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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231205BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B25J15/06 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019109423
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020202324
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大波 豪
(72)【発明者】
【氏名】小清水 秀輝
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-324169(JP,A)
【文献】特開2018-6595(JP,A)
【文献】特開2001-319960(JP,A)
【文献】特開2003-77988(JP,A)
【文献】特開平7-7068(JP,A)
【文献】特開平8-236597(JP,A)
【文献】特開2017-50484(JP,A)
【文献】特開2017-45784(JP,A)
【文献】特開2016-4909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに取り付け、中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央を吸引保持するロボットハンドであって、
長尺平板状の基台と、該基台に配設されウェーハの凹み中央を吸引保持する吸盤と、ウェーハを吸引保持する該吸盤の吸着面を吸引源に連通させる連通路と、該連通路を構成するブロック吸引孔を備え該吸盤を該基台の一面に対して嵩上げする一又は複数の嵩上げブロックとを備え、
該吸着面でウェーハを吸引保持した際に、ウェーハの外周部分が該吸盤が装着された該基台の該一面に接触しないように、該一又は複数の嵩上げブロックによって該吸盤を該一面に対して嵩上げしているロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに取り付け、中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央を吸引保持するロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の被加工物を研削する研削装置上や切削する切削装置上等、又は上記装置間においては、中凹み状に湾曲したウェーハの外周縁を保持するロボットハンド(例えば、特許文献1参照)や、中凹み状に湾曲したウェーハの外周部分を離間する2つの吸引部でウェーハを吸引保持するロボットハンド(例えば、特許文献2参照)で、中凹み状に湾曲したウェーハを搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-000654号公報
【文献】特開2017-045784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、研削装置等の加工装置上において、ウェーハはウェーハカセットに棚状に収容されていて、ロボットのロボットハンドがウェーハを一枚保持しカセットから搬出して上下反転させて仮置きテーブルに搬送している。したがって、ロボットは、ウェーハを上下反転させるために、ロボットハンドでウェーハの中心を吸引保持したい。また、加工後のウェーハをスピン洗浄した後、スピンナテーブル上のウェーハを保持するときにウェーハの中央を吸引保持したいという要望がある。
【0005】
しかし、中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央を吸引保持しようとすると、ウェーハの反り上がった外周部分がロボットハンドの基台に接触し、ウェーハが中凹み状に湾曲した状態ではロボットハンドがウェーハを適切に吸引保持する事ができないという問題がある。
【0006】
よって、ウェーハを搬送するロボットに装着されるロボットハンドにおいては、反って中凹み状に湾曲しているウェーハの凹み中央をロボットハンドで適切に吸引保持して搬送するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、ロボットに取り付け、中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央を吸引保持するロボットハンドであって、長尺平板状の基台と、該基台に配設されウェーハの凹み中央を吸引保持する吸盤と、ウェーハを吸引保持する該吸盤の吸着面を吸引源に連通させる連通路と、該連通路を構成するブロック吸引孔を備え該吸盤を該基台の一面に対して嵩上げする一又は複数の嵩上げブロックとを備え、該吸着面でウェーハを吸引保持した際に、ウェーハの外周部分が該吸盤が装着された該基台の一面に接触しないように、該一又は複数の嵩上げブロックによって該吸盤を該一面に対して嵩上げしているロボットハンドである。
【発明の効果】
【0008】
ロボットに取り付け、中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央を吸引保持する本発明に係るロボットハンドは、長尺平板状の基台と、基台に配設されウェーハの凹み中央を吸引保持する吸盤と、ウェーハを吸引保持する吸盤の吸着面を吸引源に連通させる連通路と、該連通路を構成するブロック吸引孔を備え該吸盤を該基台の一面に対して嵩上げする一又は複数の嵩上げブロックとを備え、吸着面でウェーハを吸引保持した際に、ウェーハの外周部分が吸盤が装着された基台の一面に接触しないように、該一又は複数の嵩上げブロックによって吸盤を一面に対して嵩上げしていることで、中凹み状のウェーハの反り上がった外周部分が基台に接触すること無くロボットハンドが適切にウェーハの凹み中央を吸引保持できるようになる。そして、例えば、ウェーハの凹み中央をロボットハンドで吸引保持してウェーハカセットから取り出し、ウェーハを上下反転させて加工装置の仮置きテーブル等に搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ウェーハが収容されたカセット及びロボットハンドを備えるロボットの一例を示す斜視図である。
図2】中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央をロボットハンドで吸引保持している状態を説明する側面図である。
図3】ロボットハンドの基台の先端側の一面にOリング、嵩上げブロック、及び吸着パッドを取り付ける状態を説明する斜視図である。
図4】カセットに収容され中凹み状に湾曲したウェーハの凹み中央をロボットハンドで吸引保持している状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すロボット1は、例えばカセット4に収容される中凹み状に湾曲したウェーハWをカセット4から搬出したり、カセット4に搬入したりするためのロボットであり、本発明に係るロボットハンド6を備えており、例えば、図示しない研削装置上に配設されるものである。
【0011】
図1に示すカセット4は、例えば、底板4aと、天板4bと、後壁4cと、2枚の側壁4dと、前方側(+Y方向側)の開口4eとを有しており、開口4eからウェーハWを搬出入できる構成となっている。カセット4の内部には、複数の棚部40が上下方向に所定の間隔をあけて形成されており、棚部40においてウェーハWを一枚ずつ収容することが可能となっている。なお、カセット4の構成は本例に限定されるものではない。
【0012】
図1、2に示す平面視円形状のウェーハWは、ウェーハWの中心から外周縁Wcに向かって徐々に反っていくことで、中凹み状に湾曲している。即ち、この中凹み状の湾曲とは、カセット4の棚部40にウェーハWを表面Waを下側に向けて載置した際に、ウェーハWの表面Waがその中央側の領域から外周側の領域に向かって徐々に低くなっていくような湾曲である。そして、カセット4の棚部40に、ウェーハWの外周縁Wcが接触して棚部40にウェーハWが載置されている。例えば、ウェーハWの裏面Wbには図2に示す保護テープTが貼着されている。
【0013】
図2に示す中凹み状に湾曲したウェーハWの底である凹み中央Wfと外周縁Wcとの高さ差は、例えば、約5mmとなっているが、5mmより小さくてもよいし、該高さ差が約6mm~約10mmあってもよい。
また、中凹み状に湾曲したウェーハWの一例としては、表面Waが樹脂封止されたウェーハ等がある。
【0014】
図1に示すようにロボット1は、多関節ロボットであり、ロボットハンド6を所定の位置に移動させる駆動部3を備えている。駆動部3は、例えば、長尺板状の第1のアーム30と、長尺板状の第2のアーム31と、Z軸方向に延在するロボットハンド連結部32と、ロボットハンド6を水平方向に旋回させるロボットハンド旋回手段34と、第1のアーム連結部33と、昇降機構35とを備えている。
【0015】
ロボットハンド連結部32には、第1のアーム30の一端の上面が連結されている。第1のアーム30のもう一端の下面には、第1のアーム連結部33を介して、第2のアーム31の一端の上面が連結されている。第2のアーム31のもう一端の下面は、昇降機構35の柱350の上端に連結されている。昇降機構35は、例えば、ロボットハンド旋回手段34内に収容された図示しないモータ等の昇降駆動源を備え、ロボットハンド旋回手段34に対して柱350を昇降させてロボットハンド6の高さ位置を調整できる。そして、ロボットハンド旋回手段34は、モータ等の図示しない旋回駆動源を備え旋回駆動源が生み出す回転力により回転し、昇降機構35を旋回軸を軸として旋回させることで、ロボットハンド6を水平に旋回させている。
【0016】
ロボットハンド連結部32の上端側には、図1においては鉛直方向(Z軸方向)に直交するX軸方向の軸心を有するスピンドル70を回転可能に支持するハウジング71が固定されている。例えばハウジング71の内部には、スピンドル70を回転駆動する図示しないモータが収容されている。
【0017】
スピンドル70の先端側はハウジング71から-X方向に突出しており、この先端側に、ロボットハンド6の根元側が装着されるホルダ73が配設されている。図示しないモータがスピンドル70を回転させることに伴って、スピンドル70にホルダ73を介して接続されているロボットハンド6が回転して、ロボットハンド6の一面60aとロボットハンド6の一面60aの反対面60bとを上下に反転させることができる。
【0018】
図1、2に示すロボット1に取り付け、中凹み状に湾曲したウェーハWの凹み面(表面Wa)の中央Wfを吸引保持する本発明に係るロボットハンド6は、長尺平板状の基台60と、基台60に配設されウェーハWの凹み面の中央Wfを吸引保持する吸盤61と、ウェーハWを吸引保持する吸盤61の吸着面610dを吸引源69に連通させる連通路62(図2のみ図示)と、を少なくとも備えている。
【0019】
基台60は、例えば、SUS、アルミまたはアルミナセラミックス等からなり、その先端側から図1に示すカセット4の内部に進入していく。基台60の一面60a(図1、2においては下面)の先端側の領域は、吸盤61を装着する面となる。また、基台60の一面60aは、根元側の一部を除いて平坦面となっている。
【0020】
基台60の一面60aの根元側の領域は、例えば、略矩形状に基台60を厚み方向(Z軸方向)に切り欠いて切り欠き部600が形成されていてもよい。該切り欠き部600は、直径が比較的大きい中凹み状に湾曲したウェーハWをロボットハンド6が吸引保持する場合に、ウェーハWの反り上がった外周縁Wcが入り込むことで、基台60とウェーハWとの接触を防ぐ役割を果す。また、切り欠き部600を形成することで、カセット4内にロボットハンド6を進入させウェーハWの凹み中央Wfに吸盤61を接触させるための上昇移動量を少なくできる。なお、後述する嵩上げブロック66の枚数を増やすことで、ウェーハWの凹み中央Wfと外周縁Wcとの高さ差に対応して吸盤61の高さを調整する事ができるので、基台60は切り欠き部600を備えない構成となっていてもよい。
【0021】
図2、3に示すように、例えば、基台60の一面60aの先端側の領域には、基台60の長手方向に所定の間隔を空けて複数(例えば2つ)の雌ねじ穴601が、厚み方向(Z軸方向)に向かって形成されている。なお、雌ねじ穴601はさらに複数基台60に形成されていてもよい。
【0022】
例えば、基台60の一面60aの先端側の領域の2つの雌ねじ穴601の間には、連通路62を構成する吸引路603の一端が開口しており、吸引路603は、例えば、基台60の内部を長手方向に延在している。
例えば、基台60の一面60aの吸引路603の開口の周囲には、円環状のOリング収容溝605が形成されている。
【0023】
図2、3に示す吸盤61は、例えば、変形可能なゴム等の弾性材を平面視円形状に形成したものであり、円形板状の吸盤基部610と、吸盤基部610の外周領域から徐々に拡径するように立設されたツバ状の変形部611とを備えている。吸盤61において、図3に示す吸盤基部610の上端面(図2においては下端面)はウェーハWを吸着する吸着面610dとなる。
【0024】
吸盤基部610には、基台60の一面60aに形成された雌ねじ穴601に対応する2つの吸盤馬鹿穴610aと、基台60の一面60aに形成された吸引路603の開口に対応する1つの吸盤吸引孔610bとがそれぞれ厚み方向(Z軸方向)に貫通形成されている。なお、吸盤馬鹿穴610aは、雌ねじ穴であってもよい。その際、基台60の雌ねじ穴601は貫通穴で、基台60側から固定雄ネジを貫通させ吸盤61の雌ねじ穴に螺合させ吸盤61との間に嵩上げブロック66を挟んだ状態で吸盤61を基台60に連結させ一体化させる。
【0025】
本発明に係るロボットハンド6は、図2に示すように、吸着面610dでウェーハWを吸引保持した際に、ウェーハWの外周縁Wcを含む外周部分が吸盤61が装着された基台60の一面60aに接触しないように吸盤61を一面60aに対して嵩上げしている。即ち、例えば、ロボットハンド6は、吸盤61と基台60との間に、ウェーハWの湾曲具合(反り具合)に応じて図2、3に示す嵩上げブロック66を一枚又は複数枚挟んだ構成となっている。
【0026】
図2、3に示す例えば3枚が重なった状態の嵩上げブロック66は、例えば、吸盤61の吸盤基部610と略同径の円形平板状となっており、吸盤61と基台60との間に挟む枚数によって吸盤61の基台60の一面60aに対する嵩上げ高さを調整可能となっている。即ち、嵩上げブロック66は、吸引保持したいウェーハWの湾曲具合によってその数が調整される。
例えば剛性を有する素材からなる嵩上げブロック66には、基台60の一面60aに形成された雌ねじ穴601に対応する2つのブロック馬鹿穴660と、基台60の一面60aに形成された吸引路603の開口に対応する1つのブロック吸引孔661とがそれぞれ厚み方向(Z軸方向)に貫通形成されている。なお、ブロック馬鹿穴660は、雌ねじ穴であってもよい。
例えば、嵩上げブロック66のブロック吸引孔661の周囲には、円環状のOリング収容溝664が形成されている。
【0027】
図2に示すようにロボットハンド6を中凹み状に湾曲したウェーハWの凹み中央Wfを吸引保持可能な状態に組み立てるには、図3に示すように、基台60側から順に、基台60に形成された2つの雌ねじ穴601と、所定枚数(図3においては3枚)の各嵩上げブロック66に形成された2つのブロック馬鹿穴660と、吸盤61に形成された吸盤馬鹿穴610aとが重なるように位置合わせする。
【0028】
さらに、基台60のOリング収容溝605にゴム等からなり円環状のOリング67を入れ込み、嵩上げブロック66のOリング収容溝664にOリング67を入れ込む。さらに、吸盤61に形成された吸盤馬鹿穴610aから図3に示す固定雄ねじ68を挿入し嵩上げブロック66のブロック馬鹿穴660を通してから、基台60の雌ねじ穴601に螺合することにより、基台60、嵩上げブロック66、及び吸盤61を一体化させることができる。即ち、吸盤61が基台60の一面に対して嵩上げされた状態で装着された状態になる。なお、固定雄ねじ68のねじ頭が、吸盤61の吸盤基部610に埋め込まれた状態になり、吸着面610dから突き出ていない状態になる。
【0029】
また、吸盤61の吸盤吸引孔610b、嵩上げブロック66のブロック吸引孔661、及び基台60の吸引路603が連通して構成される連通路62(図2参照)が形成される。吸引路603の他端は、基台60を装着するホルダ73内に形成されたホルダ吸引路730に連通している。例えば、図2に示すホルダ73のホルダ吸引路730には、ロボットハンド6の旋回移動を妨げないように可撓性を備える樹脂チューブ690が、図示しない継手等を介して連通している。そして、樹脂チューブ690のもう一端側には、真空発生装置、又はエジェクター機構等の吸引源69に接続されている。そのため、吸引源69が作動することで生み出される吸引力が連通路62を通り、吸盤61の吸着面610dに伝達される。
【0030】
また、基台60のOリング収容溝605に入れ込まれたOリング67は、嵩上げブロック66によって押圧されてOリング収容溝605内で変形し、また、嵩上げブロック66のOリング収容溝664に入れ込まれたOリング67は、他の嵩上げブロック66又は吸盤61によって押圧されてOリング収容溝664内で変形する。その結果、各Oリング67によって、吸盤61から基台60内までの連通路62の密閉性が向上する。
【0031】
以下に、図1に示すロボット1によりカセット4に裏面Wbが上側を向いた状態で収容されているウェーハWを搬出する場合の、ロボットハンド6の動作について説明する。なお、ロボット1のロボットハンド6により吸引保持されるウェーハWは、カセット4に収容された状態になっていなくてもよい。
まず、図1に示すロボット1が昇降機構35によってZ軸方向に移動されて、ロボットハンド6とカセット4内の狙いのウェーハWとのZ軸方向における位置合わせが行われる。また、図示しないモータがスピンドル70を回転させ、ロボットハンド6の吸盤61が上側を向いた状態にセットされる。
【0032】
また、駆動部3がロボットハンド6を旋回させて、ロボットハンド6が開口4eからカセット4の内部の所定の位置まで進入していく。すなわち、図2、4に示すように、吸盤61が、棚部40(図2には不図示)上に裏面Wbを上側を向けて載置されているウェーハWの表面Waの凹み中央Wfの下方に位置するようにロボットハンド6が位置づけられる。
【0033】
次いで、図2、4に示すロボットハンド6が上昇して、ウェーハWの表面Waの凹み中央Wfに吸盤61を接触させる。吸盤61の変形部611はウェーハWの凹み中央Wfの小さな湾曲に沿って変形することで、凹み中央Wfとの接触面積が最大化され、吸盤61の吸盤基部610の吸着面610dが凹み中央Wfに接触する。なお、変形部611の傾斜している内側面のみがウェーハWの凹み中央Wfに接触した状態となってもよい。
【0034】
吸引源69が作動して生み出された吸引力が、連通路62を通り吸盤61の吸着面610dまで伝達され、吸盤61がウェーハWの凹み中央Wfを吸着することで、ロボットハンド6によりウェーハWが吸引保持される。ここで、ウェーハWの外周縁Wcを含む外周部分が吸盤61を装着する基台60の一面60aに接触しないように、例えば3枚の嵩上げブロック66によって吸盤61を一面60aに対して嵩上げしていることで、中凹み状のウェーハWの反り上がった外周部分が基台60に接触すること無くなり、ロボットハンド6がウェーハWの凹み中央Wfを吸引保持できる。
【0035】
図1に示す昇降機構35でロボットハンド6を上昇させ、ロボットハンド6に吸引保持されるウェーハWの外周縁Wcが棚部40上から離間された高さで昇降機構35を停止させ、ウェーハWを吸引保持したロボットハンド6が図1に示す駆動部3の第1のアーム30によって+Y方向に移動し、ウェーハWがロボットハンド6によりカセット4から搬出される。そして、例えば、ウェーハWの表面Waの凹み中央Wfをロボットハンド6で適切に吸引保持した状態で、スピンドル70を回転させウェーハWを上下反転させて、表面Waを上側に向けた状態で図示しない加工装置の仮置きテーブル等に搬送する。
なお、仮置きテーブルに搬送されたウェーハWを位置決めさせ、研削装置等の加工装置のチャックテーブルに搬送手段で搬送させ、加工手段でウェーハWを加工させる。そのため、搬送手段は、ウェーハWの表面Waの凹み中央Wfを吸引保持してチャックテーブルに搬送させる。また、チャックテーブルでは、ウェーハWの湾曲を平坦化させ、チャックテーブルの保持面を吸引源に連通させウェーハWを倣わせて保持させる。
なお、例えば研削され湾曲していない平坦化されたウェーハWを、本ロボットハンド6で保持させカセット4に湾曲していないウェーハWを収容させてもよい。
【0036】
本発明に係るロボットハンド6は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されているロボット1やカセット4の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明に係るロボットハンド6の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
W:中凹み状に湾曲したウェーハ Wa:ウェーハの表面 Wb:ウェーハの裏面 Wc:ウェーハの外周縁 Wf:ウェーハの凹み中央 T:保護テープ
4:カセット 40:棚部
1:ロボット
3:駆動部 30:第1のアーム 31:第2のアーム 32:ロボットハンド連結部
33:第1のアーム連結部 34:ロボットハンド旋回手段 35:昇降機構
70:スピンドル 71:ハウジング 73:ホルダ 730:ホルダ吸引路
6:ロボットハンド
60:基台 60a:基台の一面 600:切り欠き部 601:雌ねじ穴 603:吸引路 605:Oリング収容溝
61:吸盤 610:吸盤基部 610a:吸盤馬鹿穴 610b:吸盤吸引孔 610d:吸着面 611:変形部
62:連通路
66:嵩上げブロック 660:ブロック馬鹿穴 661:ブロック吸引孔 664:Oリング収容溝
69:吸引源 690:樹脂チューブ
図1
図2
図3
図4