(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】搬送容器および搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65D 61/00 20060101AFI20231206BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D61/00 J
G01N35/04 H
(21)【出願番号】P 2022532930
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025911
(87)【国際公開番号】W WO2022003877
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保刈 純平
(72)【発明者】
【氏名】藪原 忠雄
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062360(JP,A)
【文献】特開昭59-124283(JP,A)
【文献】特開昭60-077861(JP,A)
【文献】特開平09-240720(JP,A)
【文献】登録実用新案第3209427(JP,U)
【文献】特開2010-083679(JP,A)
【文献】特開2003-194833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 61/00
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送に用いられる搬送容器であって、
搬送物が載置される底部材と、
前記底部材の側方に配置される左右の側部材と、
前記底部材の上方に配置される取っ手部材と、
前記底部材と前記側部材との間を連結する左右の下部連結部材と、
前記側部材と前記取っ手部材との間を連結する左右の上部連結部材と、を備え、
前記底部材と前記下部連結部材、前記下部連結部材と前記側部材、前記側部材と前記上部連結部材、および、前記上部連結部材と前記取っ手部材は、それぞれ、前記底部材の左右の側面に対して平行且つ水平な回転軸を有する左右のヒンジを介して互いに連結されており、
前記取っ手部材を持ち上げていないとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、前記側部材に対して非平行な横倒状態となり、前記側部材は、前記底部材から離隔し、
前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、起立状態となり、前記側部材は、前記底部材に近接して、前記底部材に載置された前記搬送物を側方から支持する搬送容器。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前端および後端に左右方向の内側に向けて延びるリブを備え、
前記リブは、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記底部材に載置された前記搬送物を前方および後方から支持する搬送容器。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送容器であって、
前記リブは、前記側部材の下端よりも下方に突出している搬送容器。
【請求項4】
請求項2に記載の搬送容器であって、
前記リブは、前記搬送容器の平面視において、前記側部材との成す角が鈍角である搬送容器。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送容器であって、
起立状態の前記下部連結部材または起立状態の前記上部連結部材を起立状態の前記側部材に係止するための止め具を備える搬送容器。
【請求項6】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材は、前記底部材に載置された前記搬送物同士の間に搬送物用の昇降手段を挿入するための貫通孔を有する搬送容器。
【請求項7】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備え、
前記リブは、前記リブの下端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状である搬送容器。
【請求項8】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備え、
前記リブは、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記リブの下端部が前記底部材の上端よりも上方に位置する長さである搬送容器。
【請求項9】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記底部材は、前記底部材に載置された前記搬送物の下方から搬送物用の昇降手段を挿入するための上下方向に貫通した貫通構造を有する搬送容器。
【請求項10】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備え、
前記リブは、前記リブの上端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状である搬送容器。
【請求項11】
請求項1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備え、
前記リブは、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記底部材に載置された前記搬送物の前面および後面の全体を左右の前記リブによって覆う幅である搬送容器。
【請求項12】
請求項
1に記載の搬送容器であって、
前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びる開閉自在なドアを備え、
前記ドアは、前記取っ手部材を持ち上げたときに前記底部材に載置された前記搬送物の前面または後面の全体を覆う幅である搬送容器。
【請求項13】
上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を個別に取り出す搬送方法であって、
搬送物の搬送に用いられる搬送容器であって、
搬送物が載置される底部材と、
前記底部材の側方に配置される左右の側部材と、
前記底部材の上方に配置される取っ手部材と、
前記底部材と前記側部材との間を連結する左右の下部連結部材と、
前記側部材と前記取っ手部材との間を連結する左右の上部連結部材と、を備え、
前記底部材と前記下部連結部材、前記下部連結部材と前記側部材、前記側部材と前記上部連結部材、および、前記上部連結部材と前記取っ手部材は、それぞれ、前記底部材の左右の側面に対して平行且つ水平な回転軸を有する左右のヒンジを介して互いに連結されており、
前記取っ手部材を持ち上げていないとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、前記側部材に対して非平行な横倒状態となり、前記側部材は、前記底部材から離隔し、
前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、起立状態となり、前記側部材は、前記底部材に近接して、前記底部材に載置された前記搬送物を側方から支持する構造であり、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が、前記側部材に対して非平行な横倒状態となるように、荷下ろし場所に設置し、
前記底部材に載置された前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前方または後方から取り出す搬送方法。
【請求項14】
請求項13に記載の搬送方法であって、
前記側部材は、前記底部材に載置された前記搬送物同士の間に搬送物用の昇降手段を挿入するための貫通孔を有しており、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が、前記側部材に対して非平行な横倒状態となるように、荷下ろし場所に設置し、
前記底部材に載置された最下段の前記搬送物と下から第2段目の前記搬送物との間に前記貫通孔を通じて前記昇降手段を挿入して、第2段目以降の前記搬送物を持ち上げ、
最下段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前方または後方から取り出す搬送方法。
【請求項15】
請求項14に記載の搬送方法であって、
前記搬送容器は、前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備えており、
前記リブは、前記リブの下端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状であり、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が前記側部材に対して非平行な傾斜状態となるように、左右方向の外側に向かうに連れて高くなる傾斜ガイドが設けられた荷下ろし場所に設置して、最下段の前記搬送物の前面または後面を左右の前記側部材同士の間の前記リブが切り欠かれた部位から露出させ、
前記底部材に載置された最下段の前記搬送物と下から第2段目の前記搬送物との間に前記貫通孔を通じて前記昇降手段を挿入して、第2段目以降の前記搬送物を持ち上げ、
最下段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前記リブが切り欠かれた部位から取り出す搬送方法。
【請求項16】
請求項14に記載の搬送方法であって、
前記搬送容器は、前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備えており、
前記リブは、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記リブの下端部が前記底部材の上端よりも上方に位置する長さであり、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が前記側部材に対して非平行な傾斜状態となるように、左右方向の外側に向かうに連れて高くなる傾斜ガイドが設けられた荷下ろし場所に設置するか、または、前記下部連結部材および前記上部連結部材が起立状態となるように、左右方向の内側面が垂直に設けられた荷下ろし場所に設置して、最下段の前記搬送物の前面または後面を左右の前記側部材同士の間の前記リブよりも下方から露出させ、
前記底部材に載置された最下段の前記搬送物と下から第2段目の前記搬送物との間に前記貫通孔を通じて前記昇降手段を挿入して、第2段目以降の前記搬送物を持ち上げ、
最下段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前記リブよりも下方から取り出す搬送方法。
【請求項17】
請求項13に記載の搬送方法であって、
前記底部材は、前記底部材に載置された前記搬送物の下方から搬送物用の昇降手段を挿入するための貫通孔を有しており、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が前記側部材に対して非平行な横倒状態となるように、荷下ろし場所に設置し、
前記底部材に載置された最下段の前記搬送物の下方から前記貫通孔を通じて前記昇降手段を挿入して、全段の前記搬送物を持ち上げ、
最上段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前方または後方から取り出す搬送方法。
【請求項18】
請求項17に記載の搬送方法であって、
前記搬送容器は、前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備えており、
前記リブは、前記リブの上端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状であり、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が前記側部材に対して非平行な傾斜状態となるように、左右方向の外側に向かうに連れて高くなる傾斜ガイドが設けられた荷下ろし場所に設置して、最上段の前記搬送物の前面または後面を左右の前記側部材同士の間の前記リブが切り欠かれた部位から露出させ、
最上段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前記リブが切り欠かれた部位から取り出す搬送方法。
【請求項19】
請求項17に記載の搬送方法であって、
前記搬送容器は、前記側部材の前後方向の端部に左右方向の内側に向けて延びるリブを備えており、
前記リブは、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記リブの上端部が前記取っ手部材の下端よりも下方に位置する長さであり、
前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が前記側部材に対して非平行な傾斜状態となるように、左右方向の外側に向かうに連れて高くなる傾斜ガイドが設けられた荷下ろし場所に設置するか、または、前記下部連結部材および前記上部連結部材が起立状態となるように、左右方向の内側面が垂直に設けられた荷下ろし場所に設置して、最上段の前記搬送物の前面または後面を左右の前記側部材同士の間の前記リブよりも上方から露出させ、
最上段の前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前記リブよりも上方から取り出す搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に積層可能な搬送物の搬送に用いられる搬送容器、および、積層されて搬送容器に収容された搬送物を個別に取り出す搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、衛生管理、食品検査、生化学等の分野では、蛍光標識や特定波長を利用した分光分析が行われている。多量の検体を定量・同定する際には、マイクロプレートが広く用いられている。一般に、マイクロプレートは、合成樹脂等で形成されており、平板上に多数のウェルが設けられた構造である。
【0003】
マイクロプレートとしては、下面が平面であるものや、下面がウェルを有する上面に対してエンボス状の凹部として成形されているものがある。下面が凹部として成形されているマイクロプレートは、分析装置等の試料ステージや、同種の別のマイクロプレートの上に嵌合可能であることが多い。このような形状のマイクロプレートは、試料ステージやマイクロプレートの上に位置ずれなく固定することが可能である。
【0004】
マイクロプレートの上面には、ウェル毎に密封可能な有穴のプレート状のカバーや、無穴のプレート状のカバーや、フィルム状のカバー等が取り付けられることもある。プレート状のカバーについても、別のマイクロプレートが嵌合可能な形状や、別のマイクロプレートに干渉しない形状に成形されていることが多い。
【0005】
このように、多くのマイクロプレートは、上下に積層可能な構造として設けられるのが一般的になっている。従来、検体を含む試料液は、マイクロプレートのウェルに対して、マイクロピペット等を用いた手作業で分注されている。試料液の調製や分注を行う場所が分析場所と離れている場合には、試料液を分注したマイクロプレートを分析場所まで搬送する作業を要している。
【0006】
上下に積層可能なマイクロプレートは、一度に分析する枚数が多い場合、積層した状態で搬送することが可能である。しかし、積層された状態のマイクロプレートは、持つことができる部位が限られている。分光分析の際にはマイクロプレートに分析光が投光されるし、試料液が触れるべきでない有害物を含有している場合や、手作業によるコンタミネーションが懸念される場合等もある。そのため、通常、マイクロプレートは、上面以外を持つことが推奨される。
【0007】
特許文献1には、クライオボックスの運搬や保管に用いる容器が記載されている。特許文献1に記載された容器は、ラックの上部に把持部が設けられており、手提げ式の容器とされている。クライオボックスを格納する格納部としては、クライオボックスを個別に格納する棚状の構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
試料液を分注したマイクロプレートは、一度に多数枚が分析に供されることがあり、検体の性質等によっては、迅速な搬送が望まれることもある。マイクロプレートは、有穴のプレート状のカバー等を取り付けた場合であっても、試料液同士が混合する可能性があるため、傾斜や転倒を極力避けるべき搬送物となる。このような事情の下、試料液を分注したマイクロプレート等のように、手搬送のリスクが高い搬送物を一度に多量に搬送することを可能にする搬送容器が求められている。
【0010】
マイクロプレート等のように、上下に積層可能な搬送物を搬送する場合、作業のスループットを向上させる観点からは、積層させた状態の搬送物を収容可能な容器構造が望まれる。また、試料液を分注したマイクロプレート等を搬送する場合、傾斜や転倒によって試料液同士が混合する等の虞があるため、積層させた状態を安定に保つ容器構造も望まれる。
【0011】
特許文献1に記載された容器によると、搬送物であるクライオボックスを個別に格納する棚状の構造を有しているため、搬送物の傾斜や転倒については、ある程度防ぐことができるといえる。しかし、特許文献1に記載された容器構造では、個々の搬送物の出し入れ毎に蓋部材を開閉する必要があるため、搬送の作業が煩雑になるという問題がある。
【0012】
また、手搬送のリスクだけでなく、搬送物に手で触れること自体を避けるべきケースもある。試料液を分注したマイクロプレートを分光分析に供するような場合、分析に影響するマイクロプレートの上面には極力触れないようにするべきである。また、薬品、病原体等の有害物や、精密機器等を搬送する場合には、搬送容器に対する搬送物の出し入れを手作業で行わない方がよい。
【0013】
そのため、搬送容器には、積層させた状態の搬送物を収容するだけでなく、搬送物の出し入れを機械や器具で行い易い容器構造も望まれる。特許文献1に記載された容器構造では、搬送物を個別に格納する棚状の構造であるため、搬送容器と機械や器具が干渉し易く、機械や器具による出し入れが困難になるという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、搬送物の出し入れを容易に行うことが可能であり、上下に積層可能な搬送物を効率的に搬送することができる搬送容器、および、これを用いた搬送方法を提供することを目的とする。
【0015】
前記課題を解決するために本発明に係る搬送容器は、搬送物の搬送に用いられる搬送容器であって、搬送物が載置される底部材と、前記底部材の側方に配置される左右の側部材と、前記底部材の上方に配置される取っ手部材と、前記底部材と前記側部材との間を連結する左右の下部連結部材と、前記側部材と前記取っ手部材との間を連結する左右の上部連結部材と、を備え、前記底部材と前記下部連結部材、前記下部連結部材と前記側部材、前記側部材と前記上部連結部材、および、前記上部連結部材と前記取っ手部材は、それぞれ、前記底部材の左右の側面に対して平行且つ水平な回転軸を有する左右のヒンジを介して互いに連結されており、前記取っ手部材を持ち上げていないとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、前記側部材に対して非平行な横倒状態となり、前記側部材は、前記底部材から離隔し、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、起立状態となり、前記側部材は、前記底部材に近接して、前記底部材に載置された前記搬送物を側方から支持する。
【0016】
また、本発明に係る搬送方法は、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を個別に取り出す搬送方法であって、搬送物の搬送に用いられる搬送容器であって、搬送物が載置される底部材と、前記底部材の側方に配置される左右の側部材と、前記底部材の上方に配置される取っ手部材と、前記底部材と前記側部材との間を連結する左右の下部連結部材と、前記側部材と前記取っ手部材との間を連結する左右の上部連結部材と、を備え、前記底部材と前記下部連結部材、前記下部連結部材と前記側部材、前記側部材と前記上部連結部材、および、前記上部連結部材と前記取っ手部材は、それぞれ、前記底部材の左右の側面に対して平行且つ水平な回転軸を有する左右のヒンジを介して互いに連結されており、前記取っ手部材を持ち上げていないとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、前記側部材に対して非平行な横倒状態となり、前記側部材は、前記底部材から離隔し、前記取っ手部材を持ち上げたとき、前記下部連結部材および前記上部連結部材は、起立状態となり、前記側部材は、前記底部材に近接して、前記底部材に載置された前記搬送物を側方から支持する構造であり、前記搬送物が上下に積層されて収容された前記搬送容器を、前記下部連結部材および前記上部連結部材が、前記側部材に対して非平行な横倒状態となるように、荷下ろし場所に設置し、前記底部材に載置された前記搬送物を左右の前記側部材同士の間の前方または後方から取り出す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、搬送物の出し入れを容易に行うことが可能であり、上下に積層可能な搬送物を効率的に搬送することができる搬送容器、および、これを用いた搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る搬送容器の下端部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】本発明の変形例に係る搬送容器を示す平面図である。
【
図8】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図11】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図12】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図13】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図14】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図15】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図16】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図17】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図18】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図19】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図20】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
【
図21】本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
【
図22】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す正面図である。
【
図23】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す正面図である。
【
図24】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
【
図25】本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る搬送容器および搬送方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す正面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る搬送容器を示す平面図である。
図1、
図2および
図3には、搬送物が収容されていない状態であり、手提げられてなく接地した状態の搬送容器を各方向から見た様子を図示している。
【0021】
図1、
図2および
図3に示すように、本実施形態に係る搬送容器100は、底部材2と、左右の側部材3,3と、取っ手部材4と、左右の下部連結部材5,5と、左右の上部連結部材6,6と、を備えている。側部材3、下部連結部材5および上部連結部材6は、搬送容器100の左右方向に左右対称的に備えられている。
【0022】
本実施形態に係る搬送容器100は、主として上下に積層可能な搬送物の搬送に用いられる。搬送容器100は、複数の搬送物を互いに上下に積層させた状態で収容し、一度に多量に搬送することを可能にする搬送用の容器とされている。搬送容器100は、取っ手部材4を持ち上げて、手提げによって搬送することができる。但し、搬送容器100は、取っ手部材4を持ち上げた状態にする限り、人間の手ではなく機械や器具によって持ち上げて搬送してもよい。
【0023】
搬送容器100で搬送する搬送物としては、横断面の外形が矩形状である物体が好ましい。搬送物の形状は、例えば、プレート状、ブロック状、フレーム状、ディッシュ状等のいずれであってもよい。上下に積層可能な搬送物としては、上面側と下面側とで互いに嵌合可能であり、互いに積層された状態で水平方向の相対位置が固定されるものや、互いに積層された状態で水平方向の相対位置が固定されないものがある。搬送容器100で搬送する搬送物としては、これらのいずれであってもよい。
【0024】
図1に示すように、搬送容器100は、略直方体状の外観を呈している。搬送容器100の底部には、底部材2が配置されている。搬送容器100の右側の側部および左側の側部には、それぞれ、側部材3が配置されている。搬送容器100の天井部には、取っ手部材4が配置されている。搬送容器100の前部および後部は、搬送物を出し入れすることを可能にするため、開口となっている。
【0025】
底部材2は、搬送物が載置される部位であり、上下に積層可能な搬送物を搬送する場合には、底部材2の上に、搬送物が上下に積層された状態となるように載置される。
図1~3において、底部材2は、平坦な上面を有する略直方体状の部材として設けられている。底部材2の前後方向の長さおよび左右方向の長さは、それぞれ、搬送容器100の平面視において底部材2と搬送物(
図4の符号1参照)とが略重なるように、搬送物の長さおよび幅と同程度に設けられる。
【0026】
左右の側部材3は、それぞれ、底部材2の左右の側方に配置されている。
図1~3において、側部材3は、平坦な主面を有する薄い板材として設けられている。左右の側部材3は、互いに対向するように、主面を左右方向に向けて起立状態で配置されている。側部材3の上下方向の長さは、積層された搬送物を底部材2と取っ手部材4との間に収容し得るように、搬送物の厚さに対して十分に長く設けられる。側部材3の前後方向の長さは、底部材2の前後方向の長さと同程度に設けられている。
【0027】
取っ手部材4は、底部材2の上方に配置されている。
図1~3において、取っ手部材4は、搬送容器100を手提げるための取っ手が一体化した薄い板材として設けられている。取っ手部材4は、左右の側部材3同士の間を架橋するように配置されている。取っ手部材4の前後方向の長さおよび左右方向の長さは、それぞれ、底部材2の前後方向の長さおよび左右方向の長さと同程度に設けられている。
【0028】
左右の下部連結部材5は、底部材2と側部材3との間を連結している。
図1~3において、下部連結部材5は、薄い板材として設けられている。右側の下部連結部材5は、底部材2の右側面の下端と、右側の側部材3の下端とを、板材による平面で連結している。左側の下部連結部材5は、底部材2の左側面の下端と、左側の側部材3の下端とを、板材による平面で連結している。下部連結部材5の前後方向の長さは、底部材2の前後方向の長さや側部材3の前後方向の長さと同程度に設けられている。
【0029】
左右の上部連結部材6は、側部材3と取っ手部材4との間を連結している。
図1~3において、上部連結部材6は、薄い板材として設けられている。右側の上部連結部材6は、右側の側部材3の上端と、取っ手部材4の右端とを、板材による平面で連結している。左側の上部連結部材6は、左側の側部材3の上端と、取っ手部材4の左端とを、板材による平面で連結している。上部連結部材6の前後方向の長さは、側部材3の前後方向の長さや取っ手部材4の前後方向の長さと同程度に設けられている。
【0030】
底部材2、左右の側部材3、取っ手部材4、左右の下部連結部材5、および、左右の上部連結部材6は、それぞれ、アルミニウム合金、ステンレス鋼、炭素鋼等の各種の金属材や、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂等の各種の合成樹脂材等によって形成することができる。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
図4および
図5には、
図1~3に示す搬送容器100に対し、符号1で示すプレート状の搬送物が上下に積層されて収容された状態を示している。
【0032】
図4および
図5に示すように、搬送容器100は、取っ手部材4の持ち上げに連動して形態が変化する可変式の容器となっている。搬送容器100は、
図4に示すように、取っ手部材4を持ち上げていないとき、搬送物の出し入れが可能な状態になる。一方、矢印で示すように、取っ手部材4を持ち上げたとき、
図5に示すように、搬送容器100に収容された搬送物が周囲から支持された状態になる。
【0033】
底部材2と左右の下部連結部材5、下部連結部材5と側部材3、側部材3と上部連結部材6、および、左右の上部連結部材6と取っ手部材4は、それぞれ、ヒンジ10を介して互いに連結されている。各部材同士の連結の角度は、ヒンジ10を支点軸として変化するようになっている。
【0034】
ヒンジ10は、各部材間の前後方向に延びる辺に沿って、互いに平行に設けられており、底部材2の左右の側面に対して平行且つ水平に配置された回転軸を有している。すなわち、ヒンジ10は、底部材2の前後方向に延びる左右方向に対する中心線や、搬送容器100の前後方向に延びる左右方向に対する中心線に対して、平行な回転軸を有している。ヒンジ10の回転軸は、各部材に設けられた筒状の支持部に回動可能に支持されている。
【0035】
図1~5において、ヒンジ10の支持部は、各部材に対して一体的に設けられている。このような構造により、搬送容器100の部品の点数を少なくすることができる。また、ヒンジ10と各部材とが干渉し難い容器構造にすることができる。但し、ヒンジ10の支持部は、各部材に対して別体として設けられてもよい。別体の支持部は、各部材に対してネジ等で固定することができる。
【0036】
図1において、底部材2の右側面の下端と、右側の下部連結部材5の内側端とは、右下部の底部材側のヒンジ10を介して連結されている。このヒンジ10は、一方の支持部が、底部材2の右側面の下端に沿うように設けられており、他方の支持部が、右側の下部連結部材5の内側端に沿うように設けられている。
【0037】
右下部の底部材側のヒンジ10は、取っ手部材4を持ち上げたとき、底部材2と右側の下部連結部材5との外角が、約180度から約90度になるように回動し、取っ手部材4を放したとき、反対に回動する。右下部の底部材側のヒンジ10は、右側の下部連結部材5を、略水平な横倒状態(
図4参照)と略垂直な起立状態(
図5参照)との間で、任意の角度に動作させることができる。
【0038】
同様に、底部材2の左側面の下端と、左側の下部連結部材5の内側端とは、左下部の底部材側のヒンジ10を介して連結されている。左下部の底部材側のヒンジ10は、右下部の底部材側のヒンジ10と左右対称に設けられている。左下部の底部材側のヒンジ10は、左側の下部連結部材5を、右側と対称的に動作させることができる。
【0039】
また、右側の下部連結部材5の外側端と、右側の側部材3の下端とは、右下部の側部材側のヒンジ10を介して連結されている。このヒンジ10は、一方の支持部が、右側の下部連結部材5の外側端に沿うように設けられており、他方の支持部が、右側の側部材3の下端に沿うように設けられている。
【0040】
右下部の側部材側のヒンジ10は、取っ手部材4を持ち上げたとき、右側の下部連結部材5と右側の側部材3との内角が、約90度から約180度になるように回動し、取っ手部材4を放したとき、反対に回動する。右下部の側部材側のヒンジ10は、右側の側部材3を略垂直な起立状態に保ったまま、右側の下部連結部材5を、略水平で側部材3に対して非平行な横倒状態(
図4参照)と略垂直な起立状態(
図5参照)との間で、任意の角度に動作させることができる。
【0041】
同様に、左側の下部連結部材5の外側端と、左側の側部材3の下端とは、左下部の側部材側のヒンジ10を介して連結されている。左下部の側部材側のヒンジ10は、右下部の側部材側のヒンジ10と左右対称に設けられている。左下部の側部材側のヒンジ10は、左側の側部材3や左側の下部連結部材5を、右側と対称的に動作させることができる。
【0042】
また、右側の側部材3の上端と、右側の上部連結部材6の外側端とは、右上部の側部材側のヒンジ10を介して連結されている。このヒンジ10は、一方の支持部が、右側の側部材3の上端に沿うように設けられており、他方の支持部が、右側の上部連結部材6の外側端に沿うように設けられている。
【0043】
右上部の側部材側のヒンジ10は、右側の側部材3と右側の上部連結部材6との内角が、約90度から約180度になるように回動し、取っ手部材4を放したとき、反対に回動する。右上部の側部材側のヒンジ10は、右側の側部材3を略垂直な起立状態に保ったまま、右側の上部連結部材6を、略水平で側部材3に対して非平行な横倒状態(
図4参照)と略垂直な起立状態(
図5参照)との間で、任意の角度に動作させることができる。
【0044】
同様に、左の側部材3の上端と、左側の上部連結部材6の外側端とは、左上部の側部材側のヒンジ10を介して連結されている。左上部の側部材側のヒンジ10は、右上部の側部材側のヒンジ10と左右対称に設けられている。左上部の側部材側のヒンジ10は、左側の側部材3や左側の上部連結部材6を、右側と対称的に動作させることができる。
【0045】
また、右側の上部連結部材6の内側端と、取っ手部材4の右端とは、右上部の取っ手部材側のヒンジ10を介して連結されている。この取っ手部材側のヒンジ10は、一方の支持部が、右側の上部連結部材6の内側端に沿うように設けられており、他方の支持部が、取っ手部材4の右端に沿うように設けられている。
【0046】
右上部の取っ手部材側のヒンジ10は、右側の上部連結部材6と取っ手部材4との外角が、約180度から約90度になるように回動し、取っ手部材4を放したとき、反対に回動する。右上部の取っ手部材側のヒンジ10は、右側の上部連結部材6を、略水平で側部材3に対して非平行な横倒状態(
図4参照)と略垂直な起立状態(
図5参照)との間で動作させることができる。
【0047】
同様に、左側の上部連結部材6の内側端と、取っ手部材4の左端とは、左上部の取っ手部材側のヒンジ10を介して連結されている。左上部の取っ手部材側のヒンジ10は、右上部の取っ手部材側のヒンジ10と左右対称に設けられている。左上部の取っ手部材側のヒンジ10は、左側の側部材3や左側の上部連結部材6を、右側と対称的に動作させることができる。
【0048】
図4に示すように、取っ手部材4を持ち上げていないとき、左右の側部材3は、底部材2から左右方向の外側に離隔した状態である。搬送容器100の前部の開口および後部の開口は左右に拡がった状態になり、底部材2の上方の空間が開放された状態になる。このような状態では、搬送物の出し入れを行う際に、手、機械、器具等が側部材3と干渉し難くなるため、搬送物の出し入れを容易に行うことができる。
【0049】
一方、
図5に示すように、取っ手部材4を持ち上げたとき、ヒンジ10によって、左右の側部材3は、底部材2の上方に移動しつつ、左右方向の外側から底部材2に近接する。側部材3は、左右方向の中央側に移動し、起立状態の下部連結部材5の上に同一平面上となるように配置される。搬送容器100の前部の開口および後部の開口は底部材2の左右方向の長さまで狭くなり、搬送容器100の平面視において、底部材2の左右の側端と左右の側部材3とが略重なる状態になる。このような状態では、側部材3が、底部材2に載置された搬送物を側方から支持することができる。そのため、側部材3によって、積層された搬送物を左右方向に整列させたり、搬送中の搬送物の左右方向への脱落を防止したりすることができる。また、左右の下部連結部材5は、それぞれの内側端が底部材2の側面にヒンジ10を介して連結されているため、底部材2の左右の側面に面接触する状態になる。このような状態では、左右の下部連結部材5の内側端のヒンジ10は、回転の角度が制限される。そのため、搬送容器100の全体構造のたわみを抑制して、底部材2に積層された搬送物の揺れを低減することができる。
【0050】
図1~5に示すように、搬送容器100は、左右の側部材3の前端および後端のそれぞれに、左右の側部材3の前端および後端のそれぞれから左右方向の内側に向けて延びるリブ7を備えている。
図1~5において、リブ7は、右側の側部材3の前端および後端と、左側の側部材3の前端および後端に、略直方体状の薄い板片として設けられている。リブ7は、左右の側部材3の前端および後端のそれぞれから左右方向の内側に向けて延びている。
【0051】
図5に示すように、取っ手部材4を持ち上げたとき、左右の側部材3が左右方向の外側から底部材2に近接し、起立状態の下部連結部材5の上に同一平面上となるように配置されると、搬送容器100の平面視において、底部材2の前端および後端のそれぞれとリブ7とが略重なる状態になる。このような状態では、リブ7が、底部材2に載置された搬送物を前方および後方から支持することができる。そのため、リブ7によって、積層された搬送物を前後方向に整列させたり、搬送中の搬送物の前後方向への脱落を防止したりすることができる。
【0052】
図3に示すように、リブ7は、搬送容器100の平面視において、側部材3との成す角が略直角となるように設けられている。リブ7の上下方向の長さは、側部材3の上下方向の長さと同程度に設けられている。リブ7の左右方向の長さは、底部材2の左右方向の長さの半分よりも短く設けられている。リブ7の左右方向の長さが短いと、搬送物の脱落を防止しつつ、搬送物の出し入れの容易性や搬送物の視認性を確保することができる。
【0053】
図6は、本発明の一実施形態に係る搬送容器の下端部を拡大して示す斜視図である。
図6に示すように、リブ7は、側部材3の下端よりも下方に突出している形状に設けることが好ましい。また、下方に突出しているリブ7は、水平な下端を有する形状に設けることが好ましい。
【0054】
図6において、リブ7は、略直方体状の薄い板片として設けられており、リブ7の下端が、搬送容器1000の接地面に対して略平行な水平状とされている。リブ7の下端は、側部材3の下端よりも下方に突出しているため、側部材3は、直接的に接地することなく、リブ7によって起立している。
【0055】
このような形状のリブ7を設けると、取っ手部材4を持ち上げていないとき、左右の側部材3のそれぞれを、リブ7を支持脚として自立させることができる。上部連結部材6や取っ手部材4が左右方向にぐらつくような場合であっても、取っ手部材4を持ち上げていない接地した状態の搬送容器100を自立させることができるため、搬送物の出し入れを容易に行うことができる。
【0056】
なお、
図6において、リブ7の下端は水平状とされているが、リブ7は、側部材3の前端側および後端側のそれぞれにおいて、側部材3を1点以上で支持する限り、適宜の形状に設けることができる。例えば、リブ7の下端の左右方向の内側のみが、1点で点接地するような場合であっても、リブ7の下端の左右方向の内側と側部材3の下端とによって、側部材3を自立させることができる。
【0057】
図7は、本発明の変形例に係る搬送容器を示す平面図である。
図7に示すように、搬送物の搬送に用いられる搬送容器は、搬送容器の平面視において、側部材3との成す角(
図7においてθで示す内角)が鈍角となるように設けられたリブ7を備えた形態(搬送容器200)とすることもできる。
【0058】
図7において、リブ7は、右側の側部材3の前端および後端と、左側の側部材3の前端および後端に、薄い板片として設けられている。搬送容器200の平面視において、リブ7と側部材3との内角は90度以上に設けられており、リブ7の左右方向の内側は前後方向の外側に開いている。
【0059】
このような形状のリブ7を設けると、取っ手部材4を持ち上げたとき、底部材2に載置されている搬送物を、リブ7をガイドとして整列させることができる。取っ手部材4を持ち上げると、リブ7が左右方向の内側に移動するため、底部材2上からはみ出ている搬送物は、リブ7に沿って前後方向に案内される。上下に積層された搬送物が互いにずれている場合であっても、取っ手部材4の持ち上げに連動して搬送物を自動的に整列させることができるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。
【0060】
図8は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
図9は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
図8および
図9に示すように、搬送容器100の側部材3と上部連結部材6には、起立状態の上部連結部材6を起立状態の側部材3に係止するための止め具51,52を備えることができる。
【0061】
図8および
図9において、止め具51,52としては、フック51と、フック51を係止可能な笠付きのスタッド52が備えられている。フック51は、右側の上部連結部材6の外側面に固定された軸に回動可能に支持されている。スタッド52は、右側の側部材3の外側面の上部側に固定されている。
【0062】
フック51は、
図9に示すように、上部連結部材6が側部材3に対して略平行な起立状態であるとき、軸周りに回動させると、スタッド52に引っかけることができる。スタッド52に係止されたフック51は、上部連結部材6を倒れないように支持し、上部連結部材6と側部材3とを略平行な状態に保つように働く。スタッド52は笠付きであるため、上部連結部材6が倒れようとしても、フック51が外側に抜けないようになっている。フック51は、反対の方向に回動させると、スタッド52から外すことができる。
【0063】
このような止め具51,52を設けると、取っ手部材4を持ち上げたとき、起立状態の上部連結部材6を起立状態の側部材3に係止することにより、上部連結部材6と側部材3とを互いに略平行な起立状態に保つことができる。また、取っ手部材4を持ち上げていない場合であっても、側部材3等が左右方向にぐらつくのを抑制することができる。手提げられてなく接地された状態の搬送容器100においても、底部材2に載置された搬送物を側方から支持し続けることができる。
【0064】
なお、
図8および
図9において、止め具51,52としては、上部連結部材6の外側面にフック51が備えられており、側部材3の外側面にスタッド52が備えられているが、側部材3にフック51を備え、上部連結部材6にスタッド52を備えてもよい。また、止め具51,52は、各部材の外側面ではなく、各部材の内側面に備えてもよい。
【0065】
また、このような止め具51,52は、取っ手部材4の持ち上げに連動して向きが変化する他の部材に備えてもよい。例えば、止め具51,52の可動側は、左右の下部連結部材5もしくは左右の側部材3、または、左右の側部材3もしくは左右の上部連結部材6に備えることができる。止め具51,52の固定側は、対となる部材に備えることができる。
【0066】
止め具51,52としては、起立状態の下部連結部材5または起立状態の上部連結部材6を起立状態の側部材3に係止するものである限り、フック51とスタッド52に代えて、フックが孔に引っかかるあおり止めや、スライド型ラッチ、レバー型ラッチ、プッシュ型ラッチ、ボックス型ラッチ等を用いてもよい。止め具51,52を設ける箇所は、搬送容器100当たり、一箇所であってもよいし、複数箇所であってもよい。
【0067】
次に、本発明の変形例に係る搬送容器と、それを用いた搬送方法について、図を参照しながら説明する。
【0068】
図10~21には、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を個別に取り出して目的の場所に搬送する搬送方法を示している。各図に示す搬送方法は、特に、荷下ろしの工程に特徴を有している。これらの搬送方法では、搬送容器から搬送物を取り出す作業に、搬送物を自動的に荷下ろすオートローダを用いるものとしている。各図に示す搬送容器は、オートローダに対応した構造に設けられている。
【0069】
図10~17には、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、下段側から個別に取り出す方法を示している。
【0070】
図10~17において、オートローダは、底部材2aに載置されている搬送物の全体を持ち上げるための可動ステージ(搬送物用の昇降手段)61と、可動ステージ61を上下に昇降させるステージリフト62と、積層されている搬送物を持ち上げるためのフォーク(搬送物用の昇降手段)63と、搬送物を水平方向に引き抜くドロワ(搬送物用の取出手段)64と、を備えている。
【0071】
図10~17に示す搬送容器において、搬送容器の底部には、略直方体状の底部材2(
図2等参照)に代えて、架台状の底部材2aが備えられている。架台状の底部材2aは、搬送物の下面の左右方向の外縁部のみを支持するフレーム状の構造に設けられている。架台状の底部材2aは、底部材2aに載置された搬送物の下方から可動ステージ61を挿入するための上下方向に貫通した貫通構造と、底部材2aの前後方向からドロワ64を挿入するための前後方向に貫通した貫通構造を有している。また、可動ステージ61は、ドロワ64を挿入するための前後方向に貫通した貫通構造を有している。
【0072】
また、
図10~17に示す搬送容器において、搬送容器の左右の側部には、側部材3(
図1等参照)に代えて、貫通孔31,32,33,34を有する側部材3A,3B,3C,3Dが備えられている。側部材3A,3B,3C,3Dは、積層されている搬送物同士の間に搬送物を昇降させるフォーク(搬送物用の昇降手段)63を挿入するための貫通孔31,32,33,34を主面の下部側に有している。貫通孔31,32,33,34は、左右の側部材3A,3B,3C,3Dのそれぞれに、互いに同じ高さとなるように横長のスリット状に設けられている。
【0073】
図10は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図11は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図10および
図11には、上下に積層されて搬送容器300に収容された搬送物を、略水平な取り出し場所で、下段側から個別に取り出す方法を示している。
【0074】
搬送容器300において、左右の側部材3Aには、所定の高さに貫通孔31が設けられている。左右の貫通孔31は、取っ手部材4を持ち上げていないときに、底部材2aの上端や最下段の搬送物よりも高い、下から第2段目付近の位置になるように設けられている。
【0075】
図10および
図11に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器300を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Aに対して非平行な横倒状態となるように、略水平な取り出し場所60に設置する。搬送容器300の前部の開口および後部の開口は、左右に最大程度まで拡がるため、底部材2aの上方の空間が広く開放された状態になる。
【0076】
続いて、最下段の搬送物と下から第2段目の搬送物との間に貫通孔31を通じてフォーク63を挿入することができる高さまで、底部材2aに載置された搬送物の全体を可動ステージ61によって持ち上げる。なお、貫通孔31の高さが搬送物の高さに応じて予め適切に設計されている場合には、この操作を行わなくてもよい。この操作を行わない場合、架台状の底部材2aに代えて、略直方体状の底部材2(
図2等参照)を用いてもよい。
【0077】
続いて、最下段の搬送物と下から第2段目の搬送物との間に貫通孔31を通じてフォーク63を挿入して、第2段目以降の搬送物をフォーク63によって持ち上げる。最下段の搬送物に積層されている第2段目以降の搬送物を持ち上げることにより、最下段の搬送物が搬送容器300の前後方向に個別に出し入れ可能になる。
【0078】
なお、
図10において、フォーク63は、側面視で基端側が高くなる傾斜状に設けられているが、搬送物用の昇降手段の形状や機構は、貫通孔31を通じて搬送物を持ち上げることができる限り、特に限定されるものではない。搬送物用の昇降手段は、それ自体が上下に昇降して搬送物を持ち上げるものであってもよい。
【0079】
続いて、最下段の搬送物の下にドロワ64を挿入して、最下段の搬送物を左右の側部材3A同士の間から取り出す。
図11において、ドロワ64は、搬送容器300の後方から挿入されており、搬送物を後方に引き出す構成とされているが、搬送容器300の前方から挿入され、搬送物を前方に引き出す構成とされてもよい。
【0080】
また、
図11において、ドロワ64は、側面視で先端側が上方に向けて屈曲した鉤爪状に設けられているが、搬送物用の取出手段の形状や機構は、搬送物を略水平方向に取り出すことができる限り、特に限定されるものではない。搬送物用の取出手段は、搬送物を引き出す機構であってもよいし、搬送物をトレー等に押し出す機構であってもよい。
【0081】
最下段の搬送物を取り出した後、フォーク63を外側に抜き出し、下から第2段目であった搬送物を底部材2aに載置させる。その後、下から第2段目であった搬送物を最下段の搬送物として、最下段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。搬送容器300から取り出した搬送物は、目的の場所に個別に搬送することができる。
【0082】
このような搬送容器300や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の取り出し場所に設置するのみで、積層されて収容されていた搬送物を個別に取り出すことができるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。
【0083】
また、このような搬送容器や搬送方法によると、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、下段側から取り出すことができる。下段側から取り出す場合、可動ステージ61やステージリフト62は、搬送物の高さを位置合わせする程度の小型の装置で足りる。貫通孔31の高さが搬送物の高さに応じて予め適切に設計されている場合には、可動ステージ61やステージリフト62の設置を省略することもできる。そのため、オートローダを簡易的な構造に設けてコストを抑制することができる。
【0084】
図12は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図13は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図12および
図13には、上下に積層されて搬送容器400に収容された搬送物を、傾斜ガイドが設けられた取り出し場所で、下段側から個別に取り出す方法を示している。
【0085】
搬送容器400において、左右の側部材3Bには、所定の高さに貫通孔32が設けられている。左右の貫通孔32は、取っ手部材4を持ち上げていないときに、最下段の搬送物よりも低い位置になり、取っ手部材4を中程度の高さまで持ち上げたとき、すなわち、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Bに対して非平行な傾斜状態であるときに、最下段の搬送物よりも高い、下から第2段目付近の位置になるように設けられている。
【0086】
図12および
図13に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器400を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Bに対して非平行な傾斜状態となるように、傾斜ガイド65が設けられた取り出し場所60に設置して、最下段の搬送物を左右の側部材3B同士の間から露出させる。搬送容器400の前部の開口および後部の開口は、搬送物の前面および後面がリブ7で覆われない程度に、左右に中程度まで拡がるため、底部材2aの上方の空間が開放された状態になるが、傾斜の角度に応じて全体としての幅は抑制される。
【0087】
傾斜ガイド65は、上面が傾斜しており、取り出し場所60の左右に外側が高くなるように左右対称に固定される。傾斜ガイド65は、左右の下部連結部材5に傾斜した上面が面接触するように、底部材2aの左右方向の長さと同程度の間隔で配置される。
【0088】
傾斜ガイド65の傾斜の角度は、搬送容器400を設置したときに、搬送物の前面および後面がリブ7で覆われない限り、特に限定されるものではない。傾斜ガイド65の傾斜の角度は、搬送容器400のフットプリントを小さくする観点からは、45度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、75度以上が更に好ましい。
【0089】
続いて、最下段の搬送物と下から第2段目の搬送物との間に貫通孔32を通じてフォーク63を挿入することができる高さまで、底部材2aに載置された搬送物の全体を可動ステージ61によって持ち上げる。なお、貫通孔32の高さが搬送物の高さに応じて予め適切に設計されている場合には、この操作を行わなくてもよい。この操作を行わない場合、架台状の底部材2aに代えて、略直方体状の底部材2(
図2等参照)を用いてもよい。
【0090】
続いて、最下段の搬送物と下から第2段目の搬送物との間に貫通孔32を通じてフォーク63を挿入して、第2段目以降の搬送物をフォーク63によって持ち上げる。最下段の搬送物に積層されている第2段目以降の搬送物を持ち上げることにより、最下段の搬送物が搬送容器400の前後方向に個別に出し入れ可能になる。
【0091】
続いて、最下段の搬送物の下にドロワ64を挿入して、最下段の搬送物を左右の側部材3B同士の間から取り出す。
図13において、ドロワ64は、搬送容器400の後方から挿入されており、搬送物を後方に引き出す構成とされているが、搬送容器400の前方から挿入され、搬送物を前方に引き出す構成とされてもよい。
【0092】
最下段の搬送物を取り出した後、フォーク63を外側に抜き出し、下から第2段目であった搬送物を底部材2aに載置させる。その後、下から第2段目であった搬送物を最下段の搬送物として、最下段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。搬送容器400から取り出した搬送物は、目的の場所に個別に搬送することができる。
【0093】
このような搬送容器400や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の傾斜ガイドが設けられた取り出し場所に設置するのみで、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Bに対して非平行な傾斜状態となるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。また、搬送容器400の前側および後側の開口を狭めて搬送物を取り出すことができるため、荷下ろし時の搬送容器400のフットプリントを、搬送容器300の場合と比較して、小さくすることができる。
【0094】
図14は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図15は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図14および
図15には、上下に積層されて搬送容器500に収容された搬送物を、傾斜ガイドが設けられた取り出し場所で、下段側から個別に取り出す方法を示している。
【0095】
搬送容器500において、左右の側部材3Cには、所定の高さに貫通孔33が設けられている。左右の貫通孔33は、取っ手部材4を持ち上げていないときに、最下段の搬送物よりも低い位置になり、取っ手部材4を最大よりも僅かに低い高さまで持ち上げたとき、すなわち、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Cに対して平行に近い傾斜状態であるときに、最下段の搬送物よりも高い、下から第2段目付近の位置になるように設けられている。
【0096】
また、左右の側部材3Cに設けられたリブ7aは、下端部に切欠き部71が設けられており、下端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状とされている。左右のリブ7aは、取っ手部材4を最大よりも僅かに低い高さまで持ち上げたとき、最下段の搬送物を左右の側部材3C同士の間のリブ7aが切り欠かれた部位から露出させる形状となっている。最下段の搬送物は、取っ手部材4を最大の高さまで持ち上げたとき、切欠き部71の外側に覆われるようになっている。一方、下から第2段目以降の搬送物は、取っ手部材4を最大よりも僅かに低い高さまで持ち上げたとき、リブ7aで覆われるようになっている。
【0097】
図14および
図15に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器500を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Cに対して非平行な傾斜状態となるように、傾斜ガイド66が設けられた取り出し場所60に設置して、最下段の搬送物を左右の側部材3C同士の間のリブ7aが切り欠かれた部位から露出させる。搬送容器500の前部の開口および後部の開口は、切欠き部71の幅に応じて左右に狭くなるため、最下段の搬送物の前面および後面がリブ7aで覆われないが、下から第2段目の搬送物の前面および後面がリブ7aで覆われる状態になり、傾斜の角度や切欠き部71の幅に応じて全体としての幅は抑制される。
【0098】
傾斜ガイド66は、上面が傾斜しており、取り出し場所60の左右に外側が高くなるように左右対称に固定される。傾斜ガイド66は、左右の下部連結部材5に傾斜した上面が面接触するように、底部材2aの左右方向の長さと同程度の間隔に配置される。
【0099】
傾斜ガイド66の傾斜の角度は、搬送容器500を設置したとき、最下段の搬送物の前面および後面がリブ7aで覆われない限り、特に限定されるものではない。傾斜ガイド66の傾斜の角度は、搬送容器500のフットプリントを小さくする観点から、45度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、75度以上が更に好ましい。
【0100】
続いて、前記の搬送容器400においてと同様に、必要に応じて、底部材2aに載置された搬送物の全体を可動ステージ61によって持ち上げる。次いで、第2段目以降の搬送物をフォーク63によって持ち上げる。そして、第2段目以降の搬送物を持ち上げた後、最下段の搬送物の下にドロワ64を挿入して、最下段の搬送物を左右の側部材3C同士の間のリブ7aが切り欠かれた部位から取り出す。以降の工程では、下から第2段目であった搬送物を最下段の搬送物として、最下段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。
【0101】
このような搬送容器500や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の傾斜ガイドが設けられた取り出し場所に設置するのみで、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Cに対して非平行な傾斜状態となるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。また、リブ7aの下端部に切欠き部71が設けられており、搬送容器500の前側および後側の開口を狭めて搬送物を取り出すことができるため、荷下ろし時の搬送容器500のフットプリントを、搬送容器400の場合と比較して、一層小さくすることができる。また、荷下ろし中に、下から第2段目以降の搬送物の前側および後側をリブ7aで支持し続けることができる。
【0102】
図16は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図17は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図16および
図17には、上下に積層されて搬送容器600に収容された搬送物を、垂直ガイドが設けられた取り出し場所で、下段側から個別に取り出す方法を示している。この方法において、搬送物としては、上面側と下面側とで互いに嵌合可能であり、互いに積層された状態で水平方向の相対位置が固定されるものが用いられる。
【0103】
搬送容器600において、左右の側部材3Dには、所定の高さに貫通孔34が設けられている。左右の貫通孔34は、取っ手部材4を持ち上げていないときや、取っ手部材4を中程度の高さまで持ち上げたときに、最下段の搬送物よりも低い位置になり、取っ手部材4を最大の高さまで持ち上げたとき、すなわち、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Dに対して略平行な起立状態であるときに、最下段の搬送物よりも高い、下から第2段目付近の位置になるように設けられている。
【0104】
また、左右の側部材3Dに設けられたリブ7bは、取っ手部材4を持ち上げたときに、リブ7bの下端部が底部材2aの上端よりも上方に位置する長さとされている。左右のリブ7bは、取っ手部材4を最大の高さまで持ち上げたとき、最下段の搬送物を左右の側部材3D同士の間のリブ7bよりも下方から露出させるように設けられている。
【0105】
図16および
図17に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器600を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Dに対して略平行な起立状態となるように、垂直ガイド67が設けられた取り出し場所60に設置して、最下段の搬送物を左右の側部材3D同士の間のリブ7bよりも下方から露出させる。搬送容器600の前部の開口および後部の開口は、左右に狭まるため、全体としての幅は抑制される。
【0106】
垂直ガイド67は、内側面が略垂直に設けられており、取り出し場所60の左右に互いに対向するように固定される。垂直ガイド67は、略垂直な内側面が左右の下部連結部材5に対して面接触するように、底部材2aの左右方向の長さと同程度の間隔で配置される。
【0107】
続いて、前記の搬送容器400においてと同様に、必要に応じて、底部材2aに載置された搬送物の全体を可動ステージ61によって持ち上げる。次いで、第2段目以降の搬送物をフォーク63によって持ち上げる。第2段目以降の搬送物は、最下段の搬送物に対する嵌合が外れる高さまで持ち上げられる。そして、第2段目以降の搬送物を持ち上げた後、最下段の搬送物の下にドロワ64を挿入して、最下段の搬送物を左右の側部材3D同士の間のリブ7bよりも下方から取り出す。以降の工程では、下から第2段目であった搬送物を最下段の搬送物として、最下段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。
【0108】
このような搬送容器600や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の垂直ガイドが設けられた取り出し場所に設置するのみで、取っ手部材4を手放しても、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Dに対して略平行な起立状態となるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。また、リブ7bの下方が開放されており、搬送容器600の前側および後側の開口を狭めて搬送物を取り出すことができるため、荷下ろし時の搬送容器600のフットプリントを、搬送容器500の場合と比較して、一層小さくすることができる。また、荷下ろし中に、下から第2段目以降の搬送物の前側および後側をリブ7bで支持し続けることができる。最下段の搬送物は、このような前側および後側が支持された第2段目以降の搬送物に嵌合しているため、リブ7bの下方で前後方向にずれ難くなる。
【0109】
図18~21には、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、上段側から個別に取り出す方法を示している。
【0110】
図18~21において、オートローダは、底部材2aに載置されている搬送物の全体を持ち上げるための可動ステージ(搬送物用の昇降手段)61aと、可動ステージ61aを上下に昇降させるステージリフト62と、搬送物を水平方向に引き抜くローラ式ローダ(搬送物用の取出手段)80と、を備えている。可動ステージ61aは、
図10~17に示す可動ステージ61とは異なり、ドロワ64を挿入するための前後方向に貫通した貫通構造を有してなく、平板状の架台として設けられている。
【0111】
ローラ式ローダ80は、接触した搬送物を回転による摩擦で移動させるローラ81と、ローラ81の回転運動を駆動する駆動軸82と、ローラ81を底部材2aの上方の空間に対して進退させる可動部材83と、を備えている。ローラ式ローダ80の下方には、ローラ81によって引き出された搬送物を受けるための可動トレー84が、底部材2aの上方の空間に対して進退自在に備えられる。
【0112】
図18~21に示す搬送容器において、搬送容器の底部には、略直方体状の底部材2(
図2等参照)に代えて、架台状の底部材2bが備えられている。架台状の底部材2bは、搬送物の下面の左右方向の外縁部のみを支持するフレーム状の構造に設けられている。架台状の底部材2bは、底部材2bに載置された搬送物の下方から可動ステージ61aを挿入するための上下方向に貫通した貫通構造を有している。但し、架台状の底部材2bは、前記の底部材2aとは異なり、前後方向に貫通した貫通構造については有していなくてもよい。
【0113】
また、
図18~21に示す搬送容器において、搬送容器の左右の側部には、側部材3(
図1等参照)に代えて、所定の形状のリブ7c,7dを有する側部材3E,3Fが備えられている。
【0114】
図18は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図19は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図18および
図19には、上下に積層されて搬送容器700に収容された搬送物を、傾斜ガイドが設けられた取り出し場所で、上段側から個別に取り出す方法を示している。
【0115】
搬送容器700において、左右の側部材3Eに設けられたリブ7cは、上端部に切欠き部72が設けられており、上端部の左右方向の内側が切り欠かれた形状とされている。左右のリブ7cは、取っ手部材4を最低よりも僅かに高い高さまで持ち上げたとき、最上段の搬送物を左右の側部材3E同士の間のリブ7cが切り欠かれた部位から露出させる形状となっている。最上段の搬送物は、取っ手部材4を最大の高さまで持ち上げたとき、切欠き部72の外側に覆われるようになっている。一方、上から第2段目以降の搬送物は、取っ手部材4を最低よりも僅かに高い高さまで持ち上げたとき、リブ7cで覆われるようになっている。
【0116】
図18および
図19に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器700を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Eに対して非平行な傾斜状態となるように、傾斜ガイド68が設けられた取り出し場所60に設置する。搬送容器700の前部の開口および後部の開口は、切欠き部72の幅に応じて左右に狭いままであるため、傾斜の角度や切欠き部72の幅に応じて全体としての幅は抑制される。
【0117】
傾斜ガイド68は、前記の傾斜ガイド66と同様に、上面が傾斜しており、取り出し場所60の左右に外側が高くなるように左右対称に固定される。傾斜ガイド68の傾斜の角度は、搬送容器700のフットプリントを小さくする観点から、45度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、75度以上が更に好ましい。
【0118】
続いて、最上段の搬送物が左右の側部材3E同士の間のリブ7cが切り欠かれた部位に露出する高さまで、底部材2aに載置された搬送物の全体を可動ステージ61aによって持ち上げる。搬送物の全体を持ち上げることにより、最上段の搬送物が、左右の側部材3E同士の間のリブ7cが切り欠かれた部位から搬送容器700の前後方向に出し入れ可能になる。
【0119】
続いて、最上段の搬送物の上にローラ式ローダ80を挿入し、ローラ81を回転させて、最上段の搬送物を左右の側部材3E同士の間のリブ7cが切り欠かれた部位から取り出す。
図19において、ローラ式ローダ80は、搬送容器700の後方から挿入されており、搬送物を後方に引き出す構成とされているが、搬送容器700の前方から挿入され、搬送物を前方に引き出す構成とされてもよい。
【0120】
ローラ式ローダ80は、可動部材83の先端に支持されているローラ81が最上段の搬送物の上面に接触するように挿入される。また、最上段の搬送物の後方には、最上段の搬送物の高さに合わせて、可動トレー84が配置される。搬送物の上面に接触したローラ81は、モータに接続された駆動軸82によって回転運動が駆動される。最上段の搬送物は、ローラ81の回転運動による摩擦で後方に取り出され、可動トレー84に載せられる。
【0121】
最上段の搬送物を取り出した後、底部材2bに載置された搬送物の全体を可動ステージ61aによって持ち上げる。その後、上から第2段目であった搬送物を最上段の搬送物として、最上段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。搬送容器700から取り出した搬送物は、目的の場所に個別に搬送することができる。
【0122】
このような搬送容器700や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の傾斜ガイドが設けられた取り出し場所に設置するのみで、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Eに対して非平行な傾斜状態となるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。また、リブ7cの上端部に切欠き部72が設けられており、搬送容器700の前側および後側の開口を狭めて搬送物を取り出すことができるため、荷下ろし時の搬送容器700のフットプリントを小さくすることができる。また、上段側から取り出す方法によると、左右の側部材3Eに貫通孔を設ける必要がないため、搬送容器700をより簡易的な構造に設けることができる。また、荷下ろし中に、上から第2段目以降の搬送物の前側および後側をリブ7cで支持し続けることができる。このような搬送方法は、最上段の搬送物を水平方向に引き出せる点で、互いに積層された状態で水平方向の相対位置が固定されない搬送物に用いることが好ましい。
【0123】
図20は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の正面図である。
図21は、本発明の変形例に係る搬送容器に用いられる取り出し方法の一例を示す搬送容器の側面図である。
図20および
図21には、上下に積層されて搬送容器800に収容された搬送物を、垂直ガイドが設けられた取り出し場所で、上段側から個別に取り出す方法を示している。
【0124】
搬送容器800において、左右の側部材3Fに設けられたリブ7dは、前記のリブ7cとは異なり、上端部に切欠き部72が設けられていない。また、リブ7dは、前記のリブ7aとは異なり、下端部に切欠き部71が設けられていない。また、リブ7dは、前記のリブ7bとは異なり、取っ手部材4を持ち上げたときに、リブ7dの下端部が底部材2bの上端よりも上方に位置する長さに設けられていない。
【0125】
図20および
図21に示す取り出し方法では、はじめに、搬送物が上下に積層されて収容された搬送容器800を、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Fに対して略平行な起立状態となるように、垂直ガイド69が設けられた取り出し場所60に設置する。搬送容器800の前部の開口および後部の開口は、左右に狭いままであるため、全体としての幅は抑制される。
【0126】
垂直ガイド69は、前記の垂直ガイド67と同様に、内側面が略垂直に設けられており、取り出し場所60の左右に互いに対向するように固定される。垂直ガイド69は、略垂直な内側面が、左右の下部連結部材5に対して面接触するように、底部材2bの左右方向の長さと同程度の間隔で配置される。
【0127】
続いて、最上段の搬送物が左右の側部材3F同士の間のリブ7dよりも上方に露出する高さまで、底部材2bに載置された搬送物の全体を可動ステージ61aによって持ち上げる。搬送物の全体を持ち上げることにより、最上段の搬送物が、左右の側部材3F同士の間のリブ7dよりも上方から搬送容器800の前後方向に出し入れ可能になる。
【0128】
続いて、最上段の搬送物の上にローラ式ローダ80を挿入し、ローラ81を回転させて、最上段の搬送物を左右の側部材3F同士の間のリブ7dよりも上方から取り出す。
図21において、ローラ式ローダ80は、搬送容器800の後方から挿入されており、搬送物を後方に引き出す構成とされているが、搬送容器800の前方から挿入され、搬送物を前方に引き出す構成とされてもよい。
【0129】
最上段の搬送物を取り出した後、底部材2bに載置された搬送物の全体を可動ステージ61aによって持ち上げる。その後、上から第2段目であった搬送物を最上段の搬送物として、最上段の搬送物の取り出しの工程を繰り返す。搬送容器800から取り出した搬送物は、目的の場所に個別に搬送することができる。
【0130】
このような搬送容器800や搬送方法によると、搬送物用の昇降手段や搬送物用の取出手段が利用されるため、上下に積層されて搬送容器に収容された搬送物を、自動で個別に取り出すことができる。搬送容器を所定の垂直ガイドが設けられた取り出し場所に設置するのみで、取っ手部材4から手を放しても、左右の下部連結部材5および左右の上部連結部材6が左右の側部材3Fに対して略平行な起立状態となるため、手作業によるリスクや手間を減らすことができる。また、リブ7dの上方が開放されており、搬送容器800の前側および後側の開口を狭めて搬送物を取り出すことができるため、荷下ろし時の搬送容器800のフットプリントを、搬送容器700の場合と比較して、一層小さくすることができる。また、上段側から取り出す方法によると、左右の側部材3Fに貫通孔を設ける必要がないし、リブ7dに切欠き部72を設ける必要もないため、搬送容器800をより簡易的な構造に設けることができる。また、荷下ろし中に、上から第2段目以降の搬送物の前側および後側をリブ7dで支持し続けることができる。このような搬送方法は、最上段の搬送物を水平方向に引き出せる点で、互いに積層された状態で水平方向の相対位置が固定されない搬送物に用いることが好ましい。
【0131】
次に、本発明の変形例に係る他の搬送容器について、図を参照しながら説明する。
【0132】
図22は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す正面図である。
図23は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す正面図である。
図22および
図23に示すように、搬送物の搬送に用いられる搬送容器は、取っ手部材4を持ち上げたときに、底部材2に載置された搬送物の前面および後面の全体を左右のリブ7fによって覆う幅のリブ7fを備えた形態(搬送容器900)とすることもできる。
【0133】
図22および
図23において、リブ7fは、右側の側部材3Gの前端および後端と、左側の側部材3Gの前端および後端に、略直方体状の薄い板材として設けられている。リブ7fの左右方向の長さは、それぞれ、底部材2の左右方向の長さの半分程度に設けられている。なお、搬送容器900の底部には、底部材2に代えて、前後方向および上下方向に貫通した底部材2a(
図10等参照)や、上下方向のみに貫通した底部材2b(
図18等参照)を備えてもよい。
【0134】
このようなリブ7fを設けると、底部材2に載置された搬送物を前方および後方のそれぞれから支持することができるだけでなく、リブ7fによって搬送物を遮光することができる。搬送物が分光分析等に供されるマイクロプレート等であり、光感受性の試薬が入れられている場合等に、適切な搬送を行うことが可能になる。搬送物の上方を遮光したい場合、遮光材を搬送物に積層してもよいし、遮光材を取っ手部材4等に取り付けてもよい。
【0135】
なお、
図22および
図23において、リブ7fの左右方向の長さは、それぞれ、底部材2の左右方向の長さの半分程度に設けられているが、搬送物の前面および後面の全体を左右のリブ7fによって覆うことが可能であり、取っ手部材4を持ち上げていないとき、搬送物の出し入れが可能である限り、左右で異なる長さに設けてもよい。
【0136】
図24は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送物が収容された接地時の状態を示す斜視図である。
図25は、本発明の変形例に係る搬送容器の搬送時の状態を示す斜視図である。
図24および
図25に示すように、搬送物の搬送に用いられる搬送容器は、側部材3の前後方向の端部から左右方向の内側に向けて延びるドア8を備えた形態(搬送容器1000)とすることもできる。
【0137】
図24および
図25において、左右の側部材3の前端には、左右方向の内側に向けて延びるリブ7(
図1等参照)に代えて、左右方向の内側に向けて延びるドア8が設けられている。また、左右の側部材3の後端には、取っ手部材4を持ち上げていないときに底部材2に積層されている搬送物の出し入れが可能である程度の左右方向の長さ(幅)を有するリブ7gが設けられている。
【0138】
ドア8は、片開きの扉とされており、左側の側部材3の前端側に、開閉自在に支持されている。ドア8の上下方向の長さは、底部材2に載置された搬送物の全体を前方から覆う高さとなるように設けられている。ドア8の左右方向の長さは、底部材2の左右方向の長さと同程度に設けられている。
【0139】
ドア8と左側の側部材3には、閉じたドア8を側部材3に係止するための止め具91,92が備えられている。
図24および
図25において、止め具91,92としては、フック91と、フック91を係止可能なタブ92が備えられている。フック91は、左側の側部材3の前端側に固定された軸に回動可能に支持されている。タブ92は、ドア8の先端側に突出している。
【0140】
フック91は、
図25に示すように、ドア8が閉じられたとき、軸周りに回動させると、タブ92に引っかけることができる。タブ92に係止されたフック92は、ドア8を閉じた状態に保つと共に、側部材3に連結した下部連結部材5や上部連結部材6を起立状態に保つように働く。フック91は、反対の方向に回動させると、タブ92から外すことができる。
【0141】
止め具91,92としては、前記の止め具51,52と同様に、フック91とタブ92に代えて、フックが孔に引っかかるあおり止めや、スライド型ラッチ、レバー型ラッチ、プッシュ型ラッチ、ボックス型ラッチ等を用いてもよい。
【0142】
このような開閉自在なドア8を設けると、ドア8の閉鎖時には、収容されている搬送物をドア8で遮光、支持、保護等することができるし、ドア8の開放時には、底部材2の上方の空間を開放して、搬送物の出し入れを容易にすることができる。また、閉じたドア8を止め具91,92で係止する構造によると、取っ手部材4を持ち上げていない場合であっても、側部材3等が左右方向にぐらつくのを防止することができる。
【0143】
なお、
図24および
図25において、止め具91,92としては、左側の側部材3の前端側にフック91が備えられており、ドア8の先端側にタブ92が備えられているが、ドア8にフック91を備え、側部材3にタブ92を備えてもよい。また、ドア8を左開きとして、ドア8および止め具91,92を左右の反対側に備えてもよいし、ドア8および止め具91,92を前後の反対側に備えてもよい。
【0144】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
【0145】
例えば、側部材3との成す角が鈍角となるように設けられたリブ7の構成や、起立状態の上部連結部材6を起立状態の側部材3に係止するための止め具51,52の構成や、ドア8および止め具91,92の構成は、
図10~
図25に示す各搬送容器に用いることもできる。
【0146】
また、前記の実施形態に係る搬送容器において、上下に積層可能な搬送物としては、符号1で表されるプレート状の搬送物が図示されているが、搬送物としては、横断面の外形が矩形状である物体に限定されるものではない。搬送物は、上下に積層可能であり、側方が側部材3で支持される限り、任意の物体であってよい。搬送物の具体例としては、マイクロプレートや、試験用や培養用のディッシュ、ベッセルや、半導体集積回路等の精密機器等が挙げられる。
【0147】
また、前記の実施形態に係る搬送容器において、左右の側部材3、左右の下部連結部材5、および、左右の上部連結部材6は、板材として設けられているが、メッシュ状、格子状等の部材として設けてもよい。また、底部材2や取っ手部材4は、適宜の形状や、適宜の上下方向の長さに設けることができる。取っ手部材4は、取っ手が取り付けられた板材等であってもよい。
【0148】
また、底部材2、左右の側部材3、取っ手部材4、左右の下部連結部材5、および、左右の上部連結部材6に関して、前後方向の長さ、左右方向の長さ、上下方向の長さ等は、前記の実施形態に係る容器構造が維持される限り、必ずしも、互いに同程度に設けられる必要はなく、同様の作用を奏する限り、互いに異なる長さや形状に設けられてもよい。
【0149】
また、前記の実施形態に係る搬送容器において、ヒンジ10は、各部材間の辺の全長にわたって設けられているが、部材間を連結する構造は、このような構造に限定されるものではない。ヒンジ10は、各部材間の辺の一部分に設けられてもよい。また、ヒンジ10は、回転軸が各部材の外側面に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 搬送物
2,2a,2b 底部材
3 側部材
4 取っ手部材
5 下部連結部材
6 上部連結部材
7 リブ
8 ドア
10 ヒンジ
31,32,33,34 貫通孔
51 フック(止め具)
52 スタッド(止め具)
61,61a 可動ステージ(搬送物用の昇降手段)
62 ステージリフト
63 フォーク(搬送物用の昇降手段)
64 ドロワ(搬送物用の取出手段)
65,66,68 傾斜ガイド
67,69 垂直ガイド
71,72 切欠き部
80 ローラ式ローダ
81 ローラ
82 駆動軸
83 可動部材
84 可動トレー
91 フック(止め具)
92 タブ(止め具)
100,200,300,400,500 搬送容器
600,700,800,900,1000 搬送容器