(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231205BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L21/76 M
(21)【出願番号】P 2019065915
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勇喜
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-261597(JP,A)
【文献】特開2006-217410(JP,A)
【文献】特開2013-161945(JP,A)
【文献】国際公開第2007/139255(WO,A1)
【文献】特開2009-253150(JP,A)
【文献】特開2018-147975(JP,A)
【文献】特開2008-021875(JP,A)
【文献】特開2006-196884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型の導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられたフォトダイオードを構成するN型の導電型を有する第1の半導体領域と、
前記半導体基板に形成されたトレンチの内壁面を覆う絶縁膜と、前記トレンチを埋め込むように前記絶縁膜上に積層され
、正の電圧が印加される導電性を有する電極部とを有するトレンチ型キャパシタと、
前記絶縁膜と接しつつ前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲み、前記半導体基板の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、P型の導電型を有する第2の半導体領域と、
前記第2の半導体領域の表層部に設けられ、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲むリング状の形状を有し、N型の導電型を有する第3の半導体領域と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記第2の半導体領域に含まれる不純物はボロンである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
P型の導電型を有する半導体基板にフォトダイオードを構成するN型の導電型を有する第1の半導体領域を形成する工程と、
前記半導体基板にトレンチ型キャパシタを形成する工程と、
前記半導体基板に、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲み、前記半導体基板の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、P型の導電型を有する第2の半導体領域を形成する工程と、
前記第2の半導体領域の表層部に、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲むリング状の形状を有し、N型の導電型を有する第3の半導体領域を形成する工程と、
を含み、
前記トレンチ型キャパシタを形成する工程は、
前記半導体基板にトレンチを形成する工程と、
前記トレンチの内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記トレンチを埋め込むように前記絶縁膜上に積層された導電性を有する電極部を形成
する工程と、
を含み、
前記電極部には正の電圧が印加され、
前記第2の半導体領域は、前記絶縁膜と接している
半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の半導体領域に含まれる不純物のドーズ量は、5×10
11cm
-2以上2×10
12cm
-2以下である
請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記不純物はボロンである
請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオード及びトレンチ型キャパシタを含む半導体装置に関する技術として、以下の技術が知られている。例えば、特許文献1には、光学感知素子と、光学感知素子に対し電気的に接続されたトランジスタと、トランジスタおよび光学感知素子に対し電気的に接続されるトレンチ型キャパシタと、から構成されるイメージセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板に形成されたフォトダイオード及びトレンチ型キャパシタを含む半導体装置においては、電圧を印加した際にトレンチ型キャパシタとフォトダイオードとの間でパンチスルーによる電流リークが生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、トレンチ型キャパシタとフォトダイオードとの間での電流リークを抑制することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、P型の導電型を有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられたフォトダイオードを構成するN型の導電型を有する第1の半導体領域と、前記半導体基板に形成されたトレンチの内壁面を覆う絶縁膜と、前記トレンチを埋め込むように前記絶縁膜上に積層され、正の電圧が印加される導電性を有する電極部とを有するトレンチ型キャパシタと、前記絶縁膜と接しつつ前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲み、前記半導体基板の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、P型の導電型を有する第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表層部に設けられ、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲むリング状の形状を有し、N型の導電型を有する第3の半導体領域と、を含む。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、P型の導電型を有する半導体基板にフォトダイオードを構成するN型の導電型を有する第1の半導体領域を形成する工程と、前記半導体基板にトレンチ型キャパシタを形成する工程と、前記半導体基板に、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲み、前記半導体基板の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、P型の導電型を有する第2の半導体領域を形成する工程と、前記第2の半導体領域の表層部に、前記トレンチ型キャパシタの周囲を囲むリング状の形状を有し、N型の導電型を有する第3の半導体領域を形成する工程と、を含み、前記トレンチ型キャパシタを形成する工程は、前記半導体基板にトレンチを形成する工程と、前記トレンチの内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記トレンチを埋め込むように前記絶縁膜上に積層された導電性を有する電極部を形成する工程と、を含み、前記電極部には正の電圧が印加され、前記第2の半導体領域は、前記絶縁膜と接している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トレンチ型キャパシタとフォトダイオードとの間での電流リークを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図2B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図2C】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図2D】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図2E】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図2F】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図3】比較例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電極部に印加される電圧とトレンチ型キャパシタの静電容量との関係の一例を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施形態に係るP型の半導体領域をイオン注入法によって形成する際の不純物のドーズ量と、電極部に印加される電圧を0.5Vから2Vの間で変化させた場合のトレンチ型キャパシタの静電容量の変化率の一例を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施形態に係るP型の半導体領域をイオン注入法によって形成する際の不純物のドーズ量と、N型の半導体領域に印加される電圧を3Vとした場合における、トレンチ型キャパシタとフォトダイオードとの間に流れる電流の大きさの一例を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態に係るP型の半導体領域をイオン注入法によって形成する際の不純物のドーズ量を5×10
11cm
-2とした場合における、N型の半導体領域に印加される電圧とリーク電流との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。半導体装置1は、イメージセンサを構成するものである。
【0012】
半導体装置1は、単結晶シリコンに不純物としてボロンを含むP型の半導体基板10を有する。半導体基板10における不純物濃度は、例えば2×1011cm-3程度である。
【0013】
半導体装置1は、半導体基板10の表層部に形成された、フォトダイオードを構成するN型の半導体領域11を有する。N型の半導体領域11とP型の半導体基板10との間でPN接合が形成されることによりフォトダイオードが構成される。フォトダイオードは、照射された光の強度に応じた量の電荷を生成する。なお、N型の半導体領域11は、本発明における第1の半導体領域の一例である。
【0014】
また、半導体基板10の表層部には、N型の半導体領域11に隣接してP型の半導体領域14が設けられている。P型の半導体領域14の底部の深さ位置は、N型の半導体領域11の底部の深さ位置よりも深い位置に配置されている。
【0015】
半導体装置1は、半導体基板10の表層部から深層部にまで達するトレンチ型キャパシタ20を有する。トレンチ型キャパシタ20はフォトダイオードによって生成された電荷を蓄積するために用いられる。
【0016】
トレンチ型キャパシタ20は、半導体基板10に形成されたトレンチ(溝)の内壁面を覆うように形成された絶縁膜22と、トレンチ(溝)を埋め込むように絶縁膜22上に積層された導電性を有する電極部21とを有する。本実施形態において、絶縁膜22はSiO2により構成され、電極部21は、不純物がドープされたポリシリコンにより構成されている。電極部21を構成するポリシリコンの導電型はP型及びN型のいずれであってもよい。電極部21の、半導体基板10の主面方向における長さL1は、例えば3μm程度である。電極部21の平面視による形状は、特に限定されないが、円形または正方形であってもよい。
【0017】
トレンチ型キャパシタ20は、フォトダイオードを構成するN型の半導体領域11の近傍に設けられており、トレンチ型キャパシタ20の底部の深さ位置は、N型の半導体領域11及びP型の半導体領域14の底部の深さ位置よりも深い位置に配置されている。
【0018】
半導体装置1は、半導体基板10に、トレンチ型キャパシタ20の周囲を囲むように設けられたP型の半導体領域30を有する。すなわち、トレンチ型キャパシタ20は、P型の半導体領域30の内側に設けられており、トレンチ型キャパシタ20の側部および底部は、P型の半導体領域30に接している。P型の半導体領域30は、所謂ディープウェル構造を有しており、その底部の深さ位置は、トレンチ型キャパシタ20の底部の深さ位置よりも深い。P型の半導体領域30の不純物濃度は、半導体基板10の不純物濃度よりも高いものとされている。また、半導体基板10の主面方向における、トレンチ型キャパシタ20の端部とP型の半導体領域30の端部との間の距離L2は、例えば0.26μm以上5.0μm以下であることが好ましい。P型の半導体領域30は、半導体基板10の表層部に設けられたP型の半導体領域14に接している。
【0019】
P型の半導体領域30は、イオン注入法により不純物としてのボロンを半導体基板10に注入することにより形成される。P型の半導体領域30を形成する際のボロンのドーズ量は、5×1011cm-2以上2×1012cm-2以下であることが好ましい。なお、P型の半導体領域30は、本発明における第2の半導体領域の一例である。
【0020】
P型の半導体領域30の表層部には、トレンチ型キャパシタ20に隣接してN型の半導体領域13が設けられている。N型の半導体領域13は、トレンチ型キャパシタ20の周囲を囲むリング状とされている。N型の半導体領域13とP型の半導体領域14との間には、SiO2等の絶縁体によって構成される絶縁領域15が設けられている。絶縁領域15は、所謂STI(Shallow Trench isolation)構造を有しており、絶縁領域15の底部の深さ位置は、P型の半導体領域14の底部の深さ位置よりも浅い位置に配置されている。
【0021】
半導体基板10の表層部にはP型の半導体領域12が設けられている。トレンチ型キャパシタ20は、P型の半導体領域12と、フォトダイオードを構成するN型の半導体領域11との間に配置されている。P型の半導体領域12の不純物濃度は、半導体基板10の不純物濃度よりも高いものとされている。
【0022】
P型の半導体領域12と、N型の半導体領域13との間には、SiO2等の絶縁体によって構成される絶縁領域16が設けられている。絶縁領域16は、所謂STI(Shallow Trench isolation)構造を有している。
【0023】
以下に、半導体装置1の製造方法について説明する。
図2A~
図2Fは、半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
【0024】
はじめに、P型の半導体基板10を用意する。次に、公知のSTIプロセスを用いて、半導体基板10の表層部にSiO
2等の絶縁体により構成される絶縁領域15及び16を形成する(
図2A)。
【0025】
次に、ドライエッチング技術またはウェットエッチング技術を用いて、半導体基板10の絶縁領域15と絶縁領域16との間の領域に、トレンチ(溝)23を形成する。トレンチ23は、半導体基板10の表層部から深層部にまで達している(
図2B)。
【0026】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、トレンチ23の内壁を覆うように、SiO
2等の絶縁体からなる絶縁膜22を形成する(
図2C)。
【0027】
次に、CVD法により、トレンチ23を埋め込むように、不純物がドープされたポリシリコンを絶縁膜22上に積層することにより電極部21を形成する。これにより、絶縁膜22及び電極部21を含むトレンチ型キャパシタ20が形成される(
図2D)。
【0028】
次に、トレンチ型キャパシタ20の周囲を囲むように、半導体基板10の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する、ディープウェル構造のP型の半導体領域30を形成する(
図2E)。P型の半導体領域30は、イオン注入法により不純物としてのボロンを半導体基板10に注入することにより形成される。半導体基板10に注入されるボロンのドーズ量は、5×10
11cm
-2以上2×10
12cm
-2以下であることが好ましい。なお、半導体基板10上のトレンチ型キャパシタ20の形成領域にマスクを配置してイオン注入を行ってもよい。
【0029】
次に、イオン注入法を用いて、半導体基板10の表層部にN型の半導体領域11、13及びP型の半導体領域12及び14を順次形成する(
図2F)。
【0030】
本実施形態においては、トレンチ型キャパシタ20を形成した後に、トレンチ型キャパシタ20の周囲を囲むようにP型の半導体領域30を形成する場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。すなわち、半導体基板10に、ディープウェル構造のP型の半導体領域30を形成した後に、P型の半導体領域30内にトレンチ型キャパシタを形成してもよい。
【0031】
ここで、
図3は、比較例に係る半導体装置1Xの構成を示す断面図である。比較例に係る半導体装置1Xは、本発明の実施形態に係る半導体装置1が有するP型の半導体領域30を有していない。すなわち、トレンチ型キャパシタ20を構成する絶縁膜22は、半導体基板10と直接接している。
【0032】
比較例に係る半導体装置1Xの使用時においては、各半導体領域及びトレンチ型キャパシタ20に、以下のように電圧が印加される。すなわち、P型の半導体領域12及びN型の半導体領域13には、それぞれ、0Vの電圧が印加される。また、トレンチ型キャパシタ20を構成する電極部21及びフォトダイオードを構成するN型の半導体領域11には、それぞれ、0.5V以上3.0V以下の電圧が印加される。このとき、半導体基板10の、トレンチ型キャパシタ20との界面の近傍に反転層40が形成され、トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオードを構成するN型の半導体領域11との間でパンチスルーによる電流リークが過大となる。
【0033】
一方、本発明の実施形態に係る半導体装置1によれば、トレンチ型キャパシタ20の周囲を囲むように、半導体基板10の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するP型の半導体領域30が設けられているので、トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオード(N型の半導体領域11)との間での電流リークを抑制することができる。
【0034】
ここで、
図4は、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量を異ならせた場合の、電極部21に印加される電圧Vmtrと、トレンチ型キャパシタ20の静電容量Cとの関係の一例を示すグラフである。
図4に示すように、P型の半導体領域30の不純物濃度が高い場合には、トレンチ型キャパシタ20の静電容量の立ち上がり性能が低下する。トレンチ型キャパシタ20の静電容量の立ち上がり性能が低下すると、電極部21に印加される電圧Vmtrを、例えば、0.5Vから2.0Vの間で変化させた場合のトレンチ型キャパシタ20の静電容量Cの変化率が大きくなる。
【0035】
図5は、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量と、電極部21に印加される電圧Vmtrを0.5Vから2Vの間で変化させた場合のトレンチ型キャパシタ20の静電容量Cの変化率の一例を示すグラフである。
図5に示すように、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量を2×10
12cm
-2以下とすることで、トレンチ型キャパシタ20の静電容量Cの変化率を10%以下に抑えることが可能となる。一方、P型の半導体領域30のドーズ量が過度に少なくなると、トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオードとの間での電流リークの抑制効果が低下する。
【0036】
図6は、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量と、N型の半導体領域11に印加される電圧Vpdnを3Vとした場合における、トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオード(N型の半導体領域11)との間に流れる電流(具体的には、電極部21から流出するリーク電流Imtr)の大きさの一例を示すグラフである。
図6に示すように、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量が少なくなると、P型の半導体領域30の不純物濃度が低下して、トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオード(N型の半導体領域11)との間に流れる電流(リーク電流Imtr)が大きくなる。
【0037】
図7は、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量を5×10
11cm
-2とした場合における、N型の半導体領域11に印加される電圧Vpdnとリーク電流との関係の一例を示すグラフである。
図7には、電極部21から流出するリーク電流Imtr、P型の半導体領域12から流出するリーク電流Isub、N型の半導体領域11から流出するリーク電流Ipdnが示されている。
図7に示すように、リーク電流Isubが負の値をとることは、P型の半導体領域12に電流が流入していることを意味する。また、リーク電流Isubの絶対値とリーク電流Ipdnの絶対値が略同じ大きさであることは、N型の半導体領域11から流出した電流の殆どが、半導体基板10を経由してP型の半導体領域12に流入していることを意味する。リーク電流Isub及びリーク電流Ipdnは、半導体装置1の動作時において、半導体基板10に流れる基板電流である。
【0038】
P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量を5×1011cm-2とした場合、電極部21から流出するリーク電流Imtr(トレンチ型キャパシタ20とフォトダイオードとの間のリーク電流)は、基板電流(リーク電流Isub及びIpdn)と比較して無視できる程小さい。
【0039】
以上より、P型の半導体領域30をイオン注入法によって形成する際の不純物(ボロン)のドーズ量を5×1011cm-2以上2×1012cm-2以下とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
1 半導体装置
10 半導体基板
11、12、13半導体領域
15、16 絶縁領域
20 トレンチ型キャパシタ
21 電極部
22 絶縁膜
23 トレンチ
30 半導体領域