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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】製膜用霧化装置、製膜装置及び製膜方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20231205BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/368 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B05B17/06
B05D1/02 Z
H01L21/365
H01L21/368 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022541177
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2021026035
(87)【国際公開番号】W WO2022030187
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2020133132
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】橋上 洋
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-060461(JP,U)
【文献】特開2014-69171(JP,A)
【文献】特開2011-110453(JP,A)
【文献】特開2018-142637(JP,A)
【文献】特開2005-111328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05D 1/00-7/26
H01L 21/365-21/368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波によって原料液体を霧化して原料ミストを生成する製膜用霧化装置であって、
前記原料液体を収容する原料容器と、
前記原料液体に前記超音波を伝播するための媒体としての中間液を収容する伝播槽と、
前記原料容器を、該原料容器の少なくとも一部が前記中間液中に位置するように支持する支持機構と、
前記中間液を循環させる循環機構と、
前記超音波を発生させ、前記伝播槽に印加する超音波発生器と、
前記中間液中の気体を前記製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構と
を具備し、
前記中間液の循環により、前記原料容器の底面の下方における前記中間液に生じる気泡を排出するものであることを特徴とする製膜用霧化装置。
【請求項2】
前記循環機構から前記中間液を前記伝播槽へ注入する注入口が、前記原料容器の底面より低位置に配置されているものであることを特徴とする請求項1に記載の製膜用霧化装置。
【請求項3】
前記伝播槽から前記中間液を前記循環機構へ排出する排出口が、前記原料容器の底面より高位置に配置されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載の製膜用霧化装置。
【請求項4】
前記原料容器は、水平な底面を具備するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製膜用霧化装置。
【請求項5】
前記脱気機構が前記伝播槽に設けられているものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の製膜用霧化装置。
【請求項6】
前記脱気機構が前記伝播槽と前記原料容器を保持する前記支持機構とで囲まれる空間の内部と外部とを空間的に接続したものであることを特徴とする請求項5に記載の製膜用霧化装置。
【請求項7】
前記脱気機構が前記循環機構に設けられているものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の製膜用霧化装置。
【請求項8】
製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成するように構成された製膜装置であって、
請求項1から7のいずれか1項に記載の製膜用霧化装置と、
前記製膜機と、
前記製膜用霧化装置により霧化して生成される前記原料ミストをキャリアガスによって前記製膜機に供給するように構成された供給機構と
を具備するものであることを特徴とする製膜装置。
【請求項9】
製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成する製膜方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の製膜用霧化装置により原料液体を霧化するステップと
前記霧化された原料液体とキャリアガスを混合して混合気を形成するステップと、
前記混合気を下地基板に供給して製膜を行うステップと
を含むことを特徴とする製膜方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製膜用霧化装置、製膜装置及び製膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温及び大気圧でエピタキシャル膜などが形成可能な方法として、ミストCVD法等の液体微粒子を用いた製膜手法が知られている。特許文献1では、原料溶液を入れた容器を超音波振動子にかけることにより原料溶液をミスト化し、得られたミスト状原料をキャリアガスで反応器内の基板へ供給して製膜を行う方法が開示されている。
【0003】
原料液体への超音波の印加は通常、腐食性の原料液体なども含めた幅広い材料の利用を可能にするため、水などの中間液を介して行われる。ところが、超音波の印加を継続すると、中間液から気泡が発生し、原料液体への超音波伝播が妨げられ、ミストの発生量が低下する問題があった。これに対し、特許文献2では、原料容器の底面を中間液の液面に対して角度を設けることで、原料容器底面への気泡付着を回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-28480号公報
【文献】特開2005-305233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の構造では、原料容器内における原料液体の深さが不均一であるため、特に複数の超音波発生器を備える場合などでは原料液体を十分に霧化できなかった。またさらに、霧化装置の構造が複雑になり、装置が高価になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、原料液体の霧化を継続的に高い効率で行うことができる製膜用霧化装置、このような霧化装置を具備する製膜装置、及び安定した製膜を高い生産性で行うことができる製膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、超音波によって原料液体を霧化して原料ミストを生成する製膜用霧化装置であって、
前記原料液体を収容する原料容器と、
前記原料液体に前記超音波を伝播するための媒体としての中間液を収容する伝播槽と、
前記原料容器を、該原料容器の少なくとも一部が前記中間液中に位置するように支持する支持機構と、
前記中間液を循環させる循環機構と、
前記超音波を発生させ、前記伝播槽に印加する超音波発生器と、
前記中間液中の気体を前記製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構と
を具備するものであることを特徴とする製膜用霧化装置を提供する。
【0008】
このような霧化装置であれば、中間液中の気体が気泡として原料容器の底部などへ滞留することを防ぐことができ、原料液体への超音波の伝搬が気泡によって妨げられるのを抑えることができるので、超音波を持続的に高い効率で原料液体に伝播させることができる。その結果、本発明の霧化装置は、原料液体の霧化を継続的に高い効率で行うことができる。また、本発明の霧化装置は、原料液体の霧化を継続的に行うことができるので、高密度の原料液体霧化を行うことができる。そして、このような霧化装置を具備した製膜装置は、安定した製膜を高い生産性で行うことができる。
【0009】
前記循環機構から前記中間液を前記伝播槽へ注入する注入口が、前記原料容器の底面より低位置に配置されているものであることが好ましい。
【0010】
このような霧化装置であれば、中間液中の気体をより効率的に除去でき、その結果、原料液体の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。
【0011】
前記伝播槽から前記中間液を前記循環機構へ排出する排出口が、前記原料容器の底面より高位置に配置されているものであることが好ましい。
【0012】
このような霧化装置であれば、中間液中の気体をより効率的に除去でき、その結果、原料液体の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。
【0013】
前記原料容器は、水平な底面を具備するものであることが好ましい。
【0014】
このような霧化装置であれば、原料容器内における原料液体の深さを均一にすることができ、それにより原料液体をより十分に霧化することができる。その結果、原料液体の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。また、このような形状であれば、装置構造の単純化が計られ、コスト抑制にも資する。
【0015】
前記脱気機構は、前記伝播槽に設けられていてもよい。
この場合、例えば、前記脱気機構を、前記伝播槽と前記原料容器を保持する前記支持機構とで囲まれる空間の内部と外部とを空間的に接続したものとすることができる。
【0016】
或いは、前記脱気機構が前記循環機構に設けられていてもよい。
【0017】
このように、脱気機構は、中間液が存在し得るところであれば、どこに設けても構わない。
【0018】
また、本発明では、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成するように構成された製膜装置であって、
本発明の製膜用霧化装置と、
前記製膜機と、
前記製膜用霧化装置により霧化して生成される前記原料ミストをキャリアガスによって前記製膜機に供給するように構成された供給機構と
を具備するものであることを特徴とする製膜装置を提供する。
【0019】
このような製膜装置であれば、本発明の製膜用霧化装置を具備するので、製膜を安定して継続することが可能であり、生産性の高い装置とすることができる。
【0020】
また、本発明では、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成する製膜方法であって、
本発明の製膜用霧化装置により原料液体を霧化するステップと
前記霧化された原料液体とキャリアガスを混合して混合気を形成するステップと、
前記混合気を下地基板に供給して製膜を行うステップと
を含むことを特徴とする製膜方法を提供する。
【0021】
このような製膜方法であれば、本発明の製膜用霧化装置を具備するので、より長時間を要する大口径基板への製膜を安定して継続することが可能であり、安定した製膜を高い生産性で行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の製膜用霧化装置であれば、超音波を持続的に高い効率で原料液体に伝播させることを可能にし、原料液体の霧化を安定的に行うことが可能な霧化装置となる。すなわち、本発明の製膜用霧化装置であれば、原料液体の霧化を継続的に高い効率で行うことができる。
【0023】
また、本発明の製膜装置であれば、安定した製膜を高い生産性で行うことができる。
【0024】
また、本発明の製膜方法であれば、安定した製膜を高い生産性で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る製膜用霧化装置の一形態を示す概略図である。
図2】本発明の係る製膜用霧化装置の別の形態を示す概略図である。
図3】本発明の係る製膜用霧化装置のさらに別の形態を示す概略図である。
図4】本発明に係る製膜装置の一形態を示す概略図である。
図5】本発明に係る製膜装置の別の形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、製膜に用いられる霧化装置であって、超音波振動子などの超音波発生器からの超音波により原料液体を霧化する製膜用霧化装置、並びにこれを用いた製膜装置及び製膜方法に関するものである。
【0027】
上述のように、原料液体の霧化を継続的に高い効率で行うことができる製膜用霧化装置の開発が求められていた。
【0028】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、超音波によって原料液体を霧化して原料ミストを生成する製膜用霧化装置において、伝播槽内の中間液を循環させる循環機構と、中間液中の気体を製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構とを設けることにより、中間液中の気体が脱気機構に向かうようにこの中間液を移動させることができ、それにより中間液中の気体を製膜用霧化装置の系外に効率的に排出できることを見出し、本発明を完成させた。
【0029】
即ち、本発明は、超音波によって原料液体を霧化して原料ミストを生成する製膜用霧化装置であって、
前記原料液体を収容する原料容器と、
前記原料液体に前記超音波を伝播するための媒体としての中間液を収容する伝播槽と、
前記原料容器を、該原料容器の少なくとも一部が前記中間液中に位置するように支持する支持機構と、
前記中間液を循環させる循環機構と、
前記超音波を発生させ、前記伝播槽に印加する超音波発生器と、
前記中間液中の気体を前記製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構と
を具備するものであることを特徴とする製膜用霧化装置である。
【0030】
また、本発明は、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成するように構成された製膜装置であって、
本発明の製膜用霧化装置と、
前記製膜機と、
前記製膜用霧化装置により霧化して生成される前記原料ミストをキャリアガスによって前記製膜機に供給するように構成された供給機構と
を具備するものであることを特徴とする製膜装置である。
【0031】
また、本発明は、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成する製膜方法であって、
本発明の製膜用霧化装置により原料液体を霧化するステップと
前記霧化された原料液体とキャリアガスを混合して混合気を形成するステップと、
前記混合気を下地基板に供給して製膜を行うステップと
を含むことを特徴とする製膜方法である。
【0032】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
[製膜用霧化装置]
本発明の製膜用霧化装置は、超音波によって原料液体を霧化して原料ミストを生成する製膜用霧化装置であって、
前記原料液体を収容する原料容器と、
前記原料液体に前記超音波を伝播するための媒体としての中間液を収容する伝播槽と、
前記原料容器を、該原料容器の少なくとも一部が前記中間液中に位置するように支持する支持機構と、
前記中間液を循環させる循環機構と、
前記超音波を発生させ、前記伝播槽に印加する超音波発生器と、
前記中間液中の気体を前記製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構と
を具備するものであることを特徴とする。
【0034】
原料液体に超音波を伝播するための媒体としての中間液を収容する伝播槽を具備する、超音波によって原料液体を霧化(微粒子化)して原料ミスト(原料微粒子)を生成する製膜用霧化装置では、先に説明したように、超音波の印加を継続すると、中間液中に含まれる気体が気泡となって現れ、この気泡が中間液と原料容器との間に滞留し、原料液体への超音波の伝播を妨害するという問題があった。
【0035】
本発明の製膜用霧化装置は、中間液を循環させる循環機構と、中間液中の気体を製膜用霧化装置の系外に排出する脱気機構とを具備することにより、先に説明したように、中間液中の気体が脱気機構に向かうようにこの中間液を移動させることができる。それにより、本発明の製膜用無化装置は、中間液中の気体を製膜用霧化装置の系外に効率的に排出することができる。その結果、本発明の製膜用霧化装置であれば、原料液体の霧化を継続的に高い効率で行うことができる。また、本発明の霧化装置は、原料液体の霧化を継続的に行うことができるので、高密度の原料液体霧化を行うことができる。
【0036】
循環機構から中間液を前記伝播槽へ注入する注入口が、原料容器の底面より低位置に配置されているものであることが好ましい。
【0037】
また、伝播槽から中間液を循環機構へ排出する排出口が、原料容器の底面より高位置に配置されているものであることが好ましい。
【0038】
これらのような霧化装置であれば、中間液中の気体が脱気機構に向かうようなこの中間液の移動を更に促進することができ、それにより中間液中の気体をより効率的に除去できる。その結果、原料液体の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。
【0039】
原料容器は、水平な底面を具備するものであることが好ましい。
このような霧化装置であれば、原料容器内における原料液体の深さを均一にすることができ、それにより原料液体をより十分に霧化することができる。その結果、原料液体の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。しかも、装置形状を単純化でき、装置コストの低減も計られる。
【0040】
脱気機構は、中間液中の気体を製膜用霧化装置の系外に排出するものなので、中間液が存在し得るところであれば、どこに設けても構わない。
【0041】
例えば、脱気機構は、伝播槽に設けられたものであっても良いし、或いは循環機構に設けられたものであっても良い。
【0042】
本発明の製膜用霧化装置は、原料容器、伝播槽、支持機構、循環機構、超音波発生器及び脱気機構以外の部材を具備することもできる。具体例は、以下の説明を参照されたい。
【0043】
以下、本発明の製膜用霧化装置の具体例を図1図3を参照しながら説明する。
【0044】
図1に、本発明に係る製膜用霧化装置100の一形態を概略的に示す。製膜用霧化装置100は、原料液体114を収容する原料容器111と、原料液体114に超音波を伝播するための媒体としての中間液126を収容する伝播槽121と、原料容器111を、この原料容器111の少なくとも一部が中間液126中に位置するように支持する支持機構123と、中間液126を循環させる循環機構131と、超音波を発生させ、伝播槽121に印加する超音波発生器122と、中間液126中の気体を製膜用霧化装置100の系外に排出する脱気機構127とを具備する。
【0045】
また、製膜用霧化装置100は、原料容器111の内部と外部を空間的に接続し、且つその下端が原料容器111内において原料液体114の液面に触れないように設置された筒状部材112と、伝播槽121と循環機構131とを流体接続した配管132とを更に具備している。
【0046】
循環機構131は、配管132を通して中間液126を伝播槽121との間で矢印の方向に循環させるように構成されている。循環機構131は、中間液126の温度制御機能をさらに備えていてよい。
【0047】
原料容器111は、図1に示すように、水平な底面を具備するものであることが好ましい。このようにすれば、原料容器111内における原料液体114の深さを均一にすることができ、それにより原料液体114をより十分に霧化することができる。その結果、原料液体114の霧化を継続的により高い効率で行うことができる。
【0048】
原料容器111には、キャリアガス141を導入するためのキャリアガス導入口113が設置されている。原料容器111及び筒状部材112の形状は特に限定されないが、円筒状とすることで、キャリアガス141と超音波で霧化された原料ミスト(不図示)とが混合した混合気142を円滑に流すことができる。キャリアガス導入口113は筒状部材112の原料容器111内部における下端よりも上方に設けられることが好ましい。このようにすることで、キャリアガス141と原料ミストとを十分に混合することができる。
【0049】
また霧化装置100は、図には示していないが、原料液体114をその消費量に応じて補充する機構をさらに備えていてもよい。
【0050】
伝播槽121は、超音波発生器122から照射された超音波を原料液体114に伝播するための中間液126を収容するものである。
【0051】
超音波発生器122の超音波射出面は平坦な形状をしており、照射方向はこの射出面を傾斜させて固定しても良いし、適宜角度調節して傾斜させても良い。また、超音波発生器122は、所望のミスト密度や原料容器111のサイズなどに応じて複数設けて良い。超音発生器122から発振される超音波の周波数は、所望の粒径と粒度とを有するミストを発生するものであれば限定されないが、例えば、1.5MHzから4.0MHzを用いると良い。これにより原料液体114が製膜に適したミクロンサイズの液滴(原料ミスト)にミスト化(霧化)される。
【0052】
原料液体114は、超音波を受けて霧化できるものであれば特に限定されず、製膜しようとする薄膜に応じて、適宜選択することができる。
【0053】
中間液126は、超音波の伝播を阻害しなければ特に限定されず、水やアルコール類およびオイル類などを用いてよいが、本発明においては特に水を使用するのが好ましい。また伝播槽121は、図には示していないが、中間液126の液量や温度を検知及び制御する手段をさらに備えていても良い。
【0054】
原料容器111は、図1に示すように、支持機構123によって、その底部が伝播槽121の底部から一定の距離だけ離された状態で保持されている。伝播槽121は、循環機構131から配管132を介して中間液126を受け入れる注入口124と、配管132を介して循環機構131へと排出する排出口125とが設けられている。原料容器111は、支持機構123に支持されることによって、中間液126が注入口124から原料容器の下を通って排出口125へと流れるように配置されている。このとき注入口124は原料容器111の底部よりも低位置に設置されているのが好ましい。これにより、超音波発生器122と原料容器111の底部との間に生じる気泡(中間液126中の気体)が、より容易に除去されるので、超音波の伝播が阻害されることなく安定した原料の霧化が可能になる。また、原料容器111の保持高さは、使用する超音波の周波数にもよるが、一般には原料液体114の液面と超音波発生器122の超音波射出面との間隔が10mmから70mm程度になるようにするのが良い。
【0055】
脱気機構127は、伝播槽121の排出口125の上部に設けられている。また、脱気機構127は、伝播槽121と原料容器111を保持する支持機構123とで囲まれる空間の内部と外部とを空間的に接続している。中間液126の流れによって移動された気泡は中間液126中を上昇して脱気機構127により製膜用霧化装置100の系外に排出される。このように、気泡は、脱気機構127から製膜用霧化装置100の系外へ解放されるので、中間液126中にいつまでも漂って超音波の伝播を妨げることも回避される。この時の中間液126の流量は、中間液126に発生する気泡を流すだけの速度があれば特に限定されないが、一般に1L/分以上20L/分とするのが良い。
【0056】
脱気機構127は、図1では、伝播槽121の排出口125の上部であって、支持機構123と中間液126に挟まれた、製膜用霧化装置100の系外と連続した空間で構成されているが、脱気機構の態様はこれに限られない。
【0057】
例えば、図2に示すように、支持機構223に傾斜を設け、且つ脱気機構227を伝播槽221の上部の排出口225側の一部に設けても良い。このような構成により、支持機構223の下に満たされた中間液226中の気体(気泡)を、脱気機構227から製膜用霧化装置200の系外に容易に開放することができる。
【0058】
或いは、図3に示すように、伝播槽321と支持機構323で中間液326を密閉する一方で、中間液326中の気体(気泡)を循環機構331に設けた脱気機構327から製膜用霧化装置300の系外へ排出してもよい。この場合、気泡を効率的に伝播槽321から排出するため、排出口325は少なくとも原料容器311の底面より上方、より好ましくは伝播槽321の上端付近に設けるのが良い。図1及び図2に示す製膜用霧化装置100及び200でも、排出口125及び225は、それぞれ、原料容器111及び211の底面よりも高位置に配置されている。
【0059】
尚、図2及び図3において、参照番号211及び311は図1に示した原料容器111と同様の原料容器、参照番号212及び312は図1に示した筒状部材112と同様の筒状部材、参照番号213及び313は図1に示したキャリアガス導入口113と同様のキャリアガス導入口、参照番号214及び314は図1に示した原料液体114と同様の原料液体、参照番号222及び322は図1に示した超音波発生器122と同様の超音波発生器、参照番号224及び324は図1に示した注入口124と同様の注入口、参照番号231及び331は図1に示した循環機構131と同様の循環機構、参照番号232及び332は図1に示した配管132と同様の配管である。
【0060】
また、原料容器の支持方法は、原料容器底部における中間液の流れを妨げないようにすることが好ましく、例えば支持機構は、伝搬槽に複数の柱状体を立ててその上に原料容器を乗せる構造を有するものとしても良い。
【0061】
製膜用霧化装置を構成する部材は、原料液体及び中間液に対して化学的に安定かつ十分な機械的強度をもつ材質および構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、金属やプラスチック材料、ガラス、金属表面にプラスチック材料をコーティングした材料等を利用できる。
【0062】
[製膜装置]
本発明の製膜装置は、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成するように構成された製膜装置であって、
本発明の製膜用霧化装置と、
前記製膜機と、
前記製膜用霧化装置により霧化して生成される前記原料ミストをキャリアガスによって前記製膜機に供給するように構成された供給機構と
を具備するものであることを特徴とする。
【0063】
本発明の製膜装置は、本発明の製膜用霧化装置を具備するので、製膜を安定して継続することが可能であり、生産性の高い装置とすることができる。
【0064】
以下、本発明の製膜装置の具体例を、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0065】
図4に、本発明に係る製膜装置の一形態を概略的に示す。
【0066】
図4に示す製膜装置400は、製膜用霧化装置100と、供給機構410と、製膜機430とを具備している。
【0067】
製膜用霧化装置100は、図1を参照しながら説明した本発明の製膜用霧化装置の一例の霧化装置100である。尚、霧化装置100の循環機構131等の図示は省略している。製膜用霧化装置100は、図2及び図3を参照しながら説明した製膜用霧化装置200及び300であっても良い。
【0068】
製膜用霧化装置100は、先に説明したように、原料液体114を超音波により霧化して原料ミスト422を生成するように構成されている。
【0069】
供給機構410は、キャリアガス供給部411と、配管413及び424とを具備している。キャリアガス供給部411は、配管413を介して、製膜用霧化装置100に接続されている。キャリアガス供給部411は、配管413を介して、製膜用霧化装置100にキャリアガス141を供給するように構成されている。また、製膜用霧化装置100は、配管424を介して、製膜機430に接続されている。配管424を通して、キャリアガス141と原料ミスト422との混合気142が製膜機430に供給される。すなわち、供給機構410は、製膜用霧化装置100により霧化して生成される原料ミスト422をキャリアガス141によって製膜機430に供給するように構成されている。
【0070】
キャリアガス供給部411は、空気圧縮機や各種ガスボンベまたは窒素ガス分離機などでもよく、またガスの供給流量を制御する機構を備えていてよい。配管413及び424は原料液体114や製膜機430付近における温度などに対して十分な安定性を持つものであれば特に限定されず、石英やポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などといった一般的な樹脂製の配管を広く用いることができる。また、図には示していないが、キャリアガス供給部411から製膜用霧化装置100を介さない配管を別途配管424に接続し、混合気142に希釈ガスを供給できるようにしても良い。
【0071】
製膜用霧化装置100は、製膜する材料などに応じて複数台を備えていても良い。またこの場合、複数の霧化装置100から製膜機430へ供給される混合気142は、それぞれ独立して製膜機430に供給されても良いし、配管424中で混合しても良いし、あるいは混合用の容器(不図示)などを別途設けてそこで混合しても良い。
【0072】
製膜機430は、製膜室431と、この製膜室431内に設置され膜を形成する下地基板434を保持するサセプター432と、下地基板434を加熱する加熱手段433とを備えていてよい。
【0073】
製膜室431の構造等は特に限定されるものではなく、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属を用いて良いし、より高温で製膜を行う場合には石英や炭化シリコンを用いても良い。
【0074】
加熱手段433は、下地基板434、サセプター432および製膜室431の材質や構造によって選定されればよく、抵抗加熱ヒーターやランプヒーターが好適に用いられる。
【0075】
キャリアガス141は、先に述べたように、製膜用霧化装置100内で形成された原料ミスト422と混合されて混合気142となり、製膜機430の製膜室431内へと搬送されて、下地基板434上にて製膜が行われる。
【0076】
下地基板434は、形成する膜を支持できるものであれば特に限定されない。下地基板434の材料も、特に限定されず、公知のものであってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、鉄やアルミニウム、ステンレス鋼、金等の金属、シリコン、サファイア、石英、ガラス、炭酸カルシウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、酸化ガリウム、SiC、ZnO、GaN等が挙げられるが、これに限られるものではない。下地基板434の形状としては、例えば、平板や円板などが挙げられ、いずれでも構わない。本発明においては特に限定されないが、面積が5cm以上、より好ましくは10cm以上、かつ厚さが50~2000μm、より好ましくは100~800μmの下地基板434が好適に使用できる。変形例として、下地基板434に替えて、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状の基体を用いることもできる。
【0077】
また本発明に係る製膜装置は、さらに、図4に示す排気手段440を備えていても良い。排気手段440は製膜機430に配管441などで接続されていても良いし、間隙を置いて設置されていても良い。また排気手段440は製膜機430から排出される熱およびガスや生成物に対して安定な素材で構成されてさえいれば、とくに構造や構成は限定されず、公知の一般的な排気ファンや排気ポンプが使用できる。また排出されるガスや生成物の性質に応じて、ミストトラップ、ウェットスクラバー、バグフィルター、除害装置などを備えていてよい。
【0078】
図4では、下地基板434が製膜室431内部に設置される製膜機430の形態を説明したが、本発明に関わる製膜装置ではこれに限らず、図5に示すように製膜機530として、混合気533を吐出するノズル531を用い、サセプター532の上に設置された下地基板534へ混合気533を直接吹き付けて製膜する構成としてもよい。この場合、ノズル531とサセプター532のいずれか又は両方が水平方向に駆動する駆動手段を備え、下地基板534とノズル531との水平方向における相対位置を変化させながら製膜が行われてよい。またサセプター532は下地基板534を加熱する加熱手段を備えていてよい。
【0079】
ノズル531は、製膜用霧化装置100からの混合気142を受け入れてこれを混合気533として吐出するように構成されたものであれば、特に限定されない。
【0080】
また製膜機530は、排気手段535を備えていてよい。排気手段535は、図5に示すようにノズル531と一体化していても良いし、別々に設置されていても良い。
【0081】
尚、図5において、参照番号511は図4に示したキャリアガス供給部411と同様のキャリアガス供給部、参照番号510は図4に示した供給機構410と同様の供給機構、参照番号514は図1図4に示した原料液体114、214及び314と同様の原料液体、参照番号522は図4に示した原料ミスト422と同様の原料ミスト、参照番号513及び524は図4に示した配管413及び424とそれぞれ同様の配管、参照番号141は図1及び図4に示したキャリアガス141と同様のキャリアガスである。
【0082】
[製膜方法]
本発明の製膜方法は、製膜機に原料ミストを供給して、該製膜機に配置される下地基板上に薄膜を形成する製膜方法であって、
本発明の製膜用霧化装置により原料液体を霧化するステップと
前記霧化された原料液体とキャリアガスを混合して混合気を形成するステップと、
前記混合気を下地基板に供給して製膜を行うステップと
を含むことを特徴とする。
【0083】
このような製膜方法であれば、本発明の製膜用霧化装置を具備するので、より長時間を要する大口径基板への製膜を安定して継続することが可能であり、安定した製膜を高い生産性で行うことができる。
【0084】
本発明の製膜方法では、例えば、図1図3に示した製膜用霧化装置100、200及び300の何れをも用いることができる。また、本発明の製膜方法では、例えば図4及び5に示した製膜装置400及び500の何れをも用いることができる。
【0085】
以下、図4を再び参照しながら、本発明の製膜方法の例を説明する。
【0086】
この例では、製膜機430に原料ミスト422を供給して、製膜機430に配置された下地基板434上に薄膜を形成する。
【0087】
まず、製膜用霧化装置100により原料液体114を霧化し、原料ミスト422を生成する。
【0088】
次いで、製膜用霧化装置100において、霧化された原料液体(原料ミスト422)とキャリアガス141を混合して混合気142を形成する。キャリアガス141は、キャリアガス供給部411から配管413を通して製膜用霧化装置100に供給される。
【0089】
次いで、混合気142を、製膜用霧化装置100から配管424を通して、製膜機430に供給する。それにより、製膜機430に配置された下地基板434上に混合気142を供給し、製膜を行う。
【0090】
図4に示す製膜装置400を用いた製膜方法についての他の詳細については、図4の製膜装置に関する上記説明を参照されたい。
【実施例
【0091】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
(実施例1)
実施例1では、以下の手順で、図1に示した製膜用霧化装置100を用いて、原料液体114の霧化を行い、霧化量を測定した。
【0093】
まず、原料容器111に計量した純水を原料液体114として充填し、窒素ガスが充填されたガスボンベとキャリアガス導入口113とをウレタン樹脂製チューブで接続した。また、ミストトラップをさらに用意し、ミストトラップと筒状部材112とをPFA製配管で接続した。
【0094】
また、伝播槽121に中間液126としての水を充填した。
【0095】
以上のようにして準備した製膜用霧化装置100において、超音波発生器122としての2基の超音波振動子(周波数2.4MHz)により水126を通じて原料容器111内の純水114に超音波振動を伝播させて、霧化(ミスト化)し、同時に循環機構131としてのサーキュレーターで伝播槽121内の水126を25℃に保ちながら循環させた。
【0096】
次に、原料容器111にキャリアガス141としての窒素ガスを5L/minの流量で加え、混合気142をミストトラップに送って原料ミストを回収した。
【0097】
原料容器111内の水114の水位を保つように常時補水しながら、混合気142の排出を5時間行い、霧化を停止した。
【0098】
この後、ミストトラップで回収した水の重量を計測した。
【0099】
(比較例1)
比較例1では、循環機構131を含まない霧化装置を用いた、すなわち伝播槽121の水126の循環をせず、投げ込み式チラーで伝播槽121内の水を25℃に保ったことの他は実施例1と同様にして、霧化を実施した。
【0100】
この後、ミストトラップで回収した水の重量を計測した。
【0101】
実施例1及び比較例1において得られた回収水量を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
表1から、本発明に係る製膜用霧化装置の一例の実施例1の製膜用霧化装置100は、循環機構を具備しない比較例1の霧化装置よりも多くのミストを生成できたことが分かる。
【0104】
(実施例2)
実施例2では、以下の手順で、図1に示した製膜用霧化装置100を具備した、図4に示した製膜装置400を用いて、α-酸化ガリウム膜の製膜を行った。
【0105】
より具体的には、製膜用霧化装置100として、いずれも硼珪酸ガラス製の原料容器111と筒状部材112とを具備する装置を使用した。また石英製の製膜室431を具備する製膜機430を用意した。キャリアガス供給部411としては、窒素ガスが充填されたガスボンベを使用した。ガスボンベ411と製膜用霧化装置100とをウレタン樹脂製チューブ413で接続し、さらに製膜用霧化装置100と製膜機430とを石英製の配管424で接続した。
【0106】
以上のようにして準備した製膜装置400において、原料液体114として、ガリウムアセチルアセトナート0.02mol/Lの水溶液に濃度34%の塩酸を体積比で1%加え、スターラーで60分間攪拌したものを用意し、この原料液体114を原料容器111に充填した。
【0107】
また、伝播槽121に中間液126としての水を充填した。
【0108】
次に、下地基板434として、厚さ0.6mmの直径4インチのc面サファイア基板を、製膜室431内に設置した石英製のサセプター432に載置し、加熱手段433を用いて、基板温度が500℃になるように加熱した。
【0109】
次に、超音波発生器122としての2基の超音波振動子(周波数2.4MHz)により水126を通じて原料容器111内の原料液体114に超音波振動を伝播させて、原料液体114を霧化(ミスト化)して原料ミスト422を生成し、同時に循環機構131としてのサーキュレーターで伝播槽121内の水126を25℃に保ちながら循環させた。
【0110】
次に、原料容器111にガスボンベ411から窒素ガスを5L/minの流量で加え、原料ミスト422と窒素ガス141との混合気142を製膜室431に120分間供給して製膜を行った。この直後、窒素ガスの供給を停止して、製膜室431への混合気142の供給を停止し、下地基板434を取り出した。
【0111】
この後、新たな基板を使って、上記の製膜を4回繰り返した。
【0112】
上記5回の製膜の間、原料液体114の霧化は、原料液体114を補充しながら停止させずに連続して行った。
【0113】
作製した膜は、X線回折測定で2θ=40.3°にピークが現れたことから、α相のGaであることが確認された。
【0114】
この後、作製した5試料全ての膜について、基板面内9か所の膜厚を光反射率解析で測定した。
【0115】
(比較例2)
比較例2では、循環機構131を含まない霧化装置を用いた、すなわち伝播槽121の水126の循環をせず、投げ込み式チラーで液槽内の水を25℃に保ったことの他は実施例2と同様に製膜を行った。
【0116】
作製した膜は、X線回折測定で2θ=40.3°にピークが現れたことから、α相のGaであることが確認された。
【0117】
この後、作製した5試料全ての膜について、基板面内9か所の膜厚を光反射率解析で測定した。
【0118】
実施例2及び比較例2において得られた膜の膜厚を以下の表2に示す。なお、表2に示す膜厚は、9か所の膜厚の平均値である。
【0119】
【表2】
【0120】
上記表2に示されるように、本発明に係る製膜装置の一例である実施例2の製膜装置で行った製膜では、成長速度が一定しており、安定した製膜を効率よく継続的に行うことができたことが分かる。
【0121】
一方、表2から明らかなように、循環機構を具備しない従来技術の霧化装置を用いた比較例2では、製膜回数ごとに成長速度が低下した。これは、比較例2では、霧化中に、原料容器111の底部に水126中の気体が気泡として発生して滞留し、この気泡が原料液体114への超音波の伝播を妨げてしまったと考えられる。
【0122】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5