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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】被覆機構および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231205BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231205BHJP
   G03G 21/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G03G21/16 161
G03G21/16 176
G03G21/16 190
G03G15/08 348Z
G03G21/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020001491
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110799
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 直樹
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3125105(JP,U)
【文献】特開平09-302311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 21/00
G03G 21/04
G03G 21/10 - 21/12
F16J 15/16 - 15/32
F16J 15/324- 15/3296
F16J 15/46 - 15/53
F16J 15/00
C09J 1/00 - 5/10
C09J 9/00 -201/10
B65C 1/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆対象を有する被圧接面と、
前記被圧接面と対向し、前記被覆対象を被覆する蓋状部を有する被覆部材と、
前記被覆部材を押圧する押圧部材と、
前記被覆部材及び前記押圧部材を収容する空間を画成する側壁と、を備え、
前記側壁は、前記被圧接面に対し略鉛直方向に配設され、前記被覆部材を支持する第一の側壁と、前記第一の側壁と対向し前記押圧部材を支持する第二の側壁と、を有し、
前記第一の側壁は、前記被圧接面の法線方向の平面視で前記被覆対象に重なるように突出した突出部を有し、
前記第二の側壁は、前記押圧部材と係合する係合支持部を有し、
前記係合支持部により係合固定された前記押圧部材が前記被覆部材を押圧し、押圧された前記被覆部材の前記蓋状部が前記被圧接面と前記突出部との間に嵌入するとともに前記被圧接面と圧接することを特徴とする被覆機構。
【請求項2】
前記被覆部材の前記蓋状部は、少なくとも前記被圧接面との当接部位に弾性部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の被覆機構。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記第一の側壁と直交する側面に前記蓋状部から鉛直方向に延在する傾斜面を有し、
前記傾斜面の前記被圧接面側端部または前記蓋状部の側面において前記押圧部材と当接して押圧されることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆機構。
【請求項4】
前記押圧部材は水平方向の断面が凹形状であり、
前記被覆部材は、前記押圧部材の凹形状の凹部に嵌合して移動を案内するガイド部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被覆機構。
【請求項5】
前記被覆部材の前記蓋状部は、前記第一の側壁側の面に弾性部材を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の被覆機構。
【請求項6】
前記被覆部材の前記蓋状部は、前記被圧接面との当接部位及び前記第一の側壁側の面に一体に形成された弾性部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の被覆機構。
【請求項7】
前記弾性部材がスポンジ材料からなることを特徴とする請求項2、5または6に記載の被覆機構。
【請求項8】
前記被圧接面の前記被覆対象が開口部であり、
前記開口部は、前記被覆部材及び前記押圧部材により被覆されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の被覆機構。
【請求項9】
被圧接面と押圧方向に隙間をあけて対抗する突出部と、
前記被圧接面と前記突出部との間に弾性部材を介して設けられ、前記弾性部材の弾性力にて被圧接面を押圧する蓋状部を有する被覆部材と、
前記突出部とは押圧方向と直交する方向に離間して位置する係合支持部と、
前記係合支持部から押圧方向成分を含む反力を受ける押圧部材と、
前記押圧部材に対して押圧方向と直交する方向の成分を含んだ反力を与える側壁と、を有し、
押圧方向成分を含む反力は前記被覆部材が前記押圧部材を押圧する力に対する反力を含むことを特徴とする被覆機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の被覆機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記被圧接面の前記被覆対象が、トナーを収容する部材の内部空間と連通し、トナーを通過させる開口部であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆機構および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真式の画像形成装置では、像担持体としての感光体の表面に静電潜像を形成する。現像装置から供給されるトナーをこの静電潜像に付着させることにより感光体上にトナー像を形成する。次いで、転写装置によりこのトナー像を記録媒体に転写した後で、定着装置により加熱、加圧することにより定着して機外に排出する。一方、記録媒体にトナーを転写した後の感光体の表面には未転写トナーなどの異物が残留しているため、クリーニング装置等によって異物を除去して次の画像形成工程に備える。
このようなトナーを用いる画像形成装置では、補給用のトナーを現像剤搬送経路で現像装置に搬送し、廃棄する廃トナーを廃トナー搬送経路で廃トナーを収容する廃トナー容器へ搬送している。
【0003】
現像装置や廃トナー容器には、搬送経路と連通して供給口や回収口となる開口部が形成されている。開口部の周部には開口部を塞ぐシール部材や、開口部の内周面や該開口部に挿入される管材の外周面に環状のシール部材等が設けられている。
【0004】
近年、画像形成装置においては、プリンタ、複写機の高画質化に伴い、小粒径トナーあるいは重合トナーの搭載が要望されているので、トナーがより飛散し易い状況となっている。また、近年の画像形成装置は、パーソナル化が進み、メンテナンスフリー化やメンテナンスを容易にするために作像系をユニット化した所謂プロセスカートリッジを備えたものが主流となっている。このため、補給用のトナー収容器や廃トナー容器等もユーザー自身が交換する形態が多く、トナー飛散が発生することでユニット交換時にユーザーの手などをトナーで汚すことになるため、確実に防止することが求められる。
【0005】
これに対し、特許文献1では、廃トナーが搬送される搬送経路が接続される現像剤容器のシール構造において、現像剤容器に形成されていて搬送経路が接続される開口部に、この開口部を開閉するように形成され搬送経路を開口部内に挿入/離脱可能とする第1のシール部材と、搬送経路の外形に密着するように形成されて第1のシール部材と重ねて配置された第2のシール部材とで構成されたシール部を設けた構成が提案されている。このように、異なる方式で構成されたシール部を設けることで、トナーの飛散や漏れを防止することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された開口部の被覆態様以外に、例えば、蓋状の部材等を開口部が形成された面に圧接させ、開口部を被覆する構成がある。
開口部を蓋状の部材で被覆する構成において、開口部の法線方向からの平面視で該開口部と重なるように取付けられた部品や突出した構造が存在する場合等、これらが障害となって開口部を被覆するのが困難な場合がある。
例えば、開口部全体を被覆可能な形状の蓋状部材では、突出した部品や構造が障害となって組付け作業が非常に困難になる場合や組付けできない場合があり、組付け可能な形状の蓋状部材では、開口部全体を被覆できない場合がある。
【0007】
そこで本発明は、被覆対象を有する面に対し被覆部材を圧接させて被覆する構成において、法線方向の平面視で被覆対象に重なる構造を有する場合であっても、被覆対象全体を被覆可能な被覆機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の被覆機構は、被覆対象を有する被圧接面と、前記被圧接面と対向し、前記被覆対象を被覆する蓋状部を有する被覆部材と、前記被覆部材を押圧する押圧部材と、前記被覆部材及び前記押圧部材を収容する空間を画成する側壁と、を備え、前記側壁は、前記被圧接面に対し略鉛直方向に配設され、前記被覆部材を支持する第一の側壁と、前記第一の側壁と対向し前記押圧部材を支持する第二の側壁と、を有し、前記第一の側壁は、前記被圧接面の法線方向の平面視で前記被覆対象に重なるように突出した突出部を有し、前記第二の側壁は、前記押圧部材と係合する係合支持部を有し、前記係合支持部により係合固定された前記押圧部材が前記被覆部材を押圧し、押圧された前記被覆部材の前記蓋状部が前記被圧接面と前記突出部との間に嵌入するとともに前記被圧接面と圧接することを特徴とする。
また、本発明の被覆機構は、被圧接面と押圧方向に隙間をあけて対抗する突出部と、前記被圧接面と前記突出部との間に弾性部材を介して設けられ、前記弾性部材の弾性力にて被圧接面を押圧する蓋状部を有する被覆部材と、前記突出部とは押圧方向と直交する方向に離間して位置する係合支持部と、前記係合支持部から押圧方向成分を含む反力を受ける押圧部材と、前記押圧部材に対して押圧方向と直交する方向の成分を含んだ反力を与える側壁と、を有し、押圧方向成分を含む反力は前記被覆部材が前記押圧部材を押圧する力に対する反力を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被覆対象を有する面に対し被覆部材を圧接させて被覆する構成において、法線方向の平面視で被覆対象に重なる構造を有する場合であっても、被覆対象全体を被覆可能な被覆機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る被覆機構を構成する押圧部材(A)及び被覆部材(B)及び(C)の斜視図である。
図2】本実施形態に係る被覆機構を説明する上面図(A)、側面図(B)及び(C)である。
図3】本実施形態に係る被覆機構における押圧部材と被覆部材の動きを示す説明図である。
図4】本実施形態に係る被覆機構における押圧部材と被覆部材の動きを示す説明図である。
図5】本実施形態に係る被覆機構における押圧部材と被覆部材の動きを示す説明図である。
図6】本実施形態に係る被覆機構における押圧部材と被覆部材の動きを示す説明図である。
図7】本実施形態に係る被覆機構の押圧部材と被覆部材とが嵌合した状態を示す説明図である。
図8】本実施形態に係る被覆機構の押圧部材の他の態様を示す斜視図である。
図9】本実施形態に係る被覆機構の押圧部材の他の態様を示す斜視図である。
図10】本実施形態に係る被覆機構の弾性部材の配置の一例を示す説明図である。
図11】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る被覆機構および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
[被覆機構]
本実施形態に係る被覆機構の構成の一例を図1及び図2に示す。
図1(A)は押圧部材の斜視図であり、図1(B)及び図1(C)は被覆部材の斜視図である。また図2(A)は被覆機構の上面図であり、図2(B)は側面図であり、図2(C)は(B)と直交する方向の側面図である。
本実施形態の被覆機構は、被覆対象51を有する被圧接面50と、被圧接面50と対向し、被覆対象51を被覆する蓋状部33を有する被覆部材30と、被覆部材30を押圧する押圧部材40と、被覆部材30及び押圧部材40を収容する空間を画成する側壁と、を備える。
以下、被圧接面50が管状部材の表面であり、これを被覆する蓋状部33の当接面が管状部材と略同一の曲率の曲面で構成された例について説明するが、被圧接面50と蓋状部33の形状はこれに限定されず、圧接可能な組み合わせであれば適宜選択することができる。
【0013】
側壁は、被圧接面50に対し略鉛直方向に配設され、被覆部材30を支持する第一の側壁61と、第一の側壁61と対向し押圧部材40を支持する第二の側壁62と、を有し、第一の側壁61は、被圧接面50の法線方向の平面視で被覆対象51に重なるように突出した突出部71を有し、第二の側壁62は、押圧部材40と係合する係合支持部72を有する。
【0014】
第一の側壁61の突出部71は、壁面自体が張り出すことにより形成されているものであってもよい。
第二の側壁62の係合支持部72は、押圧部材40の少なくとも一部を係合して押圧部材40を位置決め固定することができ、かつ固定により被覆部材30を付勢可能な位置に設けられたものであればよい。
係合支持部72と係合する押圧部材40の被係合部としては、側面に形成された被係合部43が好ましいが、押圧部材40の天面44等であってもよい。
【0015】
係合支持部72により係合固定された押圧部材40が被覆部材30を押圧(付勢)し、押圧された被覆部材30の蓋状部33が被圧接面50と突出部71との間に嵌入するとともに被圧接面50と圧接する。
【0016】
被覆部材30の蓋状部33は、図1(C)に示すように、少なくとも被圧接面50との当接部位に弾性部材16を備えている。
弾性部材16を備えることにより、押圧されたときに圧縮されて厚みが変化するため、蓋状部33自体の鉛直方向の幅(高さ)17も変化する。
蓋状部33は、弾性部材16が圧縮45された状態で突出部71と被圧接面50との間に嵌入することで、被圧接面50に対して圧接した状態となる。
なお、蓋状部33自体が加圧による圧縮が生じ、厚みが変化する材料からなる場合、或いは被圧接面50側に弾性部材がある場合には、弾性部材16を省略することもできる。但し、図1(C)のように被覆部材側の被圧接面50との当接部位に弾性部材を設けた方が被圧接面50との密着性やセット性の観点で優れている。
【0017】
図1(A)及び図2(A)に示すように、押圧部材40は水平方向の断面が凹形状である。一方、被覆部材30は、押圧部材40の凹形状の凹部45に嵌合して移動を案内するガイド部35を備える。
これにより、押圧部材40の移動方向が規制される。
【0018】
被覆機構を構成する部材の動きを図3図6に示す。
図3(A)に示すように、被覆部材30及び押圧部材40を収容する空間Sは、被圧接面50の法線方向の平面視で被覆対象51に重なる突出部71を有する。
図4(A)に示すように被覆部材30を被圧接面50の法線方向に沿って空間S内に挿入し、図4(B)に示すように、被圧接面50と蓋状部33の内周面とが当接するように配設する。この時点で、被覆対象51は完全に被覆されていない。
【0019】
なお、蓋状部33の幅方向の寸法は、図3(A)中W1で示す空間Sの幅よりも小さく、W2で示す被覆対象51よりも大きい。
また、図3(B)に示す蓋状部33の高さ方向の寸法H1は、図3(A)中H2で示す突出部71との間の空間の高さよりも大きい。
【0020】
次に、図5(A)に示すように押圧部材40を被覆部材30のガイド部35に嵌合させ、法線方向に沿って空間S内に挿入する。図5(B)に示すように、押圧部材40が係合支持部72と係合していない状態では、被覆部材30に対して付勢力が作用しないため、被覆部材30は突出部71が障害となって第一の側壁61の方向への動きが制限されている。
【0021】
次いで、図6(A)及びその部分拡大図の図6(B)に示すように、押圧部材40を矢印14の方向へ移動させ、被係合部43が第二の側壁62の係合支持部72と係合させることにより被覆部材30が付勢される。押圧された被覆部材30の蓋状部33は、弾性部材16が圧縮されて厚みが変化し、被圧接面50と突出部71との間に嵌入可能な厚みとなる。第一の側壁61の方向へシフトして嵌入した蓋状部33は、矢印7で示す方向のモーメントが生じ、押圧部材40は第二の側壁62と係合支持部72に押しつけられる。これにより押圧部材40と被覆部材30は位置決め固定される。蓋状部33は被覆対象51を完全に被覆するともに被圧接面50と圧接した状態で固定される。
【0022】
図7(A)及び(B)は、押圧部材40と被覆部材30とが嵌合した状態を示す説明図である。
被覆部材30は、第一の側壁61と直交する側面に蓋状部33から鉛直方向に延在する傾斜面20aを有する。また、蓋状部33の第二の側壁62と対向する面も傾斜面20bである。
押圧部材40は、傾斜面20aの被圧接面側端部または蓋状部33の側面の傾斜面20bにおいて被覆部材30と当接し、押圧する。図中、当接箇所(最も近接した箇所)を符号21で示している。
一方、傾斜面20aの基部は、第一の側壁61の突出部71との接触点6となる。
【0023】
このような構成により、蓋状部33が鉛直方向下方から受ける弾性部材16の反力で生じる荷重は、押圧方向の被係合部43に伝わる。
また、図6(A)に示すように、蓋状部33には弾性部材16の反力で、接触点6を中心に矢印7で示す方向のモーメントが生じ、これが押圧部材40との接点を通じて押圧部材40に伝わる。これにより押圧部材40は第二の側壁62と係合支持部72に対して付勢される。押圧部材40と被覆部材30との接点8を接触点6よりも被圧接面50側に設けることで、当該モーメントによる被覆部材30の浮きを効果的に防止できる。尚、接触点6の位置がばらつかないように、図7(A)に示すように被覆部材30の蓋状部33の傾斜面20bに対して押圧部材40の傾斜面9を異ならせ、傾斜面9の頂点付近に接点8を設けるようにしても良い。以上の構成により、押圧部材40と被覆部材30とが位置決め固定され、被覆対象51の全体が被覆される。
【0024】
押圧部材40の挿入過程において、挿入方向の後端側が適切な可動域が持てるように、被覆部材30の傾斜面20aとの対向面19を、緩い傾斜面とすることが好ましい(図7(B))。
なお、押圧部材40の可動域が大きくても良い場合は、図7(A)のように対向面19を傾斜の無い面(ストレート面)としてもよい。
【0025】
本実施形態に係る被覆機構の押圧部材40の他の態様を図8及び図9に示す。
図8に示す押圧部材は、天面44に弾性部材23を備えている。この弾性部材23を介して別部材により加圧し、押圧力を生じさせることができる。
弾性部材23は表面の摩擦係数が高い材料を用いることにより、押圧部材40が被覆部材30の方向に倒れるのを防ぐことができ、押圧部材40の位置精度が向上する。
【0026】
図9に示す押圧部材40は、被圧接面50側の端部領域に弾性部材24を備えている。
押圧部材40も被覆対象51の被覆に寄与することができるため、より広い面積を被覆することができる。
【0027】
本実施形態に係る被覆機構の被覆部材30の他の態様を図10に示す。
図10に示す被覆部材30は、蓋状部33が、第一の側壁61側の面にも弾性部材16を備えている。蓋状部33は、被圧接面50との当接部位及び第一の側壁61側の面に弾性部材16を備える態様であり、被圧接面50との当接部位及び第一の側壁61側の面に設けられた弾性部材16は一体に形成された部材とすることができる。このような構成にすることで第一の側壁61側に第二の被圧接面があるような場合でも被覆することが可能となる。
【0028】
被覆部材30に配設される弾性部材16は、弾性を有し、加圧により圧縮されて厚みが変化する部材であれば特に限定されないが、例えば、スポンジ材料が好ましい。
スポンジ材料としては、例えば、発泡ポリウレタン等が挙げられる。
【0029】
被覆対象51としては、例えば、開口部が挙げられる。
被覆対象としての開口部は、上述の構成により被覆部材30の蓋状部33及び押圧部材40により被覆される。
また、被覆対象としての開口部が、法線方向から部品を組み付ける場合に開口部全体を被覆できない構成構造であっても、本実施形態の被覆機構によれば開口部全体を被覆することができる。
【0030】
上述のように、本実施形態に係る被覆機構は、被圧接面50と押圧方向に隙間をあけて対抗する突出部71と、被圧接面50と突出部71との間に弾性部材16を介して設けられ、弾性部材16の弾性力にて被圧接面50を押圧する蓋状部33を有する被覆部材30と、突出部71とは押圧方向と直交する方向に離間して位置する係合支持部72と、係合支持部72から押圧方向成分を含む反力を受ける押圧部材40と、押圧部材40に対して押圧方向と直交する方向の成分を含んだ反力を与える側壁(第二の側壁)62と、を有し、押圧方向成分を含む反力は被覆部材30が押圧部材40を押圧する力に対する反力を含む。
このような構成により、被覆対象51を有する面に対し被覆部材30を圧接させて被覆する構成において、法線方向の平面視で被覆対象51に重なる構造(突出部71)を有する場合であっても、被覆対象51の全体を被覆することができる。
【0031】
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置は、上述の本発明に係る被覆機構を備える。
被覆機構の配置場所には制限は無いが、被覆対象としては、例えば、トナーを収容する部材の内部空間と連通し、トナーを通過させる開口部が挙げられる。
このような開口部としては、例えば、トナー搬送中継装置との連通部、ユニット(クリーニング装置、現像装置、廃トナー容器、新規トナーカートリッジ)との連通部、現像装置と新規トナーカートリッジとの間の連通部等に設けられたもの挙げられる。
【0032】
本実施形態の被覆機構が開口部を被覆することにより、開口部からのトナーの漏出を防止することができる。
なお、被覆機構が漏出を防止する対象はトナーに限定されず、また粉体の他に粒状体等が挙げられる。
また、本発明に係る被覆機構を適用する画像形成装置(プリンタ、複写機、印刷機、その他)は、電子写真プロセスを利用したもの以外にも、粉体、粒体を搬送する機構を備えた機器一般を含む。
【0033】
本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタを図11に示す。
図11に示す画像形成装置は、装置本体101の下部に記録材としての用紙129が収納される給紙部102が配設され、その上方に画像形成部103を配置した構成となっている。画像形成部103には、像担持体としての感光体ドラム110(110Y、110C、110M、110K)を備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット108(108Y、108C、108M、108K)を備えた作像部80と、複数のローラ104、105、106と、これらローラに巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された中間転写体としての中間転写ベルト107aとを有する中間転写ユニット107と、各像担持体に光書込みを行う光書込み部としての光書き込みユニット115と、用紙129にトナー像を定着する定着手段122とが設けられている。
【0034】
作像ユニット108と中間転写ユニット107は、装置本体101に対して着脱自在とされている。給紙部102から定着手段111までの間には、画像形成部103で画像を形成された用紙129を搬送する搬送経路Rが形成されている。用紙129に対する転写部(二次転写部)を構成するローラ106は搬送経路Rに臨んで配置されている。搬送経路Rの端部は、装置本体101の上部に形成された積載部としての排紙トレイ125に向かって開放されている。この端部には、搬送されてくる用紙129を排紙トレイ125に向かって排出する排出装置130が設けられている。
【0035】
中間転写ベルト107aのローラ104とローラ105間は、このベルトの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト107aには、ローラ106と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ120が搬送経路Rに臨むように配設されている。ローラ104と対向する部位には、中間転写ベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置121が配設されている。ベルトクリーニング装置121は、中間転写ベルト表面に接触してベルト表面の残留トナーを取り除くクリーニングローラと、クリーニングローラで取り除かれたトナーを廃トナーとして現像剤容器となる廃トナー回収容器へと搬送する搬送経路を構成するトナー移送パイプと、トナー移送パイプに設けられていて、廃トナーを搬送する搬送スクリューとを備えている。
【0036】
作像ユニット108は、それぞれ感光体ドラム110、これに作用するプロセス手段として、各感光体ドラムを帯電する帯電装置、各感光体ドラム表面に残留した現像剤である未転写トナーなどの廃トナーを除去するクリーニング手段、各感光体ドラムに形成された潜像を現像する現像装置が一体的に構成されてプロセスカートリッジとしてそれぞれ構成されている。
【0037】
中間転写ユニット107は、中間転写ベルト107a、この転写ベルト107aを回転可能に支持する複数のローラ104、105、106、各感光体ドラムに形成されたトナー像を中間転写ベルト107に転写する一次転写ローラを備えている。
【0038】
光書き込みユニット115は、光変調されたレーザ光Lを各感光体ドラムの表面に照射して、感光体表面に色毎の潜像を形成するものであり、本形態では、作像部80の下方に配置されている。
【0039】
この画像形成装置では、画像形成動作が開始されると、各作像ユニットの感光体ドラム110が図示しない駆動装置によって時計方向に回転駆動され、各感光体ドラムの表面が帯電装置によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラムの表面には、光書き込みユニット115からレーザ光Lがそれぞれ照射されて、それぞれの表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラムに露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像は、感光体ドラム110と現像装置の間を通るとき、各現像装置から供給されるトナーによってトナー像として可視像化される。
【0040】
中間転写ベルト107aが巻きかけられた複数のローラ104、105、106のうち、1つのローラが図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、これにより中間転写ベルト107aが矢印で示す反時計周り方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト107aには、イエローのトナーを有する現像装置12を具備する作像ユニット108Yで形成されたイエロートナー像が転写ローラ114によって転写される。その転写されたイエロートナー像には、作像ユニット108C,108M及び108BKで形成されたシアントナー像、さらにマゼンタトナー像及びブラックトナー像が転写ローラ114によって順次重ね転写され、かくして中問転写ベルト7aはその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0041】
トナー像が転写された後の各感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置13によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0042】
給紙部102から給紙される用紙129は、搬送経路Rに送り込まれ、2次転写ローラ120よりも給紙側に配設されたレジストローラ対124によって給紙タイミングを計られて、ローラ106と2次転写ローラ120とが対向する2次転写部に給送される。
このとき2次転写ローラ120には、中問転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト107aの表面のトナー像が用紙129上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙129は、定着手段122へと搬送され、定着手段122を通過する際に熱と圧が加えられてトナー像が溶融されて定着される。トナー像が定着された用紙129は、搬送経路Rの端部に配設された排出装置130へと搬送され、排紙トレイ125へと排出される。トナー像を用紙129に転写後の中間転写ベルト107aは、このベルトに残留したトナーがベルトクリーニング装置121より除去される。
【0043】
クリーニング装置13の廃トナーは、搬送スクリューが回転されることでトナー移送パイプの内部を通って廃トナー回収容器へと搬送されて回収される。ベルトクリーニング装置121の廃トナーは、搬送スクリューが回転されることで、トナー移送パイプの内部を通って廃トナー回収容器と搬送されて回収される。
【0044】
以上の説明は、用紙129上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、この画像形成装置は、作像部80の作像ユニットの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、本実施形態の画像形成装置を用いてモノクロ印刷をする場合には、作像ユニット108Kの感光体ドラム110K上にのみ静電潜像を形成し、同ユニットによって現像して用紙129に転写し、定着手段122で定着すればよい。
【符号の説明】
【0045】
16 弾性部材
30 被覆部材
33 蓋状部
35 ガイド部
40 押圧部材
43 被係合部
44 天面
45 凹部
50 被圧接面
51 被覆対象
61 第一の側壁
62 第二の側壁
71 突出部
72 係合支持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【文献】特開2006-145873号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11