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  • 特許-記録再生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】記録再生装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/12 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G11B21/12 L
G11B21/12 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019215437
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021086646
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100108187
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】末岡 義人
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-018551(JP,A)
【文献】米国特許第06480361(US,B1)
【文献】米国特許第07672083(US,B1)
【文献】特開2018-055756(JP,A)
【文献】特開2002-298530(JP,A)
【文献】特開平08-161842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の記録媒体と、
前記記録媒体を回転駆動するモータと、
前記記録媒体に対する情報の読み出し、あるいは書きこみを行うヘッドと、
前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させるランプ機構と、
前記ランプ機構を前記記録媒体上から退避させるランプ退避機構を備え
前記ランプ退避機構は、記録再生装置に振動や衝撃が加わった際に、前記ヘッドが退避しているランプ機構を前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記ランプ機構は、前記記録再生装置に振動や衝撃が加わった際に、前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記ランプ機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際に、前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記ランプ退避機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際に、前記ヘッドが退避しているランプ機構を前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記ランプ機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際は、前記モータの惰性回転によって生じる逆起電力により駆動されることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記ランプ退避機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際は、前記モータの惰性回転によって生じる逆起電力により駆動されることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の記録再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)は、コンピュータの外部記憶装置として普及してきたが、最近では、モバイル情報機器にも普及することで、外部からの振動や衝撃を受けやすい環境でも使用される。
【0003】
HDDでの振動や衝撃に対する対策としては、HDDが停止中にヘッドが円盤状の記録媒体(ディスク)に接触しない様にヘッドをディスク面上から退避しておく、ロード/アンロード機構(ランプ・ロード機構)がある。
【0004】
ランプ・ロード機構では、記録再生装置が停止する際には、ヘッドをディスクの範囲外に配置されたランプまでアンロードさせ、起動時にはランプからディスク上にヘッドをロードさせる。ここで、ランプとは、ヘッドが乗り上げてディスク面上から退避するスロープを持つ部品である。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-222838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年のインターネット網の発展やビッグデータの活用の拡大から、データ蓄積量も増大を続け、単位体積当たりの記憶容量を高める必要性が生じている。そのため、規格化されたハードディスクドライブ一台当たりの記憶容量を高めるため、ドライブケースの内部に納める記録媒体の枚数を増やす試みが行われている。
【0007】
例えば、従来の3.5インチの記録媒体用基板の板厚は1.27mmであり、この場合、3.5インチ規格化ハードディスクドライブ内には最大で5枚の記録媒体が用いられていた。一方で、最近の高容量の3.5インチ規格化ハードディスクドライブでは、基板の板厚を薄くすることで、5枚より多い記録媒体が収められている。
【0008】
そのため、記録媒体用基板の剛性が低下し、HDDに外部からの強い振動や衝撃が加わった際に記録媒体が撓み易くなり、これにより、記録媒体がドライブ内の他の部材と接触するリスクが高まっている。
【0009】
このため、外部からの強い振動や衝撃に対する耐性の高い記録再生装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、次の記録再生装置を提供する。
(1) 円盤状の記録媒体と、前記記録媒体を回転駆動するモータと、前記記録媒体に対する情報の読み出し、あるいは書きこみを行うヘッドと、前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させるランプ機構と、前記ランプ機構を前記記録媒体上から退避させるランプ退避機構を備えることを特徴とする。
(2) 前記ランプ機構は、前記記録再生装置に振動や衝撃が加わった際に、前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする。
(3) 前記ランプ退避機構は、前記記録再生装置に振動や衝撃が加わった際に、前記ヘッドが退避しているランプ機構を前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする。
(4) 前記ランプ機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際に、前記ヘッドを前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする。
(5) 前記ランプ退避機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際に、前記ヘッドが退避しているランプ機構を前記記録媒体上から退避させる機構であることを特徴とする。
(6) 前記ランプ機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際は、前記モータの惰性回転によって生じる逆起電力により駆動されることを特徴とする。
(7) 前記ランプ退避機構は、前記記録再生装置への電源供給が遮断された際は、前記モータの惰性回転によって生じる逆起電力により駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示の記録再生装置では、外部からの強い振動や衝撃に対する耐性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における記録再生装置を説明する模式図(1)
図2】本発明の実施の形態における記録再生装置を説明する模式図(2)
図3】本発明の実施の形態における記録再生装置を説明する模式図(3)
図4】本発明の実施の形態における記録再生装置の変形例を説明する模式図(1)
図5】本発明の実施の形態における記録再生装置の変形例を説明する模式図(2)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
本発明は、ヘッド及びランプ機構を記録媒体から退避させる構造を有する記録再生装置に関する。図1は本発明の実施の形態となる記録再生装置の構成を示す模式図である。
【0015】
図1において、本実施の形態における記録再生装置1は、円盤状の記録媒体2と、記録媒体2を回転駆動するモータ3と、記録媒体2に対する情報の読み出し、あるいは書きこみを行うヘッド4と、ヘッド4を記録媒体2上から退避させるランプ機構5と、ランプ機構5を記録媒体2上から退避させるランプ退避機構6を備えている。
【0016】
図1は、記録再生装置1において、ヘッド4を用いて記録媒体2に対する情報の読み出し、あるいは書きこみを行っている状態を示しているが、ヘッド4は、モータ3による記録媒体2の回転によって生じた空気の渦によって記録媒体2面上を垂直方向に浮上すると共に、ボイスコイルモータ7によって、記録媒体2面と平行方向に駆動される。
また、図2及び図3は、記録再生装置1における情報の読み出し、あるいは書きこみを停止する手順を示しているが、先ず、図2に示すように、ヘッド4を記録媒体2上からランプ機構5に退避させ、その後、図3に示すように、ランプ機構5を、ランプ退避機構6により記録媒体2上から退避させる。これにより、記録媒体2上にはランプ機構5が存在していない状態となる。
【0017】
図2において、ランプ機構5の一部は、平面視では記録媒体2と重なり、側面視では記録媒体2と1mm以下程度の隙間を有して設置されている。ここで、ヘッド4は、ボイスコイルモータ7により駆動され、ヘッド4の先端に取り付けられたタブと呼ばれる部分が、ランプ機構5に設けられた傾斜部へ乗り上げることで記録媒体2であるディスクの外側へ退避するが、その退避を滑らかに行うためには、記録媒体2とランプ機構5とを平面視で重ね、また、側面視での両者の隙間を狭くする必要がある。そのため、記録再生装置1の停止中に外部から強い振動や衝撃を受けた場合、記録媒体2が撓み、ランプ機構5の一部と接触する可能性がある。
【0018】
そこで、本実施の形態においては、図3に示すように、ヘッド4が退避した状態のランプ機構5を、ランプ退避機構6により記録媒体2上から退避させる。これにより、本実施の形態における記録再生装置1は、記録再生装置1における情報の読み出し、あるいは書きこみを停止している際に、外部から強い振動や衝撃を受け、記録媒体2が撓んだ場合でも、ランプ機構5と記録媒体2が接触することを避けることが可能となり、より信頼性の高い記録再生装置1を提供可能となる。ここで、ランプ退避機構6としては公知の駆動手段を用いることができるが、例えば、マグネット、モータ、ボールねじ等による駆動機構を用いることができる。
【0019】
また、これ以外にもヘッド4やボイスコイルモータ7が退避動作をする際の摩擦力や慣性力を利用してランプ機構5を退避させる機構も本願発明のランプ退避機構に含まれる。
【0020】
例えば、図4に示すように、サスペンションアーム8が位置8aからランプ機構5に乗り上げる位置8bに移行する際にサスペンションアーム8からランプ機構5に加わる摩擦力や、サスペンションアーム8がランプ機構5の端部にぶつかる位置8cでの慣性力によりランプ機構5を記録媒体2上から退避させる方法が考えられる。
【0021】
また、図5に示すように、ヘッド4をランプ機構5に退避させる際のボイスコイルモータの慣性力(図中の破線部分の慣性力)を使い、この力をレバー9によりランプ機構5に加えることで、ランプ機構5を記録媒体2上から退避させる方法が考えられる。図中の符号9aがレバー9の作用点、符号9bが支点である。レバー9の作用点9aの個所が左に移動することで、ランプ機構5は右に移動する。
【0022】
本実施の形態においては、ランプ機構5は、記録再生装置1に振動や衝撃が加わった際に、ヘッド4を記録媒体2上から退避させる機構とするのが好ましい。また、ランプ退避機構6は、記録再生装置1に振動や衝撃が加わった際に、ヘッド4が退避しているランプ機構5を記録媒体2上から退避させる機構とするのが好ましい。
【0023】
すなわち、記録再生装置1の動作中(情報の読み出し、あるいは書きこみ中)に外部から強い振動や衝撃が加わった場合は、記録媒体2やヘッド4を支えるサスペンションアーム8が撓み、両者が接触して破損する場合がある。加えて、記録媒体2が撓むことで、記録媒体2とランプ機構5が接触し、両者が接触して破損する場合がある。
【0024】
そのため、記録再生装置1に設けた、例えば加速度センサや落下センサにより振動や衝撃を検知した場合は、これが強い振動や衝撃となる前に、前述の図2及び図3の手順により、ヘッド4を記録媒体2上からランプ機構5に退避させ、また、ランプ機構5を、ランプ退避機構6により記録媒体2上から退避させることで、ヘッド4と記録媒体2の破損を防ぐことができる。
【0025】
本実施の形態においては、ランプ機構5は、記録再生装置1への電源供給が遮断された際に、ヘッド4を記録媒体2上から退避させる機構とするのが好ましい。また、ランプ退避機構6は、記録再生装置1への電源供給が遮断された際に、ヘッド4が退避しているランプ機構5を記録媒体2上から退避させる機構とするのが好ましい。
【0026】
また、ランプ機構5は、記録再生装置1への電源供給が遮断された際は、モータ3の惰性回転によって生じる逆起電力により駆動させるのが好ましい。また、ランプ退避機構6は、記録再生装置1への電源供給が遮断された際は、モータ3の惰性回転によって生じる逆起電力により駆動させるのが好ましい。
【0027】
HDDには、電源供給が偶発的に遮断され、ディスクを回転させるスピンドルモータとヘッドの駆動モータが共にダウンした場合、ディスクがヘッドによって傷つくことを防ぐために、そのヘッドを退避位置に強制移動させるための機能がある。この機能はスピンドルモータの惰性回転により生じる逆起電力を使ってその動作を行わせる。
【0028】
即ち、記録再生装置1への電源供給が遮断され記録媒体2の回転が停止した場合は、ヘッド4を浮上させる空気の渦がなくなり、ヘッド4と記録媒体2が接触し、両者が破損する場合がある。また、この状態で記録再生装置1に強い振動や衝撃が加わった場合は、ランプ機構5と記録媒体2が接触し、両者が破損する場合がある。
【0029】
そのため、例えば、記録再生装置1に設けた通電センサにより電源供給の遮断を検知した場合は、前述の図2及び図3の手順により、ヘッド4を記録媒体2上からランプ機構5に退避させ、また、ランプ機構5を、ランプ退避機構6により記録媒体2上から退避させることで、ヘッド4と記録媒体2の破損を防ぐことができる。
【0030】
以上の動作は、記録再生装置1内に設けた非常用バッテリにより行うことができるが、システムの簡便性から、モータ3の惰性回転によって生じる逆起電力により行うのが好ましい。
【0031】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 記録再生装置
2 記録媒体
3 モータ
4 ヘッド
5 ランプ機構
6 ランプ退避機構
7 ボイスコイルモータ
8 サスペンションアーム
9 レバー
9a 作用点
9b 支点
図1
図2
図3
図4
図5