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特許7398212情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20231207BHJP
【FI】
G16H20/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019115845
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021002234
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹下 明子
(72)【発明者】
【氏名】三井 浩一郎
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035622(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121473(US,A1)
【文献】国際公開第2019/003446(WO,A1)
【文献】特開2016-123435(JP,A)
【文献】特開2017-189615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された当該乳幼児の体動を示す体動情報と、当該乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、前記乳幼児に関する事象として、前記乳幼児自身が行った行動と前記乳幼児に対して他人が行った行動とを判定する判定部と、
前記判定部により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録部と
を有し、
前記判定部は前記乳幼児自身が行った行動として、前記体動情報が示体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、前記乳幼児が排泄したと判定し、前記他人が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が前記乳幼児の吸収性物品を交換したと判定す
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、さらに、乳幼児自身が行った行動として、前記乳幼児の睡眠、寝返り、這い這いによる移動、母乳飲んだことを判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記体温情報が示す体温の周期性と、当該体温の最大値とに基づいて、前記乳幼児の睡眠を判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、さらに、前記他人が行った行動として、前記乳幼児を抱き上げる、ベビーカーで移動させる行動を判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、他人が前記乳幼児を抱き上げたと判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部により判定された事象が生じるパターンを特定する特定部
を有することを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部により特定されたパターンに応じた情報を、前記乳幼児と所定の関係性を有する利用者に提供する提供部
を有することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提供部は、前記パターンを視覚的に示す情報を提供する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提供部は、前記判定部が所定の事象が生じたと判定したタイミングが、当該所定の事象が生じるパターンからずれている場合は、当該所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供する
ことを特徴とする請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、複数の乳幼児のそれぞれについて、前記体動情報と前記体温情報とを取得し、
前記判定部は、乳幼児ごとに、前記乳幼児に関する事象を判定し、
前記特定部は、乳幼児ごとに、前記事象が生じるパターンを特定し、
前記提供部は、所定の乳幼児について前記判定部が所定の事象が生じたと判定したタイミングが、他の乳幼児について当該所定の事象が生じる平均的なパターンからずれている場合は、当該所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供する
ことを特徴とする請求項のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記乳幼児が着用する吸収性物品のうち、胴回りの端部を挟むように取付けられる検出装置により判定された体動情報と体温情報とを取得する
ことを特徴とする請求項1~1のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された当該乳幼児の体動を示す体動情報と、当該乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、前記乳幼児に関する事象として、前記乳幼児自身が行った行動と前記乳幼児に対して他人が行った行動とを判定する判定工程と、
前記判定工程により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録工程と
を含み、
前記判定工程において、前記乳幼児自身が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、前記乳幼児が排泄したと判定し、前記他人が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が前記乳幼児の吸収性物品を交換したと判定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された当該乳幼児の体動を示す体動情報と、当該乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、前記乳幼児に関する事象として、前記乳幼児自身が行った行動と前記乳幼児に対して他人が行った行動とを判定する判定手順と、
前記判定手順により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録手順と
をコンピュータに実行させ
前記判定手順において、前記乳幼児自身が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、前記乳幼児が排泄したと判定し、前記他人が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が前記乳幼児の吸収性物品を交換したと判定す
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項14】
情報処理装置に搭載されるプログラムと、端末装置に搭載されるアプリケーションとを含むシステムであって、
前記アプリケーションは、
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された当該乳幼児の体動を示す体動情報と、当該乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得手順を、
前記端末装置に実行させ、前記プログラムは、
前記端末装置により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、前記乳幼児に関する事象として、前記乳幼児自身が行った行動と前記乳幼児に対して他人が行った行動とを判定する判定手順と、
前記判定手順により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録手順と
前記情報処理装置に実行させ
前記判定手順において、前記乳幼児自身が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、前記乳幼児が排泄したと判定し、前記他人が行った行動として、前記体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、前記体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が前記乳幼児の吸収性物品を交換したと判定す
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発音がままならない乳幼児の生体情報を用いて、乳幼児の状態を推定する技術が知られている。このような技術の一例として、おむつ等の吸収性物品にセンサを設置し、乳幼児がおむつに排泄を行ったか否かを検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-37292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、育児に関する有用な情報を取得しているとは言えない場合がある。
【0005】
例えば、乳幼児の適切な発育を考慮した場合、おむつへの排泄回数のみならず、おむつの交換回数や就寝時間といった乳幼児に関する各種のイベントの有無やタイミングが重要となる。しかしながら上述した技術では、単に乳幼児が排泄を行ったか否かを検出しているに過ぎず、他のイベントについては、検出することが困難であった。また、このような各種のイベントを人手で記録するのは、手間がかかる。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、育児に関する有用な情報を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報処理装置は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された当該乳幼児の体動を示す体動情報と、当該乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、前記乳幼児に関する事象を判定する判定部と、前記判定部により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、育児に関する有用な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る提供システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す正面図である。
図3図3は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係るウェアラブルデバイスの装着例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る端末装置が有する機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る着用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る情報提供装置が実行する情報提供装置10は、処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第1の図である
図10図10は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第2の図である。
図11図11は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第3の図である。
図12図12は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の体動を示す体動情報と、乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する取得部と、取得部により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、乳幼児に関する事象を判定する判定部と、判定部により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【0012】
このような情報処理装置は、乳幼児の体の動きと、乳幼児の体温とに基づいて、乳幼児の排泄や寝返り、這い這いによる移動といった乳幼児自身により引き起こされる各種の事象や、おむつの交換、家族による立位での抱っこや寝かした状態での抱っこ、ベビーカーでの移動等、乳幼児とは異なる利用者が乳幼児に対して行った各種の事象を、乳幼児に関する事象(イベント)として判定し、判定したイベントを所定の記録装置に自動的に登録する。
【0013】
このような処理の結果、情報処理装置は、発話がままならない乳幼児の状態を自動的に把握するとともに、把握した状態を示す情報を所定の記録装置に自動的に登録することができる。このため、情報処理装置は、育児に関する有用な情報を取得するとともに、情報の登録に係る手間を省くことができる。
【0014】
また、情報処理装置は、乳幼児に関する事象として、乳幼児自身が行った行動を判定する。例えば、情報処理装置は、乳幼児による排泄、若しくは、乳幼児の睡眠を判定する。なお、情報処理装置は、乳幼児の寝返り、這い這いによる移動、入眠や起床といった乳幼児自身により引き起こされる各種の事象を判定してもよい。このような処理の結果、情報処理装置は、乳幼児がどのようなタイミングでどのような行動を行ったかという育児に有用な情報を取得することができる。
【0015】
また、情報処理装置は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、乳幼児が排泄したと判定する。このような処理の結果、情報処理装置は、衛生的かつ適切に、乳幼児の排泄を判定することができる。
【0016】
また、情報処理装置は、体温情報が示す体温の周期性と、体温の最大値とに基づいて、乳幼児の睡眠を判定する。このため、情報処理装置は、乳幼児の睡眠パターンを適切に判定することができる。
【0017】
また、情報処理装置は、乳幼児に関する事象として、乳幼児に対して他人が行った行動を判定する。例えば、情報処理装置は、他人が行った行動として、乳幼児が着用する吸収性物品の交換、若しくは、乳幼児を抱き上げる行動を判定する。より具体的な例を挙げると、情報処理装置は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、他人が乳幼児を抱き上げたと判定してもよい。また、情報処理装置は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が乳幼児の吸収性物品を交換したと判定してもよい。このため、情報処理装置は、おむつといった吸収性物品の交換や、乳幼児を抱き上げる頻度等を記録することができる。
【0018】
また、情報処理装置は、事象が生じるパターンを特定する。このため、情報処理装置は、乳幼児に関する各種の事象が発生するパターンに応じた各種の情報提供を実現することができる。
【0019】
また、情報処理装置は、特定されたパターンに応じた情報を、乳幼児と所定の関係性を有する利用者に提供する。例えば、情報処理装置は、パターンを視覚的に示す情報を提供する。このため、情報処理装置は、乳幼児が自ら発生させる事象のパターンや、おむつの交換といった他人が発生させる事象のパターンを利用者に対して提示することができる。
【0020】
また、情報処理装置は、所定の事象が生じたと判定したタイミングが、所定の事象が生じるパターンからずれている場合は、所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供する。なお、情報処理装置は、複数の乳幼児のそれぞれについて、体動情報と体温情報とを取得し、乳幼児ごとに、乳幼児に関する事象を判定し、乳幼児ごとに、事象が生じるパターンを特定し、所定の乳幼児について所定の事象が生じたと判定したタイミングが、他の乳幼児について所定の事象が生じる平均的なパターンからずれている場合は、所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供してもよい。この結果、情報処理装置は、例えば、乳幼児に関する各種の事象が所定のパターンで生じるように、両親に対いて各種の情報を提供することができるので、乳幼児の発育を促進することができる。
【0021】
また、情報処理装置は、乳幼児が着用する吸収性物品のうち、胴回りの端部を挟むように取付けられる検出装置により検出された体動情報と体温情報とを取得する。このため、情報処理装置は、乳幼児の体動情報と体温情報との取得にともなう検出装置の装着を容易にすることができる。
【0022】
以下に、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよびシステムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよびシステムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
[実施形態]
〔1.提供システムの一例について〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る提供システムの一例について説明する。図1は、実施形態に係る提供システムの一例を示す図である。図1に示すように、提供システムは、情報処理装置の一例である情報提供装置10と、利用者UM、UFが利用する端末装置101、102(以下、「端末装置100」と総称する場合がある。)とを有する。なお、提供システムは、任意の数の情報提供装置10や端末装置100を有していてもよい。また、情報提供装置10は、任意の数の端末装置100との間で、後述する処理を実行してよい。
【0024】
情報提供装置10は、後述する情報処理を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報提供装置10は、LTE(Long Term Evolution)や、LETの一種であるLET-Advancedを含む4G(Generation)、将来標準化が行われるであろう5G等といった各種の移動通信システム、Wifi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークN(例えば、図5参照)を介して、端末装置100との間で通信を行う。
【0025】
端末装置100は、利用者Uが利用する端末装置であり、PC(Personal Computer)、サーバ装置、スマートテレビジョン、スマートフォン若しくはタブレット等といったスマートデバイス等により実現され、ネットワークNを介して、情報提供装置10との間で通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置100は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者から指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、情報提供装置10から配信されるコンテンツに対する各種の操作を受付け可能な機能を有していてもよい。
【0026】
ここで、端末装置101は、乳幼児B1の母親である利用者UMが利用する端末装置であるものとする。また、端末装置102は、乳幼児B1の父親である利用者UFが利用する端末装置であるものとする。なお、各端末装置は、乳幼児B1の両親以外にも、例えば、兄弟や祖父、親戚、看護婦、家政婦等、乳幼児B1に対して各種の行動を行う利用者が利用するものであれば、任意の利用者が利用する端末装置であってもよい。
【0027】
〔1-1.乳幼児の事象について〕
ここで、乳幼児の発育を促進するには、乳幼児について発生した各種の事象(イベント)を判定し、判定したイベントに基づく各種の提案を両親等に提供することが有用であると考えられる。例えば、乳幼児が排泄を行った日時からは、乳幼児の排泄パターンを推定することができ、ひいては、効率的な吸収性物品(例えば、各種のおむつ等)の交換タイミングを提案することができると考えられる。
【0028】
また、乳幼児が入眠した日時や乳幼児が起床した日時からは、乳幼児の睡眠パターンを推定することができ、このような睡眠パターンからは、乳幼児をいつごろ寝かしつけるのが適切であるのかといった情報や、乳幼児がいつごろ起床するといった予測を提供することができ、乳幼児の適切な睡眠を促進し、発育を促進するとともに、親の生活の質を改善することができると考えられる。
【0029】
また、乳幼児を抱っこした日時からは、抱っこを行うパターンや量等を推定することができる。このような抱っこといったスキンシップは、乳幼児の発育に有用であると考えられるため、抱っこのパターンや量を示す情報を親に提供することで、抱っこ等のスキンシップを促進させ、乳幼児の発育を促進できると考えられる。
【0030】
このように、乳幼児に関する各種のイベントが行われた履歴を管理することで、乳幼児の発育の促進や親の生活の質の改善を図ることができると考えられる。しかしながら、このように乳幼児に関するイベントの発生を人手で記録するのは、手間がかかる。
【0031】
また、乳幼児に関して生じるイベントには、様々なイベントが考えられる。例えば、このようなイベントには、乳幼児が排泄した、乳幼児が這い這いで移動した、乳幼児が寝返りをうった、乳幼児が入眠した、乳幼児が起床した、若しくは、乳幼児が母乳を飲んだといった乳幼児自身の行動により発生する各種のイベントが考えられる。また、このようなイベントには、乳幼児が装着する吸収性物品を交換した、乳幼児を抱っこした、ベビーカーで乳幼児を移動させたといった乳幼児とは異なる利用者の行動により発生する各種のイベントが考えらえる。このような各種のイベントを、イベントが生じる度に記録するのは、手間がかかる。
【0032】
〔1-2.情報処理の概要について〕
そこで、情報提供装置10は、以下の情報処理を実行する。まず、情報提供装置10は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の体動を示す体動情報と、乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する。例えば、情報提供装置10は、体温計や各種の加速度センサ等が搭載された検出装置を介して、乳幼児の体の動きと体温とを取得する。
【0033】
ここで、乳幼児に関して何らかのイベントが発生する場合、乳幼児の体の動きや乳幼児の体温に、イベントの種別(すなわち、イベントの内容)に応じて異なる特徴が現れると考えられる。例えば、一般的な哺乳動物が排泄を行う場合、いきむ必要があるため、体の動きが止まると考えられる。また、乳幼児がおむつ等の吸収性物品に排泄を行った場合、吸収性物品内の湿度が上昇する結果、体温が上昇すると考えられる。このため、乳幼児の体の動きが所定の閾値以下となり、かつ、乳幼児の体温が所定の閾値以上上昇(急上昇)した場合には、乳幼児が排泄を行ったと判定できる。
【0034】
そこで、情報提供装置10は、取得した乳幼児の体の動きと体温とから、乳幼児に関して生じたイベントを判定する。例えば、情報提供装置10は、乳幼児の排泄、入眠、若しくは睡眠といった乳幼児自身が行った行動によるイベントや、おむつの交換若しくは抱っこ等といった利用者が乳幼児に対して行った行動によるイベントを判定する。そして、情報提供装置10は、判定結果を所定の記録装置に登録する。
【0035】
このように、情報提供装置10は、自動的に乳幼児に関して発生したイベントを判定し、特定したイベントの情報を記録装置に登録する。このような処理の結果、情報提供装置10は、例えば、育児に関して各種の有用な情報を提供することができる。
【0036】
なお、情報提供装置10は、体の動きや体温に応じて、各種のイベントを判定することができる。このような判定処理の詳細については、後述する説明にて、明らかとなる。
【0037】
〔1-3.予測処理の一例について〕
以下、図1を用いて、情報処理の一例について説明する。例えば、図1に示す例では、乳幼児B1は、吸収性物品Dを装着している。ここで、吸収性物品Dは、テープを用いて装着するテープタイプのおむつやパンツタイプのおむつ等、乳幼児が利用する吸収性物品であれば、任意の吸収性物品が採用可能である。
【0038】
ここで、吸収性物品Dには、乳幼児B1の体の動き(以下、「体動」と総称する。)と、乳幼児B1の体温を検出する検出装置として、ウェアラブルデバイスWDが装着されている。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、任意の吸収性物品Dに取付け若しくは取り外しが可能な物品であり、吸収性物品Dのうち、胴回りの端部を挟むように取付けられている。
【0039】
以下、図2図4を用いて、ウェアラブルデバイスWDの一例について説明する。図2は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す正面図である。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、図2に示すように、頭部パーツP1、接続部パーツP2、および後部パーツP3がシリコン樹脂等、柔らかく屈曲性を有する素材で一体的に形成されている。
【0040】
頭部パーツP1は、後述するセンサSよりも小さい開口H1を有し、開口H1を介して後述するセンサSを保持することができるように構成されている。また、頭部パーツP1と後部パーツP3とには、正面に対する磁極が反転するように配置されたマグネットM1、M2が封入されている。このため、ウェアラブルデバイスWDは、接続部パーツP2を曲げ、頭部パーツP1と後部パーツP3とで任意の物体の一部を挟むことで、物体に固定することができる。
【0041】
図3は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す断面図である。なお、図3には、図2に示すA-A線に沿ってウェアラブルデバイスWDを切断した場合の断面図の一例を示した。
【0042】
図3に示すように、ウェアラブルデバイスWDの頭部パーツP1には、開口H1を介して、乳幼児の体温や体動を測定するためのセンサSが封入される。例えば、センサSは、各種樹脂若しくは金属製の本体を有し、体温センサと、加速度センサと、NFC(Near field communication)等の近距離無線通信を行うための各種回路が搭載されている。なお、センサSは、防水性を有していてもよく、無線給電のための回路、若しくは、有線給電のための回路や端子が備えられていてもよい。このようなセンサSは、開口H1を介して、ウェアラブルデバイスWDの頭部パーツに封入される。
【0043】
ここで、開口H1は、ウェアラブルデバイスWDの接続パーツP2を折り曲げた場合に、乳幼児B1の体側を向くように設けられている。例えば、図4は、実施形態に係るウェアラブルデバイスの装着例を示す図である。例えば、図4に示すように、マグネットM1、M2で吸収性物品Dの端部を挟み込むように、ウェアラブルデバイスWDを曲げることで、マグネットM1、M2により生じる電磁気EMによりウェアラブルデバイスWDを吸収性物品Dに固定することが可能である。この際、センサSが封入される頭部パーツP1は、吸収性物品Dを装着する乳幼児の体(例えば、腹部やわき腹周辺)と接触するように配置される。このような配置の結果、ウェアラブルデバイスWDは、乳幼児B1の体温を適切に測定することができる。なお、ウェアラブルデバイスWDの本体部分は、中空であってもよく、なくともよい。
【0044】
このように、ウェアラブルデバイスWDは、各種吸収性物品Dに対して装着或いは取り外しが可能な検出装置であり、乳幼児B1の体温や体動を測定する。このため、ウェアラブルデバイスWDは、任意のサイズ若しくは任意のメーカーの吸収性物品Dに対して装着することができるだけではなく、吸収性物品の交換の際に、新たな吸収性物品Dに取付けるだけで、乳幼児B1の体温や体動を継続して測定することができる。
【0045】
なお、図2図4に示すウェアラブルデバイスWDの構成は、あくまで一例である。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、プラスチックで形成されたクリップ型の形状を有していてもよい。また、例えば、ウェアラブルデバイスWDは、装着時に乳幼児B1と接触する範囲(例えば、頭部パーツP1)に、体温センサが搭載され、乳幼児B1と接触しない範囲(例えば、後部パーツP3)に、加速度センサが搭載されたものであってもよい。
【0046】
なお、センサSには、センサを基準とした3軸方向に対する加速度をそれぞれ測定可能な加速度センサが搭載されているものとする。このような加速度センサを用いて取得された加速度は、センサを基準とした測定座標系で示されることとなるが、情報提供装置10は、このような測定座標系による加速度を用いて、以下の処理を実行してもよく、例えば、測定された加速度から重力方向を特定し、特定した重力方向に用いた各種の変換を行うことで、重力方向を基準とした絶対座標系による加速度を特定し、特定した絶対座標系による加速度から、以下の処理を実行してもよい。
【0047】
図1に戻り、説明を続ける。このようなウェアラブルデバイスWDは、乳幼児B1の体動と体温とを検知する(ステップS1)。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、所定の時間間隔(例えば、数秒単位)で、各軸方向の加速度を体動として検知するとともに、体温の検知を行う。そして、ウェアラブルデバイスWDは、検知した体動を示す情報(すなわち、加速度の値)に検知時間を対応付けた情報を体動情報とし、体温の数値に検知時間を対応付けた情報を体温情報として保持する。
【0048】
そして、ウェアラブルデバイスWDは、利用者UMが利用する端末装置101に対して、体動を示す体動情報と体温を示す体温情報とを提供する(ステップS2)。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、近距離無線通信等を介して、保持している体動情報と体温情報とを端末装置101へと送信する。
【0049】
このような場合、端末装置101は、体動情報と体温情報とを情報提供装置10へと送信する(ステップS3)。このような場合、情報提供装置10は、体動情報と体温情報とに基づいて、乳幼児に関して発生した事象を推定する(ステップS4)。例えば、情報提供装置10は、同時期に測定された体動と体温とから乳幼児が排泄を行ったか、利用者UMや利用者UFが吸収性物品を交換したかといった各種のイベントを判定する。そして、情報提供装置10は、体動と体温とに対応付けられた検知時間から、各イベントが発生した時間を判定する。その後、情報提供装置10は、判定したイベントと時間とを対応付けて所定のデータベースに登録する。
【0050】
また、情報提供装置10は、各イベントの種別ごとに、イベントが発生したパターンを特定する(ステップS5)。例えば、情報提供装置10は、乳幼児が排泄を行うパターンとして、何時間おきに排泄しているか、何時に排泄を行ったか、毎日の何時ごとに排泄を行う可能性が高いかといった各種排泄のパターンを示す情報を算出する。なお、情報提供装置10は、例えば、利用者UM等が乳幼児B1が装着する吸収性物品Dを何時頃に交換しているか、1日当たりの交換回数やその平均値、交換する可能性が高い時間帯等を、吸収性物品の交換のパターンを示す情報として算出してもよい。
【0051】
そして、情報提供装置10は、パターンに応じた情報を利用者UMに提供する(ステップS6)。例えば、情報提供装置10は、乳幼児B1が排泄する可能性が高い時間帯等、各種のパターンを示す情報を提供する。
【0052】
ここで、情報提供装置10は、所定の事象が生じたと判定したタイミングが、所定の事象が生じるパターンからずれている場合は、所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供してもよい。例えば、情報提供装置10は、最後に吸収性物品Dの交換が行われた日時と、それまでに吸収性物品Dを交換した日時に基づくパターンとを比較する。そして、情報提供装置10は、最後に吸収性物品Dの交換が行われた日時と、それまでに吸収性物品Dを交換した日時に基づくパターンとに齟齬がある場合は、日ごろのパターンとは異なるパターンで吸収性物品Dが交換されたと判定する。また、例えば、それまでに乳幼児が排泄がしたと判定してから吸収性物品Dが交換されるまでの時間間隔のパターンと、最後に乳幼児が排泄したと判定してから吸収性物品Dが交換されるまでの時間間隔が異なる場合、日ごろのパターンとは異なるパターンで吸収性物品Dが交換されたと判定してもよい。また、情報提供装置10は、例えば、乳幼児が排泄を行ってから吸収性物品Dが交換されるまでの平均的な時間間隔をパターンとして特定してもよい。
【0053】
ここで、吸収性物品Dの交換パターンが変化した場合、異なる利用者により吸収性物品Dが交換された可能性が高い。そこで、情報提供装置10は、利用者UMではなく、利用者UFが利用する端末装置102に対し、通常とは異なるパターンで吸収性物品Dが交換された旨を示す情報と共に、通常のパターン、すなわち、母親である利用者UMによるイベント(吸収性物品Dの交換)のパターンを示す情報を提供する(ステップS7)。
【0054】
なお、例えば利用者UFと利用者UMのどちらが保育しているかを予め登録(またはスケジュール情報などを取得)することで、どの利用者が吸収性物品Dを交換しているかを判定してもよい。例えば、情報提供装置10は、吸収性物品Dが通常とは異なるパターンで交換された場合や、吸収性物品Dが交換されていない場合、予め登録されたスケジュールに基づいて、保育している利用者を特定する。そして、情報提供装置10は、特定した利用者に対して、吸収性物品Dの交換パターンや、交換を促すメッセージを提供してもよい。また、情報提供装置10は、乳幼児が排泄を行ってから、パターンとして特定した時間間隔が経過するまでの間に吸収性物品Dが交換されなかった場合に、利用者に対して吸収性物品Dの交換を促す通知を行ってもよい。
【0055】
このように、情報提供装置10は、乳幼児B1が装着する吸収性物品に取付けられた検出装置が検出した体動と体温から、乳幼児B1において生じた各種のイベントを判定し、判定したイベントの記録を自動的に行うとともに、イベントに応じた情報を利用者に提供する。このため、情報提供装置10は、乳幼児B1の発育を促したり、利用者UM、UFの育児に関する手間や不安を軽減し、生活の質を構造させることができる。特に、乳幼児は生活における睡眠の占める割合(1日の睡眠時間の占める割合、および午睡などの睡眠の回数等)が成人よりも多く、すなわち乳幼児の生活のリズム(パターン)は睡眠のリズムに大きな影響を与えることとなる。したがって、イベントに応じた情報やイベントのパターンに応じた情報を利用者に提供することで、生活のリズムを安定させる結果、乳幼児の睡眠のリズムを整えることができるため、乳幼児の発育を促すことができる。
【0056】
〔2.機能構成の一例について〕
以下、上述した選択処理を実現するための機能構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、情報提供装置10が有する機能構成の概要について説明し、その後、情報提供装置10が有する機能構成が発揮する処理の一例について説明する。
【0057】
〔2-1.端末装置100が有する機能構成の概要について〕
図5は、実施形態に係る端末装置が有する機能構成の一例を示す図である。図5に示すように、情報提供装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0058】
通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部20は、通信用の回路等によって実現される。
【0059】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、出力処理を実行させるための各種データが登録される。例えば、図2に示す例では、記憶部30には、着用者データベース31および利用者データベース32が登録されている。
【0060】
着用者データベース31には、吸収性物品Dを着用する着用者(すなわち、乳幼児)に関する情報が登録される。すなわち、着用者データベース31には、イベントの判定対象となる利用者の情報が登録される。例えば、図6は、実施形態に係る着用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。図6に示すように、着用者データベース31には、着用者ID(Identifier)、対応者ID、パターン情報およびセンサ情報が対応付けて登録されている。ここで、着用者データベース31には、センサ情報として、日時、体温情報(温度)、および体動情報(x、y、z)といった項目を有する情報が登録されている。また、各体動情報には、「判定情報」といった項目を有する情報が対応付けられている。なお、図6に示す情報以外にも、着用者データベース31には、着用者から取得された各種のセンサデータや、着用者に関する情報が登録されていてもよい。
【0061】
ここで、「着用者ID」とは、着用者を識別するための識別子である。また、「対応者ID」とは、吸収性物品の交換等といった、着用者に対する各種の行動を行う利用者を識別するための識別子であり、例えば、後述する利用者IDである。また、パターン情報とは、センサ情報から判定された各種イベントのパターンを示す情報である。
【0062】
また、「日時」とは、体温情報が示す体温や体動情報が示す体動が検出された日時を示す情報であり、例えば、検知日時を示す情報である。また、「体温情報」とは、センサSが検出した着用者の体温(例えば、セ氏)を示す情報である。また、「体動情報」とは、センサSが検出した各軸方向の加速度(例えば、G)を示す情報である。また、「判定情報」とは、対応付けられたセンサ情報が取得された際に、乳幼児において発生していたと判定されたイベントを示す情報である。
【0063】
例えば、図6に示す例では、着用者データベース31には、着用者ID「UID#1」、対応者ID「M#1、F#1」、パターン情報「パターン#1」が対応付けて登録されている。このような情報は、着用者ID「UID#1」が示す着用者に対して各種の行動を行う利用者が対応者ID「M#1、F#1」が示す利用者であり、着用者に関する各種イベントのパターンがパターン情報「パターン#1」が示すパターンである旨を示す。
【0064】
また、図6に示す例では、着用者データベース31には、着用者ID「UID#1」に対し、日時「2019/05/01/10:15:25」、体温情報「37.2」、体動情報「(0.5、0.2、0.2)」、および判定情報「抱っこ」が対応付けて登録されている。このような情報は、着用者ID「UID#1」が示す着用者の2019年05月01日10時15分25秒において測定された体温が「37.2」度であり、各軸方向の加速度が(0.5、0.2、0.2)であり、このようなセンサ情報が取得された際に、乳幼児において発生していると判定されたイベントが「抱っこ」である旨を示す。
【0065】
また、図6に示す例では、「パターン#1」といった概念的な情報を示したが、実際には、イベントの種別と、そのイベントが発生した日時、イベントが発生する平均的な周期、イベントが発生する可能性が高い時間帯等、各種イベントのパターンを示す数値や文字列が登録されることとなる。
【0066】
利用者データベース32には、着用者に対して各種の行動を行う利用者に関する情報が登録される。例えば、図7は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。図7に示すように、利用者データベース32には、利用者ID、端末情報、および関係情報といった情報が登録されている。なお、図7に示す情報以外にも、利用者データベース32には、着用者に対して各種の行動を行う利用者に関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0067】
ここで、「利用者ID」とは、利用者を識別するための識別子である。また、「端末情報」とは、対応付けられた利用者IDが示す利用者が利用する端末装置100を識別するための情報である。また、「関係情報」とは、対応付けられた利用者IDが示す利用者と、その利用者IDと紐付られた着用者IDが示す着用者との間の関係性を示す情報である。
【0068】
例えば、図7に示す例では、利用者データベース32には、利用者ID「M#1」、端末情報「T#1-1」、および関係情報「母親」といった情報が対応付けて登録されている。このような情報は、利用者ID「M#1」が示す利用者が、端末情報「T#1-1」が示す端末装置100を利用している旨を示す。また、このような情報は、利用者ID「M#1」が示す利用者が、着用者データベース31において利用者ID「M#1」と対応付けられた着用者ID「UID#1」が示す着用者の「母親」である旨を示す。
【0069】
図5に戻り、説明を続ける。制御部40は、例えば、各種の処理を実行するための演算処理装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、所定の記憶装置(例えば、記憶部30)に記憶されている各種プログラム(出力プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0070】
図5に示す例では、制御部40は、取得部41、判定部42、登録部43、特定部44、および提供部45を有し、以下に説明する情報処理を実行する。
【0071】
〔2-2.情報処理について〕
以下、図8を用いて、制御部40が実行する情報処理の一例について説明する。図8は、実施形態に係る情報提供装置が実行する情報提供装置10は、処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0072】
例えば、取得部41は、所定の処理タイミングか否かを判定する(ステップS101)。例えば、取得部41は、端末装置100から体動情報や体温情報等の各種センサ情報を受付けた場合には、処理タイミングであると判定する。そして、取得部41は、所定の処理タイミングではない場合は(ステップS101:No)、所定の処理タイミングまで待機する。そして、取得部41は、所定の処理タイミングである場合は(ステップS101:Yes)、各種のセンサ情報を端末装置100から取得する(ステップS102)。
【0073】
ここで、取得部41は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の体動を示す体動情報と、乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する。例えば、取得部41は、吸収性物品Dの胴回りの端部を挟むように取付けられたウェアラブルデバイスWDから体動情報と体温情報とを取得する。なお、取得部41は、取得したセンサ情報を着用者データベース31に登録してもよい。
【0074】
続いて、判定部42は、センサ情報に基づいて、乳幼児に関して発生したイベントを判定する(ステップS103)。例えば、判定部42は、同時期に検知された体動と体温とに基づいて、乳幼児において発生したイベントの内容を判定する。より具体的には、判定部42は、検知日時が同時期(例えば、数秒~数分の範囲内)の体温情報が示す体温と、体動情報が示す体動とを特定し、体温の変動や体動の変動が所定の条件を満たすか否かに基づいて、その時期において乳幼児に発生したイベントを判定する。例えば、判定部42は、乳幼児に関する事象として、乳幼児自身が行った行動を判定する。より具体的な例を挙げると、判定部42は、乳幼児による排泄、若しくは、乳幼児の睡眠を判定する。
【0075】
例えば、乳幼児が吸収性物品Dに排泄した場合、乳幼児の体動は少なくなり、かつ、乳幼児の体温が急上昇する。そこで、判定部42は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、乳幼児が排泄したと判定する。例えば、判定部42は、体動情報が所定の範囲内(例えば、各軸方向に対する変動量が所定の閾値以下)となる期間が所定の期間(例えば、数十秒)継続し、かつ、その期間を含む所定の期間内における体温の上昇量や上昇率が所定の閾値を超えた場合は、その期間において乳幼児が排泄を行ったと判定する。
【0076】
なお、このような判定を行った場合、情報提供装置10は、吸収性物品のうち排泄物の吸収を行う部分から離れた位置にウェアラブルデバイスWDを配置しても、乳幼児の排泄を検知することができる。このため、情報提供装置10は、繰り返し利用するウェアラブルデバイスWDを衛生的に保つことができる。
【0077】
ここで、乳幼児の発育を促進するには、乳幼児の睡眠のリズムを保つことが有効であると考えられる。このため、乳幼児の入眠に適切な時間帯を検出し、検出した情報を利用者に提供した場合は、適切なリズムでの乳幼児の睡眠を促進し、乳幼児の発育を促進することができると考えられる。そこで、判定部42は、乳幼児の入眠に適切な時間帯を判定してもよい。
【0078】
例えば、乳幼児が入眠する場合、乳幼児の体動は少なくなり、かつ、入眠に向けて乳幼児の体温が徐々に高くなり、入眠後、徐々に体温が低下すると推定される。また、一般的に、乳幼児は夜間寝ていると考えられる。そこで、判定部42は、体温情報が示す体温の周期性と、体温の最大値とに基づいて、乳幼児の睡眠を判定する。例えば、判定部42は、24時間ごとの体温情報が示す体温の変動周期を特定する。そして、判定部42は、夜間における体温の最大値が測定されたタイミングで、乳幼児が入眠したと判定する。なお、判定部42は、朝方における体温の上昇率が所定の閾値を超えたタイミングで、乳幼児が起床したと判定してもよい。
【0079】
また、判定部42は、乳幼児が入眠した時間帯のパターンを判定してもよい。また、体温の周期性と最大値から、最大値となるタイミングの所定時間前を入眠適切時間と判定してもよい。すなわち、判定部42は、体温の周期性や最大値から、乳幼児を入眠させるタイミングとして適切な時間帯を判定すればよい。
【0080】
また、判定部42は、体動情報が示す体動を考慮して、乳幼児の睡眠を判定してもよい。例えば、判定部42は、体温情報が示す体温の周期性において、体温の最大値が測定され、かつ、体動情報が示す体動が所定の閾値以下となるタイミングで、乳幼児が入眠したと判定してもよい。また、入眠適切時間と判定された時間に体動が所定の閾値を超えていた場合、入眠を促す通知や情報を提供すると判定してもよい。すなわち、判定部42は、体温の周期性や最大値から判定した入眠適切時間において、体動情報が示す体動が所定の条件を満たす場合は、適切な入眠が行われていないと判定してもよい。また、判定部42は、入眠適切時間と同様に、乳幼児が起床した時間帯のパターン(起床パターン)や、起床に適切な時間帯である起床適切時間の判定を行ってもよい。
【0081】
なお、乳幼児が睡眠中においては、寝返り等を行うとも考えらえる。そこで、判定部42は、例えば、予め測定された寝返りを打った際の体動情報の特徴と、取得された体動情報との特徴とを比較することで、乳幼児が寝返りを打ったタイミングを特定してもよい。また、判定部42は、乳幼児が睡眠していると判定した時間帯において検出された体動から、寝返りを打ったか否かを判定してもよい。
【0082】
また、判定部42は、上述したイベント以外にも、乳幼児自身の行動により発生する各種のイベントを判定してよい。例えば、判定部42は、体温情報や体動情報が所定の条件を満たすか否かに応じて、例えば、乳幼児が這い這いで移動した、乳幼児が母乳を飲んだといった各種のイベントを判定してもよい。
【0083】
また、判定部42は、乳幼児に関する事象として、乳幼児に対して他人が行った行動を判定する。例えば、判定部42は、他人が行った行動として、乳幼児が着用する吸収性物品の交換、若しくは、乳幼児を抱き上げる行動を判定する。
【0084】
例えば、乳幼児が着用する吸収性物品を交換する場合、乳幼児の体温が急劇に下がるとともに、乳幼児の体動が所定の閾値以下となると考えられる。そこで、判定部42は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の下降態様が所定の条件を満たす場合は、他人が乳幼児の吸収性物品を交換したと判定してもよい。
【0085】
また、利用者が乳幼児を抱き上げた場合、乳幼児に対して所定値以上の加速度がかかり、その後、体動の変動が小さくなるとと考えられる。また、利用者が乳幼児を抱き上げた場合、利用者と乳幼児とが密着するため、乳幼児の体温が上昇すると考えられる。そこで、判定部42は、体動情報が示す体動が所定の範囲内に収まり、かつ、体温情報が示す体温の上昇態様が所定の条件を満たす場合は、他人が乳幼児を抱き上げたと判定してもよい。
【0086】
なお、判定部42は、体動情報が示す体動に応じて、乳幼児が立位で抱き上げられているか、寝ている状態で抱き上げられているかを判定してもよい。例えば、判定部42は、体動情報として取得された各軸方向の加速度に基づいて、乳幼児が立位であるか寝ている状態であるかを判定してもよい。
【0087】
また、判定部42は、上述したイベント以外にも、乳幼児に対して利用者が行った行動によるイベントを判定してもよい。例えば、判定部42は、ベビーカーで乳幼児を移動させたといった各種のイベントを判定してもよい。なお、このようなイベントの判定は、例えば、イベントの種別と、そのイベントが発生した際に測定されるであろう体温と体動の特徴とをあらかじめ保持しておき、体温情報が示す体温や体動情報が示す体動がその特徴を有するか否かを判定することで、実現可能である。
【0088】
なお、判定部42は、体動や体温が所定の条件を満たすか否かといったルールベースでイベントの判定を行ってもよく、例えば、各イベントの種別と、そのイベントが発生した際に測定されるであろう体温と体動の特徴との間の関係性を学習したモデルを用いて、上述した判定を実現してもよい。
【0089】
例えば、判定部42は、あるイベントが生じた際に取得されていた体動を示す体動情報と体温を示す体温情報とが入力された際に、そのイベントを示す情報を出力するように学習が行われたモデルを取得する。そして、判定部42は、モデルに対し、体温情報や体動情報を入力することで、その体温情報や体動情報が取得された際に乳幼児において発生していたイベントの判定を行ってもよい。
【0090】
このようなモデルは、任意の種別のモデルが採用可能である。例えば、情報提供装置10は、SVM(Support Vector Machine)やDNN(Deep Neural Network)をモデルとして採用してもよい。ここで、DNNは、CNN(Convolutional Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)であってもよい。また、RNNは、LSTM(Long short-term memory)等であってもよい。また、モデルは、CNNとRNNとを組み合わせたモデル等、複数のモデルを組み合わせることで実現されてもよい。なお、このような学習モデルを利用したイベントの判定及び記録を行う場合、利用者が入力した記録されたイベントの正誤を受け付けるようにすると良い。これにより、入力された正誤を用いて学習モデルの更新を行うことができる。
【0091】
登録部43は、判定結果をデータベースに登録する(ステップS104)。例えば、登録部43は、判定部42により判定されたイベントを示す情報を、判定情報として、着用者データベース31に登録する。例えば、登録部43は、ある期間内において取得されたセンサ情報から判定されたイベントが「抱っこ」である場合、この期間内において取得されたセンサ情報に対し、判定情報「抱っこ」を対応付けることとなる。
【0092】
特定部44は、推定結果に基づいてイベントが生じるパターンを特定する(ステップS105)。例えば、特定部44は、着用者データベース31を参照し、所定のイベントが発生した時間帯の共通性や間隔の共通性等を特定することで、同一種別のイベントが生じるパターンを特定する。なお、特定部44は、例えば、抱っこが行われた時間の合計や、抱っこが行われた頻度等をイベントが生じたパターンとして特定してもよい。
【0093】
提供部45は、特定したイベント、およびイベントのパターンに応じた提供情報を生成する(ステップS106)。そして、提供部45は、提供情報を乳幼児の親に提供する(ステップS107)。
【0094】
例えば、提供部45は、判定したイベントを示す情報や、イベントが生じた時間帯を示す情報を、親やベビーシッター等の乳幼児と所定の関係性を有する利用者に提供してもよい。また、提供部45は、特定されたパターンに応じた情報を、乳幼児と所定の関係性を有する利用者に提供してもよい。
【0095】
例えば、図9は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第1の図である。例えば、提供部45は、乳幼児に関して生じたイベントのうち、利用者により抱き上げられたというイベントを判定するとともに、抱き上げられたパターンを特定する。そして、提供部45は、24時間以内に抱き上げられた回数の総和や、抱き上げられた時間の総和、抱き上げられた時間帯の間隔が所定の条件を満たすか否かに応じた情報を利用者に提供する。
【0096】
例えば、提供部45は、抱き上げ時間が15分未満である場合は「ちょっと」、15分以上30分未満である場合は「まあまあ」、抱き上げ時間が30分以上45分未満である場合は「普通」、45分以上60分未満である場合は「かなり」、60分以上である場合は「たくさん」というように、抱き上げ時間に応じた評価を決定する。そして、提供部45は、図9に示すように、抱き上げ時間についての評価(例えば、「かなり」)を示すコンテンツC10を生成し、利用者に対して提供する。
【0097】
また、提供部45は、特定したパターンに応じて推定した吸収性物品の交換タイミングを示す情報を提供してもよい。例えば、図10は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第2の図である。図10に示す場合、提供部45は、乳幼児が寝ている時間帯と起きている時間帯とを特定し、特定した時間帯を示すコンテンツC20を生成する。例えば、提供部45は、一日の各時間を示す棒グラフのうち、寝ている時間帯を白色で示し、起きている時間帯をハッチングで示す棒グラフを含むコンテンツC20を生成する。
【0098】
また、提供部45は、排泄タイミングとして、乳幼児が排泄を行ったタイミングをしめすアイコンを棒グラフと共に示すコンテンツC20を生成する。例えば、提供部45は、特定した排泄タイミングから、吸収性物品の適切な交換タイミングを推定する。例えば、提供部45は、排泄を行ったタイミングや、タイミングのパターン、1つの吸収性物品が対応可能な排泄回数(例えば、2回)等に基づいて、吸収性物品の適切な交換タイミングを推定する。そして、提供部45は、特定した交換タイミングを示す情報を、棒グラフや排泄タイミングと共に示すコンテンツC20を生成する。そして、提供部45は、生成したコンテンツC20を利用者に対して提供すればよい。
【0099】
また、例えば、提供部45は、吸収性物品の対応可能な排泄回数が2回である場合は、前回吸収性物品を交換してから乳幼児が排泄した回数を特定し、特定した回数が2回以上である場合は、アラートを利用者に対して提供してもよい。
【0100】
また、提供部45は、特定されたパターンを視覚的に示す情報を提供してもよい。例えば、図11は、実施形態に係る情報提供装置が提供する情報の一例を示す第3の図である。例えば、提供部45は、乳幼児の体温情報が示す体温の周期等から、乳幼児が入眠しやすい時間、および、乳幼児が起床しやすい時間を推定する。そして、提供部45は、乳幼児の体温情報が示す体温の周期を示すグラフと共に、乳幼児が入眠しやすい時間、および、乳幼児が起床しやすい時間を示す情報を含むコンテンツC30を生成して提供してもよい。
【0101】
ここで、乳幼児の発育を促進するには、排泄や就寝、抱き上げ等といった乳幼児の生活リズムを保つことが効果的であると考えられる。例えば、利用者UMが吸収性物品を交換するタイミングとは異なるタイミングで、利用者UFが吸収性物品を交換しようとした場合、乳幼児B1にストレスを与え、就寝時間のずれ等を生じさせる恐れがある。そこで、提供部45は、所定の事象が生じたと判定したタイミングが、所定の事象が生じるパターンからずれている場合は、所定の事象の発生がパターンとずれている旨の通知を提供してもよい。例えば、提供部45は、ある吸収性物品を交換するイベントの発生時間が、吸収性物品を交換するイベントのパターンからずれている場合は、その旨を利用者UM、UFに対して提供してもよい。
【0102】
また、上述した情報以外にも、提供部45は、判定部42により判定された各種のイベントに関する情報を提供してもよく、特定部44により特定された各種イベントのパターンを示す情報を提供してもよい。また、提供部45は、判定されたイベントの回数や頻度等に応じた情報、各イベントが発生したタイミングとパターンとの比較結果等に応じた各種の情報を提供してもよい。
【0103】
例えば、提供部45は、体温の周期性や最大値から判定した入眠適切時間を示す情報を提供してもよい。また、提供部45は、適切な入眠が行われていないと判定された場合は、その旨を示す情報を提供してもよい。例えば、提供部45は、入眠適切時間における体動情報が示す体動が所定の条件を満たす場合は、乳幼児を落ち着かせて寝かしつけるよう提案するメッセージを提供してもよい。
【0104】
〔3.処理のバリエーションについて〕
以下、上述した処理のバリエーションについて説明する。なお、以下に説明する出力処理は、それぞれ個別に実施されてもよく、任意の組み合わせで実施されてもよい。
【0105】
〔3-1.他の乳幼児のイベントを考慮した処理について〕
上述した説明では、情報提供装置10は、所定の乳幼児に関して発生したイベントを判定し、判定結果に応じた情報を提供していた。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、複数の乳幼児に関して発生したイベントをそれぞれ判定し、判定結果に応じた情報を提供してもよい。
【0106】
例えば、情報提供装置10は、複数の乳幼児のそれぞれについて、体動情報と体温情報とを取得する。そして、情報提供装置10は、乳幼児ごとに、乳幼児に関する事象を判定し、乳幼児ごとに、事象が生じるパターンを特定する。
【0107】
さらに、情報提供装置10は、所定の事象が各乳幼児について生じる平均的なパターンを特定する。例えば、情報提供装置10は、全ての乳幼児が就寝する平均的な時間帯を、平均的なパターンとして特定する。そして、情報提供装置10は、ある乳幼児が就寝する時間帯が、平均的な時間帯からずれている場合は、その乳幼児の両親等に、就寝パターンが平均からずれている旨の通知を行ってもよい。
【0108】
このような処理の結果、情報提供装置10は、例えば、就寝時刻や起床時刻等といった派生タイミングやパターンが平均化されうるイベントについて、発生タイミングやパターンが平均からずれている旨を通知することができるので、乳幼児の発育をさらに促進することができる。
【0109】
〔3-2.実行主体について〕
上述した説明では、ウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報を端末装置100が取得し、端末装置100からセンサ情報を情報提供装置10が取得して、情報提供装置10が各種の処理(例えば、イベントの判定等)を行うことで、上述した情報処理を実現した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。
【0110】
例えば、上述した情報提供装置10が実行する各種の処理の全て若しくは一部は、端末装置100側で実行されてよい。例えば、端末装置100は、図5に示す取得部41、判定部42、登録部43、特定部44および提供部45を有し、ウェアラブルデバイスWDから近距離無線通信を介して取得したセンサ情報から、乳幼児に関するイベントの判定を行ってもよい。また、端末装置100は、判定結果を自装置内の記憶装置に登録してもよく、例えば、クラウドサーバ等の各種ネットワーク上の記憶領域に登録してもよい。
【0111】
〔3-3.適用対象について〕
上述した例では、情報提供装置10は、乳幼児が着用する吸収性物品に装着されたウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報から、乳幼児において発生した各種のイベントを判定した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、介護が必要な被介護者が着用する吸収性物品や着衣に装着されたウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報を用いて、被介護者において発生した各種のイベントを判定してもよい。
【0112】
〔3-4.姿勢センサの活用〕
上述したシステムでは主にセンサとして温度センサ及び加速度センサを用いた実施形態を説明したが、これに限らず、ウェアラブルデバイスWDが角速度センサをさらに備え、ウェアラブルデバイスWDを装着する乳幼児の姿勢を検出してもよい。なお、ウェアラブルデバイスWDにおける角速度センサの配置は、加速度センサと同じく、温度センサと同じであってもよいし、別の位置に配置されてもよい。
【0113】
情報提供装置10は、検出した姿勢に関する情報と検知時間を対応付けた情報を姿勢情報とし体動情報及び体温情報とともに管理すると良い。そして、情報提供装置10は、体動情報、体温情報、及び姿勢情報に基づいて、抱っこのイベントの判定を行うようにしてもよい。これにより、姿勢が立位であり、体動が周期的なリズムで振動して体温が上昇することで、抱っこをしていると判断してもよい。また、姿勢情報を用いて、乳幼児の体を起こして抱っこしているか、横にして抱っこしているかの違いを判断することもできる。
【0114】
このように、抱っこについてより詳細な情報を取得することで、例えば、利用者に対し「お勧めの抱き方」や、「横抱きが多いあなたにはスリングがオススメ」といった育児行動に関する情報や、育児用品に関する情報を提供することができる。また、例えば母の利用する端末で取得した情報により特定した抱っこの情報を用いて、父の利用する端末に提供する情報を決定することもできる。これにより、「お母さんはいつも横に抱っこしているよ」といった抱き方の情報を共有することができる。
【0115】
なお、乳幼児の姿勢を検出または算出できるセンサであれば、測定対象は角速度に限定されず、角度、角加速度、方位などを測定するセンサであってもよい。また、情報提供装置10は、例えば、ウェアラブルデバイスWDの設置方向とに基づいて、加速度センサの測定結果から、重力方向の推定を行い、推定結果から、乳幼児の姿勢を推定してもよい。また、情報提供装置10は、角速度センサや角度センサの測定結果から、乳幼児の体動を推定してもよい。すなわち、情報提供装置10は、任意のセンサにより測定された情報に基づいて、乳幼児の体動、姿勢、体温など、乳幼児に関する各種の情報の検出或いは推定を行ってよい。
【0116】
〔3-5.その他〕
なお、上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0117】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0118】
〔4.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図12は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、キャッシュ(一次記憶装置)1040、メモリ(二次記憶装置)1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
【0119】
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
【0120】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0121】
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
【0122】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
【0123】
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部140の機能を実現することとなる。また、コンピュータ1000が端末装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラム(アプリケーション)を実行することにより、ウェアラブルデバイスWDから各種のセンサ情報を取得し、情報提供装置10として機能するコンピュータにセンサ情報を送信する機能を実現することとなる。
【0124】
すなわち、適用システムは、情報提供装置10等の各種情報処理装置に搭載されるプログラムと、端末装置100に搭載されるアプリケーションとを含む。このような端末装置100に搭載されるアプリケーションは、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置(例えば、ウェアラブルデバイスWD)により検出された乳幼児の体動を示す体動情報と、乳幼児の体温を示す体温情報とを取得する。また、このような情報処理装置に搭載されるプログラムは、端末装置100により取得された体動情報と体温情報とに基づいて、乳幼児に関する事象を判定する判定手順と、判定手順により判定された事象を示す情報を、所定の記録装置に登録する登録手順とを情報処理装置に実行させることとなる。
【0125】
〔5.効果〕
上述したように、情報提供装置10は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の体動と体温とに基づいて、乳幼児に関する各種の事象を判定する。そして、情報提供装置10は、判定結果を記録装置に登録する。
【0126】
例えば、情報提供装置10は、乳幼児の排泄、移動、入眠、起床といった乳幼児自身の行動によるイベントや、吸収性物品の交換や抱き上げ等といった乳幼児に対して行われる他人の行動によるイベントを判定する。このようなイベントの情報は、乳幼児に対してどのようなタイミングで吸収性物品の交換を行うのが適切か、乳幼児をいつ寝かしつければよいかといった育児に関して有用な情報となりえる。このため、情報提供装置10は、育児に関する有用な情報を取得することができる。
【0127】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明した。しかしながら、これらは例示であり、本願の実施形態は、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、所謂当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することが可能である。また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0128】
10 情報提供装置
20 通信部
30 記憶部
31 着用者データベース
32 利用者データベース
40 制御部
41 取得部
42 判定部
43 登録部
44 特定部
45 提供部
100、101、102 端末装置
WD ウェアラブルデバイス
図1
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