(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法、推定プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20231207BHJP
A61B 7/04 20060101ALI20231207BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20231207BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B7/04 L
A61B7/04 Y
A61B5/01 100
A61B5/16 120
(21)【出願番号】P 2019115846
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹下 明子
(72)【発明者】
【氏名】三井 浩一郎
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-181218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035622(US,A1)
【文献】特開2019-095931(JP,A)
【文献】特開2017-189615(JP,A)
【文献】特開2006-338476(JP,A)
【文献】特開2017-100039(JP,A)
【文献】特表2015-532841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 7/04
A61B 5/01
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により
検出された当該乳幼児の
体内の腹部
の音を取得する取得部と、
前記取得部により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する推定部と
を有することを特徴とする推定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記乳幼児の
体内の腹部
の音であって、当該乳幼児の腸が蠕動運動する際に生じる音、文節運動する際に生じる音、若しくは振子運動する際に生じる音を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記取得部により取得された音のうち、所定の特徴を有する音の数に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記取得部により取得された音のうち、所定の特徴を有する音の頻度に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する
ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記取得部により取得された音の種別に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する
ことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記取得部により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の腸の蠕動状態を推定し、推定した蠕動状態に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する
ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記蠕動状態が、亢進状態、減少状態若しくは正常状態のいずれであるかを推定し、推定結果に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する
ことを特徴とする請求項6に記載の推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記乳幼児の感情的な状態として、当該乳幼児が寝つきやすい感情の状態であるか否かを推定する
ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記乳幼児の感情的な状態として、当該乳幼児が夜泣きしやすい感情の状態であるか否かを推定する
ことを特徴とする請求項1~8のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項10】
前記推定部は、前記乳幼児の感情的な状態として、当該乳幼児若しくは当該乳幼児と所定の関係性を有する利用者の生活の質に関する感情の状態を推定する
ことを特徴とする請求項1~9のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項11】
前記推定部により推定された感情的な状態に応じた情報を提供する提供部
を有することを特徴とする請求項1~10のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項12】
前記提供部は、前記感情的な状態に応じて、前記乳幼児と所定の関係性を有する利用者に対し、推奨される行動を示す情報を提供する
ことを特徴とする請求項11に記載の推定装置。
【請求項13】
前記取得部は、前記検出装置により検出された前記乳幼児の体温を示す体温情報をさらに取得し、
前記提供部は、前記体温情報が示す体温の周期性に応じた情報をさらに提供する
ことを特徴とする請求項11または12に記載の推定装置。
【請求項14】
前記提供部は、前記体温情報が示す体温の周期性に基づいて特定された前記乳幼児の就寝時間、若しくは、当該乳幼児の起床時間を示す情報を提供する
ことを特徴とする請求項13に記載の推定装置。
【請求項15】
前記推定部は、前記音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の排泄に関する状態をさらに推定し、
前記提供部は、前記推定部により推定された排泄に関する状態に応じた情報をさらに提供する
ことを特徴とする請求項11~14のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項16】
前記推定部は、前記乳幼児の排泄に関する状態に基づいて、当該乳幼児が排泄を行う時間帯を推定し、
前記提供部は、前記推定部により推定された時間帯を示す情報を提供する
ことを特徴とする請求項15に記載の推定装置。
【請求項17】
前記取得部は、前記乳幼児が着用する吸収性物品のうち、胴回りの端部を挟むように取付けられる検出装置により検出された音を取得する
ことを特徴とする請求項1~16のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項18】
推定装置が実行する推定方法であって、
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により
検出された当該乳幼児の
体内の腹部
の音を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする推定方法。
【請求項19】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により
検出された当該乳幼児の
体内の腹部
の音を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する推定手順と
をコンピュータに実行させるための推定プログラム。
【請求項20】
情報処理装置に搭載されるプログラムと、端末装置に搭載されるアプリケーションとを含むシステムであって、
前記アプリケーションは、
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により
検出された当該乳幼児の
体内の腹部
の音を取得する取得手順と、
前記情報処理装置から送信される前記乳幼児の感情的な状態の推定結果を出力する出力手順と、
を前記端末装置に実行させ、
前記プログラムは、前記端末装置により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する推定手順を前記情報処理装置に実行させることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、推定方法、推定プログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発音がままならない乳幼児の生体情報を用いて、乳幼児の状態を推定する技術が知られている。このような技術の一例として、おむつ等の吸収性物品にセンサを設置し、乳幼児がおむつに排泄を行ったか否かを検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】T Lindberg, Infantile Colic: aetiology and prognosis, Acta Paediatr, 89, 1-12, 2000
【文献】Nina F Steutel, Developing a core outcome set for infant colic for primary, secondary and tertiary care settings: a prospective study, BMJ Open, 2017
【文献】大田原幸子 その他、「腸蠕動運動が弱くイレウスを繰り返す重症心身障碍者への前傾座位と腹部体操の導入」、第48回日本理学療法学術大会、2013
【文献】腸聴診エキスパートナース2017、vol33(4)、112p
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、育児に関する有用な情報を提供できるとは言えない場合がある。
【0006】
例えば、上述した技術では、単に乳幼児が排泄を行ったか否かを検出しているに過ぎない。このため、乳幼児が排泄を行って泣いている場合以外に、例えば、乳幼児の機嫌が悪く泣いている場合や、夜泣きが生じた際に、何故泣いているのかを親に示すことができず、親の身体的な負担や精神的な負担を軽減することができているとは言えない。
【0007】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、育児に関する有用な情報を提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る推定装置は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により当該乳幼児の腹部から検出された音を取得する取得部と、前記取得部により取得された音が有する特徴に基づいて、前記乳幼児の感情的な状態を推定する推定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、育児に関する有用な情報を提供可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る提供システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、調査結果の一例を示す第1の図である。
【
図3】
図3は、調査結果の一例を示す第2の図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るウエアラブルデバイスの装着例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る端末装置が有する機能構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る着用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る情報提供装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報提供装置が提供する提供情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により乳幼児の腹部から検出された音を取得する取得部と、取得部により取得された音が有する特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する推定部とを有する推定装置。
【0013】
このように、推定装置は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置から、乳幼児の腹部から検出された音を取得する。ここで、乳幼児の腹部から検出された音には、例えば、乳幼児の腸が動くことにより発せられる音(すなわち、腸音)が含まれる場合がる。後述するように、乳幼児の腸の動きは、乳幼児の感情的な状態と関係性を有すると推定される。そこで、推定装置は、腸音が有する特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。
【0014】
このような処理の結果、推定装置は、乳幼児の感情的な状態を推定することができるので、例えば、夜泣きが生じる可能性が高いといった通知や、乳幼児の機嫌が悪いといった通知を利用者に提供することができる。この結果、推定装置は、利用者の育児に伴う身体的或いは精神的な負担を軽減することができ、育児に関する有用な情報を提供可能とすることができる。
【0015】
また、推定装置は、乳幼児の腹部から検出された乳幼児の腸が蠕動運動する際に生じる音、文節運動する際に生じる音、若しくは振子運動する際に生じる音を取得する。このような処理の結果、推定装置は、乳幼児の腸の動きの状態から、乳幼児の感情的な状態を推定することができる。
【0016】
ここで、推定装置は、取得された音のうち、所定の特徴を有する音の数に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。また、推定装置は、取得された音のうち、所定の特徴を有する音の頻度に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。また、推定装置は、取得された音の種別に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。このような処理の結果、推定装置は、乳幼児の感情的な状態を適切に推定できる。
【0017】
また、推定装置は、取得された音が有する特徴に基づいて、乳幼児の腸の蠕動状態を推定し、推定した蠕動状態に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。例えば、推定装置は、蠕動状態が、亢進状態、減少状態若しくは正常状態のいずれであるかを推定し、推定結果に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。このため、推定装置は、乳幼児の感情的な状態を精度良く推定することができる。
【0018】
また、推定装置は、乳幼児の感情的な状態として、乳幼児が寝つきやすい感情の状態であるか否かを推定する。また、推定装置は、乳幼児の感情的な状態として、乳幼児が夜泣きしやすい感情の状態であるか否かを推定する。このように、推定装置は、乳幼児の感情の状態として、寝付きやすい感情か、夜泣きしやすい感情かといった状態を推定するので、育児に関する有用な情報を提供可能とすることができる。
【0019】
また、推定装置は、乳幼児の感情的な状態として、乳幼児若しくは乳幼児と所定の関係性を有する利用者の生活の質に関する感情の状態を推定する。このため、推定装置は、利用者の質を改善させる情報を提供することができる。
【0020】
また、推定装置は、推定された感情的な状態に応じた情報を提供する提供部を有する。このため、推定装置は、育児に有用な情報の提供を実現できる。
【0021】
また、推定装置は、感情的な状態に応じて、乳幼児と所定の関係性を有する利用者に対し、推奨される行動を示す情報を提供する。このため、推定装置は、例えば、乳幼児が泣いている場合に、どのような行動を行えばよいかを利用者に提供することができる。
【0022】
また、推定装置は、検出装置により検出された乳幼児の体温を示す体温情報をさらに取得し、体温情報が示す体温の周期性に応じた情報をさらに提供してもよい。また、推定装置は、音が有する特徴に基づいて、乳幼児の排泄に関する状態をさらに推定し、推定部により推定された排泄に関する状態に応じた情報をさらに提供してもよい。例えば、推定装置は、体温情報が示す体温の周期性に基づいて特定された乳幼児の就寝時間、若しくは、乳幼児の起床時間を示す情報を提供する。このため、推定装置は、利用者に対してさらに有用な情報を提供できる。
【0023】
また、推定装置は、乳幼児が着用する吸収性物品のうち、胴回りの端部を挟むように取付けられる検出装置により検出された音を取得する。この結果、推定装置は、ノイズが少ない腹部の音を取得することができるので、乳幼児の感情的な状態の推定精度を向上させることができる。
【0024】
以下に、推定装置、推定方法、推定プログラムおよびシステムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により推定装置、推定方法、推定プログラムおよびシステムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
[実施形態]
〔1.提供システムの一例について〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る提供システムの一例について説明する。
図1は、実施形態に係る提供システムの一例を示す図である。
図1に示すように、提供システムは、推定装置の一例である情報提供装置10と、利用者Uが利用する端末装置100とを有する。なお、提供システムは、任意の数の情報提供装置10や端末装置100を有していてもよい。また、情報提供装置10は、任意の数の端末装置100との間で、後述する処理を実行してよい。
【0026】
情報提供装置10は、後述する情報処理を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報提供装置10は、LTE(Long Term Evolution)や、LETの一種であるLET-Advancedを含む4G(Generation)、将来標準化が行われるであろう5G等といった各種の移動通信システム、Wifi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークN(例えば、
図5参照)を介して、端末装置100との間で通信を行う。
【0027】
端末装置100は、利用者Uが利用する端末装置であり、PC(Personal Computer)、サーバ装置、スマートテレビジョン、スマートフォン若しくはタブレット等といったスマートデバイス等により実現され、ネットワークNを介して、情報提供装置10との間で通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置100は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者から指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、情報提供装置10から配信されるコンテンツに対する各種の操作を受付け可能な機能を有していてもよい。
【0028】
〔1-1.乳幼児の腸音について〕
ここで、育児においては、乳幼児の感情的な状態が重要となる。例えば、乳幼児の機嫌が悪い場合、夜泣きが発生する。しかしながら、乳幼児は、発話を上手く行うことができない。このため、夜泣が生じた際に、育児を行う利用者が不安になり、精神的な負担が増大する。また、夜泣きにより就寝中の利用者が起こされてしまい、身体的にも負担が生じてしまう。
【0029】
また、上述した夜泣き以外にも、興奮している場合等、乳幼児の機嫌によっては、寝かしつけることができなかったりする場合がある。また、乳幼児が泣いた際に、単に機嫌が悪いのか、排泄を行いたいのかといった乳幼児の機嫌が解らないと、適切な対処を行うことが困難となる。このように、乳幼児の機嫌、すなわち、感情的な状態は、育児にとって重要な要素となりえる。特に、初めての育児を行う利用者にとっては、乳幼児の状態から機嫌を推定するのが困難となり、負担が大きくなると推定される。
【0030】
一方で、人間の腸は、様々な動きを行っており、動きに応じた各種の音(すなわち「腸蠕動音」。以下「腸音」と総称する場合がある。)を発することが知られている。例えば、人間の腸は、内容物を移動させるための蠕動運動、くびれやふくらみの位置を変化させることで内容物を拡販する分節運動、長軸方向に収縮と弛緩とを繰り返すことで内容物を拡販する振子運動を行うことが知られている(例えば、非特許文献4参照)。このような各種の運動により、人間の腸は、「グルグル」や「ゴロゴロ」といった特徴的な腸音を出すこととなる。
【0031】
ここで、人間の腸の動きにより、人間の感情的な状態が変化するとも考えられる。そこで、出願人が乳幼児の腸音と、乳幼児の感情的な状態との関係性を調べた所、一定の関係性を有する可能性を見出した。
【0032】
例えば、このような調査においては、夜泣きの回数を利用者に対して問い合わせるとともに、乳幼児の腹部から検出された1分間の音に「ポコ」、もしくは「ギュル」といった腸音が生じる回数を計数した。そして、「ポコ」という音声が生じた回数が5回以下であれば、腸の動きの状態である蠕動状態が「減少」状態であり、「ポコ」という音声が生じた回数が6回以上である場合は、蠕動状態が「正常」状態であり、「ポコ」もしくは「ギュル」といった音声が生じた回数が10回以上である場合は、蠕動状態が「亢進」状態であるとした。そして、蠕動状態と、夜泣きの回数とを関係を調べた。
【0033】
例えば、
図2は、調査結果の一例を示す第1の図である。
図2に示す例では、横軸を腸音から推定した蠕動状態とし、縦軸を夜泣きの多さとして、各乳幼児の夜泣きの数と蠕動状態との間の関係性をプロットした。
図2に示すように、蠕動状態が「正常」もしくは「減少」である場合よりも、「亢進」状態であった場合に、夜泣きの回数が増加する傾向にあることが分かった。
【0034】
また、同様に、寝かしつけがスムーズに行われたかを利用者に対して問い合わせるとともに、蠕動状態を調べた。例えば、
図3は、調査結果の一例を示す第2の図である。
図3に示す例では、横軸を腸音から推定した蠕動状態とし、縦軸を寝かしつけがスムーズであったか、大変だったかを示す評価値として、各乳幼児の寝かしつけの評価値と蠕動状態との間の関係性をプロットした。
図3に示すように、蠕動状態が「正常」もしくは「減少」である場合よりも、「亢進」状態であった場合に、寝かしつけが大変になることが分かった。
【0035】
このように、夜泣きの回数や寝かしつけの大変さは、腸音から推定される蠕動状態と関係性を有しえることが解る。このような調査の結果より、出願人は、乳幼児の腹部から音を検出し、検出した音に含まれる腸音の特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定することに想到した。
【0036】
〔1-2.推定処理の概要について〕
そこで、情報提供装置10は、以下の推定処理を実行する。まず、情報提供装置10は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の腹部から検出された音を取得する。そして、情報提供装置10は、取得された音の特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。
【0037】
ここで、乳幼児の感情的な状態とは、「機嫌が悪い」や「空腹である」といった明確に区別可能なものである必要はない。より具体的には、情報提供装置10は、夜泣きしやすい感情であるか否か、寝かしつけが大変な感情であるか否かというように、育児におけるあるイベントが発生しやすい感情であるか否か、イベントを行いやすい感情であるか否かといった状態であるかを推定すればよい。換言すると、情報提供装置10は、乳幼児の感情的な状態が、育児における各種のイベントの有無やイベントの進行に関連性を有する状態であるか否かを推定すればよい。
【0038】
より具体的な例を挙げると、情報提供装置10は、排泄しやすい感情であるか否か、楽しいそぶりを見せやすい感情であるか否か等、乳幼児の感情的な状態が、任意のイベントの有無や進行に関連性を有する状態であるかを推定してよい。
【0039】
このような処理の結果、情報提供装置10は、例えば、乳幼児が夜泣きしやすい状態であるといった通報や、寝かしつけが大変な状態であるといった通報を利用者に対して前もって行うことができる。このため、情報提供装置10は、利用者の身体的、精神的な負担を軽減するような育児に有用な情報を提供することができる。
【0040】
〔1-3.推定処理の一例について〕
以下、
図1を用いて、推定処理の一例について説明する。例えば、
図1に示す例では、乳幼児B1は、吸収性物品Dを装着している。ここで、吸収性物品Dは、テープを用いて装着するテープタイプのおむつやパンツタイプのおむつ等、乳幼児が利用する吸収性物品であれば、任意の吸収性物品が採用可能である。
【0041】
ここで、吸収性物品Dには、乳幼児B1の腹部の音を検出する検出装置として、ウェアラブルデバイスWDが装着されている。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、任意の吸収性物品Dに取付け若しくは取り外しが可能な物品であり、吸収性物品Dのうち、胴回りの端部を挟むように取付けられている。
【0042】
以下、
図4~
図6を用いて、ウェアラブルデバイスWDの一例について説明する。
図4は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す正面図である。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、
図4に示すように、頭部パーツP1、接続部パーツP2、および後部パーツP3がシリコン樹脂等、柔らかく屈曲性を有する素材で一体的に形成されている。
【0043】
頭部パーツP1は、後述するセンサSよりも小さい開口H1を有し、開口H1を介して後述するセンサSを保持することができるように構成されている。また、頭部パーツP1と後部パーツP3とには、正面に対する磁極が反転するように配置されたマグネットM1、M2が封入されている。このため、ウェアラブルデバイスWDは、接続部パーツP2を曲げ、頭部パーツP1と後部パーツP3とで任意の物体の一部を挟むことで、物体に固定することができる。
【0044】
図5は、実施形態に係るウェアラブルデバイスWDの形状の一例を示す断面図である。なお、
図5には、
図4に示すA-A線に沿ってウェアラブルデバイスWDを切断した場合の断面図の一例を示した。
【0045】
図5に示すように、ウェアラブルデバイスWDの頭部パーツP1には、開口H1を介して、乳幼児の腹部の音声を測定するためのセンサSが封入される。例えば、センサSは、各種樹脂若しくは金属製の本体を有し、各種のマイクと、NFC(Near field communication)等の近距離無線通信を行うための各種回路が搭載されている。なお、センサSは、防水性を有していてもよく、無線給電のための回路、若しくは、有線給電のための回路や端子が備えられていてもよい。このようなセンサSは、開口H1を介して、ウェアラブルデバイスWDの頭部パーツP1に封入される。
【0046】
ここで、開口H1は、ウェアラブルデバイスWDの接続パーツP2を折り曲げた場合に、乳幼児B1の体側を向くように設けられている。例えば、
図6は、実施形態に係るウエアラブルデバイスの装着例を示す図である。例えば、
図6に示すように、マグネットM1、M2で吸収性物品Dの端部を挟み込むように、ウェアラブルデバイスWDを曲げることで、マグネットM1、M2により生じる電磁気EMによりウェアラブルデバイスWDを吸収性物品Dに固定することが可能である。この際、センサSが封入される頭部パーツP1は、吸収性物品Dを装着する乳幼児B1の体(例えば、腹部やわき腹周辺)と接触するように配置される。このような配置の結果、ウェアラブルデバイスWDは、乳幼児B1の腹部の音声を適切に測定することができる。なお、ウェアラブルデバイスWDの本体部分は、中空であってもよく、なくともよい。
【0047】
なお、
図4~
図6に示すウェアラブルデバイスWDの構成は、あくまで一例である。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、プラスチックで形成されたクリップ型の形状を有していてもよい。また、例えば、ウェアラブルデバイスWDは、装着時に乳幼児B1と接触する範囲(例えば、頭部パーツP1)に、マイクが搭載され、乳幼児B1と接触しない範囲(例えば、後部パーツP3)に、NFC等の他の機能が搭載されたものであってもよい。また、ウェアラブルデバイスWD(またはマイクなどの集音装置)は、おむつ等の吸収性物品Dのうち、乳幼児の腹部に当接する箇所に埋め込まれてもよい。
【0048】
図1に戻り、説明を続ける。このようなウェアラブルデバイスWDは、乳幼児B1の腹部の音声を取得する(ステップS1)。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、所定の時間間隔(例えば、数時間単位)で、乳幼児B1の腹部の音声を所定の時間文(例えば、1分間分)取得する。そして、ウェアラブルデバイスWDは、取得した音声を示す音声情報を自装置内の記憶装置に保持する。
【0049】
そして、ウェアラブルデバイスWDは、利用者Uが利用する端末装置101に対して、音声情報を提供する(ステップS2)。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、近距離無線通信等を介して、保持している音声情報と体温情報とを端末装置100へと送信する。
【0050】
このような場合、端末装置100は、音声情報を情報提供装置10へと送信する(ステップS3)。このような場合、情報提供装置10は、音声情報に含まれる腸音を取得する(ステップS4)。そして、情報提供装置10は、腸音の特徴から、乳幼児B1の感情的な状態を推定する(ステップS5)。例えば、情報提供装置10は、乳幼児B1の感情的な状態が、寝つきやすい状態であるか否か等を推定する。そして、情報提供装置10は、推定した状態を示す情報を端末装置100へと提供する(ステップS6)。
【0051】
このように、情報提供装置10は、乳幼児B1が装着する吸収性物品に取付けられた検出装置が検出した音から、乳幼児B1の感情的な状態を推定する。このような処理の結果、情報提供装置10は、利用者Uの育児に関する身体的若しくは精神的な負担を軽減し、ひいては、生活の質を構造させることができる。
【0052】
〔1-4.ウェアラブルデバイスWDについて〕
なお、情報提供装置10は、ウェアラブルデバイスWDが検出した音を示す音声情報のみならず、ウェアラブルデバイスWDが検出した乳幼児の体温を示す体温情報についても取得するものとする。例えば、ウェアラブルデバイスWDは、音を取得するとともに、乳幼児の体温を測定する体温センサを備えたセンサSを有し、検出した音を示す音声情報と、検出した体温を示す体温情報とを、端末装置100を介して情報提供装置10へと送信してもよい。
【0053】
また、ウェアラブルデバイスWDは、各軸方向に対する加速度を検出可能な加速度センサを有し、乳幼児の体動を示す体動情報を出力してもよい。このような体動情報は、乳幼児が動いているか否か、就寝しているか否かといった各種乳幼児に関するイベントの推定に利用することができる。
【0054】
〔2.機能構成の一例について〕
以下、上述した選択処理を実現するための機能構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、情報提供装置10が有する機能構成の概要について説明し、その後、情報提供装置10が有する機能構成が発揮する処理の一例について説明する。なお、以下の説明では、ウェアラブルデバイスWDから音声情報と体温情報とを取得した場合の処理の一例について説明する。
【0055】
〔2-1.端末装置100が有する機能構成の概要について〕
図7は、実施形態に係る端末装置が有する機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように、情報提供装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0056】
通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部20は、通信用の回路等によって実現される。
【0057】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、出力処理を実行させるための各種データが登録される。例えば、
図2に示す例では、記憶部30には、着用者データベース31、利用者データベース32、およびモデルデータベース33が登録されている。
【0058】
着用者データベース31には、吸収性物品Dを着用する着用者(すなわち、乳幼児)に関する情報が登録される。すなわち、着用者データベース31には、感情的な状態の推定対象となる利用者の情報が登録される。例えば、
図8は、実施形態に係る着用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図8に示すように、着用者データベース31には、着用者ID(Identifier)、対応者ID、特徴情報、推定結果およびセンサ情報とが対応付けて登録されている。ここで、着用者データベース31には、センサ情報として、日時、体温情報(温度)、および音声情報といった項目を有する情報が登録されている。なお、
図8に示す情報以外にも、着用者データベース31には、着用者から取得された各種のセンサデータや、着用者に関する情報が登録されていてもよい。
【0059】
ここで、「着用者ID」とは、着用者を識別するための識別子である。また、「対応者ID」とは、吸収性物品の交換等といった、着用者に対する各種の行動を行う利用者を識別するための識別子であり、例えば、後述する利用者IDである。また、「特徴情報」とは、音声情報に含まれる腸音の特徴を示す情報であり、例えば、腸音が示す腸の蠕動状態を示す情報である。また、「推定結果」とは、推定処理により腸音から推定された乳幼児の感情的な状態を示す情報である。
【0060】
また、「日時」とは、体温情報が示す体温や音声情報が示す音声が検出された日時を示す情報であり、例えば、検知日時を示す情報である。また、「体温情報」とは、センサSが検出した着用者の体温(例えば、セ氏)を示す情報である。また、「音声情報」とは、センサSが検出した乳幼児の腹部の音を示す情報である。
【0061】
例えば、
図8に示す例では、着用者データベース31には、着用者ID「UID#1」、対応者ID「U#1」、特徴情報「亢進」、および推定結果「夜泣き:多」が対応付けて登録されている。このような情報は、着用者ID「UID#1」が示す着用者に対して各種の行動を行う利用者が対応者ID「U#1」が示す利用者であり、着用者の腹部から検出された音が有する特徴、例えば、腸音の特徴から推定されうる腸の状態が「亢進」であり、推定される感情的な状態が、「夜泣き」が「多」くなる感情的な状態である旨を示す。
【0062】
また、
図8に示す例では、着用者データベース31には、着用者ID「UID#1」に対し、日時「2019/05/01/10:15:25」、体温情報「37.2」、音声情報「音声#1-1」が対応付けて登録されている。このような情報は、着用者ID「UID#1」が示す着用者の2019年05月01日10時15分25秒において測定された体温が「37.2」度であり、取得された腹部の音が「音声#1-1」である旨を示す。
【0063】
なお、
図8に示す例では、「音声#1-1」といった概念的な情報を示したが、実際には、各種のPCM(Pulse Code Modulation)変調された音のデータや、非可逆圧縮音声フォーマット、若しくは可逆圧縮音声フォーマットでセンサSが検出した音を変換した各種の音声データが登録されることとなる。
【0064】
利用者データベース32には、着用者に対して各種の行動を行う利用者に関する情報が登録される。例えば、
図9は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図9に示すように、利用者データベース32には、利用者ID、端末情報、および関係情報といった情報が登録されている。なお、
図9に示す情報以外にも、利用者データベース32には、着用者に対して各種の行動を行う利用者に関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0065】
ここで、「利用者ID」とは、利用者を識別するための識別子である。また、「端末情報」とは、対応付けられた利用者IDが示す利用者が利用する端末装置100を識別するための情報である。また、「関係情報」とは、対応付けられた利用者IDが示す利用者と、その利用者IDと紐付られた着用者IDが示す着用者との間の関係性を示す情報である。
【0066】
例えば、
図9に示す例では、利用者データベース32には、利用者ID「U#1」、端末情報「T#1」、および関係情報「母親」といった情報が対応付けて登録されている。このような情報は、利用者ID「U#1」が示す利用者が、端末情報「T#1」が示す端末装置100を利用している旨を示す。また、このような情報は、利用者ID「U#1」が示す利用者が、着用者データベース31において利用者ID「U#1」と対応付けられた着用者ID「UID#1」が示す着用者の「母親」である旨を示す。
【0067】
モデルデータベース33には、乳幼児の腹部から検出された音から、乳幼児の感情的な状態を推定するためのモデルが登録される。例えば、モデルデータベース33には、夜泣きが多い乳幼児の腹部から検出された音の音声データが入力されると、夜泣きが多い旨を示す情報を出力するように学習が行われたモデルが登録される。なお、モデルデータベース33には、モデルを構成する各種のパラメータが登録されているものとして、図示については、省略する。
【0068】
なお、このようなモデルは、任意の種別のモデルが採用可能である。例えば、情報提供装置10は、SVM(Support Vector Machine)やDNN(Deep Neural Network)をモデルとして採用してもよい。ここで、DNNは、CNN(Convolutional Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)であってもよい。また、RNNは、LSTM(Long short-term memory)等であってもよい。また、モデルは、CNNとRNNとを組み合わせたモデル等、複数のモデルを組み合わせることで実現されてもよい。また、このようなモデルの学習手法の一例については、後述する。なお、このような学習モデルを利用して夜泣きが多い等の乳幼児の感情の推定や予測を行う場合、利用者から推定や予測の正誤の入力を受け付けるようにすると良い。これにより、入力された正誤を用いて学習モデルの更新を行うことができる。
【0069】
図7に戻り、説明を続ける。制御部40は、例えば、各種の処理を実行するための演算処理装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、所定の記憶装置(例えば、記憶部30)に記憶されている各種プログラム(出力プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0070】
図7に示す例では、制御部40は、取得部41、推定部42、特定部43、提供部44、および学習部45を有し、以下に説明する情報処理を実行する。
【0071】
〔2-2.情報処理について〕
以下、
図10を用いて、制御部40が実行する情報処理の一例について説明する。
図10は、実施形態に係る情報提供装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0072】
例えば、取得部41は、所定の処理タイミングか否かを判定する(ステップS101)。例えば、取得部41は、端末装置100から音声情報や体温情報等の各種センサ情報を受付けた場合には、処理タイミングであると判定する。そして、取得部41は、所定の処理タイミングではない場合は(ステップS101:No)、所定の処理タイミングまで待機する。そして、取得部41は、所定の処理タイミングである場合は(ステップS101:Yes)、音声情報と体温情報とを端末装置100から取得する(ステップS102)。
【0073】
ここで、取得部41は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の腹部の音声を示す音声情報と、乳幼児の体温を示す体温情報とを取得することとなる。例えば、取得部41は、吸収性物品Dの胴回りの端部を挟むように取付けられたウェアラブルデバイスWDから音声情報と体温情報とを取得する。この結果、取得部41は、乳幼児の腸が蠕動運動する際に生じる音、文節運動する際に生じる音、若しくは振子運動する際に生じる音等といった各種の腸音を取得することとなる。そして、取得部41は、取得したセンサ情報を着用者データベース31に登録する。
【0074】
推定部42は、音声情報に含まれる腸音が有する特徴を特定する(ステップS103)。そして、推定部42は、腸音が有する特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する(ステップS104)。例えば、推定部42は、取得された音が有する特徴に基づいて、乳幼児の腸の蠕動状態を推定し、推定した蠕動状態に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。より具体的には、推定部42は、腸音に基づき、蠕動状態が、亢進状態、減少状態若しくは正常状態のいずれであるかを推定し、推定結果に基づいて、寝つきやすいか否かや夜泣きしやすいか否かといった乳幼児の感情的な状態を推定する。
【0075】
例えば、推定部42は、所定の特徴を有する音の数に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する。より具体的な例を挙げると、推定部42は、着用者データベース31に登録された各音声情報が示す音声から、各種の音声認識技術を用いて、「ポコ」といった音声や「ギュル」といった音声を抽出し、抽出した音声、すなわち、所定の特徴を有する音声の回数を計数する。続いて、推定部42は、各音声の回数に基づいて、乳幼児の腸の状態が「亢進」であるか「正常」であるか「減少」であるかを特定する。そして、推定部42は、特定した腸の状態から、乳幼児の感情的な状態が、夜泣きが少なくなる状態であるかや、夜泣きが多くなる状態であるかを推定する。その後、推定部42は、腸の状態を示す情報を特徴情報として、推定結果とともに着用者データベース31に登録する。
【0076】
なお、推定部42は、上述した推定方法以外にも、任意の条件に基づいて、乳幼児の感情的な状態の推定を行ってよい。例えば、推定部42は、所定の特徴を有する音の頻度に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。例えば、推定部42は、腸音のうち、予め定められた所定の特徴を有する音を特定し、特定した音が所定の期間内(例えば、1分)において生じている回数を頻度として算出し、算出した頻度に応じて、乳幼児が夜泣きが多くなる状態であるかを推定してもよい。
【0077】
また、推定部42は、取得された音の種別に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。例えば、推定部42は、「ポコ」といった音が生じた回数と、「ギュル」といった音が生じた回数とをそれぞれ個別に計数し、計数した各音の回数に応じて、乳幼児の感情的な状態を推定してもよい。また、例えば、推定部42は、「ポコ」といった音が多い場合は、夜泣きが多い状態である等といった推定を行い、「ギュル」といった音が多い場合は、寝つきが悪い状態である等、音の種別に応じて異なる状態の推定を行ってもよい。
【0078】
なお、腸音は、乳幼児の感情的な状態のみならず、乳幼児の排泄に関する状態をも示すと推定される。例えば、上述した感情的な状態と同様に、腸音から推定された腸の蠕動状態(すなわち、正常、減少、および亢進のいずれか)と、便通の多さとの間の関係を調べた所、蠕動状態が正常もしくは減少となっている場合よりも、蠕動状態が亢進となっている場合の方が、排泄物の量が多くなる傾向を有する旨が解った。そこで、推定部42は、腸音が有する特徴から、排泄物が多いか否かといった排泄に関する状態をさらに推定してもよい。
【0079】
なお、推定部42は、排泄に関する状態として、排泄物の量だけではなく、排泄物の状態(例えば、硬便であるか軟便であるか)、や排泄を行う時間帯等の推定を行ってもよい。例えば、推定部42は、予め特定された各乳幼児の腸音が有する特徴と、乳幼児が排泄を行った時間帯との間の関係性に基づき、所定の特徴を有する腸音が検出された場合は、検出された腸音と対応する時間帯を排泄を行う時間帯として推定してもよい。
【0080】
なお、上述した各種の推定は、ルールベースで実現されてもよく、各種のモデルを用いた処理により実現されてもよい。例えば、情報提供装置10は、各乳幼児から検出された腹部の音と、各乳幼児の夜泣きの多さや寝つきやすさ、排便の時間帯や排便の態様等を示す情報を収集する。そして、情報提供装置10は、各種のパターン認識技術を利用して、腸音と、乳幼児の感情的な状態若しくは排泄に関する状態との間のパターンを特定し、特定したパターンに基づいて、ルールベースで、上述した推定を行ってもよい。
【0081】
例えば、情報提供装置10は、後述する学習処理により、腹部の音から、感情的な状態や排泄に関する状態を示す情報を出力するように学習が行われたモデルをモデルデータベース33から読み出す。そして、推定部42は、モデルに検出された腸音を入力することで、モデルが出力した情報を各種の推定結果としてもよい。その後、推定部42は、推定結果を着用者データベース31に登録することとなる。
【0082】
ここで、乳幼児の発育を促進するには、乳幼児の睡眠のリズムを保つことが有効であると考えられる。このため、乳幼児の入眠に適切な時間帯を検出し、検出した情報を利用者に提供した場合は、適切なリズムでの乳幼児の睡眠を促進し、乳幼児の発育を促進することができると考えられる。そこで、特定部43は、体温の周期性から、入眠に適切な時間帯である入眠適切時間を特定する(ステップS105)。
【0083】
例えば、乳幼児が入眠する場合、乳幼児の体動は少なくなり、かつ、入眠に向けて乳幼児の体温が徐々に高くなり、入眠後、徐々に体温が低下すると推定される。また、一般的に、乳幼児は夜間寝ていると考えられる。そこで、特定部43は、体温情報が示す体温の周期性と、体温の最大値とに基づいて、乳幼児の睡眠パターンや入眠適切時間を特定する。
【0084】
例えば、特定部43は、24時間ごとの体温情報が示す体温の変動周期を特定する。そして、特定部43は、夜間における体温の最大値が測定されたタイミングで、乳幼児が入眠したと判定する。また、特定部43は、朝方における体温の上昇率が所定の閾値を超えたタイミングで、乳幼児が起床したと判定してもよい。そして、特定部43は、平均的な就寝時間と起床時間とから、乳幼児の就寝パターンを特定する。
【0085】
また、特定部43は、乳幼児が入眠した時間帯のパターンを入眠適切時間として特定する。例えば、特定部43は、体温の周期性と最大値から、最大値となるタイミングの所定時間前を入眠適切時間と判定してもよい。すなわち、特定部43は、体温の周期性や最大値から、乳幼児を入眠させるタイミングとして適切な時間帯を特定してもよい。
【0086】
また、特定部43は、乳幼児の体動を考慮して、乳幼児の睡眠を判定してもよい。例えば、特定部43は、体温情報が示す体温の周期性において、体温の最大値が測定され、かつ、体動情報が示す体動が所定の閾値以下となるタイミングで、乳幼児が入眠したと判定してもよい。また、入眠適切時間と判定された時間に体動が所定の閾値を超えていた場合、入眠を促す通知や情報を提供すると判定してもよい。すなわち、特定部43は、体温の周期性や最大値から判定した入眠適切時間において、体動情報が示す体動が所定の条件を満たす場合は、適切な入眠が行われていないと判定してもよい。また、特定部43は、入眠適切時間と同様に、乳幼児が起床した時間帯のパターン(起床パターン)や、起床に適切な時間帯である起床適切時間の特定を行ってもよい。
【0087】
提供部44は、推定された感情的な状態と、入眠適切時間とに応じた提供情報を提供する(ステップS106)。例えば、提供部44は、感情的な状態に応じて、乳幼児と所定の関係性を有する利用者に対し、推奨される行動を示す情報を提供情報としてもよい。例えば、提供部44は、推定された感情的な状態の原因が、母乳の与えすぎであると推定される場合に、母乳の提供を控えるように、利用者に通知してもよい。また、提供部44は、就寝しづらい状態であると推定された場合は、睡眠を導入しやすい音楽や照明態様等を示すウェブコンテンツの提供を行ってもよい。
【0088】
また、提供部44は、就寝パターンや入眠適切時間、起床適切時間等を視覚的に示す情報を提供情報としてもよく、推定された排泄に関する状態に応じた情報を提供情報としてもよい。例えば、
図11は、実施形態に係る情報提供装置が提供する提供情報の一例を示す図である。例えば、提供部44は、
図11に示すように、特定部43により特定された就寝パターンや入眠適切時間、起床適切時間等に基づいて、乳幼児の起床に適した時間帯や乳幼児が起床する可能性が高い時間帯(すなわち、起床タイミング)と、乳幼児の入眠に適した時間帯や乳幼児が就寝する可能性が高い時間帯(すなわち、就寝タイミング)を示す提供情報C10を生成する。また、例えば、提供部44は、推定部42によって乳幼児の感情的な状態が「夜泣きしそう」な状態であると推定された場合、夜泣き予報として「夜泣きしそう」な状態である旨を示すアイコンやテキストを示す提供情報C10を生成する。また、推定部42によって乳幼児の感情的な状態が「寝かしつけが大変そう」な状態であると推定された場合、夜泣き予報として「寝るまで時間がかかりそう」な状態である旨を示すアイコンやテキストを示す提供情報C10を生成する。
【0089】
また、提供部44は、推定部42により推定された排泄時間帯が「午前中」である場合、「午前中」に排泄を行う可能性がある旨を示す提供情報C10を生成する。なお、提供部44は、
図11に示す情報以外にも、例えば、軟便であるか硬便であるかや、排泄量等といった各種の排泄に関する状態を示す情報を提供してもよい。また、提供部44は、このような排泄に関する状態に対応する吸収性物品の情報を提供してもよい。例えば、提供部44は、乳幼児の排泄物が軟便となる可能性が高い場合、軟便のもれを防ぐ機能を有する吸収性物品の利用を促す情報を提供情報C10として提供してもよい。
【0090】
続いて、学習部45が実行する学習処理について説明する。例えば、学習部45は、各乳幼児の腹部の音声を取得するとともに、各乳幼児の親が利用する端末装置を介して、推定対象となる状態の入力を求めるアンケートを送信する。そして、学習部45は、例えば、夜泣きが多かったか否か、就寝しにくかったか否か、排便の時間帯、排便に関する各種の状態等の入力を受付ける。なお、学習部45は、これら以外にも、推定対象となる乳幼児の感情的な状態を示す情報の入力を受付けてもよい。例えば、学習部45は、食べ物をいやがったか否か、抱っこを嫌がったか否か、物を投げたか否か等、各種乳幼児が所定の行動を行ったか否か、嫌がったか否かといった入力を受付ける。
【0091】
そして、学習部45は、ある乳幼児の腹部の音声を入力した際に、親から入力を受付けた行動を示す情報を出力するようにモデルの学習を行うことで、乳幼児の腹部の音声から、所定の行動を行う気分であるか否か、所定の行動を嫌がる気分であるか否かを推定するモデルを学習する。なお、このようなモデルの学習は、例えば、バックプロパゲーション等、各種任意の学習手法が採用可能である。
【0092】
なお、学習部45は、乳幼児の腹部の音声に応じた任意の情報を入力してよい。例えば、学習部45は、乳幼児の腹部から抽出した腸音を入力としてもよく、腸音のうち、所定の特徴を有する音のみを入力としてもよい。また、学習部45は、所定の特徴を有する音の回数や頻度、種別等を入力としてもよく、これらから推定された腸の蠕動状態を示す情報を入力としてもよい。このような情報を入力とすることで、学習部45は、上述した各種の音や音に基づく情報から、乳幼児が所定の行動を行う感情であるか否かや、排泄の状態等を推定するモデルを学習することができる。そして、学習部45は、学習済のモデルをモデルデータベース33に登録する。
【0093】
〔3.処理のバリエーションについて〕
以下、上述した処理のバリエーションについて説明する。なお、以下に説明する出力処理は、それぞれ個別に実施されてもよく、任意の組み合わせで実施されてもよい。
【0094】
〔3-1.親のQOLを考慮した処理について〕
上述したように、乳幼児の腹部の音は、乳幼児の感情的な状態や、排泄に関する状態の推定に有用な情報であると言える。ここで、乳幼児の感情的な状態や、排泄に関する状態が推定された場合、乳幼児の行為に対する対応を適切に行うことができ、乳幼児の生活の質を改善することができると考えられる。さらに、このような推定結果は、乳幼児の世話に要する負担を軽減することができるため、世話を行う親等の生活の質を改善することができると考えられる。
【0095】
そこで、情報提供装置10は、乳幼児若しくは乳幼児と所定の関係性を有する利用者の生活の質に関する感情の状態を推定することとしてもよい。例えば、情報提供装置10は、乳幼児の腹部の音を入力した際に、その後の乳幼児や親の生活の質を示すスコアを出力するようにモデルの学習を行う、そして、情報提供装置10は、ある乳幼児の腹部の音を入力した際に出力されたスコアの変動に基づいて、生活の質に関連する乳幼児の各種の感情の状態を推定することとしてもよい。例えば、情報提供装置10は、生活の質を示すスコアが継続的に低下している場合は、「赤ちゃんへの対応を見直してみましょう」といったメッセージを提供することで、スコアが継続的に向上するように、乳幼児に対する対応を見直すよう、利用者の誘導を行ってもよい。
【0096】
〔3-2.実行主体について〕
上述した説明では、ウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報を端末装置100が取得し、端末装置100からセンサ情報を情報提供装置10が取得して、情報提供装置10が各種の処理を行うことで、上述した推定処理を実現した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。
【0097】
例えば、上述した情報提供装置10が実行する各種の処理の全て若しくは一部は、端末装置100側で実行されてよい。例えば、端末装置100は、
図7に示す取得部41、推定部42、特定部43、および提供部44を有し、ウェアラブルデバイスWDから近距離無線通信を介して取得したセンサ情報から、乳幼児の感情的な状態の推定を行ってもよい。また、端末装置100は、各種の情報を自装置内の記憶装置に登録してもよく、例えば、クラウドサーバ等の各種ネットワーク上の記憶領域に登録してもよい。
【0098】
〔3-3.適用対象について〕
上述した例では、情報提供装置10は、乳幼児が着用する吸収性物品に装着されたウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報から、乳幼児の感情的な状態を推定したが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、介護が必要な被介護者が着用する吸収性物品や着衣に装着されたウェアラブルデバイスWDが検出したセンサ情報を用いて、被介護者の感情的な状態の推定を行ってもよい。
【0099】
〔3-4.その他〕
なお、上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0100】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0101】
〔4.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば
図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図12は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、キャッシュ(一次記憶装置)1040、メモリ(二次記憶装置)1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
【0102】
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
【0103】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0104】
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
【0105】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
【0106】
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部140の機能を実現することとなる。また、コンピュータ1000が端末装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラム(アプリケーション)を実行することにより、ウェアラブルデバイスWDから各種のセンサ情報を取得し、情報提供装置10として機能するコンピュータにセンサ情報を送信する機能を実現するとともに、情報提供装置10から提供される乳幼児の感情的な状態の推定結果等といった各種の提供情報を画面上に表示する機能とを実現することとなる。
【0107】
すなわち、適用システムは、情報提供装置10等の各種情報処理装置に搭載されるプログラムと、端末装置100に搭載されるアプリケーションとを含む。このような端末装置100に搭載されるアプリケーションは、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置(例えば、ウェアラブルデバイスWD)により乳幼児の腹部から検出された音を取得する取得手順と、情報処理装置から送信される乳幼児の感情的な状態の推定結果を出力する出力手順とを端末装置100に実行させることとなる。また、このような情報処理装置に搭載されるプログラムは、端末装置100により取得された音が有する特徴に基づいて、乳幼児の感情的な状態を推定する推定手順を情報処理装置に実行させることとなる。
【0108】
〔5.効果〕
上述したように、情報提供装置10は、乳幼児が着用する物品に取付けられた検出装置により検出された乳幼児の腹部の音とに基づいて、乳幼児の感情的な状態の推定を行う。例えば、情報提供装置10は、腸音の特徴や特徴的な音の種別、数、頻度等に基づいて、夜泣きしやすい状態であるか、寝つきやすい状態であるか等、乳幼児の感情的な状態が各種の行動を取りやすい状態であるかを推定する。
【0109】
このような推定処理の結果を乳幼児の世話をする利用者に提供した場合、利用者は、乳幼児の感情的な状態に基づき、前もって各種の対応を準備、提供することができるので、利用者の身体的、精神的な負担を軽減し、生活の質を改善することができる。このため、情報提供装置10は、育児に関する有用な情報を提供することができる。
【0110】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明した。しかしながら、これらは例示であり、本願の実施形態は、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、所謂当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することが可能である。また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0111】
10 情報提供装置
20 通信部
30 記憶部
31 着用者データベース
32 利用者データベース
33 モデルデータベース
40 制御部
41 取得部
42 推定部
43 特定部
44 提供部
45 学習部
100 端末装置
WD ウェアラブルデバイス