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特許7400351活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、加飾体
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  • 特許-活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、加飾体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、加飾体
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20231212BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20231212BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20231212BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20231212BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20231212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20231212BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20231212BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
C08F290/06
C09D11/101
B29C64/314
B29C64/112
B29C64/264
B41J2/01 127
B41J2/01 501
B41J2/175 101
B41M5/00 120
B41M5/00 100
C09D11/30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019196887
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021070731
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜輝
(72)【発明者】
【氏名】野口 宗
(72)【発明者】
【氏名】森田 充展
(72)【発明者】
【氏名】岡田 崇
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0045199(US,A1)
【文献】特表2008-507598(JP,A)
【文献】特開2008-075067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
C09D 11/101
B29C 64/314
B29C 64/112
B29C 64/264
B41J 2/01
B41J 2/175
B41M 5/00
C09D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性樹状分岐化合物と、重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂と、を含み、
前記ポリエステル樹脂に含まれる重合性不飽和結合が(メタ)アクリロイル基由来以外であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,000以下である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
前記重合性樹状分岐化合物がハイパーブランチ構造又はデンドリマー構造である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
前記重合性樹状分岐化合物の含有量が4.0質量%以上25.0質量%以下である、請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂の含有量が5.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含む、活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項7】
請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含む、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかが収容された組成物収容容器。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかが収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備える2次元又は3次元の像形成装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかに活性エネルギー線を照射する照射工程を有する、2次元又は3次元の像形成方法。
【請求項11】
請求項1からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかに活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化物。
【請求項12】
基材上に、請求項11に記載の硬化物からなる表面加飾が施されてなる加飾体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、像形成装置、像形成方法、硬化物、加飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、ガラスのような無機系基材への密着性も求められている。
例えば、インク非吸収性材料からなる被記録媒体に形成した画像の密着性を向上させることができるインクジェットインク組成物として、着色剤と、重合性化合物と、重合開始剤と、非反応性樹脂と、有機溶剤とを含むインクジェットインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化して得られる硬化物が優れた密着性及び耐摩擦摩耗性を示す活性エネルギー線硬化型組成物として、少なくとも、重合性化合物、かご型シルセスキオキサン化合物、重合性の多分岐型オリゴマー、及び非重合性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、基材への密着性を達成しようとすると、塗膜強度が下がってしまう問題が生じることがあった。
また、密着性を向上させる手段として、樹脂の添加が効果的であることが知られているが、高分子量の樹脂の場合、インクジェットによる吐出安定性に問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来トレードオフ項目であった、基材に対する密着性と塗膜強度を両立し、更にインクジェットによる吐出安定性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性樹状分岐化合物と、不飽和結合を含有するポリエステル樹脂を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、基材に対する密着性と塗膜強度を両立し、更にインクジェットによる吐出安定性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。
図3A図3Aは、本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である(その1)。
図3B図3Bは、本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である(その2)。
図3C図3Cは、本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である(その3)。
図3D図3Dは、本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明における活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性樹状分岐化合物と、不飽和結合を含有するポリエステル樹脂を含み、また、必要に応じて、重合開始剤、色材、有機溶媒、その他の成分等を含む。
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、従来の活性エネルギー線硬化型組成物では、基材に対する密着性を高めようとすると、塗膜強度が低下する場合があり、密着性を向上させる手段として、樹脂を添加すると、高分子量の樹脂ではインクジェットによる吐出安定性が十分でない場合があるという知見に基づくものである。
【0010】
<重合性樹状分岐化合物>
本発明の重合性樹状分岐化合物としては、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物を用いることが好ましい。デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物を用いることで、該化合物が有する特有の放射状構造により3次元の構造が活発に発達し、架橋密度が高いインク硬化物が得られ、高い塗膜強度が達成される。また、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物は、その材料特有の3次元的に放射状の立体構造を有し、平均重合性官能基数が6官能以上のものを使用することにより、高い架橋密度が達成される。
また、一般的な直鎖状の重合性化合物に比べて、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物は、その特有の立体構造がゆえ、外的応力もしくは内部応力を効率的に緩和することができ、基材に対する密着性への悪影響を低減することができる。
【0011】
前記重合性樹状分岐化合物は、少なくともアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を末端に有し、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する化合物であることが好ましい。また、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のラジカル重合性官能基を6個以上有し、分子中にデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有するラジカル重合性化合物が好ましい。
【0012】
ここで、「ハイパーブランチ構造」とは、1分子中に互いに反応できる2種類の置換基を合計3個以上持つ化合物の自己縮合により合成される多分岐高分子を意味する。「デンドリマー構造」とは、コア分子と呼ばれる分子構造の中心となる多官能化合物から、基本単位となる枝分かれ分子構造が繰り返し結合した分岐構造を有する多分岐高分子を意味する。
【0013】
前記重合性樹状分岐化合物の含有量としては、組成物全量に対し、4.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、4.8質量%以上20.0質量%以下がより好ましい。前記重合性樹状分岐化合物の含有量が4.0質量%以上であると、十分な塗膜強度が得られ、25.0質量%以下であると、硬化収縮が抑えられ、密着性がより低下しにくくなる。
【0014】
前記ハイパーブランチ構造又はデンドリマー構造を有するラジカル重合性化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。合成方法としては以下のものが挙げられる。
【0015】
ハイパーブランチ構造の場合、1分子中に2種の置換基を合計3個以上持つ、ABx型分子の自己縮合により得られる。例えば、3,5-ジヒドロキシ安息香酸を原料とし、重縮合によりハイパーブランチポリエステルが得られる。この場合、末端にはヒドロキシル基が存在するが、そこにアクリル酸もしくはメタクリル酸を作用させることによってハイパーブランチ構造を有するラジカル重合性化合物が得られる。デンドリマーの合成方法については、コアから外側に向かって合成を進めるダイバージェント法、末端官能基から内側に向かって合成を進めるコンバージェント法、あるいはそれら2つを組み合わせたものなどが知られている。例えばコンバージェント法を用いて、一段階目として、2-(4-ヒドロキシフェノキシエチル)-アクリレートと5-ヒドロキシイソフタル酸をカップリングし、二段階目でトリメシン酸とカップリングすることによりデンドリマー構造を有するラジカル重合性化合物が得られる。
ここで、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物にポリエステルが含まれる場合には、重合性樹状分岐化合物に属し、後述する重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂には属さない。
【0016】
市販品としては、以下のものが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
V#1000(大阪有機化学工業株式会社製)、CN2302(サートマー社製)、CN2303(サートマー社製)、CN2304(サートマー社製)、6361-100(Eternal社製)、6363(Eternal社製)。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
<重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂を含む。前記ポリエステル樹脂が重合性不飽和結合を有していると、重合性化合物との共重合により、強固な基材密着性が得られると推測される。
本発明の重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂は、(メタ)アクリロイル基由来以外の不飽和結合を含有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基以外の不飽和結合としては、ビニル基やアリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で記載する(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基を総称した表現である。
【0018】
具体的には、UVAD-081(株式会社大阪ソーダ製)、UVAD-085(株式会社大阪ソーダ製)などが挙げられる。
【0019】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、3,000以下であることが好ましい。前記数平均分子量が3,000以下であると、インクジェットによる吐出安定性がより低下しにくくなる。前記数平均分子量の下限値としては、例えば500程度である。
【0020】
前記ポリエステル樹脂の含有量は、組成物全量に対し、5.0質量%以上20.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましい。前記ポリエステル樹脂の含有量が5.0質量%以上であると、十分な基材密着性が得られ、20.0質量%以下であると、吐出安定性がより低下しにくくなる。
【0021】
<その他の成分>
また、本発明における活性エネルギー線硬化型組成物は、前述した重合性樹状分岐化合物及び重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂以外の重合性化合物を含んでいてもよい。前記重合性化合物としては、単官能重合性モノマーが好ましい。これらは従来公知のものを使用できるが、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような重合性化合物としては、例えば、単官能重合性モノマーとして、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボロニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、特に、環状構造を含む単官能重合性モノマーが好ましい。
具体的には、例えば、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート、ビスコート#150、大阪有機化学工業株式会社製)、IBXA(イソボロニルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0022】
前記活性エネルギー線硬化型組成物に、前記重合性化合物を含有させる場合、その含有量は40.0質量%以上80.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以上76.0質量%以下がより好ましい。前記重合性化合物の含有量が40.0質量%以上であると、基材密着性が良好であり、80.0質量%以下であると、鉛筆硬度が良好である。
【0023】
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
【0024】
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5~20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
<色材>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0027】
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
【0028】
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
【0029】
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3~40mPa・sが好ましく、5~15mPa・sがより好ましく、6~12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
【0030】
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2図3A図3Dに示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3A図3Dは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。まず、図3Aでは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射している。続いて、図3Bでは、活性エネルギー線4の照射により所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成している。続いて、図3Cでは、可動ステージ3を下げている。続いて、図3Dでは、活性エネルギー線4の照射により、得られた硬化層6の上にさらに硬化層6を形成している。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
【0031】
<組成物収容容器>
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0032】
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加温なども挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【0033】
(活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、基材に対する密着性と塗膜強度を両立し、更にインクジェットによる吐出安定性に優れているので、活性エネルギー線硬化型インク組成物に適用するのに好適であり、特に、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物に利用するのに好適である。
【0034】
(硬化物)
本発明の硬化物としては、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の少なくともいずれかに活性エネルギー線を照射することにより硬化させて形成される。
活性エネルギー線硬化型組成物としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物と同様のものを用いることができ、活性エネルギー線硬化型インク組成物としては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物と同様のものを用いることができ、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物としては、前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物と同様のものを用いることができる。
【0035】
(加飾体)
本発明の加飾体としては、基材上に、硬化物からなる表面加飾が施されてなり、前記硬化物と同様のものを用いることができる。
【実施例
【0036】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0037】
(実施例1~15及び比較例1~17)
<使用材料>
使用した樹状分岐化合物を表1に、ポリエステル樹脂を表2に示す。
その他の材料として、重合性モノマーのTHFA(製品名:ビスコート#150、大阪有機化学工業株式会社製)、IBXA(大阪有機化学工業株式会社製)、TMPTA(ダイセル・オルネクス社製)、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM社製)、重合禁止剤としてBHT(東京化成工業株式会社製)を使用した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
<活性エネルギー線硬化型組成物の作製>
表3から表6に示す材料と含有量(質量%)に基づき、常法により各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物について、基材(スライドガラス、ステンレス板、ポリプロピレンフィルム)上に10μmの膜を作製し、その塗膜をウシオ電機製メタルハライドランプ(4000mJ/cm)で硬化させた。
【0041】
次に、得られた塗膜について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表3から表6に示す。
【0042】
<塗膜強度(鉛筆硬度)>
塗膜強度は、鉛筆硬度試験JIS K5600-5-4(引っかき硬度:鉛筆法)に基づいて行った。硬度はH以上であることが好ましいが、少なくとも2B以上であれば、実用上問題ないレベルである。
【0043】
<密着性>
密着性は、密着性試験JIS K5600-5-6のクロスカット法の評価方法に従い、下記の基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:全く剥がれがない
〇:カッターの切込みに沿って剥がれがあるが、マスは剥がれていない
△:全体の50%未満のマスが剥がれている
×:全体の50%以上のマスが剥がれている
【0044】
<インクジェットによる吐出安定性>
表3から表6に示す材料と含有量(質量%)に基づき作製した各インクジェット用インクを、インクジェット吐出装置(株式会社リコー製、ヘッド:リコープリンティングシステムズ社製GEN5)に装填し、30分間連続で吐出した後のノズルからの吐出状態をカメラで観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
〇:全てのノズルから吐出している
△:30ノズル未満の不吐出がみられる
×:30ノズル以上の不吐出がみられる
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 重合性樹状分岐化合物と、重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂と、を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
<2> 前記ポリエステル樹脂に含まれる重合性不飽和結合が(メタ)アクリロイル基由来以外である、前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,000以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<4> 前記重合性樹状分岐化合物がハイパーブランチ構造又はデンドリマー構造である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<5> 前記重合性樹状分岐化合物の含有量が4.0質量%以上25.0質量%以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<6> 前記ポリエステル樹脂の含有量が5.0質量%以上20.0質量%以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含む、活性エネルギー線硬化型インク組成物である。
<8> 前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含む、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物である。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかが収容された組成物収容容器である。
<10> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかが収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備える2次元又は3次元の像形成装置である。
<11> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかに活性エネルギー線を照射する照射工程を有する、2次元又は3次元の像形成方法である。
<12> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかに活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化物である。
<13> 基材上に、前記<12>に記載の硬化物からなる表面加飾が施されてなる加飾体。
【0050】
前記<1>から<6>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<7>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、前記<9>に記載の組成物収容容器、前記<10>に記載の像形成装置、前記<11>に記載の像形成方法、前記<12>に記載の硬化物、及び前記<13>に記載の加飾体は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 貯留プール
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
3 可動ステージ
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 可動ステージ
39 像形成装置
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【文献】特許第6134546号公報
【文献】特開2018-095696号公報
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D