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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】超音波水噴射装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231205BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20231205BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20231205BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20231205BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20231205BHJP
   B05B 17/06 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
B06B1/06 Z
B06B1/02 K
B08B3/02 A
F04B43/04 B
B05B17/06
H01L21/304 643A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019123614
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2021009947
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邱 暁明
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527020(JP,A)
【文献】特開昭64-090078(JP,A)
【文献】特開2011-205613(JP,A)
【文献】特開2001-339791(JP,A)
【文献】特開平07-201799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B06B 1/00
B08B 3/00
F04B 43/00
B05B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動を伝播させた水を被加工物に噴射する超音波水噴射装置であって、
底板と該底板に連結された側壁とを備え、水供給源から供給される水を一時的に溜める水溜部と、
該水溜部に溜められた水を噴射する噴射口と、
該噴射口に対向して該水溜部に配設され該水溜部に溜められた水に超音波振動を伝播する圧電振動板と、を備え、
該圧電振動板は、高周波電源に電気的に接続されたドーム部と、該ドーム部の外周縁から径方向に外側に張り出したツバ部と、該ツバ部の外周縁から径方向に外側に張り出した環状板と、を備え、
該圧電振動板の前記ドーム部の凹んでいる面側は該噴射口に向けられており、該圧電振動板の前記環状板の外周部分が該水溜部の側壁に支持されていて、該ドーム部は該環状板を介して中空固定され、
該圧電振動板に供給される高周波電力によって該圧電振動板から発生する超音波振動を該噴射口に向かって集中させ、該水溜部で該超音波振動が伝播された水を該噴射口から噴射する超音波水噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動板を備える超音波水噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハを加工する場合には、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されているように、超音波水噴射装置の超音波洗浄ノズルから超音波振動を伝播させた水をウェーハに向かって噴射させて、ウェーハの上に付着した加工屑等のゴミに超音波振動を伝え、ウェーハからゴミを除去している。
【0003】
そして、従来の超音波洗浄ノズルは、例えば、水(洗浄水)を供給する供給口、水を溜める水溜部、水溜部の先端に形成された噴射口、及び平板形状の超音波振動子(圧電振動板)を有している。水溜部は、供給口から供給された水を一時的に溜められる容積を有し、噴射口に向かって先細りした形状に形成されている。噴射口は、水溜部の先端から水を噴射する。そして、圧電振動板は、噴射口に対向して水溜部内に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-151422号公報
【文献】特開2003-340330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
平板形状の圧電振動板から水溜部内に溜められた水に伝えられる超音波振動は、水溜部の内壁で反射する。そのため、反射した超音波振動と圧電振動板から発振される超音波振動とが打ち消し合う場合がある。この場合、洗浄水を介してウェーハに伝播される超音波振動が弱まり、超音波洗浄水の洗浄力が低下するという問題がある。
【0006】
よって、例えば、超音波洗浄水を用いてウェーハを洗浄する場合等においては、圧電振動板から発振させる超音波振動を弱めることなく洗浄水に伝播させて、超音波洗浄水の洗浄力を向上させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明は、超音波振動を伝播させた水を被加工物に噴射する超音波水噴射装置であって、底板と該底板に連結された側壁とを備え、水供給源から供給される水を一時的に溜める水溜部と、該水溜部に溜められた水を噴射する噴射口と、該噴射口に対向して該水溜部に配設され該水溜部に溜められた水に超音波振動を伝播する圧電振動板と、を備え、該圧電振動板は、高周波電源に電気的に接続されたドーム部と、該ドーム部の外周縁から径方向に外側に張り出したツバ部と、該ツバ部の外周縁から径方向に外側に張り出した環状板と、を備え、該圧電振動板の前記ドーム部の凹んでいる面側は該噴射口に向けられており、該圧電振動板の前記環状板の外周部分が該水溜部の側壁に支持されていて、該ドーム部は該環状板を介して中空固定され、該圧電振動板に供給される高周波電力によって該圧電振動板から発生する超音波振動を該噴射口に向かって集中させ、該水溜部で該超音波振動が伝播された水を該噴射口から噴射する超音波水噴射装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る圧電振動板は、環状板を介して支持されるので、圧電振動板のドーム部から発生させる超音波振動が、環状板の厚み、環状幅(リング幅)、及び材質等を適切に設定することで増幅され、大きな振幅を洗浄水や加工水に伝播させることが可能になり、超音波洗浄水の洗浄効果を向上させたり、改質層等の分割起点を備えた被加工物の超音波加工水による分割をより確実に行えたりする。
【0009】
超音波振動を伝播させた水を被加工物に噴射する本発明に係る超音波水噴射装置は、圧電振動板の環状板の外周部分が水溜部の側壁に支持されていることで、圧電振動板に高周波電力を供給した際に、ドーム部の振動が環状板で増幅された大きな振幅の超音波振動を、洗浄水に伝播させることが可能になり、超音波洗浄水の洗浄効果を向上させたり、被加工物の切削溝内を超音波洗浄水で洗浄できたりする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】超音波水噴射装置を備えるスピンナ洗浄機構の一例を示す斜視図である。
図2】スピンナ洗浄機構を用いて被加工物の上面を超音波洗浄水で洗浄している状態を説明する断面図である。
図3】超音波水噴射装置を備える切削装置の一例を示す側面図である。
図4】切削装置を用いて被加工物に切削加工を施している状態を説明する断面図である。
図5】超音波振動ホーンを備える超音波分割装置を用いて被加工物を分割起点を起点として分割している状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(超音波水噴射装置を備えるスピンナ洗浄機構)
図1に示すスピンナ洗浄機構1は、例えば、被加工物Wを保持するスピンナテーブル10と、スピンナテーブル10で保持された被加工物Wに洗浄水を噴射する本発明に係る超音波水噴射装置2と、スピンナテーブル10を囲繞する図示しないケースとを備えている。
【0012】
被加工物Wは、例えば、外形が円形の半導体ウェーハであり、図1において上側を向いている上面Waが被洗浄面となる。図1において下側を向いている被加工物Wの下面Wbは、例えば、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。
【0013】
スピンナテーブル10は、例えば、その外形が円形板状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸着する吸着部100と、吸着部100を支持する枠体101とを備える。吸着部100は図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、吸着部100の露出面であり枠体101の上面と面一に形成された保持面100aに伝達されることで、スピンナテーブル10は保持面100a上で被加工物Wを吸引保持することができる。
スピンナテーブル10の下側にはモータ及び軸方向がZ軸方向(鉛直方向)であるスピンドル等からなるスピンナテーブル回転手段103が配設されており、スピンナテーブル回転手段103によってスピンナテーブル10は水平面内において回転可能となっている。
【0014】
本実施形態において、超音波水噴射装置2は、スピンナテーブル10の上方において旋回可能な水供給パイプ12の先端に取り付けられている。
水供給パイプ12は、水平方向に延在しており、その後端側にはポンプ等からなり洗浄水(例えば、純水)を送出可能な水供給源19が樹脂チューブや継手を介して連通している。
水供給パイプ12の後端側には、軸方向がZ軸方向である旋回軸18が連結されており、旋回軸18はその下端に連結された旋回モータ17によって回転可能となっている。なお、水供給パイプ12は、旋回軸18の上端から少なくともスピンナテーブル10の中心まで届く長さを有している。これにより、旋回軸18は、水供給パイプ12の先端に配設された超音波水噴射装置2を、スピンナテーブル10で保持された被加工物Wの外周縁から中心まで移動させることが可能となっている。
【0015】
図1、2に示す本発明に係る超音波水噴射装置2は、超音波振動を伝播させた洗浄水を被加工物Wに噴射する装置であって、図2に示すように、水供給源19から供給される水を一時的に溜める水溜部20と、水溜部20に溜められた水を噴射する噴射口205aと、噴射口205aに対向して水溜部20に配設され水溜部20に溜められた水に超音波振動を伝播する本発明に係る圧電振動板3と、を備えている。
【0016】
水溜部20は、例えば、略円柱状に形成されており、底板200と、底板200にZ軸方向において対向する天板201と、底板200と天板201とに連結する略円筒状の側壁202とを備えている。
【0017】
水溜部20内は、本発明に係る圧電振動板3によって、上下の2部屋、即ち、圧電振動板3より上側の第一室20Aと、圧電振動板3よりも下側の第二室20Bとに区画されている。そして、下側の第二室20B側の側壁202には、側壁202を貫通する水供給口202aが形成されており、該水供給口202aには水供給パイプ12が連通している。したがって、水供給源19が供給する洗浄水は、水溜部20の第二室20B内に一時的に
溜められる。
【0018】
底板200には、-Z方向側に突き出るノズル部205が形成されている。ノズル部205は、例えばその先端の洗浄水を噴射する噴射口205aに向けて徐々に縮径している。なお、ノズル部205は噴射口205aに向けて縮径していない形状であってもよい。
【0019】
本発明に係る圧電振動板3は、水溜部20内において噴射口205aに対向する位置に配置されており、ドーム部30と、ドーム部30の外周縁から径方向に外側に張り出したツバ部31と、ツバ部31の外周縁から径方向に外側に張り出した環状板32と、を備える。
【0020】
ドーム部30は、例えば、高周波電源39に電気的に接続され、第1電極板301、圧電素材304及び第2電極板302をZ軸方向に重ねて構成されている。第1電極板301、圧電素材304及び第2電極板302は、例えば、セラミックスの一種であるピエゾ素子で構成されているが、これに限定されない。第1電極板301、圧電素材304、及び第2電極板302は、皆ドーム形状に形成されている。
【0021】
第1電極板301、圧電素材304及び第2電極板302は、凹んだ側が噴射口205aに向くように重ねられている。第1電極板301、第2電極板302は、図示しない電極が取り付けられ、該電極及び配線390を介して、交流電圧を印加して高周波電力を圧電振動板3に供給する高周波電源39が接続されている。
【0022】
第2電極板302の凸側の上面は、圧電素材304を挟んで第1電極板301の下面に密着しており、第2電極板302の凹んでいる側の下面、即ち、ドーム部30の噴射口205aに対向する下面は、水溜部20の第二室20B内に一時的に溜められた洗浄水に向けて超音波振動を輻射する輻射面302bとなる。なお、本実施形態では、圧電振動板3の輻射面302bが、球形の一部の内面に類似のドーム形状に形成されているが、すり鉢の内面に類似のドーム形状に形成されていてもよい。すなわち、輻射面302bは、噴射口205aに向かって超音波振動が集中するように構成されていればよい。
【0023】
ドーム部30の第2電極板302の外周縁から径方向に外側に一体的に張り出した円環板状のツバ部31は、ドーム部30と同じピエゾ素子等で構成される。
例えば、ツバ部31の外周縁から径方向に外側に張り出した環状板32は、その外周部分が水溜部20の側壁202に支持されていて、ドーム部30を水溜部20内で中空固定している。環状板32は、その厚みが例えば、0.1mmから0.2mmであり、環状幅(リング幅)は、例えば、3.0mmであり、材質は、例えばステンレスであると好ましい。また、環状板32は、外周部分の2.0mm幅が側壁202で支持されていて、ドーム部30の外周と側壁202との間が1.0mmである。そして、環状板32は、その1.0mmの部分で超音波振動を増幅させている。なお、ドーム部30は、輻射面302bの直径が16mmでツバ部31の直径が20mmで形成されている。
【0024】
以下に、図1、2に示すスピンナ洗浄機構1を使用して、被加工物Wを洗浄する場合について説明する。
まず、被加工物Wの中心がスピンナテーブル10の保持面100aの中心におおよそ合致するようにして、被加工物Wが保持面100a上に載置される。そして、図示しない吸引源が作動して生み出された吸引力が、保持面100aに伝達されることで、スピンナテーブル10が被加工物Wを吸引保持する。
【0025】
その後、図2に示すように、スピンナテーブル回転手段103がスピンナテーブル10を回転させる。また、図1に示す旋回モータ17が旋回軸18を回転させることで、超音
波水噴射装置2が、スピンナテーブル10の外側の退避位置から被加工物Wの上方に移動され、噴射口205aが被加工物Wの上面Waに対向する。
【0026】
水供給源19から加圧された水が送出され、該水は、水供給パイプ12を通り、超音波水噴射装置2の水溜部20の第二室20Bに一時的に溜められる。
水溜部20の第二室20B内に水が所定量溜められていき、第二室20B内の水圧が上昇し、噴射口205aから洗浄水が下方に向かって噴射される。なお、水供給源19から水が供給され続けることで、水は第二室20B内に所定量常に溜められる。
【0027】
また、圧電振動板3に高周波電源39が高周波電力を供給する。即ち、高周波電源39によって所定の周波数(例えば、1MHz~3MHz)で電圧の印加のオンとオフとが繰り返されることで、第1電極板301及び圧電素材304に上下方向における伸縮運動を発生させる。そして、該伸縮運動が機械的な超音波振動となる。第2電極板302は第1電極板301の振動に共振することにより、噴射口205a側から見てなだらかに凹んだ凹面である輻射面302bから、水溜部20の第二室20Bに溜められた水に超音波振動を伝播させる。また、凹面である輻射面302bから該水に伝播される超音波振動は噴射口205aに向かって集中する。
【0028】
輻射面302bの曲率と輻射面302bから噴射口205aまでの距離とが適切に設定されていることで、圧電振動板3の輻射面302bから発生し水に伝播される超音波振動を、噴射口205aから下方に向かって例えば数ミリ~数十ミリ程度の範囲内の所定の位置(例えば、被加工物Wの上面Wa)で焦点を結ばせて、この位置に集中させることができる。そして、ノズル部205の噴射口205aから外部に向かって噴射される洗浄水を超音波振動を伝播させた超音波洗浄水として噴射させ、該超音波洗浄水によって被加工物Wの上面Waを洗浄できる。
ここで、図2に示す環状板32によって、超音波振動を発生させるドーム部30が水溜部20の側壁202に直接保持されていない状態となっているため、圧電振動板3に高周波電力を供給した際にドーム部30が振動しやすくなり、洗浄水に効果的に環状板32で増幅された振幅の大きな超音波振動を伝播させることができる。
【0029】
これにより、被加工物Wの上面Waに付着していた加工屑等が、超音波洗浄水によって振動して上面Waから離れ、スピンナテーブル10の回転により発生する遠心力によって、超音波洗浄水と共に被加工物Wの上面Wa上を径方向外側に向かって流れていき、スピンナテーブル10上から図示しないケースへと流下する。また、例えば、超音波水噴射装置2が、被加工物Wの中心上方を通過するようにして、被加工物Wの上方を所定角度で往復するように旋回移動することで、被加工物Wの上面Wa全面が超音波洗浄水によって洗浄される。
【0030】
上記のように、本発明に係る圧電振動板3は、ドーム部30と、ドーム部30の外周縁から径方向に外側に張り出したツバ部31と、ツバ部31の外周縁から径方向に外側に張り出した環状板32と、を備えることで、圧電振動板3を配設箇所である水溜部20の側壁202に環状板32を介して配設できる、即ち、超音波振動を発生させるドーム部30が水溜部20の側壁202において直接保持されていない状態とすることが可能となる。そのため、圧電振動板3に高周波電力を供給した際に、ドーム部30が振動しやすくなる。また、圧電振動板3のドーム部30から発生させる超音波振動が、環状板32で増幅されるように、環状板32の厚み、環状幅(リング幅)、及び材質等を設定することで、圧電振動板3から発生する例えば振動数1MHz~3MHzの超音波振動を、従来よりも大きな振幅で洗浄水に伝播させることが可能になり、洗浄水の洗浄効果を向上させることができる。また、圧電振動板3から洗浄水に超音波振動を伝播させた超音波洗浄水は、従来よりも洗浄幅を広くすることが可能になり、洗浄時間の短縮を可能とする。さらに、圧電
振動板3から洗浄水に超音波振動を伝播させた超音波洗浄水は、被加工物Wの被洗浄面である上面Waが凸凹であっても、超音波振動により凹んだ部分に溜まった汚れを掻き出して洗浄を行うことが可能となる。
【0031】
上記のように、超音波振動を伝播させた洗浄水を被加工物Wに噴射する本発明に係る超音波水噴射装置2は、水供給源19から供給される水を一時的に溜める水溜部20と、水溜部20に溜められた水を噴射する噴射口205aと、噴射口205aに対向して水溜部20に配設され水溜部20に溜められた水に超音波振動を伝播する圧電振動板3と、を備え、圧電振動板3のドーム部30の凹んでいる面側(輻射面302b側)は噴射口205aに向けられており、圧電振動板3の環状板32の外周部分が水溜部20の側壁202に支持されていることで、圧電振動板3に供給される高周波電力によって圧電振動板3から発生する超音波振動を噴射口205aに向かって集中させ、水溜部20で超音波振動が伝播された洗浄水を噴射口205aから噴射することができる。即ち、超音波振動を発生させる圧電振動板3のドーム部30が水溜部20の側壁202によって直接保持されていない状態となり、圧電振動板3に高周波電力を供給した際に、ドーム部30が振動しやすくなる。そして、環状板32で増幅された従来よりも大きな振幅の超音波振動を洗浄水に伝播させることが可能になり、超音波洗浄水の洗浄効果を向上させることができる。
【0032】
(超音波水噴射装置を備える切削装置)
本発明に係る超音波水噴射装置2は、図3に示すように、保持手段40に保持された被加工物W1に対して切削手段42によって切削加工を施す切削装置4に配設されていてもよい。
切削装置4の保持手段40は、例えば、その外形が円形板状であり、ポーラス部材等からなり図示しない吸引源に連通する平坦な保持面40a上で被加工物W1を吸引保持することができる。保持手段40は、X軸方向に往復移動可能であると共に、軸方向がZ軸方向である図示しない回転軸を軸に回転可能である。
【0033】
図3に示す被加工物W1は、例えば、シリコンを母材とする円形の半導体ウェーハであり、上側を向いている表面W1aには、分割予定ラインSによって区画された格子状の領域にデバイスDが形成されている。また、被加工物W1の下側を向いている裏面W1bはダイシングテープTが貼着されて保護されている。例えば、被加工物W1の厚みは、従来の倍の1mmとなっている。なお、被加工物W1はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、セラミックス、樹脂、窒化ガリウム、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、その外形も円形状ではなく、例えば、矩形状に形成されていてもよい。また、被加工物W1は、図示しない環状フレームによってダイシングテープTを介してハンドリング可能に支持されていてもよい。
【0034】
切削手段42は、例えば、軸方向がY軸方向であるスピンドル420と、スピンドル420に装着される円環状の切削ブレード423と、切削ブレード423をカバーするブレードカバー424と、を備えており、Z軸方向(鉛直方向)及びZ軸方向に水平面において直交するY軸方向に往復移動可能となっている。そして、図示しないモータがスピンドル420を回転駆動することに伴って切削ブレード423も高速で回転する。
【0035】
図1に示すブレードカバー424は、その中央領域に略円形の開口を備えており、スピンドル420の先端側に装着された切削ブレード423は、該略円形の開口に収容されている。ブレードカバー424は、スピンドル420を回転可能に支持する図示しないスピンドルハウジングに固定されている。
【0036】
ブレードカバー424は、Y方向側から見て略L字形状の一対の切削水ノズル425(片方のみ図示)を支持している。一対の切削水ノズル425は、切削ブレード423の下
部を刃厚方向(Y軸方向)両側から挟むようにしてX軸方向に互いに平行に延びている。一対の切削水ノズル425のそれぞれの上端は、水供給源49に樹脂チューブ490等を介して連通している。一対の切削水ノズル425は切削ブレード423の側面に対面する内側面に複数のスリットを備えており、スリットから噴射される切削水によって、切削ブレード423と被加工物W1との接触部位である加工点が冷却及び洗浄される。
【0037】
ブレードカバー424の+X方向側の側面には、超音波水噴射装置2を支持する支持ブロック426が取り付けられており、支持ブロック426には、他端側が樹脂チューブ491を介して水供給源49に連通する水供給パイプ427がZ軸方向に延在するように配設されている。そして、水供給パイプ427の一端側は、支持ブロック426の下端側に取り付けられた超音波水噴射装置2の水供給口202a(図4参照)に接続されている。
【0038】
超音波水噴射装置2は、図3に示す支持ブロック426に回転軸428を介して取り付けられており、矢印A方向に角度調整が可能である。そして、超音波水噴射装置2の噴射口205aから噴射される洗浄水は、切削ブレード423の外周方向から切削ブレード423と被加工物W1との接触部位である加工点に供給される。
【0039】
以下に、図3に示す切削装置4を使用して、被加工物W1を切削する場合について説明する。
まず、被加工物W1が、表面W1aが上側になるように保持手段40の保持面40a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面40aに伝達されることにより、保持手段40が保持面40a上で被加工物W1を吸引保持する。また、被加工物W1の中心と保持面40aの中心とは略合致した状態になる。
【0040】
保持手段40により被加工物W1が保持された後、図示しないアライメント手段により、被加工物W1の切削ブレード423を切り込ませるべき分割予定ラインSのY軸方向における座標位置が検出される。分割予定ラインSの座標位置が検出されるのに伴って、切削手段42がY軸方向に移動し、狙いの分割予定ラインSと切削ブレード423とのY軸方向における位置合わせが行われる。
【0041】
上記位置合わせ後、被加工物W1を保持する保持手段40が所定の切削送り速度で-X方向に送り出される。また、切削手段42が-Z方向へと降下していき、例えば、切削ブレード423が被加工物W1の裏面W1bを切り抜けダイシングテープTに到る所定の高さ位置に切削手段42が位置付けられる。
【0042】
図示しないモータが、図4に示すように、スピンドル420を紙面手前側から見て時計回り方向に高速回転させ、スピンドル420に固定された切削ブレード423がこれに伴って高速回転をしながら被加工物W1に切り込み、分割予定ラインSを切削していき、図4に示す分割予定ラインSに沿った切削溝M(フルカット溝M)を形成していく。なお、被加工物W1はフルカットされるのではなく、ハーフカットされてもよい。
【0043】
切削加工中においては、図3に示す一対の切削水ノズル425によって、切削ブレード423と被加工物W1との接触部位(加工点)及びその周囲に対して切削ブレード423の刃厚方向(Y軸方向)から切削水が噴射され、接触部位(加工点)及びその周囲が冷却・洗浄される。
【0044】
また、切削加工中においては、水供給源49から加圧された水が供給され、該水は、水供給パイプ427を通り、超音波水噴射装置2の水溜部20の第二室20Bに一時的に溜められていく。そして、第二室20B内の水圧が上昇し、噴射口205aから洗浄水が斜め下方に向かって噴射され、切削ブレード423の外周方向から切削ブレード423と被
加工物W1との接触部位である加工点に供給される。なお、水供給源49から水が供給され続けることで、水は第二室20B内に所定量常に溜められる。
【0045】
また、超音波水噴射装置2の水溜部20内に配設された本発明に係る圧電振動板3に、図4に示す高周波電源29が高周波電力を供給することで、噴射口205a側から見てなだらかに凹んだ凹面である圧電振動板3の輻射面302bから、水溜部20の第二室20Bに溜められた水に例えば振動数1MHz~3MHzの超音波振動を伝播させる。また、凹面である輻射面302bから該水に伝播される超音波振動は噴射口205aに向かって集中する。
【0046】
輻射面302bの曲率と輻射面302bから噴射口205aまでの距離とが適切に設定されていることで、輻射面302bから発生し洗浄水に伝播される超音波振動を噴射口205aから斜め下方に向かって例えば数ミリ~数十ミリ程度の範囲内の所定の位置、即ち、切削ブレード423と被加工物W1との接触部位(加工点)で焦点を結ばせて、加工点に集中させることができる。このように、ノズル部205の噴射口205aから外部に向かって噴射される洗浄水を超音波振動を伝播させた超音波洗浄水として噴射させ、該超音波洗浄水によって該加工点に発生する切削屑を切削溝M内から洗浄・除去できる。
【0047】
ここで、図4に示す環状板32によって、超音波振動を発生させるドーム部30が水溜部20の側壁202に直接保持されていない状態となっているため、圧電振動板3に高周波電力を供給した際にドーム部30が振動しやすくなり、洗浄水に効果的に環状板32で増幅された従来よりも大きな振幅の超音波振動を伝播させることができる。そのため、本発明に係る圧電振動板3を備える超音波水噴射装置2は、噴射する超音波洗浄水によって、従来よりも厚みが例えば1mmと厚い被加工物W1の深さの深い切削溝M内から、切削屑を効果的に洗浄除去できる。
【0048】
切削ブレード423が一本の分割予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物W1が送られると、被加工物W1の切削送りが一度停止され、切削ブレード423が被加工物W1から離間し、次いで、保持手段40が隣り合う分割予定ラインSの間隔分だけY軸方向に割り出し送りされながら、保持手段40が+X方向に移動し原点位置に戻る。順次同様の切削が行われ、同方向の全ての分割予定ラインSが切削される。さらに、保持手段40が90度回転してから同様の切削が行われることで、全ての分割予定ラインSが縦横にフルカットされ、被加工物W1がデバイスDを備える個々のチップに分割される。
【0049】
(超音波振動ホーンを備える超音波分割装置)
図5に示す超音波分割装置7は、本発明に係る超音波振動ホーン8から発生させた超音波振動を一点に集中させ例えば水を介して被加工物W2に付与することで、被加工物W2を分割する装置である。
【0050】
図5に示す被加工物W2は、例えば、母材がシリコンからなる円形の半導体ウェーハであり、被加工物W2の下側を向いた状態の表面W2aには複数の分割予定ラインS2がそれぞれ直交するように設定されている。そして、分割予定ラインS2によって区画された複数の格子状の領域には、デバイスD2がそれぞれ形成されている。被加工物W2の表面W2aは、被加工物W2と略同径のテープT2(例えば、エキスパンドテープT2)が貼着されて保護されている。テープT2は、分割予定ラインS2に沿って被加工物W2が個々のチップに分割された場合に、チップがバラバラになってしまうのを防ぐ。なお、被加工物W2は、シリコンウェーハに限定されるものではない。また、被加工物W2は、図示しない環状フレームによってテープT2を介してハンドリング可能に支持されていてもよい。
【0051】
被加工物W2は、被加工物W2に対して透過性を有する波長のレーザビームが分割予定ラインS2に沿って照射されて、被加工物W2内部の所定深さの位置に分割起点N(改質層N)がX軸方向及びY軸方向に延びる分割予定ラインS2に沿って直線状に連続的に形成されている。
なお、分割起点Nは、レーザビームの照射により被加工物W2の内部が改質されて周囲よりも強度が低下した領域である。分割起点Nからは、被加工物W2の表面W2a又は裏面W2bにそれぞれクラックが伸長していてもよい。また、本実施形態においては、分割起点Nは被加工物W2の厚み方向(Z軸方向)にも複数段形成されているが、被加工物W2の厚み方向においては1段形成されているだけでもよい。
【0052】
超音波分割装置7は、図5に示すように、水槽75を備えている。被加工物W2全体を水没させることができる水槽75は、側壁750と、側壁750の下部に一体的に連接する底板751とから構成され、例えば純水を供給可能な図示しない水供給源に連通している。
【0053】
底板751上には被加工物W2を載置するための載置テーブル72が配設されている。載置テーブル72は、X軸Y軸平面に平行な平坦な載置面72aを有し、軸方向がZ軸方向である図示しない回転軸によってX軸Y軸平面内で少なくとも90度回転可能である。例えば、載置テーブル72の周囲には、被加工物W2が図示しない環状フレームでハンドリング可能となっている場合に、該環状フレームを挟持固定するためのクランプが周方向に均等間隔を空けて複数配設されていてもよい。
【0054】
水槽75は、水槽75の下側に配設されたX軸移動手段73により、X軸方向に往復移動可能となっている。
水槽75をX軸方向に移動させるX軸移動手段73は、例えば、X軸方向に延びるX軸ベース730と、X軸方向の軸心を有しX軸ベース730上に配設されるボールネジ731と、ボールネジ731と平行に配設された一対のガイドレール732と、ボールネジ731を回動させるモータ733と、を備えている。
水槽75の底板751の下面中央には、ボールネジ731に螺合するナット750aが配設されており、底板751の下面のY軸方向両側の領域には、一対のガイドレール732に緩嵌合するスライダー750bが配設されている。そして、モータ733がボールネジ731を回動させると、これに伴い水槽75が一対のガイドレール732にガイドされてX軸方向に直動する。
【0055】
図5に示す本発明に係る超音波振動ホーン8は、Y軸移動手段77によって、水槽75の上方を水平にY軸方向に往復移動可能となっている。Y軸移動手段77は、Y軸方向に延びる直動軸770と、直動軸770上をY軸方向に自在にスライド移動可能なY軸可動部材771とを備えている。そして、Y軸可動部材771には、Z軸移動手段78を介して超音波振動ホーン8が配設されている。
【0056】
Z軸移動手段78は、X軸Y軸平面と直交するZ軸方向(鉛直方向)に延びる直動軸780と、直動軸780上をZ軸方向に自在にスライド移動可能なZ軸可動部材781とを備えている。そして、Z軸可動部材781には超音波振動ホーン8が取り付けられている。
【0057】
超音波分割装置7に配設され超音波振動を一点に集中させ載置テーブル72に載置された被加工物W2に付与する本発明に係る超音波振動ホーン8は、先に図2を用いて説明した本発明に係る圧電振動板3と、超音波振動を集中させたい一点側に圧電振動板3のドーム部30の凹んでいる面側(輻射面302b側)を向けて圧電振動板3の環状板32を支
持するハウジング80とを備えている。
【0058】
ハウジング80は、例えば、円形の天板800と、天板800に連結された円筒状の側壁801とを備えている。高周波電源39が電気的に接続された圧電振動板3は、ドーム部30の凹んでいる輻射面302b側を下方に向けた状態で環状板32の外周部分が側壁801に支持されており、ドーム部30はハウジング80内において中空固定されている。
【0059】
超音波分割装置7は、例えば、被加工物W2の分割予定ラインS2に沿って被加工物W2の内部に形成されている分割起点Nの位置を検出するアライメント手段79を備えている。アライメント手段79は、例えば、赤外線を被加工物W2に照射する図示しない赤外線照射手段と、赤外線を捉える光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された赤外線カメラ790とを備えている。
【0060】
以下に、図5に示す超音波分割装置7を使用して、被加工物W2を分割起点Nを起点として分割する場合について説明する。
【0061】
まず、被加工物W2が、水槽75内の載置テーブル72の載置面72a上に表面W2aの反対面である裏面W2bが上側になるように載置される。そして、公知の方法により、被加工物W2が載置テーブル72に固定される。即ち、被加工物W2が例えば図示しない環状フレーム及びテープT2で支持されている場合には、該環状フレームがクランプで固定される。
【0062】
その後、図1に示す載置テーブル72が所定の角度θだけ回転することで、分割予定ラインS2がX軸方向と平行に合わせられるθ合わせ(平行出し)が実施される。なお、分割予定ラインS2がX軸方向に平行になるようにして載置テーブル72に被加工物W2を載置する機構を超音波分割装置7が備えている場合には、該θ合わせを行わなくてもよい。
【0063】
また、θ合わせと並行して、アライメント手段79により分割予定ラインS2が検出される。ここで、分割予定ラインS2が形成されている被加工物W2の表面W2aは下側に位置し、アライメント手段79と直接対向してはいないが、赤外線カメラ790により被加工物W2を裏面W2b側から透過させて分割予定ラインS2を撮像することができる。そして、赤外線カメラ790により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の画像処理が実施され、被加工物W2の表面W2aの分割予定ラインS2の水平面内におけるY軸座標位置、即ち、分割起点Nの水平面内におけるY軸座標位置を検出することができる。
【0064】
次に、図示しない水供給源が水槽75内に水を供給することにより、水槽75内が所定量の水で満たされる。これにより、水槽75内に溜められた水によって、載置テーブル72に保持された被加工物W2が水没する。
【0065】
Y軸移動手段77がY軸方向に超音波振動ホーン8を移動させて、座標位置が検出された狙いの分割予定ラインS2と例えば超音波振動ホーン8の圧電振動板3のドーム部30の中心とが合うように、超音波振動ホーン8が所定のY軸座標位置に位置付けられる。
また、Z軸移動手段78がZ軸方向に超音波振動ホーン8を昇降させて、圧電振動板3の超音波を集中させる焦点が被加工物W2内部に形成された分割起点Nの高さに略合致するように、超音波振動ホーン8が所定の高さに位置付けられる。なお、圧電振動板3の超音波を集中させる焦点の高さが、被加工物W2の裏面W2bの高さに合わせられてもよい。
【0066】
圧電振動板3に高周波電源39が高周波電力を供給することで、圧電振動板3の輻射面302bから、水槽75に溜められた水に例えば振動数1MHz~3MHzの超音波振動を伝播させる。輻射面302bの曲率等が適切に設定されていることで、輻射面302bから発生し水に伝播される超音波振動が被加工物W2内の分割起点Nで焦点を結び分割起点Nに集中する。
【0067】
水槽75が所定の加工送り速度で例えば-X方向(紙面奥側)に送り出されることで、X軸方向に延びる分割予定ラインS2に沿って形成された分割起点Nに超音波振動が付与され、被加工物W2が分割起点Nを起点として分割予定ラインS2に沿って分割されていく。
【0068】
1本の分割予定ラインS2に沿って分割起点Nに超音波振動を付与し終える所定の位置まで水槽75が-X方向に送られると、超音波振動ホーン8がY軸方向に移動され、-X方向での加工送りにおいて基準となった分割予定ラインS2に隣接する分割予定ラインS2と超音波振動ホーン8とのY軸方向における位置合わせが行われる。水槽75が復方向である+X方向(紙面手前側)へ加工送りされ、往方向での超音波振動の被加工物W2に対する付与と同様に、被加工物W2に超音波振動が付与される。順次同様の超音波振動の被加工物W2に対する付与をX軸方向に延びる全ての分割予定ラインS2に沿って行った後、載置テーブル72を90度回転させてから同様の被加工物W2に対する超音波振動の付与を行うと、分割起点Nを起点として全ての分割予定ラインS2が縦横に分割され、被加工物W2がデバイスD2を備える個々のチップに分割される。
【0069】
上記のように、超音波振動を一点に集中させ例えば水を介して被加工物W2に付与する本発明に係る超音波振動ホーン8は、圧電振動板3と、超音波振動を集中させたい一点側に圧電振動板3のドーム部30の凹んでいる輻射面302b側を向けて圧電振動板3の環状板32を支持するハウジング80と、を備えることで、超音波振動を発生させる圧電振動板3のドーム部30がハウジング80によって直接保持されていないため、圧電振動板3に高周波電力を供給した際に、ドーム部30が振動しやすくなる。そして、従来よりもドーム部30の振動が環状板32によって増幅された大きな振幅で例えば水に超音波振動を伝播させることが可能になり、分割起点Nを備えた被加工物W2に対する水を介した超音波振動の付与による分割を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
W:被加工物
1:スピンナ洗浄機構
10:スピンナテーブル 103:スピンナテーブル回転手段
12:水供給パイプ 17:旋回モータ 18:旋回軸 19:水供給源
2:超音波水噴射装置
20:水溜部 20A:第一室 20B:第二室 200:底板 201:天板 202:側壁 202a:水供給口 205:ノズル部 205a:噴射口
3:圧電振動板 30:ドーム部 301:第1電極板 302:第2電極板 304:圧電素材
31:ツバ部 32:環状板 39:高周波電源 390:配線
W1:被加工物 S:分割予定ライン D:デバイス T:ダイシングテープ M:切削溝
4:切削装置
40:保持手段 40a:保持面
42:切削手段 420:スピンドル 423:切削ブレード
424:ブレードカバー 425:切削水ノズル
426:支持ブロック 428:回転軸 49:水供給源
W2:被加工物 S2:分割予定ライン D2:デバイス N:分割起点 T2:テープ
7:超音波分割装置
75:水槽 750:側壁 751:底板
72:載置テーブル 73:X軸移動手段 77:Y軸移動手段 78:Z軸移動手段
79:アライメント手段
8:超音波振動ホーン 80:ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5