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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ポリマー光導波路及び複合光導波路
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20231205BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/36 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020519633
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2019019005
(87)【国際公開番号】W WO2019221083
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2018096373
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】大原 盛輝
(72)【発明者】
【氏名】武信 省太郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 直哉
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022719(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327749(US,A1)
【文献】特開平01-283507(JP,A)
【文献】特開平07-027942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0097470(US,A1)
【文献】特開2002-031731(JP,A)
【文献】特開2018-021945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、前記コアよりも屈折率が低く前記コアの周囲に存在するアンダークラッド、および前記コアよりも屈折率が低く前記アンダークラッドとは反対側のコア周囲に存在するオーバークラッド、を備え、
の伝播方向に沿って、オーバークラッドが存在せず、コアおよび該コアの周辺のアンダークラッドが露出した結合部と、前記コアがアンダークラッドとオーバークラッドとで被覆された光導波部とを有する、ポリマー光導波路、および、
前記ポリマー光導波路の前記結合部とアディアバティック結合されたシリコン光導波路を含む、複合光導波路であって、
前記ポリマー光導波路は、光の伝播方向に沿って、コア幅が異なる部位を有しており、
コア幅が最も狭い部位aのコア幅をWa(μm)とし、前記部位aのコア高さをHa(μm)とした時、前記Haが1.3μm以上4.5μm以下であり、Ha/Waが1.15以下であり、
前記部位aが前記光導波部に存在している、複合光導波路
【請求項2】
前記Waが1.3μm以上4.5μm以下である、請求項1に記載の複合光導波路
【請求項3】
光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコアを有しており、前記ポリマー光導波路の一端側と他端側とで、複数のコア間のピッチが異なっており、前記ポリマー光導波路は、複数のコア間のピッチを変換するピッチ変換領域を有しており、該ピッチ変換領域におけるコア幅をWp(μm)としたとき、Wpが2.2μm以上6μm以下である、請求項1または2に記載の複合光導波路
【請求項4】
前記アンダークラッドと前記オーバークラッドとの屈折率差の絶対値が0.001以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合光導波路
【請求項5】
前記コアと前記アンダークラッドとの比屈折率差u、および、前記コアと前記オーバークラッドとの比屈折率差oが、いずれも、0.006~0.017である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合光導波路
【請求項6】
前記結合部におけるコア幅をWs(μm)としたとき、Wsが3μm以上8μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合光導波路
【請求項7】
光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコアを有しており、前記複数のコアの少なくとも一つは、前記結合部を有しておらず、前記光導波部のみを有している、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合光導波路
【請求項8】
前記コアがフッ素を含むポリマーからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合光導波路
【請求項9】
前記ポリマー光導波路の前記光導波部を収容するコネクタをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合光導波路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー光導波路及び複合光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンチップ上にシリコンの光回路を集積化する技術であるシリコンフォトニクスが注目されている。シリコンフォトニクスにおいては、光集積回路に形成されたシリコン光導波路と光ファイバとの間で光信号を伝達する導波路として、アディアバティック結合を利用したポリマー光導波路が知られている(例えば、特許文献1参照)。このポリマー光導波路を用いると、シリコン光導波路と光ファイバとの伝搬損失を低減することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1のポリマー光導波路を用いた場合のシリコン光導波路と光ファイバとの伝搬損失の低減度合では十分ではなく、さらに低損失でシリコン光導波路と光ファイバとを接続することが求められている。
【0004】
また、ポリマー光導波路の生産性の向上や検査性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2014-81586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、シリコン光導波路とのアディアバティック結合、および光ファイバとの接続を低損失で達成することができ、生産性の高いポリマー光導波路の提供を課題とする。また、検査が容易なポリマー光導波路の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、コア、前記コアよりも屈折率が低く前記コアの周囲に存在するアンダークラッド、および前記コアよりも屈折率が低く前記アンダークラッドとは反対側のコア周囲に存在するオーバークラッド、を備えるポリマー光導波路であって、
前記ポリマー光導波路は、光の伝播方向に沿って、オーバークラッドが存在せずコアおよび該コアの周辺のアンダークラッドが露出した結合部と、前記コアがアンダークラッドとオーバークラッドとで被覆された光導波部とを有し、
前記ポリマー光導波路は、光の伝播方向に沿って、コア幅が異なる部位を有しており、
コア幅が最も狭い部位aのコア幅をWa(μm)とし、前記部位aのコア高さをHa(μm)とした時、前記Haが1.3μm以上4.5μm以下であり、Ha/Waが1.15以下である、ポリマー光導波路を提供する。
【0008】
本発明のポリマー光導波路において、前記部位aが前記光導波部に存在していることが好ましい。
【0009】
本発明のポリマー光導波路において、前記Waが1.3μm以上4.5μm以下であることが好ましい。
【0010】
本発明のポリマー光導波路は、光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコアを有しており、前記ポリマー光導波路の一端側と他端側とで、複数のコア間のピッチが異なっており、前記ポリマー光導波路は、複数のコア間のピッチを変換するピッチ変換領域を有しており、該ピッチ変換領域のおけるコア幅をWp(μm)としたとき、Wpが2.2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0011】
本発明のポリマー光導波路において、前記アンダークラッドと前記オーバークラッドとの屈折率差の絶対値が0.001以下であることが好ましい。
【0012】
本発明のポリマー光導波路において、前記コアと前記アンダークラッドとの比屈折率差u、および、前記コアと前記オーバークラッドとの比屈折率差oが、いずれも、0.006~0.017であることが好ましい。
【0013】
本発明のポリマー光導波路において、前記結合部におけるコア幅をWs(μm)としたとき、Wsが3μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明のポリマー光導波路は、光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコアを有しており、前記複数のコアの少なくとも一つは、前記結合部を有しておらず、前記光導波部のみを有していてもよい。
【0015】
本発明のポリマー光導波路において、前記コアがフッ素を含むポリマーからなることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、本発明のポリマー光導波路と、該ポリマー光導波路の前記光導波部を収容するコネクタと、を含む複合光導波路を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリマー光導波路では、製造時におけるコアの膜剥がれが抑制され、生産性が向上する。
本発明のポリマー光導波路では、シリコン光導波路とのアディアバティック結合を低損失で達成できる。
本発明のポリマー光導波路では、ピッチ変換領域での曲げ損失を低減できる。
本発明のポリマー光導波路では、シングルモード光ファイバとの接続を低損失で達成できる。
光導波部のみを有する光学測定用コアを備えた本発明のポリマー光導波路では、伝播損失測定等の検査を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明のポリマー光導波路の一構成例を示した斜視図である。
図2図2は、図1に示すポリマー光導波路10の光導波部15側の端面図である。
図3図3は、図1に示すポリマー光導波路10の結合部14側の端面図である。
図4図4は、ポリマー光導波路の別の一構成例であり、ポリマー光導波路とシリコン光導波路と、がアディアバティック結合された複合光導波路の一構成例を示した斜視図である。
図5図5は、図4の複合光導波路20の側面図である。
図6図6は、図4のポリマー光導波路40の斜視図である。但し、ポリマー光導波路40は上下反転させている。
図7図7は、ポリマー光導波路のさらに別の一構成例の平面図である。
図8図8の(a)~(e)は、ポリマー光導波路のさらに別の構成例の平面図である。
図9図9は、例1-1~例1-9でポリマー光導波路とシリコン光導波路とのアディアバティック結合部における接続損失をシミュレーション解析した際の評価モデルを示した縦断面図である。
図10図10は、図9の評価モデルを示した横断面図である。
図11図11は、例2-1~例2-25でポリマー光導波路の曲げ損失をシミュレーション解析した際の評価モデルを示した端面図である。
図12図12は、例3-1~例3-34でポリマー光導波路とシングルモード光ファイバとのバット結合(正対結合)部における接続損失をシミュレーション解析した際のポリマー光導波路の評価モデルを示した端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のポリマー光導波路の一構成例を示した斜視図である。図1に示すポリマー光導波路10は、コア11a,11b、コア11a,11bよりも屈折率が低くコア11a,11bの周囲に存在するアンダークラッド12、およびコア11a,11bよりも屈折率が低くアンダークラッド12とは反対側のコア11a,11b周囲に存在するオーバークラッド13とを備えている。ポリマー光導波路10は、光の伝播方向に沿って、オーバークラッド13が存在せずコア11a,11bおよび該コア11a,11bの周辺のアンダークラッド12が露出した結合部14と、コア11a,11bがアンダークラッド12とオーバークラッド13とで被覆された光導波部15とを有している。
【0020】
図1に示すポリマー光導波路10では、該ポリマー光導波路10におけるコアの光の伝播方向(以下、本明細書において、「ポリマー光導波路における光の伝播方向」と言う。)に沿って、2つのコア11a,11bが並列して配置されている。但し、本発明のポリマー光導波路におけるコアの数はこれに限定されず、コアの数は1つでも、3つ以上でもよい。
【0021】
図1に示すポリマー光導波路10は、ポリマー光導波路における光の伝播方向に沿ってコア幅が異なる部位を有している。具体的には、該ポリマー光導波路10における光の伝播方向の一端側と他端側とがコア幅が異なっている。
本明細書において、「コア幅」と言った場合、ポリマー光導波路における光の伝播方向に垂直な断面における、ポリマー光導波路の厚み方向と垂直方向でのコアの幅を指す。
本明細書において、「コア高さ」と言った場合、ポリマー光導波路における光の伝播方向に垂直な断面における、ポリマー光導波路の厚み方向でのコアの高さを指す。
【0022】
図2は、図1に示すポリマー光導波路10の光導波部15側の端面図であり、図3は、図1に示すポリマー光導波路10の結合部14の端面図である。
図2に示すように、ポリマー光導波路10の光導波部15側(一端側)は、コア11a,11bのコア高さとコア幅とが略同一の四辺形である。
図3に示すように、ポリマー光導波路10の結合部14側(他端側)は、コア11a,11bのコア高さよりもコア幅が長い四辺形である。
図示したポリマー光導波路10は、光導波部15側(一端側)に比べて、結合部14側(他端側)で、コア11a,11bのコア幅が広くなっている。
【0023】
図示したポリマー光導波路10において、光導波部15側(一端側)の端面が、コア幅が最も狭い部位aである。
ポリマー光導波路10は、該部位aにおけるコア幅をWa(μm)とし、コア高さをHa(μm)としたとき、Haが1.3μm以上4.5μm以下であり、Ha/Waが1.15以下である。
図2に示すポリマー光導波路10において、コア11aのコア幅Waa、コア高さHaa、コア11bのコア幅Wab、コア高さHabのいずれも、上記を満たす。
【0024】
光導波部15側の端面である部位aは、シングルモード光ファイバとの接続部として用いられる。部位aのコア高さHaが1.3μm以上であることにより、シングルモード光ファイバと低損失で接続できる。部位aのコア高さHaは、好ましくは1.4μm以上、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは1.6μm以上、最も好ましくは1.8μm以上である。
但し、部位aのコア高さHaが大きくなると、後述する手順でポリマー光ファイバを作製する際に、コアの膜剥がれが起こりやすくなる。コアの膜剥がれは、作製されたポリマー光導波路の断線等の問題を生じるため問題となる。そのため、部位aのコア高さHaは、4.5μm以下とする。部位aのコア高さHaは、好ましくは2.2μm以下、より好ましくは2.1μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。
なお、ポリマー光導波路10は、コア11a,11bのコア高さが、光の伝播方向に沿って基本的には一定である。そのため、部位aのコア高さHa(Haa,Hab)が上記範囲であれば、他の部位のコア高さも上記範囲である。したがって、結合部14側の端面のコア高さも上記範囲である。
【0025】
また、部位aにおけるコア高さHaが4.5μm以下であっても、部位aにおけるコアが、コア幅Waが狭く、コア高さHaが高い場合は、後述する手順でポリマー光ファイバを作製する際に、コアの膜剥がれが起こりやすくなる。そのため、部位aにおけるコア高さHaと、コア幅Waとの比(Ha/Wa)が1.15以下である。Ha/Waは、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.9以下である。
上述したように、ポリマー光導波路10は、コア11のコア高さが、光の伝播方向に沿って一定である。一方、部位aはコア11のコア幅が最も狭い部位であるので、部位a以外の部位は、コア11のコア幅がWa以上である。そのため、部位aのHa/Waが上記範囲であれば、他の部位のコア高さと、コア幅との比も上記範囲である。
【0026】
部位aにおけるコア高さHa、およびコア高さHaと、コア幅Waとの比(Ha/Wa)との関係から、コア幅Waは1.3μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、1.8μm以上がさらに好ましく、2.0μm以上が特に好ましい。
また、コア幅Waは4.5μm以下が好ましく、4.0μm以下がより好ましく、3.5μm以下がさらに好ましく、3.0μm以下が特に好ましい。
【0027】
本発明のポリマー光導波路は、コア幅が最も狭い部位aが図示した部位以外の部位に存在してもよいが、シングルモード光ファイバとの接続に用いられる光導波部に存在することが好ましい。
【0028】
図3に示すポリマー光導波路10において、オーバークラッド13が存在せずコア11a,11bおよび該コア11a,11bの周辺のアンダークラッド12が露出した結合部14は、シリコン光導波路とのアディアバティック結合部位として用いられる。
図示したポリマー光導波路10において、結合部14におけるコア11a,11bのコア幅Ws(Wsa,Wsb)が3μm以上であることが、シリコン光導波路と低損失で接続できるため好ましい。結合部14におけるコア11a,11bのコア幅Ws(Wsa,Wsb)は、より好ましくは3.5μm以上、さらに好ましくは4μm以上である。
図示したポリマー光導波路10において、結合部14におけるコア11a,11bのコア幅Ws(Wsa,Wsb)が8μm以下であることが、シリコン光導波路と低損失で接続できるため好ましい。結合部14におけるコア11a,11bのコア幅Ws(Wsa,Wsb)は、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは6μm以下である。
【0029】
図4は、本発明のポリマー光導波路の別の一構成例と、シリコン光導波路と、がアディアバティック結合された複合光導波路の一構成例を示した斜視図であり、図5は、図4の複合光導波路20の側面図である。
図4に示す複合光導波路20では、シリコン光導波路30と、ポリマー光導波路40とがアディアバティック結合している。図4に示すポリマー光導波路40は、コア41、アンダークラッド42、および、オーバークラッド43を備えている点、ならびに、結合部44と、光導波部45とを有している点は、図1に示したポリマー光導波路10と同様である。図4に示すポリマー光導波路40は、結合部44でシリコン光導波路30とアディアバティック結合している。ポリマー光導波路40の光導波部45は、シングルモード光ファイバ等とのバット結合(正対結合)用のコネクタ50に収容されている。
【0030】
図6は、図4に示すポリマー光導波路40の斜視図である。但し、ポリマー光導波路40は上下反転させている。
図6に示すポリマー光導波路40は、光の伝播方向に沿って並列に配置された複数、具体的には8つのコア41を有している。ポリマー光導波路40の光導波部45側(一端側)と、結合部44側(他端側)とで、複数のコア41間のピッチが異なっている。光導波部45側(一端側)においては、ピッチは100~500μmが好ましく、125~250μmがより好ましい。結合部44側(他端側)においては、ピッチは20~200μmが好ましく、30~100μmがより好ましい。そのため、図6に示すポリマー光導波路40は、複数のコア間のピッチを変換するピッチ変換領域46を有している。
該ピッチ変換領域46において、コア41の曲げ半径が大きいとピッチ変換に要する距離が長くなり、ポリマー光導波路40が大きくなる。そのため、コア41の曲げ半径が小さいほうが好ましい。但し、コア41の曲げ半径を小さくすると、曲げ損失が大きくなる。
【0031】
上述したように、部位a以外の部位は、コア11のコア幅がWa以上である。したがって、ピッチ変換領域46におけるコア幅をWp(μm)としたとき、WpはWa以上である。Wpは2.2μm以上が、ピッチ変換領域46でのコア41の曲げ損失が抑制されるため好ましい。コア幅Wpは、より好ましくは、3μm以上、さらに好ましくは3.5μm以上、さらに好ましくは4μm以上、最も好ましくは4.5μm以上である。
但し、ピッチ変換領域46におけるコア幅Wpが大きくなると、コア41を伝播する光のモードが乱れるおそれがある。そのため、ピッチ変換領域46におけるコア幅Wpは6μm以下が好ましく、より好ましくは5.5μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下である。
【0032】
ピッチ変換領域46におけるコア41の曲げ半径は特に限定されない。但し、ポリマー光導波路40のサイズを小さくするためには、ピッチ変換領域46におけるコア41の曲げ半径は100mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましく、50mm以下がさらに好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がさらに好ましく、12mm以下が最も好ましい。
但し、ピッチ変換領域46におけるコア41の曲げ半径が小さ過ぎると、ピッチ変換領域46におけるコア幅Wpが上記範囲を満たしていても、コア41の曲げ損失が大きくなる。そのため、ピッチ変換領域46におけるコア41の曲げ半径は6mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましい。
なお、光の伝播方向に沿って並列に配置された全てのコアが、上記の曲げ半径を満たしていなくてもよく、一部のコアは曲げ半径が100mm超でもよい。例えば、一部のコアは曲げ半径が200mm以上でもよい。
【0033】
図7は、本発明のポリマー光導波路のさらに別の一構成例の平面図である。図7に示すポリマー光導波路60は、(1)光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコア61a,61b,61c、アンダークラッド62、および、オーバークラッド63を備えている点、(2)オーバークラッド63が存在せずコア61aおよび該コア61aの周辺のアンダークラッド62が露出した結合部64と、コア61a,61b,61cがアンダークラッド62とオーバークラッド63とで被覆された光導波部65とを有している点、(3)ポリマー光導波路60の光導波部65側(一端側)と、結合部64側(他端側)とで、複数のコア61a間のピッチが異なっている点、(4)複数のコア間のピッチを変換するピッチ変換領域66を有している点は、図6に示すポリマー光導波路40と同様である。
但し、図7に示すポリマー光導波路60は、複数のコア61a,61b,61cのうち、一部の複数のコア61b,61cが、オーバークラッド63が存在せずコア、および該コアの周辺のアンダークラッド62が露出した結合部62を有しておらず、光導波部65のみを有していてもよい。
これら光導波部のみを有するコア61b,61cは、伝播損失測定等の検査時に用いられる光学測定用のコアである。光学測定用のコア61b,61cを有することで、伝播損失測定等の検査を容易に行うことができる。これら光学測定用のコア61b,61cは、一端側と、他端側とで、複数のコア61b,61c間のピッチが同一であってもよいし、複数のコア61b,61c間のピッチを変換するピッチ変換領域を有していてもよい。
【0034】
図8の(a)~(e)は、本発明のポリマー光導波路のさらに別の構成例の平面図である。図8の(a)~(e)に示すポリマー光導波路70a~70eは、コア71a~71e、アンダークラッド72a~72e、およびオーバークラッド73a~73eを備えている。但し、コア71a~71eは、光の伝播方向に沿って並列に配置された複数のコアのうち、最も外側に配置された2つのコアのみを示している。図中、右側が、オーバークラッドが存在せずコアおよび該コアの周辺のアンダークラッドが露出した結合部74a~74e、図中、左側が、コアがアンダークラッドとオーバークラッドとで被覆された光導波部75a~75eである。ポリマー光導波路70a~70eは、光導波部75a~75eと、結合部74a~74eとの間に、複数のコア間のピッチを変換するピッチ変換領域76a~76eを有している。
【0035】
図6に示すポリマー光導波路40のように、ポリマー光導波路40の平面形状が矩形の場合、複数のコア41間のピッチが狭い結合部44側には、最も外側に配置されたコア41より外側にアンダークラッド42のみが存在する部位が広く存在する。結合部44に隣接するピッチ変換領域46にも、最も外側に配置されたコア41より外側にアンダークラッド42およびオーバークラッド43のみが存在する部位が広く存在する。これらの部位は、ポリマー光導波路40における光伝播には何ら寄与しないため存在しなくてもよい。
図8の(a)~(e)に示すポリマー光導波路70a~70eは、結合部74a~74e側のアンダークラッド72a~72eのうち、最も外側に配置されたコア71a~71eより外側の部分が打ち抜きにより除去されている。結合部74a~74eに隣接するピッチ変換領域76a~76eのアンダークラッド72a~72e、およびオーバークラッド73a~73eも、最も外側に配置されたコア71a~71eより外側の部分が打ち抜きにより除去されている。これらの形状のポリマー光導波路を使用することにより、シリコンチップのサイズを小さくすることができる。
【0036】
本発明のポリマー光導波路についてさらに記載する。
【0037】
(コア)
本発明のポリマー光導波路において、コアの端面形状は図示した四辺形に限定されない。コアの端面形状(ポリマー光導波路の内部では、ポリマー光導波路における光の伝播方向に垂直なコアの断面形状)は、例えば、台形、円形、楕円形であってもよい。また、コアの端面形状が矩形、略正方形、台形等の多角形である場合は、その角が丸みを帯びていてもよい。コアの端面形状が矩形や略正方形以外の場合、部位aにおけるコア幅Wa、コア高さHa、および結合部におけるコア幅Wsは、それぞれ、端面形状におけるコア幅、コア高さの平均値とする。
【0038】
コアは、その内部に屈折率分布を有していてもよい。この場合、コアの中心に対し遠位側に向けて屈折率が低くなる屈折率分布を有していてもよい。また、オーバークラッド側の屈折率が高くてアンダークラッド側の屈折率が低くなる屈折率分布を有していてもよいし、オーバークラッド側の屈折率が低くてアンダークラッド側の屈折率が高くなる屈折率分布を有していてもよい。
【0039】
(アンダークラッド、オーバークラッド)
アンダークラッドおよびオーバークラッドはコアよりも屈折率が低い。アンダークラッドおよびオーバークラッドは、単一の屈折率を有するものであってもよく、コアに対し近位側と遠位側とで屈折率が異なる部位を有していてもよい。この場合、コアに対し遠位側に向けて屈折率が低くなる構成であってもよく、コアに対し遠位側に向けて屈折率が高くなる構成であってもよい。
【0040】
本発明のポリマー光導波路において、コアとアンダークラッドとの比屈折率差u、および、コアとオーバークラッドとの比屈折率差oが、いずれも、0.006~0.017であることが、シングルモード光ファイバとより低損失で接続でき、ピッチ変換領域を有するポリマー光導波路の場合にピッチ変換領域での曲げ損失を抑制できるため好ましい。コアとアンダークラッドとの比屈折率差u、および、コアとオーバークラッドとの比屈折率差oが、いずれも、より好ましくは0.007~0.015、さらに好ましくは0.008~0.012、さらに好ましくは0.008~0.011である。
コアとアンダークラッドとの比屈折率差uは以下のように、コアの屈折率とアンダークラッドの屈折率を用いて求める。
比屈折率差u=(コアの屈折率-アンダークラッドの屈折率)/アンダークラッドの屈折率
コアとオーバークラッドとの比屈折率差oは以下のように、コアの屈折率とオーバークラッドの屈折率を用いて求める。
比屈折率差o=(コアの屈折率-オーバークラッドの屈折率)/オーバークラッドの屈折率
なお、上述するように、コアが内部に屈折率分布を有する場合、あるいは、アンダークラッドやオーバークラッドがコアに対し近位側と遠位側とで屈折率が異なる部位を有する場合は、コアとアンダークラッドとの比屈折率差uおよびコアとオーバークラッドとの比屈折率差oは、コアは平均の屈折率、アンダークラッドとオーバークラッドはコア近傍側の屈折率を用いて求める。
【0041】
上記でコアとアンダークラッドとの比屈折率差uおよびコアとオーバークラッドとの比屈折率差oを別々に記載したのは、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率が同一でない場合も許容されるためである。
本発明のポリマー光導波路において、アンダークラッドとオーバークラッドとの比屈折率差の絶対値が0.001以下であることが、シングルモード光ファイバとより低損失で接続でき、ピッチ変換領域を有するポリマー光導波路の場合にピッチ変換領域での曲げ損失をより抑制できるため好ましい。アンダークラッドとオーバークラッドとの比屈折率差の絶対値は、好ましくは0.0009以下、より好ましくは0.0008以下、さらに好ましくは0.0006以下である。
【0042】
アンダークラッドおよびオーバークラッドの厚さは特に限定されないが、本発明のポリマー光導波路がシングルモード光導波路の場合、コアの中心から10μm程度の範囲内にあるクラッド部分にも伝搬する光が漏れ出ることから、光の伝搬損失を少なくするという観点から、10μm以上であることが好ましい。また、アンダークラッドおよびオーバークラッドの合計厚さが20~100μmであることが好ましく、30~80μmであることがより好ましい。
【0043】
(結合部)
本発明のポリマー光導波路における結合部は、シリコン光導波路との接続部位として使用するのに十分な長さを有していることが好ましい。具体的には、ポリマー光導波路の光伝搬方向における結合部の長さは100μm以上であることが好ましく、300μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましく、1000μm以上であることがさらに好ましい。
但し、ポリマー光導波路の光伝搬方向における結合部の長さが長すぎると、シリコン光導波路と接着剤(例えば、エポキシ樹脂)を使って接続する際に、接着剤の吸収により接続損失が大きくなるおそれがある。そのため、ポリマー光導波路の光伝搬方向における結合部の長さは、10000μm以下であることが好ましく、5000μm以下であることがより好ましく、3000μm以下であることがさらに好ましい。
【0044】
(構成材料)
本発明のポリマー光導波路において、コア、アンダークラッド、および、オーバークラッドの構成材料は、ポリマー光導波路としての要求特性を満たす限り特に限定されないが、コアがフッ素を含むポリマーからなることがコアを伝搬する光の損失抑制という点で好ましい。
アンダークラッドと、オーバークラッドの構成材料は同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。
【0045】
(製造方法)
本発明のポリマー光導波路の製造方法は特に限定されず、各種方法を用いることができる。具体的には、複製(スタンパ)法、直接露光法、反応性イオンエッチング(RIE)とフォトリソグラフィプロセスを組み合わせる方法、射出成形をもとにした方法、フォトブリーチング法、直接描画法、自己形成法等を用いることができる。
【0046】
本発明のポリマー光導波路の製造方法の一例について説明する。
まず、スピンコート法により、基板の上にアンダークラッドの構成材料である硬化性組成物(A)を含有する塗布液を塗布する。続いて、該硬化性組成物(A)を硬化させてアンダークラッドを形成する。
次に、スピンコート法により、アンダークラッドの上にコアの構成材料である硬化性組成物(B)を含有する塗布液を塗布する。続いて、フォトリソグラフィプロセスにより、該硬化性組成物(B)をパターニングし、アンダークラッドの上にコアを形成する。このとき、コアの幅が光の伝搬方向に沿って異なる形状を形成するには、コアの幅が光の伝搬方向に沿って異なる形状のフォトマスクを用いて露光を行った後、現像することによってコアを形成すればよい。また、コアを形成した後、必要に応じてポストベークを行ってもよい。
次に、スピンコート法により、アンダークラッド及びコアの上にオーバークラッドの構成材料である硬化性組成物(C)を含有する塗布液を塗布する。続いて、該硬化性組成物(C)を硬化させてオーバークラッドを形成する。オーバークラッドを形成する際、フォトリソグラフィプロセスにより、オーバークラッドが存在せず、コアおよび該コアの周辺のアンダークラッドが露出した結合部を形成できる。
【実施例
【0047】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
(参考例1,2)
参考例1,2では、上述の手順でポリマー光導波路を作製して、コア膜剥がれの有無を評価した。但し、参考例1,2のポリマー光導波路は、コアおよびアンダークラッドの全ての部位がオーバークラッドで被覆されており、コア幅がコアの全て部位で同一の構造である。参考例1,2におけるコア幅Wa、コア高さHa、およびHa/Waを以下に示す。
参考例1:
コア幅Wa :2.0μm
コア高さHa:2.0μm
Ha/Wa :1.00
参考例2:
コア幅Wa :1.8μm
コア高さHa:2.5μm
Ha/Wa :1.39
作製したポリマー光導波路を光学顕微鏡で観察したところ、Haが1.3μm以上2.3μm以下を満たし、かつ、Ha/Waが1.15以下の参考例1ではコア膜剥がれは確認されなかったが、Haが1.3μm以上2.3μm以下を満たさず、Ha/Waが1.15超の参考例2ではコア膜剥がれは確認された。
【0049】
以下に示す実施例では、シミュレーション・エンジンである双方向BPM法による光ファイバ・導波路設計・解析ソフトウェアBeamPROP(RSoft Design Group社製)を使用した。中心波長が下記表に示す光について、TEモードとTMモードの光伝搬のシミュレーションを有限差分ビーム伝搬法で行った。
【0050】
(例1-1~例1-13)
ポリマー光導波路とシリコン光導波路とのアディアバティック接続部における接続損失のシミュレーション解析を行った。評価モデルには、ポリマー光導波路とシリコン光導波路とのアディアバティック接続部、すなわち、ポリマー光導波路の接続部と、シリコン光導波路とのアディアバティック接続部を用いた。なお、シミュレーション解析の都合上、ポリマー光導波路は、アディアバティック接続部に対し他端側に長さが短い光導波部を有する構造とした。
図9は、シミュレーション解析に使用した評価モデルを示した縦断面図であり、図10は、該評価モデルの横断面図である。
図9には、ポリマー光導波路80の結合部84が示されている。そのため、ポリマー光導波路80のコア81とアンダークラッド82のみが示されている。図9に示すシリコン光導波路90は、コア91と、クラッド92とで構成されている。図10に示すように、ポリマー光導波路80の光導波部85は、コア81、アンダークラッド82、および、オーバークラッド83を備えている。
図9では、ポリマー光導波路80のコア81と、シリコン光導波路90のコア91と、が対向した状態で配置され、接着剤100により接合されている。シリコン光導波路90の接着剤100側の表面にはバリア層110が形成されている。
評価モデルにおける個々の構造を以下に示す。
<ポリマー光導波路80>
(コア81)
コア幅Ws (下記表に記載の通り)
コア高さHs(下記表に記載の通り)
屈折率 (下記表に記載の通り)
アディアバティック結合部86の長さ 1750μm
(アンダークラッド82)
厚さ 15μm
長さ 3050μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
(オーバークラッド83)
厚さ 15μm
長さ 1000μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
<シリコン光導波路90>
(コア91)
幅 ポリマー光導波路80の反対側からポリマー光導波路80の光導波部85にかけて0.35μmから0.07μmに2次関数で狭くなる構成
高さ 0.16μm
屈折率 3.45
アディアバティック結合部93の長さ 1750μm
(クラッド92)
厚さ 15μm
屈折率 1.45
クラッド92のみが存在する領域94の長さ 250μm
<接着剤100>
樹脂厚(ポリマー光導波路80のコア81とシリコン光導波路90のコア91のそれぞれが向かい合う側の面の距離) 0.5μm
屈折率 1.51
シリコン光導波路90とポリマー光導波路80の光導波部85との間の領域101の長さ 50μm
<バリア層110>
厚さ 0.03μm
屈折率 1.989
【0051】
シミュレーション解析の結果を下記表に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
コア高さHsが1.3μm以上4.5μm以下で、かつ、Wsが3μm以上8μm以下を満たす例1-1~例1-13は、いずれもポリマー光導波路とシリコン光導波路とのアディアバティック接続部における接続損失が小さかった。
【0055】
(例2-1~例2-29)
ポリマー光導波路のピッチ変換領域における曲げ損失のシミュレーション解析を行った。評価モデルには、ポリマー光導波路のピッチ変換領域を疑似的に模擬するため、水平方向に一定の曲率半径で湾曲するコアを1つ有するポリマー光導波路を用いた。
図11は、シミュレーション解析に使用した評価モデルを示した端面図である。図11には、ポリマー光導波路120の疑似ピッチ変換領域として、水平方向に一定の曲率半径で湾曲するコア121がアンダークラッド122とオーバークラッド123とで被覆されたコア湾曲部126が示されている。
評価モデルにおける個々の構造を以下に示す。
<ポリマー光導波路120>
(コア121)
コア幅Wp (下記表に記載の通り)
コア高さHp(下記表に記載の通り)
屈折率 (下記表に記載の通り)
長さ 3000μm
曲率半径R (下記表に記載の通り)
(アンダークラッド122)
厚さ 15μm
長さ 3000μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
(オーバークラッド123)
厚さ 15μm
長さ 3000μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
【0056】
シミュレーション解析の結果を下記表に示した。なお、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率が異なる例については、コアとクラッドとの比屈折率は、アンダークラッドの屈折率とオーバークラッドの屈折率の平均値をクラッドの屈折率として、コアとクラッドとの比屈折率を示した。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
コア湾曲部126におけるコア幅Wpが2.2μm以上6μm以下を満たす例2-1~例2-15、および、例2-18~例2-29は、いずれも曲げ損失が小さかった。一方、コア湾曲部126におけるコア幅Wpが2.2μm未満の例2-16,例2-17は、曲げ損失が大きかった。例2-18~例2-25は、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率が異なっているが、両者の屈折率差が0.001以下であるため、曲げ損失が小さかった。
【0062】
(例3-1~例3-39)
ポリマー光導波路とシングルモード光ファイバとの正対(バット)接続部における接続損失のシミュレーション解析を行った。評価モデルには、ポリマー光導波路とシングルモード光ファイバとの正対(バット)接続部、すなわち、ポリマー光導波路の光導波部と、シングルモード光ファイバとの正対(バット)接続部を用いた。
図12は、シミュレーション解析に使用したポリマー光導波路の評価モデルを示した端面図である。図12には、コア131がアンダークラッド132とオーバークラッド133とで被覆された、ポリマー光導波路130の光導波部135が示されている。
<ポリマー光導波路130>
(コア131)
コア幅Wa (下記表に記載の通り)
コア高さHa(下記表に記載の通り)
屈折率 (下記表に記載の通り)
長さ 3000μm
(アンダークラッド132)
厚さ 15μm
長さ 3000μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
(オーバークラッド133)
厚さ 15μm
長さ 3000μm
屈折率 (下記表に記載の通り)
<シングルモードファイバ>
コア径 8.4μm
コア屈折率 1.47
クラッド屈折率 1.4652
【0063】
シミュレーション解析の結果を下記表に示した。なお、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率が異なる例については、コアとクラッドとの比屈折率は、アンダークラッドの屈折率とオーバークラッドの屈折率の平均値をクラッドの屈折率として、コアとクラッドとの比屈折率を示した。
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】
【表11】
【0069】
コア高さHaが1.3μm以上の例3-1~例3-23、および、例3-26~例3-39は、いずれもシングルモード光ファイバとの接続損失が小さかった。一方、コア高さHaが1.3μm未満の例3-24、例3-25は、シングルモード光ファイバとの接続損失が大きかった。例3-26~例3-34は、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率が異なっているが、両者の屈折率差が0.001以下であるため、シングルモード光ファイバとの接続損失の増加は認められなかった。
【0070】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2018年5月18日出願の日本特許出願2018-096373に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0071】
10:ポリマー光導波路
11a,11b:コア
12:アンダークラッド
13:オーバークラッド
14:結合部
15:光導波部
20:複合光導波路
30:シリコン光導波路
40:ポリマー光導波路
41:コア
42:アンダークラッド
43:オーバークラッド
44:結合部
45:光導波部
46:ピッチ変換領域
50:コネクタ
60:ポリマー光導波路
61a,61b,61c:コア
62:アンダークラッド
63:オーバークラッド
64:結合部
65:光導波部
66:ピッチ変換領域
70a,70b,70c,70d,70e:ポリマー光導波路
71a,71b,71c,71d,71e:コア
72a,72b,72c,72d,72e:アンダークラッド
73a,73b,73c,73d,73e:オーバークラッド
74a,74b,74c,74d,74e:結合部
75a,75b,75c,75d,75e:光導波部
76a,76b,76c,76d,76e:ピッチ変換領域
80:ポリマー光導波路
81:コア
82:アンダークラッド
83:オーバークラッド
84:接続部
85:光導波部
86:アディアバティック結合部
90:シリコン光導波路
91:コア
92: クラッド
93:アディアバティック結合部
94:クラッドのみが存在する領域
100:接着剤
101:シリコン光導波路とポリマー光導波路の光導波部との間の領域
110:バリア層
120:ポリマー光導波路
121:コア
122:アンダークラッド
123:オーバークラッド
126:疑似ピッチ変換領域(コア湾曲部)
130:ポリマー光導波路
131:コア
132:アンダークラッド
133:オーバークラッド
135:光導波部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12