IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特許7399260基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ
<>
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図1
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図2
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図3
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図4
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図5
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図6
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図7
  • 特許-基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231208BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231208BHJP
   H01L 21/318 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
H01L21/318 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022509877
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013323
(87)【国際公開番号】W WO2021192090
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 優作
(72)【発明者】
【氏名】山口 天和
(72)【発明者】
【氏名】坂井 佑之輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 義則
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062053(JP,A)
【文献】特開2002-222806(JP,A)
【文献】特開2012-178492(JP,A)
【文献】特開2012-015195(JP,A)
【文献】特開2012-227265(JP,A)
【文献】特開2009-032890(JP,A)
【文献】特開2014-096453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させて収容する基板収容領域を内部に有するインナーチューブと、
前記インナーチューブの外側に配置されるアウターチューブと、
前記インナーチューブの側壁に、前記配列方向に沿って複数設けられるガス供給口と、
前記インナーチューブの側壁に、前記配列方向に沿って複数設けられる第1排気口と、
前記アウターチューブにおける前記配列方向に沿った一端側であって、前記基板収容領域を挟んで前記第1排気口と対向する位置に設けられる第2排気口と、
前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内のガスの流れを制御する整流機構と、を備え、
前記整流機構は、複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記ガス供給口Aの近傍に、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備える基板処理装置。
【請求項2】
前記整流機構は、前記ガス供給口Aの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在する第1フィンを、前記ガス供給口Aの近傍に備える、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記整流機構は、前記第1フィンを、前記配列方向に沿って前記ガス供給口Aを両側から挟むように、前記ガス供給口Aの近傍にそれぞれ備える、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記整流機構は、前記ガス供給口Aの前記配列方向における内径よりも大きな所定の長さで前記配列方向に沿って延在する第2フィンを、前記ガス供給口Aの近傍に備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記整流機構は、前記第2フィンを、水平方向に沿って前記ガス供給口Aを両側から挟むように、前記ガス供給口Aの近傍にそれぞれ備える、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記整流機構は、
複数の前記第1排気口のうち前記排気口Aとは異なる排気口を排気口Bとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Bに対向するガス供給口をガス供給口Bとしたとき、
前記ガス供給口Bの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在する第3フィンを、前記ガス供給口Bの近傍に備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記整流機構は、前記第3フィンを、前記配列方向に沿って前記ガス供給口Bを両側から挟むように、前記ガス供給口Bの近傍にそれぞれ備える、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記整流機構は、
複数の前記第1排気口のうち前記排気口Aとは異なる排気口を排気口Bとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Bに対向するガス供給口をガス供給口Bとしたとき、
前記ガス供給口Bの前記配列方向における内径よりも大きな所定の長さで前記配列方向に沿って延在する第4フィンを、前記ガス供給口Bの近傍に備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記整流機構は、前記第4フィンを、前記ガス供給口Bを水平方向に沿って両側から挟むように、前記ガス供給口Bの近傍にそれぞれ備える、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記整流機構は、複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口に最も近い第1排気口を排気口Cとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Cに対向するガス供給口をガス供給口Cとしたとき、
前記ガス供給口Cの近傍に設けられる前記第4フィンの端部から、前記配列方向に沿って或いは前記第2排気口へ向かって所定の長さで延在する第5フィンをさらに有する、
請求項またはに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第5フィンの端部と前記インナーチューブの側壁の端部との間に、間隙が設けられている、
請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第5フィンは、前記ガス供給口Cの両側に備えられた前記第4フィンの端部からそれぞれ延在しており、
前記第5フィンにおける前記第2排気口側の端部は、互いに接合するように構成されている、
請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記整流機構は、前記排気口Aと前記ガス供給口Aとの間における前記排気口Aの近傍に、前記排気口Aの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在する第6フィンを備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1排気口は前記基板収容領域を挟んで前記ガス供給口と対向する位置に設けられている、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させてインナーチューブ内の基板収容領域に収容する工程と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられたガス供給口から前記インナーチューブ内に向けてガスを供給する工程と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられた第1排気口から、前記インナーチューブの外側に配置されるアウターチューブ内へ、前記インナーチューブ内に供給されたガスを排出する工程と、
前記アウターチューブにおける前記配列方向に沿った一端側であって、前記基板収容領域を挟んで前記第1排気口と対向する位置に設けられる第2排気口から、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内を排気する工程と、
複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記ガス供給口Aの近傍に、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備える整流機構を用い、前記円環状の空間内のガスの流れを制御する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項16】
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させてインナーチューブ内の基板収容領域に収容する工程と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられたガス供給口から前記インナーチューブ内に向けてガスを供給する工程と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられた第1排気口から、前記インナーチューブの外側に配置されるアウターチューブ内へ、前記インナーチューブ内に供給されたガスを排出する工程と、
前記アウターチューブにおける前記配列方向に沿った一端側であって、前記基板収容領域を挟んで前記第1排気口と対向する位置に設けられる第2排気口から、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内を排気する工程と、
複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記ガス供給口Aの近傍に、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備える整流機構を用い、前記円環状の空間内のガスの流れを制御する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させてインナーチューブ内の基板収容領域に収容する手順と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられたガス供給口から前記インナーチューブ内に向けてガスを供給する手順と、
前記インナーチューブの側壁に前記配列方向に沿って複数設けられた第1排気口から、前記インナーチューブの外側に配置されるアウターチューブ内へ、前記インナーチューブ内に供給されたガスを排出する手順と、
前記アウターチューブにおける前記配列方向に沿った一端側であって、前記基板収容領域を挟んで前記第1排気口と対向する位置に設けられる第2排気口から、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内を排気する手順と、
複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記ガス供給口Aの近傍に、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備える整流機構を用い、前記円環状の空間内のガスの流れを制御する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項18】
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させて収容する基板収容領域を内部に有し、前記配列方向に沿った一端側に第2排気口が設けられたアウターチューブ内に配置されるインナーチューブであって、
前記インナーチューブの側壁には、前記配列方向に沿って複数のガス供給口が設けられ、
前記インナーチューブの側壁には、前記配列方向に沿って、前記基板収容領域を挟んで前記第2排気口と対向する位置に複数の第1排気口が設けられ、
複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記インナーチューブの側壁における前記ガス供給口Aの近傍に、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内のガスの流れを制御する整流機構の少なくとも一部を構成するフィンが、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うように設けられているインナーチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム、およびインナーチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、複数枚の基板を収容した処理室内へガスを供給し、基板を処理する工程が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-088520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板を処理する際、基板に対する処理の品質を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
複数枚の基板のそれぞれを水平姿勢で所定の配列方向に沿って多段に配列させて収容する基板収容領域を内部に有するインナーチューブと、
前記インナーチューブの外側に配置されるアウターチューブと、
前記インナーチューブの側壁に、前記配列方向に沿って複数設けられるガス供給口と、
前記インナーチューブの側壁に、前記配列方向に沿って複数設けられる第1排気口と、
前記アウターチューブにおける前記配列方向に沿った一端側に設けられる第2排気口と、
前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間の円環状の空間内のガスの流れを制御する整流機構と、を備え、
前記整流機構は、複数の前記第1排気口のうち前記第2排気口から最も離れた第1排気口を排気口Aとし、複数の前記ガス供給口のうち前記排気口Aに対向するガス供給口をガス供給口Aとしたとき、前記ガス供給口Aの近傍に、前記ガス供給口Aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備える基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板を処理する際、基板に対する処理の品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉のガス供給系の構成を示す図である。
図3】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉の要部を図1のB-B線断面図で示す図である。
図5】本開示の一態様に係る基板処理装置の要部の構成例を示す図であり、図5(a)は、内管21の外壁を図4のC方向から見た図であり、図5(b)は、内管21の外壁を図4のD方向から見た図であり、図5(c)は、内管21の外壁を図4のE方向から見た図である。
図6図6(a)は、内管21に設けられた第1排気口41から、内管21の天板と外管22の天板との間の空間内へ排出され、内管21に設けられたガス供給口31へと向かう排気ガスの流れを示す図であり、図6(b)は、内管21に設けられた第1排気口41から内管21と外管22との間の円環状の空間内へ排出され、内管21に設けられたガス供給口31へと向かう排気ガスの流れを示す図である。
図7図7(a)、図7(b)は、それぞれ、内管21に設けられた第1排気口41から内管21と外管22との間の円環状の空間内へ排出され、外管22に設けられた第2排気口91へと向かう排気ガスが乱流発生箇所を示す図である。
図8図8(a)、図8(b)は、それぞれ、本開示の他の態様に係る基板処理装置の要部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の一態様>
以下に、本開示の一態様について、図1図4図5(a)~図5(c)を参照しながら説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本態様に係る基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を複数枚(例えば5~100枚)ずつ纏めて処理を行う縦型基板処理装置として構成されている。処理対象となる基板としては、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。
【0010】
図1に示すように、本態様に係る基板処理装置は、縦型処理炉1を備えている。縦型処理炉1は、加熱部(加熱機構、加熱系)としてのヒータ10を有する。ヒータ10は、円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより基板処理装置の設置床(図示せず)に対して垂直に据え付けられている。ヒータ10は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0011】
ヒータ10の内側には、ヒータ10と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管20が配設されている。反応管20は、インナーチューブとしての内管21と、内管21を同心円状に取り囲むアウターチューブとしての外管22と、を備えた二重管構成を有している。内管21および外管22は、それぞれ、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成されている。内管21および外管22は、それぞれ、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0012】
内管21の内部には、ウエハWに対する処理が行われる処理室23が形成されている。処理室23は、複数枚のウエハWのそれぞれを、後述するボート40によって水平姿勢で所定の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿って多段に配列させた状態で収容可能に構成されている。本明細書では、処理室23内において複数枚のウエハWが配列される方向を、配列方向とも称する。また、処理室23内において複数枚のウエハWが水平姿勢で配列方向に沿って収容される領域を、基板収容領域65とも称する。
【0013】
反応管20の下方には、反応管20の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ50が設けられている。シールキャップ50は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ50の上面には、反応管20の下端と当接するシール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。シールキャップ50は、昇降機構としてのボートエレベータ(図示せず)によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータは、シールキャップ50を昇降させることで、ウエハWを保持したボート40を処理室23内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0014】
シールキャップ50の下方には、基板搬入搬出口(図示せず)が設けられている。基板搬入搬出口を介して、搬送ロボット(図示せず)により、ウエハWが移載室(図示せず)の内外を移動する。移載室内でボート40へのウエハWの装填、ボート40からのウエハWの脱装が行われる。
【0015】
基板支持具としてのボート40は、複数枚(例えば5~100枚)のウエハWのそれぞれを、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で、所定の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿って多段に配列させて支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート40は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料によって構成される。ボート40の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱筒として構成された断熱部42が配設されている。断熱部42は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板を水平姿勢で多段に支持することで構成されていてもよい。
【0016】
反応管20には、内管21内に向けてガスを供給するガス供給部としてのノズル30が、上述の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿って複数配列するように、また、ヒータ10および外管22を側方から貫通するように設けられている。なお、ノズル30は、基板収容領域65内に収容されるウエハW毎にそれぞれ1つずつ設けられている。また、ノズル30は、基板収容領域65内に収容されるウエハWの表面に対して、ほぼ平行な方向に向けてガスを噴射することが可能なように取り付けられている。
【0017】
図5(a)にも示すように、内管21の側壁には、ノズル30から供給されるガスを内管21内へ導入するガス供給口31が、上述の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿って複数配列するように設けられている。なお、ガス供給口31は、基板収容領域65内に収容されるウエハW毎にそれぞれ1つずつ設けられている。また、複数のガス供給口31のそれぞれは、複数のノズル30のそれぞれの先端部分と対向する位置に設けられている。なお、本明細書では、複数のガス供給口31のうち、後述する第2排気口91から最も離れたガス供給口31、すなわち、最も上方に設けられるガス供給口31(後述する第1排気口41aに対向するガス供給口31)を、ガス供給口A(ガス供給口31a)とも称する。また、複数のガス供給口31のうち、ガス供給口31aとは異なるガス供給口(後述する第1排気口41bに対向するガス供給口31)を、ガス供給口B(ガス供給口31b)とも称する。また、複数のガス供給口31bのうち、後述する第2排気口91に最も近接するガス供給口31b、すなわち、最も下方に設けられるガス供給口31b(後述する第1排気口41cに対向するガス供給口31)を、ガス供給口C(ガス供給口31c)とも称する。
【0018】
図2に示すように、ノズル30には、それぞれ、ガス供給管51が接続されている。ガス供給管51には、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)51aおよび開閉弁であるバルブ51bが設けられている。ガス供給管51のバルブ51bよりも下流側には、ガス供給管52,53が接続されている。ガス供給管52,53には、それぞれ、ガス流の上流側から順に、MFC52a,53aおよびバルブ52b,53bが設けられている。
【0019】
ガス供給管51からは、原料ガスとして、例えば、ウエハW上に形成される膜を構成する主元素としてのシリコン(Si)を含むシラン系ガスが、MFC51a、バルブ51b、ノズル30を介して処理室23内へ供給される。シラン系ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。
【0020】
ガス供給管52からは、反応ガスとして、例えば、窒化ガスが、MFC52a、バルブ52b、ガス供給管51、ノズル30を介して処理室23内へ供給される。窒化ガスとしては、例えば、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0021】
ガス供給管53からは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガスが、MFC53a、バルブ53b、ガス供給管51、ノズル30を介して処理室23内へ供給される。Nガスは、パージガス、希釈ガス、あるいはキャリアガスとして作用する。
【0022】
図4に示すように、内管21の側壁における上述の基板収容領域65を挟んでガス供給口31と対向する位置には、第1排気口41が設けられている。図1および図5(c)に示すように、第1排気口41は、上述の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿って複数配列するように設けられている。第1排気口41は、ガス供給口31から内管21内へ供給されたガスを内管21内から排出するように構成されている。なお、第1排気口41は、ガス供給口31毎に、すなわち、基板収容領域65内に収容されるウエハW毎にそれぞれ1つずつ設けられている。なお、本明細書では、複数の第1排気口41のうち、後述する第2排気口91から最も離れた第1排気口41、すなわち、最も上方に設けられる第1排気口41を、排気口A(第1排気口41a)とも称する。また、複数の第1排気口41のうち、第1排気口41aとは異なる排気口を排気口B(第1排気口41b)とも称する。また、複数の第1排気口41bのうち、後述する第2排気口91に最も近接する第1排気口41b、すなわち、最も下方に設けられる第1排気口41bを排気口C(第1排気口41c)ともいう。
【0023】
外管22における上述の配列方向(ここでは鉛直方向)に沿った一端側(ここでは下端側)には、複数の第1排気口41のそれぞれを介して内管21内から外管22内へ排出されたガス、すなわち、内管21と外管22との間の円環状の空間内を流れる排気ガスを、反応管20外へ排出する第2排気口91が設けられている。第2排気口91には、排気管61が接続されている。排気管61には、反応管20内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ62および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ63を介して、真空排気装置としての真空ポンプ64が接続されている。APCバルブ63は、真空ポンプ64を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室23内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ64を作動させた状態で、圧力センサ62により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室23内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管61、APCバルブ63、圧力センサ62により、排気系すなわち排気ラインが構成される。
【0024】
内管21と外管22との間には、内管21と外管22との間の空間(以下、排気バッファ空間ともいう)内におけるガスの流れ、すなわち、複数の第1排気口41のそれぞれから排気バッファ空間内へ排出され、第2排気口91へと向かう排気ガスの流れ(排気経路)を制御する整流機構Rが設けられている。整流機構Rの具体的な構成については後述する。
【0025】
内管21と外管22との間には、温度検出器としての温度センサ11が設置されている。温度センサ11により検出された温度情報に基づきヒータ10への通電具合を調整することで、処理室23内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ11はL字型に構成されており、例えば、内管21の外壁に沿って設けられている。
【0026】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ70は、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、記憶装置73、I/Oポート74を備えたコンピュータとして構成されている。RAM72、記憶装置73、I/Oポート74は、内部バス75を介して、CPU71とデータ交換可能なように構成されている。コントローラ70には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置82、外部記憶装置81が接続されている。
【0027】
記憶装置73は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置73内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ70に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM72は、CPU71によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート74は、上述のMFC51a~53a、バルブ51b~53b、圧力センサ62、APCバルブ63、真空ポンプ64、ヒータ10、温度センサ11等に接続されている。
【0029】
CPU71は、記憶装置73から制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置82からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置73からレシピを読み出すように構成されている。CPU71は、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC51a~53aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ51b~53bの開閉動作、APCバルブ63の開閉動作および圧力センサ62に基づくAPCバルブ63による圧力調整動作、真空ポンプ64の起動および停止、温度センサ11に基づくヒータ10の温度調整動作、昇降機構によるボート40の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0030】
コントローラ70は、外部記憶装置81に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置81は、例えば、磁気テープ、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリを含む。記憶装置73や外部記憶装置81は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置73単体のみを含む場合、外部記憶装置81単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置81を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハW上に膜を形成するシーケンス例について説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は、コントローラ70により制御される。
【0032】
本態様の成膜シーケンスでは、処理容器内(処理室23内)に収容されたウエハWに対して原料ガスとしてHCDSガスを供給するステップ1と、処理室23内に収容されたウエハWに対してNHガスを供給するステップ2と、を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことで、ウエハW上にシリコン窒化膜(SiN膜)を形成する。
【0033】
本明細書では、上述の成膜処理を、便宜上、以下のように示すこともある。なお、以下の他の態様の説明においても同様の表記を用いることとする。
【0034】
(HCDS→NH)×n ⇒ SiN
【0035】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハWがボート40に装填(ウエハチャージ)されると、複数枚のウエハWを支持したボート40は、ボートエレベータによって持ち上げられて処理室23内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ50は、Oリングを介して反応管20の下端をシールした状態となる。
【0036】
(圧力・温度調整ステップ)
処理室23内、すなわち、ウエハWが存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ64によって真空排気(減圧排気)される。この際、反応管20内の圧力は圧力センサ62で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ63がフィードバック制御され、これにより、処理室23内の圧力が所望の圧力となるように調整される。真空ポンプ64は、少なくともウエハWに対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室23内のウエハWが所望の成膜温度となるようにヒータ10によって加熱される。この際、処理室23内が所望の温度分布となるように、温度センサ11が検出した温度情報に基づきヒータ10への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ10による処理室23内の加熱は、少なくともウエハWに対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0037】
(成膜ステップ)
続いて、以下のステップ1,2を順次実行する。
【0038】
[ステップ1]
このステップでは、処理室23内のウエハWに対してHCDSガスを供給する。
【0039】
具体的には、バルブ51bを開き、ガス供給管51内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC51aにより流量調整され、ノズル30、ガス供給口31を介して処理室23内(内管21内)へ供給される。内管21内へ供給されたHCDSガスは、ウエハWの表面に対して平行な方向(水平方向)に向かって流れ、第1排気口41を介して内管21外へ排出され、内管21と外管22との間の空間(排気バッファ空間)を経て、第2排気口91から排気される。このとき、複数枚のウエハWのそれぞれに対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき、バルブ53bを開き、ガス供給管53内へNガスを流す。Nガスは、MFC53aにより流量調整され、ノズル30、ガス供給口31を介して内管21内へ供給される。Nガスはキャリアガスとして作用する。
【0040】
このとき、処理室23内の圧力は、例えば0.1~30Torr、好ましくは0.2~20Torr、より好ましくは0.3~13Torrの範囲内の圧力とする。HCDSガスの供給流量は、例えば0.1~10slm、好ましくは0.2~2slmの範囲内の流量とする。Nガスの供給流量は、例えば0.1~20slmの範囲内の流量とする。HCDSガスの供給時間は、例えば0.1~60秒、好ましくは0.5~5秒の範囲内の時間とする。ヒータ10の温度は、ウエハWの温度が、例えば200~900℃、好ましくは300~850℃、より好ましくは400~750℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0041】
ウエハWに対してHCDSガスを供給することにより、複数枚のウエハWのそれぞれの最表面上に、第1層としてSi含有層が形成される。
【0042】
第1層が形成された後、バルブ51bを閉じ、内管21内へのHCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ63は開いたままとして、真空ポンプ64により反応容器20内を真空排気し、処理室23内に残留する未反応もしくは第1層形成に寄与した後のHCDSガスを処理室23内から排除する。このとき、バルブ53bは開いたままとして、Nガスの処理室23内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、処理室23内に残留するガスを処理室23内から排出する効果を高めることができる。パージが終了したら、バルブ53bを閉じ、処理室23内へのNガスの供給を停止する。
【0043】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室23内のウエハWに対してNHガスを供給する。
【0044】
具体的には、バルブ52bを開き、ガス供給管52内へNHガスを流す。NHガスは、MFC52aにより流量調整され、ガス供給管51、ノズル30、ガス供給口31を介して処理室23内(内管21内)へ供給される。内管21内へ供給されたNHガスは、ウエハWの表面に対して平行な方向(水平方向)に向かって流れ、第1排気口41を介して内管21外へ排出され、内管21と外管22との間の排気バッファ空間を経て、第2排気口91から排気される。このとき、複数枚のウエハWのそれぞれに対してNHガスが供給されることとなる。このとき、バルブ53bを開き、ガス供給管53内へNガスを流す。Nガスは、MFC53aにより流量調整され、ノズル30、ガス供給口31を介して内管21内へ供給される。Nガスはキャリアガスとして作用する。
【0045】
このとき、処理室23内の圧力は、例えば0.1~30Torr、好ましくは0.2~20Torr、より好ましくは0.3~13Torrの範囲内の圧力とする。HCDSガスの供給流量は、例えば0.1~10slm、好ましくは0.2~2slmの範囲内の流量とする。Nガスの供給流量は、例えば0.1~20slmの範囲内の流量とする。HCDSガスの供給時間は、例えば0.1~60秒、好ましくは0.5~5秒の範囲内の時間とする。ヒータ10の温度は、ウエハWの温度が、例えば200~900℃、好ましくは300~850℃、より好ましくは400~750℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0046】
ウエハWに対して供給されたNHガスは、ステップ1でウエハW上に形成された第1層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、SiおよびNを含む第2層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。
【0047】
第2層(SiN層)が形成された後、バルブ52bを閉じ、内管21内へのNHガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室23内に残留するNHガスや反応副生成物を処理室23内から排除する。
【0048】
[所定回数実施]
上述したステップ1,2を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、ウエハW上に、所定膜厚のSiN膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成される第2層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第2層を積層することで形成される膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0049】
(アフターパージステップ・大気圧復帰ステップ)
成膜ステップが終了し、所定膜厚のSiN膜が形成されたら、反応管20内へNガスを供給し、排気管61から排気する。これにより、処理室23内がパージされ、処理室23内に残留するガスや反応副生成物が処理室23内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室23内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室23内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0050】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータによりシールキャップ50が下降され、反応管20の下端が開口されるとともに、処理済のウエハWが、ボート40に支持された状態で反応管20の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハWは、反応管20の外部に搬出された後、ボート40より取り出されることとなる(ウエハディスチャージ)。
【0051】
(3)整流機構Rの構成
以下、内管21と外管22との間の空間内における排気ガスの流れ(排気経路)を制御する整流機構Rの構成について説明する。上述したように、本明細書では、内管21と外管22との間の空間を「排気バッファ空間」ともいう。
【0052】
図6(a)、図6(b)は、整流機構Rを排気バッファ空間に設けないこととした場合における、排気バッファ空間内での排気ガスの経路を例示するものである。
【0053】
まず、図6(a)に示すように、第1排気口41から排出された排気ガスが、排気バッファ空間のうち、内管21の天板と外管22の天板との間の空間(上部バッファ空間)を介して、ガス供給口31側へ回り込み、ガス供給口31を介して内管21内へ流入する場合がある。このときの排気ガスの経路を、図6(a)において「排気経路A」で示す。特に、第2排気口91から遠い第1排気口41aから排出されたガスは、上部バッファ空間内へ流れ込みやすく、第1排気口41aに対向するガス供給口31a内に鉛直方向(上下方向)から流入しやすい傾向がある。内管21内へ流入した排気ガスは、基板処理の品質を低下させる要因となる。
【0054】
また、図6(b)に示すように、第1排気口41から排出された排気ガスが、排気バッファ空間のうち、内管21の側壁と外管22の側壁との間の平面視において円環状の空間(側方バッファ空間)を介して、ガス供給口31側へ回り込み、ガス供給口31を介して内管21内へ流入する場合がある。このときの排気ガスの経路を、図6(b)において「排気経路B」で示す。特に、第2排気口91から遠い第1排気口41aから排出されたガスは、側方バッファ空間内へ流れ込みやすく、第1排気口41aに対向するガス供給口31a内に水平方向(左右方向)から流入しやすい傾向がある。上述したように、内管21内へ流入した排気ガスは、基板処理の品質を低下させる要因となる。
【0055】
これらの課題を解決するため、本態様では、図5(a)~図5(c)等に示すように、排気バッファ空間に整流機構R(後述するフィン100~400を含む整流板群の総称)を設け、排気バッファ空間内における排気ガスの流れ(流路)を制御するようにしている。
【0056】
図5(a)に示すように、整流機構Rは、複数のガス供給口31のそれぞれの近傍に、フィン100とフィン200をそれぞれ2枚ずつ備えている。具体的には、整流機構Rは、ガス供給口31を挟んで鉛直方向の両側のそれぞれ、すなわち、ガス供給口31の直上および直下のそれぞれに、フィン100を備えている。また、整流機構Rは、ガス供給口31を挟んで水平方向の両側のそれぞれ、すなわち、ガス供給口31の左側および右側のそれぞれに、フィン200を備えている。また、整流機構Rは、ガス供給口31cを水平方向の両側から挟むフィン200の端部に、具体的には、フィン200の下端部にフィン300を備えている。また、整流機構Rは、第1排気口41aの近傍に、具体的には、第1排気口41aの直上に、フィン400を備えている。本明細書では、ガス供給口31aを鉛直方向の両側から挟むフィン100を第1フィンとも呼び、ガス供給口31aを水平方向の両側から挟むフィン200を第2フィンとも呼ぶ。また、ガス供給口31bを鉛直方向の両側から挟むフィン100を第3フィンとも呼び、ガス供給口31bを水平方向の両側から挟むフィン200を第4フィンとも呼ぶ。また、フィン300を第5フィンとも呼び、フィン400を第6フィンとも呼ぶ。
【0057】
以下、整流機構Rが備える第1~第6フィン(フィン100~400)の構成を詳しく説明する。
【0058】
(第1フィン、第3フィン)
図4図5(a)に示すように、第1フィン、第3フィンとしての複数のフィン100のそれぞれは、内管21の外壁における複数のガス供給口31のそれぞれの上下近傍に、内管21の外周に沿って水平方向に延在するように設けられている。
【0059】
複数のフィン100のそれぞれは、内管21の外壁から外管22の内壁に向かって、すなわち、内管21の径方向外側に向かって突出する整流板として構成されている。内管21の径方向外側に向かうフィン100の端部と外管22の内壁との間には、所定の距離、例えば、2mmよりも大きく7mmよりも小さい距離だけ離れた間隙が維持されるように構成されている。複数のフィン100のそれぞれは、ガス供給口31aの直上におけるフィン100も含め、水平姿勢で収容されるウエハWの主面に対して平行な姿勢で設けられている。
【0060】
図5(a)に示すように、複数のフィン100のそれぞれは、側面視において水平直線形状(平板状)に構成され、ガス供給口31の水平方向における内径よりも大きな所定の長さ(延在長)で設けられている。複数のフィン100は、全て同じ延在長で設けられている。フィン100は、鉛直方向(配列方向)に沿ってガス供給口31をそれぞれ両側から挟むように設けられている。ガス供給口31aの直上におけるフィン100は、内管21の上端部(天板)よりも所定の距離だけ下方に設けられている。
【0061】
(第2フィン、第4フィン)
また、図5(a)に示すように、第2フィン、第4フィンとしての複数のフィン200のそれぞれは、内管21の外壁における複数のガス供給口31のそれぞれの左右近傍に、鉛直方向(配列方向)に沿って延在するように設けられている。
【0062】
図4にも示すように、複数のフィン200のそれぞれは、フィン100と同様に、内管21の外壁から外管22の内壁に向かって、すなわち、内管21の径方向外側に向かって突出する整流板として構成されている。内管21の径方向外側に向かうフィン200の端部と外管22の内壁との間には、フィン100と同様に、所定の距離、例えば、2mmよりも大きく7mmよりも小さい距離だけ離れた間隙が維持されるように構成されている。
【0063】
図5(a)に示すように、複数のフィン200のそれぞれは、側面視において鉛直直線形状(平板状)に構成され、ガス供給口31の鉛直方向における内径よりも大きな所定の長さ(延在長)で設けられている。フィン200は、水平方向に沿ってガス供給口31をそれぞれ両側から挟むように設けられている。ガス供給口31の左側に設けられる複数のフィン200により、一体の平板が構成される。同様に、ガス供給口31の右側に設けられる複数のフィン200により、一体の平板が構成される。図5(b)に示すように、これらの平板における側面(水平方向の外側における側面)は、段差や間隙を有さない連続的な平滑面として構成されている。
【0064】
図5(a)に示すように、フィン100の水平方向における端部は、水平方向の両側に設けられたフィン200に接合されている。これにより、複数のガス供給口31における外周は、フィン100とフィン200とによりそれぞれ隙間なく(連続的に)囲われている。
【0065】
(第5フィン)
図5(a)に示すように、第5フィンとしての2枚のフィン300のそれぞれは、内管21の外壁におけるガス供給口31側であってガス供給口31cの下方側に、鉛直方向(配列方向)に沿って、すなわち、第2排気口91へ向かって、所定の長さ(延在長)で延在するように設けられている。2枚のフィン300は、ガス供給口31cを水平方向の両側から挟む2枚のフィン200の下端部から下方に向かって延在している。2枚のフィン300の下方側の端部は、それぞれ、例えば、ヒータ10の下端部の近傍であって、ヒータ10の下端部よりも上方に位置している(図1参照)。
【0066】
2枚のフィン300のそれぞれは、フィン100等と同様に、内管21の外壁から外管22の内壁に向かって、すなわち、内管21の径方向外側に向かって突出する整流板として構成されている。内管21の径方向外側に向かうフィン300の端部と外管22の内壁との間には、フィン100等と同様に、所定の距離、例えば、2mmよりも大きく7mmよりも小さい距離だけ離れた間隙が維持されるように構成されている。
【0067】
図5(a)に示すように、2枚のフィン300のそれぞれは、側面視において鉛直直線形状(平板状)に構成されている。ガス供給口31の左側に設けられる複数のフィン200とフィン300とにより、一体の平板が構成されている。ガス供給口31の右側に設けられる複数のフィン200とフィン300とにより、一体の平板が構成されている。図5(b)に示すように、これらの平板における側面(水平方向の外側における側面)は、段差や間隙を有さない連続的な平滑面として構成されている。
【0068】
(第6フィン)
図5(b)、図5(c)に示すように、第6フィンとしてのフィン400は、内管21の外壁における第1排気口41側の上端側、すなわち、第1排気口41aの上方近傍に、内管21の外周に沿って水平方向に延在するように設けられている。フィン400は、側面視において水平直線形状(平板状)に構成され、第1排気口41aの水平方向における内径よりも大きな所定の長さ(延在長)で設けられている。フィン400は、内管21の上端部(天板)よりも所定の距離だけ下方に設けられている。
【0069】
フィン400は、フィン100等と同様に、内管21の外壁から外管22の内壁に向かって、すなわち、内管21の径方向外側に向かって突出する整流板として構成されている。内管21の径方向外側に向かうフィン400の端部と外管22の内壁との間には、フィン100等と同様に、所定の距離、例えば、2mmよりも大きく7mmよりも小さい距離だけ離れた間隙が維持されるように構成されている。
【0070】
(4)本態様の効果
本態様によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0071】
(a)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31aの近傍に、ガス供給口31aの外周の少なくとも一部を囲うフィンを備えている。これにより、排気バッファ空間内を流れる排気ガスが、ガス供給口31aを介して内管21内へ流入することを抑制することができる。結果として、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の上部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0072】
(b)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31aの近傍に、ガス供給口31aの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在するフィン100(第1フィン)を備えている。フィン100は、配列方向(鉛直方向)に沿ってガス供給口31aをそれぞれ両側から挟むように設けられている。これらにより、排気バッファ空間内を流れる排気ガスが、ガス供給口31a内へ流入することを、抑制することが可能となる。結果として、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の上部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を、向上させることが可能となる。
【0073】
(c)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31aの近傍に、ガス供給口31aの配列方向(鉛直方向)における内径よりも大きな所定の長さで配列方向(鉛直方向)に沿って延在するフィン200(第2フィン)を備えている。フィン200は、水平方向に沿ってガス供給口31aをそれぞれ両側から挟むように設けられている。これらにより、排気バッファ空間内を流れる排気ガスが、ガス供給口31a内へ流入することを、抑制することが可能となる。結果として、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の上部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を、向上させることが可能となる。
【0074】
(d)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31bの近傍に、ガス供給口31bの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在するフィン100(第3フィン)を備えている。フィン100は、配列方向(鉛直方向)に沿ってガス供給口31bをそれぞれ両側から挟むように設けられている。これらにより、排気バッファ空間内を流れる排気ガスが、ガス供給口31b内へ流入することを、抑制することが可能となる。結果として、基板収容領域65の上部側以外の場所に収容されたウエハWに対しても、基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0075】
(e)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31bの近傍に、ガス供給口31bの配列方向(鉛直方向)における内径よりも大きな所定の長さで鉛直方向に沿って延在するフィン200(第4フィン)を備えている。フィン200は、水平方向に沿ってガス供給口31bをそれぞれ両側から挟むように設けられている。これらにより、排気バッファ空間内を流れる排気ガスが、ガス供給口31b内へ流入することを、抑制することが可能となる。結果として、基板収容領域65の上部側以外の場所に収容されたウエハWに対しても、基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0076】
(f)本態様の整流機構Rは、ガス供給口31cの近傍に設けられるフィン200の端部から、配列方向(鉛直方向)に沿って所定の長さで延在するフィン300(第5フィン)を備えている。これにより、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の下部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0077】
というのも、フィン300を設けないこととした場合、図7(a)の破線で示す箇所、すなわち、ガス供給口31cの周辺で排気ガスの乱流が発生し、この乱流の影響を受けて、ガス供給口31c内へ排気ガスが微量に流入する場合がある。この場合、上述の効果は充分に得られるものの、その効果が得られる範囲内で、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の下部側に配置されたウエハWに対する処理の品質に影響が出る場合がある。
【0078】
このような課題に対し、フィン300を設けることにより、図7(b)に破線で示すように、排気ガスの乱流の発生箇所を、ガス供給口31cから遠ざけることが可能となる。これにより、ガス供給口31c内への排気ガスの流入を抑制し、基板処理の品質、特に、基板収容領域65の下部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0079】
(g)本態様の整流機構Rにおいては、ガス供給口31の左側に設けられる複数のフィン200とフィン300とにより、一体の平板が構成されている。また、ガス供給口31の右側に設けられる複数のフィン200とフィン300とにより、一体の平板が構成されている。そして、これらの平板における側面(水平方向の外側における側面)は、段差や間隙を有さない連続的な平滑面として構成されている。これらにより、排気バッファ空間内における乱流の発生を抑制し、基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0080】
(h)本態様の整流機構Rは、第1排気口41aの近傍に、第1排気口41aの水平方向における内径よりも大きな所定の長さで水平方向に沿って延在するフィン400(第6フィン)を備えている。これにより、複数の第1排気口41、特に、第1排気口41aから排出された排気ガスが、上部バッファ空間内へ流れることを抑制することができる。これにより、上部バッファ空間を介したガス供給口31a内への排気ガスの流入を抑制することが可能となる。結果として、ウエハWに対する基板処理、特に、基板収容領域65の上部側に配置されたウエハWに対する基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【0081】
<本開示の他の態様>
以上、本開示の一態様を具体的に説明したが、本開示が上述の態様に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0082】
また、例えば、上述の態様では、第1フィンあるいは第3フィンとしてのフィン100を、ガス供給口31の上下両側にそれぞれ設け、第2フィンあるいは第4フィンとしてのフィン200を、ガス供給口31の左右両側にそれぞれ設ける場合について説明したが、本開示はこれらの場合に限定されない。例えば、フィン100を、ガス供給口31の上側および下側のうちいずれか一方にのみ設けるようにしてもよく、フィン200を、ガス供給口31の左側および右側のうちいずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。これらの場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。
【0083】
また例えば、上述の態様では、第5フィンとしてのフィン300を、ガス供給口31cを水平方向の両側から挟む2枚のフィン200の下端部からそれぞれ延在させる場合、すなわち、フィン300を2枚設ける場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、フィン300を、ガス供給口31cを水平方向の両側から挟む2枚のフィン200のうちいずれか一方の下端部から延在させ、フィン300を1枚のみ設けるようにしてもよい。この場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。
【0084】
また例えば、上述の態様では、フィン100~400の全てを設ける場合について説明したが、本開示はこの場合に限定されない。例えば、ガス供給口31aの直上のフィン100のみを設け、他のフィンの設置を省略してもよい。このような場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。
【0085】
また例えば、上述した態様では、ガス供給口31のそれぞれを、フィン100とフィン200とを用いて個別に囲う場合について説明したが、本開示はこの場合に限定されない。例えば、数個(例えば2~5個)のガス供給口31を一つの囲う単位として定め、この単位を(数個のガス供給口31を)フィン100とフィン200とを用いてまとめて囲うようにしてもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0086】
また例えば、上述した態様では、複数のフィン100を全て同じ延在長で設ける場合について説明したが、本開示はこの場合に限定されない。例えば、ガス供給口31aの直上に設けられるフィン100の延在長を最も長くして、フィン100の位置が下方になるにつれて、その延在長を徐々に短くなるようにしてもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。但し、複数のフィン100を全て同じ延在長とした上述の態様の方が、第1排気口41から排気バッファ空間内へ排出されたガスが、ガス供給口31内へ流入することを抑制できる点で好ましい。
【0087】
また例えば、上述した態様では、第1、第2フィン(フィン100,200)をそれぞれ平板状に構成し、ガス供給口31の左側に設けられる複数のフィン200により一体の平板を構成し、また、ガス供給口31の右側に設けられる複数のフィン200により一体の平板を構成する場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、フィン100,200をそれぞれ湾曲させ、これらを連続的な曲面を構成するように一体化させ、図8(a)に示すように、内管をガス供給口側方向から側面視した際に、複数のガス供給口のそれぞれの外周を、曲線形状のフィンにより円形や楕円形に囲うようにしてもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。但し、直線形状のフィン100とフィン200とにより隙間なく囲う上述の態様の方が、排気バッファ空間内での乱流の発生を抑制できる点で好ましい。
【0088】
また例えば、上述した態様では、複数のフィン100,200のそれぞれにおいて、内管21の径方向外側に向かうフィン100の端部と外管22の内壁との間には、同じ距離の間隙が維持されている例について説明したが、本開示はこのような構成に限定されない。例えば、ガス供給口31aの直上に設けられるフィン100における当該距離の間隙が最も狭くなるように、フィン100の大きさ(内管21の外壁からの突出量)を設定してもよい。また例えば、ガス供給口31aの左右に設けられるフィン200における当該距離の間隙が最も狭くなるように、フィン200の大きさ(内管21の外壁からの突出量)を設定してもよい。これらのようにすることで、排気バッファ空間内を流れる排気ガスがガス供給口31a内へ流入することを、より確実に抑制することが可能となる。
【0089】
また例えば、上述の態様では、ガス供給口31aの直上におけるフィン100を含め、複数のフィン100のそれぞれを、水平姿勢で収容されるウエハWの主面に対して平行な姿勢で設ける場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ガス供給口31aの直上において、フィン100を、内管21の径方向外側に向かうにつれてその端部が上がったり、または下がったりするような姿勢で、すなわち、傾斜姿勢で設けるようにしてもよい。他のフィン100においても、同様に構成してもよい。これらの場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。
【0090】
また例えば、上述した態様では、上端が閉塞した内管21を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、上端が開放した内管21、すなわち、上端に天板を有さない内管21を用いるようにしてもよい。このような場合においても、上述の各種フィンを設けることにより、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。なお、内管21の上端を開放する場合には、複数の第1排気口41の少なくともいずれかから排出され、上部バッファ空間内へと流れ込んだ排気ガスが、上端の開放部から内管21内へと流入しやすくなる。このような課題に対し、第6フィンとしてのフィン400を設けることは、複数の第1排気口41の少なくともいずれかから排出された排気ガスの上部バッファ空間内への回り込みを抑制することが可能となる点で、特に有意義となる。
【0091】
また例えば、上述の態様では、ガス供給口31aの直上におけるフィン100を、内管21の上端部よりも下方に設ける場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ガス供給口31aの直上におけるフィン100を、内管21の上端部と同じ高さに設けるようにしてもよい。このような場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。なお、ガス供給口31aの直上におけるフィン100を、内管21の上端部と同じ高さに設ける場合には、内管21の上端部とフィン100との間を、段差のない平坦面として構成することが可能となる。これにより、内管21の上端部周辺における乱流の発生を抑制することが可能となる。結果として、ガス供給口31aを介した内管21内への排気ガスの侵入や、内管21の上端を開放した場合における内管21内への排気ガスの侵入等を抑制することが可能となる。
【0092】
また例えば、上述の態様では、第1ガス排気口41aの直上における第6フィンとしてのフィン400を、内管21の上端部よりも下方に設ける場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、内管21の上端部と同じ高さに設けるようにしてもよい。このような場合においても、上述の態様で記載した効果のうち、少なくとも一部の効果を得ることができる。なお、第1ガス排気口41aの直上におけるフィン400を、内管21の上端部と同じ高さに設ける場合には、内管21の上端部とフィン400との間を、段差のない平坦面として構成することが可能となる。これにより、内管21の上端部周辺における乱流の発生を抑制することが可能となる。結果として、第1ガス排気口41aを介したガスの排気を、安定して行うことが可能となる。また、内管21の上端を開放した場合には、乱流による内管21内への排気ガスの侵入等を抑制することも可能となる。
【0093】
また例えば、上述した態様では、ノズル30の先端を図1に示すように内管21よりも外側に設け、内管21内へのガス供給を内管21の外側から行う場合について説明したが、本開示はこの場合に限定されない。例えば、ノズル30の先端を内管21の内側に設け、内管21内へのガス供給を内管21の内側から行うようにしてもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。また、このようにすることで、ノズル30から内管21内へ供給されるガスによる内管21内への排気ガスの巻き込みを、抑制することが可能となる。
【0094】
また例えば、上述した態様では、第5フィンとしてのフィン300を、最下側に設けられた第2フィンとしてのフィン200の下端部から鉛直方向の下方に向かって延在させる例について説明したが、本開示はこの場合に限定されない。例えば、2枚の第5フィンのいずれか、或いは、両方を、最下側に設けられた第2フィンの下端部から、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜させてもよい。すなわち、2枚の第5フィンのいずれか、或いは、両方の延在方向に、垂直方向成分だけでなく、水平方向成分を含ませてもよい。このようにしても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0095】
また例えば、図8(b)に示すように、2枚の第5フィンを、最下側に設けられた第2フィンの下端部から鉛直方向の下方に向かってそれぞれ延在させる際、これらのいずれか、或いは、両方を、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜させ、下流端で合流させるようにしてもよい。このようにしても、上述の態様と同様の効果が得られる。また、このようにすることで、乱流発生箇所が2か所から1か所に減ることとなり、ガス供給口内へ排気ガスが流入する可能性をさらに低減させることが可能となる。結果として、基板処理の品質、特に、基板収容領域の下部側に配置されたウエハに対する処理の品質をさらに向上させることが可能となる。
【0096】
また例えば、上述した態様では、複数の第1排気口41のそれぞれを、内管21の側壁における基板収容領域65を挟んでガス供給口31と対向する位置に設ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1排気口41を、内管21の側壁における基板収容領域65を挟んでガス供給口31と対向する位置から、内管21の側壁の周方向に沿って所定の距離をずらして設けるようにしてもよい。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0097】
また例えば、上述した態様では、ガス供給口31および第1排気口41のそれぞれを、基板収容領域65内に収容される複数のウエハ200毎に一つずつ設ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ガス供給口31および第1排気口41のうち少なくともいずれかを、基板収容領域65内に収容される複数枚のウエハ200に対して数枚毎(例えば2~5枚間隔で)に設けるようにしてもよい。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0098】
また例えば、上述した態様では、ウエハW上にSiN膜を形成する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ウエハW上に、シリコン膜(Si膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等を形成する場合においても、本開示は好適に適用可能である。また、ウエハW上に、チタン膜(Ti膜)、チタン酸化膜(TiO膜)、チタン窒化膜(TiN膜)、アルミニウム膜(Al膜)、アルミニウム酸化膜(AlO膜)、ハフニウム酸化膜(HfO)膜等の金属系薄膜を形成する場合においても、本開示は好適に適用可能である。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0099】
本開示は、複数枚のウエハW上にそれぞれ膜を形成する処理に限らず、複数枚のウエハWのそれぞれに対してエッチング処理を行う場合、アニール処理を行う場合、プラズマ改質処理を行う場合等においても、好適に適用可能である。これらの場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0100】
21 内管(インナーチューブ)
22 外管(アウターチューブ)
31,31a,31b,31c ガス供給口
41,41a,41b,41c 第1排気口
65 基板収容領域
91 第2排気口
W ウエハ(基板)
100 フィン(第1フィン、第3フィン)
200 フィン(第2フィン、第4フィン)
300 フィン(第5フィン)
400 フィン(第6フィン)
R 整流機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8