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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/342 20140101AFI20231205BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20231205BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20231205BHJP
   B23K 26/144 20140101ALI20231205BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231205BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231205BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/144
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021508420
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2019012486
(87)【国際公開番号】W WO2020194445
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 壮史
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008493(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186294(WO,A1)
【文献】特開2015-196164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/342
B23K 26/34
B23K 26/21
B23K 26/144
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記動力源が位置する空間から前記支持装置が位置する空間へ火花が入ることを防止する加工システム。
【請求項2】
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記支持装置が位置する空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止する
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記支持装置が位置する空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止する加工システム。
【請求項4】
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記粉体が供給される空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止する
請求項1から3のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項5】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記粉体が供給される空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止する加工システム。
【請求項6】
前記仕切り部材、前記動力伝達部材および前記シール部材は、前記物体の周囲の空間を密閉する
請求項1から5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記仕切り部材、前記動力伝達部材および前記シール部材は、前記支持装置が位置する空間を密閉する
請求項1から6のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記仕切り部材、前記動力伝達部材および前記シール部材は、前記動力源の周囲の空間を密閉する
請求項1から7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が形成される面と交差する方向に前記動力を伝達する
請求項1から8のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項10】
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が形成される面と交差する方向に伸びた軸部材を備える
請求項1から9のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項11】
前記軸部材は、前記交差する方向を中心として回転可能である
請求項10に記載の加工システム。
【請求項12】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が形成される面と交差する方向に伸びた軸部材を備え、
前記軸部材は、前記交差する方向を中心として回転可能である加工システム。
【請求項13】
前記軸部材は、前記交差する方向に沿って移動可能である
請求項10から12のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項14】
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が延びる方向に前記動力を伝達する
請求項1から13のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項15】
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が延びる方向に伸びた軸部材を備える
請求項1から13のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項16】
前記軸部材は、前記延びる方向を中心として回転可能である
請求項15に記載の加工システム。
【請求項17】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が延びる方向に伸びた軸部材を備え、
前記軸部材は、前記延びる方向を中心として回転可能である加工システム。
【請求項18】
前記軸部材は、前記伸びる方向に沿って移動可能である
請求項15から17のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項19】
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に伝達された前記動力により、前記物体と前記加工装置との相対的な位置および相対的な姿勢のうち少なくとも一方が変更される、請求項1から18のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項20】
前記動力源は、電気的に前記動力を発生させる
請求項1から19のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項21】
前記隔離部材は、前記動力源における導通部分を前記物体に前記付加加工が行われる空間から隔てる
請求項20に記載の加工システム。
【請求項22】
前記物体に前記付加加工が行われる空間は不活性ガスで満たされている
請求項1から21のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項23】
前記物体に前記付加加工が行われる空間における酸素濃度は0.5%以下である
請求項1から22のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項24】
前記動力源が位置する空間における酸素濃度は前記物体に前記付加加工が行われる空間における酸素濃度よりも高い
請求項1から23のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項25】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記動力源が位置する空間における酸素濃度は前記物体に前記付加加工が行われる空間における酸素濃度よりも高い加工システム。
【請求項26】
前記物体に前記付加加工が行われる空間の圧力は、前記空間と異なる空間の圧力よりも高い
請求項1から25のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項27】
物体を支持する支持装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、
前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材と
を備え、
前記仕切り部材および前記シール部材は、前記粉体の粉塵爆発を防止する
加工システム。
【請求項28】
前記支持装置は支持面で前記物体を支持し、
前記加工装置は、前記支持面から第1方向に離れて設けられ、
前記動力伝達部材は、前記支持面と前記加工装置との位置関係を、前記第1方向と交差する方向において変更するために前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する
請求項1から27のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項29】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと、
前記仕切り部材および前記シール部材を用いて、前記動力源が位置する空間から前記支持装置が位置する空間へ火花が入ることを防止することと
を含む加工方法。
【請求項30】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと、
前記仕切り部材および前記シール部材を用いて、前記支持装置が位置する空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止することと
を含む加工方法。
【請求項31】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと、
前記仕切り部材および前記シール部材を用いて、前記粉体が供給される空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止することと
を含む加工方法。
【請求項32】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと
を含み、
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が形成される面と交差する方向に伸びており、
前記伝達することは、前記軸部材を前記交差する方向を中心として回転させることを含む
加工方法。
【請求項33】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと
を含み、
前記動力伝達部材は、前記貫通孔が延びる方向に伸びており、
前記伝達することは、前記軸部材を前記延びる方向を中心として回転させることを含む
加工方法。
【請求項34】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと、
前記動力源が位置する空間における酸素濃度を前記物体に前記付加加工が行われる空間における酸素濃度よりも高くすることと
を含む加工方法。
【請求項35】
支持装置によって物体を支持することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に動力源からの動力を動力伝達部材を用いて伝達することと、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間を、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材で仕切ることと、
シール部材で前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールすることと、
前記仕切り部材および前記シール部材によって、前記粉体の粉塵爆発を防止することと
を含む加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、加工動作を行う加工システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉状の材料をエネルギビームで溶融した後に、溶融した材料を固化させることで造形物を形成する加工動作を行う加工システムが記載されている。このような加工システムでは、加工システムの安全性を確保することが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/014909号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、物体を支持する支持装置と、前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、動力を発生させる動力源と、前記支持装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられ、前記動力伝達部材が貫通する貫通孔が形成された仕切り部材と、前記動力伝達部材と前記仕切り部材との間をシールするシール部材とを備える加工システムが提供される。
【0005】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図3図3は、仕切り部材の一部の記載が省略された第1のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図4図4は、仕切り部材の一部の記載が省略されていない第1のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図5図5は、仕切り部材の一部の記載が省略された第2のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図6図6は、仕切り部材の一部の記載が省略されていない第2のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図7図7は、仕切り部材の一部の記載が省略された第3のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図8図8は、仕切り部材の一部の記載が省略されていない第3のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図9図9は、仕切り部材の一部の記載が省略された第4のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図10図10は、仕切り部材の一部の記載が省略されていない第4のステージ装置の構造を示す斜視図である。
図11図11(a)から図11(e)のそれぞれは、ワーク上のある領域において光を照射し且つ造形材料を供給した場合の様子を示す断面図である。
図12図12(a)から図12(c)のそれぞれは、3次元構造物を形成する過程を示す断面図である。
図13図13は、第2実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図14図14は、第2実施形態の加工システムが備える動力源の構造を示す断面図である。
図15図15は、第3実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図16図16は、第3実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図17図17は、第4実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、加工システムの実施形態について説明する。以下では、物体の一例であるワークWに付加加工を行う加工システムSYSを用いて、加工システムの実施形態を説明する。特に、以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)に基づく付加加工を行う加工システムSYSを用いて、加工システムの実施形態を説明する。レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工は、ワークWに供給した造形材料Mを加工光ELで溶融することで、ワークWと一体化された又はワークWから分離可能な3次元構造物STを形成する付加加工である。尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ディレクテッド・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
【0008】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0009】
(1)第1実施形態の加工システムSYS
初めに、第1実施形態の加工システムSYS(以降、第1実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYS1”と称する)について説明する。
【0010】
(1-1)第1実施形態の加工システムSYS1の構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態の加工システムSYS1の構造について説明する。図1は、第1実施形態の加工システムSYS1の構造の一例を示す断面図である。図2は、第1実施形態の加工システムSYS1のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0011】
加工システムSYS1は、3次元構造物ST(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物)を形成可能である。加工システムSYS1は、3次元構造物STを形成するための基礎となるワークW上に、3次元構造物STを形成可能である。このワークWを基材又は台座と称してもよい。加工システムSYS1は、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物STを形成可能である。ワークWが後述するステージ31である場合には、加工システムSYS1は、ステージ31上に、3次元構造物STを形成可能である。ワークWがステージ31によって保持されている(或いは、ステージ31に支持又は載置されている)既存構造物である場合には、加工システムSYS1は、既存構造物上に、3次元構造物STを形成可能である。この場合、加工システムSYS1は、既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価とみなせる。尚、既存構造物は例えば欠損箇所がある要修理品であってもよい。加工システムSYS1は、要修理品の欠損箇所を埋めるように、要修理品に3次元構造物を形成してもよい。或いは、加工システムSYS1は、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、図1は、ワークWが、ステージ31によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0012】
上述したように、加工システムSYS1は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。つまり、加工システムSYS1は、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
【0013】
3次元構造物STを形成するために、加工システムSYS1は、図1及び図2に示すように、材料供給装置1と、加工装置2と、ステージ装置3と、光源4と、ガス供給装置5と、筐体6と、制御装置7とを備える。加工装置2とステージ装置3とのそれぞれの少なくとも一部は、筐体6の内部のチャンバ空間63IN内に収容されている。
【0014】
材料供給装置1は、加工装置2に造形材料Mを供給する。材料供給装置1は、加工装置2が3次元構造物STを形成するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが加工装置2に供給されるように、当該必要な分量に応じた所望量の造形材料Mを供給する。
【0015】
造形材料Mは、所定強度以上の加工光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属材料及び樹脂材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉体である。粉体は、粉状の材料に加えて、粒状の材料を含んでいてもよい。造形材料Mは、例えば、90マイクロメートル±40マイクロメートルの範囲に収まる粒径の粉体を含んでいてもよい。造形材料Mを構成する粉体の平均粒径は、例えば、75マイクロメートルであってもよいし、その他のサイズであってもよい。但し、造形材料Mは、粉体でなくてもよく、例えばワイヤ状の造形材料やガス状の造形材料が用いられてもよい。尚、加工システムSYS1は、造形材料Mを荷電粒子線等のエネルギビームで加工して造形物を形成してもよい。
【0016】
加工装置2は、材料供給装置1から供給される造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成する。造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成するために、加工装置2は、加工ヘッド21を備える。加工ヘッド21は、照射光学系211と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)212とを備えている。加工ヘッド21は、チャンバ空間63IN内に収容されている。但し、加工ヘッド21の少なくとも一部が、筐体6の外部の空間である外部空間64OUTに配置されていてもよい。尚、外部空間64OUTは、加工システムSYS1のオペレータが立ち入り可能な空間であってもよい。
【0017】
照射光学系211は、射出部213から加工光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射光学系211は、加工光ELを発する光源4と、光ファイバやライトパイプ等の不図示の光伝送部材を介して光学的に接続されている。照射光学系211は、光伝送部材を介して光源4から伝搬してくる加工光ELを射出する。照射光学系211は、加工光ELがチャンバ空間63INを進むように加工光ELを射出する。照射光学系211は、照射光学系211から下方(つまり、-Z側)に向けて加工光ELを照射する。照射光学系211の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが支持又は載置されている場合には、照射光学系211は、ワークWに向けて加工光ELを照射する。具体的には、照射光学系211は、加工光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される照射領域EAに加工光ELを照射可能である。更に、照射光学系211の状態は、制御装置7の制御下で、照射領域EAに加工光ELを照射する状態と、照射領域EAに加工光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射光学系211から射出される加工光ELの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0018】
材料ノズル212は、造形材料Mを供給する供給アウトレット214を有する。材料ノズル212は、供給アウトレット214から造形材料Mを供給する(例えば、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。材料ノズル212は、造形材料Mの供給源である材料供給装置1と、不図示のパイプ等を介して物理的に接続されている。材料ノズル212は、パイプを介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、パイプを介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを圧送してもよい。即ち、材料供給装置1からの造形材料Mと搬送用の気体(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)とを混合してパイプを介して材料ノズル212に圧送してもよい。この場合、搬送用の気体として、例えば、ガス供給装置5から供給されるパージガスが用いられてもよい。尚、図1において材料ノズル212は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル212の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル212は、チャンバ空間63INに向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、材料ノズル212から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル212は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。
【0019】
第1実施形態では、材料ノズル212は、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射光学系211に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル212が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル212と照射光学系211とが位置合わせされている。尚、照射光学系211から射出された加工光ELによって形成される溶融池MPに、材料ノズル212が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。
【0020】
ステージ装置3は、ステージ31を備えている。ステージ31は、チャンバ空間63INに収容される。ステージ31は、ワークWを支持可能である。尚、ここで言う「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ワークWがステージ31によって直接的に又は間接的に支えられている状態を意味していてもよい。ステージ31は、ワークWを保持可能であってもよい。つまり、ステージ31は、ワークWを保持することでワークWを支持してもよい。或いは、ステージ31は、ワークWを保持可能でなくてもよい。この場合、ワークWは、ステージ31に載置されていてもよい。つまり、ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを支持してもよい。このとき、ワークWは、クランプレスでステージ31に載置されていてもよい。従って、本実施形態における「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ステージ31がワークWを保持する状態及びワークWがステージ31に載置される状態をも含んでいてもよい。ステージ31を、ワークWを支持する支持装置、ワークWが載置される載置装置又はワークWを保持する保持装置と称してもよい。ステージ31がチャンバ空間63INに収容されるため、ステージ31が支持するワークWもまた、チャンバ空間63INに収容される。更に、ステージ31は、ワークWが保持されている場合には、保持したワークWをリリース可能である。上述した照射光学系211は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において加工ビームPLを照射する。更に、上述した材料ノズル212は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212が供給した造形材料Mの一部は、ワークWの表面からワークWの外部へと(例えば、ステージ31の周囲へと)散乱する又はこぼれ落ちる可能性がある。このため、加工システムSYSaは、ステージ31の周囲に、散乱した又はこぼれ落ちた造形材料Mを回収する回収装置を備えていてもよい。尚、ステージ31は、ワークWを保持するために、機械的なチャックや真空吸着チャック等を備えていてもよい。
【0021】
ステージ装置3は更に、動力源32と、動力伝達部材33とを備えている。動力源32及び動力伝達部材33は、チャンバ空間63IN内でステージ31を移動させるためのステージ駆動系を構成する。
【0022】
動力源32は、ステージ31を移動させるための動力を発生させる装置(つまり、動力発生装置)である。具体的には、動力源32は、電気的に動力を発生させる。つまり、動力源32は、不図示の電源から供給される電流を用いて動力を発生させる。言い換えれば、動力源32は、不図示の電源から供給される電流を動力に変換することで動力を発生させる。電気的に動力を発生させる。動力源32の一例として、モータ等のアクチュエータがあげられる。この場合、動力源32は、着火源となり得る部分(以降、説明の簡略化のために、着火源となる得る部分を単に“着火源”と称する)を含むことになる。着火源の一例として、電流が供給される導通部分(例えば、コイル)があげられる。なぜならば、コイルに導通部分が供給されることで導通部分に電気火花が生ずる及び/又は導通部分が発熱するからである。
【0023】
動力伝達部材33は、動力源32が発生させた動力をステージ31に伝達する装置である。その結果、ステージ31は、動力源32から動力伝達部材33を介して伝達される動力によって移動する。第1実施形態では特に、動力伝達部材33は、動力源32が発生させた動力を、非電気的にステージ31に伝達する。例えば、動力伝達部材33は、動力源32が発生させた動力を、機械的にステージ31に伝達してもよい。例えば、動力伝達部材33は、動力源32とステージ31とを機械的に連結することで、動力源32が発生させた動力をステージ31に伝達してもよい。この場合、動力伝達部材33は、動力源32とは異なり、着火源を備えることはない。動力を機械的に伝達するために、動力伝達部材33は、動力を機械的に伝達可能な部材を備えていてもよい。動力を機械的に伝達可能な部材の一例として、ねじ(例えば、台形ねじ、ボールねじ、すべりねじ及び三角ねじの少なくとも一つ)、歯車(例えば、平歯車、外歯歯車と組み合わせられる内歯歯車、ウォームと組み合わせられるウォーム歯車、かさ歯車、ラック・アンド・ピニオン、ねじ歯車及びハスバ歯車の少なくとも一つ)、ベルト(例えば、平ベルト、丸ベルト、歯付きベルト)、プーリー、ワイヤロープ、チェーン、シャフト及び滑車の少なくとも一つがあげられる。動力伝達部材33は、これらの部材の少なくとも一つを用いて、動力源32からステージ31へと延びる動力伝達経路を形成する。具体的には、動力伝達部材33そのものが動力伝達経路となるがゆえに、動力伝達部材33は、動力源32からステージ31へと延びる。
【0024】
尚、図1は、加工システムSYS1が複数の(図1に示す例では、2つの)動力源32を備える例を示しているが、加工システムSYS1は、単一の動力源32を備えていてもよい。同様に、図1は、加工システムSYS1が複数の(図1に示す例では、2つの)動力伝達部材33を備える例を示しているが、加工システムSYS1は、単一の動力伝達部材33を備えていてもよい。
【0025】
ステージ31が移動すると、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対位置が変化する。このため、動力源32及び動力伝達部材33が構成するステージ駆動系は、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対位置を変更するための装置として機能可能である。
【0026】
ステージ駆動系は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿ってステージ31を移動させてもよい。ステージ31がX軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿って移動すると、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対位置が変化する。このため、動力源32及び動力伝達部材33が構成するステージ駆動系は、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対位置を変更するための装置として機能可能である。尚、ステージ31がX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動する。
【0027】
ステージ駆動系は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿ってステージ31を移動させてもよい。言い換えると、ステージ駆動系は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りにステージ31を回転させてもよい。ステージ駆動系は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りにステージ31の姿勢を変えてもよい。ステージ31がθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿って移動すると、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対的な姿勢が変化する。このため、動力源32及び動力伝達部材33が構成するステージ駆動系は、ステージ31と加工装置2(特に、加工ヘッド21)との相対的な姿勢を変更するための装置として機能可能である。
【0028】
光源4は、例えば、赤外光及び紫外光のうちの少なくとも一つを、加工光ELとして射出する。但し、加工光ELとして、その他の波長の光、例えば可視域の波長の光が用いられてもよい。加工光ELは、レーザ光である。この場合、光源4は、半導体レーザ等のレーザ光源を含んでいてもよい。レーザ光源の一例としては、レーザダイオード(LD:Laser Diode)、ファイバ・レーザ、COレーザ、YAGレーザ及びエキシマレーザ等の少なくとも一つがあげられる。但し、加工光ELはレーザ光でなくてもよいし、光源4は任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)及び放電ランプ等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。
【0029】
ガス供給装置5は、チャンバ空間631INをパージするためのパージガスの供給源である。パージガスは、酸素ガスを含まない(或いは、含んでいたとしてもごく微量の酸素ガスしか含んでいない)ガスである。パージガスは、不活性ガスを含む。不活性ガスの一例として、窒素ガス又はアルゴンガスがあげられる。ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにパージガスを供給する。その結果、チャンバ空間63INは、パージガスによってパージされた空間となる。尚、ガス供給装置5は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが格納されたボンベであってもよい。不活性ガスが窒素ガスである場合には、ガス供給装置5は、大気を原料として窒素ガスを発生する窒素ガス発生装置であってもよい。
【0030】
ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにおける酸素濃度が所定濃度以下になるように、チャンバ空間63INにパージガスを供給してもよい。所定濃度は、加工システムSYS1に対して設定された固定値(或いは、可変値)であってもよい。この場合、所定濃度は、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発(典型的には、粉塵爆発)を防止可能な酸素濃度に設定されてもよい。例えば、所定濃度は、0.5%に設定されてもよい。
【0031】
ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにおける酸素濃度が、外部空間64OUTにおける酸素濃度よりも低くなるように、チャンバ空間63INにパージガスを供給してもよい。つまり、ガス供給装置5は、外部空間64OUTにおける酸素濃度が、チャンバ空間63INにおける酸素濃度よりも高くなるように、チャンバ空間63INにパージガスを供給してもよい。
【0032】
ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにおける圧力が、チャンバ空間63IN以外の空間(例えば、外部空間64OUT)における圧力よりも高くなるように、チャンバ空間63INにパージガスを供給してもよい。つまり、ガス供給装置5は、チャンバ空間63IN以外の空間(例えば、外部空間64OUT)における圧力が、チャンバ空間63INにおける圧力よりも低くなるように、チャンバ空間63INにパージガスを供給してもよい。
【0033】
筐体6は、筐体6の内部空間であるチャンバ空間63INに少なくとも加工装置2及びステージ装置3のそれぞれの少なくとも一部を収容する収容装置である。筐体6は、チャンバ空間63INを規定する仕切り部材61を含む。仕切り部材61は、チャンバ空間63INと、筐体6の外部空間64OUTとを隔てる(つまり、隔離する)部材である。仕切り部材61を隔壁部材と称してもよい。仕切り部材61は、チャンバ空間63INと外部空間64OUTとの間に設けられる部材である。仕切り部材61は、その内壁61ISを介してチャンバ空間63INに面し、その外壁61OSを介して外部空間64OUTに面する。この場合、仕切り部材61によって囲まれた空間(より具体的には、仕切り部材61の内壁61ISによって囲まれた空間)が、チャンバ空間63INとなる。尚、仕切り部材61には、開閉可能な扉が設けられていてもよい。この扉は、ワークWをステージ31に支持する際、およびステージ31からワークWおよび/または造形物を取り出す際に開かれ、且つ造形中には閉じられていてもよい。
【0034】
外部空間64OUTには、動力源32が配置される。つまり、動力源32は、チャンバ空間63INには配置されない。動力源32は、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離されている。動力源32は、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離された位置に配置されている。この場合、仕切り部材61は、チャンバ空間63INを取り囲むことで動力源32をチャンバ空間63INから隔離する部材となる。
【0035】
動力源32が外部空間64OUTに配置されると、動力源32が備える着火源(例えば、上述した導通部分)もまた、外部空間64OUTに配置される。つまり、動力源32が備える着火源は、チャンバ空間63INには配置されない。動力源32が備える着火源は、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離されている。動力源32が備える着火源は、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離された位置に配置されている。この場合、仕切り部材61は、チャンバ空間63INを取り囲むことで動力源32が備える着火源をチャンバ空間63INから隔離する(つまり、動力源32が備える着火源からチャンバ空間63INを隔離する)部材として機能可能である。また、仕切り部材61は、チャンバ空間63INを取り囲むことで、チャンバ空間63INに供給されている造形材料Mが外部空間64OUTに漏れ出ることを防止している。
【0036】
その結果、当該チャンバ空間63INに供給される造形材料M(特に、粉粒体である造形材料M)と、外部空間64OUTに配置されている動力源32が備える着火源との接触が防止される。尚、「造形材料Mと着火源との接触」は、「造形材料Mと着火源とそのものとの接触」のみならず、「造形材料Mと着火源において発生した電気火花等との接触」をも含む。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発(典型的には、粉塵爆発)が防止される。
【0037】
この場合、筐体6は、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発を防止可能な防爆構造を有していてもよい。例えば、筐体6は、動力源32が備える着火源に発生する電気火花又は高温部による造形材料Mの爆発を防止可能な本質安全防爆構造を有していてもよい。例えば、筐体6は、電気火花又は高温部が発生するべきではないチャンバ空間63INに電気火花又は高温部を発生させないように構造上の安全度を増加させた安全増防爆構造を有していてもよい。
【0038】
但し、外部空間64OUTにおいて動力源32が発生させた動力は、チャンバ空間63IN内に配置されるステージ31に伝達される必要がある。このため、動力伝達部材33は、外部空間64OUTにおいて動力源32が発生させた動力を、チャンバ空間63IN内に配置されるステージ31に伝達する。つまり、動力伝達部材33は、外部空間64OUTからチャンバ空間63INに動力を伝達する。この場合、動力伝達部材33の少なくとも一部はチャンバ空間63INに配置される。動力伝達部材33の少なくとも一部がチャンバ空間63INに配置されたとしても、上述したように動力伝達部材33が着火源を備えていないがゆえに、チャンバ空間63IN内における爆発が防止可能であることに変わりはない。
【0039】
外部空間64OUTからチャンバ空間63INに動力を伝達するために、仕切り部材61には、開口65が形成されている。開口65は、外部空間64OUTからチャンバ空間63INに向けて仕切り部材61を貫通する貫通孔である。開口65には、動力伝達部材33の一部が配置される。つまり、動力伝達部材33は、開口65を介して外部空間64OUTからチャンバ空間63INへと延びる。その結果、動力伝達部材33は、開口65を介して、外部空間64OUTからチャンバ空間63INに動力を伝達することができる。つまり、外部空間64OUTにおいて動力源32が発生させた動力は、開口65を介して、チャンバ空間63IN内に配置されるステージ31に伝達される。
【0040】
仕切り部材61に開口65が形成されると、開口65を介してチャンバ空間63INと外部空間64OUTとがつながる。このため、開口65を規定する仕切り部材61の壁面と開口65に配置される動力伝達部材33との間に隙間(特に、相対的に大きな隙間)が存在する場合には、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと、動力源32が備える着火源とが、開口65を介して接触してしまう可能性がある。このため、開口65は、シール部材66によってシールされていてもよい。シール部材66は、開口65を規定する仕切り部材61の壁面と開口65に配置される動力伝達部材33との間をシールする部材である。具体的には、シール部材66は、開口65を規定する仕切り部材61の壁面と開口65に配置される動力伝達部材33との間の隙間を埋めるための部材である。尚、ここで言う「仕切り部材61の壁面と動力伝達部材33との間の隙間を埋める」ことは、仕切り部材61の壁面と動力伝達部材33との間の隙間を完全になくす(つまり、ふさぐ)ことを意味していてもよいし、仕切り部材61の壁面と動力伝達部材33との間の隙間を、チャンバ空間63INを密閉することができる程度に小さくすることを意味していてもよい。つまり、シール部材66は、チャンバ空間63INを密閉する(つまり、チャンバ空間63INの気密性を維持する)部材として機能可能である。より具体的には、シール部材66は、仕切り部材61及び動力伝達部材33と共に、チャンバ空間63INを密閉する。尚、シール部材66の一例として、ゴムシール、オイルシール及びラビリンスシールの少なくとも一つがあげられる。
【0041】
シール部材66によって開口65がシールされると、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと動力源32が備える着火源との開口65を介して接することが防止される。つまり、シール部材66は、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと動力源32が備える着火源との開口65を介して接することを防止するための部材として機能可能である。具体的には、例えば、シール部材66は、仕切り部材61及び動力伝達部材33と共に、外部空間64OUTにおいて動力源32が発生させた電気火花が、開口65を介して、造形材料Mが供給されるチャンバ空間63INに入ることを防止する部材として機能可能である。例えば、シール部材66は、仕切り部材61及び動力伝達部材33と共に、チャンバ空間63INに供給された造形材料Mが、開口65を介して、着火源を含む動力源32が配置される外部空間64OUTに入ることを防止する部材として機能可能である。
【0042】
制御装置7は、加工システムSYS1の動作を制御する。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(或いは、CPUに加えて又は代えてGPU(Graphics Processing Unit))と、メモリとを含んでいてもよい。制御装置7は、CPUがコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYS1の動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置7が行うべき後述する動作を制御装置7(例えば、CPU)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYS1に後述する動作を行わせるように制御装置7を機能させるためのコンピュータプログラムである。CPUが実行するコンピュータプログラムは、制御装置7が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、CPUは、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置7の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0043】
例えば、制御装置7は、照射光学系211による加工光ELの射出態様を制御してもよい。射出態様は、例えば、加工光ELの強度及び加工光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。加工光ELがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さとパルス光の発光周期との比(いわゆる、デューティ比)を含んでいてもよい。また、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さそのものや、発光周期そのものを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、動力源32によるステージ31の移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御してもよい。材料ノズル212による造形材料Mの供給態様は、主として、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様によって定まる。このため、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御することは、材料ノズル212による造形材料Mの供給態様を制御することと等価とみなせる。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)及び供給タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0044】
制御装置7は、加工システムSYS1の内部に設けられていなくてもよく、例えば、加工システムSYS1外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYS1とは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYS1とはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置7は、ネットワークを介して加工システムSYS1にコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYS1は、制御装置7からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。
【0045】
尚、制御装置7は、一部が加工システムSYS1の内部に設けられ、他の一部が加工システムSYS1の外部に設けられていてもよい。
【0046】
尚、CPUが実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置7(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置7内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置7が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0047】
(1-2)ステージ装置3の具体例
続いて、動力源32が外部空間64OUTに配置されるステージ装置3の具体例について説明する。第1実施形態では、加工システムSYS1は、ステージ装置3として、第1のステージ装置3a、第2のステージ装置3b、第3のステージ装置3c及び第4のステージ装置3dの少なくとも一つを用いてもよい。このため、以下では、第1のステージ装置3aから第4のステージ装置3dのそれぞれの構造について順に説明する。尚、以下に説明する第1のステージ装置3aから第4のステージ装置3dはあくまで一例に過ぎない。つまり、加工システムSYS1は、第1のステージ装置3aから第4のステージ装置3dとは異なる構造を有するステージ装置3を備えていてもよい。
【0048】
(1-2-1)第1のステージ装置3aの構造
はじめに、図3及び図4を参照しながら、第1のステージ装置3aの構造について説明する。図3は、仕切り部材61aの一部の図示が省略された第1のステージ装置3aの構造を示す斜視図である。図4は、仕切り部材61bの一部の図示が省略されていない第1のステージ装置3aの構造を示す斜視図である。
【0049】
図3及び図4に示すように、第1のステージ装置3aは、ステージ31の一例であるステージ31aを備えている。第1のステージ装置3aは更に、それぞれが動力源32の一例である3つのモータ32a(具体的には、モータ32a#1、モータ32a#2及びモータ32a#3)を備えている。第1のステージ装置3aは更に、それぞれが動力伝達部材33の一例である3つの動力伝達部材33a(具体的には、動力伝達部材33a#1、動力伝達部材33a#2及び動力伝達部材33a#3)を備えている。動力伝達部材33a#1から33a#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3が発生させた動力をステージ31aに伝達する。
【0050】
動力伝達部材33a#1は、ボールねじ(或いは、すべりねじ、以下同じ)330a#1と、連結部材333a#1とを備える。ボールねじ330a#1は、軸部材331a#1と、ナット332a#1とを備える。動力伝達部材33a#2は、ボールねじ330a#2と、連結部材333a#2とを備える。ボールねじ330a#2は、軸部材331a#2と、ナット332a#2とを備える。動力伝達部材33#3は、ボールねじ330a#2と、連結部材333a#3とを備える。ボールねじ330a#3は、軸部材331a#3と、ナット332a#3とを備える。
【0051】
軸部材331a#1から331a#3のそれぞれは、側面にねじ山が形成されたねじ軸である。軸部材331a#1から331a#3のそれぞれは、Z軸方向に沿って延びるように配置される。軸部材331a#1から331a#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3の回転軸に連結される。軸部材331a#1から331a#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3によってZ軸周りに沿って回転する。その結果、軸部材331a#1から331a#3にそれぞれはめ込まれたナット332a#1から332a#3は、Z軸方向に沿って移動する。このため、軸部材331a#1から軸部材331a#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3が発生させた動力をZ軸方向に沿って伝達することになる。軸部材331a#1から331a#3は、それぞれ、XY平面に沿って面内において、三角形(典型的には、正三角形)の形状の領域の頂点又は当該頂点の近傍に配置される。このため、モータ32a#1から32a#3もまた、XY平面に沿って面内において、三角形(典型的には、正三角形)の形状の領域の頂点又は当該頂点の近傍に配置される。
【0052】
ナット332a#1から332a#3には、それぞれ、連結部材333a#1から333a#3の一端が連結されている。連結部材333a#1から333a#3のそれぞれの他端は、ステージ31aに連結されている。ナット332a#1から332a#3のZ軸方向の移動に合わせて、連結部材333a#1から333a#3の一端もまたそれぞれZ軸方向に沿って移動する。その結果、連結部材333a#1から333a#3の他端は、それぞれ、連結部材333a#1から333a#3の一端の移動に合わせて、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿って移動する。その結果、ステージ31aは、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動する。このような動力伝達部材33a#1から33a#3を備える加工システムSYS1は、いわゆるデルタ型の3Dプリンタと称される。
【0053】
加工システムSYS1が第1のステージ装置3aを備えている場合には、加工システムSYS1は、第1のステージ装置3aに応じた筐体6aを、筐体6として備えている。具体的には、筐体6aは、それぞれが仕切り部材61の一部を構成する天井部材611aと、底部材612aと、支柱部材613a#1と、支柱部材613a#2と、支柱部材613a#3と、側壁部材614a#1と、側壁部材614a#2と、側壁部材614a#3とを備える。天井部材611aは、チャンバ空間63INの上方(つまり、+Z側)の境界を規定する部材である。天井部材611aは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。底部材612aは、チャンバ空間63INの下方(つまり、-Z側)の境界を規定する部材である。底部材612aは、天井部材611aの下方に配置される。底部材612aは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。支柱部材613a#1から613a#3のそれぞれは、底部材612aから天井部材611aに向かって延びる柱状の部材である。つまり、支柱部材613a#1から613a#3のそれぞれは、Z軸方向に沿って延びる柱状の部材である。側壁部材614a#1から614a#3のそれぞれは、チャンバ空間63INの側方の境界を規定する部材である。側壁部材614a#1から614a#3のそれぞれは、Z軸に沿って延びる板状の部材である。側壁部材614a#1は、天井部材611aと底部材612aと支柱部材613a#1と支柱部材613#2との間の開口をふさぐように配置される。但し、図3では、側壁部材614a#1の記載が省略されている。側壁部材614a#2は、天井部材611aと底部材612aと支柱部材613a#2と支柱部材613#3との間の開口をふさぐように配置される。側壁部材614a#3は、天井部材611aと底部材612aと支柱部材613a#3と支柱部材613#1との間の開口をふさぐように配置される。その結果、天井部材611aと、底部材612aと、側壁部材614a#1と、側壁部材614a#2と、側壁部材614a#3とによって囲まれた空間が、チャンバ空間63INとして規定される。尚、チャンバ空間63INの気密性を維持する(その結果、モータ32aからの火花のチャンバ空間63INへの侵入を防止する)ために、天井部材611aと、底部材612aと、支柱部材613a#1と、支柱部材613a#2と、支柱部材613a#3と、側壁部材614a#1と、側壁部材614a#2と、側壁部材614a#3との間の隙間は、シール部材によってシールされていてもよい。
【0054】
チャンバ空間63INには、動力伝達部材33a#1から33a#3が配置される。一方で、外部空間64OUTには、モータ32a#1から32a#3が配置される。但し、軸部材331a#1から軸部材331a#3は、それぞれ、天井部材611aに形成される開口65a#1から65a#3を介して、チャンバ空間63INからモータ32a#1から32a#3の回転軸に向かって延びる。開口65a#1から65a#3のそれぞれは、Z軸方向に沿って天井部材611aを貫通する(つまり、板状の天井部材611aの表面に交差する方向に沿って天井部材611aを貫通する)ようにZ軸方向に沿って延びる貫通孔である。このため、軸部材331a#1から軸部材331aのそれぞれの一部は、外部空間64OUTに配置される。但し、モータ32a#1から32a#3のそれぞれの回転軸が、開口65a#1から65a#3を介して、外部空間64OUTからチャンバ空間63INに延びる場合は、軸部材331a#1から軸部材331aのそれぞれは、外部空間64OUTに配置されていなくてもよい。
【0055】
天井部材611aは、XY平面に沿って面内において、三角形(典型的には、正三角形)の形状を有する。また、Z軸方向に沿って天井部材611aに対向する底部材612aもまた、XY平面に沿って面内において、三角形(典型的には、正三角形)の形状を有する。天井部材611aの三角形の3つの頂点又は当該3つの頂点の近傍には、それぞれ、モータ32a#1から32a#3が配置される。天井部材611aの三角形の3つの頂点又は当該3つの頂点の近傍には、それぞれ、開口65の一例である開口65a#1から65a#3が形成される。開口65a#1から65a#3は、それぞれ、シール部材66の一例であるシール部材66a#1から66a#3によってシールされている。ここで、動力伝達部材33a#1から33a#3の軸部材331a#1から軸部材331a#3が回転しても、軸部材331a#1から軸部材331a#3と開口65a#1から65a#3との間隔が変化しないため、シール部材66a#1から66a#3によるシールの不完全さが生じにくい。尚、天井部材611aは、三角形以外の形状を有していてもよい。例えば、矩形、多角形、円形を有していてもよい。そのときには、チャンバ空間63INの形状も、四角柱、多角柱、円柱となってもよい。
【0056】
(1-2-2)第2のステージ装置3bの構造
続いて、図5及び図6を参照しながら、第2のステージ装置3bの構造について説明する。図5は、仕切り部材61bの一部の図示が省略された第2のステージ装置3bの構造を示す斜視図である。図6は、仕切り部材61bの一部の図示が省略されていない第2のステージ装置3bの構造を示す斜視図である。尚、第1のステージ装置3aが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
図5及び図6に示すように、第2のステージ装置3bは、ステージ31の一例であるステージ31bを備えている。第2のステージ装置3bは、第1のステージ装置3aと同様に、3つのモータ32a(具体的には、モータ32a#1から32a#3)を備えている。第2のステージ装置3bは更に、それぞれが動力伝達部材33の一例である3つの動力伝達部材33b(具体的には、動力伝達部材33b#1、動力伝達部材33b#2及び動力伝達部材33b#3)を備えている。動力伝達部材33b#1から33b#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3が発生させた動力をステージ31bに伝達する。
【0058】
動力伝達部材33b#1は、ドライブシャフト331b#1と、かさ歯車機構332b#1と、ドライブシャフト333b#1と、アーム機構334b#1とを備える。動力伝達部材33b#2は、ドライブシャフト331b#2と、かさ歯車機構332b#2と、ドライブシャフト333b#2と、アーム機構334b#2とを備える。動力伝達部材33b#3は、ドライブシャフト331b#3と、かさ歯車機構332b#3と、ドライブシャフト333b#3と、アーム機構334b#3とを備える。尚、ドライブシャフトは、軸部材と称してもよい。
【0059】
ドライブシャフト331b#1から331b#3のそれぞれは、Z軸方向に沿って延びるように配置される。ドライブシャフト331b#1から331b#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3の回転軸に連結される。ドライブシャフト331b#1から331b#3は、それぞれ、モータ32a#1から32a#3によってZ軸周りに沿って回転する。このため、ドライブシャフト331b#1から331b#3のそれぞれは、Z軸方向に沿って動力を伝達する。ドライブシャフト331b#1から331b#3は、それぞれ、XY平面に沿って面内において、三角形(典型的には、正三角形)の形状の領域の頂点又は当該頂点の近傍に配置される。
【0060】
ドライブシャフト331b#1から331b#3のZ軸周りの回転は、それぞれ、かさ歯車機構332b#2から332b#3によってドライブシャフト333b#1から333b#3に伝達される。その結果、ドライブシャフト333b#1から333b#3のそれぞれは、Z軸に交差する軸周りに回転する。このため、ドライブシャフト333b#1から333b#3のそれぞれは、Z軸方向に交差する方向に沿って動力を伝達する。ドライブシャフト333b#1から333b#3の回転は、それぞれ、アーム機構334b#1から334b#3に伝達される。具体的には、アーム機構334b#1は、ベース部材3341b#1と、関節部材3342b#1と、リンク部材3343b#1と、関節部材3344b#1と、リンク部材3345b#1とを備える。ベース部材3341bは、底部材612aに固定される。ベース部材3341b#1とリンク部材3343b#1とは、関節部材3342b#1によって連結される。関節部材3342b#1には、ドライブシャフト333b#1が連結される。このため、関節部材3342b#1には、ドライブシャフト333b#1の回転が伝達される。ここで、間接部材3342bは、リンク部材3343bに固定される。このため、ドライブシャフト333b#1の回転に伴ってリンク部材3343b#1が移動する。リンク部材3343b#1は、関節部材3344b#1を介してリンク部材3345b#1に連結される。このため、リンク部材3343b#1の移動に伴ってリンク部材3345b#1が移動する。更に、リンク部材3345b#1は、ステージ31bに連結されている。その結果、リンク部材3345b#1の移動に伴ってステージ31bが移動する。説明の簡略化のために詳述しないものの、アーム機構334b#2及び334b#3のそれぞれもまた、アーム機構334b#1と同様の構造を有する。このため、ステージ31bは、アーム機構334b#1から334b#3の動作に合わせて、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動する。
【0061】
加工システムSYS1が第2のステージ装置3bを備えている場合には、加工システムSYS1は、第2のステージ装置3bに応じた筐体6bを、筐体6として備えている。尚、筐体6bは、上述した筐体6aと同一であってもよいため、その詳細な説明を省略する。但し、加工システムSYS1が第2のステージ装置3bを備えている場合には、軸部材331a#1から軸部材331a#3に代えて、ドライブシャフト331b#1から331b#3が、それぞれ、開口65a#1から65a#3を介して、チャンバ空間63INからモータ32a#1から32a#3の回転軸に向かって延びる。
【0062】
(1-2-3)第3のステージ装置3cの構造
続いて、図7及び図8を参照しながら、第3のステージ装置3cの構造について説明する。図7は、仕切り部材61cの一部の記載が省略された第3のステージ装置3cの構造を示す斜視図である。図8は、仕切り部材61cの一部の記載が省略されていない第3のステージ装置3cの構造を示す斜視図である。
【0063】
図7及び図8に示すように、第3のステージ装置3cは、ステージ31の一例であるステージ31cを備えている。第3のステージ装置3cは更に、それぞれが動力源32の一例である2つのモータ32c(具体的には、モータ32c#1及びモータ32c#2)を備えている。第3のステージ装置3cは更に、それぞれが動力伝達部材33の一例である2つの動力伝達部材33c(具体的には、動力伝達部材33c#1及び動力伝達部材33c#2)を備えている。動力伝達部材33c#1から33c#2は、それぞれ、モータ32c#1から32c#2が発生させた動力をステージ31cに伝達する。第3のステージ装置3cは更に、可動ベース333cと可動ベース334cとを備えている。
【0064】
動力伝達部材33c#1は、ベルト3311c#1と、ベルト3312c#1と、ドライブプーリー3321c#1と、ベンドプーリー3322c#1と、ベンドプーリー3323c#1と、ベンドプーリー3324c#1と、ベンドプーリー3325c#1とを備えている。動力伝達部材33c#2は、ベルト3311c#2と、ベルト3312c#2と、ドライブプーリー3321c#2と、ベンドプーリー3322c#2と、ベンドプーリー3323c#2と、ベンドプーリー3324c#2と、ベンドプーリー3325c#2を備えている。
【0065】
ベルト3311c#1は、モータ32c#1の回転軸とドライブプーリー3321c#1の回転軸とをつなぐ。図7及び図8に示す例では、モータ32c#1の回転軸及びドライブプーリー3321c#1の回転軸のそれぞれはZ軸に平行であり、ベルト3311c#1は、X軸方向に沿って延びると共に、X軸方向に沿ってモータ32c#1の回転軸とドライブプーリー3321c#1の回転軸とをつなぐ。従って、ベルト3311c#1は、モータ32c#1の回転軸の回転に伴い、X軸方向に沿って移動する。その結果、ベルト3311c#1の移動に伴い、ドライブプーリー3321c#1は、Z軸周りに回転する。ドライブプーリー3321c#1の回転は、ベルト3312c#1に伝達される。ベルト3312c#1の一端は、ステージ31cの-Y側の端部に接続される。ベルト3312c#1の他端は、ステージ31cの+Y側の端部に接続される。ベルト3312c#1は、ステージ31cの-Y側の端部から、ベンドプーリー3322c#1、ドライブプーリー3321c#1、ベンドプーリー3323c#1、ベンドプーリー3324c#1及びベンドプーリー3325c#1をこの順に経由して、ステージ31cの+Y側の端部に向かって延びる。この場合、ベルト3312c#1は、XY平面に沿った複数の方向のうちの少なくとも一つ(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方)に沿って延びる。
【0066】
ベルト3311c#2は、モータ32c#2の回転軸とドライブプーリー3321c#2の回転軸とをつなぐ。図7及び図8に示す例では、モータ32c#2の回転軸及びドライブプーリー3321c#2の回転軸のそれぞれはZ軸に平行であり、ベルト3311c#2は、X軸方向に沿って延びると共に、X軸方向に沿ってモータ32c#2の回転軸とドライブプーリー3321c#2の回転軸とをつなぐ。従って、ベルト3311c#2は、モータ32c#2の回転軸の回転に伴い、X軸方向に沿って移動する。その結果、ベルト3311c#2の移動に伴い、ドライブプーリー3321c#2は、Z軸周りに回転する。ドライブプーリー3321c#2の回転は、ベルト3312c#2に伝達される。ベルト3312c#2の一端は、ステージ31cの-Y側の端部に接続される。ベルト3312c#2の他端は、ステージ31cの+Y側の端部に接続される。ベルト3312c#2は、ステージ31cの+Y側の端部から、ベンドプーリー3322c#2、ドライブプーリー3321c#2、ベンドプーリー3323c#2、ベンドプーリー3324c#2及びベンドプーリー3325c#2をこの順に経由して、ステージ31cの-Y側の端部に向かって延びる。この場合、ベルト3312c#2は、XY平面に沿った複数の方向のうちの少なくとも一つ(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方)に沿って延びる。
【0067】
可動ベース333cには、ベンドプーリー3322c#1と3325c#2とが配置されている。可動ベース333cは、ベルト3312c#1からベンドプーリー3322c#1に加わる力及び/又はベルト3312c#2からベンドプーリー3325c#2に加わる力により、XY平面に沿って(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って)移動可能である。
【0068】
可動ベース334cには、ベンドプーリー3325c#1と3322c#2とが配置されている。可動ベース334cは、ベルト3312c#1からベンドプーリー3325c#1に加わる力及び/又はベルト3312c#2からベンドプーリー3322c#2に加わる力により、XY平面に沿って(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って)移動可能である。
【0069】
このようなステージ装置3cでは、モータ32c#1及び32c#2の回転軸の回転方向によってステージ31cの移動方向が定まる。
【0070】
具体的には、モータ32c#1及び32c#2のそれぞれの回転軸がZ軸周りであって且つ時計回りに回転している場合には、動力伝達部材33c#1は、モータ32c#1が発生した動力を、ステージ31cを-Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達し、動力伝達部材33c#2は、モータ32c#2が発生した動力を、ステージ31cを-Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達する。その結果、ステージ31cは、-Y側に向かって移動する。
【0071】
モータ32c#1及び32c#2のそれぞれの回転軸がZ軸周りであって且つ反時計回りに回転している場合には、動力伝達部材33c#1は、モータ32c#1が発生した動力を、ステージ31cを+Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達し、動力伝達部材33c#2は、モータ32c#2が発生した動力を、ステージ31cを+Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達する。その結果、ステージ31cは、+Y側に向かって移動する。
【0072】
モータ32c#1の回転軸がZ軸周りであって且つ時計回りに回転している一方で、モータ32c#2の回転軸がZ軸周りであって且つ反時計回りに回転している場合には、動力伝達部材33c#1は、モータ32c#1が発生した動力を、ステージ31cを-Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達し、動力伝達部材33c#2は、モータ32c#2が発生した動力を、ステージ31cを+Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達する。このため、動力伝達部材33c#1を介してステージ31cに伝達される力と、動力伝達部材33c#2を介してステージ31cに伝達される力とが相殺しあう。その結果、ステージ31cはY軸方向に沿って移動しない。一方で、動力伝達部材33c#1を介してステージ31cに伝達される力によってステージ31cが移動しないがゆえに、当該力は、ベンドプーリー3322c#1及び3325c#1を+X側に向けて移動させるように作用する力としてベンドプーリー3322c#1及び3325c#1に作用する。同様に、動力伝達部材33c#2を介してステージ31cに伝達される力によってステージ31cが移動しないがゆえに、当該力は、ベンドプーリー3322c#2及び3325c#2を+X側に向けて移動させるように作用する力としてベンドプーリー3322c#2及び3325c#2に作用する。その結果、ベンドプーリー3322c#1及び3325c#2が配置された可動ベース333cとベンドプーリー3325c#1及び3322c#2が配置された可動ベース334cとが+X側に向かって移動する。その結果、可動ベース333c及び334cの移動に合わせて、ステージ31cが+X側に向かって移動する。
【0073】
モータ32c#1の回転軸がZ軸周りであって且つ反時計回りに回転している一方で、モータ32c#2の回転軸がZ軸周りであって且つ時計回りに回転している場合には、動力伝達部材33c#1は、モータ32c#1が発生した動力を、ステージ31cを+Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達し、動力伝達部材33c#2は、モータ32c#2が発生した動力を、ステージ31cを-Y側に向かって移動させるように作用する力としてステージ31cに伝達する。このため、動力伝達部材33c#1を介してステージ31cに伝達される力と、動力伝達部材33c#2を介してステージ31cに伝達される力とが相殺しあう。その結果、ステージ31cはY軸方向に沿って移動しない。一方で、動力伝達部材33c#1を介してステージ31cに伝達される力によってステージ31cが移動しないがゆえに、当該力は、ベンドプーリー3322c#1及び3325c#1を-X側に向けて移動させるように作用する力としてベンドプーリー3322c#1及び3325c#1に作用する。同様に、動力伝達部材33c#2を介してステージ31cに伝達される力によってステージ31cが移動しないがゆえに、当該力は、ベンドプーリー3322c#2及び3325c#2を-X側に向けて移動させるように作用する力としてベンドプーリー3322c#2及び3325c#2に作用する。その結果、ベンドプーリー3322c#1及び3325c#2が配置された可動ベース333cとベンドプーリー3325c#1及び3322c#2が配置された可動ベース334cとが-X側に向かって移動する。その結果、可動ベース333c及び334cの移動に合わせて、ステージ31cが-X側に向かって移動する。
【0074】
加工システムSYS1が第3のステージ装置3cを備えている場合には、加工システムSYS1は、第3のステージ装置3cに応じた筐体6cを、筐体6として備えている。具体的には、筐体6cは、それぞれが仕切り部材61の一部を構成する天井部材611cと、底部材612cと、側壁部材613cとを備える。天井部材611cは、チャンバ空間63INの上方(つまり、+Z側)の境界を規定する部材である。天井部材611cは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。但し、図7では、天井部材611cの記載が省略されている。底部材612cは、チャンバ空間63INの下方(つまり、-Z側)の境界を規定する部材である。底部材612cは、天井部材611cの下方に配置される。底部材612cは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。側壁部材613cは、チャンバ空間63INの側方の境界を規定する部材である。側壁部材613cは、天井部材611cと底部材612cとの間の空間を取り囲むように配置される。側壁部材613cは、Z軸に沿って延びる筒状の(例えば、角筒状の)部材である。その結果、天井部材611cと、底部材612cと、側壁部材613cとによって囲まれた空間が、チャンバ空間63INとして規定される。尚、チャンバ空間63INの気密性を維持する(その結果、モータ32cからの火花のチャンバ空間63INへの侵入を防止する)ために、天井部材611cと、底部材612cと、側壁部材613cとの間の隙間は、シール部材によってシールされていてもよい。
【0075】
チャンバ空間63INには、動力伝達部材33c#1から33c#2が配置される。一方で、外部空間64OUTには、モータ32c#1から32c#2が配置される。但し、ベルト3311c#1及び3311c#2は、それぞれ、側壁部材613cに形成された開口65c#1及び65c#2を介して、チャンバ空間63INからモータ32c#1及びモータ32c#2の回転軸に向かって延びる。開口65c#1及び65c#2のそれぞれは、X軸方向に沿って側壁部材613cを貫通する(つまり、側壁部材613cの表面(つまり、筐体6cの側面)に交差する方向に沿って側壁部材613cを貫通する)ようにX軸方向に沿って延びる貫通孔である。このため、ベルト3311c#1及び3311c#2のそれぞれの一部は、外部空間64OUTに配置される。また、開口65c#1から65c#2は、それぞれ、シール部材66の一例であるシール部材66c#1から66c#2によってシールされている。ここで、動力伝達部材33c#1から33c#2のベルト3311c#1及び3311c#2が駆動されても、ベルト3311c#1及び3311c#2と開口65a#1及び65a#2との間隔が変化しないため、シール部材66a#1及び66a#2によるシールの不完全さが生じにくい。
【0076】
(1-2-4)第4のステージ装置3dの構造
続いて、図9及び図10を参照しながら、第4のステージ装置3dの構造について説明する。図9は、仕切り部材61dの一部の記載が省略された第4のステージ装置3dの構造を示す斜視図である。図10は、仕切り部材61dの一部の記載が省略されていない第4のステージ装置3dの構造を示す斜視図である。
【0077】
図9及び図10に示すように、第4のステージ装置3dは、ステージ31の一例であるステージ31dを備えている。第4のステージ装置3dは更に、それぞれが動力源32の一例である2つのモータ32d(具体的には、モータ32d#1及びモータ32d#2)を備えている。第4のステージ装置3dは更に、それぞれが動力伝達部材33の一例である2つの動力伝達部材33d(具体的には、動力伝達部材33d#1及び動力伝達部材33d#2)を備えている。動力伝達部材33d#1から33d#2は、それぞれ、モータ32d#1から32d#2が発生させた動力をステージ31dに伝達する。
【0078】
動力伝達部材33d#1は、ベルト3311d#1と、ベルト3312d#1と、ベルト3313d#1と、プーリー3321d#1と、プーリー3322d#1と、プーリー3323d#1と、プーリー3324d#1と、プーリー3325d#1と、ドライブシャフト3331d#1と、ドライブシャフト3332d#1と、可動部材3341d#1と、可動部材3342d#1と、連結部材3351d#1と、連結部材3352d#1とを備えている。動力伝達部材33d#2は、ベルト3311d#2と、ベルト3312d#2と、ベルト3313d#2と、プーリー3321d#2と、プーリー3322d#2と、プーリー3323d#2と、プーリー3324d#2と、プーリー3325d#2と、ドライブシャフト3331d#2と、ドライブシャフト3332d#2と、可動部材3341d#2と、可動部材3342d#2と、連結部材3351d#2と、連結部材3352d#2とを備えている。
【0079】
ベルト3311d#1は、モータ32d#1の回転軸とプーリー3321d#1とをつなぐ。図9及び図10に示す例では、モータ32d#1の回転軸及びプーリー3321d#1の回転軸のそれぞれはX軸に平行であり、ベルト3311d#1は、Y軸方向に沿って延びると共に、Y軸方向に沿ってモータ32d#1の回転軸とプーリー3321d#1の回転軸とをつなぐ。従って、ベルト3311d#1は、モータ32d#1の回転軸の回転に伴い、Y軸方向に沿って移動する。その結果、ベルト3311#1の移動に伴い、プーリー3321d#1は、X軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。プーリー3321d#1には、X軸方向に沿って延びるドライブシャフト3331d#1が連結されている。このため、プーリー3321d#1の回転に合わせて、ドライブシャフト3331d#1もまた、X軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。ドライブシャフト3331d#1の両端には、プーリー3322d#1及び3323d#1がそれぞれ連結されている。このため、ドライブシャフト3331d#1の回転に合わせて、プーリー3322d#1及び3323d#1のそれぞれもまた、X軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。
【0080】
ベルト3312d#1は、Y軸方向に沿って延びる。ベルト3312d#1は、Y軸方向に沿ってプーリー3322d#1とプーリー3324d#1とをつなぐ。ベルト3313d#1は、Y軸方向に沿って延びる。ベルト3313d#1は、Y軸方向に沿ってプーリー3323d#1とプーリー3325d#1とをつなぐ。プーリー3324d#1及び3325d#1は、X軸方向に沿って延びるドライブシャフト3332d#1の両端に連結されている。このため、プーリー3322d#1及び3323d#1の回転に合わせて、プーリー3324d#1及び3325#1並びにドライブシャフト3332d#1もまた、X軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。その結果、プーリー3322d#1の回転が、プーリー3322d#1とプーリー3324d#1とをつなぐベルト3312d#1のY軸方向における移動に変換される。同様に、プーリー3323d#1の回転が、プーリー3323d#1とプーリー3325d#1とをつなぐベルト3313d#1のY軸方向における移動に変換される。
【0081】
ベルト3312d#1には、可動部材3341d#1が固定されている。このため、ベルト3312d#1のY軸方向における移動に合わせて、可動部材3341d#1がY軸方向に沿って移動する。ベルト3313d#1には、可動部材3342d#1が固定されている。このため、ベルト3313d#1のY軸方向における移動に合わせて、可動部材3342d#1がY軸方向に沿って移動する。連結部材3351d#1は、可動部材3341d#1とステージ31dとを連結する。連結部材3352d#1は、可動部材3342d#1とステージ31dとを連結する。具体的には、ベルト3312d#1及び3313d#1並びに可動部材3341d#1及び3342d#1は、ベルト3312d#1とベルト3313d#1とがX軸方向に沿ってステージ31dを挟み込み且つ可動部材3341d#1と可動部材3342d#1とがX軸方向に沿ってステージ31dを挟み込むように配置される。このため、連結部材3351d#1及び3352d#1は、X軸方向に沿ってステージ31dを支持するようにステージ31dに連結される。この場合、可動部材3341d#1及び3342d#1のY軸方向における移動に合わせて、ステージ31dがY軸方向に沿って移動する。このため、モータ32d#1及び動力伝達部材33d#1は、主として、ステージ31dをY軸方向に沿って移動させるための駆動系として機能する。
【0082】
ベルト3311d#2は、モータ32d#2の回転軸とプーリー3321d#2とをつなぐ。図9及び図10に示す例では、モータ32d#2の回転軸及びプーリー3321d#2の回転軸のそれぞれはY軸に平行であり、ベルト3311d#2は、X軸方向に沿って延びると共に、X軸方向に沿ってモータ32d#2の回転軸とプーリー3321d#2の回転軸とをつなぐ。従って、ベルト3311d#2は、モータ32d#2の回転軸の回転に伴い、X軸方向に沿って移動する。その結果、ベルト3311#2の移動に伴い、プーリー3321d#2は、Y軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。プーリー3321d#2には、Y軸方向に沿って延びるドライブシャフト3331d#2が連結されている。このため、プーリー3321d#2の回転に合わせて、ドライブシャフト3331d#2もまた、Y軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。ドライブシャフト3331d#2の両端には、プーリー3322d#2及び3323d#2がそれぞれ連結されている。このため、ドライブシャフト3331d#2の回転に合わせて、プーリー3322d#2及び3323d#2のそれぞれもまた、Y軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。
【0083】
ベルト3312d#2は、X軸方向に沿って延びる。ベルト3312d#2は、X軸方向に沿ってプーリー3322d#2とプーリー3324d#2とをつなぐ。ベルト3313d#2は、X軸方向に沿って延びる。ベルト3313d#2は、X軸方向に沿ってプーリー3323d#2とプーリー3325d#2とをつなぐ。プーリー3324d#2及び3325d#2は、Y軸方向に沿って延びるドライブシャフト3332d#2の両端に連結されている。このため、プーリー3322d#2及び3323d#2の回転に合わせて、プーリー3324d#2及び3325#2並びにドライブシャフト3332d#2もまた、Y軸周り(或いは、Z軸に交差する軸周り)に回転する。その結果、プーリー3322d#2の回転が、プーリー3322d#2とプーリー3324d#2とをつなぐベルト3312d#2のX軸方向における移動に変換される。同様に、プーリー3323d#2の回転が、プーリー3323d#2とプーリー3325d#2とをつなぐベルト3313d#2のX軸方向における移動に変換される。
【0084】
ベルト3312d#2には、可動部材3341d#2が固定されている。このため、ベルト3312d#2のX軸方向における移動に合わせて、可動部材3341d#2がX軸方向に沿って移動する。ベルト3313d#2には、可動部材3342d#2が固定されている。このため、ベルト3313d#2のX軸方向における移動に合わせて、可動部材3342d#2がX軸方向に沿って移動する。連結部材3351d#2は、可動部材3341d#2とステージ31dとを連結する。連結部材3352d#2は、可動部材3342d#2とステージ31dとを連結する。具体的には、ベルト3312d#2及び3313d#2並びに可動部材3341d#2及び3342d#2は、ベルト3312d#2とベルト3313d#2とがX軸方向に沿ってステージ31dを挟み込み且つ可動部材3341d#2と可動部材3342d#2とがY軸方向に沿ってステージ31dを挟み込むように配置される。このため、連結部材3351d#2及び3352d#2は、Y軸方向に沿ってステージ31dを支持するようにステージ31dに連結される。この場合、可動部材3341d#2及び3342d#2のX軸方向における移動に合わせて、ステージ31dがX軸方向に沿って移動する。このため、モータ32d#2及び動力伝達部材33d#2は、主として、ステージ31dをX軸方向に沿って移動させるための駆動系として機能する。
【0085】
尚、X軸方向に沿ってステージ31dと可動部材3341d#1及び3342d#1とをそれぞれ連結する連結部材3351d#1及び3352d#1は、X軸方向に沿って伸縮可能である。その結果、可動部材3341d#2及び3342d#2の移動に合わせたステージ31dのX軸方向における移動が、連結部材3351d#1及び3352d#1によって妨げられることがなくなる。同様に、Y軸方向に沿ってステージ31dと可動部材3341d#2及び3342d#2とをそれぞれ連結する連結部材3351d#2及び3352d#2は、Y軸方向に沿って伸縮可能である。その結果、可動部材3341d#1及び3342d#1の移動に合わせたステージ31dのY軸方向における移動が、連結部材3351d#2及び3352d#2によって妨げられることがなくなる。
【0086】
加工システムSYS1が第4のステージ装置3dを備えている場合には、加工システムSYS1は、第4のステージ装置3dに応じた筐体6dを、筐体6として備えている。具体的には、筐体6dは、それぞれが仕切り部材61の一部を構成する天井部材611dと、底部材612dと、側壁部材613dとを備える。天井部材611dは、チャンバ空間63INの上方(つまり、+Z側)の境界を規定する部材である。天井部材611dは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。但し、図9では、天井部材611dの記載が省略されている。底部材612dは、チャンバ空間63INの下方(つまり、-Z側)の境界を規定する部材である。底部材612dは、天井部材611dの下方に配置される。底部材612dは、例えば、XY平面に沿った板状の部材である。側壁部材613dは、チャンバ空間63INの側方の境界を規定する部材である。側壁部材613dは、天井部材611dと底部材612dとの間の空間を取り囲むように配置される。側壁部材613dは、Z軸に沿って延びる筒状の(例えば、角筒状の)部材である。その結果、天井部材611dと、底部材612dと、側壁部材613dとによって囲まれた空間が、チャンバ空間63INとして規定される。尚、チャンバ空間63INの気密性を維持する(その結果、モータ32dからの火花のチャンバ空間63INへの侵入を防止する)ために、天井部材611dと、底部材612dと、側壁部材613dとの間の隙間は、シール部材によってシールされていてもよい。
【0087】
チャンバ空間63INには、動力伝達部材33d#2から33d#2が配置される。一方で、外部空間64OUTには、モータ32d#1から32d#2が配置される。但し、ベルト3311d#1及び3311d#2は、それぞれ、側壁部材613dに形成された開口65d#1及び65d#2を介して、チャンバ空間63INからモータ32d#1及びモータ32d#2の回転軸に向かって延びる。開口65d#1は、Y軸方向に沿って側壁部材613dを貫通する(つまり、側壁部材613dの表面(つまり、筐体6dの側面)に交差する方向に沿って側壁部材613dを貫通する)ようにY軸方向に沿って延びる貫通孔である。開口65d#2は、X軸方向に沿って側壁部材613dを貫通する(つまり、側壁部材613dの表面(つまり、筐体6dの側面)に交差する方向に沿って側壁部材613dを貫通する)ようにX軸方向に沿って延びる貫通孔である。このため、ベルト3311d#1及び3311d#2のそれぞれの一部は、外部空間64OUTに配置される。また、開口65d#1から65d#2は、それぞれ、シール部材66の一例であるシール部材66#1から66d#2によってシールされている。
【0088】
(1-3)加工システムSYS1の加工動作
続いて、加工システムSYS1による加工動作(つまり、3次元構造物STを形成するための動作)について説明する。上述したように、加工システムSYS1は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成する。このため、加工システムSYS1は、レーザ肉盛溶接法に準拠した既存の加工動作(この場合、造形動作)を行うことで、3次元構造物STを形成してもよい。以下、レーザ肉盛溶接法を用いて3次元構造物STを形成する加工動作の一例について簡単に説明する。
【0089】
加工システムSYS1は、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータ(例えば、CAD(Computer Aided Design)データ)等に基づいて、ワークW上に3次元構造物STを形成する。3次元モデルデータとして、加工システムSYS1内に設けられた不図示の計測装置で計測された立体物の計測データ、及び、加工システムSYS1とは別に設けられた3次元形状計測機の計測データの少なくとも一方を用いてもよい。3次元形状計測機の一例として、ワークWに対して移動可能でワークWに接触可能なプローブを有する接触型の3次元座標測定機があげられる。3次元形状計測機の一例として、非接触型の3次元計測機があげられる。非接触型の3次元計測機の一例として、パターン投影方式の3次元計測機、光切断方式の3次元計測機、タイム・オブ・フライト方式の3次元計測機、モアレトポグラフィ方式の3次元計測機、ホログラフィック干渉方式の3次元計測機、CT(Computed Tomography)方式の3次元計測機、及び、MRI(Magnetic resonance imaging)方式の3次元計測機等の少なくとも一つがあげられる。尚、3次元モデルデータとしては、例えばSTL(Stereo Lithography)フォーマット、VRML(Virtual Reality Modeling Language)フォーマット、AMF(Additive Manufacturing File Format)、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)フォーマット、VDA-FS(Association of German Automotive Manufactures-Surfaces Interface)フォーマット、HP/GL(Hewlett-Packard Graphics Language)フォーマット、ビットマップフォーマット等を用いることができる。
【0090】
加工システムSYS1は、3次元構造物STを形成するために、例えば、Z軸方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に形成していく。例えば、加工システムSYS1は、3次元構造物STをZ軸方向に沿って輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していく。その結果、複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが形成される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで3次元構造物STを形成する動作の流れについて説明する。
【0091】
まず、各構造層SLを形成する動作について図11(a)から図11(e)を参照して説明する。加工システムSYS1は、制御装置7の制御下で、ワークWの表面又は形成済みの構造層SLの表面に相当する造形面MS上の所望領域に照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して照射光学系211から加工光ELを照射する。尚、照射光学系211から照射される加工光ELが造形面MS上に占める領域を照射領域EAと称してもよい。第1実施形態においては、加工光ELのフォーカス位置(つまり、集光位置)が造形面MSに一致している。その結果、図11(a)に示すように、照射光学系211から射出された加工光ELによって造形面MS上の所望領域に溶融池(つまり、加工光ELによって溶融した金属のプール)MPが形成される。更に、加工システムSYS1は、制御装置7の制御下で、造形面MS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル212から造形材料Mを供給する。ここで、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAは、溶融池MPが形成された領域に設定されている。このため、加工システムSYS1は、図11(b)に示すように、溶融池MPに対して、材料ノズル212から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。ステージ31の移動に伴って溶融池MPに加工光ELが照射されなくなると、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて固化(つまり、凝固)する。その結果、図11(c)に示すように、固化した造形材料Mが造形面MS上に堆積される。つまり、固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成される。
【0092】
このような加工光ELの照射による溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの固化を含む一連の造形処理が、図11(d)に示すように、加工ヘッド21に対してステージ31をXY平面に沿って相対的に移動されながら繰り返される。つまり、加工ヘッド21に対してステージ31が相対的に移動すると、造形面MSに対して照射領域EAもまた相対的に移動する。従って、一連の造形処理が、造形面MSに対して照射領域EAをXY平面に沿って(つまり、二次元平面内において)相対的に移動されながら繰り返される。この際、加工光ELは、造形面MS上において造形物を形成したい領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射される一方で、造形面MS上において造形物を形成したくない領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射されない(造形物を形成したくない領域には照射領域EAが設定されないとも言える)。つまり、加工システムSYS1は、造形面MS上を所定の移動軌跡に沿って照射領域EAを移動させながら、造形物を形成したい領域の分布の態様に応じたタイミングで加工光ELを造形面MSに照射する。尚、造形物を形成したい領域の分布の態様を分布パターンとも構造層SLのパターンとも称してもよい。その結果、溶融池MPもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。具体的には、溶融池MPは、造形面MS上において、照射領域EAの移動軌跡に沿った領域のうち加工光ELが照射された部分に順次形成される。更に、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。その結果、図11(e)に示すように、造形面MS上に、凝固した造形材料Mによる造形物の集合体に相当する構造層SLが形成される。つまり、溶融池MPの移動軌跡に応じたパターンで造形面MS上に形成された造形物の集合体に相当する構造層SL(つまり、平面視において、溶融池MPの移動軌跡に応じた形状を有する構造層SL)が形成される。なお、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合、加工光ELを照射領域EAに照射するとともに、造形材料Mの供給を停止してもよい。また、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合に、造形材料Mを照射領域ELに供給するとともに、溶融池MPができない強度の加工光ELを照射領域ELに照射してもよい。尚、上述した説明では、造形面MSに対して照射領域EAを移動させたが、照射領域EAに対して造形面MSを移動させてもよい。
【0093】
加工システムSYS1は、このような構造層SLを形成するための動作を、制御装置7の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、3次元モデルデータを積層ピッチでスライス処理してスライスデータを作成する。尚、加工システムSYS1の特性に応じてこのスライスデータを一部修正したデータを用いてもよい。加工システムSYS1は、ワークWの表面に相当する造形面MS上に1層目の構造層SL#1を形成するための動作を、構造層SL#1に対応する3次元モデルデータ、即ち構造層SL#1に対応するスライスデータに基づいて行う。例えば、加工システムSYS1は、構造層SL#1に対応するスライスデータのうち構造層SL#1が存在する領域を通過する、照射領域EA(供給領域MA)の軌跡であるツールパスに関する情報を用いて動作されてもよい。その結果、造形面MS上には、図12(a)に示すように、構造層SL#1が形成される。その後、加工システムSYS1は、構造層SL#1の表面(つまり、上面)を新たな造形面MSに設定した上で、当該新たな造形面MS上に2層目の構造層SL#2を形成する。構造層SL#2を形成するために、制御装置7は、まず、ステージ31がZ軸に沿って移動するようにステージ駆動系(特に、動力源32)を制御する。具体的には、制御装置7は、ステージ駆動系を制御して、照射領域EA及び供給領域MAが構造層SL#1の表面(つまり、新たな造形面MS)に設定されるように、-Z側に向かってステージ31を移動させる。これにより、加工光ELのフォーカス位置が新たな造形面MSに一致する。その後、加工システムSYS1は、制御装置7の制御下で、構造層SL#1を形成する動作と同様の動作で、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#1上に構造層SL#2を形成する。その結果、図12(b)に示すように、構造層SL#2が形成される。以降、同様の動作が、ワークW上に形成するべき3次元構造物STを構成する全ての構造層SLが形成されるまで繰り返される。その結果、図12(c)に示すように、複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが形成される。
【0094】
(1-4)加工システムSYS1の技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の加工システムSYS1によれば、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。また、加工システムSYS1では、着火源を備えている動力源32が、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離された外部空間64OUTに配置される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発が防止される。
【0095】
尚、造形材料Mがチャンバ空間63INに供給されている期間中は、チャンバ空間63INは、パージガスでパージされた空間である。このため、仮に動力源32がチャンバ空間63INに配置されていたとしても、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発が生ずることはない。しかしながら、動力源32がチャンバ空間63INから隔離された位置に配置されていれば、チャンバ空間63INがパージガスでパージされていない場合であっても、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源32が備える着火源との接触に起因した爆発が生ずることはない。このため、加工システムSYS1は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされていない場合であっても、動力源32が発生させた動力を用いてステージ31を移動させることができるという効果を享受することができる。
【0096】
(2)第2実施形態の加工システムSYS
続いて、図13を参照しながら、第2実施形態の加工システムSYS(以降、第2実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYS2”と称する)について説明する。図13は、第2実施形態の加工システムSYS2の構造の一例を示す断面図である。尚、第1実施形態の加工システムSYS1が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0097】
図13に示すように、加工システムSYS2は、加工システムSYS1と比較して、ステージ装置3に代えてステージ装置3eを備えているという点で異なる。更に、加工システムSYS2は、開口65が筐体6に形成されていなくてもよいと言う点において、開口65が筐体6に形成されている加工システムSYS1とは異なる。加工システムSYS2のその他の特徴は、加工システムSYS1と同一であってもよい。
【0098】
ステージ装置3eは、ステージ装置3と比較して、動力源32に代えて動力源34eを備えていると言う点で異なる。更に、ステージ装置3eは、動力源34eがチャンバ空間63INに配置されていてもよいと言う点において、動力源32が外部空間64OUTに配置される(つまり、チャンバ空間63INに配置されない)ステージ装置3とは異なる。ステージ装置3eのその他の特徴は、ステージ装置3と同一であってもよい。
【0099】
動力源34eは、防爆構造を有すると言う点で、防爆構造を有していなくてもよい動力源32とは異なる。具体的には、動力源34eは、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源34eが備える着火源との接触に起因した爆発を防止可能な防爆構造を有している。例えば、動力源34eは、動力源34eが備える着火源に起因したチャンバ空間63IN内における造形材料Mの爆発を防止可能な本質安全防爆構造を有していてもよい。或いは、例えば、動力源34eは、電気火花又は高温部が発生するべきではないチャンバ空間63INに電気火花又は高温部を発生させないように構造上の安全度を増加させた安全増防爆構造を有していてもよい。動力源34eのその他の特徴は、動力源32と同一であってもよい。以下、図14を参照しながら、防爆構造を有する動力源34eの構造について説明する。図14は、第2実施形態の加工システムSYS2が備える動力源34eの構造を示す断面図である。
【0100】
図14に示すように、動力源34eは、筐体341eと、動力源342eと、動力伝達部材343eとを備える
筐体341eは、筐体341eの内部空間である収容空間344eに少なくとも動力発生源342を収容する収容装置である。筐体341eは、収容空間344eを規定する仕切り部材3411eを含む。仕切り部材3411eは、収容空間344eと、筐体341eの外部の空間とを隔てる(つまり、隔離する)部材である。第2実施形態では、動力源34eがチャンバ空間63INに配置されているがゆえに、筐体341eの外部の空間は、チャンバ空間63INの少なくとも一部を含む。仕切り部材3411eは、その内壁を介して収容空間344eに面し、その外壁を介して筐体341eの外部の空間(つまり、チャンバ空間63IN)に面する。この場合、仕切り部材3411eによって囲まれた空間(より具体的には、仕切り部材3411eの内壁によって囲まれた空間)が、収容空間344eとなる。
【0101】
動力源342eは、ステージ31を移動させるための動力を発生させる装置である。具体的には、動力源342eは、電気的に動力を発生させる。つまり、動力源342eは、不図示の電源から供給される電流を用いて動力を発生させる。言い換えれば、動力源342eは、不図示の電源から供給される電流を動力に変換することで動力を発生させる。動力源342eの一例として、モータがあげられる。この場合、動力源342eは、着火源を含むことになる。着火源の一例として、既に上述したように、電流が供給される導通部分(例えば、コイル)があげられる。尚、上述した動力源32が、動力源342eとして用いられてもよい。この場合、動力源34eは、筐体341eと、筐体341eの内部空間344eに収容された動力源32とを備える装置と等価であると言える。
【0102】
動力源342eが内部空間344eに配置されると、動力源342eが備える着火源もまた、内部空間344eに配置される。つまり、動力源342eが備える着火源は、チャンバ空間63INには配置されない。動力源342eが備える着火源は、仕切り部材3411eによってチャンバ空間63INから隔離されている。動力源342eが備える着火源は、仕切り部材3411eによってチャンバ空間63INから隔離された位置に配置されている。この場合、仕切り部材3411eは、内部空間344eを取り囲むことで動力源342eが備える着火源をチャンバ空間63INから隔離する(つまり、動力源342eが備える着火源からチャンバ空間63INを隔離する)部材として機能可能である。
【0103】
その結果、当該チャンバ空間63INに供給される造形材料M(特に、粉粒体である造形材料M)と、内部空間344eに配置されている動力源342eが備える着火源との接触が防止される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源342eが備える着火源との接触に起因した爆発(典型的には、粉塵爆発)が防止される。
【0104】
この場合、筐体341eは、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと駆動力発生源342eが備える着火源との接触に起因した爆発を防止可能な防爆構造を有していてもよい。例えば、筐体341eは、動力源342eが備える着火源に発生する電気火花又は高温部による造形材料Mの爆発を防止可能な本質安全防爆構造を有していてもよい。或いは、例えば、筐体341eは、電気火花又は高温部が発生するべきではないチャンバ空間63INに電気火花又は高温部を発生させないように構造上の安全度を増加させた安全増防爆構造を有していてもよい。
【0105】
動力伝達部材343eは、動力源342eが発生させた動力を、動力源34eの外部(特に、動力伝達部材33)に伝達する部材である。動力源342eが筐体341eの内部空間344eに配置されているがゆえに、動力伝達部材343eは、内部空間344eで動力源342eが発生させた動力を、内部空間344eから動力源34eの外部に伝達する部材である。動力伝達部材343eは、動力源342eが発生させた動力を、非電気的に伝達する。例えば、動力伝達部材343eは、動力源342eが発生させた動力を、機械的に伝達してもよい。例えば、動力伝達部材343eは、動力源342eと動力伝達部材33とを機械的に連結することで、動力源342eが発生させた動力を動力源34eの外部に伝達してもよい。動力を機械的に伝達可能な部材の一例は、既に上述したとおりである。尚、上述した動力伝達部材33の少なくとも一部が、動力伝達部材343eとして用いられてもよい。
【0106】
内部空間344eからチャンバ空間63INに動力を伝達するために、仕切り部材3411eには、開口3412eが形成されている。開口3412eは、内部空間344eからチャンバ空間63INに向けて仕切り部材3411eを貫通する貫通孔である。開口3412eには、動力伝達部材343eの一部が配置される。つまり、動力伝達部材343eは、開口3412eを介して内部空間344eからチャンバ空間63INへと延びる。その結果、動力伝達部材343eは、開口3412eを介して、内部空間344eからチャンバ空間63INに動力を伝達することができる。つまり、内部空間344eにおいて動力源342eが発生させた動力は、開口3412eを介して、チャンバ空間63IN内に配置されるステージ31に伝達される。
【0107】
仕切り部材3411eに開口3412eが形成されると、開口3412eを介して内部空間644eとチャンバ空間63INとがつながる。このため、開口3412eを規定する仕切り部材3411eの壁面と開口3412eに配置される動力伝達部材343eとの間に隙間(特に、相対的に大きな隙間)が存在する場合には、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと、動力源342eが備える着火源とが、開口3412eを介して接触してしまう可能性がある。このため、開口3412eは、シール部材345eによってシールされていてもよい。シール部材345eは、開口3412eを規定する仕切り部材3411eの壁面と開口3412eに配置される動力伝達部材343eとの間をシールする部材である。具体的には、シール部材345eは、開口3412eを規定する仕切り部材3411eの壁面と開口3412eに配置される動力伝達部材343eとの間の隙間を埋めるための部材である。尚、ここで言う「仕切り部材3411eの壁面と動力伝達部材343eとの間の隙間を埋める」ことは、「仕切り部材3411eの壁面と動力伝達部材343eとの間の隙間を完全になくす(つまり、ふさぐ)」ことを意味していてもよいし、仕切り部材3411eの壁面と動力伝達部材343eとの間の隙間を、内部空間344eを密閉することができる程度に小さくすることを意味していてもよい。つまり、シール部材345eは、内部空間344eを密閉する(つまり、内部空間344eの気密性を維持する)部材として機能可能である。より具体的には、シール部材345eは、仕切り部材3411e及び動力伝達部材343eと共に、内部空間344eを密閉する。尚、シール部材345eの一例として、ゴムシール、オイルシール及びラビリンスシールの少なくとも一方があげられる。
【0108】
シール部材345eによって開口3412eがシールされると、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと動力源342eが備える着火源との開口3412eを介した接触が防止される。つまり、シール部材345eは、チャンバ空間63IN内の造形材料Mと動力源342eが備える着火源との開口3412eを介した接触を防止するための部材として機能可能である。具体的には、例えば、シール部材345eは、仕切り部材3411e及び動力伝達部材343eと共に、内部空間344eにおいて動力源342eが発生させた電気火花が、開口3412eを介して、造形材料Mが供給されるチャンバ空間63INに入ることを防止する部材として機能可能である。例えば、シール部材345eは、仕切り部材3411e及び動力伝達部材343eと共に、チャンバ空間63INに供給された造形材料Mが、開口3412eを介して、着火源を含む動力源342eが配置される内部空間344eに入ることを防止する部材として機能可能である。
【0109】
以上説明した第2実施形態の加工システムSYS2によれば、第1実施形態の加工システムSYS1と同様に、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。また、加工システムSYS2では、動力源34eが備える着火源(例えば、動力源342eの着火源)が、仕切り部材3411eによってチャンバ空間63INから隔離された内部空間344eに配置される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源34eが備える着火源との接触に起因した爆発が防止される。つまり、第2実施形態の加工システムSYS2は、第1実施形態の加工システムSYS1が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。また、加工システムSYS2では、動力源34eがチャンバ空間63INに収容可能となるため、動力源34eの配置の自由度が増す。
【0110】
尚、動力源34eは、チャンバ空間63INとは異なる位置に配置されていてもよい。例えば、動力源34eは、第1実施形態の動力源32と同様に、外部空間64OUTに配置されていてもよい。或いは、加工システムSYS2は、チャンバ空間63INに配置される動力源34eに加えて、外部空間64OUTに配置される動力源32も備えていてもよい。
【0111】
(3)第3実施形態の加工システムSYS
続いて、図15及び図16を参照しながら、第5実施形態の加工システムSYS(以降、第3実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYS3”と称する)について説明する。図15は、第3実施形態の加工システムSYS3の構造の一例を示す断面図である。図16は、第3実施形態の加工システムSYS3のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。尚、第1実施形態の加工システムSYS1が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0112】
図15及び図16に示すように、加工システムSYS3は、加工システムSYS1及びSYS2の少なくとも一方と比較して、加工装置2に代えて加工装置2fを備えていると言う点で異なる。更に、加工システムSYS2は、加工システムSYS1と比較して、ステージ装置3に代えてステージ装置3fを備えていると言う点で異なる。加工システムSYS3のその他の特徴は、加工システムSYS1及びSYS2の少なくとも一方と同一であってもよい。
【0113】
加工装置2fは、加工装置2と比較して、動力源22fと動力伝達機構23fとを更に備えていると言う点で異なる。動力源22f及び動力伝達機構23fは、チャンバ空間63IN内で加工ヘッド21を移動させるためのヘッド駆動系を構成する。加工装置2fのその他の特徴は、加工装置2と同一であってもよい。
【0114】
動力源22fは、加工ヘッド21を移動させるための動力を発生させる装置であるという点で、ステージ31を移動させるための動力を発生させる装置である動力源32とは異なる。動力源22fのその他の特徴は、動力源32と同一であってもよい。
【0115】
動力伝達機構23fは、動力源22fが発生させた動力を加工ヘッド21に伝達する装置であるという点で、動力源32が発生させた動力をステージ31に伝達する装置である動力伝達部材33とは異なる。このため、動力伝達機構23fは、動力源22fから加工ヘッド21へと延びる動力伝達経路を形成する。具体的には、動力伝達機構23fそのものが動力伝達経路となるがゆえに、動力伝達機構23fは、動力源22fから加工ヘッド21へと延びる。その結果、加工ヘッド21は、動力源22fから動力伝達機構23fを介して伝達される動力によって移動する。動力伝達機構23fのその他の特徴は、動力伝達部材33と同一であってもよい。
【0116】
尚、図15は、加工システムSYS3が複数の(図15に示す例では、2つの)動力源22fを備える例を示しているが、加工システムSYS3は、単一の動力源22fを備えていてもよい。同様に、図15は、加工システムSYS3が複数の(図15に示す例では、2つの)動力伝達機構23fを備える例を示しているが、加工システムSYS3は、単一の動力伝達機構23fを備えていてもよい。
【0117】
動力源22fは、動力源32と同様に、外部空間64OUTに配置される。つまり、動力源22fは、動力源32と同様に、チャンバ空間63INには配置されない。このため、動力源22fが備える着火源もまた、チャンバ空間63INには配置されない。その結果、当該チャンバ空間63INに供給される造形材料M(特に、粉粒体である造形材料M)と、外部空間64OUTに配置されている動力源22fが備える着火源との接触が防止される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源22fが備える着火源との接触に起因した爆発(典型的には、粉塵爆発)が防止される。
【0118】
但し、外部空間64OUTにおいて動力源22fが発生させた動力は、チャンバ空間63IN内に配置される加工ヘッド21に伝達される必要がある。このため、動力伝達機構23fは、動力伝達部材33と同様に、開口65を介して外部空間64OUTからチャンバ空間63INへと延びる。その結果、動力伝達機構23fは、開口65を介して、外部空間64OUTからチャンバ空間63INに動力を伝達することができる。つまり、外部空間64OUTにおいて動力源22fが発生させた動力は、開口65を介して、チャンバ空間63IN内に配置される加工ヘッド21に伝達される。また、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、開口65は、シール部材66によってシールされていてもよい。
【0119】
ステージ装置3fは、ステージ装置3と比較して、動力源32と動力伝達機構33とを備えていなくてもよいと言う点で異なる。ステージ装置3fは、ステージ装置3eと比較して、動力源34eと動力伝達機構33とを備えていなくてもよいと言う点で異なる。但し、ステージ装置3は、動力源32及び34eの少なくとも一方と動力伝達部材33とを備えていてもよい。ステージ装置3fのその他の特徴は、ステージ装置3又は3eと同一であってもよい。
【0120】
以上説明したように、第3実施形態の加工システムSYS3によれば、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。また、加工システムSYS3では、着火源を備えている動力源22fが、仕切り部材61によってチャンバ空間63INから隔離された外部空間64OUTに配置される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源22fが備える着火源との接触に起因した爆発が防止される。また、加工システムSYS3は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされていない場合であっても、動力源22fが発生させた動力を用いて加工ヘッド21を移動させることができるという効果を享受することができる。
【0121】
(4)第4実施形態の加工システムSYS
続いて、図17を参照しながら、第4実施形態の加工システムSYS(以降、第4実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYS4”と称する)について説明する。図17は、第4実施形態の加工システムSYS4の構造の一例を示す断面図である。尚、第3実施形態の加工システムSYS3が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0122】
図17に示すように、加工システムSYS4は、加工システムSYS3と比較して、加工装置2fに代えて加工装置2gを備えているという点で異なる。更に、加工システムSYS4は、開口65が筐体6に形成されていなくてもよいと言う点において、開口65が筐体6に形成されている加工システムSYS3とは異なる。加工システムSYS4のその他の特徴は、加工システムSYS3と同一であってもよい。
【0123】
加工装置2gは、加工装置2fと比較して、動力源22fに代えて動力源24gを備えていると言う点で異なる。更に、加工装置2gは、動力源24gがチャンバ空間63INに配置されていてもよいと言う点において、動力源22fが外部空間64OUTに配置される(つまり、チャンバ空間63INに配置されない)加工装置2fとは異なる。加工装置2gのその他の特徴は、加工装置2fと同一であってもよい。
【0124】
動力源24gは、防爆構造を有すると言う点で、防爆構造を有していなくてもよい動力源22fとは異なる。具体的には、動力源24gは、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源24gが備える着火源との接触に起因した爆発を防止可能な防爆構造を有している。例えば、動力源24gは、動力源24gが備える着火源に起因したチャンバ空間63IN内における造形材料Mの爆発を防止可能な本質安全防爆構造を有していてもよい。或いは、例えば、動力源24gは、電気火花又は高温部が発生するべきではないチャンバ空間63INに電気火花又は高温部を発生させないように構造上の安全度を増加させた安全増防爆構造を有していてもよい。動力源24gは、第2実施形態で説明した動力源34eと同一の構造を有していてもよい。このため、動力源24gの詳細な説明については省略する。動力源24gのその他の特徴は、動力源22fと同一であってもよい。
【0125】
以上説明した第4実施形態の加工システムSYS4によれば、第3実施形態の加工システムSYS3と同様に、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。また、加工システムSYS4では、動力源24gが備える着火源が、チャンバ空間63INから隔離された空間(例えば、図14に示す、仕切り部材3411eで隔離された内部空間344e)に配置される。このため、チャンバ空間63IN内における造形材料Mと動力源24gが備える着火源との接触に起因した爆発が防止される。つまり、第4実施形態の加工システムSYS4は、第3実施形態の加工システムSYS3が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。また、加工システムSYS4では、動力源24gがチャンバ空間63INに収容可能となるため、動力源24gの配置の自由度が増す。
【0126】
尚、動力源24gは、チャンバ空間63INとは異なる位置に配置されていてもよい。例えば、動力源24gは、第3実施形態の動力源24fと同様に、外部空間64OUTに配置されていてもよい。或いは、加工システムSYS4は、チャンバ空間63INに配置される動力源24gに加えて、外部空間64OUTに配置される動力源22fも備えていてもよい。
【0127】
(5)変形例
上述した説明では、動力伝達部材33は、動力源32が発生させた動力を機械的にステージ31に伝達している。しかしながら、動力伝達部材33は、液圧式動力伝達装置や空圧式動力伝達装置等の流体を利用した動力伝達機構であってもよい。
【0128】
上述した説明では、加工装置2は、造形材料Mに加工光ELを照射することで、造形材料Mを溶融させている。しかしながら、加工装置2は、任意のエネルギビームを造形材料Mに照射することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、加工装置2は、照射光学系211に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含む。
【0129】
上述した説明では、加工システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。しかしながら、加工システムSYSは、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能なその他の方式により造形材料Mから3次元構造物STを形成してもよい。その他の方式として、例えば、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)等の粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)、結合材噴射法(Binder Jetting)又は、レーザメタルフュージョン法(LMF:Laser Metal Fusion)があげられる。或いは、加工システムSYSは、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能な方式とは異なる、付加加工のための任意の方式により3次元構造物STを形成してもよい。
【0130】
上述した説明では、加工システムSYSは、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて材料ノズル212から造形材料Mを供給することで、3次元構造物STを形成している。しかしながら、加工システムSYSは、照射光学系211から加工光ELを照射することなく、材料ノズル212から造形材料Mを供給することで3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から、造形面MSに対して造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から造形面MSに対して造形材料Mを含む気体を超高速で吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から造形面MSに対して加熱した造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。このように照射光学系211から加工光ELを照射することなく3次元構造物STを形成する場合には、加工システムSYS(特に、加工ヘッド21)は、照射光学系211を備えていなくてもよい。
【0131】
或いは、加工システムSYSは、付加加工に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部を除去可能な除去加工を行ってもよい。或いは、加工システムSYSは、付加加工及び除去加工の少なくとも一方に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部にマーク(例えば、文字、数字又は図形)を形成可能なマーキング加工を行ってもよい。この場合であっても、上述した効果が享受可能である。
【0132】
(6)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
物体が収容された加工空間内で付加加工を行う加工装置と、
前記物体と前記加工装置との相対位置を変更するための動力を発生させる動力発生装置と
を備え、
前記動力発生装置のうちの着火源となる部分は、隔壁部材によって前記加工空間から隔離された隔離空間に配置されている
加工システム。
[付記2]
前記隔壁部材は、前記加工空間を取り囲んで前記加工空間を前記隔離空間から隔離する第1部材を含む
付記1に記載の加工システム。
[付記3]
前記加工空間は、前記第1部材によって取り囲まれる空間の内部に位置し、
前記隔離空間は、前記第1部材によって取り囲まれる空間の外部に位置する
付記2に記載の加工システム。
[付記4]
前記動力発生装置は、前記隔離空間に配置されている
付記2又は3に記載の加工システム。
[付記5]
前記隔壁部材は、前記隔離空間を取り囲んで前記隔離空間を前記加工空間から隔離する第2部材を含む
付記1から4のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記6]
前記動力発生装置は、前記第2部材によって防爆対策が施された防爆構造を有する
付記5に記載の加工システム。
[付記7]
前記動力発生装置は、防爆モータを含む
付記5又は6に記載の加工システム。
[付記8]
前記第2部材は、前記動力発生装置の筐体を含み、
前記隔離空間は、前記筐体の内部空間を含む
付記5から7のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記9]
前記動力発生装置は、前記加工空間に配置されている
付記5から8のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記10]
前記第2部材は、前記加工空間に配置されている
付記5から9のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記11]
前記隔壁部材は、防爆構造を有する
付記1から10のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記12]
前記動力を用いて前記物体及び前記加工装置の少なくとも一方を前記加工空間内で移動させることで、前記相対位置を変更する
付記1から11のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記13]
前記動力を前記物体及び前記加工装置の少なくとも一方に伝達する動力伝達機構を更に備える
付記1から12のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記14]
前記動力伝達機構の少なくとも一部は、前記加工空間に配置される
付記13に記載の加工システム。
[付記15]
前記動力伝達機構の少なくとも一部は、前記隔離空間に配置される
付記13又は14に記載の加工システム。
[付記16]
前記動力伝達機構は、着火源を含んでいない
付記13から15のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記17]
前記動力伝達機構は、非電気的に前記動力を伝達する
付記13から16のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記18]
前記隔壁部材には、シール部材でシールされた開口が形成されており、
前記動力伝達機構は、前記開口を介して前記動力を前記物体及び前記加工装置の少なくとも一方に伝達する
付記13から17のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記19]
前記動力伝達機構は、前記開口を介して前記隔離空間から前記加工空間に延びる
付記18に記載の加工システム。
[付記20]
前記動力発生装置のうちの着火源となる部分は、前記動力を発生させるために電流が供給される部分を含む
付記1から19のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記21]
前記動力発生装置のうちの着火源となる部分は、前記動力を発生させる際に発熱する部分を含む
付記1から20のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記22]
前記加工装置は、加工対象物に対して付加加工を行い、
前記物体は、前記加工対象物を含む
付記1から21のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記23]
前記加工装置は、加工対象物に対して付加加工を行い、
前記加工対象物が載置される載置装置を更に備え、
前記物体は、前記載置装置を含む
付記1から22のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記24]
前記加工装置は、前記加工空間内でエネルギビームを照射する照射装置と、前記エネルギビームの照射位置に材料を供給する供給装置とを備える
付記1から23のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記25]
前記材料は、粉粒体を含む
付記24に記載の加工システム。
[付記26]
物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられた隔離部材と
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力源が位置する空間から前記載置装置が位置する空間へ火花が入ることを防止するシール部材と
を備える加工システム。
[付記27]
物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行う加工装置と、
動力を発生させる動力源と、
前記動力源と前記加工装置の少なくとも一部との間に設けられた隔離部材と、
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記載置装置が位置する空間から前記動力源が位置する空間へ前記粉体が入ることを防止するシール部材と
備える加工システム。
[付記28]
第1空間内の物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行う加工装置と、
第2空間内に配置され、動力を発生させる動力源と、
前記第1空間と前記第2空間との間に設けられた隔離部材と、
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力伝達部材と前記隔離部材との間をシールするシール部材と
を備える加工システム。
[付記29]
第1空間内の物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行う加工装置と、
第2空間内に配置され、動力を発生させる動力源と、
前記第1空間と前記第2空間との間に設けられた隔離部材と、
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記第2空間から前記第1空間への火花の伝達を防止するシール部材と
を備える加工システム。
[付記30]
第1空間内の物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行う加工装置と、
第2空間内に配置され、動力を発生させる動力源と、
前記第1空間と前記第2空間とを隔離する隔離部材と、
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記第2空間から前記第1空間への火花の伝達を防止するシール部材と
を備える加工システム。
[付記31]
第1空間内の物体を載置する載置装置と、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行う加工装置と、
第2空間内に配置され、動力を発生させる動力源と、
前記第1空間と前記第2空間との間に設けられた隔離部材と
前記隔離部材に形成された貫通孔を介して前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達する動力伝達部材と、
前記第1空間から前記第2空間への粉の伝達を防止するシール部材と
を備える加工システム。
[付記32]
付記1から31のいずれか一項に記載の加工システムを用いて付加加工を行う加工方法。
[付記33]
物体を載置装置に載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
動力源を用いて動力を発生させることと、
前記動力源と前記付加加工が行われる空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記動力伝達部材と前記隔離部材との間をシールすることと
を含む加工方法。
[付記34]
物体を載置装置に載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
動力源を用いて動力を発生させることと、
前記動力源と前記付加加工が行われる空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記動力源が位置する空間から前記載置装置が位置する空間への火花の伝達を防止することと
を含む備える加工方法。
[付記35]
物体を載置装置に載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記物体に付加加工を行うことと、
動力源を用いて動力を発生させることと、
前記動力源と前記付加加工が行われる空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記載置装置が位置する空間から前記動力源が位置する空間への粉の伝達を防止することと
を含む加工方法。
[付記36]
第1空間内の載置装置に物体を載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行うことと、
第2空間内に配置された動力源で動力を発生させることと、
前記第1空間と前記第2空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記動力伝達部材と前記隔離部材との間をシールすることと
を含む加工方法。
[付記37]
第1空間内の載置装置に物体を載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行うことと、
第2空間内に配置された動力源で動力を発生させることと、
前記第1空間と前記第2空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記第2空間から前記第1空間への火花の伝達を防止することと
を含む加工方法。
[付記38]
第1空間内の載置装置に物体を載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行うことと、
第2空間内に配置された動力源で動力を発生させることと、
前記第1空間と前記第2空間を隔離部材によって隔てることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記第2空間から前記第1空間への火花の伝達を防止することと
を含む加工方法。
[付記39]
第1空間内の載置装置に物体を載置することと、
前記物体に対して粉体を供給して、前記第1空間内で前記物体に付加加工を行うことと、
第2空間内に配置された動力源で動力を発生させることと、
前記第1空間と前記第2空間との間に隔離部材を設けることと、
前記隔離部材に形成された貫通孔を通過する動力伝達部材を用いて前記載置装置および前記加工装置との少なくとも一方に前記動力を伝達することと、
前記第1空間から前記第2空間への粉の伝達を防止することと
を含む加工方法。
【0133】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0134】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システム及び加工方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0135】
SYS 加工システム
1 材料供給装置
2 加工装置
22f、24g 動力源
23f 動力伝達部材
3 ステージ装置
31 ステージ
32、34e 動力伝達部材
33 動力伝達機構
6 筐体
61 仕切り部材
63IN チャンバ空間
64OUT 外部空間
65 開口
66 シール部材
W ワーク
M 造形材料
SL 構造層
MS 造形面
EA 照射領域
MA 供給領域
MP 溶融池
EL 加工光
図1
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