(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】リンをドープされた窒化ケイ素膜の堆積方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20231211BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20231211BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20231211BHJP
C23C 16/515 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/318 B
C23C16/42
C23C16/515
(21)【出願番号】P 2021532847
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019056066
(87)【国際公開番号】W WO2020123024
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フー, ケソン
(72)【発明者】
【氏名】ハウラダル, ラナ
(72)【発明者】
【氏名】ツィアン, マイケル ウェンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハン, シンハイ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ, ハン
(72)【発明者】
【氏名】パディ, ディーネッシュ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-119575(JP,A)
【文献】特開昭63-102263(JP,A)
【文献】特開2015-144268(JP,A)
【文献】特開平09-142821(JP,A)
【文献】特開昭61-049426(JP,A)
【文献】特開昭63-178248(JP,A)
【文献】特表2007-521658(JP,A)
【文献】特開昭57-121231(JP,A)
【文献】特開平02-083536(JP,A)
【文献】国際公開第2005/007748(WO,A1)
【文献】特表2018-524808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/318
C23C 16/42
C23C 16/515
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、
プラズマ化学気相堆積プロセス中に、基板をRF電力の存在下で堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積すること
を含み、ここで、
堆積ガスが、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する、
方法。
【請求項2】
基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオフにすることをさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオン/オフでパルス化することを含む、パルスプラズマプロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオンに維持することを含む連続プラズマプロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基板を堆積ガスに曝露し続けながら基板を水素に曝露することによって、リンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プラズマ化学気相堆積プロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを順次交互に繰り返すことによって、リンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化することをさらに含み、ここで、窒素-プラズマプロセスが、堆積ガスへの基板の曝露を停止する一方で、基板を窒素プラズマに曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リン濃度が約0.5at%から約8at%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
リン濃度が約1at%から約6at%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約40at%から約70at%の範囲の窒素濃
度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約25at%から約55at%の範囲のケイ素濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
リン前駆体が、ホスフィン、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、オキシ塩化リン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
窒素前駆体が、アンモニア、ヒドラジン、ジメチルヒドラジン、tert-ブチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、2,2’-アゾイソブタン、アジ化エチル、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せを含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ケイ素前駆体が、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、メチルシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
キャリアガスが、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、それらのプラズマ、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、ハードマスク層又はエッチング停止層である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、
プラズマ化学気相堆積プロセス中に基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積させつつ、基板を堆積ガスに曝露すること
を含み、ここで、
堆積ガスが、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約0.5原子パーセント(at%)から約8at%の範囲のリン濃度を有する、
方法。
【請求項17】
堆積ガスが、ホスフィン、シラン、及びアンモニアを含み、リン濃度が約1at%から約6at%の範囲にある、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、
プラズマ化学気相堆積プロセス中に、基板を堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することであって、
堆積ガスが、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ
リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する、
堆積すること;
プラズマ化学気相堆積プロセスを停止すること;次に、
窒素-プラズマプロセス中に、基板を窒素プラズマに曝露してリンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化すること;
窒素-プラズマプロセスを停止すること;及び
プラズマ化学気相堆積プロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを連続的に繰り返すこと
を含む、方法。
【請求項19】
プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオン/オフでパルス化することを含む、パルスプラズマプロセスである、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオンに維持することを含む連続プラズマプロセスである、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、堆積プロセスに関し、特に、窒化ケイ素膜を堆積するための気相堆積プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一チップ上に数百万個ものトランジスタ、コンデンサ、及び抵抗を搭載することができる複雑なデバイスへと進化を遂げている。チップ設計の進化には、より高速な回路及びより高い回路密度が継続的に必要とされる。より高い回路密度を有する、より高速な回路に対する要求は、このような集積回路の製造に使用される材料についても同様の要求を課している。特に、集積回路部品の寸法がサブミクロンスケールにまで縮小されるにつれて、そのような部品から適切な電気的性能を得るために、現在は、低抵抗率の導電性材料、並びに低誘電率の絶縁材料を使用することが望ましい。
【0003】
より高い集積回路密度に対する要求はまた、集積回路部品の製造に用いられるプロセスシーケンスに対しても対応する要求を課している。例えば、従来のフォトリソグラフィ技術を使用するプロセスシーケンスでは、エネルギーに敏感なレジストの層が、基板上に配置された材料の層のスタック上に形成される。このエネルギーに敏感なレジスト層は、パターンの画像へと露光されて、フォトレジストマスクを形成する。その後、マスクパターンは、エッチングプロセスを使用して、スタックの1つ以上の材料層に転写される。エッチングプロセスに用いられる化学エッチング液は、エネルギー感受性のレジストのマスクよりもスタックの材料層に対してより高いエッチング選択性を有するように選択される。すなわち、化学エッチング液は、エネルギー感受性のレジストよりもはるかに速い速度で、材料スタックの1つ以上の層をエッチングする。レジスト上のスタックの1つ以上の材料層に対するエッチング選択性は、パターン転写が完了する前にエネルギー感受性のレジストが消費されるのを防ぐ。したがって、選択性の高いエッチング液は、正確なパターン転写を強化する。
【0004】
パターンの寸法が縮小されると、それに応じて、パターンの解像度を制御するために、エネルギー感受性のレジストの厚さを低減する必要がある。このような薄いレジスト層は、化学エッチング液による攻撃に起因して、パターン転写ステップ中に下地材料層をマスクするには不十分である可能性がある。ハードマスクと呼ばれる中間層は、化学エッチング液に対する耐性が高いことから、パターン転写を促進するために、エネルギー感受性のレジスト層と下地材料層との間によく用いられる。高いエッチング選択性を有し、エッチングプロセスが完了した後に容易に除去することができる薄いハードマスクを有することが望ましい。限界寸法が低下するにつれて、現在のハードマスク材料は、下地材料と比較して所望のエッチング選択性を欠き、除去が困難であることが多い。
【0005】
したがって、ハードマスク材料及び膜を堆積するための改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、ハードマスク材料及び膜を堆積する方法、より詳細には、リンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積する方法を提供する。1つ以上の実施形態では、処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法は、プラズマ化学気相堆積(PE-CVD)プロセス中に、基板をRF電力の存在下で堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することを含む。堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含む。リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する。
【0007】
幾つかの実施形態では、処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法は、PE-CVDプロセス中に基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積させつつ、基板を堆積ガスに曝露することを含む。堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含む。リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.5at%から約8at%の範囲のリン濃度を有する。
【0008】
他の実施形態では、処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法は、PE-CVDプロセス中に、基板を堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することを含み、堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含み、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1at%から約10at%の範囲のリン濃度を有する。該方法はまた、PE-CVDプロセスを停止すること、その後、窒素-プラズマプロセス中に、基板を窒素プラズマに曝露してリンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化すること、及び窒素-プラズマプロセスを停止することも含む。該方法は、PE-CVDプロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを連続的に繰り返すことをさらに含む。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、他の同等に有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書の1つ以上の実施形態において論じられ、説明される、堆積方法の実施に使用することができる装置の概略図
【
図2】本明細書の1つ以上の実施形態において論じられ、説明される、リンをドープされた窒化ケイ素膜をハードマスク層として組み込む基板構造の概略的な断面図
【
図3】本明細書の1つ以上の実施形態において論じられ、説明される、リンをドープされた窒化ケイ素膜及びドープされていない窒化ケイ素膜についてのリン濃度に対するエッチング速度のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図されている。
【0012】
本明細書に論じられ、かつ記載される実施形態は、ハードマスク材料及び膜を堆積する方法、より詳細には、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積する方法を提供する。1つ以上の実施形態では、このような材料を堆積する方法は、プラズマ化学気相堆積(PE-CVD)プロセス中に、基板をRF電力の存在下で堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することを含む。幾つかの例では、堆積方法は、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオフにすることを含む。堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含む。リンは、インシトゥでドープされるか、又は他の方法でケイ素及び窒素と共堆積されて、リンをドープされた窒化ケイ素膜又は材料を生成する。リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する。
【0013】
図1は、本明細書に記載される実施形態による、リンをドープされた窒化ケイ素の堆積を実施するために使用することができる基板処理システム132の概略図を示している。基板処理システム132として使用することができる適切なシステムの例には、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から市販されている、DxZ(商標)処理チャンバを使用することができるCENTURA(登録商標)システム、PRECISION(商標)5000システム、PRODUCER(登録商標)SE又はGT処理チャンバ又はシステムが含まれる。他の製造業者から入手可能なものを含む他の処理システムも、本明細書に記載される実施形態を実施するために適合されうることが想定されている。
【0014】
処理システム132は、ガスパネル130及びコントローラ110に結合された処理チャンバ100を含む。処理チャンバ100は、概して、内部処理容積126を画成する上壁124、側壁101、及び底壁122を含む。処理チャンバ100の内部処理容積126内には支持ペデスタル150が設けられている。基板支持ペデスタル150は、システム160によって支持されており、典型的には、アルミニウム、セラミック、及び他の適切な材料から製造することができる。基板支持ペデスタル150は、変位機構(図示せず)を使用して、処理チャンバ100内で垂直方向に移動させることができる。
【0015】
基板支持ペデスタル150は、該基板支持ペデスタル150の表面192に支持される基板190の温度を制御するのに適した埋め込み式のヒータ要素170を含みうる。基板支持ペデスタル150は、電源106からヒータ要素170に電流を印加することによって抵抗加熱することができる。ヒータ要素170は、ニッケル-鉄-クロム合金(例えば、INCOLOY(登録商標)合金)のシースチューブ内に封入されたニッケル-クロムワイヤから製造することができる。電源106から供給される電流は、コントローラ110によって調整されて、ヒータ要素170によって生成される熱を制御し、それによって、膜の堆積中の基板190及び基板支持ペデスタル150を実質的に一定の温度に維持する。供給された電流は、基板支持ペデスタル150の温度を約100℃から約700℃の範囲に選択的に制御するように調整することができる。
【0016】
熱電対などの温度センサ172を支持ペデスタル150に埋め込んで、基板支持ペデスタル150の温度を従来の方法でモニタすることができる。測定された温度は、加熱要素170に供給される電力を制御し、基板を所望の温度に維持するために、コントローラ110によって用いられる。
【0017】
真空ポンプ102は、処理チャンバ100の底部に形成されたポートに結合される。真空ポンプ102は、処理チャンバ100内で所望のガス圧を維持するために用いられる。真空ポンプ102はまた、処理チャンバ100から、後処理ガス及び処理の副生成物を排出する。図示されていないが、処理システム132は、チャンバ圧力を制御する追加の装置、例えば、チャンバ圧力を制御するために処理チャンバ100と真空ポンプ102との間に位置付けられたバルブ(例えば、スロットルバルブ及び隔離バルブ)をさらに含んでもよい。
【0018】
複数の開孔128を有するシャワーヘッド120が、基板支持ペデスタル150の上方で処理チャンバ100の上部に配置されている。シャワーヘッド120の開孔128は、処理チャンバ100内に堆積ガスを導入するために利用される。開孔128は、種々の堆積要件のためのさまざまな堆積ガスの流れを促進するために、種々のサイズ、数量、分配仕様、形状、設計、及び直径を有しうる。シャワーヘッド120は、ガスパネル130に接続されており、これにより、処理中にさまざまなガスが内部処理容積126内に供給可能となる。シャワーヘッド120を出る堆積ガス混合物からプラズマが形成されて、堆積ガスの熱分解を促進し、その結果、基板190の表面191上に材料が堆積される。
【0019】
シャワーヘッド120及び基板支持ペデスタル150は、内部処理容積126内に一対の離間した電極を形成することができる。1つ以上のRF電源140は、整合ネットワーク138を通してバイアス電位をシャワーヘッド120に供給して、シャワーヘッド120と基板支持ペデスタル150との間でのプラズマの生成を促進する。あるいは、RF電源140及び整合ネットワーク138は、シャワーヘッド120、基板ペデスタル150に結合することができ、あるいはシャワーヘッド120及び基板ペデスタル150の両方に結合することができ、あるいは処理チャンバ100の外部に配置されたアンテナ(図示せず)に結合することができる。1つ以上の実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で、約100ワットから約3,000ワットの間で供給することができる。別の実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で、約500ワットから約1,800ワットの間で供給することができる。
【0020】
コントローラ110は、中央処理装置(CPU)112、メモリ116、並びに、プロセスシーケンスを制御し、ガスパネル130からのガス流を調整するために利用されるサポート回路114を含む。このCPU112は、産業用の設定で用いることができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサでありうる。ソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー、又はハードディスクドライブ、若しくは他の形態のデジタル記憶装置などのメモリ116に格納することができる。サポート回路114は、通常、CPU112に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入出力システム、電源などを含みうる。コントローラ110と処理システム132のさまざまな構成要素との間の双方向通信は、その幾つかが
図1に示されている、集合的に信号バス118と呼ばれる多数の信号ケーブルを介して処理される。
【0021】
他の堆積チャンバもまた、本明細書に記載され、論じられる堆積プロセスから利益を得ることができ、上に列挙したパラメータは、リンをドープされた窒化ケイ素膜の形成に用いられる特定の堆積チャンバに応じて変化しうる。例えば、他の堆積チャンバは、Applied Materials,Inc.社から入手可能な堆積チャンバについて記載されたものよりも大きい又は小さいガス流量を必要とする、より大きい又はより小さい容積を有していてもよい。1つ以上の実施形態では、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から市販されているPRODUCER(登録商標)SE又はGT処理チャンバ又はシステムを使用して堆積させることができる。
【0022】
概して、以下の例示的な堆積処理パラメータを使用して、リンをドープされた窒化ケイ素膜を形成することができる。処理パラメータは、約100℃から約700℃の基板温度、例えば、約200℃から約500℃の間の範囲でありうる。チャンバ圧力は、約1Torrから約20Torrのチャンバ圧力、例えば、約2Torrから約10Torrの間の範囲でありうる。
【0023】
1つ以上の例では、堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含む。基板を堆積ガスに曝露するときに、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを一緒に流すことができる。ケイ素前駆体の流量は、約200sccmから約5,000sccm、例えば、約400sccmから約2,000sccmの範囲である。窒素前駆体の流量は、約200sccmから約5,000sccm、例えば、約400sccmから約2,000sccmの範囲である。リン前駆体の流量は、約10sccmから約1,000sccm、例えば、約50sccmから約500sccmの範囲である。キャリアガスの流量は、約500sccmから約20,000sccm、例えば、約2,000sccmから約10,000sccmの範囲である。水素ガスの流量は、約500sccmから約20,000sccm、例えば、約2,000sccmから約10,000sccmの範囲である。
【0024】
リン前駆体は、ホスフィン(PH3)、メチルホスフィン(CH3PH2)、エチルホスフィン(CH3CH2PH2)、プロピルホスフィン(CH3(CH2)2PH2)、ブチルホスフィン(CH3(CH2)3PH2)、オキシ塩化リン(POCl3)、リン酸トリメチル((CH3)3P)、リン酸トリエチル((CH3(CH2))3P)、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せでありうる、又はそれらを含みうる。ケイ素前駆体は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、テトラシラン(Si4H10)、ペンタシラン(Si5H12)、メチルシラン(CH3SiH3)、クロロシラン(SiH3Cl)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、又はそれらの任意の組合せでありうる、又はそれらを含みうる。窒素前駆体は、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)、ジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)、tertert-ブチルヒドラジン(C4H9N2H3)、フェニルヒドラジン(C6H5N2H3)、2,2’-アゾイソブタン((CH3)6C2N2)、アジ化エチル(C2H5N3)、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せでありうる、又はそれらを含みうる。キャリアガスは、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、それらのプラズマ、又はそれらの任意の組合せを含む。1つ以上の例では、堆積ガスは、ホスフィン、シラン、アンモニア、及び1つ以上のキャリアガスを含む。
【0025】
1つ以上の例では、PE-CVDプロセスは、基板を堆積ガスに曝露し続けながら、RF電力をオン/オフでパルス化することを含む、パルスプラズマプロセスである。他の例では、PE-CVDプロセスは、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオンに維持することを含む連続プラズマプロセスである。RF電力は、約1W/in2から約100W/in2、例えば、約3W/in2から約20W/in2の範囲にある。基板の上面とシャワーヘッドとの間のプレート間隔は、約200ミルから約600ミル、例えば約250ミルから約400ミルの範囲にある。
【0026】
図2は、本明細書の1つ以上の実施形態において論じられ、説明されるように、基板202上に配置されたリンをドープされた窒化ケイ素膜204を組み込んだ基板構造200の概略的な断面図を示している。リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、ハードマスク層又はエッチング停止層、犠牲層、自己整合型マルチパターニング用のダミーパターン層、及び/又は、製造プロセスで用いられる他のタイプの層及び膜 でありうる、又はそれらを含みうる。
【0027】
基板202は、
図2に示されるように、実質的に平坦な表面を有する。あるいは、基板202は、パターン化された構造、その中にトレンチ、孔、又はビアが形成された表面を有することができる。基板202はまた、その上又はその中に所望の高さで形成された構造を有する、実質的に平坦な表面を有することができる。基板202は単一の本体として示されているが、基板202は、金属接点、トレンチ絶縁、ゲート、ビットライン、又は他の任意の相互接続特徴など、半導体デバイスの形成に用いられる1つ以上の材料を含みうるものと理解されたい。基板202は、半導体デバイス、ディスプレイデバイス、及び/又は光起電力デバイスの製造に利用される1つ以上の金属層、1つ以上の誘電体材料、半導体材料、及び/又はそれらの組合せを含みうる。例えば、基板202は、用途に応じて、酸化物材料、窒化物材料、ポリシリコン材料などを含みうる。メモリ用途が所望される1つ以上の実施形態では、基板202は、ポリシリコンが間に挟まれているかどうかにかかわらず、シリコン基板材料、酸化物材料、及び窒化物材料を含みうる。他の実施形態では、基板202は、基板(図示せず)の表面に堆積された複数の交互の酸化物及び窒化物材料(例えば、酸化物-窒化物-酸化物(ONO))を含みうる。さまざまな実施形態では、基板202は、複数の交互の酸化物及び窒化物材料、1つ以上の酸化物又は窒化物材料、ポリシリコン又はアモルファスシリコン材料、アモルファスシリコンと交互になっている酸化物、ポリシリコンと交互になっている酸化物、ドープされたケイ素と交互になっているドープされていないケイ素、ドープされたポリシリコンと交互になっているドープされていないポリシリコン、又はドープされたアモルファスシリコンと交互になっているアップドープされたアモルファスシリコンを含みうる。基板は、膜処理が行われる任意の基板又は材料表面でありうる。例えば、基板202は、結晶シリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、及びパターニングされた又はパターニングされていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、低誘電率(low k)誘電体、又はそれらの任意の組合せなどの1つ以上の材料でありうる、又はそれらを含みうる。
【0028】
1つ以上の実施形態では、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約100Å、約200Å、約300Å、約500Å、約800Å、又は約1,000Åから約1,500Å、約2,000Å、約2,500Å、約3,000Å、約4,000Å、約5,000Å、約7,000Å、約8,500Å、約10,000Å、約12,000Å、約15,000Å、約18,000Å、約20,000Å、約25,000Å、又は約30,000Åの厚さを有することができる。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約100Åから約30,000Å、約100Åから約25,000Å、約100Åから約20,000Å、約100Åから約15,000Å、約100Åから約12,000Å、約100Åから約10,000Å、約100Åから約8,000Å、約100Åから約5,000Å、約100Åから約4,000Å、約100Åから約3,000Å、約100Åから約2,000Å、約100Åから約1,500Å、約100Åから約1,000Å、約100Åから約800Å、約100Åから約500Å、約100Åから約300Å、約100Åから約200Å、約300Åから約30,000Å、約300Åから約25,000Å、約300Åから約20,000Å、約300Åから約15,000Å、約300Åから約12,000Å、約300Åから約10,000Å、約300Åから約8,000Å、約300Åから約5,000Å、約300Åから約4,000Å、約300Åから約3,000Å、約300Åから約2,000Å、約300Åから約1,500Å、約300Åから約1,000Å、約300Åから約800Å、約300Åから約500Å、約500Åから約30,000Å、約500Åから約25,000Å、約500Åから約20,000Å、約500Åから約15,000Å、約500Åから約12,000Å、約500Åから約10,000Å、約500Åから約8,000Å、約500Åから約5,000Å、約500Åから約4,000Å、約500Åから約3,000Å、約500Åから約2,000Å、約500Åから約1,500Å、約500Åから約1,000Å、又は約500Åから約800Åの厚さを有することができる。
【0029】
1つ以上の実施形態では、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約100Å/分、約200Å/分、約300Å/分、約500Å/分、約800Å/分、又は約1,000Å/分から約1,500Å/分、約2,000Å/分、約2,500Å/分、約3,000Å/分、約4,000Å/分、約5,000Å/分、約7,000Å/分、約8,500Å/分、約10,000Å/分、約12,000Å/分、約15,000Å/分、約20,000Å/分、約25,000Å/分、又は約30,000Å/分の堆積速度で堆積、形成、又は他の方法で製造される。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約100Å/分から約30,000Å/分、約100Å/分から約25,000Å/分、約100Å/分から約20,000Å/分、約100Å/分から約15,000Å/分、約100Å/分から約12,000Å/分、約100Å/分から約10,000Å/分、約100Å/分から約8,000Å/分、約100Å/分から約5,000Å/分、約100Å/分から約4,000Å/分、約100Å/分から約3,000Å/分、約100Å/分から約2,000Å/分、約100Å/分から約1,500Å/分、約100Å/分から約1,000Å/分、約100Å/分から約800Å/分、約100Å/分から約500Å/分、約100Å/分から約300Å/分、約100Å/分から約200Å/分、約500Å/分から約30,000Å/分、約500Å/分から約25,000Å/分、約500Å/分から約20,000Å/分、約500Å/分から約15,000Å/分、約500Å/分から約12,000Å/分、約500Å/分から約10,000Å/分、約500Å/分から約8,000Å/分、約500Å/分から約5,000Å/分、約500Å/分から約4,000Å/分、約500Å/分から約3,000Å/分、約500Å/分から約2,000Å/分、約500Å/分から約1,500Å/分、約500Å/分から約1,000Å/分、又は約500Å/分から約800Å/分の堆積速度で、堆積、形成、又は他の方法で製造される。
【0030】
1つ以上の例では、リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約100Åから約20,000Å、例えば約300Åから約5,000Åなどの厚さまで堆積させることができる。幾つかの例では、上記処理パラメータは、リンをドープされた窒化ケイ素膜204の典型的な堆積速度を約500Å/分から約10,000Å/分の範囲で提供し、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から入手可能な堆積チャンバ内の300mm(直径)の基板上に実装させることができる。
【0031】
リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約15原子パーセント(at%)、約20at%、約25at%、約30at%、約35at%、約38at%、又は約40at%から約41at%、約42at%、約43at%、約45at%、約48at%、約50at%、約52at%、約55at%、又は約60at%の範囲のケイ素濃度を有する。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約15at%から約60at%、約20at%から約60at%、約25at%から約60at%、約30at%から約60at%、約35at%から約60at%、約38at%から約60at%、約40at%から約60at%、約42at%から約60at%、約45at%から約60at%、約50at%から約60at%、約15at%から約55at%、約25at%から約55at%、約35at%から約55at%、約40at%から約55at%、約15at%から約45at%、約20at%から約45at%、約25at%から約45at%、約30at%から約45at%、約35at%から約45at%、約38at%から約45at%、約40at%から約45at%、又は約42at%から約45at%の範囲のケイ素濃度を有する。
【0032】
リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約25at%、約30at%、約35at%、約40at%、約45at%、又は約50at%から約52at%、約54at%、約55at%、約58at%、約60at%、約65at%、約70at%、又は約75at%の範囲の窒素濃度を有する。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約25at%から約75at%、約25at%から約70at%、約25at%から約65at%、約25at%から約60at%、約25at%から約55at%、約25at%から約50at%、約25at%から約45at%、約25at%から約40at%、約40at%から約75at%、約40at%から約70at%、約40at%から約65at%、約40at%から約60at%、約40at%から約55at%、約40at%から約54at%、約40at%から約50at%、又は約40at%から約45at%の範囲の窒素濃度を有する。
【0033】
リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約0.1at%、約0.5at%、約0.8at%、約1at%、約1.5at%、又は約2at%から約2.5at%、約3at%、約3.5at%、約4at%、約4.5at%、約5at%、約6at%、約7at%、約8at%、約9at%、約10at%、又はそれを上回るリン濃度を有する。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜204は、約0.1at%から約10at%、約0.1at%から約8at%、約0.1at%から約6at%、約0.1at%から約5at%、約0.1at%から約4at%、約0.1at%から約3at%、約0.1at%から約2at%、約0.1at%から約1at%、約0.1at%から約0.5at%、約0.5at%から約10at%、約0.5at%から約8at%、約0.5at%から約6at%、約0.5at%から約5at%、約0.5at%から約4at%、約0.5at%から約3at%、約0.5at%から約2at%、約0.5at%から約1at%、約1at%から約10at%、約1at%から約8at%、約1at%から約6at%、約1at%から約5at%、約1at%から約4at%、約1at%から約3at%、約1at%から約2at%、又は約1at%から約1.5at%のリン濃度を有する。
【0034】
1つ以上の実施形態では、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、基板を堆積ガスに曝露し続けながら基板を水素に曝露することによって、高密度化することができる。水素は、水素ガス(H2)、原子水素、そのプラズマ、又はそれらの任意の組合せでありうる、又はそれらを含みうる。他の実施形態では、リンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化するために、プロセス全体を変更することができる。例えば、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、所望の厚さのリンをドープされた窒化ケイ素膜が得られるまで、PE-CVDプロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを順次交互に繰り返すことによって高密度化することができる。PE-CVDプロセスは、連続プラズマプロセス又はパルス(不連続)プラズマプロセスでありうる。窒素-プラズマプロセスは、堆積ガスへの基板の曝露を停止する一方で、基板を窒素プラズマに曝露することを含む、高密度化プロセスである。窒素プラズマは、窒素ガス(N2)と、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの組合せなどの少なくとも1つ以上のガスとから生成することができる。
【0035】
幾つかの例では、堆積方法は、PE-CVDプロセス中に、基板を堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することを含み、堆積ガスは、1つ以上のケイ素前駆体、1つ以上の窒素前駆体、1つ以上のリン前駆体、及び1つ以上のキャリアガスを含む。リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1at%から約10at%の範囲のリン濃度を有する。該方法はまた、PE-CVDプロセスを停止すること、その後、窒素-プラズマプロセス中に、基板を窒素プラズマに曝露してリンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化すること、及び窒素-プラズマプロセスを停止することも含む。該方法は、PE-CVDプロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを連続的に繰り返すことをさらに含む。
【実施例】
【0036】
図3は、本明細書の1つ以上の実施形態において論じられ、説明されるように、さまざまなエッチング液に曝露された、リンをドープされた窒化ケイ素膜及びドープされていない窒化ケイ素膜のリン濃度に対するエッチング速度のグラフである。3つのエッチング液は、
図3に示されているように、熱リン酸(H
3PO
4)、6:1のLAL溶液、及び200:1の希釈フッ化水素酸(DHF)溶液を含んでいた。熱リン酸は、約50℃の温度に加熱した。6:1のLAL溶液は、フッ化アンモニウム、フッ化水素、及び水を含む混合物であった。6:1のLAL溶液は、約6:1:6(重量による)のフッ化アンモニウム対フッ化水素対水を含んでいた。DHF溶液は、約200:1(重量による)の脱イオン水対フッ化水素を含んでいた。
【0037】
リンを含まない窒化ケイ素膜は、次の速度でエッチングされた:6:1のLALで約102Å/分、熱リン酸で約37Å/分、及び200:1のDHFで約10Å/分。
【0038】
PECVD窒化ケイ素にリンをインシトゥでドープすると、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、さまざまなエッチング溶液において、調整可能なウェットエッチング速度を示す。リン濃度の値が大きい場合(0%~約4.8%の[P])、6:1のLALのエッチング速度は、約102Å/分から約21Å/分まで約80%低下した。それほど大きくはないが、200:1のDHFでのエッチング速度は、約10Å/分(0%の[P])から約2Å/分(約2.5%の[P])まで低下した。リン濃度の値が大きい場合(0%~約4.8%の[P])、熱リン酸でのエッチング速度は、約37Å/分から約79Å/分まで約114%増加した。
【0039】
本開示の実施形態は、以下の第1項~第21項のいずれか1つ以上にさらに関係する:
【0040】
1.処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、プラズマ化学気相堆積プロセス中に、基板をRF電力の存在下で堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積することを含み、ここで、堆積ガスは、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する、方法。
【0041】
2.処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、プラズマ化学気相堆積プロセス中に基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積させつつ、基板を堆積ガスに曝露することを含み、ここで、堆積ガスは、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.5原子パーセント(at%)から約8at%の範囲のリン濃度を有する、方法。
【0042】
3.処理チャンバ内で基板に材料を堆積する方法であって、プラズマ化学気相堆積プロセス中に、基板を堆積ガスに曝露して、基板上にリンをドープされた窒化ケイ素膜を堆積すること(ここで、堆積ガスは、ケイ素前駆体、窒素前駆体、リン前駆体、及びキャリアガスを含み;かつ、リンをドープされた窒化ケイ素膜は、約0.1原子パーセント(at%)から約10at%の範囲のリン濃度を有する);プラズマ化学気相堆積プロセスを停止すること;次に、窒素-プラズマプロセス中に、基板を窒素プラズマに曝露してリンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化すること;窒素-プラズマプロセスを停止すること;並びに、プラズマ化学気相堆積プロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを連続的に繰り返すことを含む、方法。
【0043】
4.基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオフにすることをさらに含む、第1項~第3項のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
5.プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながら、RF電力をオン/オフでパルス化することを含む、パルスプラズマプロセスである、第1項から第4項のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
6.プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオンに維持することを含む連続プラズマプロセスである、第1項から第5項のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
7.基板を堆積ガスに曝露し続けながら基板を水素に曝露することによって、リンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化することをさらに含む、第1項から第6項のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
8.プラズマ化学気相堆積プロセス及び窒素-プラズマプロセスのサイクルを順次交互に繰り返すことによって、リンをドープされた窒化ケイ素膜を高密度化することをさらに含み、ここで、窒素-プラズマプロセスは、堆積ガスへの基板の曝露を停止する一方で、基板を窒素プラズマに曝露することを含む、第1項から第7項のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
9.リン濃度が約0.5at%から約8at%の範囲にある、第1項から第8項のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
10.リン濃度が約1at%から約6at%の範囲にある、第1項から第9項のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
11.リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約40at%から約70at%の範囲の窒素濃度を有する、第1項から第10項のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
12.リンをドープされた窒化ケイ素膜が、約25at%から約55at%の範囲のケイ素濃度を有する、第1項から第11項のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
13.リン前駆体が、ホスフィン、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、オキシ塩化リン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せを含む、第1項から第12項のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
14.窒素前駆体が、アンモニア、ヒドラジン、ジメチルヒドラジン、tert-ブチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、2,2’-アゾイソブタン、アジ化エチル、それらの異性体、又はそれらの任意の組合せを含む、第1項から第13項のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
15.ケイ素前駆体が、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、メチルシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、又はそれらの任意の組合せを含む、第1項から第14項のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
16.キャリアガスが、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、それらのプラズマ、又はそれらの任意の組合せを含む、第1項から第15項のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
17.リンをドープされた窒化ケイ素膜が、ハードマスク層又はエッチング停止層である、第1項から第16項のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
18.堆積ガスが、ホスフィン、シラン、及びアンモニアを含み、リン濃度が約1at%から約6at%の範囲にある、第1項から第17項のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
19.プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオン/オフでパルス化することを含む、パルスプラズマプロセスである、第1項から第18項のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
20.プラズマ化学気相堆積プロセスが、基板を堆積ガスに曝露し続けながらRF電力をオンに維持することを含む、連続プラズマプロセスである、第1項から第19項のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
21.第1項から第20項のいずれか一項に記載の方法を実施又は実行するための処理チャンバ又はシステム。
【0061】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本明細書に記載されているすべての文献は、本文書と矛盾しない範囲で優先権書類及び/又は試験手順を含めて、参照することによって本書に組み込まれる。前述の概要及び特定の実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示され、説明されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を行うことができる。したがって、本開示がそれによって限定されることは意図していない。同様に、「含む(comprising)」という用語は、米国法の目的上、「含む(including)」という用語と同義であると見なされる。同様に、組成物、元素、又は元素の群の前に「含む(comprising)」という移行句が付いている場合は常に、組成物、元素、又は元素群の記載に続いて「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群より選択される」、又は「である」という移行句を有する同じ組成物又は元素群も想定されるものと理解されたい。
【0062】
ある特定の実施形態及び特徴について、一組の数値の上限及び一組の数値の下限を使用して説明してきた。特に明記しない限り、任意の2つの値の組合せ、例えば、任意の下限値と任意の上限値との組合せ、任意の2つの下限値の組合せ、及び/又任意の2つの上限値の組合せを含む範囲が想定されるものと理解されたい。ある特定の下限値、上限値、及び範囲が、以下の1つ以上の請求項に記載されている。