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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】大人用の吸収性パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20231204BHJP
   A61F 13/45 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/45
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023149616
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 一貴
(72)【発明者】
【氏名】村井 隆将
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-188188(JP,A)
【文献】特開2020-192123(JP,A)
【文献】特開2008-228835(JP,A)
【文献】特開2019-5294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/51
A61F 13/45
A61F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において、互いに直交する前後方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
吸収性コアを有する大人用の吸収性パッドであって、
着用時に着用者の股下に位置する股下部において、前記吸収性パッドの外縁は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を有し、
前記括れ部において、前記幅方向の長さが最も狭い最狭部を有し、
前記吸収性パッドの外縁は、前記前後方向における前記最狭部の後端と前記前後方向における前記括れ部の後端とを結んだ仮想線よりも外側に延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記括れ部の中央位置よりも前側に位置し、
前記吸収性パッドの外縁は、前記延出部よりも前記前後方向の後側において、前記仮想線よりも内側に括れた非延出部を有し、
前記前後方向において前記延出部と重複する重複領域と、
前記重複領域に前記前後方向の後側から隣接し、前記前後方向の長さが前記重複領域と同じである隣接領域と、を有し、
前記重複領域と前記隣接領域は、前記幅方向一方側の側部において、前記吸収性コアが存在しない非存在領域を各々有し、
前記非延出部の少なくとも一部は、前記隣接領域に位置し、
前記重複領域の前記非存在領域の面積の方が、前記隣接領域の前記非存在領域の面積よりも大きいことを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項2】
請求項1に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、第1位置としたとき、
前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1括れ部と、前記第1括れ部以外の全ての部位である第2括れ部と、を有し、
前記第1括れ部の前記前後方向の長さは、前記第2括れ部の前記前後方向の長さよりも短いことを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項3】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記最狭部の前記後端と前記括れ部の前記後端との前記幅方向の中央位置を、第2位置としたとき、
前記前後方向の最も前側に位置する前記延出部は、前記第2位置よりも前記幅方向の内側に位置していることを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項4】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、前記第1位置としたとき、
前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた前記第1括れ部を有し、
前記括れ部の前記後端は、前記吸収性パッドの前記前後方向の中央位置よりも前記前後方向の後側に位置し、
前記括れ部の前記後端から前記吸収性パッドの前記前後方向の中央位置までの前記前後方向の長さは、前記前後方向の最も前側に位置する前記第1括れ部の前記前後方向の長さよりも短いことを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項5】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの外縁は、前記非延出部において、前記前後方向に沿う直線部と、前記括れ部の前記後端に向かって前記幅方向の外側に傾斜した傾斜部と、を有することを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項6】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記最狭部の前記後端と前記括れ部の前記後端との前記幅方向の中央位置を、第2位置としたとき、
前記前後方向の最も前側に位置する前記延出部の前記幅方向の外側端は、前記第2位置、又は前記第2位置よりも前記幅方向の外側に位置していることを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項7】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの肌側面から視認可能であり前記前後方向に沿ったラインを有し、
前記ラインは、前記厚さ方向において、前記吸収性コアの前記幅方向の中央部と重なること、を特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項8】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、前記第1位置としたとき、
前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた前記第1括れ部を有し、
前記前後方向の最も前側に位置する前記第1括れ部の前記前後方向の長さは、前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さ以下であることを特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項9】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記吸収性コアは、
前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れたコア括れ部と、
前記コア括れ部において、前記吸収性コアの前記幅方向の長さが最も狭いコア最狭部と、を有し、
前記吸収性コアの外縁は、前記前後方向における前記コア最狭部の後端と前記前後方向における前記コア括れ部の後端とを結んだ第2の仮想線よりも外側に延出していないこと、を特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項10】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
展開かつ伸長状態における前記前後方向の長さが640mm以上であること、を特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項11】
請求項に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記吸収性コアは、
前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れたコア括れ部と、
前記コア括れ部において、前記吸収性コアの前記幅方向の長さが最も狭いコア最狭部と、を有し、
前記吸収性コアの外縁は、前記前後方向における前記コア最狭部の後端と前記前後方向における前記コア括れ部の後端とを結んだ第2の仮想線よりも外側に延出するコア延出部を有するが、当該コア延出部の前記前後方向の長さが、前記延出部の前記前後方向の長さよりも短いこと、を特徴とする大人用の吸収性パッド
【請求項12】
請求項10に記載の大人用の吸収性パッドであって、
前記吸収性コアは、前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れた前記コア括れ部を有し、
前記幅方向の側部において、肌側に起立可能な防漏壁部を有し、
前記コア括れ部は、前記幅方向における前記防漏壁部の起立起点の位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1コア括れ部を有し、
前記第1コア括れ部の前記前後方向の長さは、前記コア括れ部の前記前後方向の長さの半分以下であることを特徴とする大人用の吸収性パッド
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大人用の吸収性パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品として縦長のパッド形状である吸収パッドが知られている。特許文献1に開示されている吸収パッドの縦方向に延びる縦輪郭線は、股下部に、横方向の内側に向かって凸の第1凸部と、背側部に、横方向の外側に向かって凸の第2凸部を有する。このように縦方向の中央部が括れた形状を成すことで、吸収パッドは、着用者の大腿部に引っ掛かりにくく、着用者の股間部から臀部にわたる部分に密着しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-143208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の吸収パッドでは、横方向の長さの最短部が、吸収パッドを縦方向に二等分する縦中心線よりも背側寄りに配されている。つまり、背側において吸収パッドの縦輪郭線が最も深く括れている。そのため、吸収パッドを平面視したユーザーが、吸収パッドの背側の面積が小さいことを認識しやすい。そうすると、吸収パッドが臀部を包み込めずに排泄液が漏れてしまう不安感をユーザーが抱くおそれがある。実際に、吸収パッドの背側の横幅が小さいと、側臥位時等において排泄液が横漏れしやすくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、着用者の股下へのフィット性が良く、排泄液が漏れ難く、視覚によるユーザーの漏れへの不安も軽減される吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
展開状態において、互いに直交する前後方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
吸収性コアを有する大人用の吸収性パッドであって、
着用時に着用者の股下に位置する股下部において、前記吸収性パッドの外縁は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を有し、
前記括れ部において、前記幅方向の長さが最も狭い最狭部を有し、
前記吸収性パッドの外縁は、前記前後方向における前記最狭部の後端と前記前後方向における前記括れ部の後端とを結んだ仮想線よりも外側に延出する延出部を有し、
前記延出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記括れ部の中央位置よりも前側に位置し、
前記吸収性パッドの外縁は、前記延出部よりも前記前後方向の後側において、前記仮想線よりも内側に括れた非延出部を有し、
前記前後方向において前記延出部と重複する重複領域と、
前記重複領域に前記前後方向の後側から隣接し、前記前後方向の長さが前記重複領域と同じである隣接領域と、を有し、
前記重複領域と前記隣接領域は、前記幅方向一方側の側部において、前記吸収性コアが存在しない非存在領域を各々有し、
前記非延出部の少なくとも一部は、前記隣接領域に位置し、
前記重複領域の前記非存在領域の面積の方が、前記隣接領域の前記非存在領域の面積よりも大きいことを特徴とする大人用の吸収性パッドである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着用者の股下へのフィット性が良く、排泄液が漏れ難く、視覚によるユーザーの漏れへの不安も軽減される吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】展開かつ伸長状態の吸収性パッド1を肌側から見た平面図である。
図2図1の線I-Iでの吸収性パッド1の概略断面図である。
図3】パッド1の外形形状についての説明図である。
図4】パッド1の外形形状についての説明図である。
図5】パッド1の外形形状についての説明図である。
図6図6A及び図6Bは、変形例のパッド1についての説明図である。
図7】吸収性コア11の外形形状についての説明図である。
図8】防漏壁部6についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(態様1)
展開状態において、互いに直交する前後方向と幅方向と厚さ方向とを有し、吸収性コアを有する吸収性物品であって、着用時に着用者の股下に位置する股下部において、前記吸収性物品の外縁は、前記幅方向の内側に括れた括れ部を有し、前記括れ部において、前記幅方向の長さが最も狭い最狭部を有し、前記吸収性物品の外縁は、前記前後方向における前記最狭部の後端と前記前後方向における前記括れ部の後端とを結んだ仮想線よりも外側に延出する延出部を有することを特徴とする吸収性物品。
【0010】
態様1によれば、括れ部によって着用者の股下への吸収性物品のフィット性が高まる。一方、延出部によって急傾斜で吸収性物品の幅が広がり、最狭部よりも後側の吸収性物品の平面積が大きくなる。よって、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0011】
(態様2)態様1に記載の吸収性物品であって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、第1位置としたとき、前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1括れ部と、前記第1括れ部以外の全ての部位である第2括れ部と、を有し、前記第1括れ部の前記前後方向の長さは、前記第2括れ部の前記前後方向の長さよりも短い。
【0012】
態様2によれば、浅く括れた第2括れ部が、括れ部の前後方向の広範囲に亘り存在する。そのため、括れ部の吸収性物品の平面積が大きくなる。よって、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0013】
(態様3)態様1~2に記載の吸収性物品であって、
前記延出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記括れ部の中央位置よりも前側に位置している。
【0014】
態様3によれば、括れ部の前側において吸収性物品の幅が広がり、括れ部の後側の吸収性物品の平面積が大きくなる。よって、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0015】
(態様4)態様1~3の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品の外縁は、前記延出部よりも前記前後方向の後側において、前記仮想線よりも内側に括れた非延出部を有する。
【0016】
態様4によれば、延出部にて急拡幅した吸収性物品の幅の増加が抑えられる。そのため、着用者の股下への吸収性物品のフィット性が確保される。
【0017】
(態様5)態様1~4の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記最狭部の前記後端と前記括れ部の前記後端との前記幅方向の中央位置を、第2位置としたとき、前記前後方向の最も前側に位置する前記延出部は、前記第2位置よりも前記幅方向の内側に位置している。
【0018】
態様5によれば、延出部においても吸収性物品の張り出しが小さく、吸収性物品の幅の増加が適度に抑えられている。そのため、着用者の股下への吸収性物品のフィット性が確保される。
【0019】
(態様6)態様1~5の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、第1位置としたとき、前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1括れ部を有し、前記括れ部の前記後端は、前記吸収性物品の前記前後方向の中央位置よりも前記前後方向の後側に位置し、前記括れ部の前記後端から前記吸収性物品の前記前後方向の中央位置までの前記前後方向の長さは、前記前後方向の最も前側に位置する前記第1括れ部の前記前後方向の長さよりも短い。
【0020】
態様6によれば、括れ部が吸収性物品の前寄りに位置し、吸収性物品の後側部の幅が広くなり、排泄液の漏れを抑制できる。また、視覚的にも、ユーザーは、吸収性物品が後側に長く延びていると感じやすく、ユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0021】
(態様7)態様4に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品の外縁は、前記非延出部において、前記前後方向に沿う直線部と、前記括れ部の前記後端に向かって前記幅方向の外側に傾斜した傾斜部と、を有する。
【0022】
態様7によれば、直線部により吸収性物品の幅の増加が抑えられる。そのため、着用者の股下への吸収性物品のフィット性が確保される。
【0023】
(態様8)態様1~7の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記前後方向において前記延出部と重複する重複領域と、前記重複領域に前記前後方向の後側から隣接し、前記前後方向の長さが前記重複領域と同じである隣接領域と、を有し、前記重複領域と前記隣接領域は、前記幅方向一方側の側部において、前記吸収性コアが存在しない非存在領域を各々有し、前記重複領域の前記非存在領域の面積の方が、前記隣接領域の前記非存在領域の面積よりも大きい。
【0024】
態様8によれば、延出部において吸収性物品の外縁がしっかりと張り出すため、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減できる。一方、吸収性コアの外縁の張り出しが抑えられるため、着用者の股下への吸収性コアのフィット性が高まる。
【0025】
(態様9)態様1~4、態様6~8の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記最狭部の前記後端と前記括れ部の前記後端との前記幅方向の中央位置を、第2位置としたとき、前記前後方向の最も前側に位置する前記延出部の前記幅方向の外側端は、前記第2位置、又は前記第2位置よりも前記幅方向の外側に位置している。
【0026】
態様9によれば、延出部において吸収性物品がしっかりと張り出し、吸収性物品の幅が大きくなる。そのため、最狭部よりも後側の吸収性物品の平面積が大きくなり、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0027】
(態様10)態様1~9の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品の肌側面から視認可能であり前記前後方向に沿ったラインを有し、前記ラインは、前記厚さ方向において、前記吸収性コアの前記幅方向の中央部と重なる。
【0028】
態様10によれば、ユーザー(着用者又は介護者等)は、ラインを目印にして、着用者の縦方向に対して吸収性物品を真っ直ぐにあてがい、着用者の股下の中心(排泄口)に吸収性コアの幅方向の中央部を当接させることができる。よって、吸収性物品が着用者の太腿に引っ掛かり難く、着用者の股下への吸収性コアのフィット性が高まる。また、吸収性コアで排泄液をしっかりと受けて吸収でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0029】
(態様11)態様1~10の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さを3分割した長さだけ、前記最狭部の前記後端よりも前記幅方向の外側にずれた位置を、第1位置としたとき、前記括れ部は、前記第1位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1括れ部を有し、前記前後方向の最も前側に位置する前記第1括れ部の前記前後方向の長さは、前記最狭部の前記後端から前記括れ部の前記後端までの前記幅方向の長さ以下である。
【0030】
態様11によれば、第1括れ部の前後方向の長さが短くなり、急傾斜で吸収性物品の幅を広げることができる。そのため、延出部を形成でき、最狭部よりも後側の吸収性物品の平面積が大きくなる
【0031】
(態様12)態様1~11の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れたコア括れ部と、前記コア括れ部において、前記吸収性コアの前記幅方向の長さが最も狭いコア最狭部と、を有し、前記吸収性コアの外縁は、前記前後方向における前記コア最狭部の後端と前記前後方向における前記コア括れ部の後端とを結んだ第2の仮想線よりも外側に延出していない。
【0032】
態様12によれば、吸収性コアの外縁の張り出しが抑えられるため、着用者の股下への吸収性コアのフィット性が高まる。
【0033】
(態様13)態様1~12の何れかに記載の吸収性物品であって、
展開かつ伸長状態における前記前後方向の長さが640mm以上であり、大人用の吸収性パッドである。
【0034】
態様13によれば、吸収性物品の前後方向の長さが640mm未満である場合に比べて、排泄量の多い大人が着用しても、排泄液の前後方向の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0035】
(態様14)態様1~11、態様13の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れたコア括れ部と、前記コア括れ部において、前記吸収性コアの前記幅方向の長さが最も狭いコア最狭部と、を有し、前記吸収性コアの外縁は、前記前後方向における前記コア最狭部の後端と前記前後方向における前記コア括れ部の後端とを結んだ第2の仮想線よりも外側に延出するコア延出部を有するが、当該コア延出部の前記前後方向の長さが、前記延出部の前記前後方向の長さよりも短い。
【0036】
態様14によれば、吸収性コアの外縁の張り出しが抑えられるため、着用者の股下への吸収性コアのフィット性が高まる。
【0037】
(態様15)態様1~14の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記股下部において、その外縁が前記幅方向の内側に括れたコア括れ部を有し、前記幅方向の側部において、肌側に起立可能な防漏壁部を有し、前記コア括れ部は、前記幅方向における前記防漏壁部の起立起点の位置よりも前記幅方向の内側に括れた第1コア括れ部を有し、前記第1コア括れ部の前記前後方向の長さは、前記コア括れ部の前記前後方向の長さの半分以下である。
【0038】
態様15によれば、コア括れ部の前後方向の広範囲において、吸収性コアが下方から防漏壁部の起立起点を支持できる。よって、剛性の高い吸収性コア上において、防漏壁部は安定して起立できる。
【0039】
===実施形態===
以下、吸収性物品として、大人用の吸収性パッド(尿とりパッド)を例に挙げて、実施形態を説明する。ただし、上記に限定されることなく、吸収性物品は、例えば、テープ型使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、ショーツ型ナプキン、軽失禁パッド等であってもよい。また、吸収性物品の着用対象者は、大人に限らず、子どもやペットであってもよい。
【0040】
<<吸収性パッド1の基本構成>>
図1は、展開かつ伸長状態の吸収性パッド1を肌側から見た平面図である。図2は、図1の線I-Iでの吸収性パッド1の概略断面図である。
【0041】
以下の説明では、吸収性パッド1を「パッド1」とも称す。また、パッド1の展開状態とは、パッド1全体を平面的に展開した状態をいう。伸長状態とは、パッド1に生じていた皺が実質的に視認されなくなる程に伸長させた状態であり、パッド1を構成する各部材(例えば後述するサイドシート5等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまでパッド1が伸長した状態である。なお、吸収性物品がパンツ型(ショーツ型)である場合、吸収性物品の両側部に設けられているサイド接合部を分離して、吸収性物品を開いて平面的に展開した状態を展開状態とする。
【0042】
パッド1は、展開状態において、互いに直交する前後方向と幅方向と厚さ方向を有する。前後方向は後述する吸収体10の長手方向に対応する方向である。前後方向における前側は着用時に着用者の腹側に対応し、後側は着用者の背側に対応する。また、厚さ方向において、着用者の肌に接触する側を肌側とし、その反対側を非肌側とする。
【0043】
また、前後方向におけるパッド1の両端部の間であり、着用時に着用者の股下に位置する部位を「股下部1m」とも称す。股下部1mは、前後方向にパッド1を3等分した中央部であってもよいが、それに限らない。例えば、股下部1mの前後方向の長さは、パッド1を前後方向に3等分した長さよりも短くても長くてもよいし、後側に長く延びたパッドでは、股下部1mは前寄りに位置してもよい。
【0044】
図2に示すように、パッド1は、吸収体10と、吸収体10よりも肌側に設けられた液透過性の表面シート2(例えば不織布や開孔フィルム等)と、吸収体10よりも非肌側に設けられた液不透過性又は液難透過性のバックシート3(例えば樹脂フィルム等)と、バックシート3よりも非肌側に設けられた外装シート4(例えば不織布等)と、表面シート2の幅方向の両側部に設けられた一対のサイドシート5(例えば疎水性の不織布等)を有する。
【0045】
吸収体10は、吸収性コア11と、コアラップシート12を有する。吸収性コア11は、2層構造であり、肌側に設けられた上層吸収性コア111と、非肌側に設けられた下層吸収性コア112とを有する。上層吸収性コア111及び下層吸収性コア112としては、SAP(高吸収性ポリマー)を含むパルプ繊維等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものを例示できる。コアラップシート12は、上層吸収性コア111の肌側面を覆う上層コアラップシート121と、下層吸収性コア121の肌側面及び非肌側面を包む下層コアラップシート122を有する。コアラップシート12としては、液透過性のティッシュや不織布等を例示できる。
【0046】
また、上層吸収性コア111及び下層吸収性コア112は、股下部1mの幅方向の中央部において、前後方向に沿って延びるスリット111s,112sを有する。スリット111s,112sが折れ起点となり、上層吸収性コア111及び下層吸収性コア112は着用者の股下を包むように変形しやすくなる。
【0047】
ただし、吸収体10の構成は上記に限定されるものではない。例えば吸収性コアは、1層で構成されてもよいし、スリット111s,112sを有さなくてもよいし、コアラップシート12で覆われていなくてもよい。また、吸収性コアは、親水性のシートにSAP層を付着させたSAPシートや、液体吸収性繊維をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシート等であってもよい。また、上層吸収性コア111と下層吸収性コア112を各々構成する吸収材料が異なっていてもよい。
【0048】
また、パッド1は、幅方向の両側部において、肌側に起立可能な一対の防漏壁部6を有する。防漏壁部6は、サイドシート5と、糸ゴム等の防漏壁弾性部材7によって形成されている。サイドシート5の幅方向の内側端部の折り返し部に、防漏壁弾性部材7は前後方向に沿って伸長状態で固定されている。
【0049】
以上、パッド1の基本構成を説明したが、上記のパッド1の構成は一例であり、これに限定されるものではない。例えば防漏壁部6や外装シート4を有さないパッド等であってもよい。
【0050】
===吸収性パッド1の外形形状について===
図3図5は、パッド1の外形形状についての説明図である。図6A及び図6Bは、変形例のパッド1についての説明図である。
【0051】
図3に示すように、パッド1の股下部1mにおいて、パッド1の外縁1E(具体的にはパッド1の外形輪郭のうちの前後方向に延びる側縁)は、幅方向の内側に括れた「括れ部Dc」を有する。括れ部Dcにより、着用者の股下においてパッド1の幅が短くなり、着用者が脚を閉じた際にもパッド1が無秩序に変形し難くなる。そのため、パッド1と着用者の間に隙間が形成され難く、着用者の股下へのパッド1のフィット性が高まる。また、寝姿勢の着用者(被介護者)に介護者がパッド1をあてがう場合には、パッド1が大腿部に引っ掛かり難く、パッド1を隙間なく適切に装着できる。
【0052】
なお、括れ部Dcは、前後方向に隣接する領域に比べて、パッド1の幅が短くなる領域である。そのため、前後方向における括れ部Dcの前端Dcf(括れ始め)、及び、括れ部Dcの後端Dcb(括れ終わり)は、パッド1の外縁1Eの接線の傾きが変わる位置とする。つまり、前後方向の中央側に向かって幅方向外側に傾斜する傾き、又は前後方向に沿う傾きから、前後方向の中央側に向かって幅方向内側に傾斜する傾きに変わる変曲点を、括れ部Dcの前端Dcf及び後端Dcbとする。
【0053】
また、パッド1は、括れ部Dcにおいて、その幅方向の長さ(図3のW0)が最も狭い「最狭部N」を有する。そして、パッド1の外縁1Eは、前後方向における最狭部Nの後端Nbと前後方向における括れ部Dcの後端Dcbとを結んだ仮想線VLよりも外側に延出する「延出部E」を有する。つまり、括れ部Dc内には、最狭部Nよりも後側において、パッド1の外縁1Eが幅方向の外側に凸となる延出部Eが設けられている。
【0054】
なお、図3に例示する最狭部Nは1点である。そのため、最狭部Nが最狭部の後端Nbに相当する。しかし、最狭部Nは前後方向に長さを有してもよい。その場合、最狭部Nの後端Nbから仮想線VLを定める。
【0055】
また、パッド1が展開かつ伸長した状態において、仮想線VLを定め、延出部Eの有無を確認する。以下に説明するパッド1の部位(例えば後述する非延出部NEやコア括れ部11c等)の有無や、各部の長さや位置の比較についても、パッド1が展開かつ伸長した状態において確認する。
【0056】
パッド1の外縁1E(製品の外形輪郭)が延出部Eを有するということは、最狭部Nから括れ部Dcの後端Dcbに向かってパッド1の幅が徐々に広がるのではなく、急拡幅する箇所(急傾斜でパッド1の幅が広がる箇所)が存在することになる。この場合、パッド1を平面視したユーザー(例えば着用者や介護者)は、パッド1の幅が徐々に広がる場合に比べて、最狭部Nよりも後側のパッド1の平面積が大きいと感じやすい。つまり、錯視効果によって、ユーザーは、パッド1が最狭部Nよりも後側に長く延びており、その長く延びた部位の平面積が大きいと感じやすい。そのため、パッド1が臀部を包み込むようにフィットする印象をユーザーに付与でき、使用前にパッド1を広げて見たユーザーの漏れへの不安を軽減できる。よって、ユーザーは安心してパッド1を使用できる。実際に、パッド1の幅が徐々に広がる場合に比べて、延出部Eでは仮想線VLよりもパッド1が張り出すため(図3の斜線部)、最狭部Nよりも後側のパッド1の平面積が大きくなる。このように括れ部Dcが括れ過ぎずに、パッド1の外形面積が確保されることで、排泄液の漏れを抑制できる。特に排泄液を受ける股下部1mから後側にかけてのパッド1の幅が確保されるので、着用者が側臥位である場合にも、排泄液の横漏れを抑制できる。
【0057】
なお、図3に例示するパッド1の外形形状は、幅方向に対称な形状である。そのため、パッド1の外縁1Eは、幅方向の両側に延出部Eを有する。ただし、これに限定されず、パッド1が幅方向に非対称な形状であってもよく、パッド1の外縁1Eは少なくとも幅方向の一方側において延出部Eを有していればよい。
【0058】
また、本実施形態のパッド1の外縁1Eは、括れ部Dcの後端部が幅方向の外側に凸となる形状を成す。そのため、図5に示すように、括れ部Dcの後端部に小さい延出部E2が存在する。つまり、パッド1の外縁1Eは、最狭部Nの近くに、前後方向に長い延出部E1と、括れ部Dcの後端部に小さい延出部E2を有する。ただし、パッド1の外縁1Eが有する延出部Eの数は限定されず、1つであっても複数であってもよい。
【0059】
また、本実施形態のパッド1は、図1に示すように展開かつ伸長状態における前後方向の長さ(製品長)Laが640mm以上であり(La≧640mm)、大人用の吸収性パッドである。この場合、製品長Laが640mm未満である場合に比べて、排泄量の多い大人が着用しても、排泄液の前後方向の漏れを抑制できる。また、製品長Laが長くなることで、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減できる。ただし、これに限らず、パッド1の製品長Laは640mm未満であってもよいし、子ども用の吸収性パッドであってもよい。
【0060】
パッド1は、テープ型の使い捨ておむつやパンツ型おむつとは異なり、前後方向の前側端部と後側端部が着用者の胴回りに沿って連結されずに装着される。また、パッド1は、おむつの内側に配されて、おむつと併用して使用される形態であってもよいし、着用者の下着の内側に直接配されて、単体で使用される形態であってもよい。パッド1とおむつを併用する場合であっても、パッド1からおむつへの排泄液の漏れを抑制することで、おむつの交換回数を減らすことができ、排泄処理の簡素化を図ることができる。
【0061】
また、図3に示すように、延出部Eの少なくとも一部は、前後方向における括れ部Dcの中央位置DcCよりも前側に位置していることが好ましい。そうすることで、括れ部Dcの前側においてパッド1の幅が急傾斜で広がり、最狭部Nのように深く括れた部位の前後方向の長さを短くできる。よって、括れ部Dcの前寄りの位置からパッド1の幅が広がり、排泄液の漏れを抑制できる。また、視覚的に、ユーザーは、前寄りの最狭部Nから後側にパッド1が長く延びており、その長く延びた部位の平面積が大きいと感じやすく、漏れへの不安を軽減できる。
【0062】
また、上記の場合、最狭部Nを含む深く括れた部位の前後方向の長さが短くなる。そのため、最狭部N及びその近傍の部位は、幅方向の内側に凸状の切欠き形状(略三角形状)となる。そのため、最狭部Nを折れ起点としてパッド1が前後方向に折れやすくなり、パッド1が着用者の下腹部から股下に沿って立体的に変形しやすくなる。ただし、上記に限定されず、括れ部Dcの中央位置DcCよりも後側に延出領域Eが位置してもよい。
【0063】
また、パッド1の外縁1Eは、延出部Eよりも前後方向の後側において、仮想線VLよりも内側に括れた非延出部NEを有することが好ましい。つまり、パッド1の外縁1Eは、最狭部Nよりも後側において、幅方向の外側に凸となる延出部Eと、幅方向の内側に凸となる非延出部NEを有する。図3に例示するパッド1の括れ部Dcでは、その前端Dcfから最狭部Nに向かってパッド1の外縁1Eが深く括れて、パッド1の幅が短くなる。その後側で、パッド1の外縁1Eが急拡幅し、パッド1が張り出して延出部Eが形成される。その後側では、パッド1の外縁1Eが浅く括れた状態が保たれ、パッド1の外縁1Eが仮想線VLよりも内側に位置し、非延出部NEが形成される。非延出部NEの後端部では、パッド1の外縁1Eが括れ部Dcの後端Dcbに向かって幅方向の外側に傾斜している。
【0064】
非延出部NEが設けられることで、延出部Eにて急拡幅したパッド1の幅の増加が抑えられる。そのため、最狭部Nの後側にてパッド1の幅が大きくなり過ぎずに、浅く括れた状態が続く部位(図3のDc0)が形成される。よって、括れ部Dcのパッド1の平面積を大きくしつつ、着用者の股下へのパッド1のフィット性も確保される。
【0065】
ただし上記に限定されず、変形例の図6Aに示すように、パッド1の外縁1Eが非延出部NEを有さなくてもよい。この場合、延出部Eにて急拡幅したパッド1の幅が増加し続けるため、括れ部Dcのパッド1の平面積がより大きくなる。そのため、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。
【0066】
また、図3に示すように、括れ部Dcのうち浅く括れた部位(Dc0)は、延出部Eと非延出部NEを跨いで位置し、浅く括れた部位(Dc0)ではパッド1の幅が一定となっている。このように、パッド1の外縁1Eは、非延出部NEにおいて、前後方向に沿う直線部NE1と、括れ部Dcの後端Dcbに向かって幅方向の外側に傾斜した傾斜部NE2を有するとよい。
【0067】
そうすることで、パッド1の幅は、延出部Eにて急拡幅した後、直線部NE1により一定に保たれる。そのため、最狭部Nの後側にてパッド1の幅が大きくなり過ぎずに、浅く括れた部位(Dc0)を形成できる。よって、着用者の股下へのパッド1のフィット性を確保できる。
【0068】
ただし上記に限定されず、非延出部NEが前後方向に沿う直線部NE1を有さなくてもよい。例えば、浅く括れた部位(Dc0)が後側に向かって幅方向の外側に傾斜していてもよい。その傾斜角度は、非延出部NEの後側部(傾斜部NE2)の傾斜角度よりも小さいことが好ましい。そうすることで、浅く括れた部位(Dc0)を形成でき、着用者の股下へのパッド1のフィット性を確保できる。
【0069】
ここで、図4に示すように、最狭部Nの後端Nbから括れ部Dcの後端Dcbまでの幅方向の長さを3分割した長さ(Wa/3)だけ、最狭部Nの後端Nbよりも幅方向の外側にずれた位置を第1位置とする。この場合、括れ部Dcは、第1位置よりも幅方向の内側に括れた第1括れ部Dc1と、第1括れ部Dc1以外の全ての部位である第2括れ部Dc2を有する。換言すると、第1括れ部Dc1は、第1位置において前後方向に沿って延びる第3の仮想線VL3よりも深く括れた部位である。一方、第2括れ部Dc2は、第3の仮想線VL3よりも浅く括れた部位である。
【0070】
第1括れ部Dc1の前後方向の長さL1は、第2括れ部Dc2の前後方向の長さよりも短いことが好ましい(L1<L0-L1)。第2括れ部Dc2の前後方向の長さは、括れ部Dc全体の前後方向の長さL0から、第1括れ部Dc1の前後方向の長さL1を減じた長さである(L0-L1)。なお、図4に示すように、第2括れ部Dc2が前後方向に離れて複数存在する場合、複数の第2括れ部Dc2の合計長さで比較する。同様に、第1括れ部Dc1も複数存在する場合、合計長さで比較する。
【0071】
上記によれば、パッド1の幅が比較的に広い部位(第2括れ部Dc2)が、括れ部Dcの前後方向の広範囲に亘り存在する。そのため、括れ部Dcであってもパッド1の幅が適度に確保され、パッド1の平面積が大きくなる。そのため、排泄液の漏れを抑制でき、視覚的にもユーザーの漏れへの不安を軽減できる。また、第1括れ部Dc1の前後方向の長さL1が短いことで、第1括れ部Dc1が切欠き形状となる。よって、最狭部Nを折れ起点としてパッド1が前後方向に折れやすくなる。
【0072】
また、図3に示すように、括れ部Dcの前後方向の中心DcCは、パッド1の前後方向の中央位置CL(すなわちパッド1を前後方向に二等分する幅方向に沿う製品中心線)よりも前側に位置しているとよい。つまり、パッド1の前寄りに括れ部Dcが形成されているとよい。一般的に、ユーザーは、括れ部Dcが着用者の股下に当接するようにパッド1を装着する。そのため、着用者の背側に長くパッド1が当接し、後ろ漏れを抑制できる。特に寝姿勢時の漏れを抑制できる。また、括れ部Dcの後側のパッド1の長さが長いことで、視覚的に、ユーザーの後ろ漏れへの不安を軽減できる。
【0073】
ただし、括れ部Dcの後端Dcbは、パッド1の前後方向の中央位置CLよりも前後方向の後側に位置するとよい。そうすると、括れ部Dcが前側に偏り過ぎて配置されることを防ぎ、着用者の下腹部をパッド1で覆うことができる。よって、排泄液の前漏れを抑制できる。
【0074】
一方で、図4に示すように、括れ部Dcの後端Dcbからパッド1の前後方向の中央位置CLまでの前後方向の長さL2は、第1括れ部Dc1の前後方向の長さL1よりも短いことが好ましい(L2<L1)。
【0075】
そうすることで、括れ部Dcの後端Dcbがパッド1の中央位置CLの近くに位置し、括れ部Dcがパッド1のより前寄りに位置する。そのため、中央位置CLよりも後側のパッド1の幅が広くなり、着用者の臀部を包み込むようにパッド1が装着され、排泄液の漏れを抑制できる。視覚的にも、ユーザーは、パッド1が後側に長く延びていると感じやすく、漏れへの不安を軽減できる。なお、図4のパッド1とは異なり、第1括れ部Dc1が前後方向に離れて複数存在する場合、前後方向の最も前側に位置する第1括れ部Dc1の長さL1で比較する。
【0076】
また、最も前側に位置する第1括れ部Dc1の前後方向の長さL1は、最狭部Nの後端Nbから括れ部Dcの後端Dcbまでの幅方向の長さWa、つまり、括れ部Dcの深さWa以下であることが好ましい(L1≦Wa)。そのために、図4に例示するパッド1では、第1括れ部Dc1の外縁1Eの底部(幅方向の内側に凸の部位)はR10mm以下(半径10mm以下)の円弧形状で傾斜している。
【0077】
上記によれば、切欠き形状(略三角形状)である第1括れ部Dc1の底辺の長さ(L1)が短くなる。そのため、第1括れ部DC1において、パッド1の外縁1E1の前後方向に対する傾斜が大きくなる。つまり、最狭部Nからパッド1の幅を急傾斜で広げることができ、延出部Eを形成できる。よって、最狭部Nよりも後側のパッド1の平面積を大きくでき、排泄液の漏れを抑制したり、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減したりできる。
【0078】
ここで、図5に示すように、最狭部Nの後端Nbと括れ部Dcの後端Dcbとの幅方向の中央位置を「第2位置」とする。このとき、図5のパッド1では、前後方向の最も前側に位置する延出部E1は、第2位置よりも幅方向の内側に位置している。つまり、第2位置における前後方向に沿う第4の仮想線VL4よりも延出部E1が深く括れている。
【0079】
この場合、延出部Eにおいてもパッド1の張り出しが小さく、最狭部Nよりも後側のパッド1の幅の増加が適度に抑えられる。そのため、着用者の股下へのパッド1のフィット性が確保される。
【0080】
しかし、上記とは逆に、図6Bの変形例に示すように、前後方向の最も前側に位置する延出部E1の幅方向の外側端1Ee、つまり、パッド1の外縁1Eの幅方向の外側端1Eeが、第2位置よりも幅方向の外側に位置してもよい。或いは、前記外側端1Eeが幅方向の第2位置(第4の仮想線VL4上)に位置してもよい。
【0081】
この場合、延出部Eにおいてパッド1がしっかりと張り出し、パッド1の幅が長くなる。そのため、最狭部Nよりも後側のパッド1の平面積が大きくなり、排泄液の漏れを抑制したり、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減したりできる。
【0082】
図7は、吸収性コア11の外形形状についての説明図である。パッド1は、前後方向において延出部Eと重複する重複領域Roと、重複領域Roに前後方向の後側から隣接し、前後方向の長さL4が重複領域Roと同じである隣接領域Raを有する。詳しくは、パッド1の外縁1Eのうち、延出部Eの前側端1Efの前後方向の位置から、延出部Eの後側端1Ebの前後方向の位置までの領域が、重複領域Roとなる。
【0083】
重複領域Roと隣接領域Raは、幅方向一方側の側部において、吸収性コア11が存在しない非存在領域n11を各々有する。非存在領域n11とは、パッド1の外縁1E(側縁)と吸収性コア11の外縁11E(側縁)の間の領域である。このとき、重複領域Roの非存在領域n11の面積S1の方が、隣接領域Raの非存在領域n11の面積S2よりも大きいことが好ましい(S1>S2)。そのために、本実施形態のパッド1では、パッド1の外形形状と吸収性コア11の外形形状(特に括れ部Dcでの形状)を異ならせている。
【0084】
重複領域Roにおいて非存在領域n11の面積S1が大きいということは、パッド1の外縁1Eは幅方向の外側に張り出す一方で、吸収性コア11の外縁11Eの張り出しは抑えられている。また、吸収性コア11の外形形状よりもパッド1の外形形状の方が、ユーザーによる視認性が高く、ユーザーに着目されやすい。そのため、パッド1の外縁1Eの張り出し(延出部E)によって、パッド1の幅が長く、パッド1の外形面積が大きくなることで、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減できる。一方で、剛性の高い吸収性コア11の張り出しが抑えられることで、着用者の股下への吸収性コア11のフィット性が高まる。また、吸収性コア11が張り出していなくとも、ユーザーに着目され難いので、視覚的に、ユーザーの漏れへの不安を高めてしまうリスクは小さい。
【0085】
また、前述したように、パッド1の外縁1Eは、延出部Eよりも前後方向の後側において、仮想線VLよりも内側に括れた非延出部NEを有する。この場合、図7に示すように、非延出部NEの少なくとも一部は、隣接領域Raに位置することが好ましい。そうすることで、隣接領域Raにおいては、重複領域Ro(延出部E)にて急拡幅したパッド1の外縁1Eの幅の増加が抑えられ、着用者の股下へのパッド1のフィット性が確保される。それとともに、隣接領域Raの非存在領域n11の面積S2が、重複領域Roの非存在領域n11の面積S1よりも小さくなるように、吸収性コア11の外縁11Eの張り出しを重複領域Roよりも大きくすることで、排泄液の漏れを防止できる。
【0086】
また、吸収性コア11は、股下部1mにおいて、その外縁11Eが幅方向の内側に括れたコア括れ部11cと、コア括れ部11cにおいて、吸収性コア11の幅方向の長さが最も狭いコア最狭部11Nとを有する。この場合、吸収性コア11の外縁11Eは、前後方向におけるコア最狭部11Nの後端11Nbと前後方向におけるコア括れ11cの後端11cbとを結んだ第2の仮想線VL2よりも外側に延出していないことが好ましい。
【0087】
或いは、吸収性コア11の外縁11Eは、第2の仮想線VL2よりも外側に延出するコア延出部を有するが、当該コア延出部の前後方向の長さは、パッド1の延出部Eの前後方向の長さ(図7のL4)よりも短いことが好ましい。換言すると、コア延出部における吸収性コア11の外縁11Eと第2の仮想線VL2とで囲まれる面積が、延出部Eにおけるパッド1の外縁1Eと仮想線VLとで囲まれる面積よりも小さいことが好ましい。
【0088】
図7に例示する吸収性コア11は、コア最狭部11Nからコア括れ部11cの後端11cbに向かって、幅が徐々に広がっている。そのため、吸収性コア11は第2の仮想線VL2よりも外側に延出するコア延出部を有さない。
【0089】
上記によれば、コア最狭部11Nの後側において、吸収性コア11の幅が急傾斜で広がることがなく、また、吸収性コア11の外縁11Eの張り出しを小さくできる。そのため、着用者の股下への吸収性コア11のフィット性が高まる。また、吸収性コア11の外形形状は、パッド1の外形形状よりもユーザーに着目され難い。そのため、コア延出部が存在しなかったり、コア延出部の前後方向の長さが短かったりしても、視覚的に、ユーザーの漏れへの不安を高めてしまうリスクは小さい。
【0090】
また、前述したように、パッド1の前後方向に沿う側縁と、吸収性コア11の前後方向に沿う側縁との間は、吸収性コア11の非存在領域n11となっている。図8に示すように、非存在領域n11の幅方向の長さW1は、延出部Eの幅方向の外側端1Ee(すなわちパッド1の外縁1Eの幅方向の外側端1Ee)の位置において、最大であるとよい。そうすることで、パッド1の外縁1Eはより張り出すため、視覚的にユーザーの漏れへの不安を軽減できる。一方、吸収性コア11の幅は短くなるため、着用者の股下へのパッド1のフィット性が高まる。
【0091】
ただし、吸収性コア11の外形形状は上記に限定されるものではない。例えば、吸収性コア11の外形形状は、長方形であってもよいし、パッド1の製品外形と相似又は略相似形であり、吸収性コア11の外縁11Eが第2の仮想線VL2よりも大きく延出していてもよい。また、吸収性コア11は、幅方向に対称な外形形状であってもよいし、非対称な外形形状であってもよい。また、コア最狭部11Nが前後方向に長さを有していてもよい。
【0092】
図8は、防漏壁部6についての説明図である。パッド1は、幅方向の側部において、肌側に起立可能な防漏壁部6を有する。防漏壁部6はサイドシート5と防漏壁弾性部材7によって形成される。サイドシート5は、その前後方向に沿う一端から他端に亘り接着領域A1によって表面シート2に固定されており、かつ、その接着領域A1よりも幅方向の内側において、前後方向の両端部が接着領域A2によって表面シート2に固定されている。そのため、接着領域A1,A2よりも内側のサイドシート5の部位が、防漏壁弾性部材7の収縮により、防漏壁部6として肌側に起立する。そのため、接着領域A1の幅方向の内側端が、幅方向における防漏壁部6の起立起点6sとなる。
【0093】
コア括れ部11cは、幅方向における防漏壁部6の起立起点6sの位置よりも幅方向の内側に括れた第1コア括れ部11c1を有する。この場合、第1コア括れ部11c1の前後方向の長さL5は、コア括れ部11cの前後方向の長さL6の半分以下であることが好ましい(L5≦L6/2)。
【0094】
そうすることで、コア括れ部11cの前後方向の広範囲において、吸収性コア11が下方から防漏壁部6の起立起点6sを支持できる。よって、剛性の高い吸収性コア11上において、防漏壁部6は安定して起立できる。着用時に体圧が掛かっても防漏壁部6の起立起点6sがずれ難く、排泄液の漏れを抑制できる。
【0095】
また、図1に示すように、パッド1は、パッド1の肌側面から視認可能であり前後方向に沿ったライン8を有することが好ましい。そのライン8は、厚さ方向において、吸収性コア11の幅方向の中央部と重なるとよい。
【0096】
そうすることで、ユーザー(着用者又は介護者等)は、ライン8を目印にして、着用者の縦方向に対してパッド1を真っ直ぐにあてがうことができる。つまり、着用者の縦方向にパッド1の前後方向を沿わせることができる。そのため、着用者の股下の中心(排泄口)に吸収性コア11の幅方向の中央部を当接させることができる。よって、パッド1が着用者の太腿に引っ掛かり難く、着用者の股下への吸収性コア11のフィット性が高まる。また、吸収性コア11で排泄液をしっかりと受けて吸収でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0097】
本実施形態では、表面シート2の非肌側面の幅方向の中央部に、表面シート2の色(例えば白色)と異なる色(例えば青色)に着色されたホットメルト接着剤を、前後方向に沿って塗工する。そうすることで、吸収性コア11の幅方向の中央部と重なる位置に、ライン8を形成できる。また、着色されたホットメルト接着剤が着用者の肌に直接触れないため、着用者の肌を刺激してしまうことを防止できる。また、パッド1の肌側面からのライン8の視認性が高まる。
【0098】
しかし、ライン8を形成するためのホットメルト接着剤やインク等は、表面シート2以外の資材、例えば、コアラップシート12や吸収性コア11に塗工されてもよい。また、図1に示すライン8の前後方向の長さや幅や形状は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、ライン8は、前後方向に沿って延びていれば、連続した直線形状でなくともよく、波線や破線等であってもよい。ただし、図1に示すライン8のように、パッド1の前端から後端に亘り、ライン8が長く設けられていることが好ましい。そうすることで、着用者がライン8を目印にしてパッド1を装着しやすくなる。
【0099】
また、パッド1の外形形状は前後方向の両端部において幅方向の長さが短くなっており、4隅の角部1Cが括れた形状となっている。図3に例示するパッド1では、角部1Cの外縁1Eが幅方向の内側に凸の円弧形状(例えばR30mm以下の円弧形状)を成す。
【0100】
そうすることで、パッド1が長方形状である場合に比べて、丸みのある着用者の臀部や下腹部を包み込みようにパッド1がフィットしやすくなる。また、パッド1の前後方向の両端部の幅が短くとも、排泄液の漏れへの影響が小さい。換言すると、パッド1の前後方向の長さを長くして、視覚的に着用者の漏れへの不安を軽減しつつ、漏れへの影響が小さい前後の端部の幅を短くする。そうすることで、パッド1の平面積を抑えることができ、着用時の違和感を軽減できる。
【0101】
また、図2に示すように、バックシート3の幅方向一方側の端から、外装シート4の幅方向の一方側の端までの、幅方向の最小長さW2は15mm以上であることが好ましい。不織布等で形成される外装シート4に比べて、樹脂フィルム等で形成されるバックシート3は剛性が高くなる。そのため、外装シート4のみの低剛性の部位の幅(W2)を長くすることで、パッド1の外形幅を長くしつつ、パッド1の側縁の着用者(太腿)への当たりを柔らかくできる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0103】
1 吸収性パッド(吸収性物品)
1m 股下部、
2 表面シート、3 バックシート、
4 外装シート、5 サイドシート、
6 防漏壁部、7 防漏壁弾性部材、
8 ライン
10 吸収体、
11 吸収性コア、
111 上層吸収性コア、112 下層吸収性コア、
11c コア括れ部、
11N コア最狭部、
12 コアラップシート、
121 上層コアラップシート、
122 下層コアラップシート、
Dc 括れ部、
N 最狭部、
E 延出部、NE 非延出部、
Ro 重複領域、Ra 隣接領域、
【要約】
【課題】着用者の股下へのフィット性が良く、排泄液が漏れ難く、視覚によるユーザーの漏れへの不安も軽減される吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性コア(11)を有する吸収性物品(1)であって、股下部において、吸収性物品(1)の外縁は、幅方向の内側に括れた括れ部(Dc)を有し、括れ部(Dc)において、幅方向の長さが最も狭い最狭部(N)を有し、吸収性物品(1)の外縁は、前後方向における最狭部(N)の後端と前後方向における括れ部(Dc)の後端とを結んだ仮想線よりも外側に延出する延出部(E)を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8