(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、変換方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231205BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231205BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06F3/12 331
H04N1/00 127A
B41J29/38
G06F3/12 305
G06F3/12 303
(21)【出願番号】P 2020036287
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 聡
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-015188(JP,A)
【文献】特開2018-028755(JP,A)
【文献】特開2008-027127(JP,A)
【文献】特開2016-091096(JP,A)
【文献】特開2017-216530(JP,A)
【文献】特開2014-120824(JP,A)
【文献】特開2003-274305(JP,A)
【文献】特開2007-325186(JP,A)
【文献】特開2009-033734(JP,A)
【文献】特開2007-087001(JP,A)
【文献】特開2006-110998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定情報を変換する情報処理装置であって、
第1の機器から設定情報を取得する取得手段と、
設定項目同士を対応付けた対応情報を用いて、取得された前記設定情報に含まれる設定値を第2の機器の設定項目と対応付けて出力する処理手段と、
各機器の設定項目と設定値とを登録した登録情報を用いて、出力された前記設定値を変換する変換手段と
を備え、
前記登録情報は、前記各機器の設定項目と設定値とに対応付けて、該各機器の設定項目と同じ意味をもつ他の機器の設定項目に対応する設定値が登録可能とされ、
前記情報処理装置は、
前記他の機器から取得した設定情報と、前記対応情報と、前記登録情報とを用いて、前記登録情報に登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成する作成手段とをさらに備え、
前記作成手段は、前記対応情報を用いて、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定項目と同じ意味をもつ前記登録情報に含まれる設定項目を特定し、前記登録情報を用いて、特定した設定項目に対応付けて登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記第2の機器の設定項目と対応付けて出力された前記設定値を、前記登録情報の前記第2の機器の設定項目に対応する設定値に書き換える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作成手段は、特定した前記設定項目に対応する設定値と、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定値との一致の度合いを示す一致度に応じて、特定した前記設定項目に対応付ける前記他の機器の設定値を、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定値とするか否かを判定する、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定値は文字列であり、
前記作成手段は、2つの前記設定値を構成する文字を1文字ずつ比較し、前記設定値を構成する全文字数に対する一致する文字数の割合を前記一致度として計算し、計算した前記一致度が閾値以上である場合に、特定した前記設定項目に対応付ける前記他の機器の設定値を、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定値とすると判断する、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記作成手段は、2つの前記設定値を構成する文字が2以上連続して一致した後、2以上連続して不一致の場合、一方の前記設定値を構成する一致する文字と不一致となる文字との間に1文字分の空白を挿入して該設定値を再構成し、再度一致度を計算する、請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記作成手段は、2つの前記設定値を構成する文字が2以上連続して不一致となった後、2以上連続して一致する場合、一方の前記設定値を構成する不一致となる文字と一致する文字との間に1文字分の空白を挿入して該設定値を再構成し、再度一致度を計算する、請求項
4または
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
設定情報を変換する情報処理装置と、変換した設定情報が移行される第2の機器とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
第1の機器から設定情報を取得する取得手段と、
設定項目同士を対応付けた対応情報を用いて、取得された前記設定情報に含まれる設定値を前記第2の機器の設定項目と対応付けて出力する処理手段と、
各機器の設定項目と設定値とを登録した登録情報を用いて、出力された前記設定値を変換する変換手段と
を備え、
前記登録情報は、前記各機器の設定項目と設定値とに対応付けて、該各機器の設定項目と同じ意味をもつ他の機器の設定項目に対応する設定値が登録可能とされ、
前記情報処理装置は、
前記他の機器から取得した設定情報と、前記対応情報と、前記登録情報とを用いて、前記登録情報に登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成する作成手段とをさらに備え、
前記作成手段は、前記対応情報を用いて、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定項目と同じ意味をもつ前記登録情報に含まれる設定項目を特定し、前記登録情報を用いて、特定した設定項目に対応付けて登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成することを特徴とする、情報処理システム。
【請求項8】
情報処理装置により設定情報を変換する方法であって、
第1の機器から設定情報を取得するステップと、
設定項目同士を対応付けた対応情報を用いて、取得された前記設定情報に含まれる設定値を第2の機器の設定項目と対応付けて出力するステップと、
各機器の設定項目と設定値とを登録した登録情報を用いて、出力された前記設定値を変換するステップと
、を含み、
前記登録情報は、前記各機器の設定項目と設定値とに対応付けて、該各機器の設定項目と同じ意味をもつ他の機器の設定項目に対応する設定値が登録可能とされ、
前記方法は、
前記他の機器から取得した設定情報と、前記対応情報と、前記登録情報とを用いて、前記登録情報に登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成するステップをさらに含み、
前記作成するステップは、前記対応情報を用いて、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定項目と同じ意味をもつ前記登録情報に含まれる設定項目を特定し、前記登録情報を用いて、特定した設定項目に対応付けて登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成する、方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定情報を変換する装置、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに複数台の機器を接続して利用する場合、機器毎に設定を行う必要があり、これを1台ずつ行うのは、手間がかかる作業である。例えば、オフィス等では、複数の複合機が設置されるが、全てが同じ機種とは限らない。機種が異なると、設定情報のフォーマット等が異なることから、1の複合機の設定情報を他の複合機へ転送し、その設定情報を当該他の複合機に適用させることはできない。
【0003】
そこで、設定元機器の設定情報と設定先機器の設定情報との間で定義が同一の設定項目を抽出し、抽出された各設定項目に対して、設定元機器の設定情報の対応する設定項目の設定値を、設定先機器に適用させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、定義が同一の設定項目であれば、設定値の意味も機種間で異ならないことを前提としている。しかしながら、機器を提供するメーカーが異なると、設定項目の意味が同じであっても、設定値の意味が異なることが一般的であり、上記の従来の技術では、設定情報を容易に移行することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、設定情報を容易に移行することができる装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、設定情報を変換する情報処理装置であって、第1の機器から設定情報を取得する取得手段と、設定項目同士を対応付けた対応情報を用いて、取得された設定情報に含まれる設定値を第2の機器の設定項目と対応付けて出力する処理手段と、各機器の設定項目と設定値とを登録した登録情報を用いて、出力された設定値を変換する変換手段とを備え、前記登録情報は、前記各機器の設定項目と設定値とに対応付けて、該各機器の設定項目と同じ意味をもつ他の機器の設定項目に対応する設定値が登録可能とされ、前記情報処理装置は、前記他の機器から取得した設定情報と、前記対応情報と、前記登録情報とを用いて、前記登録情報に登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成する作成手段とをさらに備え、前記作成手段は、前記対応情報を用いて、前記他の機器から取得した設定情報に含まれる設定項目と同じ意味をもつ前記登録情報に含まれる設定項目を特定し、前記登録情報を用いて、特定した設定項目に対応付けて登録する前記他の機器の設定項目に対応する設定値を作成することを特徴とする、情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設定情報を容易に移行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成例を示した図。
【
図2】管理サーバのハードウェア構成の一例を示した図。
【
図3】他社機のハードウェア構成の一例を示した図。
【
図4】管理サーバの機能構成の第1の例を示したブロック図。
【
図5】情報処理システムにより実行される全体の処理の流れを示したフローチャート。
【
図8】他社機から取得される設定データの一例を示した図。
【
図10】他社機の設定データを自社機の設定データのフォーマットで出力する処理の流れを示したフローチャート。
【
図11】出力された設定データのフォーマットの一例を示した図。
【
図13】他社機から自社機へ設定値を変換する処理の流れを示したフローチャート。
【
図15】変換前後の設定データの別の例を示した図。
【
図16】設定データを管理する管理テーブルの一例を示した図。
【
図17】管理サーバの機能構成の第2の例を示したブロック図。
【
図18】設定値変換テーブルの半自動作成の流れを示したフローチャート。
【
図19】半自動作成前の設定値変換テーブルの一例を示した図。
【
図20】半自動作成において取得される設定データの一例を示した図。
【
図21】半自動作成途中の設定値変換テーブルの一例を示した図。
【
図22】管理サーバの機能構成の第3の例を示したブロック図。
【
図23】差異許容度設定テーブルの一例を示した図。
【
図24】差異許容度設定テーブルを用いた設定値変換テーブルの半自動作成の流れを示したフローチャート。
【
図25】半自動作成において取得される設定データの一例を示した図。
【
図26】半自動作成途中の設定値変換テーブルの一例を示した図。
【
図27】他社機から取得される設定データの別の例を示した図。
【
図28】設定値を単純比較する方法について説明する図。
【
図29】空白文字を挿入して設定値を比較する第1の方法について説明する図。
【
図30】別の設定値を単純比較した結果を示した図。
【
図31】別の設定値に対して第1の方法を適用して比較した結果を示した図。
【
図32】空白文字を挿入して設定値を比較する第2の方法について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの構成例を示した図である。情報処理システムは、1の機器に設定した設定情報を他の1以上の機器に取り込み(インポートし)、設定情報の移行を実現するシステムである。情報処理システムは、設定情報の移行を実現するための情報処理装置を含む。
【0010】
設定情報を有する機器および設定情報をインポートする機器は、設定情報の設定を必要とし、通信機能を備える機器であれば、いかなる機器であってもよい。機器としては、例えばプリンタやMFP(Multi-Function Peripheral)、コピー機、FAX装置等の画像形成装置、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車等を挙げることができる。また、機器は、ノートPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC、デスクトップPC等であってもよい。
【0011】
1の機器と他の1以上の機器が、同じメーカーで、同じ機種である場合、設定情報の内容は全く同じであるから、コピーする等して、そのまま移行することができる。一方、1の機器と他の1以上の機器が、異なるメーカーである場合や、同じメーカーであっても、機種が異なる場合やバージョンが異なる場合は、コピーする方法では移行することができない。
【0012】
そこで、情報処理装置が、1の機器の設定情報を、他の1以上の機器用の設定情報に変換して、当該他の1以上の機器に提供する。なお、情報処理システムは、情報処理装置に加え、他の1以上の機器を含んで構成されてもよく、さらに1の機器も含んで構成されていてもよい。また、情報処理システムは、1の機器と他の1以上の機器とは別に、情報処理装置を設けた構成であってもよいし、1の機器または他の1以上の機器のうちの1つに、情報処理装置の機能を実装した構成であってもよい。
【0013】
以下、情報処理装置を管理サーバとし、機器を画像形成装置として詳細に説明する。設定情報(設定データ)は、設定項目と設定値とを含み、画像形成装置の設定項目としては、片面・両面設定、1枚の紙に何ページ印刷するかを設定する集約設定等が挙げられる。
【0014】
片面・両面設定の項目名は、メーカーによって異なり、また、同じメーカーでもバージョンによって異なる。各項目に割り当てられる値(設定値)も、メーカーやバージョンによって異なる。これは、集約設定も同様である。そこで、他社の画像形成装置(他社機)から自社の画像形成装置(自社機)へ設定データを変換して移行するものとして詳細に説明する。
【0015】
図1には、ネットワーク10に、管理サーバ11と、他社機12と、自社機13とが接続されて情報処理システムが構成されている。管理サーバ11は、ネットワーク10を介して他社機12に対して設定データの取得を要求し、他社機12から設定データを取得する。
【0016】
管理サーバ11は、取得した設定データを自社機13用の設定データに変換し、変換した設定データを、ネットワーク10を介して自社機13へ送信する。管理サーバ11は、変換した設定データを送信する際、自社機13に対して設定データを設定するように指示する。自社機13は、その指示を受けて、受信した設定データを設定する。これにより、設定データの移行を完了する。
【0017】
自社機13が複数存在する場合、管理サーバ11は、複数の自社機13へ変換した設定データを送信する。これにより、複数の機器に対して容易に設定データを移行することができる。
【0018】
ネットワーク10は、有線、無線のいずれのネットワークであってもよく、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0019】
図2は、管理サーバ11のハードウェア構成の一例を示した図である。管理サーバ11は、一般的なPCと同様、CPU20と、ROM21と、RAM22と、HD23、HDDコントローラ24と、ディスプレイI/F26と、外部機器接続I/F27と、ネットワークI/F28と、バスライン29と、キーボード30と、マウス31と、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ32と、メディアI/F33とを備えている。ここでは、管理サーバ11にディスプレイ25が接続され、ディスプレイ25が管理サーバ11に含まれない構成となっているが、含まれる構成であってもよい。
【0020】
CPU20は、管理サーバ11全体の動作を制御する。ROM21は、IPL(Internet Printer Language)等のCPU20の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM22は、CPU20に対して作業領域を提供する。HD23は、各種のプログラムや各種データを記憶する。HDDコントローラ24は、CPU20の制御に従ってHD23に対する各種データの読み出しや書き込みを制御する。
【0021】
ディスプレイ25は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、画像等の各種の情報を表示する。ディスプレイI/F26は、管理サーバ11にディスプレイ25を接続し、ディスプレイ25の表示を制御するインタフェースである。外部機器接続I/F27は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器は、例えばUSBメモリやプリンタ等である。ネットワークI/F28は、ネットワーク10を介して通信を行うためのインタフェースである。バスライン29は、CPU20等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバスである。
【0022】
キーボード30は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段である。マウス31は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段である。DVD-RWドライブ32は、着脱可能な記録媒体の1つであるDVD-RW34に対する各種データの読み出しや書き込みを制御する。ここでは、記録媒体をDVD-RWとしたが、DVD-RWに限らず、CD-R、CD-RW、DVD-R等であってもよい。メディアI/F33は、フラッシュメモリ等の記録メディア35に対するデータの読み出しや書き込みを制御する。
【0023】
図3は、他社機12のハードウェア構成の一例を示した図である。ここでは、他社機12をMFPとして説明する。なお、自社機13も同じMFPであって、同様の構成であるため、自社機13についての説明は省略する。
【0024】
他社機12は、コントローラ40と、近距離通信回路41と、エンジン制御部42と、操作パネル43と、ネットワークI/F44とを備えている。
【0025】
コントローラ40は、コンピュータの主要部であるCPU50と、システムメモリ(MEM-P)51と、ノースブリッジ(NB)52と、サウスブリッジ(SB)53と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)54と、ローカルメモリ(MEM-C)55と、HDDコントローラ56と、HD(Hard Disk)57とを備えている。NB52とASIC54とは、AGP(Accelerated Graphics)バス58により接続されている。
【0026】
CPU50は、MFP全体の制御を行う制御部として機能する。NB52は、CPU50とMEM-P51、SB53、AGPバス58とを接続するブリッジで、MEM-P51に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタと、AGPターゲットとを備える。
【0027】
MEM-P51は、コントローラ40の各機能を実現するためのプログラムやデータを格納するROM51aと、プログラムやデータの展開、印刷時の描画等に使用されるRAM51bとから構成される。RAM51bに記憶されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0028】
SB53は、NB52とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC54は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、MEM-C55、HDDコントローラ56、AGPバス58、PCIバス59をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC54は、PCIターゲット、AGPマスタ、ASIC54の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C55を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、スキャナ部60、プリンタ部61との間で、PCIバス59を介したデータ転送を行うPCIユニットとから構成される。なお、ASIC54には、USBやIEEE(Institute of Electrical and Electronics)1394のインタフェースを接続するようにしてもよい。
【0029】
MEM-C55は、コピー用画像バッファや符号バッファとして用いられるローカルメモリである。HD57は、画像データ、印刷時に用いられるフォントデータ、フォーム等の蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ56は、CPU50の制御に従ってHD57に対するデータの読み出しや書き込みを制御する。AGPバス58は、グラフィック処理を高速化するためのグラフィックアクセラレータカード用のバスインタフェースで、MEM-P51に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックアクセラレータカードを高速にする。
【0030】
近距離通信回路41は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等により近距離無線通信を行う回路である。近距離通信回路41には、近距離通信用アンテナ41aが備わっている。エンジン制御部42は、スキャナ部60、プリンタ部61により構成され、他社機12が備えるスキャナやプリンタを制御する。
【0031】
操作パネル43は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部43aと、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーやコピー開始指示を受け付けるスタートキー等の操作ボタン43bとから構成されている。
【0032】
ネットワークI/F44は、ネットワーク10を介して通信を行うためのインタフェースである。近距離通信回路41およびネットワークI/F44は、PCIバス59を介してASIC54に電気的に接続されている。
【0033】
コントローラ40は、他社機12全体の制御を行い、例えば描画、通信、操作パネル43のアプリケーションの切り替えキーにより、スキャナ機能、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を順次切り替えて選択することを可能にする。各機能が選択された場合、他社機12は各機能に対応したモードとなる。
【0034】
次に、
図4を参照して、管理サーバ11の機能構成について説明する。
図4は、管理サーバ11の機能構成の第1の例を示したブロック図である。各機能部は、CPUがHDに記憶されたプログラムを、HDDコントローラを介して読み出し、RAM上に展開して実行することにより実現される。なお、各機能部は、各機能を実行するように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスにより実現されてもよい。
【0035】
管理サーバ11は、取得部70と、記憶部71と、処理部72と、変換部73と、送信部74とを含む。
【0036】
取得部70は、他社機12から当該他社機12に設定されている設定データを取得する。取得部70は、記憶部71に記憶された他社機12の機器情報75を取得し、取得した機器情報75を使用して他社機12に対して設定データの取得を要求する。他社機12の機器情報75は、ネットワーク10を介して他社機12にアクセスするためのIP(Internet Protocol)アドレス、機器名、メーカー名、設定データの取得方法等を含む。
【0037】
記憶部71は、他社機12の機器情報75のほか、取得部70が取得した他社機12の設定データを自社機13へ移行するため、自社機13用の設定データに変換するための対応情報や登録情報を記憶する。対応情報は、設定項目同士を対応付けた情報で、登録情報は、各機器の設定項目と設定値とを登録した情報である。以下、対応情報を設定項目変換テーブル76とし、登録情報を設定値変換テーブル77として説明する。ここでは、テーブルを用いて変換する形式(テーブル形式)として説明するが、テーブル形式に限定されるものではない。
【0038】
また、記憶部71は、変換して得られた自社機13用の設定データ78を、自社機13へ送信するまで保管する。自社機13へは、システム管理者からの指示を受けて送信することができる。
【0039】
処理部72は、設定項目変換テーブル76を用いて、取得部70が取得した他社機12の設定データに含まれる設定項目を、自社機13の設定データに含まれる設定項目に変換し、他社機12の上記設定項目に対応する設定値を、変換した自社機13の設定項目と対応付けて出力する。すなわち、処理部72は、他社機12の設定データを、自社機13の設定データのデータ形式(フォーマット)で出力する。
【0040】
変換部73は、設定値変換テーブル77を用いて、処理部72が出力した設定データの設定値を、自社機13の設定値に変換する。処理部72では、設定項目のみが自社機13の設定項目に変換されているため、各設定項目に対応する設定値を、変換部73により自社機13の設定値に変換する。変換部73は、記憶部71に変換した設定データ78を保管する。
【0041】
送信部74は、記憶部71に保管した設定データ78を自社機13に送信し、自社機13に設定データを移行させる。
【0042】
管理サーバ11は、必要に応じて、編集部79を含むことができる。編集部79は、設定項目変換テーブルおよび設定値変換テーブルを作成するための情報または編集内容を受け付け、各テーブルを作成し、または記憶部71からテーブルを読み出し、テーブルの内容を編集する。編集部79は、作成したテーブルを記憶部71に記憶し、編集後のテーブルを記憶部71に上書きして更新する。
【0043】
図5は、情報処理システムにより実行される全体の処理の流れを示したフローチャートである。他社機12の設定データを自社機13に移行する処理を、ステップ100から開始する。ステップ101では、取得部70が、他社機12と通信を行い、他社機12から設定データを取得する。他社機12は、例えばWeb API(Application Programming Interface)を実装し、Web APIに対してHTTP(Hypertext Transfer Protocol)を使用して設定データの取得要求が送信されると、応答として設定データを送信する。このため、取得部70は、他社機12のWeb APIに対して設定データの取得要求を送信し、Web APIから設定データを取得する。ここでは、HTTPを使用して設定データを取得する構成を例示しているが、これに限られるものではなく、SNMP(Simple Network Management Protocol)等を使用して設定データを取得してもよい。
【0044】
ステップ102では、処理部72が、設定項目変換テーブル76を用いて、他社機12の設定値を自社機13の設定データのフォーマットで出力する。ステップ103では、変換部73が、設定値変換テーブル77を用いて、他社機12の設定値を自社機13の設定値に変換する。
【0045】
ステップ104では、送信部74が、変換された他社機12の設定データ78を、自社機13へインポートし、ステップ105で移行を完了する。
【0046】
図6は、ステップ101で他社機12に取得要求を送信するために使用する他社機12の機器情報75の一例を示した図である。機器情報75は、機器を識別するための情報の一例である機器シリアル番号、機器のIPアドレス、機器のメーカー名、設定値取得方法としてのURL(Uniform Resource Locator)を含む。機器を識別するための情報は、機器名やMAC(Media Access Control)アドレス等であってもよい。
【0047】
図7は、ステップ101で他社機12に対して送信する設定データの取得要求の一例を示した図である。取得要求は、
図6に示した機器情報75を用いて生成される。
図7に示す取得要求は、機器シリアル番号「AB0001」を有する他社機12に対して、IPアドレスを指定し、設定データを要求するものとされている。
【0048】
図8は、他社機12から取得される設定データの一例を示した図である。設定データは、設定項目を示す設定項目名と、設定項目に対して設定される設定値とを含む。ここでは、両面設定を示す「print.double_sided」と、集約設定を示す「print.pages_per_sheet」とが設定項目として設定され、それらの設定値として「2」が設定されている。
【0049】
図9は、ステップ102で用いられる設定項目変換テーブル76の一例を示した図である。設定項目変換テーブル76は、他社機12の設定項目と、自社機13の設定項目とを対応付けた表である。
図9に示すテーブルは、他社機12の設定項目として設定項目名を含み、自社機13の設定項目として設定項目IDを含んでいる。また、
図9に示すテーブルは、他社機12のメーカーを示すメーカー名を含んでいる。
【0050】
図10は、
図5のステップ102の他社機12の設定データを自社機13の設定データのフォーマットで出力する処理の詳細を示したフローチャートである。
図5のステップ101で他社機12の設定データを取得した後、ステップ200からこの処理を開始する。ステップ201では、他社機12の機器情報75から、他社機12のメーカー名を取得する。
【0051】
ステップ202では、取得した他社機12の設定データを1行読み込む。ステップ203では、設定項目変換テーブル76を参照し、読み込んだ設定項目名と、取得したメーカー名とが一致するレコードが設定項目変換テーブル内に存在するか否かを確認する。存在する場合、ステップ204へ進み、他社機12の設定項目名に対応する自社機13の設定項目IDを、設定項目変換テーブル76から取得する。ステップ205で、設定データの他社機12の設定項目名を、取得した自社機13の設定項目IDに変換する。設定項目IDと設定値を、自社機13の設定データのフォーマットに従って出力する。そして、ステップ206へ進む。また、ステップ203で存在しないことを確認した場合、ステップ206へ直接進む。
【0052】
ステップ206では、取得した設定データの全行の読み込みを完了したかを確認する。全行の読み込みが完了していない場合、ステップ202へ戻り、次の行を読み込む。一方、全行の読み込みが完了した場合は、ステップ207へ進み、この処理を終了する。
【0053】
図11は、
図10に示した処理で出力された設定データのフォーマットの一例を示した図である。
図7に示した設定データは、他社機12の設定項目名と、設定項目名に対応する他社機12の設定値とを含み、設定項目名が、
図9に示したテーブルを用いて、自社機13の設定項目IDに変換される。
図11に示す例では、「print.double_sided」が「S001」に、「print.pages_per_sheet」が「S002」にそれぞれ変換されている。なお、設定値は、他社機12の設定値のままである。
【0054】
図12は、
図5のステップ103で用いられる設定値変換テーブル77の一例を示した図である。設定値変換テーブル77は、各機器の設定項目と設定値とを対応付けた表である。
図12に示すテーブルは、設定項目として設定項目IDおよび設定項目名とを含み、設定値として値ID、値の意味、自社機の値、他社機の値を含んでいる。テーブルは、設定項目ID、自社機の値、他社機の値のみであってもよいが、設定項目名、値の意味を含むことで、設定項目IDが何を示すものか、値が何を意味するものかが把握しやすくなる。
【0055】
設定値変換テーブル77の他社機の値は、変換元の他社機メーカーの値であり、他社機の値を自社機の値に変換する際に参照される。
図12に示す例では、メーカーAとメーカーBの設定値が他社機の値として登録されている。
【0056】
図13は、
図5のステップ103の他社機12から自社機13へ設定値を変換する処理の詳細を示したフローチャートである。
図5のステップ102で設定データを出力した後、ステップ300からこの処理を開始する。ステップ301では、他社機12の機器情報75から、他社機12のメーカー名を取得する。
【0057】
ステップ302では、取得した設定データを1行読み込む。ステップ303では、読み込んだ設定項目IDと設定値に対応するレコードが、設定値変換テーブル77内に存在するか否かを確認する。このとき、取得したメーカー名と一致するテーブルのカラム内で一致するものを検索する。
【0058】
ステップ303で存在する場合、ステップ304へ進み、他社機12の設定値に対応する自社機13の設定値を、設定値変換テーブル77から取得する。ステップ305で、設定データの他社機12の設定値を、取得した自社機13の設定値に書き換える。そして、ステップ306へ進む。また、ステップ303で存在しないことを確認した場合、ステップ306へ直接進む。
【0059】
ステップ306では、取得した設定データの全行の読み込みを完了したかを確認する。全行の読み込みが完了していない場合、ステップ302へ戻り、次の行を読み込む。一方、全行の読み込みが完了した場合は、ステップ307へ進み、この処理を終了する。
【0060】
図14は、
図13に示した処理で変換された後の設定データ78の一例を示した図である。変換前の設定データは、
図11に示した内容のデータである。変換前は、設定項目ID「S001」、「S002」のいずれもが設定値「2」であったものが、変換後は、設定値「1」に変換されている。
【0061】
図11および
図14に示した変換前後の設定データは、他社機12が、
図12に示したメーカーAの場合を例示している。設定項目は、両面印刷「S001」、1枚の紙に2ページ分を印刷する集約印刷「S002」とされている。
図12には、他社機12がメーカーBの場合の設定値も含まれている。そこで、他社機12がメーカーBの場合の変換前後の設定データについて、
図15(a)、(b)を参照して説明する。
【0062】
図15(a)は、同じ設定項目「S001」、「S002」とされ、メーカーBのため、設定値が「20」とされている。
図15(b)は、自社機13の設定値に変換されるため、
図14と同様、設定値「1」に変換される。
【0063】
変換された設定データ78は、自社機13のフォーマットの設定データで、記憶部71に保管され、管理テーブルにより管理される。
図16は、設定データを管理する管理テーブルの一例を示した図である。管理テーブルは、機器を識別するための情報である機器シリアル番号およびメーカー名に対応付けて設定データの情報を管理する。設定データの情報は、設定データの保存場所を示す情報である。
【0064】
送信部74は、自社機13に対して自社機13の設定データのフォーマットに変換した他社機12の設定データを送信する際、自社機13の機器シリアル番号およびメーカー名に基づき、設定データの情報を検索し、検索した設定データの情報を用いて、記憶部71から設定データを読み出し取得する。そして、送信部74は、記憶部71に記憶され、管理されている機器情報75を用いて、自社機13へ取得した設定データ78を送信する。
【0065】
これまでに説明した例では、
図9に示した設定項目変換テーブル76および
図12に示した設定値変換テーブル77を、編集部79を使用して予め作成し、必要に応じて編集し、記憶部71に記憶させている。これらの作成、編集作業(準備作業)は、設定データ移行作業の前に行われる。
【0066】
しかしながら、これらのテーブルの準備作業は、設定対象の機器が画像形成装置等の画像機器では設定項目数が多数にのぼるため、システム管理者にとっては時間と労力がかかる作業である。テーブルの準備作業の一部でも自動で行うことができれば、システム管理者の負担を軽減することができる。
【0067】
図17は、管理サーバ11の機能構成の第2の例を示したブロック図である。管理サーバ11は、
図4に示した構成と同様、取得部70と、記憶部71と、処理部72と、変換部73と、送信部74と、編集部79とを含む。
図17に示した例では、管理サーバ11は、さらに、テーブルの準備作業の一部を自動で行う作成部80を含む。ここでは、
図4に示した構成と相違する部分についてのみ説明する。
【0068】
作成部80は、設定値として文字列を取る設定項目に対してのみ自動作成を行う。具体的には、作成部80は、設定値変換テーブル77の一部を自動作成する。設定値変換テーブルの一部しか自動作成することができないので、以下、この処理を半自動作成処理、あるいは単に半自動作成と呼ぶ。
【0069】
システム管理者は、ディスプレイ25にシステム管理用のWebページを表示させ、Webページから処理開始の指示を与える。作成部80は、その指示を受けて半自動作成を実施する。半自動作成されたテーブルは、記憶部71に記憶され、設定データ移行作業の際に利用される。
【0070】
図18は、作成部80を使用した設定値変換テーブルの半自動作成の流れを示したフローチャートである。システム管理者からの指示を受けて、ステップ400から処理を開始する。この処理の開始時には、設定項目変換テーブルは予め作成され、登録されており、設定値変換テーブルも一部を除いて作成され、登録されている。
【0071】
半自動作成するテーブルは、他社機12の設定値のみが空欄のカラムを有するテーブルである。
図19に、半自動作成前の設定値変換テーブル77の一例を示す。設定値変換テーブル77は、
図12と同様、設定項目ID、設定項目名、値ID、値の意味、自社機13の値(設定値)のカラムにそれぞれ情報が設定され、メーカーCの値を設定するカラムのみが空欄となっている。半自動作成では、空欄のカラムにメーカーCの値を作成し、設定する。
【0072】
ステップ401では、他社機12のWeb APIに対して設定データの取得要求を送信し、Web APIから設定データを取得する。
図20に、半自動作成において取得される設定データの一例を示す。
図20に示した例では、設定項目「print.double_sided」に対して設定値「single_sided」が対応付けられ、設定項目「print.pages_per_sheet」に対して設定値「2in1」が対応付けられている。
【0073】
ステップ402では、取得した設定データの設定項目のうち、1つの設定項目を選択する。設定項目は、例えば1行目から順に選択することができる。ステップ403では、設定項目変換テーブル76を参照し、他社機12の設定項目に対応する自社機13の設定項目IDを取得する。ここでは、例えば「S001」を取得したとする。
【0074】
ステップ404では、設定値変換テーブル77を参照し、取得した自社機13の設定項目IDで取り得る設定値を全て取得する。
図19に示した設定値変換テーブル77を参照した場合、設定項目ID「S001」の取り得る設定値は、設定項目名「両面設定」の値ID「V001」、「V002」に対応する「single_sided」、「double_sided」の2つとなる。
【0075】
ステップ405では、取得した設定値の中に、他社機12の設定値と一致するものが存在するかを判定する。
図19に示した例では、同じ設定値「single_sided」が存在する。このため、ステップ406へ進み、
図21に示すように、空欄のメーカーCの値のカラムに「single_sided」を設定し、空欄を埋めていく。
【0076】
ステップ407では、取得した設定データの設定項目のうち、未選択の設定項目が存在するかを確認する。存在する場合、ステップ402へ戻り、未選択の設定項目の1つを選択する。一方、存在しない場合、ステップ408へ進み、半自動作成を終了する。
【0077】
図17~
図21を参照して説明した第2の例では、半自動作成について説明し、他社機12と自社機13の設定値を示す文字列が完全一致する場合に、当該一致する文字列を自社機13の設定値として設定している。しかしながら、他社機12と自社機13で設定値の文字列が完全一致するとは限らない。同じ意味をもつ設定値は、完全一致ではないが、似たような文字列から構成される場合が多い。そこで、完全一致ではないが、一致性の高い設定値を同一とみなして半自動作成を行う構成や処理を、第3の例として説明する。
【0078】
図22は、管理サーバ11の機能構成の第3の例を示したブロック図である。管理サーバ11は、
図17に示した構成と同様、取得部70と、記憶部71と、処理部72と、変換部73と、送信部74と、編集部79と、作成部80とを含む。
図22に示した例では、記憶部71に、さらに、差異許容度設定テーブル81を記憶する。ここでは、
図17に示した構成と相違する部分についてのみ説明する。
【0079】
差異許容度設定テーブル81は、
図23に示すように、設定項目ID、設定項目名に対応付けて差異許容度(%)を管理する。差異許容度は、文字列を1文字ずつ比較した場合に、同じ文字が何%以上あれば、同一とみなすかという基準を示す値(閾値)である。
図23に示す例では、差異許容度が70%に設定されており、70%以上一致していれば、同一と判定する。
【0080】
具体的な例をもって説明すると、例えばメーカーCの両面設定の設定値が「single-sided」であって、設定値変換テーブル77が
図19に示した内容のものとすると、設定値変換テーブル77の両面設定の設定値には「single_sided」、「double_sided」の2つがある。
【0081】
メーカーCの設定値「single-sided」と、設定値変換テーブル77の設定値「single_sided」は、「single」、「sided」の先頭から6文字目まで、8文字目から最後の12文字目までの各位置の文字が計11文字一致し、7文字目の「-」と「_」のみが相異している。このため、一致度は11/12×100=91.7%として算出される。
【0082】
メーカーCの設定値「single-sided」と、設定値変換テーブル77の設定値「double_sided」は、「le」、「sided」の5文字目、6文字目、8文字目から最後の12文字目までの計7文字が一致している。このため、一致度は7/12×100=58.3%として算出される。
【0083】
この場合、両面設定における設定値の差異許容度が70%であるので、前者の「single-sided」と「single_sided」は、91.7%>70%となり、一致すると判定する。一方、後者の「single-sided」と「double_sided」は、58.3%<70%となり、一致しないと判定する。
【0084】
これらの結果、自社機13の値「single_sided」に対応するメーカーCの値として、空欄のカラムには、一致すると判定された「single-sided」を設定する。
【0085】
図24は、差異許容度設定テーブル81を用いた設定値変換テーブルの半自動作成の流れを示したフローチャートである。システム管理者からの指示を受けて、ステップ500から処理を開始する。この処理の開始時には、設定項目変換テーブルは予め作成され、登録されており、設定値変換テーブルも一部を除いて作成され、登録されている。
【0086】
ステップ501では、他社機12のWeb APIに対して設定データの取得要求を送信し、Web APIから設定データを取得する。
図25に、半自動作成において取得される設定データの一例を示す。
図25に示した例では、設定項目「print.double_sided」に対して設定値「single-sided」が対応付けられ、設定項目「print.pages_per_sheet」に対して設定値「2in1」が対応付けられている。
【0087】
ステップ502では、取得した設定データの設定項目のうち、1つの設定項目を選択する。設定項目は、例えば1行目から順に選択することができる。ステップ503では、設定項目変換テーブル76を参照し、他社機12の設定項目に対応する自社機13の設定項目IDを取得する。ここでは、例えば「S001」を取得したとする。
【0088】
ステップ504では、設定値変換テーブル77を参照し、取得した自社機13の設定項目IDで取り得る設定値を全て取得する。
図19に示した設定値変換テーブル77を参照した場合、設定項目ID「S001」の取り得る設定値は、設定項目名「両面設定」の値ID「V001」、「V002」に対応する「single_sided」、「double_sided」の2つとなる。
【0089】
ステップ505では、取得した設定値の中に、他社機12の設定値「single-sided」との差異が許容範囲内のものが存在するかを判定する。
図19に示した例では、許容範囲内の設定値として、差異許容度70%以上で一致と判定される「single_sided」が存在する。このため、ステップ506へ進み、
図26に示すように、空欄のメーカーCの値のカラムに「single-sided」を設定し、空欄を埋めていく。
【0090】
ステップ507では、取得した設定データの設定項目のうち、未選択の設定項目が存在するかを確認する。存在する場合、ステップ502へ戻り、未選択の設定項目の1つを選択する。一方、存在しない場合、ステップ508へ進み、半自動作成を終了する。
【0091】
ここで、他社機12の設定データとして、
図27に示す設定データを取得したとする。
図27に示す設定データは、メーカーCの両面設定の設定値が「SingleSided」とされている。自社機13の設定値は、
図19に示した設定値変換テーブル77に設定された値とする。
【0092】
他社機12の設定値「SingleSided」は、自社機13の値「single_sided」と比較すると、人の目で視認した場合、両文字列は本質的に一致度が高いことが分かる。
【0093】
しかしながら、上記の方法で、先頭から1文字ずつ比較していく方法では、
図28に示すように先頭から6文字目までは一致するが、7文字目以降は一致しない結果となる。すると、自社機13の値を示す文字列(全12文字)に対し、他社機12の設定値を示す文字列の6文字しか一致していないため、一致度は6/12×100=50%にしかならない。これでは、本質的に一致度が高いにもかかわらず、一致しない結果になってしまう。
【0094】
この問題は、英単語を繋ぐ際の繋ぎ方のルールが異なることに起因することから、以下に説明する空白文字を挿入する方法を導入する。空白文字を挿入する方法は、空白文字を挿入する位置に関して2つの方法がある。
【0095】
第1の方法は、文字列を構成する文字が2以上連続して一致し、その後、2以上連続して不一致となった場合、一致する部分と不一致の部分との境界に空白文字を挿入し、一致度を再計算する方法である。
【0096】
自社機13の値「single_sided」と他社機12の設定値「SingleSided」とを単純に比較すると、
図28に示すように50%の一致度しか得られない。先頭から6文字目までは、文字が2以上連続して一致し、7文字目以降は、文字が2以上連続して不一致となっている。したがって、
図29に示すように、6文字目の「e」と7文字目の「S」との間を境界とし、その境界に空白文字を挿入し、一致度を再計算する。すると、12文字中11文字が一致し、一致度が向上して91.7%となる。再計算により一致度が向上する場合、向上した一致度を採用する。この例では、向上した一致度が、70%の差異許容度以上であることから、一致と判定する。
【0097】
自社機13の値「single_sided」と他社機12の設定値「DoubleSided」とを単純に比較すると、
図30に示すように先頭から5文字目「l」と6文字目「e」の2つしか一致しない。このため、16.7%の一致度しか得られない。第1の方法を適用して、2以上連続して一致する「le」と、2以上連続して不一致となる「Sided」との間に空白文字を挿入すると、
図31に示すように7文字が一致し、一致度が向上して58.3%となる。
【0098】
第2の方法は、文字が2以上連続して不一致で、その後、2以上連続して一致となった場合、不一致の部分と一致する部分との境界に空白文字を挿入し、一致度を再計算する方法である。
【0099】
第2の方法を使用した場合、
図32に示すように、2以上連続して不一致となる「Doub」と、2以上連続して一致となる「le」との間を境界とし、その境界に空白文字を挿入すると、5文字が一致し、一致度が41.7%となる。
【0100】
他社機12の設定値「DoubleSided」は、一致度が最も高い値(58.3%)でも差異許容度の70%未満となり、自社機13の値「single_sided」とは不一致と判定する。以上のことから、自社機13の値「single_sided」に対応付けるメーカーCの値には、一致すると判定された「SingleSided」が設定される。
【0101】
上記の方法では、大文字と小文字とを区別することなく判断しているが、設定により区別して判断させることも可能である。書体については、区別することなく判断することができるが、同じく設定により区別して判断させてもよい。
【0102】
以上のようにして、所望のフォーマットの設定データに変換することができるので、設定データを容易に移行することが可能となる。また、設定データの変換に使用する設定値変換テーブルの一部を自動で作成することができるので、システム管理者がテーブルを作成、準備する手間を軽減することができる。
【0103】
これまで本発明を情報処理装置、情報処理システム、変換方法および情報処理装置等のコンピュータに実行させるためのプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。したがって、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0104】
したがって、情報処理システムが実行する方法、上記プログラムが記録された記録媒体、上記プログラムを、ネットワークを介して提供するサーバ装置等も提供することができるものである。
【符号の説明】
【0105】
10…ネットワーク
11…管理サーバ
12…他社機
13…自社機
20…CPU
21…ROM
22…RAM
23…HD
24…HDDコントローラ
25…ディスプレイ
26…ディスプレイI/F
27…外部機器接続I/F
28…ネットワークI/F
29…バスライン
30…キーボード
31…マウス
32…DVD-RWドライブ
33…メディアI/F
34…DVD-RW
35…記録メディア
40…コントローラ
41…近距離通信回路
41a…近距離通信用アンテナ
42…エンジン制御部
43…操作パネル
43a…パネル表示部
43b…操作ボタン
44…ネットワークI/F
50…CPU
51…MEM-P
51a…ROM
51b…RAM
52…NB
53…SB
54…ASIC
55…MEM-C
56…HDDコントローラ
57…HD
58…AGPバス
59…PCIバス
60…スキャナ部
61…プリンタ部
70…取得部
71…記憶部
72…処理部
73…変換部
74…送信部
75…機器情報
76…設定項目変換テーブル
77…設定値変換テーブル
78…設定データ
79…編集部
80…作成部
81…差異許容度設定テーブル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】