(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】めっき装置およびめっき装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
C25D 21/10 20060101AFI20231208BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20231208BHJP
C25D 17/08 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C25D21/10 301
C25D7/12
C25D17/08 S
(21)【出願番号】P 2023548659
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2022046758
【審査請求日】2023-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 良輔
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527948(JP,A)
【文献】特表2009-517543(JP,A)
【文献】特許第7079388(JP,B1)
【文献】特表2007-509241(JP,A)
【文献】特許第7069442(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 9/00 - 9/12
C25D 13/00 - 21/22
C25D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液を収容するように構成されためっき槽と、
被めっき面を下方に向けた基板を保持するように構成された基板ホルダと、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
前記基板と前記アノードとの間に配置された抵抗体と、
前記基板と前記抵抗体との間に配置された攪拌部材と、
前記攪拌部材を前記基板の前記被めっき面に沿って往復運動させるように構成された駆動機構と、
を含み、
前記駆動機構は、前記抵抗体に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、前記基板および前記基板ホルダが前記めっき槽に収容されためっき液に浸漬されていない状態で、第1の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第1の気泡除去動作と、前記第1の位置とは異なる第2の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第2の気泡除去動作と、を実行するように構成される、
めっき装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記基板の前記被めっき面に対するめっき処理時において、前記被めっき面の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる攪拌動作を実行するように構成される、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記攪拌動作時に、標準ストロークで前記攪拌部材を往復運動させ、前記第1の気泡除去動作時および前記第2の気泡除去動作時に、前記標準ストロークよりも短い気泡除去用ストロークで前記攪拌部材を往復運動させるように構成される、
請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記攪拌部材の往復運動の範囲内に配置された遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記抵抗体と前記基板との間の遮蔽位置と、前記抵抗体と前記基板との間から離れた退避位置と、の間で移動可能な遮蔽機構と、をさらに含み、
前記攪拌部材は、前記遮蔽部材と対向する部分に前記遮蔽部材の形状に対応した切り欠きを有し、
前記駆動機構は、前記抵抗体に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、前記抵抗体の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる基準気泡除去動作と、前記基準位置より前記遮蔽部材に近づいた位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる周縁気泡除去動作と、を実行するように構成される、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記基板の前記被めっき面に対するめっき処理時において、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にある場合に、第1のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる基準攪拌動作と、前記遮蔽部材が前記退避位置にある場合に、前記第1のストロークよりも長い第2のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる拡張攪拌動作と、を実行するように構成される、
請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記第2のストロークは、前記攪拌部材の往復運動の範囲を前記第1のストロークよりも前記遮蔽部材側に長くしたストロークである、
請求項5に記載のめっき装置。
【請求項7】
抵抗体が内部に配置されためっき槽にめっき液を供給する供給ステップと、
前記めっき槽内の前記抵抗体の上方に配置された攪拌部材を第1の位置を中心に往復運動させることによって前記抵抗体に付着した気泡を除去する第1の気泡除去ステップと、
前記攪拌部材を前記第1の位置とは異なる第2の位置を中心に往復運動させることによって前記抵抗体に付着した気泡を除去する第2の気泡除去ステップと、
を
含み、
前記第1の気泡除去ステップおよび前記第2の気泡除去ステッ
プは、めっき対象である基板がめっき液に浸漬されていない状態で行われる、
めっき装置の動作方法。
【請求項8】
被めっき面を下方に向けた基板を前記めっき槽内のめっき液に浸漬させる浸漬ステップと、
前記基板の前記被めっき面にめっきを形成するめっきステップと、
前記めっきステップの実行中に、前記被めっき面の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる攪拌ステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載のめっき装置の動作方法。
【請求項9】
前記攪拌ステップは、標準ストロークで前記攪拌部材を往復運動させ、
前記第1の気泡除去ステップおよび前記第2の気泡除去ステップは、前記標準ストロークよりも短い気泡除去用ストロークで前記攪拌部材を往復運動させる、
請求項8に記載のめっき装置の動作方法。
【請求項10】
前記攪拌部材の往復運動の範囲内に遮蔽部材が配置され、前記攪拌部材の前記遮蔽部材と対向する部分に前記遮蔽部材の形状に対応した切り欠きが形成されている場合において、
前記第1の気泡除去ステップは、前記抵抗体の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる基準気泡除去ステップを含み、
前記第2の気泡除去ステップは、前記基準位置より前記遮蔽部材に近づいた位置を中心
に前記攪拌部材を往復運動させる周縁気泡除去ステップを含む、
請求項7に記載のめっき装置の動作方法。
【請求項11】
さらに、被めっき面を下方に向けた基板を前記めっき槽内のめっき液に浸漬させる浸漬ステップと、
前記基板の前記被めっき面にめっきを形成するめっきステップと、を有し、
前記めっきステップの実行中に、前記遮蔽部材を、前記抵抗体と前記基板との間の遮蔽位置と、前記抵抗体と前記基板との間から離れた退避位置と、の間で移動させる遮蔽ステップと、
前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にある場合に、第1のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる基準攪拌ステップと、
前記遮蔽部材が前記退避位置にある場合に、前記第1のストロークよりも長い第2のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる拡張攪拌ステップと、をさらに含む、
請求項10に記載のめっき装置の動作方法。
【請求項12】
前記第2のストロークは、前記攪拌部材の往復運動の範囲を前記第1のストロークよりも前記遮蔽部材側に長くしたストロークである、
請求項11に記載のめっき装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置およびめっき装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置の一例としてカップ式の電解めっき装置が知られている。カップ式の電解めっき装置は、被めっき面を下方に向けた基板(例えば半導体ウェハ)をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の被めっき面に導電膜を析出させる。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、カップ式の電解めっき装置では、基板とアノードとの間に抵抗体を配置することが知られている。また、カップ式の電解めっき装置では、基板と抵抗体との間に攪拌部材を配置し、攪拌部材を基板の被めっき面に沿って往復運動させることにより、めっき液を攪拌することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のめっき装置は、抵抗体の全体で効率よく気泡を除去することについて考慮されていない。
【0006】
すなわち、めっき装置では、めっき槽にめっき液を充填したときなどに抵抗体に気泡が付着する場合がある。この点、攪拌部材は、本来、めっき処理の際にめっき液を攪拌することによって、基板の被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化するために用いられるものであるが、抵抗体に付着した気泡を除去するために用いることも考えられる。
【0007】
しかしながら、めっき処理の際に用いられる標準的なストローク(例えば攪拌部材の周縁部が抵抗体の周縁部にちょうど重なるようなストローク)で攪拌部材を往復運動させると、抵抗体の周縁部に付着した気泡が除去されないおそれがある。この点、攪拌部材をさらに長いストロークで往復運動させることも考えられるが、この場合、ストロークが長いので気泡を除去するための十分な乱流が生じず、その結果、抵抗体に除去されない気泡が残ったり、気泡を除去するまでに長時間を要したりするおそれがある。
【0008】
そこで、本願は、抵抗体の全体で効率よく気泡を除去することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、被めっき面を下方に向けた基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記めっき槽内に配置されたアノードと、前記基板と前記アノードとの間に配置された抵抗体と、前記基板と前記抵抗体との間に配置された攪拌部材と、前記攪拌部材を前記基板の前記被めっき面に沿って往復運動させるように構成された駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記抵抗体に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、第1の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第1の気泡除去動作と、前記第1の位置とは異なる第2の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第2の気泡除去動作と、を実行するように構成される、めっき装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の攪拌部材を模式的に示す平面図である。
【
図5A】
図5Aは、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、抵抗体の周縁に近い位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図5C】
図5Cは、抵抗体の周縁に近い位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、めっき装置の動作方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図9A】
図9Aは、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図9B】
図9Bは、基準位置より遮蔽部材に近づいた位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図10A】
図10Aは、第1のストロークで攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図10B】
図10Bは、第2のストロークで攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図11は、めっき装置の動作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0012】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0013】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200およびスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0014】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0015】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0016】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0017】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0018】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0019】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0020】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
【0021】
図3は、本実施形態のめっきモジュール400の構成を概略的に示す縦断面図である。
図3に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっきモジュール400は、めっき槽410の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。めっき槽410の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。アノード領域424のめっき槽410の底面にはアノード430が設けられる。アノード430は、円板形状の基板Wfと概略等しい大きさを有する円板形状の部材である。
【0022】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfの外縁部に給電するための給電接点を備える。めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構442を備える。昇降機構442は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0023】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aの中央を垂直に伸びる仮想的な回転軸周りに基板Wfが回転するように基板ホルダ440を回転させるための回転機構446を備える。回転機構446は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、昇降機構442を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬し、回転機構446を用いて基板Wfを回転させながらアノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すように構成される。
【0024】
めっきモジュール400は、基板Wfとアノード430との間に配置された抵抗体450を備える。抵抗体450は、メンブレン420に対向してカソード領域422に配置されている。抵抗体450は、一実施形態では、アノード430側と基板Wf側とを貫通する複数の貫通孔が形成された板状部材(パンチングプレート)によって構成される。しかしながら、抵抗体450の形状は任意である。また、抵抗体450は、パンチングプレートに限定されず、例えばセラミック材料に多数の細孔が形成された多孔質体によって構成することができる。抵抗体450は、アノード430と基板Wfとの間の抵抗体として作用する。抵抗体450を配置することによって、アノード430と基板Wfとの間の抵抗値が大きくなるため電場が広がりにくくなり、その結果、基板Wfの被めっき面Wf-aに形成されるめっき膜厚の分布の均一性を向上させることができる。
【0025】
また、めっきモジュール400は、基板ホルダ440に保持された基板Wfと抵抗体450との間に配置された攪拌部材(パドル)480と、攪拌部材480をめっき液内で攪拌させるための駆動機構482と、を備える。駆動機構482は、例えばモータおよびリニアガイドなどの公知の機構によって実現することができる。駆動機構482は、基板Wfの被めっき面Wf-aに沿って攪拌部材480を往復運動させることにより、基板Wfの被めっき面の近傍のめっき液を攪拌するように構成される。
【0026】
図4は、一実施形態の攪拌部材を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、攪拌部材480は、矩形の基端部480Aと、基端部480Aに連結された概略楕円形の攪拌部480Bと、攪拌部480Bに連結された矩形の先端部480Cと、を有する板状部材によって構成される。攪拌部480Bにはハニカム状の多数の穴が形成される。基端部480Aは、攪拌部材480の往復運動方向に伸びるパドルシャフト484に支持される。駆動機構482は、パドルシャフト484に沿って攪拌部材480を往復運動させるように構成される。なお、攪拌部材480は、ハニカム状の穴が形成されていなくてもよく、例えば格子状に配置された複数の棒状部材を有する板部材によって構成することができる。
【0027】
本実施形態では、攪拌部材480は、めっき液を攪拌することによって基板Wfの被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化するために用いられる。これに加えて、攪拌部材480は、抵抗体450に付着した気泡を除去するために用いられる。すなわち、めっき装置1000では、めっき槽410にめっき液を充填したときなどに抵抗体450に気泡が付着する場合がある。特に、抵抗体450の貫通孔に気泡が付着する場合がある。めっき槽410にめっき液を充填したとき以外でも、抵抗体450に気泡が付着する場合がある。そこで、攪拌部材480は、抵抗体450の近傍でめっき液を攪拌することによってめっき液の乱流を発生させて、この乱流によって抵抗体450に付着した気泡を除去するために用いられる。以下、本実施形態における気泡除去について説明する。
【0028】
図5Aは、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図5Aおよび以下の図では、説明の便宜上、攪拌部材480の往復運動の一方の移動方向を+、反対の移動方向を-とし、最も+方向に移動した状態の攪拌部材480を実線で描き、最も-方向に移動した状態の攪拌部材480を破線で描いている。
【0029】
図5Aに示すように、攪拌部材480は、往復運動方向における攪拌部480Bのサイズが、抵抗体450の同方向のサイズよりも小さくなるように構成される。駆動機構482は、抵抗体450に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、第1の位置(本実施形態では抵抗体450の中心を通る基準位置)を中心に攪拌部材480を往復運動させる第1の気泡除去動作を実行するように構成される。
【0030】
より具体的には、駆動機構482は、第1の位置(±0mm)を中心に気泡除去用ストローク(βmmのストローク)で攪拌部材480を往復運動させる。ストロークとは、攪拌部材480の往復運動の中心を起点とする+方向の移動距離と-方向の移動距離との合計の距離である。本実施形態において気泡除去用ストローク(βmmのストローク)は、第1の位置(±0mm)を中心に攪拌部材480を+方向および-方向に最大限移動させたときに、攪拌部480Bの周縁部が抵抗体450の周縁部に重なるような標準ストローク(後述の
図6におけるYmmのストローク)よりも短いストロークである。
【0031】
図5Bは、抵抗体の周縁に近い位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図5Bに示すように、駆動機構482は、第1の位置とは異なる第2の位置(本実施形態では抵抗体450の中心を通る基準位置より+方向にαmmずれた位置)を中心に攪拌部材480を往復運動させる第2の気泡除去動作を実行するように構成される。より具体的には、駆動機構482は、第2の位置(+αmm)を中心にβmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させる。本実施形態における+αmmは、攪拌部材480を+方向に最大限移動させたときに攪拌部480Bの周縁部が抵抗体450の周縁部を越えるような長さである。
【0032】
図5Cは、抵抗体の周縁に近い位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図5Cに示すように、駆動機構482は、第1の位置および第2の位置とは異なる第3の位置(本実施形態では抵抗体450の中心を通る基準位置より-方向にαmmずれた位置)を中心に攪拌部材480を往復運動させる第3の気泡除去動作を実行するように構成される。より具体的には、駆動機構482は、第3の位置(-αmm)を中心にβmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させる。本実施形態における-αmmは、攪拌部材480を-方向に最大限移動させたときに攪拌部480Bの周縁部が抵抗体450の周縁部を越えるような長さである。
【0033】
本実施形態によれば、抵抗体450の全体で効率よく気泡を除去することができる。すなわち、第1の位置(±0mm)を中心に
図6に示すYmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させると、抵抗体450の周縁部に付着した気泡が除去されないおそれがある。この点、攪拌部材480をYmmよりもさらに長いストロークで往復運動させることも考えられるが、この場合、ストロークが長いので気泡を除去するための十分な乱流が生じず、その結果、抵抗体450に除去されない気泡が残ったり、気泡を除去するまでに長時間を要したりするおそれがある。
【0034】
これに対して、本実施形態では、第1の気泡除去動作によって主に抵抗体450の中央部に付着した気泡を除去することができる。また、第2の気泡除去動作によって主に抵抗体450の一方の周縁部に付着した気泡を除去することができる。また、第3の気泡除去動作によって主に抵抗体450の他方の周縁部に付着した気泡を除去することができる。言い換えれば、本実施形態によれば、複数の位置で泡抜き処理を行うことによって、それぞれの位置において重点的に気泡を除去することができるので、結果的に、抵抗体450の全体で効率よく気泡を除去することができる。特に、本実施形態では、Ymmよりも短いβmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させる。これにより、それぞれの位置で気泡を除去するための十分な乱流を生じさせることができ、その結果、抵抗体450の全体で効率よく気泡を除去することができる。
【0035】
次に、基板Wfの被めっき面に対するめっき処理時の攪拌動作について説明する。
図6は、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図6に示すように、駆動機構482は、基板Wfの被めっき面に対するめっき処理時において、被めっき面の中心を通る基準位置を中心に攪拌部材480を往復運動させる攪拌動作を実行するように構成される。
【0036】
より具体的には、駆動機構482は、基準位置(±0mm)を中心に標準ストローク(Ymmのストローク)で攪拌部材480を往復運動させる。本実施形態において標準ストローク(Ymmのストローク)は、基準位置(±0mm)を中心に攪拌部材480を+方向および-方向に最大限移動させたときに攪拌部材480の攪拌部480Bの周縁部が抵抗体450の周縁部に重なるようなストロークである。
【0037】
本実施形態によれば、被めっき面の中心を通る基準位置を中心に攪拌部材480を往復運動させることによって、被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化することができるので、被めっき面に形成されるめっき膜厚の分布の均一性を向上させることができる。
【0038】
次に、本実施形態のめっき装置の動作方法について説明する。
図7は、めっき装置の動作方法のフローチャートである。
図7に示すように、めっき装置の動作方法は、めっき槽410にめっき液を供給する(供給ステップS102)。めっき槽410にめっき液を供給すると、めっき槽410内に配置された抵抗体450に気泡が付着する。
【0039】
続いて、めっき装置の動作方法は、攪拌部材480を第1の位置(抵抗体450の中心を通る基準位置)を中心にβmmのストロークで往復運動させることによって抵抗体450に付着した気泡を除去する(第1の気泡除去ステップS104)。続いて、めっき装置の動作方法は、攪拌部材を第2の位置(抵抗体450の中心を通る基準位置より+方向にαmmずれた位置)を中心にβmmのストロークで往復運動させることによって抵抗体450に付着した気泡を除去する(第2の気泡除去ステップS106)。続いて、めっき装置の動作方法は、攪拌部材を第3の位置(抵抗体450の中心を通る基準位置より-方向にαmmずれた位置)を中心にβmmのストロークで往復運動させることによって抵抗体450に付着した気泡を除去する(第3の気泡除去ステップS108)。これにより、抵抗体450の全面で気泡が除去される。
【0040】
続いて、めっき装置の動作方法は、基板ホルダ440を下降させることによって、被めっき面を下方に向けた基板Wfをめっき槽410内のめっき液に浸漬させる(浸漬ステップS110)。続いて、めっき装置の動作方法は、回転機構446を用いて基板Wfを回転させながらアノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面にめっきを形成する(めっきステップS112)。めっき装置の動作方法は、めっきステップS112の実行中に、被めっき面の中心を通る基準位置を中心に攪拌部材480をYmmのストロークで往復運動させる(攪拌ステップS114)。これにより、被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化することができるので、被めっき面に形成されるめっき膜厚の分布の均一性を向上させることができる。なお、攪拌ステップS114は、めっきステップS112と同時に開始してもよいし、めっきステップS112の前に開始してもよい。
【0041】
続いて、めっき装置の動作方法は、めっき処理を終了するか否かを判定する(ステップS116)。めっき装置の動作方法は、例えば予め設定されためっき時間が経過していない場合には(ステップS116、No)、めっきステップS112に戻る。一方、めっき装置の動作方法は、例えば予め設定されためっき時間が経過した場合には(ステップS116、Yes)、めっき処理を終了する。
【0042】
図8は、本実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図8に示す実施形態は、
図3に示した実施形態と同様の構成を有し、さらに遮蔽部材481を備えているところが異なる。
図3に示した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図8に示すように、めっきモジュール400は、基板Wfと抵抗体450との間に配置され得る遮蔽部材481を備えている。遮蔽部材481は、アノード430と基板Wfとの間に形成される電場を遮蔽するための部材である。遮蔽部材481は例えば板状に形成された遮蔽板であってもよい。また、めっきモジュール400は、遮蔽部材481を移動させるための遮蔽機構485を備える。遮蔽機構485は、制御モジュール800から入力される基板ホルダ440の回転角度に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される。
【0044】
具体的には、遮蔽機構485は、めっきの堆積速度を抑制したい基板Wfの特定の部位の回転角度が所定範囲内にあるときは、
図8において実線で示すように、遮蔽部材481を、抵抗体450と基板Wfとの間の遮蔽位置に移動させるように構成される。一方、遮蔽機構485は、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定範囲外にあるときは、
図8において破線で示すように、遮蔽部材481を、抵抗体450と基板Wfとの間から離れた退避位置に移動させるように構成される。また、
図8に示すように、遮蔽部材481は、攪拌部材480と同じ高さ位置に配置されている。
【0045】
したがって、攪拌部材480を往復運動させると、攪拌部材480と遮蔽部材481が干渉する。言い換えると、遮蔽部材481は、攪拌部材480の往復運動の範囲内に配置されている。そこで、本実施形態のめっきモジュール400は、以下のようにして攪拌部材480と遮蔽部材481の干渉を防止している。
【0046】
図9Aは、基準位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図9Bは、基準位置より遮蔽部材に近づいた位置を中心に攪拌部材を往復運動させて気泡除去動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【0047】
図9A、
図9Bに示すように、攪拌部材480は、遮蔽部材481と対向する部分に遮蔽部材481の形状に対応した切り欠き480Dを有する。また、抵抗体450の気泡除去を行うときには、遮蔽部材481は退避位置にある。
図9Aに示すように、駆動機構482は、抵抗体450に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、抵抗体450の中心を通る基準位置を中心に攪拌部材480を往復運動させる基準気泡除去動作を実行するように構成される。
【0048】
より具体的には、駆動機構482は、基準位置(±0mm)を中心に標準ストローク(Ymmのストローク)で攪拌部材480を往復運動させる。この場合、攪拌部材480は切り欠き480Dを有するので、抵抗体450の切り欠き480Dに対応する部分(抵抗体450の周縁部分)の気泡が除去されないおそれがある。
【0049】
そこで、駆動機構482は、
図9Bに示すように、基準位置(±0mm)より遮蔽部材481に近づいた位置を中心に攪拌部材480を往復運動させる周縁気泡除去動作を実行するように構成される。より具体的には、駆動機構482は、基準位置(±0mm)より+Xmm遮蔽部材481に近づいた位置を中心にYmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させる。本実施形態における+Xmmは、攪拌部材480の往復運動の移動方向における切り欠き480Dのサイズであるが、これに限定されず、攪拌部材480を+方向に最大限移動させたときに切り欠き480Dが抵抗体450の周縁部を越えるような長さであればよい。
【0050】
本実施形態によれば、抵抗体450の全体で効率よく気泡を除去することができる。すなわち、遮蔽部材481との干渉を防止する目的で攪拌部材480に切り欠き480Dを形成した場合、
図9Aに示すように抵抗体450の切り欠き480Dに対応する部分(抵抗体450の周縁部分)の気泡が除去されないおそれがある。この点、攪拌部材480をさらに長いストロークで往復運動させることも考えられるが、この場合、ストロークが長いので気泡を除去するための十分な乱流が生じず、その結果、抵抗体450に除去されない気泡が残ったり、気泡を除去するまでに長時間を要したりするおそれがある。
【0051】
これに対して本実施形態では、抵抗体450の中心を通る基準位置、および基準位置より遮蔽部材481に近づいた位置のそれぞれで泡抜き処理を行うことによって、抵抗体450の切り欠き480Dに対応する部分の気泡も除去することができるので、結果的に、抵抗体450の全体で効率よく気泡を除去することができる。
【0052】
次に、基板Wfの被めっき面に対するめっき処理時の攪拌動作について説明する。
図10Aは、第1のストロークで攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図10Bは、第2のストロークで攪拌部材を往復運動させて攪拌動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
【0053】
図10Aに示すように、駆動機構482は、基板Wfの被めっき面に対するめっき処理時において、遮蔽部材481が遮蔽位置にある場合に、第1のストロークで攪拌部材480を往復運動させる基準攪拌動作を実行するように構成される。
【0054】
より具体的には、駆動機構482は、基板Wfの被めっき面の中心を通る基準位置(±0mm)を中心にYmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させる。また、
図10Bに示すように、駆動機構482は、遮蔽部材481が退避位置にある場合に、第1のストローク(Ymm)よりも長い第2のストローク(Y+Xmm)で攪拌部材480を往復運動させる拡張攪拌動作を実行するように構成される。これにより、攪拌部材480と遮蔽部材481の干渉を防止しつつ、被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化することができるので、被めっき面に形成されるめっき膜厚の分布の均一性を向上させることができる。なお、本実施形態では、第2のストロークは、攪拌部材480の往復運動の範囲を第1のストローク(Ymm)よりも遮蔽部材481側にXmm長くしたストロークであるが、これに限定されない。
【0055】
次に、本実施形態のめっき装置の動作方法について説明する。
図11は、めっき装置の動作方法のフローチャートである。
図11に示すように、めっき装置の動作方法は、めっき槽410にめっき液を供給する(供給ステップS202)。めっき槽410にめっき液を供給すると、めっき槽410内に配置された抵抗体450に気泡が付着する。
【0056】
続いて、めっき装置の動作方法は、抵抗体450の中心を通る基準位置を中心にYmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させることによって抵抗体450に付着した気泡を除去する(基準気泡除去ステップS204)。続いて、めっき装置の動作方法は、抵抗体450の中心を通る基準位置よりXmm遮蔽部材481に近づいた位置を中心にYmmのストロークで攪拌部材480を往復運動させることによって抵抗体450に付着した気泡を除去する(周縁気泡除去ステップS206)。これにより、抵抗体450の全面で気泡が除去される。
【0057】
続いて、めっき装置の動作方法は、基板ホルダ440を下降させることによって、被めっき面を下方に向けた基板Wfをめっき槽410内のめっき液に浸漬させる(浸漬ステップS208)。続いて、めっき装置の動作方法は、回転機構446を用いて基板Wfを回転させながらアノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面にめっきを形成する(めっきステップS210)。めっき装置の動作方法は、めっきステップ210の実行中に、遮蔽部材481を、遮蔽位置と退避位置との間で移動させる(遮蔽ステップS212)。
【0058】
めっき装置の動作方法は、めっきステップS210の実行中に、遮蔽部材481が遮蔽位置にあるか否かを判定する(判定ステップS214)。めっき装置の動作方法は、遮蔽部材481が遮蔽位置にあると判定した場合に(判定ステップS214、Yes)、第1のストローク(Ymm)で攪拌部材480を往復運動させる(基準攪拌ステップS216)。一方、めっき装置の動作方法は、遮蔽部材481が遮蔽位置にない(判定ステップS214、No)、つまり遮蔽部材481が退避位置にあると判定した場合に、第1のストロークよりも長い第2のストローク(Y+Xmm)で攪拌部材480を往復運動させる(拡張攪拌ステップS218)。これにより、攪拌部材480と遮蔽部材481の干渉を防止しつつ、被めっき面に対するめっき液中の金属イオンを均一化することができるので、被めっき面に形成されるめっき膜厚の分布の均一性を向上させることができる。
【0059】
続いて、めっき装置の動作方法は、めっき処理を終了するか否かを判定する(ステップS220)。めっき装置の動作方法は、例えば予め設定されためっき時間が経過していない場合には(ステップS220、No)、めっきステップS210に戻る。一方、めっき装置の動作方法は、例えば予め設定されためっき時間が経過した場合には(ステップS220、Yes)、めっき処理を終了する。
【0060】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0061】
本願は、一実施形態として、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、被めっき面を下方に向けた基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記めっき槽内に配置されたアノードと、前記基板と前記アノードとの間に配置された抵抗体と、前記基板と前記抵抗体との間に配置された攪拌部材と、前記攪拌部材を前記基板の前記被めっき面に沿って往復運動させるように構成された駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記抵抗体に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、第1の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第1の気泡除去動作と、前記第1の位置とは異なる第2の位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる第2の気泡除去動作と、を実行するように構成される、めっき装置を開示する。
【0062】
さらに、本願は、一実施形態として、前記駆動機構は、前記基板の前記被めっき面に対するめっき処理時において、前記被めっき面の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる攪拌動作を実行するように構成される、めっき装置を開示する。
【0063】
さらに、本願は、一実施形態として、前記駆動機構は、前記攪拌動作時に、標準ストロークで前記攪拌部材を往復運動させ、前記第1の気泡除去動作時および前記第2の気泡除去動作時に、前記標準ストロークよりも短い気泡除去用ストロークで前記攪拌部材を往復運動させるように構成される、めっき装置を開示する。
【0064】
さらに、本願は、一実施形態として、前記攪拌部材の往復運動の範囲内に配置された遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記抵抗体と前記基板との間の遮蔽位置と、前記抵抗体と前記基板との間から離れた退避位置と、の間で移動可能な遮蔽機構と、をさらに含み、前記攪拌部材は、前記遮蔽部材と対向する部分に前記遮蔽部材の形状に対応した切り欠きを有し、前記駆動機構は、前記抵抗体に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、前記抵抗体の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる基準気泡除去動作と、前記基準位置より前記遮蔽部材に近づいた位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる周縁気泡除去動作と、を実行するように構成される、めっき装置を開示する。
【0065】
さらに、本願は、一実施形態として、前記駆動機構は、前記基板の前記被めっき面に対するめっき処理時において、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にある場合に、第1のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる基準攪拌動作と、前記遮蔽部材が前記退避位置にある場合に、前記第1のストロークよりも長い第2のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる拡張攪拌動作と、を実行するように構成される、めっき装置を開示する。
【0066】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第2のストロークは、前記攪拌部材の往復運動の範囲を前記第1のストロークよりも前記遮蔽部材側に長くしたストロークである、めっき装置を開示する。
【0067】
さらに、本願は、一実施形態として、抵抗体が内部に配置されためっき槽にめっき液を供給する供給ステップと、前記めっき槽内の前記抵抗体の上方に配置された攪拌部材を第1の位置を中心に往復運動させることによって前記抵抗体に付着した気泡を除去する第1の気泡除去ステップと、前記攪拌部材を前記第1の位置とは異なる第2の位置を中心に往復運動させることによって前記抵抗体に付着した気泡を除去する第2の気泡除去ステップと、を含む、めっき装置の動作方法を開示する。
【0068】
さらに、本願は、一実施形態として、被めっき面を下方に向けた基板を前記めっき槽内のめっき液に浸漬させる浸漬ステップと、前記基板の前記被めっき面にめっきを形成するめっきステップと、前記めっきステップの実行中に、前記被めっき面の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる攪拌ステップと、をさらに含む、めっき装置の動作方法を開示する。
【0069】
さらに、本願は、一実施形態として、前記攪拌ステップは、標準ストロークで前記攪拌部材を往復運動させ、前記第1の気泡除去ステップおよび前記第2の気泡除去ステップは、前記標準ストロークよりも短い気泡除去用ストロークで前記攪拌部材を往復運動させる、めっき装置の動作方法を開示する。
【0070】
さらに、本願は、一実施形態として、前記攪拌部材の往復運動の範囲内に遮蔽部材が配置され、前記攪拌部材の前記遮蔽部材と対向する部分に前記遮蔽部材の形状に対応した切り欠きが形成されている場合において、前記第1の気泡除去ステップは、前記抵抗体の中心を通る基準位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる基準気泡除去ステップを含み、前記第2の気泡除去ステップは、前記基準位置より前記遮蔽部材に近づいた位置を中心に前記攪拌部材を往復運動させる周縁気泡除去ステップを含む、めっき装置の動作方法を開示する。
【0071】
さらに、本願は、一実施形態として、前記めっきステップの実行中に、前記遮蔽部材を、前記抵抗体と前記基板との間の遮蔽位置と、前記抵抗体と前記基板との間から離れた退避位置と、の間で移動させる遮蔽ステップと、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にある場合に、第1のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる基準攪拌ステップと、前記遮蔽部材が前記退避位置にある場合に、前記第1のストロークよりも長い第2のストロークで前記攪拌部材を往復運動させる拡張攪拌ステップと、をさらに含む、めっき装置の動作方法を開示する。
【0072】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第2のストロークは、前記攪拌部材の往復運動の範囲を前記第1のストロークよりも前記遮蔽部材側に長くしたストロークである、めっき装置の動作方法を開示する。
【符号の説明】
【0073】
400 めっきモジュール
410 めっき槽
430 アノード
440 基板ホルダ
450 抵抗体
480 攪拌部材(パドル)
480A 基端部
480B 攪拌部
480C 先端部
480D 切り欠き
481 遮蔽部材
482 駆動機構
484 パドルシャフト
485 遮蔽機構
1000 めっき装置
Wf 基板
Wf-a 被めっき面
【要約】
抵抗体の全体で効率よく気泡を除去する。
めっき液を収容するように構成されためっき槽410と、被めっき面を下方に向けた基板Wfを保持するように構成された基板ホルダ440と、めっき槽410内に配置されたアノード430と、基板Wfとアノード430との間に配置された抵抗体450と、基板Wfと抵抗体450との間に配置された攪拌部材480と、攪拌部材480を基板Wfの被めっき面に沿って往復運動させるように構成された駆動機構482と、を含み、駆動機構482は、抵抗体450に付着した気泡を除去するための泡抜き処理時において、第1の位置を中心に攪拌部材480を往復運動させる第1の気泡除去動作と、第1の位置とは異なる第2の位置を中心に攪拌部材480を往復運動させる第2の気泡除去動作と、を実行するように構成される。