフ402の1つのプロット408のみに存在すると判定する。また、単一故障確認のために、図4Bに示したように、プロセッサ106は、さらに、プロット416に示したyバス上の1つだけの位置および別の対称に配置されたyバスの対応する単一の位置が対称であることを除いて、非対称性がグラフ410の1つのプロット416のみに存在すると判定する。
【0124】
図4Cは、ヒータアレイ102内の2以上の故障の発生を説明するためのグラフ420の一実施形態である。例えば、グラフ420は、ヒータアレイが複数の位置に故障を有すると判定するために用いられる。グラフ420は、ヒータアレイ102の2つのXバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔをプロットしている。グラフ420は、X3およびX4バスに沿って配置された、位置X3Y1およびX4Y1の間、X3Y2およびX4Y2の間、X3Y3 およびX4Y3の間、X3Y4およびX4Y4の間、X3Y5および X4Y5の間、ならびに、X3Y6およびX4Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット422を含む。例えば、プロット422は、位置X3Y1とX4Y1との間の電流の測定値の差を示す点422Aを有し、位置X3Y2とX4Y2との間の電流の測定値の差を示す別の点422Bを有する。
【0125】
さらに、グラフ420は、X1およびX6バスに沿って配置された、位置X1Y1およびX6Y1の間、X1Y2およびX6Y2の間、X1Y3およびX6Y3の間、X1Y4およびX6Y4の間、X1Y5およびX6Y5の間、ならびに、X1Y6およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット424を含む。また、グラフ420は、X2およびX5バスに沿って配置された、位置X2Y1およびX5Y1の間、X2Y2およびX5Y2の間、X2Y3およびX5Y3の間、X2Y4およびX5Y4の間、X2Y5およびX5Y5の間、ならびに、X2Y6およびX5Y6間、の電流の測定値の差を示すプロット426を含む。グラフ420内の2以上のプロット(プロット424および426など)に非対称性が存在するので、図1のプロセッサ106は、ヒータアレイ102内に2以上の故障があると判定する。
【0126】
図4Dは、ヒータアレイ102内の単一故障より多い数の故障を説明するためのグラフ430の一実施形態である。グラフ430は、ヒータアレイ102の2つのYバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔをプロットしている。グラフ430は、Y2およびY5バスに沿って配置された、位置X1Y2およびX1Y5の間、X2Y2およびX2Y5の間、X3Y2およびX3Y5の間、X4Y2およびX4Y5の間、X5Y2およびX5Y5の間、ならびに、X6Y2およびX6Y5の間、の電流の測定値の差を示すプロット432を含む。例えば、プロット432は、位置X1Y2とX1Y5との間の電流の測定値の差を示す点432Aを有し、位置X2Y2とX2Y5との間の電流の測定値の差を示す別の点432Bを有する。
【0127】
さらに、グラフ430は、Y1およびY6バスに沿って配置された、位置 X1Y1およびX1Y6の間、X2Y1およびX2Y6の間、X3Y1およびX3Y6の間、X4Y1およびX4Y6の間、X5Y1およびX5Y6の間、ならびに、X6Y1およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット434を含む。また、グラフ430は、Y3およびY4バスに沿って配置された、位置X1Y3およびX1Y4の間、X2Y3およびX2Y4の間、X3Y3およびX3Y4の間、X4Y3およびX4Y4の間、X5Y3およびX5Y4の間、ならびに、X6Y3およびX6Y4の間、の電流の測定値の差を示すプロット436を含む。グラフ430内の2以上のプロット(プロット434および436など)に非対称性が存在するので、図1のプロセッサ106は、ヒータアレイ102内に2以上の故障があると判定する。
【0128】
図4Eは、ヒータアレイ102内の1より多い数の故障の発生を説明するためのグラフ440の一実施形態である。例えば、グラフ440は、ヒータアレイ102が複数の位置に故障を有すると判定するために用いられる。グラフ440は、ヒータアレイ102の2つのXバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔをプロットしている。グラフ440は、X3およびX4バスに沿って配置された、位置X3Y1およびX4Y1の間、X3Y2およびX4Y2の間、X3Y3およびX4Y3の間、X3Y4およびX4Y4の間、X3Y5およびX4Y5の間、ならびに、X3Y6およびX4Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット442を含む。
【0129】
さらに、グラフ440は、X1およびX6バスに沿って配置された、位置X1Y1およびX6Y1の間、X1Y2およびX6Y2の間、X1Y3およびX6Y3の間、X1Y4およびX6Y4の間、X1Y5およびX6Y5の間、ならびに、X1Y6およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット444を含む。また、グラフ440は、X2およびX5バスに沿って配置された、位置X2Y1およびX5Y1の間、X2Y2およびX5Y2の間、X2Y3およびX5Y3の間、X2Y4およびX5Y4の間、X2Y5およびX5Y5の間、ならびに、X2Y6およびX5Y6間、の電流の測定値の差を示すプロット446を含む。2つの位置の間の単一の非対称性が1つのプロット446のみに存在するので、プロセッサ106は、1つの位置を除いたプロット446上のすべての位置が非対称であることが当てはまらないと判定し、さらに、2以上の故障が存在し、すなわち、ヒータアレイ102内で複数のヒータが故障したと判定する。
【0130】
図4Fは、ヒータアレイ102内の単一故障より多い数の故障を説明するためのグラフ450の一実施形態である。グラフ450は、ヒータアレイ102の2つのYバスに沿った2つの位置の間の電流のデルタΔをプロットしている。グラフ450は、Y2およびY5バスに沿って配置された、位置X1Y2およびX1Y5の間、X2Y2およびX2Y5の間、X3Y2およびX3Y5の間、X4Y2およびX4Y5の間、X5Y2およびX5Y5の間、ならびに、X6Y2およびX6Y5の間、の電流の測定値の差を示すプロット452を含む。
【0131】
さらに、グラフ450は、Y1およびY6バスに沿って配置された、位置X1Y1およびX1Y6の間、X2Y1およびX2Y6の間、X3Y1およびX3Y6の間、X4Y1およびX4Y6の間、X5Y1およびX5Y6の間、ならびに、X6Y1およびX6Y6の間、の電流の測定値の差を示すプロット454を含む。また、グラフ450は、Y3およびY4バスに沿って配置された、位置X1Y3およびX1Y4の間、X2Y3およびX2Y4の間、X3Y3およびX3Y4の間、X4Y3およびX4Y4の間、X5Y3およびX5Y4の間、ならびに、X6Y3およびX6Y4の間、の電流の測定値の差を示すプロット456を含む。
【0132】
単一の非対称性が1つのプロット456のみに存在するので、プロセッサ106は、1つの位置を除いたプロット456上のすべての位置が非対称であることが当てはまらないと判定し、さらに、2以上の故障が存在し、すなわち、ヒータアレイ102内で複数のヒータが故障したと判定する。
【0133】
図5は、ヒータアレイ102内の単一の故障位置の決定を説明するためにヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。単一の故障位置の決定は、ヒータアレイ102内の単一故障を確認した後に、図1のプロセッサ106によってなされる。単一故障の確認については、図4A図4Fを参照して上で説明した。図4Aにおいて、外れ値プロット408が、プロセッサ106によって特定され、したがって、X2およびX5バスが、故障疑いとしてプロセッサ106によって特定される。また、図4Bにおいて、外れ値プロット416が、プロセッサ106によって特定され、したがって、Y3およびY4バスが、故障疑いとしてプロセッサ106によって特定される。図2B-1を参照すると、X2バスに沿った位置は、位置X2Y3の故障ヒータの結果として外来電流を受信しないが、X5バスに沿った位置は、外来電流を受信する。図3B-1を参照すると、Y3バスに沿った位置は、電流計202X6によって測定されるように関連電流計測定値において位置X2Y3の故障ヒータの結果として外来電流を受信しないが、Y4バスに沿った位置は、電流計202X6によって測定されるように関連電流計測定値において外来電流を受信する。電流計202X6によって測定される外来電流の一例は、IUW8である。したがって、より小さい電流を有するバスX2およびX5の内の一方、および、より小さい電流を有するバスY3およびY4の内の一方が、プロセッサ106によって疑われる。
【0134】
本明細書に記載するヒータの電流は、ヒータがアクティブにアドレスされた時のヒータに関連付けられた電流計による電流の測定値を含むことに注意されたい。例えば、位置X6Y4のヒータを通る電流は、ヒータがアクティブにアドレスされた時のヒータに関連付けられた電流計202X6による電流の測定値である。位置X6Y4のヒータは、プロセッサ106によってアクティブにアドレスされる。プロセッサ106は、スイッチSY4およびSX6を閉じるように、マルチプレクサ108を制御する。スイッチSY4およびSX6が閉じられると、電流計202X6は、図3B-1を参照して説明したように、電流I(N+UW8)を測定する。
【0135】
プロセッサ106は、故障確認処理中に取得された4つの電流IA~ID(位置X2Y3、X2Y4、X5Y3、および、X5Y4に対応する)を比較する。例えば、プロセッサ106は、電流IAが電流ICより小さいかまたは電流IBが電流IDより小さいか否かを判定するために、第1処理を適用する。電流IAが電流ICより小さいかまたは電流IBが電流IDより小さいと判定すると、プロセッサ106は、故障したヒータが位置するバスからバスY4を除外する。この例において、プロセッサ106は、電流IAが電流IBより小さいか否か、または、電流ICが電流IDより小さいか否かを判定するために、第2処理を適用する。電流IAが電流IBより小さいかまたは電流ICが電流IDより小さいと判定すると、プロセッサ106は、故障したヒータが位置するバスからバスX5を除外する。プロセッサ106は、電流IAが電流IC未より小さくかつ電流IBより小さいと判定して、故障位置がX2Y3であると決定する。故障したヒータの故障位置X2Y3は、緩和データとして図1のメモリデバイス114内にプロセッサ106によって格納される。
【0136】
電流IAは、プロセッサ106が、故障確認処理中に、図1のマルチプレクサ108を制御することで、さらに、スイッチSY3およびスイッチSX2を閉じると共に残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように制御した時に、測定されることに注意されたい。スイッチSY3およびSX2が閉じられ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX3~SX6が開いている時に、電流計202X2は、電圧源VSから、スイッチSY3、バスY3、位置X2Y3のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位へ通る電流の量IAを測定する。
【0137】
同様に、電流ICは、プロセッサ106が、故障確認処理中に、マルチプレクサ108を制御することで、さらに、スイッチSY4およびスイッチSX2を閉じると共に残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように制御した時に、測定される。スイッチSY4およびSX2が閉じられ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6が開いている時に、電流計202X2は、電圧源VSから、スイッチSY4、バスY4、位置X2Y4のヒータ、バスX2、および、スイッチSX2を介して、接地電位へ通る電流の量ICを測定する。
【0138】
さらに、電流IBは、プロセッサ106が、故障確認処理中に、マルチプレクサ108を制御することで、さらに、スイッチSY3およびスイッチSX5を閉じると共に残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くように制御した時に、測定される。スイッチSY3およびスイッチSX5が閉じられ、残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1~SX4、および、SX6が開いている時に、電流計202X5は、電圧源VSから、スイッチSY3、バスY3、位置X5Y3のヒータ、バスX5、および、スイッチSX5を介して、接地電位へ通る電流の量IBを測定する。
【0139】
また、電流IDは、プロセッサ106が、故障確認処理中に、マルチプレクサ108を制御することで、さらに、スイッチSY4およびスイッチSX5を閉じると共に残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX4、および、SX6を開くように制御した時に、測定される。スイッチSY4およびSX5が閉じられ、残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1~SX4、および、SX6が開いている時に、電流計202X5は、電圧源VSから、スイッチSY4、バスY4、位置X5Y4のヒータ、バスX5、および、スイッチSX5を介して、接地電位へ通る電流の量IDを測定する。
【0140】
図6は、ヒータアレイ102内の故障ヒータの位置X2Y3における単一故障を補償するために行うヒータアレイ102内の複数のヒータの動作のデューティサイクルの調整を説明するために、ヒータアレイ102の一実施形態を示す図である。位置X2Y3は、図6に黒丸で示されている。さらに、位置X2Y3を含む同じYバス上またはそのYバスに沿った位置が、Xで示されており、グループ2として分類されている。また、位置X2Y3を含む同じXバス上またはそのXバスに沿った位置が、白丸で示されており、グループ3として分類されている。位置X2Y3を含む同じXバスまたは同じYバス上になくまたはそれらのバスに沿っていないヒータアレイの残りの位置が、三角形で示されており、グループ1として分類されている。
【0141】
ヒータアレイ102内の位置X2Y3における単一故障の存在を決定した後、プロセッサ106は、図1のメモリデバイス114からの緩和データにアクセスして(読み出すなどして)、ヒータアレイ102内の故障ヒータの位置X2Y3を特定し、ヒータアレイ102の複数のヒータの動作のデューティサイクルを制御することで、プラズマチャンバ内で基板を処理するためにプラズマチャンバ内の温度値Temp1を達成する。例えば、位置X2Y3における単一故障の存在を決定した後、プロセッサ106は、位置X2Y3を含む同じXバスまたは同じYバス上に位置しないグループ1のヒータのデューティサイクルを維持して、デューティサイクルを変更しない。位置X2Y3を含む同じXバスまたは同じYバス上に位置しないグループ1のヒータのデューティサイクルは、単一故障の位置の特定の前後で同じである。さらに、この例において、プロセッサ106は、位置X2Y3を含む同じYバス上の位置にあるグループ2のヒータの元々のデューティサイクルDCXを変更すなわち調整して、調整済みデューティサイクルDCXAを出力する。例えば、プロセッサ106は、元々のデューティサイクルDCXaと、電圧源Vsから位置X3Y3に供給された外来の電力量との積だけ、位置X3Y3のヒータの元々のデューティサイクルDCXaを低減または減少させて、位置X3Y3のヒータのための調整済みデューティサイクルDCXAaを出力する。外来の電力量は、位置X2Y3のヒータの単一故障に起因して、位置X3Y3のヒータに供給される。外来の電力量は、電圧源Vsによって供給される電力の内の或る割合である。プロセッサ106は、位置X3Y3のヒータの元々のデューティサイクルDCXaと、ヒータの元々のデューティサイクルDCXaおよび位置X3Y3に供給される外来の電力量の積との間の差を生成して、調整済みデューティサイクルDCXAaを出力する。プロセッサ106は、位置X3Y3のヒータが調整済みデューティサイクルDCXAaで動作するように、マルチプレクサ108ならびにスイッチSX3およびSY3を介して、位置X3Y3のヒータを制御する。
【0142】
引き続き、この例において、プロセッサ106は、位置X2Y3を含む同じXバス上の位置にあるグループ3のヒータの元々のデューティサイクルDCOを変更すなわち調整して、調整済みデューティサイクルDCOAを出力する。例えば、プロセッサ106は、ヒータの元々のデューティサイクルDCOaと、電圧源Vsから位置X2Y4に供給された外来の電力量との積だけ、位置X2Y4のヒータの元々のデューティサイクルDCOaを低減させて、位置X2Y4のヒータのための調整済みデューティサイクルDCOAaを出力する。外来の電力量は、位置X2Y3のヒータの単一故障に起因して、位置X2Y4のヒータに供給される。外来の電力量は、電圧源Vsによって供給される電力の内の或る割合である。プロセッサ106は、位置X2Y4のヒータの元々のデューティサイクルDCOaと、ヒータの元々のデューティサイクルDCOaおよび位置X2Y4に供給される外来の電力量の積との間の差を生成して、調整済みデューティサイクルDCOAaを出力する。プロセッサ106は、位置X2Y4のヒータが調整済みデューティサイクルDCOAaで動作するように、マルチプレクサ108ならびにスイッチSX2およびSY4を介して、位置X2Y4のヒータを制御する。
【0143】
さらに、この例において、プロセッサ106は、位置X2Y3の故障ヒータの元々のデューティサイクルDCを変更または調整して、ヒータの調整済みデューティサイクルDCAを出力する。例えば、プロセッサ106は、ヒータの元々のデューティサイクルDCと、電圧源Vsから位置X2Y3に供給された外来の電力量との積だけ、位置X2Y3のヒータの元々のデューティサイクルDCを低減させて、位置X2Y3のヒータのための調整済みデューティサイクルDCAを出力する。外来の電力量は、位置X2Y3のヒータの単一故障に起因して、位置X2Y3のヒータに供給される。位置X2Y3の単一故障は、ヒータアレイ102内の残りの位置に外来電流を引き起こし、残りの位置における外来電流の一部は、位置X2Y3のヒータへリークバックする。プロセッサ106は、位置X2Y3のヒータの元々のデューティサイクルDCと、ヒータの元々のデューティサイクルDCおよび位置X2Y3に供給される外来の電力量の積との間の差を生成して、調整済みデューティサイクルDCAを生成する。プロセッサ106は、位置X2Y3のヒータが調整済みデューティサイクルDCAで動作するように、マルチプレクサ108ならびにスイッチSX2およびSY3を介して、位置X2Y3のヒータを制御する。
【0144】
プロセッサ106は、位置X2Y3のヒータへ調整済みデューティサイクルDCAを、位置X2Y3を含むバスに沿ったまたはそのバスの上の位置のヒータへ調整済みデューティサイクルDCXAを、そして、位置X2Y3を含むバスに沿ったまたはそのバスの上の位置のヒータへ調整済みデューティサイクルDCOAを適用して、位置X2Y3のヒータの故障を補償する。例えば、プロセッサ106は、調整済みデューティサイクルDCAを達成するために電圧源Vsからヒータアレイ102内の位置X2Y3のヒータへ電力を印加する期間にわたって、スイッチSY3およびSX2を閉じると共に残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように、マルチプレクサ108を制御する。別の例として、プロセッサ106は、位置X1Y3のヒータのための調整済みデューティサイクルを達成するために電圧源Vsから位置X1Y3のヒータへ電力を印加する期間にわたって、スイッチSY3およびSX1を閉じると共に残りのスイッチSY1、SY2、SY4~SY6、および、SX2~SX6を開くように、マルチプレクサ108を制御する。また、別の例として、プロセッサ106は、位置X2Y4のヒータのための調整済みデューティサイクルを達成するために電圧源Vsから位置X2Y4のヒータへ電力を印加する期間にわたって、スイッチSY4およびSX2を閉じると共に残りのスイッチSY1~SY3、SY5、SY6、SX1、および、SX3~SX6を開くように、マルチプレクサ108を制御する。ヒータアレイ102のヒータのデューティサイクルの低減は、電力が供給される時間を短縮することによって、電圧源Vsからヒータへ供給される電力を削減することに注意されたい。
【0145】
プロセッサ106は、位置X1Y1、X1Y2、X1Y4、X1Y5、X1Y6、X3Y1、X3Y4、X3Y5、X3Y6、X4Y1、X42、X4Y4、X4Y5、X4Y6、X5Y1、X5Y2、X5Y4、X5Y5、X5Y6、X6Y1、X6Y2、X6Y4、X6Y5、および、X6Y6にある残りのヒータのデューティサイクルを、位置X2Y3における故障が特定される前のディーティサイクルと同じになるように維持する。プロセッサ106は、残りのヒータのデューティサイクルを調整または変更しない。黒丸、白丸、および、Xを用いて示した位置のヒータのデューティサイクルを調整(低減など)することで、ヒータアレイ102の寿命およびヒータアレイ102が組み込まれたプラズマチャンバの部分の寿命を延ばす。その部分の例は、基板支持体、チャック、シャワーヘッド、および、上側電極アセンブリを含む。
【0146】
単一故障のあるヒータアレイ102の調整済みデューティサイクルによる温度プロファイルは、単一故障のないヒータアレイ102の元々のデューティサイクルによる温度プロファイルと同一であることに注意されたい。したがって、ウエハ処理レシピは、元々のデューティサイクルの調整後でも変わらない。
【0147】
一実施形態において、プロセッサ106は、デューティサイクルDC、DCO、および、DCXが格納された不揮発性メモリ110内に、調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAを格納する。調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAは、プラズマチャンバ内の温度値Temp1を達成するために用いられる。故障ヒータの位置を含むヒータアレイ102のバスを特定し、ヒータアレイ102内に1つの故障のみが存在することを確認し、故障の位置を特定し、調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAを決定するための図1図6を参照して上述した方法は、プラズマチャンバ内での基板の処理前または処理中に実行される。図1図6を参照して上述した方法が基板の処理前に実行される場合、処理中にさらなる計算オーバーヘッドはない。調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAは、処理中に調整済みデューティサイクルを決定することなしに、処理中に適用される。
【0148】
図7は、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ702内でのヒータアレイ102の利用を説明するためにプラズマシステム700の一実施形態を示す図である。プラズマシステム700は、プラズマチャンバ702と、高周波発生器(RFG)704と、インピーダンス整合回路(IMC)706と、ユーザインターフェースシステム112と、マルチプレクサ108と、を備える。本明細書で用いるインピーダンス整合回路は、インピーダンス整合回路網またはインピーダンス整合器と呼ばれることもある。インピーダンス整合回路706の入力は、RFケーブルを介してRF発生器704に接続され、インピーダンス整合回路706の出力は、RF伝送ラインを介してプラズマチャンバ702の下側電極712に接続されている。
【0149】
本明細書に記載するインピーダンス整合回路は、インピーダンス整合回路の出力に接続された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路の1または複数の入力に接続されたソースのインピーダンスと整合させる1または複数の構成要素(1または複数の抵抗器、もしくは、1または複数のキャパシタ、もしくは、1または複数のインダクタ、もしくは、それらの組みあわせなど)のネットワークである。インピーダンス整合回路706の出力に接続された負荷の例は、プラズマチャンバ702およびRF伝送ラインを含む。さらに、インピーダンス整合回路706の入力に接続されたソースの例は、RFケーブルおよびRF発生器704を含む。
【0150】
プラズマチャンバ702は、上側電極708と、基板支持体710(チャックなど)と、を備える。基板支持体710は、ヒータアレイ102と、下側電極712と、を備える。基板支持体710の上面の上に、基板S(半導体ウエハなど)が、基板Sの処理のために配置される。基板Sの処理の例は、基板Sへの材料の蒸着、基板Sのエッチング、基板Sの洗浄、および、基板Sのスパッタリングを含む。基板支持体710は、上側電極708と対向している。上側電極708は、接地電位に接続されている。下側電極712および上側電極708の各々は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から形成される。下側電極712は、ヒータアレイ102上方に配置されている。
【0151】
ユーザインターフェースシステム112は、転送ケーブルを介してRF発生器704に接続されている。ユーザインターフェースシステム112のプロセッサ106は、1以上の電力レベルおよび/または1以上の周波数レベルをRF発生器704に提供する。1以上の電力レベルおよび1以上の周波数レベルは、レシピの一部であり、レシピは、ユーザインターフェースシステム112のメモリデバイス114に格納されている。RF発生器704は、1以上の電力レベルおよび/または1以上の周波数レベルを有するRF信号を生成し、RFケーブルを介してインピーダンス整合回路706へRF信号を供給する。インピーダンス整合回路706は、インピーダンス整合回路706の出力に接続された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路706の入力に接続されたソースのインピーダンスと整合させて、RFケーブルを介して受信されたRF信号から変調RF信号を生成する。インピーダンス整合回路706は、RF伝送ラインを介してプラズマチャンバ702の下側電極712へ変調RF信号を供給する。
【0152】
1または複数の処理ガスが変調RF信号の供給に加えてプラズマチャンバ702に供給されると、プラズマが、基板Sを処理するためにプラズマチャンバ702内で点火または維持される。1または複数の処理ガスの例としては、酸素含有ガス(Oなど)が挙げられる。1または複数の処理ガスの他の例は、フッ素含有ガス、例えば、テトラフルオロメタン(CF)、六フッ化硫黄(SF)、ヘキサフルオロエタン(C)など、を含む。
【0153】
基板Sの処理前または処理中に、ユーザインターフェースシステム112のプロセッサ106は、図1図5を参照して上述した方法を用いて、基板支持体710のヒータアレイ102内のヒータの単一の故障位置を特定する。単一の故障位置が特定されると、プロセッサ106は、元々のデューティサイクルDC、DCO、および、DCXを、対応する調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAへ調整して、プラズマチャンバ702内で温度値Temp1を達成する。デューティサイクルDC、DCO、および、DCXは、基板Sの処理中に調整される。
【0154】
一実施形態において、基板支持体710に埋め込まれる代わりに、ヒータアレイ102は、上側電極708を含む上側電極アセンブリ内に埋め込まれ、下側電極712は接地電位に接続される。
【0155】
一実施形態において、基板支持体710に埋め込まれる代わりに、ヒータアレイ102は、上側電極708を含む上側電極アセンブリ内に埋め込まれ、下側電極712は1または複数のRF発生器に接続される。
【0156】
一実施形態において、接地電位に接続される代わりに、上側電極708は、1または複数のRF発生器に接続される。
【0157】
図8は、プラズマチャンバ804のシャワーヘッド802内でのヒータアレイ102の利用を説明するためにシステム800の一実施形態を示す図である。システム800は、電圧源Vsと、マルチプレクサ108と、ユーザインターフェースシステム112と、高周波発生器704と、インピーダンス整合回路706と、プラズマチャンバ804と、を備える。
【0158】
インピーダンス整合回路706の出力は、RF伝送ラインを介してシャワーヘッド802内の上側電極708に接続されている。プラズマチャンバ804は、シャワーヘッド802と基板支持体806との間に処理ギャップを形成するようにシャワーヘッド802と対向する基板支持体806を備える。基板支持体806内に、下側電極712が埋め込まれている。さらに、ヒータアレイ102は、シャワーヘッド802内に埋め込まれてい。ヒータアレイ102は、上側電極708の上方に配置されている。下側電極712は、接地電位に接続されている。基板Sは、基板Sの処理のために基板支持体806の上部に配置されている。
【0159】
RF発生器704からRF信号を受信すると、インピーダンス整合回路706は、インピーダンス整合回路706の出力に接続された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路706の入力に接続されたソースのインピーダンスと整合するように、受信したRF信号を変調して、変調RF信号を出力する。インピーダンス整合回路706の出力に接続された負荷の例は、プラズマチャンバ804と、インピーダンス整合回路706をシャワーヘッド802に接続するRF伝送ラインと、を含む。
【0160】
シャワーヘッド802は、シャワーヘッド802と基板支持体806との間の処理ギャップに1以上の処理ガスまたは1以上の液体金属を送るために用いられる複数の穴を備える。インピーダンス整合回路706から上側電極708へ変調RF信号を供給することに加えて、1以上の処理ガスまたは1以上の液体金属が、シャワーヘッド802と基板支持体806との間のギャップに供給されると、プラズマが、基板Sを処理するために処理ギャップ内で点火または維持される。例えば、シャワーヘッド802は、基板Sにプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)を実行するために用いられる。
【0161】
基板Sの処理前または処理中に、ユーザインターフェースシステム112のプロセッサ106は、図1図5を参照して上述した方法を用いて、シャワーヘッド802に埋め込まれたヒータアレイ102内のヒータの単一の故障位置を特定する。単一の故障位置が特定されると、プロセッサ106は、元々のデューティサイクルDC、DCO、および、DCXを、対応する調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAへ調整して、プラズマチャンバ804内で温度値Temp1を達成する。
【0162】
一実施形態において、下側電極712が接地電位に接続される代わりに、上側電極708が、接地電位に接続され、下側電極712は、RF伝送ライン(図示せず)、インピーダンス整合回路(図示せず)、および、RFケーブル(図示せず)を介して、RF発生器704に接続される。
【0163】
一実施形態において、上側電極708は、RF発生器704に接続され、下側電極712は、インピーダンス整合回路(図示せず)を介して別のRF発生器(図示せず)に接続される。
【0164】
図9は、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバ902内でのヒータアレイ102の利用を説明するためにシステム900の一実施形態を示す図である。システム900は、ユーザインターフェースシステム112と、マルチプレクサ108と、RF発生器704と、インピーダンス整合回路器706と、RFコイル904と、プラズマチャンバ902と、を備える。プラズマチャンバ902は、誘電体窓906を備える。RFコイル904は、誘電体窓906上方に配置されている。
【0165】
インピーダンス整合回路706の出力は、RF伝送ラインを介してRFコイル904に接続されている。プラズマチャンバ902は、基板支持体710を備えており、基板支持体710内には、下側電極712が埋め込まれている。ヒータアレイ102は、基板支持体710内に配置されている。下側電極712は、接地電位に接続されている。ヒータアレイ102は、下側電極712の下方に配置されている。基板Sは、処理のために基板支持体710の上部に載置されている。
【0166】
RF発生器704からのRF信号を受信すると、インピーダンス整合回路706は、インピーダンス整合回路706の出力に接続された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路706の入力に接続されたソースのインピーダンスと整合させて、インピーダンス整合回路の出力で変調RF信号を出力する。インピーダンス整合回路の出力に接続された負荷の例は、インピーダンス整合回路の出力とRFコイル904とに接続されたRF伝送ラインを含む。RFコイル904は、RF伝送ラインを介してインピーダンス整合回路706の出力から変調RF信号を受信する。1または複数の処理ガスがプラズマチャンバ902に供給され、RFコイル904に供給された変調RF信号のRF電力がプラズマチャンバ902に誘導結合されると、プラズマが、基板Sを処理するためにプラズマチャンバ902内で点火または維持される。
【0167】
基板Sの処理前または処理中に、ユーザインターフェースシステム112のプロセッサ106は、図1図5を参照して上述した方法を用いて、基板支持体710に埋め込まれたヒータアレイ102内のヒータの単一の故障位置を特定する。単一の故障位置が特定されると、プロセッサ106は、元々のデューティサイクルDC、DCO、および、DCXを、対応する調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAへ調整して、プラズマチャンバ902内で温度値Temp1を達成する。
【0168】
いくつかの実施形態において、RFコイル904の代わりに、複数のRFコイルが、誘電体窓906の上方に配置される。様々な実施形態において、RFコイル904の代わりにまたはそれに加えて、1または複数のRFコイルが、プラズマチャンバ902の側壁に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、誘電体窓906を洗浄して、誘電体窓906に蒸着される材料を誘電体窓906から取り除くために、ファラデーシールドが誘電体窓906の下方に隣接して配置される。
【0169】
様々な実施形態において、下側電極712は、接地電位に接続される代わりに、インピーダンス整合回路を介して別のRF発生器(図示せず)に接続される。
【0170】
図10Aは、図1のヒータアレイ102における単一故障が確認された時、または、ヒータアレイ102におけるヒータの単一の故障位置がプロセッサ106(図1)によって特定された時に、ディスプレイデバイス116上に表示される通知1002を説明するためにシステム1000の一実施形態を示す図である。システム1000は、ディスプレイデバイス116と、中央処理装置(CPU)1004と、マウス1006と、を備える。CPU1004は、プロセッサ106を収容する筐体を有する。マウス1006は、ユーザがプロセッサ106にコマンドを提供するために用いる入力デバイスの一例である。
【0171】
ヒータアレイ102内の単一故障を確認すると、プロセッサ106は、通知1002を表示するようにディスプレイデバイス116を制御する。通知1002は、ヒータシステムの一例であるヒータアレイ102に故障があることをユーザに示す。さらに、通知1002は、ヒータアレイ102が組み込まれた新しいチャックをユーザが注文すべきであることを、ユーザに示す。
【0172】
一実施形態において、ヒータアレイ内の単一の位置(位置X2Y2など)がプロセッサ106によって特定されると、プロセッサ106は、通知1002を表示するにディスプレイデバイス116を制御する。
【0173】
図10Bは、図1のヒータアレイ102における単一故障が確認された時、または、ヒータアレイ102におけるヒータの単一の故障位置がプロセッサ106(図1)によって特定された時に、ディスプレイデバイス116上に表示される別の通知1010を説明するためにディスプレイデバイス116の一実施形態を示す図である。通知1010は、ヒータアレイ102に故障があること、および、故障によって基板Sの処理を停止する必要がないことをユーザに示す。通知1010は、さらに、ユーザが新しいチャックを注文すべきであることを示す。
【0174】
一実施形態において、図10Aの通知1002または通知1010などの通知は、プロセッサ106によるデューティサイクルDC、DCO、および、DCXの調整前、調整中、または、調整後に、ディスプレイデバイス116上に表示される。
【0175】
一実施形態において、表示される通知の代わりに、プロセッサ106は、オーディオデバイスを制御して、ヒータアレイ102に故障があること、ならびに、ヒータアレイ102が埋め込まれた基板支持体またはシャワーヘッドのための交換部品をユーザが注文すべきであることを示す音声を出力する。
【0176】
ユーザへの通知の提供は、基板の処理時間を節約する。交換部品がユーザによって受け取られている間、プロセッサ106は、基板Sおよびさらなる基板を処理するために、プラズマシステム(図7のシステム700、図8のシステム800、または、図9のシステム900など)を制御し続ける。プロセッサ106は、交換部品がユーザによって受け取られている間、調整済みデューティサイクルDCA、DCOA、および、DCXAを適用するので、基板Sおよびさらなる基板の処理に向けた稼働停止時間は、ヒータアレイ102内の位置X2Y3での単一故障に起因して生じないかまたは最小限である。
【0177】
位置X2Y3は例示を目的としたものであることに注意されたい。一実施形態において、位置X2Y3のヒータの代わりに、ヒータアレイ102内の別の位置にある別のヒータが故障を有する場合もある。
【0178】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなど、様々なコンピュータシステム構成で実施されてもよい。実施形態は、ネットワークを通して接続された遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施されてもよい。
【0179】
一部の実施形態において、本明細書に記載したコントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備える。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化される。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、1または複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/またはシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされる。
【0180】
概して、様々な実施形態において、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASICとして定義されるチップ、PLD、および/または、1または複数のマイクロプロセッサ、もしくは、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するためのもしくはシステムへのパラメータ、因子、変数などを定義する命令である。プログラム命令は、一部の実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0181】
コントローラは、一部の実施形態において、コンピュータの一部であるか、または、コンピュータに接続されており、かかるコンピュータは、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、または、それらの組み合わせでシステムに結合されている。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、もしくは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にするファブホストコンピュータシステムの全部または一部である。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べる。
【0182】
一部の実施形態では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含む)を介してシステムに処理レシピを提供する。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備え、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータ、因子、および/または、変数を指定する。パラメータ、因子、および/または、変数は、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であることを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散される。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路を含む。
【0183】
限定はしないが、様々な実施形態において、方法が適用されるシステムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含む。
【0184】
一部の実施形態において、上述の動作は、いくつかのタイプのプラズマチャンバ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタ、トランス結合プラズマチャンバ、導体ツール、誘電体ツールを備えるプラズマチャンバ、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを備えるプラズマチャンバなど、に適用されることにも注意されたい。例えば、1または複数のRF発生器が、ICPリアクタ内のインダクタに接続される。インダクタの形状の例は、ソレノイド、ドーム形コイル、平坦形コイルなどを含む。
【0185】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、ホストコンピュータは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信する。
【0186】
上述の実施形態を念頭に置いて、実施形態の一部は、コンピュータシステムに格納されたデータを含め、コンピュータによって実行される様々な動作を用いることを理解されたい。これらの動作は、物理量を物理的に扱う動作である。本実施形態の一部を形成する本明細書で説明した動作はいずれも、有用な機械動作である。
【0187】
実施形態の一部は、さらに、これらの動作を実行するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ向けに特別に構成される。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特定の目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンを実行しつつ、特定の目的のために動作することができる。
【0188】
一部の実施形態において、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに格納されたまたはコンピュータネットワークを介して取得された1または複数のコンピュータプログラムによって選択的にアクティベートまたは構成されたコンピュータで処理されてもよい。データがコンピュータネットワークを介して取得されると、そのデータは、コンピュータネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0189】
1または複数実施形態は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードとして製造されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、データを格納する任意のデータ記憶ハードウェアユニット(例えば、メモリデバイスなど)であり、データは、その後、コンピュータシステムによって読み出される。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスク-ROM(CD-ROM)、CD-レコーダブル(CD-R)、CD-リライタブル(CD-RW)、磁気テープ、および、その他の光学式および非光学式のデータ記憶ハードウェアユニットが挙げられる。一部の実施形態において、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散的に格納および実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散されたコンピュータ読み取り可能なタンジブル媒体を含む。
【0190】
上述の方法動作は、特定の順序で提示されているが、様々な実施形態において、その他のハウスキーピング処理が動作の合間に実行される、もしくは、方法動作が、若干異なる時間に実行される、様々な間隔で方法動作が起きることを許容するシステムに方法動作が分散される、または、上述したのと異なる順序で実行されるように調整されることを理解されたい。
【0191】
さらに、一実施形態において、本開示に記載された様々な実施形態に記載された範囲を逸脱することなしに、本明細書に記載の任意の実施形態の1または複数の特徴が、任意の他の実施形態の1または複数の特徴と組み合わされることに注意されたい。
【0192】
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。
図1
図2A-1】
図2A-2】
図2B-1】
図2B-2】
図3A-1】
図3A-2】
図3B-1】
図3B-2】
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B