(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】シート載置装置、シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20231211BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20231211BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231211BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20231211BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B65H1/00 501A
B65H7/02
G03G15/00 480
B65H11/00 F
B65H1/04 320A
(21)【出願番号】P 2019216856
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】中村 和音
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114997(JP,A)
【文献】特開2014-005145(JP,A)
【文献】特開2012-180184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0239763(US,A1)
【文献】特開2017-214186(JP,A)
【文献】特開2011-095207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 11/00
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される載置部と、
前記載置部に対して移動可能に構成され前記載置部に載置された前記シートの端部位置を規制する規制部と、
前記規制部に設けられ前記シートの端部が接触することにより変位する接触部材と、
前記接触部材の変位を検知する検知部と、
を備え、
前記検知部は、前記載置部に設けられ
、
前記接触部材の変位に伴って変位する導電体を備え、
前記検知部は、前記導電体との距離に応じて変化する静電容量を検知する静電容量センサであるシート載置装置。
【請求項2】
前記導電体が前記静電容量センサに最も接近した状態で、前記導電体と前記静電容量センサとの対向する対向面同士が互いに平行に配置される請求項1に記載のシート載置装置。
【請求項3】
前記導電体は、前記接触部材の変位に伴って前記静電容量センサに接触する請求項1又は2に記載のシート載置装置。
【請求項4】
前記導電体は、弾性部材に設けられ、
前記導電体が前記静電容量センサに接触した際に、前記弾性部材が弾性変形する請求項3に記載のシート載置装置。
【請求項5】
前記規制部の位置を検知する規制部位置検知手段を備える請求項1から4のいずれかに記載のシート載置装置。
【請求項6】
前記接触部材は、前記規制部に複数設けられる請求項1から5のいずれかに記載のシート載置装置。
【請求項7】
前記規制部は、前記シートの幅方向端部位置を規制する幅方向規制部である請求項1から6のいずれかに記載のシート載置装置。
【請求項8】
シートを載置するシート載置装置と、
前記シート載置装置に載置された前記シートを給送する給送手段と、
を備えるシート給送装置において、
前記シート載置装置として、請求項1から7のいずれかに記載のシート載置装置を備えるシート給送装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に前記シートを給送するシート給送装置と、
を備える画像形成装置において、
前記シート給送装置として、請求項8に記載のシート給送装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート載置装置、シート給送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタなどの画像形成装置において、紙やOHPフィルムなどのシートを載置するシート載置装置が知られている。
【0003】
特許文献1(特開2007-145486号公報)には、シートの幅方向端部位置を規制するために移動可能に設けられたサイドフェンス(サイド規制手段)に、シートの接触を検知する検知手段が設けられた構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サイドフェンスなどの可動部に検知手段としてのセンサが設けられている場合、センサに接続される配線も可動部の可動に伴って移動したり動いたりする。このため、センサに接続された配線やその接続部分に負荷がかかり、接続不良が生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シートが載置される載置部と、前記載置部に対して移動可能に構成され前記載置部に載置された前記シートの端部位置を規制する規制部と、前記規制部に設けられ前記シートの端部が接触することにより変位する接触部材と、前記接触部材の変位を検知する検知部と、を備え、前記検知部は、前記載置部に設けられ、前記接触部材の変位に伴って変位する導電体を備え、前記検知部は、前記導電体との距離に応じて変化する静電容量を検知する静電容量センサであるシート載置装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検知部に接続された配線やその接続部に負荷がかかるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図6】手差しトレイにシートが載置されてから給送準備が完了するまでの動作を示すフローチャートである。
【
図7】サイドフェンスがシートの幅方向端部から大きく離れている状態を示す図である。
【
図8】サイドフェンスがシートの幅方向端部に接触又は接近した状態を示す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態の構成を示す図である。
【
図10】他の実施形態の動作を説明するための図である。
【
図11】導電体が検知部に最も接近した状態で、導電体と検知部のそれぞれの対向面同士が互いに平行に配置された状態を示す図である。
【
図12】接触部材が弾性材料で構成された例を示す図である。
【
図13】複数の接触部材がサイドフェンスに設けられた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、給紙部4と、手差し給紙部40とを備えている。本実施形態では、電子写真方式のカラーレーザプリンタを例に説明するが、作像方式は、インクジェット方式などの他の方式でもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であってもよいし、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ、あるいは、これらのいずれか2つ又は3つの機能を備える複合機であってもよい。
【0011】
原稿搬送装置1は、原稿を載置する原稿トレイ25と、原稿トレイ25から原稿を1枚ずつ分離して画像読取装置2のコンタクトガラス32に向けて搬送する原稿搬送部26と、画像読取装置2によって画像が読み取られた原稿が排出される排出トレイ27とを備えている。
【0012】
画像読取装置2は、原稿の画像を読み取る画像読取部としての光学走査ユニット31を備えている。光学走査ユニット31は、コンタクトガラス32上の原稿に光を照射する光源や、原稿の反射光から画像を読み取る画像読取手段としてのCCD(電荷結合素子)などを備えている。なお、画像読取手段として、CCDに代えて密着型イメージセンサ(CIS)などの他のイメージセンサを用いてもよい。
【0013】
画像読取装置2は、搬送原稿読取モードと載置原稿読取モードとを切り換えて実行可能に構成されている。搬送原稿読取モードは、原稿搬送装置1によって画像読取装置2のコンタクトガラス32上に搬送される搬送原稿の画像の読み取るモードである。これに対して、載置原稿読取モードは、コンタクトガラス32上に載置された静止原稿の画像を読み取るモードである。
【0014】
搬送原稿読取モードで画像を読み取る場合は、光学走査ユニット31が
図1に示す所定の読取位置に配置され、原稿搬送装置1によって搬送された原稿が当該読取位置を通過する際に光学走査ユニット31によって原稿の画像が読み取られる。一方、載置原稿読取モードで画像を読み取る場合は、原稿をコンタクトガラス32上に載置し、光学走査ユニット31が
図1に示す副走査方向Xに往復移動することで、光学走査ユニット31によってコンタクトガラス32上の原稿の画像が読み取られる。
【0015】
図1に示すように、給紙部4には、複数の給紙カセット5が設けられている。各給紙カセット5には、記録媒体としての用紙が収容されている。また、給紙部4には、各給紙カセット5から用紙を給送する給送ローラ6と、送り出された用紙を分離して給紙路7に供給する分離ローラ8と、給紙路7で用紙を搬送する搬送ローラ9とが設けられている。
【0016】
図1に示すように、画像形成部3には、4つの作像ユニット10K,10Y,10M,10Cと、光書込装置11と、転写装置12と、タイミングローラ対13と、定着装置14と、排紙ローラ対15とが設けられている。
【0017】
4つの作像ユニット10K,10Y,10M,10Cは、カラー画像の色分解成分に対応するブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各作像ユニット10K,10Y,10M,10Cは、像担持体としてのドラム状の感光体16と、感光体16の表面を帯電する帯電装置17と、感光体16の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置18と、感光体16の表面をクリーニングするクリーニング装置19等で構成されている。なお、
図1では、ブラックの画像を形成する作像ユニット10Kについてのみ、感光体16、帯電装置17、現像装置18、クリーニング装置19の符号を付しており、その他の作像ユニット10Y,10M,10Cについては符号を省略している。
【0018】
転写装置12は、複数のローラによって張架された無端状の中間転写ベルト20と、各感光体16上のトナー画像を中間転写ベルト20へ転写する4つの一次転写ローラ21と、中間転写ベルト20上に転写されたトナー画像を用紙へ転写する二次転写ローラ22などで構成されている。
【0019】
手差し給紙部40には、用紙を載置する載置部としての手差しトレイ44と、手差しトレイ44から用紙を給送する給送手段としての給送ローラ43などが設けられている。手差しトレイ44は、画像形成装置本体に対して開閉可能(揺動可能)に取り付けられている。手差しトレイ44が開いた状態(
図1に示す状態)となることで、手差しトレイ44上に用紙を載置し、給送することができる。
【0020】
図1を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置の印刷動作について説明する。
【0021】
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット10K,10Y,10M,10Cにおいて、感光体16が回転駆動され、帯電装置17によって感光体16の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、光書込装置11が各感光体16の表面を露光することで、露光された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置18からトナーが供給され、各感光体16上にトナー画像が形成される。
【0022】
各感光体16上に形成されたトナー画像は、各感光体16の回転に伴って一次転写ローラ21の位置(一次転写ニップ)に達すると、回転駆動する中間転写ベルト20に順次重なり合うように転写される。そして、中間転写ベルト20上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写ローラ22の位置(二次転写ニップ)へ搬送され、用紙に転写される。この用紙は、給紙部4又は手差し給紙部40から供給されたものである。給紙部4又は手差し給紙部40から供給された用紙は、タイミングローラ対13によって一旦停止された後、中間転写ベルト20上のトナー画像が二次転写ニップに至るタイミングに合わせて搬送される。かくして、用紙上にフルカラーのトナー画像が担持される。また、トナー画像が転写された後、各感光体16上に残留するトナーは各クリーニング装置19によって除去される。
【0023】
トナー画像が転写された用紙は、定着装置14へと搬送され、定着装置14によって用紙にトナー画像が定着される。その後、用紙は排紙ローラ対15によって装置外に排出されて、一連の印刷動作が完了する。
【0024】
次に、本実施形態に係る手差し給紙部40の構成について詳しく説明する。
【0025】
手差し給紙部40は、用紙のほか、OHPシートなどの紙製以外のシートも供給可能なシート給送装置である。
図2に示すように、手差し給紙部40としてのシート給送装置41は、シートSを載置するシート載置装置42と、シート載置装置42に載置されたシートSを給送する給送手段としての給送ローラ43とを備えている。
【0026】
シート載置装置42は、シートSを載置する載置部としての手差しトレイ44と、シートSの幅方向端部位置を規制する幅方向規制部としての一対のサイドフェンス45とを備えている。各サイドフェンス45は、手差しトレイ44上でシートSの幅方向Aに移動可能に設けられている。ここで、「幅方向」とは、シートSが給送される給送方向Bに対して交差する方向のうち、シートSが載置される手差しトレイ44の載置面に平行な方向を意味する。各サイドフェンス45が幅方向Aに移動してシートSの幅方向両側部eに接触することで、シートSの幅方向端部位置が規制される。
【0027】
【0028】
図3に示すように、シート載置装置42は、シート有無検知手段50と、規制部位置検知手段51と、隙間検知手段52と、を備えている。
【0029】
シート有無検知手段50は、手差しトレイ44上のシートSの有無を検知する手段である。シート有無検知手段50は、手差しトレイ44上にシートSが載置された際に、そのシートSとの接触により揺動する揺動部材と、揺動する揺動部材によって光路が遮光状態又は透光状態に切り換えられる投光部及び受光部などで構成される。シート有無検知手段50は、手差しトレイ44に設けられる場合以外に、画像形成装置本体の手差しトレイ44との接合箇所近傍に設けられていてもよい。
【0030】
規制部位置検知手段51は、幅方向におけるサイドフェンス45の位置を検知する手段である。規制部位置検知手段51としては、例えばサイドフェンス45の幅方向の移動を検知するエンコーダや可変抵抗器などの公知の検知手段を用いることができる。サイドフェンス45の移動に伴って変化する信号を規制部位置検知手段51が検知することで、サイドフェンス45の幅方向の位置を確認できる。
【0031】
隙間検知手段52は、サイドフェンス45とシートSとの隙間を検知する手段である。本実施形態における隙間検知手段52は、シートSとの接触により連動する連動機構54と、連動機構54の動きを検知する検知部53と、を備えている。
【0032】
以下、隙間検知手段52の構成について詳しく説明する。なお、隙間検知手段52は、一方のサイドフェンス45側と他方のサイドフェンス45側とで互いに左右対称となっている以外基本的に同様の構成である。このため、
図4に示す一方のサイドフェンス45側の構成を例に説明する。
【0033】
図4に示すように、連動機構54は、接触部材55と、連動部材56と、を備えている。接触部材55は、シートS(シート束も含む。)が手差しトレイ44上に載置された際に、シートSの幅方向端部eが接触し得る部材である。具体的に、接触部材55は、シートSの幅方向端部eに接触し得るように、サイドフェンス45から幅方向Aの内側へ変位して突出可能に設けられている。すなわち、接触部材55は、サイドフェンス45に対して突出する方向(幅方向Aの一方)と押し込まれる方向(幅方向Aの他方)とに変位可能に構成されている。また、接触部材55は、バネなどの付勢部材によってサイドフェンス45から突出する方向へ付勢されている。このため、シートSが接触部材55に接触しない状態では、接触部材55はサイドフェンス45から幅方向内側へ突出した状態で保持される。
【0034】
連動部材56は、接触部材55の変位に連動して変位する部材である。具体的に、連動部材56は、サイドフェンス45に対して幅方向Aと交差又は直交する方向C(
図4における上下方向)に変位可能に構成されている。連動部材56及び接触部材55は、それぞれの変位方向に対して傾斜する傾斜面56a,55aを有している。連動部材56及び接触部材55が、それぞれの傾斜面56a,55aを介して互いに接触していることで、連動部材56及び接触部材55の一方が変位した際、これに伴って他方が押されることで、他方が前記一方の変位方向とは交差又は直交する方向に変位する。
【0035】
また、接触部材55及び連動部材56は、サイドフェンス45に設けられている。このため、サイドフェンス45が幅方向Aに移動すると、接触部材55及び連動部材56もサイドフェンス45と一緒に幅方向Aに移動する。
【0036】
検知部53は、連動部材56の変位を検知することで、連動部材56と連動する接触部材55の変位を検知するセンサである。検知部53は、手差しトレイ44内に幅方向Aに渡って連続して設けられている(
図3参照)。本実施形態では、検知部53として、静電容量センサを用いている。一方、検知部53によって検知される連動部材56には、検知対象部材として機能する導電体57が設けられている。連動部材56の変位に伴って導電体57が検知部53に対して接近したり離れたりすると、導電体57と検知部53との距離dに応じて検知部53の出力が変化することで、連動部材56の変位、ひいては接触部材55の変位が検知される。
【0037】
図5は、本実施形態の画像形成装置の制御系の一部を示すブロック図である。
【0038】
図5に示すように、上述のシート有無検知手段50、規制部位置検知手段51、及び隙間検知手段52の各検知手段からの検知信号(出力信号)は、画像形成装置に設けられた制御部60へ送られるように構成されている。制御部60は、操作パネルなどの操作部61を含む画像形成装置の各種機能を制御するCPUである。操作部61には、ユーザが情報を入力するための入力部や、ユーザに情報を提示するための表示部などが設けられている。
【0039】
以下、
図6~
図8を参照しつつ、手差しトレイ44にシートSが載置されてから給送準備が完了するまでの動作について説明する。
【0040】
手差しトレイ44上にシートSが載置されると(
図6のStep1)、シートSがシート有無検知手段50によって検知される(
図6のStep2)。そして、このときの検知信号が制御部60に送信されることで、制御部60が「シート有り」と判断する。
【0041】
「シート有り」と判断されると、続いて、隙間検知手段52によってサイドフェンス45とシートSとの隙間が検知される。
図7に示すように、サイドフェンス45がシートSの幅方向端部eから所定の基準値Gよりも大きく離れている場合は(
図6のStep3で「NO」の場合)、制御部60の指示により操作部61(操作パネル)がその旨を表示すると共に、ユーザに対してサイドフェンス45をシートSに近づけるように通知する(
図6のStep4)。ここで、サイドフェンス45とシートSの幅方向端部eとの隙間g1が基準値G以下か否かの判断は、隙間検知手段52の検知情報に基づき制御部60が行う。すなわち、連動部材56に設けられた導電体57と検知部53との距離に応じて変化する検知部53の出力信号に基づき制御部60が隙間g1の大きさを判断する。
図7では、導電体57と検知部53との距離d1が所定の基準値Dより大きいため、サイドフェンス45とシートSの幅方向端部eとの隙間g1も基準値Gよりも大きいと判断される。
【0042】
その後、
図8に示すように、ユーザがサイドフェンス45を動かし、サイドフェンス45をシートSの幅方向端部eに接近させて、サイドフェンス45とシートSとの隙間g2が基準値G以下になると(
図6のStep3で「YES」の場合)、次の工程に移行する。詳しくは、サイドフェンス45が移動してシートSの幅方向端部eに接近すると、接触部材55がシートSの幅方向端部eに接触することによりサイドフェンス45に押し込まれる。この接触部材55の変位に連動して連動部材56が検知部53に接近する方向に変位することにより、導電体57が検知部53に対して接近する。その結果、導電体57と検知部53との距離d2が所定の基準値D以下となることで、サイドフェンス45とシートSとの隙間g2が基準値G以下になったと判断する。なお、隙間の基準値Gは、0(サイドフェンス45とシートSの幅方向端部eとの間に全く隙間がない場合)であってもよいし、所定の数値以下(サイドフェンス45とシートSの幅方向端部eとの間に僅かに隙間がある場合)であってもよい。
【0043】
次の工程では、規制部位置検知手段51によって幅方向Aにおけるサイドフェンス45の位置が検知される(
図6のStep5)。そして、このとき検知されたサイドフェンス45の位置情報に基づき制御部60がシートSの幅サイズを決定する(
図6のStep6)。すなわち、上記のように、サイドフェンス45がシートSの幅方向端部eに対して接近又は接触するように配置されることで、一対のサイドフェンス45同士の間隔はシートSの幅サイズに相当する大きさに設定される。従って、一対のサイドフェンス45の位置情報からこれらの間隔の大きさを算出することで、シートSの幅サイズを決定できる。特に、サイドフェンス45とシートSとの隙間の基準値Gが0(隙間無し)に設定されている場合は、より正確にシートSの幅サイズを決定することができる。このように、シートSの幅サイズが決定された時点で、手差しトレイ44からのシート給送準備が完了する(
図6のStep7)。
【0044】
以上のように構成されている本実施形態のシート載置装置42においては、接触部材55や連動部材56がサイドフェンス45に設けられているため、サイドフェンス45が幅方向Aに移動すると、接触部材55及び連動部材56も幅方向Aに移動する。一方、検知部53は手差しトレイ44に設けられているため、検知部53や、検知部53と制御部60などを接続する配線は、サイドフェンス45が移動しても移動しない。すなわち、本実施形態では、検知部53及びこれに接続される配線が、可動部であるサイドフェンス45に設けられていないので、サイドフェンス45の移動に伴う配線及びその接続部への負荷を回避することができる。これにより、配線及びその接続部に損傷や摩耗が発生するのを抑制できるようになる。このように、本実施形態の構成によれば、検知部53に接続される配線やその接続部が損傷しにくくなるので、耐久性が向上し、信頼性を向上させることができる。
【0045】
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、主に上述の実施形態とは異なる部分について説明し、その他の部分については上述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0046】
図9に示す実施形態は、上述の実施形態とは、シートSとの接触により連動する連動機構54の構成が異なる。具体的には、接触部材55が、サイドフェンス45に設けられた支軸58を中心に
図9中の矢印方向Fに揺動可能(回転可能)に構成されている。また、接触部材55には、検知対象部材としての導電体57が設けられている。このため、本実施形態では、導電体57を保持する上記連動部材56は設けられていない。このように、本実施形態の接触部材55は、シートSの幅方向端部eと接触し得る接触部55aと、導電体57を保持する検知対象部材保持部55bと、を有する。
【0047】
また、サイドフェンス45には、接触部材55を付勢する付勢部材としてのバネ59が設けられている。接触部材55がバネ59によって付勢されていることで、接触部材55の接触部55aは、シートSと接触しない状態でサイドフェンス45から幅方向内側へ突出した状態で保持される。
【0048】
図10に示すように、サイドフェンス45が手差しトレイ44上のシートSに接近するように移動すると、接触部材55の接触部55aがシートSの幅方向端部eに接触することで、接触部材55がサイドフェンス45内に押し込まれるように揺動する。このとき、導電体57が検知部53に対して接近することで、検知部53の出力が変化する。このように、本実施形態では、接触部材55の揺動に伴って変化する検知部53の出力に基づいて接触部材55の変位が検知される。また、このときの接触部材55の変位量(検知部53の出力変化量)に基づいてサイドフェンス45とシートSとの隙間が検知される。
【0049】
本実施形態においても、検知部53は手差しトレイ44に設けられているため、サイドフェンス45が移動しても検知部53やこれに接続される配線は移動しない。従って、本実施形態おいても、上述の実施形態と同様に、配線及びその接続部の損傷や摩耗を抑制でき、耐久性を向上させることができる。
【0050】
図9に示すような接触部材55が揺動する構成においては、接触部材55の揺動により、検知部53に対向する導電体57の対向面の向きが変化する。このとき、導電体57と検知部53との対向する対向面同士が互いに傾斜していると、検知部53の出力が安定しない可能性がある。そのため、
図11に示すように、導電体57が検知部53に最も接近した状態で、導電体57と検知部53のそれぞれの対向面57a,53a同士は互いに平行に配置されることが好ましい。このようにすることで、検知部53の出力が安定し、サイドフェンス45とシートSとの隙間をより確実に検知できるようになる。
【0051】
上述の実施形態では、検知部53として静電容量センサを用いていることで、検知対象部材(導電体57)に対して検知部53が非接触な状態で隙間を検知することができる。しかしながら、検知部53と導電体57は常に非接触である場合に限らず、
図12に示す例のように、導電体57が検知部53に接近した際に、導電体57が検知部53に接触するようにしてもよい。さらに、接触部材55を弾性材料(弾性部材)で構成し、導電体57が検知部53に接触した際に接触部材55が弾性変形するようにしてもよい。その場合、サイドフェンス45とシートSとの隙間が基準値G以下(隙間が全くない場合も含む。)になったときに、導電体57が検知部53に接触し、導電体57が検知部53に押し付けられて接触部材55が
図12の二点鎖線の状態から実線の状態へ弾性変形することで、導電体57を検知部53に密着させることができる。これにより、検知部53の出力がより一層安定し、サイドフェンス45とシートSとの隙間が基準値G以下となったことをより確実に検知できるようになる。
【0052】
また、
図13に示す例のように、複数の接触部材55がサイドフェンス45に設けられていてもよい。この例では、複数の接触部材55が、給送方向Bに渡って並ぶように設けられている。このように複数の接触部材55が給送方向Bに渡って並ぶように設けられていることにより、シートSが給送方向Bに対して傾斜しているか否かを判別できるようになる。すなわち、
図13に示すように、シートSが給送方向Bに対して傾斜した状態で手差しトレイ44上に載置されている場合は、サイドフェンス45をシートSに接近させた又は接触させた際に、各接触部材55がシートSに接触してサイドフェンス45内に押し込まれる量(変位量)が異なる。このときの各接触部材55の変位量を、上述と同様の原理で検知部53が検知することにより、シートSが傾斜して載置されていることを確認できる。なお、1つのサイドフェンス45に設けられる接触部材55の数は、2個に限らず、3個以上であってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る構成及び作用・効果について説明した。ただし、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
例えば、上記検知部53は、静電容量センサのほか、光学センサ、感圧センサなどの他のセンサであってもよい。また、本発明は、サイドフェンス45とシートSとの隙間を検知する検知部53の配置構造に限らず、シートSの後端位置を規制する後端規制部としてのエンドフェンスとシートとの隙間を検知する検知部の配置構造にも適用可能である。また、本発明は、画像形成装置本体に対して開閉可能に取り付けられた手差しトレイのほか、画像形成装置本体内に収容・引出可能な用紙トレイや、原稿を載置する原稿トレイなどにも適用可能である。さらに、本発明は、画像形成装置に搭載されるシート載置装置やシート給送装置に適用される場合に限らない。画像形成装置以外の装置に搭載されるシート載置装置やシート給送装置にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
3 画像形成部
40 手差し給紙部
41 シート給送装置
42 シート載置装置
43 給送ローラ(給送手段)
44 手差しトレイ(載置部)
45 サイドフェンス(規制部)
50 シート有無検知手段
51 規制部位置検知手段
52 隙間検知手段
53 検知部
53a 対向面
54 連動機構
55 接触部材
56 連動部材
57 導電体
57a 対向面
A 幅方向
B 給送方向
d 導電体と検知部との距離
e シートの幅方向端部
S シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】