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特許7395980可動装置、レーザレーダ装置、画像形成装置及び画像投影装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】可動装置、レーザレーダ装置、画像形成装置及び画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20231205BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20231205BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20231205BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20231205BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/10 F
G02B26/08 E
G02B27/01
G02B27/02 Z
G01S7/481 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019209074
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021081593
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小西 淳一
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-173437(JP,A)
【文献】特開2019-082634(JP,A)
【文献】特開2006-075944(JP,A)
【文献】特開2005-099760(JP,A)
【文献】特開2012-242595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0198366(US,A1)
【文献】中国実用新案第208314328(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08 - 26/10
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面を備える可動部を有し、前記可動部を所定の回動軸で回動可能な光偏向器と、
前記光偏向器を固定する一対の固定部を有する台座と、
前記台座における前記光偏向器が固定されている側とは反対側で、前記台座に接合されている基板と、
を有し、
前記台座は、
前記可動部が回動していない状態での前記反射面とは反対側、且つ前記回動軸に沿う方向において前記反射面の少なくとも一部を挟む位置に設けられる、前記光偏向器を固定する一対の固定部と、
対向する前記一対の固定部同士を接続する接続部と、
前記可動部が回動していない状態での前記反射面に沿った平面方向において、前記可動部が回動したときに、前記反射面から前記回動軸と交差する方向に反射された光が通過する開放領域と、を備え、
前記基板には、前記一対の固定部の間の位置に貫通穴が設けられ、
前記接続部は、前記回動軸と直交する方向における幅が、前記固定部の前記回動軸と直交する方向における幅よりも狭い
ことを特徴とする可動装置。
【請求項2】
前記可動部をガルバノ回転させることを特徴とする請求項1に記載の可動装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記可動部の両側に設けられた1対の支持部を有し、
前記1対の支持部は、ミアンダ構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の可動装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の可動装置を備えるレーザレーダ装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の可動装置を備える画像形成装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の可動装置と、
光を発する光源と、
を備え、
前記光源から発せられた光を偏向して投影することを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動装置、レーザレーダ装置、画像形成装置及び画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術の発達に伴い、シリコンやガラスを微細加工して製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの開発が進んでいる。
【0003】
MEMSデバイスとして、反射面を設けた可動部と弾性梁とをウエハ上に一体に形成し、弾性梁に薄膜化した圧電材料を重ね合わせて構成した駆動梁で、可動部を駆動(回動)させる可動装置が知られている。
【0004】
また、反射面で反射される光を可動部の回動により走査させる可動装置であって、可動部を囲んで可動部を回動可能に支持する支持枠を備え、支持枠を分離させたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているものでは、可動装置における可動部を安定的に回動することができない場合があり、可動装置における可動部を安定的に回動することに改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一観点によれば、反射面を備える可動部を有し、前記可動部を所定の回動軸で回動可能な光偏向器と、前記光偏向器を固定する一対の固定部を有する台座と、前記台座における前記光偏向器が固定されている側とは反対側で、前記台座に接合されている基板と、を有し、前記台座は、前記可動部が回動していない状態での前記反射面とは反対側、且つ前記回動軸に沿う方向において前記反射面の少なくとも一部を挟む位置に設けられる、前記光偏向器を固定する一対の固定部と、対向する前記一対の固定部同士を接続する接続部と、前記可動部が回動していない状態での前記反射面に沿った平面方向において、前記可動部が回動したときに、前記反射面から前記回動軸と交差する方向に反射された光が通過する開放領域と、を備え、前記基板には、前記一対の固定部の間の位置に貫通穴が設けられ、前記接続部は、前記回動軸と直交する方向における幅が、前記固定部の前記回動軸と直交する方向における幅よりも狭いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の台座によれば、可動装置における可動部を安定的に回動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】可動装置の斜視図である。
図2】台座部の斜視図である。
図3】可動部が回動した可動装置の斜視図である。
図4】可動部が回動した可動装置の断面図である。
図5】第1の実施形態における可動装置の斜視図である。
図6】第1の実施形態における可動装置の可動部チップの上面図である。
図7】第1の実施形態における可動装置の可動部チップの断面図である。
図8】第1の実施形態における可動装置の実装基板の斜視図である。
図9】第1の実施形態における可動装置の断面図である。
図10】第1の実施形態における可動装置の製造方法の説明図である。
図11】第2の実施形態における可動装置の斜視図である。
図12】第2の実施形態における可動装置の説明図である。
図13】第2の実施形態における可動装置の製造方法の製造工程図である。
図14】第2の実施形態における可動装置の断面図である。
図15】第2の実施形態における可動装置の変形例1の断面図である。
図16】第2の実施形態における可動装置の変形例2の断面図である。
図17】第2の実施形態における可動装置の変形例3の断面図である。
図18】第2の実施形態における可動装置の変形例4の断面図である。
図19】第2の実施形態における可動装置の変形例5の断面図である。
図20】第3の実施形態における可動装置の斜視図である。
図21】第3の実施形態における可動装置の説明図である。
図22】第3の実施形態における可動装置の断面図である。
図23】第4の実施形態における可動装置の斜視図である。
図24】第4の実施形態における可動装置の変形例の斜視図である。
図25】光走査システムの一例の概略図である。
図26】光走査システムの一例のハードウェア構成図である。
図27】制御装置の一例の機能ブロック図である。
図28】光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
図29】ヘッドアップディスプレイ装置を搭載した自動車の一例の概略図である。
図30】ヘッドアップディスプレイ装置の一例の概略図である。
図31】光書込装置を搭載した画像形成装置の一例の概略図である。
図32】光書込装置の一例の概略図である。
図33】ライダ装置を搭載した自動車の一例の概略図である。
図34】ライダ装置の一例の概略図である。
図35】レーザヘッドランプの構成の一例を説明する概略図である。
図36】ヘッドマウントディスプレイの構成の一例を示す概略斜視図である。
図37】ヘッドマウントディスプレイの構成の一部の一例を示す図である。
図38】パッケージングされた可動装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〔第1の実施形態〕
本願においては、X方向、Y方向、Z方向を相互に直交する方向とする。また、X方向及びY方向を含む面をXY面と記載し、Y方向及びZ方向を含む面をYZ面と記載し、Z方向及びX方向を含む面をZX面と記載する。
【0011】
最初に、図1に示される可動装置913について説明する。図1に示される可動装置913は、可動部チップ930と、可動部チップ930の支持部940の下に台座部970が設けられており、可動部チップ930の支持部940は台座部970に固定されている。
【0012】
図2に示されるように、台座部970は、側壁部971a及び971bと、底面基板972とを有している。側壁部971aは、XY面に平行な断面がコの字型の形状の部材であり、コの字の開放側が+X方向を向くようにして、板状の部材である底面基板972の+Z側の面に接着等で固定されている。側壁部971bも同様に、XY面に平行な断面がコの字の形状の部材であり、コの字の開放側が-X方向を向くようにして底面基板972の+Z側の面に接着等で固定されている。
【0013】
側壁部971a及び971bの+Z側の上面で、可動部チップ930の支持部940が固定されている。側壁部971aと側壁部971bとはX方向に間隔を空けて配置されている。これにより、台座部970の-Y側には開放領域973が形成され、台座部970の+Y側には開放領域974が形成される。開放領域973及び974は、それぞれ側壁部971a及び971bからなる側壁部の一部を開放する開放領域の一例である。
【0014】
図3は、可動装置913の可動部チップ930における可動部920が回動(駆動)した場合の様子の一例を説明する図である。図3において、可動部チップ930は、側壁部971a及び971bの+Z側の面に固定されている。可動部チップ930の可動部920は回動軸Rを中心に回動し、反射面914に太い実線の矢印981で示す方向に入射する光は、反射面914により太い破線の矢印982で示す方向に反射されている。
【0015】
台座部970の±Y側に開放領域973及び974を設けることにより、図3に示すように、可動部920の±Y側には、反射面914の反射光を遮るものが存在しない状態になる。これにより、反射面914の反射光を通過させる空間が確保されている。また、側壁部971a及び971bの+Z側の面に、可動部チップ930の支持部940を固定することにより、可動部920の-Z側にも、所定の角度範囲で反射面914の反射光を通過させる空間が確保される。
【0016】
このように、開放領域973及び974は、可動部920が大きく回動した場合でも反射面914の反射光を通過させることができる。なお、反射面914の反射光を通過させるために、開放領域973及び974のX方向の幅は、反射面914のX方向の幅より広くすることが好ましい。
【0017】
図4は、図3に示す状態において、可動部920の中心を含むYZ面に平行な面で切断した断面の模式図である。
【0018】
可動部920が回動軸Rを中心に回動すると、図4に示すように可動部920の一方の側(図4では右側)が台座部970の底面基板972に近づき、可動部920の他方の側(図4では左側)が底面基板972から遠ざかる。可動部920の一方の側が底面基板972に近づいた部分の近傍では、空気が圧縮され気圧が高くなり、可動部920の他方の側が底面基板972より遠ざかった部分の近傍では、空気が膨張して気圧が低くなる。このため、台座部970の底面基板972と可動部920との間の空間において、気圧差が生じ、気圧の高い領域から気圧の低い領域に流れる気流が発生する。更に、可動部920は、高速で回動しているため、図4に示す状態とは逆向きに可動部920が傾く場合があり、この場合には、上記とは逆方向に流れる気流が発生する。
【0019】
このように、可動部920が回動軸Rを中心に回動させることにより、底面基板972と可動部920との間の空間において、交互に流れる気流が発生し、可動部920が高速に回動軸Rを中心に回動させると、気流の流れる向きが高速で入れ替わるため乱気流が生じる。このような乱気流は、可動部920を下から押し上げたり、もしくは押し下げたりする方向に作用し、可動部920の回動に影響を与え、回動を阻害する場合がある。この場合、可動装置における可動部を安定的に回動させることに支障が生じる場合があり、このことは、可動部920が大きい場合や、可動部920の回動の周波数が高い場合に、特に顕著となる。
【0020】
(可動装置)
次に、第1の実施形態における可動装置について、図5に基づき説明する。第1の実施形態における可動装置13は、実装基板101、台座部となる2つの固定部103a、103b、可動部チップ104を有している。実装基板101には中央部分に貫通穴102が設けられており、実装基板101の上となる+Z側には、貫通穴102を挟むように設けられた2つの固定部103a、103bが接着により接合されている。更に、固定部103a、103bの上となる+Z側の上面には、可動部チップ104が接着されている。従って、台座となる2つの固定部103a、103bの+Z側の上面には、可動部チップ104が接合されており、可動部チップ104が接合されている側とは反対側の-Z側の面には実装基板101が接合されている。本願においては、可動部チップを光偏向器と記載する場合がある。
【0021】
固定部103a、103bは一対であり、実装基板101に接着された固定部103aと固定部103bとの間は空間となる。この空間により、可動部120が回動軸Rを中心に回動させた場合に反射面14において反射された光が通過する通過領域105a、105bが形成される。尚、反射面14において反射された光は、回動軸Rに直交する方向の光である。
【0022】
次に、可動部チップ104について、図6及び図7に基づき説明する。図6は、可動部チップ104の上面図であり、図7は、図6における一点鎖線6A-6Bにおいて切断した断面図である。
【0023】
可動部チップ104は、可動部120と、可動部120をX軸に平行な回動軸Rを中心に回動させるための駆動梁110a、110bと、を有している。また、可動部120の面上であって反射面14以外の領域と、駆動梁110a、110bの面上には、電極接続部150を介して印加される電流又は電圧信号を伝達する不図示の配線部が設けられている。ここで、駆動梁110a、110bは「1対の駆動梁」の一例であるが、2つ以上の駆動梁を有していてもよい。尚、図7に示されるように、支持部140は、シリコン支持層161、酸化シリコン層162、シリコン層163等から構成され、可動部120および駆動梁110a、110bを挟む支持体である。
【0024】
可動部チップ104は、基体と、基体の+Z側の面上に形成された反射面14とを有している。基体は、シリコン層等から構成される。反射面14は、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成される。また、可動部120は、基体の-Z側の面に反射面14の補強用の不図示のリブが形成されていてもよい。なお、反射面14は円形形状である例を示したが、楕円や矩形等の他の形状であってもよい。
【0025】
駆動梁110a、110bは、可動部120を回動可能な状態で支持する2つのトーションバー111a、111bと、圧電駆動部112a及び113aと、圧電駆動部112b及び113bとを有している。2つのトーションバー111a、111bは、可動部120に一端が接続され、+X方向及び-X方向に各々延びており、可動部120を回動可能な状態で支持している。圧電駆動部112a及び113aは、トーションバー111aの他端に接続された基体の上に設けられており、圧電駆動部112b及び113bは、トーションバー111bの他端に接続された基体の上に設けられている。
【0026】
トーションバー111a、111bは、図示はしないがシリコン層163等から構成される。また、圧電駆動部112a、113a、112b、及び113bは、弾性部であるシリコン層163の+Z側の面上に下部電極261、圧電部262、上部電極263の順に形成されて構成される。
【0027】
上部電極263および下部電極261は、金または白金等から構成される。圧電部262は、圧電材料であるPZT等から構成される。
【0028】
なお、本実施形態では、圧電部262が弾性部であるシリコン層163の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明したが、弾性部の他の面(例えば-Z側の面)に設けても良いし、弾性部の一面および他面の双方に設けてもよい。
【0029】
また、可動部120を回動軸Rを中心に回動可能であれば、各部の形状等は上記の形状等に限定されない。トーションバー111a、111bや圧電駆動部112a、113a、112b、及び113bが曲率を有した形状を有していてもよい。
【0030】
尚、不図示のGND配線は、圧電駆動部112a、113a、112b、及び113bの各上部電極263に接続されている。また、電圧配線部は、圧電駆動部112a及び112bの下部電極261に接続されており、これらに正の駆動電圧または負の駆動電圧を印加することができる。
【0031】
この可動部チップ104は、可動部120に対し+Y方向及び-Y方向に対応する部分には、支持部140が設けられておらず、開口しているため、可動部120の振れ角が大きくなっても、反射面14の反射光が遮られることはない。これにより、可動部120の光の走査角度が制限されることはなく、大きな走査角度を得ることができる。
【0032】
図5に示されるように、固定部103aは、XY面に平行な断面がコの字型の形状の部材であり、コの字の開放側が+X方向を向くように板状の実装基板101の+Z側の面に接着等で固定されている。同様に、固定部103bは、XY面に平行な断面がコの字型の形状の部材であり、コの字の開放側が-X方向を向くように板状の実装基板101の+Z側の面に接着等で固定されている。
【0033】
固定部103a及び103bの+Z側の上面において、可動部チップ104の支持部140の一部が固定されている。固定部103aと固定部103bは、X方向において間隔を空けて配置されている。固定部103a及び固定部103bは、セラミック、シリコン、金属、樹脂等の材料により形成されている。固定部103aと固定部103bは、同じ材料により形成されていてもよく、また、異なる材料により形成されていてもよい。可動部チップ104と固定部103a、103bは一体構造となっていてもよい。
【0034】
図8に示されるように、実装基板101は略長方形の板状の部材であり、中心部分には略長方形の貫通穴102が設けられている。実装基板101は、例えば、プリント基板と呼ばれるようなものであり、具体的には、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド、ガラスコンポジット、紙エポキシ等により形成されている。実装基板101は、+Z側の面において固定部103a及び固定部103bを接着により固定することができるものであればよく、ガラスや金属等により形成されていてもよい。また、貫通穴102の大きさ等は、特に制限はないが、可動部120が回動した際に衝突しない程度の大きさ以上であればよい。
【0035】
図9は、図5において、可動部チップ104の可動部120の中心を含むYZ面において切断した断面図である。本実施形態における可動装置では、可動部120の下方、即ち、-Z側は、固定部103aと固定部103bとが離れて設けられているため空間となっており、更に、下方には、実装基板101に設けられた貫通穴102が存在している。このため、可動部120が回動軸Rを中心に回動しても、生じた気流は貫通穴102に向かって流れるため、気圧差は生じにくく、乱気流の発生が抑制される。本実施形態においては、乱気流が抑制されるため、可動部120の回動に影響を与えることなく、所望の回動を得ることができ、可動部120の正確で安定した回動を得ることができる。
【0036】
尚、本実施形態における可動装置を画像形成装置に用いる場合には、可動部チップ104の反射面14が設けられている可動部120をガルバノ回転させることにより、画像形成することができる。
【0037】
(可動装置の製造方法)
次に、本実施形態における可動装置の製造方法の一例について説明する。
【0038】
最初に、図8に示されるような貫通穴102を有する実装基板101を準備する。
【0039】
次に、図10に示されるように、実装基板101の+Z側の面の所定の位置に、固定部103a及び固定部103bを接着する。固定部103a及び固定部103bは、+Z側の面である上面103asと上面103bsとがXY面と平行な同一平面となるように、平坦性よく加工されていることが好ましい。
【0040】
次に、固定部103aの上面103as及び固定部103bの上面103bsに、可動部チップ104を接着剤等により接着する。これにより、図5に示されるように、本実施形態における可動装置13を製造することができる。
【0041】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態における可動装置について説明する。本実施形態における可動装置は、台座の底部の一部を削ることにより、2つの固定部を接続する接続部とした構造のものであり、全面に底部がある台座よりも、乱気流の影響を受けにくくした構造のものである。尚、第1の実施形態における可動装置では、可動部チップ104を支持している固定部103aと固定部103bとの2つに分かれている。このため、固定部103aの上面103asと、固定部103bの上面103bsとが同一平面となるように加工することは、技術的に困難である。固定部103aの上面103asと、固定部103bの上面103bsとが同一平面に存在していない状態では、可動部120を両側から支える支持部140の固定されている部分がゆがんだ状態で固定される。このため、接続されている部分と可動部120との間の駆動梁110a、110b等に外部応力がかかり可動部120の共振周波数に好ましくない影響を与える場合がある。
【0042】
本実施形態における可動装置は、2つの固定部の上面が、同一平面となるようにすることにより、可動部120の共振周波数に与える影響を抑制しつつ、可動部を安定して回動させるものである。
【0043】
図11及び図12に基づき、本実施形態における可動装置213について説明する。尚、図11は、本実施形態における可動装置213の斜視図であり、図12は、本実施形態における台座203と実装基板101とが接着されている状態を示す。
【0044】
本実施の形態においては、台座203は、固定部203a、203bと、固定部203aと固定部203bとを略中央部分で接続する接続部203cにより形成されている。接続部203cの長手方向は、回動軸Rと同じ方向、即ちX方向に沿って形成されている。つまり、接続部203cの長手方向と、回動軸Rとは平行となっている。本実施形態における可動装置は、図12に示されるように、実装基板101の+Z側の面に、台座203が接着されており、台座203の固定部203a、203bの+Z側の上面203as、203bsには、可動部チップ104が接着されている。尚、接続部203cは、固定部203a、203bを所定の面に有する底部について、Y方向における幅が固定部203aまたは203bよりも狭くなるように、所定の面積分を削った構造である。即ち、接続部203cは、台座203の底部の一部を削ったものであり、全面に底部があるものよりも一部を削って接続部203cとしたものの方が乱気流の影響を受けにくくなる。
【0045】
従って、台座203は、固定部203a、203bと、接続部203cが一体に形成されているため、固定部203aの+Z側の上面203asと、固定部203bの+Z側の上面203bsは、XY面に平行な同一平面となるように形成することができる。よって、固定部203a、203bの+Z側の上面203as、203bsに、可動部チップ104を接着剤等により接着した場合であっても、接着部分においてゆがみ等が生じることはなく、可動部120の回動に影響を与えることを防ぐことができる。
【0046】
尚、固定部203a、203bは一対であり、実装基板101に接着された固定部203aと固定部203bとの間は空間となる。この空間により、可動部120が回動軸Rを中心に回動した場合に反射面14において反射された光が通過する通過領域205a、205bが形成される。この反射面14において反射された光は、回動軸Rに直交する方向の光である。また、接続部203cのY方向における幅は、固定部203a及び203bのY方向における幅よりも狭くなっている。即ち、接続部203cの回動軸Rに直交する方向における幅は、固定部203a及び203bの回動軸Rに直交する方向における幅よりも狭くなっている。従って、固定部203aと203bとが底部により接続される場合、即ち接続部203cの回動軸Rに直交する方向、即ち、Y方向における幅が、固定部203a及び203bの回動軸Rに直交する方向、即ち、Y方向における幅と同じ、もしくはそれより広い場合に比べて、本実施形態に係る台座203を用いた場合には、可動部120の動作時における、乱気流による回動動作の支障を抑制することができ、安定した可動部120の回動を実現することができる。
【0047】
台座203は、セラミック、シリコン、金属、樹脂等の材料により形成されており、固定部203a、203bと、接続部203cとは、同じ材料により形成してもよく、異なる材料により形成してもよい。固定部203a、203bと、接続部203cとを同じ材料により形成する方法としては、固定部203a、203bと、接続部203cとを個別に製造してから接着して台座203を製造する方法がある。また、一つの部材を切削加工することや、射出成型により製造する方法であってもよい。また、固定部203a、203bと、接続部203cとを異なる材料により形成する方法としては、固定部203a、203bと、接続部203cとを個別に製造してから接着して台座203を製造する方法がある。
【0048】
尚、台座203の製造工程の最終段階で、固定部203aの上面203asと、固定部203bの上面203bsとを同時に研磨加工することにより、固定部203aの上面203asと、固定部203bの上面203bsとを同一平面にすることができる。
【0049】
(可動装置の製造方法)
次に、本実施形態における可動装置の製造方法について、図13に基づき説明する。
【0050】
最初に、図13(a)に示されるように、台座203を準備する。
【0051】
次に、図13(b)に示されるように、台座203の固定部203a、203bの上面203as、203bsに、可動部チップ104を接着剤等により接着する。
【0052】
次に、図13(c)に示されるように、台座203を実装基板101の上面の所定の位置に、接着剤等により接着する。これにより、本実施形態における可動装置を製造することができる。
【0053】
また、別の製造方法としては、最初に、図13(a)に示されるように、台座203を準備する。
【0054】
次に、図13(d)に示されるように、台座203を実装基板101の上面の所定の位置に、接着剤等により接着する。
【0055】
次に、図13(c)に示されるように、台座203の固定部203a、203bの上面203as、203bsに、可動部チップ104を接着剤等により接着する。これにより、本実施形態における可動装置を製造することができる。
【0056】
図14は、図11において、可動部チップ104の可動部120の中心が存在しているYZ面に平行な面において切断した断面図である。本実施形態における可動装置では、可動部120の下方、即ち、-Z側には、台座203の接続部203cが存在しているが、Y方向において、実装基板101に設けられた貫通穴102は、接続部203cに比べて十分に広い。このため、可動部120が回動軸Rを中心に回動しても、生じた気流は貫通穴102を通り流れるため、気圧差は生じにくく、乱気流の発生が抑制される。
【0057】
(変形例)
上記における説明では、台座203における接続部203cのYZ面に平行な断面が、四角形である場合について説明したが、接続部203cの断面形状は、図15に示されるように、三角形であってもよく、図16に示されるように、丸であってもよい。尚、図示はしないが、接続部203cの断面形状は、上底が下底よりも狭い台形等であってもよい。また、接続部203cの剛性を向上させるような断面形状、例えば、H字形状、U字形状、V字形状、X字形状等が挙げられる。
【0058】
また、本実施形態における駆動装置は、可動部120を回動駆動する駆動梁110a、110bに代えて、複数のカンチレバー部が接続されてミアンダ構造を形成している駆動梁が設けられているものであってもよい。
【0059】
具体的には、図17に示されるように、可動部チップ204は、反射面14を有する可動部220が略四角形で形成されており、可動部220を回動可能な状態で支持する駆動梁210が、X方向の両側に設けられている。駆動梁210は、複数のカンチレバー部が接続されたミアンダ構造となっており、カンチレバー部の上には圧電駆動部211が設けられている。駆動梁210の一方の端部は、可動部220に接続されており、駆動梁210の他方の端部は、支持部240に接続されている。支持部240は、+X側と-X側に分離しており、+X側の支持部240には、電極接続部150が設けられている。図17に示す変形例では、台座203の固定部203aの上面、及び、固定部203bの上面に、可動部チップ204の支持部240が接着されて固定されている。
【0060】
尚、本変形例では、可動部220の形状や大きさは、特に制限はない。例えば、図18に示されるように、可動部220のY方向における長さが、可動部チップ204のY方向における長さと同じとなるように形成されていてもよい。更には、図示はしないが、可動部220のY方向における長さが、可動部チップ204のY方向における長さよりも長く形成されていてもよい。
【0061】
また、図19に示されるように、可動部220の形状が八角形となるように形成してもよい。更には、図示はしないが、可動部220の形状は、円形、楕円形、六角形等の回転軸を中心に対称な形状であればよい。
【0062】
尚、上記以外の内容については、第1の実施形態と同様である。
【0063】
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態における可動装置について説明する。第2の実施形態における可動装置の台座部の接続部は1つであるのに対し、本実施形態における可動装置の台座部の接続部を2つ設け、剛性及び強度を向上させた構造のものである。
【0064】
図20及び図21に基づき、本実施形態における可動装置313について説明する。尚、図20は、本実施形態における可動装置313の斜視図であり、図21は、本実施形態における台座303と実装基板101とが接着され接合されている状態を示す。
【0065】
本実施形態における可動装置313は、実装基板101の+Z側の面に、台座303が接着されており、台座303の固定部303a、303bの+Z側の上面303as、303bsには、可動部チップ104が接着されている。尚、固定部303a、303bは一対であり、実装基板101に接着された固定部303aと固定部303bとの間は空間となり、可動部120が回動した場合に反射面14において反射された光が通過する通過領域305a、305bとなる。
【0066】
台座303は、固定部303a、303bと、固定部303aと固定部303bとを接続する接続部303c、303dにより形成されている。このような台座303は、固定部303a、303bと、接続部303c、303dが一体に形成されている。よって、固定部303aの+Z側の上面303asと、固定部303bの+Z側の上面303bsは、XY面に平行な同一平面に存在するように形成することができる。これにより、固定部303aの+Z側の上面303as及び固定部303bの+Z側の上面303bsに、可動部チップ104を接着剤等により接着した場合、接着部分においてゆがみ等は生じないため、可動部120の共振周波数に与える影響が抑制される。
【0067】
固定部303aと固定部303bとは、+Y側で接続部303cにより接続されており、-Y側で接続部303dにより接続されている。このため、接続部が1つの場合と比較して、台座303の剛性や強度を高くすることができる。尚、接続部303c及び303dのY方向における幅は、固定部303a及び303bのY方向における幅よりも狭くなっている。即ち、接続部303c及び303dの回動軸Rに直交する方向における幅は、固定部303a及び303bの回動軸Rに直交する方向における幅よりも狭くなっている。
【0068】
台座303は、セラミック、シリコン、金属、樹脂等の材料により形成されており、固定部303a、303bと、接続部303c、303dとは、同じ材料により形成してもよく、異なる材料により形成してもよい。
【0069】
尚、台座303の製造工程の最終段階で、固定部303aの上面303asと、固定部303bの上面303bsとを同時に研磨加工することにより、固定部303aの上面303asと、固定部303bの上面303bsとを同一平面にすることができる。
【0070】
図22は、図20において、可動部チップ104の可動部120の中心が存在しているYZ面に平行な面において切断した断面図である。本実施形態においては、可動部120の下方、即ち、-Z側には、台座303の接続部303c、303dが存在しており、実装基板101に設けられた貫通穴102の一部が遮られるが、開口は十分に確保されている。よって、可動部120が回動軸Rを中心に回動しても、生じた気流は貫通穴102を通り流れるため、気圧差は生じにくく、乱気流の発生が抑制される。このため、乱気流等による影響を受けることなく、所望の回動を得ることができ、可動部120の正確で安定した回動を得ることができる。
【0071】
尚、図22では、台座303の接続部303c、303dは、実装基板101の貫通穴102の+Y側、-Y側の一部を塞いでいるが、この構成に限定されるものではない。例えば、実装基板101の貫通穴102を更に広くして、台座303の接続部303c、303dが浮いているような構成であってもよい。また、台座303の接続部303cと接続部303dとの間隔が、実装基板101の貫通穴102よりも広くなるように形成されているものであってもよい。
【0072】
尚、上記以外の内容については、第2の実施形態と同様である。
【0073】
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態における可動装置について説明する。本実施形態における可動装置は、台座部の一部に開放領域を設けた構造のものである。
【0074】
具体的には、図23に示されるように、第3の実施形態の可動装置の台座303の接続部303cの上、即ち、+Z側に開放領域306aが設けられており、接続部303dの上、即ち、+Z側に開放領域306bが設けられている構造の可動装置である。
【0075】
開放領域306a及び開放領域306bは、透過ガラスにより形成されており、光が透過する透過領域となるため、可動部120の反射面14において反射した光を遮ることはない。また、台座303に接続部303c及び接続部303dのみが設けられている場合と比べて、開放領域306a及び開放領域306bを設けることにより、固定部303aと固定部303bとがより強固に接続されるため、剛性や強度が向上する。開放領域306a及び306bは、可動部120が回動した場合に、反射面14による反射光を透過させる領域である。開放領域は、部材が存在しない空隙であってもよいし、空隙の少なくとも一部に、光を透過するガラス等の部材を含んで構成されていてもよい。なお、開放領域306a及び306bは、E軸から離れるにつれてE軸に沿った方向の幅が広くなるテーパ状に形成されていてもよい。
【0076】
また、本実施形態における可動装置は、図24に示されるように、台座303に接続部303c及び接続部303dを設けることなく、固定部303aと固定部303bとを接続する開放領域307a及び開放領域307bを設けたものであってもよい。
【0077】
尚、上記以外の内容については、第3の実施形態と同様である。
【0078】
以上に説明した本実施形態の可動装置は、光偏向システム、光走査システム、画像投射装置、光書込装置、距離測定装置に使用することができる。
【0079】
[光走査システム]
まず、実施形態の可動装置を適用した光走査システムについて、図25図28に基づいて詳細に説明する。
【0080】
図25には、光走査システムの一例の概略図が示されている。図25に示すように、光走査システム10は、制御装置11の制御に従って光源装置12から照射された光を可動装置13の有する反射面14により偏向して被走査面15を光走査するシステムである。
【0081】
光走査システム10は、制御装置11,光源装置12、反射面14を有する可動装置13により構成される。
【0082】
制御装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えた電子回路ユニットである。可動装置13は、例えば反射面14を有し、反射面14を可動可能なMEMS(Micro Electromechanical Systems)デバイスである。光源装置12は、例えばレーザを照射するレーザ装置である。なお、被走査面15は、例えばスクリーンである。
【0083】
制御装置11は、取得した光走査情報に基づいて光源装置12および可動装置13の制御命令を生成し、制御命令に基づいて光源装置12および可動装置13に駆動信号を出力する。
【0084】
光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光源の照射を行う。可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14を1軸方向または2軸方向の少なくともいずれかに可動させる。
【0085】
これにより、例えば、光走査情報の一例である画像情報に基づいた制御装置11の制御によって、可動装置13の反射面14を所定の範囲で2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する光源装置12からの照射光をある1軸周りに偏向して光走査することにより、被走査面15に任意の画像を投影することができる。なお、実施形態の可動装置の詳細および制御装置による制御の詳細については後述する。
【0086】
次に、光走査システム10一例のハードウェア構成について図26を用いて説明する。図26は、光走査システム10の一例のハードウェア構成図である。図26に示すように、光走査システム10は、制御装置11、光源装置12および可動装置13を備え、それぞれが電気的に接続されている。このうち、制御装置11は、CPU20、RAM21(Random Access Memory)、ROM22(Read Only Memory)、FPGA23、外部I/F24、光源装置ドライバ25、可動装置ドライバ26を備えている。
【0087】
CPU20は、ROM22等の記憶装置からプログラムやデータをRAM21上に読み出し、処理を実行して、制御装置11の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0088】
RAM21は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。
【0089】
ROM22は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU20が光走査システム10の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
【0090】
FPGA23は、CPU20の処理に従って、光源装置ドライバ25および可動装置ドライバ26に適した制御信号を出力する回路である。
【0091】
外部I/F24は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、SSD等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット等である。外部I/F24は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F24が用意されてもよい。
【0092】
光源装置ドライバ25は、入力された制御信号に従って光源装置12に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
【0093】
可動装置ドライバ26は、入力された制御信号に従って可動装置13に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
【0094】
制御装置11において、CPU20は、外部I/F24を介して外部装置やネットワークから光走査情報を取得する。なお、CPU20が光走査情報を取得することができる構成であればよく、制御装置11内のROM22やFPGA23に光走査情報を格納する構成としてもよいし、制御装置11内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に光走査情報を格納する構成としてもよい。
【0095】
ここで、光走査情報とは、被走査面15にどのように光走査させるかを示した情報であり、例えば、光走査により画像を表示する場合は、光走査情報は画像データである。また、例えば、光走査により光書込みを行う場合は、光走査情報は書込み順や書込み箇所を示した書込みデータである。他にも、例えば、光走査により距離測定を行う場合は、光走査情報は距離測定用の光を照射するタイミングと照射範囲を示す照射データである。
【0096】
制御装置11は、CPU20の命令および図26に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
【0097】
次に、光走査システム10の制御装置11の機能構成について図27を用いて説明する。図27は、光走査システムの制御装置の一例の機能ブロック図である。
【0098】
図27に示すように、制御装置11は、機能として制御部30と駆動信号出力部31とを有する。
【0099】
制御部30は、例えばCPU20、FPGA23等により実現され、外部装置から光走査情報を取得し、光走査情報を制御信号に変換して駆動信号出力部31に出力する。例えば、制御部30は、外部装置等から画像データを光走査情報として取得し、所定の処理により画像データから制御信号を生成して駆動信号出力部31に出力する。
【0100】
駆動信号出力部31は、光源装置ドライバ25、可動装置ドライバ26等により実現され、入力された制御信号に基づいて光源装置12または可動装置13に駆動信号を出力する。
【0101】
駆動信号は、光源装置12または可動装置13の駆動を制御するための信号である。例えば、光源装置12においては、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えば、可動装置13においては、可動装置13の有する反射面14を可動させるタイミングおよび可動範囲を制御する駆動電圧である。
【0102】
次に、光走査システム10が被走査面15を光走査する処理について図28を用いて説明する。図28は、光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
【0103】
ステップS11において、制御部30は、外部装置等から光走査情報を取得する。
【0104】
ステップS12において、制御部30は、取得した光走査情報から制御信号を生成し、制御信号を駆動信号出力部31に出力する。
【0105】
ステップS13において、駆動信号出力部31は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を光源装置12および可動装置13に出力する。
【0106】
ステップ14において、光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行う。また、可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14の可動を行う。光源装置12および可動装置13の駆動により、任意の方向に光が偏向され、光走査される。
【0107】
なお、上記光走査システム10では、1つの制御装置11が光源装置12および可動装置13を制御する装置および機能を有しているが、光源装置用の制御装置および可動装置用の制御装置と、別体に設けてもよい。
【0108】
また、上記光走査システム10では、一つの制御装置11に光源装置12および可動装置13の制御部30の機能および駆動信号出力部31の機能を設けているが、これらの機能は別体として存在していてもよく、例えば制御部30を有した制御装置11とは別に駆動信号出力部31を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。なお、上記光走査システム10のうち、反射面14を有した可動装置13と制御装置11により、光偏向を行う光偏向システムを構成してもよい。
【0109】
本実施形態に係る可動装置を光走査システムに用いることにより、可動部の安定した回動動作及び安定した光偏向が可能となり、高精度での光走査を行うことができる。
【0110】
[画像投影装置]
次に、実施形態の可動装置を適用した画像投影装置について、図29および図30を用いて詳細に説明する。
【0111】
図29は、画像投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ装置500を搭載した自動車400の実施形態に係る概略図である。また、図30はヘッドアップディスプレイ装置500の一例の概略図である。
【0112】
画像投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置である。
【0113】
図29に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、例えば、「車両」の一例である自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。これにより、運転者402は、ヘッドアップディスプレイ装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
【0114】
図30に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R,501G,501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメートレンズ502,503,504と、2つのダイクロイックミラー505,506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する可動装置13にて偏向される。そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。なお、上記ヘッドアップディスプレイ装置500では、レーザ光源501R,501G,501B、コリメートレンズ502,503,504、ダイクロイックミラー505,506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
【0115】
上記ヘッドアップディスプレイ装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
【0116】
レーザ光源501R,501G,501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメートレンズ502,503,504で略平行光とされ、2つのダイクロイックミラー505,506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する可動装置13によって二次元走査される。可動装置13で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
【0117】
可動装置13は、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この可動装置13の駆動制御は、レーザ光源501R,501G,501Bの発光タイミングに同期して行われる。
【0118】
以上、画像投影装置の一例としてのヘッドアップディスプレイ装置500の説明をしたが、画像投影装置は、反射面14を有した可動装置13により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部に搭載され、装着部が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
【0119】
また、画像投影装置は、車両や装着部だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
【0120】
本実施形態に係る可動装置を画像投影装置に用いることにより、可動部の安定した回動動作及び安定した光偏向が可能となり、高画質での画像投影を行うことができる。
【0121】
[光書込装置]
次に、実施形態の可動装置13を適用した光書込装置について図31および図32を用いて詳細に説明する。
【0122】
図31は、光書込装置600を組み込んだ画像形成装置の一例である。また、図32は、光書込装置の一例の概略図である。
【0123】
図31に示すように、上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有するレーザプリンタ650等に代表される画像形成装置の構成部として使用される。画像形成装置において光書込装置600は、1本または複数本のレーザビームで被走査面15である感光体ドラムを光走査することにより、感光体ドラムに光書込を行う。
【0124】
図32に示すように、光書込装置600において、レーザ素子などの光源装置12からのレーザ光は、コリメートレンズなどの結像光学系601を経た後、反射面14を有する可動装置13により1軸方向または2軸方向に偏向される。そして、可動装置13で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ602aと第二レンズ602b、反射ミラー部602cからなる走査光学系602を経て、被走査面15(例えば感光体ドラムや感光紙)に照射し、光書込みを行う。走査光学系602は、被走査面15にスポット状に光ビームを結像する。また、光源装置12および反射面14を有する可動装置13は、制御装置11の制御に基づき駆動する。
【0125】
このように上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有する画像形成装置の構成部として使用することができる。また、走査光学系を異ならせて1軸方向だけでなく2軸方向に光走査可能にすることで、レーザ光をサーマルメディアに偏向して光走査し、加熱することで印字するレーザラベル装置等の画像形成装置の構成部として使用することができる。
【0126】
上記光書込装置に適用される反射面14を有した可動装置13は、ポリゴンミラー等を用いた回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、光書込装置の省電力化に有利である。また、可動装置13の振動時における風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、光書込装置の静粛性の改善に有利である。光書込装置は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また可動装置13の発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、よって画像形成装置の小型化に有利である。
【0127】
本実施形態に係る可動装置を光書込装置に用いることにより、可動部の安定した回動動作及び安定した光偏向が可能となり、高精度での光書き込みを行うことができる。
【0128】
[距離測定装置]
次に、上記実施形態の可動装置を適用した距離測定装置について、図33および図34を用いて詳細に説明する。
【0129】
図33は、距離測定装置の一例であるライダ(LiDAR;Laser Imaging Detection and Ranging)装置を搭載した自動車の概略図である。また、図34はライダ装置の一例の概略図である。
【0130】
距離測定装置は、対象方向の距離を測定する装置であり、例えばライダ装置である。
【0131】
図33に示すように、ライダ装置700は、例えば「車両」の一例である自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702の距離を測定する。なお、車両以外にも、ドローンなどの移動体にライダ装置700を搭載することができる。
【0132】
図34に示すように、光源装置12から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する可動装置13で1軸もしくは2軸方向に走査される。そして、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12および可動装置13は、制御装置11により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。すなわち、反射光は入射光検出受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理回路708に出力する。信号処理回路708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
【0133】
測距回路710は、光源装置12がレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
【0134】
反射面14を有する可動装置13は多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。このようなライダ装置は、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を測定することができる。ライダ装置700の搭載位置は、自動車701の上部前方に限定されず、側面や後方に搭載されてもよい。
【0135】
上記距離測定装置では、一例としてのライダ装置700の説明をしたが、距離測定装置は、反射面14を有した可動装置13を制御装置11で制御することにより光走査を行い、光検出器により反射光を受光することで被対象物702の距離を測定する装置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0136】
例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証や、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナの構成部などにも同様に適用することができる。
【0137】
本実施形態に係る可動装置を距離測定装置に用いることにより、可動部の安定した回動動作及び安定した光偏向が可能となり、高精度での距離測定を行うことができる。
【0138】
[レーザヘッドランプ]
次に、上記実施形態の可動装置を自動車のヘッドライトに適用したレーザヘッドランプ50について、図35 を用いて説明する。図35は、レーザヘッドランプ50の構成の一例を説明する概略図である。
【0139】
レーザヘッドランプ50は、制御装置11と、光源装置12bと、反射面14を有する可動装置13と、ミラー51と、透明板52とを有する。
【0140】
光源装置12bは、青色のレーザ光を発する光源である。光源装置12bから発せられた光は、可動装置13に入射し、反射面14にて反射される。可動装置13は、制御装置11からの信号に基づき、反射面をXY方向に可動し、光源装置12bからの青色のレーザ光をXY方向に二次元走査する。
【0141】
可動装置13による走査光は、ミラー51で反射され、透明板52に入射する。透明板52は、表面又は裏面を黄色の蛍光体により被覆されている。ミラー51からの青色のレーザ光は、透明板52における黄色の蛍光体の被覆を通過する際に、ヘッドライトの色として法定される範囲の白色に変化する。これにより自動車の前方は、透明板52からの白色光で照明される。
【0142】
可動装置13による走査光は、透明板52の蛍光体を通過する際に所定の散乱をする。これにより自動車前方の照明対象における眩しさは緩和される。
【0143】
可動装置13を自動車のヘッドライトに適用する場合、光源装置12b及び蛍光体の色は、それぞれ青及び黄色に限定されない。例えば、光源装置12bを近紫外線とし、透明板52を、光の三原色の青色、緑色及び赤色の各蛍光体を均一に混ぜたもので被覆してもよい。この場合でも、透明板52を通過する光を白色に変換でき、自動車の前方を白色光で照明することができる。
【0144】
本実施形態に係る可動装置を距離測定装置に用いることにより、可動部の安定した回動動作、及び安定した光偏向が可能となり、安定した光照射を行うことができる。
【0145】
[ヘッドマウントディスプレイ]
次に、上記実施形態の可動装置を適用したヘッドマウントディスプレイ60について、図36~13を用いて説明する。ここでヘッドマウントディスプレイ60は、人間の頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイで、例えば、眼鏡に類する形状とすることができる。ヘッドマウントディスプレイを、以降ではHMDと省略して示す。
【0146】
図36は、HMD60の外観を例示する斜視図である。図36において、HMD60は、左右に1組ずつ略対称に設けられたフロント60a、及びテンプル60bにより構成されている。フロント60aは、例えば、導光板61により構成することができ、光学系や制御装置等は、テンプル60bに内蔵することができる。
【0147】
図37は、HMD60の構成を部分的に例示する図である。なお、図37では、左眼用の構成を例示しているが、HMD60は右眼用としても同様の構成を有している。
【0148】
HMD60は、制御装置11と、光源ユニット530と、光量調整部507と、反射面14を有する可動装置13と、導光板61と、ハーフミラー62とを有している。
【0149】
光源ユニット530は、上述したように、レーザ光源501R、501G、及び501Bと、コリメートレンズ502、503、及び504と、ダイクロイックミラー505、及び506とを、光学ハウジングによってユニット化したものである。光源ユニット530において、レーザ光源501R、501G、及び501Bからの三色のレーザ光は、ダイクロイックミラー505及び506で合成される。光源ユニット530からは、合成された平行光が発せられる。
【0150】
光源ユニット530からの光は、光量調整部507により光量調整された後、可動装置13に入射する。可動装置13は、制御装置11からの信号に基づき、反射面14をXY方向に可動し、光源ユニット530からの光を二次元走査する。この可動装置13の駆動制御は、レーザ光源501R、501G、501Bの発光タイミングに同期して行われ、走査光によりカラー画像が形成される。
【0151】
可動装置13による走査光は、導光板61に入射する。導光板61は、走査光を内壁面で反射させながらハーフミラー62に導光する。導光板61は、走査光の波長に対して透過性を有する樹脂等により形成されている。
【0152】
ハーフミラー62は、導光板61からの光をHMD60の背面側に反射し、HMD60の装着者63の眼の方向に出射する。ハーフミラー62は、例えば、自由曲面形状を有している。走査光による画像は、ハーフミラー62での反射により、装着者63の網膜に結像する。或いは、ハーフミラー62での反射と眼球における水晶体のレンズ効果とにより、装着者63の網膜に結像する。またハーフミラー62での反射により、画像は空間歪が補正される。装着者63は、XY方向に走査される光で形成される画像を、観察することができる。
【0153】
62はハーフミラーであるため、装着者63には、外界からの光による像と走査光による画像が重畳して観察される。ハーフミラー62に代えてミラーを設けることで、外界からの光をなくし、走査光による画像のみを観察できる構成としてもよい。
【0154】
本実施形態に係る可動装置をヘッドマウントディスプレイに用いることにより、可動部の安定した回動動作及び安定した光偏向が可能となり、高画質での画像形成を行うことができる。
【0155】
[パッケージング]
次に、実施形態の可動装置のパッケージングについて図38を用いて説明する。
【0156】
図38は、パッケージングされた可動装置の一例の概略図である。
【0157】
図38に示すように、可動装置13は、パッケージ部801の内側に配置される取付部802に取り付けられ、パッケージ部801の一部を透過部803で覆われて、密閉されることでパッケージングされる。さらに、パッケージ内は窒素等の不活性ガスが密封されている。これにより、可動装置13の酸化による劣化が抑制され、さらに温度等の環境の変化に対する耐久性が向上する。
【0158】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0159】
10 光走査システム
11 制御装置
12、12b 光源装置
13 可動装置
14 反射面
15 被走査面
25 光源装置ドライバ
26 可動装置ドライバ
30 制御部
31 駆動信号出力部
50 レーザヘッドランプ
51 ミラー
52 透明板
60 ヘッドマウントディスプレイ
60a フロント
60b テンプル
61 導光板
62 ハーフミラー
63 装着者
101 実装基板
102 貫通穴
103a、103b 固定部
104 可動部チップ
110a、110b 駆動梁(1対の駆動梁の一例)
111a、111b トーションバー
112a、112b、113a、113b 圧電駆動部
120 可動部
140 支持部
150 電極接続部
161 シリコン支持層
162 酸化シリコン層
163 シリコン層
261 下部電極
262 圧電部
263 上部電極
400 自動車(車両の一例)
500 ヘッドアップディスプレイ装置(画像投影装置の一例)
650 レーザプリンタ
700 ライダ装置(距離測定装置の一例)
701 自動車(車両の一例)
702 被対象物
801 パッケージ部
802 取付部
803 透過部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】
【文献】特許3552601号公報
図1
図2
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図5
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