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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】キャビネットおよび画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   A47B 81/00 20060101AFI20231207BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231207BHJP
   B41J 29/08 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A47B81/00 Z
G03G21/16 109
G03G21/16 120
G03G21/16 128
G03G21/16 133
B41J29/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019216023
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021083804
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆太
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】宇治 賢太郎
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-053999(JP,A)
【文献】特開2018-000864(JP,A)
【文献】特開2018-097237(JP,A)
【文献】特開2000-037925(JP,A)
【文献】特開平09-001895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 81/00
G03G 21/16
B41J 29/08
A47B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成装置を収納するキャビネットであって、
水平方向に並ぶ第1の領域と第2の領域が形成され、
前記第1の領域に前記画像形成装置が設けられ、
前記第2の領域に原稿の画像を読み取る読取装置が設けられ、
前記画像形成装置を載置する載置台が、前記キャビネットの前方へ引き出し可能であり、
前記載置台より下方の下方空間が、前記第1の領域および前記第2の領域に跨って形成されており、
前記載置台に設けられ、少なくとも前記載置台を引き出したときに、前記キャビネットの前方における前記キャビネットが設置される平らな床面に接触する脚部を備え、
前記脚部は、前記載置台を引き出す方向に直交する方向において、前記載置台の中心位置よりも外側にのみ配置されるキャビネット。
【請求項2】
前記キャビネットに設けられ、前記画像形成装置を引き出す方向に直交する方向に離間して配置される一対の固定側レールと、
前記載置台に設けられ、前記一対の固定側レールのそれぞれに沿ってそれぞれ案内される一対の案内側レールと、を備えた請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
前記画像形成装置は、画像形成装置の内部空間を開放可能なカバーを有する請求項1または2記載のキャビネット。
【請求項4】
前記脚部は、前記載置台を引き出す方向において、前記載置台の前側の端部よりも奥側に配置される請求項1~3の何れか記載のキャビネット。
【請求項5】
前記載置台よりも下方に位置し、前記脚部が取り付けられる下方部材と、
前記載置台と前記下方部材を垂直方向に連結する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記載置台を引き出す方向において、前記載置台の中心位置よりも奥側に配置される請求項1~4の何れか記載のキャビネット。
【請求項6】
前記画像形成装置が収納される前記キャビネットの内部空間を開閉する扉を備え、
前記扉の下端は、前記扉を閉じた状態で、前記下方空間を開放するように形成される請求項1~5の何れか記載のキャビネット。
【請求項7】
シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成装置と、前記画像形成装置を収納する請求項1~6の何れか記載のキャビネットを備えた画像形成システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を収納するキャビネットおよび画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平行面において平行に複数配置された感光体1と、感光体1に近接して配置されたLED3と、現像装置4と、現像剤カートリッジ5と、中間転写体6と、定着装置8と、感光体1、現像装置4およびLED3を支持し、感光体1の軸線方向と直交する水平方向に装置本体から引き出し自在な支持部材22と、用紙を積載する用紙トレイ9と、装置本体の支持部材22の引き出し方向の側に開放自在な用紙搬送路11と、支持部材22に設けられ、支持部材22が装置本体から引き出された状態で、支持部材22に対して感光体1を、支持部材22の引き出し方向と略直交する感光体1の軸線方向に着脱する支持部材開口部と、を備える画像形成装置30が記載されている。
【0003】
特許文献2には、装置載置台が筐体内に挿入されている際には床面から離間し、装置載置台が筐体の挿入口から引き出された際には床面と当接する転子を備える画像記録装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置を載置する載置台より下方の下方空間を有効活用するキャビネットおよび画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1にかかる発明は、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成装置を収納するキャビネットであって、水平方向に並ぶ第1の領域と第2の領域が形成され、第1の領域に画像形成装置が設けられ、第2の領域に原稿の画像を読み取る読取装置が設けられ、載置台より下方の下方空間が、第1の領域および第2の領域に跨って形成されており、画像形成装置を載置する載置台が、キャビネットの前方へ引き出し可能であり、載置台に設けられ、少なくとも前記載置台を引き出したときに、キャビネットの前方における前記キャビネットが設置される平らな床面に接触する脚部を備え、脚部は、載置台を引き出す方向に直交する方向において、載置台の中心位置よりも外側にのみ配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、載置台より下方の下方空間を有効活用するキャビネットおよび画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態であるキャビネットの正面図である。
図2図1に示したキャビネットの右扉を開放した状態の正面図である。
図3図1に示した読取装置の断面図である。
図4図1に示した画像形成装置の断面図である。
図5図4に示した画像形成装置のフロントカバーの一部を開放した状態の断面図である。
図6図4に示した画像形成装置のフロントカバーを開放した状態の断面図である。
図7図2に示したキャビネットから画像形成装置を引き出した状態を示すA-A’線の左断面図(a)および右側面図(b)である。
図8図2に示したキャビネットから画像形成装置を引き出した状態を示す正面図である。
図9図4に示した画像形成装置の上フレームを開放した状態の断面図である。
図10図1に示したキャビネットの変形例における画像形成装置を引き出す前後の状態を示す左側面図である。
図11図10に示したキャビネットの使用状態を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態であるキャビネット200の正面図である。図1に示されるX軸方向はキャビネット200の幅方向であり、Y軸方向はキャビネット200の高さ方向であり、Z軸方向はキャビネット200の奥行き方向である。
【0009】
キャビネット200は、キャビネット200の前面(Z軸方向の負側)から見て水平方向に並ぶ第1の領域301と第2の領域302とを有する。右側(X軸方向の正側)に配置される第1の領域301には、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成装置1が収納され、左側(X軸方向の負側)に配置される第2の領域302には、原稿の画像を読み取って画像形成装置1へ画像情報を送る読取装置30が収納されている。ここで、キャビネット200と、画像形成装置1と、読取装置30とを併せて画像形成システムと称してもよい。
【0010】
キャビネット200は、天板265を備えるとともに、垂直な右軸212Rを中心に回動し、第1の領域301の内部空間を開放する右扉210Rを備え、垂直な左軸212Lを中心に回動し、第2の領域302の内部空間を開放する左扉210Lを備える。右扉210Rおよび左扉210Lは観音開きに構成されている。
【0011】
天板265は、上面が平坦に構成されており、これにより、天板265の上にモノを置くことができて、作業台として使うことができる。
【0012】
また、天板265は、幅方向(X軸方向)において、画像形成装置1の寸法よりも大きく形成され、画像形成装置1および読取装置30の上方に上方空間260を介して配置される。
【0013】
右扉210Rの上端210RTは、右扉210Rを閉じた状態で、上方空間260をキャビネット200の前方(Z軸方向負側)に開放するように形成され、画像形成装置1は、画像形成装置1および読取装置30への操作入力を受け付ける操作部16と、画像が形成されたシートを排出する排紙部40を、上方空間260に臨むように備える。
【0014】
画像が形成されたシートは、排紙部40において、前方(Z軸方向負側)から後方(Z軸方向正側)に向かって排出され、上方空間260は、排紙部40に積載された排出シートの取り出し作業を容易に行うために十分なスペースを有している。
【0015】
これにより、右扉210Rを閉じた状態で、上方空間260にアクセスして、操作部16を操作したり、画像形成装置1から排出されたシートを取り出したりすることが可能になる。
【0016】
キャビネット200には、収納された画像形成装置1の下方に下方空間271が形成されている。下方空間271には、画像形成装置1を支持する支持部材234が配置される。支持部材234よりも下方には下方部材232が配置されており、下方部材232には、床面に接触するキャスター等の脚部214が設けられている。脚部214は、図1の状態では、下方部材232と同じ高さに位置している。
【0017】
下方空間271は、第1の領域301および第2の領域302に跨ってキャビネット200の前方に開口する開口部270に含まれる。ユーザは開口部270に足または車椅子の足の支持部を差し入れる程度までキャビネット200に近寄ることが可能になり、画像形成装置1および読取装置30の操作性が向上する。また、開口部270および下方空間271には、トナーやシートなどのサプライ品が収納される。
【0018】
右扉210Rの下端210RBおよび左扉210Lの下端210LBは、右扉210Rおよび左扉210Lを閉じた状態で、開口部270を開放するように形成される。
【0019】
これにより、右扉210Rおよび左扉210Lを閉じた状態で、開口部270にアクセスして、開口部270内の収納物を取り出すことが可能になる。
【0020】
本実施形態では、画像形成装置1をキャビネット200で覆っているため、外装の継ぎ目を無くしてデザイン美観が向上できるとともに、静音化も図れて、デスクワークをしている近くに画像形成装置1およびキャビネット200をおいても不快に感じない。
【0021】
また、本実施形態では、操作部16を配置した側(Z軸方向負側)が、画像形成装置1の正面であり、ユーザによる読取装置30の操作、すなわち原稿のセットや原稿の取り出しも装置正面(Z軸方向負側)から行うようになっている。
【0022】
図2は、図1に示したキャビネットの右扉を開放した状態の正面図である。
【0023】
キャビネット200は、画像形成装置1を載置する載置台230を備える。載置台230と下方部材232は、支持部材234により、垂直方向に連結される。すなわち、支持部材234は、載置台230を介して画像形成装置1を支持している。支持部材234および下方部材232は、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mよりも外側に配置される。
【0024】
画像形成装置1は、右扉210Rによりキャビネット200の内部空間が開放された状態でも稼働可能に構成されており、右扉210Rにより開放されたキャビネット200の内部空間から外部空間へ(Z軸方向負側へ)引き出し可能に構成されている。
【0025】
また、画像形成装置1は、画像形成装置1の内部空間を開放するフロントカバー35と、シートを積載するシートトレイ21を備え、シートトレイ21は、画像形成装置1の前方(Z軸方向負側)へ引き出し可能に構成されている。
【0026】
本実施形態では、画像形成装置1は、右扉210Rや左扉210Lを開放した場合でも、シートに画像を形成し、画像形成されたシートを排紙部40に排出可能である。これにより、右扉210Rや左扉210Lを開くたびに画像形成装置1が停止することがなく、シートの補給等の作業性が悪くなることが防止される。
【0027】
図3は、図1に示した読取装置の断面図である。
【0028】
読取装置30の上面にはスリットガラス(第1読取位置)72とコンタクトガラス(第2読取位置)73が設けられている。このスリットガラス72とコンタクトガラス73の下方には画像読取手段としての露光ランプ74と第1ミラー75等が設けられており、この露光ランプ74と第1ミラー75は、コンタクトガラス73に載置された原稿を読取る際には、コンタクトガラス73の下方で図3中、左右方向に移動し(第1読取モード)、また、スリットガラス72上で原稿を読取る際には、スリットガラス72の下方で停止し、露光ランプ74によって原稿面を読取った後(第2読取モード)、この反射光を公知のように第1ミラー75およびレンズを介してCCD等の結像素子に結像するようになっている。
【0029】
また、読取装置30の上部には自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)76が装着されており、このADF76の下面にはコンタクトガラス73に載置された原稿をコンタクトガラス73に押圧するとともに原稿の読取時の白基準となる反射板77が設けられている。また、このADF76は、ヒンジを介して読取装置30に連結されており、読取装置30に対して開閉自在となっている。
【0030】
また、ADF76の上部には原稿載置台79が設けられており、この原稿載置台79には複数の原稿からなる原稿束Oが載置されるようになっている。この原稿載置台79に載置された原稿束Oはこの原稿束Oに当接・離隔可能な呼出しコロ80によって給紙された後、分離ベルト81および分離阻止コロ82によって分離されるようになっており、分離ベルト81は分離阻止コロ82に任意の角度θで加圧・接触している。
【0031】
また、分離ベルト81は駆動コロ85と従動コロ86に橋架されている。また、従動コロ86はスプリング90によって付勢されており、このスプリング90によって分離ベルト81には一定の張力が付与されている。また、駆動コロ85と軸の85aの間にはワンウェイクラッチ91が設けられており、駆動コロ85はこのクラッチ91によって、時計方向に回転する。また、分離阻止コロ82は、時計方向に回転するようになっており、分離ベルト81と分離阻止コロ82の間に給紙された原稿束Oから最上位に位置する原稿が分離される。
【0032】
この分離ベルト81および分離阻止コロ82によって分離された原稿は駆動側である第1搬送コロ93および従動コロ94によって反転経路95に沿って反転されてスリットガラス72に向かって搬送されるようになっている。
【0033】
この第1搬送コロ93および従動コロ94は分離された原稿を挟持して反転ガイド98を通してスリットガラス72に搬送した後、反転排紙ガイド99によって排紙経路100にすくい上げるようにして搬送するようになっている。また、スリットガラス72上には反射ガイド板101が設けられており、この反射ガイド板101は読取時の白基準を構成している。
【0034】
そして、排紙経路100に搬送された原稿は駆動側である第2搬送コロ(駆動部材)102および従動コロ(搬送部材)103に挟持されて搬送された後、駆動側である排紙コロ104および従動コロ105に挟持されて排紙経路100から外部に排出され、外装カバー107上に排出される。一方、コンタクトガラス73上を覆う反射板77は加圧板108の下面に設けられており、この加圧板108はコンタクトガラス73上に載置された原稿をこのガラス73に加圧するようになっている。
【0035】
本実施形態では、以上のように、読取装置30の原稿搬送方向及び原稿走査方向が正面(Z軸方向負側)から見て左右方向(X軸方向)である。
【0036】
図4は、図1に示した画像形成装置の断面図である。
【0037】
画像形成装置1は、中央に画像形成部2、その下部に当該画像形成部2で画像が形成されるシートを給紙する給紙部20を配したタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0038】
画像形成部2には、像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体には、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a~3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a~3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、この感光体3a~3dの下部に対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト4が配置されており、この中間転写体としてはドラムを用いることもできるが、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向に駆動される無端ベルトが用いられている。
【0039】
感光体3の周囲には感光体の表面に帯電処理を行う帯電装置7、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する光走査装置(LSU)8、露光により感光体3の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9、中間転写ベルト4を介して感光体3と対向配置された転写装置10、中間転写ベルト4に転写後の感光体3表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置11が設けられている。
【0040】
かかる画像形成装置1において画像形成が開始されると、感光体3が図における時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置7によって感光体3の表面が所定の極性に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3に静電潜像が形成される。そして、感光体3の表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってトナー像として可視像化され、トナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
【0041】
カラー画像形成時は上記した画像形成動作が全ての感光体3で行われ、これによって各感光体3a~3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置1には中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
【0042】
一方、画像形成部2の下部に配置された給紙部20には、転写紙又は樹脂フィルムなどから成るシートSを積載するシートトレイ21、該シートトレイ21に積載されたシートSを送り出す給紙コロ22、重送されたシートを1枚に分離する分離手段としてのフリクションパッド23、両面画像形成時に用いる再搬走路24等が設けられている。本例のシートトレイ21は、シート補給等を行うため画像形成装置1から前側(Z軸方向負側)に引き出すことができ、このときフリクションパッド23、再搬走路24はシートトレイ21とともに引き出されるが、給紙コロ22は画像形成装置1側に残る。
【0043】
給紙部20から給紙されたシートSは、搬送路130に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ13に突き当てられる。これによってシートSが整合された後、レジストローラ13は上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部でシートSの先端部と合致するようなタイミングで回転を再開し、2次転写部に向けてシートSを送り出す。
【0044】
2次転写部で未定着トナー像が転写されたシートSは、定着部14に送られ、シートSに未定着トナー像が定着された後、画像形成装置1の上部に設けられた排紙部40に排出される。なお、トナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナーはベルト用のクリーナー15によって除去される。
【0045】
画像形成装置1の上部には上フレーム部材としての上フレーム18が設けられ、この上フレーム18に支持された上カバー部分を排紙部40のシート積載面41として用いている。
【0046】
また、上フレーム18はその下部に画像形成手段の一部である光走査装置8を支持しており、装置の後端側に設けたヒンジ17を中心に上方へ開放可能に構成されている。
【0047】
図5は、図4に示した画像形成装置1のフロントカバーの一部を開放した状態の断面図である。
【0048】
画像形成装置1は、フロントカバー35にシートトレイ21を挿入するための開口37を形成し、その開口37からシートトレイ21を装置の前後方向(Z軸方向)に着脱できるように構成される。これらにより、メンテナンスや消耗品交換、ジャム処理等を画像形成装置1前面(Z軸負側)から行えるフルフロント操作が可能となり、背面から上記した作業を行うスペースを必要とせず、設置面積の低減を図れると共に使い勝手が良い画像形成装置1の提供が行える。
【0049】
画像形成装置1は、シートトレイ21を引き出した場合、シートに画像を形成する動作を行わないため(インターロック)、安全性が確保される。
【0050】
図6は、図4に示した画像形成装置のフロントカバーを開放した状態の断面図である。
【0051】
画像形成装置1は、フロントカバー35がヒンジ36を介して開閉可能に装着され、該フロントカバー35を開くことにより、内部の中間転写ベルト4のユニットや廃トナーボトル65および定着部14に対する交換メンテナンスや、画像形成装置1内の搬送路130内でのジャム紙の処理を行うことができる。
【0052】
画像形成装置1は、フロントカバー35を開放した場合、シートに画像を形成する動作を行わないため(インターロック)、安全性が確保される。
【0053】
図7は、図2に示したキャビネットから画像形成装置を引き出した状態を示すA-A’線の左断面図(a)および右側面図(b)である。図8は、図2に示したキャビネットから画像形成装置を引き出した状態を示す正面図である。
【0054】
支持部材234は、載置台230を引き出す方向において、前側(Z軸方向負側)に配置される前側支持部材234Fと、奥側(Z軸方向正側)に配置される奥側支持部材234Rを含む。
【0055】
載置台230と下方部材232は、前側支持部材234Fおよび奥側支持部材234Rにより、垂直方向に連結される。
【0056】
前側支持部材234F、奥側支持部材234Rおよび脚部214は、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mよりも外側に配置される。
【0057】
載置台230の右側(X軸方向正側)には、案内側右レール240が設けられ、載置台230の左側(X軸方向負側)には、案内側左レール241が設けられる。
【0058】
キャビネット200の右側板200Rの内側には、固定側右レール220が設けられる。第1の領域301と第2の領域302の境界には仕切板200Mが設けられ、仕切板200Mの第1の領域301側には、固定側左レール221が設けられる。
【0059】
載置台230は、キャビネット200の内部空間から外部空間へ引き出される際には、案内側右レール240が固定側右レール220に案内され、案内側左レール241が固定側左レール221に案内されて移動する。これにより、載置台230および画像形成装置1を、安定した姿勢でキャビネット200の前方(Z軸方向負側)へ円滑に引き出すことができる。
【0060】
載置台230は施錠可能な構成となっており、施錠されている場合は、キャビネット200から引き出すことができず、解錠されている場合に、キャビネット200から引き出すことが可能である。また、画像形成装置1は、載置台230とともにキャビネット200から引き出された状態でも稼働可能に構成される。
【0061】
脚部214が、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mに設けられている場合、載置台230の左側(X軸方向負側)の下方空間271Lの容積は、載置台230の右側(X軸方向正側)の下方空間の容積と同じである。
【0062】
本実施形態では、脚部214は、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mよりも外側にのみ配置されるため、下方空間271Lの容積を大きくすることができる。
【0063】
よって、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mに設けられている場合に比べて、下方空間271Lに大容量の物品を収納することが可能になり、下方空間271が有効活用される。
【0064】
一方、脚部214が、横方向(X軸方向)において、載置台230の中心位置230Mよりも外側にのみ配置される場合、載置台230をキャビネット200から引き出す際に、載置台230の姿勢が不安定になる可能性がある。そこで、載置台230が、一対の案内側レール240、241を介して、一対の固定側レール220、221に沿って案内されることにより、載置台230をキャビネット200から引き出す際に、載置台230の姿勢が安定する。
【0065】
よって、載置台230より下方の下方空間271を有効活用することと、載置台230および画像形成装置1の姿勢を気にせずに、キャビネット200から画像形成装置1を引き出して操作することを両立できる。
【0066】
また、脚部214が、画像形成装置1を引き出す方向に直交する方向において、載置台230の中心位置230Mよりも外側にのみ配置されることにより、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が脚部214に干渉しにくくなる。
【0067】
図9は、図4に示した画像形成装置の上フレームを開放した状態の断面図である。
【0068】
上フレーム18を回動して開放すると、下部の光走査装置8が一緒に回動され、画像形成部2にアクセスすることが可能となり、メンテナンス等が容易に行うことができる。具体的には、上フレーム18を開放した部分から、図4に示した感光体3、帯電装置7、現像装置9、クリーニング装置11等の主要ユニットを取り出し可能である。
【0069】
画像形成装置1は、上フレーム18を開放した場合、シートに画像を形成する動作を行わないため(インターロック)、安全性が確保される。
【0070】
以上説明した実施形態では、いわゆるフルカラー電子写真方式の画像形成装置1を例に説明を行ったが画像形成装置1の方式はこれに限るものではない。例えばブラックトナーのみで画像を形成するモノクロ電子写真方式の画像形成装置1としてもよい。また、シートトレイ21から搬送されたシートにインクジェットヘッドで画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置1であってもよい。
【0071】
図10は、図1に示したキャビネットの変形例における画像形成装置を引き出す前後の状態を示す左側面図である。図11は、図10に示したキャビネットの使用状態を示す左側面図である。
【0072】
脚部214は、載置台230をキャビネット200に収納している状態では、下方部材232と同じ高さに位置し、載置台230をキャビネット200から引き出すことにより、床面に接触するよう構成される。
【0073】
下方部材232および脚部214は、載置台230を引き出す方向(Z軸方向負側)において、載置台230の前側の端部230Fよりも長さLだけ奥側に配置される。これにより、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が下方部材232および脚部214に干渉しにくくなり、ユーザの操作性がよい。
【0074】
支持部材234は、奥側支持部材234Rのみにより構成される。これにより、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が奥側支持部材234Rに干渉しにくくなり、ユーザの操作性がよい。
【0075】
以上説明した実施形態およびその変形例では、シートに画像を形成する画像形成装置1を収納するキャビネット200について説明したが、他の実施形態では、シートに画像を形成する画像形成装置1を画像形成装置本体と呼称し、キャビネット200を画像形成装置と呼称しても良い。
【0076】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るキャビネット200は、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成装置1を収納し、キャビネット200には、水平方向に並ぶ第1の領域301と第2の領域302が形成され、第1の領域301に画像形成装置1が設けられ、第2の領域302に原稿の画像を読み取る読取装置30が設けられ、画像形成装置1を載置する載置台230が、キャビネット200の前方へ引き出し可能であり、載置台より下方の下方空間271が、第1の領域301および第2の領域302に跨って形成されており、載置台230に設けられ、少なくとも載置台230を引き出したときに、キャビネット200の前方におけるキャビネット200が設置される平らな床面Fに接触する脚部214と、を備え、脚部214は、載置台230を引き出す方向に直交する方向において、載置台230の中心位置230Mよりも外側にのみ配置される。
【0077】
これにより、脚部214が、画像形成装置1を引き出す方向に直交する方向において、載置台230の中心位置230Mに設けられている場合に比べて、載置台230より下方の下方空間271を有効活用することができる。また、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が脚部214に干渉しにくくなる。
【0078】
さらには、キャビネット200に設けられ、画像形成装置1を引き出す方向に直交する方向に離間して配置される一対の固定側レール220、221と、載置台230に設けられ、一対の固定側レール220、221のそれぞれに沿ってそれぞれ案内される一対の案内側レール240、241を備える。
【0079】
これにより、載置台230は、一対の案内側レール240、241を介して、一対の固定側レール220、221に沿って案内されるため、載置台230をキャビネット200から引き出す際に、載置台230が傾くことが防止される。よって、載置台230より下方の下方空間271を有効活用することと、載置台230および画像形成装置1の姿勢を気にすることなく、キャビネット200から画像形成装置1を引き出して操作することを両立できる。
【0080】
画像形成装置1は、画像形成装置1の内部空間を開放するカバー(上フレーム18)を有する。これにより、載置台230および画像形成装置1の姿勢を気にすることなく、キャビネット200から引き出した画像形成装置1のカバー(上フレーム18)を開放して、画像形成装置1の内部空間にアクセスすることができる。
【0081】
脚部214は、載置台230を引き出す方向において、載置台230の前側の端部230Fよりも奥側に配置される。これにより、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が脚部214に干渉しにくくなり、ユーザの操作性がよい。
【0082】
載置台230よりも下方に位置し、脚部214が取り付けられる下方部材232と、載置台230と下方部材232を垂直方向に連結する奥側支持部材234Rと、を備え、奥側支持部材234Rは、載置台230を引き出す方向において、載置台230の中心位置230mよりも奥側に配置される。
【0083】
これにより、ユーザの足や車椅子ユーザの足の支持部が奥側支持部材234Rに干渉しにくくなり、ユーザの操作性がよい。
【0084】
キャビネット200は、画像形成装置1が収納されるキャビネット200の内部空間を開閉する右扉210Rを備え、右扉210Rの下端210RBは、右扉210Rを閉じた状態で、下方空間271を開放するように形成される。
【0085】
これにより、右扉210Rを閉じた状態で、下方空間271にアクセスして、下方空間271内の収納物を取り出すことが可能になる。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
18 上フレーム(カバー)
30 読取装置
200 キャビネット
210R 右扉
210RT 右扉上端
210RB 右扉下端
210L 左扉
210LB 左扉下端
214 脚部
220 固定側右レール
221 固定側左レール
230 載置台
230F 前側の端部
230M 中心位置
230m 中心位置
232 下方部材
234 支持部材
240 案内側右レール
241 案内側左レール
270 開口部
271 下方空間
301 第1の領域
302 第2の領域
F 床面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【文献】特開2011‐175258号公報
【文献】実公平06‐008596号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11