(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】神経変性を検出するためのアッセイ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20231208BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20231208BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20231208BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20231208BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
G01N33/53 D ZNA
C07K16/18
G01N30/88 J
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C07K14/47
(21)【出願番号】P 2020546103
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 IB2019051747
(87)【国際公開番号】W WO2019171258
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コルブ,ハートマス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】トリアナ-バルツァー,ガレン
(72)【発明者】
【氏名】スレモン,ジョン ランダール
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500879(JP,A)
【文献】国際公開第2014/011972(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/191561(WO,A1)
【文献】A Validated Antibody Panel for the Characterization of Tau Post-Translational Modifications,Molecular Neurodegeneration,2017年,Vol.12,Article Number 87 (1-19),https://doi.org/10.1186/s13024-017-0229-1
【文献】高島 明彦,認知症とタウ蛋白との関係,埼玉医科大学雑誌,2017年,第43巻, 第2号,134-141頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
C07K 16/18
C07K 14/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のp217+タウペプチドを測定する方法であって、
(i)前記サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中の前記p217+タウペプチドを捕捉することであって、前記捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むことと、
(ii)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体及びタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有するエピトープに対する第2の検出抗体のうちの少なくとも1つと接触させて、それぞれ、前記p217+タウペプチドの量及びロングp217+タウペプチドの量のうちの少なくとも1つを測定することと、を含み、
前記アミノ酸の付番が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法。
【請求項2】
前記捕捉されたp217+タウペプチドを前記第1の検出抗体及び前記第2の検出抗体と接触させて、それぞれ前記p217+タウペプチドの量及び前記ロングp217+タウペプチドの量を測定するこ
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロングp217+タウペプチドの量の前記p217+タウペプチドの量に対する比を求めることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介して、ショートp217+タウペプチドの量を求めるこ
とを更に含む、請求項2
または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ショートp217+タウペプチドの量の前記p217+タウペプチドの量に対する比、又は前記ロングp217+タウペプチドの量の前記ショートp217+タウペプチドの量に対する比を求めることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
サンプル中のp217+タウペプチドを測定する方法であって、
(i)前記サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、前記サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中の総タウペプチドを捕捉することであって、前記捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むことと、
(ii)
a.前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを、前記第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定し、前記p217+タウペプチドの量の前記総タウペプチドの量に対する比を求めること、及び
b.前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、前記捕捉された総タウペプチドを、前記第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定し、前記ロングp217+タウペプチドの量の前記総ロングタウペプチドの量に対する比を求めること、
のうちの少なくとも1つを実行することと、を含み、
前記アミノ酸の付番が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法。
【請求項7】
前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることと、前記総タウペプチドの量から前記総ロングタウペプチドの量を差し引くことを介して総ショートタウペプチドの量を求めることと、前記ショートp217+タウペプチドの量の前記総ショートタウペプチドの量に対する比を求めることと、を更に含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが、対象由来の血液、脳ホモジネート、又は脳脊髄液(CSF)からなる群から選択される前記対象由来の生体サンプルである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生体サンプルが血液である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体サンプルがCSFである、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記生体サンプルが、逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して分画されている、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記対象由来の前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つを、対応するベースライン値と比較すること、をさらに含む、請求項
4、5または
7に記載の方法。
【請求項13】
対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすること、を含む、請求項1
2に記載の方法であって、前記方法が、
(i)生体サンプルを、前記抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する第1のサンプル、及び前記抗p217+タウ抗体に結合しているp217+タウペプチドを含有する第2のサンプルに分離することであって、前記生体サンプルは、対象由来のものであることと、
(ii)前記第2のサンプルを分離して、抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する第3のサンプルを得ることと、
(iii)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、
(iv)(a)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1
つを実行することと、
(v)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、前記抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすること、を含む、請求項1
2に記載の方法であって、前記方法が、
(i)総p217+タウペプチドを含有する生体サンプルから半変性サンプルを得ることであって、その際、前記半変性サンプルを加熱して前記サンプル中の前記抗体を変性させる、こと、及び前記抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する生体サンプルから非変性サンプルを得ることであって、前記生体サンプルは、対象由来のものであることと、
(ii)前記半変性サンプル及び前記非変性サンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、
(iii)(a)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1
つを実行することと、
(iv)前記サンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、前記抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることをさらに含む、請求項15に記載の方法。、
【請求項17】
前記捕捉抗体がビーズにコンジュゲートされており、前記検出抗体がビオチン化されている、請求項1~1
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法の定量下限が、約40fg/mLの前記p217+タウペプチドであり、前記方法の検出下限が、約2fg/mLの前記p217+タウペプチドである、請求項1~1
7のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する、請求項1~1
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の検出抗体が、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~1
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の検出抗体が、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
キットであって、
a.p217+タウエピトープに対する捕捉抗
体であって、前記捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、捕捉抗体と、
b.タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むタウタンパク質エピトープに対する少なくとも1つの検出抗体と、を含む、キット。
【請求項23】
前記捕捉抗体は、タウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体である、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する、請求項
22に記載のキット。
【請求項25】
a.前記第1の検出抗体が、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b.前記第2の検出抗体が、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項
22~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記リン酸化非依存性捕捉抗体が、タウタンパク質のアミノ酸159~163を含むタウエピトープに対するものである、請求項
6に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のサンプルが、rpHPLCを介して分離される、請求項1
3に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の検出抗体が、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項29】
前記検出抗体が、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項30】
前記リン酸化非依存性捕捉抗体が、タウタンパク質のアミノ酸159~163を含むタウエピトープに対するものである、請求項
24に記載のキット。
【請求項31】
前記第1の検出抗体が、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項
25に記載のキット。
【請求項32】
前記検出抗体が、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項
25に記載のキット。
【請求項33】
前記サンプルが対象から得られた生体サンプルであり;かつ、
a.対応するベースライン値よりも有意に高い、生体サンプル中の前記p217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、または、ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が、対象がタウオパチーに罹患している又はタウオパチーを発症するリスクがあることを示す、 b.対応するベースライン値よりも有意に高い、生体サンプル中のp217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は当該ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が、当該対象が抗p217+タウ抗体療法に適していることを示す、又は
c.治療の過程にわたって減少する、生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量が、対象におけるタウオパチーの治療の有効性を示す
、請求項1
2に記載の方法。
【請求項34】
前記タウオパチーが、家族性アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、慢性外傷性脳症、及び拳闘家認知症(ボクサー病)からなる群から選択される、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病である、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性を検出するための組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、生体サンプル中の単一又は多重リン酸化p217+タウタンパク質種の量を測定する方法、及びその使用、並びに当該方法で使用するための抗体及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、徐々に激しい精神機能低下を導き、最終的には死に至らしめる、記憶、認知、論理的思考、判断力、及び情動安定性の進行性喪失を臨床的特徴とする、退行性脳障害である。ADは、高齢者の進行性精神機能不全(認知症)の非常に一般的な原因であり、米国では4番目に多い医学的死亡原因を表すと考えられている。ADは、世界中の民族で観察され、現在及び未来の、主たる公衆の健康上の問題を提示する。
【0003】
AD個体の脳は、老人性(又はアミロイド)斑、アミロイド血管症(血管におけるアミロイド沈着)及び神経原線維変化と呼ばれる特徴的な病変を呈する。これら病変の大多数、特にアミロイド斑及び対らせん状細線維の神経原線維変化は、一般にAD患者の記憶及び認知機能に重要なヒトの脳のいくつかの領域でみられる。
【0004】
神経原線維変化は主に、高リン酸化タウタンパク質の凝集体で構成される。タウの主な生理学的機能は、微小管の重合及び安定化である。タウの微小管への結合は、タウの微小管結合領域における正電荷と、微小管格子における負電荷とのイオン性相互作用により発生する(Butner and Kirschner,J Cell Biol.115(3):717-30,1991)。タウタンパク質は、85個の可能なリン酸化部位を含有し、これらの部位の多くにおけるリン酸化が、タウの一次機能を妨げる。軸索の微小管格子に結合しているタウは、低リン酸化状態にあるが、ADにおける凝集したタウは高リン酸化状態にあり、タウの生理学的に活性なプールとは異なる独自のエピトープをもたらす(Iqbal et al.,Curr Alzheimer Res.7(8):656-664,2010)。
【0005】
AD脳におけるタウオパチーの進行は、異なる拡大パターンに従う。ヒトの脳におけるタウオパチー進行のBraakステージ及び前臨床タウモデルにおけるタウ凝集体注射後のタウオパチーの拡大に基づいて、タウオパチーの伝播及び拡大仮説が説明されている(Frost et al.,J Biol Chem.284:12845-52,2009;Clavaguera et al.,Nat Cell Biol.11:909-13,2009)。タウオパチーはある脳の領域から次の領域に、プリオンのように拡大し得ると考えられている。この拡大プロセスには、近くのニューロンにより取り込まれることができ、更なるタウオパチーを引き起こし得るタウシードの外在化が伴う。
【0006】
神経原線維変化におけるタウタンパク質の断片は、脳脊髄液(CSF)に移動し、そこで、腰椎穿刺によって採取し、高感度アッセイによって測定することができる。したがって、CSFにおけるタウタンパク質由来の断片を認識するアッセイを使用して、神経疾患の存在を検出することができる。このようなタウアッセイは、神経変性状態に特徴的なタウ種を認識する能力を必要とする。多重リン酸化タウは、AD関連タウタンパク質の主要例である。したがって、CSFにおける多重リン酸化タウタンパク質を検出するアッセイは、ADの存在を検出するのに最も有効であり得る。
【0007】
リン酸化は、タウの測定において考慮される唯一の翻訳後修飾ではない。最近の研究では、CSFにおいて、タウタンパク質は、完全長タンパク質としてではなく主に断片として存在することが実証されている(Meredith et al.PLoS One.8(10):e76523,2013)。更に、病的状態ではタンパク質分解が異常であることが多いので、タウ断片化パターンは、疾患によって影響され得る。したがって、神経変性についてのタウベースのアッセイは、リン酸化状態(例えばリン酸化部位)のみならず、測定されるタウ断片の性質(例えば、タウ断片の長さ、極性)に関する情報も提供する必要がある。しかしながら、この概念の橋渡し(translation)は、特に健常対象由来のサンプルにおいて、リン酸化タウの内因性レベルが低いことによって妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要約すると、生物学的流体中の多重リン酸化タウを検出するための高感度、高精度、かつ正確な方法が依然として必要とされている。このような方法は、AD及び他のタウオパチーなどの神経変性疾患の疾患進行を有効に検出、診断、ステージ分類、及び追跡するのに有用であろう。当該方法はまた、総、遊離、及び治療用抗体に結合している多重リン酸化タウのレベルを測定するための薬力学的マーカーとしても有用であろう。多重リン酸化タウ断片を検出及び測定する能力は、伝播性タウ種が1つ以上のタウ断片であり得るため、当該分野にとって更に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、神経変性疾患に関連するCSF中のタウの形態を検出する必要性を満たす。本発明は、単一又は多重リン酸化タウの検出、並びにタウ断片の検出を可能にする。
【0010】
本発明の実施形態による高感度酵素結合免疫測定法(ELISA)を開発し、(212)R(pT)PSLPTPPTR(配列番号25)、(217)RTPSLP(pT)PPTR(配列番号26)、又は(212及び217)R(pT)PSLP(pT)PPTR(配列番号27)の配列を有するリン酸化残基T212及び/又はT217を含むリン酸化タウエピトープを含むp217+タウ(「p217+タウエピトープ」又は「pT3エピトープ」)の測定について認定した。
【0011】
本発明の実施形態によるアッセイは、CSF、間質液(ISF)、脳ホモジネート、血清、血漿、及びこれらの変性又は富化型を含むがこれらに限定されない、様々な流体マトリックス中のp217+タウ種を測定することができる。本発明の実施形態によるアッセイは、捕捉抗体としてタウのpT3エピトープに対する第1のモノクローナル抗体、及び検出抗体としてタウの第2のエピトープに対する第2のモノクローナル抗体を使用する。アッセイは、高感度、高精度、正確、ラボ間で移転可能、希釈線形性、かつ多くのサンプルタイプに適用可能である。未加工の生物学的流体中のp217+タウ種の測定に加えて、アッセイを使用して、変性している若しくは変性していないサンプルを測定することができ、又は免疫沈降の後に、遊離p217+タウ又は内因性の若しくは治療的に投与された抗体に結合しているp217+タウの量を定量するための2つの補完的な技術を使用することができる。アッセイを、逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)と並行して使用して、分画されたCSFを測定することによって、p217+タウの断片プロファイルの分析が可能になる。
【0012】
一般的な一態様では、本発明は、サンプル中のp217+タウペプチドの量を測定する方法に関する。方法は、(i)サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126、例えばアミノ酸残基116~127を含むエピトープ、又はタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有するエピトープに対する検出抗体と接触させて、それぞれ、p217+タウペプチドの量又はロングp217+タウペプチドの量を測定することと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。
【0013】
具体的な一態様では、本発明は、サンプル中のロングp217+タウペプチド又はショートp217タウペプチド断片の相対量を求める方法に関する。方法は、(i)サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定することと、(iii)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定することと、(iv)当該p217+タウペプチドの量及び当該ロングp217+タウペプチドの量に基づいてロングp217+タウペプチド又はショートp217+タウペプチドの相対量を求めることと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。
【0014】
本発明の一実施形態では、サンプル中のショートp217+タウペプチドの量は、例えば、p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって、サンプル中のp217+タウペプチドの量及びロングp217+タウペプチドの量に基づいて計算される。別の実施形態では、ショートp217+タウペプチドの量とp217+タウペプチドの量との比、ロングp217+タウペプチドの量とp217+タウペプチドの量との比、又はロングp217+タウペプチドの量とショートp217+タウペプチドの量との比は、サンプル中のp217+タウペプチドの量及びロングp217+タウペプチドの量に基づいて求められる。本発明の実施形態によれば、サンプル中のp217+タウペプチドの量及び/又はロングp217+タウペプチドの量、並びにショートp217+タウペプチドの計算された量及び上記比のうちの1つ以上などの、測定された量に基づく情報を、1つ以上の診断目的のために使用することができる。
【0015】
したがって、具体的な一態様では、本発明は、サンプル中のp217+タウペプチドの総タウペプチドに対する比を求める方法に関する。方法は、(i)サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、当該サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)p217+タウペプチドの量の総タウペプチドの量に対する比、又はロングp217+タウペプチドの量の総ロングタウペプチドの量に対する比を求めることと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、ショートp217+タウペプチドの量は、p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって計算され、総ショートタウペプチドの量は、総タウペプチドの量から総ロングタウペプチドの量を差し引くことによって計算され、ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が求められる。
【0016】
具体的な態様によれば、本発明の方法は、(i)対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)p217+タウペプチドの量、ロングp217+タウペプチドの量、p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られるショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定することと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための治療薬を対象に投与すること、を更に含む。
【0017】
具体的な態様によれば、本発明の方法は、(i)対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、当該サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)(a)p217+タウペプチドの量の総タウペプチドの量に対する比、(b)ロングp217+タウペプチドの量の総ロングタウペプチドの量に対する比、及び(c)ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定することと、を含み、当該ショートp217+タウペプチドの量は、当該p217+タウペプチドの量から当該ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該総ショートタウペプチドの量は、当該総タウペプチドの量から当該総ショートタウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための治療薬を対象に投与すること、を更に含む。
【0018】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法は、(i)治療中の対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)p217+タウペプチドの量、ロングp217+タウペプチドの量、当該p217+タウペプチドの量から当該ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られるショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象における当該治療の有効性を判定することと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための治療薬を対象に投与すること、を更に含む。
【0019】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法は、(i)治療中の対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、当該サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)(a)p217+タウペプチドの量の総タウペプチドの量に対する比、(b)ロングp217+タウペプチドの量の総ロングタウペプチドの量に対する比、及び(c)ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象における当該治療の有効性を判定することと、を含み、当該ショートp217+タウペプチドの量は、当該p217+タウペプチドの量から当該ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該総ショートタウペプチドの量は、当該総タウペプチドの量から当該総ショートタウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための治療薬を対象に投与すること、を更に含む。
【0020】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法は、(i)対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)当該p217+タウペプチドの量、当該ロングp217+タウペプチドの量、当該p217+タウペプチドの量から当該ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られるショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象が抗p217+タウ抗体に適しているかどうかを判定することと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための抗p217+タウ抗体を対象に投与すること、を更に含む。
【0021】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法は、(i)対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、当該サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定すること;及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを当該第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(iii)(a)当該p217+タウペプチドの量の当該総タウペプチドの量に対する比、(b)当該ロングp217+タウペプチドの量の当該総ロングタウペプチドの量に対する比、及び(c)ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比のうちの少なくとも1つに基づいて、当該対象が抗p217+タウ抗体療法に適しているかどうかを判定することと、を含み、当該ショートp217+タウペプチドの量は、当該p217+タウペプチドの量から当該ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該総ショートタウペプチドの量は、当該総タウペプチドの量から当該総ショートタウペプチドの量を差し引くことによって得られ、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための抗p217+タウ抗体を対象に投与すること、を更に含む。
【0022】
別の具体的な態様では、本発明は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、(i)当該対象から生体サンプルを得ることと、(ii)当該生体サンプルを、好ましくはIgG由来の抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウを含有する第1のサンプル、及び抗p217+タウ抗体に結合しているp217+タウペプチドを含有する第2のサンプルに分離することと、(iii)好ましくはrpHPLCを介して、当該第2のサンプルから抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウを含有する第3のサンプルを得ることと、(iv)当該第1のサンプル及び当該第3のサンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、(v)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、(vi)当該サンプルのそれぞれにおける当該p217+タウペプチドの量及び当該ロングp217+タウペプチドの量のうちの少なくとも1つに基づいて、当該抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法に関する。例えば、抗p217+タウ抗体による治療は、第1のサンプル中のロングp217+タウペプチドの量の第3のサンプル中のロングp217+タウペプチドの量に対する比、第1のサンプル中のp217+タウペプチドの量の第3のサンプル中のp217+タウペプチドの量に対する比、又は第1のサンプル中のショートp217+タウペプチドの量(p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって計算することができる)の第3のサンプル中のショートp217+タウペプチドの量に対する比に基づいてモニタリングすることができる。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための抗p217+タウ抗体を対象に投与すること、を更に含む。
【0023】
別の一般的な態様では、本発明は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、(i)当該対象から生体サンプルを得ることと、(ii)総p217+タウを含有する生体サンプルから半変性サンプルを得ることであって、その際、当該半変性サンプルを加熱して当該サンプル中の当該抗体を変性させる、こと、及び抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウを含有する生体サンプルから非変性サンプルを得ることと、(iii)当該半変性サンプル及び当該非変性サンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、(v)(a)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、vi)当該サンプルのそれぞれにおける当該p217+タウペプチドの量及び当該ロングp217+タウペプチドの量のうちの少なくとも1つに基づいて、当該抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含み、当該アミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法に関する。例えば、抗p217+タウ抗体による治療は、半変性サンプル中のロングp217+タウペプチドの量の非変性サンプル中のロングp217+タウペプチドの量に対する比、半変性サンプル中のp217+タウペプチドの量の非変性サンプル中のp217+タウペプチドの量に対する比、又は半変性サンプル中のショートp217+タウペプチドの量(p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって計算することができる)の非変性サンプル中のショートp217+タウペプチドの量に対する比に基づいてモニタリングすることができる。一実施形態では、方法は、タウオパチーを治療又は予防するための抗p217+タウ抗体を対象に投与すること、を更に含む。
【0024】
具体的な態様によれば、タウオパチーとしては、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、慢性外傷性脳症、及び拳闘家認知症(ボクサー病)からなる群から選択される1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
好ましくは、タウオパチーは、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)、FTDP-17、又は進行性核上麻痺である。
【0026】
最も好ましくは、タウオパチーは、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)である。
【0027】
具体的な態様によれば、本発明の方法の定量下限は、約40fg/mLのp217+タウペプチドであり、本発明の方法の検出下限は、約2fg/mLのp217+タウペプチドである。
【0028】
具体的な態様によれば、サンプルは、それを必要としている対象由来の血液、脳ホモジネート、又は脳脊髄液(CSF)サンプルなどの生体サンプルである。好ましくは、生体サンプルは、タウオパチーの診断、タウオパチー治療の有効性のモニタリング、又は抗p217+タウ抗体療法に対する適合性の判定を必要としている対象由来のCSFサンプルである。
【0029】
具体的な態様によれば、本発明の方法に有用な捕捉抗体は、p217+タウエピトープ、好ましくは、配列番号25、26、又は27のアミノ酸配列を含有するp217+タウエピトープに対する。一実施形態では、本発明の方法に有用な捕捉抗体は、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、捕捉抗体は、配列番号28又は30のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29又は31のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する。
【0030】
具体的な態様によれば、本発明の方法に有用な検出抗体は、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープ、好ましくは配列番号11のアミノ酸配列などの配列番号10のアミノ酸配列を含むエピトープに対する。一実施形態では、本発明の方法に有用な検出抗体は、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT82抗体である。
【0031】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法に有用な検出抗体は、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有するエピトープ、好ましくは配列番号20のアミノ酸配列を有するエピトープに対する。一実施形態では、本発明の方法に有用な検出抗体は、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むhT43抗体である。
【0032】
別の具体的な態様によれば、本発明に有用なリン酸化非依存性捕捉抗体は、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくは、タウタンパク質のアミノ酸211~221を含むエピトープ、又はタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープ、より好ましくは配列番号21のアミノ酸配列を有するエピトープに対する。一実施形態では、本発明に有用なリン酸化非依存性捕捉抗体は、hT7抗体である。
【0033】
具体的な別の態様によれば、本発明の方法で使用されるサンプルは、逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して生体サンプルを分画した後に得られる。
【0034】
別の一般的な態様では、本発明は、(a)それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに(b)それぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片に関する。具体的な態様によれば、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、hT43抗体である。
【0035】
別の一般的な態様では、本発明は、(a)p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と、(b)タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むタウタンパク質エピトープに対する検出抗体と、を含む、キットに関する。任意選択で、キットは、タウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体を更に含む。キットは、例えば、サンプル中のp217+タウペプチドの量、ロングp217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比などを測定するために使用することができる。キットはまた、様々な診断又はモニタリング目的のため、例えば、対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定するため、タウオパチーに対する治療、例えば、抗p217+タウ抗体による治療の有効性をモニタリングして、対象が抗p217+タウ抗体に適しているかどうかを判定するためのものであってもよい。
【0036】
具体的な態様によれば、本発明のキットは、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する捕捉抗体を含む。好ましくは、捕捉抗体は、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する。
【0037】
具体的な別の態様によれば、本発明のキットは、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する検出抗体を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT82抗体である。
【0038】
具体的な別の態様によれば、本発明のキットは、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む検出抗体を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むhT43抗体である。
【0039】
本発明の他の態様、特徴、及び利点は、発明の詳細な説明、並びにその好ましい実施形態及び添付の特許請求の範囲を含む以下の開示より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される実施形態そのものに限定されない点は理解されるべきである。
【
図1】較正ペプチドを使用して作成されたpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの代表的な標準曲線を示し、デュープリケートの測定値の平均±SDを各点に示す。
【
図2A】(A、C、及びE)希釈補正されたpg/mLで又は(B及びD)1:4測定値の希釈補正された%として示される測定値を用いたCSFサンプルにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの希釈線形性を示し、破線は1:4測定値の±20%を示す。
【
図2B】(A、C、及びE)希釈補正されたpg/mLで又は(B及びD)1:4測定値の希釈補正された%として示される測定値を用いたCSFサンプルにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの希釈線形性を示し、破線は1:4測定値の±20%を示す。
【
図2C】(A、C、及びE)希釈補正されたpg/mLで又は(B及びD)1:4測定値の希釈補正された%として示される測定値を用いたCSFサンプルにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの希釈線形性を示し、破線は1:4測定値の±20%を示す。
【
図2D】(A、C、及びE)希釈補正されたpg/mLで又は(B及びD)1:4測定値の希釈補正された%として示される測定値を用いたCSFサンプルにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの希釈線形性を示し、破線は1:4測定値の±20%を示す。
【
図2E】(A、C、及びE)希釈補正されたpg/mLで又は(B及びD)1:4測定値の希釈補正された%として示される測定値を用いたCSFサンプルにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの希釈線形性を示し、破線は1:4測定値の±20%を示す。
【
図3】(A)pT3xhT43及び(B)pT3xpT82アッセイの試験内及び試験間の精度を示す。
【
図4A】シグナル/ノイズ(S/N)としてグラフ化されたデータを用いたpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの試験施設間の精度を示す。
【
図4B】シグナル/ノイズ(S/N)としてグラフ化されたデータを用いたpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの試験施設間の精度を示す。
【
図5A】(A)pT3xhT43及び(B)pT3xpT82アッセイにおける可溶性p217+タウを標的とする抗体によるpT3ベースのアッセイのシグナルの競合を示す。
【
図5B】(A)pT3xhT43及び(B)pT3xpT82アッセイにおける可溶性p217+タウを標的とする抗体によるpT3ベースのアッセイのシグナルの競合を示す。
【
図6】pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイのリン酸化依存性を示す。
【
図7】pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイを使用して測定されたAD CSFのp217+タウ断片プロファイルを示し、データをシグナルマイナスノイズとしてグラフ化する。
【
図8A】(A)pT3xhT43及び(B)hT7xpT82アッセイを用いたAD CSFサンプル中のp217+タウシグナルの温度及び凍結解凍安定性を示す。
【
図8B】(A)pT3xhT43及び(B)hT7xpT82アッセイを用いたAD CSFサンプル中のp217+タウシグナルの温度及び凍結解凍安定性を示す。
【
図9】-70℃で保存した後のCSFサンプル中のp217+タウシグナルの長期安定性を示す。シグナルの変化は検出されなかった。
【
図10A】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図10B】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図10C】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図10D】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図10E】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図10F】(A~C)pT3xhT43及び(D~F)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、p217+タウと、古典的なADバイオマーカーAβ42、tタウ(総タウ)、及びpタウ181との間の相関を示す。
【
図11A】(A)pT3xhT43及び(B)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、脳生検IHC分析とp217+タウとの間の相関を示す。
【
図11B】(A)pT3xhT43及び(B)pT3xpT82アッセイによって測定したときの、脳生検IHC分析とp217+タウとの間の相関を示す。
【
図12A】AD患者及びHV患者由来の粗CSFの(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、(C)hT7xpT82、及び(D)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示す。
【
図12B】AD患者及びHV患者由来の粗CSFの(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、(C)hT7xpT82、及び(D)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示す。
【
図12C】AD患者及びHV患者由来の粗CSFの(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、(C)hT7xpT82、及び(D)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示す。
【
図12D】AD患者及びHV患者由来の粗CSFの(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、(C)hT7xpT82、及び(D)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示す。
【
図13】AD対象とHV対象とを区別する際のpT3xhT43(「343」)、pT3xpT82(「382」)、及びhT7xpT82(「782」)アッセイの予測力を示す。
【
図14A】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図14B】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図14C】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図14D】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図14E】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図14F】(A、C、E)AD対象及び(B、D、F)HV対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A、B)pT3xhT43(「343」)、(C、D)pT3xpT82(「382」)、及び(E、F)hT7xpT82(「782」)アッセイからのシグナルを示す。
【
図15A】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15B】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15C】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15D】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15E】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15F】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15G】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15H】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15I】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15J】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15K】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15L】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15M】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15N】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図15O】CDR0対象及びCDR0.5対象由来のCSFのrp-HPLC画分に対して実行した(A~E)pT3xhT43、(F~J)pT3xpT82、及び(K~O)hT7xpT82アッセイからのシグナルを示す。
【
図16A】MMSEスコアと比較した、CSFのrp-HPLC画分の(A)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析(pタウショート)又はpT3xhT43対hT7xpT82の比の分析(pタウロング)、及び(B)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示し、全て、CDR0対象及びCDR1対象の盲検コホート由来である。
【
図16B】MMSEスコアと比較した、CSFのrp-HPLC画分の(A)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析(pタウショート)又はpT3xhT43対hT7xpT82の比の分析(pタウロング)、及び(B)pT3xpT82対hT7xpT82の比の分析の結果を示し、全て、CDR0対象及びCDR1対象の盲検コホート由来である。
【
図17A】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17B】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17C】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17D】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17E】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17F】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17G】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17H】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17I】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17J】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17K】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17L】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17M】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17N】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17O】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17P】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17Q】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17R】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17S】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図17T】粗CSFにおける(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82,及び(C)hT7xpT82分析、(D)粗CSFにおける2回のpT3アッセイの相関、(E)粗CSFにおけるpT3xpT82対hT7xpT82の相関、(F)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest tタウの相関、(G)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest pタウ181の相関、(H)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42の相関、(I)粗CSFにおけるpT3xhT43対Innotest AB42/40比の相関;(J、M、Q)全てのrp-HPLC画分、(K、N、R)全ての画分の合計、(O、S)早期ピーク画分の合計(ショートタウ断片)、又は(L、P、T)後期ピーク画分の合計(より大きなタウ断片)における、(J~I)pT3xhT43シグナル、(M~P)pT3xpT82シグナル、又は(Q~T)hT7xpT82シグナルの結果を示し、全て、HV対象、MCI対象、及びAD対象のコホート由来である。
【
図18A】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18B】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18C】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18D】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18E】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18F】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18G】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
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図18H】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18I】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18J】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
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図18K】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
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図18L】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
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図18M】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18N】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18O】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図18P】(A)pT3xpT82(p217+ショート)対pT3xhT43(p217+ロング)、(B)pT3xpT82対hT7xpT82(tタウショート)、(C)pT3xpT82対NFL、及び(D)pT3xhT43、又は(E)pT3xpT82対アミロイド状態、並びに(F~I、N~P)pT3xhT43又は(J~M)pT3xpT82の(F~M)様々な認知スコア又は(N~P)78週間にわたるこれらスコアの変化との相関の結果を示し、全て、軽度~中等度のAD対象に対するJanssen研究ELN115727301/302からの235人の対象のコホート由来である(そのうち90人を78週間経過観察した)。対象は、認知に基づいて最初に登録(及びADとして分類)されたが、生化学的評価(AB40及びAB42)の際、対象のうち27人がアミロイド陰性であり、したがって、ADが原因ではない認知症を表す可能性が高いと判定された。これらの対象は、上記の図において別個のコホートとして分析され、アミロイド陰性=0と命名され、一方アミロイド陽性対象=1と命名された。
【
図19】IgG、pT3 mAb、ヒト化pT3 mAb、又はモック対照でスパイクし(spiked)、続いて、免疫沈降を行って、抗体に結合しているp217+タウを回収した、AD CSFサンプルのrp-HPLC画分に対して実施したpT3xhT43アッセイからのシグナルを示す。
【
図20A】(A)抗体を含まない及び(B)抗体に結合しているp217+タウを定量するための免疫捕捉/rpHPLC方法の抗体用量依存性を示し、データは、rpHPLC画分12~16におけるシグナルの合計としてグラフ化する。
【
図20B】(A)抗体を含まない及び(B)抗体に結合しているp217+タウを定量するための免疫捕捉/rpHPLC方法の抗体用量依存性を示し、データは、rpHPLC画分12~16におけるシグナルの合計としてグラフ化する。
【
図21A】熱によって変性させた(A、C)又はさせていない(B)、抗体対p217+タウの損傷の差分動力学(differential kinetics)を示す。(A)ヒト化PT3 mAb/CSF混合物;(B)未処理のCSF;(C)ヒト化PT3 mAbである。
【
図21B】熱によって変性させた(A、C)又はさせていない(B)、抗体対p217+タウの損傷の差分動力学(differential kinetics)を示す。(A)ヒト化PT3 mAb/CSF混合物;(B)未処理のCSF;(C)ヒト化PT3 mAbである。
【
図21C】熱によって変性させた(A、C)又はさせていない(B)、抗体対p217+タウの損傷の差分動力学(differential kinetics)を示す。(A)ヒト化PT3 mAb/CSF混合物;(B)未処理のCSF;(C)ヒト化PT3 mAbである。
【
図22A】抗体を含まない対抗体に結合しているp217+タウを定量するための(A)熱による変性、及び(B)免疫捕捉/rpHPLC方法を示し;(C)方法の比較を示す。
【
図22B】抗体を含まない対抗体に結合しているp217+タウを定量するための(A)熱による変性、及び(B)免疫捕捉/rpHPLC方法を示し;(C)方法の比較を示す。
【
図22C】抗体を含まない対抗体に結合しているp217+タウを定量するための(A)熱による変性、及び(B)免疫捕捉/rpHPLC方法を示し;(C)方法の比較を示す。
【
図23】カニクイザルCSFにおけるp217+タウのpT3ベースのアッセイ認識の欠如を示す。
【
図24A】(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、及び(C)hT7xpT82アッセイを使用して求められたマーモセットCSFにおけるp217+タウの測定値を示す。
【
図24B】(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、及び(C)hT7xpT82アッセイを使用して求められたマーモセットCSFにおけるp217+タウの測定値を示す。
【
図24C】(A)pT3xhT43、(B)pT3xpT82、及び(C)hT7xpT82アッセイを使用して求められたマーモセットCSFにおけるp217+タウの測定値を示す。
【
図25A】4人のAD対象及び4人のHV対象由来の粗血清中の(A、B)hT7xpT82(tタウ)又は(C、D)pT3xpT82(p217+タウ)の測定値を示す。測定は、(A、C)1:4又は(B、D)1:16希釈で行われ、希釈線形性及び感度の欠如に留意されたい。
【
図25B】4人のAD対象及び4人のHV対象由来の粗血清中の(A、B)hT7xpT82(tタウ)又は(C、D)pT3xpT82(p217+タウ)の測定値を示す。測定は、(A、C)1:4又は(B、D)1:16希釈で行われ、希釈線形性及び感度の欠如に留意されたい。
【
図25C】4人のAD対象及び4人のHV対象由来の粗血清中の(A、B)hT7xpT82(tタウ)又は(C、D)pT3xpT82(p217+タウ)の測定値を示す。測定は、(A、C)1:4又は(B、D)1:16希釈で行われ、希釈線形性及び感度の欠如に留意されたい。
【
図25D】4人のAD対象及び4人のHV対象由来の粗血清中の(A、B)hT7xpT82(tタウ)又は(C、D)pT3xpT82(p217+タウ)の測定値を示す。測定は、(A、C)1:4又は(B、D)1:16希釈で行われ、希釈線形性及び感度の欠如に留意されたい。
【
図26A】
図25A~25Dで評価したのと同じ4人のAD対象及び4人のHV対象由来の、NaOAcで前処理し、熱変性させた血清中の(A)hT7xpT82(tタウ)又は(B)pT3xpT82(p217+タウショート)の測定値を示す。
【
図26B】
図25A~25Dで評価したのと同じ4人のAD対象及び4人のHV対象由来の、NaOAcで前処理し、熱変性させた血清中の(A)hT7xpT82(tタウ)又は(B)pT3xpT82(p217+タウショート)の測定値を示す。
【
図27】
図25A~25D及び
図26A~26Bで評価したのと同じ4人のAD対象及び4人のHV対象由来の血清のpT3免疫沈降(IP)におけるpT3xpT82(p217+タウショート)の測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいかなる発明に対しても先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0042】
定義
別の定義がなされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によって恰もその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意すべきである。
【0043】
特に断らない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書で使用する場合、数値範囲の使用は、文脈上そうでない旨が明確に示されない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」又は「免疫グロブリン」は広い意味で用いられ、ポリクローナル抗体を含む免疫グロブリン又は抗体分子、マウス、ヒト、ヒト適合、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体及び抗体断片を含むモノクローナル抗体を含む。
【0045】
一般に抗体とは、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖である。抗体の構造は、公知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。したがって、本発明の抗体は、5つの主要なクラス又は対応する下位クラスのいずれかのものであることができる。本発明の抗体はIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4であることが好ましい。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちκ及びλのうちの一方に割り当てることができる。したがって、本発明の抗体は、κ又はλ軽鎖定常ドメインを含有することができる。特定の実施形態に従うと、本発明の抗体は、マウス抗体又はヒト抗体の重鎖及び/又は軽鎖定常領域を含む。
【0046】
重鎖及び軽鎖定常領域に加えて、抗体は軽鎖及び重鎖可変領域を含有する。免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域は、「抗原結合部位」が割り込んだ「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、以下のとおり様々な用語及び符番スキームを用いて定義される:
(i)Kabat:「相補性決定領域」又は「CDR」は、配列の変動性に基づく(Wu and Kabat,J Exp Med.132:211-50,1970)。一般に、抗原結合部位は、各可変領域に3つのCDR(例えば、重鎖可変領域(VH)にHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域(VL)にLCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を有する。
(ii)Chothia:用語「超可変領域」、「HVR」は、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk,J Mol Biol.196:901-17,1987)により定義されているように、構造中の超可変性である抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗原結合部位は、各VH(H1、H2、H3)及びVL(L1、L2、L3)に3つの超可変領域を有する。符番システム、並びにCDR及びHVRのアノテーションは、Abhinandan及びMartin(Abhinandan and Martin,Mol Immunol.45:3832-9,2008)により改訂されている。
(iii)IMGT:抗原結合部位を形成する領域の別の定義が、免疫グロブリン及びT細胞受容体由来のVドメインの比較に基づいて、Lefranc(Lefranc et al.,Dev Comp Immunol.27:55-77,2003)によって提案されている。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、これら領域についての標準化された付番及び定義を提供する。CDR、HVR、及びIMGTの記述間の対応については、Lefranc et al.,2003,同上に記載されている。
(iv)抗原結合部位はまた、「特異性決定残基の使用」(SDRU)(Almagro,Mol Recognit.17:132-43,2004)に基づいて記述することもでき、この場合、SDRは、抗原接触に直接関与する免疫グロブリンのアミノ酸残基を指す。
【0047】
「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、抗原結合部位の配列であると定義されるもの以外の、抗体の可変領域内の残りの配列である。抗原結合部位の正確な定義は、上述したような様々な描写により決定され得るため、正確なフレームワーク配列は、抗原結合部位の定義に依存する。フレームワーク領域(FR)は、より高度に保存された可変ドメインの部分である。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、3つの超可変ループにより接続された、βシート構成を一般的に用いる4つのFR(それぞれFR1、FR2、FR3、及びFR4)を含む。各鎖の超可変ループはFRにより互いに緊密に折りたたまれ、他の鎖の超可変ループと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。抗体の構造分析により、相補性決定領域により形成される、配列と結合部位の形状との関係が明らかとなった(Chothia et al.,J.Mol.Biol.227:799-817,1992;Tramontano et al.,J.Mol.Biol.215:175-182,1990)。これらの高い配列変動性にもかかわらず、6つのループのうち5つだけが、「標準構造」と言われる、小さなレパートリーの主鎖構造を採用する。これらの構造はまず、ループの長さにより決定され、次に、折りたたみ、水素結合、又は異常な主鎖構造を推定する能力により構造が決定される、ループ及びフレームワーク領域の特定の位置における鍵となる残基の存在により決定される。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「抗原結合断片」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、単鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部分から形成される多重特異的抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体断片などの抗体断片を指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片が結合する同じ抗原に結合することができる。特定の実施形態に従うと、抗原結合断片は、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、及び重鎖の定常領域のFdセグメントを含む。他の特定の実施形態に従うと、抗原結合断片はFab及びF(ab’)を含む。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」とは、免疫グロブリン、抗体又はその抗原結合断片が特異的に結合する、抗原上の部位を意味する。エピトープは、タンパク質の三次折りたたみにより並置された連続アミノ酸から、又は非連続アミノ酸からの両方で形成することができる。連続アミノ酸から形成したエピトープは、典型的には、変性溶媒にさらして保持されるが、三次折りたたみにより形成したエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理で喪失される。エピトープは、典型的には、独自な空間構造の中に、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸を含む。エピトープの空間構造を決定する方法としては、例えば、x線結晶構造解析、及び2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照のこと。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「タウ」又は「タウタンパク質」とは、複数のアイソフォームを有する、多くある中枢神経系及び末梢神経系のタンパク質を意味する。ヒト中枢神経系(CNS)では、選択的スプライシングにより、352~441アミノ酸長のサイズ範囲の6つの主要なタウアイソフォームが存在する(Hanger et al.,Trends Mol Med.15:112-9,2009)。これらアイソフォームは、0~2個のN末端挿入及び3又は4個のタンデムに配置された微小管結合反復配列が制御されて含まれることにより互いに異なっており、0N3R、1N3R、2N3R、0N4R、1N4R、及び2N4Rと称される。本明細書で使用するとき、用語「対照タウ」とは、リン酸化及び他の翻訳後修飾されていない、配列番号1のタウアイソフォームを指す。本明細書で使用する場合、用語「タウ」は、完全長野生型タウの変異(例えば点変異、フラグメント、挿入、欠失、及びスプライスバリアント)を含むタンパク質を含む。用語「タウ」はまた、タウアミノ酸配列の翻訳後修飾を包含する。翻訳後修飾としては、リン酸化が挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
別途記載のない限り、本明細書で使用するとき、タウタンパク質又はその断片におけるアミノ酸の付番は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する。
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「p217+タウペプチド」、「p217+タウ」、又は「p217+タウタンパク質」は、タウタンパク質の残基217(pT217)及び残基212(pT212)のうちの一方又は両方でリン酸化されたヒトタウタンパク質又はタウ断片を意味し、位置の付番は配列番号1の付番に従う。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「p217+タウエピトープ」は、リン酸化T217及びリン酸化T212のうちの少なくとも1つを含有するタウエピトープを指し、位置の付番は、配列番号1の付番に従う。p217+タウエピトープの例としては、例えば、pT3エピトープが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「pT3エピトープ」は、ヒトタウのT217及びT212の少なくとも1つの残基でリン酸化されたヒトタウタンパク質のアミノ酸210~220を含有するエピトープを指し、位置の付番は、配列番号1の付番に従う。pT3エピトープの例としては、例えば、配列番号25、26、及び27が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「ロングp217+タウペプチド」、「ロングp217+タウ」、「ロング形態のp217+タウペプチド」、又は「ロングp217+タウペプチド断片」はそれぞれ同じ意味を有し、p217+タウエピトープ及びタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープを含むp217+タウペプチドを指す。本発明の実施形態による「ロングp217+タウペプチド」は、異なる長さを有し得る。例えば、「ロングp217+タウペプチド断片」のアミノ末端は、タウタンパク質のアミノ酸残基1、2、4、5、6、又は7であり得る。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「ショートp217+タウペプチド」、「ショートp217+タウ」、「ショート形態のp217+タウペプチド」、又は「ショートp217+タウペプチド断片」はそれぞれ同じ意味を有し、p217+タウエピトープ及びタウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープを含むが、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープを含有しない、p217+タウペプチドを指す。本発明の実施形態による「ショートp217+タウペプチド」は、異なる長さを有し得る。例えば、「ショートp217+タウペプチド」のアミノ末端は、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープと、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープとの間のアミノ酸残基のいずれであってもよい。
【0056】
本明細書で使用するとき、用語「ロングタウペプチド」、「ロングタウ」、「ロング形態のタウペプチド」、又は「ロングタウペプチド断片」はそれぞれ同じ意味を有し、リン酸化非依存性捕捉抗体によって認識されるタウエピトープと、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープとを含むタウペプチドを指す。本発明の実施形態による「ロングタウペプチド断片」は、異なる長さを有し得る。例えば、「ロングタウペプチド断片」のアミノ末端は、タウタンパク質のアミノ酸残基1、2、4、5、6、又は7であり得る。
【0057】
本明細書で使用するとき、用語「ショートタウペプチド」、「ショートタウ」、「ショート形態のタウペプチド」、又は「ショートタウペプチド断片」はそれぞれ同じ意味を有し、リン酸化非依存性捕捉抗体によって認識されるタウエピトープと、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むが、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープを含有しないエピトープとを含むタウペプチドを指す。本発明の実施形態による「ショートタウペプチド断片」は、異なる長さを有し得る。例えば、「ショートタウペプチド」のアミノ末端は、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープと、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープとの間のアミノ酸残基のいずれであってもよい。
【0058】
本明細書で使用するとき、用語「捕捉抗体」は、目的の抗原に結合し、固体担体に直接又は間接的に結合している抗体を指す。固体担体の例としては、マイクロ粒子又は磁気ビーズなどのビーズが挙げられるが、これらに限定されない。捕捉抗体の例としては、p217+タウエピトープに結合するモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態によれば、捕捉抗体は、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号35、36及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むモノクローナル抗体であり得る。具体的な実施形態では、捕捉抗体は、pT3である。本明細書で使用するとき、用語「pT3」は、p217+タウペプチドに結合し、配列番号28の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号29の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体を指す。一実施形態では、pT3モノクローナル抗体は、マウス-ハイブリドーマによって発現される。別の実施形態では、捕捉抗体は、配列番号30の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号31の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体である。
【0059】
本発明の他の実施形態によれば、捕捉抗体は、リン酸化非依存的にタウタンパク質のアミノ酸150~250、好ましくはヒトタウタンパク質のアミノ酸211~221又はアミノ酸159~163のエピトープに結合するモノクローナル抗体であってよく、位置の付番は、配列番号1の付番に従う。具体的な実施形態では、捕捉抗体は、hT7である。本明細書で使用するとき、用語「hT7」は、ヒトタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに結合する公に入手可能なモノクローナル抗体を指し、位置の付番は、配列番号1の付番に従う。hT7モノクローナル抗体は、例えば、ThermoFisher(例えば、カタログ番号:MN1000)から市販されている。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「検出抗体」は、目的の抗原に結合し、検出可能な標識を有するか又は二次検出システムに連結する抗体を指す。検出可能な標識の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、及び放射性物質が挙げられるが、これらに限定されない。検出抗体の例としては、タウタンパク質、好ましくはヒトタウタンパク質のアミノ酸7~20又は116~127を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されず、位置の付番は、配列番号1の付番に従う。アミノ酸7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合するモノクローナル抗体を、捕捉されたp217+タウペプチドの検出抗体として使用する場合、ロングタウ断片が検出される。アミノ酸116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合するモノクローナル抗体を、捕捉されたp217+タウペプチドの検出抗体として使用する場合、ショート及びロングタウ断片が検出される。
【0061】
具体的な実施形態では、検出抗体は、hT43である。本明細書で使用するとき、用語「hT43」は、ヒトタウタンパク質のアミノ酸7~20を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体を指し、位置の付番は、配列番号1の付番に従い、当該抗体は、配列番号8の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号9の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。別の具体的な実施形態では、検出抗体は、pT82である。本明細書で使用するとき、用語「pT82」は、ヒトタウタンパク質のアミノ酸119~126、好ましくは116~127を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体を指し、位置の付番は、配列番号1の付番に従い、当該抗体は、配列番号18の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号19の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。
【0062】
本明細書で使用するとき、用語「pT3ベースのアッセイ」は、pT3抗体を捕捉抗体として使用する、本発明の実施形態によるアッセイを指す。本明細書で使用するとき、用語「pT3xhT43」は、pT3抗体を捕捉抗体として使用し、hT43抗体を検出抗体として使用する、本発明の実施形態によるアッセイを指す。本明細書で使用するとき、用語「pT3xpT82」は、pT3抗体を捕捉抗体として使用し、pT82抗体を検出抗体として使用する、本発明の実施形態によるアッセイを指す。
【0063】
本明細書で使用するとき、用語「hT7ベースのアッセイ」は、hT7抗体を捕捉抗体として使用する、本発明の実施形態によるアッセイを指す。本明細書で使用するとき、用語「hT7xpT82」は、hT7抗体を捕捉抗体として使用し、pT82抗体を検出抗体として使用する、本発明の実施形態によるアッセイを指す。
【0064】
本明細書で使用するところの「対象」なる用語は、動物、好ましくは哺乳動物を指す。具体的な実施形態によれば、対象は、非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、ウサギ、モルモット、マーモセット、又はマウス)、又は霊長類(例えば、サル、チンパンジー、又はヒト)を含む哺乳動物である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0065】
本明細書で使用するとき、「タウオパチー」は、脳内のタウの病理学的凝集を伴う任意の神経変性疾患を包含する。家族性及び散発性ADに加えて、他の例示的なタウオパチーは、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン症候群認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質大脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維濃縮による非ガマニアン(Guamanian)運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、及び、拳闘家認知症(ボクサー病)などの慢性外傷性脳症である(Morris et al.,Neuron,70:410-26,2011)。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「判定する」、「測定する」、「評価する」、及び「アッセイする」は、互換的に使用され、定量的及び定性的判定の両方を含む。これらの用語は、任意の形態の測定を指し、特性、形質、又は特徴が存在するか否かを判定することを含む。評価は、相対的であっても絶対的であってもよい。「の存在を評価する」は、存在する何かの量を決定すること、並びに存在するか不在であるかを判定することを含む。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「診断」とは、疾患若しくは障害を検出すること、又はタウオパチーなどの疾患若しくは障害のステージ若しくは程度を判定することを意味する。通常、疾患又は障害の診断は、当該疾患を示す1つ以上の因子及び/又は症状の評価に基づく。診断は、疾患又は病態の有無を示す因子、例えば、p217+タウの存在、不在、又は量に基づいて行うことができる。特定の疾患の診断を示すと考えられる各因子又は症状は、当該特定の疾患にのみ関連している必要はない、すなわち、診断因子又は症状から推測され得る異なる診断が存在し得る。同様に、特定の疾患を示す因子又は症状が、特定の疾患を有さない個体に存在する例もあり得る。用語「診断」はまた、薬物療法、例えば、抗p217+タウ抗体療法の治療効果を判定すること、又は薬物療法、例えば、抗p217+タウ抗体療法に対する応答のパターンを予測することも包含する。診断方法は、独立して使用してもよく、又は特定の疾患若しくは障害、例えばアルツハイマー病のための医学分野において既知の他の診断及び/若しくはステージ分類方法と組み合わせて使用してもよい。
【0068】
本明細書で使用するとき、用語「増加する」及び「減少する」は、対照又は基準レベルと比較した、サンプル中の特定のバイオマーカーの量の差を指す。例えば、特定のペプチドの量は、基準レベルと比較して、疾患を有する患者のサンプル中に増加した量又は減少した量で存在し得る。一実施形態では、「レベルの上昇」又は「レベルの低下」は、対照と比較したとき、サンプル中に存在するバイオマーカーのレベル間の差が少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又はそれ以上であることであり得る。一実施形態では、「レベルの上昇」又は「レベルの低下」は、対照と比較したとき、サンプル中に存在するバイオマーカーのレベル間の差が統計的に有意であることであり得る。例えば、測定されたバイオマーカーのレベルが、任意の対照群又は基準群の平均の約1.0標準偏差、約1.5標準偏差、約2.0標準偏差、又は約2.5の標準偏差だけ外側にある場合、差は統計的に有意であり得る。基準又は対照は、例えば、健常個体由来のサンプル、又は治療薬の投与前の時点若しくは治療レジメン中のより早い時点などの、より早い時点で同じ個体から採取されたサンプルであり得る。
【0069】
本明細書で使用するところの「単離された」なる用語は、生物学的構成成分(例えば、核酸、ペプチド、又はタンパク質)が、これらの構成成分が天然に生じる生物の他の生物学的構成成分(すなわち、他の染色体及び染色体外DNA及びRNA、並びにタンパク質)から実質的に分離されたか、これらの他の成分とは別に生成されたか、又はこれらの他の成分から精製されたものであることを意味する。このため、「単離」された核酸、ペプチド、及びタンパク質は、標準的な精製法により精製された核酸及びタンパク質を含む。「単離された」核酸、ペプチド、及びタンパク質は、組成物の一部であることができ、このような組成物が核酸、ペプチド、又はタンパク質の本来の環境の一部ではない場合であっても単離されている。また、この用語は、宿主細胞中での組み換え発現により調製された核酸、ペプチド、及びタンパク質、並びに化学合成された核酸も包含する。
【0070】
本明細書で使用するとき、「タウタンパク質に結合する単離された抗体」又は「単離された抗タウ抗体」は、タウタンパク質に特異的に結合し、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、単離された抗タウ検出抗体は、タウ以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、単離された抗タウ検出抗体は、例えば他の種由来の他の関連抗原(タウ種のホモログなど)に対して交差反応性を有する場合がある。
【0071】
本明細書で使用するとき、用語「特異的に結合する」又は「特異的結合」は、本発明の抗タウ抗体が、約1×10-6M又はそれより緊密な、例えば、約1×10-7M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10M-10以下、約1×10-11M以下、約1×10-12M以下、若しくは約1×10-13M以下の解離定数(KD)で所定の標的に結合する能力を指す。KDは、Kaに対するKdの比率(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体のKD値は、本開示を考慮して当該技術分野における方法を用いて決定することができる。例えば、抗タウ抗体のKD値は、表面プラズモン共鳴を用いることにより、例えば、バイオセンサシステム、例えばBiacore(登録商標)システム、Proteon機器(BioRad)、KinExA機器(Sapidyne)、ELISA、又は当業者に既知の競合結合アッセイを用いることにより求めることができる。典型的には、抗タウ抗体は、例えばProteon機器(BioRad)を使用した表面プラズモン共鳴によって測定したとき、非特異的標的に対するKDよりも少なくとも10倍低いKDで所定の標的(すなわち、タウ)に結合する。しかし、タウに特異的に結合する抗タウ抗体は、他の関連標的、例えば他の種(ホモログ)、例えば、マウス、ラット、マーモセット、イヌ、又はブタ由来の所定の同一標的に対する交差反応性を有する場合がある。
【0072】
本明細書で使用するところの「ポリヌクレオチド」なる用語は、同義的に、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、又は「核酸」とも称され、非修飾RNA若しくはDNA又は修飾RNA若しくはDNAであってよい、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」としては、これらに限定されるものではないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるRNA、一本鎖又はより典型的には二本鎖又は一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であってよいDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられる。加えて、「ポリヌクレオチド」は、RNA若しくはDNA又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。用語、ポリヌクレオチドには、1つ以上の修飾塩基を含有するDNA又はRNA、及び安定性若しくは他の理由により修飾された主鎖を有するDNA又はRNAも含まれる。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基及び異常な塩基、例えば、イノシンを含む。様々な修飾をDNA及びRNAに行うことができる。したがって、「ポリヌクレオチド」は、典型的に天然に認められるポリヌクレオチドの化学的、酵素的又は代謝的に修飾された形態、並びにウイルス及び細胞のDNA及びRNAの特徴を有する化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、比較的短い核酸鎖(多くの場合、オリゴヌクレオチドと呼ばれる)も包含する。
【0073】
本明細書で使用するところの「ベクター」なる用語は、別の核酸セグメントを機能的に挿入することによってそのセグメントの複製又は発現を行うことができるレプリコンのことである。
【0074】
本明細書で使用するところの「宿主細胞」なる用語は、本発明の核酸分子を含む細胞を指す。「宿主細胞」は、例えば、初代細胞、培養中の細胞、又は細胞株由来の細胞のいずれのタイプの細胞であってもよい。一実施形態では、「宿主細胞」は、本発明の核酸分子をトランスフェクトした細胞である。別の実施形態では、「宿主細胞」は、かかるトランスフェクトされた細胞の子孫又は潜在的な子孫である。ある細胞の子孫は、例えば、後続の世代で生じ得る変異若しくは環境の影響、又は宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みによって、親細胞との同一性を有していない場合がある。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「発現」は、遺伝子産物の生合成を指す。かかる用語には、遺伝子のRNAへの転写が含まれる。また、かかる用語には、RNAの1つ以上のポリペプチドへの翻訳も含まれ、全ての天然に生じる転写後及び翻訳後修飾も更に含まれる。タウに結合する、発現した検出抗体又はその抗原結合断片は、宿主細胞の細胞質内にある場合もあり、細胞培養物の増殖培地などの細胞外環境に入る場合もあり、細胞膜に固着している場合もある。
【0076】
抗タウ抗体
一般的な一態様では、本発明は、捕捉抗体によって固定化されているタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片に関する。このような抗タウ抗体は、タウにおけるリン酸化エピトープに結合するか又はタウにおける非リン酸化エピトープに結合する特性を有し得る。抗タウ検出抗体は、生体サンプル中のタウを検出するための研究又は診断試薬として有用であり得る。
【0077】
具体的な態様によれば、本発明は、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126、好ましくはアミノ酸残基116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0078】
具体的な態様によれば、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、(a)それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに(b)それぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0079】
具体的な態様によれば、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号9と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0080】
好ましくは、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、pT82抗体である。
【0081】
具体的な態様によれば、本発明は、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0082】
具体的な態様によれば、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、(a)それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに(b)それぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0083】
具体的な態様によれば、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、配列番号18と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号19と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0084】
好ましくは、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する、単離された検出抗体又はその抗原結合断片は、hT43抗体である。
【0085】
本発明の抗体は様々な技術により、例えばハイブリドーマ法(Kohler and Milstein,Nature.256:495-7,1975)により製造することができる。アクセプター抗体(典型的にはヒトなどの別の哺乳類種)に由来する軽鎖及び重鎖定常領域と会合しているドナー抗体(典型的にはマウス)に由来する軽鎖及び重鎖可変領域を含有するキメラmAbは、米国特許第4816567号に記載されている方法により調製することができる。非ヒトドナー免疫グロブリン(典型的にはマウス)に由来するCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ以上のヒト免疫グロブリンに由来するCDRグラフト化mAbは、例えば米国特許第5225539号に開示されている、当業者に既知の技術により調製することができる。任意の非ヒト配列を欠く完全ヒトmAbは、(Lonberg et al.,Nature.368:856-9,1994;Fishwild et al.,Nat Biotechnol.14:845-51,1996;Mendez et al.,Nat Genet.15:146-56,1997)において言及されている技術によって、ヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから調製することができる。また、ヒトmAbは、ファージディスプレイライブラリから調製及び最適化することもできる(Knappik et al.,J Mol Biol.296:57-86,2000;Krebs et al.,J Immunol Methods.254:67-84,2001;Shi et al.,J Mol Biol.397:385-96,2010)。
【0086】
タウに結合する検出抗体及びその抗原結合断片の機能活性は、当該技術分野において既知の方法により特徴付けることができる。タウに結合する抗体及びその抗原結合断片を特徴付ける方法としては、Biacore、ELISA、及びFACS分析、免疫組織化学分析などを含む親和性及び特異性アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
幾つかの周知の方法を用いて本発明の抗体の結合エピトープを決定することができる。例えば、両方の個別の構成成分の構造が既知である場合、インシリコでタンパク質-タンパク質ドッキングを行って、適合する相互作用部位を特定することができる。抗原抗体複合体を用いて水素-重水素(H/D)交換を行うことによって、抗体が結合する抗原の領域をマッピングすることができる。抗原のセグメント及び点変異誘導を用いることにより、抗体の結合に重要なアミノ酸の位置を特定することができる。抗体-抗原複合体の共結晶構造を使用して、エピトープ及びパラトープに寄与する残基を特定することができる。
【0088】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片をコードしている、単離ポリヌクレオチドに関する。タンパク質のアミノ酸配列を変えることなく、タンパク質のコード配列を変える(例えば置換する、欠失する、挿入するなど)ことができることが、当業者には理解されよう。したがって、タンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片をコードしている核酸配列を変更できることが当業者には理解されるであろう。例示的な単離ポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号2、3、及び4に示す免疫グロブリン重鎖CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むポリペプチド、又はそれぞれ配列番号5、6、及び7に示す免疫グロブリン軽鎖CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。他の例示的な単離ポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号12、13、及び14に示す免疫グロブリン重鎖CDR HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むポリペプチド、又はそれぞれ配列番号15、16、及び17に示す免疫グロブリン軽鎖CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。他の例示的な単離ポリヌクレオチドは、本発明の抗体可変領域をコードしているポリヌクレオチドである。遺伝コードの縮重又は所与の発現系におけるコドンの選好性を考慮すると、本発明の抗体をコードする他のポリヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。本発明の単離核酸は、公知の組み換え又は合成技術を用いて作製することができる。モノクローナル抗体をコードするDNAは、当該技術分野において公知の方法を用いて容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマが生成される場合、そのような細胞はそれらのDNAの供給源として機能することができる。あるいは、コード配列と翻訳生成物が結合したディスプレイ技術、例えばファージ又はリボソームディスプレイライブラリーを使用することができる。
【0089】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片をコードしている単離ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。プラスミド、コスミド、ファージベクター、又はウイルスベクターなどの、本開示の観点から当業者に公知の任意のベクターも使用することができる。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミドなどの組み換え発現ベクターである。ベクターは、例えば、プロモーター、リボソーム結合エレメント、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、及び複製起点という、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意のエレメントを含むことができる。プロモーターは、常時発現型、誘導型、又は再形成可能なプロモーターであり得る。細胞に核酸を送達することができる多数の発現ベクターが当技術分野において知られており、細胞内で抗体又はその抗原結合断片を生成するために、本明細書で使用することができる。従来のクローニング技術、又は人工遺伝子合成を使用して、本発明の実施形態に従った組み換え発現ベクターを生成することができる。
【0090】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片をコードしている単離ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。本開示の観点から、当業者に知られている任意の宿主細胞を、本発明の抗体又は抗原結合断片の組み換え発現に使用することができる。そのような宿主細胞は、真核細胞、細菌細胞、植物細胞又は古細菌細胞であってよい。例示的な真核細胞は、哺乳動物、昆虫、鳥類、又は他の動物由来のものであってもよい。哺乳動物真核細胞としては、SP2/0(アメリカ培養コレクション(ATCC)、Manassas、Va、CRL-1581)、NS0(ヨーロッパ細胞培養コレクション(ECACC)、Salisbury、Wiltshire、UK、ECACC No.85110503)、FO(ATCC CRL-1646)及びAg653(ATCC CRL-1580)ネズミ細胞株などといった、ハイブリドーマ又は骨髄腫の細胞株などの不死化細胞株が挙げられる。例示的なヒト骨髄腫細胞株は、U266(ATTC CRL-TIB-196)である。他の有用な細胞株としては、CHO-K1 SV(Lonza Biologics)、CHO-K1(ATCC CRL-61、Invitrogen)、又はDG44などのチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞に由来するものが挙げられる。
【0091】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片の生成方法であって、本発明の検出抗体又はその抗原結合断片を生成する条件下において、当該検出抗体又はその抗原結合断片をコードしているポリヌクレオチドを含む細胞を培養することと、当該細胞又は細胞培養物から(例えば、上清から)当該抗体又はその抗原結合断片を回収することと、を含む、方法に関する。発現した抗体又はその抗原結合断片を細胞から回収して、当該技術分野において通常的な技術に従い精製することができる。
【0092】
診断方法
本発明は、例えば、捕捉されたp217+タウ種の検出を可能にするレポーターエレメントで標識された抗タウ検出抗体と組み合わせて、p217+タウ種を選択的に固定化するpT3などの捕捉抗体を使用することによる、ADにおいて多く含まれるp217+タウ種の測定に関する。本発明の方法は、例えば、対象のAD又は他のタウオパチーを診断するため、治療の有効性をモニタリングするため、抗p217+タウ治療に適している対象を特定するためなど、様々な診断目的に使用することができる。
【0093】
本発明の実施形態によれば、目的のサンプル中のp217+タウペプチドは、配列番号25、26又は27のアミノ酸配列を有するエピトープなどのp217+タウエピトープに対する捕捉抗体で捕捉される。捕捉されたp217+タウペプチドは、全てp217+タウエピトープを含有するが、異なる長さを有し得、これを異なるエピトープに結合する検出抗体によって検出することができる。例えば、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体は、依然としてタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有する、捕捉されたp217+タウペプチド又はその断片(「ロングp217+タウペプチド」)だけを検出することができ、一方、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する検出抗体は、ロングp217+タウペプチドだけでなく、ショートp217+タウペプチドも検出することができる。捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、サンプル中のロングp217+タウペプチド又はp217+タウペプチド(ロング及びショートp217+タウペプチド)の量を検出及び測定することができる。サンプル中のショートp217+タウペプチドの量は、p217+タウペプチドの量からロングp217+タウペプチドの量を差し引くことによって計算される。
【0094】
本発明の別の実施形態によれば、サンプル中のp217+タウペプチドの量を捕捉及び測定することに加えて、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープに対する抗体、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対する抗体などのリン酸化非依存性捕捉抗体で、サンプル中の総タウペプチドを捕捉する。捕捉された総タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、サンプル中の総ロングタウペプチド又は総タウペプチド(ロング及びショートタウペプチド断片)の量を検出及び測定することができる。サンプル中のショート総タウペプチドの量は、総タウペプチドの量からロング総タウペプチドの量を差し引くことによって計算される。
【0095】
本発明の実施形態によれば、サンプル中のp217+タウペプチドに関連する値、例えば、サンプル中のp217+タウペプチドの量及びロングp217+タウペプチドの量、任意選択で総タウペプチドの量及び総ロングタウ断片の量、並びに測定量に基づく情報、例えば、計算されたショートp217+タウペプチド及びショート総タウペプチド、又はp217+タウペプチドに関連する比、例えば、ショートタウペプチド断片の量のロングタウペプチド断片の量に対する比、ショートp217+タウペプチドの量のショートタウ断片の総量に対する比、ロングp217+タウペプチドの量のロングタウ断片の総量に対する比などを、1つ以上の診断目的のために使用することができる。
【0096】
診断は、対象由来のサンプル中のp217+タウペプチドに関連する値を、対応するベースライン値と比較することによって行われる。ベースライン値は、健常な個体の集団における平均レベルを表し得る。また、ベースライン値は、同じ対象において決定された以前のレベルを表す。一実施形態では、対象由来の生体サンプル中のp217+タウペプチドに関連する値、例えば、ロング又はショートp217タウペプチドの量、又はp217+タウペプチドに関連する比、例えば、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比が、対応するベースライン値よりも有意に高い場合、対象はタウオパチーに罹患していると判定される。本明細書で使用するとき、「有意に高い」は、0.05以下のp値を有する、偶然のみに起因しない、統計的に有意なより高い値を指す。「有意に高い」は、0.05、0.04、0.03、0.01、0.005、0.001未満などのp値で、健常ボランティアでみられるものよりも少なくとも約1%、2%、5%、又は10%高くてよい。
【0097】
一実施形態では、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、リン酸化p217+タウを含むエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、アミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、及び/又はタウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量を測定することと、(iii)p217+タウペプチドの量、又はショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比に基づいて、対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定することと、を含む。診断は、対象由来のサンプル中のp217+タウペプチドの量又は濃度を、対応するベースライン値と比較することによって行うことができる。また、診断は、対象由来のサンプル中のショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比を、対応するベースライン値と比較することによっても行うことができる。
【0098】
別の実施形態では、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉すること、又はタウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチド又は捕捉された総タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量又は総ショートタウタンパク質の量を測定することと、(iii)当該生体サンプル中のショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比の量に基づいて、対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定することと、を含む。診断は、対象由来のサンプル中の、pT3抗体、すなわち、タウのアミノ酸211~221によって認識されるのと同じ、ショートp217+タウペプチドの量の、タウタンパク質の領域を含む総ショートタウペプチドの量に対する比を、対応するベースライン値と比較することによって行うことができる。
【0099】
別の実施形態では、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、アミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、及び/又はタウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量を測定することと、(iii)p217+タウペプチドの量、又はショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比に基づいて、対象における治療の有効性を判定することと、を含む。
【0100】
更に別の実施形態では、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉すること、又はタウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチド又は捕捉された総タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量又は総ショートタウタンパク質の量を測定することと、(iii)当該生体サンプル中のショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比の量に基づいて、対象における治療の有効性を判定することと、を含む。
【0101】
更に別の実施形態では、対象における治療の有効性は、p217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は治療前、治療中、若しくは治療後の、ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比をモニタリングすることによって判定される。ベースラインに対する値の減少は、治療に対する陽性応答を示す。また、値は、病理学的タウが脳からクリアランスされたとき、生物学的流体において一時的に増加する場合がある。
【0102】
具体的な態様によれば、タウオパチーとしては、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、慢性外傷性脳症、及び拳闘家認知症(ボクサー病)からなる群から選択される1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
好ましくは、タウオパチーは、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)、FTDP-17、又は進行性核上麻痺である。
【0104】
最も好ましくは、タウオパチーは、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)である。
【0105】
一実施形態によれば、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、アミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、及び/又はタウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量を測定することと、(iii)p217+タウペプチドの量、又はショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比に基づいて、対象が抗p217+タウ抗体療法に適しているかどうかを判定することと、を含む。
【0106】
具体的な態様によれば、生体サンプル中のp217+タウペプチドの量、又は生体サンプル中のショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比が、対応するベースライン値よりも有意に高い場合、対象が抗p217+タウ抗体療法に適していると判定される。
【0107】
別の具体的な態様によれば、本発明の方法は、(i)生体サンプル、好ましくはCSFサンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉すること、又はタウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、(ii)捕捉されたp217+タウペプチド又は捕捉された総タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプル中のロング及びショートp217+タウペプチドの量又は総ショートタウタンパク質の量を測定することと、(iii)当該生体サンプル中のショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比の量に基づいて、対象が抗p217+タウ抗体療法に適しているかどうかを判定することと、を含む。
【0108】
一実施形態によれば、ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が、対応するベースライン値よりも有意に高い場合、対象が抗p217+タウ抗体療法に適していると判定される。
【0109】
本発明はまた、生体サンプル中の抗体と複合体を形成しているp217+タウ、並びに抗体に結合していないサンプル中の遊離p217+タウの測定にも関する。一実施形態では、総抗体は、親和性技術を用いて捕捉され、続いて、カオトロープ、熱不活性化、又は他のタンパク質破壊技術を含む変性条件に供される。p217+タウは、rpHPLCを使用して抗体から分離され、本発明の方法を使用して測定され、これによって、抗体に結合しているp217+タウの定量が可能になる。
【0110】
一般的な態様によれば、本発明は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、(i)対象から生体サンプルを得ることと、(ii)当該生体サンプルを、抗体に結合しているp217+タウを含有するIgG富化サンプルと、抗体を含まないp217+タウを含有するIgG枯渇サンプルとに分離することと、(iii)rpHPLCによってIgGから当該p217+タウを精製して、抗体を含まないp217+タウサンプルを得ることと、(iv)当該IgG富化サンプル及び当該抗体を含まないp217+タウサンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、(v)当該サンプルのそれぞれにおける捕捉されたp217+タウペプチドを、アミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、又はタウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるロング及びショートp217+タウペプチドの量を測定することと、(vi)抗体に結合しているp217+タウの量の抗体を含まないp217+タウの量に対する比を計算することと、(vii)計算された比に基づいて、当該対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法に関する。
【0111】
別の一般的な態様によれば、本発明は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、(i)対象から生体サンプルを得ることと、(ii)総p217+タウを含有する生体サンプルから半変性サンプルを得、抗体を含まないp217+タウを含有する生体サンプルから非変性サンプルを得ることであって、その際、当該半変性サンプルを加熱して当該サンプル中の当該抗体を変性させる、ことと、(iii)当該半変性サンプル及び当該非変性サンプルのそれぞれをp217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、(iv)当該サンプルのそれぞれにおける捕捉されたp217+タウペプチドを、アミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定すること、又はタウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるロング及びショートp217+タウペプチドの量を測定することと、(v)総p217+タウの量から抗体を含まないp217+タウの量を差し引くことによって、当該サンプル中の抗体に結合しているp217+タウの量を計算することと、(vi)当該抗体に結合しているp217+タウの当該抗体を含まないp217+タウに対する比を計算することと、(vii)計算された比に基づいて、当該対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法に関する。
【0112】
具体的な態様によれば、対象における治療の有効性は、治療前、治療中、又は治療後に、抗体に結合している、及び抗体を含まないp217+タウペプチドの量をモニタリングすることによって判定される。ベースラインに対する抗体を含まないp217+タウの値の減少、又はベースラインに対する抗体に結合しているp217+タウの値の増加、したがって、ベースラインに対する当該抗体に結合しているp217+タウの当該抗体を含まないp217+タウに対する比の増加は、治療に対する陽性応答を示す。また、抗体を含まないp217+タウの値は、病理学的タウが脳からクリアランスされるとき、生物学的流体において一時的に増加する場合もある。
【0113】
具体的な態様によれば、本発明の方法の捕捉抗体は、磁気ビーズなどのビーズにコンジュゲートされている。他の具体的な態様によれば、検出抗体はビオチン化されている。
【0114】
具体的な態様によれば、本発明の方法で測定されるp217+タウペプチドの量は、ELISA及び単一分子アレイプラットフォームを含む当該技術分野において既知の任意の好適な技術を使用して求めることができる。具体的な態様によれば、本発明の方法では、Quanterix Simoa又はMSD S-plexなどの高感度アレイプラットフォームを使用して、サンプル中のp217+タウペプチドの量を測定する。具体的な態様によれば、本発明の方法の定量下限は約40fg/mLであり、当該方法の検出下限は約2fg/mLである。
【0115】
具体的な態様によれば、本発明の方法で使用されるサンプルは、血液、脳ホモジネート、又は脳脊髄液(CSF)サンプルなどの生体サンプルである。好ましくは、サンプルはCSFサンプルである。具体的な態様によれば、サンプルは粗CSFサンプルである。別の具体的な態様によれば、サンプルは、完全長タウタンパク質と差分化サイズのタウ断片とを分離する逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して、CSFなどの生体サンプルを分画した後に得られる。
【0116】
具体的な態様によれば、本発明の方法の捕捉抗体は、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、捕捉抗体は、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT3抗体である。
【0117】
具体的な態様によれば、本発明の方法の検出抗体は、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT82抗体である。
【0118】
別の具体的な態様によれば、本発明の方法の検出抗体は、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むhT43抗体である。
【0119】
キット
別の一般的な態様では、本発明は、(a)p217+タウエピトープに対する捕捉抗体、任意選択で、タウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と、(b)タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むタウタンパク質エピトープに対する少なくとも1つの検出抗体と、を含む、キットに関する。キットを使用して、p217+タウペプチドの量を測定し、これは、サンプル中のショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、及び/又はショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比に使用される。
【0120】
検出抗体は、直接検出可能であるか又は二次反応(例えば、ストレプトアビジンとの反応)を介して検出可能である、任意の検出可能な標識(例えば、蛍光標識、ビオチンなど)を含有していてよい。あるいは、検出可能な標識を含有する第2の試薬を使用してもよく、この場合、第2の試薬は、一次抗体に対する結合特異性を有する。生体サンプルにおけるp217+タウを測定するのに好適な診断キットでは、キットの抗体は、マイクロタイターディッシュのウェル又はビーズなどの固相に予め結合した状態で供給され得る。
【0121】
具体的な態様によれば、本発明のキットの捕捉抗体は、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、捕捉抗体は、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT3抗体である。
【0122】
具体的な態様によれば、本発明のキットの検出抗体は、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むpT82抗体である。
【0123】
別の具体的な態様によれば、本発明のキットの検出抗体は、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。好ましくは、検出抗体は、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含むhT43抗体である。
【0124】
別の具体的な態様によれば、本発明のキットは、本発明の方法を使用して、サンプル中のp217+タウペプチドの量、これは、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、及び/又はショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比を測定するために使用される。
【0125】
本出願全体で引用した全ての引用参考文献(論文参考文献、交付済み特許、公開された特許出願、及び同時係属の特許出願を含む)の内容は、参照により本明細書に明白に組み込まれる。
【0126】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
【0127】
実施形態1は、サンプル中のp217+タウペプチドの量を測定する方法であって、
(i)当該サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、
(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126、例えばアミノ酸残基116~127を含むエピトープ、又はタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有するエピトープに対する検出抗体と接触させて、それぞれ、p217+タウペプチドの量又はロングp217+タウペプチドの量を測定することと、を含む、方法である。
【0128】
実施形態2は、サンプル中のロングp217+タウペプチド又はショートp217タウペプチド断片の相対量を求める方法であって、
(i)当該サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉することと、
(ii)捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定することと、
(iii)当該捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定することと、
(iv)当該p217+タウペプチドの量及び当該ロングp217+タウペプチドの量に基づいてロングp217+タウペプチド又はショートp217+タウペプチドの相対量を求めることと、を含む、方法である。
【0129】
実施形態3は、当該捕捉抗体がビーズにコンジュゲートされており、当該検出抗体がビオチン化されている、実施形態1又は2に記載の方法である。
【0130】
実施形態4は、当該サンプル中のp217+タウペプチドの量が、高感度プラットフォームを使用して測定される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法である。
【0131】
実施形態5は、当該方法の定量下限が、約40fg/mLの当該p217+タウペプチドであり、当該方法の検出下限が、約2fg/mLの当該p217+タウペプチドである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法である。
【0132】
実施形態6は、当該サンプルが、対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルであり、当該方法が、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量、ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又はショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比に基づいて、当該対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定すること、を更に含む、実施形態1~5のいずれかに記載の方法である。
【0133】
実施形態7は、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量、当該ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は当該ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が、対応するベースライン値、例えば、健常ボランティアの対応する平均値よりも有意に高い場合、当該対象がタウオパチーに罹患しているか又はタウオパチーを発症するリスクがあると判定される、実施形態6に記載の方法である。
【0134】
実施形態8は、当該サンプルが、タウオパチーの治療中の対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルであり、当該方法が、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量、当該ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は当該ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比に基づいて、当該対象における当該治療の有効性を判定すること、を更に含む、実施形態1~5のいずれかに記載の方法である。
【0135】
実施形態9は、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量が治療の過程にわたって減少する場合、当該治療が有効であると判定される、実施形態8に記載の方法である。
【0136】
実施形態10は、当該タウオパチーが、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病及び散発性アルツハイマー病を含む)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、慢性外傷性脳症、及び拳闘家認知症(ボクサー病)からなる群から選択される、実施形態6~9のいずれかに記載の方法である。
【0137】
実施形態11は、当該タウオパチーが、アルツハイマー病である、実施形態10に記載の方法である。
【0138】
実施形態12は、当該サンプルが、ヒト対象由来の生体サンプル、好ましくはCSFサンプルであり、当該方法が、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量、当該ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は当該ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比に基づいて、当該対象が抗p217+タウ抗体療法に適しているかどうかを判定すること、を更に含む、実施形態1~5のいずれかに記載の方法である。
【0139】
実施形態13は、当該生体サンプル中の当該p217+タウペプチドの量、当該ショートp217+タウペプチドの量のロングp217+タウペプチドの量に対する比、又は当該ショートp217+タウペプチドの量の総ショートタウペプチドの量に対する比が、対応するベースライン値、例えば、健常ボランティアの対応する平均値よりも有意に高い場合、当該対象が抗p217+タウ抗体療法に適していると判定される、実施形態12に記載の方法である。
【0140】
実施形態14は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、
i.当該対象から生体サンプルを得ることと、
ii.当該生体サンプルを、抗体に結合しているp217+タウを含有するIgG富化サンプルと、抗体を含まないp217+タウを含有するIgG枯渇サンプルとに分離することと、
iii.当該IgG富化サンプル及び当該IgG枯渇サンプルのそれぞれを、当該タウタンパク質のリン酸化T212及び/又はリン酸化T217を含むエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、
iv.捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該生体サンプル中の当該抗体に結合しているp217+タウの量及び当該抗体を含まないp217+タウの量を測定することと、
v.当該抗体に結合しているp217+タウの当該抗体を含まないp217+タウに対する比を計算することと、
vi.計算された比に基づいて、当該対象における当該抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法である。
【0141】
実施形態15は、対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングする方法であって、
i.当該対象から生体サンプルを得ることと、
ii.総p217+タウを含有する生体サンプルから半変性サンプルを得、抗体を含まないp217+タウを含有する生体サンプルから非変性サンプルを得ることであって、その際、当該半変性サンプルを加熱して当該サンプル中の当該抗体を変性させる、ことと、
iii.当該半変性サンプル及び当該非変性サンプルのそれぞれを、当該タウタンパク質のリン酸化T212及び/又はリン酸化T217を含むエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、当該サンプルのそれぞれにおける当該p217+タウペプチドを捕捉することと、
iv.捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むエピトープに対する検出抗体と接触させて、当該生体サンプル中の当該総p217+タウの量及び当該抗体を含まないp217+タウの量を測定することと、
v.当該総p217+タウの量から当該抗体を含まないp217+タウの量を差し引くことによって、当該サンプル中の抗体に結合しているp217+タウの量を計算することと、
vi.当該抗体に結合しているp217+タウの当該抗体を含まないp217+タウに対する比を計算することと、
vii.計算された比に基づいて、当該対象における当該抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法である。
【0142】
実施形態16は、当該捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、当該捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0143】
実施形態17は、当該検出抗体が、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、当該検出抗体が、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0144】
実施形態18は、当該検出抗体が、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、当該検出抗体が、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0145】
実施形態19は、当該サンプルが、血液、脳ホモジネート、又は脳脊髄液(CSF)サンプルである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法である。
【0146】
実施形態20は、当該サンプルが、逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して生体サンプルを分画した後に得られる、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法である。
【0147】
実施形態21は、タウタンパク質のアミノ酸残基116~127を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する単離された検出抗体又はその抗原結合断片であって、
a.それぞれ配列番号2、3及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、
b.それぞれ配列番号5、6及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3と、を含む、単離された検出抗体又はその抗原結合断片である。
【0148】
実施形態22は、好ましくは、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態21に記載の単離された検出抗体又はその抗原結合断片である。
【0149】
実施形態23は、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープにおいてタウタンパク質に結合する単離された検出抗体又はその抗原結合断片であって、
a.それぞれ配列番号12、13及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、
b.それぞれ配列番号15、16及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3と、を含む、単離された検出抗体又はその抗原結合断片である。
【0150】
実施形態24は、好ましくは、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態23に記載の単離された検出抗体又はその抗原結合断片である。
【0151】
実施形態25は、実施形態21~24のいずれかに記載の検出抗体又はその抗原結合断片をコードしている、単離された核酸である。
【0152】
実施形態26は、実施形態25に記載の核酸を含む、ベクターである。
【0153】
実施形態27は、実施形態25に記載の核酸を含む、宿主細胞である。
【0154】
実施形態28は、実施形態21~24のいずれか1つに記載の検出抗体又はその抗原結合断片を生成する方法であって、当該抗体又は抗原結合断片をコードしている核酸を含む細胞を、当該抗体又は抗原結合断片を生成する条件下において培養することと、当該細胞又は細胞培養物から当該抗体又は抗原結合断片を回収することと、を含む、方法である。
【0155】
実施形態29は、
a.タウタンパク質のリン酸化T212及び/又はリン酸化T217を含む、単一又は多重リン酸化タウタンパク質エピトープに対する捕捉抗体と、
b.タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むタウタンパク質エピトープに対する検出抗体と、を含む、キットであって、
サンプル中のp217+タウペプチドの量を測定するために使用される、キットである。
【0156】
実施形態30は、当該捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、当該捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する、実施形態29に記載のキットである。
【0157】
実施形態31は、当該検出抗体が、実施形態20~23のいずれか1つに記載の単離された検出抗体である、実施形態29又は30に記載のキットである。
【実施例】
【0158】
以下の本発明の実施例は、本発明の本質を更に説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求項によって定められる点を理解されたい。
【0159】
実施例1.p217+タウを検出するための高感度アッセイ
アッセイ特異的な試薬は、以下のとおりであった:Simoa Homebrewキット(Quanterix、カタログ番号101351)、ヘルパービーズ(Quanterix、カタログ番号101732)、pT3マウスモノクローナル抗体(mAb)、hT43 mAb、pT82 mAb、及びhT7 mAb。pT3は、p217+タウを認識する、Janssenで開発された親抗体であり、そのヒト化バージョンを本明細書ではヒト化pT3 mAbと称する。
【0160】
サンプルを、50mM Tris、50mM NaCl、5mM EDTA、2%ウシ血清アルブミン、0.1% Tween 20、0.05% ProClin 300、pH7.8で希釈した。
【0161】
New England Peptideによって作製された3つのカスタムペプチドを使用して、アッセイを較正した(較正ペプチド)。
【0162】
ペプチドpT3xhT43は、PEG4リンカーによって連結されたhT43、PT51、及びpT3エピトープを含有し、6893g/モルの分子量を有する。ペプチドpT3xhT43のアミノ酸配列は、PRQEFEVMEDHAGTYGLGDR(dPEG4)GKTKIATPRGAAPPGQKG(dPEG4)GSRSR(pT)PSLP(pT)PPTREPKKV-アミド(配列番号22)である。
【0163】
ペプチドpT3xpT82は、PEG4リンカーによって連結されたpT82及びpT3エピトープを含有し、4551g/モルの分子量を有する。ペプチドpT3xpT82のアミノ酸配列は、Ac-SLEDEAAGHVTQARMVSK(dPEG4)GSRSR(pT)PSLP(pT)PPTREPKKV-アミド(配列番号23)である。
【0164】
ペプチドhT7xpT82は、PEG4リンカーによって連結されたpT82及びhT7エピトープを含有し、3619g/モルの分子量を有する。ペプチドhT7xpT82のアミノ酸配列は、Ac-SLEDEAAGHVTQARMVSK(dPEG4)PRGAAPPGQKGQANA-アミド(配列番号24)である。
【0165】
試薬の調製
Quanterixマニュアルに提供されているプロトコルに従って、捕捉ビーズを0.3mg/mL捕捉Abでコーティングした。コーティングされた捕捉ビーズをビーズ希釈バッファで200,000ビーズ/mLに希釈し、ビーズの総濃度が400,000ビーズ/mLとなるように200,000ビーズ/mLのヘルパービーズを添加した。
【0166】
Quanterixマニュアルに提供されているプロトコルに従って、検出抗体を60倍でビオチン化し、Homebrew検出剤/サンプル希釈剤で1.8μg/mLに希釈した。
【0167】
較正ペプチドを0.1%リン酸/水で5mg/mLに再構成し、20μLにアリコート化し、凍結させた。使用準備が整ってから、較正ペプチドのアリコートを解凍し、1:1000(例えば、1.5μLから1498.5μLに)希釈し、ペプチドの最終濃度が5000pg/mLとなるように希釈物を1:1000希釈した。30pg/mLで出発して、3倍ジャンプの標準曲線を作製した。
【0168】
CSFサンプルをサンプル希釈剤で少なくとも1:4希釈した。健常ボランティア(HV)サンプルを1:5又は1:10希釈し、ADサンプルを少なくとも1:20希釈した。
【0169】
Simoaアッセイ
捕捉Ab、サンプル、及び検出Abと共に35分間、及び洗浄、続いて、ストレプトアビジンβ-ガラクトシダーゼ(SBG)と共に5分間を含む2工程プロトコルを含む、カスタムSimoaアッセイを作成した。各反応は、25μLのビーズ溶液、100μLのサンプル又は較正物質、20μLの検出溶液、100μLのSBGを含んでいた。抗体に名前を割り当て、最大5つの捕捉抗体及び5つの検出抗体を一度にロードすることができた。機器によってSimoaキュベット内で反応を実施し、最後に1回洗浄し、β-ガラクトシダーゼ基質(RGP)を有する測定ディスクにロードした後、機器によって測定を行った。
【0170】
実施例2.rpHPLCでのネイティブタウ断片の分離
試薬は以下のとおりであった:トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、水(HPLCグレード)、アセトニトリル(HPLCグレード)、リン酸(分析グレード)、及びHPLC二成分勾配系、イムノアッセイバッファ(100mM TrisHCl、100mM NaCl、0.05% Tween、及びBSA、pH7.8)。
【0171】
プロトコルは以下のとおりであった:500μLの凍結CSFを氷上で30分間解凍した。解凍したCSFを、100mMの塩化ナトリウムを含有する100mMのリン酸ナトリウム(pH2.5)1.5mLに添加し、混合した。得られた混合物1.8mLを、水中0.1%トリフルオロ酢酸中で平衡化したC18又は同様の逆相クロマトグラフィーカラムに適用した。次いで、アセトニトリルの漸増勾配におけるHPLCカラムを展開した。溶出の間に画分を回収した。画分を、グアニジンHClで10mMに調整し、次いで、真空濃縮装置で乾燥させた。乾燥画分をイムノアッセイバッファに再懸濁させ、本発明の抗タウ捕捉及び検出抗体対に基づいて、画分中のタウペプチドの測定に供した。
【0172】
実施例3.抗体を含まないか又は抗体に結合しているp217+タウの定量
追加の上流サンプル操作を用いて、患者内で産生されるか又は外因的に投与されるかのいずれかの抗体、例えばヒト化pT3 mAbによって、p217+タウの結合を測定するために、高感度pT3ベースのアッセイを使用することができる。この技術は、治療用抗p217+タウ抗体、例えば、ヒト化pT3 mAbを研究するための薬物動態アッセイとして使用することができる。例えば、以下の方法を使用して、抗体を含まない対抗体に結合しているp217+タウを測定することができる。
【0173】
アッセイ1:免疫捕捉/枯渇、続いてrpHPLCを使用する、生物学的流体中の遊離対結合p217+タウの定量
生物学的流体(例えば、CSF)を、タンパク質A/Gでコーティングされた磁気ビーズ(CSF 0.5mL当たり15μLのビーズスラリー)と共に室温で揺動させながら2時間インキュベートして、サンプル中の免疫グロブリンを捕捉した。ビーズを磁石によって沈殿させ、上清を第2のチューブに移した(サンプル=「IgG枯渇上清」)。ビーズを、1mLの冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で4回洗浄した。次いで、0.5mLの6M GuHClを、(a)洗浄したビーズ及び(b)IgG枯渇上清を含有するチューブに添加し、室温で揺動させながら当該チューブを20分間インキュベートした。次いで、ビーズを磁石によって沈殿させ、得られた上清を第3のチューブ(サンプル=「IgG濃縮上清」)に移した。最後に、実施例2と同様に実施したrpHPLCによる分離の前に、0.1Mリン酸(pH2)を2つの溶液に添加した(1.0mLのリン酸を変性IgG枯渇上清に添加し、1.5mLのリン酸をIgG濃縮上清に添加して、サンプルの最終体積を2.0mLにした)。得られたrpHPLC画分を実施例2に記載のとおりに再構成し、実施例1のSimoa p217+タウアッセイを用いて測定した。IgG枯渇上清からのシグナルは、遊離p217+タウ(すなわち、抗体に結合していない)を表し、一方、IgG濃縮上清からのシグナルは、結合p217+タウ(すなわち、ヒト化pT3mAbなどの抗体に結合している)を表す。対照として又は遊離及び結合測定のための正規化因子として、総p217+タウシグナルを評価するために、免疫捕捉/枯渇プロセスに供されなかった同じ親生物学的流体(例えば、CSF)のrpHPLC分離及びSimoa p217+測定を同時に分析した。
【0174】
アッセイ2:抗体の熱変性を使用する、生物学的流体中の遊離対結合p217+タウの定量
目的の生物学的流体(例えば、CSF)のアリコートを95℃で4分間加熱し、続いて、氷上で4分間冷却した(サンプル=「半変性流体」)。並行して、同じ流体の第2のアリコートを、氷上で8分間冷却した(サンプル=非変性流体」)。次いで、実施例1のSimoa p217+タウアッセイを用いて、両サンプルを測定した。半変性流体シグナルは、総p217+タウを表し、一方、非変性流体は、遊離p217+タウを表す。前者から後者を差し引くと、結合タウの測定値が得られる。正確な加熱時間及び温度は、Simoa p217+タウアッセイをそれ以上妨げることができないように流体中の任意の抗体を不可逆的に修飾するように決定したが、p217+タウシグナル自体には、いかなる影響も残らなかった。このアッセイは、抗体がp217+タウに結合しているかどうかの直接的な尺度ではなく、アッセイ競合抗体が存在することを実証する。しかしながら、このアッセイからは、より面倒なアッセイ1の結果と同様の結果が得られた。
【0175】
実施例4.生体サンプル
アッセイの開発及び技術的認定に使用されるサンプル
実施例1~3のアッセイは、高いタウレベルを有するヒト対象からプールしたCSFを使用して開発した。いくつかの実験はまた、第1相試験における健常ボランティアの試験に必要とされるアッセイ感度を確保するために、低いタウレベルを有するヒト対象からプールしたCSFを用いて行った。Neu Encepharm GmbH(動物試験CRO)から入手したカニクイザル(Macaca fascicularis)及びコマンマーモセット(Callithrix jacchus)由来のCSFも、実施例1~3のアッセイを用いて測定した。加えて、認知的に正常なヒト対象及びコモンマーモセット由来の急速凍結した脳サンプルをホモジナイズし、実施例1及び3のアッセイを用いて測定した。いくつかの実験は、臨床的に定義されたHV対象及びAD対象由来の個々の血清を用いて実施した。
【0176】
予備臨床認定に使用されるサンプル
コホート1(「アッセイ間補正コホート」):正常圧水頭症(NPH)を有する対象(n=11)から、脳室液(VF)及び腰椎液(LF)CSFサンプルを入手した(University of Kuopio、Ville Lenoinen教授)。これらのサンプルを、University of Sahlgrenska(Kaj Blennow教授)で実施されたInnotestアッセイによって求められたCSF Aβ42、総タウ(tタウ)、及びpタウ181測定値によって、並びに脳生検アミロイド及びタウ免疫組織化学的検査(IHC)測定値によって分別した。rpHPLC及びSimoa p217+タウ測定は、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。
【0177】
コホート2(「明らかなHV対明らかなADコホート」):生化学的に定義されたアルツハイマー病(AD)対健常ボランティア(HV)対象(n=20/群)由来のLF CSFサンプルを、University Of Sahlgrenska(KaJ Blennow教授)から入手した。InnotestアッセイによるCSF Aβ42、tタウ、及びpタウ181測定は、University of Sahlgrenskaで行った。所定のAD対HVカットオフ測定値への分離に基づいてサンプルの大きなパネルからサンプルを選択した(AD=CSF Aβ42<400pg/mLかつCSF tタウ>600pg/mL、HV=CSF Aβ42>400pg/mLかつCSF tタウ<600pg/mL)。rpHPLC及びSimoa p217+タウ測定は、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。
【0178】
コホート3(「HV対ARAD対初期ADコホート」):臨床的に定義された正常(臨床的認知症尺度0;CDR0)対軽度記憶愁訴(CDR0.5)対象(n=20/群)由来のLF CSFサンプルを、JANSSEN研究ALZ1005/1002から入手した。InnotestアッセイによるCSF Aβ42、tタウ、及びpタウ181測定は、University of Sahlgrenskaで行った。CDR及びCSF Aβ42スコアに基づいて、対象を、(a)HV=CDR0かつAβ42>600pg/mL、(b)ADのリスク(ARAD)=CDR0かつAβ42<600pg/mL、(c)潜在的に非AD認知症=CDR0.5かつAβ42>600pg/mL、及び(d)初期AD=CDR0.5かつAβ42<600pg/mLに分類した。rpHPLC及びSimoa p217+タウ測定は、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。
【0179】
コホート4(「CDR0対CDR1コホート」):臨床的に定義された正常(臨床的認知症尺度0;CDR0)対軽度記憶愁訴(CDR1)対象(n=5/群)由来のLF CSFサンプルを、Washington Universityから入手した。CDR及びMMSE、並びにInnotestアッセイによるCSF Aβ42、tタウ、及びpタウ181の測定値は、Washington Universityで得た。発送前に、Janssenにサンプルのアイデンティティ又は特徴が分からないようにサンプルにコードを付けた。Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)でrpHPLC並びにSimoa tタウ及びp217+タウ測定を行い、分析のためにWashington Universityに送付した。
【0180】
コホート5(「HV対MCI対ADコホート」):臨床的及び生化学的に(Innotest AB42>600pg/mL)定義されたHV(n=7)由来のLF CSFサンプルを、Precision Medicine(San Diego)から入手した。臨床的及び生化学的に(Innotest AB42<600pg/mL)定義されたMCI(n=28)及びAD(n=12)由来のLF CSFサンプルを、University of Antwerpから入手した。rpHPLC及びSimoa p217+タウ測定は、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。
【0181】
コホート6(「疾病重症度及び進行コホート」):臨床的に定義されたAD(臨床的認知症尺度1+)対象(n=235)由来のLF CSFサンプルを、Janssen研究ELN115727301/302から入手した。これらのサンプルは、治験における全ての対象由来のベースライン(投与前)サンプルであった。加えて、プラセボ対象(n=90)の78週間経過観察後のCSFサンプルを含めて、疾患進行のバイオマーカーを評価した。認知評価(ADAS-COG、MMSE、NTB、CDR.SOB)、ApoE遺伝子型、性別、及び年齢を治験から得た。Innotest AB42、Innotest AB40、Simoa NFL、pT3xpT82、pT3xhT43、及びhT7xpT82アッセイは、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。対象は、0.09のAB42/40比カットオフに基づいてアミロイド陽性又は陰性であると確認された(例えば、<0.09の比を有する対象=アミロイド陽性=AD、一方、>0.09の対象=アミロイド陰性=AD以外の原因による認知症。235人の対象のうち27人がアミロイド陰性と判定され、両群を別々に分析した。
【0182】
抗p217+剤による治療後の標的会合の評価に使用したサンプル
プラセボ又はJNJ63733657(単回IV注射)で治療したHV対象(n=40)由来のLF CSFをJanssen治験JNJ63733657EDI1001から入手した。pT3xpT82アッセイは、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。pT3xhT43アッセイは、Quanterix Corporation(Lexington MA)で行った。
【0183】
実施例5.Simoaプラットフォームを使用した捕捉及び検出抗体対のスクリーニング
Janssen Neuroscience Discoveryによる以前のレポート及び文献(例えば、Meredith et al.PLoS One.8(10):e76523,2013;Barthelemy et al.,J Alzheimers Dis.51(4):1033-43,2016;Russell et al.,J Alzheimers Dis.55(1):303-313,2017;Hanger et al.J Biol Chem.282(32):23645-54,2007)は、アミノ酸200~220を含有するタウ断片、特にアミノ酸212、214、217におけるリン酸化の何らかの組み合わせがADにおいて多く含まれることを示している。したがって、この特定のタウ種(「p217+タウ」)を測定するアッセイを開発することにより、AD診断及び/若しくはステージ分類のための改善されたバイオマーカーに加えて、このタウ部分を標的とする新たな薬物についての潜在的予測及び/又は薬力学的アッセイを得ることができた。しかしながら、タウは、健常ボランティアにおいて低レベル(<200pg/mL)で存在し得、p217+タウは総タウの少数構成成分であるため、p217+タウアッセイは、最適な抗体対及び高感度を必要とする。
【0184】
この目的を達成するために、Janssenで発見された抗タウmAbのセット、並びに幾つかの高親和性の市販の抗タウmAbを、pT3と対にしたときにサンドイッチELISA(sELISA)フォーマットにおいてシグナルを産生する能力について評価した。抗体対をSimoa HD-1 Analyzerプラットフォーム(Quanterix Corporation)でスクリーニングして、AD対象由来のCSFのプールの連続希釈を使用して、必要とされる感度を提供した。アッセイ性能は、シグナル/ノイズ=サンプル希釈剤で希釈したサンプルのビーズ当たりの平均酵素(AEB)/アッセイ希釈剤のみのAEBに基づくものであった。pT3と対をなすのに最適な検出抗体は、感度の順にhT43、pT82、Quanterixタウ2.0検出剤試薬、及びBT2であった(表1)。hT43及びQuanterixタウ2.0検出剤試薬は、タウのN末端領域を認識し、一方、pT82及びBT2は、タウの中央領域により近い配列を認識する。最良のN末端(hT43)及び中央領域(pT82)mAbを、更なる最適化のために選択した。Janssen Neuroscience Biomarkers及びQuanterix Corporationで、並行してスクリーニングを行ったところ、同様の結果が得られた。
【0185】
【表1】
AD対象由来のプールされたCSFの測定におけるタウの抗体エピトープ及びシグナル/ノイズ(S/N)比を示す。NT=未試験。
【0186】
実施例6.pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの最適化
一連の最適化実験は、Simoaプラットフォームにおける最適化アッセイと共に、一般的なQuanterix経験に基づいて行った。10%マウス血清又は500μg/mLマウスIgGを検出剤希釈剤に添加したが、アッセイ感度は改善しなかった。検出剤mAb濃度(0.15、0.3、0.6、1.2、及び1.8μg/mL)、SβG濃度(100、200、又は300pM)、及び捕捉mAbビーズ濃度(300K/ウェル、150K+200Kヘルパービーズ)の用量設定について評価した。プロトコルのインキュベーション時間(65分間対35分間)及びサンプル体積(100対150μL)についても評価した。両アッセイについての理想的な試薬濃度は、それぞれ、150Kの捕捉ビーズ+200Kのヘルパービーズ、1.8μg/mLの検出剤、及び200pMのSBGであった。サンプルの体積及びインキュベーション時間は、アッセイに最小限の影響しか及ぼさなかったので、100μLのサンプル及び35分間のインキュベーションの下方条件を選択した。
【0187】
実施例7.pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの技術的認定
較正物質の線形範囲
実施例1に記載の較正ペプチドを作製した。較正ペプチドは、PEG4リンカーによって分離されたpT3及びhT43又はpT3及びpT82のコアエピトープを含有しており、これらを使用して標準曲線を作成した。代表的な標準曲線を
図1に示す。アッセイバッファで1:3ジャンプにて30pg/mLから0.041pg/mLまで較正ペプチドを用量設定し、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイで測定した。4パラメータ曲線フィットデータ整理方法(4PL、1/y2重み付け)を使用して較正曲線を作成した。検出下限(LLOD)を計算された較正レベルとして定義し、10%変動係数(CV)を含む、ゼロ較正子の平均+2.5標準偏差(SD)に等しいAEBを得た。これらの基準により、代表的なデータから約0.002pg/mLのLLODが得られた。アッセイの線形範囲、定量下限(LLOQ)、及び定量上限(ULOQ)は、予想されるCV<20%及び回収率80~120%を達成する最低及び最高の標準曲線点として定義した。これらの基準によれば、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの両方についての線形範囲は0.041~30pg/mLであった(
図1、表2)。
【0188】
【0189】
CSFによる希釈線形性
希釈の線形性を評価し、CSFサンプルを試験するための理想的な希釈を決定するために、AD対象(高タウ、低AB42)由来の4つのCSFサンプルのパネルを、アッセイバッファにおける1:2希釈から1:4096希釈まで用量設定し、p217+タウアッセイで測定した。1:512を超えて希釈されたサンプルは、典型的には、LLOQ未満と測定された。1:4~1:512のサンプル測定値は、希釈線形であり、その結果、CSFサンプルを測定するための規定の範囲であった。認知正常対象で確認するために、低タウ及び高AB42の対象由来のCSFのプールを同様に測定した。ここでも、1:4~1:256希釈について希釈線形性が観察され、この範囲を超えると、測定値はLLOQ未満に低下した(
図2)。
【0190】
精度
測定値の精度を評価するために、pT3xhT43の標準曲線を準備し、別個の3つの日に測定した(
図3及び表3)。較正ペプチドを、30から0.041pg/mLに連続1:3ジャンプで希釈し、pT3xhT43アッセイにおいて重複測定した。同じ施設で、同じ技術者によって、連続する3日間にわたって手順を繰り返した。曲線の中央の4点(CSFサンプルが測定される)の分析は、ラン内の精度(試験内CV%)が常に<10%であり、平均して2.46~5.18% CVであり、試験間精度は平均して6.46% CVであったことを示した。これらは、研究用途に限る(research use only、RUO)アッセイについては十分に20% CVの許容限度の範囲内であり、部分的には、Simoa HD-1 Analyzerにおいて全てのELISA工程が自動化されているという性質に起因する。
【0191】
【0192】
ラボ間の移行可能性
試験施設間のp217+タウアッセイの精度を評価するために、同じAD CSFプールを、Janssen Neuroscience Biomarkers及びQuanterix Corporationにおいて同じロットの試薬を用いて適正用量設定にて測定した。
図4は、2つの試験施設におけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイについて測定値が非常に類似していることを示す。
【0193】
正確度
アッセイの正確度を評価するために、2つの異なるプールのHV CSFに既知の濃度の較正ペプチド(0、2、又は20pg/mL)をスパイクし、推奨される1:4希釈に希釈し、次いで、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイで測定した。これは、サンプルマトリックスの構成成分によって提示される潜在的干渉の1つの尺度である。2及び20pg/mLのスパイク測定値から内因性シグナルのレベルを差し引き、次いで、較正物質の観察濃度を予想濃度と比較して回収率を計算した。測定濃度を予想濃度と比較して、スパイク回収率を計算し、114%の平均回収率を得た(表4)。これは、十分にRUOアッセイについての回収率80~120%の許容限度の範囲内であり、これは、≧1:4希釈で試験したときにCSFにおいて有意な干渉のないことを示す。
【0194】
【0195】
CSFにおけるp217+に対する抗体によるシグナルの競合
CSFにおけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイシグナルの正確度を確認し、p217+タウに対する抗体の臨床試験における薬力学的アッセイとしてのその潜在的な有用性を評価するために、AD CSFのプールに適正用量設定のpT3 mAb又はヒト化pT3 mAbをスパイクし、室温で2時間インキュベートした後にpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイで測定した(
図5)。可溶性pT3及びヒト化pT3抗体の投与によって、pT3ベースのアッセイにおけるシグナルが用量依存的に低下した。同等の濃度でmsIgG(陰性対照)をスパイクしても、いずれの測定にも影響がなかった。ヒト化pT3 mAb対pT3の競合能がより低いことは、p217+タウに対するpT3の親和性がより高いことに起因し得る。
【0196】
リン酸化依存性
pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイで得られたCSF中のシグナルを確認することは、実際には、リン酸化エピトープに基づいており、ADのCSFをアルカリホスファターゼで処理して全ての残基を脱リン酸化した。次いで、サンプルをpT3アッセイ及び2つのhT7ベースのアッセイ、hT7xpT82又はhT7xBT2で分析した。hT7はリン酸化に依存しないことが知られているので、陰性対照として使用した。
【0197】
AD患者由来のプールされたCSFを、塩化亜鉛及び塩化マグネシウム含有バッファ中で、37℃で4時間にわたって、漸増量のアルカリホスファターゼ(AP)で処理した。pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイを使用して、pT3に対するエピトープに対する効果を測定した。pT3xhT43及びpT3xpT82シグナルは、アルカリホスファターゼ処理によって用量依存的に低下した。しかしながら、非リン酸化依存性アッセイhT7xpT82又はhT7xBT2は、シグナル低下を示さず、実際には、pT7結合がリン酸化により低減されるため、予想どおり増加を示した(
図6)。
【0198】
p217+タウ断片プロファイル
粗CSFの測定から得られたp217+タウシグナルの性質を調べるために、Meredith et al.PLoS One.8(10):e76523,2013に記載の方法と同様の方法を介して、AD CSFのサンプルをrpHPLCによって分画した。画分を回収し、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイを用いて測定した(
図7)。このクロマトグラフィーフォーマットでは、より小さなタウ画分がより早く溶出し(より小さい画分番号)、一方、より大きな画分はより後に溶出する(より大きい画分番号)。完全長タウは、画分19において溶出する。タウ断片プロファイルは、以前のレポート(Meredith et al.PLoS One.8(10):e76523,2013,Barthelemy et al.,J Alzheimers Dis.51(4):1033-43,2016)と一致して、アッセイのいずれかによって検出された完全長タウが非常に少ないことを示した。pT3xpT82アッセイは、完全長タウ(画分12及び14)よりも小さい2つの主なピーク(タウ種)を検出したが、pT3xhT43アッセイは、これらの主ピークのうちの1つのみを検出した(画分14)。これは、CSF中のp217+タウが少なくとも2つの断片で存在することを示し、より大きな断片は、少なくともhT43からpT3までの領域(タウのaa7~220)をコードしており、より小さな断片は、少なくともpT82からpT3までの領域(タウのaa116~220)をコードしているが、はるかに遠くのhT43エピトープまでは到達しない。すなわち、任意の所与の時点でタウ分子のサブセットにおいてのみ切断される、aa20とaa116との間にタンパク質分解切断部位が存在する可能性が高い。プロファイルは、p217+特異的ではなく、それは、タウの類似の領域を認識するが、リン酸化特異的ではない他のタウアッセイでの測定から同様の所見が得られるためである(データは示さない)。
【0199】
アナライトの安定性
内因性p217+タウエピトープの安定性を様々な温度で評価した。AD CSFのプールをアリコート化し、各アリコートを4℃、22℃、又は37℃で1、2、又は4時間保管した。また、アリコートのサブセットを2又は3回凍結解凍(-80℃~22℃)した。次いで、全てのサンプルを1:20希釈し、pT3xhT43及びhT7xpT82アッセイを用いて分析した(
図8)。試験した条件のいずれにおいてもシグナルの有意な変化は観察されず、これは、これらのアッセイによって認識される4つのエピトープ全てが、標準的な保管/試験手順を可能にするのに十分に安定であることを示す。最後に、CSFを4人のドナーから前向きに採取し、次いで、アリコート化し、-70℃で凍結させ、pT3xpT82アッセイで測定するために3ヶ月毎にサンプルを取り出した。3、6、又は9ヶ月の時点では、シグナルの有意な変化は観察されなかった(
図9)。
【0200】
実施例8.pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの臨床的認定
ADの診断及びステージ分類におけるpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイの有用性を評価するために、p217+タウを測定するためのCSFサンプルの3つのコホートを得た。認知スコアと他の古典的なADバイオマーカーとの相関について測定値を分析した。
【0201】
コホート1:「アッセイ間相関コホート」
CSFサンプル、VF及びLF、並びに脳生検(脳室)を、脳内での過剰な間質液産生を特徴とし、ADでは高頻度で存在する病態である、神経変性障害の正常圧水頭症(NPH)を有する10人の対象から入手した。p217+タウ測定を粗CSFに対して実施し、従来のADバイオマーカーとの相関について分析した。
【0202】
VF中のAβ42(
図10A、10D)、tタウ(
図10B、10E)、pタウ181(
図10C、10F)のレベルを、Innotest ELISA(古典的測定)によって求めた。同じサンプルを、pT3xhT43(
図10A、10B、10C)及びpT3xpT82(
図10D、10E、10F)アッセイで測定し、相関を評価した。pT3xhT43及びpT3xpT82の両アッセイから、CSF Aβ42と負の相関を示し(それぞれr
2=0.609、p=0.0077、及びr
2=0.590、p=0.0095)、CSF tタウと正の相関を示す(それぞれr
2=0.525、p=0.0177、及びr
2=0.435、p=0.0381)が、CSF pタウ181とは有意には相関しないことが明らかになった(
図10)。
【0203】
同じ10人のNPH対象由来の脳生検をIHCにより分析し、病理学者がアミロイド陽性/陰性及びタウ陽性/陰性とスコア付けした。両方について陽性である場合、サンプルを「生検+」と命名し、古典的なADの診断であった。両方について陰性である場合、サンプルを「生検-」と命名し、古典的な非ADの診断であった。「生検+(アミロイド)」と命名されたサンプルは、アミロイドについては陽性であるが、タウについては陰性であった。脳室穿刺(VF=黒色ドット)又は腰椎穿刺(LF=赤色ドット)から得たCSFを、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイで測定し、相関を評価した(
図11)。pT3xhT43アッセイ及びpT3xpT82アッセイはいずれも、脳生検陽性サンプル(アミロイド+/タウ+)から陰性サンプル(アミロイド-/タウ-)を分離することができた(それぞれp=0.04及び0.02)。アミロイドについて陽性であるが、タウについては陽性ではないサンプルは、多くの場合、生検+サンプル及び生検-サンプル間で測定された。脳内のアミロイド斑はタウのもつれに先行すると考えられるため、アミロイド+/タウ-サンプルは、初期AD又は別の疾患を表す可能性がある。
【0204】
コホート2:「HV対ADコホート」
生化学的に定義されたAD対象対HV対象由来のCSFサンプル(LF)(n=20/群)を、University of Sahlgrenskaから入手した。Aβ42及びtタウのレベルをInnotest ELISA(古典的測定)によって求めて、群を細分類した(AD=CSF Aβ42<400pg/mLかつCSF tタウ>600pg/mL、HV=CSF Aβ42>400pg/mLかつCSF tタウ<600pg/mL)。粗CSFに対するpT3xhT43、pT3xpT82、及びhT7xpT82アッセイ、並びにrpHPLCで分画されたCSFのサブセットを使用して、測定を実施した。結果を従来のADバイオマーカーとの相関について分析した(
図12)。
図12のパネルA及びBのデータは、pT3エピトープが、初期AD(insipient AD)に急速に進行するリスクが高い患者の指標であることを実証した。pT3エピトープは、高総タウ及び低Aβ42を示す患者において大きく上昇した。逆に、pT3エピトープは、低総タウ及び高Aβ42を有する対象では低レベルで存在していた。
図11Cでは、hT7xpT82総タウアッセイによって実証されるように、上昇したpT3エピトープ含有タウが、総タウレベルの上昇によって少なくとも部分的に推進されたが、全てではないことを確認した(
図12D)。これは、タウの量、及びp217+エピトープでリン酸化される程度の両方がADで上昇することを示す。
【0205】
図11からのデータを使用して、pT3xhT43、pT3xpT82、及びhT7xpT82アッセイの、ADサンプルをHVサンプルと識別する能力についてのROC曲線を作成した。3つのアッセイは全て、優れた特異性及び感度を示した。しかしながら、2つのpT3ベースのアッセイ(p217+タウを検出するpT3xhT43、pT3xpT82)は、hT7ベースのアッセイよりも改善された診断力を有していた(
図13)。
【0206】
図12で測定した同じCSFサンプルのサブセット(n=11/群)をrpHPLCによって分画し、次いで、pT3xhT43、pT3xpT82、及びhT7xpT82アッセイで測定した(後者は、リン酸化非依存的な同じタウ断片の測定であった)(
図14)。観察されたタウ断片のプロファイルは、実施例7及び
図7にみられるものと同様であった。すなわち、pT82ベースのアッセイの両方、pT3xpT82及びhT7xpT82では2つの主な種がみられたが、pT3xhT43アッセイではピークの一方のみしかみられなかった。主な種は、両方ともHV群よりもAD群において高濃度で存在していた。更に、pT3ベースのアッセイ(p217+タウ)は、粗CSF分析において検出されたとき、hT7ベースのアッセイ(総タウ)よりも群間の差が大きいことを示した。より大きなp217+タウ種(画分13~14)は、最大のAD対HV差をもたらした(
図14)。
【0207】
図14の全ての主なタウ断片の合計(画分11~14)を計算し、次いで、ADサブグループとHVサブグループとの間で比較した。ADにおけるpT3エピトープ含有タウ(pT3xhT43又はpT3xpT82)の増加率は、非pT3エピトープ含有タウ(hT7xpT82)でみられたものの2倍を超えていた(表5)。
【0208】
【0209】
表5で行ったとおり合計としての分析に対して、各
図14の画分におけるシグナルの分析を独立して行って、どの画分から最大のAD対HVシグナルが得られたかを明らかにした。最も情報的価値のある断片プールを、断片プール13及び14においてpT3抗体を使用して検出した(表6)。
【0210】
【0211】
コホート3:「HV対ARAD対初期ADコホート」
臨床的に定義された正常(CDR0)対軽度記憶愁訴(CDR0.5)対象(n=20/群)由来のCSFサンプル(LF)を、Janssen研究ALZ1005/2002から入手した。Aβ42、tタウ、及びpタウ181のレベルをInnotest ELISAにより測定した。CDR及びCSF Aβ42スコアに基づいて、対象を、(a)HV=CDR0かつAβ42>600pg/mL、(b)ARAD=CDR0かつAβ42<600pg/mL、(c)潜在的に非AD認知症=CDR0.5かつAβ42>600pg/mL、及び(d)初期AD=CDR0.5かつAβ42<600pg/mLに分類した。
【0212】
また、CSFサンプルをrpHPLCによって分画し、pT3ベース(pT3xhT43、
図15A~15E、及びpT3xpT82、
図15F~15J)及び総タウ(hT7xpT82、
図15K~15O)アッセイで測定した。pT3ベース及びhT7ベースのアッセイは全て、CDR0対0.5(
図15A、15F、及び15K)、及びAβ42<600pg/mL対>600pg/mLのサンプル(
図15B、15G、及び15L)において、シグナルの上昇を示した。CDR×Aβ42レベルによる分析結果を
図15C、15D、15H、15I、15M及び15Nに示し、全ての画分にわたって合計したシグナルを
図15E、15J及び15Oに示す。シグナルレベルは、Aβ42<600pg/mL+CDR0.5サブグループにおいて最も高く、初期AD対HV又はARADにおけるp217+タウシグナルの上昇と一致していた。サブグループ間の分離は、hT7ベースのアッセイに対してpT3ベースのアッセイにおいて優れており、このことは、pT3エピトープの高リン酸化が、疾患において特に多く含まれている(単純な総タウ上昇よりも高い)ことを示す。
【0213】
コホート4(「CDR0対CDR1コホート」)
臨床的に定義された正常(臨床的認知症尺度0;CDR0)対軽度記憶愁訴(CDR1)の対象(n=5/群)由来のLF CSFサンプルを、Washington Universityから入手した。CDR及びMMSE、並びにInnotestアッセイによるCSF Aβ42、tタウ、及びpタウ181の測定値は、Washington Universityで得た。発送前に、Janssenにサンプルのアイデンティティ又は特徴が分からないようにサンプルにコードを付けた。Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)でrpHPLC並びにSimoa tタウ及びp217+タウ測定を行い、分析のためにWashington Universityに送付した。
【0214】
pT3ベースのアッセイ(pT3xhT43及びpT3xpT82)及びtタウ(hT7xpT82)の両方を使用して、CSFサンプルを粗のまま又はrpHPLC分画後に測定した。このデータを、ショートタウ種の相対的な影響を評価するために2つのpT3アッセイ間の比(表7)として、又はこのリン酸化事象の相対的な影響を評価するためにpT3アッセイ及びtタウのいずれかとの間の比として(
図16A~16B)表した。両方の場合において、結果は、10人の対象のうち9人についてCDR状態を正確に予測した。1人の外れ値の対象は、Innotestによって異常に低いタウを有すると判定されたため、タウオパチーが原因ではない認知症を表している可能性がある。興味深いことに、p217+タウ/tタウ比とMMSEとの間の相関が観察され、これは、pT3アッセイによって検出されたシグナルによって認知を追跡し得ることを示唆する。
【0215】
【表7】
*CDR1及びAβは陽性であるが、Innotest及びSimoaにおいて低いタウ及びpタウを有する
【0216】
コホート5:「HV対MCI対ADコホート」)
臨床的及び生化学的に(Innotest AB42>600pg/mL)定義されたHV(n=7)由来のLF CSFサンプルを、Precision Medicine(San Diego,CA)から入手した。臨床的及び生化学的に(Innotest AB42<600pg/mL)定義されたMCI(n=28)及びAD(n=12)由来のLF CSFサンプルを、University of Antwerpから入手した。rpHPLC及びSimoa p217+タウ測定は、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。
【0217】
pT3ベースのアッセイ(pT3xhT43及びpT3xpT82)及びtタウ(hT7xpT82)の両方を使用して、CSFサンプルを粗のまま又はrpHPLC分画後に測定した。pT3ベース及びhT7ベースのアッセイは全て、HV対MCI対AD群においてシグナルが次第に増加するシグナルの上昇を示し(
図17A~C)、互いに良好に相関していた(コホート1、
図9にみられるように)(
図17D及び17E)。pT3アッセイはまた、Innotest tタウ及びpタウ181ともある程度相関していたが(
図17F及び17G)、Innotest AB42又はAB42/40比とは相関していなかった(
図17H及び17II)。粗CSF測定(
図17A~17C)又はrpHPLCで分画された物質(
図17J~17T)において診断ステージ分類について同様の結果が観察された。コホート3にみられるように、tタウアッセイよりもpT3ベースのアッセイを用いた方がHV対MCI対ADの分離がより顕著であり(統計的有意性が大きい)、これによって、このpT3アッセイ測定の病理学的関連性が強調される。
【0218】
コホート6(「疾病重症度及び進行コホート」)
臨床的に定義されたAD(臨床認知症尺度1+)対象(n=235)由来のサンプルを、Janssen研究ELN115727301/302から入手した。これらのサンプルは、治験における全ての対象由来のベースライン(投与前)サンプルであった。加えて、プラセボ対象(n=90)の78週間経過観察後のCSFサンプルを含めて、疾患進行のバイオマーカーを評価した。認知評価(ADAS-COG、MMSE、NTB、及びCDR.SOB)、ApoE遺伝子型、性別、及び年齢を治験から得た。Innotest AB42、Innotest AB40、Simoa neurofilament light(NFL)、pT3xpT82、pT3xhT43、及びhT7xpT82アッセイは、Janssen Neuroscience Biomarkers(La Jolla)で行った。対象は、0.09のAB42/40比カットオフに基づいてアミロイド陽性又は陰性であると確認された(例えば、<0.09の比を有する対象=アミロイド陽性=AD、一方、>0.09の対象=アミロイド陰性=AD以外の原因による認知症)。235人の対象のうち27人がアミロイド陰性と判定されたので、各群を別々に分析した。
【0219】
この場合も、粗CSF測定からのシグナルは、2つのpT3アッセイ間及びtタウアッセイとは良好に相関するが(
図18A及び18B)、全身的神経変性の疑いのあるマーカーであるNFLとは相関しない(
図18C)ことが明らかになったが、これは、pT3アッセイが神経変性の特定の形態又はステージを認識し得ることを示唆している。
【0220】
この場合も、pT3ベースのアッセイから、アミロイド陽性対陰性対象においてより高いシグナルが明らかになった(
図18D~18E)。
【0221】
pT3ベースのアッセイから、いくつかの認知スコア(ADAS-COG、MMSE、NTB、CDR.SOB、
図18F~18M)との中程度の相関が明らかになり、これはコホート4における知見を裏付けた(
図16C)。興味深いことに、pT3ベースのアッセイのベースラインシグナルは、同様に18ヶ月間の経過期間にわたる認知スコアの変化と中程度に相関しており、これは、認知低下を予測する能力を示唆していた(
図18N~18P)。
【0222】
pT3ベースのシグナルのtタウシグナルに対する比(p217_タウ/tタウ)からも同様の結果が得られたが、データは示さない。
【0223】
認知と認知の変化との相関は、アミロイド陽性群及び陰性群の両方でみられたが、後者の群は小さなサンプルセットであった。確認された場合、これは、p217+対認知の関連が、AD特異的ではない場合があることを示唆する。
【0224】
実施例9.抗体を含まない対抗体に結合しているp217+タウの定量
実施例3に記載のアッセイを、以下のとおり実施した。
【0225】
アッセイ1:免疫捕捉/枯渇、続いてrpHPLCを介した、生物学的流体中の遊離対結合p217+タウの定量
アッセイは、抗体をCSFサンプルにスパイクすることによって試験した。プールしたAD CSFに、10μgのpT3 mAb、ヒト化pT3 mAb、msIgG、又は同等の体積のPBS(モック)をスパイクし、4℃で24時間インキュベートした後、免疫捕捉した。サンプル、並びに免疫捕捉に供されていない親CSFをrpHPLCで分画し、各画分についてpT3xhT43アッセイを用いて測定して、総及び結合p217+タウの量を評価した。親サンプル(総p217+タウ)及びpT3 mAb又はヒト化pT3 mAb免疫捕捉(結合p217+タウ)では、実施例7及び
図7にみられたものと同様に、1つの主要なピークにおいて実質的なシグナルが観察されたが、モック又はIgG免疫捕捉では観察されなかった(
図19)。
【0226】
プールしたAD CSFに適正用量設定のヒト化pT3 mAbをスパイクし、22℃で2時間インキュベートし、続いて、免疫捕捉、rpHPLC、及びpT3xhT43アッセイを行って、結合p217+タウを評価した(
図20A)。IgG枯渇上清も分画し、測定して、遊離p217+タウを評価した(
図20B)。ヒト化pT3 mAbのスパイクによって、用量依存的に、測定された結合p217+タウの量が増加し、遊離p217+タウの量が減少した。
【0227】
総合すれば、この結果は、標的会合の直接測定であるこの方法が、p217+タウエピトープを標的とする抗体に特異的であり(
図19)、標的抗体用量依存性であることを示す(
図20)。
【0228】
アッセイ2:抗体の選択的変性を介した、生物学的流体中の遊離対結合p217+タウの定量
生体サンプル(例えば、CSF)を、沸点付近で4分間加熱し、続いて、氷上で冷却し、その後、pT3xhT43及び/又はpT3xpT82アッセイで測定した。このプロセスの正確な時間は、アッセイを妨げることはできないが、p217+タウシグナル自体には影響を与えない(
図21)ように、サンプル中の抗体に不可逆的に損傷を与えるように決定された(
図21)。これは、タウタンパク質において特定の三次構造が欠如していることに起因しているので、それを高温で特に安定にすることができると考えられる。このサンプルを総p217+タウと命名し、一方、熱処理に供されなかった並行測定のサンプルを、遊離p217+タウと命名した。総濃度から遊離を差し引いて、結合p217+タウの測定値を得た。
【0229】
アッセイに対する熱の影響を以下のとおり決定した。
【0230】
CSF/ヒト化pT3 mAb混合物に対する熱の影響:プールしたAD CSFのアリコートに1μg/mLまでヒト化pT3 mAbをスパイクし、22℃で2時間インキュベートし、95℃で0~20分間加熱し、4℃に冷却し、次いで、1:10希釈でpT3xpT82アッセイを使用して測定した(
図21A)。p217+タウシグナルは、~2分間の熱処理によって低くなり、次いで、スパイクされていないCSFでみられるレベルに戻り、滴下前の約10分間の加熱を通じて安定であった。
【0231】
ナイーブCSFの熱の影響:プールしたCSFのアリコートを95℃で0~20分間加熱し、次いで、4℃まで冷却した後、1:10希釈でpT3xpT82アッセイを使用して測定した(
図21B)。p217+タウシグナルは、滴下前の約10分間の加熱を通じて安定であった。
【0232】
ヒト化pT3 mAbがpT3xpT82アッセイを妨げる能力に対する熱の影響:PBS中10μg/mLのヒト化pT3 mAbのアリコートを95℃で0~20分間加熱し、次いで、4℃まで冷却した。次いで、これらのサンプルをプールしたAD CSFと(ヒト化pT3 mAbの最終濃度が1μg/mLまで)混合し、22℃で2時間インキュベートした後、1:10希釈でpT3xpT82アッセイを使用して測定した(
図21C)。p217+タウシグナルは、~2分間のJNJ熱処理によって低くなり、次いで、スパイクされていないCSFでみられるレベル(
図21Bを参照)に戻り、少なくとも20分間の加熱を通じて安定であった。
【0233】
プールしたAD CSFの並行アリコートをヒト化pT3 mAbで用量設定し、22℃で2時間インキュベートし、次いで、熱変性プロセス(4分間の熱による)(
図122A)又は免疫捕捉/rpHPLC(
図22B)のいずれかに供した後、pT3xpT82アッセイを使用して測定した。両方法は、ヒト化pT3 mAbが、用量依存的に結合では増加し、遊離では減少し、総p217+タウシグナルでは変化しないことを示した。更に、熱による変性法により、アッセイ1のより面倒な免疫捕捉/rpHPLC法を使用して得られたものと同等のヒト化pT3 mAb用量依存性、及び相対的な遊離対結合対総p217+測定値が得られた(
図22C)。したがって、標準的なサンプル分析には、熱方法が推奨される。
【0234】
実施例10.前臨床動物モデルにおけるp217+タウシグナル
前臨床試験をサポートするために、様々な一般的な実験動物由来のナイーブサンプルを、pT3ベースのアッセイを用いて評価し、及び/又は配列をアラインメントして交差反応性を予測した。
【0235】
カニクイザル(Cynomolgus Macaque)
2頭のカニクイザル由来のCSFを、pT3ベース及びhT7ベースのアッセイを使用して様々な希釈度で測定した(
図23)。比較するために、同じ検出抗体を2つの捕捉抗体のそれぞれと対にした。一部の場合には、2つの個々のCSFを別々に試験し(カニクイザル1又はカニクイザル2)、他の場合には、CSFサンプルをプールして体積を節約した。検出抗体にかかわらず、捕捉抗体としてhT7を使用した全てのアッセイにおいて実質的なシグナル(AEB)がみられたが、捕捉抗体としてpT3を使用したアッセイのいずれにおいてもシグナルは検出されなかった。更に、pT3によるプレートベースのアッセイは、ADヒト脳における大きなシグナルにもかかわらず、カニクイザルの脳のホモジネートであっても、pT3ベースのシグナルがほとんど又は全く存在しないことが示された(データは示さない)。これは、高いレベルのタウにもかかわらず、pT3エピトープがこの種において保存されていないことを示唆する。実際に、公開されているタンパク質配列の解析は、pT3コアエピトープにおいてヒトとカニクイザルとの間で1つのアミノ酸が異なることを示唆し、タウを有するヒト化pT3 mAbの結晶構造に基づく構造モデリングは、この変化によってpT3が結合しなくなり得ることを示唆している(データは示さない)。
【0236】
コモンマーモセット
コモンマーモセット由来のCSFを、pT3ベース及びhT7ベースのアッセイを使用して試験した(
図24)。3頭のコモンマーモセット由来のCSFを、pT3xhT43、pT3xpT82、及びhT7xpT82アッセイを用いて様々な希釈度で測定した。比較のために、プールしたカニクイザルCSF(陰性対照)及びプールしたADヒトCSF(陽性対照)を同時に試験した。pT3xpT82(
図24B)及びhT7xpT82(
図20C)アッセイを使用したマーモセットCSFでは実質的なシグナル(AEB)がみられたが、pT3xhT43アッセイではみられなかった(
図24A)。
【0237】
これは、この種においてhT43エピトープが欠損していることを示唆しており、実際に、タンパク質配列のアラインメントは、hT43エピトープにおいてヒトとコモンマーモセットとの間で1つのアミノ酸が異なるが、pT3、hT7、及びpT82エピトープは保存されていることを示す。同じアッセイによるマーモセット脳ホモジネートの測定により、pT3xpT82及びhT7xpT82アッセイでは実質的なシグナルが存在するが、pT3xhT43アッセイでは非常に小さいことが確認された(データは図示せず)。したがって、マーモセットにおけるp217+タウシグナルの分析は、pT3xpT82アッセイを使用して達成された。
【0238】
マウス、ラット、イヌ、ブタ
マウス、ラット、イヌ、又はブタ(それぞれ、NCBIアクセッション番号NP_001033698.1、NP_058908.2、NP_001104271.1、及びAGJ26517.1)におけるヒト配列による予測タウタンパク質配列のアラインメントは、pT3がこれらの種において100%保存されていることを示唆する。しかしながら、マウス、ラット、イヌ、及びブタのhT43及びpT82配列は、ヒトの配列と同一ではなく、したがって、これら由来のサンプルは、pT3xhT43及びpT3xpT82アッセイを使用して評価する必要がある。
【0239】
総合すれば、本明細書に提示されるデータは、CSF測定のためのSimoaプラットフォーム上で開発されたpT3xhT43及びpT3xpT82アッセイが高感度であり、フェムトグラム感度を有し、高精度、正確、希釈線形性、かつアナライト安定性であることを示す。アッセイは、古典的なADバイオマーカー及び認知症スコアと良好に相関していると考えられ、AD対象の特定及びステージ分類において測定よりも優れている可能性がある。
【0240】
アッセイは、CSF中の総p217+タウのレベルを測定するために、又はrpHPLCで分画されたCSF中のp217+の断片プロファイルを評価するために使用することができる。アッセイはまた、抗体を含まないp217+タウに対して内因性又は外因的に投与された抗体に結合しているp217+タウのレベルを測定するために、分析前操作と組み合わせてもよい。したがって、アッセイは、高レベルのp217+タウ標的を有する対象を特定することによって、抗p217+タウ抗体療法に適した対象を特定するための予測バイオマーカーとして使用することができる。総、遊離、及び治療抗体に結合しているp217+タウのレベルを測定することによって、アッセイを薬力学マーカーとして使用することもできる。
【0241】
実施例11.血液中のp217+タウシグナル
CSF中のタウの測定は、神経変性障害の診断及びステージ分類において大きな有用性が示されているが、CSFの採取は、制約(例えば、患者の負担、臨床施設の経験、採取体積、及び頻度の制約)を有する。したがって、血液産物(例えば、血清、血漿)に対して使用するためにタウ測定を適応させることは大変興味深い。しかしながら、最近の文献は、粗血清又は血漿中のタウ測定が理想的な診断性能を示さず、感度及びマトリクス干渉のハードルに悩まされる場合があることを示している。しかし、pT3ベースのアッセイは、その高い感度及び特異性から新たな好機となり得る。
【0242】
臨床的に定義されたAD及びHV対象(それぞれn=4)由来の血清を、D’Abramo et al.2016のように、様々な希釈度の粗サンプル(「粗」、
図25A~25D)、酸(NaOAc、pH5)処理し、変性させたサンプル(「煮沸」、
図26A~26B)のいずれかで、pT3xpT82及びhT7xpT82アッセイを用いて測定して、ほとんどのマトリクス干渉を除去し、pT3ビーズを用いて免疫沈降(IP)した後、溶出液を熱変性させた(「pT3 IP」、
図27)。
【0243】
粗血清中の測定値からは、ほとんどのサンプルが定量限界(LOQ)未満であることが明らかになり、わずかな外れ値サンプルでははるかに高いレベルが報告された。しかしながら、シグナルは、中程度の希釈に耐えられず、したがって干渉アーチファクトであると考えられた。試験された最も高い希釈度(
図25B及び25D)、ひいては、干渉による最も少ない影響の評価は、pT3xpT82アッセイが、ADサンプル中のわずかに多くのシグナルを検出することはできるが、全てがLOQ未満であるため、正確及び/又は高精度でない場合があることを示唆した。
【0244】
酸処理(タンパク質-タンパク質相互作用を解離させるため)及び加熱(ほとんどの非タウタンパク質を変性させるため)後の血清における測定では、全てのpT3xpT82及びhT7xpT82シグナルがLOQ付近又はLOQ未満に低下した(
図26A~26B)。この場合も、pT3xpT82アッセイは、ADサンプルにおいてわずかに多くのシグナルを検出することができるが、全てがLOQ付近であるため、正確及び/又は高精度でない場合がある。
【0245】
ほとんどの干渉物質を除去し、p217+タウを濃縮するためのpT3-IP及び変性後の血清における測定から、HVサンプルよりもADサンプルにおいてレベルがはるかに高いことが明らかになった(
図27)。P217+レベルは、粗測定又は煮沸測定よりも約4倍高かったため、HVサンプルはここではLOQであり、ADサンプルは、ここでは全て線形範囲内であった。
【0246】
これらの結果は、本明細書に記載されるpT3ベースのアッセイが、特にIPなどの富化戦略と対にした場合、病理学的タウの血液ベースの測定として有用であり得ることを示した。
【0247】
以上、本発明を詳細に、かつその具体的な実施形態を参照して説明したが、当業者には、発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び改変を行い得る点は明らかであろう。
【0248】
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本発明は次の実施態様を含む。
[請求項1]
サンプル中のp217+タウペプチドを測定する方法であって、
(i)前記サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中の前記p217+タウペプチドを捕捉することと、
(ii)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体及びタウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含有するエピトープに対する第2の検出抗体のうちの少なくとも1つと接触させて、それぞれ、前記p217+タウペプチドの量及びロングp217+タウペプチドの量のうちの少なくとも1つを測定することと、を含み、
前記アミノ酸の付番が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法。
[請求項2]
前記捕捉されたp217+タウペプチドを前記第1の検出抗体及び前記第2の検出抗体と接触させて、それぞれ前記p217+タウペプチドの量及び前記ロングp217+タウペプチドの量を測定することと、任意選択で、前記ロングp217+タウペプチドの量の前記p217+タウペプチドの量に対する比を求めることと、を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
(i)前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介して、ショートp217+タウペプチドの量を求めることと、
(ii)任意選択で、前記ショートp217+タウペプチドの量の前記p217+タウペプチドの量に対する比、又は前記ロングp217+タウペプチドの量の前記ショートp217+タウペプチドの量に対する比を求めることと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
サンプル中のp217+タウペプチドを測定する方法であって、
(i)前記サンプルを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中のp217+タウペプチドを捕捉し、前記サンプルを、タウタンパク質のアミノ酸150~250のエピトープ、好ましくはタウタンパク質のアミノ酸159~163を含むエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と接触させて、前記サンプル中の総タウペプチドを捕捉することと、
(ii)
a.前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、p217+タウペプチドの量を測定し、捕捉された総タウペプチドを、前記第1の検出抗体と接触させて、総タウペプチドの量を測定し、前記p217+タウペプチドの量の前記総タウペプチドの量に対する比を求めること、及び
b.前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、ロングp217+タウペプチドの量を測定し、前記捕捉された総タウペプチドを、前記第2の検出抗体と接触させて、総ロングタウペプチドの量を測定し、前記ロングp217+タウペプチドの量の前記総ロングタウペプチドの量に対する比を求めること、
のうちの少なくとも1つを実行することと、を含み、
前記アミノ酸の付番が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を参照する、方法。
[請求項5]
前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることと、前記総タウペプチドの量から前記総ロングタウペプチドの量を差し引くことを介して総ショートタウペプチドの量を求めることと、前記ショートp217+タウペプチドの量の前記総ショートタウペプチドの量に対する比を求めることと、を更に含む、請求項4に記載の方法。
[請求項6]
前記サンプルが、対象由来の血液、脳ホモジネート、又は脳脊髄液(CSF)からなる群から選択される前記対象由来の生体サンプルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[請求項7]
前記生体サンプルが血液である、請求項6に記載の方法。
[請求項8]
前記生体サンプルがCSFである、請求項6に記載の方法。
[請求項9]
前記生体サンプルが、逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して分画されている、請求項6に記載の方法。
[請求項10]
a.前記対象がタウオパチーに罹患しているかどうか又はタウオパチーを発症するリスクがあるかどうかを判定すること、
b.前記対象が、抗p217+タウ抗体による治療に適しているかどうかを判定すること、
c.前記対象におけるタウオパチーの治療の有効性を判定すること、又は
d.対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすること、
を更に含み、
前記判定又はモニタリングが、前記対象由来の前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つを、対応するベースライン値と比較すること、を含む、請求項6に記載の方法。
[請求項11]
対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすること、を含む、請求項10に記載の方法であって、前記方法が、
(i)前記対象から生体サンプルを得ることと、
(ii)前記生体サンプルを、前記抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する第1のサンプル、及び前記抗p217+タウ抗体に結合しているp217+タウペプチドを含有する第2のサンプルに分離することと、
(iii)好ましくはrpHPLCを介して、前記第2のサンプルを分離して、抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する第3のサンプルを得ることと、
(iv)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、
(v)(a)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つと、任意選択で、(c)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることと、を実行することと、
(vi)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、前記抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法。
[請求項12]
対象における抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすること、を含む、請求項10に記載の方法であって、前記方法が、
(i)前記対象から生体サンプルを得ることと、
(ii)総p217+タウペプチドを含有する生体サンプルから半変性サンプルを得ることであって、その際、前記半変性サンプルを加熱して前記サンプル中の前記抗体を変性させる、こと、及び前記抗p217+タウ抗体を含まないp217+タウペプチドを含有する生体サンプルから非変性サンプルを得ることと、
(iii)前記半変性サンプル及び前記非変性サンプルのそれぞれを、p217+タウエピトープに対する捕捉抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドを捕捉することと、
(iv)(a)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基119~126を含むエピトープに対する第1の検出抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるp217+タウペプチドの量を測定すること、及び(b)前記捕捉されたp217+タウペプチドを、タウタンパク質のアミノ酸残基7~20を含むエピトープに対する第2の検出抗体と接触させて、前記サンプルのそれぞれにおけるロングp217+タウペプチドの量を測定すること、のうちの少なくとも1つと、任意選択で、(c)前記第1のサンプル及び前記第3のサンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量から前記ロングp217+タウペプチドの量を差し引くことを介してショートp217+タウペプチドの量を求めることと、を実行することと、
(v)前記サンプルのそれぞれにおける前記p217+タウペプチドの量、前記ロングp217+タウペプチドの量、前記ショートp217+タウペプチドの量、及びこれらの比のうちの少なくとも1つに基づいて、前記抗p217+タウ抗体による治療をモニタリングすることと、を含む、方法。
[請求項13]
前記捕捉抗体がビーズにコンジュゲートされており、前記検出抗体がビオチン化されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
[請求項14]
前記方法の定量下限が、約40fg/mLの前記p217+タウペプチドであり、前記方法の検出下限が、約2fg/mLの前記p217+タウペプチドである、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
[請求項15]
前記タウオパチーが、家族性アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性皮質下神経膠症、神経原線維変化優位型認知症(tangle only dementia)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀顆粒性認知症、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合、ダウン症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハラーフォルデン-シュパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、亜急性硬化性全脳炎、筋強直性ジストロフィー、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソン症候群、慢性外傷性脳症、及び拳闘家認知症(ボクサー病)からなる群から選択され、好ましくは、前記タウオパチーが、アルツハイマー病である、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
[請求項17]
前記第1の検出抗体が、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記第1の検出抗体が、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
[請求項18]
前記第2の検出抗体が、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記検出抗体が、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
[請求項19]
キットであって、
a.p217+タウエピトープに対する捕捉抗体、任意選択で、タウタンパク質のアミノ酸150~250のタウエピトープに対するリン酸化非依存性捕捉抗体と、
b.タウタンパク質のアミノ酸残基7~20又は116~127を含むタウタンパク質エピトープに対する少なくとも1つの検出抗体と、を含む、キット。
[請求項20]
前記捕捉抗体が、それぞれ配列番号32、33、及び34のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号35、36、及び37のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記捕捉抗体が、配列番号28のポリペプチド配列を含む重鎖可変領域及び配列番号29のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を有し、前記リン酸化非依存性捕捉抗体が、タウタンパク質のアミノ酸159~163を含むタウエピトープに対する、請求項19に記載のキット。
[請求項21]
a.前記第1の検出抗体が、それぞれ配列番号2、3、及び4のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号5、6、及び7のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記第1の検出抗体が、配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号9のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含み、
b.前記第2の検出抗体が、それぞれ配列番号12、13、及び14のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号15、16、及び17のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン軽鎖LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、好ましくは、前記検出抗体が、配列番号18のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域及び配列番号19のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項19又は20に記載のキット。
【配列表】