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特許7400357識別コード、識別コード付きラベル及び物流管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】識別コード、識別コード付きラベル及び物流管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/02 20060101AFI20231212BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G06K19/02
G06K19/06 037
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019200524
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2020087450
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2018215391
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】開 俊啓
(72)【発明者】
【氏名】谷山 弘行
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-099879(JP,A)
【文献】特表2018-517199(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208051(WO,A1)
【文献】特開2019-175033(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038848(WO,A1)
【文献】特開2016-165800(JP,A)
【文献】特開2016-181217(JP,A)
【文献】特開平11-248552(JP,A)
【文献】特開2001-194248(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203850(WO,A1)
【文献】特開2002-037420(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009884(WO,A1)
【文献】二木 久夫,新しい温度センサー,応用物理 ,第51巻,第6号,日本,社団法人応用物理学会,1982年06月10日,pp.672-676
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/02
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセル内にドットを縦横に配置して図形パターンを構成した二次元コードにおいて、
前記図形パターン内に、所定の温度管理範囲の下限を外れると変化する第1のパターン部と、所定の温度管理範囲の上限を外れると変化する第2のパターン部とを有し、前記第1、第2のパターン部はともにサーモクロミック材料を含んで形成されており、バーコードスキャナで前記図形パターンを読み取ることで前記温度管理範囲の下限又は上限の逸脱の検知が行えるように構成された二次元コード
【請求項2】
サーモクロミック材料が不可逆性を有する、請求項1に記載の二次元コード
【請求項3】
サーモクロミック材料がコバルト、クロム、ニッケル、マグネシウム、鉄、バナジウム、銅の塩或いは錯体の中から選択される、少なくとも1種類以上を含む、請求項1又は2に記載の二次元コード
【請求項4】
インキ化又はカプセル化されたサーモクロミック材料が用いられてなる、請求項1から3の何れか1項に記載の二次元コード
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の二次元コードが表面に設けられた情報表示媒体。
【請求項6】
基材の片面に粘着層が設けられ、他方の片面に請求項1から4の何れか1項に記載の二次元コードが印刷された二次元コード付き付きラベル
【請求項7】
基材が紙類又は樹脂フィルムである、請求項6に記載の二次元コード付きラベル
【請求項8】
樹脂フィルムがポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムである、請求項7に記載の二次元コード付きラベル
【請求項9】
インクジェット方式により二次元コードが印刷された、請求項6から8の何れか1項に記載の二次元コード付きラベル
【請求項10】
請求項5に記載の情報表示媒体又は請求項6から9の何れか1項に記載の二次元コード付きラベルを温度センサとして機能させて物流情報を処理することを特徴とする物流管理システム。
【請求項11】
請求項5に記載の情報表示媒体又は請求項6から9の何れか1項に記載の二次元コード付きラベルが付された物品の保管や配送の過程で、前記情報表示媒体又はラベルに表示された二次元コードの図形パターンをバーコードスキャナで読み取ることで、前記物品が所定の温度管理範囲を外れた環境下に置かれたか否かの情報を収集する、物品の温度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードやQRコード(登録商標。以下、「二次元コード」という。)などの識別コード、これを用いたラベル及び物流管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物配送において、ネットショッピングの利用の増加と宅配流通網の拡充により、生鮮食品やアイスクリームなどの保冷食品や冷所保存が必要な医薬品等、輸送時や保管時に厳格な温度管理が求められる物品の輸送量が増加する傾向にある。
【0003】
保冷荷物の流通過程においては、製造業者から配送業者への引き渡し、配送業者間の引き渡し、最終配送業者から顧客への引き渡しなどの各場面で突発的に冷蔵・冷凍設備の故障などにより、配送荷物が所定の管理温度範囲を外れて高温雰囲気下に置かれる可能性がある。長時間高温下に置かれた場合、配送荷物の中身が変質し、品質保証が困難になることが想定される。
【0004】
そのため、流通過程において適正な管理温度で配送されていることを管理することが必要とされ、各種提案がなされている。例えば特許文献1には、バーコードと二次元コードとの組み合わせにより、温度閾値の超過に基づいて、異常を検知するシステムが提案されている。また、特許文献2には、二次元コードとは別に示温領域を示す表示部を、二次元コードに並べて配置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-181217号公報
【文献】国際公開第2016/208051号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、バーコードと二次元コードの組み合わせによる情報管理方式を採用しているため、2種類の情報読み取り手段が必要とされ、作業性の面で煩雑となる問題があった。
また、特許文献2に記載の方法は、二次元コードとは別に示温領域を示す表示部を設ける必要があるため、バーコードスキャナを用いる既存のシステムでは示温領域を示す表示部の情報読み取りの対応が困難であり、新たに専用のシステムを構築しなければならない不便さがある。
【0007】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、温度計やデータロガーなどの温度管理装置を必要とせずに、既存のシステムであるバーコードスキャナなどで識別コードを読み取ることで、コードに変換された情報の読み込みとともに管理温度範囲内で保管がされていたか否かを簡易に検知することができようにすることを課題とし、そのための識別コード、これを付したラベルを創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題に関して検討を重ねた結果、二次元コードの図形パターンを構成するデータセル内に所定の温度管理範囲を外れたときに変化するパターン部を形成するにあたり、図形パターンにサーモクロミック材料を含ませて二次元コードを印字出力することにより、バーコードスキャナでコード変換された情報と温度変化に関する情報を正確に読み取ることが可能であることを知見し、本発明を創出するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、バーを横方向に配置し、又はドットを縦横に配置した図形パターンからなる識別コードにおいて、前記図形パターン内に所定の温度管理範囲を外れると変化するパターン部を有し、当該パターン部がサーモクロミック材料を含んで形成されており、前記温度管理範囲を外れた温度環境下で図形パターンが変化することを特徴とする。
より詳しくは、本発明は、データセル内にドットを縦横に配置して図形パターンを構成した二次元コードにおいて、前記図形パターン内に、所定の温度管理範囲の下限を外れると変化する第1のパターン部と、所定の温度管理範囲の上限を外れると変化する第2のパターン部とを有し、前記第1、第2のパターン部はともにサーモクロミック材料を含んで形成されており、バーコードスキャナで前記図形パターンを読み取ることで前記温度管理範囲の下限又は上限の逸脱の検知が行えるように構成されていることを特徴とする。
前記識別コードには、バーを横方向に配置して図形パターンを構成するバーコードやデータセル内にドットを縦横に配置して図形パターンを構成する二次元バーコード、その他バーコードスキャナでコード変換された情報を読み取ることができる構造のものが含まれる。
【0010】
本発明は、前記構成の識別コードにおいて、サーモクロミック材料が不可逆性を有することを特徴とし、また、サーモクロミック材料がコバルト、クロム、ニッケル、マグネシウム、鉄、バナジウム、銅の塩或いは錯体の中から選択される、少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする。さらに、インキ化又はカプセル化されたサーモクロミック材料が用いられてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報表示媒体は、前記構成の識別コードが表面に設けられてなることを特徴とする。
情報表示媒体は、紙類や合成樹脂、繊維等の適宜な材料からなる、平滑部を表面に有する部材であり、前記平滑部に識別コードが配置される。情報表示媒体には、薄肉の紙や合成樹脂製のフィルムやシート、ラベル、パネル、伝票や帳票類、袋や箱などの包装材、梱包材等が含まれる。識別コードは情報表示媒体の表面に直に印字・印刷したり、識別コードが印字・印刷されたシートやラベルを情報表示媒体の表面に貼り付けたりして設けることができる。
【0012】
また、本発明の識別コード付きラベルは、基材の片面に粘着層が設けられ、他方の片面に前記識別コードが印字・印刷されてなることを特徴とする。
前記識別コード付きラベルは、基材が紙類又は樹脂フィルムであることを特徴とし、樹脂フィルムがポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムであることを特徴とする。さらに、インクジェット方式により識別コードが印字・印刷されてなることを特徴とする。
【0013】
本発明の物流管理システムは、前記構成の情報表示媒体又は識別コード付きラベルを用い、これを温度センサとして機能させて物流情報を処理することを特徴とする。
また、本発明の物品の温度管理方法は、前記構成の情報表示媒体又は識別コード付きラベルが付された物品の保管や配送の過程で、前記情報表示媒体又はラベルに表示された識別コードの図形パターンをバーコードスキャナで読み取ることで、前記物品が所定の温度管理範囲を外れた環境下に置かれたか否かの情報を収集することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の識別コードによれば、図形パターンにサーモクロミック材料を含ませて構成されているので、所定の温度管理範囲を外れたときに図形パターンが変化し、これをバーコードスキャナで読み取ることで、コード変換された情報と温度変化に関する情報を正確に収集することができ、データロガーなどの温度管理装置を必要とすることなく、既存のシステムを利用して温度による環境変化を検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の一例に関して、二次元コードの構成を示す。
図2図1の二次元コードの変化するパターン部分を拡大して示した図である。
図3図1の二次元コードのパターン部が変化した後の構成を示す。
図4図1の二次元コードのパターン部が変化した後の別の構成を示す。
図5】本発明の物流管理システムの実施形態の一例が適用される流通経路を示した図である。
図6図5の流通経路に適用される物流管理システムの一例の情報処理機器の構成を示した図である。
図7】物流管理システムで使用される二次元コード付きラベルの一例の構成を示した図である。
図8】材料の入荷検品処理の一例の態様を示した図である。
図9】荷物配送に用いる配送伝票の一例の態様を示した図である。
図10】荷物を配送する過程における検品処理の一例の態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を二次元コードに適用し、これをラベルの表面に設ける場合の実施の形態例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0017】
<二次元コード>
二次元コードは、ドットを縦横に配置した図形パターンからなる識別コードであり、その存在位置を特定するための、特定寸法比率の正方形を組み合わせた三つの位置決め用シンボルや、これらの位置決め用シンボル相互間に設けられて白と黒とが交互に組み合わさった、各データセル位置の指標となる基準パターンであるタイミングセルを備えた構成からなる。
各データセルの位置は、三つの位置決め用シンボルの中心と二つのタイミングセルを、それぞれ縦方向と横方向の座標の指標として算出できるようになっている。そして、位置が決定した、各データセルの中心付近が黒であるか白であるかを判別して、黒を1に、白を0に対応させた2値化処理データとして運用すれば、認識も可能となり、そのデータも解読可能となる原理からなる。
【0018】
本発明では、前記データセル内のデータの一部に、以下に示すサーモクロミック材料を用いることを特徴とする。
詳しくは、本発明の一例の二次元コードを図1に示す。同図に示されるように、二次元コード1はその三つのコーナー部に位置決め用シンボル1aが配置され、各シンボルよりも内側の領域に設けられたデータセル1b内に黒白の点状符号を縦横に並べて、コード変換された情報を表示するように設けてある。
【0019】
そして、図2に示されるように、本例の二次元コード1は、データセル1b内の黒白の符号を並べてなる図形パターンのうち、パターン部1cとパターン部1dが、後述するサーモクロミック材料を含むインクを用いて印字・印刷して形成されており、所定の温度管理範囲を外れた温度環境下でパターン部1cとパターン部1dが変化するように設けてある。
具体的には、二次元コード1が温度管理範囲の下限を逸脱する温度環境下に置かれたときは、図3に示されるように、パターン部1cが色褪せ、変色し或いは消失するなどの変化を発現して当該部分のバーコードスキャナでの読み取りが不能となり、一方、二次元コード1が温度管理範囲の上限を逸脱する温度環境下に置かれたときには、図4に示されるように、パターン部1dが色褪せ、変色し或いは消失するなどの変化を発現して当該部分のバーコードスキャナでの読み取りが不能となるように構成してある。
【0020】
<本基材>
ラベルを構成する本基材は必要十分な剛性を備えた構成のものであれば、材質及び構成を限定するものではない。樹脂フィルム或いは紙類が好適である。また、本基材は、単層構成であっても、多層構成であってもよい。
【0021】
(樹脂フィルム)
本基材が樹脂フィルムからなる多層構成の場合、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
【0022】
次に一例として、ポリエステル樹脂を用いた例で説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるわけではない。
本基材フィルムの各層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有すれば、ポリエステル以外の樹脂或いは樹脂以外の成分を含有していてもよい。
この際、「主成分樹脂」とは、本基材フィルムを構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えば本基材フィルムを構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
【0023】
上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。前記脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができる。
【0024】
他方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸等の1種または2種以上を挙げることができ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種又は2種以上を挙げることができる。
【0025】
ポリエステルの具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が例示される。
【0026】
その他の樹脂として、ポリアリレート類、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系液晶ポリマー、トリアセチルセルロース、セルロース誘導体、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド(PI)、ポリシクロオレフィン類等を例示することができる。
この中でも、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムが好ましい。
【0027】
本基材フィルムは、フィルム表面に易滑性を付与する目的及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
当該粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
上記粒子の形状は、特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。
また、上記粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0028】
上記粒子の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、中でも0.01μm以上或いは3μm以下、その中でも0.5μm以上或いは2.5μm以下であることがさらに好ましい。5μmを超える場合には、本基材フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において各種の表面機能層を形成させる場合等に不具合が生じることがある。
【0029】
粒子含有量は、本基材フィルムの5質量%以下であるのが好ましく、中でも0.0003質量%以上3質量%以下、その中でも0.01質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。粒子含有量をこのような範囲とすることで、フィルムの滑り性と透明性との両立が可能となるので好ましい。
【0030】
本基材フィルムに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。好ましくはエステル化或いはエステル交換反応終了後に添加するのが良い。
【0031】
本基材フィルムには、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0032】
本基材フィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではなく、9~350μmであることが好ましく、さらに好ましくは12μm以上250μm以下、その中でも12μm以上188μm以下、その中でも特に12μm以上125μm以下であることがさらに好ましい。
【0033】
本基材フィルムは、例えば樹脂組成物を溶融製膜方法や溶液製膜方法によりフィルム形状にすることにより形成することができる。多層構造の場合は、共押出してもよい。
また、一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよく、剛性の点から、二軸延伸フィルムが好ましい。
【0034】
(紙類)
上質紙、コート紙、軽量コート紙、アート紙、キャストコート紙、エンボス紙、色上質紙などが例示される。主な坪量(g/m)としては50~160(g/m)の範囲が好ましい。
【0035】
<サーモクロミック材料>
前記二次元コードの温度により変化するパターン部に使用するサーモクロミック材料は、可逆性、不可逆性のいずれでもよいが、不可逆性であることが好ましい。
「不可逆性」とは温度変化に伴って不可逆的に変化する、いわゆる、温度が元に戻っても復色しない材料のことを指す。この「変色」とは無色から色Aへの発色、色Aから色Bへの変化、色Aから無色への色の消失のいずれの意味をも含む。
【0036】
不可逆性サーモクロミック材料の具体例として、NiCO3とCdSとの混合物、COSiF6、CdCO3又はコバルト、クロム、ニッケル、マグネシウム、鉄、バナジウム、銅の塩或いは有機錯体が挙げられる。また、キレート形成反応する金属塩と配粒子(例:鉄塩又はバナジウム塩と没食子酸エステル)、脱水反応による変色を利用するタイプとしてCoCl2・2(CH264・10H2O又はNiBr2・2(CH264・10H2O等があり、その種類としては、ニッケル、コバルトの錯塩、複塩系が多い。そして有機系材料として、他にロイコ染料及びフェノール系化合物の分散体(例:CVLとビスフェノールA)があり、CVLをカラーフォーマーとして有機酸を固体酸として混合したタイプ、電子受容体としてテトラニトロメタン、トリニトロメシチレン、電子供与体として、トリフェニルアミン、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレンを混合し、溶融状態で電荷移動錯体が形成されるタイプが例示される。
前記不可逆性サーモクロミック材料の中から、所望する温度範囲内の温度変化にて変色(発色、変色又は色の消失)する材料を適宜選択し、使用する。温度範囲は生鮮食品や医薬品の輸送管理用を想定した場合、10~25℃の範囲が好ましい。温度管理する物品によってはこの間に含まれるさらに狭い温度範囲が好ましいが、目的に応じ適宜選定することが可能である。
【0037】
使用するサーモクロミック材料として、例えば、所望する温度範囲が10~25℃の場合、10~25℃の温度変化に伴う変色が多色且つ連続である材料を1種類使用してもよいし、単位温度変化に伴い、各々変色する2種類以上の材料を使用してもよい。
例えば10℃にて変色する材料X1、15℃にて変色する材料X2、20℃にて変色する材料X3、25℃にて変色する材料X4により構成される、X1~X4の合計4種類の材料を用いてもよい。
【0038】
基材上に不可逆性サーモクロミック材料を有する部分を設ける方法としては、従来から公知の方法を採用することができる。
具体的には、1)サーモクロミック材料を直接、基材上に塗布する、2)バインダー樹脂とサーモクロミック材料とを混合して、基材上に設ける、3)適切なビヒクルを使用し、サーモクロミック材料をインキ化して基材上に塗布する、4)サーモクロミック材料をマイクロカプセル化して、適当なバインダー中に分散させインキ化して基材上に塗布する等の方法が例示される。
塗布方法としては、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。その中でも、二次元コードのデータセル内の複雑なパターンをより高精度で印刷できる点において、インクジェット法が好ましい。
【0039】
<インクジェット用インク>
E型粘度計で測定した25℃における粘度が1~20mPa・sであると、インクジェットによる塗布性が良好となるのでよい。インクの粘度は、好ましくは5~20mPa・s、さらに好ましくは5~15mPa・s、その中でも10~15mPa・sである。
また、インクジェットのヘッド部を加熱することで、上記粘度が高めのインキを塗布することも可能である。
【0040】
<インクジェット方式による二次元コードの形成>
本発明の二次元コードは、前記インクジェット用インクから構成されるインクを、従来から公知のインクジェット印刷方式を用いて塗布することにより形成することが好ましい。
インクジェット塗布方法としては、例えば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクをインクジェットヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるピエゾ方式)、及び、インクに熱エネルギーを作用させてインクを塗布させる塗布方法(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)等が挙げられる。
インクジェット塗布方法を用いることにより、インクを予め定められたパターン形状に高精度で塗布することができる。当該方法を採用することにより、必要な箇所だけにインクを塗布することが可能であるため、インク使用量も最小限度で済むみ、生産性向上に寄与することが出来る。
また、紫外線を照射する場合、照射する紫外線の量は、インクの組成に依存するが、積算光量で50~1,000mJ/cmが好ましく、さらに好ましい量は100~800mJ/cmであり、その中でも200~600mJ/cmがよい。
【0041】
<二次元コード層>
(塗布厚み(乾燥後))
二次元コード層に関して、1μm以上30μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下、その中でも1μm以上10μm以下がよい。
【0042】
<粘着剤層>
本基材の片面には粘着層を積層するのが好ましい。
ここでいう「粘着剤層」とは、粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、従来から公知の材料を用いることができる。具体例の一つとして、アクリル系粘着剤を使用する場合について、以下に説明する。
【0043】
アクリル系粘着剤とは、アクリル系モノマーを必須の単量体(モノマー)成分として形成されるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着層のことを意味する。当該アクリル系ポリマーは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として、さらに好ましくは、主たるモノマー成分として形成されるアクリル系ポリマーであることが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0044】
次に、前記の材料により形成される二次元コード付きラベル及び配送伝票を用いた物流管理システムの一例の形態について説明する。
【0045】
図5は、本形態の物流管理システムが適用される流通経路の一例を示しており、これは、アイスクリームなどの冷菓を製造して販売する会社Aが、菓子類を商品として販売する会社Bから製品購入の注文を受けて、自社の工場Cで材料製造会社Dから仕入れた材料Mを加工して製品である冷菓Gを製造し、荷物配送を委託している配送業者が工場Cで製造した冷菓Gを前記販売会社Bへと配送する態様のものである。同図中の実線矢印は会社間でやりとりされる情報の経路、破線矢印は物の移送経路をそれぞれ示している。
【0046】
図示された流通経路において、材料製造会社Dから工場Cに納入される材料M及び工場Cで製造され販売会社Bへと配送される冷菓Gは冷蔵品であり、本形態の物流管理システムは、両物品の品質劣化防止のため、後述する二次元コード付きラベルと配送伝票を使用して、所定の温度管理範囲で保管や配送がされていたか否かを検知するものである。
【0047】
図6は、本形態の物流管理システムの概略構成を示しており、同図中、符番2は物流管理システム、21は会社Aに設置される情報管理装置、22,23,24はそれぞれ販売会社B、工場C、材料製造会社Dに設置される情報処理端末、25は配送会社の配送情報処理装置であり、これらの装置及び端末は、専用回線やインターネット、携帯電話網などの通信回線26を介して接続し、相互に各種データや情報の送受信が可能な通信ネットワークを構成している。
【0048】
会社Aに設置される情報管理装置21は、通信回線26を介して接続した前記各装置及び端末にファイルやデータなどを提供する機能を備え、同社が扱う製品の受注から製造、在庫管理、出荷に至る各工程の情報を処理するコンピュータである。
情報管理装置21は、例えば、キーボードやマウス、或いはスキャナーなどのデータ入力部と、データを表示するモニタなどの表示部と、通信回線26を介して電子メールなどでデータを送受信する通信部と、製品や取引先に関する各種のデータやファイル及び処理プログラムを記憶して格納する記憶部と、記憶部に格納された処理プログラムに従って前記各部を制御する制御部などの各処理部を備えた構成することができる。
【0049】
情報管理装置21の記憶部に格納された製品DBには、製品毎にその品名や品番、製品を保管するときの温度管理範囲が登録されており、その製品の製造で用いられる材料のうち、保冷品などの所定の温度下で保管する必要があるものは、その材料の温度管理範囲も登録してある。
【0050】
販売会社Bに設置される情報処理端末23は、自社で販売する商品の情報を処理するコンピュータ、工場Cに設置される情報処理端末24は会社Aから製品の製造指示を受けて製品を製造する工程の情報を処理するコンピュータ、材料製造会社Dに設置される情報処理端末25は、会社Aから材料の製造、保管及び出荷の指示を受けて各工程の情報を処理するコンピュータである。
これら各情報処理端末22,23,24は、前記情報管理装置21と同様の、データ入力部、表示部、通信部、記憶部及び制御部などの各処理部を有する本体端末3と、ラベルや伝票を印刷するプリンタ4と、バーコードを読み取って本体端末3に読み取った情報を入力するバーコードスキャナ5とを備えて構成してある。
【0051】
配送会社の配送情報装置25は、前記情報管理装置21と同様の処理部を有して構成された、荷物の配送情報を処理するコンピュータである。図示されないが、配送情報処理装置25は、配送会社の荷物集荷担当店、ベース店、配達担当店の各店に設置された、バーコードスキャナを備えた情報処理端末や、配送ドライバーが所持するバーコードスキャナ付きの携帯情報処理端末と通信回線を介して接続しており、荷物の集荷から配送、届け先への配達に至るまでの荷物の配送情報が、これら各端末から通信回線を通じて配送情報処理装置25に入力されるようになっている。
配送情報処理装置25に入力される配送情報はその記憶部に配送荷物毎に設定された配送伝票の番号に紐づけてして登録されるとともに、通信回線26を通じて前記情報管理装置21に通知されるようになっている。
【0052】
次に、本形態の流通管理システム2を利用した流通処理について説明する。
(製品の発注)
販売会社Bが、会社Aの製品を商品として販売するため、会社Aに対して製品を発注する。発注は販売会社Bの情報処理端末22から、発注する製品の品名、個数、納入希望日などの発注情報を電子メールで会社Aの情報管理装置21に通知し、発注を依頼することにより行われる。
【0053】
(製品の受注)
販売会社Bから製品の発注依頼を受けた会社Aは、製品の在庫を確認し、在庫がないときは、工場Cに対して製品の製造を指示する。製造指示は、情報管理装置21から工場Cの情報処理端末23に、製造する製品の品名や品番、製造個数、製品の納入先や納入期日などの情報とともに、その製品を保管するときの温度管理範囲の情報を通知することにより行われる。
これと併せて会社Aは、発注依頼を受けた製品の材料を工場Cに納入することを材料製造会社Bに指示する。指示は、情報管理装置21から材料製造会社Dの情報処理端末24に、納入する材料の品名や品番、納入個数、納入期日などの情報と、その材料を保管するときの温度管理範囲の情報を通知することにより行われる。
【0054】
(材料製造会社Dでの処理)
会社Aから材料の納入指示を受けた材料製造会社Dは、納入指示を受けた材料を製造する。
予め会社Aから材料の製造と保管の指示を受けていたときは、製造した材料を包装した容器に、図7に示されるような二次元コード付きラベル6を貼り付けて保管しておく。ラベル6は情報処理端末24のプリンタ4で作成され、その表面には、材料の品名、製造日、ロットなどのテキストデータとともに、これらテキストデータと当該材料の温度管理範囲に関する情報を変換した二次元コード1が印字・印刷されている。納入に必要な個数を取り揃えた材料Mは、材料製造会社Dから工場Cに納入される。
【0055】
(工場Cでの処理)
材料Mが納入されたならば、工場Cでは納入された材料Mの受入検査を行う。
検査は、図8に示されるように、材料Mを包装した容器に貼られたラベル6の二次元コード1をバーコードスキャナ5で読み取り、読み取ったコード情報を変換し、情報処理端末23に入力することにより行われる。
二次元コード1を読み取ることで、納入された材料Mが製品の製造に用いられるものであることが間違いないか、材料Mが適正な温度管理範囲内で保管されていたか否かを確認することができる。検査結果は、情報処理端末23から会社Aの情報管理装置21へと通知され、温度管理範囲を逸脱した環境下で保管されていた場合は、材料Mは工場Cから返品され、再納入指示が情報管理装置21から材料製造会社Dの情報処理端末24へと通知される。
工場Cは、材料Mを用いて製品Gを製造する。製造された製品Gは梱包され、その包装箱の表面には、図9に示されるような二次元コード付き配送伝票7が貼り付けられる。配送伝票7は、情報処理端末23のプリンタ4で作成され、その表面には、荷送人である工場Cと荷受人である販売会社Bに関する情報、品名と個数、配達希望日、伝票番号などのテキストデータとともに、これらテキストデータと当該製品Gの温度管理範囲に関する情報を変換した二次元コード1が印字・印刷されている。
製造された製品Gは、保冷荷物として工場Cから発送され、配送業者によって販売会社Bへと配送される。
【0056】
(配送処理)
配送業者は、予め会社Aから通知された荷物の配送スケジュールに基づき、工場Cに荷物の集荷に出向き、荷物である製品Gを集荷し、これを販売会社Bへと配送する。
荷物の配送過程、つまり、工場Cでの荷物の集荷、集荷担当店での荷物の受け入れ、ベース店への発送と受け入れ及び配達担当店への発送、配達担当店での荷物の受け入れ、販売会社Bへの荷物の配達の各処理手続きにおいて、図10に示されるように、梱包された製品Gに貼られた配送伝票7の二次元コード1がバーコードスキャナ7で読み取られ、読み取った情報は読取手続きを行った日時データ及び各手続きのステータスデータとともに、各店の情報処理端末又は携帯情報処理端末を経由して配送情報処理装置25へと入力され、配送情報処理装置25は入力された情報を伝票番号に紐づけて配送情報として記憶部に登録し、併せて配送情報を会社Aの情報管理装置21に通知する。
情報管理装置21に通知される情報には、製品Gがその温度管理範囲内で配送されていたか否かの情報も含まれ、これにより、会社Aは適正な温度で製品Gが配送されていたか否かを監視することができる。
【0057】
(販売会社Bでの受け入れ処理)
販売会社Bは、工場Cからの荷物を受け取ることで製品Gを商品として販売することができる。このとき、予め会社Aから販売会社Bに対して製品Gの温度管理範囲に関する情報が通知され、情報処理端末22が二次元コードの読み取りにより温度管理の逸脱の検知が行える機能を備えていれば、配達された製品Gの配送伝票7の二次元コード1をバーコードスキャナ5で読み取ることで、温度管理に関する製品Gの品質に問題がないか否かを検知することが可能である。
【0058】
このように本形態の物流管理システム2によれば、前記二次元コード付きラベル6や配送伝票7を使用して保冷物品の保管や配送を行うことで、保冷物品が所定の温度管理範囲で適正に保管や配送がされていたか否かを簡易且つ正確に検知することが可能である。
【0059】
なお、以上の実施の形態は、本発明の識別コードを二次元コードに適用した態様であるが、バーコードに適用することも可能である。また、ラベルや配送伝票の他に、カードやパネル、包装袋などにも本発明の識別コードを印字・印刷して、物品を保管したり輸送したりする際の温度管理に用いてもよい。
【0060】
<語句の説明>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0061】
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
【実施例
【0062】
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
厚さ50μmの二軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、ダイアホイルT600Eタイプ)を基材フィルムとして用いてラベルを作製し、このラベルの表面に以下のようにして二次元コードを形成して識別コード付き付きフィルムを得た。
【0064】
前記二次元コードは、図1に示された態様の二次元コード1において、インクジェット塗布方法によるインク塗布装置(富士フィルム株式会社製、DMP-2850)を用い、前記基材フィルム上に、図2に示された二次減コード中のパターン部1d以外の部分を、通常の印刷で使用されている下記のインキ組成物を用いて塗布量(乾燥後)が0.3g/mになるように塗布した。
この基材フィルムの表面に、UV照射装置(型式:UVC-05016S1AGF)を用いて紫外線を照射し(照射条件:11.2W/cm)、当該基材フィルム上に印刷層を形成した。
次いで、基材フィルムの前記パターン部1dの部分のみに、下記示温インキ組成物を用いて印刷を行った。示温インキの塗布量(乾燥後)は0.3g/mとし、印刷後25℃で自然乾燥させて、識別コード付きフィルムを作製した。
【0065】
(通常のインキ組成物)
東洋インキ株式会社製:フラッシュドライFD S ニューR1藍
(示温インキ組成物)
アセイ工業株式会社製:WL-40 示温インク 50質量%
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)50質量%
塗布液の粘度:12mPa・s
【0066】
[比較例1]
示温インキを用いない以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に二次元コードの印刷を行って識別コード付きフィルムを作製した。
【0067】
実施例1と比較性1で作製した識別コード付きフィルムを鋼製の支持板上に定置させ、この支持板を槽内部の温度を40℃に設定した恒温槽内に入れて1分間加熱した。
その結果、実施例1の識別コードフィルムではその表面に印刷された二次元コード内で前記パターン部1dの部分の色調が白色から半透明の白色に変化することが目視により確認することができた。
比較例1の識別コードフィルムでは印刷された二次元コードの色の変化はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の識別コードは、データセル内に温度管理範囲を外れるとパターンが変化する特徴を有する。そのため、従来のようにデータロガー等の温度管理装置による温度管理を必要とせず、既存のシステムを用いて読み取りが可能である。さらに本発明の識別コードを用いた製品が流通過程において、どの段階で、温度管理範囲を外れたのかを追跡・確認することも可能である。特に、厳しい温度管理が必要とされる、生鮮食品または医療製品の輸送管理用として好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 二次元コード(識別コード)、1c,1d 変化するパターン部、2 物流管理システム、21 情報管理装置、22,23,24 情報処理端末、25 配送情報処理装置、26 通信回線、5 バーコードスキャナ、6 二次元コード付きラベル、7 配送伝票、G 製品、M 材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10