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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】インクセット、印刷装置、及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/40 20140101AFI20231205BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20231205BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20231205BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231205BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C09D11/40
C09D11/322
C09D11/38
B41J2/01 501
B41J2/01 123
B41M5/00 120
B41M5/00 100
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020012728
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2020125469
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019016725
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】志村 直人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 裕美
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】坂内 昭子
(72)【発明者】
【氏名】田中 彩加
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】堀江 舜介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】増田 公則
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051981(JP,A)
【文献】特開2017-105193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-11/40
B41J 2/01ー2/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを含むインクセットであって、
前記シアン顔料の含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下であり、
前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下であることを特徴とするインクセット。
【請求項2】
前記ブラック顔料の含有量及び前記マゼンタ顔料の含有量が、いずれも2.0質量%以上4.0質量%以下である請求項1に記載のインクセット。
【請求項3】
前記インクセットの各インクが、水、有機溶剤、界面活性剤、及び樹脂を含有する請求項1からのいずれかに記載のインクセット。
【請求項4】
前記界面活性剤がシロキサン化合物を含む請求項に記載のインクセット。
【請求項5】
前記樹脂がウレタン樹脂を含む請求項からのいずれかに記載のインクセット。
【請求項6】
樹脂粒子と水とを含むクリアインクを更に有するインクセットであって、
前記樹脂粒子の体積平均粒径が50nm以下であり、
前記クリアインクの乾燥膜は、50℃以上、及び0℃未満にガラス転移点(Tg)を有する請求項1からのいずれかに記載のインクセット。
【請求項7】
前記クリアインク中に含まれる樹脂粒子が、樹脂粒子Aと、樹脂粒子Bとを含み、
前記樹脂粒子Aのガラス転移点(TgA)が50℃以上であり、前記樹脂粒子Bのガラス転移点(TgB)が0℃未満である請求項に記載のインクセット。
【請求項8】
前記樹脂粒子Aの質量MAと、前記樹脂粒子Bの質量MBとの質量比(MA:MB)が、98:2~80:20である請求項に記載のインクセット。
【請求項9】
前記クリアインク中に含まれる樹脂粒子の合計含有量が、10質量%以上である請求項からのいずれかに記載のインクセット。
【請求項10】
前記樹脂粒子Aがウレタン樹脂である請求項からのいずれかに記載のインクセット。
【請求項11】
非吸収性又は低吸収性記録媒体に対して用いられる請求項1から10のいずれかに記載のインクセット。
【請求項12】
インクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置に用いられるインクセットであって、
シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを有し、
前記シアン顔料の含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下であり、
前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下であることを特徴とするインクセット。
【請求項13】
ブラック顔料を含有するインク、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク及びイエロー顔料を含有するインクの少なくとも1種類のインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置であって、
前記インクが、請求項1から12のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであることを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
前記吐出手段がインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を8以上有する請求項13に記載の印刷装置。
【請求項15】
ブラック顔料を含有するインク、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク及びイエロー顔料を含有するインクの少なくとも1種類のインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置を用いる印刷方法であって、
前記インクが、請求項1から12のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであることを特徴とする印刷方法。
【請求項16】
色材を含むインクを付与する工程と、クリアインクを付与する工程とを有する印刷方法であって、
前記色材を含むインクが請求項1から及び11から12のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであり、
前記クリアインクが請求項から11のいずれかに記載のインクセットにおけるクリアインクであること
を特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクセット、印刷装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べて、プロセスが簡単で、フルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても、高解像度の画像が得られることから、パーソナル、オフィス用途から、産業用印刷の分野へと広がりつつある。
【0003】
産業用印刷の分野においては、高い生産性が必要となる。屋内外で掲示される広告などのサイングラフィック分野においては、広幅のインクジェット印刷装置が上市されているが、生産性の向上に対して高い要求がある。広幅のインクジェット印刷装置においては、ヘッドがメディア幅方向(主走査方向)に走査し、メディアがヘッド走査方向に対して垂直(副走査方向)に搬送されるマルチパス方式が一般的である。このようなマルチパス方式において生産性を向上させるには、一度のパスでの印字面積を増やすため、インクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列した複数のノズル列を備えたヘッドを用いることが有効であるが、インク滴の着弾ずれが発生しやすくなるという副作用があり、生産性と画質との両立が課題となる。
【0004】
このため、例えば、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクのインクセットを用い、ヘッドの往復でのインク滴の着弾ずれによる光沢ムラの発生防止を課題としており、ヘッドのノズル列に含まれるノズル孔から吐出するインクの種類を調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、シアンインキ、マゼンタインキ、及びイエローインキ中の顔料の含有量がそれぞれ1.5~6重量%であり、その顔料含有比がシアン:マゼンタ:イエロー=1:1~2:1~3である水性インクジェット用インキセットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、色ムラの発生を抑制できるインクセットを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクセットは、シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを含むインクセットであって、
前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、色ムラの発生を抑制できるインクセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、記録装置の構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、記録ヘッドのノズル構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(インクセット)
本発明のインクセットは、シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを含むインクセットであって、前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下であり、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0010】
特許文献1に記載の従来技術では、複数のノズル列を配列したヘッドを有する広幅の印刷装置に用いた場合に、インク滴の着弾ずれの発生を防止できないという課題がある。
特許文献2に記載の従来技術は、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシート等の吸水性の低い基材への印刷適性に優れ、高い耐候性と色域を有する印刷物を得ることを課題としており、色ムラの発生を抑制できることを課題としていない。また、特許文献2では、インキセットにおけるシアンインキ中のシアン顔料の含有量が1.5質量%以上と多く含まれているので、非浸透性記録媒体に対する色ムラの発生を抑制できないという問題がある。
【0011】
シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを含むインクセットであって、前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下である本発明のインクセットを用いることにより、色ムラの発生を抑制できることを見出した。
【0012】
色ムラは特にシアン色で認識しやすいため、シアン顔料を含有するインクの1ドットの濃度を低くすることで色ムラの抑制効果が高い。また、インク塗膜の堅牢性を両立するためにインク中の顔料含有量/樹脂含有量の比(P/R)を下げる(樹脂含有量を増やす)ことで、制御できることを見出した。
更に、上記の効果を得るためには、シアン顔料の含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下であり、ブラック顔料の含有量及びマゼンタ顔料の含有量が2質量%以上4質量%以下であることが好ましい。
インクセットの各インクは、水、有機溶剤、界面活性剤、及び樹脂を含有することが好ましい。
インク中に界面活性剤を含むことで、非浸透性記録媒体への濡れ性を向上し、樹脂を含むことで画像堅牢性を両立することができる。
インクジェットに用いるインクとしては、水、有機溶剤を含む水系インク、液体成分として主に有機溶剤を含む溶剤インクがある。
本発明の効果を得るためには、水系インクであり、更にウレタン樹脂及び界面活性剤としてシロキサン化合物を含有することが好ましい。
ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の非浸透性記録媒体に対しては顔料が定着しづらいだけでなく、色間の付着量が異なる際に画像表面に微細な凹凸が生じ、色ムラが生じる要因となる。インク中にウレタン樹脂を含むことで、非浸透性記録媒体への定着性の向上と、画像表面の均一性の向上とを両立させることができる。
【0013】
本発明のインクセットは、インクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた広幅の印刷装置に好ましく用いられ、ノズル列を8以上有する吐出手段を備えた広幅の印刷装置に用いることがより好ましい。これにより、高速印刷が可能となり、生産性が大幅に向上する。
【0014】
インクセットにおける各インクを分析して、各インクに含まれる顔料の含有量を測定する方法としては、インクを遠心分離法により上澄み液と沈降物に分離させた後、沈殿物を採取し、有機溶剤を用いた洗浄、ろ過を繰り返して顔料を採取する。採取した顔料を秤量して含有量を得ることができる。また、GC-MS分析にかけデータ解析を行うことで、顔料の構造を確認することができる。
[遠心分離]
・装置:日立工機株式会社製himac CS150GX
・回転速度:150,000rpm
・回転時間:1hour
[GC-MS]
・装置:株式会社島津製作所製QP5000
・カラム:Ultra ALLOY-5L=30m、ID=0.25mm Film=0.25μm
・カラム昇温:50℃~330℃
・カラム流量:1.0ml/min
・Split:1:100
・イオン化法:EI法(70eV)
・測定質量範囲:m/z33~600
・データ解析、解析ソフト:株式会社島津製作所製GCMSsolution
【0015】
本発明のインクセットを構成するブラック顔料を含有するインク、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインクについて説明する。以下、これらのインクをまとめて単に「インク」と称することもある。
例えば、シアン顔料を含有するインクには、シアンインク、ライトシアンインクが含まれ、シアン顔料を含有するインクで、シアン顔料の濃度を変更したインクが含まれる。
【0016】
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
【0017】
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0018】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。
炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0019】
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0020】
<顔料>
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については、特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
【0023】
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、非浸透性記録媒体への密着性の観点から、ウレタン樹脂が特に好ましい。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、及び高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インクの全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0024】
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上1,000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0025】
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
【0026】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
【0027】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
【0028】
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0029】
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0030】
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0031】
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0032】
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0033】
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0034】
<クリアインク>
本発明のインクセットは、樹脂粒子と水とを含むクリアインクを更に有することが好ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径は50nm以下であり、前記クリアインクの乾燥膜は、50℃以上、及び0℃未満にガラス転移点(Tg)を有する。
【0035】
カラーインク層の上にクリアインク層を形成することで、カラーインクを保護し、耐擦過性を向上することができる。特に本発明におけるクリアインクは耐擦過性が強い塗膜を形成することができる。
【0036】
クリアインクとは、色材を実質的に含まない無色透明のインクを意味し、クリアインク全体に対する色材の含有量が0.1質量%以下である。
水系クリアインクとは、溶媒として水を含むクリアインクを意味し、必要に応じて有機溶剤を含んでいてもよい。
前記クリアインクは、樹脂粒子と、水とを少なくとも含有し、界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0037】
<樹脂粒子>
クリアインク中に含まれる樹脂粒子の樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル-スチレン樹脂、アクリル-シリコーン樹脂などが挙げられる。
インクを製造する際には、これらの樹脂からなる樹脂粒子として添加する。前記樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルジョンの状態で、インクに添加してもよい。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらの樹脂粒子は、単独で用いてもよいし、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、50nm以下であり、10nm以上40nm以下が好ましい。前記樹脂粒子の体積平均粒径が50nm以下であると、均一なクリアインク塗膜を形成することができる。なお、樹脂粒子の体積平均粒径の下限値としては、5nm程度である。
前記樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(Nanotrac WaveII、マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定することができる。
【0039】
前記クリアインクの乾燥膜は、50℃以上、及び0℃未満にガラス転移点(Tg)を有し、50℃以上100℃未満、及び-50℃以上0℃未満にTgを有することが好ましい。前記クリアインクの乾燥膜が50℃以上、及び0℃未満にTgを有すると、クリアインク塗膜の耐擦過性がより向上する。
【0040】
前記樹脂粒子は、樹脂粒子Aと、樹脂粒子Bとの、少なくとも2種類の樹脂粒子を含み、該樹脂粒子Aのガラス転移点(TgA)が50℃以上、該樹脂粒子Bのガラス転移点(TgB)が0℃未満であることが好ましく、TgAが50℃以上100℃未満、TgBが-50℃以上0℃未満であることがより好ましい。TgAが50℃以上の樹脂粒子Aを含むことにより、クリアインク塗膜が強靭になり、耐擦過性が向上する。更に、TgBが0℃未満の樹脂粒子Bを含むことにより、クリアインクと下地との密着性が向上し、その結果、クリアインク塗膜の耐擦過性が向上する。
【0041】
耐擦過性と密着性との両立性から、樹脂粒子Aの質量MAと、樹脂粒子Bの質量MBとの質量比MA:MBは、98:2~80:20であることがこのましい。Tgが50℃以上の樹脂粒子Aを多く含むことが好ましい。また、更に好ましくは、樹脂粒子Aはポリウレタン樹脂粒子である。
前記クリアインクの乾燥膜、及び樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、例えば、示差走査熱量計(TA-60WS及びDSC-60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0042】
-ポリウレタン樹脂-
ポリウレタン樹脂を添加することにより、クリアインクを用いてインク膜を形成した際に、塗膜自体が強靭になる。それにより、塗膜の内部で破断して、塗膜の一部が剥がれたり、塗膜の表面状態が変化して、摩擦部の色味が変化することを抑制しやすくなる点から好ましい。
【0043】
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0044】
前記ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0045】
-ポリオール-
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
-ポリエーテルポリオール-
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
【0047】
前記活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非常に優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
-ポリカーボネートポリオール-
前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、4,4’-ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
-ポリエステルポリオール-
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
-ポリイソシアネート-
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐候性の点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
【0056】
更に、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することにより、目的とする塗膜強度、及び耐擦過性を得やすくなる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
【0057】
[ポリウレタン樹脂の製造方法]
ポリウレタン樹脂は、特に制限はなく、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
【0058】
前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
【0059】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、インクの保存安定性が低下しない範囲内であれば、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0061】
前記ポリウレタン樹脂としては、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、及び画像の耐擦過性の点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂である場合、屋外用途のような過酷な環境において使用される記録物に適したインクが得られる。
【0062】
前記ポリウレタン樹脂としては、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ユーコートUX-485(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)、ユーコートUWS-145(ポリエステル系ポリウレタン樹脂)、パーマリンUA-368T(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)、パーマリンUA-200(ポリエーテル系ポリウレタン樹脂)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記クリアインク中に含まれる樹脂粒子の合計含有量は、10質量%以上が好ましく、優れた耐擦過性、インクの吐出安定性の点から10質量%以上25質量%以下がより好ましい。樹脂粒子の合計含有量が10質量%以上であると、耐擦過性がより向上する。
【0064】
<水>
クリアインクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前述したカラーインクの場合と同様である。
【0065】
<界面活性剤>
クリアインクは、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤をインクに添加することで、表面張力が低下し、紙等の記録媒体にインク滴が着弾した後の記録媒体中への浸透が速くなるため、フェザリングやカラーブリードを軽減することができる。
界面活性剤は、親水基の極性によりノニオン性、アニオン性、両性に分類される。
また、疎水基の構造により、フッ素系、シリコーン系、アセチレン系等に分類される。
本発明のクリアインクにおいては、主にフッ素系界面活性剤を用いるが、シリコーン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤を併用してもよい。
【0066】
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。それぞれの例は前述したカラーインクの場合と同様である。
【0067】
<有機溶剤>
クリアインクは有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性有機溶剤などが挙げられる。水溶性有機溶剤の例は前述したカラーインクの場合と同様である。
【0068】
クリアインク中における有機溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0069】
クリアインクは、その他の成分として、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などを必要に応じて含有することができる。これらの例は前述したカラーインクの場合と同様である。
【0070】
クリアインクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。これらの適正範囲は前述したカラーインクの場合と同様である。
【0071】
<記録媒体>
記録媒体としては、特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
【0072】
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
【0073】
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクセットを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
【0074】
<記録装置>
図1は、インクジェット記録装置1の構成を示す模式図である。印刷装置であるインクジェット記録装置1は、シリアル型のインクジェット記録装置である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、所要の画像を印字する画像形成部2と、乾燥装置3と、ロールメディア収納部4と、搬送機構5と、を備えている。ロールメディア収納部4は、ロールメディア(記録用メディア)40を収納する。なお、ロールメディア収納部4は、幅方向のサイズが異なる記録用メディア40を収納可能である。記録用メディア40は、PVC(塩化ビニル)やPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の非浸透性メディア、布や合成紙等の浸透性メディアでもよい。
【0075】
搬送機構5は、ロール・ツー・ロール方式の搬送手段を構成する。搬送機構5は、一対のニップローラ51と、一対の従動ローラ52と、巻き取りローラ53とを記録用メディア40の搬送経路54上に備えている。ニップローラ51は、画像形成部2の手前側(搬送方向Aの上流側)に設けられている。ニップローラ51は、モータの駆動に伴って回転することで挟み込んだ記録用メディア40を画像形成部2に向けて搬送する。また、巻き取りローラ53は、モータMの駆動に伴って回転することにより印字後の記録用メディア40を巻き取る。従動ローラ52は、記録用メディア40の搬送に従動して回転する。
【0076】
搬送機構5は、搬送速度を検出するためのホイールエンコーダを備えている。搬送機構5は、目標値とホイールエンコーダ55からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づくモータの制御により、搬送速度を制御される。
【0077】
即ち、ロールメディア収納部4に収納された記録用メディア40は、従動ローラ52を介して、ニップローラ51の回転によって画像形成部2へと搬送される。画像形成部2に到達した記録用メディア40は、画像形成部2によって所要の画像を印字される。そして、印字後の記録用メディア40は、巻き取りローラ53の回転により巻き取られることになる。
【0078】
画像形成部2は、キャリッジ21を備えている。キャリッジ21は、ガイドロッド(ガイドレール)22によって摺動可能に保持されている。キャリッジ21は、モータMの駆動に伴って記録用メディア40の搬送方向Aと直交する方向(主走査方向)にガイドロッド(ガイドレール)22上を移動する。より詳細には、キャリッジ21は、主走査方向の移動可能領域である主走査領域のうち、搬送機構5により搬送される記録用メディア40に対して画像形成部2により印字可能な記録領域内を往復移動する。
【0079】
キャリッジ21は、液滴を吐出する吐出口であるノズル孔を複数配列した記録ヘッド20を搭載している。なお、記録ヘッド20は、記録ヘッド20にインクを供給するタンクを一体的に備えている。ただし、記録ヘッド20は、タンクを一体的に備えているものに限るものではなく、タンクを別体で備えるものであってもよい。記録ヘッド20は、液体吐出ユニットとして機能するものであって、プロセスカラーの記録液であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する。ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)は、画像形成用のインクである。
【0080】
画像形成部2は、記録ヘッド20における印字の際に、記録ヘッド20の下方で記録用メディア40を支持するプラテン23を備えている。
【0081】
また、画像形成部2は、キャリッジ21の主走査方向に沿ってキャリッジ21の主走査位置を検知するためのエンコーダシートを備えている。また、キャリッジ21は、エンコーダを備えている。画像形成部2は、キャリッジ21のエンコーダによってエンコーダシートを読み取ることにより、キャリッジ21の主走査位置を検知する。
【0082】
キャリッジ21は、キャリッジ21の移動に従って記録用メディア40の端部を光学的に検知するセンサ24を備えている。このセンサ24による検知信号は、記録用メディア40の端部の主走査方向の位置と記録用メディア40の幅との算出に用いられる。
【0083】
乾燥装置3は、プリヒータ30と、プラテンヒータ31と、乾燥ヒータ32と、温風ファン33とを備えている。プリヒータ30とプラテンヒータ31と乾燥ヒータ32は、例えばセラミックやニクロム線を用いた電熱ヒータである。
【0084】
プリヒータ30は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの上流に設けられている。プリヒータ30は、搬送機構5により搬送される記録用メディア40を予備的に加熱する。
【0085】
プラテンヒータ31は、プラテン23に配設されている。プラテンヒータ31は、記録ヘッド20のノズル孔から噴射されるインク滴を着弾させる記録用メディア40を加熱する。
【0086】
乾燥ヒータ32は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。乾燥ヒータ32は、画像形成部2により印刷した記録用メディア40を引き続き加熱し、着弾したインク滴の乾燥を促す。
【0087】
温風ファン33は、乾燥ヒータ32(画像形成部2)に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。温風ファン33は、インクが着弾した記録用メディア40の記録面に対して温風を吹き付ける。温風ファン33は、記録用メディア40の記録面のインクに対して直接温風を当てることにより、記録用メディア40の記録面周辺の雰囲気の湿度を下げ、完全に乾燥させる。
【0088】
このような乾燥装置3を搭載することにより、インクジェット記録装置1は、記録用メディア40として、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルムなどのインクがしみこまない非浸透のメディアを採用することができる。
【0089】
なお、キャリッジ21が記録用メディア40の幅に往復移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置1では、キャリッジ動作が往路のときにのみインクを吐出して画像を形成する片方向印字と、キャリッジ動作が往路復路両方でインクを吐出して画像を形成する双方向印字がある。インクジェット記録装置1では、印字速度の点で有利な双方向印字が主に用いられる。なお、ここでは、キャリッジ21が主走査方向に移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出する動作は、1スキャンとする。
【0090】
インクジェット記録装置1の制御構成については、例えば、特開2017-105193号公報の記載を参照することができる。
【0091】
次に、インクジェット記録装置1の液体吐出ヘッド(以下、「記録ヘッド」ともいう)について説明する。
本発明のインクセットは、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク及びイエロー顔料を含有するインクの少なくとも1種のインクを吐出するノズル孔を、主走査方向に直交する副走査方向に3つ以上配列したノズル列を備えた液体吐出ヘッドに好適に用いることができる。
ここで、図2は記録ヘッド20のノズル構成を示す平面図である。図2は、記録ヘッド20のノズル列を上面から透過的に示したものである。図2に示すように、記録ヘッド20は、第1ノズル群20aと、第2ノズル群20bと、第3ノズル群20cとを備えている。
【0092】
図2は、各ノズル群20a、20b、20cは、主走査方向に2列とし副走査方向に千鳥状に交互に配設された例である。即ち、各ノズル群20a、20b、20cは、記録用メディア40の搬送方向Aの上流側から下流側に向かってノズル列が重複しないように、第3ノズル群20c、第2ノズル群20b、第1ノズル群20aの順に配設されている。また、図2に示すように、第2ノズル群20bは、第1ノズル群20a及び第3ノズル群20cとは、主走査方向に位置をずらして配設されている例である。
【0093】
第1ノズル群20a、第2ノズル群20b、第3ノズル群20cは、画像形成用のプロセスカラーの記録液であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)のインク滴を吐出する4列のノズル列を備えている。それぞれのノズル列は、ノズル番号No.1のノズル孔からノズル番号No.192のノズル孔の192個のノズル孔を有している。図2に示す例では、各ノズル孔は、記録用メディア40の搬送方向Aの下流側のノズル孔から上流側のノズル孔に向かって、ノズル番号No.1からノズル番号No.192となっている。なお、これらのノズル孔間のピッチPは、150dpi(dots per inch)とした例である。
【0094】
図2に示すように、第1ノズル群20a、第2ノズル群20b、第3ノズル群20cにはそれぞれ、シアン(C)のインク滴を吐出するシアン顔料を含有するインクノズル列NCと、マゼンタ(M)のインク滴を吐出するマゼンタ顔料を含有するインクノズル列NMと、イエロー(Y)のインク滴を吐出するイエロー顔料を含有するインクノズル列NYと、ブラック(K)のインク滴を吐出するブラック顔料を含有するインクノズル列NKとを有している。
【0095】
第2ノズル群20bも、第1ノズル群20aと同様に、各列がノズル番号No.1から
ノズル番号No.192の192個のノズル孔を有する4列のノズル列を有している。第
2ノズル群20bも、第1ノズル群20aと同様に、ノズル孔間のピッチPは、150d
piとした例である。
【0096】
上述したように、各ノズル群20a、20b、20cはノズル列数及びノズル数が同
一であることから、各ノズル群20a、20b、20cを同一の部品で構成することがで
きることにより、部品種類を少なくすることができるので、装置の低コスト化を図ること
ができる。
【0097】
なお、本実施形態では、各ノズル群20a、20b、20cのノズル列は、記録用メデ
ィア40の搬送方向Aに沿って配設されていたが、ノズル列を搬送方向Aに対して斜めに
配設してもよい。
図2は、第1ノズル群20a、第2ノズル群20b、第3ノズル群20cにはそれぞれ、シアン(C)のインク滴を吐出するシアン顔料を含有するインクノズル列NCと、マゼンタ(M)のインク滴を吐出するマゼンタ顔料を含有するインクノズル列NMと、イエロー(Y)のインク滴を吐出するイエロー顔料を含有するインクノズル列NYと、ブラック(K)のインク滴を吐出するブラック顔料を含有するインクノズル列NKとを有する構成としてもよいが、これに限られず、第1ノズル群20a、第2ノズル群20b、第3ノズル群20cのうち、第1ノズル群20aの全てのノズルがマゼンタ顔料を含有するインクノズル、第2ノズル群20bの全てのノズルがイエロー顔料を含有するインクノズル、第3ノズル群20cの全てのノズルがシアン顔料を含有するインクノズルであってもよい。
本発明のインクセットとすることで、本発明の課題、色ムラを解消することができる。
本発明のインクセットに用いるインクは、顔料の含有率が低いが、吐出する滴数を増やすことで付着量を増やし、色ムラ解消につながる。
また、図2のようなノズル群を、2セット組み合わせ、ノズル列を8以上としてもよい。ノズル列を8以上とすることで、更なる高速化が可能となる。
【0098】
上述の説明は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクを含むインクセットについて説明したが、これらに加えてクリアインク用のノズルを用いることで、クリアインクを含むインクセットに使用することができる。
【0099】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例
【0100】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0101】
(顔料分散体の製造例1)
<シアン顔料分散体の作製>
特開2012-207202号公報の「〔顔料表面改質処理〕の-方法A-」に記載の方法と同様にして、シアン顔料分散体を得た。
具体的には、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20g、下記構造式(1)の化合物20mmol、及びイオン交換水200mLを、室温(25℃)環境下、Silversonミキサー(6,000rpm(0.6質量%))で混合し、スラリーを得た。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20mmolを添加した。30分間後に、少量のイオン交換水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20mmol)を上記スラリーにゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。前記C.I.ピグメントブルー15:3表面に下記構造式(1)の化合物を付加した改質顔料を得た。
次に、NaOH水溶液によりpH10に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体を得た。前記改質顔料分散体とイオン交換水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料濃度が15質量%となる親水性官能基としてビスホスホン酸基を有するシアン顔料分散体(自己分散型)を得た。
【0102】
[構造式(1)]
【化1】
【0103】
(顔料分散体の製造例2)
<マゼンタ顔料分散体の作製>
顔料分散体の製造例1において、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20gを、C.I.ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)20gに変更した以外は、顔料分散体の製造例1と同様にして、顔料濃度が15質量%であるマゼンタ顔料分散体を作製した。
【0104】
(顔料分散体の製造例3)
<イエロー顔料分散体の作製>
顔料分散体の製造例1において、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20gを、C.I.ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)20gに変更した以外は、顔料分散体の製造例1と同様にして、顔料濃度が15質量%であるイエロー顔料分散体を作製した。
【0105】
(顔料分散体の製造例4)
<ブラック顔料分散体の作製>
顔料分散体の製造例1において、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20gを、カーボンブラック(NIPEX160、degussa社製)20gに変更した以外は、顔料分散体の製造例1と同様にして、顔料濃度が15質量%であるブラック顔料分散体を作製した。
【0106】
<クリアインクの製造>
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン1の調製>
-ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn)1,200)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)300質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,420質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,824質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン260質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液830質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリウレタン樹脂エマルジョン1を得た。
【0107】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン1について、以下に記す<樹脂エマルジョンのガラス転移点の測定方法>に従い、ガラス転移点(Tg)の測定を行ったところ、55℃であった。また、粒度分析装置(Nanotrac WaveII、マイクロトラック・ベル社製)を用いてポリウレタン樹脂エマルジョン1の体積平均粒径を測定したところ、44nmであった。
【0108】
<樹脂エマルジョンのガラス転移点の測定方法>
樹脂エマルジョンのガラス転移点の測定には、示差走査熱量計(TA-60WS及びDSC-60、株式会社島津製作所製)を用いた。
まず、直径50mmのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製シャーレに樹脂エマルジョン4gを均一に広がるように入れ、50℃で1週間乾燥後、得られた樹脂膜から5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度5℃/minで-80℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測した。得られたDSC曲線から、DSC-60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における変曲部からミッドポイント法で解析し、ガラス転移点(Tg)を求めた。
【0109】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例2)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン2の調製>
-ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器の付いた容量2Lの反応器に、メチルエチルケトンを100質量部、ポリエステルポリオール(1)(iPA/AA=6/4(モル比)とEG/NPG=1/9(モル比)から得られたポリエステルポリオール、数平均分子量:2,000、平均官能基数:2、iPA:イソフタル酸、AA:アジピン酸、EG:エチレングリコール、及びNPG:ネオペンチルグリコール)345質量部、及び2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)9.92質量部を仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネート(TEGDI)40.5質量部、及びジオクチルチンジラウレート(DOTDL)0.08質量部を仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、イソプロピルアルコール(IPA)80質量部、メチルエチルケトン(MEK)220質量部、トリエタノールアミン(TEA)3.74質量部、及び水596質量部を仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEK及びIPAを除去して、ポリウレタン樹脂エマルジョン2を得た。
得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液と、を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。
【0110】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン2について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、-4℃であった。
また、ポリウレタン樹脂エマルジョン2について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、105nmであった。
【0111】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例3)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン3の調製>
-ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn)1,000)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)260質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,320質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,530質量部、ジブチルスズラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン245質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液793質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリウレタン樹脂エマルジョン3を得た。
【0112】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン3について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、45℃であった。また、ポリウレタン樹脂エマルジョン3について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、40nmであった。
【0113】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例4)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン4の調製>
-ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn)1,200)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)350質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)2,300質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート2,100質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン270質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液800質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリウレタン樹脂エマルジョン4を得た。
【0114】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン4について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、56℃であった。また、ポリウレタン樹脂エマルジョン4について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、57nmであった。
【0115】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例5)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン5の調製>
-ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn)1,000)1,500質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)300質量部、及びN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,420質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,824質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン260質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液830質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリウレタン樹脂エマルジョン5を得た。
【0116】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン5について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、50℃であった。また、ポリウレタン樹脂エマルジョン5について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、41nmであった。
【0117】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例6)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン6の調製>
-ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器の付いた容量2Lの反応器に、メチルエチルケトンを100質量部、ポリエステルポリオール(1)(iPA/AA=6/4(モル比)とEG/NPG=1/9(モル比)から得られたポリエステルポリオール、数平均分子量:2,000、平均官能基数:2、iPA:イソフタル酸、AA:アジピン酸、EG:エチレングリコール、及びNPG:ネオペンチルグリコール)345質量部、及び2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)9.92質量部を仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネート(TEGDI)35.0質量部、及びジオクチルチンジラウレート(DOTDL)0.08質量部を仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、イソプロピルアルコール(IPA)80質量部、メチルエチルケトン(MEK)220質量部、トリエタノールアミン(TEA)3.74質量部、及び水596質量部を仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEK及びIPAを除去して、ポリウレタン樹脂エマルジョン6を得た。
得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液と、を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。
【0118】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン6について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、-1℃であった。
また、ポリウレタン樹脂エマルジョン6について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、103nmであった。
【0119】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例7)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン7の調製>
-ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製-
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器の付いた容量2Lの反応器に、メチルエチルケトンを100質量部、ポリエステルポリオール(1)(iPA/AA=7/3(モル比)とEG/NPG=1/9(モル比)から得られたポリエステルポリオール、数平均分子量:2,000、平均官能基数:2、iPA:イソフタル酸、AA:アジピン酸、EG:エチレングリコール、及びNPG:ネオペンチルグリコール)345質量部、及び2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)9.92質量部を仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネート(TEGDI)40.5質量部、及びジオクチルチンジラウレート(DOTDL)0.08質量部を仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、イソプロピルアルコール(IPA)80質量部、メチルエチルケトン(MEK)220質量部、トリエタノールアミン(TEA)3.74質量部、及び水596質量部を仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEK及びIPAを除去して、樹脂エマルジョン7を得た。
得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液と、を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。
【0120】
得られたポリウレタン樹脂エマルジョン7について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、ガラス転移点の測定を行ったところ、5℃であった。
また、ポリウレタン樹脂エマルジョン7について、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様に、体積平均粒径を測定したところ、108nmであった。
【0121】
(クリアインクの製造例1)
-クリアインク1の製造-
ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン(固形分濃度:30質量%)45.0質量%、ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例2のポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン(固形分濃度:30質量%)5.0質量%、1,2-プロパンジオール20.0質量%、1,3-プロパンジオール11質量%、1,2-ブタンジオール3質量%、界面活性剤として商品名「FS-300」(デュポン社製、フッ素系界面活性剤、固形分濃度40質量%)6質量%、及び合計100質量%となるように高純水を残量添加し、混合撹拌して混合物を調製した。
次いで、得られた混合物を、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:BetafineポリプロピレンプリーツフィルターPPGシリーズ、3M社製)にてろ過することにより、クリアインク1を作製した。
【0122】
(クリアインクの製造例2~14)
-クリアインク2~14の製造-
製造例1において、表1及び表2に示すインク組成に変更した以外は、クリアインクの製造例1と同様にして、クリアインク2~14を作製した。なお、クリアインク10に添加したスチレン-アクリル樹脂エマルジョンは星光PMC株式会社製のQE-1042(Tg:53℃、体積平均粒径40nm、固形分濃度40.5質量%)を用いた。
【0123】
得られたクリアインク1~14について、以下に記す<クリアインクの乾燥膜のガラス転移点の測定方法>に従い、クリアインクの乾燥膜のガラス転移点(Tg)を測定した。また、ポリウレタン樹脂エマルジョン1と同様にして、クリアインクの体積平均粒径を測定した。
各インクのガラス転移点(Tg)、クリアインクの体積平均粒径の測定結果と合わせて、クリアインク中の樹脂固形分(質量%)と、Tgが50℃以上の樹脂粒子Aの質量MAと、Tgが0℃未満の樹脂粒子Bの質量MBとの質量比MA:MBと、を表1及び表2にまとめて記す。
【0124】
<クリアインクの乾燥膜のガラス転移点の測定>
クリアインクの乾燥膜のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(TA-60WS及びDSC-60、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
まず、直径50mmのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製シャーレにクリアインク4gを均一に広がるように入れ、50℃で1週間乾燥後、得られたインク膜から5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度5℃/minで-80℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測した。得られたDSC曲線から、DSC-60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における変曲部からミッドポイント法で解析し、ガラス転移点(Tg)を求めた。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表1及び表2中の樹脂の詳細な内容は、以下のとおりである。
*ポリウレタン樹脂エマルジョン1:ガラス転移点(Tg)=55℃、体積平均粒径=44nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン2:ガラス転移点(Tg)=-4℃、体積平均粒径=105nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン3:ガラス転移点(Tg)=45℃、体積平均粒径=40nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン4:ガラス転移点(Tg)=56℃、体積平均粒径=57nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン5:ガラス転移点(Tg)=50℃、体積平均粒径=41nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン6:ガラス転移点(Tg)=-1℃、体積平均粒径=103nm、固形分濃度=30質量%
*ポリウレタン樹脂エマルジョン7:ガラス転移点(Tg)=5℃、体積平均粒径=108nm、固形分濃度=30質量%
*スチレン-アクリル樹脂エマルジョン:ガラス転移点(Tg)=53℃、体積平均粒径=40nm、固形分濃度=40.5質量%、星光PMC株式会社製QE-1042
【0128】
(実施例1)
<インクセット1の作製>
以下のようにして作製した、シアン顔料を含有するインク1、マゼンタ顔料を含有するインク1、イエロー顔料を含有するインク1、及びブラック顔料を含有するインク1を組み合わせてインクセット1とした。
【0129】
-シアン顔料を含有するインクの作製-
シアン顔料分散体6.0質量%、1,3-ブタンジオール(商品名:1,3-ブタンジオール、ダイセル化学株式会社製)20質量%、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドM-100、出光興産株式会社製)10質量%、ジエチレングリコールジエチルエーテル(商品名:ハイソルブEDE、東邦化学工業株式会社製)5質量%、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(商品名:ハイソルブBTM、東邦化学工業株式会社製)5質量%、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子液(タケラックW6110、三井化学株式会社製、固形分濃度:30質量%)25質量%、シロキサン化合物(商品名:FZ2110、東レ・ダウ株式会社製、有効成分濃度100質量%)2質量%、及び合計100質量%となるようにイオン交換水を残量添加し、混合撹拌した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルター(商品名:DISMIC-25cs、アドバンテック社製)で濾過して、シアン顔料を含有するインク1を得た。
【0130】
-マゼンタ顔料を含有するインクの作製-
シアン顔料を含有するインクの作製において、シアン顔料分散体6.0質量%を、マゼンタ顔料分散体18.7質量%に変更した以外は、シアン顔料を含有するインクの作製と同様にして、マゼンタ顔料を含有するインク1を得た。
【0131】
-イエロー顔料を含有するインクの作製-
シアン顔料を含有するインクの作製において、シアン顔料分散体6.0質量%を、イエロー顔料分散体13.3質量%に変更した以外は、シアン顔料を含有するインクの作製と同様にして、イエロー顔料を含有するインク1を得た。
【0132】
-ブラック顔料を含有するインクの作製-
シアン顔料を含有するインクの作製において、シアン顔料分散体6.0質量%を、ブラック顔料分散体18.7質量%に変更した以外は、シアン顔料を含有するインクの作製と同様にして、ブラック顔料を含有するインク1を得た。
【0133】
(実施例2~25及び比較例1~3)
-インクセット2~28の作製-
実施例1において、表3から表17に示すインク組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~25及び比較例1~3のインクセット2~28を得た。
ただし、上記に記載のない表3~表17中の材料としては、以下のものを使用した。
*アクリル樹脂エマルション(ボンコートCF-6140、DIC株式会社製、固形分濃度:30質量%)を用いた。
*フッ素化合物:ゾニールFS-300(デュポン社製)
*ノニオン化合物:Triton HW1000(ダウ・ケミカル社製)
【0134】
次に、作製した各インクセットについて、以下のようにして、「画像の色ムラ」及び「耐擦過性」を評価した。結果を表3~表17に示した。
【0135】
<画像の色ムラ>
得られた各インクセットを用いて、図2に示す液体吐出ユニットを有する図1に示す印刷装置により、表3~表17に示すように、ポリ塩化ビニル(PVC)(商品名:GIY-11Z5,リンテック株式会社製)、及び布(商品名:SS8000、セーレン株式会社製)のいずれかを用い、印刷速度25m/hで実施例1~25及び比較例1~3の印刷を行った。
なお、図2に示す液体吐出ユニットにおいて、第1ノズル群20a~第3ノズル群20cの「NK」、「NC」、「NM」、「NY」では、各インクセットの「ブラック顔料を含有するインク」、「シアン顔料を含有するインク」、「マゼンタ顔料を含有するインク」、「イエロー顔料を含有するインク」を用いた。
なお、表11~17の実施例12~25についての画像の色ムラ評価は、クリアインクを用いずカラーインクのみを用いた。
次に、作成した各画像について、以下のようにして「画像の色ムラ」を評価した。結果を表3~表17に示した。
出力画像は100%ベタチャートから0%まで階調を変化させた4Cコンポジット画像
であり、この4Cコンポジット画像を目視観察し、以下の基準に基づき、画像の色ムラを
評価した。なお、△以上が実使用可能レベルである。
[評価基準]
◎:画像から30cm未満の距離で色ムラが認識されない
〇:画像から30cm以上1m未満の距離で色ムラが認識されない
△:画像から1m以上3m未満の距離で色ムラが認識されない
×:画像から3m以上の距離で色ムラが認識できる
【0136】
<耐擦過性試験>
得られた各インクセットを用いて、図2に示す液体吐出ユニットを有する図1に示す印刷装置により、表3~表17に示すように、ポリ塩化ビニル(PVC)(商品名:GIY-11Z5,リンテック株式会社製)、及び布(商品名:SS8000、セーレン株式会社製)のいずれかを用い、印刷速度25m/h、印刷率が100%の全ベタ画像で実施例1~25及び比較例1~3の印刷を行った。
図2に示す液体吐出ユニットにおいて、第1ノズル群20a~第3ノズル群20cの「NK」、「NC」、「NM」、「NY」では、各インクセットの「ブラック顔料を含有するインク」、「シアン顔料を含有するインク」、「マゼンタ顔料を含有するインク」、「イエロー顔料を含有するインク」を用いた。
なお、実施例12~25については上記形成したカラー画像上に、図1に示す印刷装置を再度用いてクリアインク画像を形成した。クリアインクの印刷画像は印刷率が100%の全ベタ画像であった。また、それぞれの実施例で使用したクリアインク種を表11~表17に示した。
【0137】
次に、作製した各画像について、以下のようにして「耐擦過性」を評価した。結果を表3~表17に示した。
学振形摩耗試験機(摩擦試験機II形)(装置名:染色物摩擦堅ろう試験機 AR-2(BC) インテック株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠 染色堅ろう度試験用添付白布 カナキン3号)を取り付けた摩擦子(荷重:500g)にて100往復の擦過試験を実施した。試験後の塗膜を目視で確認し、ランク付け評価を行った。なお、△以上を合格とする。
[評価基準]
◎◎:印刷面に擦った跡が見られず、かつ白綿布にもインクの色移りがない
◎:印刷面に擦った跡が見られないが、白綿布にかすかにインクの色移りがある
〇:近くで見ると、擦った部分の色変化、光沢変化がみられ、白綿布にかすかにインクの色移りがある
△:遠くからみても、擦った部分の色変化、光沢変化がみられる。又は、白綿布にはっきりとインクの色移りがある
×:記録媒体の地肌部の一部が露出している
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
【表12】
【0148】
【表13】
【0149】
【表14】
【0150】
【表15】
【0151】
【表16】
【0152】
【表17】
【0153】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを含むインクセットであって、
前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下であることを特徴とするインクセットである。
<2> 前記シアン顔料の含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下である前記<1>に記載のインクセットである。
<3> 前記ブラック顔料の含有量及び前記マゼンタ顔料の含有量が、いずれも2.0質量%以上4.0質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクセットである。
<4> 前記インクセットの各インクが、水、有機溶剤、界面活性剤、及び樹脂を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクセットである。
<5> 前記界面活性剤がシロキサン化合物を含む前記<4>に記載のインクセットである。
<6> 前記樹脂がウレタン樹脂を含む前記<4>から<5>のいずれかに記載のインクセット。
<7> 樹脂粒子と水とを含むクリアインクを更に有するインクセットであって、
前記樹脂粒子の体積平均粒径が50nm以下であり、
前記クリアインクの乾燥膜は、50℃以上、及び0℃未満にガラス転移点(Tg)を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクセットである。
<8> 前記クリアインク中に含まれる樹脂粒子が、樹脂粒子Aと、樹脂粒子Bとを含み、
前記樹脂粒子Aのガラス転移点(TgA)が50℃以上であり、前記樹脂粒子Bのガラス転移点(TgB)が0℃未満である前記<7>に記載のインクセットである。
<9> 前記樹脂粒子Aの質量MAと、前記樹脂粒子Bの質量MBとの質量比(MA:MB)が、98:2~80:20である前記<8>に記載のインクセットである。
<10> 前記クリアインク中に含まれる樹脂粒子の合計含有量が、10質量%以上である前記<7>から<9>のいずれかに記載のインクセットである。
<11> 前記樹脂粒子Aがウレタン樹脂である前記<8>から<10>のいずれかに記載のインクセットである。
<12> 非吸収性又は低吸収性記録媒体に対して用いられる前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクセットである。
<13> インクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置に用いられるインクセットであって、
シアン顔料及び樹脂を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク、イエロー顔料を含有するインク、及びブラック顔料を含有するインクを有し、
前記シアン顔料及び樹脂を含有するインクにおける前記樹脂の含有量Rに対する前記シアン顔料の含有量Pの比(P/R)が0.08以上0.20以下であることを特徴とするインクセットである。
<14> ブラック顔料を含有するインク、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク及びイエロー顔料を含有するインクの少なくとも1種類のインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置であって、
前記インクが、前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであることを特徴とする印刷装置である。
<15> 前記吐出手段がインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を8以上有する前記<14>に記載の印刷装置である。
<16> ブラック顔料を含有するインク、シアン顔料を含有するインク、マゼンタ顔料を含有するインク及びイエロー顔料を含有するインクの少なくとも1種類のインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を4以上有する吐出手段を備えた印刷装置を用いる印刷方法であって、
前記インクが、前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであることを特徴とする印刷方法である。
<17> 色材を含むインクを付与する工程と、クリアインクを付与する工程とを有する印刷方法であって、
前記色材を含むインクが前記<1>から<6>及び<12>から<13>のいずれかに記載のインクセットにおける各インクであり、
前記クリアインクが前記<7>から<12>のいずれかに記載のインクセットにおけるクリアインクであることを特徴とする印刷方法である。
【0154】
前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクセット、前記<14>から<15>のいずれかに記載の印刷装置、及び前記<16>及び<17>のいずれかに記載の印刷方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0155】
1 インクジェット記録装置
10 制御部
20 記録ヘッド
20a、20b、20c ノズル群
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【文献】特開2004-314352号公報
【文献】特開2014-205767号公報
図1
図2