(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】内視鏡撮像装置および内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20231207BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20231207BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A61B1/12 541
A61B1/04 530
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2021032831
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2020123514
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】雪入 毅司
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-299629(JP,A)
【文献】特開2016-202628(JP,A)
【文献】特開2008-237914(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125344(WO,A1)
【文献】特開2020-108790(JP,A)
【文献】特開2011-200398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、
内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡筒と、
前記撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子を駆動する複数の電子部品と、
前記撮像素子と前記複数の電子部品とが配置された回路基板とを有し、
前記複数の電子部品のうち、発熱が最も大きい電子部品は、前記回路基板における前記撮像素子から最も離れている面に設けられており、
前記撮像素子と、前記複数の電子部品とは1つの前記回路基板に配置され、
前記回路基板は可撓性を有し、前記回路基板に前記撮像素子と、前記撮像素子に電気的に接続された信号ケーブルが配置されて、前記回路基板は複数の折曲げ領域で折り曲げられており、前記回路基板を展開した場合、前記撮像素子が配置された反対側に前記信号ケーブルが伸びる、内視鏡撮像装置。
【請求項2】
前記発熱が最も大きい電子部品が複数ある、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子と、前記発熱が最も大きい電子部品との間に設けられた排熱部材を有する、請求項1または2に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項4】
前記レンズ鏡筒と前記撮像素子との間に配置される、少なくとも1つのガラス部材と、
前記ガラス部材と前記レンズ鏡筒とを連結する保持部材と、
前記撮像素子に電気的に接続された前記信号ケーブルと、
前記保持部材に対し、前記信号ケーブルを保持する連結部材とを有し、
前記排熱部材は、前記信号ケーブルのシールド、および前記連結部材のうち、少なくとも一方に接続されている、請求項3に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子に電気的に接続された前記信号ケーブルを有し、
前記排熱部材は、前記信号ケーブルである、請求項3に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項6】
前記排熱部材は、前記回路基板よりも熱伝導率が高い、請求項3~5のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項7】
前記発熱が最も大きい電子部品が設けられる前記撮像素子から最も離れている面は、前記撮像レンズの光軸と直交する方向において、前記回路基板における最も離れた面、または前記撮像レンズの光軸と平行な方向において、前記回路基板における最も離れた面である、請求項1~6のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項8】
前記排熱部材は、前記発熱が最も大きい電子部品が配置された前記回路基板の前記面の裏面に接続されている、請求項3に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項9】
前記電子部品を覆うカバーを有し、前記カバーは金属で構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項10】
前記電子部品を覆うカバーを有し、前記カバーは金属で構成され、前記カバーは前記連結部材に接合されているか、または前記カバーと前記連結部材とは一体構成である、請求項4に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項11】
前記カバーと、前記電子部品との間に樹脂層が設けられている、請求項9または10に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項12】
前記レンズ鏡筒が配置される貫通孔を有する先端本体部と、
前記電子部品を覆うカバーを有し、前記カバーは金属で構成され、前記カバーおよび前記連結部材のうち、少なくとも一方と、前記先端本体部とを接続する部材とを有する、請求項
4に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項13】
前記撮像素子と前記発熱が最も大きい電子部品との間に断熱層を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項14】
前記断熱層は、空気層である、請求項13に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項15】
前記断熱層は、前記回路基板よりも熱伝導率が小さい、請求項13または14に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項16】
前記回路基板の前記複数の折曲げ領域は、全て同じ方向で折り曲げられている、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項17】
前記複数の電子部品は、電圧レギュレータを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項18】
前記電子部品を覆うカバーを有し、前記カバーは金属で構成され、前記カバーと前記連結部材とは別体構成である、請求項
4に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項19】
前記連結部材は、互いに対向する、1対のアーム部を有し、
前記連結部材の前記アーム部は、前記保持部材に固定されており、
前記電子部品を覆うカバーを有し、前記カバーは金属で構成され、前記カバーは、前記アーム部の基端よりも先端の方が互いに近づくように前記アーム部を保持する、請求項4に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡用光源装置、内視鏡(内視鏡スコープ)、およびプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。
被検者の体内に挿入される挿入部を有しており、内視鏡用光源装置による照明光は挿入部を経て観察対象に照射される。内視鏡は、照明光が照射された観察対象を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、内視鏡により生成された画像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。撮像素子はフレキシブル配線基板を介して信号ケーブルに電気的に接続されており、信号ケーブルがプロセッサ装置に電気的に接続されている。
【0003】
被検者の肉体的な負担が小さいことから、内視鏡に関しては、被検者の体内に挿入される挿入部は細いことが望まれている。例えば、特許文献1に示す内視鏡が提案されている。
特許文献1の内視鏡では、被検体内撮影用の撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)の後端側の辺縁部に、フレキシブル基板が電気的に接続されるとともに接着剤により接着されている。フレキシブル基板の端子に信号ケーブルが半田付けされている。フレキシブル基板のCCDが電気的に接続されている側と反対側の片面に、CCDの駆動回路またはCCDからの出力信号を増幅するプリアンプ等の電子部品、および複数の端子等が設けられている。フレキシブル基板が矩形筒状に折り曲げられ、この内側に絶縁保護部材が充填された後、加熱して硬化される。絶縁保護部材の信号ケーブルが突出された側の端面に、絶縁保護部材よりも可撓性が高い円錐台形状の被覆部材が接合され、信号ケーブルを被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1のように、内視鏡には、撮像素子以外にも、撮像素子を駆動するためCCDの駆動回路またはCCDからの出力信号を増幅するプリアンプ等の電子部品が設けられている。電子部品の発熱が大きく、電子部品の熱により撮像素子の温度が上昇すると、発熱による画像ノイズが発生することがある。特許文献1では、プリアンプ等の電子部品がCCDの近くに設けられており、上述の電子部品の発熱による画像ノイズが発生する恐れがある。
本発明の目的は、画像ノイズの発生を抑制した内視鏡撮像装置および内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡筒と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、撮像素子を駆動する複数の電子部品と、撮像素子と複数の電子部品とが配置された回路基板とを有し、複数の電子部品のうち、発熱が最も大きい電子部品は、回路基板における撮像素子から最も離れている面に設けられている、内視鏡撮像装置を提供するものである。
【0007】
例えば、発熱が最も大きい電子部品が複数ある。
撮像素子と、発熱が最も大きい電子部品との間に設けられた排熱部材を有することが好ましい。
レンズ鏡筒と撮像素子との間に配置される、少なくとも1つのガラス部材と、ガラス部材とレンズ鏡筒とを連結する保持部材と、撮像素子に電気的に接続された信号ケーブルと、保持部材に対し、信号ケーブルを保持する連結部材とを有し、排熱部材は、信号ケーブルのシールド、および連結部材のうち、少なくとも一方に接続されていることが好ましい。
撮像素子に電気的に接続された信号ケーブルを有し、排熱部材は、信号ケーブルであることが好ましい。
【0008】
排熱部材は、回路基板よりも熱伝導率が高いことが好ましい。
例えば、発熱が最も大きい電子部品が設けられる撮像素子から最も離れている面は、撮像レンズの光軸と直交する方向において、回路基板における最も離れた面、または撮像レンズの光軸と平行な方向において、回路基板における最も離れた面である。
排熱部材は、発熱が最も大きい電子部品が配置された回路基板の面の裏面に接続されていることが好ましい。
電子部品を覆うカバーを有し、カバーは金属で構成されていることが好ましい。
カバーは連結部材に接合されているか、またはカバーと連結部材とは一体構成であることが好ましい。
カバーと、電子部品との間に樹脂層が設けられていることが好ましい。
レンズ鏡筒が配置される貫通孔を有する先端本体部と、カバーおよび連結部材のうち、少なくとも一方と、先端本体部とを接続する部材とを有することが好ましい。
【0009】
撮像素子と発熱が最も大きい電子部品との間に断熱層を有することが好ましい。
断熱層は、空気層であることが好ましい。
断熱層は、回路基板よりも熱伝導率が小さいことが好ましい。
撮像素子と、複数の電子部品とは1つの回路基板に配置されていることが好ましい。
回路基板は可撓性を有し、回路基板に撮像素子と、信号ケーブルが配置されて、回路基板は複数の折曲げ領域で折り曲げられており、回路基板を展開した場合、撮像素子が配置された反対側に信号ケーブルが伸びることが好ましい。
回路基板の複数の折曲げ領域は、全て同じ方向で折り曲げられていることが好ましい。
複数の電子部品は、例えば、電圧レギュレータを含む。
カバーと連結部材とは別体構成であることが好ましい。
連結部材は、互いに対向する、1対のアーム部を有し、連結部材のアーム部は、保持部材に固定されており、カバーは、アーム部の基端よりも先端の方が互いに近づくようにアーム部を保持することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡筒と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、レンズ鏡筒と撮像素子との間に配置される、少なくとも1つのガラス部材と、ガラス部材とレンズ鏡筒とを連結する保持部材と、撮像素子と、電気的に接続された信号ケーブルと、保持部材に対し、信号ケーブルを、保持する連結部材とを有し、連結部材は、互いに対向する、1対のアーム部を有し、連結部材のアーム部は、保持部材に固定されており、アーム部の基端よりも先端の方が互いに近づくようにアーム部を保持するカバーを有する、内視鏡撮像装置を提供するものである。
【0011】
連結部材のアーム部と保持部材とは係合されて固定されており、信号ケーブルに対して、レンズ鏡筒の反対側の方向に力が作用した場合、連結部材のアーム部と保持部材との固定が維持されることが好ましい。
カバーは、1対のアーム部が対向する対向方向における端部に、それぞれ折曲部を有し、折曲部はレンズ鏡筒側の端部が、アーム部の延在方向に伸びた延在部を有し、カバーの延在部が、連結部材のアーム部を、アーム部の基端よりも先端の方が互いに近づくように押圧することが好ましい。
カバーは、レンズから光軸方向に見た場合、1対のアーム部が対向する対向方向および光軸方向と直交する高さ方向における高さが、保持部材の高さ方向における高さ以下であることが好ましい。
【0012】
カバーの折曲部は、レンズから光軸方向に見た場合、1対のアーム部が対向する対向方向および光軸方向と直交する高さ方向における長さが、アーム部の高さ方向における長さよりも短いことが好ましい。
少なくとも1つのガラス部材は、入射面と出射面とが直交するプリズムを有し、プリズムは入射面が撮像レンズに対向し、出射面が撮像素子に対向して配置され、保持部材のアーム部は、プリズムの入射面および出射面と直交する側面を挟んで、互いに対向して配置されており、連結部材の1対のアーム部が対向する対向方向における幅が、撮像素子の1対のアーム部が対向する対向方向における幅よりも広いことが好ましい。
レンズ鏡筒の、1対のアーム部が対向する対向方向における両側に、部材が配置されており、部材の中心を、1対のアーム部が対向する対向方向と平行な方向に通る線が、カバーを通らないことが好ましい。
カバーの1対のアーム部が対向する対向方向における幅は、撮像素子の1対のアーム部が対向する対向方向における幅よりも広いことが好ましい。
また、本発明の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内視鏡撮像装置および内視鏡において、画像ノイズの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の内視鏡を有する内視鏡システムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図である。
【
図4】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例の連結部材を示す模式的斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例の回路基板の一例を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第3の例を示す模式的側面図である。
【
図8】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第4の例を示す模式的側面図である。
【
図9】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第5の例を示す模式的側面図である。
【
図10】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第6の例を示す模式的側面図である。
【
図11】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第7の例を示す模式的斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第7の例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内視鏡撮像装置および内視鏡を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
以下の説明の直交および平行等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、熱伝導率の数値は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0016】
〔内視鏡システム〕
内視鏡システムは、観察対象である被験者の体内等の観察部位に照明光(図示せず)を照射し、観察部位を撮像して、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成し、表示画像を表示するものである。
図1は本発明の実施形態の内視鏡を有する内視鏡システムの一例を示す模式図である。
内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16とを有する。内視鏡システム10は、後述する内視鏡12の内視鏡撮像装置の部分以外は、一般的な内視鏡と同様の構成を有する。
【0017】
内視鏡12は、詳細に図示はしないが、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部と、先端部に連なる湾曲部と、湾曲部と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。
【0018】
先端部には、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、または観察部位を撮像する撮像素子および撮像光学系等を有する内視鏡撮像装置(カメラヘッド)が設けられている。湾曲部は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0019】
操作部には、先端部の内視鏡撮像装置の撮像動作を操作するボタン、または湾曲部の湾曲動作を操作するノブ等が設けられている。また、操作部には、電気メス等の処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0020】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡12は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源装置14、および先端部の内視鏡撮像装置によって取得される映像信号を処理するプロセッサ装置16と接続される。
【0021】
プロセッサ装置16は、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させるか、またはハードディスク等の記憶媒体に記録する。なお、プロセッサ装置16は、パーソナルコンピュータ等のプロセッサによって構成されるものであってもよい。
【0022】
光源装置14は、内視鏡12の内視鏡撮像装置によって体腔内の観察対象部位を撮像して、観察対象の画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、および青光(B)等の3原色光からなる白色光または特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡12に供給し、内視鏡12内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡12の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0023】
挿入部および操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイドまたは電線群(信号ケーブル)が収容されている。光源装置14にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され、また、先端部の内視鏡撮像装置とプロセッサ装置16との間で信号および電力のうち、少なくとも一方が電線群を介して伝送される。
【0024】
また、内視鏡システム10は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、または外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていてもよい。
【0025】
〔内視鏡撮像装置の第1の例〕
図2は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的斜視図であり、
図3は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図である。なお、
図3は連結部材30を外した状態を示し、連結部材30を
図4に示す。
図1に示す内視鏡システム10の内視鏡12の先端部に、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20が搭載される。
内視鏡撮像装置20は、観察対象の画像を取得するものであり、例えば、レンズ鏡筒22と、保持部材24と、撮像素子25と、撮像素子25と電子部品36、36aが配置される回路基板26と、保持部材24に対して信号ケーブル28を保持する連結部材30とを有する。撮像素子25と電子部品36、36aとは回路基板26に電気的に接続されている。また、内視鏡撮像装置20は、保持部材24と、連結部材30とを係合する係合部32とを有する。
【0026】
信号ケーブル28は、撮像素子25と電気的に接続されたものであり、撮像素子25は回路基板26および信号ケーブル28を介してプロセッサ装置16(
図1参照)に電気的に接続される。信号ケーブル28は、ユニバーサルコード内に配置される。なお、信号ケーブル28の構成は、特に限定されるものではない。信号ケーブル28は、例えば、多数の信号線29が束ねられ、かつ周囲にシールド導体が設けられ、かつ円筒状の外皮内に収納された多芯ケーブルである。信号ケーブル28のシールド導体のことをシールド28aという。信号線29は、例えば、4本有する。信号線の数は特に限定されるものではなく、2本、3本でもよく、5本以上でもよい。
【0027】
レンズ鏡筒22は、筒状の部材であり、内部に、観察対象を撮像するための撮像レンズ23が設けられている。撮像レンズ23の構成は、特に限定されるものではなく、光軸C方向に並設された複数のレンズを有する構成でもよく、レンズが1つの構成でもよい。
ここで、
図2および
図3に示すように、光軸Cに平行な方向をX方向とする。光軸Cと直交する2つの方向のうち、1つをY方向とし、残りをZ方向とする。Y方向は内視鏡撮像装置20の幅方向に対応し、Z方向は内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応する。
【0028】
保持部材24は、レンズ鏡筒22の外周に嵌合された筒状の取付筒部24aと、取付筒部24aに連続して一体に設けられた基部24bとを有する。基部24bの裏面24eにプリズム34が設けられる。保持部材24は、プリズム34等のガラス部材とレンズ鏡筒22とを連結するものである。
プリズム34は、例えば、入射面34aと出射面34bとが直交する直角プリズムである。入射面34aを基部24bの裏面24eに向けて配置する。これにより、入射面34aは撮像レンズ23と対向する。
撮像素子25上にカバーガラス33が配置されている。カバーガラス33上にプリズム34が配置されており、プリズム34の出射面34bと撮像素子25とが対向している。
カバーガラス33は、撮像素子25の受光面(図示せず)を保護するものである。プリズム34は、撮像素子25の受光面に撮像レンズ23を通過した光をガイドするものである。
【0029】
撮像素子25は、例えば、撮像レンズ23の光軸Cに対して平行に、回路基板26の一方の端部の表面26aに設けられており、保持部材24の基部24bの下方に配置されている。撮像素子25の受光面とは反対側の回路基板26の裏面26bには、撮像素子25および電子部品36、36aに対する信号または電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が設けられている。
【0030】
回路基板26は、例えば、可撓性を有する基板で構成されている。可撓性を有する基板は、例えば、フレキシブル配線基板である。回路基板26は、例えば、
図3に示すように2箇所で折り曲げられており、第1の湾曲部26cと、第2の湾曲部26dとを有する。第1の湾曲部26cと第2の湾曲部26dとの間において、回路基板26の表面26aに電子部品36が、例えば、2つ設けられている。第2の湾曲部26dに連続する回路基板26の表面26aに、例えば、電子部品36が3つ、電子部品36aが2つ設けられている。例えば、第2の湾曲部26dに連続する回路基板26の表面26aに設けられた、5つの電子部品36、36aのうち、2つの電子部品36aが、発熱が最も大きい。例えば、複数の電子部品36、36aのうち、発熱が最も大きい電子部品36aが1つではなく、複数ある。
【0031】
回路基板26が折り曲げられた状態において、撮像素子25が配置される面51aから最も離れた面51bに発熱が最も大きい電子部品36aが配置されている。すなわち、発熱が最も大きい電子部品36aは、撮像レンズ23の光軸Cと直交する方向、すなわち、撮像レンズ23の径方向において、回路基板26における撮像素子25から最も離れた面51bに設けられている。電子部品の発熱量は、電子部品の消費ワット数に依存している。複数の電子部品のうち、消費ワット数が最も高い電子部品が、発熱が最も大きくなる。すなわち、発熱が最も大きい電子部品とは、複数の電子部品のうち、消費ワット数が最も高い電子部品のことである。
発熱が最も大きい、2つの電子部品36aは、回路基板26において、撮像素子25から最も離れた面51bに設けられている。これにより、電子部品36aの発熱による、撮像素子25への熱の影響を抑制し、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生を抑制できる。なお、電子部品36、36aについては後に説明するが、発熱が最も大きい電子部品36aは、2つに限定されるものではなく、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0032】
なお、撮像素子25から最も離れた面51bとは、回路基板26が複数の面を有し、撮像素子25が配置される面51aに対して、最も距離の遠い面のことである。例えば、
図3であれば、回路基板26は、撮像レンズ23の光軸Cと直交する方向、すなわち、Z方向において、複数の面のうち、撮像素子25が配置される面51aから最も遠い面が、最も離れた面51bである、また、撮像レンズ23の光軸Cと平行な方向、すなわち、X方向において、複数の面のうち、撮像素子25が配置される面51aから最も遠い面が最も離れた面51b(後述の
図9、
図10参照)である。
【0033】
回路基板26を、2箇所で折り曲げ、第1の湾曲部26cと、第2の湾曲部26dとを設けることにより、X方向に小さくでき、内視鏡撮像装置20をX方向において小型化することができる。すなわち、内視鏡撮像装置20を短くできる。
図3に示すように回路基板26の他方の端部の裏面26bに設けられた接続端子(図示せず)に、信号ケーブル28の信号線29が電気的に接続されている。
なお、回路基板26の折り曲げは、2箇所に限定されるものではなく、電子部品36、36aの数等の装置構成、または装置の大きさ等により適宜決定されるものである。
【0034】
撮像素子25と、発熱が最も大きい電子部品36aとの間である空間26eに設けられた排熱部材60を有する。排熱部材60は、例えば、板状の部材であり、空間26eに端部60aが配置され、他端部60bが、例えば、信号ケーブル28のシールド28aに半田等により接続されている。
排熱部材60は、電子部品36、36aで発生した熱を、接続されている信号ケーブル28のシールド28aに伝導させて内視鏡撮像装置20外に排熱するものであり、撮像素子25に伝導する可能性がある熱の量を減し、撮像素子25に電子部品36、36aの熱が伝導されることを抑制する。排熱部材60は、形状は特に限定されるものではなく、板状に限定されるものではなく、例えば、棒状でもよい。
このように、排熱部材60により、電子部品36、36aで発生した熱を内視鏡撮像装置20外に効率よく排熱でき、撮像素子25に伝導する可能性がある熱の量が減り、電子部品36、36aの発熱、特に発熱が大きい電子部品36aによる、撮像素子25への熱の影響を抑制し、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生を抑制できる。
【0035】
排熱部材60は、電子部品36、36aで発生した熱を効率よく排熱するために回路基板26よりも熱伝導率が高いことが好ましい。排熱部材60は、熱伝導率が1W/mK以上であることが好ましく、熱伝導率が2W/mK以上であることがより好ましい。排熱部材60の熱伝導率が1W/mK以上であれば、電子部品36aで発生した熱を効率よく排熱することができ、撮像素子25に伝導する可能性のある熱の量を減らすことができる。なお、電子部品36、36aで発生した熱を効率よく排熱する観点から、排熱部材60の熱伝導率は高ければ高い程よく熱伝導率の上限は特に限定されるものではない。
排熱部材60は、例えば、ステンレス鋼、銅合金、またはグラファイト等で構成される。また、排熱部材60として、熱伝導性のよい接着剤等を用いてもよい。
【0036】
また、排熱部材60は、信号ケーブル28のシールド28aに接続することに限定されるものではなく、連結部材30にだけ接続されていてもよく、さらには、信号ケーブル28のシールド28a、および連結部材30の両方に接続されてもよい。
なお、排熱部材60としては、信号ケーブル28を利用することもできる。この場合、例えば、信号ケーブル28の信号線29、またはシールド28aを、発熱が最も大きい電子部品36aが配置された回路基板26の面51bの裏面26bに伸ばして接続する。これにより、発熱が最も大きい電子部品36aで発生した熱が信号ケーブル28を介して排熱され、より効率よく内視鏡撮像装置20外に排熱でき、撮像素子25への熱の影響を抑制できる。この場合、電子部品36aに隣接して設けられた電子部品36で発生した熱についても、電子部品36aと同様に、信号ケーブル28を介して排熱される。
また、排熱部材60に、信号ケーブル28を用いることにより、部品点数を減らすことでき、かつ排熱部材60として別の部材を取り付ける必要がなく組立作業性も向上し、ひいては製品コストを下げることができる。
【0037】
撮像素子25は、撮像レンズ23を通過した光を受光し、光電変換するものである。撮像素子25では、観察対象の光学画像を光電変換して撮像信号を得る。
内視鏡撮像装置20では、レンズ鏡筒22と撮像素子25との間に、少なくとも1つのガラス部材が配置される、少なくとも1つガラス部材とは、例えば、上述のカバーガラス33、およびプリズム34であるが、少なくとも1つのガラス部材としては、上述のカバーガラス33およびプリズム34に特に限定されるものではない。
【0038】
係合部32は、保持部材24に設けられた、少なくとも1つの凸部と、連結部材30に設けられた、保持部材24の凸部と係合する、凹部とを有する。係合部32では、保持部材24の凸部と連結部材30の凹部とが係合することにより保持部材24と連結部材30との強固な固定を実現できる。なお、連結部材30の凹部は、後述の貫通する開口部も含む。
【0039】
図2および
図3に示す保持部材24の基部24bには、互いに対向し、かつプリズム34を挟んで、凸部24cが2つ設けられている。2つの凸部24cは、プリズム34の側面34cの一部を覆うものであり、2つの凸部24cによりプリズム34が挟持されてプリズム34が固定される。2つの凸部24cは形状および大きさが同じであり、保持部材24の基部24bの両側に凸部24cが設けられている。なお、プリズム34の側面34cは、入射面34aおよび出射面34bと直交する面である。
保持部材24において、基部24bの凸部24c(
図2、3参照)は、例えば、外形が四角形状であるが、1つの角が切り欠かれている。このため、基部24bの凸部24c(
図2、3参照)は、実質的には5角形である。
【0040】
連結部材30は、保持部材24に対し、信号ケーブル28を保持するものである。
ここで、
図4は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例の連結部材を示す模式的斜視図である。
連結部材30は、例えば、
図4に示すように、1つ板材を曲げて構成された、平版状の底部40fと、底部40fに連続した平板状の基材部40gを有する保持部40aを有する。連結部材30では、保持部40a側を基端41aとする。基材部40gを信号ケーブル28を押圧するようにかしめると、基材部40gは信号ケーブル28の外皮に沿って曲げられる。
保持部40aにおいて開口を挟んで対向する、平板状の基材部40gに、それぞれアーム部40bが設けられている。連結部材30は、1対のアーム部40bを有する。アーム部40bは、基端41a側で保持部40aよりも外側に屈曲した後、直線状に伸びている。このため、1対のアーム部40bは、基端41aよりも先端41bの方が間隔が広く、この間隔は、
図2および
図3に示す保持部材24の凸部24cに合わせて適宜決定される。また、それぞれのアーム部40bには、先端41bに開口部40cが設けられている。
【0041】
アーム部40bの開口部40cが、保持部材24の凸部24cと係合する。開口部40cは、例えば、アーム部40bの一部が四角形状に切り取られて構成されている。
なお、開口部40cは、凸部24cの外形状と大きさおよび形状が同じでもよい。ここで、上述の開口部40cの形状は、凸部24cの外形状と大きさおよび形状が同じであるとは、該当技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。このため、開口部40cと凸部24cとは、いわゆる、すき間ばめ、中間ばめ、およびしまりばめのいずれの場合もある。
なお、以下の説明においても、「大きさおよび形状が同じ」とは、上述のように該当技術分野で一般的に許容される誤差範囲が含まれる。
【0042】
上述のように、1対のアーム部40bの開口部40cと、保持部材24の凸部24cとを係合する係合部32を有する構成により、凸部に凹部が嵌るため、内視鏡撮像装置20の光軸Cと直交するY方向における長さを短くすることができ、内視鏡撮像装置20のサイズの大型化を抑制することができる。しかも、保持部材24と連結部材30との強固な固定を実現することができる。
なお、アーム部40bの厚みを、凸部24cの高さと合わせることにより、1対のアーム部40bの開口部40cが、それぞれ保持部材24の凸部24cと係合した場合、内視鏡撮像装置20の光軸Cと直交するY方向における長さをより短くすることができ、この構成により、内視鏡撮像装置20をより小型化できる。
【0043】
連結部材30において、1対のアーム部40bは、アーム部40bの基端41aよりも先端41bの方が互いに近づくように曲げられていることが好ましい。すなわち、1対のアーム部40bは閉じる方向に曲げられていることが好ましい。これにより、アーム部40bを一度広げることにより、アーム部40bの開口部40cを保持部材24の凸部24cに嵌めることができ、容易に組み立てることができる。
上述のように1対のアーム部40bは、アーム部40bの基端41aよりも先端41bの方が互いに近づくように曲げられていることが好ましいが、これは組み立て前の部品の状態であってもよい。
また、アーム部40bに、貫通する開口部40cを設けたが、これに限定されるものではなく、貫通せずに、凹みだけで底がある凹部でもよい。
連結部材30は、保持部40aの内側40eに信号ケーブル28が取付けられて保持される。なお、信号ケーブル28の取付け方法は、内視鏡の使用時に、信号ケーブル28が保持部40aから外れること、および信号線29が外れること等がなければ、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いて連結部材30に取付けられる。
【0044】
なお、保持部材24において、2つの凸部24cは、上述のように大きさおよび形状が同じ、すなわち、合同であるが、大きさおよび形状が異なってもよい。
また、保持部材24において、凸部の形状は、上述の四角形に、特に限定されるものではなく、円、楕円、または三角形、五角形もしくは六角形等の多角形でもよく、これらの形状が組合せてできた形状でもよい。さらには、1つの形状だけではなく、同じ形状のものが複数配置されたものでもよく特定のパターンでもよい。
係合部32では、1つの凸部と1つの凹部とが1つの部位で係合するが、係合する部位が1つに限定されるものではなく、1つの凸部に複数の係合する部位を有する構成でもよい。
【0045】
なお、保持部材24の凸部の大きさは、例えば、プリズム34の側面34cの少なくとも一部を覆う大きさであることが好ましい。凸部の大きさを、プリズム34の側面34cの少なくとも一部を覆う大きさにすることにより、プリズム34をより安定して挟持して固定することができ、また、組み立て時において保持部材に対してプリズムのY方向の位置決めに利用することができる。
保持部材24の凸部の大きさの上限としては、プリズム34の側面34cを全て覆う大きさとすることができる。
さらには、保持部材24において、2つの凸部24cを対向して設けることにより、アーム部40bにより、プリズム34および回路基板26が囲まれる。これにより、保持部材24と連結部材30との係合が安定し、かつプリズム34および回路基板26を保護することもできる。
保持部材24において、2つの凸部24cを設ける構成としたが、大型化をしない限り、これに限定されるものではなく、凸部を3つ以上設けてもよい。すなわち、係合部の数は、3以上とすることもできる。
【0046】
プリズム34は、撮像レンズ23の光を撮像素子25に導くものであり、直角プリズムに限定されるものではなく、プリズム34の形状も撮像素子25の配置位置に応じたものが適宜用いられる。なお、プリズム34は、撮像素子25の配置位置によっては必ずしも必要ではない。
【0047】
撮像素子25としては、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサーまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いることができる。例えば、撮像レンズ23の光軸Cを直角に曲げるプリズム34を用いることにより、撮像素子25の配置位置の自由度を高くでき、保持部材24の基部24bの大きさ等に制限されることなく、大きな撮像素子25を用いることができる。
なお、保持部材24とプリズム34が接着固定された後、それらを側面からアーム部40bで挟み込み、アーム部40bと保持部材24およびプリズム34が接着で連結される。保持部材24とプリズム34の接合もアーム部40bを側面から接着することでより強固になる。また、保持部材24の側面だけでなくプリズム34の側面34cとアーム部40bとを接着することにより、アーム部40bの固定強度も上がる。
保持部材24とアーム部40bの連結強度は、凸部24cと開口部40c(凹部)とが同一形状であり、かつ同じ大きさであることと、X方向およびZ方向の力をアーム部の断面で受けるため、内視鏡撮像装置20の機械的強度が強くなる。これに対して、上述の特許文献1のように固定に爪部を利用していると、内視鏡の挿入部の先端部を曲げて、X方向の力をかけたときに爪部が開いて外れてしまう。
【0048】
<回路基板>
次に、回路基板26について説明する。
図5は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例の回路基板の一例を示す模式図である。なお、
図5に示す回路基板26は、
図2および
図3に示す形態に折り曲げる前の状態を示しており、展開した状態を示す。
回路基板26は、例えば、
図5に示すように、表面26aに撮像素子25と、電子部品36とが、予め定められた位置に配置されている。信号ケーブル28の信号線29が裏面26bに設けられた接続端子(図示せず)と電気的に接続されている。回路基板26を展開した場合、すなわち、折り曲げる前の状態とした場合、撮像素子25が配置された反対側に信号ケーブル28が伸びている。この構成により、信号ケーブル28を回路基板26に、はんだ等により電気的に接続する際の作業性が向上し、組立作業性も向上する。
【0049】
図5では、回路基板26の表面26aに、例えば、撮像素子25と、2つの電子部品36とが、第1の曲げ領域27aをあけて設けられ、2つの電子部品36と、信号ケーブル28側の3つの電子部品36、36a、36aとが、第2の曲げ領域27bをあけて設けられている。第1の曲げ領域27aが第1の湾曲部26cに対応し、第2の曲げ領域27bが第2の湾曲部26dに対応する。
回路基板26において、第1の曲げ領域27aを、撮像素子25と、電子部品36とが対向するように曲げ、第2の曲げ領域27bを、回路基板26の裏面26bが対向するように曲げる。これにより、回路基板26は、
図2および
図3に示すように第1の湾曲部26cと第2の湾曲部26dとを有する構成となる。第1の曲げ領域27aを曲げるとき、第1の折曲面Lb
1に基づいて曲げる。第2の曲げ領域27bを曲げるとき、第2の折曲面Lb
2に基づいて曲げる。このように、回路基板26は、複数の折曲げ領域で折り曲げられる。
図5では、第1の折曲面Lb
1と第2の折曲面Lb
2とは、平行であるがこれに限定されるものではなく、平行ではなくてもよい。なお、第1の折曲面Lb
1は第1の曲げ領域27aに設けられ、第2の折曲面Lb
2は第2の曲げ領域27bに設けられるため、第1の折曲面Lb
1と第2の折曲面Lb
2とは直交することはない。
回路基板26の折り曲げ方向は、全て同じ方向で折り曲げられていることが好ましい。これにより、第1の湾曲部26c、第2の湾曲部26dのように、内視鏡撮像装置20のY方向に曲げ領域がなく、内視鏡撮像装置20の内部の空間において曲げ領域が占める割合を小さくできる。
【0050】
なお、撮像素子25と、電子部品36、36aとを回路基板26の表面26aに設けたが、これに限定されるものではなく、撮像素子25と、電子部品36、36aとを別々の面に設けてもよい。
また、撮像素子25と、電子部品36、36aとを、
図5に示すように1つの回路基板26に設けることが好ましい。1つの回路基板26に設けることにより、部品点数を減らすことができる。
電子部品36、36aは、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、およびコンデンサ等が挙げられる。
複数の電子部品36、36aのうち、発熱が最も大きい電子部品36aは、例えば、電圧レギュレータである。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。
また、回路基板26では、例えば、他方の端で、回路基板26の裏面26bと、信号ケーブル28のシールド28aとが、例えば、半田により接合してもよい。信号ケーブル28のシールド28aを裏面26bに接合することにより、撮像素子25および電子部品36から発生した熱を、回路基板26から信号ケーブル28を経て内視鏡撮像装置20外に排熱することができ、内視鏡撮像装置20の放熱性を高めることができる。
【0051】
〔内視鏡撮像装置の第2の例~第7の例〕
内視鏡撮像装置20は
図2および
図3に示す構成に限定されるものではない。以下、内視鏡撮像装置の第2の例~第7の例について説明する。
図6は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的斜視図であり、
図7は発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第3の例を示す模式的側面図であり、
図8は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第4の例を示す模式的側面図であり、
図9は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第5の例を示す模式的側面図であり、
図10は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第6の例を示す模式的側面図である。
図7~
図10において、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20、ならびに
図5に示す連結部材30と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図6に示す内視鏡撮像装置20aは、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20に比して、カバー62と樹脂層63とを有する点が異なり、それ以外の構成は、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同じ構成である。
内視鏡撮像装置20aは、電子部品36、36aを覆うカバー62を有する。カバー62は、例えば、金属で構成されていることが好ましい。金属製のカバー62を設けることにより、電子部品36、36aで発生した熱がカバー62に伝導し、電子部品36、36aで発生した熱を内視鏡撮像装置20外に排熱することができる。
カバー62は、例えば、ステンレス鋼、銅合金、またはグラファイト等で構成される。
また、カバー62は、連結部材30に接合されているか、またはカバー62と連結部材30とは一体構成であることが好ましい。これにより、電子部品36、36aで発生した熱が伝導する部材が多くなり、撮像素子25に伝導する可能性のある熱をさらに減らすことができ、しかも内視鏡撮像装置20外に効率よく排熱することができる。
なお、カバー62と連結部材30とが一体構成の場合、カバー62と連結部材30とは同じ金属で構成される。また、カバー62と連結部材30とは別体構成でもよい。この場合、カバー62は、連結部材30のアーム部40bの基端41aよりも先端41bの方が互いに近づくようにアーム部40bを保持することが好ましい。これにより、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとが外れにくくなり、保持部材24と連結部材30とがより確実に固定され、結果として、内視鏡撮像装置20の剛性が高くなる。
【0053】
さらに、カバー62と、電子部品36、36aとの間に樹脂層63を設けることにより、電子部品36、36aで発生した熱を、より一層効率よく、カバー62に熱伝導させることができ、これにより、電子部品36、36aの発熱による撮像素子25への熱の影響抑制できる。なお、樹脂層63は必ずしも設ける必要がなく、カバー62を設けて樹脂層63を設けない構成でもよい。
樹脂層63は、特に限定されるものではなく、樹脂層63としては、電子部品36aで発生した熱を効率よく排熱するために熱伝導率が1W/mK以上の樹脂で構成されることが好ましく、熱伝導率が2W/mK以上の樹脂で構成されることがより好ましい。なお、電子部品36aで発生した熱を効率よく排熱する観点から、樹脂層63の熱伝導率は高ければ高い程よく熱伝導率の上限は特に限定されるものではない。
樹脂層63としては、例えば、電気絶縁性を有するシリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂にダイヤモンドまたはセラミックのフィラーを含ませた樹脂が用いられる。
【0054】
図7に示す内視鏡撮像装置20bは、
図6に示す内視鏡撮像装置20aに比して、レンズ鏡筒22が配置される貫通孔64aを有する先端本体部64と、カバー62および連結部材30のうち、少なくとも一方と、先端本体部64とを接続する接続部材65とを有する点が異なり、それ以外の構成は、
図6に示す内視鏡撮像装置20aと同じ構成である。先端本体部64は内視鏡12(
図1参照)の先端部に配置される。
接続部材65により、カバー62および連結部材30のうち、少なくとも一方と、先端本体部64とを接続することにより、電子部品36、36aで発生した熱を先端本体部64に伝導させることができ、撮像素子25に伝導する可能性のある熱をさらに減らすことができる。接続部材65自体が排熱部材として機能する。
図7では、接続部材65は、カバー62と先端本体部64の内面64bとに接続されており、例えば、三角柱状である。なお、接続部材65は、三角柱状に限定されるものではない。
なお、接続部材65は、例えば、金属、または樹脂により構成されるが、電子部品36aで発生した熱を効率よく内視鏡撮像装置20外に排熱するために熱伝導率が1W/mK以上の金属または樹脂で構成することが好ましく、熱伝導率が2W/mK以上の金属または樹脂で構成することがより好ましい。なお、電子部品36aで発生した熱を効率よく排熱する観点から、接続部材65の熱伝導率は高ければ高い程よく熱伝導率の上限は特に限定されるものではない。
接続部材65は、例えば、ステンレス鋼、銅合金またはグラファイト等で構成される。また、接続部材65は熱伝導性のよい接着剤等を充填する構成でもよい。
【0055】
図8に示す内視鏡撮像装置20cは、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20に比して、断熱層66を有し、排熱部材60が設けられていない点が異なり、それ以外の構成は、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同じ構成である。なお、
図8は、内視鏡撮像装置20cにおいて連結部材30を外した状態を示している。
内視鏡撮像装置20cは、撮像素子25と、発熱が最も大きい電子部品36aとの間である空間26eに設けられた断熱層66を有する。断熱層66により撮像素子25と発熱が最も大きい電子部品36aとが断熱されている。この断熱層66を設けることにより、電子部品36aで発生した熱の撮像素子25への熱伝導が抑制され、電子部品36、36aの発熱による、撮像素子25への熱の影響が抑制され、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生を抑制できる。
断熱層66は、例えば、空気層である。この場合、空間26eには何も設けられていない。断熱層66は、例えば、回路基板26よりも熱伝導率が小さいことが好ましく、樹脂等で構成することもできる。断熱層66は熱伝導率が1W/mK未満の樹脂等で構成することが好ましい。熱伝導率が1W/mK未満であれば、電子部品36aで発生した熱の撮像素子25への熱伝導を十分に抑制できる。なお、電子部品36aで発生した熱を効率よく断熱する観点から、断熱層66の熱伝導率は小さければ小さい程よく熱伝導率の下限は特に限定されるものではない。
断熱層66は、例えば、電気絶縁性を有するシリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂等により構成される。
【0056】
なお、内視鏡撮像装置20cにおいても、排熱部材60(
図3参照)を有する構成でもよい。排熱部材60を設けることにより、電子部品36aで発生した熱をより効率よく内視鏡撮像装置20外に排熱することができるため、撮像素子25に伝導する可能性がある熱の量が減り、撮像素子25への熱の影響がさらに抑制され、画像ノイズの発生をさらに抑制できる。
また、
図6に示すカバー62を設けてもよく、さらにはカバー62と樹脂層63を有する構成とすることもできる。カバー62、またはカバー62と樹脂層63を設けた場合でも、撮像素子25に伝導する可能性がある熱の量が減り、撮像素子25への熱の影響がさらに抑制され、画像ノイズの発生をさらに抑制できる。
さらには、
図7に示す接続部材65を設ける構成でもよい。接続部材65を設けた場合でも、撮像素子25に伝導する可能性がある熱の量が減り、撮像素子25への熱の影響がさらに抑制され、画像ノイズの発生をさらに抑制できる。
【0057】
図9に示す内視鏡撮像装置21は、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20に比して、回路基板50の構成、ならびに撮像素子25およびカバーガラス33の配置が異なり、さらに、プリズム34を設けていない点が異なる。それ以外の構成は、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同じ構成である。なお、
図9は、内視鏡撮像装置21において連結部材30を外した状態を示す。
【0058】
図9に示す内視鏡撮像装置21の回路基板50は、上述の回路基板26と同じ構成であるが形態が異なる。すなわち、回路基板50の折り曲げ方が異なる。
回路基板50は、1つの基板であるが、例えば、平板状の基部50aに対して垂直に支持部50bと、支持部50cとが設けられている構成である。支持部50bと、支持部50cとはX方向に対向して互いに平行に配置されている。
支持部50bの支持面50dに撮像素子25が設けられている。撮像素子25上にカバーガラス33が設けられており、撮像素子25は受光面(図示せず)がカバーガラス33に覆われている。保持部材24の基部24bの裏面24eにカバーガラス33が配置されており、受光面(図示せず)を撮像レンズ23に向けて撮像素子25が配置されている。
【0059】
基部50aに電子部品36が設けられ、支持部50cの支持面50eに電子部品36aが設けられている。
回路基板50の裏面50fに、撮像素子25および電子部品36、36aに対する信号または電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が設けられている。回路基板50の裏面50fの接続端子に、信号ケーブル28の信号線29が電気的に接続されている。
回路基板50では、複数の面のうち、撮像素子25が配置される面51aから回路基板50における撮像レンズ23の光軸Cと平行な方向、すなわち、X方向において最も離れた面51bに発熱が最も大きい電子部品36aが配置されている。これにより、電子部品36aの発熱による、撮像素子25への熱の影響を抑制し、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生を抑制できる。
【0060】
撮像素子25と、発熱が最も大きい電子部品36aとの間に排熱部材67が設けられている。排熱部材67は、支持部50bと支持部50cとの間の空間50gに端部67aが配置され、他端部67bが、例えば、信号ケーブル28のシールド28aに半田等により接続されている。排熱部材67は、上述の排熱部材60(
図3参照)と同じ構成である。
排熱部材67を設けることにより、電子部品36aで発生した熱を内視鏡撮像装置21外に効率よく排熱でき、電子部品36aの発熱による、撮像素子25への熱の影響をさらに抑制し、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生をさらに抑制できる。
なお、回路基板50の構成は、特に限定されるものではなく、フレキシブル配線基板でもよく、リジット基板でもよい。リジット基板としては、プリント配線基板を用いることができる。
【0061】
図10に示す内視鏡撮像装置21aは、
図9に示す内視鏡撮像装置21に比して、回路基板70の構成と、電子部品36の配置数が異なり、それ以外の構成は、
図9に示す内視鏡撮像装置21と同じ構成である。なお、
図10は、内視鏡撮像装置21aにおいて連結部材30を外した状態を示す。
図10に示す内視鏡撮像装置21aは、回路基板70が、
図9に示す内視鏡撮像装置21の回路基板50と同じ構成であるが形態が異なる。すなわち、回路基板70の折り曲げ方が異なる。
【0062】
回路基板70は、1つの基板であるが、例えば、7つの平板状の基体70a~70gを有し、基体70aと基体70cと基体70eと基体70gとがX方向に間隔をあけて、互いに平行に配置されており、複数の面を有する。基体70aと基体70cとは端部で基体70bに接続され、基体70cと基体70eとは端部で基体70dに接続され、基体70eと基体70gとは端部で基体70fに接続されている。基体70b、基体70d、および基体70eは、基体70aと直交して配置、すなわち、X方向に平行に配置されている。基体70b、基体70d、および基体70eは、Z方向の位置をかえて配置されている。
基体70aの、撮像レンズ23側の面に撮像素子25が設けられている。基体70cおよび基体70eでは撮像素子25側に電子部品36が設けられている。基体70gでは信号ケーブル28側に電子部品36aが設けられている。
基体70e、基体70gとの間の空間70hに,排熱部材67の端部67aが配置され、他端部67bが、例えば、信号ケーブル28のシールド28aに、半田等により接続されている。
【0063】
回路基板70では、複数の面のうち、撮像素子25が配置される面51aから回路基板70における撮像レンズ23の光軸Cと平行な方向、すなわち、X方向において最も離れた面51bに発熱が最も大きい電子部品36aが配置されている。これにより、電子部品36aの発熱による、撮像素子25への熱の影響を抑制し、撮像素子25により得られる画像における画像ノイズの発生を抑制できる。
また、排熱部材67を設けることにより、
図9に示す内視鏡撮像装置21と同様の効果を得ることができる。
【0064】
図9に示す内視鏡撮像装置21および
図10に示す内視鏡撮像装置21aでも、内視鏡撮像装置20と同様の効果を得ることができる。
また、
図9に示す内視鏡撮像装置21および
図10に示す内視鏡撮像装置21aでも、カバー62(
図6参照)を有する構成としてもよい。この場合、樹脂層63(
図6参照)を設けてもよい。さらに、
図7に示す内視鏡撮像装置20bと同様に、レンズ鏡筒22が配置される貫通孔64aを有する先端本体部64に、カバー62および連結部材30のうち、少なくとも一方と、先端本体部64とを接続する接続部材65を設けてもよい。また、
図8に示すように断熱層66を設けてもよい。
【0065】
図11は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第7の例を示す模式的斜視図であり、
図12は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第7の例を示す模式的正面図である。
図11および
図12において、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20、ならびに
図5に示す連結部材30、および
図6に示す内視鏡撮像装置20aと同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図11に示す内視鏡撮像装置20dは、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20に比して、カバー80を有する点が異なり、それ以外の構成は、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同じ構成である。なお、内視鏡撮像装置20dは、
図6に示す内視鏡撮像装置20aと同様に、樹脂層63(
図6参照)があってもよい。
【0066】
内視鏡撮像装置20dは、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同様に、保持部材24と連結部材30とが係合されて固定されている。
1対のアーム部40bは、それぞれ開口部40cが、保持部材24の凸部24cに引っ掛かって係合しており、1対のアーム部40bは、それぞれ延在方向Deの移動が規制されている。上述のアーム部40bの延在方向Deは上述のX方向に平行な方向である。
また、カバー80は、アーム部40bの基端41aよりも先端41bの方が互いに近づくように、アーム部40bを保持する。すなわち、カバー80により、1対のアーム部40bは閉じる方向に保持される。カバー80により、1対のアーム部40bが対向方向Dfの反対側に移動することが規制され、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとが外れにくくなる。すなわち、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとの係合が解除されにくくなる。結果として、内視鏡撮像装置20dの剛性が高くなる。
例えば、信号ケーブル28に対して、レンズ鏡筒22の反対側の方向Drに力が作用した場合、アーム部40bがレンズ鏡筒22の反対側の方向Drに移動しようとしても、アーム部40bの開口部40cが、保持部材24の凸部24cに引っ掛かり、保持部材24と連結部材30との係合が維持される。これにより、連結部材30のアーム部40bと保持部材24との固定が維持される。このことにより、信号ケーブル28が抜けることが防止される。
【0067】
カバー80は、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfにおける端部80eに、それぞれ折曲部80bを有する。カバー80の基部80aの端部80eに、それぞれ折曲部80bが設けられている。折曲部80bは、上述のアーム部40bの延在方向Deにおけるレンズ鏡筒22側の端部が、アーム部40bの延在方向Deに伸びた延在部81を有する。
カバー80の延在部81が、連結部材30のアーム部40bを、アーム部40bの基端41aよりも先端41bの方が互いに近づくように押圧する。すなわち、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfに、カバー80の延在部81が、1対のアーム部40bを押圧する。
【0068】
カバー80に延在部81を設けることにより、アーム部40bを押圧する領域が多くなり、1対のアーム部40bが対向方向Dfの反対側に移動することが規制され、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとが、更に外れにくくなる。結果として、内視鏡撮像装置20dの剛性が更に高くなる。
また、延在部81は、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとを覆うことが好ましい。これにより、アーム部40bが対向方向Dfの反対側に移動することが更に規制され、アーム部40bの開口部40cと保持部材24の凸部24cとが、更に一層外れにくくなる。結果として、内視鏡撮像装置20dの剛性が更に一層高くなる。
【0069】
また、
図12に示すように、カバー80は、撮像レンズ23から光軸C方向に見た場合、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfおよび光軸C方向と直交する高さ方向Dhにおける高さが、保持部材24の高さ方向Dhにおける高さ以下であることが好ましい。すなわち、カバー80の基部80aの位置が、保持部材24の頂部24g以下であることが好ましい。これにより、カバー80を低くでき、内視鏡撮像装置20dにスペースができる。これにより、上述のスペースに別の部材を配置することができ、また、別の部材を配置する場合、配置する部材を大きくできる。
なお、カバー80の基部80aの高さ方向Dhの位置の下限は、アーム部40bの大きさにより制限される。また、カバー80の基部80aの位置は保持部材24の頂部24gと同じでもよい。この場合でも、内視鏡撮像装置20dの容積を大きくすることがない。
【0070】
図12に示すように、カバー80の折曲部80bは、内視鏡撮像装置20dを撮像レンズ23から光軸C方向に見た場合、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfおよび光軸C方向と直交する高さ方向Dhにおける長さH
2が、アーム部40bの高さ方向Dhにおける長さH
1よりも短いことが好ましい。すなわち、H
2<H
1であることが好ましい。カバー80の折曲部80bの長さH
2を、アーム部40bの高さ方向Dhにおける長さH
1よりも短くすることにより、カバー80の折曲部80bの縁80cの回路基板26側にスペースができる。これにより、上述のスペースに別の部材を配置することができ、また、別の部材を配置する場合、配置する部材を大きくできる。
なお、カバー80の折曲部80bの長さH
2は、アーム部40bの長さH
1に対して、0.2H
1<H
2<0.8H
1であることが更に好ましい。0.2H
1<H
2<0.8H
1であれば、上述のように、スペースに別の部材を配置することができ、また、別の部材を配置する場合、配置する部材を大きくできる。
【0071】
上述のようにカバー80は、連結部材30のアーム部40bを覆っていることから、連結部材30の対向方向Df、すなわち、Y方向における幅Wbは、カバー80の対向方向Dfにおける幅Wcよりも狭い。また、
図12では、連結部材30の幅Wbは、撮像素子25の1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfにおける幅Wdと同じであるが、特に限定されるものでない。例えば、連結部材30の幅Wbは、撮像素子25の幅Wdよりも広くてもよい。
例えば、回路基板26の対向方向Dfにおける幅Wsは、連結部材30の幅Wbよりも広いが、これに限定されるものではない。
また、カバー80の幅Wcは、回路基板26の幅Ws、または撮像素子25の幅Wdよりも広くてもよい。
【0072】
また、レンズ鏡筒22の、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfにおける両側には、部材が配置される。部材は、例えば、ライトガイド82である。ライトガイド82の中心Cbを、1対のアーム部40bが対向する対向方向Dfと平行な方向(Y方向)に通る線Mbが、カバー80を通らないことが好ましい。すなわち、ライトガイド82の中心Cbは、Z方向において、カバー80の折曲部80bの縁80cよりも、回路基板26側にあることが好ましい。このような構成により、上述のように、カバー80の折曲部80bの縁80cの回路基板26側にはスペースがあり、このスペースを有効に利用することができる。
なお、
図11に示す内視鏡撮像装置20dは
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同様に複数の電子部品36、36aを有する。内視鏡撮像装置20dでは、複数の電子部品36、36aのうち、発熱が最も大きい電子部品36aは、
図2および
図3に示す内視鏡撮像装置20と同様に回路基板26における撮像素子25から最も離れている面51bに設けられている。しかしながら、内視鏡撮像装置20dでは、複数の電子部品36、36aのうち、発熱が最も大きい電子部品36aは、回路基板26における撮像素子25から最も離れている面51bに設けない構成でもよい。
【0073】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の内視鏡撮像装置および内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
14 光源装置
16 プロセッサ装置
20、20a、20b、20c、20d、21、21a 内視鏡撮像装置
22 レンズ鏡筒
23 撮像レンズ
24 保持部材
24a 取付筒部
24b 基部
24c 凸部
24e 裏面
24g 頂部
25 撮像素子
26、50、70 回路基板
26a 表面
26b 裏面
26c 第1の湾曲部
26d 第2の湾曲部
27a 第1の曲げ領域
27b 第2の曲げ領域
28 信号ケーブル
28a シールド
29 信号線
30 連結部材
32 係合部
33 カバーガラス
34 プリズム
34a 入射面
34b 出射面
34c 側面
36、36a 電子部品
40a 保持部
40b アーム部
40c 開口部
40e 内側
40f 底部
40g 基材部
41a 基端
41b 先端
50a 基部
50b 支持部
50c 支持部
50d 支持面
50g、70h 空間
51a 面
51b 面
60、67 排熱部材
60a、67a 端部
60b、67b 他端部
62 カバー
63 樹脂層
64 先端本体部
64a 貫通孔
64b 内面
65 接続部材
66 断熱層
70a、70b、70c、70d、70e、70f、70g 基体
80 カバー
80a 基部
80b 折曲部
80c 縁
80e 端部
81 延在部
82 ライトガイド
C 光軸
Cb 中心
De 延在方向
Df 対向方向
Dh 高さ方向
Dr 方向
Lb1 第1の折曲面
Lb2 第2の折曲面
Mb 線