(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、半導体製造方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20231211BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231211BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/68 A
C23C16/44 F
(21)【出願番号】P 2021208693
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 智
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-105931(JP,A)
【文献】特表2021-510237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/677
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を鉛直方向として回転するシャフトと、前記シャフトから水平方向に延びると共に基板を支持するアームとを有し、前記基板を支持した前記アームを回転させることで前記基板を載置台の上方に搬送する搬送装置と、
前記アームに支持されて搬送される前記基板を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記アームに対する前記基板の搬送ずれを検出し、前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正するように、前記搬送装置を制御することが可能なよう構成される搬送制御部と、
前記載置台に載せられた前記基板を処理する処理部と
、を有し、
前記搬送装置は、前記基板を前記載置台に対して昇降させる昇降部を備え、
前記搬送制御部は、前記基板の搬送ずれを検出した場合に、前記アームに支持されて前記載置台の上方に搬送された前記基板を前記昇降部によって上昇させて前記アームから離間させ、前記アームを回転させて前記アームの位置を補正した後、前記基板を前記昇降部によって下降させて前記アームに支持させることで、前記基板の搬送ずれを修正して前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記アームは、複数設けられ、
前記搬送制御部は、前記アームに支持されて搬送される前記基板毎に前記載置台に対する位置ずれを修正する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、回転する前記アームに支持された前記基板が、予め決められた位置を通過するタイミングを検知し、
前記搬送制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記検知部は、回転する前記アームに支持された前記基板を画像認識によって検知し、
前記搬送制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記アームに基板が支持される位置に前記基板を配置する配置部を備え、
前記搬送制御部は、前記基板の搬送ずれを検出した場合には、前記検出結果に基づいて、前記配置部を制御し、前記アームに前記基板を配置する位置を修正する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理はエッチング処理である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理は成膜処理である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
軸方向を鉛直方向として回転するシャフトと、前記シャフトから水平方向に延びると共に基板を支持するアームとを有する搬送装置を用い、前記基板を支持している前記アームを回転させて前記基板を載置台の上方に搬送する工程と、
前記アームに支持されて搬送される前記基板を検知する工程と、
前記搬送装置は、前記基板を前記載置台に対して昇降させる昇降部を備え、前記検知の結果に基づいて前記アームに対する前記基板の搬送ずれを検出
した場合に、前記アームに支持されて前記載置台の上方に搬送された前記基板を 前記昇降部によって上昇させて前記アームから離間させ、前記アームを回転させて前記アームの位置を補正した後、前記基板を前記昇降部によって下降させて前記アームに支持させることで、前記基板の搬送ずれを修正して前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正する工程と、
前記載置台に載せられた前記基板を処理する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項9】
前記処理はエッチング処理である、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記処理は成膜処理である、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項11】
請求項8に記載の基板処理方法を用いた半導体製造方法。
【請求項12】
軸方向を鉛直方向として回転するシャフトと、前記シャフトから水平方向に延びると共に基板を支持するアームとを有する搬送装置を用い、前記基板を支持している前記アームを回転させて前記基板を載置台の上方に搬送する手順と、
前記アームに支持されて搬送される前記基板を検知する手順と、
前記搬送装置は、前記基板を前記載置台に対して昇降させる昇降部を備え、前記検知の結果に基づいて前記アームに対する前記基板の搬送ずれを検出
した場合に、前記アームに支持されて前記載置台の上方に搬送された前記基板を 前記昇降部によって上昇させて前記アームから離間させ、前記アームを回転させて前記アームの位置を補正した後、前記基板を前記昇降部によって下降させて前記アームに支持させることで、前記基板の搬送ずれを修正して前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正する手順と、
前記載置台に載せられた前記基板を処理する手順と、
をコンピュータを用いて基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項13】
前記検出の結果に基づいて、前記アームに基板が支持される位置に前記基板を配置する配置部を制御して、前記アームに前記基板を配置する位置を修正する手順と、
をコンピュータを用いて基板処理装置に実行させる、
請求項12に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、半導体製造方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の基板処理装置は、基板を処理室内に搬送する搬送手段と、複数のシーケンスで構成された基板搬送シーケンスを含む自動搬送処理に従って搬送手段を制御する第1の制御手段とを備えている。さらに、シーケンスは、少なくとも1つ以上の搬送時に実行される搬送動作と、搬送動作毎にセンサによりチェックする判定工程とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板処理装置では、真空装置からプロセスチャンバへ搬送される基板の搬送動作をチェックすることがある。換言すれば、一方のユニットから他方のユニットへ搬送される基板の搬送動作をチェックすることがある。しかし、このような構成では、ユニットの内部で搬送される基板の動作をチェックすることができない。
【0005】
例えば、ユニットの内部で、アームに基板を支持させ、このアームを回転させることで基板を搬送し、搬送した基板を載置台に載せる構成がある。このような構成では、アームを回転させることで、アームに支持されている基板がアームに対してずれてしまうことがある。この場合には、アームによって搬送した基板を載置台に載せると、載置台に載せられた基板に位置ずれが生じる。
【0006】
本開示の課題は、基板を回転するアームにより搬送し、搬送した基板を載置台に載せる技術において、載置台に対する基板の位置ずれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
軸方向を鉛直方向として回転するシャフトと、前記シャフトから水平方向に延びると共に基板を支持するアームとを有し、前記基板を支持した前記アームを回転させることで前記基板を載置台の上方に搬送する搬送装置と、
前記アームに支持されて搬送される前記基板を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記アームに対する前記基板の搬送ずれを検出し、前記載置台に対する前記基板の位置ずれを修正するように、前記搬送装置を制御することが可能なよう構成される搬送制御部と、
前記載置台に載せられた前記基板を処理する処理部と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基板を回転するアームにより搬送し、搬送した基板を載置台に載せる技術において、載置台に対する基板の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示した概略構成図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理炉等を示した断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る基板処理装置に備えられたプロセスコントローラ等を示したブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る基板処理装置のプロセスコントローラによって実行される成膜処理の各工程を示したフロー図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る基板処理装置に備えられた搬送制御部等を示したブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る基板処理装置の処理モジュールに備えられたサセプタ等を示した平面図である。
【
図7A】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、手前側のサセプタにウエハが配置される構成を示した工程図である。
【
図7B】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームをサセプタとウエハとの間に進入させる構成を示した工程図である。
【
図7C】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームでウエハを支持する構成を示した工程図である。
【
図7D】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームで支持したウエハを搬送する構成を示した工程図である。
【
図7E】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、ピンでウエハを支持する構成を示した工程図である。
【
図7F】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、ウエハのずれ量分だけアームを回転させる構成を示した工程図である。
【
図7G】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームにウエハを支持させ、アームをずれ量分だけ逆方向に回転させる構成を示した工程図である。
【
図7H】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、全てのウエハのずれが修正される構成を示した工程図である。
【
図7I】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、ピンがウエハを支持する構成を示した工程図である。
【
図7J】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、手前側のサセプタにウエハが配置される構成を示した工程図である。
【
図7K】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームを初期値に移動させる構成を示した工程図である。
【
図8A】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームが成膜処理されたウエハを支持する構成を示した工程図である。
【
図8B】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、ピンがウエハを支持する構成を示した工程図である。
【
図8C】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、手前側のウエハを取り出す構成を示した工程図である。
【
図8D】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、奥側のウエハを手前側に搬送する構成を示した工程図である。
【
図8E】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、手前側のウエハを取り出す構成を示した工程図である。
【
図8F】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される工程を示し、アームを初期値に移動させる構成を示した工程図である。
【
図9A】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される搬送処理の各工程を示したフロー図である。
【
図9B】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される搬送処理の各工程を示したフロー図である。
【
図9C】本開示の実施形態に係る基板処理装置の搬送制御部によって実行される搬送処理の各工程を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る基板処理装置、基板処理方法、及びプログラムについて、
図1~
図9を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
(基板処理装置の全体構成)
図1に示す基板処理装置10は、減圧状態で基板(例えばシリコン等から形成されるウエハW)を取り扱う真空側の構成と、大気圧状態においてウエハWを取り扱う大気圧側の構成とを備えている。真空側の構成は、主に、真空搬送室TMと、ロードロック室LM1,LM2と、基板としてのウエハWを処理する処理モジュール(処理機構)PM1~PM4とを備えている。大気圧側の構成は、主に、大気圧搬送室EFEMと、ロードポートLP1~LP3とを備える。
【0012】
ロードポートLP1~LP3には、ウエハWを収納したキャリアCA1~CA3が、基板処理装置10の外部から搬送されて載せられ、また、基板処理装置10の外部へ搬送される。これにより、例えば、ロードポートLP1に載せられたキャリアCA1から未処理のウエハWが取り出され、ロードロック室LM1を経て、処理モジュールPM1へ搬入されて処理された後、処理済みのウエハWは、その逆の手順で、ロードポートLP1上のキャリアCA1へ戻される。
【0013】
〔真空側の構成〕
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の負圧(減圧)に耐えることが出来る真空気密可能な構造に構成されている。なお、本実施形態においては、真空搬送室TMの筐体の平面視は、五角形状で、筐体は、鉛直方向の上下両端が閉塞した箱状とされている。
【0014】
ロードロック室LM1,LM2、処理モジュールPM1~PM4は、真空搬送室TMの外周を囲むように配置されている。なお、処理モジュールPM1~PM4のそれぞれを区別しない場合は、「処理モジュールPM」と記載することがある。また、ロードロック室LM1,LM2のそれぞれを区別しない場合は、「ロードロック室LM」と記載することがある。その他の構成(後述する真空ロボットVR、アームVRA等)についても同様に末尾の数値を省略することがある。
【0015】
真空搬送室TMの内部には、減圧状態でウエハWを搬送する搬送手段としての真空ロボットVRが1台設けられている。真空ロボットVRは、ウエハWを2組の基板支持アームVRA(以下「アームVRA)」)に載せることで、ロードロック室LM及び処理モジュールPMとの間で、ウエハWの搬送を行なう。また、真空ロボットVRは、真空搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降できるように構成される。さらに、2組のアームVRAは、上下方向に離間しており、それぞれ水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。真空ロボットVRは、配置部の一例である。
【0016】
それぞれの処理モジュールPMは、ウエハWが載せられる4個のサセプタ217と、サセプタ217に載せられたウエハWを減圧状態で処理する4個の処理室201(
図2参照)とを備えている。すなわち、それぞれの処理モジュールPMは、例えばプラズマ等を用いたエッチング、アッシング、又は化学反応による成膜など、ウエハWに付加価値を与える4個の処理室201を備えている。サセプタ217は、載置台の一例である。
【0017】
処理モジュールPMは、開閉弁としてのゲートバルブPGVにより真空搬送室TMにそれぞれ接続されている。これにより、処理モジュールPMは、ゲートバルブPGVを開けることにより、真空搬送室TMとの間で減圧下におけるウエハWの搬送が可能となる。また、処理モジュールPMは、ゲートバルブPGVを閉じることにより、処理モジュールPM内の圧力や処理ガス雰囲気を保持したまま、ウエハWに対して各種の基板処理が可能となる。
【0018】
ロードロック室LMは、真空搬送室TMの内部へウエハWを搬入する予備室として、又は真空搬送室TMの内部からウエハWを搬出する予備室として機能する。ロードロック室LMの内部には、ウエハWを搬入搬出する際、ウエハWを一時的に支持するバッファステージ(不図示)が、それぞれ設けられている。バッファステージは、複数枚(例えば2枚)のウエハWを保持する多段型スロットとして構成されていてもよい。
【0019】
また、ロードロック室LMは、開閉弁としてのゲートバルブLGVにより真空搬送室TMにそれぞれ接続されている。また、ロードロック室LMは、開閉弁としてのゲートバルブLDにより後述する大気圧搬送室EFEMにそれぞれ接続されている。真空搬送室TM側のゲートバルブLGVを閉じ、かつ、大気圧搬送室EFEM側のゲートバルブLDを開けることで、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、ロードロック室LMと大気圧搬送室EFEMとの間で、大気圧下にてウエハWが搬送される。
【0020】
また、ロードロック室LMは、真空状態などの大気圧未満の減圧に耐えることが出来る構造に構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能となっている。これにより、大気圧搬送室EFEM側のゲートバルブLDを閉じてロードロック室LMの内部を真空排気した後で、真空搬送室TM側のゲートバルブLGVが開けられる。これにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、ロードロック室LMと真空搬送室TMとの間で、減圧下にてウエハWが搬送される。
【0021】
〔大気圧側の構成〕
基板処理装置10の大気圧側には、大気圧搬送室EFEM(Equipment Front End Module)と、キャリアCA1~CA3を載せるキャリア載置部としてのロードポートLP1~LP3と、が設けられている。
【0022】
大気圧搬送室EFEMは、ロードロック室LM1,LM2に接続されたフロントモジュールであり、キャリアCA1~CA3は、大気圧搬送室EFEMに接続され、例えば1ロット分、25枚のウエハWをそれぞれ収納したウエハ収納容器である。このようなキャリアCA1~CA3としては、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)が使用される。
【0023】
なお、ロードポートLP1~LP3のそれぞれを区別しない場合は、「ロードポートLP」と記載することがある。また、キャリアCA1~CA3のそれぞれを区別しない場合は、「キャリアCA」と記載することがある。その他の構成(後述するキャリアドアCAH1~CAH3、キャリアオープナCP1~CP3等)についても同様に末尾の数値を省略することがある。
【0024】
大気圧搬送室EFEMの内部には、搬送手段としての大気圧ロボットARが例えば1台設けられている。大気圧ロボットARは、ロードロック室LM1とロードポートLP1上のキャリアCAとの間でウエハWの搬送を行なう。大気圧ロボットARも、真空ロボットVRと同様に2組のアームARAを有する。
【0025】
キャリアCAには、キャリアCAのキャップ(蓋)であるキャリアドアCAHが設けられている。ロードポートLP上に載せられたキャリアCAのキャリアドアCAHが開放された状態で、基板搬入搬出口CAAを通して、大気圧ロボットARによりキャリアCAの内部にウエハWが収納され、また、キャリアCAの内部のウエハWが大気圧ロボットARにより搬出される。
【0026】
また、大気圧搬送室EFEMの内部には、それぞれキャリアドアCAHを開閉するためのキャリアオープナCPが、それぞれロードポートLPに設けられている。つまり、大気圧搬送室EFEMの内部は、キャリアオープナCPを介してロードポートLPに接続されている。キャリアオープナCPは、キャリアドアCAHに密着した状態で、キャリアドアCAHと共に水平及び鉛直方向に動くことで、キャリアドアCAHを開閉する。
【0027】
また、大気圧搬送室EFEMの内部には、基板位置修正装置として、ウエハWの結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ合わせ装置であるアライナーAUが設けられている。さらに、大気圧搬送室EFEMには、大気圧搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給するクリーンエアユニット(図示しない)が設けられている。
【0028】
ロードポートLPは、ロードポートLP上に、複数枚のウエハWを収納したキャリアCAをそれぞれ載せるように構成される。それぞれのキャリアCAの内部には、ウエハWをそれぞれ収納する収納部としてのスロット(図示せず)が例えば1ロット分、25スロット設けられている。それぞれのロードポートLPはキャリアCAが載せられると、キャリアCAに付され、キャリアCAを識別するキャリアIDを示すバーコード等を読み取って記憶するよう構成される。
【0029】
〔制御部16〕
基板処理装置10は、基板処理装置を統括的に制御する制御部16を備えている。制御部16は、基板処理装置10の各部を制御するよう構成される。制御部16は、操作部としての装置コントローラ18と、搬送制御部としての搬送系コントローラ31と、処理制御部としてのプロセスコントローラ221と、搬送制御部421とを備えている。
【0030】
-装置コントローラ18-
装置コントローラ18は、図示しない操作表示部と共に、操作員とのインタフェースであり、操作表示部を介して操作員による操作や指示を受け付けるよう構成される。操作表示部には、操作画面や各種データ等の情報が表示される。操作表示部に表示されるデータは、装置コントローラ18の記憶部に記憶される。
【0031】
-搬送系コントローラ31-
搬送系コントローラ31は、真空ロボットVRや大気圧ロボットARを制御するロボットコントローラを含み、ウエハWの搬送制御や操作員から指示された作業の実行を制御するよう構成される。
【0032】
また、搬送系コントローラ31は、例えば装置コントローラ18を介して操作員により作成された搬送レシピに基づいて、ウエハWを搬送する際の制御データ(制御指示)を、真空ロボットVRや大気圧ロボットAR、各種バルブ、スイッチ等に対して出力する。そして、搬送系コントローラ31は、基板処理装置10の内部におけるウエハWの搬送制御を行う。なお、プロセスコントローラ221、及び搬送制御部421については詳細を後述する。
【0033】
制御部16は、
図1に示すように、基板処理装置10の内部に設けるだけでなく、基板処理装置10の外部に設けられていても良い。また、装置コントローラ18や搬送系コントローラ31や処理モジュールPMを制御する処理制御部としてのプロセスコントローラ221は、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)等の一般的な汎用コンピュータとして構成されていてもよい。この場合、各種プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(USBメモリ、DVD等)を用いて汎用コンピュータにプログラムをインストールすることにより、各コントローラを構成することができる。
【0034】
また、処理を実行するプログラムを供給するための手段は、任意に選択できる。所定の記録媒体を介して供給するほか、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給することができる。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して搬送波に重畳して供給してもよい。そして、このようにして提供されたプログラムを起動し、基板処理装置10のOS(Operating System)の制御下、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、処理を実行することができる。
【0035】
〔処理モジュールPM〕
それぞれの処理モジュールPMは、ウエハWをプラズマ処理する処理容器203を4個備えている。処理容器203には、
図2に示されるように、処理室201を構成する処理炉202が設けられている。処理容器203は、処理部の一例である。
【0036】
-処理容器203-
処理容器203は、第1の容器である石英製のドーム型の上側容器210(以後、石英ドームともいう)を備えている。上側容器210の下方は開放されており、サセプタ217によって上側容器210下端が塞がれることで、上側容器210の内部に処理室201が形成される。
【0037】
また、上側容器210には熱電対等の温度センサ280が設けられ、上側容器210の温度を検出することができるように構成されている。上側容器210は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)または石英(SiO2)等の非金属材料で形成されている。
【0038】
また、処理室201は、周囲にコイル212が設けられているプラズマ生成空間201a(
図2の一点鎖線の上側)と、プラズマ生成空間201aに連通し、ウエハWが処理される基板処理空間201bとを有する。プラズマが生成される空間であるプラズマ生成空間201aは、処理室201の内部で、コイル212の下端より上方で、かつ、コイル212の上端より下方の空間である。
【0039】
一方、ウエハWがプラズマを用いて処理される空間ある基板処理空間201b(
図2の一点鎖線の下側)は、コイル212の下端より下方の空間である。本実施形態では、プラズマ生成空間201aと基板処理空間201bの水平方向の径は略同一となるように構成されている。
【0040】
-サセプタ217-
処理室201の底には、ウエハWを載せる載置部としてのサセプタ217が配置されている。サセプタ217は例えば窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料から形成されており、ウエハW上に形成される膜等に対する金属汚染を低減することができるように構成されている。
【0041】
サセプタ217の内部には、加熱機構としてのヒータ219が一体的に埋め込まれている。ヒータ219は、電力が供給されると、載せられたウエハW表面を例えば25℃から750℃程度まで加熱することができるように構成されている。
【0042】
インピーダンス調整電極220は、サセプタ217に載せられたウエハW上に生成されるプラズマの密度の均一性をより向上させるために、サセプタ217の内部に設けられており、インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構275を介して接地されている。インピーダンス可変機構275はコイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのインダクタンス及び抵抗並びに可変コンデンサの容量値を制御することにより、インピーダンスを約0Ωから処理室201の寄生インピーダンス値の範囲内で変化させることができるように構成されている。
【0043】
サセプタ217には、サセプタ217を昇降させるサセプタ昇降機構268が設けられている。また、サセプタ217には貫通孔218が設けられている。さらに、サセプタ217が下方へ移動した状態(図中の二点鎖線)で、貫通孔218に挿入されてウエハWを突き上げるピン266が設けられている。ピン266は、昇降部の一例である。
【0044】
ピン266は、下側基台211に設けられており、下側基台211には、下側基台211と共にピン266を昇降させる昇降機構214が設けられている。
【0045】
なお、処理モジュールPMに設けられた4個のサセプタ217にウエハWをそれぞれ載せる構成、及び工程の詳細については後述する。
【0046】
-ガス供給部-
処理室201の上方、つまり上側容器210の上部には、ガス供給ヘッド236が設けられている。ガス供給ヘッド236は、キャップ状の蓋体233と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239とを備えている。そして、ガス供給ヘッド236は、反応ガスを処理室201の内部へ供給できるように構成されている。バッファ室237は、ガス導入口234より導入される反応ガスを分散する分散空間として機能する。
【0047】
ガス導入口234には、酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管232aの下流端と、水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給管232bの下流端と、不活性ガスを供給する不活性ガス供給管232cと、が合流するガス供給管232に接続されている。酸素含有ガスとしては、例えば、酸素(O2)ガス、オゾン(O3)ガス、O2ガス+水素(H2)ガス、水蒸気(H2Oガス)、過酸化水素(H2O2)ガス、亜酸化窒素(N2O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO2)ガス等の酸素(O)含有ガス等を用いることができる。酸素含有ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。水素含有ガスとしては、例えば、H2ガス、H2Oガス、H2O2ガス、重水素(D2)ガス等を用いることができる。また、水素含有ガスとしては、これらのうち少なくとも何れか1つを含むガスを用いることができる。不活性ガスとしては、例えば、 窒素(N2)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0048】
酸素含有ガス供給管232aには、上流側から順に、酸素含有ガス供給源250a、流量制御装置としてのマスフローコントローラ(MFC)252a、開閉弁としてのバルブ253aが設けられている。
【0049】
水素含有ガス供給管232bには、上流側から順に、水素含有ガス供給源250b、MFC252b、バルブ253bが設けられている。不活性ガス供給管232cには、上流側から順に、不活性ガス供給源250c、MFC252c、バルブ253cが設けられている。酸素含有ガス供給管232aと水素含有ガス供給管232bと不活性ガス供給管232cとが合流したガス供給管232には、バルブ243aが設けられ、ガス導入口234の上流端に接続されている。
【0050】
バルブ253a、253b、253c、243aを開閉させることによって、MFC252a、252b、252cによりそれぞれのガスの流量が調整される。そして、酸素含有ガス供給管232a、232b、232cを介して、酸素含有ガス、水素ガス含有ガス、不活性ガス等の処理ガスが処理室201の内部へ供給される構成されている。
【0051】
主に、ガス供給ヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、酸素含有ガス供給管232a、水素含有ガス供給管232b、不活性ガス供給管232c、MFC252a,252b,252c、バルブ253a,253b,253c,243aにより、本実施形態に係るガス供給部(ガス供給系)が構成されている。
【0052】
また、ガス供給ヘッド236、酸素含有ガス供給管232a、MFC252a、バルブ253a,243aにより、本実施形態に係る酸素含有ガス供給系が構成されている。さらに、ガス供給ヘッド236、水素含有ガス供給管232b、MFC252b、バルブ253b,243aにより、本実施形態に係る水素ガス供給系が構成されている。また、ガス供給ヘッド236、不活性ガス供給管232c、MFC252c、バルブ253c,243aにより、本実施形態に係る不活性ガス供給系が構成されている。
【0053】
なお、本実施形態に係る基板処理装置10は、酸素含有ガス供給系から酸素含有ガスを供給することにより酸化処理を行うように構成されているが、酸素含有ガス供給系に替えて、窒素含有ガスを処理室201の内部に供給する窒素含有ガス供給系を設けることもできる。このように構成された基板処理装置10によれば、基板の酸化処理に替えて窒化処理を行うことができる。この場合、酸素含有ガス供給源250aに替えて、例えば窒素含有ガス供給源としてのN2ガス供給源が設けられ、酸素含有ガス供給管232aが窒素含有ガス供給管として構成される。
【0054】
-排気部-
処理容器203の下側の側壁には、処理室201の内部から反応ガスを排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235には、ガス排気管231の上流端が接続されている。ガス排気管231には、上流側から順に圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)242、開閉弁としてのバルブ243b、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。主に、ガス排気口235、ガス排気管231、APC242、バルブ243bにより、本実施形態に係る排気部が構成されている。なお、真空ポンプ246を排気部に含めても良い。
【0055】
-プラズマ生成部-
処理室201の外周部、すなわち上側容器210の側壁の外側には、処理室201を囲うように、第1の電極としての、螺旋状の共振コイル212が設けられている。共振コイル212には、RFセンサ272、高周波電源273、高周波電源273のインピーダンスや出力周波数の整合を行う整合器274が接続される。主に、共振コイル212、RFセンサ272、整合器274により、本実施形態に係るプラズマ生成部が構成されている。なお、プラズマ生成部として高周波電源273を含めても良い。
【0056】
高周波電源273は、共振コイル212に高周波電力(RF電力)を供給するものである。RFセンサ272は高周波電源273の出力側に設けられ、供給される高周波の進行波や反射波の情報をモニタするものである。RFセンサ272によってモニタされた反射波電力は整合器274に入力され、整合器274は、RFセンサ272から入力された反射波の情報に基づいて、反射波が最小となるよう、高周波電源273のインピーダンスや出力される高周波電力の周波数を制御するものである。
【0057】
高周波電源273は、発振周波数および出力を規定するための高周波発振回路およびプリアンプを含む電源制御手段(コントロール回路)と、所定の出力に増幅するための増幅器(出力回路)とを備えている。電源制御手段は、操作パネルを通じて予め設定された周波数および電力に関する出力条件に基づいて増幅器を制御する。増幅器は、共振コイル212に伝送線路を介して一定の高周波電力を供給する。
【0058】
-プラズマ生成部-
共振コイル212は、所定の波長の定在波を形成するため、一定の波長で共振するように巻径、巻回ピッチ、巻数が設定される。すなわち、共振コイル212の電気的長さは、高周波電源273から供給される高周波電力の所定周波数における1波長の整数倍(1倍、2倍、…)に相当する長さに設定される。
【0059】
共振コイル212を構成する素材としては、銅パイプ、銅の薄板、アルミニウムパイプ、アルミニウム薄板、ポリマーベルトに銅またはアルミニウムを蒸着した素材などが使用される。共振コイル212は、絶縁性材料にて平板状に形成され、複数のサポート(図示せず)によって支持される。
【0060】
-プロセスコントローラ221-
処理制御部としてのプロセスコントローラ221(以下「コントローラ221」)は、
図2に示すように、信号線Aを通じてAPC242、バルブ243b及び真空ポンプ246を制御するように構成されている。また、コントローラ221は、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268を、信号線Cを通じてヒータ電力調整機構276及びインピーダンス可変機構275を制御するように構成されている。さらに、コントローラ221は、信号線Eを通じてRFセンサ272、高周波電源273及び整合器274を制御するように構成されている。また、コントローラ221は、信号線Fを通じてMFC252a~252c及びバルブ253a~253c,243aを制御するように構成されている。
【0061】
さらに、コントローラ221は、
図3に示されるように、CPU(Central Processing Unit)221a、RAM(Random Access Memory)221b、記憶装置221c、I/Oポート221dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM221b、記憶装置221c、I/Oポート221dは、内部バス221eを介して、CPU221aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ221には、例えばタッチパネルやディスプレイ等として構成された入出力装置222が接続されている。
【0062】
記憶装置221cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置221cの内部には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。プロセスレシピ(処理レシピ)や、後述する前処理レピとしてのチャンバコンディションレシピ等の各種プログラムレシピは、各手順をプロセスコントローラ221に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM221bは、CPU221aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0063】
I/Oポート221dは、前述のMFC252a~252c、バルブ253a~253c、243a、243b、APCバルブ242、真空ポンプ246、RFセンサ272、高周波電源273、整合器274、サセプタ昇降機構268、インピーダンス可変機構275、ヒータ電力調整機構276、等に接続されている。
【0064】
CPU221aは、記憶装置221cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置222からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置221cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU221aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、I/Oポート221d及び信号線Aを通じてAPCバルブ242の開度調整動作、バルブ243bの開閉動作、及び真空ポンプ246の起動・停止を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268の昇降動作を、信号線Cを通じてヒータ電力調整機構276によるヒータ219への供給電力量調整動作(温度調整動作)や、インピーダンス可変機構275によるインピーダンス値調整動作を、信号線Eを通じてRFセンサ272、整合器274及び高周波電源273の動作を、信号線Fを通じてMFC252a~252cによる各種ガスの流量調整動作、及びバルブ253a~253c、243aの開閉動作、等を制御するように構成されている。
【0065】
プロセスコントローラ221は、外部記憶装置(例えば、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)223に格納された前述のプログラムをコンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置221cや外部記憶装置223は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置221c単体のみを含む場合、外部記憶装置223単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置223を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0066】
(基板処理工程)
基板処理装置10による基板処理工程につて、
図4に示すフロー図を用いて説明する。本実施形態に係る基板処理工程は、例えば半導体デバイスの製造工程の一工程として、前述の処理モジュールPMにより実施される。以下の説明において、処理モジュールPMを構成する各部の動作は、プロセスコントローラ221により制御される。
【0067】
〔基板搬入工程S110〕
図2の2点鎖線で示すように、サセプタ昇降機構268は、サセプタ217を下降させる。そして、サセプタ217の上面から突出したピン266にウエハWが支持される。なお、ウエハWをピン266に支持させる工程については、詳細を後述する。
【0068】
そして、サセプタ昇降機構268は、
図2の実線で示すように、サセプタ217を上昇させる。これにより、サセプタ217によって上側容器210下端が塞がれることで、上側容器210の内部に処理室201が形成される。このようにして処理室201の内部にウエハWが搬入される。
【0069】
〔昇温・真空排気工程S120〕
続いて、処理室201の内部に搬入されたウエハWの昇温を行う。ヒータ219は予め加熱されており、ヒータ219が埋め込まれたサセプタ217にウエハWを載せることで、例えば150~750℃の範囲内の所定値にウエハWを加熱する。ここでは、ウエハWの温度が600℃となるよう加熱する。また、ウエハWの昇温を行う間、真空ポンプ246によりガス排気管231を介して処理室201の内部を真空排気し、処理室201の内部の圧力を所定の値とする。真空ポンプ246は、少なくとも後述の基板搬出工程S160が終了するまで作動される。
【0070】
なお、本明細書における「150~750℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「150~750℃」とは「150℃以上175℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0071】
〔反応ガス供給工程S130〕
次に、反応ガスとして、酸素含有ガスと水素含有ガスの供給を開始する。具体的には、バルブ253a及び253bを開け、MFC252a及び252bにて流量制御しながら、処理室201の内部へ酸素含有ガス及び水素含有ガスの供給を開始する。このとき、酸素含有ガスの流量を、例えば20~2000sccm、好ましくは20~1000sccmの範囲内の所定値とする。また、水素含有ガスの流量を、例えば20~1000sccm、好ましくは20~500sccmの範囲内の所定値とする。より好適な例として、酸素含有ガスと水素含有ガスの合計流量を1000sccmとし、流量比は酸素含有ガス/水素含有ガス≧950/50とすることが好ましい。また、処理室201の内部の圧力が、例えば1~250Pa、好ましくは50~200Paの範囲内の所定圧力、より好ましくは約150Paとなるように、APC242の開度を調整して処理室201の内部の排気を制御する。このように、処理室201の内部を適度に排気しつつ、後述のプラズマ処理工程S140の終了時まで酸素含有ガス及び水素含有ガスの供給を継続する。
【0072】
〔プラズマ処理工程S140〕
処理室201の内部の圧力が安定したら、共振コイル212に対して高周波電源273からRFセンサ272を介して、高周波電力の印加を開始する。本実施形態では、高周波電源273から共振コイル212に27.12MHzの高周波電力を供給する。共振コイル212に供給する高周波電力は、例えば100~5000Wの範囲内の所定の電力であって、好ましくは100~3500Wであり、より好ましくは約3500Wとする。電力が100Wより低い場合、プラズマ放電を安定的に生じさせることが難しい。
【0073】
これにより、酸素含有ガス及び水素含有ガスが供給されているプラズマ生成空間201aの内部に高周波電界が形成され、この電界により、プラズマ生成空間の共振コイル212の電気的中点に相当する高さ位置に、最も高いプラズマ密度を有するドーナツ状の誘導プラズマが励起される。プラズマ状の酸素含有ガス及び水素含有ガスは解離し、酸素を含む酸素ラジカル(酸素活性種)や酸素イオン、水素を含む水素ラジカル(水素活性種)や水素イオン、等の反応種が生成される。
【0074】
前述したように、共振コイル212の電気的長さが高周波電力の波長と同じ場合、プラズマ生成空間201aの内部には、共振コイル212の電気的中点の近傍において、処理室壁や載置台との容量結合が殆どなく、電気的ポテンシャルの極めて低いドーナツ状の誘導プラズマが励起される。電気的ポテンシャルが極めて低いプラズマが生成されることから、プラズマ生成空間201aの壁や、サセプタ217上にシースが発生するのを防ぐことができる。これにより、本実施形態では、プラズマ中のイオンは加速されない。
【0075】
基板処理空間201bでサセプタ217に載せられているウエハWには、誘導プラズマにより生成されたラジカルと加速されない状態のイオンがウエハWの溝に均一に供給される。供給されたラジカル及びイオンは、ウエハWの溝の側壁に均一に反応し、表面のシリコン層をステップカバレッジが良好なシリコン酸化層へと改質する。
【0076】
その後、所定の処理時間、例えば10~300秒が経過したら、高周波電源273からの電力の出力を停止して、処理室201の内部におけるプラズマ放電を停止する。また、バルブ253a及び253bを閉めて、酸素含有ガス及び水素含有ガスの処理室201の内部への供給を停止する。以上により、プラズマ処理工程S140が終了する。
【0077】
〔真空排気工程S150〕
酸素含有ガス及び水素含有ガスの供給を停止したら、ガス排気管231を介して処理室201の内部を真空排気する。これにより、処理室201の内部の酸素含有ガスや水素含有ガス、これらガスの反応により発生した排ガス等を処理室201の外部へ排気する。その後、APC242の開度を調整し、処理室201の内部の圧力を処理室201に隣接する真空搬送室(ウエハWの搬出先。図示せず)と同じ圧力(例えば100Pa)に調整する。
【0078】
〔基板搬出工程S160〕
処理室201の内部が所定の圧力となったら、サセプタ217をウエハWの搬送位置まで下降させ、ウエハ突上げピン266上にウエハWを支持させる(
図2の二点鎖線)。そして、ウエハWを処理室201の外部へ搬出する。以上により、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。なお、処理済みのウエハWを外部へ搬出する工程については、詳細を後述する。
【0079】
(要部構成)
次に、ウエハWを処理モジュールPMに搬入して4個のサセプタ217にウエハWをそれぞれ載せる構成、及び処理済みのウエハWを処理モジュールPMから搬出する構成について、
図5~
図9を用いて説明する。なお、各図に示す矢印Wは、水平方向であって処理モジュールPMの幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって処理モジュールPMの奥行き方向を示し、矢印Hは、鉛直方向であって処理モジュールPMの上下方向を示す。幅方向、奥行き方向、及び上下方向は、互いに直交する。
【0080】
処理モジュールPMは、4個のサセプタ217、処理モジュールPMに搬入されたウエハWを搬送する搬送装置320、搬送されるウエハWを検知する光学センサ360、前述したピン266、及び各部を制御する搬送制御部421を備えている。
【0081】
〔サセプタ217〕
処理モジュールPMに設けられた4個のサセプタ217は、
図5に示されるように、幅方向に及び奥行き方向に並んで配置されている。そして、4個のサセプタ217は、中心C1の周りに同様の間隔で配置されている。以下説明の便宜上、奥行き方向の手前側で、かつ、幅方向の一方側のサセプタ217をサセプタ217aと記載し、サセプタ217aに対して幅方向の他方側のサセプタ217をサセプタ217bと記載する。また、奥行き方向の奥側で、かつ、幅方向の他方側のサセプタ217をサセプタ217cと記載し、サセプタ217cに対して幅方向の一方側のサセプタ217をサセプタ217dと記載する。なお、それぞれのサセプタ217を区別しない場合は、末尾のアルファベットを省略する。
【0082】
また、それぞれのサセプタ217には、ピン266が挿入される貫通孔218が形成されている。貫通孔218は、三角形の頂点を構成する3箇所に形成されており、中心C1に近接する側に1個の貫通孔218が形成され、中心C1から遠ざかる側に2個の貫通孔218が形成されている。
【0083】
この構成において、
図2に示す昇降機構214によってピン266を昇降させることで、ピン266は、サセプタ217の上面から突出する突出位置(
図7A参照)と、貫通孔218に収納される収納位置(
図7C参照)とに移動する。
【0084】
〔搬送装置320〕
ウエハWを搬送する搬送装置320は、
図5に示されるように、上下方向に延びるシャフト322と、シャフト322に基端が取り付けられて水平方向に延びる4個のアーム330と、シャフト322を周方向に回転させる駆動源336とを備えている。4個のアーム330は、シャフト322の周方向に同様の間隔で配置されており、シャフト322の径方向に延びている。また、初期位置のアーム330は、隣り合うサセプタ217の間に配置されている。さらに、アーム330の先端部分は、シャフト322の周方向の一方側が開放されたV字状とされている。なお、駆動源336には、例えば、パルス信号によって回転角度・回転速度を制御することができるステッピングモーターが用いられている。
【0085】
この構成において、ピン266が突出位置に移動した状態で、
図7Aに示されるように、ピン266がウエハWを支持する。この状態で、アーム330を反時計回りに45度回転させると、アーム330は、
図7Bに示されるように、サセプタ217とウエハWとの間に進入する。なお、この状態で、アーム330の先端部分がV字状とされていることで、アーム330とピン266とは干渉しないようになっている。さらに、ピン266が収納位置に移動すると、
図7Cに示されるように、アーム330がウエハWを支持する。そして、ウエハWを支持したアーム330を回転させることで、ウエハWが搬送される。
【0086】
〔光学センサ360〕
搬送されるウエハWを検知する光学センサ360は、複数設けられ、上下方向においてアーム330の下方へ配置されている。そして、光学センサ360は、
図7Bに示されるように、それぞれのサセプタ217を仕切るように並べられている。光学センサ360は、検知部の一例である。
【0087】
この構成において、光学センサ360は、アーム330によって搬送されて光学センサ360の上方を通過するウエハWを検知する。
【0088】
〔搬送制御部421〕
搬送制御部421は、図示せぬ有線又は無線を通じて、
図6に示されるように、真空ロボットVR、ピン266を昇降させる昇降機構214、アーム330を回転させる駆動源336、及び搬送されるウエハWを検知する光学センサ360を、それぞれ制御するように構成されている。
【0089】
また、搬送制御部421は、CPU421a、RAM421b、記憶装置421c、及びI/Oポート421dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM421b、記憶装置421c、及びI/Oポート421dは、内部バス421eを介して、CPU421aとデータ交換可能なように構成されている。
【0090】
記憶装置421cは、例えばフラッシュメモリ、HDD等で構成されている。記憶装置421cには、真空ロボットVR、昇降機構214、駆動源336等の動作を制御する搬送プログラム等が格納されている。また、RAM421bは、CPU421aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。I/Oポート421dは、真空ロボットVR、昇降機構214、駆動源336、及び光学センサ360等に接続されている。
【0091】
(サセプタ217にウエハWを載せる工程)
次に、ウエハWを処理モジュールPMに搬入して4個のサセプタ217にウエハWをそれぞれ載せる工程、及び処理済みのウエハWを処理モジュールPMから搬出する工程について、
図9A~
図9Cに示すフロー図を用いて説明する。この工程は、搬送制御部421のCPU421aがRAM421bまたは外部記憶装置423に記憶された搬送プログラムを読み出し、各部を制御することにより実現される。
【0092】
ピン266は突出位置に配置されており、
図5に示されるように、初期位置のアーム330は、隣り合うサセプタ217の間に配置されている。
【0093】
この状態からステップS210では、
図1に示す真空ロボットVRが、アームVRAを稼動させて、
図7Aに示されるように、サセプタ217a、217bから突出したピン266にウエハWを支持させる。換言すれば、真空ロボットVRが、奥行き方向の手間側のサセプタ217a、217bから突出したピン266にウエハWを支持させる。これにより、手前側のサセプタ217a、217bから突出したピン266がウエハWを支持する。なお、奥行き方向の手前側とは、真空ロボットVRに近接する側である。
【0094】
ステップS220では、アーム330を反時計回りに45度回転させることで、アーム330は、
図7Bに示されるように、サセプタ217a、217bとウエハWとの間に進入する。
【0095】
ステップS230では、ピン266を収納位置へ移動させることで、
図7Cに示されるように、アーム330がウエハWを支持する。具体的には、アーム330は、手間側のウエハWを支持する。
【0096】
ステップS240では、アーム330を反時計回りに180度回転させることで、アーム330は、
図7Dに示されるように、支持したウエハWを奥行き方向の奥側のサセプタ217の上方へ搬送する。また、光学センサ360は、光学センサ360の上方を通過するウエハWを検知する。具体的には、光学センサ360は、回転するアーム330に支持されたウエハWが、光学センサ360の上方を通過するタイミングを検知する。ここで、通過するタイミングとは、光学センサ360の上方に侵入したウエハWが、光学センサ360の上方を通過するタイミングである。
【0097】
さらに、CPU421aがこの検知結果に基づいて、アーム330の回転によってウエハWに搬送ずれが発生しているか否かを検出する。具体的には、ウエハWに搬送ずれが生じているか否かを検出する基準が予めRAM421bに記憶されており、CPU421aは、この基準に基づいて、ウエハWに搬送ずれが生じているか否かを検出する。換言すれば、CPU421aは、ウエハWに対するアーム330の相対位置が初期位置からずれているか否か、すなわち搬送ずれが生じているか否かを検出する。さらに、ウエハWに搬送ずれが生じている場合には、CPU421aは、光学センサ360の検知結果に基づいて、ウエハWに対するアーム330の相対位置の初期位置からのずれ量、すなわち搬送ずれ量を導出する。
【0098】
ウエハWに搬送ずれが生じている場合は、ステップS250へ移行し、ウエハWに搬送ずれが生じていない場合は、ステップS280に移行する。以下、サセプタ217dの上方に搬送されたウエハWに搬送ずれが生じている場合について説明する。本実施形態では、サセプタ217dの上方に搬送されたウエハWに搬送ずれが生じている。サセプタ217dの上方に搬送されたウエハWに搬送ずれが生じているため、
図7Dに示されるように、上方から見て、サセプタ217dに対するウエハWの相対位置と基準位置とのずれ、すなわちウエハWの位置ずれの量が許容値を大きく超えている。
【0099】
ステップS250では、搬送ずれが生じているウエハWが上方に搬送されたサセプタ217dのピン266のみが突出位置に移動する。これにより、
図7Eに示されるように、サセプタ217dから突出したピン266が、搬送ずれが生じているウエハWを支持する。
【0100】
ステップS260では、搬送ずれが生じている方向に搬送ずれ量だけアーム330を回転させことで、ウエハWに対するアーム330の相対位置が、
図7Fに示されるように、補正される。なお、サセプタ217cの上方に搬送されたウエハWについては、アーム330に支持された状態が維持されているため、ウエハWに対するアーム330の相対位置は変化していない。
【0101】
ステップS270では、サセプタ217dのピン266を収納位置へ移動させることで、
図7Eに示されるように、アーム330がサセプタ217d上のウエハWを支持する。さらに、搬送ずれ量だけアーム330をステップS260で回転させた方向とは逆方向に回転させることで、
図7Gに示されるように、サセプタ217dに対するウエハWの位置ずれが許容値に入る。なお、アーム330を逆方向に回転させることで、
図7Hに示されるように、サセプタ217cに対するウエハWの位置ずれが許容値に入る。
【0102】
ステップS280では、全てのサセプタ217のピン266を突出位置へ移動させることで、奥行き方向の奥側のサセプタ217c、217dから突出しているピン266が、
図7Iに示されるように、ウエハWを支持する。
【0103】
ステップS290では、
図1に示す真空ロボットVRが、アームVRAを稼動させて、
図7Jに示されるように、サセプタ217a、217bから突出したピン266にウエハWを支持させる。これにより、全てのサセプタ217から突出するピン266が、ウエハWをそれぞれ支持する。
【0104】
ステップS300では、アーム330を時計回りに45度回転させることで、アーム330は、
図7Kに示されるように、初期位置に復帰する。
【0105】
この状態で、上側容器210の下端を塞ぐ塞ぎ位置にサセプタ217を移動させて、前述した基板処理工程が実行される。さらに、基板処理工程が終了すると、塞ぎ位置に配置されたサセプタ217は、下方へ移動されることで、ピン266がサセプタ217から突出し、サセプタ217から突出するピン266が、処理済のウエハWをそれぞれ支持する(
図7K参照)。
【0106】
以下、処理済みのウエハWを処理モジュールPMから搬出する工程について説明する。
ステップS310では、アーム330を反時計回りに45度回転させることで、アーム330は、
図8Aに示されるように、サセプタ217とウエハWとの間に進入する。
【0107】
ステップS320では、突出位置のピン266を収納位置へ移動させるとこで、アーム330が、ウエハWを夫々支持する。さらに、アーム330を反時計回りに180度回転させ後、収入位置のピン266を突出位置に移動させる。これにより、奥行き方向の手前側のサセプタ217a、217bから突出するピン266が、
図8Bに示されるように、真空ロボットVRによって最初に処理モジュールPMへ搬入されたウエハWを支持する。
【0108】
ステップS330では、
図1に示す真空ロボットVRが、アームVRAを稼動させて、
図8Cに示されるように、サセプタ217a、217bから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出す。具体的には、サセプタ217aから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出し、次に、サセプタ217bから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出す。換言すれば、奥行き方向の手間側のサセプタ217a、217bから突出したピン266に支持されたウエハWが順番に取り出される。
【0109】
ステップS340では、突出位置に配置されたピン266を収納位置へ移動させる。これにより、奥行き方向の奥側のサセプタ217c、217dから突出するピン266が、ウエハWを支持する。さらに、アーム330を反時計回りに180度回転させた後、収納位置に配置されたピン266を突出位置へ移動させる。これにより、奥行き方向の手前側のサセプタ217a、217bから突出するピン266が、
図8Dに示されるように、ウエハWを支持する。ここで、サセプタ217a、217bから突出するピン266によって支持されているウエハWは、真空ロボットVRによって最後に処理モジュールPMへ搬入されたウエハWでる。
【0110】
ステップS350では、
図1に示す真空ロボットVRが、アームVRAを稼動させて、
図8Eに示されるように、サセプタ217a、217bから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出す。具体的には、サから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出し、次に、サセプタ217bから突出したピン266に支持されたウエハWを取り出す。換言すれば、奥行き方向の手間側のサセプタ217から突出したピン266に支持されたウエハWが順番に取り出される。
【0111】
このようにして、ウエハWは、処理モジュールPMへ搬入された順番に処理モジュールPMから搬出される。なお、処理モジュールPMから搬出された処理済みのウエハWは、前述した逆の手順で、ロードポートLP1上のキャリアCA1へ戻される。
【0112】
ステップS360では、アーム330を反時計回りに45度回転させることで、アーム330は、
図8Fに示されるように、初期値に復帰する。このようにして一連の工程が終了する。また、この一連の工程を繰り返すことで、複数枚のウエハWが成膜処理される。
【0113】
(まとめ)
以上説明したように、基板処理装置10においては、アーム330によって搬送されるウエハWの搬送ずれを検出した場合に、サセプタ217の上方に搬送されたウエハWを上昇するピン266が支持し、ウエハWをアーム330から離間させる。さらに、アーム330をずれ量だけ回転させてウエハWに対するアーム330の位置を補正した後、ピン266が下降することで、アーム330がウエハWを支持する。そして、アーム330をずれ量だけ逆回転させることで、サセプタ217に対するウエハWの位置ずれが修正される。このように、サセプタ217に対するウエハWの位置ずれを抑制することができる。
【0114】
また、基板処理装置10においては、サセプタ217に対するウエハWの位置ずれが抑制されることで、ウエハWに処理される膜質の面内均一性の低下、及び膜厚の面内均一性の低下を抑制することができる。
【0115】
また、基板処理装置10においては、アーム330は4個設けられ、アーム330毎にウエハWの搬送ずれが補正されることで、アーム330毎にサセプタ217に対するウエハWの位置ずれが修正される。このように、アーム330が複数個設けられる場合であっても、ウエハWの位置ずれの修正をアーム毎に実行することができる。
【0116】
また、基板処理装置10においては、アーム330は4個設けられ、アーム330毎にウエハWの搬送ずれが補正されることで、アーム330毎にサセプタ217に対するウエハWの位置ずれが修正される。このように、アーム330毎にウエハWの位置ずれが修正されることで、ロット内のばらつきを最小化することができる。
【0117】
また、基板処理装置10においては、光学センサ360は、アーム330に支持されたウエハWが、予め決められた位置を通過するタイミングを検知する。これにより、搬送制御部421は、検知結果に基づいて、ウエハWのずれ量、ずれ方向を検出することができる。
【0118】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示は本開示の範囲にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、プラズマを用いてウエハWの表面に対して酸化処理や窒化処理を行う例について説明したが、これらの処理に限らず、プラズマを用いてウエハWに対して処理を施すあらゆる技術に適用することができる。例えば、プラズマを用いて行うウエハWの表面に形成された膜に対する改質処理やドーピング処理、酸化膜の還元処理、当該膜に対するエッチング処理、レジストのアッシング処理、等に適用することができる。
【0119】
また、上記実施形態では、ウエハWを検知する検知部として光学センサ360を用いたが、検知部としてカメラ及び画像処理装置を用いて画像認識によって回転しているアーム330に支持されたウエハWの位置を検知してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、搬送制御部421が、ウエハWの搬送ずれを検出した場合に、検出結果に基づいて、真空ロボットVRを制御し、真空ロボットVRによって処理モジュールPMの内部にウエハWが搬入されて配置される位置を修正してもよい。例えば、ウエハWが一方向にずれている検出結果に基づいて、処理モジュールPMの内部に搬入して配置されるウエハWを予め他方向にずらしてもよい。これにより、処理モジュールPMの内部でウエハWの位置ずれを修正することが少なくなるため、ウエハWの位置ずれを修正するための工数を削減することができる。
【0121】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、処理済みのウエハWをアーム330で搬送するときに生じた搬送ずれを修正し、サセプタ217に対するウエハWの位置ずれを修正してもよい。これにより、ロードポートLP1上のキャリアCA1へ戻されるウエハWに生じる位置ずれが抑制される。
【0122】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、装置奥行き方向の手前側のサセプタ217a,217bに載せられたウエハWに対して第一の膜を成形し、装置奥行き方向の奥側のサセプタ217c、217dに載せられたウエハWに対して第二の膜を成形し、ウエハWに第一の膜と第二の膜とを積層させてもよい。このような場合には、アーム330によって同一のウエハWが複数回搬送される。
【0123】
また、上記実施形態では、アーム330が4個設けられたが、1個から3個でもよく、5個以上であってもよい。しかし、1個の場合には、アームが複数設けられることで生じる作用は生じない。
【0124】
また、上記実施形態では、アーム330とウエハWとが離間した状態でアーム330をずれ量だけ回転させることで、アーム330とウエハWとの相対位置を補正したが、ウエハWを固定した状態でアーム330をずれ量だけ回転させることで、アーム330とウエハWとの相対位置を修正してもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 基板処理装置
203 処理容器(処理部の一例)
217 サセプタ(載置台の一例)
217a サセプタ(載置台の一例)
217b サセプタ(載置台の一例)
217c サセプタ(載置台の一例)
217d サセプタ(載置台の一例)
266 ピン(昇降部の一例)
320 搬送装置
322 シャフト
330 アーム
360 光学センサ(検知部の一例)
421 搬送制御部
VR 真空ロボット(配置部の一例)
W ウエハ(基板の一例)