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特許7399564イオン交換ユニット及びイオン交換樹脂の交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】イオン交換ユニット及びイオン交換樹脂の交換方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20231211BHJP
   B01J 47/022 20170101ALI20231211BHJP
【FI】
C02F1/42 A
C02F1/42 B
B01J47/022
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019219300
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021087911
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】新井 賢
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】ダン ヴァン トアン
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-084034(JP,U)
【文献】特開2017-217594(JP,A)
【文献】実開昭50-045337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/42
B01J39/00-49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水からイオンを除去するイオン交換ユニットであって、
イオン交換樹脂を収容する第1容器と、
該第1容器に水を供給する第1水供給路と、
該第1容器に該イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給路と、
該第1容器からイオンが除去された該水が排出される第1排出路と、
該第1排出路からの該水の排出を制御する第1開閉弁と、
該第1排出路からの該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第1フィルタと、
該第1容器に収容された該イオン交換樹脂が、該第1容器内の該水とともに排出される第2排出路と、
該第2排出路からの該イオン交換樹脂及び該水の排出を制御する第2開閉弁と、
該第2排出路に排出された該イオン交換樹脂及び該水を送り出すポンプと、
該ポンプによって送り出された該イオン交換樹脂及び該水を収容する第2容器と、
該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する第2水供給路と、
該第2容器から該第1容器への該水の供給を制御する第3開閉弁と、
該第2容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第2フィルタと、を備え
該第2容器に貯留された該水を、該イオン交換樹脂を収容した該第1容器に供給することによって、純水を生成することを特徴とするイオン交換ユニット。
【請求項2】
該イオン交換樹脂を収容し、該イオン交換樹脂供給路に接続された第3容器と、
該第3容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の供給を制御する第4開閉弁と、を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のイオン交換ユニット。
【請求項3】
水からイオンを除去するイオン交換ユニットを用いたイオン交換樹脂の交換方法であって、
該イオン交換ユニットは、
イオン交換樹脂を収容する第1容器と、
該第1容器に水を供給する第1水供給路と、
該第1容器に該イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給路と、
該第1容器からイオンが除去された該水が排出される第1排出路と、
該第1排出路からの該水の排出を制御する第1開閉弁と、
該第1排出路からの該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第1フィルタと、
該第1容器に収容された該イオン交換樹脂が、該第1容器内の該水とともに排出される第2排出路と、
該第2排出路からの該イオン交換樹脂及び該水の排出を制御する第2開閉弁と、
該第2排出路に排出された該イオン交換樹脂及び該水を送り出すポンプと、
該ポンプによって送り出された該イオン交換樹脂及び該水を収容する第2容器と、
該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する第2水供給路と、
該第2容器から該第1容器への該水の供給を制御する第3開閉弁と、
該第2容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第2フィルタと、を備え、
該第1開閉弁及び該第3開閉弁を閉じるとともに該第2開閉弁を開き、該第1容器内の該イオン交換樹脂及び該水を、該第2排出路を介して該第2容器に供給する回収ステップと、
該第2開閉弁を閉じて該イオン交換樹脂供給路から該第1容器に該イオン交換樹脂を供給した後、該第3開閉弁を開いて該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する供給ステップと、を備えることを特徴とするイオン交換樹脂の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水からイオンを除去するイオン交換ユニット、及び、該イオン交換ユニットを用いたイオン交換樹脂の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスチップの製造工程では、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域の表面側にそれぞれIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。ウェーハの分割には、環状の切削ブレードでウェーハを切削する切削装置等が用いられる。
【0003】
また、近年では、電子機器の小型化、薄型化に伴い、デバイスチップにも薄型化が求められている。そこで、ウェーハの分割前にウェーハの裏面側を研削することにより、ウェーハを薄化する処理が施されることがある。ウェーハの研削加工には、複数の研削砥石を備える研削ホイールでウェーハを研削する研削装置等が用いられる。
【0004】
上記の切削装置、研削装置等の加工装置を用いてウェーハを加工する際には、ウェーハに加工液が供給される。この加工液によって、ウェーハと加工工具(切削ブレード、研削ホイール等)とが冷却されるとともに、加工によって発生した屑(加工屑)が洗い流される。ただし、加工液に不純物が含まれていると、不純物がウェーハに固着して残痕が生じる、不純物によってデバイスの動作不良が引き起こされる等の不都合が生じ、デバイスチップの品質が低下する恐れがある。そのため、加工液としては純度の高い水(純水)が用いられる。
【0005】
加工装置で使用される純水の生成には、例えば、所定の容器(ボンベ)に充填されたイオン交換樹脂を用いて水を精製するイオン交換ユニットが用いられる。しかしながら、イオン交換ユニットによる水の精製を継続すると、イオン交換樹脂のイオン交換能力が徐々に低下し、生成される純水の純度が低下する。そのため、所定の量の水がイオン交換樹脂によって精製された後、使用済みのイオン交換樹脂が未使用のイオン交換樹脂に交換される。
【0006】
イオン交換樹脂の交換時には、まず、ボンベに充填されている使用済みのイオン交換樹脂が排出され、その後、未使用のイオン交換樹脂がボンベに充填される。例えば特許文献1には、ボンベから排出されたイオン交換樹脂を回収するためのイオン交換樹脂収容容器と、ボンベに未使用のイオン交換樹脂を供給するためのイオン交換樹脂混合容器とを備えるイオン交換ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-217594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イオン交換樹脂の交換時にイオン交換樹脂とともにボンベ内に残留している水は、精製が不十分な状態であり、精製水として用いることができない。そのため、ボンベ内の水は、使用済みのイオン交換樹脂とともにボンベから排出され、処分される。その結果、イオン交換樹脂の交換を実施すると、精製水の生成に用いられずに処分される水が発生し、水の精製の効率が低下してしまう。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、イオン交換樹脂を交換する際に排出される水を再利用することが可能なイオン交換ユニット、及び、該イオン交換ユニットを用いたイオン交換樹脂の交換方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、水からイオンを除去するイオン交換ユニットであって、イオン交換樹脂を収容する第1容器と、該第1容器に水を供給する第1水供給路と、該第1容器に該イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給路と、該第1容器からイオンが除去された該水が排出される第1排出路と、該第1排出路からの該水の排出を制御する第1開閉弁と、該第1排出路からの該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第1フィルタと、該第1容器に収容された該イオン交換樹脂が、該第1容器内の該水とともに排出される第2排出路と、該第2排出路からの該イオン交換樹脂及び該水の排出を制御する第2開閉弁と、該第2排出路に排出された該イオン交換樹脂及び該水を送り出すポンプと、該ポンプによって送り出された該イオン交換樹脂及び該水を収容する第2容器と、該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する第2水供給路と、該第2容器から該第1容器への該水の供給を制御する第3開閉弁と、該第2容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第2フィルタと、を備え、該第2容器に貯留された該水を、該イオン交換樹脂を収容した該第1容器に供給することによって、純水を生成するイオン交換ユニットが提供される。なお、好ましくは、該イオン交換ユニットは、該イオン交換樹脂を収容し、該イオン交換樹脂供給路に接続された第3容器と、該第3容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の供給を制御する第4開閉弁と、を更に備える。
【0011】
また、本発明の他の一態様によれば、水からイオンを除去するイオン交換ユニットを用いたイオン交換樹脂の交換方法であって、該イオン交換ユニットは、イオン交換樹脂を収容する第1容器と、該第1容器に水を供給する第1水供給路と、該第1容器に該イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給路と、該第1容器からイオンが除去された該水が排出される第1排出路と、該第1排出路からの該水の排出を制御する第1開閉弁と、該第1排出路からの該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第1フィルタと、該第1容器に収容された該イオン交換樹脂が、該第1容器内の該水とともに排出される第2排出路と、該第2排出路からの該イオン交換樹脂及び該水の排出を制御する第2開閉弁と、該第2排出路に排出された該イオン交換樹脂及び該水を送り出すポンプと、該ポンプによって送り出された該イオン交換樹脂及び該水を収容する第2容器と、該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する第2水供給路と、該第2容器から該第1容器への該水の供給を制御する第3開閉弁と、該第2容器から該第1容器への該イオン交換樹脂の排出を防ぐ第2フィルタと、を備え、該第1開閉弁及び該第3開閉弁を閉じるとともに該第2開閉弁を開き、該第1容器内の該イオン交換樹脂及び該水を、該第2排出路を介して該第2容器に供給する回収ステップと、該第2開閉弁を閉じて該イオン交換樹脂供給路から該第1容器に該イオン交換樹脂を供給した後、該第3開閉弁を開いて該第2容器に貯留された該水を該第1容器に供給する供給ステップと、を備えるイオン交換樹脂の交換方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係るイオン交換ユニットは、第1容器に収容されたイオン交換樹脂が、第1容器内の水とともに排出される排出路と、排出路に排出されポンプによって送り出されたイオン交換樹脂及び水を収容する第2容器と、第2容器に貯留された水を第1容器に供給する水供給路とを備える。これにより、イオン交換樹脂の交換時に排出される水を無駄にすることなく、水の精製に再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】イオン交換ユニットを示す一部断面正面図である。
図2】水が精製される際のイオン交換ユニットを示す一部断面正面図である。
図3】容器からイオン交換樹脂及び水が排出される際のイオン交換ユニットを示す一部断面正面図である。
図4】容器にイオン交換樹脂が供給される際のイオン交換ユニットを示す一部断面正面図である。
図5】回収された水が精製される際のイオン交換ユニットを示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るイオン交換ユニットの構成例について説明する。図1は、水からイオンを除去するイオン交換ユニット(純水生成装置)2を示す一部断面正面図である。
【0015】
例えばイオン交換ユニット2は、純水を用いて被加工物を加工する加工装置(不図示)に接続される。なお、イオン交換ユニット2に接続される加工装置の種類に制限はない。加工装置の例としては、環状の切削ブレードで被加工物を切削する加工ユニット(切削ユニット)を備える切削装置、複数の研削砥石が固定された研削ホイールで被加工物を研削する加工ユニット(研削ユニット)を備える研削装置、研磨パッドで被加工物を研磨する加工ユニット(研磨ユニット)を備える研磨装置等が挙げられる。
【0016】
例えば、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域の表面側にそれぞれIC、LSI等のデバイスが形成されたシリコンウェーハが、加工装置によって加工される。シリコンウェーハを研削装置及び研磨装置によって薄化した後、切削装置によって分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数の薄型化されたデバイスチップが製造される。
【0017】
ただし、被加工物の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば被加工物は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス、サファイア、セラミックス、樹脂、金属等でなるウェーハであってもよい。また、被加工物に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物にはデバイスが形成されていなくてもよい。さらに、被加工物は、CSP(Chip Size Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等のパッケージ基板であってもよい。
【0018】
加工装置では、被加工物の加工時に加工ユニット及び被加工物に供給される加工液や、加工後の被加工物を洗浄するための洗浄液等が用いられる。加工液によって、ウェーハと加工ユニットとが冷却されるとともに、加工によって発生した屑(加工屑)が洗い流される。また、洗浄液によって、加工後の被加工物に付着した異物(加工屑等)が洗い流される。加工液や洗浄液としては、主に純水が用いられる。イオン交換ユニット2は、例えば水を精製することによって純水を生成し、加工装置に供給する。
【0019】
イオン交換ユニット2は、イオン交換樹脂6を収容する容器(イオン交換器)4を備える。容器4は、例えば円筒状のボンベであり、その内部に水を精製するためのイオン交換樹脂6が収容される収容部(収容空間)4aを備える。例えば収容部4aには、カチオンを交換するイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂)と、アニオンを交換するイオン交換樹脂(アニオン交換樹脂)とが、互いに混合された状態で収容される。
【0020】
容器4の上端側には、水が流入する流入口4bと、後述の交換用のイオン交換樹脂が流入する流入口4cとが設けられている。また、容器4の下端側には、イオン交換樹脂6によってイオンが除去された水(純水等)が流出する流出口4dと、容器4内のイオン交換樹脂6及び水が流出する流出口4eとが設けられている。流入口4b,4cと流出口4d,4eとはそれぞれ、容器4の外部と収容部4aとを接続する。
【0021】
容器4の上方には、容器4に水を供給する水供給路8が設けられている。水供給路8の一端側は水供給路8に水を供給する水供給源(不図示)に接続され、水供給路8の他端側は容器4の流入口4bに接続されている。例えば水供給源は、容器4に供給される水(水道水、工業用水等)を貯留するタンクによって構成される。
【0022】
水供給路8には、水供給路8から容器4への水の供給を制御する開閉弁10が設けられている。開閉弁10を開くと、水供給源から水供給路8及び流入口4bを介して収容部4aに水が供給される。
【0023】
また、容器4の上方には、補充用のイオン交換樹脂を収容する容器(イオン交換樹脂収容容器)12を備える。容器12は、容器4に収容されたイオン交換樹脂6を交換する際に容器4へ供給されるイオン交換樹脂(補充用イオン交換樹脂)14を収容する。イオン交換樹脂14としては、例えば、容器4に収容されているイオン交換樹脂6と材料及び大きさが同一であり、且つ、未使用(新品)又は再生処理済みのイオン交換樹脂が用いられる。
【0024】
容器12には、容器4にイオン交換樹脂14を供給するイオン交換樹脂供給路16が接続されている。イオン交換樹脂供給路16の一端側は容器12の底部に形成された流出口に接続され、イオン交換樹脂供給路16の他端側は容器4の流入口4cに接続されている。また、イオン交換樹脂供給路16には、容器12から容器4へのイオン交換樹脂14の供給を制御する開閉弁18が設けられている。開閉弁18を開くと、容器12から容器4にイオン交換樹脂14が供給される。
【0025】
また、容器4には、容器4からイオンが除去された水が排出される排出路(精製水排出路、第1排出路)20が接続されている。排出路20の一端側は容器4の流出口4dに接続され、排出路20の他端側はイオン交換ユニット2によって精製された水の供給先に接続されている。排出路20には、排出路20からの水の排出を制御する開閉弁22が接続されており、開閉弁22を開くと排出路20の他端側から精製された水(純水等)が排出される。
【0026】
なお、容器4の収容部4aには、流出口4dを覆うフィルタ24が設けられている。フィルタ24は、容器4の収容部4aに貯留されている水が通過可能で、且つ、イオン交換樹脂6が通過できない大きさの開口を複数備えている。このフィルタ24によって、排出路20からのイオン交換樹脂6の排出が防止される。
【0027】
さらに、容器4には、容器4に収容されたイオン交換樹脂6が、容器4内の水とともに排出される排出路(イオン交換樹脂排出路、第2排出路)26が接続されている。排出路26の一端側は容器4の流出口4eに接続され、排出路26の他端側は容器4の上方に設けられた容器(イオン交換樹脂回収容器)32に向かって開口している。
【0028】
排出路26には、排出路26からのイオン交換樹脂6及び水の排出を制御する開閉弁28が接続されている。また、排出路26には、排出路26の一端側に供給されたイオン交換樹脂6及び水を、排出路26の他端側に向かって送り出すポンプ30が接続されている。
【0029】
開閉弁28を開くと、容器4の収容部4aに存在するイオン交換樹脂6及び水が排出路26に供給される。この状態でポンプ30を作動させると、排出路26の中のイオン交換樹脂6が水とともに汲み上げられ、排出路26の他端側から排出される。これにより、容器4の収容部4aに収容されていた水及びイオン交換樹脂6が容器32に収容され、回収される。
【0030】
容器32には、容器32に貯留された水を容器4に供給する水供給路34が接続されている。水供給路34の一端側は容器32の底部に形成された流出口に接続され、水供給路34の他端側は容器4の流入口4bに接続されている。また、水供給路34には容器32から容器4への水の供給を制御する開閉弁36が接続されており、開閉弁36を開くと容器32から容器4へ水が供給される。
【0031】
なお、容器32の内部には、容器32の流出口を覆うフィルタ38が設けられている。フィルタ38は、容器32に貯留されている水が通過可能で、且つ、イオン交換樹脂6が通過できない大きさの開口を複数備えている。このフィルタ38によって、容器32からのイオン交換樹脂6の流出が防止され、容器32でイオン交換樹脂6のみを回収可能となる。
【0032】
なお、水供給路8、イオン交換樹脂供給路16、排出路20、排出路26、水供給路34はそれぞれ、例えばパイプやホースを用いて構成される。パイプやホースの材質は、イオン交換ユニット2によって生成される水の純度に影響がない範囲内で適宜選択される。
【0033】
上記のイオン交換ユニット2は、容器4に収容されたイオン交換樹脂6を用いて精製された水(精製水)を生成する。そして、イオン交換ユニット2によって所定の量の水が精製されると、使用済みのイオン交換樹脂6が補充用のイオン交換樹脂14に交換される。以下、イオン交換ユニット2を用いたイオン交換樹脂の交換方法の具体例について説明する。
【0034】
まず、イオン交換ユニット2によって水が精製される。図2は、水が精製される際のイオン交換ユニット2を示す一部断面正面図である。水を精製する際は、開閉弁18、28、36を閉じた状態で、開閉弁10,22を開く。これにより、水供給路8から容器4に水40が供給される。そして、容器4に供給された水40は、イオン交換樹脂6の隙間を通過しながら、収容部4aの上端側から下端側に向かって流れる。
【0035】
このとき、水40に含まれるイオンがイオン交換樹脂6によって除去される。具体的には、水40に含まれるカチオンがカチオン交換樹脂によって捕獲されるとともに、水40に含まれるアニオンがアニオン交換樹脂によって捕獲される。これにより、水40が精製され、例えば電気抵抗率が0.1MΩ・cm以上、好ましくは15MΩ・cm以上である純度の高い水が生成される。
【0036】
図2では、イオン交換ユニット2によって水40が精製され、純水42が生成される例を示している。生成された純水42は、流出口4dを介して排出路20に供給され、排出路20から排出される。例えば純水42は、加工装置に供給され、加工液や洗浄液として用いられる。
【0037】
なお、水供給路8の一端側は、純水42が供給される加工装置に接続されていてもよい。この場合、イオン交換ユニット2には、加工装置から排出された使用済みの加工液や洗浄液等の液体(加工廃液)が供給される。そして、イオン交換ユニット2は加工廃液を精製して純水42を生成し、加工装置に供給する。これにより、加工装置から排出された加工廃液を純水42に変換して再利用することができる。
【0038】
イオン交換ユニット2によって所定の量の純水42が生成されると、イオン交換樹脂6の交換が実施される。イオン交換樹脂6を交換する際は、まず、イオン交換樹脂6内のイオン交換樹脂6及び水40を、排出路26を介して容器32に供給して回収する(回収ステップ)。
【0039】
図3は、容器4からイオン交換樹脂6及び水40が排出される際のイオン交換ユニット2を示す一部断面正面図である。イオン交換樹脂6及び水40を回収する際は、開閉弁10を閉じ、容器4への水40の供給を停止する。これにより、純水42の生成が中断される。
【0040】
そして、開閉弁22,36を閉じた状態で、開閉弁28を開く。これにより、容器4の収容部4aからイオン交換樹脂6及び水40が排出路26の一端側に排出される。そして、ポンプ30によって排出路26中のイオン交換樹脂6及び水40が汲み上げられ、排出路26の他端側から排出される。これにより、イオン交換樹脂6及び水40が容器32に収容される。なお、容器32の大きさは、イオン交換樹脂6及び水40を収容できるように適宜設定される。
【0041】
次に、容器4に補充用のイオン交換樹脂14を供給した後、容器32に貯留された水40を容器4に供給する(供給ステップ)。図4は、容器4にイオン交換樹脂14が供給される際のイオン交換ユニット2を示す一部断面正面図である。
【0042】
供給ステップでは、まず、開閉弁28を閉じるとともに開閉弁18を開き、容器12に収容されているイオン交換樹脂14をイオン交換樹脂供給路16から容器4に供給する。これにより、容器4の収容部4aに未使用又は再生処理済みのイオン交換樹脂14が充填される。そして、収容部4aに所定の量のイオン交換樹脂14が供給された後、開閉弁18を閉じ、容器4へのイオン交換樹脂14の供給を停止する。
【0043】
なお、容器4にイオン交換樹脂14が供給される際、容器12に純水が注入されてもよい。この場合、開閉弁18を開くと、イオン交換樹脂14が純水とともにイオン交換樹脂供給路16に供給され、イオン交換樹脂14が純水の流れに乗ってイオン交換樹脂供給路16内を移動する。これにより、イオン交換樹脂14が容器4に供給されやすくなる。
【0044】
次に、イオン交換ユニット2による水の精製を再開する。具体的には、開閉弁28を閉じた状態で、開閉弁22,36を開く。これにより、容器32に貯留された水40が水供給路34を介して容器4に供給される。そして、水40がイオン交換樹脂14によって精製され、純水44が生成される。図5は、回収された水40が精製される際のイオン交換ユニット2を示す一部断面正面図である。
【0045】
このように、イオン交換ユニット2は、使用済みのイオン交換樹脂6を補充用のイオン交換樹脂14に交換する際に排出された水40を用いて、水の精製を再開する。そして、容器32に貯留されている水40が尽きた後は、開閉弁10を開いて水供給源(不図示)から水供給路8を介して容器4に水を供給し、水の精製を続行する。
【0046】
以上の通り、本実施形態に係るイオン交換ユニット2は、容器4に収容されたイオン交換樹脂6が、容器4内の水40とともに排出される排出路26と、排出路26に排出されポンプによって送り出されたイオン交換樹脂6及び水40を収容する容器32と、容器32に貯留された水40を容器4に供給する水供給路34とを備える。これにより、イオン交換樹脂の交換時に排出される水40を無駄にすることなく、水の精製に再利用することが可能となる。
【0047】
なお、上記実施形態では、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが混合された状態で容器4に収容される例について説明したが、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とは異なる容器に独立して収容されてもよい。例えば、容器4及び容器12にカチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂の一方が収容される第1イオン交換ユニット2と、容器4及び容器12にカチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂の他方が収容される第2イオン交換ユニット2とを準備し、この2組のイオン交換ユニット2を直列に接続してもよい。
【0048】
この場合、第1イオン交換ユニット2の排出路20が、第2イオン交換ユニット2の容器4の流入口4bに接続される。また、第1イオン交換ユニット2と第2イオン交換ユニット2とが備える容器32はそれぞれ、水供給路34を介して第1イオン交換ユニット2の容器4の流入口4bに接続される。なお、1つの容器32が第1イオン交換ユニット2と第2イオン交換ユニット2とによって共有されてもよい。
【0049】
第1イオン交換ユニット2によって精製された水は、第1イオン交換ユニット2の排出路20を介して第2イオン交換ユニット2の容器4に供給され、第2イオン交換ユニット2によってさらに精製される。そして、第2イオン交換ユニット2の排出路20からイオンが除去された水(純水等)が排出され、加工装置等に供給される。また、イオン交換樹脂の交換時には、第1イオン交換ユニット2及び第2イオン交換ユニット2から排出された水がそれぞれ容器32に回収され、水の精製の再開時には回収された水が第1イオン交換ユニット2の容器4に供給される。
【0050】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0051】
2 イオン交換ユニット(純水生成装置)
4 容器(イオン交換器)
4a 収容部(収容空間)
4b,4c 流入口
4d,4e 流出口
6 イオン交換樹脂
8 水供給路
10 開閉弁
12 容器(イオン交換樹脂収容容器)
14 イオン交換樹脂(補充用イオン交換樹脂)
16 イオン交換樹脂供給路
18 開閉弁
20 排出路(精製水排出路、第1排出路)
22 開閉弁
24 フィルタ
26 排出路(イオン交換樹脂排出路、第2排出路)
28 開閉弁
30 ポンプ
32 容器(イオン交換樹脂回収容器)
34 水供給路
36 開閉弁
38 フィルタ
40 水
42 純水
44 純水
図1
図2
図3
図4
図5