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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20231206BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D5/54 301G
B65D5/52 K
B65D5/52 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020084719
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021178660
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 勝博
(72)【発明者】
【氏名】田代 英司
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴典
(72)【発明者】
【氏名】田村 正和
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-203274(JP,A)
【文献】特開2019-018890(JP,A)
【文献】特開2002-002684(JP,A)
【文献】特開2006-347589(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の前後の縁部に連設された前後の端壁からなる両端壁と、
前記両端壁の上縁部に連設された頂板と、
左右の側壁からなる両側壁と、を備え、
前記側壁は、前記両端壁に連設された前後の横フラップを、前記頂板に連設された上フラップおよび前記底板に連設された下フラップに重ねて形成されており、
前記頂板には、開封部が形成され、
前記開封部は、
前記頂板の前縁部に形成された第一頂部切断誘導線と、
前記頂板の左右の縁部に形成された左右の第二頂部切断誘導線と、
前記頂板の後縁部と、に囲まれており、
前記両側壁には、
前記上フラップの上下の縁部に亘って形成された第一側部切断誘導線と、
前記横フラップの前後の縁部に亘って形成された第二側部切断誘導線と、がそれぞれ形成されており、
前記両端壁には、第三側部切断誘導線がそれぞれ形成され、
前記第三側部切断誘導線の左右の端部は、左右の前記第二側部切断誘導線に連続しており、
前側の前記端壁の上縁部には、下方に向けて窪んだ開封開始部が形成され、
前記開封開始部は、前記開封部の前縁部に連設された蓋板によって塞がれており、
前記開封部の前後方向の中間部には、前記開封部の左右の縁部に亘って中間折れ線が形成され、
前記頂板の後縁部と、後側の前記端壁の上縁部との境界部には、前記蓋板を差し込み可能な連結穴が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記第一頂部切断誘導線と前記第二頂部切断誘導線との間に介設された接続部の切断誘導線が湾曲していることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップアラウンド方式の段ボール製の包装箱は、底板と、前後一対の端壁と、頂板と、左右一対の側壁と、を備え、側壁は、前後のフラップと上下のフラップとを重ねて形成されている。
このような包装箱としては、上面を開口できるとともに、包装箱の上部を切り取ってトレイを形成できるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記した包装箱では、頂板の左右の縁部に亘って切断誘導線が形成されるとともに、頂板の左右の縁部に切断誘導線が形成されている。また、前記した包装箱では、前後のフラップの前後の縁部に亘って切断誘導線が形成されるとともに、端壁の左右の縁部に亘って切断誘導線が形成されている。
【0004】
前記した包装箱では、頂板の切断誘導線を切り開くことで、上面を開口して内容物を取り出すことができる。また、前記した包装箱では、端壁およびフラップの切断誘導線を切り開いて包装箱の上部を切り取ると、包装箱の下部がトレイになるため、内容物をトレイに収容した状態で店頭に陳列できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-203274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の包装箱では、端壁に形成された開封開始部に指先を掛けて、端壁の上部を手前に引くことで、端壁の切断誘導線を切り開いている。しかし、端壁を手前に引く力を加え難いため、包装箱を開封し難いという問題がある。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決し、上面を開口させることができるとともに、側壁および端壁を容易に切断できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、底板と、前記底板の前後の縁部に連設された前後の端壁からなる両端壁と、前記両端壁の上縁部に連設された頂板と、左右の側壁からなる両側壁と、を備えている。前記側壁は、前記両端壁に連設された前後の横フラップを、前記頂板に連設された上フラップおよび前記底板に連設された下フラップに重ねて形成されている。前記頂板には、開封部が形成されている。前記開封部は、前記頂板の前縁部に形成された第一頂部切断誘導線と、前記頂板の左右の縁部に形成された左右の第二頂部切断誘導線と、前記頂板の後縁部と、に囲まれている。前記両側壁には、前記上フラップの上下の縁部に亘って形成された第一側部切断誘導線と、前記横フラップの前後の縁部に亘って形成された第二側部切断誘導線と、がそれぞれ形成されている。前記両端壁には、第三側部切断誘導線がそれぞれ形成され、前記第三側部切断誘導線の左右の端部は、左右の前記第二側部切断誘導線に連続している。前側の前記端壁の上縁部には、下方に向けて窪んだ開封開始部が形成され、前記開封開始部は、前記開封部の前縁部に連設された蓋板によって塞がれている。前記開封部の前後方向の中間部には、前記開封部の左右の縁部に亘って中間折れ線が形成され、前記頂板の後縁部と、後側の前記端壁の上縁部との境界部には、前記蓋板を差し込み可能な連結穴が形成されている。
【0009】
本発明の包装箱では、第一頂部切断誘導線および両第二頂部切断誘導線を切り開き、開封部を立ち上げることで、包装箱の上面を開口させることができる。
また、本発明の包装箱では、上面を開口させた後に、側壁および端壁の上部を外側に引き、第一側部切断誘導線、第二側部切断誘導線および第三側部切断誘導線を連続して切り開くことで、包装箱の上部を取り除くことができる。
本発明の包装箱では、側壁および端壁の上部を大きく掴んで、第一側部切断誘導線、第二側部切断誘導線および第三側部切断誘導線を切り開くことができるため、側壁および端壁を容易に切断できる。
【0010】
前記した包装箱において、前記第一頂部切断誘導線と前記第二頂部切断誘導線との間に介設された接続部の切断誘導線を湾曲させることが好ましい。
【0011】
この構成では、開封部を開くときに、第一頂部切断誘導線と第二頂部切断誘導線との接続部をスムーズに切り開くことができる。また、開封部を開いたときに、包装箱の上面の開口部の前側の隅部に頂板の一部が残るため、開封後の包装箱の強度を高めることができる。
【0012】
前記した包装箱の前側の前記端壁の上縁部に、下方に向けて窪んだ開封開始部を形成し、前記開封開始部を前記開封部の前縁部に連設された蓋板によって塞いでいる。
【0013】
この構成では、蓋板を開いて開封開始部を開口させ、開封開始部に作業者の指を差し込んで、開封部の前端部を引き上げることによって、包装箱の上面を容易に開口させることができる。
【0014】
前記した包装箱において、前記開封部の前後方向の中間部に、前記開封部の左右の縁部に亘って中間折れ線を形成し、前記頂板の後縁部と、後側の前記端壁の上縁部との境界部に、前記蓋板を差し込み可能な連結穴を形成している。
【0015】
この構成では、開封部を開いた後に、中間折れ線において開封部を折り畳み、開封部の蓋板を連結穴に差し込むことで、後側の端壁の上縁部に開封部を立ち上げることができる。そして、開封部に商品名やイラストなどの広告を印刷しておくことで、商品を有効にアピールすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装箱は、上面を開口させることができるとともに、側壁および端壁を容易に切断してトレイを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の本実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の本実施形態に係る包装箱を後方左上から見た斜視図である。
図3】本発明の本実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図4】本発明の本実施形態に係る包装箱の上面を開口させた状態を前方右上から見た斜視図である。
図5】本発明の本実施形態に係る包装箱の開封部を折り畳んだ状態を前方右上から見た斜視図である。
図6】本発明の本実施形態に係る包装箱の上部の前半分を切り取った状態を前方右上から見た斜視図である。
図7】本発明の本実施形態に係る包装箱の上部において後側の端壁以外を切り取った状態を前方右上から見た斜視図である。
図8】本発明の本実施形態に係る包装箱の上部全体を切り取った状態を前方右上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0019】
本実施形態の包装箱1は、図1に示すように、底板10と、底板10の前後の縁部に連設された前後の端壁20,20からなる両端壁20,20と、両端壁20,20の上縁部に連設された頂板30と、左右の側壁50,50からなる両側壁50,50と、を備えているラップアラウンド方式の段ボール箱である。
本実施形態の包装箱1に収容する内容物は限定されるものではないが、例えば、複数のペットボトルを内容物として収容できる。
【0020】
包装箱1は、図3に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図3に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0021】
ブランクシートSに形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。また、ブランクシートSから組み立てた包装箱1を示した各図では、包装箱1の構造を分かり易く図示するために、各切断誘導線の切れ込みの形状は簡略化している。
【0022】
底板10は、図1に示すように、四角形の平板である。底板10の前縁部には、折れ線を介して前側の端壁20が連設され、底板10の後縁部には、折れ線を介して後側の端壁20が連設されている。前後の端壁20,20は、同じ四角形の壁体であり、底板10に対して垂直に形成されている。
【0023】
前側の端壁20の上縁部には、折れ線を介して頂板30が連設されている。頂板30は、底板10と同じ四角形の平板であり、前側の端壁20に対して垂直に形成されている。
後側の端壁20の上縁部には、折れ線を介して接合片40が連設されている。接合片40は、後側の端壁20の上縁部に沿って形成された帯状の部位である。
ブランクシートS(図3参照)を各折れ線で折り曲げつつ、接合片40を頂板30の内面に接着することで、前後の端壁20,20の上縁部に頂板30が連設されており、底板10、前後の端壁20,20および頂板30が角筒状に形成されている。
なお、接合片40は、頂板30の外面に接着してもよいが、頂板30の内面に接着すると、接合片40の厚みによる段差が頂板30の外面側に生じないため、包装箱1を積み重ねた際に、上側の包装箱1が安定するためより好ましい。
【0024】
前側の端壁20において上縁部の中央部には、下方に向けて窪んだ開封開始部21が形成されている。開封開始部21の下縁部の中央部には、上方に向けて半円状に窪んでいる窪み部22が形成されている。窪み部22は下蓋板23によって塞がれている。下蓋板23の下縁部は折れ線を介して前側の端壁20に連設されている。
【0025】
頂板30および接合片40の後縁部と、後側の端壁20の上縁部との境界部の左右方向の中央部には、連結穴41が形成されている。連結穴41は、左右方向に延びている細長い貫通穴である。
【0026】
右側の側壁50は、前側の端壁20の右縁部に連設された横フラップ51と、後側の端壁20の右縁部に連設された横フラップ51と、頂板30の右縁部に連設された上フラップ52と、底板10の右縁部に連設された下フラップ53と、を備えている。
前側の横フラップ51は、折れ線を介して前側の端壁20の縁部に連設され、後側の横フラップ51は、切断誘導線75を介して後側の端壁20の縁部に連設されている(図3参照)。
【0027】
本実施形態では、前後の横フラップ51,51の外面に上フラップ52および下フラップ53が重ねられて接着されている。
上フラップ52と下フラップ53とは上下方向に間隔を空けて配置され、前後の横フラップ51,51は突き合わされている。上フラップ52と下フラップ53との間に前後の横フラップ51,51の中間部が露出している。
【0028】
左側の側壁50は、図2に示すように、右側の側壁50と同じ構成であり、前後の横フラップ51,51の外面に上フラップ52および下フラップ53が重ねられて接着されている。
【0029】
頂板30には、図1に示すように、開封部31が形成されている。開封部31は、頂板30の前縁部に形成された第一頂部切断誘導線61と、頂板30の左右の縁部に形成された左右の第二頂部切断誘導線62,62と、頂板30の後縁部と、に囲まれた略四角形の領域である。開封部31の後縁部は、後側の端壁20の上縁部全体に折れ線を介して連設されている。
【0030】
開封部31の前縁部の中央部には、上蓋板32が折れ線を介して連設されている。
上蓋板32は、前側の端壁20の開封開始部2を塞いでいる。上蓋板32の下縁部および左右の縁部は、切れ込みを介して前側の端壁20に連設され、上蓋板32の上縁部は折れ線を介して頂板30に連設されている。
【0031】
第一頂部切断誘導線61は、頂板30の前縁部の中間部に形成されている。第一頂部切断誘導線61は、開封部31と上蓋板32との境界部の左右両側に形成されている。
左右の第二頂部切断誘導線62,62は、頂板30の左右の縁部の前部から後端部に亘って形成されている。
【0032】
第一頂部切断誘導線61の左端部と、左側の第二頂部切断誘導線62の前端部との間に介設された接続部63の切断誘導線は、開封部31の外側に向けて凸形状となるように、円弧状に湾曲している。また、第一頂部切断誘導線61の右端部と、右側の第二頂部切断誘導線62の前端部との間に介設された接続部63の切断誘導線は、開封部31の外側に向けて凸形状となるように、円弧状に湾曲している。これにより、開封部31の前側の左右の角部は円弧状に湾曲している。
【0033】
開封部31の前後方向の中間部には、左右の縁部に亘って中間折れ線81が直線状に形成されている。中間折れ線81は、頂板30の内面に形成された罫線(押罫)である。中間折れ線81は、頂板30の前後方向の中央部に形成されている。
【0034】
本実施形態の包装箱1では、図4に示すように、第一頂部切断誘導線61および両第二頂部切断誘導線62,62を切り開いて開封部31を立ち上げることができる。
さらに、図5に示すように、中間折れ線81において開封部31の前半分を後半分に対して前方に向けて折り返すことで、開封部31を折り畳むことができる。この状態では、開封部31の前縁部が後縁部に重なり、上蓋板32を前方から連結穴41に差し込むことができる。
【0035】
右側の側壁50には、図1に示すように、上下方向に延びている第一側部切断誘導線71と、前後方向に延びている第二側部切断誘導線72と、が形成されている。
【0036】
第一側部切断誘導線71は、上フラップ52の上下の縁部に亘って直線状に形成されている。第一側部切断誘導線71は、上フラップ52の前後方向の中央部に形成されている。第一側部切断誘導線71によって上フラップ52全体が前後に区画されている。
第一側部切断誘導線71の上端部は、頂板30の右縁部の中央部に接続されている。また、第一側部切断誘導線71の上端部は、右側の第二頂部切断誘導線62に接続されている。
【0037】
第二側部切断誘導線72は、横フラップ51の前後の縁部に亘って直線状に形成されている。第二側部切断誘導線72によって横フラップ51全体が上下に区画されている。第二側部切断誘導線72は、前後の横フラップ51,51に形成されている。
第二側部切断誘導線72は、下フラップ53の上縁部の僅かに上方に配置されており、下フラップ53の上縁部に沿って延びている。
なお、横フラップ51には、前後方向の内側の縁部から第二側部切断誘導線72に亘って傾斜折れ線74が形成されている。
【0038】
左側の側壁50には、図2に示すように、右側の側壁50(図1参照)と同様に、第一側部切断誘導線71、第二側部切断誘導線72および傾斜折れ線74が形成されている。
【0039】
前側の端壁20には、図1に示すように、左右方向に延びている第三側部切断誘導線73が形成されている。第三側部切断誘導線73は、端壁20の左右の縁部に亘って形成されており、端壁20の下部に形成されている。第三側部切断誘導線73によって端壁20全体が上下に区画されている。第三側部切断誘導線73は、上方に向けて凸形状となるように弧状に湾曲している。
【0040】
前側の第三側部切断誘導線73の右端部は、右側の第二側部切断誘導線72の前端部に接続されているとともに、前側の第三側部切断誘導線73の左端部は、左側の第二側部切断誘導線72(図2参照)の前端部に接続されている。
後側の端壁20には、図2に示すように、前側の端壁20と同様に、第三側部切断誘導線73が形成されている。
【0041】
次に、本実施形態の包装箱1を開封する手順について説明する。
まず、作業者は、図1に示す頂板30の下蓋板23を外側から内側に押し込んで、下蓋板23を内側に折り曲げる。これにより、開封開始部21の下部が開口する。
作業者は、開封開始部21の下部に指を差し込んで、上蓋板32の下縁部に指先を掛ける。そして、作業者は、上蓋板32を外側に引いて、上蓋板32を外側に折り曲げる。これにより、前側の端壁20の上端部に開封開始部21が開口する。
【0042】
続いて、作業者は、図4に示すように、上蓋板32を指で摘まんで、頂板30を引き上げる。このようにすると、第一頂部切断誘導線61が中央側から左右の両方向に切り開かれる。さらに、第一頂部切断誘導線61に連続して、左右の第二頂部切断誘導線62,62が前端部から後方に向けて切り開かれる。
このようにして、開封部31を立ち上げると、包装箱1の上面が開口した状態となり、包装箱1の上面の開口部から内容物を取り出すことができる。
【0043】
包装箱1を店頭に陳列する場合には、包装箱1の上面を開口させた後に、図5に示すように、中間折れ線81において、開封部31の上半分(前半分)を下半分(後半分)に対して前方に向けて折り返す。そして、開封部31を二つ折りに折り重ねて、上蓋板32を連結穴41に差し込む。これにより、後側の端壁20の上縁部に開封部31が折り畳まれた状態で立ち上げられる。
【0044】
また、包装箱1を店頭に陳列する場合に、図6に示すように、包装箱1の上部の前半分を切り取ってもよい。
この場合には、左右一方側の上フラップ52の前部と、左右一方側の前側の横フラップ51の上部とを掴んで外側に引いて、第一側部切断誘導線71と前側の第二側部切断誘導線72とを切り開く。
このとき、横フラップ51の前後方向の内側の下角部は、傾斜折れ線74において外側に折れ曲がるため、第二側部切断誘導線72を容易に切り開くことができる。
このようにして、左右一方側の上フラップ52を前後に切り離すとともに、左右一方側の前側の横フラップ51を上下に切り離す。
【0045】
続いて、作業者は、左右一方側の上フラップ52の前部および前側の横フラップ51の上部を掴んで前側に引いて、前側の第三側部切断誘導線73を左右一方側の端部から左右他方側の端部まで切り開くとともに、左右他方側の前側の第二側部切断誘導線72および第一側部切断誘導線71を切り開く。
このようにして、前側の左右の側壁50,50および前側の端壁20を上下に切り離すと、包装箱1の上部の前半分が包装箱1の下部から切り離される。
【0046】
また、包装箱1を店頭に陳列する場合に、図7に示すように、包装箱1の上部において後側の端壁20以外を切り取ってもよい。
この構成では、包装箱1の上部の前半分を切り取った状態(図6の状態)から、左右の上フラップ52,52の後部と、左右の後側の横フラップ51,51の上部とを掴んで外側に引いて、後側の第二側部切断誘導線72を切り開く。
このとき、横フラップ51の前後方向の内側の下角部は、傾斜折れ線74において外側に折れ曲がるため、第二側部切断誘導線72を容易に切り開くことができる。
続いて、後側の横フラップ51の後縁部と、後側の端壁20の側縁部との間の切断誘導線を切り開く。
このようにして、左右の上フラップ52,52の後部と、左右の後側の横フラップ51,51の上部とを包装箱1の下部から切り離すと、包装箱1の上部は後側の端壁20以外が切り取られた状態となる。
【0047】
また、包装箱1を店頭に陳列する場合に、図8に示すように、包装箱1の上部全体を切り取ってトレイを形成しても良い。
この構成では、包装箱1の上部において後側の端壁20以外を切り取った状態(図7の状態)から、後側の端壁20の上部を掴んで外側に引いて、第三側部切断誘導線73を切り開く。このようにして、後側の端壁20の上部を包装箱1の下部から切り離すと、包装箱1の下部がトレイになるため、内容物をトレイに収容した状態で店頭に陳列できる。
【0048】
以上のような包装箱1では、図4に示すように、第一頂部切断誘導線61および左右の第二頂部切断誘導線62,62を連続して切り開き、開封部31を立ち上げることで、包装箱1の上面を開口させることができる。
また、包装箱1では、開封開始部21に指先を掛けて、頂板30を引き上げることができるので、第一頂部切断誘導線61および第二頂部切断誘導線62を容易に切り開くことができ、包装箱1の上面を容易に開口させることができる。
【0049】
また、包装箱1では、第一頂部切断誘導線61と第二頂部切断誘導線62との間の接続部63の切断誘導線が円弧状に湾曲しているため、開封部31を開くときに、第一頂部切断誘導線61と第二頂部切断誘導線62との接続部63をスムーズに切り開くことができる。また、開封部31を開いたときに、包装箱1の上面の開口部の前側の左右の隅部に頂板30の一部が残るため、開封後の包装箱1の強度を高めることができる。
【0050】
また、包装箱1では、図5に示すように、開封部31を開いた後に、中間折れ線81において開封部31を折り畳み、開封部31の上蓋板32を連結穴41に差し込むことで、後側の端壁20の上縁部に開封部31を立ち上げることができる。この構成では、開封部31の外面に商品名やイラストなどの広告を印刷しておくことで、商品を有効にアピールすることができる。
【0051】
包装箱1では、図8に示すように、側壁50および端壁20の上部を大きく掴んで、第一側部切断誘導線71、第二側部切断誘導線72および第三側部切断誘導線73を切り開くことができるため、側壁50および端壁20を容易に切断することができる。
【0052】
そして、図6および図7に示すように、包装箱1の上部の前半分を、包装箱1の下部から切り離した場合や、包装箱1の上部において後側の端壁20以外を切り取った場合には、包装箱1から内容物を取り出し易くなる。このように、後側の端壁20が付いたトレイを形成した場合には、側壁50の後半分や後側の端壁20によって内容物が支持されるため、内容物を安定させることができる。
また、図8に示すように、包装箱1の上部全体を、包装箱1の下部から切り離して、包装箱1の下部によってトレイを形成してもよい。
【0053】
また、包装箱1では、第三側部切断誘導線73が上方に向けて凸形状となるように弧状に湾曲しているため、トレイを形成したときに端壁20の左右方向の中央部の高さが大きくなる。これにより、トレイの端壁20の強度が大きくなるため、段ボールの強度不足を補うことができ、トレイを持ち上げたときに、内容物の重量によって端壁20が折れ曲がるのを防ぐことができる。
【0054】
以上、本発明の本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱1では、図1に示すように、第二側部切断誘導線72が側壁50の下部に形成されるとともに、第三側部切断誘導線73が端壁20の下部に形成されているが、その位置は限定されるものではない。第二側部切断誘導線72および第三側部切断誘導線73の位置は、トレイを形成したときの壁部の高さを考慮して設定される。
【0055】
本実施形態の包装箱1では、トレイを形成したときの端壁20の強度を大きくするために第三側部切断誘導線73が上方に向けて弧状に湾曲しているが、その形状は限定されるものではなく、例えば、内容物の重量に対して段ボールの強度が十分に確保されている場合などには、第三側部切断誘導線73を直線状に形成してもよい。
【0056】
本実施形態の包装箱1では、開封開始部21が前側の端壁20の左右方向の中央部に形成されているが、開封開始部21の位置や形状は限定されるものではない。例えば、スリットによって開封開始部を構成してもよい。さらには、本発明の参考例としては、前側の端壁20に開封開始部を形成しなくてもよい。
【0057】
本実施形態の包装箱1では、図5に示すように、開封部31を中間折れ線81において折り畳めるように構成されているが、本発明の参考例としては、開封部31に中間折れ線81を形成しなくてもよい。この場合には、開封部31の内面に商品名やイラストなどの広告を印刷しておき、開封部31を開いて立ち上げることで、商品を有効にアピールすることができる。
【0058】
本実施形態の包装箱1では、前後の横フラップ51,51の外面に上フラップ52および下フラップ53が重ねられているが、上フラップ52および下フラップ53の外面に前後の横フラップ51,51を重ねてもよい。
本実施形態の包装箱1では、上フラップ52と下フラップ53とが上下方向に間隔を空けて配置されているが、上フラップ52と下フラップ53とを突き合わせてもよい。また、本実施形態の包装箱1では、左右の横フラップ51,51が突き合わされているが、左右の横フラップ51,51を前後方向に間隔を空けて配置してもよい。
【0059】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱1を形成できる。
【符号の説明】
【0060】
1 包装箱
10 底板
20 端壁
21 開封開始部
22 窪み部
23 下蓋板
30 頂板
31 開封部
32 上蓋板
40 接合片
41 連結穴
50 側壁
51 横フラップ
52 上フラップ
53 下フラップ
61 第一頂部切断誘導線
62 第二頂部切断誘導線
63 接続部
71 第一側部切断誘導線
72 第二側部切断誘導線
73 第三側部切断誘導線
74 傾斜折れ線
75 切断誘導線
81 中間折れ線
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8