(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】載置台、及び、検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231208BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20231208BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
(21)【出願番号】P 2019212654
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 大
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直樹
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153717(JP,A)
【文献】特表2018-523305(JP,A)
【文献】特開2007-043042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
H01L 21/683
H01L 33/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置のプローブカードの接触端子が荷重を掛けて押し付けられる電子デバイスを有する被検査体が載置される載置台であって、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記加熱源の上に設けられ、前記加熱源が出力する光を透過する透過部材と、
前記透過部材の上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記透過部材との間で、前記加熱源を覆うように充填される透明樹脂層と、
前記透過部材の側部に設けられ、前記加熱源が出力する光を前記透過部材の内部に反射する反射部と、
を含む、載置台。
【請求項2】
検査装置のプローブカードの接触端子が荷重を掛けて押し付けられる電子デバイスを有する被検査体が載置される載置台であって、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記加熱源の上に設けられ、前記加熱源が出力する光を透過する透過部材と、
前記透過部材の上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記透過部材との間で、前記加熱源を覆うように充填される透明樹脂層と、
前記第2の冷却プレートの下面に設けられる吸熱膜と、
を含む、載置台。
【請求項3】
検査装置のプローブカードの接触端子が荷重を掛けて押し付けられる電子デバイスを有する被検査体が載置される載置台であって、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記第1の冷却プレートの上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記第2の冷却プレートとの間で前記加熱源を覆うように充填され、前記加熱源が出力する光を透過する透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の側部に設けられ、前記加熱源が出力する光を前記透明樹脂層の内部に反射する反射部と、
を含む、載置台。
【請求項4】
前記反射部は、前記第2の冷却プレートの側部まで延在する、請求項
3に記載の載置台。
【請求項5】
前記第2の冷媒流路は、前記第2の冷却プレートの下面又は内部に形成されている、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項6】
前記発光素子は、発光部に取り付けられるレンズを有する、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項7】
被検査体にプローブカードの接触端子を荷重を掛けて押し付けて、前記被検査体の電子デバイスを検査する検査装置であって、
前記被検査体が載置される載置台を含み、
前記載置台は、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記加熱源の上に設けられ、前記加熱源が出力する光を透過する透過部材と、
前記透過部材の上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記透過部材との間で、前記加熱源を覆うように充填される透明樹脂層と、
前記透過部材の側部に設けられ、前記加熱源が出力する光を前記透過部材の内部に反射する反射部と、
を有する、検査装置。
【請求項8】
被検査体にプローブカードの接触端子を荷重を掛けて押し付けて、前記被検査体の電子デバイスを検査する検査装置であって、
前記被検査体が載置される載置台を含み、
前記載置台は、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記加熱源の上に設けられ、前記加熱源が出力する光を透過する透過部材と、
前記透過部材の上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記透過部材との間で、前記加熱源を覆うように充填される透明樹脂層と、
前記第2の冷却プレートの下面に設けられる吸熱膜と、
を有する、検査装置。
【請求項9】
被検査体にプローブカードの接触端子を荷重を掛けて押し付けて、前記被検査体の電子デバイスを検査する検査装置であって、
前記被検査体が載置される載置台を含み、
前記載置台は、
第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、
前記第1の冷却プレートの上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、
前記第1の冷却プレートと前記第2の冷却プレートとの間で前記加熱源を覆うように充填され、前記加熱源が出力する光を透過する透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の側部に設けられ、前記加熱源が出力する光を前記透明樹脂層の内部に反射する反射部と、
を有する、検査装置。
【請求項10】
前記反射部は、前記第2の冷却プレートの側部まで延在する、請求項
9に記載の
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、載置台、及び、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、処理室内のウェハに光を照射する複数の発光素子を有する加熱源と、発光素子の光を透過する光透過部材と、加熱源に直接接触する冷却部材と、冷却部材を冷却する冷却機構とを有する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、被検査体が載置される載置台の荷重による変位を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、検査装置のプローブカードの接触端子が荷重を掛けて押し付けられる電子デバイスを有する被検査体が載置される載置台であって、第1の冷媒流路が形成された第1の冷却プレートと、前記第1の冷却プレートに搭載され、複数の発光素子を有し、前記被検査体を加熱する加熱源と、前記加熱源の上に設けられ、前記加熱源が出力する光を透過する透過部材と、前記透過部材の上に設けられ、前記被検査体を保持し、第2の冷媒流路が形成された第2の冷却プレートと、前記第1の冷却プレートと前記透過部材との間で、前記加熱源を覆うように充填される透明樹脂層と、を含む、載置台が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、被検査体が載置される載置台の荷重による変位を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1の検査装置1のウェハ搬送機構の構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態の載置台100の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】ガラス板150にクラック155が入った状態の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態の第1変形例の載置台100M1の構成の一例を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態の第2変形例の載置台100M2の構成の一例を示す断面図である。
【
図8】
図7の一部を拡大して例示的に示す図である。
【
図9】第1実施形態の第2変形例の載置台100M2において、ガラス板150及びトッププレート160にクラック155A及び165Aがそれぞれ入った状態の一例を示す図である。
【
図10】第1実施形態の第3変形例の載置台100M3の構成の一例を示す断面図である。
【
図11】第1実施形態の第4変形例の載置台100M4の構成の一例を示す断面図である。
【
図12】第2実施形態の載置台200の構成の一例を示す断面図である。
【
図13】第2実施形態の変形例の載置台200Mの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。以下では図中における上下方向又は上下関係を用いて説明するが、普遍的な上下方向又は上下関係を表すものではない。
【0009】
<第1実施形態>
図1から
図3を参照して、検査装置1について説明する。
図1は、検査装置1の構成例を示す図である。
図2は、
図1の検査装置1の平面図である。
図3は、
図1の検査装置1のウェハ搬送機構の構成例を示す図である。
【0010】
検査装置1は、ローダ部10と、検査部20と、装置コントローラ30と、を有する。検査装置1は、装置コントローラ30の制御の下、ローダ部10から検査部20へ被検査体である半導体ウェハ(以下「ウェハW」と称す)を搬送し、ウェハWに形成された電子デバイスに電気信号を与えて種々の電気特性を検査する。このような検査では、ウェハWに形成された電子デバイスは、被検査デバイス(DUT:Device Under Test)である。
【0011】
ローダ部10は、ロードポート11と、アライナ12と、ウェハ搬送機構13と、を有する。
【0012】
ロードポート11は、ウェハWを収容したカセットCを載置する。カセットCは、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)である。
【0013】
アライナ12は、ウェハWに形成されたオリエンテーションフラット(オリフラ)、ノッチ等の切欠きを基準にして、ウェハWの位置合わせを行う。
【0014】
ウェハ搬送機構13は、ロードポート11に載置されたカセットCと、アライナ12と、後述する検査部20に設けられた載置台100との間でウェハWを搬送する。ウェハ搬送機構13は、アームユニット131と、回転駆動機構132と、上下駆動機構133と、を有する。
【0015】
アームユニット131は、上下二段に設けられ、独立して水平方向に移動可能なアーム131a,131bを有する。各アーム131a,131bは、ウェハWを保持する。
【0016】
回転駆動機構132は、アームユニット131の下部に設けられており、アームユニット131を回転駆動させる。回転駆動機構132は、例えばステッピングモータを含む。
【0017】
上下駆動機構133は、回転駆動機構132の下部に設けられており、アームユニット131及び回転駆動機構132を上下駆動させる。上下駆動機構133は、例えばステッピングモータを含む。なお、ウェハ搬送機構13は、
図3に示される形態に限定されず、例えば多関節アーム、上下駆動機構等を有する形態であってもよい。
【0018】
ローダ部10では、まず、ウェハ搬送機構13は、カセットCに収容されたウェハWをアライナ12に搬送する。続いて、アライナ12は、ウェハWの位置合わせを行う。続いて、ウェハ搬送機構13は、位置合わせされたウェハWをアライナ12から検査部20に設けられた載置台100に搬送する。
【0019】
検査部20は、ローダ部10に隣接して配置されている。検査部20は、載置台100と、昇降機構22と、XYステージ23と、プローブカード24と、アライメント機構25と、ポンプ26と、温度センサ27と、温度コントローラ28と、を有する。
【0020】
載置台100は、上面にウェハWを載置する。載置台100は、例えば真空チャックや静電チャックを含む。載置台100は、冷媒流路を有し、冷媒流路にはポンプ26から水やガルデン(登録商標)等の冷媒が供給される。これにより、載置台100が冷却される。
【0021】
昇降機構22は、載置台100の下部に設けられており、載置台100をXYステージ23に対して昇降させる。昇降機構22は、例えばステッピングモータを含む。
【0022】
XYステージ23は、昇降機構22の下部に設けられており、載置台100及び昇降機構22を2軸方向(図中のX方向及びY方向)に移動させる。XYステージ23は、検査部20の底部に固定されている。XYステージ23は、例えばステッピングモータを含む。
【0023】
プローブカード24は、載置台100の上方に配置されている。プローブカード24の載置台100側には、複数のプローブ24aが形成されている。プローブカード24は、ヘッドプレート24bに着脱可能に取り付けられている。プローブカード24には、テストヘッドTを介してテスタ(図示せず)が接続されている。
【0024】
アライメント機構25は、カメラ25aと、ガイドレール25bと、アライメントブリッジ25cと、光源25dと、を有する。カメラ25aは、アライメントブリッジ25cの中央に下向きに取り付けられており、載置台100、ウェハW等を撮像する。カメラ25aは、例えばCCDカメラやCMOSカメラである。ガイドレール25bは、アライメントブリッジ25cを水平方向(図中のY方向)に移動可能に支持する。アライメントブリッジ25cは、左右一対のガイドレール25bによって支持されており、ガイドレール25bに沿って水平方向(図中のY方向)に移動する。これにより、カメラ25aは、アライメントブリッジ25cを介して、待機位置とプローブカード24の中心の真下(以下「プローブセンタ」という。)との間を移動する。プローブセンタに位置するカメラ25aは、アライメントの際、載置台100がXY方向に移動する間に載置台100上のウェハWの電極パッドを上方から撮像し、画像処理して表示装置40に撮像画像を表示する。光源25dは、アライメントブリッジ25cの下部に設けられ、載置台100に光を照射する。光源25dは、例えば多数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を配列したLED光源であり、カメラ25aでウェハWの撮影を行う際に、光を照射する。光源25dは、撮影時の照明として用いられる。
【0025】
アライメント機構25は、ウェハWのXY方向のアライメントが完了すると、カメラ25aを待機位置に移動する。カメラ25aが待機位置にあるときには、カメラ25aはプローブカード24の真下には存在せず、Y方向にオフセットしている。この状態で昇降機構22が載置台100をXYステージ23に対して上昇させると、複数のプローブ24aが載置台100上のウェハWの電極パッドに接触し、ウェハWの電子デバイスの電気特性の検査を行うことができる状態になる。プローブ24aは、接触端子の一例である。
【0026】
ポンプ26は、例えば、冷媒を圧送する機械式のポンプである。ポンプ26から出力される冷媒を載置台100内の冷媒流路との間で循環させる。冷媒は、例えば、無色で光が透過可能な液体である水やガルデン(登録商標)である。
【0027】
温度センサ27は、載置台100の温度を検出する。温度センサ27は、例えば載置台100内に埋め込まれた熱電対である。
【0028】
温度コントローラ28は、載置台100の下方に設けられている。温度コントローラ28は、例えばコンピュータである。温度コントローラ28は、温度センサ27により載置台100の温度を検出するステップと、温度センサ27が検出した載置台100の温度に基づいて、載置台100のLEDモジュールの点灯制御及びポンプ26の駆動制御を行うステップと、を有する温度制御方法を実行する。
【0029】
ウェハWの電子デバイスの電気特性の検査を行うときには、プローブ24aとウェハWの電極パッドとの電気的な接触を確実なものにするために、昇降機構22でウェハWを上側に押圧した状態にする。すなわち、ウェハWの電極パッドに対して荷重を掛けてプローブ24aを押し付けた状態にする。このときには、プローブ24aの1本あたり約1gから約5gの荷重が掛かる場合がある。
【0030】
例えば、ウェハWに含まれる30mm角(平面視で縦30mm×横30mm)の1つの電子デバイスについて検査を行う際に、プローブ24aの1本あたり約1gから約5gの荷重が掛かると、プローブ24a及び電極パッドの数が多いと、ウェハWに約100kgから数100kg以上の荷重が掛かる場合がある。
【0031】
このため、載置台100には、上述のような荷重に耐えうる強度が必要であり、変形しても電気特性の検査に支障が生じない範囲(変形による変位量の許容範囲)内に収まるような構成を有することが要求される。
【0032】
また、電気特性の検査の際には、1つの電子デバイス(DUT)の発熱量が約100Wから数100W以上になる場合がある。このため、載置台100には、電子デバイスの温度を検査における設定温度に対する所定の温度範囲内(例えば±3℃以内)に調節するための冷却(吸熱)構造及び加熱構造を有することが要求される。発熱量の大きい電子デバイスを設定温度に対する所定の温度範囲内に保つには、吸熱及び加熱を高速で行えることが必要である。
【0033】
以下、これらの要求に対応した載置台100の詳細について説明する。
【0034】
図4は、第1実施形態の載置台100の構成の一例を示す断面図である。載置台100は、ベースプレート110、制御基板115、ミドルプレート120、LEDモジュール130、透明樹脂層140、ガラス板150、トッププレート160、パイプ171、接続部172、パイプ173、及びOリング174を含む。
【0035】
以下では、図中における上下方向を用いて説明する。また、平面視とは上方から下方を平面的に視ることをいう。
【0036】
ベースプレート110は、載置台100のベース(基台)になる平面視で円形の部材であり、一例として、アルミナ(Al2O3)等のセラミック製である。ベースプレート110は、円盤状の基部111と、外周に沿って上方に突出した外周壁部112と、基部111の上面から突出する保持部113とを有する。
【0037】
外周壁部112の上端は、ミドルプレート120の下面に固定され、保持部113は、制御基板115及びミドルプレート120を保持する。ベースプレート110の上にミドルプレート120が固定された状態で、基部111と、外周壁部112と、ミドルプレート120とで囲まれた空間は閉じられる。この空間には制御基板115が配置される。
【0038】
制御基板115は、LEDモジュール130の点灯制御等を行うマイクロコンピュータ等(図示を省略)が実装される配線基板である。制御基板115は、図示しない配線等を介して温度コントローラ28(
図1参照)に接続されている。
【0039】
ミドルプレート120は、ベースプレート110の上に配置される平面視で円形の部材であり、一例として銅(Cu)製である。一例として、ミドルプレート120は、ネジ留め等でベースプレート110の上に固定される。ミドルプレート120は、第1の冷却プレートの一例である。
【0040】
ミドルプレート120は、円盤状の基部121と、外周に沿って上側に突出した外周壁部122と、冷媒流路123とを有する。冷媒流路123は、第1の冷媒流路の一例である。また、ミドルプレート120には、制御基板115とLEDモジュール130を接続する配線を通す貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔は、ミドルプレート120の上面と下面を繋ぐように貫通している。
【0041】
基部121の上面には、複数のLEDモジュール130が実装される。また、外周壁部122の上端は、ガラス板150に接着剤等によって固定されている。
【0042】
基部121の上の空間は、LEDモジュール130の実装部である。基部121に対する外周壁部122の高さは、LEDモジュール130の高さよりも高いため、基部121に実装されるLEDモジュール130とガラス板150とは高さ方向において離間している。LEDモジュール130とガラス板150との間の空間には、透明樹脂層140が充填される。
【0043】
冷媒流路123は、
図4には一部のみを示すが、LEDモジュール130を冷却するために、実際には基部121の内部において、平面視で基部121の略全体にわたるように設けられている。冷媒流路123には、パイプ171を介して矢印で示すように冷媒180Aが供給される。冷媒180Aとしては、例えば、水やガルデン(登録商標)を用いればよく、ポンプ26(
図1参照)で冷媒流路に供給すればよい。
【0044】
各LEDモジュール130は、複数のLED130Aと、各LED130Aに取り付けられるレンズ135とを有する。LEDモジュール130は加熱源の一例であり、LED130Aは発光素子の一例である。LED130Aとしては、近赤外線光を出力するものを用いればよい。各LED130Aの光出力部にはレンズ135が取り付けられている。レンズ135は、LED130Aから出力される光の指向性を調節し、光の分散を抑えて照射範囲を絞るために設けられている。
【0045】
LEDモジュール130は、トッププレート160の上に載置されるウェハWを加熱してウェハWの温度を調節するために設けられている。LEDモジュール130の各LED130Aから出力される光(近赤外線光)は、透明樹脂層140及びガラス板150を透過してトッププレート160に吸収され、トッププレート160を加熱する。この結果、トッププレート160の載置面160Aに載置されるウェハWを加熱することができる。
【0046】
レンズ135は、一例として、ガラス製又は樹脂製である。レンズ135の屈折率は、透明樹脂層140の屈折率と同等に設定され、レンズ135から透明樹脂層140への光の取り出し効率を向上させる。
【0047】
透明樹脂層140は、ミドルプレート120の基部121と、LEDモジュール130と、外周壁部122と、ガラス板150とによって囲まれた空間内に充填されており、すべてのLEDモジュール130とガラス板150との間の空間を封止している。このため、透明樹脂層140は、平面視で円形であり、円盤状の透明樹脂部材である。透明樹脂層140は、透明樹脂の一例である。
【0048】
載置台100には、電気特性の検査時の荷重に耐えうる強度を有することが求められる。このため、LEDモジュール130とガラス板150との間の空間を透明樹脂層140で封止して、ガラス板150の全体を保持することにより、ガラス板150及びトッププレート160を補強している。これにより、電気特性の検査時に荷重が掛けられても、ガラス板150及びトッププレート160が変位しにくい構成を実現している。ガラス板150及びトッププレート160の荷重による変位は、荷重による載置台100の変位である。
【0049】
透明樹脂層140は、ウェハWの電子デバイスの電気特性の検査時に、ウェハWの電極パッドにプローブ24aが荷重を掛けて押し付けられた際における、載置台100の変位、特にガラス板150及びトッププレート160の変位を抑制するために設けられている。
【0050】
そして、このような構成により、ウェハWの電子デバイスの電気特性の検査時の荷重に耐えうる強度を有する載置台100を実現している。ガラス板150及びトッププレート160を透明樹脂層140で補強することで変位を抑制して、電気特性の検査を安定的に実行できるようにするためである。
【0051】
また、透明樹脂層140は、LEDモジュール130から出力される光を効率的にガラス板150に誘導するために透明な樹脂材料で作製される。LEDモジュール130の発光でトッププレート160を効率的に加熱するためである。透明樹脂層140の樹脂材料としては、例えば、シリコン系又はエポキシ系の透明樹脂を用いればよい。
【0052】
透明樹脂層140の透明な樹脂材料としては、LED130Aの発光の波長における透過率が高いものが好ましい。透明樹脂層140における光の透過率を向上させることで、透明樹脂層140における光の減衰をより少なくでき、より効率的にガラス板150に光を誘導できるからである。
【0053】
また、透明樹脂層140の樹脂材料は、硬化した状態で硬度の高いものが好ましい。荷重によるガラス板150及びトッププレート160の変位をより抑制しやすい構造が得られるからである。
【0054】
透明樹脂層140の樹脂材料は、ミドルプレート120の基部121にLEDモジュール130を実装した状態で、基部121及びLEDモジュール130と、外周壁部122と、ガラス板150とによって囲まれた空間内に充填される。そして、樹脂材料が硬化する前に、外周壁部122の上端にガラス板150を固定すれば、ガラス板150の下面に密着した透明樹脂層140が得られる。
【0055】
ガラス板150は、透過部材の一例であり、ミドルプレート120の外周壁部122と、透明樹脂層140との上に設けられており、外周壁部122の上端に接着剤等によって固定されている。ガラス板150は、円盤状の基部151と、基部151から平面視で突出した突出部152とを有する。ガラス板150の上には、トッププレート160が配置される。ガラス板150とトッププレート160とは接着されている。
【0056】
ガラス板150の上にトッププレート160が配置されると、基部151は、トッププレート160の下面側に設けられる溝161Aに下から蓋をすることになり、突出部152は、トッププレート160の下面側に設けられる溝162Aに下から蓋をすることになる。これにより、溝161A及び162Aは、冷媒流路になる。
【0057】
突出部152の下面にはゴム製のOリング174を介して接続部172がネジ留め等によって固定されている。突出部152は、接続部172内の冷媒流路172Aに連通する貫通孔152Aを有する。貫通孔152Aは、トッププレート160の溝162Aに連通している。
【0058】
ガラス板150は、LEDモジュール130から出力される光を効率的にトッププレート160に誘導するために透明である。また、ガラス板150としては、ウェハWの発熱やLEDモジュール130の近赤外線光の熱に耐えられるように、耐熱ガラスを用いればよく、一例として、TEMPAX Float(登録商標)を用いることができる。
【0059】
第1実施形態の載置台100は、ミドルプレート120の基部121及びLEDモジュール130とガラス板150との間に充填した透明樹脂層140が、電気特性の検査時に荷重が掛かった際にガラス板150及びトッププレート160を支えることで、ガラス板150及びトッププレート160の変位を抑制する。このため、透明樹脂層140が存在しない場合に比べてガラス板150を薄くすることができる。
【0060】
ガラス板150を薄くすることにより、ガラス板150における光の透過率を数%程度向上させることができ、トッププレート160に光をより効率的に誘導できる。また、ガラス板150を薄くすることにより、LEDモジュール130から出力された光の拡散が減るので、トッププレート160の所望の部分に光をより効率的に誘導でき、検査対象になる電子デバイスをより効率的に加熱することができる。
【0061】
なお、第1実施形態では、透過部材の一例としてガラス板150を用いる形態について説明するが、ガラス板150の代わりに、透明な樹脂板を用いてもよい。透明な樹脂板としては、例えば、アクリル製又はポリカーボネート製の樹脂板を用いることができる。
【0062】
トッププレート160は、平面視でガラス板150と同一の形状をしており、載置面160Aと、円盤状の基部161と、基部161から平面視で突出した突出部162とを有する。トッププレート160は、第2の冷却プレートの一例である。トッププレート160としては、一例として炭化珪素(SiC)板を用いることができる。トッププレート160は、図示しない真空チャック又は静電チャックを含む。
【0063】
トッププレート160は、基部161の下面側に溝161Aを有し、突出部162の下面側に溝162Aを有する。溝161A及び162Aは、基部161及び突出部162の下面から上側に凹むように形成されている。溝161A及び162Aは、下面側からガラス板150によって蓋をされることにより、冷媒流路になる。溝161A及び162Aは、第2の冷媒流路の一例である。
【0064】
溝161Aは、平面視で基部161の全体に所定のパターン(例えば渦巻き状のパターン)で形成されており、
図4に断面を示す複数の溝161Aは、すべて互いに連通するとともに、突出部162に設けられた溝162Aに連通している。
【0065】
このため、冷媒180Bは、矢印で示すように、パイプ173から接続部172の冷媒流路172Aと、ガラス板150の貫通孔152Aとを経て溝162Aに流入し、溝162Aから溝161Aに流入し、溝162Aと同様の排出用の溝(図示せず)を経て載置台100の外部に排出される。
【0066】
冷媒180Bとしては、例えば、無色で光が透過可能な液体である水やガルデン(登録商標)が用いられ、検査装置1(
図1乃至
図3参照)の外部に設けられたポンプ(図示しない)によって冷媒流路へ供給される。
【0067】
溝161A及び162Aによって実現される冷媒流路の下面はガラス板150であるため、冷媒180Bは、LEDモジュール130から出力された光の光路を通ることになる。このため、冷媒180Aとしては透明な冷媒が好ましい。冷媒180Aによる光の減衰を少なくして、LEDモジュール130から出力された光が少しでも多くトッププレート160に到達するようにして、加熱効率を向上させるためである。
【0068】
このような載置台100を含む検査装置1において、例えば、ウェハWに複数形成されている電子デバイスのうちの1つを検査対象として選択して電気的特性の検査を行う場合は、次のようにすればよい。真空チャックでウェハWを載置面160Aに吸着させた状態で、昇降機構22でウェハWを上側に移動させ、ウェハWの電極パッドに対して荷重を掛けてプローブ24aを押し付けた状態にする。そして、検査対象になる電子デバイスの真下に位置するLEDモジュール130から光を真上に向けて出力するとともに、溝161A及び162Aで構成される冷媒流路に冷媒180Bを流す。また、このとき、LEDモジュール130を冷却するために冷媒流路123に冷媒180Aを流す。
【0069】
検査対象の電子デバイスの温度が検査での設定温度になるように、LEDモジュール130から出力される光によってトッププレート160のうちの検査対象になる電子デバイスの下に位置する部分が加熱され、この結果、検査対象になる電子デバイスが加熱される。また、電子デバイスに電流を流すことによって電子デバイス自体が発熱するため、電子デバイスの温度が設定温度よりも高くなった場合には、LEDモジュール130を消灯するとともに冷媒180Bを供給して吸熱し、電子デバイスの温度を低下させる。
【0070】
また、電子デバイスの温度が設定温度よりも低くなった場合には、LEDモジュール130を点灯するとともに、冷媒180Bの供給を停止して加熱し、電子デバイスの温度を上昇させればよい。このようなLEDモジュール130の点灯及び消灯の制御と、冷媒180Bの供給量の制御とを高速で行うことにより、検査対象の電子デバイスの温度が検査での設定温度に対する所定の温度範囲内(例えば±3℃以内)になるように調節する。
【0071】
ここで、荷重解析のシミュレーション結果と実測結果について説明する。トッププレート160の上に配置したウェハWの中央部の30mm角(平面視で縦30mm×横30mm)の電子デバイスの電極パッドにプローブ24aを押し付けることにより300kgの荷重を掛けた。
【0072】
この結果、載置台100についてのシミュレーション結果では、トッププレート160の端(外周部)に対して中央部が26μm下方に変位した。載置台100についての実測では、トッププレート160の端(外周部)に対して中央部が32μm下方に変位し、シミュレーション結果と近い値になった。ガラス板150についてもトッププレート160と同様の変位が生じていると考えられる。
【0073】
また、比較用に透明樹脂層140を含まない載置台についてのシミュレーション結果では、トッププレート160の端(外周部)に対して中央部が61.5μm下方に変位した。比較用の載置台についての実測では、トッププレート160の端(外周部)に対して中央部が83.5μm下方に変位し、シミュレーション結果と近い値になった。ガラス板150についてもトッププレート160と同様の変位が生じていると考えられる。
【0074】
このように、透明樹脂層140を設けることにより、ガラス板150及びトッププレート160の変位を大幅(1/2以下)に抑制できることが分かった。
【0075】
以上のように、第1実施形態によれば、LEDモジュール130とガラス板150との間の空間を透明樹脂層140で封止することにより、ガラス板150及びトッププレート160を下側から支えて補強している。そして、このような構成により、電気特性の検査時の荷重に耐えうる強度を有する載置台100を実現している。
【0076】
したがって、荷重による変位を抑制できる載置台100を提供することができる。また、ガラス板150及びトッププレート160を透明樹脂層140で補強することで変位を抑制して、電気特性の検査を安定的に実行できるため、高スループットでの検査が可能になる。
【0077】
なお、以上では、複数の電子デバイスが形成されたウェハWをトッププレート160に載置する形態について説明したが、ダイシングによって個片化した複数の電子デバイスを所定の基板の上に配置した状態で、トッププレート160に載置してもよい。
【0078】
また、以上では、ベースプレート110の基部111、ミドルプレート120の基部121、ガラス板150の基部151、及びトッププレート160の基部161が円盤状である形態について説明した。しかしながら、基部111、121、151、及び161は、平面視で矩形状の板状部材であってもよい。この場合には、ミドルプレート120の外周壁部122は、平面視で矩形状の壁部になり、透明樹脂層140は、平面視で矩形状であってもよい。
【0079】
また、以上では、トッププレート160が基部161及び突出部162の下面側に溝161A及び162Aをそれぞれ有し、下面側からガラス板150によって蓋をすることで冷媒流路が得られる構成について説明した。しかしながら、トッププレート160は、溝161A及び162Aの代わりに、トッププレート160の内部に設けられる冷媒流路を有していてもよい。このような冷媒流路は、トッププレート160の上下方向(厚さ方向)において、下面と載置面160Aとの間に位置するものである。
【0080】
図5は、ガラス板150にクラック155が入った状態の一例を示す図である。例えば、ウェハWの電子デバイスの電気特性の検査を繰り返し行い、ウェハWの電極パッドに対して荷重を掛けてプローブ24a(
図1参照)を何度も押し付けることにより、ガラス板150にクラック155が生じたとする。クラック155は、トッププレート160の溝161Aで構成される冷媒流路に連通しているとする。
【0081】
このような事態が万一生じても、ガラス板150の下面は透明樹脂層140に密着しており、クラック155の下端は透明樹脂層140によって塞がれているため、溝161Aで構成される冷媒流路に流れる冷媒180Bがクラック155を通じて冷媒流路から流れ出ることを抑制できる。この結果、LEDモジュール130の浸水を抑制できる。
【0082】
また、ミドルプレート120は、制御基板115とLEDモジュール130を接続する配線を通す貫通孔を有するが、クラック155が生じても透明樹脂層140の上面よりも下側への浸水を抑制できるため、制御基板115の浸水も抑制できる。
【0083】
図6は、第1実施形態の第1変形例の載置台100M1の構成の一例を示す断面図である。載置台100M1は、第1実施形態の載置台100(
図4参照)のLEDモジュール130をLEDモジュール130M1に置き換えたものである。
【0084】
LEDモジュール130M1は、LED130Aを有するが、レンズ135(
図4参照)を有しない。このため、載置台100M1では、LED130Aが透明樹脂層140によって直接的に覆われており、LED130Aが出力する光は、透明樹脂層140に直接入射する。
【0085】
第1実施形態の第1変形例では、LED130Aとしては、光の分散が少なく、指向性が良好な(直進性が高い)ものを用いればよい。また、LED130Aからの光の取り出し効率を向上させるために、透明樹脂層140の樹脂材料として、より屈折率の高い材料を用いればよい。LED130Aの発光部の屈折率により近い屈折率を有する樹脂材料を用いることにより、LED130Aからの光の取り出し効率を向上させることができるからである。
【0086】
第1実施形態の第1変形例によれば、荷重による変位を抑制できるとともに、レンズ135(
図4参照)の実装コストを削減した載置台100M1を提供することができる。レンズ135の実装コストとは、レンズ135の購入費と、レンズ135をLED130Aに取り付ける作業費である。
【0087】
図7は、第1実施形態の第2変形例の載置台100M2の構成の一例を示す断面図である。載置台100M2は、第1実施形態の載置台100(
図4参照)のガラス板150及びトッププレート160の側面に、反射膜190を取り付けたものである。より具体的には、反射膜190は、ガラス板150及びトッププレート160の基部151及び161の外周面と、突出部152及び162の側面とに設けられている。
【0088】
反射膜190は、反射部の一例である。反射膜190は、一例として、シリコン系の白色の塗布剤をガラス板150及びトッププレート160の基部151及び161の外周面と、突出部152及び162の側面とに塗布したものである。ガラス板150及びトッププレート160の基部151及び161の外周面と、突出部152及び162の側面とは、ガラス板150及びトッププレート160の側部の一例である。また、反射膜190は耐水性を有することが好ましい。
【0089】
反射膜190は、ガラス板150の内部を透過する光の散乱光や反射光をガラス板150の側面で内部に反射することにより、トッププレート160に誘導される光量を増大させてトッププレート160の加熱効率を向上させるとともに、ガラス板150の外部への光の漏洩を抑制するために設けられている。
【0090】
このため、シリコン系の白色の塗布剤に限られず、テープや枠状の部材であってもよいし、色も白色に限られず、銀色やその他の光を反射する色であれば何色であってもよく、クロームめっきが施されていてもよい。
【0091】
図8は、
図7の一部を拡大して例示的に示す図である。
図8では、ガラス板150とトッププレート160を接着する接着層165を示す。接着層165を形成するための接着剤としては、一例としてエポキシ系の接着剤を用いればよい。
【0092】
ガラス板150とトッププレート160は、線膨張係数が異なるため、加熱されたときに矢印で示すように剪断応力が掛かる場合がある。このような剪断応力によってガラス板150とトッププレート160との間の接着層165が万一剥離すると、溝161Aで構成される冷媒流路から冷媒180Bが漏れていなくても、ガラス板150又はトッププレート160から剥離した接着層165の界面から光が載置台100M2の外部に漏洩するおそれがある。
【0093】
このような場合にも反射膜190は、光をガラス板150の内部に反射するため、光の漏洩を抑制することができ、トッププレート160に誘導される光量を増大させて加熱効率を向上させることができる。
【0094】
なお、第1実施形態の第2変形例では、ガラス板150及びトッププレート160の側面の全体に反射膜190を設ける形態について説明した。しかしながら、反射膜190は、トッププレート160の側面については高さ方向の全体を覆っていなくてもよく、少なくとも接着層165とトッププレート160の界面を覆っていればよい。LEDモジュール130から出力された光がトッププレート160を透過することは略無いと考えられるからである。
【0095】
また、接着層165の剥離のおそれが殆ど無い場合には、反射膜190は、ガラス板150の側面のみに設けられていてもよい。このような場合には、ガラス板150の側面からの光の漏洩を抑制すれば十分だからである。
【0096】
図9は、第1実施形態の第2変形例の載置台100M2において、ガラス板150及びトッププレート160にクラック155A及び165Aがそれぞれ入った状態の一例を示す図である。クラック155A及び165Aは、載置台100M2の内側ではトッププレート160の溝161Aで構成される冷媒流路に連通しており、外側ではガラス板150及びトッププレート160の側面に到達していることとする。
【0097】
このような事態が万一生じても、クラック155A及び165Aが生じたガラス板150及びトッププレート160の側面は、耐水性のある反射膜190によって塞がれているため、溝161Aで構成される冷媒流路に流れる冷媒180Bがクラック155A及び165Aを通じて冷媒流路から流れ出ることを抑制できる。
【0098】
耐水性とは、クラック155A及び165Aを通じて冷媒180Bとしての水やガルデンに触れても、水やガルデンを吸ったり、変形したりしないことをいう。このような観点から、反射膜190として、耐水性の高いものを用いてもよい。
【0099】
以上のように、第1実施形態の第2変形例によれば、荷重による変位を抑制できることに加えて、反射膜190を取り付けたことにより、トッププレート160に誘導される光量を増大させて加熱効率を向上させるとともに、ガラス板150の外部への光の漏洩を抑制できる載置台100M2を提供することができる。
【0100】
例えば、載置台100M2の周囲に人間がいる場合等には、ガラス板150の外部への光の漏洩を抑制できることは非常に有効的である。
【0101】
また、第1実施形態の第2変形例によれば、さらに、ガラス板150及びトッププレート160にクラック155A及び165Aがそれぞれ入っても、耐水性のある反射膜190によって冷媒180Bの流出を抑制できる載置台100M2を提供することができる。
【0102】
図10は、第1実施形態の第3変形例の載置台100M3の構成の一例を示す断面図である。載置台100M3は、第1実施形態の第2変形例の載置台100M2(
図7参照)の反射膜190を反射部材190Mに置き換えたものである。
【0103】
反射部材190Mは、反射部の一例であり、反射板191とステー192を有する。反射板191は、ガラス板150及びトッププレート160の側面に沿って、側面から離間して設けられている。ガラス板150及びトッププレート160の側面から離間した位置は、ガラス板150及びトッププレート160の側部の一例である。
【0104】
反射板191は、例えば、平面視でガラス板150及びトッププレート160と同様の形状を有する枠状の部材であり、例えば金属製又は樹脂製である。例えば、金属製の場合は、ガラス板150及びトッププレート160の方を向く金属面を反射板として用いればよい。また、樹脂製の場合は、ガラス板150及びトッププレート160の方を向く面にシリコン系の白色の塗布剤等を施せばよい。
【0105】
ステー192は、ガラス板150及びトッププレート160の側面に複数設けられており、ステー192の一端(平面視で載置台100M3の内側に位置する端部)は、ミドルプレート120の外周壁部122の外周面と、接続部172の外面とに例えばネジ留め等によって固定されている。ステー192は、金属製又は樹脂製の棒状の部材であり、他端(平面視で載置台100M3の外側に位置する端部)は、反射板191に例えばネジ留め等によって固定されている。
【0106】
このような反射部材190Mは、反射膜190(
図7参照)と同様に機能するため、第1実施形態の第3変形例によれば、次のような効果を奏する載置台100M3を提供することができる。すなわち、荷重による変位を抑制できることに加えて、反射部材190Mを取り付けたことにより、トッププレート160に誘導される光量を増大させて加熱効率を向上させるとともに、ガラス板150の外部への光の漏洩を抑制できる載置台100M3を提供することができる。
【0107】
図11は、第1実施形態の第4変形例の載置台100M4の構成の一例を示す断面図である。載置台100M4は、第1実施形態の載置台100(
図4参照)のトッププレート160の下面に、黒色コーティング195を施したものである。
【0108】
黒色コーティング195は、吸熱膜の一例であり、トッププレート160の基部161の溝161A内と、ガラス板150に接する部分とに施されている。黒色コーティング195は、LEDモジュール130から出力され、透明樹脂層140及びガラス板150を透過した光をトッププレート160の下面でより効率的に吸収し、トッププレート160をより効率的に加熱するために設けられている。このような黒色コーティング195を施すと、より効率的にウェハWの電子デバイスを加熱することができる。
【0109】
黒色コーティング195としては、耐水性及び耐熱性を有する黒色のセラミック粉末を含む水性塗料やフッ素樹脂コーティング等を施せばよい。黒色コーティング195を施したトッププレート160をガラス板150の上に接着すればよい。
【0110】
以上のように、第1実施形態の第4変形例によれば、荷重による変位を抑制できることに加えて、トッププレート160の下面に黒色コーティング195を施すことで、トッププレート160で光をより効率的に吸収して加熱効率を向上させることができる載置台100M4を提供することができる。
【0111】
なお、第1実施形態の第4変形例では、吸熱膜の一例としての黒色コーティング195をトッププレート160の下面に施す形態について説明したが、トッププレート160の吸熱量を増大させることができる膜であれば、黒色コーティング195に限られるものではない。色は黒以外(例えば濃いグレー等)であってもよいし、吸熱膜の材料は上述のもの以外であってもよい。
【0112】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態の載置台200の構成の一例を示す断面図である。載置台200は、ベースプレート110、制御基板115、ミドルプレート120、LEDモジュール130、透明樹脂層240、トッププレート260、パイプ171、パイプ173、及び反射膜290を含む。載置台200は、ガラス板150(
図4参照)を含まず、反射膜290を含む点が第1実施形態の載置台100と異なる。以下では、図中における上下方向を用いて説明する。また、平面視とは上方から下方を平面的に視ることをいう。
【0113】
透明樹脂層240は、第1実施形態の載置台100の透明樹脂層140(
図4参照)を上方向に大きくした構成を有し、ガラス板150が存在していた部分にまで拡大されている。透明樹脂層240のうち透明樹脂層140に比べて上方向に拡大された部分の外周部分240Aは、ミドルプレート120の外周壁部122の上に位置している。透明樹脂層240は、トッププレート260を下側から支えて補強している。
【0114】
このような透明樹脂層240は、例えば、ミドルプレート120の外周壁部122の外周面に金型等を設けた状態で、ミドルプレート120及び金型の内部に透明樹脂層240の樹脂材料を充填し、樹脂材料が硬化する前に、トッププレート260を金型で固定すれば、トッププレート260の下面に密着した透明樹脂層240が得られる。
【0115】
トッププレート260は、透明樹脂層240の上面に配置されており、ウェハWが載置される載置面260Aと、円盤状の基部261と、基部261から平面視で突出した突出部262とを有する。トッププレート260は、第2の冷却プレートの一例である。トッププレート260としては、一例として炭化珪素(SiC)板を用いることができる。トッププレート260には、図示しない真空チャック又は静電チャックを含む。
【0116】
トッププレート260は、基部261の内部に冷媒流路261Aを有し、突出部262の内部に冷媒流路262Aを有する。冷媒流路261A及び262Aは、第2の冷媒流路の一例である。
【0117】
冷媒流路261Aは、平面視で基部261の全体に所定のパターン(例えば渦巻き状のパターン)で形成されており、
図12に断面を示す複数の冷媒流路261Aは、すべて互いに連通するとともに、突出部262に設けられた冷媒流路262Aに連通している。
【0118】
このため、パイプ173から矢印で示すように冷媒流路262Aに流入する冷媒180Bは、冷媒流路261Aに流入し、冷媒流路262Aと同様の排出用の溝(図示せず)を経て載置台100の外部に排出される。
【0119】
反射膜290は、透明樹脂層240の外周部分240Aの外周面と、トッププレート260の基部261の外周面と、トッププレート260の突出部262の側面及び下面とに設けられている。反射膜290は、第1実施形態の第2変形例の反射膜190と同様に、シリコン系の白色の塗布剤等を施したものである。なお、反射膜290は、トッププレート260の突出部262の側面及び下面には設けられていなくてもよい。
【0120】
以上のように、第2実施形態によれば、LEDモジュール130とトッププレート260との間の空間を透明樹脂層240で封止することにより、トッププレート260を下側から支えて補強している。このような構成により、トッププレート260は上側から荷重が掛けられても変位しにくくなり、電気特性の検査時の荷重に耐えうる強度を有する載置台200を実現している。
【0121】
したがって、荷重による変位を抑制できる載置台200を提供することができる。
【0122】
なお、第2実施形態では、トッププレート260が冷媒流路261A及び261Aを有する形態について説明したが、第1実施の形態の溝161A及び162A(
図4参照)のように下面側から形成される溝を有し、下面側から透明樹脂層240によって蓋がされることで冷媒流路が得られる構成であってもよい。
【0123】
また、第2実施形態の載置台200は、レンズ135を有しない構成であってもよく、反射膜290の代わりに反射部材190M(
図10参照)を含む構成であってもよく、トッププレート260の下面に、黒色コーティング195(
図11参照)を施した構成であってもよい。
【0124】
図13は、第2実施形態の変形例の載置台200Mの構成の一例を示す断面図である。載置台200Mは、ベースプレート110、制御基板115、ミドルプレート220、LEDモジュール130、透明樹脂層240M、トッププレート260、パイプ171、及びパイプ173を含む。載置台200Mは、第2実施形態の載置台200のミドルプレート120及び透明樹脂層240をミドルプレート220及び透明樹脂層240Mに置き換えるとともに、反射膜290を取り除いた構成を有する。
【0125】
ミドルプレート220は、基部221、外周壁部222、及び冷媒流路223を有する。ミドルプレート220は、第1実施形態の載置台100のミドルプレート120(
図4参照)の外周壁部222をガラス板150(
図4参照)の分まで高くした構成を有する。基部221及び冷媒流路223の構成は、第1実施形態の載置台100のミドルプレート120(
図4参照)の基部121及び冷媒流路123と同様である。
【0126】
ミドルプレート220の外周壁部222の上端は、基部221及び外周壁部222で囲まれた空間に透明樹脂層240Mが充填された状態で、トッププレート260の下面に接着される。
【0127】
透明樹脂層240Mは、ミドルプレート220の基部221及び外周壁部222と、トッププレート260とで囲まれた空間内に充填され、LEDモジュール130を覆う。透明樹脂層240Mは、トッププレート260を下側から支えて補強する。
【0128】
以上のように、第2実施形態の変形例によれば、LEDモジュール130とトッププレート260との間の空間を透明樹脂層240Mで封止することにより、トッププレート260を下側から支えて補強している。このような構成により、トッププレート260は上側から荷重が掛けられても変位しにくくなり、電気特性の検査時の荷重に耐えうる強度を有する載置台200Mを実現している。
【0129】
したがって、荷重による変位を抑制できる載置台200Mを提供することができる。
【0130】
なお、第2実施形態の変形例の載置台200Mは、レンズ135を有しない構成であってもよく、反射膜190(
図7参照)又は反射部材190M(
図10参照)を含む構成であってもよく、トッププレート260の下面に、黒色コーティング195(
図11参照)を施した構成であってもよい。
【0131】
以上、本開示に係る載置台及び検査装置の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0132】
100、100M1、100M2、100M3、100M4、200、200M 載置台
110 ベースプレート
120、220 ミドルプレート
130、130M1 LEDモジュール
130A LED
135 レンズ
140、240、240M 透明樹脂層
150 ガラス板
160、260 トッププレート
160A、260A 載置面
190、290 反射膜
190M 反射部材
195 黒色コーティング