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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】列間移替装置およびレール敷設システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20231205BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20231205BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B62B3/00 E
A01G9/14 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019228320
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095027
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和1年11月8日~9日に開催された、第9回産業振興フェアinいわた にて公開 (2)令和1年11月8日~9日に開催された、第9回産業振興フェアinいわた で配布したチラシにて公開
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度農林水産省、「栽培・労務管理の最適化を加速するオープンプラットフォームの整備委託事業」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】316005856
【氏名又は名称】有限会社吉岡鐵工
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】太田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 豊
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-218819(JP,A)
【文献】特開平11-334581(JP,A)
【文献】特開2001-080326(JP,A)
【文献】特開昭54-029418(JP,A)
【文献】実開平6-63601(JP,U)
【文献】特開2000-108901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B62B 3/00
A01G 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物列の間で作業レール上を走行する第1作業用台車を列間で移替するのに利用する、前記作物列の列端部に沿って敷設された移替レールと、前記第1作業用台車を載せて前記移替レール上を転動する車輪を備えた列間移替用台車を備えたレール列間移替装置において、
前記移替レールが複数の短レールを車輪転動方向に間隔をあけて直列に並べ前記間隔をレール欠落部として構成され、前記短レールの長さ方向両端部は、傾斜面になっており、且つ
前記列間移替用台車は前記車輪転動方向に対して3つ以上の両フランジ付き車輪を備えて、前記レール欠落部を跨いでまたは単一の短レール上に少なくとも2つの車輪が前記短レールに乗って前記車輪に付いた両フランジが前記短レールを挟み込み、前記列間移替用台車の移替レール長手直角方向のズレが規制され、姿勢が制御されることで、前記レール欠落部を越えて前記列間移替用台車の前記移替レール上の走行が可能になっており、
前記車輪は前記傾斜面に沿って緩やかに乗降し、前記車輪が前記短レールの両端部の間に乗ったときには、前記車輪に付いた両フランジが浮き上がり、前記車輪がレール欠落部に移るときには、前記車輪に付いた両フランジが浮き上がり状態から接地状態になることを特徴とする列間移替装置。
【請求項2】
請求項1に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、
作物列の間の地面を走行する第2作業用台車の車輪の転動路の延長上にレール欠落部が連なるように移替レールが敷設されていることを特徴とするレール敷設システム
【請求項3】
請求項2に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、
第2作業用台車の車輪の転動路の路幅がレール欠落部上で確保されることを特徴とするレール敷設システム
【請求項4】
請求項2または3に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、
作業レールは温湯管の並列部分で構成されており、第2作業用台車の車輪の転動路は前記温湯管の並列部分とそれに相対する作物列との間になっていることを特徴とするレール敷設システム
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、
作業レールは温湯管の並列部分で構成されており、第2作業用台車の車輪の転動路は前記作業レールになっていることを特徴とするレール敷設システム
【請求項6】
請求項に記載した列間移替装置において、
移替レールは一条の軌道レールで構成されていることを特徴とする列間移替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列間移替装置に係り、特に作物列の間で走行する作業用台車を列間で移替するのに利用する、作物列の列端部に沿って敷設された移替レールと、作業用台車を載せて移替レール上を転動する車輪を備えた列間移替用台車を備えた列間移替装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トマト等果菜類を栽培する施設園芸においては、農地集約や企業参入などに伴い大規模生産法人が近年増加傾向にある。そのような大規模生産法人では、最近の人手不足により作業者を集めることが困難になっていることや、折角の規模のメリットを生かすため、省力化に資する作業機械の導入に意欲的である。
その一例が、作業用台車の収穫用や防除用のロボットとしての活用であり、作物列である栽培ベッドの列の間を走行させて必要な作業を実施させているが、用途によっては、昇降を伴いながら重量のある農作物を積載したり等、重量負荷が大きい場合もあることから、特許文献1に記載のように、地面に作業レールを敷設してその上に作業用台車を走行させ、更に、作業レール間の作業用台車の移替用に、移替レールも敷設して作業用台車を積載した列間移替用台車を走行させるレール敷設システムが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-55688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今のロボット技術の著しい進化に伴い、上記した用途でのロボットだけでなく、作物の生育状態を監視するモニタリングロボット等種々の用途での作業用台車の活用への期待が高まっている。
而して、どの作業レールに進入させるにしても移替レール上を走行する列間移替用台車への積載を経由することになっているため、移替レールを共用して用途に応じて複数台の列間移替用台車を使い分けることは作業効率からして現実的ではない。
一方、農作業の内容によっては施設全体を対象としないものがある。このような農作業では、手押し式作業用台車の使用が適している場合があり、そのような場合には列間移替用台車に積載して移動させる必要は必ずしも無く、寧ろ面倒である。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、簡易な構成で、従来の列間移替用台車を利用した作業用台車の活用をそのまま生かしつつ、当該列間移替用台車を使用しない作業用台車の活用も同時に可能とする、新規且つ有用な列間移替装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、 作物列の間で作業レール上を走行する第1作業用台車を列間で移替するのに利用する、前記作物列の列端部に沿って敷設された移替レールと、前記第1作業用台車を載せて前記移替レール上を転動する車輪を備えた列間移替用台車を備えたレール列間移替装置において、前記移替レールが複数の短レールを車輪転動方向に間隔をあけて直列に並べ前記間隔をレール欠落部として構成され、前記短レールの長さ方向両端部は、傾斜面になっており、且つ前記列間移替用台車は前記車輪転動方向に対して3つ以上の両フランジ付き車輪を備えて、前記レール欠落部を跨いでまたは単一の短レール上に少なくとも2つの車輪が前記短レールに乗って前記車輪に付いた両フランジが前記短レールを挟み込み、前記列間移替用台車の移替レール長手直角方向のズレが規制され、姿勢が制御されることで、前記レール欠落部を越えて前記列間移替用台車の前記移替レール上の走行が可能になっており、前記車輪は前記傾斜面に沿って緩やかに乗降し、前記車輪が前記短レールの両端部の間に乗ったときには、前記車輪に付いた両フランジが浮き上がり、前記車輪がレール欠落部に移るときには、前記車輪に付いた両フランジが浮き上がり状態から接地状態になることを特徴とする列間移替装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、作物列の間の地面を走行する第2作業用台車の車輪の転動路の延長上にレール欠落部が連なるように移替レールが敷設されていることを特徴とするレール敷設システムである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、第2作業用台車の車輪の転動路の路幅がレール欠落部上で確保されることを特徴とするレール敷設システムである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、 作業レールは温湯管の並列部分で構成されており、第2作業用台車の車輪の転動路は前記温湯管の並列部分とそれに相対する作物列との間になっていることを特徴とするレール敷設システムである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2から4のいずれかに記載した列間移替装置を備えたレール敷設システムにおいて、作業レールは温湯管の並列部分で構成されており、第2作業用台車の車輪の転動路は前記作業レールになっていることを特徴とするレール敷設システムである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項に記載した列間移替装置において、移替レールは一条の軌道レールで構成されていることを特徴とする列間移替装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の列間移替装置によれば、従来の列間移替用台車側と移替レール側にそれぞれ簡易な構成で済む工夫を加えることで、従来の列間移替用台車を利用した作業用台車の活用をそのまま生かしつつ、当該列間移替用台車を使用しない作業用台車の活用も同時に可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る園芸施設内のレール敷設レイアウトである。
図2図1の移替レールの敷設説明図である。
図3図2の移替レール上を走行する列間移替用台車の車輪の配置図である。
図4図3の側面図である。
図5図2図3図4に示す、移替レール上を走行する列間移替用台車の車輪と短レールとの位置関係の変遷を示す図である。
図6図2の移替レールを横切る第2作業用台車の説明図である。
図7図6とは別の第2作業用台車の説明図である。
図8図7の第2作業用台車の移動動作の説明図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る列間移替装置の説明図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に係る列間移替装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態に係る列間移替装置を、図面にしたがって説明する。
図1は園芸施設内に敷設したレールのレイアウトを示すものである。
作物列として栽培ベッド1、1、……が並列されており、その列間には、防草シート(図示省略)が敷かれており、防草シートの上面が地面扱いになっている。その防草シートの上に温度管理用にループ状に温湯管3が配管されている。この温湯管3には栽培ベッド1、1、……の間で平行に並列した並列部分があり、この並列部分3A、3Bがそれぞれ電動で駆動される車輪を備えた第1作業用台車(図示省略)の二条タイプの作業レール5の片レールとして利用されている。U字状部分3Cは、栽培ベッド1、1、……の列方向両端部よりも僅かに後退して内方にある。
なお、図1では、一部の区域が示されており、栽培ベッド1は図示分以上に多数並列配置されている。この作業レール5上を第1作業用台車が走行するようになっている。
【0015】
栽培ベッド1、1、……の列方向両端部は揃っており、その一方側には、列端部に沿って列方向と直交する方向に一条タイプの移替レール7が敷設されている。列間移替用台車13は走行方向に対して左右両側に車輪列が二列配置されており、栽培ベッド1、1、……に近い側の車輪列15を構成する車輪17がこの移替レール7上で転動し、遠い側の車輪列19を構成する車輪21が地面に接地して転動する。すなわち、列間移替用台車13は、移替レール7を軌道レールとしてその軌道に沿って走行するようになっている。第1作業用台車は、作業レール5からこのレール走行する列間移替用台車13に乗り移ることで、列間を移動する、すなわち、栽培ベッド1、1、……の列間で移替される。
【0016】
図6に示すように、手押し式の第2作業用台車23を第1作業用台車と併用する。この第2作業用台車23は、作業レール5への進入状況を上方から見ると左側に車輪25、25が設けられ、右側に車輪27、27が設けられており、これらの車輪25、27にはフランジは付いていない。
作業レール5として利用する温湯管3には、U字状部分3Cがあるので、第2作業用台車23の車輪25、25は作業レール5の片レール3Aと相対する栽培ベッド1との間を地面転動路29Aとして利用し、車輪27、27は作業レール5の片レール3Bと相対する栽培ベッド1との間を地面転動路29Bとして利用している。そして、第2作業用台車23の走行に伴い、その本体(フレーム)は作業レール5の上方を通過する。
【0017】
また、図7に示すように、第2作業用台車31も併用する。この第2作業用台車31は、第2作業用台車23と同様に作業レール5への進入状況を上方から見ると左側に車輪33、33が設けられ、右側に車輪35、35が設けられている。これらの車輪33、35は片フランジ付きになっており、車輪33には左側にフランジ34が付けられ、車輪35には右側にフランジ36が付けられている。
この第2作業用台車31では、作業レール5をレール転動路として利用している。そして、第2作業用台車31の走行に伴い、その本体(フレーム)は作業レール5の上方を通過する。
【0018】
図1の園芸施設内のレール敷設レイアウトでは、この第2作業用台車23、31の上記したような栽培ベッド1、1、……の列間への円滑な進入・退出を図るために、すなわち、第1作業用台車との併用を実現するために、
(1)第2作業用台車23、31が移替レール7を横切る抜け道を確保する
(2)列間移替用台車13の移替レール7上の円滑な走行を維持する
の要求を満たして設定されている。
【0019】
図2で拡大して示すように、移替レール7側としては、上記(1)の要求を満たすべく、連続した一本ではなく、板材状の短レール9、9、……が一定の間隔をあけて直列に並べられて構成されており、この間隔が移替レール7のレール欠落部11になっている。
そして、このレール欠落部11を抜け道として利用して、第2作業用台車23、31の栽培ベッド1、1、……の列内への進入・退出の邪魔にならないようにしている。
【0020】
また、地面転動路29Aの直線路の延長上にレール欠落部11が位置し、片レール3Aの直線路の延長上にレール欠落部11が位置するように設定されている。地面転動路29Aと片レール3Aは隣り合っているので、一つのレール欠落部11が、地面転動路29Aと片レール3Aの双方に対応している。地面転動路29B、片レール3B側でも同様に設定されている。
従って、第2作業用台車23、31を栽培ベッド1、1、……の並列方向に沿って直進させるだけで、隣り合う栽培ベッド1、1の間に進入または間から退出できる。
更に、レール欠落部11の間隔Fが地面転動路29Aの路幅G+レール転動路(=片レール3A)の路幅を狭めることなく設定されている。
具体的には、車輪転動方向から見ると、レール欠落部11の端F1は地面転動路29Aの端G1を超えてU字状部分3Cの角部よりもU字状部分3Cの中心に寄っており、レール欠落部11の端F2は地面転動路29Aの端G2と一致している。
地面転動路29B側でも同様に設定されている。
本実施例では、栽培ベッド1と温湯管3が所定の位置関係で配置されていることから、短レール9、9、……の長さを揃えて規格化できている。
また、この実施の形態では、短レール9の長さHとレール欠落部11の間隔Fがほぼ同じになっている。
【0021】
図3で拡大して示すように、列間移替用台車13側としては、上記(2)の要求を満たすべく、移替レール7上で転動する側の車輪列15が5つの車輪17A、17B、17C、17D、17Eを備えている。5つの車輪17A、17B、17C、17D、17Eはこの順に直列に並んで配置されており、車輪17Aと車輪17B、車輪17Dと車輪17Eの車輪間隔(a)は同じに設定され、車輪17Bと車輪17C、車輪17Cと車輪17Dの車輪間隔(b)は同じに設定されている。そして、車輪間隔(a)は車輪間隔(b)より大きくなっているが、車輪間隔(b)×2よりは小さくなっている。
【0022】
図3に示すように、列間移替用台車13の外側に配置された車輪17A、17Eは内側に配置された車輪17B、17C、17Dより車輪径とフランジ径が大きくなっている。外側が主輪、内側が補助輪のような扱いになっており、積載する第1作業用台車の邪魔にならないように内側の車輪17B、17C、17Dの車輪径とフランジ径は小さくなっている。いずれの車輪17も両フランジ18、18付きになっている。
【0023】
5つの車輪17A、17B、17C、17D、17Eは、列間移替用台車13が移替レール7上を走行または停止しているときには、そのうちの少なくとも2つの車輪17、17の車輪部がそれぞれ両フランジ18、18に挟まれながら移替レール7上に乗るように、車輪間隔が設定されている。
この「そのうちの少なくとも2つの車輪17、17の車輪部が‥‥移替レール7上に乗る」とは、単一の短レール9上に少なくとも2つの車輪17、17が転動可能に乗るか、または複数の短レール9上に分かれて少なくとも2つの車輪17、17が乗ることを意味する。
この条件を満たすと、フランジ18により、列間移替用台車13のレール長手直角方向のズレが規制される。上記した状態を実現するために、車輪17A、17B、17C、17D、17Eの車輪間隔(a)、(b)が設定されている。
列間移替装置では、
車輪間隔(a)≦短レール9の長さ(H)
車輪間隔(b)+(b)≦短レール9の長さ(H)
になっている。また、
レール欠落部11の間隔(F)≦車輪間隔(a)+(b)+(b)+(a)
≦レール欠落部11の間隔(F)+短レール9の長さ(H)×2
になっている。
【0024】
図4に示すように、車輪17A、17Eがどの位置にあってもそのフランジ18が接地するように、車輪17A、17Eの車輪径とフランジ18の径、短レール9のレール高さの寸法が設定されている。これにより、車輪17は列間移替用台車13の走行中どの位置においても高さが一定に維持される。車輪17A、17Eが短レール9の端部に差し掛かり、短レール9上を走行する状況では、車輪部が短レール9に新たに接地し、フランジ18が引き続き地面と接地する。
また、図4に示すように、車輪17B、17C、17Dは、レール欠落部11上では車輪部・フランジ18ともに接地していないが、短レール9上では車輪部が短レール9に乗った状態となる。
車輪17のうちの少なくとも2つの車輪17、17が短レール9上に乗っている。このとき、短レール9上の少なくとも2か所で、車輪17の両フランジ18、18により、短レール9が挟み込まれて側面側が当接する。これにより、短レール9の長手方向に対し直角方向への移動が規制され、列間移替用台車13の姿勢が常時制御される。
【0025】
具体的には、
短レール9の長さ(H):400mm
レール欠落部11の間隔(F):400mm
短レール9のレール高さ(J):10mm
車輪列15の車輪間隔(a):262mm
車輪間隔(b):146mm
車輪17A、17Eの車輪径(K):80mm
フランジ径(L):100mm
車輪17B、17C、17Dの車輪径(M):40mm
フランジ径(N):50mm
に設定されている。
【0026】
列間移替用台車13は、車輪列15の車輪17Aと車輪列19の車輪21Aが1つの車軸(図示省略)を共有し、車輪列15の車輪17Eと車輪列19の車輪21Bが1つの車軸(省略)を共有しており、これらの車軸がモータ(図示省略)から回転力を受けて駆動するようになっている。このため、車輪17A、17Eのフランジ18、車輪列19は常に地面と接地され駆動力が伝わることから、車輪が短レール9かレール欠落部11のどちらの上方に位置しているかを問わず、常に走行が可能である。
列間移替装置では、図5に詳細に示すように、移替レール7上を走行する列間移替用台車13の車輪列15の車輪17A、17B、17C、17D、17Eと短レール9(1)、9(2)との位置関係が変遷する。なお、視認の便宜のために、それぞれの車輪17の車軸部分を黒丸で示す。また、フランジ18は図示省略する。
矢印に示す方向に走行するときには、先ず、図5(a)に示すように、短レール9(1)上に補助輪である車輪17B、17C、17Dが共に乗っている。このとき、車輪17B、17C、17Dのフランジ18、18により短レール9が挟み込まれることで、短レール9の長手直角方向への列間移替用台車13のズレが規制され、姿勢が制御される。
次に、図5(b)に示すように、車輪17Dが短レール9(1)を離れるが、車輪17B、17Cの2つの車輪は引き続き短レール9(1)上に乗っていることから、2点で列間移替用台車13の姿勢が制御される。
【0027】
次に、図5(c)に示すように、車輪17Cが短レール9(1)から離れると共に、車輪17Aが短レール9(1)に到達し、車輪17Eが短レール9(2)に到達して共に転動可能な状態に乗る。
次に、図5(d)に示すように、車輪17Bが短レール9(1)から離れた状態となる。
次に、図5(e)に示すように、車輪17Dが短レール9(2)に到達して転動可能な状態に乗る。
次に、図5(f)に示すように、車輪17Cが短レール9(2)に到達して転動可能な状態に乗ると共に、車輪17Eが短レール9(2)から離れ、フランジ18のみ接地する。
次に、図5(g)に示すように、車輪17Aが短レール9(1)から離れ、フランジ18のみ接地する。
次に、図5(h)に示すように、車輪17Bが短レール9(2)に到達して転動可能な状態に乗る。すなわち、図5(a)と同じように、単一の短レール9に3つの補助輪である車輪17B、17C、17Dが共に転動可能に乗った状態になる。
上記のようにして、常時、少なくとも2つの車輪17、17が転動可能な状態で1つまたは2つの短レール9に乗っており、それらのフランジ18、18が短レール9の側面と当接することで、短レール9の長手直角方向への列間移替用台車13のズレが規制され、姿勢が制御される。これにより、列間移替用台車13がレール欠落部11を跨いで円滑に走行し、且つ必要な箇所で停止できる。
【0028】
図6に示すように、第2作業用台車23の車輪25、25は、レール欠落部11を横切って、地面転動路29A上を転動し、車輪27、27は、レール欠落部11を横切って、地面転動路29B上を転動しながら、栽培ベッド1、1、……の列内に進入・退出できる。このように、栽培ベッド1、1、……の間に進入させて作業を実施させることが可能となっている。なお、地面転動路29A、29Bは、防草シートの上面で構成されており、レール欠落部11との段差は殆どない。
【0029】
また、図7図8に示すように、第2作業用台車31も、栽培ベッド1、1、……の間に、第1作業用台車、第2作業用台車23と択一的に進入させることができる。
作業レール(温湯管)3の高さ(P):48.6mm
車輪33、35の車輪径(Q):82.8mm
フランジ径(R):180mm
に設定されている。
移替レール7は、地面に形成されたコンクリート部38の上面に敷設されており、コンクリート部38の高さ分だけ、温湯管3のU字状部分3C側が支持部37で持ち上げ支持されてコンクリート部38の上に乗っている。
【0030】
車輪33、35がコンクリート部38の上面にあるときは、フランジ34、36がコンクリート部38の上面に接地して転動する。すなわち、車輪33、35はコンクリート部38から離れた状態である。コンクリート部38の上面でU字状部分3Cが重なった部分に到達すると、車輪33、35はU字状部分3Cに連なる片レール3A、3Bに着地して転動し、フランジ34、36はそのままコンクリート部38の上面を転動し続ける。更に、コンクリート部38から離れると、車輪33、35はそのまま接地しながら片レール3A、3B上を転動し続けるが、フランジ34、36は接地しない状態になる。
このように、栽培ベッド1、1、……の間に進入させて作業を実施させることが可能となっている。
【0031】
次に、第2の実施の形態に係る列間移替装置を、図面にしたがって説明する。
第1の実施の形態に係る列間移替装置と異なる点は、列間移替用台車13の短レール9’と車輪列15の車輪17’の寸法関係である。
図4に対応する図9に示すように、車輪17’がレール欠落部11に位置するときには、僅かではあるが降りてフランジ18’が接地するように、フランジ18’の径の寸法が設定されている。
これにより、短レール9’上に車輪17’が乗ったときにはフランジ18’がコンクリート部38の上面から浮き上がるので、短レール9’上の走行はよりスムーズになる。
一方、車輪17’が短レール9’の端部からレール欠落部11に移るときにはフランジ18’が浮き上がり状態から接地するので僅かであるが降り、逆にレール欠落部11から短レール9’の端部に移るときには僅かであるが昇るようになるが、短レール9’の長さ方向両端部は傾斜面10’になっており、傾斜面10’に沿って緩やかに乗降することになり、乗降の際の衝撃が緩和されている。
【0032】
具体的には、
上記した状態を実現するために、
短レール9’のレール高さ(最大J1):10mm、(最小J2):8mm
車輪17A’、17E’の車輪径(K):84mm
フランジ径(L):100mm
車輪17B’、17C’、17D’の車輪径(M):64mm
フランジ径(N):80mm
【0033】
本発明の第3の実施の形態に係る列間移替装置を、図面にしたがって説明する。
第1の実施の形態に係る列間移替装置と異なる点は、図10に示すように、栽培ベッド1、1の間隔が狭くなったことに伴い、列間移替用台車39の車輪列15の車輪17の数が5輪から3輪に変わったことである。
レール欠落部11の間隔(F):200mm
車輪列15の車輪間隔(a):400mm
に設定されている。
このように、車輪の数も現場の状況に合わせて必要最小数に設定することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、移替レールの短レールの長さやレール欠落部の間隔、列間移替用台車の移替レールを転動する車輪の数や車輪間隔は特許請求の範囲を満足する範囲において変更できる。
また、防草シートは敷かなくてもよい。
【0035】
列間移替用台車、第1、2作業用台車とも、駆動は電動でも手動でも特に限定されない。列間移替用台車は、接地して転動する車輪の1つ以上が駆動輪であればよい。列間移替用台車に備わるフランジ付車輪は、フランジと車輪が別体でもよいし、一体で作られていてもよい。
第2作業用台車は、温湯管で構成された作業レール上を走行するものと、防草シート上を走行するものの2種類が示されているが、いずれか一方の種類だけでもよい。また、防草シート上ではなく裸の地面を走行させてもよい。その場合には、限定されないが、ゴムタイヤのような車輪で地面を転動して走行してもよい。
移替レールの形状は特に限定されず、移替レールとしての要求を満たすものであればよい。移替レールは二条のレールタイプを利用してもよい。
レール欠落部を跨いで列内に連なるフラットレールを敷設して、第2作業用台車をこのフラットレール上で走行させることも考えられる。
更に、列間移替装置の設置は屋内に限らず、屋外でもよく、作物列は茶畑のように列状に栽培されたものも含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1…栽培ベッド 3…温湯管(作業レール)
3A、B…並列部分(片レール) 3C…U字状部分 5…作業レール
7…移替レール 9…短レール 10’…(短レールの)傾斜面
11…レール欠落部 13…列間移替用台車 15…車輪列
17A、B、C、D、E…車輪 18…フランジ 19…車輪列
21A、B…車輪 23…第2作業用台車 25…車輪 27…車輪
29A、B…地面転動路 31…第2作業用台車 33…車輪
34…フランジ 35…車輪 36…フランジ 37…支持部
38…コンクリート部 39…列間移替用台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10