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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】論理回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20231205BHJP
   H03K 19/0185 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231205BHJP
   H03K 17/22 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H03K19/0185
H01L27/04 H
H03K17/22 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019059398
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020161982
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大森 鉄男
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-236119(JP,A)
【文献】特開平11-121750(JP,A)
【文献】特開昭60-012741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0171587(US,A1)
【文献】特開2008-227003(JP,A)
【文献】特開平08-181219(JP,A)
【文献】特開2006-261747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L27/00-H01L27/13
H03B5/30-H03B5/42
H03K17/00-H03K17/70
H03K19/00-H03K19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子から出力するインバータと、
前記入力端子と電源ライン又はグランドラインとの間にオフ状態を維持するように接続された第1のトランジスタと、
前記出力端子と電源ライン又はグランドラインとの間にオフ状態を維持するように接続された第2のトランジスタと、
を含み、
電源投入時において、前記第1のトランジスタに流れるリーク電流により前記入力端子の電位がハイレベル及びローレベルのいずれか一方に固定され、前記第2のトランジスタに流れるリーク電流により前記出力端子の電位がハイレベル及びローレベルのいずれか他方に固定される
論理回路。
【請求項2】
前記第1のトランジスタは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが前記入力端子に接続されたPチャネル型のMOSFETであり、
前記第2のトランジスタは、ソース及びゲートがグランドラインに接続され、ドレインが前記出力端子に接続されたNチャネル型のMOSFETである
請求項1に記載の論理回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが前記入力端子に接続されたPチャネル型のMOSFETであり、
前記第2のトランジスタは、ソースが前記出力端子に接続され、ゲートが電源ラインに接続され、ドレインがグランドラインに接続されたPチャネル型のMOSFETである
請求項1に記載の論理回路。
【請求項4】
前記入力端子に接続された第3のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが前記出力端子に接続され、ドレインが前記入力端子に接続されたPチャネル型のMOSFETである
請求項2または請求項3に記載の論理回路。
【請求項5】
前記第1のトランジスタは、ソース及びゲートがグランドラインに接続され、ドレインが前記入力端子に接続されたNチャネル型のMOSFETであり、
前記第2のトランジスタは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが前
記出力端子に接続されたPチャネル型のMOSFETである
請求項1に記載の論理回路。
【請求項6】
前記入力端子に接続された第3のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが前記出力端子に接続され、ドレインが前記入力端子に接続されたNチャネル型のMOSFETである
請求項5に記載の論理回路。
【請求項7】
前記インバータは、
ソースが電源ラインに接続され、ゲートが前記入力端子に接続され、ドレインが前記出力端子に接続されたPチャネル型のMOSFETと、
ソースがグランドラインに接続され、ゲートが前記入力端子に接続され、ドレインが前記出力端子に接続されたNチャネル型のMOSFETと、
を含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の論理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、論理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)インバータを含む論理回路に関する技術として、以下の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1のPチャンネルFETとNチャンネルFETとを直列接続して電源とグランドとの間に接続し、第1のPチャンネルFETのゲートとNチャンネルFETのゲートとを入力端子に接続し、第1のPチャンネルFETとNチャンネルFETとの接続点を出力端子に接続したCMOSインバータ回路が記載されている。このCMOSインバータ回路は、スイッチ素子と該スイッチ素子に直列に接続された第2のPチャンネルFETとを、第1のPチャンネルFETに並列接続するとともに、第2のPチャンネルFETのゲートを入力端子に接続し、電源の電圧を監視して該電圧が所定の値より大きくなったときにスイッチ素子をオンさせるスイッチ制御手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-214313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Nチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)及びPチャネル型のMOSFETを含んで構成されるCMOSインバータは、電源投入後、電源電圧が規定のレベルに立ち上がるまでの過渡期間においては、CMOSインバータの入力が確定しておらず、出力が不定となる、または出力論理が反転するといった現象が起こる場合がある。これによりCMOSインバータから意図しない論理レベルの信号が出力され、システムが誤動作するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる論理回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る論理回路は、入力端子に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子から出力するインバータと、前記入力端子と電源ライン又はグランドラインとの間にオフ状態を維持するように接続された第1のトランジスタと、前記出力端子と電源ライン又はグランドラインとの間にオフ状態を維持するように接続された第2のトランジスタと、を含む。電源投入時において、前記第1のトランジスタに流れるリーク電流により前記入力端子の電位がハイレベル及びローレベルのいずれか一方に固定され、前記第2のトランジスタに流れるリーク電流により前記出力端子の電位がハイレベル及びローレベルのいずれか他方に固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制できる論理回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】比較例に係る論理回路の構成の一例を示す図である。
図2】比較例に係る回路ブロックの構成を示す図である。
図3A】比較例に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図3B】比較例に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図3C】比較例に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図4A】比較例に係る論理回路の構成の一例を示す図である。
図4B】比較例に係る論理回路の構成の一例を示す図である。
図4C】比較例に係る論理回路の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る論理回路の構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る回路ブロックの構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る回路ブロックの構成を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る回路ブロックの構成を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る回路ブロックの構成を示す図である
図12】本発明の実施形態に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る回路ブロックの構成を示す図である
図14】本発明の実施形態に係る回路ブロックの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、本発明の実施形態に係る論理回路ついて説明する前に、比較例に係る論理回路について説明する。
【0011】
図1は、比較例に係る論理回路1X1の構成の一例を示す図である。比較例に係る論理回路1X1は、一般的なCMOSインバータを構成するものであり、電源ラインに接続されたPチャネル型のMOSFET10Pと、グランドラインに接続されたNチャネル型のMOSFET10Nと、を含んで構成されている。MOSFET10Pのゲート及びMOSFET10Nのゲートは、それぞれ入力端子11に接続され、MOSFET10Pのドレイン及びMOSFET10Nのドレインは、それぞれ出力端子12に接続されている。
【0012】
図2は、比較例に係る論理回路1X1を含んで構成される回路ブロック100Xの構成を示す図である。回路ブロック100Xは、論理回路1X1と、論理回路1X1の前段に設けられた論理回路1X0と、論理回路1X1の後段に設けられた論理回路1X2とを含んで構成されている。すなわち、回路ブロック100Xは、論理回路1X0、1X1、1X2をカスコード接続して構成されている。論理回路1X0及び1X2は、図1に示す論理回路1X1の構成と同じ構成を有する。
【0013】
電源投入時において、電源電圧VDDが規定のレベルにまで立ち上がり、システムの入力が確定するまでは、回路ブロック100Xの入力ノードIXの電位は不定(ハイインピーダンス状態)である。ここで、Pチャネル型のMOSFET(以下PMOSと表記する)のゲート閾値電圧VthをVtpとし、リーク電流をIpkとする。Nチャネル型のMOSFET(以下NMOSと表記する)のゲート閾値電圧VthをVtnとし、リーク電流をInkとする。
【0014】
図3Aは、第1の条件(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合における、比較例に係る回路ブロック100Xの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。第1の条件を満たす場合、論理回路1X0の出力ノードa1、論理回路1X1の出力ノードa2及び論理回路1X2の出力ノードOXの電位は、それぞれ不定となる。電源電圧VDDがMOSFETのゲート閾値電圧Vthよりも小さい領域(Vth≦VDD)においてもノードa1、a2、OXの電位は、それぞれ不定となっている。なお、Vth≦VDDの領域では、MOSFETのリーク電流の影響が支配的である。図3Aに示す状態は、IpkとInkが均衡した場合の状態である。
【0015】
図3Bは、第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)を満たす場合における、比較例に係る回路ブロック100Xの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。第2の条件を満たす場合、PMOSに依存した動作となる。この場合、Vth≦VDDの領域では、PMOSの特性が見えており、NMOSは殆ど動作していない。論理回路1X2の出力ノードOXの電位は、PMOSのリーク電流によりハイレベルに立ち上がる。その後、電源電圧VDDのレベルが高くなると、NMOSの特性が見え始め(つまりNMOSが動作を開始し)、出力ノードOXの電位はローレベルに反転する。すなわち、第2の条件を満たす場合、電源投入後の過渡期間において、論理回路1X0及び1X1の状態によって出力ノードOXの電位はハイレベルからローベルに反転する。
【0016】
図3Cは、第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合における、比較例に係る回路ブロック100Xの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。第3の条件を満たす場合、NMOSに依存した動作となる。この場合、Vth≦VDDの領域では、NMOSの特性が見えており、PMOSは殆ど動作していない。論理回路1X2の出力ノードOXの電位は、NMOSのリーク電流によりローレベルに立ち下がる。その後、電源電圧VDDのレベルが高くなると、PMOSの特性が見え始め(つまりPMOSが動作を開始し)、ノードOXの電位はハイレベルに反転する。すなわち、第3の条件を満たす場合、電源投入後の過渡期間において、論理回路1X0及び1X1の状態によって出力ノードOXの電位はローレベルからハイレベルに反転する。
【0017】
このように、比較例に係る論理回路1X1を含む回路ブロック100Xによれば、MOSFETの特性ばらつきによって、電源投入後の過渡期間において、出力ノードOXの電位が不定または反転する。これにより意図しない論理レベルの信号が出力され、システムが誤動作するおそれがある。PMOSとNMOSのサイズ比を調整すればある程度の改善効果は見込めるが、MOSFETの特性バラツキによっては、上記の不具合は完全には解消されない場合がある。
【0018】
図4A図4B図4Cは、出力ノードの不安定さを抑制することができる、比較例に係る論理回路の構成の一例を示す図である。図4Aに示す論理回路1X1は、入力端子11とグランドラインとの間に設けられた抵抗素子13を有する。図4Bに示す論理回路1X1は、電源ラインと入力端子11との間に設けられた抵抗素子14を有する。図4Cに示す論理回路1X1は、入力端子11とグランドラインとの間に設けられたDMOS(Double-Diffused MOSFET)15を有する。図4A図4Cに示す論理回路1X1によれば、電源投入時における出力ノードの電位の不安定さを抑制することができる一方、抵抗素子13、14及びDMOS15には常に電流が流れるため、消費電力が増大するという問題がある。
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
【0020】
[第1の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態に係る論理回路1A1の構成の一例を示す図である。論理回路1A1は、単一の半導体チップに形成され得る。論理回路1A1は、入力端子11に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子12から出力するインバータ10を含んで構成されている。インバータ10は、Pチャネル型のMOSFET10Pと、Nチャネル型のMOSFET10Nと、を有する。MOSFET10Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET10Nは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。
【0021】
論理回路1A1は、更に、入力端子11にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET20Pと、出力端子12にオフ状態を維持するように接続されたNチャネル型のMOSFET20Nと、を有する。
【0022】
MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが入力端子11に接続されている。MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続されることで、オフ状態を維持する。MOSFET20Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET20Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続されることで、オフ状態を維持する。
【0023】
図6は、本実施形態に係る論理回路1A1を含んで構成される回路ブロック100Aの構成を示す図である。回路ブロック100Aは、単一の半導体チップに形成され得る。回路ブロック100Aは、論理回路1A1と、論理回路1A1の前段に設けられた論理回路1A0と、論理回路1A1の後段に設けられた論理回路1A2と、を含んで構成されている。すなわち、回路ブロック100Aは、論理回路1A0、1A1、1A2をカスコード接続して構成されている。論理回路1A0及び1A2は、図1に示す比較例に係る論理回路1X1の構成と同じ構成を有する。
【0024】
図7は、回路ブロック100Aの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。電源電圧VDDがMOSFETのゲート閾値電圧Vthよりも小さい領域(Vth≦VDD)、すなわち回路が正常に動作しない領域においては、MOSFETのリーク電流の影響が支配的である。この領域では、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET20Pのリーク電流により、入力端子11の電位がハイレベルに固定される。また、論理回路1A1の出力端子12に接続されたMOSFET20Nのリーク電流により、出力端子12の電位がローレベルに固定される。これにより、後段の論理回路1A2の出力ノードOXの電位は、ハイレベルに固定される。
【0025】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100Aによれば、上記の第1の条件(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合でも、出力ノードOXの電位が不定となることはなく、上記の第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)または第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合であっても、出力ノードOXの電位が反転することはない。すなわち、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる。従って、電源投入時におけるシステムの誤動作が発生するリスクを抑制することができる。また、MOSFET20P及びMOSFET20Nは、常時オフ状態を維持するので、消費電力の増大を抑制することができる。また、MOSFET20P、20Nが、回路動作に影響を与えることはない。
【0026】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る論理回路1A1の構成の一例を示す図である。論理回路1A1は、入力端子11に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子12から出力するインバータ10を含んで構成されている。インバータ10は、Pチャネル型のMOSFET10Pと、Nチャネル型のMOSFET10Nと、を有する。MOSFET10Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET10Nは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。
【0027】
論理回路1A1は、更に、入力端子11にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET20Pと、出力端子12にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET21Pと、を有する。
【0028】
MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが入力端子11に接続されている。MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続されることで、オフ状態を維持する。MOSFET21Pは、ソースが出力端子12に接続され、ゲートが電源ラインに接続され、ドレインがグランドラインに接続されている。MOSFET21Pは、ゲートが電源ラインに接続されることでオフ状態を維持する。
【0029】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100A(図6参照)によれば、第1の実施形態に係る回路ブロック100Aと同様、Vth≦VDDの領域において、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET20Pのリーク電流により、入力端子11の電位がハイレベルに固定される。また、論理回路1A1の出力端子12に接続されたMOSFET21Pのリーク電流により、出力端子12の電位がローレベルに固定される。これにより、後段の論理回路1A2の出力ノードOXの電位は、ハイレベルに固定される。
【0030】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100Aによれば、上記の第1の条件(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合でも、出力ノードOXの電位が不定となることはなく、上記の第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)または第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合であっても、出力ノードOXの電位が反転することはない。すなわち、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる。従って、電源投入時におけるシステムの誤動作が発生するリスクを抑制することができる。また、MOSFET20P及びMOSFET21Pは、常時オフ状態を維持するので、消費電力の増大を抑制することができる。また、MOSFET20P、21Pが、回路動作に影響を与えることはない。
【0031】
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態に係る論理回路1A1の構成の一例を示す図である。論理回路1A1は、入力端子11に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子12から出力するインバータ10を含んで構成されている。インバータ10は、Pチャネル型のMOSFET10Pと、Nチャネル型のMOSFET10Nと、を有する。MOSFET10Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET10Nは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。
【0032】
論理回路1A1は、更に、入力端子11にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET20Pと、入力端子11に接続され、電源投入時においてインバータ10のラッチ動作を実現するPチャネル型のMOSFET22Pと、出力端子12にオフ状態を維持するように接続されたNチャネル型のMOSFET20Nと、を有する。
【0033】
MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが入力端子11に接続されている。MOSFET20Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続されることで、オフ状態を維持する。MOSFET22Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが出力端子12に接続され、ドレインが入力端子11に接続されている。MOSFET20Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET20Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続されることで、オフ状態を維持する。
【0034】
図10は、本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100A(図6参照)の電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。電源電圧VDDがMOSFETのゲート閾値電圧Vthよりも小さい領域(Vth≦VDD)、すなわち回路が正常に動作しない領域においては、MOSFETのリーク電流の影響が支配的である。この領域では、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET20Pのリーク電流により、入力端子11の電位がハイレベルに固定される。また、論理回路1A1の出力端子12に接続されたMOSFET20Nのリーク電流により、出力端子12の電位がローレベルに固定される。また、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET22Pは、出力端子12の電位がローレベルに固定されることで、オン状態を維持する。これにより、入力端子11の電位がハイレベルとされ、出力端子12の電位がローレベルとされる状態を保持するラッチ動作が実現される。これにより、後段の論理回路1A2の出力ノードOXの電位は、ハイレベルに固定される。
【0035】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100Aによれば、上記の第1の条件(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合でも、出力ノードOXの電位が不定となることはなく、上記の第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)または第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合であっても、出力ノードOXの電位が反転することはない。すなわち、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる。従って、電源投入時におけるシステムの誤動作が発生するリスクを抑制することができる。また、MOSFET20P及びMOSFET20Nは、常時オフ状態を維持する。MOSFET22Pは、過渡的にはオン状態となるが、定常的な電流が流れることはない。従って、消費電力の増大を抑制することができる。また、MOSFET20P、22P、20Nが、回路動作に影響を与えることはない。また、MOSFET22Pによりラッチ動作が実現されるので、電源投入時における動作の安定性をより高めることが可能である。
【0036】
なお、第2の実施形態に係る論理回路1A1(図8参照)の入力端子11に、本実施形態に係るMOSFET22Pを接続することも可能である。
【0037】
[第4の実施形態]
図11は、本発明の第4の実施形態に係る論理回路1A1の構成の一例を示す図である。論理回路1A1は、入力端子11に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子12から出力するインバータ10を含んで構成されている。インバータ10は、Pチャネル型のMOSFET10Pと、Nチャネル型のMOSFET10Nと、を有する。MOSFET10Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET10Nは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。
【0038】
論理回路1A1は、更に、入力端子11にオフ状態を維持するように接続されたNチャネル型のMOSFET23Nと、出力端子12にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET23Pと、を有する。
【0039】
MOSFET23Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続され、ドレインが入力端子11に接続されている。MOSFET23Nは、ソース及びゲートがグランドラインに接続されることで、オフ状態を維持する。MOSFET23Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET23Pは、ソース及びゲートが電源ラインに接続されることで、オフ状態を維持する。
【0040】
図12は、本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100A(図6参照)の電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。電源電圧VDDがMOSFETのゲート閾値電圧Vthよりも小さい領域(Vth≦VDD)、すなわち回路が正常に動作しない領域においては、MOSFETのリーク電流の影響が支配的である。この領域では、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET23Nのリーク電流により、入力端子11の電位がローレベルに固定される。また、論理回路1A1の出力端子12に接続されたMOSFET23Pのリーク電流により、出力端子12の電位がハイレベルに固定される。これにより、後段の論理回路1A2の出力ノードOXの電位は、ローレベルに固定される。
【0041】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100Aによれば、上記の条件1(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合でも、出力ノードOXの電位が不定となることはなく、上記の第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)または第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合であっても、出力ノードOXの電位が反転することはない。すなわち、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる。従って、電源投入時におけるシステムの誤動作が発生するリスクを抑制することができる。また、MOSFET23P及びMOSFET23Nは、常時オフ状態を維持するので、消費電力の増大を抑制することができる。また、MOSFET23P、23Nが、回路動作に影響を与えることはない。
【0042】
[第5の実施形態]
図13は、本発明の第5の実施形態に係る論理回路1A1の構成の一例を示す図である。論理回路1A1は、入力端子11に入力された信号の論理を反転させた信号を出力端子12から出力するインバータ10を含んで構成されている。インバータ10は、Pチャネル型のMOSFET10Pと、Nチャネル型のMOSFET10Nと、を有する。MOSFET10Pは、ソースが電源ラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。MOSFET10Nは、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが入力端子11に接続され、ドレインが出力端子12に接続されている。
【0043】
論理回路1A1は、更に、入力端子11にオフ状態を維持するように接続されたNチャネル型のMOSFET23Nと、入力端子11に接続され、電源投入時においてインバータ10のラッチ動作を実現するNチャネル型のMOSFET24Nと、出力端子12にオフ状態を維持するように接続されたPチャネル型のMOSFET23Pと、を有する。
【0044】
図14は、回路ブロック100Aの電源投入時における各ノードの電圧波形の一例を示す図である。電源電圧VDDがMOSFETのゲート閾値電圧Vthよりも小さい領域(Vth≦VDD)、すなわち回路が正常に動作しない領域においては、MOSFETのリーク電流の影響が支配的である。この領域では、論理回路1A1の入力端子11に接続されたMOSFET23Nのリーク電流により、入力端子11の電位がローレベルに固定される。また、論理回路1A1の出力端子12に接続されたMOSFET23Pのリーク電流により、出力端子12の電位がハイレベルに固定される。また、論理回路1Aの入力端子11に接続されたMOSFET24Nは、出力端子12の電位がハイレベルに固定されることで、オン状態を維持する。これにより、入力端子11の電位がローレベルとされ、出力端子12の電位がハイレベルとされる状態を保持するラッチ動作が実現される。これにより、後段の論理回路1A2の出力ノードOXの電位は、ローレベルに固定される。
【0045】
本実施形態に係る論理回路1A1を含む回路ブロック100Aによれば、上記の第1の条件(|Vtp|≒|Vtn|且つIpk≒Ink)を満たす場合でも、出力ノードOXの電位が不定となることはなく、上記の第2の条件(|Vtp|<|Vtn|且つIpk>Ink)または第3の条件(|Vtp|>|Vtn|且つIpk<Ink)を満たす場合であっても、出力ノードOXの電位が反転することはない。すなわち、電源投入時において、意図しない論理レベルの信号が出力されることを抑制することができる。従って、電源投入時におけるシステムの誤動作が発生するリスクを抑制することができる。また、MOSFET23P及びMOSFET23Nは、常時オフ状態を維持する。MOSFET24Nは、過渡的にはオン状態となるが、定常的な電流が流れることはない。従って、消費電力の増大を抑制することができる。また、MOSFET23N、24N、23Pが、回路動作に影響を与えることはない。また、MOSFET24Nによりラッチ動作が実現されるので、電源投入時における動作の安定性をより高めることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1A0、1A1、1A2 論理回路
10 インバータ
10P、10N MOSFET
11 入力端子
12 出力端子
20P、20N、21P、22P、23N、23P、24N MOSFET
100A 回路ブロック
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14