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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】炭素膜の原子層堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20231205BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231205BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231205BHJP
   C23C 16/26 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 105A
C23C16/455
C23C16/26
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020551853
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019022568
(87)【国際公開番号】W WO2019190783
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】62/647,993
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラボア・エイドリアン
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0027614(US,A1)
【文献】特開平04-143921(JP,A)
【文献】特表2016-513883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163816(US,A1)
【文献】特表2016-507001(JP,A)
【文献】特表2010-520638(JP,A)
【文献】特開2014-143416(JP,A)
【文献】特開2010-041038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/455
C23C 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法であって、
(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入することと、
(b)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入することと、
(c)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成する条件下で、前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つを前記半導体基板の前記表面に吸着させることと、
(d)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成した後、前記アルミニウム含有反応物を前記炭素含有反応物と反応させ、炭素の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有する前記アルミニウム含有反応物は、トリアルキルアルミニウムである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有する前記アルミニウム含有反応物は、トリメチルアルミニウムである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有する前記炭素含有反応物は、四ハロゲン化炭素である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合は、炭素-フッ素結合である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、前記炭素含有反応物はCX4、CHX3、CH22、およびCH3Xからなる群から選択され、Xはハロゲンである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
Xは、フッ素である、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
Xは、塩素および/または臭素である、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物を前記炭素含有反応物と反応させることは、アルミニウム含有副産物を形成することを含み、前記方法は、(d)の後に前記アルミニウム含有副産物を除去することをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記アルミニウム含有副産物は、アルミニウム-ハロゲン結合を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素層が形成される前記半導体基板の前記表面は、パターニングされた三次元フィーチャを有する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物は、前記炭素含有反応物を導入する前に吸着制限層を形成する、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素含有反応物は、前記アルミニウム含有反応物を導入する前に吸着制限層を形成する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
ステップ(a)と(b)との間に前記処理チャンバをパージおよび/または排気し、前記処理チャンバから前記アルミニウム含有反応物または前記炭素含有反応物を除去することをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素層をあらかじめ定められた厚さに堆積するために動作(a)~(d)を繰り返すことをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素層は、ギャップフィル動作において堆積される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素層は、部分的に製作された3D NAND構造でのギャップフィル動作において堆積される、方法。
【請求項18】
処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法であって、
(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入し、前記アルミニウム含有反応物の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと、
(b)(a)の後に前記処理チャンバから前記アルミニウム含有反応物を除去することと、
(c)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入し、前記炭素含有反応物の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと、
(d)(c)の後に前記処理チャンバから前記炭素含有反応物を除去することと、
(e)前記炭素含有反応物の前記層および前記アルミニウム含有反応物の前記層を有する前記半導体基板をプラズマと接触させて前記アルミニウム含有反応物と前記炭素含有反応物との間の反応を活性化し、それによって炭素の層を前記半導体基板の表面に形成することと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、前記炭素含有反応物はCF4であり、前記トリアルキルアルミニウムとCF4との間の反応は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)および窒素(N2)からなる群から選択されるガスを含むプロセスガスで形成されたプラズマと前記半導体基板を接触させることによって活性化される、方法。
【請求項20】
半導体基板を処理するためのシステムであって、
(a)処理チャンバであって、基板ホルダ、および反応物を前記処理チャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有する処理チャンバと、
(b)システムコントローラであって、
(i)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入させ、
(ii)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入させ、
(iii)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を前記半導体基板の表面に形成する条件下で、前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つを前記半導体基板の前記表面に吸着させ、かつ
(iv)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成した後、前記アルミニウム含有反応物と前記炭素含有反応物を反応させ、炭素の層を前記半導体基板の前記表面に形成する
ためのプログラム命令を含むシステムコントローラと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイス製造の方法に関する。具体的には、本発明の実施形態は、半導体処理において炭素膜を堆積する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)製作において、堆積技術およびエッチング技術は、誘電体層に埋め込まれた金属線の形成など、材料のパターン形成に使用される。いくつかのパターニング法では、材料の共形堆積が必要であり、堆積された層は、基板表面の突起および/または凹状フィーチャの輪郭に沿う必要がある。原子層堆積(ALD)は、共形膜を基板上に形成する好ましい方法であることが多い。これは、ALDが、基板表面への1つまたは複数の反応物の吸着、およびこれに続く、所望の材料への吸着層の化学変換に依存しているためである。ALDが利用する反応は、基板表面で発生し、通常、吸着された反応物の量によって制限されるため、優れたステップカバレッジを有する薄い共形層を提供することができる。
【0004】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0005】
ALDによって炭素層を堆積するための方法は、これまでに開発されていない。したがって、堆積厚が高度に制御され、かつ、ステップカバレッジが良好な炭素層の堆積は、困難な問題を提示する。本明細書では、表面制御によって炭素層を堆積するための方法および装置を提供する。ステップカバレッジに優れた共形炭素膜は、提供される方法によって堆積させることができ、ギャップフィル(例えば、3D NAND構造内のギャップフィル)において、および自己整合ダブルパターニング(SADP)でのスペーサ形成中など、様々な用途で使用することができる。
【0006】
一態様では、処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法を提供する。この方法は、(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物(例えば、トリアルキルアルミニウムなどのアルキル置換アルミニウム)を処理チャンバに導入することと、(b)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物(例えば、四ハロゲン化炭素)を処理チャンバに導入することと、(c)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を半導体基板の表面に形成する条件下で、アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つを半導体基板の表面に吸着させることと、(d)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を半導体基板の表面に形成した後、アルミニウム含有反応物を炭素含有反応物と反応させ、炭素の層を半導体基板の表面に形成することとを含む。所定の厚さを有する炭素層を堆積するため、動作(a)~(d)は必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0007】
適切なアルミニウム含有反応物は、トリアルキルアルミニウムを含む。一例では、アルミニウム含有反応物は、トリメチルアルミニウムである。炭素-ハロゲン化物結合を有する適切な炭素含有反応物の例としては、CX4、CHX3、CH22、およびCH3Xが挙げられ、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態において、炭素含有反応物は四ハロゲン化炭素である。いくつかの実施形態において、炭素含有反応物は炭素-フッ素結合を含む。
【0008】
一実施形態では、アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、炭素含有反応物はCX4、CHX3、CH22、およびCH3Xの1つまたは複数であり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態において、ハロゲンはフッ素である。他の実施形態において、ハロゲンは塩素および/または臭素である。具体的な例では、アルミニウム含有反応物は、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウム)であり、炭素含有反応物はCF4、CCl4、またはCBr4である。
【0009】
アルミニウム含有反応物と炭素含有反応物との間の反応により、アルミニウム含有副産物が形成されるが、これは反応完了後に除去することができる。副産物は、典型的には、アルミニウム-ハロゲン結合を含む。例えば、炭素含有反応物が炭素-フッ素結合を含む場合、副産物はフッ化アルミニウムを含むことになる。
【0010】
処理チャンバへの反応物の導入は連続的であり、処理チャンバは、第1の反応物の導入後、かつ第2の反応物の導入前にパージおよび/または排気される。反応物は、任意の順序で導入することができる。一実施形態では、アルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を最初に処理チャンバに導入し、吸着制限層を基板の表面に形成させる。次に未吸着のアルミニウム含有反応物を処理チャンバから(例えば、パージおよび/または排気によって)除去し、続いて炭素含有反応物を処理チャンバに導入し、アルミニウム含有反応物の吸着層と反応させて炭素層を形成する。次に、アルミニウム含有副産物を除去することができる。所定の厚さの炭素層を堆積するため、このプロセスは、必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0011】
別の実施形態では、最初に炭素含有反応物を処理チャンバに導入し、炭素含有反応物の吸着制限層を基板に形成することによって、プロセスを開始する。未吸着の炭素含有反応物は、パージおよび/または排気によって処理チャンバから除去する。次に、アルミニウム含有反応物を処理チャンバに導入し、炭素含有反応物の吸着層と反応させて基板の表面に炭素層を形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、アルミニウム含有反応物と炭素含有反応物との間の反応は、活性化させなくても熱的に発生する。他の実施形態では、例えば、アルミニウム含有反応物の層およびその上に形成された炭素含有反応物の層を有する基板のプラズマ処理によって、反応を活性化する。一実施態様では、炭素堆積法は、アルミニウム含有反応物と炭素含有反応物の両方を基板表面に吸着させ、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)および窒素(N2)からなる群から選択されるガスを含むプロセスガスで形成されたプラズマに基板を曝露することによって、吸着反応物間の基板上での反応を活性化することとを含む。
【0013】
1つの例示的な実施態様では、プラズマ活性化により処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法は、(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を処理チャンバに導入し、アルミニウム含有反応物の層を半導体基板の表面に形成することと、(b)(a)の後に処理チャンバからアルミニウム含有反応物を除去することと、(c)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を処理チャンバに導入し、炭素含有反応物の層を半導体基板の表面に形成することと、(d)(c)の後に処理チャンバから炭素含有反応物を除去することと、(e)炭素含有反応物の層およびアルミニウム含有反応物の層を有する半導体基板をプラズマと接触させてアルミニウム含有反応物と炭素含有反応物との間の反応を活性化し、それによって炭素の層を半導体基板の表面に形成することとを含む。所望の厚さの炭素層を堆積するため、動作(a)~(e)は必要な回数だけ繰り返すことができる。一例では、アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、炭素含有反応物はCF4であり、トリアルキルアルミニウムとCF4との間の反応は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)および窒素(N2)からなる群から選択されるガスを含むプロセスガスで形成されたプラズマと半導体基板を接触させることによって活性化される。
【0014】
いくつかの実施形態において、炭素層が形成される半導体基板の表面は、パターニングされた三次元フィーチャを有する。いくつかの実施態様において、炭素層は、ギャップフィル動作において堆積される
【0015】
例えば、炭素層は、部分的に製作された3D NAND構造でのギャップフィル動作において堆積させることができる。
【0016】
いくつかの実施態様において、炭素層は、複数の凸状フィーチャを有する半導体基板の上に共形的に堆積される。一実施形態では、方法は、凸状フィーチャの側壁に存在する炭素層を完全に除去することなく、凸状フィーチャの水平面から炭素層を完全に除去することと、次に凸状フィーチャの側壁に存在する炭素層を完全に除去することなく凸状フィーチャを除去し、それによって炭素スペーサを半導体基板上に形成することとをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、フォトレジストを基板に塗布することと、フォトレジストを露光することと、フォトレジストをパターニングしてパターンを基板に転写することと、基板からフォトレジストを選択的に除去することとをさらに含む。
【0018】
別の態様では、部分的に製作された半導体基板を提供する。この半導体基板は、複数の炭素スペーサを含む。
【0019】
別の態様では、半導体基板を処理するためのシステムを提供する。このシステムは、処理チャンバであって、基板ホルダ、および反応物を処理チャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有する処理チャンバと、本明細書で説明される方法のいずれかを実施するためのプログラム命令を含むシステムコントローラとを含む。一実施態様では、プログラム命令は、(i)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を処理チャンバに導入させ、(ii)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を処理チャンバに導入させ、(iii)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を半導体基板の表面に形成する条件下で、アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つを半導体基板の表面に吸着させ、かつ(iv)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を半導体基板の表面に形成した後、アルミニウム含有反応物と炭素含有反応物を反応させ、炭素の層を半導体基板の表面に形成するための命令を含む。
【0020】
本明細書で説明される主題の実施態様に関する上記態様および他の態様を、添付の図面および以下の説明に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本明細書で提供される一実施形態による炭素堆積法のプロセスフロー図である。
【0022】
図2A図2Aは、本明細書で提供される一実施形態による炭素堆積法のプロセスフロー図である。
【0023】
図2B図2Bは、本明細書で提供される別の実施形態による炭素堆積法のプロセスフロー図である。
【0024】
図3A図3Aは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図3B図3Bは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図3C図3Cは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図3D図3Dは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図3E図3Eは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図3F図3Fは、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
【0025】
図4図4は、本明細書で提供される一実施形態による炭素スペーサを形成する方法のプロセスフロー図である。
【0026】
図5図5は、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
図6図6は、本明細書で提供される一実施形態による処理を受けている半導体基板の概略断面図である。
【0027】
図7図7は、本明細書で提供される一実施形態による炭素膜の堆積に適した装置の概略図である。
【0028】
図8図8は、本明細書で提供される一実施形態によるマルチステーション処理システムの概略図である。
【0029】
図9図9は、本明細書で提供される一実施形態によるマルチステーション処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ALDを使用して炭素膜を堆積する方法を提供する。これらの方法は、例えば、表面に三次元構造を有する半導体基板上(1つまたは複数の凹状フィーチャまたは1つまたは複数の突起を有する基板上など)に共形炭素膜を堆積するために使用することができる。いくつかの実施形態では、これらの方法は、Al-C結合を有するアルミニウム含有反応物(例えば、トリアルキルアルミニウム)と炭素-ハロゲン結合を有する炭素含有反応物(例えば、CF4)との間の反応を含む。
【0031】
本明細書で使用される「ALD」という用語は、一般に、基板表面に吸着された反応物(吸着制限反応物層)の量によって制限される反応に依存する堆積法を指す。反応物の吸着制限層は、アルミニウム含有反応物の吸着制限層、炭素含有反応物の吸着制限層、または両方の反応物の吸着制限層を含み得る。いくつかの実施形態では、ALD法は、反応物が処理チャンバの大部分で混合されることがないように、反応物を処理チャンバに連続的に導入することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、炭素膜は、ギャップフィル用途で堆積される。例えば、一実施態様では、炭素膜は、3D NAND製作中のギャップフィルにおいて堆積させることができる。いくつかの実施態様では、炭素膜は、自己整合ダブルパターニング(SADP)におけるスペーサとして使用される。しかし、提供される方法は、凹状フィーチャを有する表面への炭素膜の堆積に限定されず、平坦な表面へのブランケット炭素膜の堆積にも使用することができる。この方法は、表面制御された反応に依存しており、膜厚を高度に制御して膜を堆積するために使用することができる。膜の堆積は、反応物をプロセスチャンバに連続的に導入可能な多種多様な装置において行うことができる。例えば、炭素膜の堆積は、Lam Research Corporationから入手可能なStriker(登録商標)堆積システムにおいて行うことができる。
【0033】
本明細書で使用される炭素は、本質的に炭素(C)からなり、任意で水素(H)を含む材料を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される炭素膜は、C-H結合を含んでいてもよい。炭化水素を含む材料は、炭素膜の範囲内である。炭素膜には、ドーパントとして他の元素が少量存在していてもよく、その量はドーパントの総量に対して約10原子%未満である(この計算に水素は含まれない)。
【0034】
本明細書で使用される「半導体基板」という用語は、その構造内の任意の場所に半導体材料を含む、半導体デバイス製作のあらゆる段階における基板を指す。なお、半導体基板中の半導体材料を露出させる必要はない。半導体材料を覆う他の材料(例えば、誘電体)の複数の層を有する半導体ウエハは、半導体基板の例である。以下の詳細な説明は、開示される実施態様がウエハ上で実施されることを想定している。しかし、開示される実施態様は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料であり得る。半導体ウエハのほかにも、開示される実施態様を利用することができる他のワークピースとしては、プリント回路基板のような様々な製品が挙げられる。
【0035】
炭素膜を堆積するためのプロセスを、図1に示すプロセスフロー図によって例示する。動作101において、アルミニウム含有反応物が、半導体基板を収容する処理チャンバに導入される。アルミニウム含有反応物は、少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム-炭素結合の炭素は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピルまたはiso-プロピル)、ブチル、ペンチルなどのようなアルキル置換基の一部である。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有反応物は、トリアルキルアルミニウムである。適切な反応物の例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有反応物は揮発性であり、気相で処理チャンバに導入される。反応物は、キャリアガスとの混合物として導入することができ、キャリアガスは、典型的には、N2、He、Ar、Ne、またはKrなどの不活性ガスである。アルミニウム含有反応物が揮発性ではないとき、アルミニウム含有反応物は、Kemstreamから入手可能なVapbox DLI気化器などの直接液体注入(DLI)気化器を使用して気化することができる。
【0036】
動作103において、炭素含有反応物が、基板を収容する処理チャンバに導入される。炭素含有反応物は、炭素-ハロゲン結合(炭素-フッ素結合、炭素-塩素結合、および炭素-臭素結合の少なくとも1つなど)を有する。適切な反応物の例として、CX4、CHX3、CH22、およびCH3Xが挙げられ、Xはハロゲンである。例えば、いくつかの実施形態では、CF4、CHF3、CH22、またはCH3Fなどのフッ素含有反応物が使用される。他の実施形態では、CCl4、CHCl3、CH2Cl2、またはCH3Clなどの塩素含有反応物が用いられてもよい。
【0037】
アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物は、典型的には、処理チャンバに連続的に導入され、処理チャンバの大部分で混ざり合わない。導入の順序は、実施形態によって変わることがある。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有反応物が最初に導入され、続いて炭素含有反応物が導入される。他の実施形態では、炭素含有反応物が最初に導入され、続いてアルミニウム含有反応物が導入される。反応物の少なくとも1つ(例えば、アルミニウム含有反応物、炭素含有反応物、またはその両方)は、吸着制限層を基板上に形成する。いくつかの実施形態では、最初に導入された反応物が吸着制限層を基板上に形成し、2番目に導入された反応物は、第1の反応物の吸着制限層と接触した後、その吸着制限層と反応する。他の実施形態では、最初に導入された反応物が吸着制限層を形成し、2番目に導入された反応物も吸着制限層を形成し、その後(例えば、熱活性化またはプラズマ活性化の後)、両方の反応物が基板表面で反応する。いくつかの実施形態において、反応は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)および窒素(N2)、またはそれらの任意の混合物などのガスで形成されたプラズマと基板を接触させることによって活性化される。プラズマによる反応の活性化は、比較的低温での炭素の形成を可能にするために使用され得る。いくつかの実施形態では、炭素膜は、300℃未満、例えば200℃未満の温度でのプラズマ活性化反応を使用して形成される。
【0038】
導入の順序に関係なく、いくつかの実施形態では、最初に導入されて未吸着の反応物を処理チャンバから除去するために、第1の反応物の導入後、かつ第2の反応物の導入前に処理チャンバをパージおよび/または排気する。
【0039】
動作105において、アルミニウム含有反応物は、炭素含有反応物と反応して炭素の層を基板表面に形成する。この場合、形成された炭素の量は、反応物の(例えば、アルミニウム含有反応物および/または炭素含有反応物の)吸着制限層によって制限される。この反応において、アルミニウム含有反応物のアルミニウム-炭素結合および炭素含有反応物の炭素-ハロゲン結合が切断されて炭素(C-H結合を含み得る)を形成し、さらにアルミニウム-ハロゲン結合を含む副産物を形成する。例えば、炭素含有反応物中のハロゲンがフッ素であるとき、アルミニウム-フッ素結合を含む副産物が形成される。いくつかの実施形態では、反応物を接触させた後に反応が自発的に発生する。他の実施形態では、反応物を接触させた後に(例えば、熱的に)反応を活性化させる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アルミニウムの副産物を、炭素の形成と同時に基板表面から除去する。他の実施形態では、動作107によって示すように、別のステップでアルミニウム含有副産物を基板から除去する。例えば、基板を加熱して、副産物である揮発性ハロゲン化アルミニウム(例えば、フッ化アルミニウム)を除去することができる。
【0041】
動作101~105を含む堆積サイクルは、いくつかの実施形態では、1サイクルで平均0.5~3Aの炭素膜を堆積する。このサイクルは、所望の厚さの炭素膜を堆積するため必要な回数だけ繰り返すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、厚さ5~1,000Aの炭素膜が堆積される。
【0042】
炭素堆積法の一実施形態を、図2Aに示すプロセスフロー図によって例示する。このプロセスは、アルミニウム含有反応物を半導体基板上に吸着させる201で開始する。トリアルキルアルミニウムなどのアルミニウム含有前駆体は、キャリアガスと共にプロセスチャンバに流して、基板表面に吸着させることができる。このステップのプロセス条件は、アルミニウム含有反応物の吸着制限層が形成されるように選択される。次に、動作203において、処理チャンバをパージおよび/または排気することによって、未吸着のアルミニウム含有反応物を処理チャンバから除去する。例えば、N2、He、Ar、Neなどのような不活性ガスで処理チャンバをパージすることができる。このステップの後、処理チャンバの大部分にはアルミニウム含有前駆体が存在せず、その後の全ての反応は、基板上の吸着されたアルミニウム含有反応物の量によって制限される。次に、動作205において、炭素含有反応物を処理チャンバに導入し、吸着されたアルミニウム含有反応物と反応させて、炭素の層を半導体基板の表面に形成する。いくつかの実施形態では、この反応は、炭素含有反応物が導入された後に自発的に発生する。
【0043】
次に、動作207において、アルミニウム含有副産物を処理チャンバから除去する。いくつかの実施形態では副産物が炭素形成と同時に除去されるため、このステップは任意である。副産物が炭素形成反応と同時に除去されない場合、副産物は別のステップで(例えば、加熱によって)除去することができる。
【0044】
次に、所定の厚さの炭素層を形成するため、動作209において、炭素の堆積(ステップ201~207)を必要な回数だけ繰り返す。例えば、いくつかの実施形態では、動作201~205の実施を含むサイクルを少なくとも5回または少なくとも10回繰り返す。処理中の温度および圧力は、一方または両方の反応物の吸着制限層を基板に形成可能となるように制御される。いくつかの実施形態では、一連の堆積動作全体において、温度は約400℃未満に維持され、圧力は大気圧未満のレベルに維持される。説明された反応物を使用する炭素膜の堆積は、プラズマの非存在下で実施することができる。いくつかの実施形態では、例えば、堆積された炭素層の品質を堆積後に改善するために、および/または基板表面の1つまたは複数の反応物を活性化するためにプラズマ処理を利用してもよい。
【0045】
図2Bは、プラズマ活性化反応を使用して炭素層を形成する方法のプロセスフロー図を示す。図2Bを参照すると、プロセスは、アルミニウム含有反応物の層を基板上に形成する211で開始する。例えば、アルミニウム含有反応物の吸着制限層を基板上に形成することができる。次に、動作213において、処理チャンバをパージおよび/または排気して、アルミニウム含有反応物を処理チャンバから除去する。例えば、不活性ガスをパージガスとして使用して、未吸着のアルミニウム含有反応物を除去することができる。次に、動作215において、炭素含有材料の層を基板上に形成する。例えば、炭素含有材料を処理チャンバに導入して、吸着制限層を基板上に形成させることができる。動作217において、処理チャンバをパージおよび/または排気して、炭素含有材料を処理チャンバから除去する。この動作の後、基板表面にはアルミニウム含有材料の層および炭素含有材料の層が存在する。次に、動作219において、基板をプラズマで処理して基板上のアルミニウム含有反応物と炭素含有反応物との間の反応を活性化し、炭素層を形成する。いくつかの実施形態では、プラズマは、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、窒素(N2)、またはこれらのガスの任意の混合物で形成される。反応副産物は、プラズマ処理と同時に、またはその後のステップで除去することができる。プラズマ処理後、処理チャンバをパージおよび/または排気することができ、ステップ211~219の一連の処理は、所定の厚さを有する炭素層が堆積されるまで、動作221において必要な回数だけ繰り返すことができる。1つの例示的な実施形態において、アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウム)であり、炭素含有反応物はCF4である。
【0046】
本明細書で提供される方法によって堆積された炭素膜は、半導体デバイス製作における様々な用途で使用することができる。この炭素膜は、三次元フィーチャ(例えば、凸状フィーチャまたは凹状フィーチャ)を有する基板上への膜の共形堆積が望まれるときに特に有用である。いくつかの実施形態では、パターニング用途におけるスペーサとして炭素膜が使用される。炭素スペーサ形成の一例を図3A図3Fに示す。これらは、様々な処理段階での半導体基板の概略断面図である。図4は、カーボンマンドレルの形成を伴う半導体処理方法の例示的なプロセスフロー図を示す。
【0047】
図4を参照すると、図示のプロセスは、マンドレルとも呼ばれる複数の凸状フィーチャを有する基板を提供する401で開始する。例示的な基板を示す図3Aは、エッチング停止層(ESL)303上に存在する2つのマンドレル301を示している。隣接するマンドレル間の距離d1は、いくつかの実施形態では、約10~100nmである。いくつかの実施形態では、約40~100nmの比較的大きな距離が使用される。他の用途では、最も近いマンドレル間の距離は、約10~30nmである。最も近いマンドレルの中心間の距離d2は、ピッチとも呼ばれ、いくつかの実施形態では約30~130nmである。いくつかの実施形態では、ピッチは、約80~130nmである。他の実施形態では、ピッチは約30~40nmである。マンドレルの高さd3は、一般的には約20~200nm、例えば約50~100nmである。
【0048】
マンドレルおよびESLの材料は、その後、露出した炭素の存在下でマンドレル材料を選択的にエッチングできるように、および露出した炭素の存在下でESL材料を選択的にエッチングできるように選択される。したがって、炭素のエッチング速度に対するESL材料のエッチング速度の比は、1よりも大きく、より好ましくは約1.5よりも大きく、例えば第1の化学エッチングでは約2よりも大きい。いくつかの実施形態において、ESL材料は、ケイ素含有材料(例えば、窒化シリコンなどのケイ素含有化合物)であり、第1の化学エッチングは、フッ素ベースのプラズマエッチング(例えば、フルオロカーボンを含むガスで形成されたプラズマ)である。いくつかの実施形態において、ESL材料は、金属酸化物または金属窒化物であり、第1の化学エッチングは、ハロゲンベースのプラズマエッチング(例えば、ハロゲンを含むプロセスガスで形成されたプラズマ)である。同様に、炭素のエッチング速度に対するマンドレル材料のエッチング速度の比は、1よりも大きく、より好ましくは約1.5よりも大きく、例えば第2の化学エッチングでは約2よりも大きい。いくつかの実施形態において、マンドレル材料は、ケイ素含有材料(例えば、ケイ素含有化合物)であり、第1の化学エッチングは、フッ素ベースのプラズマエッチング(例えば、フルオロカーボンを含むガスで形成されたプラズマ)である。いくつかの実施形態において、マンドレル材料は、金属酸化物または金属窒化物であり、第1の化学エッチングは、ハロゲンベースのプラズマエッチング(例えば、ハロゲンを含むプロセスガスで形成されたプラズマ)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、ESL材料は、ケイ素含有化合物(例えば、SiO2)、または金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン)である。マンドレル材料は、ケイ素含有化合物(例えば、SiO2、SiN、またはSiC)、アモルファスシリコン(ドープまたは非ドープ)または金属酸化物(TaO、TiO、WO、ZrO、HfO)を含み得る。いくつかの実施形態では、マンドレルの外側材料は、マンドレルコアとは異なる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、マンドレルは、酸化シリコンで覆われた(例えば、自発的に形成された熱酸化物層を有する)アモルファスシリコンで作製される。ESL層およびマンドレルは、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、ALD(プラズマなし、またはPEALDによる)、またはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)の1つまたは複数によって形成することができ、マンドレルのパターンは、フォトリソグラフィ技術を使用して定義することができる。適切なESL/マンドレルの組み合わせの例には、(i)酸化シリコンESLと、酸化シリコンで覆われたシリコンマンドレル、(ii)酸化シリコンESLと、金属酸化物マンドレル、および(iii)金属酸化物ESLと、酸化シリコンで覆われたシリコンマンドレルが挙げられる。
【0050】
再び図3Aに示す基板を参照すると、ESL層303は、ターゲット層305の上に存在し、ターゲット層305と接触している。ターゲット層305は、パターニングが必要な層である。ターゲット層305は、半導体層、誘電体層または他の層であってよく、例えば、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、または窒化チタン(TiN)で作製することができる。いくつかの実施形態では、ターゲット層は、ハードマスク層と呼ばれ、窒化チタンなどの金属窒化物を含む。ターゲット層305は、ALD(プラズマなし、またはPEALDによる)、CVD、または他の適切な堆積技術によって堆積され得る。
【0051】
ターゲット層305は、誘電体材料の層に複数の金属線が埋め込まれている層307の上に存在し、層307と接触している。いくつかの実施形態において、層307はBEOL層である。
【0052】
図4を参照すると、基板の処理は、炭素層を凸状フィーチャの水平面と側壁の両方に堆積する403に続く。炭素層は、好ましくは、本明細書で提供されるALD法を使用して共形的に堆積される。図3Bに示す構造を参照すると、炭素層309は、ESL303の上およびマンドレル301(側壁を含む)の上に堆積される。図示の実施形態において、炭素層は、本明細書で開発されるALD法によって堆積される。いくつかの実施形態において、炭素層は、約5~30nm、例えば約10~20nmの厚さに共形的に堆積される。
【0053】
炭素層が共形的に堆積された後、プロセスは、凸状フィーチャの側壁から炭素層を完全に除去することなく、水平面から炭素層を完全に除去する405に続く。このエッチングは、酸素ベースのプラズマエッチングを使用して(例えば、酸素を含むガスで形成されたプラズマを使用して)実施することができる。他の実施形態では、水素ベースのエッチングを使用してもよい(例えば、水素を含むプロセスガスで形成されたプラズマを使用する)。マンドレルが外層にケイ素含有化合物または金属酸化物を有する場合、水素ベースのエッチングまたは酸素ベースのエッチングを使用することができる。このステップで利用される化学エッチングは、好ましくは、ESL材料とマンドレルの外層材料の両方に対して選択的であるべきである(すなわち、この化学エッチングのための炭素のエッチング速度は、外側のマンドレル材料のエッチング速度よりも大きく、かつ、ESL材料のエッチング速度よりも大きくなければならない)。水平面からの炭素層の除去は、図3Cに例示されている。炭素層309は、マンドレル301の側壁に付着する位置から完全にエッチングされることなく、ESL303上およびマンドレル301上の水平面からエッチングされる。このエッチングにより、層303は、マンドレル301の側壁に近い場所を除くあらゆる場所で露出する。さらに、このエッチングにより、マンドレルの上部が露出する。得られた構造を図3Cに示す。このエッチングの後、側壁の炭素層は、初期高さの少なくとも50%(例えば、少なくとも80%または少なくとも90%)が残っていることが好ましい。一例として、酸化シリコンで覆われたマンドレルから炭素を選択的にエッチングする場合、炭素は、水素ベースのエッチング(例えば、H2プラズマエッチング)によって、マンドレルの外側材料(SiO2)が露出するように選択的にエッチングされる。水素ベースのエッチングは、SiO2に対して選択的である。別の例として、金属酸化物(例えば、チタン酸化物)のマンドレルから炭素を選択的にエッチングする場合、炭素は、水素ベースのエッチング(例えば、H2プラズマエッチング)または酸素ベースのエッチング(例えば、O2プラズマエッチング)によって、マンドレル材料(金属酸化物)が露出するように選択的にエッチングされる。これらの化学エッチングは、揮発性水素化物を形成しない金属の酸化物(酸化チタンなど)に対して選択的である。
【0054】
次のステップ407は、凸状フィーチャの側壁に存在する炭素層を完全に除去することなく凸状フィーチャを完全に除去し、それによって炭素スペーサを形成することを含む。図3Dに示すように、マンドレル301が基板から除去され、露出された炭素スペーサ309および露出された層のESL303が残される。マンドレルの除去は、マンドレル材料を選択的にエッチングする化学エッチングに基板を晒すことによって実施される。したがって、このステップにおける炭素のエッチング速度に対するマンドレル材料のエッチング速度の比は、1よりも大きく、より好ましくは1.5よりも大きい。さらに、このステップで使用される化学エッチングは、いくつかの実施形態では、ESL材料と比較してマンドレル材料を選択的にエッチングする必要がある。様々なエッチング方法を使用することができ、化学反応の具体的な選択は、マンドレルの材料およびESL層の材料によって異なる。酸化シリコンで覆われたアモルファスシリコンでマンドレルが作製されているとき、フッ素ベースの化学反応(例えば、NF3)を使用して、シリコンマンドレル301を覆うSiO2層とシリコンマンドレル301を一緒に除去することができる。この化学反応は、炭素に対して選択的である。
【0055】
マンドレルが金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル)であるとき、基板の処理には、炭素と比較してマンドレルを選択的に除去するために、塩素ベースの化学エッチング(例えば、プラズマ中のBCl3/Cl2)を用いることができる。この化学反応は、ケイ素含有化合物(例えば、SiO2、SiN、SiC)を含むESLの存在下で使用することができる。
【0056】
次に、露出したESL膜303をエッチングし、その下のターゲット層305を、炭素スペーサ309によって保護されていない全ての位置で露出させる。得られた構造を図3Eに示す。このステップで使用される化学エッチングは、炭素の存在下でESL材料を選択的にエッチングする。言い換えれば、炭素のエッチング速度に対するESL材料のエッチング速度の比は、1よりも大きく、より好ましくは1.5よりも大きい。このステップで使用される化学反応の具体的なタイプは、ESL材料のタイプによって異なる。ケイ素含有化合物(例えば、酸化シリコンおよび酸化シリコンベースの材料)が使用されるとき、フルオロカーボンを含むプロセスガスで形成されたプラズマに基板を曝露することによって選択的エッチングを達成することができる。例えば、ESL膜は、CF4、C26、およびC38の1つまたは複数を含むプロセスガスで形成されたプラズマによってエッチングすることができる。ESLが金属酸化物層(例えば、酸化チタン、酸化タングステン、または酸化ジルコニウム)であるとき、塩素ベースの化学エッチング(例えば、プラズマ中のBCl3/Cl2)を使用して、炭素の存在下でESLを選択的にエッチングすることができる。
【0057】
次のステップでは、ターゲット層305を、ESL膜303によって保護されていない全ての位置でエッチングして、その下の層307を露出させる。このエッチングステップでは、炭素スペーサ309も除去され、図3Fに示すパターンが形成された構造を提供する。いくつかの実施形態では、このステップで使用される化学エッチングは、ターゲット材料と炭素スペーサ材料の両方を除去するように選択される。他の実施形態では、ターゲット層305のパターニングと、炭素スペーサ309の除去に、それぞれ異なる化学反応を利用した2つの異なるエッチングステップを用いることができる。ターゲット層の化学的性質に応じて、いくつかの化学エッチングを使用することができる。一実施形態において、ターゲット層305は金属窒化物層(例えば、TiN層)である。この実施形態では、Cl2および炭化水素(例えば、CH4)を含むプロセスガスで形成されたプラズマに基板を曝露することによって金属窒化物層をエッチングすることができ、その後、酸素ベースのプラズマ化学エッチングまたは水素ベースのプラズマ化学エッチングを使用して炭素スペーサを除去する。
【0058】
いくつかの実施形態において、提供される炭素堆積法は、ギャップフィル用途で使用される。ギャップフィルでは、1つまたは複数の凹状フィーチャを含む基板を処理チャンバに供給し、提供される方法により炭素を堆積して凹状フィーチャの底部と側壁の両方を覆う。堆積サイクルは、凹状フィーチャを炭素で充填するために必要な回数だけ実施される。この堆積は非常に共形的な性質であるため、いくつかの実施形態では、シームレスなギャップフィルを達成することができる。提供される方法は、高アスペクト比のフィーチャへの炭素の堆積に特に有用である。いくつかの実施形態では、凹状フィーチャのアスペクト比は少なくとも5:1(例えば、少なくとも10:1)である。
【0059】
一例では、炭素は、3D NAND製作プロセスにおいてギャップフィルに使用される。一実施態様では、少なくとも1つの凹状フィーチャを有する部分的に製作された3D NAND構造をプロセスチャンバに供給し、本明細書で提供される方法を使用して、その少なくとも1つの凹状フィーチャに炭素を堆積させて凹状フィーチャを充填する。この用途を図5および図6に示す。図5および図6は、部分的に製作された3D NAND構造の概略断面図を例示する図である。
【0060】
図5は、例示的な基板1100を示す図であり、複数の層1111および1140が交互に基板1100の上に階段パターンで堆積されている。いくつかの実施形態では、層1111は誘電体層(例えば、酸化シリコン)であり、層1140は導電層(例えば、タングステン層)である。あるいは、層1111および1140は、酸化シリコン層1111および窒化シリコン層1140のように異なる種類の誘電体であってもよい。最上層1140の上にはハードマスク層1110が存在し、封止層1139が交互の層1111および1140の階段パターンを横方向に封止する。複数のビア1137が誘電体1122(例えば、酸化シリコン)にエッチングされ、例えば、層1140の材料は、ビア1137の底部1139で露出される。図5に示すように材料1140により、ビア1137は異なる深さを有する。次のステップでは、本明細書で提供される堆積法を使用して、ギャップフィル動作において炭素をビア1137に堆積する。得られた構造を図6に示す。この図において、炭素層1173は全てのビア(チャネル)を充填しており、充填されたビアの底部で炭素が材料1140と接触している。炭素は、チャネル内の犠牲材料として使用することができる。そして、その後の製作過程において、炭素を、例えば、酸素ベースのプラズマエッチングまたは水素ベースのプラズマエッチングによってチャネルから除去することができ、ビアを導電性材料で充填することができる。
【0061】
(装置)
本明細書で説明される炭素堆積法は、様々な装置で実施することができる。好適な装置は処理チャンバを含み、この処理チャンバは、反応物を導入するための1つまたは複数の入口と、プロセスチャンバ内に設けられ、堆積中に基板を所定の位置に保持するように構成された基板ホルダとを有し、任意で、プロセスガスでプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成機構を有する。装置は、本明細書で説明される方法ステップのいずれかを引き起こすためのプログラム命令を有するコントローラを含み得る。適切な装置の例は、Lam Research Corporationから入手可能なStriker(登録商標)堆積装置である。
【0062】
例えば、いくつかの実施形態において、装置は以下の(i)~(iv)のための命令を含むプログラム命令を有するコントローラを含む:(i)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を処理チャンバに導入させる、(ii)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を処理チャンバに導入させる、(iii)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を半導体基板の表面に形成する条件下で、アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つを半導体基板の表面に吸着させる、および(iv)アルミニウム含有反応物および炭素含有反応物の少なくとも1つが半導体基板の表面に吸着制限層を形成した後、アルミニウム含有反応物と炭素含有反応物を反応させ、炭素の層を半導体基板の表面に形成する。
【0063】
提供される方法による炭素の堆積に適した堆積装置の例を図7に示す。図7は、原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を使用して材料を堆積するために使用され得るプロセスステーション700の一実施形態を概略的に示しており、ALDまたはCVDのいずれかはプラズマを使用したものであってもよい。簡略化のため、プロセスステーション700は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体702を有する独立型プロセスステーションとして図示されている。しかし、複数のプロセスステーション700が共通のプロセスツール環境に含まれていてもよいことが認識されるであろう。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の1つまたは複数のハードウェアパラメータ(以下で詳細に説明されるものを含む)を、1つまたは複数のコンピュータコントローラによってプログラム的に調整できることが認識されるであろう。
【0064】
プロセスステーション700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド706に供給するための反応剤供給システム701と流体的に連通している。反応剤供給システム701は、シャワーヘッド706に供給するプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器704を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁720は、混合容器704へのプロセスガスの導入を制御することができる。同様に、シャワーヘッド入口弁705は、シャワーヘッド706へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0065】
トリメチルアルミニウムなどのいくつかの反応剤は、プロセスステーションで気化されてプロセスステーションに供給される前は、液体の形で保存することができる。例えば、図7の実施形態は、混合容器704に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント703を含む。いくつかの実施形態では、気化ポイント703は、加熱気化器であってもよい。そのような気化器から生成された反応剤蒸気は、下流の供給配管内で凝縮する可能性がある。凝縮した反応剤に不適合ガスが曝露されると、小粒子が形成されることがある。これらの小粒子は、配管を詰まらせ、弁の動作を妨げ、基板を汚染するなどの恐れがある。これらの問題に対処するためのいくつかのアプローチは、残留反応剤を除去するために供給配管を掃引および/または排気することを伴う。しかし、供給配管を掃引すると、プロセスステーションのサイクル時間が増加し、プロセスステーションのスループットが低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント703の下流の供給配管をヒートトレースしてもよい。いくつかの例では、混合容器704もヒートトレースしてよい。1つの非限定的な例では、気化ポイント703の下流の配管は、混合容器704でおよそ100℃~およそ150℃に及ぶ昇温プロファイルを有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、液体反応剤は、液体注入器で気化されてもよい。例えば、液体注入器は、液体反応剤のパルスを混合容器の上流のキャリアガス流に注入することができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、液体を高圧から低圧にフラッシュすることによって反応剤を気化させることができる。別のシナリオでは、液体注入器は、液体を分散微小液滴に霧化し、続いて加熱された供給パイプ内でその微小液滴を気化させてもよい。小さな液滴は大きな液滴よりも速く気化することができ、液体注入と完全気化との間の遅延を減少させることが認識されるであろう。気化が速いほど、気化ポイント703から下流の配管の長さを短くすることができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、混合容器704に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体注入器は、シャワーヘッド706に直接取り付けられてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、気化されてプロセスステーション700に供給される液体の質量流量を制御するために、液体流コントローラを気化ポイント703の上流に設けることができる。例えば、液体流コントローラ(LFC)は、LFCの下流に位置する熱質量流量計(MFM)を含み得る。次に、LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整され得る。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化するには1秒以上かかる場合がある。これは、液体反応剤の投与時間を延長する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、LFCの感知管およびPIDコントローラを無効にすることによって、LFCをフィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えることができる。
【0068】
シャワーヘッド706は、プロセスガスを基板712に向けて分配する。図7に示す実施形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下に位置し、台座708上に載置された状態で示されている。シャワーヘッド706は、任意の適切な形状を有することができ、プロセスガスを基板712に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有することができることが認識されるであろう。
【0069】
いくつかの実施形態では、微小体積707がシャワーヘッド706の下に位置する。プロセスステーションの体積全体ではなく、微小体積でALDおよび/またはCVDプロセスを実施することにより、反応剤への曝露および掃引時間を短縮したり、プロセス条件(例えば、圧力、温度など)を変更する時間を短縮したり、プロセスステーションロボットのプロセスガスへの曝露を制限したりすることなどが可能である。例示的な微小体積サイズは、0.1リットル~2リットルの体積を含むが、これに限定されない。この微小体積も、生産性スループットに影響する。サイクルあたりの堆積速度が低下する一方で、サイクル時間も同時に減少する。ある特定の場合、後者の効果は、膜の所与の目標厚さに対するモジュールの全体的なスループットを改善するのに十分なほど目覚ましい。
【0070】
いくつかの実施形態では、台座708は、基板712を微小体積707に曝露するために、および/または微小体積707の体積を変化させるために、上昇または下降させることができる。例えば、基板搬送段階では、台座708を下降させ、基板712を台座708上に載置できるようにすることが可能である。堆積プロセス段階では、台座708を上昇させ、基板712を微小体積707内に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、微小体積707は、基板712と台座708の一部とを完全に取り囲み、堆積プロセス中に高フローインピーダンスの領域を形成することができる。
【0071】
任意選択で、台座708は、堆積プロセスの一部の間に下降および/または上昇させ、微小体積707内のプロセス圧力、反応剤濃度などを調整することができる。堆積プロセス中にプロセスチャンバ本体702がベース圧力を維持する1つのシナリオでは、台座708を下降させることにより、微小体積707を排気することができる。微小体積とプロセスチャンバ体積の例示的な比率は、1:700~1:10の体積比を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが認識されるであろう。
【0072】
本明細書で説明される例示的な微小体積の変更として、高さ調整可能な台座に言及しているが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706の位置を台座708に対して調整し、微小体積707の体積を変化させられることが認識されるであろう。さらに、台座708および/またはシャワーヘッド706の垂直位置を、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変更してもよいことが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、台座708は、基板712の向きを回転させるための回転軸を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数が、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に実施され得ることが認識されるであろう。
【0073】
図7に示す実施形態に戻ると、シャワーヘッド706および台座708は、プラズマに電力を供給するためのRF電源714および整合ネットワーク716と電気的に通信する。他の実施形態では、提供される方法を使用して炭素を堆積するために、プラズマ発生器のない装置が使用される。いくつかの実施形態では、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって、プラズマエネルギーを制御してもよい。例えば、RF電源714および整合ネットワーク716は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために任意の適切な電力で動作されてもよい。適切な電力の例は、上記に含まれている。同様に、RF電源714は、任意の適切な周波数のRF電力を提供し得る。いくつかの実施形態では、RF電源714は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立制御するように構成され得る。例示的な低周波RF周波数は、50kHz~700kHzの周波数を含むことができるが、これに限定されない。例示的な高周波RF周波数は、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含むことができるが、これに限定されない。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的または連続的に調整されてもよいことが認識されるであろう。1つの非限定的な例では、連続的に電力が供給されるプラズマと比較して基板表面とのイオン衝突を低減するために、プラズマ電力を断続的にパルス化してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマモニタによって、プラズマをin situで監視してもよい。1つのシナリオでは、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって、プラズマ電力を監視してもよい。別のシナリオでは、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度を測定してもよい。いくつかの実施形態では、そのようなin situのプラズマモニタからの測定値に基づいて、1つまたは複数のプラズマパラメータをプログラム的に調整することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニタが使用されてもよいことが認識されるであろう。このようなモニタは、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力トランスデューサを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御されてもよい。一例では、プラズマプロセス段階のプラズマ条件を設定するための命令を、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含めることができる。場合によっては、プロセスレシピ段階が順に配置されてもよく、それにより堆積プロセス段階の全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含まれ得る。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、ならびに第1のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で、任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことが認識されるであろう。
【0076】
いくつかの実施形態では、台座708は、ヒータ710を介して温度制御されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、堆積プロセスステーション700の圧力制御は、バタフライ弁718によって行われてもよい。図7の実施形態に示すように、バタフライ弁718は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の圧力制御は、プロセスステーション700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することもできる。
【0077】
図8は、インバウンドロードロック802およびアウトバウンドロードロック804を備え、これらのいずれかまたは両方がリモートプラズマ源を備え得るマルチステーション処理ツール800の一実施形態の概略図を示す。そのようなツールは、本明細書で提供される方法を使用して基板を処理するために使用することができる。ロボット806は、大気圧において、ポッド808を通してロードされたカセットから、大気圧ポート810を介してインバウンドロードロック802にウエハを移動させるように構成される。ウエハは、ロボット806によって、インバウンドロードロック802の台座812上に載置され、大気圧ポート810が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック802がリモートプラズマ源を備える場合、ウエハは、処理チャンバ814に導入される前にロードロックにおいてリモートプラズマ処理を受けてもよい。さらに、ウエハはまた、例えば、水分および吸着したガスを除去するためにインバウンドロードロック802においても加熱されてよい。次に、処理チャンバ814へのチャンバ搬送ポート816が開かれ、別のロボット(図示せず)が、ウエハをリアクタ内に移動させ、リアクタ内に示す第1のステーションの台座上に処理のために載置する。なお、図8に図示される実施形態はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施形態では、プロセスステーションにウエハを直接進入させてもよいことが認識されるであろう。
【0078】
図示の処理チャンバ814は、図8に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱台座(ステーション1に対して818で示す)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることが認識されるであろう。図示の処理チャンバ814は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してもよいことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してもよく、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してもよい。
【0079】
図8はまた、処理チャンバ814内でウエハを搬送するためのウエハハンドリングシステム890の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、ウエハハンドリングシステム890は、様々なプロセスステーション間および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウエハを搬送することができる。任意の適切なウエハハンドリングシステムが用いられてもよいことが認識されるであろう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。図8はまた、プロセスツール800のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ850の一実施形態を図示する。システムコントローラ850は、1つまたは複数のメモリデバイス856と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス854と、1つまたは複数のプロセッサ852とを含むことができる。プロセッサ852は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850は、プロセスツール800の活動の全てを制御する。システムコントローラ850は、大容量記憶デバイス854に記憶され、メモリデバイス856にロードされ、プロセッサ852で実施されるシステム制御ソフトウェア858を実行する。システム制御ソフトウェア858は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力および/またはステーション圧力、チャンバ温度および/またはステーション温度、パージ条件およびパージタイミング、ウエハ温度、RF電力レベル、RF周波数、基板、台座、チャック位置および/またはサセプタ位置、ならびにプロセスツール800によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含み得る。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、開示される方法に従って様々なプロセスツールプロセスを実施するために必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア858は、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を含み得る。例えば、ALDプロセスの各段階は、システムコントローラ850によって実行するための1つまたは複数の命令を含み得る。ALDプロセス段階に対するプロセス条件を設定するための命令は、対応するALDレシピ段階に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ALDレシピ段階は、ALDプロセス段階に対する全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順に配置されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連する大容量記憶デバイス854および/またはメモリデバイス856に記憶された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが用いられてもよい。この目的のためのプログラムの例またはプログラムのセクションの例は、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムを含む。
【0083】
基板位置決めプログラムは、基板を台座818上にロードし、基板とプロセスツール800の他の部分との間隔を制御するために使用されるプロセスツール構成要素のプログラムコードを含むことができる。
【0084】
プロセスガス制御プログラムは、プロセスステーションの圧力を安定化するために、ガス組成と流量を制御するためのコード、および任意で堆積前にガスを1つまたは複数のプロセスステーションに流すためのコードを含むことができる。プロセスガス制御プログラムは、開示されたいずれかの範囲内にガス組成および流量を制御するためのコードを含むことができる。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システムのスロットル弁、プロセスステーションへのガス流などを調節することによってプロセスステーションの圧力を制御するためのコードを含み得る。圧力制御プログラムは、開示されたいずれかの圧力範囲内にプロセスステーションの圧力を維持するためのコードを含むことができる。
【0085】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含むことができる。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板への熱伝達ガス(ヘリウムなど)の供給を制御することができる。ヒータ制御プログラムは、開示されたいずれかの範囲内に基板の温度を維持するための命令を含むことができる。
【0086】
プラズマ制御プログラムは、例えば本明細書に開示されるRF電力レベルのいずれかを使用して、1つまたは複数のプロセスステーションのプロセス電極に供給されるRF電力レベルおよび周波数を設定するためのコードを含むことができる。プラズマ制御プログラムは、各プラズマ曝露期間を制御するためのコードを含むこともできる。
【0087】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関係するものであってもよい。非限定的な例として、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベル、周波数、および曝露時間など)等が挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてもよく、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0089】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサからシステムコントローラ850のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール800のアナログおよびデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、プロセス条件を維持することができる。
【0090】
開示される実施形態の実施には、任意の適切なチャンバを使用することができる。例示的な堆積装置は、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporationから入手可能なStriker(登録商標)製品ファミリーの装置、または様々な他の市販の処理システムのうち任意のものを含むが、これに限定されない。2つ以上のステーションが、同じ機能を実施してもよい。同様に、2つ以上のステーションが、異なる機能を実施してもよい。各ステーションは、所望に応じて特定の機能/方法を実施するように設計/構成することができる。
【0091】
図9は、特定の実施形態による薄膜堆積プロセスの実施に適した処理システムのブロック図である。システム900は、移送モジュール903を含む。移送モジュール903は、処理中の基板が様々なリアクタモジュール間を移動するときの基板の汚染リスクを最小化するために、清潔な加圧環境を提供する。移送モジュール903には、2つのマルチステーションリアクタ909および910が取り付けられており、各々が特定の実施形態による原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を実施することが可能である。リアクタ909および910は、開示される実施形態による動作を連続的または非連続的に実施することができる複数のステーション911、913、915、および917を含むことができる。ステーションには、加熱された台座または基板支持体、1つまたは複数のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散プレートを含めることができる。
【0092】
また、移送モジュール903には、プラズマによる前洗浄または化学的(非プラズマ)前洗浄、または開示される方法に関連して説明された任意の他のプロセスを実施することが可能な、1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール907が取り付けられてもよい。モジュール907は、場合によって、例えば、堆積プロセスのための基板を準備するための様々な処理に使用することができる。モジュール907はまた、エッチングまたは研磨などの様々な他のプロセスを実施するように設計/構成することができる。システム900はまた、処理前および処理後のウエハを格納する1つまたは複数のウエハソースモジュール901を含んでいる。大気移送チャンバ919内の大気ロボット(図示せず)は、最初にウエハをソースモジュール901から取り出してロードロック921へ移送することができる。移送モジュール903内のウエハ移送デバイス(一般的には、ロボットアームユニット)は、ウエハをロードロック921から移送モジュール903に取り付けられたモジュールに移動させたり、モジュール間で移動させたりする。
【0093】
様々な実施形態において、システムコントローラ929を用いて、堆積中のプロセス条件を制御する。コントローラ929は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含むことができる。
【0094】
コントローラ929は、堆積装置の活動の全てを制御することができる。システムコントローラ929は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、無線周波数(RF)電力レベル、ウエハチャック位置または台座位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための一連の命令を含むシステム制御ソフトウェアを実施する。いくつかの実施形態では、コントローラ929に関連するメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムを用いることができる。
【0095】
典型的には、コントローラ929に関連するユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0096】
システム制御論理は任意の適切な方法で構成することができる。一般に、論理はハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成することができる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされるか、またはソフトウェアとして提供され得る。命令は、「プログラミング」によって提供されてもよい。そのようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサのハードコードされた論理、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスを含む、あらゆる形式の論理を含むと理解される。プログラミングはまた、汎用プロセッサで実施され得るソフトウェアまたはファームウェア命令も含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0097】
ゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、およびタングステン含有前駆体パルス、ならびにプロセスシーケンスにおける他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど)で書かれ得る。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムに識別されたタスクを実施するためにプロセッサによって実行される。また、示されているように、プログラムコードは、ハードコードされてもよい。
【0098】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、ならびにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関連している。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ929のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置900のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。
【0099】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成することができる。例えば、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、開示される実施形態に従って堆積プロセス(および場合によっては他のプロセス)を実施するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例には、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが挙げられる。
【0100】
いくつかの実施態様では、コントローラ929はシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラ929は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、一部のシステムにおける無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0101】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実施するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0102】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0103】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0104】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0105】
(さらなる実施態様)
本明細書で説明される装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと併せて使用されてもよい。一般的には、必須ではないが、そのような装置およびプロセスは、共通の製作施設で共に使用または実施される。膜のリソグラフィパターニングは、一般的には、以下のステップのいくつかまたは全てを含み、各ステップが使用可能な多くのツールを用いて可能にされる:(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布するステップ、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光するステップ、(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングするステップ、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法であって、
(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入することと、
(b)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入することと、
(c)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成する条件下で、前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つを前記半導体基板の前記表面に吸着させることと、
(d)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成した後、前記アルミニウム含有反応物を前記炭素含有反応物と反応させ、炭素の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと
を含む、方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有する前記アルミニウム含有反応物は、トリアルキルアルミニウムである、方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有する前記アルミニウム含有反応物は、トリメチルアルミニウムである、方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、
少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有する前記炭素含有反応物は、四ハロゲン化炭素である、方法。
適用例4:
適用例1の方法であって、
前記少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合は、炭素-フッ素結合である、方法。
適用例5:
適用例1の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、前記炭素含有反応物はCX 4 、CHX 3 、CH 2 2 、およびCH 3 Xからなる群から選択され、Xはハロゲンである、方法。
適用例6:
適用例5の方法であって、
Xは、フッ素である、方法。
適用例7:
適用例5の方法であって、
Xは、塩素および/または臭素である、方法。
適用例8:
適用例1の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物を前記炭素含有反応物と反応させることは、アルミニウム含有副産物を形成することを含み、前記方法は、(d)の後に前記アルミニウム含有副産物を除去することをさらに含む、方法。
適用例9:
適用例8の方法であって、
前記アルミニウム含有副産物は、アルミニウム-ハロゲン結合を含む、方法。
適用例10:
適用例1の方法であって、
前記炭素層が形成される前記半導体基板の前記表面は、パターニングされた三次元フィーチャを有する、方法。
適用例11:
適用例1の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物は、前記炭素含有反応物を導入する前に吸着制限層を形成する、方法。
適用例12:
適用例1の方法であって、
前記炭素含有反応物は、前記アルミニウム含有反応物を導入する前に吸着制限層を形成する、方法。
適用例13:
適用例1の方法であって、
ステップ(a)と(b)との間に前記処理チャンバをパージおよび/または排気し、前記処理チャンバから前記アルミニウム含有反応物または前記炭素含有反応物を除去することをさらに含む、方法。
適用例14:
適用例1の方法であって、
前記炭素層を所定の厚さに堆積するために動作(a)~(d)を繰り返すことをさらに含む、方法。
適用例15:
適用例1の方法であって、
前記炭素層は、ギャップフィル動作において堆積される、方法。
適用例16:
適用例1の方法であって、
前記炭素層は、部分的に製作された3D NAND構造でのギャップフィル動作において堆積される、方法。
適用例17:
処理チャンバ内の半導体基板の表面に炭素層を形成する方法であって、
(a)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入し、前記アルミニウム含有反応物の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと、
(b)(a)の後に前記処理チャンバから前記アルミニウム含有反応物を除去することと、
(c)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入し、前記炭素含有反応物の層を前記半導体基板の前記表面に形成することと、
(d)(c)の後に前記処理チャンバから前記炭素含有反応物を除去することと、
(e)前記炭素含有反応物の前記層および前記アルミニウム含有反応物の前記層を有する前記半導体基板をプラズマと接触させて前記アルミニウム含有反応物と前記炭素含有反応物との間の反応を活性化し、それによって炭素の層を前記半導体基板の表面に形成することと
を含む、方法。
適用例18:
適用例17の方法であって、
前記アルミニウム含有反応物はトリアルキルアルミニウムであり、前記炭素含有反応物はCF 4 であり、前記トリアルキルアルミニウムとCF 4 との間の反応は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H 2 )および窒素(N 2 )からなる群から選択されるガスを含むプロセスガスで形成されたプラズマと前記半導体基板を接触させることによって活性化される、方法。
適用例19:
複数の炭素スペーサを備える、部分的に製作された半導体基板。
適用例20:
半導体基板を処理するためのシステムであって、
(a)処理チャンバであって、基板ホルダ、および反応物を前記処理チャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有する処理チャンバと、
(b)システムコントローラであって、
(i)少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有するアルミニウム含有反応物を前記処理チャンバに導入させ、
(ii)少なくとも1つの炭素-ハロゲン結合を有し、かつ、前記アルミニウム含有反応物とは異なる炭素含有反応物を前記処理チャンバに導入させ、
(iii)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物のいずれかまたは両方が吸着制限層を前記半導体基板の表面に形成する条件下で、前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つを前記半導体基板の前記表面に吸着させ、かつ
(iv)前記アルミニウム含有反応物および前記炭素含有反応物の少なくとも1つが吸着制限層を前記半導体基板の前記表面に形成した後、前記アルミニウム含有反応物と前記炭素含有反応物を反応させ、炭素の層を前記半導体基板の前記表面に形成する
ためのプログラム命令を含むシステムコントローラと
を備える、システム。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
図9