(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】計量カップ及びその計量カップとコックとの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20231212BHJP
G01F 19/00 20060101ALI20231212BHJP
B65D 25/42 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65D25/20 C
G01F19/00 M
B65D25/20 V
B65D25/42 D
(21)【出願番号】P 2019152020
(22)【出願日】2019-08-22
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 佑樹
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0237273(US,A1)
【文献】特開2017-178388(JP,A)
【文献】実開昭63-088986(JP,U)
【文献】国際公開第2017/136381(WO,A1)
【文献】実開昭63-135865(JP,U)
【文献】特開2003-012096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
G01F 19/00
B65D 25/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられて注出口から液体を注出するコックに着脱可能に装着でき、輸送時には前記コックに取り付けて保護し、使用時には前記コックに取り付けて液体を計量する計量カップであって、
輸送時に前記コックを覆って保護するとともに使用時に前記液体を計量して収容する収容部と、前記収容部の開口上縁に設けられ、輸送時に前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部と、使用時に前記収容部を前記注出口の下部に載置可能とするとともに前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部と、
前記カップ側使用時係合部を前記コックに取り付ける際及び前記カップ側輸送時係合部を前記コックに取り付ける際のいずれの場合においても前記注出口が前記収容部に当たることなく前記収容部内に導く段差部とを有
し、
前記段差部は、前記収容部の一部を構成し、前記収容部の開口上縁を切り欠いて前記カップ側使用時係合部から下方に延びる凹みが形成されている、ことを特徴とする計量カップ。
【請求項2】
前記カップ側使用時係合部が、前記コックが有するつばを使用時に上下から挟んで前記コックにスライドして脱着可能に取り付けるスリット部を有
し、前記段差部は、前記スリット部をスライドさせて前記つばに取り付ける際に前記注出口を前記収容部内に導く、請求項1に記載の計量カップ。
【請求項3】
前記凹みは、該凹みの上縁から前記カップ側使用時係合部までの長さが、前記コックの前記コック側使用時係合部から前記注出口までの長さよりも長い、請求項1又は2に記載の計量カップ。
【請求項4】
前記カップ側輸送時係合部は、前記収容部の開口上縁の一部又は全周に設けられ、前記コックに設けられたコック側輸送時係合部に係合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の計量カップ。
【請求項5】
前記収容部の上部には、収容した液体の量を目視確認できる開口部が前記開口上縁から下方に向かって形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の計量カップ。
【請求項6】
輸送時及び使用時のいずれの場合であってもコックに計量カップを着脱容易に取り付けることができる組み合わせであって、
前記コックは、容器に取り付けるための取付部と、前記取付部の外周に設けられて前記計量カップが有するカップ側輸送時係合部に着脱可能に係合するコック側輸送時係合部と、前記容器に収容された液体を注出する注出口と、前記注出口を開閉する操作部と、前記計量カップが備えるカップ側使用時係合部を着脱可能に取り付けるコック側使用時係合部と、それらが連結された胴体部とで少なくとも構成され、
前記計量カップは、輸送時に前記コックを覆って保護するとともに使用時に前記液体を計量して収容する収容部と、前記収容部の開口上縁に設けられ、輸送時に前記コックに設けられた前記コック側輸送時係合部に着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部と、使用時に前記収容部を前記注出口の下部に載置可能とするとともに前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部と、
前記カップ側使用時係合部を前記コックに取り付ける際及び前記カップ側輸送時係合部を前記コックに取り付ける際のいずれの場合においても前記注出口が前記収容部に当たることなく前記収容部内に導く段差部とで少なくとも構成されて
おり、前記段差部は、前記収容部の一部を構成し、前記収容部の開口上縁を切り欠いて前記カップ側使用時係合部から下方に延びる凹みが形成されている、ことを特徴とする計量カップとコックとの組み合わせ。
【請求項7】
前記カップ側使用時係合部が、前記コックが有するつばを使用時に上下から挟んで前記コックにスライドして脱着可能に取り付けるスリット部を有する、請求項6に記載の計量カップとコックとの組み合わせ。
【請求項8】
前記計量カップが備えるカップ側輸送時係合部は、前記収容部の開口上縁の一部又は全周に設けられ、前記コックに設けられたコック側輸送時係合部に係合する、請求項6又は7に記載の計量カップとコックとの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コックに着脱可能に装着できる計量カップ及びその計量カップとコックとの組み合わせに関する。さらに詳しくは、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体を収容した容器を輸送等する際に、コックに着脱可能に装着できる計量キャップ、及びその計量カップとコックとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体は、ボトルやバッグインボックス等の容器に収容され、所定量を計量カップで計量して使用されている。そうした計量カップにおいては、専用の計量カップとしてバッグインボックス等の容器と同梱して輸送され、使用時にはその計量カップをコックに着脱可能に装着して使用されるものがある。その一例として、例えば特許文献1には、バルブの開閉で収容液の注出操作を行えるバッグインボックスを、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体を収容する容器とし、計量カップにて収容液を計量して適量の注出が簡単に行えるようにし、その計量カップの取り扱いを簡便にする技術が提案されている。この技術は、上面が開放のカップ本体と、カップ本体の上面に重ね合わせ可能な蓋体とからなり、蓋体は、下向き注出管に取り付け可能な取付部を備え、蓋体のカップ本体への重ね合わせと取付部の下向き注出管への取り付けとにより、カップ本体、下向き注出管に対してこの下向き注出管から注出される液体を下受けする箇所に位置するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、吐出操作時にはコックに計量カップを着脱可能に装着して使用しているが、輸送中は、計量カップを同梱するためのスペースを別途設けなければならない。また、コックを取り付けた状態で輸送する場合は、輸送中の衝撃等でコックの開閉操作が偶発的に起こって注出口から液漏れが発生してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体を収容した容器を輸送等する際に、コックに着脱可能に装着できる計量キャップ、及びその計量カップとコックとの組み合わせを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る計量カップは、容器に取り付けられて注出口から液体を注出するコックに着脱可能に装着でき、輸送時には前記コックに取り付けて保護し、使用時には前記コックに取り付けて液体を計量する計量カップであって、輸送時に前記コックを覆って保護するとともに使用時に前記液体を計量して収容する収容部と、前記収容部の開口上縁に設けられ、輸送時に前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部と、使用時に前記収容部を前記注出口の下部に載置可能とするとともに前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、カップ側輸送時係合部を有するので、輸送時には計量カップをコックを保護するように一体化させることができる。その結果、計量カップの同梱スペースを別に設ける必要がなく、輸送時の容積を最小限に抑えることができる。また、カップ側輸送時係合部にて容器にコックを取り付けた状態で輸送する場合であっても、輸送中の衝撃等でコックの開閉操作が起こるのを防ぐことができる。また、未使用の容器のコックに着脱可能に装着することにより、改ざん防止策として利用することもでき、コックに改ざん防止機能を別途付加する必要がないという利点もある。
【0008】
本発明に係る計量カップにおいて、前記カップ側使用時係合部は、前記コックが有するつばを使用時に上下から挟んで前記コックにスライドして脱着可能に取り付けるスリット部を有する。この発明によれば、使用時には、スリット部がコックのつばを上下から挟んでスライド可能に装着できるので、通常は計量カップをコックに装着しておき、液体注出時は液体を収容した後にスライドさせて取り外すことができる。
【0009】
本発明に係る計量カップにおいて、前記スリット部をスライドさせて前記つばに取り付ける際に前記注出口を前記収容部内に導くための段差部を有する。この発明によれば、段差部を有することにより、使用時には注出口が収容部に当たることなく容易に収容部内に導くことができる。また、輸送時においても注出口が収容部に当たることなく容易に収容部内に導くことができる。
【0010】
本発明に係る計量カップにおいて、前記カップ側輸送時係合部は、前記収容部の開口上縁の一部又は全周に設けられ、前記コックに設けられたコック側輸送時係合部に係合する。なお、コック側輸送時係合部が開口上縁の一部に設けられる場合は、少なくとも開口上縁の対向部位に設けられていることが望ましい。
【0011】
本発明に係る計量カップにおいて、前記収容部の上部には、収容した液体の量を目視確認できる開口部が前記開口上縁から下方に向かって形成されている。この発明によれば、使用時において、その開口部から収容部内をのぞくことにより、注出口から液体を収容部に注出しながら注出量の確認を容易に行うことができる。
【0012】
(2)本発明に係る計量カップとコックとの組み合わせは、輸送時及び使用時のいずれの場合であってもコックに計量カップを着脱容易に取り付けることができる組み合わせであって、
前記コックは、容器に取り付けるための取付部と、前記取付部の外周に設けられて前記計量カップが有するカップ側輸送時係合部に着脱可能に係合するコック側輸送時係合部と、前記容器に収容された液体を注出する注出口と、前記注出口を開閉する操作部と、前記計量カップが備えるカップ側使用時係合部を着脱可能に取り付けるコック側使用時係合部と、それらが連結された胴体部とで少なくとも構成され、
前記計量カップは、輸送時に前記コックを覆って保護するとともに使用時に前記液体を計量して収容する収容部と、前記収容部の開口上縁に設けられ、輸送時に前記コックに設けられた前記コック側輸送時係合部に着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部と、使用時に前記収容部を前記注出口の下部に載置可能とするとともに前記コックに着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部とで少なくとも構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、輸送時には計量カップをコックに取り付けて保護し、使用時には計量カップをコックに取り付けて液体を計量することができる。
【0014】
本発明に係る計量カップとコックとの組み合わせにおいて、前記カップ側使用時係合部は、前記コックが有するつばを使用時に上下から挟んで前記コックにスライドして脱着可能に取り付けるスリット部を有する。
【0015】
本発明に係る計量カップとコックとの組み合わせにおいて、前記計量カップが備えるカップ側輸送時係合部は、前記収容部の開口上縁の一部又は全周に設けられ、前記コックに設けられたコック側輸送時係合部に係合する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体を収容した容器を輸送等する際、輸送時には計量カップをコックに取り付けて保護し、使用時には計量カップをコックに取り付けて液体を計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】輸送時等において、本発明に係る計量カップとコックを装着する態様を示す説明図である。
【
図2】輸送時等において、本発明に係る計量カップとコックを装着した態様を示す説明図である。
【
図3】
図2に示す装着時の状態を説明するための平面図(A)と側面図(B)である。
【
図6】使用時において、本発明に係る計量カップとコックを装着した態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る計量カップ及び計量カップとコックとの組み合わせについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は下記実施の形態に記載の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や使用例も含む。また、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や上記実施の形態の組み合わせを施してもよい。
【0019】
[基本構成]
本発明に係る計量カップ10は、容器に取り付けられて注出口23から液体を注出するコック20に着脱可能に装着でき、輸送時にはコック20に取り付けてコック20を保護し、使用時にはコック20に取り付けて液体を計量する計量カップ10である。そして、その構成は、輸送時にコック20を覆って保護するとともに使用時に液体を計量して収容する収容部1と、収容部1の開口上縁1aに設けられ、輸送時にコック20に着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部5と、使用時に収容部1を注出口23の下部に載置可能とするとともにコック20に着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部2とを有する。
【0020】
本発明に係る計量カップ10とコック20との組み合わせ30は、輸送時及び使用時のいずれの場合であってもコック20に計量カップ10を着脱容易に取り付けることができる組み合わせである。コック20は、容器に取り付けるための取付部27と、取付部27の外周に設けられて計量カップ10が有するカップ側輸送時係合部5に着脱可能に係合するコック側輸送時係合部28と、容器に収容された液体を注出する注出口23と、注出口23を開閉する操作部22と、計量カップ10が備えるカップ側使用時係合部2を着脱可能に取り付けるコック側使用時係合部26と、それらが連結された胴体部21とで少なくとも構成されている。計量カップ10は、輸送時にコック20を覆って保護するとともに使用時に液体を計量して収容する収容部1と、収容部1の開口上縁1aに設けられ、輸送時にコック20に設けられたコック側輸送時係合部28に着脱可能に取り付けるカップ側輸送時係合部5と、使用時に収容部1を注出口23の下部に載置可能とするとともにコック20に着脱可能に取り付けるカップ側使用時係合部2とで少なくとも構成されている。
【0021】
本発明では、カップ側輸送時係合部5を有するので、輸送時には計量カップ10をコック20を保護するように一体化させることができる。その結果、計量カップ10の同梱スペースを別に設ける必要がなく、輸送時の容積を最小限に抑えることができる。また、カップ側輸送時係合部5にて容器にコック20を取り付けた状態で輸送する場合であっても、輸送中の衝撃等でコック20の開閉操作が起こるのを防ぐことができる。また、計量カップ10を、未使用の容器のコック20に着脱可能に装着することにより、改ざん防止策として利用することもでき、コック20に改ざん防止機能を別途付加する必要がないという利点もある。
【0022】
本発明に係る計量カップ10及び計量カップ10とコック20との組み合わせにおいて、カップ側使用時係合部2は、コック20が有するつば24を使用時に上下から挟んでコック20にスライドして脱着可能に取り付けるスリット部(符号2を使用)を有する。このスリット部2は、コック20のつば24を使用時に上下から挟んでスライド可能に装着できるので、通常は計量カップ10をコック20に装着しておき、液体注出時は液体を収容した後にスライドさせて取り外すことができる。
【0023】
以下、各構成要素について詳しく説明する。なお、「前後方向Y」とは、バッグインボックス等の液体容器にコック20が取り付けられ、そのコック20に計量カップ10が取り付けられている場合の、液体容器側から計量カップ10の方向であり、「手前」というときは、計量カップ10側であり、「奥」又は「奥側」というときは、コック側である。「左右方向X」とは、手前から見た場合の左右方向のことである。「上下方向Z」とは、注出口23から液体が落ちる方向である。
【0024】
[計量カップ]
計量カップ10は、輸送時にはコック20に取り付けてコック20を保護し、使用時にはコック20のつば24に着脱可能に取り付けて注出口23から注出する液体を計量する。計量カップ10は、収容部1と、カップ側輸送時係合部5と、カップ側使用時係合部2(スリット部2)とを少なくとも有した一体成形体で少なくとも構成されている。この計量カップ10は、1ピースで射出成形が可能な一体成形体で構成されているので、従来技術と比較して形状の制約が少なく、安価で量産可能な計量カップ10とすることができる。「有する」としたのは、これら以外の構造要素をさらに含んでいてもよいことを意味している。「一体成形体で少なくとも構成されている」としたのは、一体成形体だけで構成されていてもよいし、一体成形体にさらに別部材が追加されていてもよいことを意味している。「一体成形体」は、射出成形機で成形された一体物の意味である。こうした計量カップ10の形態は、下記の各構成要素を有し、その作用効果を同じくするものであれば、図示の形態に限定されず、各種の構造形態であってもよい。
【0025】
(収容部)
収容部1は、輸送時には
図2に示すようにコック20を覆ってコック20を保護し、使用時には
図6に示すように液体を計量して収容する部分である。液体は、液体容器(例えばバッグインボックス等)に取り付けられたコック20の注出口23から注出されるものであり、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等のように、所定量を計量して用いる液体であることが好ましい。
【0026】
収容部1の形状は特に限定されないが、
図1~
図3に示すように輸送時にコック20に装着されてコック20を保護することができる形状と大きさであることを前提とし、液体を収容できる円筒形又は略円筒形のカップ状容器であることが好ましい。収容部1の上部は開口しており、その開口上縁1aは、
図2及び
図3に示すように、コック20の取付部27に当接してコック側輸送時係合部28に係合しやすい段差のない円形状又は略円形になっていることが好ましい。
【0027】
(カップ側輸送時係合部)
カップ側輸送時係合部5は、収容部1の開口上縁1aに設けられ、輸送時にコック20に着脱可能に取り付けるために設けられている。このカップ側輸送時係合部5は、収容部1の開口上縁1aの一部又は全周に設けられ、
図1のコック20に設けられたコック側輸送時係合部28(以下、係合突起28ともいう。)に係合する。カップ側輸送時係合部5の形態は特に限定されないが、開口上縁1aの対向部位に内側に突出する突起部5からなる形態等を例示することができる。カップ側輸送時係合部5が開口上縁1aの一部に設けられる場合とは、
図5に示すように、少なくとも開口上縁1aの対向部位に内側に突出する形態で設けられていることが望ましい。
図5の例では、コック20の係合突起28が、取付部27の外周の水平位置に左右方向Xに対向して設けられているので、この係合突起28に係合する計量カップ10の突起部5も、その係合突起28に対応する位置、すなわち開口上縁1aの左右方向Xの対向部位に設けられている。なお、コック20の係合突起28が一部しか設けられていない場合でも、突起部5を開口上縁1aの全てに設けても構わない。なお、逆に、計量カップ10の突起部5が一部しか設けられていない場合でも、コック20の係合突起28を取付部27の全周に設けても構わない。突起部5の幅(内側に突出する長さ)と長さ(開口上縁1aに沿って設けられる長さ)は特に限定されず、係合相手となるコック20の係合突起28の形状、大きさ、長さ等によって任意に設計することができる。また、
図5に示すように、一定長さだけ連続して設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。
【0028】
収容部1の開口上縁1aの一部には、
図5等に示すように、収容した液体の量を目視確認できる開口部4が設けられていてもよい。この開口部4の形態は特に限定されないが、
図5等に示すように、開口上縁1aの手前側に下方に向かって形成された形態とすることができる。こうすることにより、使用時において、その開口部4から収容部1内をのぞくことにより、注出口23から液体を収容部1に注出しながら注出量の確認を容易に行うことができる。開口部4の幅と深さは、特に限定されないが、液体の収容量やのぞき易さを考慮して、例えば幅5mm前後で深さ10mm程度のように任意に設計することができる。収容部1の底1bは、計量カップ10を台の上に載置する場合もあるので、通常は平らであることが好ましい。また、収容部1の外周面等には必要に応じて目盛りを付してもよい。計量カップ10全体の色や透明度も特に限定されないが、容器側面に設けた目盛りで収容された液体を透けてみる場合には透明又は半透明の容器であることが望ましい。
【0029】
(カップ側使用時係合部)
カップ側使用時係合部2は、使用時に収容部1を注出口23の下部に載置可能とするとともに、コック20のコック側使用時係合部26に着脱可能に取り付けるものである。このカップ側使用時係合部2は、コック側使用時係合部26に着脱可能となるものであればその形態は特に限定されない。一例として、例えば
図5に示すように、コック側使用時係合部26がつば24とスリットガイド25とで構成される場合には、カップ側使用時係合部2としてスリット構造からなるスリット部2を好ましく挙げることができる。このスリット部2は、コック20のつば24を使用時に上下から挟んでスライド可能に装着できるので、通常は計量カップ10をコック20に装着しておき、液体注出時は液体を収容した後にスライドさせて取り外すことができる。
【0030】
スリット部2は、コック20のつば24を使用時に上下から挟んで、計量カップ10を前後方向Yにスライドさせ、コック20に着脱可能に取り付けるように機能する。このスリット部2は、後述する段差部3の上方に位置して、収容部1の開口上縁1aを切り欠いた切り欠き部2aに水平又は略水平に設けられている。こうすることにより、スリット部2が段差部3の上方の収容部開口上縁1aに左右一対で形成される。なお、切り欠き部2aは、平面視で円形又は略円形の収容部1の奥側に、滑らかな曲線部を経て連続した略平行に延びた部分(段差部3も含まれる)に設けられる。
図5に示すように、切り欠くことで段差部3を形成できるとともに、側面も平行又は略平行であるので、切り欠いてできた対向する平行な対向側面に、スリット2hをそれぞれ形成することができる。
【0031】
スリット部2は、コック20のつば24に取り付けられる。取り付け相手のつば24は、
図4に示すように、コック20の胴体部21の少なくとも左右位置に突出し、前後方向Yに延びる平板形状として設けられている。左右位置に形成されたつば24に対し、左右一対のスリット部2をはめ込んで取り付ける。スリット部2の隙間幅は、つば24の厚さよりもわずかに大きいことが好ましい。このわずかな大きさが、クリアランスとなって計量カップ10のスライド動作を滑らかに行わせることになる。クリアランスの程度は任意に調整される。前後方向Yに延びるスリット2h(
図5参照)の長さは特に限定されないが、がたつきなく安定にはめ込まれた状態が維持できる長さであることが望ましい。
【0032】
スリット部2は、細長い隙間で形成されたスリット2hと、スリット2hの下に位置する側面部分(符号なし)と、上に位置する帯状部分2cとで構成されている。スリット部2の形状は、帯状部分2cが有する弾性作用の付勢力により、スリット部2がコック20から外れるのを防ぐ係止構造であることが好ましいが、こうした係止構造に限定されず、種々の構造形態であってもよい。この計量カップ10は、射出成形等で一体成形されるので、スリット部2や段差部3も収容部1とともに一体成形されることが好ましい。なお、スリット部2や段差部3を別体として計量カップ10に付加さしてもよい。
【0033】
図5等に示す計量カップ10は、カバー42を備えたカップ側使用時係合部2(スリット部2)であるが、カバー42はあってもなくてもよい。なお、カバー42は、帯状部分2cを補強するよう作用し、帯状部分2cを折れ難くすることができる。カバー42は、収容部1から段差部3に繋がる凹形状の湾曲部に設けられ、
図5に示すように、スリット2h全てを覆うように設けられていてもよし、スリット2hの一部を覆うように設けられていてもよく、特に限定されない。
【0034】
(段差部)
段差部3は、計量カップ10に好ましく設けられている。段差部3は、カップ側使用時係合部2をコック側使用時係合部26に取り付ける際に、注出口23が収容部1に当たることなく容易に収容部1内に取り付ける部位である。段差部3の構造は、カップ側使用時係合部2から下方に延びる凹みである。その凹み程度は、凹み上縁3aからカップ側使用時係合部2までの長さが、コック20のコック側使用時係合部26から注出口23までの長さよりも長い必要がある。カップ側使用時係合部2がスリット構造であり、コック側使用時係合部26がつば24を有するものである場合、スリット部2をつば24にスライドさせて計量カップ10をコック20に取り付けることにより、注出口23が計量カップ10に当たることを防ぐことができる。こうした段差部3は、カップ側使用時係合部2のところでも説明したように、カップ側使用時係合部2の下方に位置して、収容部1の開口上縁1aを切り欠く形状とすることで形成される。
【0035】
段差部3は、収容部1の一部を構成する、又は、収容部1への連通口を有する。段差部3は、注出口23が収容部1に当たることなく容易に収容部内に導くので、その段差部3が収容部1の一部を構成するか、収容部1への連通口(図示しない)を有するように構成されていることにより、注出口23から注出される液体を段差部3受けた後に収容部1に収容することができる。「一部を構成する」とは、段差部でも液体を収容して、計量カップ10全体の収容量の一部として含まれることを意味する。「収容部1への連通口を有する」とは、上記のように容器の一部を構成するか否かにかかわらず、段差部3と収容部1とが中間壁で区分けされており、その中間壁の下部に収容部1に液体を通過させる連通口を有する形態を包含する意味である。こうした理由は、段差部3がカップ側使用時係合部2の下方に設けられるものであり、そのカップ側使用時係合部2がコック胴体部21周りのコック側使用時係合部26(つば24)にはめ込まれるので、カップ側使用時係合部2の下方にはコック20の注出口23が位置することになっているからである。
【0036】
[コック]
コック20は、
図2及び
図6に示すように、上記した計量カップ10を着脱容易に取り付ける対象であり、計量カップ10と組み合わせて用いられ、輸送時及び使用時のいずれの場合であっても計量カップ10に着脱容易に取り付けることができるものである。コック20は、容器の口部に取り付けるための取付部27と、取付部27の外周に設けられて計量カップ10が有するカップ側輸送時係合部5(
図5参照)に着脱可能に係合するコック側輸送時係合部28と、容器に収容された液体を注出する注出口23と、注出口23を開閉する操作部22と、計量カップ10が備えるカップ側使用時係合部2を着脱可能に取り付けるコック側使用時係合部26と、それらが連結された胴体部21とで少なくとも構成されている。なお、例えば、バッグインボックス等の容器の口部(図示しない)は、外装箱に固定されており、コック20の取付部27は、そうした口部に取り付けられる。
【0037】
コック側輸送時係合部28からなる係合突起28は、取付部27の外周に設けられて計量カップ10が有するカップ側輸送時係合部5からなる突起部5に着脱可能に係合する部分である。この係合突起28については、計量カップ10の突起部5の説明箇所で併せて説明したのでここではその説明を省略する。
【0038】
注出口23は、容器に収容された液体を注出する部分であり、注出口23から注出される液体は、取り付けられた計量カップ10に液体を供給する。注出口23は、計量カップ10の着脱時に、段差部3の存在によって計量カップ10に当たることがない。
【0039】
操作部22は、注出口23を開閉する部分であり、コックの形態に応じてプッシュ式、スクリュー式、レバー式等での開閉機能を操作する部分である。本発明では、これらいずれの形式のコックにも適用できる。
【0040】
つば24は、計量カップ10が備えるカップ側使用時係合部2のスリット構造(スリット部2)を着脱可能に取り付ける部分である。つば24は、胴体部21の少なくとも左右位置に突出し前後方向Yに延びる平板である。こうすることにより、左右位置に形成されたつば24に、計量カップ10のスリット部2をスライドさせて取り付けることができる。つば24の大きさは特に限定されないが、計量カップ10の一体成形体の寸法に応じてスリット2hの長さや左右の間隔が決まってくるので、それに対応させた寸法であることが好ましい。
【0041】
なお、スリットガイド25は、つば24とともにコック側使用時係合部26を構成する。スリットガイド25は、スリット2hをつば24に挿入してスライドさせるためのガイドとして機能するものである。
【0042】
以上説明したように、本発明は、洗濯用液体洗剤や柔軟剤等の液体を収容した容器を輸送等する際、輸送時には計量カップ10をコック20に取り付けて保護し、使用時には計量カップ10をコック20に取り付けて液体を計量することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 収容部
1a 収容部の開口上縁
1b 底
2 カップ側使用時係合部(スリット部)
2a 切り欠き部
2c 帯状部分
2h スリット
3 段差部
3a 凹み上縁
3b 下面
4 開口部
5 カップ側輸送時係合部(突起部)
10 計量カップ
20 コック
21 胴体部
22 操作部
23 注出口
24 つば
25 スリットガイド
26 コック側使用時係合部
27 取付部
28 コック側輸送時係合部(係合突起)
30 組み合わせ
42 カバー
S スライド方向
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向