(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】モリブデンをエッチングするための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20231208BHJP
C23F 1/38 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01L21/308 F
C23F1/38
(21)【出願番号】P 2022562306
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021027286
(87)【国際公開番号】W WO2021211708
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダス, アタヌ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, エマニュエル アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】ヨ, ジュヒ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル エル.
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リッピー, スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】キム, ウォンライ
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/066750(WO,A1)
【文献】特開2010-232486(JP,A)
【文献】特開2016-046514(JP,A)
【文献】特開2013-091820(JP,A)
【文献】特表2013-543261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0323129(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109518189(CN,A)
【文献】国際公開第2018/181896(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/075765(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
C23F 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子デバイスからモリブデンを除去するためのエッチャント組成物であって、
約0.1重量%~約2重量%の、少なくとも1つの酸化剤;
約0.0001重量%~約1重量%の、少なくとも1つの酸化剤安定剤
であって、グリシン、セリン、プロリン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、バリン及びリジン、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチドロン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、尿酸、テトラグライム、ジエチレントリアミン五酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、スルファニルアミド、及びそれらの組合せからなる群より選択される、酸化剤安定剤;
約0.1重量%~約10重量%の、少なくとも1つの塩基
であって、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、水酸化コリン、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される、塩基;及び
約84~約99.8重量%の水、
を含み、アンモニア又は水酸化アンモニウムを含まず、
9~11のpHを有する、エッチャント組成物。
【請求項2】
エッチャント組成物が少なくとも1つの錯化剤をさらに含む、請求項1に記載のエッチャント組成物。
【請求項3】
エッチャント組成物が少なくとも1つの有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載のエッチャント組成物。
【請求項4】
エッチャント組成物が、少なくとも1つの金属腐食防止剤をさらに含む、請求項1に記載のエッチャント組成物。
【請求項5】
マイクロ電子デバイスからモリブデンを除去する方法であって、
i)マイクロ電子デバイスからモリブデンを少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、マイクロ電子デバイスを、
約0.1重量%~約2重量%の、少なくとも1つの酸化剤;
約0.0001重量%~約1重量%の、少なくとも1つの酸化剤安定剤
であって、グリシン、セリン、プロリン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、バリン及びリジン、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチドロン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、尿酸、テトラグライム、ジエチレントリアミン五酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、スルファニルアミド、及びそれらの組合せからなる群より選択される、酸化剤安定剤;及び
約0.1重量%~約10重量%の、少なくとも1つの塩基
であって、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、水酸化コリン、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される、塩基、
を含むエッチャント組成物と接触させる工程と、
ii)モリブデンを5~200Å/分のエッチング速度でエッチングする工程と、
を含み、エッチャント組成物はアンモニア又は水酸化アンモニウムを含まず、
9~11のpHを有する、マイクロ電子デバイスからモリブデンを除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化チタン(TiN)及び絶縁体材料(即ち、Low-k誘電体)等の他の金属成分に対してモリブデン又はモリブデン系合金を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。より詳細には、本開示は、30~200Å/分の目標エッチング速度でモリブデンを除去するpH値が高いエッチャント組成物を記載する。
【背景技術】
【0002】
3D-NANDの製造における電極として、典型的には、タングステン及びタングステン系材料が使用される。しかし、タングステン材料は、様々なエッチャント組成物に敏感であることが分かっている。例えば、W電極を用いたプロセスにおいて、電極分離(いわゆる「Wリセス」)に用いられるリン酸及び硝酸を含む酸性組成物が、タングステン層の部分的なエッチングを引き起こすことが分かった。
【0003】
現在、3D-NAND構造は、メモリデバイスにおいて実用化されている。メモリ性能の効率をより良くするために、3D-NAND製造業者は、メモリデバイスにおいて優れた性能をもたらすことができる他の材料を調査してきた。特に、多くの3D-NAND製造業者は、W層をモリブデンで置き換えている。その結果、製造業者は、TiNを除去することなくリセス内のMoを選択的に除去することができるエッチャント組成物を必要としている。特に興味深いのは、制御されたエッチング条件下で各リセスが実質的に同じ目標エッチング深さを達成するようなエッチング速度でモリブデンを選択的に除去することができるエッチャント組成物である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般に、マイクロ電子デバイスからモリブデンを選択的に除去するためのエッチャント組成物及び方法に関する。エッチャント組成物は、3D-NANDデバイスのMo含有リセスにおいて実質的に一貫したエッチング深さを効率的かつ効果的に達成するのに十分なエッチング速度でモリブデンを除去することが有利である。
【0005】
一実施形態において、本開示は、モリブデンを除去するためのエッチャント組成物に関する。組成物は、少なくとも1つの酸化剤と、少なくとも1つの酸化剤安定剤と、少なくとも1つの塩基と、水とを含む。エッチャント組成物は、アンモニア又は水酸化アンモニウムを含まず、pHは7.5~12である。このpHにおいて、酸化剤安定剤を含むことにより、エッチャント組成物は、5~200Å/分のエッチング速度でモリブデンを除去する。
【0006】
別の実施形態では、本開示は、目標エッチング速度でマイクロ電子デバイスからモリブデンを除去する方法に関する。この方法は、マイクロ電子デバイスからモリブデンを少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、マイクロ電子デバイスをエッチャント組成物と接触させることを含む。エッチャント組成物は、少なくとも1つの酸化剤と、少なくとも1つの酸化剤安定剤と、少なくとも1つの塩基と、水とを含む。エッチャント組成物は、アンモニア又は水酸化アンモニウムを含まず、pHは7.5~12である。この方法は、5~200Å/分のエッチング速度でモリブデンをエッチングすることをさらに含む。
【0007】
他の態様、特徴及び利点は、以下の開示及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。そのようなエッチャント組成物は、オーバーエッチングすることなくモリブデンのエッチングを十分に制御することができると同時に、他の金属成分(特にTiN)の存在下でモリブデンを選択的に除去することができることが分かった。このような相性及びエッチング制御は、例えば3D-NANDデバイスの製造において、大きな利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、一般に、モリブデン及びモリブデン含有材料を、そのような材料をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するのに有用な水性又は半水性組成物に関する。組成物は、TiNの存在下でモリブデンを選択的に除去するのに特に有用である。
【0009】
参考までに、「マイクロ電子デバイス」は、マイクロエレクトロニクス、集積回路、エネルギー収集、又はコンピュータチップ用途で使用するために製造された、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、及び他の製品(太陽電池デバイス、太陽光発電、及び微小電気機械システム(MEMS)を含む)に該当する。特に好ましいマイクロエレクトロニクスは、3D-NANDデバイスである。「マイクロ電子デバイス」、「マイクロ電子基板」、及び「マイクロ電子デバイス構造」という用語は、決して限定的なものではなく、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリとなる任意の基板又は構造を含むことを理解されたい。
【0010】
マイクロ電子デバイスは、モリブデン含有材料を含む。本明細書で使用される場合、「モリブデン含有材料」及び「モリブデン」は、材料の総重量に基づいて、50重量%を超えるモリブデン元素を含む任意の材料を含む。モリブデン含有材料の例には、純粋なモリブデン(Mo)及びモリブデンを含有する合金又は混合物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、マイクロ電子デバイスの製造中に堆積したモリブデンは、一般に5重量%未満のアルミニウム(Mo-Al)又はチタン(Mo-Ti)も含有し得ることが知られており、「モリブデン」はこれらの材料を含むものとする。様々なモリブデン種の化学式は、モリブデンイオンの酸化状態によって変化し得るが、モリブデンの一般的な酸化状態は、-3、-1、+1、+2、+3、+4、+5又は+6であることは、当業者によって理解されよう。
【0011】
本明細書で使用される場合、「窒化チタン」及び「TiNx」は、純粋な窒化チタン、並びに様々な化学量論及び酸素含有量を含む不純な窒化チタン(TiOxNy)に該当する。
【0012】
本明細書で定義される「Low-k誘電材料」は、層状マイクロ電子デバイス内の誘電材料として使用される任意の材料に該当し、当該材料の誘電率は約3.5未満である。好ましくは、Low-k誘電材料は、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラス等の低極性材料を含む。Low-k誘電材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有し得ることを理解されたい。
【0013】
本明細書で定義されるように、「金属導体層」又は「金属層」は、銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、それらを含む合金、及びそれらの組合せを含む。
【0014】
「実質的に含まない」は、本明細書では2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満と定義される。一実施形態では、「実質的に含まない」は0%に相当し、組成物が特定の成分を含まないことを示す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」は、記載された値の±5%に相当することを意図している。
【0016】
本明細書に記載される組成物は、以下でより詳細に説明するように、多種多様な特定の配合物として具体化することができる。
【0017】
組成物の特定の成分がゼロ下限を含む重量パーセント範囲を参照して論じられている全てのそのような組成物において、そのような成分は、組成物の様々な具体的実施形態において存在しても存在しなくてもよく、そのような成分が存在する場合、それらは、そのような成分が使用される組成物の総重量に基づいて、0.001重量パーセントという低い濃度で存在し得ることが理解されよう。
【0018】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という用語、並びにその変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の成分、整数又は工程を排除しない。しかし、「含む(comprising)」という単語が使用される場合は常に、「含む(comprising)」が、「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」と読まれる実施形態も明白に包含される。
【0019】
本明細書では、文脈上特に必要としない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上そうでないことを要しない限り、単数だけでなく複数も想定しているものとして理解されるべきである。
【0020】
本発明の各態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに関連して説明したとおりであろう。本出願の範囲内において、先行する段落、特許請求の範囲、並びに/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、実施例及び代替形態、そして特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組合せで採用され得ることを明確に意図するものである。即ち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が相容れないものでない限り、任意の方法及び/又は組合せで組み合わせることができる。
【0021】
本開示は、マイクロ電子デバイスから(特にデバイスの高アスペクト比領域から)モリブデンを選択的に除去するためのエッチャント組成物及び方法に関する。そのようなデバイスのための典型的な水系モリブデンエッチャント組成物は、酸化剤を含み、低いpH(即ち7未満)に維持されている。本発明者らは、鋭意検討した結果、これらの酸性酸化条件下において、除去されるモリブデン領域は、酸化されてMoOx(MoO4
-2等)になることを見出した。相図分析に基づいて、これらの種を水性酸性組成物中に効果的に溶解することは非常に困難であり、エッチング速度の低下につながることが決定された。酸化モリブデン層の形成を効果的に除去又は防止するためには、水性アルカリ配合物が好ましいであろう。しかし、高pH条件下では、過酸化水素を含む多くの酸化剤が分解し、利用可能な酸化剤の量が減少し、それに応じてエッチャント組成物の効果が低下すると予想される。
【0022】
したがって、マイクロ電子デバイスからモリブデン系材料を制御可能にエッチングするために、本開示の一実施形態は、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの酸化剤安定剤、及び少なくとも1つの塩基を含む、からなる、又はから本質的になる、エッチャント組成物に関する。エッチャント組成物は水性又は半水性であってもよく、pHは7.5~13である。驚くべきことに、pHの高いエッチャント組成物中に酸化剤安定剤を含めることにより、酸化剤の有意な分解を防ぎ、5と200Å/分の間に制御され得るエッチング速度で、マイクロ電子デバイスの高アスペクト比領域からモリブデンを除去するための効率的かつ効果的な組成物が提供されることが分かった。200Å/分を超えるエッチング速度でMoを除去するエッチャント組成物は、一貫して所望のエッチング深さ(20~30nm等)まで各リセスからMoを除去することは制御が困難であるため、特に3D-NAND構造を有するリセス等の高アスペクト比領域では望ましくない。エッチング速度が5Å/分未満であると、著しく長いエッチング時間を必要とし、3D-NANDの製造プロセスにおいて効率が悪くなるであろう。好ましくは、モリブデンエッチング速度は10~100Å/分、より好ましくは10~40Å/分である。
【0023】
本開示のエッチャント組成物中の少なくとも1つの酸化剤は、モリブデンを酸化して組成物-可溶性モリブデン種(好ましくはアルカリ性pH条件下で可溶性である)を生成することができる任意の種であってよい。適切な酸化剤の例としては、過酸化水素(H2O2)、FeCl3、FeF3、Fe(NO3)3、Sr(NO3)2、CoF3、MnF3、オキソン、(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)、硝酸(HNO3)、ペルオキソモノ硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO2)、塩素酸アンモニウム(NH4ClO3)、ヨウ素酸アンモニウム(NH4IO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、過ホウ酸アンモニウム(NH4BO3)、過塩素酸アンモニウム(NH4ClO4)、過ヨウ素酸アンモニウム(NH4IO4)、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)、次亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO)、タングステン酸アンモニウム((NH4)10H2(W2O7))、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ホウ酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム(KIO3)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過硫酸カリウム(K2S2O8)、次亜塩素酸カリウム(KClO)、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO2)、塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO3)、ヨウ化テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)IO3)、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)BO3)、過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO4)、過ヨウ化テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)IO4)、過硫酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)S2O8)、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、尿素過酸化水素((CO(NH2)2)H2O2)、過酢酸(CH3(CO)OOH)、t-ブチルヒドロペルオキシド、ニトロベンゼンスルホネート、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、過ヨウ素酸、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素-水素、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、過酢酸、又はt-ブチルヒドロペルオキシドを含む。
【0024】
酸化剤は、特に他の金属層の存在下で、マイクロ電子デバイスからモリブデンを除去するのに有効な任意の量で存在し得る。具体的には、エッチャント組成物は、約0.1重量%~約5重量%の酸化剤を含み得る。好ましくは、酸化剤の量は、約0.1重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~約1重量%である。酸化剤は、組成物に直接導入されてもよいし、又は酸化剤溶液のパーツとして調製され、後に残りの成分と組み合わされてから、マイクロ電子デバイスと接触させるものであってもよい。後者は、酸化剤がアルカリ条件に曝される時間を最小限に抑えることによって、酸化剤の分解をさらに防ぐ。
【0025】
エッチャント組成物は、組成物のpHを少なくとも7.5にするために、少なくとも1つの塩基をさらに含む。好ましくは、組成物のpHは7.5~13、より好ましくは8~11である。適切な塩基の例には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、及び水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)等)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、水酸化コリン、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、テトラアルキルホスホニウム水酸化物(例えば、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、及びテトラプロピルホスホニウムヒドロキシド等)、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、塩基は、TMAH又は水酸化コリンを含む。
【0026】
本明細書に記載のエッチャント組成物は、アンモニア又は水酸化アンモニウムを含まなくてもよく、好ましくは実質的に含まない。より好ましくは、エッチャント組成物はアンモニア及び水酸化アンモニウムを含まない。これらの塩基は、pHを所望のレベルに上昇させるのに有効であるが、実質的な健康及び環境上の懸念を提示し、これらの問題を処理したり軽減したりするためのコストを著しく増加させる。
【0027】
塩基は、アルカリ性pHレベルを提供及び/又は維持するのに有効な任意の量で存在し得る。特に、エッチャント組成物は、約0.1重量%~約10重量%の塩基を含み得る。好ましくは、塩基の量は、約0.1重量%~約8重量%、より好ましくは約0.1~約5重量%である。
【0028】
本開示のエッチャント組成物は、少なくとも1つの酸化剤安定剤をさらに含む。本明細書で使用される場合、「酸化剤安定剤」又は「安定剤」は、酸化剤としての有効性を低下させる過酸化水素等の酸化剤の分解を防止又は低減する化合物を含む。酸化剤安定剤は、酸化剤の前に、又は酸化剤と一緒にエッチャント組成物に添加することができる。適切な酸化剤安定剤には、グリシン、セリン、プロリン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、バリン及びリジン、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチドロン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、尿酸、テトラグライム、ジエチレントリアミン五酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、スルファニルアミド、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、酸化剤安定剤は、CDTA又はEDTAを含む。
【0029】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、酸化剤安定剤は、モリブデン材料の除去から生じる金属不純物を効果的に除去するか、そうでなければ捕捉すると考えられる。例えば、上述のように、モリブデンは、少量(ppmレベル等)のTiのAl等の追加の金属種を含むことができる。これらの金属は、特に高いpHで過酸化水素等の酸化剤の分解を引き起こすことが知られている。安定剤は、これらの金属を結合し、それによって酸化剤の分解量を減少させると考えられる。このため、安定剤は、酸化剤の安定性の向上及び分解の低減をもたらすのに有効な任意の量で存在してもよいが、酸化剤安定剤は、一般に、以下でより詳細に説明する任意の錯化剤よりも少ない量で存在する。例えば、エッチャント組成物は、約0.0001重量%~約1.0重量%の酸化剤安定剤を含み得る。好ましくは、安定剤の量は、約0.0005重量%~約0.5重量%、より好ましくは約0.001重量%~約0.1重量%である。
【0030】
上述の成分に加えて、本開示のエッチャント組成物は、マイクロ電子デバイスからモリブデンを選択的に除去するための組成物の性能をさらに改善及び/又は向上させるために存在する任意の追加の成分をさらに含む、それからなる、又は本質的にそれからなる、ものであってもよい。例えば、エッチャント組成物は、少なくとも1つの金属腐食防止剤、少なくとも1つの錯化剤、及び/又は少なくとも1つの溶媒をさらに含んでもよい。
【0031】
金属腐食防止剤は、モリブデン層の除去中にマイクロ電子デバイス上に存在する金属層を保護するために使用することができる。金属腐食防止剤は、限定されないが、5-アミノテトラゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1-フェニル-2-テトラゾリン-5-チオン、ベンズイミダゾール、メチルテトラゾール、ピラゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール(ATDT)、ベンゾトリアゾール(BTA)、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、1,2,3-トリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-ベンゾトリアゾール(mBTA)、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(3-ATA)、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール(5-ATA)、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、ペンチレンテトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-ベンジル-1H-テトラゾール、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、インジアゾール、アデニン、アデノシン、カルバゾール、及びそれらの組合せを含む、1つ以上の腐食防止剤を含む、それからなる、又はそれから本質的になることができる。好ましくは、金属腐食防止剤はトリルトリアゾールを含む。
【0032】
任意選択の金属腐食防止剤は、特に高いpHで、モリブデンのエッチング速度に大きな影響を与えることなく、金属層を腐食から保護するのに有効な任意の量で存在し得る。したがって、エッチャント組成物中の腐食防止剤の量は、本質的に防止剤に依存しないMoエッチング速度を提供する量である。具体的には、エッチャント組成物は、使用される際には約0.001重量%~約1.0重量%の腐食防止剤を含み得る。好ましくは、腐食防止剤の量は、約0.05重量%~約0.5重量%、より好ましくは約0.01~約0.10重量%である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「錯化剤」は、錯化剤、キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤であると当業者によって理解される化合物を含む。錯化剤は、本明細書に記載の組成物を使用してマイクロ電子デバイスから除去されるモリブデン原子及び/又はイオンと化学的に結合するか、又はこれを物理的に保持し、この材料のエッチング速度を改善する。適切な錯化剤としては、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、トリエチレンジアミン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、m-キシレンジアミン(MXDA)、イミノ二酢酸(IDA)、2-(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸、チオ尿素、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、尿酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’,-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸、2-ホスホノ-ブタン-1、2,3,4-テトラカルボン酸、カルボキシエチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、グリホサート、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)フェニルホスホン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸、フタル酸、乳酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、トリカルバリル酸、トリメチロールプロピオン酸、酒石酸、グルクロン酸、2-カルボキシピリジン、4,5-ジヒドロキシ-1,3-ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、錯化剤は、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、乳酸又はクエン酸を含む。
【0034】
任意の錯化剤は、モリブデンのエッチング速度を改善するのに有効な任意の量で存在し得る。例えば、エッチャント組成物は、使用される際には約0.1重量%~約20重量%の錯化剤を含み得る。好ましくは、錯化剤の量は、約0.5重量%~約15重量%、より好ましくは約1.0~約10重量%である。
【0035】
上述のように、本エッチャント組成物は水性組成物であってもよいし、又は半水性組成物であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、エッチャント組成物は、溶媒が加えられていない水を含み、他の実施形態では、エッチャント組成物は、少なくとも1つの水溶性若しくは水混和性有機溶媒を加えた水をさらに含む。水と一緒に少なくとも1つの溶媒を含めることにより、エッチングされたモリブデン表面の平坦性が改善される等、エッチャント組成物にさらなる改善を提供することができる。適切な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、2,3-ジヒドロデカフルオロペンタン、エチルペルフルオロブチルエーテル、メチルペルフルオロブチルエーテル、炭酸アルキル、炭酸アルキレン、4-メチル-2-ペンタノール、及びそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、少なくとも1つの溶媒はプロピレングリコールを含む。溶媒は、使用される際、使用される全溶媒の約10重量%~約90重量%、好ましくは全溶媒の約30重量%~約85重量%、より好ましくは全溶媒の約50重量%~約85重量%の量で存在してもよく、残りは水である。
【0036】
本開示のエッチャント組成物の一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、以下の範囲に存在する少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの酸化剤安定剤、少なくとも1つの塩基、及び水を含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になる。
【0037】
使用前に希釈される組成物の濃縮形態を作製することが一般的な慣行であることが理解されよう。例えば、組成物は、より濃縮された形態で製造され、その後、製造業者において、使用前に、及び/又は製造工場での使用中に、少なくとも1つの溶媒で希釈されてもよい。希釈比は、希釈剤約0.1:組成物濃縮物1~希釈剤約100:組成物濃縮物1の範囲であるとよい。本明細書に記載の組成物は、時間が経つと不安定となり得る酸化剤を含むことをさらに理解されたい。したがって、濃縮形態は、酸化剤を実質的に含まなくてもよく、酸化剤は、使用前及び/又は製造工場での使用中に製造業者によって濃縮物又は希釈組成物に導入することができる。
【0038】
本明細書に記載のエッチャント組成物は、それぞれの成分を単純に加え、混合して均質な状態とすることによって、容易に配合される。さらに、組成物は、単一パッケージの配合物として、或いは使用時又は使用前に混合される複数のパーツに分かれた配合物、好ましくは複数のパーツに分かれた配合物として容易に配合され得る。複数のパーツに分かれた配合物の個々のパーツは、ツールで、又はインラインミキサー等の混合領域/エリアで、又はツールの上流の貯蔵タンクで、混合され得る。複数のパーツに分かれた配合物の様々なパーツは、一緒に混合されたときに所望の組成物を形成する成分/構成成分の任意の組合せを含有するようにする。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍率で広く変化し(即ち希釈又は濃縮されてい)てもよく、組成物は、本明細書の開示と一致する成分の任意の組合せを様々かつ選択的に含む、それからなる、又は本質的にそれからなることができることが理解されよう。
【実施例】
【0039】
本開示のエッチャント組成物の特徴及び利点は、以下の非限定的な実施例によってより十分に説明され、特に明記しない限り、全ての比率及びパーセンテージは重量基準である。5~200Å/分のエッチング速度でマイクロ電子デバイスからモリブデンを選択的に除去するのに特に有用な高pHエッチャント組成物が示されている。
【0040】
滴定装置としてTEAHを使用して、酸化剤と目標pHに調整された錯化剤とを組み合わせることによって、エッチャント組成物を調製した。混合物を室温で15分間撹拌して、透明な溶液を得た。
【0041】
Mo層を有するテストサンプルを、組成物を含有する浴中に30℃で15分間置いた。除去されたMoの量を測定し、これらの組成物のTiNエッチング速度も決定した。
【0042】
エッチャント組成物及びそれぞれのエッチング速度を以下の表1に示す。
【0043】
これらの組成物はそれぞれ、酸化剤を1重量%及び酸化剤安定剤としてCDTAを0.01重量%含有していた。
【0044】
示されるように、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの酸化剤安定剤、及びpH7.5~13、好ましくはpH8~11の少なくとも1つの塩基を含むこれらのエッチャント組成物の各々は、5~200Å/分のエッチング速度でモリブデンを制御可能に除去する。さらに、対応するTiNエッチング速度は非常に低く、エッチャント組成物が選択的にMoを除去することを実証している。
【0045】
本発明は、例示的な実施形態及び特徴を参照して本明細書で様々に開示されているが、上記の実施形態及び特徴は本発明を限定することを意図するものではなく、本明細書の開示に基づいて、他の変形、修正及び他の実施形態が、当業者に示唆されることが理解されよう。したがって、本発明は、以下に記載される特許請求の範囲の精神及び範囲内の全てのそのような変形、修正及び代替の実施形態を包含するものとして広く解釈されるべきである。