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特許7398201プログラム、電子機器およびサーバシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】プログラム、電子機器およびサーバシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/52 20140101AFI20231207BHJP
   A63F 13/655 20140101ALI20231207BHJP
   A63F 13/216 20140101ALI20231207BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20231207BHJP
   G06F 3/0485 20220101ALI20231207BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20231207BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/655
A63F13/216
A63F13/211
G06F3/0485
G06T19/00 600
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019065737
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162831
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】木水 克典
(72)【発明者】
【氏名】手代木 央士
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 大海
(72)【発明者】
【氏名】恩田 明生
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076589(JP,A)
【文献】特開2012-212343(JP,A)
【文献】特開2015-082314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
G06F 3/048 - 3/04895
G06T 19/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備えたコンピュータの前記表示部に、拡張現実の画像を表示させるためのプログラムであって、
前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段、
前記第1表示モードから切り替えられた第2表示モードでの表示制御を行う第2表示モード制御手段であって、切り替え直前の前記第1表示モードで表示されていた前記撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させることで前記第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段、
前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードにおいて、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される撮影方向が所定の撮影方向変化条件を満たした場合に、前記第1表示モードから前記第2表示モードへの切り替えを行い、その後に前記撮影方向が当該第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す回復切替条件を満たした場合に、前記第2表示モードから前記第1表示モードへ切り替える制御である、一時的切り替え制御を行うモード切替制御手段、
として前記コンピュータを機能させ、
前記拡張現実オブジェクトは、所与の特性情報が対応付けられたゲームキャラクタであり、
前記モード切替制御手段は、前記第1表示モードにおいて、表示されている前記ゲームキャラクタに対応付けられた前記特性情報に基づいて、前記一時的な切り替え制御を行うか否かを制御する、
プログラム。
【請求項2】
前記第1表示モード制御手段は、前記位置姿勢計測機能の計測結果の変化に応じて、表示画像中の前記ゲームキャラクタの表示位置を変更することで、前記第1表示モードの表示制御を行い、
前記第2表示モード制御手段は、前記ゲームキャラクタを所定の表示位置に表示させることで、前記第2表示モードの表示制御を行う、
請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第2表示モード制御手段は切り替え前の前記第1表示モードで表示されていた前記ゲームキャラクタの表示位置に、当該ゲームキャラクタを表示させることで、前記第2表示モードの表示制御を行う、
請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
前記撮影方向変化条件は、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する前記撮影方向が、重力方向に近づくように変化した場合の変化角度に基づいて定められている、
請求項1~の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記撮影方向変化条件は、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、前記第1表示モード用に定められた角度範囲から、前記第2表示モード用に定められた角度範囲に変化したこと、として定められている、
請求項1~の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ゲームキャラクタに基づき進行が変化する所定のゲームを進行制御するゲーム進行制御手段、
前記モード切替制御手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に所与のゲームイベントを発動させるゲームイベント制御手段、
として前記コンピュータを更に機能させるための請求項1~5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記ゲームイベント制御手段は、前記モード切替制御手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に、切り替え前の前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づいて前記ゲームイベントの内容を変更する、
請求項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記モード切替制御手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に、切り替えが行われた旨の通知を行う切替通知制御手段、
として前記コンピュータを更に機能させるための請求項1~の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記モード切替制御手段によるモードの切り替えに関わらず、所与の操作アイコンを前記表示部の所定位置に表示する制御を行う操作アイコン表示制御手段、
として前記コンピュータを更に機能させるための請求項1~の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備え、前記表示部に拡張現実の画像を表示する電子機器であって、
前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段と、
前記第1表示モードから切り替えられた第2表示モードでの表示制御を行う第2表示モード制御手段であって、切り替え直前の前記第1表示モードで表示されていた前記撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させることで前記第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段と、
前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードにおいて、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される撮影方向が所定の撮影方向変化条件を満たした場合に、前記第1表示モードから前記第2表示モードへの切り替えを行い、その後に前記撮影方向が当該第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す回復切替条件を満たした場合に、前記第2表示モードから前記第1表示モードへ切り替える制御である、一時的切り替え制御を行うモード切替制御手段と、
を備え、
前記拡張現実オブジェクトは、所与の特性情報が対応付けられたゲームキャラクタであり、
前記モード切替制御手段は、前記第1表示モードにおいて、表示されている前記ゲームキャラクタに対応付けられた前記特性情報に基づいて、前記一時的な切り替え制御を行うか否かを制御する、
電子機器。
【請求項11】
撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備えたユーザ端末の前記表示部に、拡張現実の画像を表示させる制御を行うサーバシステムであって、
前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段と、
前記第1表示モードから切り替えられた第2表示モードでの表示制御を行う第2表示モード制御手段であって、切り替え直前の前記第1表示モードで表示されていた前記撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させることで前記第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段と、
前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードにおいて、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される撮影方向が所定の撮影方向変化条件を満たした場合に、前記第1表示モードから前記第2表示モードへの切り替えを行い、その後に前記撮影方向が当該第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す回復切替条件を満たした場合に、前記第2表示モードから前記第1表示モードへ切り替える制御である、一時的切り替え制御を行うモード切替制御手段と、
を備え、
前記拡張現実オブジェクトは、所与の特性情報が対応付けられたゲームキャラクタであり、
前記モード切替制御手段は、前記第1表示モードにおいて、表示されている前記ゲームキャラクタに対応付けられた前記特性情報に基づいて、前記一時的な切り替え制御を行うか否かを制御する、
サーバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能を備えた携帯型のコンピュータの表示部に、拡張現実の画像を表示させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及が進んでいる拡張現実は、現実世界の画像に拡張現実オブジェクト(現実世界には存在し無いオブジェクトや情報表示オブジェクトなどのAR(Augmented Reality)コンテンツ)を合成して表示することで実現されている。用途はさまざまであるが、例えば、ゲーム(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)での利用が広く知られている他、広告や経路案内などにも利用されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-122708号公報
【文献】特開2017-182579号公報
【文献】特開2016-053776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
拡張現実を実現するためにユーザが使用するハードウェアとしては、スマートグラスなどと呼ばれるメガネ型のウェアラブルコンピュータも存在するが一般に普及するまでには至っていない。近年普及が進んでいる拡張現実においてユーザが使用する主なハードウェアは、表面にフラットパネルディスプレイを備え、背面にカメラを備えた電子機器、例えばスマートフォンである。そして、多くのスマートフォンは、位置情報を取得するための測位センサ(例えば、GPSセンサ。緯度・経度を取得。)や、方位を計測する方位センサ、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサなどを搭載しており、位置認識型の拡張現実を実現できる。
【0005】
拡張現実を利用するには、ユーザは、コンパクトカメラで風景を撮影するかのごとく、スマートフォンを片手又は両手で持ち、前方に突き出すように支え続けなければならない。しかし、その姿勢は、腕が疲れるので長時間の使用には向かないし、状況によってはマナーの観点から避けるべき場合もある。撮影方向を一時的に変えたいと思う場合があるのである。
【0006】
例えば、観光やショッピングをするユーザを、位置認識型の拡張現実を用いてサポートするサービスがあるとする。サービス提供者により、対象とする地理的範囲内に、位置情報と対応づけた拡張現実オブジェクトが多数用意されているとする。ユーザのスマートフォンには、その時々のカメラの撮影方向の撮影範囲内に設定されている拡張現実オブジェクトが逐一選択され、その時々にカメラで撮影されている現実画像(撮影中画像:ファインダー画像)に合成して表示される。
【0007】
ユーザは、コンパクトカメラで風景を撮影するような姿勢でスマートフォンを手に持って、カメラで撮影された現実画像に合成された拡張現実オブジェクト(この場合、広告や、イベント案内、道案内標識、など)を頼りに、街中を移動することになる。しかし、目的地まで腕を上げた状態を保ち続けるのは疲れる。腕が疲れてスマートフォンを下ろせば撮影方向が変わってしまうので、移動の頼りとしていた拡張現実オブジェクトは表示されなくなってしまう。また、撮影方向が変わったことで、撮影されている現実画像も変わってしまう。腕を休ませ、再び元の撮影方向にスマートフォンを向ければ、先程までの現実画像が再び表示され、移動の頼りとしていた拡張現実オブジェクトも再び表示されるはずであるが、その拡張現実オブジェクトを表示画像の中から再び探し出さなければならない。腕力に自信のあるユーザでも、人混みの中で常時腕を前方に突き出したまま歩くのはマナーや安全性の観点から好ましいとは言えない。
【0008】
また例えば、位置認識型の拡張現実を用いて、位置情報と対応づけた何種類ものキャラクタを用意しておいて、それらのキャラクタを探し出して捕獲するゲームがあるとする。ユーザは、やはりコンパクトカメラで風景を撮影するような姿勢でスマートフォンを手に持って街中を歩き回ることになる。スマートフォンで計測される位置情報と、キャラクタの位置情報とが近づくと、カメラで撮影されている現実画像に当該キャラクタの画像(拡張現実オブジェクト)が表示される。ユーザは、所定の操作をして表示されたキャラクタを捕獲したり、街中に出現したキャラクタの姿を記念撮影して保存したりしてゲームを楽しむ。この例でも、腕が疲れる点やマナーの観点からの問題は先の例と同様である。カメラの撮影方向を維持し続けないと、同じ現実画像を表示し続けることができず、目的の拡張現実オブジェクトも表示させ続けることができないため、先の例と同様の不便がある。
【0009】
本発明は、拡張現実の利用において、一時的に撮影方向を変えるときに生じる不便を低減するための技術を提供することを目的に考案された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための第1の発明は、撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備えたコンピュータの前記表示部に、拡張現実の画像を表示させるためのプログラムであって、前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段、過去の撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
第1の発明によれば、その時々で撮影されている現実世界の画像である撮影中画像(換言すると、リアルタイム撮影画像、ファインダー画像)に、拡張現実オブジェクト(換言するとARコンテンツ)を合成表示する第1表示モードと、過去の撮影中画像に拡張現実オブジェクトを合成表示した第2表示モードとがある。
【0012】
よって、例えば、第1表示モードであるときに撮影方向を一時的に変える状況にあっても、第2表示モードとすることで、撮影方向を変える前に表示されていた拡張現実オブジェクトの表示が維持され、しかも過去の撮影中画像にその拡張現実オブジェクトが合成表示される。このため、撮影方向を一時的に変える場合の不便を低減できる。
【0013】
第2の発明は、前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードと、前記第2表示モード制御手段による前記第2表示モードとを切り替えるモード切替制御手段、として前記コンピュータを更に機能させるための第1の発明のプログラムである。
【0014】
第2の発明によれば、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えを行うことができるようになり、撮影方向を一時的に変える場合のユーザビリティが向上する。
【0015】
第3の発明は、前記モード切替制御手段が、前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードから、前記第2表示モード制御手段による前記第2表示モードへと切り替える小休止切替手段を有し、前記第2表示モード制御手段は、前記小休止切替手段による切り替え前の前記第1表示モードで表示されていた撮影中画像を、前記過去の撮影中画像とすることで、前記第2表示モードの表示制御を行う、第2の発明のプログラムである。
【0016】
第3の発明によれば、第2表示モードにおいて、第2表示モードに切り替えられる前の撮影中画像が表示されるため、第2表示モードへの切り替え前の表示を一時保持(ポーズ)したかのようにユーザに見せることができる。
【0017】
第4の発明は、前記拡張現実オブジェクトには、キャラクタオブジェクトが少なくとも含まれ、前記第1表示モード制御手段は、前記位置姿勢計測機能の計測結果の変化に応じて、表示画像中の前記キャラクタオブジェクトの表示位置を変更することで、前記第1表示モードの表示制御を行い、前記第2表示モード制御手段は、前記キャラクタオブジェクトの画像を所定の表示位置に表示させることで、前記第2表示モードの表示制御を行う、第3の発明プログラムである。
【0018】
第5の発明は、前記第2表示モード制御手段が、前記小休止切替手段による切り替え前の前記第1表示モードで表示されていた前記キャラクタオブジェクトの表示位置に、当該キャラクタオブジェクトの画像を表示させることで、前記第2表示モードの表示制御を行う、第4の発明のプログラムである。
【0019】
第4又は第5の発明によれば、拡張現実オブジェクトがキャラクタオブジェクトである場合、第2表示モードに切り替えられた後は、切り替え前の第1表示モードで表示されていたキャラクタオブジェクトの表示位置と同じ表示位置に同じキャラクタオブジェクトが表示されることとなる。よって、ユーザにとっては、キャラクタオブジェクトの表示位置が変化しないため、第2表示モードに切り替わったときに便宜である。
【0020】
第6の発明は、前記拡張現実オブジェクトには、位置に対応付けられた位置情報オブジェクトが少なくとも含まれ、前記第2表示モード制御手段は、前記小休止切替手段による切り替え前の前記第1表示モードで表示されていた撮影中画像に、当該第1表示モードで表示されていた前記位置情報オブジェクトの画像を、表示位置を変化させて合成して前記表示部に表示させることで前記第2表示モードの表示制御を行う、第3~第5の何れかの発明のプログラムである。
【0021】
第6の発明によれば、位置情報オブジェクトの表示位置を、第1表示モードと第2表示モードとで異なるようにすることができる。これにより、例えば、表示モードが変わっていることをユーザに認識させ易い、といった効果が得られる。
【0022】
第7の発明は、前記小休止切替手段が、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される撮影方向が所定の撮影方向変化条件を満たしたことを少なくとも含む小休止切替条件を満たした場合に、前記第1表示モードから前記第2表示モードへ切り替える、第3~第6の何れかの発明のプログラムである。
【0023】
第7の発明によれば、撮影方向の変化が所定の撮影方向変化条件を満たす場合に、自動的に第1表示モードから第2表示モードへの切り替えを実行できるようになる。
【0024】
第8の発明は、前記撮影方向変化条件が、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、重力方向に近づくように変化した場合の変化角度に基づいて定められている、第7の発明プログラムである。
【0025】
第8の発明によれば、撮影方向の仰俯角が重力方向に近づくように変化した場合に、自動的に第2表示モードへの切り替えを実行できるようになる。
【0026】
第9の発明は、前記撮影方向変化条件が、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、前記第1表示モード用に定められた角度範囲から、前記第2表示モード用に定められた角度範囲に変化したこと、として定められている、第7の発明のプログラムである。
【0027】
第9の発明によれば、ユーザは、撮影方向の仰俯角を変化させることで、ボタン操作やタッチ操作などを行わずとも、第2表示モードへの切り替えを実行させることができるようになる。
【0028】
第10の発明は、前記拡張現実オブジェクトには、キャラクタオブジェクトが少なくとも含まれ、前記小休止切替条件には、前記第1表示モードにおいて前記キャラクタオブジェクトの画像が表示されていること、を更に含む、第7~第9の何れかの発明のプログラムである。
【0029】
第10の発明によれば、第1表示モードにおいてキャラクタオブジェクトの画像が表示されている場合に、第2表示モードへの切り替えが可能になる。
【0030】
第11の発明は、前記キャラクタオブジェクトには、レベルおよび/又は属性の情報である特性情報が対応付けられており、前記小休止切替条件は、前記第1表示モードにおいて表示されている前記キャラクタオブジェクトの特性情報に応じた複数種類が用意されており、前記小休止切替手段は、前記第1表示モードにおいて表示されている前記キャラクタオブジェクトの前記特性情報に応じた種類の前記小休止切替条件を満たす場合に、前記第1表示モードから前記第2表示モードへ切り替える、第10の発明のプログラムである。
【0031】
第11の発明によれば、キャラクタオブジェクトの特性情報に基づいて、表示モードの切り替えが行われる条件を多様化できる。例えば、レベルの低いキャラクタオブジェクトは、簡単に小休止切替条件が満たされるが、レベルの高いキャラクタオブジェクトでは、そう簡単には小休止切替条件が満たさないように設定できる。例えば、拡張現実サービスをゲームとした場合、ゲームのやりごたえ感を醸成する仕組みとすることができ、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0032】
第12の発明は、前記キャラクタオブジェクトに基づき進行が変化する所定のゲームを進行制御するゲーム進行制御手段、前記小休止切替手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に所与のゲームイベントを発動させるゲームイベント制御手段、として前記コンピュータを更に機能させるための第10又は第11の発明のプログラムである。
【0033】
第12の発明によれば、第2表示モードへの切り替えに応じてゲームイベントを発動させることができるようになる。
【0034】
第13の発明は、前記ゲームイベント制御手段が、前記小休止切替手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に、切り替え前の前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づいて前記ゲームイベントの内容を変更する、第12の発明のプログラムである。
【0035】
第13の発明によれば、第2表示モードへの切り替え前の位置姿勢計測機能の計測結果に基づいてゲームイベントの内容が変化することになり、興趣性のあるゲームとすることができる。
【0036】
第14の発明は、前記小休止切替手段により前記第2表示モードへの切り替えが行われた場合に、切り替えが行われた旨の通知を行う切替通知制御手段、として前記コンピュータを更に機能させるための第7~第13の何れか一項に記載のプログラムである。
【0037】
第14の発明によれば、第2表示モードへの切り替えが行われた旨の通知を行うことができる。
【0038】
第15の発明は、前記モード切替制御手段が、前記小休止切替手段による前記第2表示モードへの切り替えの後に、所定の回復切替条件を満たした場合に、前記第2表示モードから前記第1表示モードへと切り替える回復切替手段を有する、第3~第14の何れかの発明のプログラムである。
【0039】
第15の発明によれば、所定の回復切替条件を満たした場合に、第2表示モードから第1表示モードへと切り替えることができる。
【0040】
第16の発明は、前記回復切替条件が、前記位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、前記小休止切替手段による前記第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す所定の撮影方向回復条件を満たしたこと、を少なくとも含む、第15の発明のプログラムである。
【0041】
第16の発明によれば、撮影方向の仰俯角を第2表示モードへの切り替え前の状態になるようにすると、表示モードが第2表示モードに切り替われることになる。よって、表示モードの切り替えがユーザに直感的に理解し易くなる。
【0042】
第17の発明は、前記モード切替制御手段によるモードの切り替えに関わらず、所与の操作アイコンを前記表示部の所定位置に表示する制御を行う操作アイコン表示制御手段、として前記コンピュータを更に機能させるための第1~第16の何れかの発明のプログラムである。
【0043】
第17の発明によれば、操作アイコンについては、表示モードの切り替えとは切り離して表示することができる。例えば、表示モードに係わらず、設定の変更、別機能の呼び出し、記念撮影、などといった操作アイコンを表示部の所定位置に表示することができる。
【0044】
第18の発明は、撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備え、前記表示部に拡張現実の画像を表示する電子機器であって、前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段と、過去の撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段と、前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードと、を備えた電子機器である。
【0045】
第18の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果が得られる電子機器を実現できる。
【0046】
第19の発明は、撮影部と、表示部と、位置および姿勢を計測する位置姿勢計測機能とを備えたユーザ端末の前記表示部に、拡張現実の画像を表示させる制御を行うサーバシステムであって、前記撮影部で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第1表示モードの表示制御を行う第1表示モード制御手段と、過去の撮影中画像に前記拡張現実オブジェクトの画像を合成して前記表示部に表示させる第2表示モードの表示制御を行う第2表示モード制御手段と、前記第1表示モード制御手段による前記第1表示モードと、を備えたサーバシステムである。
【0047】
ここで言う「サーバシステム」とは、サーバとして機能する単数のコンピュータは勿論、複数のコンピュータが連携して構成されるものでもよい。
【0048】
第19の発明によれば、第1の発明と同様の効果が得られるサーバシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】ゲームシステムの構成の一例を示す図。
図2】ユーザ端末の構成例を示す正面。
図3】ゲームについて説明するための概念図。
図4】第1表示モードにおける表示画像の例を示す図。
図5】第2表示モードにおける表示画像の例を示す図。
図6】撮影方向変化条件の例を説明するための図。
図7】ユーザ端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
図8】端末記憶部が記憶するプログラムやデータの例を示す図。
図9】拡張現実オブジェクト定義データのデータ構成例を示す図。
図10】小休止切替条件定義データのデータ構成例を示す図。
図11】通知パターン定義データのデータ構成例を示す図。
図12】拡張現実管理データのデータ構成例を示す図。
図13】ユーザ端末における処理の流れを説明するためのフローチャート。
図14】第2実施形態におけるサーバシステムの機能構成例を示す機能ブロック図。
図15】第2実施形態におけるユーザ端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態の一例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0051】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態におけるゲームシステムの構成の一例を示す図である。本実施形態のゲームシステム1000は、通信回線9に接続することで相互にデータ通信が可能なサーバシステム1100および複数のユーザ端末1500(1500a,1500,…)を含むコンピュータシステムである。
【0052】
通信回線9は、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、通信回線9とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0053】
サーバシステム1100は、本体装置1101と、キーボード1106と、タッチパネル1108と、ストレージ1140とを有し、本体装置1101には制御基板1150を搭載する。
【0054】
制御基板1150には、CPU(Central Processing Unit)1151やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1152、通信装置1153が搭載されている。なお、制御基板1150の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。
【0055】
そして、サーバシステム1100は、制御基板1150が所定のプログラムおよびデータに基づいて演算処理することにより、ユーザ登録等に係るユーザ管理機能と、登録ユーザであるプレーヤ2(2a,2b,…)がユーザ端末1500(1500a,1500,…)でゲームプレイするのに必要なデータを提供する機能と、を実現する。
【0056】
なお、サーバシステム1100は単体の装置として図示しているが、各機能を分担する複数のブレードサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であっても良い。或いは、離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、通信回線9を介してデータ通信させることで、全体としてサーバシステム1100として機能させる構成であっても良い。
【0057】
ユーザ端末1500(1500a,1500,…)は、ユーザであるプレーヤ2(2a,2b,…)がゲームプレイのために個別に使用するコンピュータシステムであって、通信回線9を介してサーバシステム1100にアクセスできる電子装置(電子機器)である。機能的に言えば、ユーザ端末1500はゲーム装置となるものである。本実施形態のユーザ端末1500は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる装置であるが、携帯型ゲーム装置や、タブレット型コンピュータ、コンパクトデジタルカメラ、などでもよい。
【0058】
図2は、本実施形態におけるユーザ端末1500の構成例を示す正面図である。
ユーザ端末1500は、方向入力キー1502と、ボタンスイッチ1504と、画像表示デバイス兼接触位置入力デバイスとして機能するタッチパネル1506と、スピーカ1510と、内蔵バッテリー1509と、マイク1512と、イメージセンサーユニット1520と、制御基板1550と、コンピュータ読み出し可能な記憶媒体であるメモリカード1540からデータを読み書きできるメモリカード読取装置1542と、を備える。その他、図示されていない電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。また、ゲームプレイの対価の支払いが可能なICカード型のクレジットカードやプリペイドカードに対して非接触にデータの読み書きが行えるICカード読取装置などを設けるとしてもよい。
【0059】
制御基板1550は、
1)CPU1551や、GPU,DSPなどの各種マイクロプロセッサ、
2)VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1552、
3)通信回線9に接続する携帯電話基地局や無線LAN基地局などと無線通信するための無線通信モジュール1553、
4)方位を計測する方位センサ1554、
5)測位システムを利用して自機の緯度・経度等の測位情報を取得する測位モジュール1555、
6)3軸加速度センサ1556、
7)3軸ジャイロ1557、
8)インターフェース回路1558、などを搭載する。
【0060】
測位モジュール1555は、ユーザ位置を取得するための手段である。本実施形態では既存の測位システムを利用して現実空間における位置座標を取得することができる手段とする。すなわち、測位モジュール1555は、測位システムから提供される信号を受信して所定周期で(例えば1秒毎に)測位情報を出力することで、ユーザ端末1500における測位機能を提供する。本実施形態では、測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を利用する。よって測位モジュール1555は、既存の「GPSモジュール」や「GPS受信器」等を利用することができる。「測位情報」には、測位日時(例えば協定世界時であるUTC:Coordinated Universal Time)、位置座標(緯度・経度・高度)、方位などが含まれる。利用する測位システムはGPSに限らず適宜選択可能である。例えば、測位モジュール1555は、携帯電話の無線基地局やWi-Fiネットワークの無線基地局などと無線接続する通信機と、方位センサとの構成で置き換えることができる。すなわち、接続中の無線基地局について予め測位されている位置情報を取得して、これを自機の現実空間における位置座標とするとしてもよい。
【0061】
インターフェース回路1558には、タッチパネル1506のドライバ回路、方向入力キー1502およびボタンスイッチ1504からの信号を受信する回路、スピーカ1510へ音声信号を出力する出力アンプ回路、マイク1512で集音した音声の信号を生成する入力信号生成回路、イメージセンサーユニット1520で撮影された画像の画像データを入力する回路、メモリカード読取装置1542への信号入出力回路、などが含まれている。
【0062】
制御基板1550に搭載されているこれらの要素は、バス回路などを介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。なお、制御基板1550の一部又は全部をASICやFPGA、SoCにて構成してもよい。そして、制御基板1550は、本実施形態のゲームのユーザ端末としての機能を実現させるためのプログラムや各種データをICメモリ1552に記憶する。
【0063】
なお、本実施形態では、ユーザ端末1500はゲームプログラムや各種設定データをサーバシステム1100からダウンロードする構成としているが、別途入手したメモリカード1540などの記憶媒体から読み出す構成としても良い。また、以降では、イメージセンサーユニット1520を簡略して「カメラ」と呼ぶこととする。
【0064】
[ゲームの説明]
図3は、本実施形態のゲームについて説明するための概念図である。
本実施形態のゲームは、現実世界の街中をプレイフィールドとして、現実世界に隠れている幻のキャラクタを発見し収集することを目的とした位置認識型の拡張現実を用いたゲームである。また、本実施形態のゲームは、街中でプレイしつつも、観光や、ショッピング、催しものへの参加などを積極的に推進すべく、観光スポットやショッピングスポットの情報を拡張現実を用いてプレーヤに提供する拡張現実サービスや拡張現実コンテンツとも言えるものである。
【0065】
プレイフィールドとされる地理的範囲には、ゲーム提供者により複数の拡張現実オブジェクトARn(AR1,AR2,…)が、それぞれ位置情報と対応づけられて定義されている。
【0066】
「位置情報」は、少なくとも緯度と経度とを含む。その他として標高を含めても良いし、建物内であればフロアー数を含めてもよい。
【0067】
拡張現実オブジェクトARnに係る各種設定に関する情報は、拡張現実オブジェクト定義データ510により定義されている。拡張現実オブジェクト定義データ510は、固有のオブジェクトID511と、オブジェクトの見かけ上の分類にあたるタイプ512と、設定位置座標513と、オブジェクトデータ514と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0068】
タイプ512の種類は適宜設定可能であるが、本実施形態では、ゲーム要素である「キャラクタオブジェクト」と、主に広告や経路案内等の位置情報等の提供に使用されるオブジェクトである「バナーオブジェクト(位置情報オブジェクト)」と、を含む。前者は、図3中の拡張現実オブジェクトAR8、AR9がこれに該当する。後者は、図中の拡張現実オブジェクトAR1~AR7がこれに該当する。それぞれを画面に表示するためのデータは、オブジェクトデータ514に設定されている。
【0069】
設定位置座標513は、当該拡張現実オブジェクトに対応づけられている位置情報である。ジオタグと呼んでも良い。
【0070】
ユーザ端末1500は、ゲームプログラムを実行することで、拡張現実オブジェクト定義データ510をサーバシステム1100から取得する。そして、自機で計測される位置情報・姿勢・方位に基づいて、カメラの撮影方向Dp(イメージセンサーユニット1520の撮影方向の意。)を判定し、カメラの光学系諸元に基づいて撮影範囲を判定する。
【0071】
そして、自機の現在の位置情報を基準に、カメラの撮影範囲にその対応づけられている位置情報が含まれる拡張現実オブジェクトARnを選択し、カメラで今まさに撮影している撮影中画像(ファインダー画像とも呼ばれる)に、選択した拡張現実オブジェクトARnを合成表示させる。こうした拡張現実の表示制御を本実施形態では「第1表示モード」と呼ぶこととする。
【0072】
図4は、第1表示モードにおける表示画像の例を示す図である。
登録ユーザであるプレーヤ2は、コンパクトカメラで風景を撮影するかのごとく、ユーザ端末1500を片手或いは両手で持ち、前方に突き出すように支えながらプレイする(図1参照)。タッチパネル1506には、ゲーム画面20と、操作アイコン22(22a,22b,…)とが表示される。勿論、これら以外にも通信状況表示や、内蔵バッテリーの残量表示など、その他の表示も適宜含めることができる。
【0073】
ゲーム画面20では、カメラ(イメージセンサーユニット1520)によりその時々にリアルタイムに撮影されている撮影中画像21に、その時々に選択された拡張現実オブジェクトARn(図4の例では、AR2,AR3、AR4、AR5、AR8)が合成表示されている。
【0074】
カメラの撮影範囲に含まれる拡張現実オブジェクトARnの幾つを、どのように表示するか、言い換えると表示位置と表示向きと表示サイズとは、別途、配置アルゴリズムを用意してそれに従うものとする。本実施形態では、ユーザ端末1500から近い順に「5つ」選択し、ユーザ端末1500に近い程より大きな表示サイズとし、遠い程相対的に画面上方へ表示する。但し、拡張現実オブジェクトARnが、キャラクタオブジェクト(図4中の拡張現実オブジェクトAR8)の表示サイズについてはその対象外とし、キャラクタ設定が示すサイズから遠近法に基づいて表示サイズを決定することとする。
【0075】
従来の拡張現実と同様に、プレーヤ2が撮影方向を変化させれば、ユーザ端末1500は位置・姿勢が変化して計測結果としてこれを検出し、当該変化に応じて表示画像中の拡張現実オブジェクトARnの表示位置を変化させる。勿論、キャラクタオブジェクトである拡張現実オブジェクトAR8の表示位置も計測結果の変化に応じて変更することができる。こうした表示位置の変化制御は、拡張現実による画像表示の特徴の1つである。
【0076】
そして、本実施形態では、ゲーム画面20の表示制御を、第1表示モードから第2表示モードへ切り替えたり、また第2表示モードから第1表示モードに戻したりすることができる。
【0077】
前提として、撮影中画像21は、一定時間分バッファされ、古い順から順次自動的に消去される。つまり、撮影中画像21は、撮影された時系列にリングバッファに随時更新記録されていく。
そして、ユーザ端末1500は、「第2表示モード」では、リングバッファに記録された過去の撮影中画像21に、拡張現実オブジェクトARnの画像を合成して表示する。
【0078】
図5は、第2表示モードにおける表示画像の例を示す図である。
第2表示モードでは、リングバッファに記録されている過去の撮影中画像21のうち、切り替え前の第1表示モードで表示されていた撮影中画像21を、第2表示モードで表示させる過去の撮影中画像21とする。具体的には、その時リアルタイムで撮影されている画像に代えて、切り替えが実行される所定時間或いは所定描画フレーム数前の、リングバッファに記録されている過去の画像を選択して読み出して、ゲーム画面20の背景として表示制御する。故に、図5の例では、図4にて背景とされた撮影中画像21と同じになっている。
【0079】
そして、第2表示モードにおいては、ユーザ端末1500は、プレーヤ2に表示モードが変化した旨の通知を行う。
【0080】
第1の通知は、拡張現実オブジェクトARnの表示位置を、第1表示モードにおける表示位置から変更することで、実現される。
具体的には、ユーザ端末1500は、位置情報オブジェクトである「バナー」タイプの拡張現実オブジェクトARnについて、切り替え前の第1表示モードで表示されていた撮影中画像21に表示されていた表示位置を変化させて合成して表示させることで、第1の通知を実現する。
【0081】
より具体的には、図5のように、ゲーム画面20の縁部に寄せるように表示位置を変化させる。ゲーム画面20の四囲のうちのどの縁部に向けて寄せるかは適宜設定可能である。必ず、上方の縁部に寄せるとしても良いし、表示モードの切り替えに係る撮影方向の変化と逆方向に該当する縁部に寄せるとしても良い。例えば、表示モードの切り替え時に撮影方向が下方へ変化したことが計測されていた場合には、上方の縁部に寄せるといった具合である。プレーヤは、表示モードの切り替え前に表示されていた拡張現実オブジェクトARnが、ゲーム画面20の縁部に寄せられたその様子から、表示モードが変わったことを理解する。
【0082】
但し、「キャラクタ」タイプの拡張現実オブジェクトARn(図4の例では拡張現実オブジェクトAR8)については、ユーザ端末1500は、当該オブジェクトの画像を所定の表示位置に表示させるように制御する。具体的には、第2表示モードへ切り替える前の第1表示モードで表示されていた当該オブジェクトの表示位置に、当該オブジェクトの画像を表示させる。
【0083】
また、操作アイコン22についても、第2表示モードに切り替わっても、第1表示モードと同じ表示位置に同じように表示させる。
【0084】
第2の通知は、ゲームイベントの発生により実現される。すなわち、第2表示モードへの切り替えを行うと、ユーザ端末1500は、所与のゲームイベントを発動させる。ゲームイベントの内容は、適宜設定可能である。例えば、表示されている拡張現実オブジェクトARnがキャラクタオブジェクトである場合には、当該キャラクタに関する動画の再生や、当該キャラクタの特別なモーションの実行、当該キャラクタを用いたミニゲーム(例えば、ジャンケンゲームなど)を実行するとしてもよい。図5の例では、ジャンケンゲームのイベントが発動した様子を描いており、イベント通知23がポップアップ表示されている。なお、本実施形態では、ユーザ端末1500が、切り替え前のユーザ端末1500の位置や姿勢の計測結果に基づいてゲームイベントの内容を変更する。
【0085】
そして、第2表示モード中に、プレーヤ2が撮影方向を変化させ、ユーザ端末1500がその位置・姿勢の変化を検出したとしても、ユーザ端末1500は、第1表示モードのように当該変化に応じて表示画像中の拡張現実オブジェクトARnの表示位置を変化させることはせず、表示位置を保持し続ける。つまり、リアルタイムに拡張現実オブジェクトARnを随時選択して、カメラで撮影している撮影中画像21に合成して表示することは、一時休止になる。
【0086】
第1表示モードから第2表示モードへの切り替えは、操作アイコン22のうち小休止操作を実行させるアイコン(図4の例では、「ポーズ」と書かれた第3の操作アイコン22c)をタッチ操作することで実行されるが、所定の条件が満たされることでも自動的に実行される。
【0087】
自動的な実行のための条件を「小休止切替条件」と言う。そして、本実施形態の「小休止切替条件」は、幾つかのサブ条件のAND又はORで組み合わせることで定義される。小休止切替条件を記述するサブ条件としては次の例を用いることができる。
【0088】
第1のサブ条件は、第1表示モードで表示されている拡張現実オブジェクトARnについての条件であって「表示中オブジェクト条件」と呼べる。
例えば、表示中オブジェクト条件522aは、例えば「レベル「1」以上のキャラクタが表示中」「表示されているオブジェクト数が5個以上」などとすることができる。
また例えば、第1表示モードにおいてキャラクタオブジェクト(タイプが「キャラクタ」である拡張現実オブジェクトARn)の画像が表示されていて、且つ、当該キャラクタオブジェクトの特性情報が所与の条件を満たす」とすることができる。
ここで言う「特性情報」とは、キャラクタオブジェクトに対応付けられているレベルおよび/又は属性の情報を含む。例えば、「レベル1以上(mは自然数)」「全属性」「レベル5以上で火属性」などである。
【0089】
第2のサブ条件は、ゲーム進行状況についての条件であって「ゲーム進行条件」と呼べる。ゲーム進行条件522bは、例えば、「獲得済キャラクタ数が「10」以上「20」未満」「イベントクリア数「5」以上」などとすることができる。勿論、これら以外のパラメータも用いることができる。特性情報を用いることもできる。
【0090】
第3のサブ条件は、撮影方向に関する条件であって「撮影方向条件」と呼べる。
撮影方向条件522cは、撮影方向の現状や、撮影方向の変化に関する条件として記述することができる。例えば「北を中心に東西45°範囲を向いている」などと設定することができる。また、「位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される撮影方向が、所定の撮影方向変化条件を満たす」などと設定することができる。
【0091】
ここで言う「撮影方向変化条件」は、位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、重力方向に近づくように変化した場合の変化角度に基づいて定めると好適である。
例えば、図6に示すように「(1)撮影方向Dpが所定の許容範囲W1内(例えば、水平方向を0°として、俯角側をマイナス、仰角側をプラスとした場合に、マイナス5°~プラス80°)に収まり、(2)撮影方向Dpの変化が所定範囲W2内(例えば、3°以内)に収まる状態が所定時間(例えば、10秒)以上継続した後に、(3)下方に向けて所定の基準値(例えば10°)を超える変化ΔDpをし、且つ、(4)撮影位置が降下するような加速度変化ΔGzを検出した」場合、とすることができる。
【0092】
また例えば「撮影方向変化条件」は、位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、第1表示モード用に定められた角度範囲(例えば、水平方向を0°として、マイナス5°~プラス80°)から、第2表示モード用に定められた角度範囲(例えば、マイナス15°以下)に変化したこと、として定めることができる。
【0093】
これらの撮影方向変化条件の例を採用した場合、プレーヤがユーザ端末1500を持つ手を下ろすと、自動的に表示モードを第2表示モードへ切り替えることになる。
例えば、プレーヤが、キャラクタオブジェクトである拡張現実オブジェクトARnを見つけて、捕獲操作をするためにユーザ端末1500を持つ手を下ろしたり、好みの構図でキャラクタオブジェクトを撮影するためにユーザ端末1500を持つ手を下ろすと、自動的に第2表示モードに切り替わることになる。
勿論、単にユーザ端末1500を持つ手が疲れたので下ろした場合や、他者との衝突を回避するために急に持つ手を下ろした場合でも、自動的に表示モードが切り替わることになる。
【0094】
第4のサブ条件は、ユーザ端末1500の位置や位置の変化に関する条件であって「位置条件」と呼べる。位置条件522dは、例えば、「移動速度が基準値(例えば、時速10km)以上」「高度が20m以上変化」「5秒以上静止又は略静止後に降下したことを検出」などと設定することができる。
【0095】
第5のサブ条件は、ユーザ端末1500の姿勢や姿勢の変化に関するサブ条件である「姿勢条件」と呼べる。姿勢条件522eは、例えば「ピッチ角マイナス5°~プラス80°」「2秒以内にピッチ角マイナス10°以上変化」「2G以上の姿勢変化検出」などと設定することができる。
【0096】
本実施形態はゲームであるため、第1のサブ条件「第1表示モードにおいてキャラクタオブジェクトの画像が表示されている」で小休止切替条件を構成するか、又は、少なくとも当該第1のサブ条件を含む小休止切替条件とすると好適である。なお、第1のサブ条件から第5のサブ条件の何れも、実質的に条件が無いことを意味する「条件なし」を設定することができる。
【0097】
第2表示モードから第1表示モードへの切り替えは、操作アイコン22のうち小休止操作に関するアイコン(図5の例では、第3の操作アイコン22c)をタッチ操作することで実行されるが、第2表示モードへの切り替えの後に、所定の回復切替条件を満たした場合には自動的に第1表示モードへの切り替えが実行される。
【0098】
ここで言う「回復切替条件」とは、「小休止切替条件」の対となる内容として定めることができる。例えば、回復切替条件は、「位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す所定の撮影方向回復条件を満たしたこと」、を少なくとも満たすように定めると好適である。複数のOR条件で回復切替条件を設定する場合は、複数のOR条件のうちの1つの条件に「位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す所定の撮影方向回復条件を満たしたこと」とすると好適である。また、ユーザ端末1500が、第2表示モードに切り替え後の経過時間を経時する構成とするならば「切り替え後から、所定時間経過」をOR条件の1つの条件とするとしてもよい。
【0099】
[機能構成の説明]
図7は、本実施形態におけるユーザ端末1500の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態のユーザ端末1500は、操作入力部100と、撮影部120と、端末処理部200と、音出力部390と、画像表示部392と、通信部394と、端末記憶部500と、を備える。
【0100】
操作入力部100は、プレーヤ2によってなされた各種の操作入力に応じた操作入力信号を端末処理部200に出力する。例えば、プッシュスイッチや、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、などによって実現できる。図2の方向入力キー1502や、ボタンスイッチ1504、タッチパネル1506がこれに該当する。
【0101】
また、本実施形態ではユーザ端末1500の移動や、姿勢の変化(向きの変化)などもユーザ操作の一部と見なされる。よって、操作入力部100は、測位部102と、方位計測部104と、加速度計測部106と、姿勢計測部108と、を有する。
【0102】
測位部102は、ユーザ端末1500の位置情報を取得し端末処理部200へ出力する。図2の測位モジュール1555がこれに該当する。
【0103】
方位計測部104は、ユーザ端末1500が向いている方位を計測し、端末処理部200へ出力する。図2の方位センサ1554がこれに該当する。
【0104】
加速度計測部106は、ユーザ端末1500に生じた加速度を計測し、端末処理部200へ出力する。図2の3軸加速度センサ1556がこれに該当する。
【0105】
姿勢計測部108は、ユーザ端末1500の姿勢変化を計測し、端末処理部200へ出力する。図2の3軸ジャイロ1557がこれに該当する。
【0106】
撮影部120は、外部の様子を撮影し、その画像データを生成して端末処理部200へ出力する。図2のイメージセンサーユニット1520がこれに該当する。
【0107】
端末処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100、撮影部120、端末記憶部500を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号、撮影部120で撮影した画像の画像データ、サーバシステム1100から受信した各種データに基づいて各種の演算処理を実行して、ユーザ端末1500の動作を制御する。図2の制御基板1550がこれに該当する。
【0108】
そして、本実施形態における端末処理部200は、ゲーム管理部210と、計時部280と、音生成部290と、画像生成部292と、通信制御部294と、を有する。
【0109】
ゲーム管理部210は、ゲームを管理する各種処理を実行する。そして、ゲーム管理部210は、撮影中画像保存制御部211と、ゲーム進行制御部212と、第1表示モード制御部214と、第2表示モード制御部216と、ゲームイベント制御部218と、モード切替制御部220と、切替通知制御部230と、操作アイコン表示制御部232と、を有する。
【0110】
撮影中画像保存制御部211は、撮影部120で撮影された画像(その時々の撮影中画像)を、過去所定時間分、端末記憶部500に記憶する制御を行う。いわゆる、リングバッファ制御を行う。保存されている画像が「過去の撮影中画像」となる。
【0111】
ゲーム進行制御部212は、キャラクタオブジェクトに基づき進行が変化する所定のゲームを進行制御する。
【0112】
第1表示モード制御部214は、撮影部120で撮影されている撮影中画像に所与の拡張現実オブジェクトARnの画像を合成して画像表示部392に表示させる第1表示モードの表示制御を行う。その際、位置姿勢計測機能の計測結果の変化に応じて、表示画像中の拡張現実オブジェクトARn(キャラクタオブジェクトを含む)の表示位置を変更することで、第1表示モードの表示制御を行う。つまり、測位部102によって得られる位置情報、方位計測部104で計測される方位、加速度計測部106で計測される移動、姿勢計測部108で計測される姿勢などの計測結果の変化に応じて、表示させる拡張現実オブジェクトARnを選択し、その表示位置と表示サイズを逐一更新する制御を繰り返し実行する。
【0113】
第2表示モード制御部216は、過去の撮影中画像に拡張現実オブジェクトARnの画像を合成して画像表示部392に表示させる第2表示モードの表示制御を行う。
具体的には、第2表示モード制御部216は、過去の撮影中画像として、表示モードの切り替え前の第1表示モードで表示されていた撮影中画像を採用することで第2表示モードの表示制御を行う。また、第2表示モード制御部216は、キャラクタオブジェクトである拡張現実オブジェクトARnの画像については、切り替え前の第1表示モードで表示されていたキャラクタオブジェクトの表示位置に表示させるように表示制御を行う。位置情報オブジェクトである拡張現実オブジェクトARnの画像については、第2表示モード制御部216は、切り替え前の第1表示モードで表示されていた撮影中画像に、当該第1表示モードで表示されていた当該位置情報オブジェクトの画像を、表示位置を変化させて合成して画像表示部392に表示させる。
【0114】
ゲームイベント制御部218は、第2表示モードへの切り替えが行われた場合に所与のゲームイベントを発動させる。その際、ゲームイベント制御部218は、切り替え前の位置姿勢計測機能の計測結果に基づいてゲームイベントの内容を変更することができる。
【0115】
モード切替制御部220は、第1表示モードと、第2表示モードとの間で表示モードの切り替え制御を行う。
具体的には、モード切替制御部220は、小休止切替部222を有する。
小休止切替部222は、小休止切替条件を満たした場合に、第1表示モードから第2表示モードへの切り替えを行う。本実施形態では、第1表示モードにおいて表示されているキャラクタオブジェクトに設定され得る特性情報に応じた複数種類の小休止切替条件が用意されており、小休止切替部222は、第1表示モードにおいて表示されているキャラクタオブジェクトの特性情報に応じた種類の小休止切替条件を満たす場合に、第1表示モードから第2表示モードへ切り替える制御を行う。
【0116】
また、モード切替制御部220は、回復切替部224を有する。
回復切替部224は、第2表示モードへの切り替えの後に、所定の回復切替条件を満たした場合に、第2表示モードから第1表示モードへと切り替える制御を行う。
【0117】
切替通知制御部230は、第2表示モードへの切り替えが行われた場合に、切り替えが行われた旨の通知を行う。本実施形態では、第2表示モードにて、切り替え前に第1表示モードで表示されていた拡張現実オブジェクトARnについて、その表示位置を、第1表示モードにおける表示位置から変化させることで、第1の通知としている。よって、切替通知制御部230の機能の一部は、第2表示モード制御部216の機能によって実現される。
【0118】
操作アイコン表示制御部232は、表示モードの切り替えに関わらず、所与の操作アイコンを画像表示部392の所定位置に表示する制御を行う。
【0119】
計時部280は、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の計時を行う。
【0120】
音生成部290は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、音声合成ICなどのプロセッサ、音声ファイルを再生可能なオーディオコーデック等によって実現され、ゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部390に出力する。
音出力部390は、音生成部290から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図2のスピーカ1510がこれに該当する。
【0121】
画像生成部292は、ゲーム画像等の画像を生成することができる。画像を表示させるための信号を画像表示部392へ出力する。
画像表示部392は、ゲーム画面表示制御部262から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。本実施形態では、図2のタッチパネル1506がこれに該当する。
【0122】
通信制御部294は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
通信部394は、通信回線9と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図2の無線通信モジュール1553がこれに該当する。
【0123】
端末記憶部500は、端末処理部200にユーザ端末1500を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや、各種データ等を記憶する。また、端末処理部200の作業領域として用いられ、端末処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。こうした機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスクなどによって実現される。図2の制御基板1550が搭載するICメモリ1552やメモリカード1540がこれに該当する。オンラインストレージを利用する構成も可能である。
【0124】
図8は、端末記憶部500が記憶するプログラムやデータの例を示す図である。端末記憶部500は、ゲームプログラム502と、拡張現実オブジェクト定義データ510と、小休止切替条件定義データ520と、通知パターン定義データ530と、第1表示モード定義データ540と、第2表示モード定義データ542と、プレイデータ700と、現在日時800と、を含む。勿論、これら以外のプログラムやデータも適宜含めることができる。
【0125】
ゲームプログラム502は、端末処理部200が読み出して実行することで、ゲーム管理部210としての機能を実現させるためのプログラムである。
【0126】
拡張現実オブジェクト定義データ510は、拡張現実オブジェクトARn毎に用意され、当該オブジェクトに係る各種設定データを格納する。オリジナルデータは、サーバシステム1100にて管理されており、ユーザ端末1500は定期的に拡張現実オブジェクト定義データ510をサーバシステム1100からダウンロードして更新する。
【0127】
1つの拡張現実オブジェクト定義データ510は、例えば図9に示すように、固有のオブジェクトID511と、タイプ512と、設定位置座標513と、オブジェクトデータ514と、固有通知制御データ515と、特性情報516と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0128】
固有通知制御データ515は、表示モードが第1表示モードから第2表示モードに変更されたことをプレーヤへ通知するためのデータであって、当該オブジェクトに固有の通知を実現するためのデータである。例えば、当該オブジェクトが、位置情報オブジェクトであれば、表示形態の変更パターンや、ジャンピングなどのモーション、を実現するためのデータを設定することができる。当該オブジェクトが、キャラクタオブジェクトであれば、当該キャラクタの2次元画像を表示するいわゆるカットイン画像、キャラクタに特別なモーションを実現させるためのデータ、などを設定することができる。
【0129】
特性情報516は、当該オブジェクトに関連する情報を格納する。例えば、当該オブジェクトが、位置情報オブジェクトであって、例えば店舗位置を示すオブジェクトならば、店舗のウェブサイトのURL、店舗の開店時間や連絡先のテキスト、店舗の外観画像、などのデータを設定することができる。当該オブジェクトが、キャラクタオブジェクトであれば、当該キャラクタの種類、レベル、属性、などのデータを設定することができる。
【0130】
なお、ユーザ端末1500は、位置情報オブジェクトの拡張現実オブジェクトARnが表示されていて、プレーヤがこれをタッチ操作したことを検出すると、特性情報516がURLを含むならばウェブブラウザを起動させ、テキストを含むならば、それをポップアップ表示することができる。
【0131】
図8に戻って、小休止切替条件定義データ520は、小休止切替条件の種類毎に用意され、当該条件についての各種データを格納する。
1つの小休止切替条件定義データ520は、例えば図10に示すように、固有の切替条件ID521と、小休止切替条件522と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0132】
小休止切替条件522は、小休止切替条件の内容を定義する。小休止切替条件522は、例えば、
1)第1表示モードで表示されている拡張現実オブジェクトARnについてのサブ条件である表示中オブジェクト条件522aと、
2)ゲーム進行状況についてのサブ条件であるゲーム進行条件522bと、
3)撮影方向に関するサブ条件である撮影方向条件522cと、
4)ユーザ端末1500の位置や位置の変化に関するサブ条件である位置条件522dと、
5)ユーザ端末1500の姿勢や姿勢の変化に関するサブ条件である姿勢条件522eと、
を含む。勿論、これら以外のサブ条件も適宜利用できる。また、小休止切替条件522には、各サブ条件をOR条件とするか、AND条件とするかの情報が含まれる。
【0133】
図8に戻って、通知パターン定義データ530は、表示モードが切り替わったことをプレーヤに通知する通知パターン毎に用意され、当該通知パターンを実現するための各種設定を格納する。1つの通知パターン定義データ530は、例えば図11に示すように、固有のパターンID531と、当該通知パターンが適用されるために満たすべき適用要件532と、適用通知パターンの内容を示すパターン内容533と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0134】
適用要件532は、小休止切替条件定義データ520の小休止切替条件522と同様の単数のサブ条件、複数のサブ条件のAND又はOR、で記述される。
【0135】
パターン内容533は、通知を実行するために必要なデータを格納する。例えば、適用要件532が、ある特定のキャラクタが第1表示モードで表示されていることである通知パターン定義データ530については、当該キャラクタの固有通知制御データ515を利用することを、パターン内容533として設定することができる。例えば、固有通知制御データ515でモーションが定義されていた場合には、当該キャラクタにそのモーションを行わせるように表示制御することで、通知を実現する。また、あるゲームイベントを発生させる場合には、当該ゲームイベントを実行するためのデータがパターン内容533に設定され、当該ゲームイベントを実行することで通知を実現する。
【0136】
図8に戻って、第1表示モード定義データ540は、第1表示モードにおいて、拡張現実オブジェクトARnをどの位置にどのサイズで表示するかを決定するための各種データを格納する。例えば、表示位置(第1表示位置)を決定するための関数である第1表示位置算出関数と、表示サイズ(第1表示サイズ)を決定するための関数である第1表示サイズ決定関数と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0137】
第2表示モード定義データ542は、第2表示モードにおいて、拡張現実オブジェクトARnをどの位置にどのサイズで表示するかを決定するための各種データを格納する。例えば、表示位置(第2表示位置)を決定するための関数である第2表示位置算出関数と、表示サイズ(第2表示サイズ)を決定するための関数である第2表示サイズ決定関数と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0138】
プレイデータ700は、ゲーム進行状況を記述する各種データを格納する。
例えば、プレイ開始日時701と、捕獲済キャラクタオブジェクトIDリスト703と、拡張現実管理データ710と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0139】
拡張現実管理データ710は、拡張現実オブジェクトARnの表示を管理するための各種データを格納する。拡張現実管理データ710は、例えば図12に示すように、最新位置座標711と、最新方位712と、最新姿勢713と、最新撮影方向714と、最新撮影範囲715と、撮影中画像を一定時間分保存するためのリングバッファ720と、表示対象オブジェクトIDリスト721と、オブジェクト管理データ730と、第1表示モードおよび第2表示モードの何れが設定されているかを示す現在表示モード740と、小休止切替条件判定用データ741と、切替日時742と、回復切替条件判定用データ743と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0140】
表示対象オブジェクトIDリスト721は、拡張現実オブジェクト定義データ510で定義される拡張現実オブジェクトARnのうち、その時々の最新撮影方向714と最新撮影範囲715とに基づいて撮影中画像内に表示させる表示対象として選択された拡張現実オブジェクトARnのオブジェクトIDのリストである。
【0141】
オブジェクト管理データ730は、表示対象とされる拡張現実オブジェクトARn毎に用意され、その表示制御に係る各種データを格納する。1つのオブジェクト管理データ730は、固有のオブジェクトID731と、表示位置732と、表示サイズ733と、表示動作734と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0142】
小休止切替条件判定用データ741は、小休止切替条件が満たされているか否かを判定するために必要とされるデータを格納する。本実施形態では、撮影方向が安定している時間を含む小休止切替条件が設定されているので、例えば撮影方向の変化が所定の誤差条件を満たす範囲内をキープしている時間である安定時間をカウントするカウンタ値が格納される。
【0143】
切替日時742は、第1表示モードから第2表示モードへの切り替えが実行されたタイミングの現在日時800が格納される。
【0144】
回復切替条件判定用データ743は、回復切替条件を判定するためのデータが格納される。本実施形態では、位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す所定の撮影方向回復条件を満たしたこと、とする回復切替条件が少なくとも設定されるので、回復切替条件判定用データ743には、第2表示モードへの切り替え前の撮影方向が格納される。
【0145】
[動作の説明]
次に、ユーザ端末1500における処理の流れについて説明する。ここで説明する処理の流れは、本実施形態では端末処理部200がゲームプログラム502を実行することにより実現される。
【0146】
なお、フローチャートでは省略されているが、ゲームが開始されて以降、操作アイコン22へのタッチ操作が検出されると、ユーザ端末1500は、その都度、タッチ操作された操作アイコン22に応じた処理を実行する操作対応処理を実行するものとする。
例えば、表示対象である拡張現実オブジェクトARnにキャラクタオブジェクトが含まれていて、且つ、所定のキャッチ操作入力を検出したならば、ユーザ端末1500は、当該キャラクタオブジェクトを獲得済に設定する。つまり、ゲームを進行させる。
【0147】
また例えば、表示対象である拡張現実オブジェクトARnに位置情報オブジェクトが含まれていて、プレーヤがその画像にタッチ操作したことが検出されると、ユーザ端末1500は、当該拡張現実オブジェクトARnの特性情報をプレーヤに提供する処理(例えば、特性情報の示すURLのウェブサイトの表示、特性画像の表示、など)を実行する。その他の操作アイコン22についてもそれぞれに対応付けられている処理が実行されるものとする。
【0148】
図13は、ユーザ端末1500における処理の流れを説明するためのフローチャートである。ユーザ端末1500は、先ず位置認識型の拡張現実を実現するための基礎情報の周期的で連続的な取得を開始する(ステップS10)。
具体的には、ユーザ端末1500は、測位モジュール1555により測位を開始し、方位センサ1554により撮影方向の方位の計測を開始し、3軸ジャイロ1557によるユーザ端末1500の姿勢の計測を開始し、3軸加速度センサ1556による加速度の計測を開始する。
【0149】
次に、ユーザ端末1500は、カメラでの撮影を開始し、撮影中画像のリングバッファ720への保存制御を開始する(ステップS12)。また、ユーザ端末1500は、最新撮影方向714と、最新撮影範囲715の逐次更新を開始して(ステップS14)、ゲーム進行制御を開始する(ステップS16)。
【0150】
次に、ゲームを開始したならば、ユーザ端末1500は、表示対象とする拡張現実オブジェクトARnを選択して、選択結果を表示対象オブジェクトIDリスト721に格納する(ステップS20)。
そして、ユーザ端末1500は、表示対象である拡張現実オブジェクトARnそれぞれについて表示位置と表示サイズを第1表示モード定義データ540に基づいて決定する(ステップS22)。これに伴い、表示対象である拡張現実オブジェクトARnのうち、対応するオブジェクト管理データ730が無いオブジェクトについては、新たにオブジェクト管理データ730が作成される。
【0151】
そして、ユーザ端末1500は、ゲーム画面を表示する(ステップS24)。具体的には、撮影中画像21に表示対象である拡張現実オブジェクトARnの画像を合成し、操作アイコン22を配置してゲーム画面としてこれを表示する。
【0152】
ユーザ端末1500は、次に、小休止操作の入力を検出したか、又は小休止切替条件が満たされたかを判定する(ステップS60)。具体的には、ユーザ端末1500は、小休止切替操作に対応する第3の操作アイコン22cへのタッチ操作を検出した場合は肯定判定する。また、小休止切替条件定義データ520(図10参照)のうち何れかの小休止切替条件522が満たされている場合も肯定判定する。
【0153】
そして、肯定の場合(ステップS60のYES)、ユーザ端末1500は、表示対象とする拡張現実オブジェクトARnの選択処理を一時休止し(ステップS62)、現在表示モード740を「2」に設定し、切替日時742に現在日時800を設定し、回復切替条件判定用データ743を設定する(ステップS64)。
【0154】
次いで、ユーザ端末1500は、最新の撮影中画像に代えて過去の撮影中画像を使用したゲーム画面を表示し(ステップS65)、表示対象である拡張現実オブジェクトARnの表示位置と表示サイズとを第2表示モード定義データ542に基づいて更新する(ステップS66)。
【0155】
次に、ユーザ端末1500は、通知パターンの選択と通知表示を行う(ステップS68)。具体的には、通知パターン定義データ530(図11参照)の中から、適用要件532が満たされている定義データを検索し、検索された定義データのパターン内容533を参照し、その定めに従って第2の通知を実行する。パターン内容533にゲームイベントが設定されている場合には、当該ゲームイベントを発動させる。
【0156】
次いで、ユーザ端末1500は、所定のゲーム終了条件が満たされているかを判定する。
もし、ゲーム終了条件が満たされておらず(ステップS80のNO)且つ、現在の表示モードが第1表示モードならば(ステップS82の第1)、ユーザ端末1500はステップS20に戻り、第1表示モードのままゲーム進行制御を続ける。
【0157】
もし、ゲーム終了条件が満たされておらず(ステップS80のNO)且つ、現在の表示モードが第2表示モードならば(ステップS82の第2)、ユーザ端末1500は回復切替条件が満たされているかを判定する(ステップS84)。そして、回復切替条件が満たされているならば(ステップS84のYES)、ステップS20に戻る。もし、回復切替条件が満たされていないならば(ステップS84のNO)、ステップS65に戻る。
【0158】
もし、ゲーム終了条件が満たされれば(ステップS80のYES)、ユーザ端末1500は、一連の処理を終了する。
【0159】
以上、本実施形態によれば、その時々で撮影されている現実世界の画像である撮影中画像に拡張現実オブジェクトを合成表示する第1表示モードと、過去の撮影中画像に拡張現実オブジェクトを合成表示した第2表示モードとを切り替えることができる。例えば、第1表示モードであるときに撮影方向を一時的に変える状況にあっても、第2表示モードに切り替えることで、撮影方向を変える前に表示されていた拡張現実オブジェクトの表示を維持され、しかも過去の撮影中画像にその拡張現実オブジェクトが合成表示される。このため、撮影方向を一時的に変える場合の不便を低減できる。
【0160】
また、第2表示モードにおいて、第2表示モードに切り替えられる前の撮影中画像が表示されるため、第2表示モードへの切り替え前の表示を一時保持(ポーズ)したかのようにユーザに見せることができる。
【0161】
また、拡張現実オブジェクトがキャラクタオブジェクトである場合、第2表示モードに切り替えられた後は、切り替え前の第1表示モードで表示されていたキャラクタオブジェクトの表示位置と同じ表示位置に同じキャラクタオブジェクトが表示されることとなる。よって、ユーザにとっては、キャラクタオブジェクトの表示位置が変化しないため、第2表示モードに切り替わったときに便宜である。
【0162】
また、位置情報オブジェクトの表示位置を、第1表示モードと第2表示モードとで異なるようにすることができる。これにより、例えば、表示モードが変わっていることをユーザに認識させ易い、といった効果が得られる。
【0163】
また、撮影方向の変化が所定の撮影方向変化条件を満たす場合に、自動的に第1表示モードから第2表示モードへの切り替えを実行できるようになる。
【0164】
また、撮影方向の仰俯角が重力方向に近づくように変化した場合に、自動的に第2表示モードへの切り替えを実行できるようになる。このため、例えば、腕が疲れて思わず腕を下ろしてしまって撮影方向が変わった場合に、自動的に第2表示モードに切り替えることができる。
【0165】
また、ユーザは、撮影方向の仰俯角を変化させることで、ボタン操作やタッチ操作などを行わずとも、第2表示モードへの切り替えを実行させることができるようにもなる。
【0166】
また、キャラクタオブジェクトの特性情報に基づいて、表示モードの切り替えが行われる条件を多様化できる。例えば、レベルの低いキャラクタオブジェクトは、簡単に小休止切替条件が満たされるが、レベルの高いキャラクタオブジェクトでは、そう簡単には小休止切替条件が満たさないように設定できるので、ゲームのやりごたえ感を醸成する仕組みとすることができ、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0167】
また、第2表示モードへの切り替えにともないゲームイベントを発動させることで、第2表示モードに切り替わったことを分かり易くユーザに報せることができる。加えて、第2表示モードへの切り替わりをゲーム進行演出の節目として利用し、ゲームを盛り上げることができる。
【0168】
また、第2表示モードへの切り替え前の位置姿勢計測機能の計測結果に基づいてゲームイベントの内容を変更することができるので、ゲームイベントに係る多様性を高め、興趣性のあるゲームとすることができる。
【0169】
また、第2表示モードから第1表示モードの回復に、位置姿勢計測機能の計測結果に基づき算出される仰俯角に関する撮影方向が、第2表示モードへの切り替え前の状態になったことを示す所定の撮影方向回復条件を満たしたこと、を少なくとも含む、ので、プレーヤがユーザ端末1500の向きや姿勢を撮影方向の仰俯角が第2表示モードへの切り替え前の状態に戻すと、第1表示モードに戻せるようになる。よって、表示モードの切り替えがユーザに直感的に理解し易くなる。
【0170】
また、表示モードの切り替えに関わらず、所与の操作アイコンを所定位置に表示することができるので、表示モードに係わらず、例えば、設定の変更、別機能の呼び出し、記念撮影、などといった操作アイコンを表示部の所定位置に表示することができる。
【0171】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様に実現されるが、ゲーム管理に係る処理主体がサーバシステム1100である点が異なる。つまり、本実施形態におけるゲームは、一種のクライアント・サーバ型のオンラインゲームとして実現される。なお、以降では、主に第1実施形態との差異について述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して説明は省略するものとする。
【0172】
図14は、本実施形態におけるサーバシステム1100の機能構成例を示す機能ブロック図である。本実施形態におけるサーバシステム1100は、操作入力部100sと、サーバ処理部200sと、音出力部390sと、画像表示部392sと、通信部394sと、サーバ記憶部500sとを備える。
【0173】
操作入力部100sは、サーバの管理のための各種操作を入力するための手段である。図1のキーボード1106がこれに該当する。
【0174】
サーバ処理部200sは、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100sやサーバ記憶部500sを含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100sからの操作入力信号、ユーザ端末1500から受信したデータ、等に基づいて各種の演算処理を実行して、サーバシステム1100の動作を統合的に制御する。
【0175】
そして、本実施形態のサーバ処理部200sは、ユーザ管理部202と、ゲーム管理部210と、計時部288sと、音生成部290sと、画像生成部292sと、通信制御部294sとを含む。勿論、これら以外の機能部も適宜含めることができる。
【0176】
ユーザ管理部202は、ユーザ登録手続きに係る処理およびユーザアカウントに紐付けられる各ユーザのデータの管理を行う。本実施形態では、ユーザ管理部202は、(1)登録ユーザへの固有のユーザアカウントの付与と、(2)ユーザアカウント別に個人情報を登録管理する登録情報管理と、(3)課金要素の支払いで消費される電子決済用の決済媒体の帳簿管理と、(4)ゲームプレイするためのログインおよびログアウトの履歴等を管理するプレイ履歴管理と、(5)ゲームセーブデータの管理と、の各機能を有する。勿論、これら以外のアカウントに紐付けられる他のデータの管理機能も適宜含めることができる。
【0177】
本実施形態のゲームは、クライアント・サーバ型のオンラインゲームなので、本実施形態のゲーム管理部210は、ゲーム進行制御並びにユーザ端末1500と通信を行いながらゲームプレイに必要なデータを提供する制御を行うことができる。
【0178】
計時部288sは、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の計時を行う。
【0179】
音生成部290sは、音声データの生成やデコードをするIC等により実現され、サーバシステム1100のシステム管理やゲームプレイに係る操作音やBGMなどの音声データを生成或いはデコードする。そして、システム管理に関する音声信号は音出力部390sへ出力する。
【0180】
音出力部390sは、音声信号を放音する。図1の例では本体装置1101やタッチパネル1108が備えるスピーカ(不図示)がこれに該当する。
【0181】
画像生成部292sは、サーバシステム1100のシステム管理に関する画像や、ゲーム画像(又はゲーム画像をユーザ端末1500で表示させるためのデータ)等を生成することができる。そして、システム管理に関する画像は画像表示部392sへ出力することができる。
【0182】
画像表示部392sは、画像生成部292sから入力される画像信号に基づいてシステム管理のための各種画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1の例ではタッチパネル1108が該当する。
【0183】
通信制御部294sは、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394sを介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0184】
通信部394sは、通信回線9と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。図1の例では通信装置1153が該当する。
【0185】
サーバ記憶部500sは、サーバ処理部200sにサーバシステム1100を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。また、サーバ処理部200sの作業領域として用いられ、サーバ処理部200sが各種プログラムに従って実行した演算結果などを一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。図1の例では本体装置1101が搭載するICメモリ1152やハードディスクなどの記憶媒体、およびストレージ1140がこれに該当する。
【0186】
サーバ記憶部500sは、サーバプログラム501と、配信用ゲームクライアントプログラム503と、拡張現実オブジェクト定義データ510と、小休止切替条件定義データ520と、通知パターン定義データ530と、第1表示モード定義データ540と、第2表示モード定義データ542と、ユーザ別に用意され登録情報やゲームセーブデータなどを格納するユーザ管理データ600と、プレイデータ700と、現在日時800と、を記憶する。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0187】
図15は、本実施形態におけるユーザ端末1500の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。第1実施形態のユーザ端末1500の機能構成(図7図8参照)と比較すると、本実施形態ではゲーム管理部210が省略されている。代わりに、ユーザ端末演算部260を備える。
【0188】
ユーザ端末演算部260は、操作信号送信制御部261と、ゲーム画面表示制御部262とを含む。
【0189】
操作信号送信制御部261は、操作入力部100へなされた操作に応じて、各種データやリクエストをサーバシステム1100へ送信するための処理を実行する。
【0190】
ゲーム画面表示制御部262は、サーバシステム1100から受信した各種データに基づいてゲーム画面を表示するための制御を行う。ゲーム画面の中には、コンテンツの実行に伴う画面・画像も含まれている。本実施形態では、ゲーム画面の画像データをサーバシステム1100にて生成する構成とするが、当該画像データを画像生成部292で生成する構成も可能である。
【0191】
本実施形態におけるサーバシステム1100で実行される処理の流れは、第1実施形態におけるユーザ端末1500におけるそれと基本的に同じであり(図13参照)、ゲーム管理部210をサーバシステム1100にて実行するのに合わせて、適宜各ステップの実行主体をサーバシステム1100と読み替えれば良い。
【0192】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0193】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0194】
[変形例その1]
例えば、上記第2実施形態では、クライアント・サーバ型のコンピュータシステムにてオンラインゲームを実現する例を挙げたが、ゲーム装置とも言える複数のユーザ端末1500(或いはユーザ端末1500)をピアツーピア接続したコンピュータシステムにおいて実現するとしてもよい。その場合、何れかのユーザ端末1500に第2実施形態におけるサーバシステム1100としての機能を担わせる。或いは、複数のユーザ端末1500でゲーム管理部210が有する機能を分担して担う構成としてもよい。
【0195】
[変形例その2]
また、上記実施形態では、位置認識型の拡張現実を利用したゲームを例示したが、ゲーム要素を省略し、観光案内サービスや経路案内サービスのアプリケーションプログラムとして実現してもよい。
【0196】
[変形例その3]
また、上記実施形態では、第2表示モードにおけるゲーム画面の背景を、過去の撮影中画像とする例を示したが、第1表示モードと同じく最新の撮影中画像を背景として使用する構成も可能である。或いは、記念撮影を実行する操作入力が検出された場合に限定して、第1表示モードと同じく最新の撮影中画像を背景として使用する構成も可能である。
【符号の説明】
【0197】
2…プレーヤ
20…ゲーム画面
21…撮影中画像
22…操作アイコン
102…測位部
106…加速度計測部
108…姿勢計測部
120…撮影部
200…端末処理部
210…ゲーム管理部
211…撮影中画像保存制御部
212…ゲーム進行制御部
214…第1表示モード制御部
216…第2表示モード制御部
218…ゲームイベント制御部
220…モード切替制御部
222…小休止切替部
224…回復切替部
230…切替通知制御部
232…操作アイコン表示制御部
500…端末記憶部
502…ゲームプログラム
510…拡張現実オブジェクト定義データ
516…特性情報
520…小休止切替条件定義データ
522…小休止切替条件
522a…表示中オブジェクト条件
522b…ゲーム進行条件
522c…撮影方向条件
522d…位置条件
522e…姿勢条件
530…通知パターン定義データ
540…第1表示モード定義データ
542…第2表示モード定義データ
700…プレイデータ
710…拡張現実管理データ
711…最新位置座標
714…最新撮影方向
720…リングバッファ
721…表示対象オブジェクトIDリスト
730…オブジェクト管理データ
741…小休止切替条件判定用データ
743…回復切替条件判定用データ
1000…ゲームシステム
1100…サーバシステム
1500…ユーザ端末
1520…イメージセンサーユニット
1550…制御基板
1555…測位モジュール
1556…3軸加速度センサ
1557…3軸ジャイロ
ARn…拡張現実オブジェクト
Dp…撮影方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15