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特許7398969基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231208BHJP
   C23F 1/16 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01L21/306 F
C23F1/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020007203
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2020145412
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2019037982
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】香川 興司
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-057304(JP,A)
【文献】特開2010-153887(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169155(WO,A1)
【文献】特開2014-027274(JP,A)
【文献】特開2019-029417(JP,A)
【文献】特開2018-006715(JP,A)
【文献】特開2016-225502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200112(US,A1)
【文献】特開2003-338506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
C23F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン膜、モリブデン膜、オスミウム膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、ロジウム膜およびニッケル膜のいずれか一つである第1膜と窒化チタン膜および窒化タンタル膜のいずれか一つである第2膜を有する基板を第1エッチングレートでエッチングする第1エッチング工程と、
エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第1エッチングレートよりも低い第2エッチングレートに変更する変更工程と、
前記基板を前記第2エッチングレートでエッチングする第2エッチング工程と
を含み、
前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程は、リン酸、酢酸、硝酸および水を含有する薬液を前記基板に供給することによって前記基板をエッチングし、
前記変更工程は、
前記薬液における前記水の配合比を低下させることにより、前記第1膜の前記エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第2エッチングレートに低下させる、基板処理方法。
【請求項2】
前記基板は、互いに間隔をあけて多層に形成された第3膜を有し、
前記第2膜は、前記第3膜を覆うように各層の前記第3膜の周囲に形成され、
前記第1膜は、積層方向に隣り合う前記第3膜同士の隙間を埋めるように前記第2膜および前記第3膜を覆い、
前記第1エッチング工程は、前記第1膜をエッチングし、
前記第2エッチング工程は、積層方向に隣り合う前記第3膜同士の隙間を埋める前記第1膜と、前記第3膜の周囲に形成された前記第2膜とを同時にエッチングする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程は、処理槽に貯留された前記薬液に前記基板を浸漬させることによって前記基板をエッチングし、
前記変更工程は、
前記処理槽から前記薬液の一部を排出し、該薬液よりも前記水の配合比が少ない前記薬液の新液を前記処理槽に供給することにより、前記エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第2エッチングレートに低下させる、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第1エッチング工程は、
前記エッチングレートが前記第1エッチングレートである第1薬液を貯留する第1処理槽に前記基板を浸漬させ、
前記第2エッチング工程は、
前記エッチングレートが前記第2エッチングレートである第2薬液を貯留する第2処理槽に前記基板を浸漬させ、
前記変更工程は、
前記基板を前記第1処理槽から前記第2処理槽へ移動させることにより、前記エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第2エッチングレートに低下させる、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
第1膜と前記第1膜に覆われた第2膜とを有する基板の前記第1膜をエッチングする工程であって、前記第2膜に対する前記第1膜の選択比が1よりも大きくなる配合比にて複数の成分が配合された薬液を前記基板に供給することによって前記第1膜をエッチングする第1エッチング工程と、
前記配合比を変更することによって前記選択比を1に近付ける変更工程と、
前記変更工程後の前記薬液を前記基板に供給することによって、前記第1膜と前記第1膜から露出した前記第2膜とを同時にエッチングする第2エッチング工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項6】
前記変更工程は、前記選択比が1となるように前記配合比を変更する、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記基板は、互いに間隔をあけて多層に形成された第3膜を有し、
前記第2膜は、前記第3膜を覆うように各層の前記第3膜の周囲に形成され、
前記第1膜は、積層方向に隣り合う前記第3膜同士の隙間を埋めるように前記第2膜および前記第3膜を覆い、
前記第2エッチング工程は、積層方向に隣り合う前記第3膜同士の隙間を埋める前記第1膜と、前記第3膜の周囲に形成された前記第2膜とを同時にエッチングする、請求項5または6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
記変更工程は、
前記第1膜から前記第2膜が露出する前に前記配合比を変更する、請求項のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項9】
タングステン膜、モリブデン膜、オスミウム膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、ロジウム膜およびニッケル膜のいずれか一つである第1膜と窒化チタン膜および窒化タンタル膜のいずれか一つである第2膜を有する基板に薬液を供給する供給部と、
前記供給部による前記薬液の供給条件を変更する変更部と、
前記薬液を用いて前記基板を第1エッチングレートでエッチングする第1エッチング処理と、前記変更部を制御することにより、エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第1エッチングレートよりも低い第2エッチングレートに変更する変更処理と、前記薬液を用いて前記基板を前記第2エッチングレートでエッチングする第2エッチング処理とを実行する制御部と
を備え
前記第1エッチング処理および前記第2エッチング処理は、リン酸、酢酸、硝酸および水を含有する薬液を前記基板に供給することによって前記基板をエッチングし、
前記変更処理は、
前記薬液における前記水の配合比を低下させることにより、前記第1膜の前記エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第2エッチングレートに低下させる、基板処理装置。
【請求項10】
前記薬液は、複数の成分を含有し、
前記変更部は、前記薬液における前記複数の成分の配合比を変更可能であり、
前記制御部は、
前記変更部を制御して、前記複数の成分の配合比を変更することにより、前記エッチングレートを前記第1エッチングレートから前記第2エッチングレートに低下させる、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記薬液であって、前記エッチングレートが前記第1エッチングレートである第1薬液を貯留する第1処理槽と、
前記薬液であって、前記エッチングレートが前記第2エッチングレートである第2薬液を貯留する第2処理槽と
を備え、
前記供給部は、
前記第1薬液を前記第1処理槽に供給する第1薬液供給部と、
前記第2薬液を前記第2処理槽に供給する第2薬液供給部と
を備え、
前記変更部は、
前記基板を前記第1処理槽から前記第2処理槽へ移動させる移動機構である、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
第1膜と前記第1膜に覆われた第2膜とを有する基板に薬液を供給する供給部と、
前記薬液に配合される複数の成分の配合比を変更する変更部と、
前記第1膜をエッチングする処理であって、前記第2膜に対する前記第1膜の選択比が1よりも大きくなる前記配合比にて前記複数の成分が配合された前記薬液を前記供給部から前記基板に供給することによって前記第1膜をエッチングする第1エッチング処理と、前記変更部を制御して前記配合比を変更することによって前記選択比を1に近付ける変更処理と、前記変更処理後の前記薬液を前記供給部から前記基板に供給することによって、前記第1膜と前記第1膜から露出した前記第2膜とを同時にエッチングする第2エッチング処理とを実行する制御部と
を備える、基板処理装置。
【請求項13】
コンピュータ上で動作し、基板処理装置を制御するプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、実行時に、請求項1~8のいずれか一つに記載の基板処理方法が行われるように、コンピュータに前記基板処理装置を制御させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造工程の一つとして、半導体ウェハなどの基板に形成された膜をエッチングするエッチング工程が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5448521号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数種類の膜を有する基板を効率良くエッチングすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、第1エッチング工程と、変更工程と、第2エッチング工程とを含む。第1エッチング工程は、第1膜および第2膜を有する基板を第1エッチングレートでエッチングする。変更工程は、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに変更する。第2エッチング工程は、基板を第2エッチングレートでエッチングする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、複数種類の膜を有する基板を効率良くエッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る基板処理の説明図である。
図2図2は、第1実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る基板処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、第1実施形態に係る変更処理の説明図である。
図5図5は、第2実施形態に係る基板処理の説明図である。
図6図6は、第3実施形態に係る基板処理の説明図である。
図7図7は、第4実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図8図8は、第4実施形態に係る第1処理槽の構成を示す図である。
図9図9は、第4実施形態に係る第2処理槽の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による基板処理方法、基板処理装置および記憶媒体が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0010】
(第1実施形態)
<第1実施形態に係る基板処理について>
まず、第1実施形態に係る基板処理の内容について図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る基板処理の説明図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る基板処理は、たとえば、ポリシリコン膜100上に、タングステン膜101、窒化チタン膜102およびシリコン酸化膜103が形成されたウェハWをエッチングする。具体的には、シリコン酸化膜103は、ポリシリコン膜100上に互いに間隔をあけて多層に形成され、窒化チタン膜102は、シリコン酸化膜103を覆うように各シリコン酸化膜103の周囲に形成される。また、タングステン膜101は、窒化チタン膜102およびシリコン酸化膜103を覆うように形成される。したがって、エッチング処理前において、窒化チタン膜102およびシリコン酸化膜103は、タングステン膜101によって覆われた状態となっている。
【0012】
第1実施形態に係る基板処理は、タングステン膜101および窒化チタン膜102をエッチバックすることで、ウェハW上に凹部を形成する。第1実施形態に係る基板処理では、タングステン膜101および窒化チタン膜102をエッチングする薬液として、リン酸(H3PO4)、酢酸(CH3COOH)、硝酸(HNO3)および水(H2O)を成分として含有する薬液が用いられる。
【0013】
具体的には、第1実施形態に係る基板処理は、まず、タングステン膜101のみをエッチングして窒化チタン膜102を露出させる(第1エッチング処理)。その後、第1実施形態に係る基板処理は、タングステン膜101および窒化チタン膜102を同時にエッチングする(第2エッチング処理)。
【0014】
タングステン膜101および窒化チタン膜102を同時にエッチングする第2エッチング処理において、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比は1:1であることが好ましい。しかしながら、選択比が1:1となる配合比にて上記複数の成分が配合された薬液を用いて一連の処理を行うと、第1エッチング処理においてタングステン膜101のエッチングに要する時間が長くなるおそれがあり、効率的ではない。
【0015】
そこで、第1実施形態に係る基板処理では、窒化チタン膜102に対するタングステン膜101の選択比が1よりも大きくなる配合比にて各成分が配合された薬液を用いて第1エッチング処理を行うこととした。これにより、第1エッチング処理におけるタングステン膜101のエッチングレートを、選択比が1:1である薬液を用いて第1エッチング処理を行った場合のタングステン膜101のエッチングレートよりも高くすることができる。したがって、第1エッチング処理においてタングステン膜101を短時間でエッチングすることができる。言い換えれば、第1エッチング処理の処理時間を短縮することができる。
【0016】
つづいて、第1実施形態に係る基板処理では、タングステン膜101のエッチングレートを変更する変更処理が行われる。具体的には、第1実施形態に係る基板処理では、薬液における各成分の配合比を変更することにより、タングステン膜101のエッチングレートを低下させて、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比を1:1にする。
【0017】
ここで、本願発明者は、薬液の他の成分と比較して、薬液中の水の割合が多くなるほど、タングステン膜101および窒化チタン膜102のエッチングレート、特にタングステン膜101のエッチングレートが増加することを実験により見いだした。そこで、第1実施形態に係る基板処理では、第2エッチング処理における薬液の水分濃度が第1エッチング処理における薬液の水分濃度よりも低くなるように薬液の配合比を変更することで、タングステン膜101のエッチングレートを低下させることとした。この点の詳細については後述する。
【0018】
第1実施形態に係る基板処理は、第1エッチング処理が完了する前に、すなわち、タングステン膜101から窒化チタン膜102が露出する前に変更処理を完了させればよい。
【0019】
その後、第1実施形態に係る基板処理では、タングステン膜101および窒化チタン膜102を同時にエッチングする第2エッチング処理が行われる。タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比は、第2エッチング処理の開始前に変更処理によって1:1に変更される。このため、第1実施形態に係る基板処理は、第2エッチング処理において、タングステン膜101および窒化チタン膜102を同等のエッチングレートでエッチングすることができる。したがって、ウェハW上に凹部を精度良く形成することができる。
【0020】
このように、第1実施形態に係る基板処理では、第1エッチング処理において、タングステン膜101を第1エッチングレートでエッチングする。また、第1実施形態に係る基板処理では、タングステン膜101のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させることにより、タングステン膜101および窒化チタン膜102の選択比を1:1に変更する。そして、第1実施形態に係る基板処理では、タングステン膜101および窒化チタン膜102を1:1の選択比でエッチングする第2エッチング処理を行う。
【0021】
したがって、第1実施形態に係る基板処理によれば、複数種類の膜を有するウェハWを効率良くエッチングすることができる。
【0022】
<基板処理装置の構成>
次に、上述した基板処理を実行する基板処理装置の構成について図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【0023】
図2に示す基板処理装置1では、垂直姿勢にて保持された複数のウェハWを薬液に浸漬させることにより、複数のウェハWに対するエッチング処理を一括して行う。上述したように、エッチング処理には、リン酸、酢酸、硝酸および水を含有する薬液が用いられ、かかるエッチング処理により、タングステン膜101および窒化チタン膜102がエッチングされる。
【0024】
図2に示すように、第1実施形態に係る基板処理装置1は、処理槽10と、基板保持部20と、薬液供給部30と、循環部40と、個別供給部50と、制御装置60とを備える。
【0025】
(処理槽)
処理槽10は、内槽11と、外槽12とを備える。内槽11は、上方が開放された箱形の槽であり、内部に薬液を貯留する。複数のウェハWにより形成されるロットは、内槽11に浸漬される。外槽12は、上方が開放され、内槽11の上部周囲に配置される。外槽12には、内槽11からオーバーフローした薬液が流入する。
【0026】
(基板保持部20)
基板保持部20は、複数のウェハWを垂直姿勢(縦向きの状態)で保持する。また、基板保持部20は、複数のウェハWを、水平方向(ここでは、Y軸方向)に一定の間隔で並べられた状態で保持する。基板保持部20は、図示しない昇降機構に接続されており、複数のウェハWを処理槽10の内部における処理位置と処理槽10の上方における待機位置との間で移動させることができる。
【0027】
(薬液供給部30)
薬液供給部30は、薬液供給源31と、薬液供給ライン32と、第1バルブ33とを備える。薬液供給源31は、リン酸、酢酸、硝酸および水を成分として含有する薬液を供給する。具体的には、薬液供給源31は、窒化チタン膜102に対するタングステン膜101の選択比が1よりも大きくなる配合比にて各成分が配合された薬液を供給する。言い換えれば、薬液供給源31は、タングステン膜101を第1エッチングレート(>第2エッチングレート)でエッチングする配合比にて各成分が配合された薬液を供給する。
【0028】
薬液供給ライン32は、薬液供給源31に接続され、薬液供給源31からの薬液を処理槽10の外槽12に供給する。第1バルブ33は、薬液供給ライン32に設けられ、薬液供給ライン32を開閉する。第1バルブ33は、後述する制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0029】
(循環部40)
循環部40は、内槽11と外槽12との間で薬液を循環させる。循環部40は、循環ライン41と、複数の薬液供給ノズル42と、ポンプ43と、ヒータ44と、濃度計45と、フィルタ46とを備える。また、循環部40は、排液ライン47と、第2バルブ48とを備える。
【0030】
循環ライン41は、外槽12と内槽11とを接続する。循環ライン41の一端は、外槽12に接続され、循環ライン41の他端は、内槽11の内部に配置された複数の薬液供給ノズル42に接続される。
【0031】
ポンプ43、ヒータ44、濃度計45およびフィルタ46は、循環ライン41に設けられる。ポンプ43は、外槽12内の薬液を循環ライン41に送り出す。ヒータ44は、循環ライン41を流れる薬液をエッチング処理に適した温度に加熱する。濃度計45は、循環ライン41を流れる薬液の濃度を測定する。具体的には、濃度計45は、薬液の各成分、すなわち、リン酸、酢酸、硝酸および水の濃度を測定する。なお、循環部40は、複数の濃度計、具体的には、リン酸の濃度を測定する濃度計、酢酸の濃度を測定する濃度計、硝酸の濃度を測定する濃度計および水の濃度を測定する濃度計を備えていてもよい。フィルタ46は、循環ライン41を流れる薬液から不純物を除去する。
【0032】
排液ライン47は、濃度計45とフィルタ46との間の循環ライン41から分岐する流路であり、循環ライン41を流れる薬液を基板処理装置1の外部に排出する。なお、排出される薬液は、ヒータ44によって加熱されている。このため、排液ライン47には、加熱された薬液を冷却する冷却部が設けられてもよい。第2バルブ48は、排液ライン47に設けられ、排液ライン47を開閉する。
【0033】
外槽12に貯留された薬液は、循環ライン41を通って複数の薬液供給ノズル42から内槽11に供給される。内槽11に供給された薬液は、内槽11からオーバーフローすることで、再び外槽12へと流出する。このようにして、薬液は、内槽11と外槽12との間を循環する。
【0034】
ポンプ43、ヒータ44および第2バルブ48は、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって制御される。また、濃度計45は、制御部61に電気的に接続されており、濃度の測定結果を制御部61に出力する。
【0035】
(個別供給部50)
個別供給部50は、水供給源51aと、リン酸供給源51bと、酢酸供給源51cと、硝酸供給源51dと、水供給ライン52aと、リン酸供給ライン52bと、酢酸供給ライン52cと、硝酸供給ライン52dと、第3バルブ53a~第6バルブ53dとを備える。
【0036】
水供給源51aは、水を供給する。水供給源51aから供給される水は、たとえば脱イオン水である。水供給ライン52aは、水供給源51aに接続され、水供給源51aからの水を処理槽10の外槽12に供給する。第3バルブ53aは、水供給ライン52aに設けられ、水供給ライン52aを開閉する。第3バルブ53aは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0037】
リン酸供給源51bは、リン酸を供給する。リン酸供給ライン52bは、リン酸供給源51bに接続され、リン酸供給源51bからのリン酸を外槽12に供給する。第4バルブ53bは、リン酸供給ライン52bに設けられ、リン酸供給ライン52bを開閉する。第4バルブ53bは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0038】
酢酸供給源51cは、酢酸を供給する。酢酸供給ライン52cは、酢酸供給源51cに接続され、酢酸供給源51cからの酢酸を外槽12に供給する。第5バルブ53cは、酢酸供給ライン52cに設けられ、酢酸供給ライン52cを開閉する。第5バルブ53cは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0039】
硝酸供給源51dは、硝酸を供給する。硝酸供給ライン52dは、硝酸供給源51dに接続され、硝酸供給源51dからの硝酸を外槽12に供給する。第6バルブ53dは、硝酸供給ライン52dに設けられ、硝酸供給ライン52dを開閉する。第6バルブ53dは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0040】
第3バルブ53a~第6バルブ53dは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0041】
(制御装置60)
制御装置60は、たとえばコンピュータであり、制御部61と記憶部62とを備える。記憶部62は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムを記憶する。制御部61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含み、記憶部62に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。
【0042】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置60の記憶部62にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0043】
(基板処理装置1の具体的動作)
次に、第1実施形態に係る基板処理装置1の具体的動作について図3および図4を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る基板処理装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る変更処理の説明図である。
【0044】
図3に示すように、基板処理装置1では、第1エッチング処理が行われる(ステップS101)。第1エッチング処理において、制御部61は、複数のウェハWを搬送する図示しない基板搬送装置を制御して、複数のウェハWを基板保持部20へ受け渡す。その後、制御部61は、図示しない昇降機構を制御して基板保持部20を下降させることにより、処理槽10に貯留された薬液に複数のウェハWを浸漬される。
【0045】
第1エッチング処理において、処理槽10には、薬液供給部30から供給される薬液、すなわち、窒化チタン膜102に対するタングステン膜101の選択比が1よりも大きくなる配合比にて各成分が配合された薬液が貯留される。これにより、複数のウェハW上に形成されたタングステン膜101は、後述する第2エッチング処理におけるタングステン膜101のエッチングレートである第2エッチングレートよりも高い第1エッチングレートにて短時間でエッチングされる。
【0046】
図4に示すように、第1エッチング処理において、制御部61は、たとえば濃度計45の測定結果に基づき、水供給ライン52aの第3バルブ53a、酢酸供給ライン52cの第5バルブ53cおよび硝酸供給ライン52dの第6バルブ53dの開閉制御を行う。これにより、処理槽10に水、酢酸および硝酸が補充されることで、処理槽10内の薬液の濃度が一定に保たれる。
【0047】
つづいて、制御部61は、たとえば、第1エッチング処理が開始されてから予め設定された時間が経過したか否かを判定する(ステップS102)。上記「予め設定された時間」は、たとえば、第1エッチング処理の所要時間から、タングステン膜101のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに変更するのに要する時間を差し引いた時間よりも短い時間に設定される。制御部61は、設定時間が経過するまで、ステップS102の判定処理を繰り返す(ステップS102,No)。
【0048】
一方、ステップS102において、設定時間が経過したと判定した場合(ステップS102,Yes)、制御部61は、変更処理を開始する(ステップS103)。
【0049】
変更処理において、制御部61は、第2バルブ48を開くことにより、循環ライン41を流れる薬液を排液ライン47から基板処理装置1の外部へ排出する。また、制御部61は、第3バルブ53aおよび第5バルブ53cを閉じることにより、処理槽10への水および酢酸の供給を停止し、第4バルブ53bおよび第6バルブ53dを開くことにより、処理槽10にリン酸および硝酸を供給する。
【0050】
処理槽10への水の供給を停止することで、処理槽10に貯留された薬液の水分濃度が低下する。この結果、タングステン膜101のエッチングレートが第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下して、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比が1:1に変更される。
【0051】
このように、基板処理装置1では、薬液に含まれる複数の成分の配合比を変更することにより、タングステン膜101のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させることとした。これにより、第1エッチング処理において、タングステン膜101を第1エッチングレートにて短時間でエッチングしつつ、第2エッチング処理においてタングステン膜101および窒化チタン膜102を1:1の選択比でエッチングすることができる。
【0052】
また、基板処理装置1では、薬液に含まれる複数の成分のうち水の配合比を少なくすることで、タングステン膜101のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させることとした。上述したように、タングステン膜101のエッチングレートは、薬液の他の成分と比較して、水の割合が多くなるほど増加し易い。このため、水の配合比を少なくすることで、他の成分の配合比を変更する場合と比べて、タングステン膜101のエッチングレートを短時間で低下させることができる。
【0053】
さらに、基板処理装置1では、処理槽10から薬液の一部を排出し、排出した薬液よりも水の配合比が少ない新液(ここでは、リン酸および硝酸を含有する薬液)を処理槽10に供給することで、タングステン膜101のエッチングレートを低下させることとした。このように、水分濃度の高い薬液を処理槽10から排出することで、水の配合比をより短時間で低下させることができる。すなわち、タングステン膜101のエッチングレートをより短時間で低下させることができる。
【0054】
つづいて、基板処理装置1では、第2エッチング処理が行われる(ステップS104)。第2エッチング処理では、タングステン膜101および窒化チタン膜102が露出したウェハWに対し、タングステン膜101および窒化チタン膜102を1:1の選択比でエッチングする薬液が供給される。これにより、タングステン膜101および窒化チタン膜102が同等のエッチングレート(第2エッチングレート)でエッチングされる。第2エッチング処理を終えると、制御部61は、一連の基板処理を終了する。
【0055】
なお、図4に示すように、第2エッチング処理において、制御部61は、第1エッチング処理時と同様に、第3バルブ53a、第5バルブ53cおよび第6バルブ53dの開閉制御を行うことで、処理槽10内の薬液の濃度が一定に保たれる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る基板処理について図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る基板処理の説明図である。図5に示すように、第2実施形態に係る基板処理では、変更処理において薬液の温度を低下させる。これにより、タングステン膜101および窒化チタン膜102のエッチングレートを、第1エッチング処理における第1エッチングレートR1から第2エッチング処理における第2エッチングレートR2に低下させる。
【0057】
薬液には温度依存性があり、薬液の温度を高くするほど、タングステン膜101および窒化チタン膜102のエッチングレートが増加する傾向がある。したがって、変更処理前の第1エッチング処理においては、比較的高温である第1温度T1の薬液がウェハWに供給されることで、タングステン膜101を比較的高い第1エッチングレートR1でエッチングすることができる。すなわち、第1エッチング処理においては、タングステン膜101を比較的短時間でエッチングすることができる。
【0058】
また、変更処理後の第2エッチング処理においては、第1温度T1よりも低い第2温度T2の薬液がウェハWに供給される。このため、タングステン膜101および窒化チタン膜102は、第1エッチングレートR1よりも低い第2エッチングレートR2でエッチングされる。これにより、たとえば、第2エッチング処理において、タングステン膜101および窒化チタン膜102が過剰にエッチングされてしまうことが抑制される。また、第2エッチング処理後におけるタングステン膜101および窒化チタン膜102の表面荒さを抑えることができる。
【0059】
このように、第2実施形態に係る基板処理は、変更処理において、薬液の温度を第1温度T1から第1温度T1よりも低い第2温度T2に変更することにより、エッチングレートを第1エッチングレートR1から第2エッチングレートR2に低下させる。したがって、第2実施形態に係る基板処理によれば、第1エッチング処理の処理時間を短縮することができるとともに、第2エッチング処理の処理精度を高めることができる。なお、第1温度T1と第2温度T2との温度差は、たとえば、5℃以下程度である。基板処理装置1は、処理槽10または循環部40における薬液の温度を測定する温度測定部を備えていてもよく、制御部61は、かかる温度測定部の測定結果に基づき薬液の温度を制御してもよい。
【0060】
また、本願発明者は、薬液温度の変化に対し、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比の変化が小さいことを見いだした。このように、薬液の温度を変化させてもタングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比はほとんど変化しないため、たとえば、選択比を1:1に維持するために薬液の配合比を変更するといった手間を要さず、選択比の制御が容易である。
【0061】
なお、第2実施形態において、薬液供給部30の薬液供給源31は、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比が1:1となるように各成分が配合された薬液を供給する。これにより、第2実施形態において処理槽10には、タングステン膜101と窒化チタン膜102との選択比が1:1の薬液が貯留される。
【0062】
また、第2実施形態に係る制御部61は、変更処理において、たとえばヒータ44を停止することにより、処理槽10に貯留される薬液の温度を低下させることができる。これに限らず、第2実施形態に係る基板処理装置1は、循環ライン41に図示しない冷却部を備えていてもよい。この場合、制御部61は、変更処理において、ヒータ44を停止するとともに、図示しない冷却部を動作させることにより、処理槽10に貯留される薬液の温度を低下させてもよい。冷却部を用いて薬液を積極的に冷却することで、変更処理に要する時間を短縮することができる。冷却部としては、たとえばクーリングコイルや冷却ジャケット等を用いることができる。
【0063】
なお、制御部61は、第1実施形態における変更処理において、ヒータ44や図示しない冷却部を制御することにより、第2実施形態に係る変更処理のように薬液の温度を変更してもよい。これにより、たとえば第1エッチング処理に要する時間をさらに短縮させることができる。また、第2エッチング処理における処理精度をさらに高めることができる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る基板処理について図6を参照して説明する。図6は、第3実施形態に係る基板処理の説明図である。
【0065】
第1エッチング処理や第2エッチング処理を行うと、タングステン膜101に含有されるタングステンや窒化チタン膜102に含有されるチタン等の金属が薬液中に溶け出すことで、薬液の金属濃度が徐々に上昇する。金属濃度が高い薬液を用いてエッチング処理を行った場合、たとえば、エッチングレートの変動が生じたり、製品ウェハの電気特性に影響が生じたりするおそれがある。したがって、薬液の金属濃度の上昇を抑制することが好ましい。
【0066】
ここで、一連の基板処理が終了する毎に、処理槽10内の薬液を全て排出して金属が含有されていない薬液の新液に入れ替えることで、金属濃度の上昇を抑制することは可能である。しかしながら、このような方法は、薬液の使用量削減の観点、あるいは、薬液交換に要する時間の削減の観点から好ましくない。
【0067】
そこで、図6に示すように、制御部61は、一連の基板処理中において、薬液の金属濃度が閾値THを超えないように薬液の金属濃度の上昇を抑制する金属濃度抑制処理を行ってもよい。
【0068】
具体的には、制御部61は、一連の基板処理中において、処理槽10内の薬液の一部を排液ライン47から排出し、金属が含有されていない薬液の新液を薬液供給部30から処理槽10に供給する。このように、一連の基板処理中に、金属が含有されている薬液の一部を金属が含有されていない薬液の新液に置換することで、薬液の金属濃度の上昇を抑制することができる。かかる金属濃度抑制処理は、一連の基板処理中に行われるため、薬液交換に要する時間を短縮することができる。また、薬液の全てではなく一部を新液と交換することで、薬液の使用量を抑制することができる。
【0069】
制御部61は、たとえば、第1エッチング処理が開始されてから予め設定された時間が経過した場合に、金属抑制処理を開始させてもよい。ここで、「予め設定された時間」とは、たとえば、処理槽10内の薬液の金属濃度が0ppmから閾値THに達するまでの時間であり、実験等により予め算出される。なお、金属が含有された薬液(金属濃度が閾値THである薬液)が処理槽10に貯留された状態から一連の基板処理が開始される場合もある。この場合、制御部61は、第1エッチング処理と同時に金属抑制処理を開始させてもよい。
【0070】
また、上記実験等により金属濃度の時間変化率を割り出すことができる。制御部61は、この情報を基に、第2バルブ48および第1バルブ33を制御することで、薬液の金属濃度が閾値THを中心とする閾値範囲内に収まるように、薬液の置換を適切な量、適切なタイミングにて行うことができる。
【0071】
(第4実施形態)
上述した実施形態では、第1エッチング処理および第2エッチング処理を1つの処理槽10にて行うこととしたが、第1エッチング処理と第2エッチング処理とは、異なる処理槽にて行われてもよい。図7は、第4実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【0072】
図7に示すように、第4実施形態に係る基板処理装置1Aは、第1エッチング処理装置70と、第2エッチング処理装置80と、搬送装置90とを備える。
【0073】
第1エッチング処理装置70は、第1エッチング処理用の処理槽71(以下、「第1処理槽71」と記載する)と、基板昇降機構72とを備える。また、第2エッチング処理装置80は、第2エッチング処理用の処理槽81(以下、「第2処理槽81」と記載する)と、基板昇降機構82とを備える。
【0074】
処理槽71,81は、1ロット分のウェハWを収容可能である。第1処理槽71には、エッチングレートが第1エッチングレートである薬液(以下、「第1薬液」と記載する)が貯留される。また、第2処理槽81には、エッチングレートが第2エッチングレートである薬液(以下、「第2薬液」と記載する)が貯留される。
【0075】
基板昇降機構72,82は、後述する搬送装置90との間でロットの受け渡しを行う。また、基板昇降機構72,82は、ロットを下降させることにより、処理槽71,81にロットを浸漬させる。また、基板昇降機構72,82は、ロットを上昇させることにより、処理槽71,81からロットを引き上げる。
【0076】
第1エッチング処理装置70は、第1処理槽71に貯留された第1薬液にロットを浸漬させることによって第1エッチング処理を行う。また、第2エッチング処理装置80は、第2処理槽81に貯留された第2薬液にロットを浸漬させることによって第2エッチング処理を行う。
【0077】
搬送装置90は、第1エッチング処理装置70と第2エッチング処理装置80との間でロットの搬送を行う。搬送装置90は、レール91と、移動体92と、基板保持体93とを備える。レール91は、第1エッチング処理装置70および第2エッチング処理装置80の並び方向に沿って延在する。移動体92は、複数のウェハWを保持しながらレール91に沿って移動可能に構成される。基板保持体93は、移動体92に設けられ、起立姿勢で前後に並んだ複数のウェハWを保持する。
【0078】
次に、第1処理槽71および第2処理槽81の構成について図8および図9を参照し説明する。図8は、第4実施形態に係る第1処理槽71の構成を示す図である。また、図9は、第4実施形態に係る第2処理槽81の構成を示す図である。
【0079】
図8に示すように、第1処理槽71は、上述した処理槽10(図2参照)と同様、内槽11と、外槽12とを備える。
【0080】
第1処理槽71は、循環部40Aを備える。循環部40Aは、内槽11と外槽12との間で処理液を循環させる。循環部40Aは、循環路41と、ノズル42と、ポンプ43と、フィルタ46と、温度調整部49とを備える。
【0081】
循環路41は、内槽11と外槽12とを接続する。循環路41の一端は、外槽12に接続され、循環路41の他端は、内槽11の内部に配置されたノズル42に接続される。
【0082】
ポンプ43、フィルタ46および温度調整部49は、循環路41に設けられる。ポンプ43は、外槽12内の第1薬液を循環路41に送り出す。フィルタ46は、循環路41を流れる第1薬液から不純物を除去する。
【0083】
温度調整部49は、たとえばヒータまたは電子冷熱恒温器等であり、循環路41を流れる第1薬液の温度を設定された温度に調整する。ポンプ43および温度調整部49は、制御部61によって制御される。
【0084】
また、第1処理槽71は、第1薬液供給部30Aを備える。第1薬液供給部30Aは、第1薬液供給源31Aと、第1薬液供給ライン32Aと、第1バルブ33Aと、第1切替部34Aとを備える。
【0085】
第1薬液供給源31Aは、第1薬液を供給する。第1薬液は、リン酸、酢酸、硝酸および水を成分として含有する薬液であって、タングステン膜101(図1参照)を第1エッチングレート(>第2エッチングレート)でエッチングする配合比にて各成分が配合された薬液である。
【0086】
第1薬液供給ライン32Aは、第1薬液供給源31Aに接続され、第1薬液供給源31Aから供給される第1薬液を第1処理槽71の内槽11または外槽12に供給する。第1バルブ33Aは、第1薬液供給ライン32Aに設けられ、第1薬液供給ライン32Aを開閉する。第1切替部34Aは、第1薬液供給ライン32Aに設けられ、第1薬液供給ライン32Aを流れる第1薬液の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。
【0087】
第1バルブ33Aおよび第1切替部34Aは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって制御される。たとえば、制御部61は、空の状態の第1処理槽71に第1薬液を貯める場合には、第1バルブ33Aおよび第1切替部34Aを制御して、第1薬液供給源31Aから内槽11に第1薬液の新液を供給する。また、制御部61は、第1処理槽71に対して第1薬液の補充を行う場合には、第1バルブ33Aおよび第1切替部34Aを制御して、第1薬液供給源31Aから外槽12に第1薬液の新液を供給する。
【0088】
また、第1処理槽71は、個別供給部50Aを備える。個別供給部50Aは、上述した個別供給部50の構成に加え、第3切替部54a~第6切替部54dをさらに備える。第3切替部54aは、水供給ライン52aに設けられ、水供給ライン52aを流れる水の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。第4切替部54bは、リン酸供給ライン52bに設けられ、リン酸供給ライン52bを流れるリン酸の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。
【0089】
第5切替部54cは、酢酸供給ライン52cに設けられ、酢酸供給ライン52cを流れる酢酸の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。第6切替部54dは、硝酸供給ライン52dに設けられ、硝酸供給ライン52dを流れる硝酸の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。
【0090】
また、個別供給部50Aは、上述した個別供給部50の構成に加え、第3流量調整部55a~第6流量調整部55dをさらに備える。第3流量調整部55a~第6流量調整部55dは、流量調整弁、流量計などを含んで構成される。
【0091】
第3流量調整部55aは、水供給ライン52aに設けられ、内槽11または外槽12に供給される水の流量を調整する。第4流量調整部55bは、リン酸供給ライン52bに設けられ、内槽11または外槽12に供給されるリン酸の流量を調整する。第5流量調整部55cは、酢酸供給ライン52cに設けられ、内槽11または外槽12に供給される酢酸の流量を調整する。第6流量調整部55dは、硝酸供給ライン52dに設けられ、内槽11または外槽12に供給される硝酸の流量を調整する。
【0092】
第3バルブ53a~第6バルブ53d、第3切替部54a~第6切替部54dおよび第3流量調整部55a~第6流量調整部55dは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって開閉制御される。
【0093】
たとえば、空の状態の第1処理槽71に第1薬液の新液を貯める場合、制御部61は、第3バルブ53a~第6バルブ53d、第3切替部54a~第6切替部54dを制御して、水、リン酸、酢酸および硝酸を内槽11に供給する。また、第1処理槽71に対して第1薬液の補充を行う場合、制御部61は、第3バルブ53a~第6バルブ53d、第3切替部54a~第6切替部54dを制御して、水、リン酸、酢酸および硝酸を外槽12に供給する。
【0094】
次に、第2処理槽81の構成について説明する。図9に示すように、第2処理槽81は、上述した第1処理槽81と同様の内槽11、外槽12および循環部40Aを備える。
【0095】
また、第2処理槽81は、第2薬液供給部30Bを備える。第2薬液供給部30Bは、第2薬液供給源31Bと、第2薬液供給ライン32Bと、第1バルブ33Bとを備える。
【0096】
第2薬液供給源31Bは、第2薬液を供給する。第2薬液は、リン酸、酢酸、硝酸および水を成分として含有する薬液であって、タングステン膜101を第2エッチングレート(<第1エッチングレート)でエッチングする配合比にて各成分が配合された薬液である。
【0097】
第2薬液供給ライン32Bは、第2薬液供給源31Bに接続され、第2薬液供給源31Bからの第2薬液を第2処理槽81の内槽11または外槽12に供給する。第1バルブ33Bは、第2薬液供給ライン32Bに設けられ、第2薬液供給ライン32Bを開閉する。第1切替部34Bは、第2薬液供給ライン32Bに設けられ、第2薬液供給ライン32Bを流れる第2薬液の流出先を内槽11と外槽12との間で切り替える。第1バルブ33Bおよび第1切替部34Bは、制御部61に電気的に接続されており、制御部61によって制御される。
【0098】
また、第2処理槽81は、個別供給部50Bを備える。個別供給部50Bは、上述した個別供給部50Aと同様の構成を有するため、ここでの説明は省略する。
【0099】
第4実施形態に係る基板処理装置1Aでは、まず、第1処理槽71において第1エッチング処理が行われる。第1エッチング処理では、複数のウェハWを基板昇降機構72を用いて下降させることにより、第1処理槽71の内槽11に貯留された第1薬液に複数のウェハWを浸漬させる。
【0100】
つづいて、基板処理装置1Aでは、第1エッチング処理を終えた複数のウェハWを第2処理槽81へ搬送する搬送処理が行われる。搬送処理では、まず、基板昇降機構72が上昇することによって複数のウェハWが第1処理槽71から引き上げられる。その後、基板昇降機構72から搬送装置90に複数のウェハWが渡される。つづいて、搬送装置90が第1処理装置71から第2処理装置81へ移動して、保持した複数のウェハWを基板昇降機構82へ渡す。
【0101】
つづいて、基板処理装置1Aでは、第2処理槽81において第2エッチング処理が行われる。第2エッチング処理では、複数のウェハWが、基板昇降機構82によって下降され、第2処理槽81の内槽11に貯留された第2薬液に浸漬される。
【0102】
このように、第1エッチング処理および第2エッチング処理は、それぞれ異なる処理槽(第1処理槽71および第2処理槽81)において行われてもよい。
【0103】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、第1膜がタングステン膜101である場合の例について説明したが、第1膜は、必ずしもタングステン膜101であることを要しない。たとえば、第1膜は、モリブデン膜、オスミウム膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、ロジウム膜、銅膜またはニッケル膜であってもよい。このように、実施形態に係る基板処理によれば、モリブデン膜等のタングステン膜101以外の第1膜と第2膜とを有する基板を効率良くエッチングすることができる。
【0104】
第1膜がモリブデン膜である場合、薬液(第1薬液および第2薬液)の温度は、常温(たとえば、20℃±10℃)以下であることが好ましい。モリブデンは卑金属に該当し、イオン化傾向が高く比較的酸化されやすい。このため、常温以下の薬液を用いることで、モリブデン膜のエッチング速度が速くなり過ぎてモリブデン膜が過剰にエッチングされることを抑制することができる。
【0105】
第1膜がモリブデン膜であり、第2実施形態のように、薬液の温度を低下させることによって薬液のエッチングレートを変更する場合、制御部61は、薬液の温度を、たとえば25℃から20℃に低下させてもよい。また、制御部61は、薬液の温度を、常温(たとえば、25℃)から常温以下の温度(たとえば、5℃)に低下させてもよい。このように、薬液の温度を常温以下の温度に低下させることで、モリブデン膜のエッチング速度をさらに緩やかにすることができる。
【0106】
第1膜がモリブデン膜である場合、処理槽10は、必ずしも水の供給系(水供給源51a、水供給ライン52aおよび第3バルブ53a)を備えることを要しない。第1処理槽71および第2処理槽81においても同様である。
【0107】
また、上述した実施形態では、第2膜が窒化チタン膜102である場合の例について説明したが、第2膜は、窒化チタン膜102に限定されない。たとえば、第2膜は、窒化タンタル膜であってもよい。実施形態に係る基板処理によれば、窒化チタン膜および窒化タンタル膜のいずれか一つである第2膜と第1膜とを有する基板を効率良くエッチングすることができる。
【0108】
ウェハW上に形成される膜の種類は、上述した実施形態の例に限定されない。たとえば、第1および第2実施形態では、複数の成分が含有された薬液を用いる場合の例について説明したが、薬液は、たとえば、フッ酸など単一成分のみを含む薬液であってもよい。また、上述した第1および第2実施形態では、一方の膜が他方の膜によって覆われている場合の例を示したが、複数の膜が露出していてもよい。
【0109】
上述した実施形態では、第2エッチング処理におけるエッチングレート(第2エッチングレート)を第1エッチング処理におけるエッチングレート(第1エッチングレート)よりも低くする場合の例について説明した。これに限らず、第2エッチング処理におけるエッチングレート(第2エッチングレート)を第1エッチング処理におけるエッチングレート(第1エッチングレート)よりも高くしてもよい。たとえば、複数の膜のうちのある膜に存在する不要な段差を第1エッチング処理において精度良くエッチングしたあと、複数の膜を第2エッチング処理において短時間でエッチングしたい場合がある。このような場合には、第2エッチング処理におけるエッチングレート(第2エッチングレート)を第1エッチング処理におけるエッチングレート(第1エッチングレート)よりも高くすることが好ましい。
【0110】
また、上述した実施形態では、処理槽10に貯留された薬液に複数のウェハWを浸漬させることによって、複数のウェハWを一括してエッチングする場合の例について説明した。これに限らず、たとえば、1枚のウェハWを回転可能に保持する保持部にウェハWを保持させ、この保持部の上方に配置されたノズルから回転するウェハWに対して薬液を供給することにより、ウェハWをエッチングしてもよい。
【0111】
また、上述した実施形態では、薬液を用いてウェハWをエッチングするいわゆるウェットエッチングを行う場合の例について説明したが、ウェハWをエッチングする方法は、ウェットエッチングに限定されず、ドライエッチングであってもよい。
【0112】
上述してきたように、実施形態に係る基板処理方法は、第1エッチング工程(一例として、第1エッチング処理)と、変更工程(一例として、変更処理)と、第2エッチング工程(一例として、第2エッチング処理)とを含む。第1エッチング工程は、第1膜(一例として、タングステン膜101)および第2膜(一例として、窒化チタン膜102)を有する基板(一例として、ウェハW)を第1エッチングレートでエッチングする。変更工程は、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに変更する。第2エッチング工程は、基板を第2エッチングレートでエッチングする。
【0113】
これにより、たとえば、第2エッチングレートを第1エッチングレートよりも低くすることで、第1エッチング処理における処理時間を短縮しつつ、第2エッチング処理の処理精度を高めることができる。したがって、実施形態に係る基板処理方法によれば、複数種類の膜を有する基板を効率良くエッチングすることができる。
【0114】
第2エッチングレートは、第1エッチングレートよりも低くてもよい。これにより、第1エッチング処理における処理時間を短縮しつつ、第2エッチング処理の処理精度を高めることができる。
【0115】
第1エッチング工程および第2エッチング工程は、複数の成分(一例として、リン酸、酢酸、硝酸および水)を含有する薬液を基板に供給することによって基板をエッチングしてもよい。この場合、変更工程は、複数の成分の配合比を変更することにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。このよに、薬液における複数の成分の配合比を変更することにより、エッチングレートを変更することが可能である。
【0116】
第1膜は、タングステン膜(一例として、タングステン膜101)、モリブデン膜、オスミウム膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、ロジウム膜、銅膜およびニッケル膜のいずれか一つであってもよく、第2膜は、窒化チタン膜(一例として、窒化チタン膜102)および窒化タンタル膜のいずれか一つであってもよい。また、薬液は、リン酸、酢酸、硝酸および水を含有していてもよい。この場合、変更工程は、薬液における水の配合比を低下させることにより、タングステン膜のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。
【0117】
このように、薬液における水の配合比を低下させることにより、他の成分の配合比を変更する場合と比べて、第1膜のエッチングレートを短時間で低下させることができる。
【0118】
第1エッチング工程および第2エッチング工程は、処理槽(一例として、処理槽10)に貯留された薬液に基板を浸漬させることによって基板をエッチングしてもよい。この場合、変更工程は、処理槽から薬液の一部を排出し、この薬液よりも水の配合比が少ない薬液の新液を処理槽に供給することにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。
【0119】
このように、水分濃度の高い薬液を処理槽から排出することで、水の配合比をより短時間で低下させることができる。すなわち、タングステン膜のエッチングレートをより短時間で低下させることができる。
【0120】
第1エッチング工程および第2エッチング工程は、基板に薬液を供給することによって基板をエッチングしてもよい。この場合、変更工程は、薬液の温度を第1温度から第1温度よりも低い第2温度に変更することにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。このように、薬液の温度を変更することにより、エッチングレートを変更することが可能である。
【0121】
第2膜(一例として、窒化チタン膜102)は、第1膜(一例として、タングステン膜101)に覆われていてもよい。この場合、第1エッチング工程は、第1膜を第1エッチングレートでエッチングし、変更工程は、第1膜から第2膜が露出する前に、第1膜のエッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。
【0122】
これにより、たとえば、第2膜が露出するまでは、第1膜と第2膜との選択比を気にすることなく、第1膜をより高いエッチングレートにて短時間でエッチングすることができる。また、第2膜の露出後においては、たとえば、第1膜と第2膜とを所望の選択比(一例として、1:1)で同時にエッチングすることができる。
【0123】
第1エッチング工程は、エッチングレートが第1エッチングレートである第1薬液を貯留する第1処理槽に基板を浸漬させてもよい。また、第2エッチング工程は、エッチングレートが第2エッチングレートである第2薬液を貯留する第2処理槽に基板を浸漬させてもよい。また、変更工程は、基板を第1処理槽から第2処理槽へ移動させることにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。これにより、たとえば、液交換を行うことなく、基板に対して第1エッチング処理および第2エッチング処理を行うことができる。
【0124】
また、実施形態に係る基板処理装置(一例として、基板処理装置1)は、供給部(一例として、薬液供給部30および個別供給部50)と、変更部(一例として、第2バルブ48、個別供給部50、ヒータ44、図示しない冷却部)と、制御部(一例として、制御部61)とを備える。供給部は、第1膜(一例として、タングステン膜101)および第2膜(一例として、窒化チタン膜102)を有する基板(一例として、ウェハW)に薬液を供給する。変更部は、供給部による薬液の供給条件(一例として、薬液における各成分の配合比、薬液の温度)を変更する。制御部は、薬液を用いて基板を第1エッチングレートでエッチングする第1エッチング処理と、変更部を制御することにより、エッチングレートを第1エッチングレートと異なる第2エッチングレートに変更する変更処理と、薬液を用いて基板を第2エッチングレートでエッチングする第2エッチング処理とを実行する。これにより、複数種類の膜を有する基板を効率良くエッチングすることができる。
【0125】
薬液は、複数の成分(一例として、リン酸、酢酸、硝酸および水)を含有していてもよい。この場合、変更部(一例として、第2バルブ48および個別供給部50)は、薬液における複数の成分の配合比を変更可能であってもよい。また、制御部は、変更部を制御して、複数の成分の配合比を変更することにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。このよに、薬液における複数の成分の配合比を変更することにより、エッチングレートを変更することが可能である。
【0126】
変更部(一例として、ヒータ44、図示しない冷却部)は、薬液の温度を変更可能であってもよい。この場合、制御部は、変更部を制御して、薬液の温度を第1温度から第1温度よりも低い第2温度に変更することにより、エッチングレートを第1エッチングレートから第2エッチングレートに低下させてもよい。このように、薬液の温度を変更することにより、エッチングレートを変更することが可能である。
【0127】
実施形態に係る基板処理装置(一例として、基板処理装置1A)は、第1処理槽(一例として、第1処理槽71)と、第2処理槽(一例として、第2処理槽81)とを備えていてもよい。第1処理槽は、薬液であって、エッチングレートが第1エッチングレートである第1薬液を貯留する。第2処理槽は、薬液であって、エッチングレートが第2エッチングレートである第2薬液を貯留する。また、供給部は、第1薬液供給部と、第2薬液供給部とを備えていてもよい。第1薬液供給部は、第1薬液を第1処理槽に供給する。第2薬液供給部は、第2薬液を前記第2処理槽に供給する。この場合、変更部は、基板を第1処理槽から第2処理槽へ移動させる移動機構(一例として、搬送装置90)であってもよい。これにより、たとえば、液交換を行うことなく、基板に対して第1エッチング処理および第2エッチング処理を行うことができる。
【0128】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
W ウェハ
1 基板処理装置
10 処理槽
11 内槽
12 外槽
20 基板保持部
30 薬液供給部
31 薬液供給源
40 循環部
50 個別供給部
51a 水供給源
51b リン酸供給源
51c 酢酸供給源
51d 硝酸供給源
60 制御装置
61 制御部
62 記憶部
100 ポリシリコン膜
101 タングステン膜
102 窒化チタン膜
103 シリコン酸化膜
図1
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